JP3796337B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いたプリンター、複写機等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図13に示すように、像担持体である感光ドラム101上に静電潜像を形成し、静電潜像を現像装置102内のトナーで現像して可視像化し、感光ドラム上のトナー像を転写手段103によって転写材上に未定着画像として転写し、トナー像を担持した転写材を定着装置によって加熱および加圧することで画像を転写材上に定着させて、永久画像を得る画像形成装置が知られている。
【0003】
上記のような画像形成装置で用いられている定着装置は、図14に示すような構造となっている。図14に示すように、加熱手段としてのヒータ3によって加熱されるとともに回転可能に配置されて駆動モータ(図示せず)により所定方向に回転させられる定着ローラ1と、定着ローラ1に加圧手段(図示せず)によって圧接されるとともに回転可能に配置された加圧ローラ2とを有している。定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接部分には定着ニップNが形成されており、定着ニップNよりも転写材の搬送方向上流側に配置された入り口ガイド8に案内されて転写材である転写紙6が定着ニップNに搬送され、定着ローラ1の回転で転写紙6が搬送されながら定着ニップNで転写紙6上の未定着トナー7を加熱および加圧することによりトナー画像を転写紙6に定着させるようになっている。
【0004】
ヒータ3で加熱される定着ローラ1は、例えば、アルミニウムや鉄等の芯金11の外周にPFA、PTFE等の離型性樹脂層12を設け、芯金11の内部に、ハロゲンランプ等を用いたヒータ3が設けられており、ヒータ3の点灯により定着ローラ1を内部より加熱できるようになっている。定着ローラ1に圧接される加圧ローラ2は、例えば、アルミニウムや鉄等の芯金21の外周に、耐熱性を持ったシリコンスポンジゴム等からなる弾性層22を、弾性層22の外周にPFA、PTFE等の離型性の良い樹脂からなる離型層23が形成されている。
【0005】
定着ローラ1の表面には、温度検知センサであるサーミスタ5が所定の圧力で当接されており、定着ローラ1の表面温度を検知するようになっている。サーミスタ5は制御手段(図示せず)に接続されて、サーミスタ5の検知信号が制御手段に送信されて定着ローラ1の表面温度が検知されるようになっているとともに、制御手段内に設けられた温度制御手段がヒータ3に接続されており、温度制御手段は、サーミスタ5で検知された検知温度に応じて定着ローラ1の表面温度が所定値となるようにヒータ3ヘの通電をオン/オフ(通電をオン/オフさせている電気回路は不図示)制御するようになっている。
【0006】
サーミスタは、定着ローラ表面のクリーニング機構を有する定着装置では定着ローラにおける転写材通過域内に設けることが可能であるが、クリーニング機構を持たない定着装置では、サーミスタによる画像汚れ、摺擦傷を避けるために定着ローラ端部の非通紙域に設けるのが一般的である。
【0007】
定着ローラ1や加圧ローラ2は、ローラ形状がローラの長手方向に逆クラウン形状となるように形成されており、転写紙6が定着ニップNを通過する際に転写材がシワを起こさないようになっている。また、入り口ガイド8の配置および形状は、大サイズの転写材の後端はね、あるいは、シワの発生がないように、定着ニップNとの適正な位置関係となるように調整されて、転写材搬送の安定化が図られている。
【0008】
ヒータ3に印加される定格電力は主に転写紙の通紙サイズ、最大通紙可能枚数に左右され、一般に通紙可能枚数が多くなる高速機ほど高い電力が必要となる。また、定着装置としては高速機ほど定着ローラの熱容量を増やし、長手方向の熱移動を稼ぎたいが、近年のように画像形成装置の立ち上げ時間、ファーストプリントタイムの短縮ニーズの高まりから定着ローラは薄肉化せざるをえない。
【0009】
ここで、定着ローラが薄肉化して定着ローラの熱容量が小さくなると、ヒータに印加される電圧が定格電圧以下となった場合、ヒータ出力が低下するため敏感に定着ローラの長手方向の温度分布が変化する。さらに、ヒータ電力が大きくなると、通電初期はヒータの抵抗が小さいため突入電流が大きくなり、ヒータヘの通電をオン/オフする際、同一電源ラインに接続されているコンピュータディスプレイの画面が瞬間的に歪んだり、照明機器が瞬間的に暗くなる等の問題が発生する。
【0010】
上記の問題を解決するためにヒータの定格電力は小さくする必要があり、そのための手段として、定着に必要な発熱量は確保しつつ、ヒータを複数本(−般に2本)に分割するなどの手段がとられている。また、ヒータ用の電源として定電圧電源を使用すれば、ヒータ印加電圧を一定にできると同時に画面の歪みを防止できる。
【0011】
以下に、図15に示すヒータに一定電圧を印加する定電圧回路を含む降圧型の定電圧電源の回路図を参照して、定電圧電源と加熱手段であるヒータの制御について説明する。図15に示すように、定電圧電源は、商用電源50からの交流波形を整流する整流部と、電圧を降圧し定電圧化する定電圧部とを有している。
【0012】
商用電源50からの交流波形は以下のようにして定電圧化され、定着ローラ内のヒータであるハロゲンヒータ57に印加される。商用電源50から定電圧電源の整流部に入力された入力交流波形は、整流部に設けられたダイオードブリッジ51により整流されたあと、定電圧部内の定電圧回路52およびコイル55により所望の一定出力電圧を得ることができるようになっている。
【0013】
定電圧回路52は、電圧検知回路54で検知している出力電圧値を所望の一定電圧にするため、出力電流波形を入力電圧波形と相似波形になるようにチョッピングFET53のオンデューティーを制御している。コイル55は整流された入力電圧波形をチョッピングすると同時に降圧するためにエネルギーを蓄えるインダクタンスコイルである。また、定電圧回路52には、出力電流、入力実効値電圧、入力電圧波形の検出をおこなう、検出抵抗、コンデンサが含まれている。
【0014】
上記の定電圧電源は、定着ローラ内に配置されている加熱手段であるハロゲンヒータ57にスイッチング手段であるFET58を介して接続されており、FET58が導通状態になると、定電圧電源から電力が供給されハロゲンヒータ57が発熱するようになっている。スイッチング用FET58は、ハロゲンヒータ57のオンオフを行っており、FET58のゲートにはフォトカップラ(図示せず)のフォトトランジスタ側が接続されている。フォトトランジスタは、温度制御手段としてのMPUからのデジタル信号をうけたフォトダイオード(図示せず)からの光信号が途絶えるとオフされてFET58が導通状態となるようになっており、FET58が導通状態となることでハロゲンヒター57が発熱する。このFET58の導通あるいは導通不可状態によるスイッチング動作に基づいてヒータのオン、オフが行われ、定着ローラが加熱されるようになっている。
【0015】
また、定電圧回路52からの出力は定電圧出力を開始してからスロースタート機能により一定の時定数で立ち上がるため、出力電流も徐々に増加するので、定電圧電源を用いた定着装置においては、ヒータヘの通電をオン/オフする際、ヒータへの突入電流による同一電源ライン上のコンピュータディスプレイの画面が瞬間的に歪んだり、照明機器が瞬間的に暗くなるといった現象は発生しない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例では、最も使用頻度の高い普通紙(60〜80g/m2)を連続通紙した場合、定着ローラの温度を所定温度となるように制御するとともに通紙する紙サイズが同じであっても、紙の秤量、粗さ、紙の材質により、定着工程で転写材が定着ローラから奪う熱量が違うため、定着ローラの温度分布が変化する。
【0017】
また、同じサイズの転写紙でも、転写紙の種類によって定着ローラから奪われる熱量が異なるため、連続通紙によって定着ローラの温度分布が変化する。例えば、1本ヒータを用いた定着装置では、定着ローラの長手方向の中央にサーミスタを当接して、温調をおこなう場合、同じA4サイズの紙でも普通紙では温度分布がほぼフラットとなるが、厚紙(128g/m2)では、定着ローラの長手方向の両端部が高くなる(以下、端部昇温と呼ぶ)温度分布となる。
【0018】
逆に、端部にサーミスタを当接して温調を行った場合、厚紙の連続通紙では定着ローラの長手方向の中央部が温度低下(以下、中央降温と呼ぶ)する。端部昇温が生じるとローラ類の寿命が短くなったり、転写紙のカールが大きくなるなどの弊害が生じる。また、中央降温が生じると転写紙の中央部が定着許容温度を下回って定着不良が発生する。2本のヒータにより適宜ヒータの点灯比率を変更して温調を行っても、紙種が異なった場合、連続通紙中に次第に温度分布が変化するのは同じである。
【0019】
これは、ヒータから供給される熱量が、連続通紙によって定着ローラから奪われる熱量に追い付かないために起こるもので、特に、熱容量の小さい薄肉の定着ローラを用いた場合に顕著である。また、薄肉の定着ローラは、定着ローラの長手方向の熱移動が少ないため、定着ローラの長手方向の両端部と中央部との温度変化が大きくなってしまうのである。
【0020】
図16に、端部にサーミスタを当接し、定着ローラ(肉厚1.5mm)の内部に800Wの1本ヒータを備え、毎分20枚連続通紙可能な定着装置において、連続30枚通紙後の温度分布の様子を示す。平滑な紙では厚紙になるほど中央降温が生じて中央温度が定着に必要な温度を下回ってしまうために定着不良が起こる。また、ラフ紙は同じ秤量の平滑な紙よりも奪う熱量が小さく、中央温度が温調温度よりも低くはならないが、ラフ紙の定着許容温度は平滑な紙よりも高いのでやはり定着不良となる。
【0021】
さらに、低温環境下での電源投入直後は、装置本体や転写紙が冷えているので転写紙の通紙によって定着ローラから奪われる熱量も大きくなり温度分布の変化も大きいものとなる。
【0022】
そこで、本発明は、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、所定の目標温度で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力に基づいて、前記連続印刷の途中で転写材の種類に応じた目標温度に切換えて転写材を加熱制御可能とすることにより、トナーの定着に必要な加熱を行って定着不良を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本出願にかかる第1の発明によれば、上記目的は、
トナー像を担持した転写材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材に圧接するように配置された加圧部材とを有し、前記加熱部材と加圧部材との圧接部分に形成される定着ニップにトナー像を担持した転写材を通過させて転写材を加熱および加圧する熱定着手段を備えた画像形成装置において、
前記熱定着手段の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段によって検知される前記熱定着手段の温度が目標温度になるように前記熱定着手段への供給電力を制御するとともに、転写材の搬送間隔を制御する制御手段とを有し
前記制御手段は、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、前記連続印刷の途中で転写材の種類に応じた目標温度に切換え可能とするべく、所定の加熱条件で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力に基づいて、前記連続印刷の途中で目標温度を変更可能としたことにより達成される。
【0025】
また、本出願にかかる第の発明によれば、さらに、当該画像形成装置の使用環境を判断する判断手段を有し、前記制御手段は、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、前記判断手段の判断結果と、所定の加熱条件で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力に基づいて、前記連続印刷の途中で目標温度を変更可能としたことを特徴とする。
【0029】
また、本出願にかかる第の発明によれば、前記熱定着手段は、発熱分布の異なる複数本のヒータを有し、前記制御手段は、転写材のサイズに応じた前記複数本のヒータの点灯比率で前記連続印刷を行なうとともに、前記熱定着手段の長手方向端部の温度を検知する端部温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、前記連続印刷の途中で前記ヒータの点灯比率を変更可能としたことを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、広く知られている電子写真方式の画像形成装置についての詳細な説明は省略する。
【0038】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1〜図4により説明する。転写材上の未定着トナーを転写材上に定着させる画像形成装置は、表面に静電潜像を担持する像担持体としての感光ドラム、感光ドラムの表面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ローラ、帯電ローラによって帯電させられた感光ドラムの表面をレーザービームにより露光して感光ドラム上に静電潜像を形成する露光手段、感光ドラム上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーによって現像して可視像化する現像装置、現像された感光ドラム上のトナー画像を転写材に転写する転写装置としての転写ローラ、トナー画像が転写された転写材を加熱および加圧して転写材上にトナーを定着させる定着装置、転写材を搬送する搬送手段、画像形成の各工程を制御する制御手段等を有しており、A3サイズの紙幅までの転写材を所定のプロセススピードで搬送しつつ画像形成できるようになっている。
【0039】
本実施形態の定着装置Aは、図1に示すように、加熱手段としてのヒータ3によって加熱されるとともに回転可能に配置されて駆動モータ(図示せず)により所定方向に回転させられる熱定着手段としての定着ローラ1と、定着ローラ1に加圧手段(図示せず)によって圧接されるとともに回転可能に配置された加圧手段としての加圧ローラ2と、定着ローラ1の長手方向の中央部に当接されて定着ローラ1の表面温度を検知する温度検知手段としのサーミスタ5とを有している。
【0040】
定着ローラ1は、例えば、直径40mm、肉厚1mmの円筒状のアルミニウムを芯金11とし、芯金11の外周に離型層12として厚さ50μmのPFAチューブを被覆して形成されているとともに、芯金内にヒータ3が配置されてヒータ3によって定着ローラ1が加熱されるようになっている。また、加圧ローラ2は、例えば、直径14mmの長棒形状の鉄を芯金21とし、芯金21の外周に厚さ8mmのシリコンスポンジゴムから成る弾性層22を設け、弾性層22の外周に離型層23として厚さ50μmのPFAチューブを被覆して形成されており、加圧ローラ2が20N(ニュートン)の押圧力によって定着ローラ1に圧接され、定着ローラ1と加圧ローラ2とで約5mm巾の定着ニップを形成できるようになっている。
【0041】
定着ローラ1と加圧ローラ2とで形成される定着ニップNでは、定着ニップNよりも転写材の搬送方向上流側に配置された入り口ガイド8に案内されて転写材である転写紙6が定着ニップNに搬送されることにより、定着ローラ1の回転で転写紙6が搬送されながら定着ニップNで転写紙6上の未定着トナー7が加熱および加圧されてトナー画像が転写紙6に定着させられるようになっている。
【0042】
定着ローラ1内に配置されたヒータ3は、ヒータ3に一定電圧を供給する電源装置としての定電圧電源49に接続されて、定電圧電源49から印加される一定電圧でヒータ3が加熱駆動されるようになっている。定着ローラ1内のヒータ3は、定格電圧100V、定格電力1000Wのハロゲンヒータが使用されており、ヒータ3の配光は、この画像形成装置で最も使用頻度が高い転写材としてA4横サイズの普通紙(65〜80g/m2)を連続通紙した時に温度分布がフラットとなるようにヒータの巻き数などが調整されている。
【0043】
図2に示すように、ヒータ3へ電源を供給する定電圧電源49は、ダイオードブリッジ51を有して商用電源50からの交流波形を整流する整流部と、定電圧回路52を有して一定電圧をヒータ3に供給する定電圧部とを備えている。商用電源50から定電圧電源の整流部に入力された入力交流波形は、整流部に設けられたダイオードブリッジ51により整流されたあと、定電圧部内の定電圧回路52およびコイル55により所望の一定出力電圧を得ることができるようになっている。
【0044】
ヒータ3に印加される電圧値は、電圧検知部54によってモニタされており、定電圧回路52は、電圧検知回路54で検知している出力電圧値を所望の一定電圧にするため、出力電流波形を入力電圧波形と相似波形になるようにチョッピングFET53のオンデューティーを制御して、商用電源50からの入力電圧値にかかわらず所定値で安定した電圧をヒータ3に供給できるようになっている。コイル55は整流された入力電圧波形をチョッピングすると同時に降圧するためにエネルギーを蓄えるインダクタンスコイルである。なお、定電圧回路52には、入力実効値電圧、入力電圧波形などの検出をおこなう、検出抵抗、コンデンサが含まれている。
【0045】
また、定電圧電源49とヒータ3との間には、ヒータ3に流れる電流を検知する抵抗60と電流検知部61が設けられている。抵抗60は、ヒータ3に対して直列に繋がれており、電流検知部61により交流成分の2乗を検知して出力実効電流値を算出するようになっている。ここで、ヒータ3として用いられているハロゲンヒータの抵抗値が通常数Ω〜数十Ωであるので、消費電力を抑えるために抵抗60の抵抗値をヒータ3の抵抗値に対して十分小さくする。本実施形態においては、0.05Ωとした。
【0046】
定電圧電源49は、ヒータ3にスイッチング手段であるFET58を介して接続されており、FET58が導通状態になると、定電圧電源から電力が供給されヒータ3が加熱駆動するようになっている。スイッチング用FET58は、ヒータ3のオンオフを行っており、FET58のゲートにはフォトカップラ(図示せず)のフォトトランジスタ側が接続されている。フォトトランジスタは、制御手段30内に設けられた温度制御手段からのデジタル信号をうけたフォトダイオード(図示せず)からの光信号が途絶えるとオフされてFET58が導通状態となる。すなわち、温度制御手段からの動作信号によってFET58が導通あるいは導通不可状態となることによるスイッチング動作に基づいてヒータ3のオン、オフが行われ、定着ローラ3が所定温度に加熱される。
【0047】
また、定着ローラ1の表面に当接されたサーミスタ5は、画像形成の各工程を制御する制御手段30に接続されており、サーミスタ5が定着ローラ1の温度変化により変化する抵抗値を検知信号として制御手段30へ送信して制御手段30で定着ローラ1の温度が検知され、サーミスタ5の検知温度に応じて制御手段30内に設けられた温度制御手段がヒータ3のオン/オフを制御してヒータ3の加熱駆動を制御することにより定着ローラ表面を目標温度に維持できるようになっている。上記の構成の定着装置Aは、1分当たり30枚の通紙が可能となっている。
【0048】
本実施形態の画像形成装置は、上記の定電圧電源49内の電圧検知部54で検知できる実効値電圧と電流検知部61で検知できる実効値電流とを用いて印刷に使用されている転写材の種類を判別する転写材判別手段と、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じた転写材の加熱条件を複数有する転写材加熱条件決定手段とを備えており、転写材加熱条件決定手段は、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じて加熱条件を決定して決定した加熱条件によって転写材の加熱を制御できるようになっている。
【0049】
具体的には、図3に示すように、制御手段30内に転写材判別手段31と転写材加熱条件決定手段32とが設けられている。転写材判別手段31は、電流検知部61で検知した実効電流値と、定電圧電源49内の電圧検知部54で検知した実効電圧値とによって、単位時間当りの平均消費電力を算出することにより転写材の種類を判別できるようになっている。これは、同じ種類の複数枚の転写材を連続して定着装置Aに通過させて定着を行った場合、転写材の種類によってヒータの単位時間当りの平均消費電力が異なるためである。
【0050】
転写材判別手段31と転写材加熱条件決定手段32とは、転写材判別手段31から転写材加熱条件決定手段32へ信号送信可能に接続されており、転写材判別手段31でヒータの単位時間当りの平均消費電力が算出されると、算出された平均消費電力に応じた信号を転写材判別手段31から転写材加熱条件決定手段32に送信できるようになっている。
【0051】
転写材加熱条件決定手段32は、転写材の複数の加熱条件として、転写材判別手段31からの信号に応じて、転写材同士間の搬送間隔である転写紙の通紙間隔が定着ニップにて複数の所定値を有しており、転写材の種類に応じて転写材の搬送間隔値を決定し、制御手段30内に設けられて転写材を複数搬送する際の転写材と転写材との間隔を制御する搬送間隔制御手段33に決定した転写材搬送間隔値を送信できるようになっている。ここで、転写材搬送間隔値は、定着ローラから奪う熱量が大きい転写紙のときには搬送間隔の値が長くなるように設定される。
【0052】
本実施形態の写材加熱条件決定手段32は、転写材判別手段31内で算出された平均消費電力の値に応じた複数の通紙間隔の値が予め記憶されており、転写材判別手段31からの信号に基づいて予め記憶されている複数の通紙間隔のうちのいずれか1つをCPUで選択することにより、転写材の種類に応じた転写材の加熱条件を決定できるようになっている。
【0053】
転写材加熱条件決定手段32からの搬送間隔値に応じた信号を受信した搬送間隔制御手段33は、決定された搬送間隔の値となるように転写材の搬送速度を制御するとともに、転写材の搬送速度に応じて感光ドラムの周速などを制御して転写材の搬送速度に応じた画像形成が行なわれるようにする。このようにすることにより、定着ローラから奪う熱量が大きい転写材を用いた場合に、定着装置Aを通過する転写材の間隔が長くなり、定着ローラが定着に十分な温度まで加熱されて良好な定着を行うことができるようになるのである。
【0054】
転写材判別手段31による単位時間当たりの平均消費電力の算出は、複数の転写材を連続して定着装置Aに通す場合に、通紙開始からの所定時間の間で行われるように設定されている。これにより、連続通紙に使用されている転写材を素早く判別し、その後、適切な加熱条件で転写材を加熱することによって、連続通紙による定着不良などを防止することができるようになる。
【0055】
上記構成の定着装置Aを用いた場合に、本実施形態のプリント動作と転写紙の種類の判別方法について説明する。図4に示すように、スタンバイ状態において画像形成装置が不図示のホストコンピュータからプリント信号を受けると、定着ローラの前回転と同時にヒータが点灯する。紙は画像書き出し信号(VSYNC)に同期して給紙され、定着ニップに到達する。ヒータはサーミスタ検知温度がプリント温調温度に達するまで全点灯し、その後は温調温度との大小関係に従ってオンオフを繰り返す。
【0056】
本実施形態では、図3に示すように、転写材判別手段31でヒータに流れる実効値電流とヒータに印加される実効値電圧を検知して、単位時間当たりの平均消費電力を算出し、算出した平均消費電力値により紙種を判別する。そして、転写材加熱条件決定手段32で転写材の種類に応じた加熱条件を決定する。
【0057】
ここで、実効値電流を検知するタイミングは、図4に示すように、サーミスタ検知温度がプリント温調温度に到達してから所定時間内までがよい。これは、プリント温調温度に到達する前はヒータは全点灯であるので、ヒータに供給される電力に転写材の種類による違いがないためである。なお、実行値電圧は、一定電圧をヒータに供給するため、定電圧電源49内の電圧検知部54で常に検知されている。また、実効値電流を検知する時間は短すぎると紙種の差が判別しにくく、長すぎると加熱手段を変更するタイミングが遅れ加熱条件を変更する効果が減少するので、本実施形態では、サーミスタ検知温度がプリント温調温度に到達してから10秒間程度とした。
【0058】
実際にA4横サイズの普通紙(80g/m2)を連続通紙したときの10秒当たりの平均消費電力は450Wh(ワット時)であった。これに対し、A4横サイズの厚紙(128g/m2)、ラフ紙(90g/m2)、薄紙(60g/m2)のそれぞれの平均消費電力は、厚紙500Wh、ラフ紙400Wh、薄紙370Whとなった。以上のようにプリント開始から10秒間の平均消費電力の違いから紙種を判別できるのである。
【0059】
本実施形態の定着装置Aでは、100g/m2以上の厚紙を連続通紙すると中央部の温度が低下し、定着不良が発生することがわかったので、転写材判別手段31で算出した平均消費電力が450Whを超えた場合に、転写材判別手段31から転写材加熱条件決定手段32に信号を送信するように設定し、転写材判別手段31からの信号に応じて転写材加熱条件決定手段32はCPUにより加熱条件を決定するようにした。
【0060】
具体的には、転写材判別手段31で算出された平均消費電力による加熱条件として定着ニップへの紙の通紙間隔であるスループット(先行する転写材の後端と、後の転写材の先端との間の長さ)の値を、下記に示す、表1のように、平均消費電力に応じて複数設けておき、平均消費電力に応じて通紙間隔の値を変更し、その値で搬送を制御するようにした。なお、通紙間隔の値を、転写材同士の間の時間としてもかまわない。
Figure 0003796337
上記の表1に示す関係で転写材の加熱条件(通紙間隔)を制御した結果、厚紙を連続通紙した場合でも定着不良を防止できた。なお、A4横サイズ以外の紙サイズにおいても同様に紙種判別、加熱条件の変更ができるのは言うまでもない。
【0061】
本実施形態は、定着ローラから奪う熱量が大きい転写材のときに通紙間隔を大きくして定着ローラに十分な熱量を供給できるようにして、サーミスタが定着ローラの端部に配置されて定着ローラの端部の温度により温調を行ったときに転写材の連続通紙によって定着ローラの中央降温が発生することを防止することができるものである。
【0062】
本実施形態では、ヒータに流れる実効値電流と、実効値電圧を検知して消費電力を算出したが、電源構成が複雑になるのでそれぞれの平均値を検知してもよい。ただし、平均値では紙種による消費電力の差が小さいので検知時間を長くしなければならない。
【0063】
また、転写材の種類判別後の加熱条件変更として通紙間隔を変えたが、たとえば定着ローラの温調温度を変更してもよく、その場合、定着ローラから奪う熱量が大きい転写材のときに定着ローラの温調の目標温度を高くするようにするとよい。また、定着ローラの温調温度と転写材の通紙間隔の両方を変更するようにしてもよい。さらに、所定時間内での実効値電流と実効値電圧とを検知して所定時間内の平均消費電力を算出したが、所定枚数を通紙したときの平均消費電力としてもよい。
【0064】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図5〜図8により説明する。本実施形態は、転写材判別手段により、連続通紙中の端部サーミスタ検知温度の温度上昇率を測定して転写材の種類による温度上昇率の差により転写材の種類を判別し、転写材加熱条件決定手段により、転写材の種類に応じて定着ローラの温調温度を転写紙の通紙枚数によって所定温度ずつ変更するように加熱手段を変更するようにしたものである。なお、画像形成装置の、定着ローラなどのその他の構成は上記の第1の実施形態と同様である。
【0065】
本実施形態の画像形成装置は、定着ローラの長手方向の端部に当接されて定着ローラの表面温度を検知しているサーミスタによる検知温度により、印刷に使用されている転写材の種類を判別する転写材判別手段と、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じた転写材の加熱条件を複数有する転写材加熱条件決定手段とを備えており、転写材加熱条件決定手段は、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じて加熱条件を決定して決定した加熱条件によって転写材の加熱を制御できるようになっている。
【0066】
具体的には、図5に示すように、制御手段30内に転写材判別手段41と転写材加熱条件決定手段42とが設けられている。転写材判別手段41には、サーミスタ5からの検知信号による定着ローラ1の温度が入力されるようになっており、所定時間内のサーミスタ5による検知温度の温度上昇による温度上昇率を測定することにより転写材の種類を判別できるようになっている。これは、同じ種類の複数枚の転写材を連続して定着装置に通過させて定着を行った場合、転写材の種類によって検知温度の上昇率が異なるためである。
【0067】
転写材判別手段41と転写材加熱条件決定手段42とは、転写材判別手段41から転写材加熱条件決定手段42へ信号送信可能に接続されており、転写材判別手段41でサーミスタ5による検知温度の温度上昇率が測定されると、その温度上昇率に応じた信号を転写材判別手段41から転写材加熱条件決定手段42に送信できるようになっている。
【0068】
転写材加熱条件決定手段42は、転写材の複数の加熱条件として、定着ローラ1のプリント温調温度を所定温度上昇させる転写材の通過数が、転写材判別手段41からの信号に応じて複数設けられており、転写材の種類に応じて定着ローラ1のプリント温調温度を所定温度上昇させる転写材の通過数を決定し、制御手段30内に設けられて定着ローラ1の温度を制御する温度制御手段43に決定した転写材の通過数を送信できるようになっている。ここで、転写材の通過数は、定着ローラ1から奪う熱量が大きい転写紙のときには、定着ローラ1のプリント温調温度を所定温度上昇させる転写材の通過数が少なくなるように設定されている。
【0069】
転写材加熱条件決定手段42からの転写材の通過枚数に応じた信号を受信した温度制御手段43は、決定された通過枚数毎に定着ローラ1の温度が所定温度上がるように定電圧電源49とヒータ3との間に設けられたFET58の導通状態を制御して、ヒータの加熱駆動を制御する。このようにすることにより、定着ローラ1から奪う熱量が大きい転写材を用いた場合に、定着ローラ1の温度を所定温度上げる間隔が短くなり、定着ローラ1が定着に十分な温度まで加熱されて良好な定着を行うことができるようになるのである。
【0070】
転写材判別手段41による温度上昇率の測定は、複数の転写材を連続して定着装置に通す場合に、定着ローラ1の前回転よりも後の通紙で、かつ、定着ローラ1の温度がプリント温調温度に達する前までの間に行うようにするとよい。これにより、連続通紙に使用されている転写材を素早くかつ正確に判別し、その後、適切な加熱条件で転写材を加熱することによって、連続通紙による定着不良などを防止することができるようになる。
【0071】
上記構成の定着装置を用いた場合に、本実施形態のプリント動作と温度上昇率の測定方法について説明する。まず、図6に示すように、PRINT信号により前回転がはじまり、スタンバイ状態からプリント動作にはいる。実際に紙が定着ニップに到達するのは画像書き込み信号(VSYNC)が出力されたあとで、かつ、プリント温調温度に達する前である。なお、図6は、温度上昇率の測定タイミングを示したもので、温調温度と定着ローラの温度の推移を示した部分のグラフは、従来のように温調温度をほぼ一定に保つようにした場合を示しており、従来は、連続通紙によって、ある時間以降は定着ローラの温度が定着許容御度をしたまわってしまうことを示している。
【0072】
転写材判別手段41による温度上昇率の測定は、この前回転よりもあとの通紙中で、かつ、プリント温調温度に到達する前が良い。なお、スタンバイ状態での定着ローラ1の温度は定着可能な許容温度より低い温度に設定し、できるだけスタンバイ温度とプリント温度の差が大きいほうが好ましい。あるいは、サーミスタ5の温度が温調温度に到達して中央温度が低下するときに測定をおこなってもよい。本実施形態では、温度上昇率を測定する時間は、前回転よりもあとの通紙から5秒ほどとする。
【0073】
本実施形態の定着装置を使った実験では、図7に示すように、主に紙の秤量により温度上昇率が変化し、ラフ紙(75〜120g/m2)は紙の秤量によらず同じであった。この温度上昇率の差により、下記の表2のように連続通紙中のプリント温調温度を通紙枚数により所定温度ずつ切り替えるようにした。ここでは、1℃ずつ切り替えるようにした。
Figure 0003796337
図8に、上記の表2のように転写材の種類に応じて定着ローラの温調温度を1℃増加させる通紙枚数を変化させて、秤量200g/m2の厚紙を連続通紙した場合の温調温度の変化を表すグラフを示す。図8に示すように、本実施形態では、秤量200g/m2の厚紙を連続通紙しても中央の温度を定着許容温度内に収めることができた。なお、温調温度を増加させる場合の連続通紙枚数に替えて、所定時間経過毎に温調温度を増加させるようにしてもよい。
【0074】
本実施形態では、サーミスタが端部にある場合を示して、連続通紙によって定着ローラの中央部の温度が降下することを、温調温度を所定温度ずつ増加することにより防止したが、サーミスタが中央に配置されている場合には、逆に、通紙枚数毎に温調温度を所定温度ずつ下げることで、定着ローラの端部の昇温を防止でき、端部温度を定着許容温度内に収めることができる。
【0075】
定着ローラに当接させられるサーミスタは、転写材の種類を正確に判別するため通紙域内に設けるようにするとよく、特に温度変化の著しい定着ローラの長手方向の中央に設けるようにすれば、転写材の種類による温度上昇率の差が出やすいので測定の精度が向上する。この場合、サーミスタに軽接触タイプのものを使用すれば、クリーニング部材なしでもサーミスタを通紙領域に配置することができる。
【0076】
本実施形態では、温度上昇率によって使用する紙種のみを判別したが、上記のように、温度上昇率測定の精度を向上させるようにして、転写材の種類判定の精度を細かくすれば、さまざまな秤量、材質の紙でも対応可能である。
【0077】
さらに、本実施形態は、サーミスタからの検知温度による温度上昇率によって転写材の種類を判別しているので、第1の実施形態のように電源構成が複雑にならず、1の実施形態と比べてコスト的に有利である。
【0078】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を図9〜図11により説明する。本実施形態は、配光分布の異なる2本のヒータを使って温調制御をおこない、転写材判別手段によって判別された転写材の種類に応じて転写材加熱条件決定手段で2本のヒータの点灯比率を制御する場合を説明する。ヒータを2本にするメリットは、転写紙サイズに応じて2本のヒータの点灯比率を変えられることである。図9に、本実施形態の2本ヒータを備えた定着装置の概略構成図を、図10に、各ヒータの配光を表す概略説明図を示す。ヒータを除く定着装置の構成は、上記の各実施形態と同じである。
【0079】
図9と図10に示すように、定着ローラ1内に配置された2本のヒータ4a,4bは、一方は定着ローラ長手方向の中央部を中心に加熱するメインヒータ(400W)4aで、他方は定着ローラ長手方向の両端部を主に加熱するサブヒータ(400W)4bである。また、定着装置Aに通紙する転写紙のサイズに応じた温度制御部からの信号により、メインヒータ4aとサブヒータ4bとが所定の比率で点灯して通紙中の温度分布がほぼフラットとなるようになっている。
【0080】
また、本実施形態においては、上記の第2の実施形態に記載されている、定着ローラの長手方向の端部に当接されて定着ローラの表面温度を検知しているサーミスタによる検知温度により、印刷に使用されている転写材の種類を判別する転写材判別手段と、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じた転写材の加熱条件を複数有する転写材加熱条件決定手段とを備えており、転写材加熱条件決定手段は、転写材判別手段が判別した転写材の種類に応じて加熱条件を決定して決定した加熱条件によって転写材の加熱を制御できるようになっている。
【0081】
ところで、第2の実施形態の転写材加熱条件決定手段は、温調温度を1℃増加させる連続通紙枚数によって温調温度を制御するようにしたが、本実施形態の転写材加熱条件決定手段は、転写材の複数の加熱条件として、2本のヒータ4a,4bの点灯比率が転写材判別手段からの信号に応じて複数設けられており、転写材の種類に応じた2本のヒータの点灯比率を決定し、制御手段内に設けられて定着ローラの温度を制御する温度制御手段に決定した2本のヒータの点灯比率を送信できるようになっている。転写材加熱条件決定手段からのヒータの点灯比率の信号を受信した温度制御手段は、その点灯比率で2本のヒータを加熱駆動して、転写材に応じたヒータの点灯を行うようになっている。
【0082】
以下、A3サイズまで定着可能な2本ヒータを用いた定着装置Aの通電制御について説明する。下記の表3は、本実施形態のメインヒータ4aとサブヒータ4bの単位時間当たりの点灯比率を紙サイズごとに表したものである。これは、使用頻度の高いA4サイズの普通紙(80g/m2)を用いた場合のメインヒータ4aが500msec点灯する間のサブヒータ4bの点灯時間を示しており、サブヒータ4bはそれぞれ、A3で500msec、B4で300msec、A4縦で100msec点灯することを示す。なお、点灯比率は上記に限るものではなく、連続通紙中にその温度分布がほぼフラットとなるように設定すればよい。
Figure 0003796337
また、本実施形態において、転写材の種類の判別方法は、第2の実施形態と同様に、温調温度に達する前の3秒間の温度上昇率から転写材の種類(ここでは、紙の秤量)を判別するようにした。その判別結果である紙の秤量と紙サイズとにより連続通紙中のメイン/サブヒータの点灯比率を、下記の表4に示すように変更する。
【0083】
Figure 0003796337
図11に、上記の表4により点灯比率を制御して、A3サイズの200g/m2紙を連続通紙した状態でヒータ点灯比を変える前と後の定着ローラ温度分布を示す。図11に示すように、従来のヒータ点灯比率を変える前(点灯比率5:5)では、定着ローラの中央の温度が定着許容温度を下回ってしまっているのに対し、本実施形態のヒータ点灯比率(5:4)では、200g/m2の転写紙を連続通紙しても定着ローラの中央の温度を定着許容温度内におさめることができた。
【0084】
また、本実施形態では温度上昇率を温調温度に達するまえの3秒で判断しているので、たとえば転写紙の種類を薄紙(秤量90以下)と判断したらメインヒータの点灯比率を減らして中央部のオーバーシュートを抑え、ホットオフセットを防止するなどの対応が可能である。
【0085】
さらに、本実施形態では、逐次転写紙の種類判別をおこなってヒータの点灯比率を変えることができ、上記の第1および第2の実施形態よりも転写材の種類判別結果をより有効に使える。たとえば、連続通紙中に紙種が変わったとしてもヒータ点灯比率で即座に対応可能である。
【0086】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を図12により説明する。本実施形態は、画像形成装置の使用環境に応じて転写材判別手段の動作を変更するようにして、画像形成装置の使用環境に転写材の判別結果が左右されないようにしたものである。なお、転写材判別手段の動作を画像形成装置の使用環境に応じて変更する以外の構成は上記の第1の実施形態と同様である。
【0087】
転写材判断手段として、第1の実施形態のように平均消費電力を算出する場合、環境による消費電力の違いを考慮しなければならない。特に、低温環境において電源投入直後は定着装置自体を熱平衡状態にする必要があるので、転写紙種以外の消費電力が加算されてしまう。図12に、7.5℃環境で電源投入直後に測定した紙種ごとの平均消費電力を表すグラフを示す。図12に示すように、1分当り30枚通紙可能な定着装置では、電源投入から約200枚通紙で、平均消費電力がほぼ定常状態となる。
【0088】
そこで、まず電源投入時のサーミスタ検知温度から使用環境が低温状況であるか否かを判断し、低温状況であると判断した場合は、プリントを始めてから所定枚数(あるいは所定時間)までは使用環境に応じて消費電力を補正するようにするのが好ましい。具体的には、電源投入時のサーミスタ温度が所定温度よりも低いと判断したときには、例えばプリント枚数が200枚に達するまでは、転写材判別手段で算出する平均消費電力を補正するようにする。補正する場合は、サーミスタの検知温度に応じて、図12に示すような時間毎の平均消費電力を予め求めておき、経過時間に応じた補正を行うようにしてもよい。
【0089】
あるいは、電源投入から所定枚数までは、転写材判別手段による平均消費電力の算出を行わないようにしてもよい。また、より正確に紙種判別をおこなうため、平均消費電力の算出とサーミスタの温度上昇率を併用してもよい。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願にかかる第1の発明によれば、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、所定の目標温度で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力に基づいて、前記連続印刷の途中で転写材の種類に応じた目標温度に切換えて転写材を加熱制御可能とすることにより、トナーの定着に必要な加熱を行って定着不良を防止できる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の定着装置を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態の定電圧電源を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態の転写材の種類判別と転写材の加熱に関わる部分を示す概略説明図である。
【図4】第1の実施形態の平均消費電力検知タイミングを説明するグラフである。
【図5】第2の実施形態の転写材の種類判別と転写材の加熱に関わる部分を示す概略説明図である。
【図6】第2の実施形態の温度上昇率の検知タイミングを説明するグラフである。
【図7】第2の実施形態の転写紙種による定着ローラの温度上昇率を示すグラフである。
【図8】第2の実施形態の定着装置による温調温度の変化を示すグラフである。
【図9】第3の実施形態の2本ヒータを用いた定着装置の概略構成図である。
【図10】第3の実施形態の2本のヒータの配光を示す概略説明図である。
【図11】第3の実施形態のヒータ点灯比率による定着ローラの温度の違いを示すグラフである。
【図12】低温環境における平均消費電力を示すグラフである。
【図13】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図14】従来例の定着装置の概略構成図である。
【図15】従来の定電圧電源を示す回路図である。
【図16】従来の定着装置の紙種による定着ローラの温度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 定着ローラ(熱定着手段)
2 加圧ローラ(加圧手段)
3 ヒータ(加熱手段)
5 サーミスタ(温度検知手段)
6 転写材
30 制御手段
49 定電圧電源
N 定着ニップ

Claims (3)

  1. トナー像を担持した転写材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材に圧接するように配置された加圧部材とを有し、前記加熱部材と加圧部材との圧接部分に形成される定着ニップにトナー像を担持した転写材を通過させて転写材を加熱および加圧する熱定着手段を備えた画像形成装置において、
    前記熱定着手段の温度を検知する温度検知手段と、
    前記温度検知手段によって検知される前記熱定着手段の温度が目標温度になるように前記熱定着手段への供給電力を制御するとともに、転写材の搬送間隔を制御する制御手段とを有し、
    前記制御手段は、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、前記連続印刷の途中で転写材の種類に応じた目標温度に切換え可能とするべく、所定の目標温度で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力に基づいて、前記連続印刷の途中で目標温度を変更可能としたことを特徴とする画像形成装置。
  2. さらに、当該画像形成装置の使用環境を判断する判断手段を有し、前記制御手段は、同じ種類の複数の転写材に対して連続印刷する場合、前記判断手段の判断結果と、所定の目標温度で前記連続印刷を行なっているときに前記熱定着手段で消費される消費電力とに基づいて、前記連続印刷の途中で目標温度を変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記熱定着手段は、発熱分布の異なる複数本のヒータを有し、前記制御手段は、前記所定の加熱条件として転写材のサイズに応じた前記複数本のヒータの点灯比率で前記連続印刷を行なうとともに、前記熱定着手段の長手方向端部の温度を検知する端部温度検知手段から出力される検知信号に基づいて、前記連続印刷の途中で前記ヒータの点灯比率を変更可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の画像形成装置。
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