[実施例1]
<画像形成装置例>
(1)図1は本発明に係る画像加熱装置を画像定着装置として搭載した画像形成装置の一例の概略構成図である。この画像形成装置30は転写型電子写真方式の白黒画像形成装置であり、コピー機能、プリント機能、FAX機能を有する複合機である。
装置30内には像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1が配設されている。ドラム1は駆動手段(不図示)により矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。ドラム1の周囲にはドラム1に作用する電子写真プロセス手段としての機器が配設されている。本例においては、帯電ローラ2、画像露光装置3、現像装置4、転写ローラ5、ドラムクリーナ6が配設されている。
帯電ローラ2は電源部(不図示)から所定の帯電バイアスが印加されて、ドラム1の回転過程においてドラム表面を所定の電位及び極性に一様に帯電する。露光装置3は本例ではレーザスキャナである。スキャナ3は、半導体レーザ、回転多面鏡、fθレンズ、反射鏡などを有する。そして、プリントコントローラ31から出力される画像情報(画像信号)に基づいてレーザ光Lをオン/オフ変調しながら、回転するドラム1の帯電処理面をドラム母線方向に主走査露光する。この露光により、ドラム面の露光部の電位が減少して露光パターンに対応した静電潜像(静電像)が形成される。
ここで、装置30のコピー機能時には、装置30に搭載のイメージスキャナ33により光電読取りされた原稿の画像情報がコントローラ31に入力して装置30が複写機として動作する。プリント機能時やFAX受信機能時には、パーソナルコンピュータや電話回線等の外部ホスト装置40から画像情報がコントローラ31に入力して装置30がプリンタ或いはFAX装置として動作する。FAX送信機能時には、スキャナ33により光電読取りされた原稿の画像情報がコントローラ31から外部ホスト装置40である相手方のFAX機能機に送信される。
現像装置4はドラム1にトナー(顕画剤、現像剤)tを供給してドラム面に形成された静電潜像をトナー像(未定着画像)として可視化する。転写ローラ5は、ドラム1の下面に当接して配設されており、ドラム1の回転に従動して回転する。ドラム1と転写ローラ5との当接部がドラム1から記録材Pにトナー像を転写する転写ニップ部Rである。
ニップ部Rにおけるドラム1から記録材Pへのトナー像の転写は次のようにしてなされる。即ち、ニップ部Rに給紙カセット7側から記録材Pが導入され、記録材Pがニップ部Rを挟持搬送されている間、ローラ5に対して電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性で所定の電位の転写バイアスが印加されることで静電的になされる。
記録材Pは装置30によって画像が形成されるシート状物である。例えば、用紙、ラベル、OHTシート等が挙げられる。記録材Pは給紙カセット7に積載されている。所定の制御タイミング(給送タイミング)で給紙ローラ8が駆動されることで、最上位の記録材Pに送りが掛かり、それが1枚分離されてニップ部Rへ至るシートパス9に導入される。
パス9の途中部にはレジストレーションローラ対10が配設されている。ローラ対10に到達した記録材Pの先端部はその時点では回転停止状態に制御されているローラ対10のニップ部に突き当たって受け止められて記録材Pの先端全長部がニップ部に押し当たる。これにより記録材Pの斜行が矯正される。
そして、所定の制御タイミング(レジストタイミング)でローラ対10の駆動が開始される。これにより、記録材Pがローラ対10のニップ部に挟持されて搬送され、ニップ部Rに導入される。ローラ対10は上記のように記録材Pの斜行を矯正する役目をすると共に、ドラム1に対するトナー像の形成と記録材Pの搬送とを同期させる役目をする。
ニップ部Rを出た記録材Pは除電バイアスが印加された除電針11により裏面の電荷が除去されてドラム1から分離され、シートパス12を通って画像定着装置100に導入される。記録材Pは装置100で加熱及び加圧を受けることで表面の未定着のトナー像が固着画像として定着される。画像定着装置100については後述する。また、記録材Pが分離された後のドラム1上の転写残トナーはブレードやブラシなどのクリーニング部材が配設されたドラムクリーナ6によってドラム1から除去され、ドラム1は繰り返して画像形成に供される。
装置100までの装置機構部が記録材Pに未定着画像を形成する画像形成手段である。装置100が未定着画像を記録材に定着する装置である。装置100を出た画像定着済みの記録材Pは、フェイスダウン排出が選択されている場合にはフラッパ13により進路がシートパス14側にされてフェイスダウントレイ15に画像面下向きで排出される。また、フェイスアップ排出が選択されている場合にはフラッパ13により進路がシートパス16側にされてフェイスアップトレイ17に画像面上向きで排出される。
本実施例においては、A4横通紙で105ppm(page per minute)、即ち紙間:0.1514[sec]で、記録材Pが搬送されて、画像形成及び定着動作を行う。コントローラ31はホスト装置40や操作部32との間で各種の電気的情報の授受を行う、かつ、装置30の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。操作部32には使用者が所望の画像形成実行条件等をコントローラ31に入力したり、設定したりすることができる各種の操作キーや表示器等が配設されている。
(2)図2は画像形成装置の他の例の概略構成図である。この装置は、電子写真方式、中間転写ベルト方式、インライン型(タンデム型)のフルカラー画像形成装置である。図1の画像形成装置と共通する構成部材、部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
装置内部には、図2において左から右に順にタンデム配列の第1から第4の4つの画像形成ユニットU(UY、UM、UC、UBk)が配設されている。各ユニットUは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の色トナー像(4色のトナー像)を形成する画像形成ユニットである。
各ユニットUは、それぞれの現像装置4に収容した現像剤であるトナーの色が互いに異なるだけで、何れも図1の画像形成部1〜6と同様の構成を有するレーザ走査露光方式の電子写真画像形成機構である。像担持体としてのドラム1は、例えば表層がOPC(有機光半導体)からなる円筒型の電子写真感光体である。第1のユニットUYの現像装置4に収容されているトナーの色はY色、第2のユニットUMの現像装置4に収容されているトナーの色はM色である。第3のユニットUCの現像装置4に収容されているトナーの色はC色、第4のユニットUBkの現像装置4に収容されているトナーの色はBk色である。
上記4つのユニットUの下方には、中間転写ベルトユニット18が配設されている。ユニット18は、中間転写体としての無端状で可撓性を有する中間転写ベルト19を有する。ベルト19は、支持ローラ20と、駆動ローラ21と、バックアップローラ22の並行3本のローラをベルト懸架部材として、これらのローラ間に張架(懸回張設)されている。
ローラ20は第1のユニットUY側に、ローラ21は第4のユニットUBk側に、ローラ22はローラ20とローラ21の間の下方に位置している。ベルト19はローラ21が駆動手段によって回転駆動されることで矢印の時計方向にドラム1の回転速度とほぼ同じ速度で回転(循環走行)する。ローラ20、22はローラ21の駆動によるベルト19の回転に従動して回転する。
ベルト19の内側には各ユニットUのドラム1にそれぞれ対応する一次転写器としての第1から第4の4つの転写ローラ5が配設されている。各ローラ5は、ローラ20とローラ21との間のベルト部分の内側に互いに並行に配設されていて、それぞれ、ベルト19を挟んで対応するユニットUのドラム1の下面に圧接されている。各ローラ5はベルト19の回転に従動して回転する。各ユニットUのドラム1とベルト19との接触部が、それぞれ、ドラム1からベルト19に画像を転写する(一次転写ニップ部)R1である。
ローラ22にはベルト19を挟んで二次転写ローラ23が当接されている。ベルト19とローラ23との接触部が二次転写ニップ部R2である。ローラ23はベルト19の回転に従動して回転する。
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。コントローラ(31)は第1から第4のユニットUY、UM、UC、UBkにおいて各ドラム1を回転駆動すると共に画像形成シーケンスの所定の制御タイミングで画像形成動作を開始する。また、ユニット18のローラ21を駆動する。これによりベルト19が回転する。
第1のユニットUYにおいては、ドラム1にフルカラー原画像の色分解成分像の内のY色成分像に対応したY色トナー像が形成される。第2のユニットUMにおいては、ドラム1にM色成分像に対応のM色トナー像が、第3のユニットUCにおいては、ドラム1にC色成分像に対応のC色トナー像が、それぞれ、所定の制御タイミングで形成される。また、第4のユニットUBkにおいては、ドラム1にK色成分像に対応のBk色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。なお、色順は上記に限定されず画像形成装置により任意である。
そして、第1のユニットUYのニップ部R1において、ドラム1に形成されるY色トナー像が回転しているベルト19上に一次転写されていく。次いで、第2のユニットUMのニップ部R1において、ドラム1に形成されるM色トナー像がベルト8上の上記Y色トナー像に重ねられて一次転写されていく。
更に、同様にして、第3のユニットUCと第4のユニットUBkの各ニップ部R1において、ドラム1に形成されるC色トナー像とBk色トナー像がベルト19上に上記Y色トナー像とM色トナーに重ねられて順次に一次転写されていく。上記の一次転写は各ローラ5に対して電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の一次転写バイアスが印加されることにより静電的になされる。
このようにして、ベルト19上にY色+M色+C色+Bk色の都合4色の色トナー像が順次に所定に重ね合わされて重畳(多重)転写されて、フルカラーの未定着トナー像(未定着画像)が合成形成される。上記のようにしてベルト19上に合成形成された未定着トナー像は、ベルト19の引き続く回転により搬送されて二次転写ニップ部R2に至る。
一方、図1の装置と同様に、給紙カセット(7)から記録材(P)が一枚分離給送されてローラ対10により所定の制御タイミングでニップ部R2に導入され挟持搬送されていく。記録材Pがニップ部R2を挟持搬送されていく間、ローラ23には電源部(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性の所定の二次転写バイアスが印加される。これにより、ベルト19側のフルカラーの未定着トナー像(複数色のトナー像)が記録材Pの面に一括して順次に静電的に二次転写される。
ニップ部R2を出た記録材Pは除電バイアスが印加された除電針11により裏面の電荷が除去されてベルト19から分離され、パス12を通って画像定着装置100に導入される。また、記録材Pが分離された後のベルト19上の転写残トナーはブレードやブラシなどのクリーニング部材が配設されたベルトクリーナ24によってベルト19から除去され、ベルト19は繰り返して画像形成に供される。本実施例においては、A4横通紙で105ppm(page per minute)、即ち紙間:0.1514[sec]で、記録材Pが搬送されて、画像形成及び定着動作を行う。
又、上記のカラー画像形成装置においてにおいて、例えば黒単色のモノカラー画像形成や2〜3色モードの場合は、必要な色の画像形成ユニットにおいてドラム1に対する画像形成が実行される。この時、不必要な画像形成ユニットにおけるドラム1は空回転される。そして、そのトナー像が一次転写ニップ部R1にてベルト19上に一次転写され、さらに二次転写ニップ部R2にて記録材Pに二次転写され、装置100へ導入される動作が実行される。
<画像定着装置>
(1)装置構成
図3Aは本実施例における画像定着装置100の構成を示す概略模式図、図3Bは要部の斜視図である。装置100は外部加熱部材を具備した画像加熱装置である。
より詳しくは、装置100は、回転可能な加熱部材としての上側の定着ローラ(記録材上の画像を加熱する定着部材)101を有する。また、ローラ101と当接してニップ部(定着ニップ部)N1を形成する加圧部材としての下側の加圧ローラ102を有する。また、ローラ101の外面に接触してローラ101を外側から加熱する外部加熱部材としての外部加熱ローラ103を有する。ローラ103はニップ部N1を通過したローラ101の領域を加熱する。そして、ニップ部N1において未定着画像tを担持した記録材Pを挟持搬送して画像tを加熱加圧して固着画像として定着する画像定着装置である。
ここで、以下の説明において、ローラに関して長手方向とはローラ回転中心軸線方向であり、記録材Pの搬送路面内において記録材搬送方向Eに直交する方向に並行な方向である。ローラの中央部と端部とはローラの長手方向中央部と長手方向端部である。また、発熱体であるヒータに関して中央部と端部とはヒータの長手方向中央部と長手方向端部である。また、記録材Pに関して幅若しくは紙幅とは記録材面において記録材搬送方向Eに直交する方向の記録材寸法である。
3本のローラ101/102/103は互いに並行に配列されて、それぞれ、両端部側が装置フレーム(不図示)に対して回転可能に軸受支持されている。ローラ102とローラ103は、それぞれ、ローラ101に対して加圧手段(不図示)により所定の押圧力で加圧圧接されている。ローラ101は駆動源(不図示)によって矢印の時計方向に所定の周速度、本例においては500mm/secの周速で回転駆動される。ローラ102とローラ103はローラ101の回転駆動に従動してそれぞれ矢印の反時計方向に回転する。
ローラ101/102/103はそれぞれ後述するように内部に配設された通電により発熱する発熱体により内部から加熱されて所定の表面温度に温調される。そして、未定着トナー像tを担持した記録材Pがニップ部N1に対してトナー像担持面側をローラ101側にしてニップ入口側から導入される。これにより記録材Pはニップ部N1で挟持搬送される過程において加熱されて未定着トナー像tが記録材面に対して熱と圧力で固着画像として定着される。ニップ部N1を出た記録材Pはローラ101とローラ102から分離して装置100から排出搬送される。
本実施例の装置100における記録材Pの通紙は、記録材Pの幅方向中央部がローラ101、102の中央部にほぼ対応している中央基準搬送でなされる。図3Bにおいて、Oはその中央基準線(仮想線)、Wmaxは装置100に通紙可能な最大サイズ紙幅に対応する通紙域、Wminは通紙可能な最小サイズ紙幅に対応する通紙域である。
(1−1)定着ローラ101の構成
ローラ101は、図4の横断面模式図のように、例えば外径74mm、厚み6mm、長さ350mmの円筒状金属製(本実施例ではアルミニウム製)の芯金101aを備える。芯金101a上には、耐熱性の弾性層101bとして、シリコーンゴム(本実施例ではJIS−A硬度15度)が3mmの厚さで被覆されている。耐熱弾性層101b上には、トナーとの離型性向上のため、耐熱性の離型層101cとしてフッ素樹脂層(本実施例ではPFAチューブ)が100μmの厚さで被覆されている。
芯金101aの内部には、第1発熱体と第2発熱体としての2本のハロゲンヒータ111a(定着メインヒータ)及び111b(定着サブヒータ)が配置されている。ヒータ111a及び111bは、それぞれ、ローラ101の長手方向に沿って長く通電により発熱してローラ101を内部から加熱する。ヒータ111a及び111bは例えば各600Wで発熱体長が350mmであり、総定格電力1200Wで、ローラ101の表面温度が後述する温調手段により所定の目標温度となるようにローラ101を内部から加熱する。
ヒータ111a及び111bは長手に沿う発熱分布が互いに異なる。即ち、ヒータ111aは、図9に示すように、定格電力が入力された時の中央部の発熱量100%に対して、端部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ111aに定格電力を入力した時の端部の発熱量は中央部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ111aは長手方向中央部の発熱量が端部よりも大きい発熱分布を有する。
ヒータ111bは、図10に示すように、定格電力が入力された時の端部の発熱量100%に対して、中央部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ111bに定格電力を入力した時の中央部の発熱量は端部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ111bは、長手方向端部の発熱量が中央部より大きい発熱分布を有する。
このように本実施例では、ローラ101の内部に、それぞれ長手方向の発熱分布が異なる2本のヒータ111a及び111bを用いた。これは、非通紙部昇温対策等に対応して、各ヒータの発熱比率を変更することが可能なため、好適である。ただし、本発明においては、定着装置に応じて、中央部と端部とで発熱量が一定(長手に沿う発熱分布が均一)のストレートヒータを1本のみを用いても良い。
ローラ101の中央部の表面には、最小サイズ紙の通紙域Wmin内において、ローラ中央部の表面温度を検知するための第1温度検知手段としてのサーミスタ121a(定着メインサーミスタ:加熱部材中央部温度検知手段)が接触配置されている。このサーミスタ121aは、ローラ101の通紙域の表面温度を所定温度(例えば190℃)に維持するように制御する温度制御用サーミスタである。
制御手段130は、このサーミスタ121aの検知温度に基づいてローラ101の長手方向中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ111a及び111bに対する通電を制御する。より具体的には、制御手段130はローラ101の中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ111a及び111bに対する電源部(不図示)をON/OFF制御する。
また、ローラ101の端部の表面には、ローラ101の非通紙域の表面温度を検知するための第2温度検知手段としてのサーミスタ121b(定着サブサーミスタ:加熱部材端部温度検知手段)が接触配置されている。このサーミスタ121bは、最小サイズ紙の非通紙域からローラ101の端部の間の任意位置に配置され、通常、より多くのサイズ(紙幅)の記録材において、ローラ101の非通紙域温度を検知するために、ローラ101の端部近傍に配置される。
図4に示すローラ101は、耐熱弾性層101bを有する構成のため、記録材上のトナー画像に対して、ローラ101の表面の追従性(密着性)が良い。このローラ101は、特にカラー画像形成装置に採用され、トナー画像表面を均一に溶融可能なため、均一な光沢の高品質なカラー画像を得ることができる。また、白黒画像形成装置においても、特にベタ黒画像で均一な光沢の高品質な白黒画像を得ることができるため、本実施例では、図4の耐熱弾性層101bを有した定着ローラ101を採用した。
又、白黒画像形成装置のローラ101は、低コスト化や高寿命化等の点から、図5に示すように、耐熱弾性層101bが無く、芯金101a上に離型層101cを被覆した構成を採用することが多い。ただ、耐熱弾性層101bが無い定着ローラ101は、トナー画像と微小な接触ムラが発生するため、微小な光沢ムラが発生しやすいので、均一な光沢の画像を得るには耐熱弾性層101bを有するローラ101が推奨される。
(1−2)加圧ローラ102の構成
ローラ102は弾性ローラであり、ローラ101に対して弾性に抗して加圧圧接されてローラ101との間に記録材搬送方向Eにおいて所定幅、本実施例では約10mm幅のニップ部N1を形成している。
本実施例においてローラ102は、図4の横断面模式図のように、例えば外径54mm、厚み3mm、長さ350mmの円筒状金属製(本実施例ではステンレス製)の芯金102aを備える。芯金102a上には、耐熱性の弾性層102bとして、シリコーンゴム(本実施例ではJIS−A硬度20度)が3mmの厚さで被覆されている。耐熱弾性層102b上には、トナーとの離型性向上のため、耐熱性の離型層102cとしてフッ素樹脂(本実施例ではPFAチューブ)が100μmの厚さで被覆されている。
芯金102aの内部には、第1発熱体と第2発熱体としての2本のハロゲンヒータ112a(加圧メインヒータ)及び112b(加圧サブヒータ)が配置されている。ヒータ112a及び112bは、それぞれ、ローラ102の長手方向に沿って長く通電により発熱してローラ102を内部から加熱する。ヒータ112a及び112bは例えば各300Wで発熱体長が350mmであり、総定格電力600Wで、ローラ102の表面温度が後述する温調手段により所定の目標温度となるようにローラ102を内部から加熱する。
ヒータ112a及び112bは長手に沿う発熱分布が互いに異なる。即ち、ヒータ112aは、図9に示すように、定格電力が入力された時の中央部の発熱量100%に対して、端部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ112aに定格電力を入力した時の端部の発熱量は中央部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ112aは長手方向中央部の発熱量が端部よりも大きい発熱分布を有する。
ヒータ112bは、図10に示すように、定格電力が入力された時の端部の発熱量100%に対して、中央部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ112bに定格電力を入力した時の中央部の発熱量は端部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ112bは、長手方向端部の発熱量が中央部より大きい発熱分布を有する。
このように本実施例では、ローラ102の内部に、それぞれ長手方向の発熱分布が異なる2本のヒータ112a及び112bを用いた。これは、非通紙部昇温対策等に対応して、各ヒータの発熱比率を変更することが可能なため、好適である。ただし、本発明においては、定着装置に応じて、中央部と端部とで発熱量が一定(長手に沿う発熱分布が均一)のストレートヒータを1本のみを用いても良い。又、ローラ102の内部に発熱体(ハロゲンヒータ)が無い構成でも良い。即ち、ローラ102を積極的に加熱する発熱体が無い構成でも良い。
ローラ102の中央部の表面には、最小サイズ紙の通紙域Wmin内において、ローラ中央部の表面温度を検知するための第1温度検知手段としてのサーミスタ122a(加圧メインサーミスタ:加圧部材中央部温度検知手段)が接触配置されている。このサーミスタ122aは、ローラ102の通紙域の表面温度を所定温度(例えば100℃)に維持するように制御する温度制御用サーミスタである。
制御手段130は、このサーミスタ122aの検知温度に基づいてローラ102の長手方向中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ112a及び112bに対する通電を制御する。より具体的には、制御手段130はローラ102の中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ112a及び112bに対する電源部(不図示)をON/OFF制御する。
また、ローラ102の端部の表面には、ローラ102の非通紙域の表面温度を検知するための第2温度検知手段としてのサーミスタ122b(加圧サブサーミスタ:加熱部材端部温度検知手段)が接触配置されている。このサーミスタ122bは、最小サイズ紙の非通紙域からローラ102の端部の間の任意位置に配置され、通常、より多くのサイズ(紙幅)の記録材において、ローラ102の非通紙域温度を検知するために、ローラ102の端部近傍に配置される。
(1−3)外部加熱ローラ103の構成
ローラ103はローラ101に対して加圧手段(不図示)により所定圧力で加圧圧接されてローラ101との間にローラ回転方向において所定幅、本実施例では約3mmの外部加熱ニップ部N2を形成している。
本実施例においてローラ103は、図5の横断面模式図のように、例えば外径30mm、厚み3mm、長さ350mmの円筒状金属製(本実施例ではアルミニウム製)の芯金103aを備える。芯金103a上には、耐熱性の離型層103cとしてフッ素樹脂(本実施例ではPFAチューブ)が30μmの厚さで被覆されている。
芯金104aの内部には、第1発熱体と第2発熱体としての2本のハロゲンヒータ113a(外部加熱メインヒータ)及び113b(外部加熱サブヒータ)が配置されている。ヒータ113a及び113bは、それぞれ、ローラ103の長手方向に沿って長く通電により発熱してローラ103を内部から加熱する。ヒータ113a及び113bは例えば各600Wで発熱体長が350mmであり、総定格電力1200Wで、ローラ103の表面温度が後述する温調手段により所定の目標温度となるようにローラ103を内部から加熱する。
ヒータ113a及び113bは長手に沿う発熱分布が互いに異なる。即ち、ヒータ113aは、図9に示すように、定格電力が入力された時の中央部の発熱量100%に対して、端部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ113aに定格電力を入力した時の端部の発熱量は中央部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ113aは長手方向中央部の発熱量が端部よりも大きい発熱分布を有する。
ヒータ113bは、図10に示すように、定格電力が入力された時の端部の発熱量100%に対して、中央部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。ヒータ113bに定格電力を入力した時の中央部の発熱量は端部の発熱量に比べて小さい。逆に言えば、ヒータ113bは、長手方向端部の発熱量が中央部より大きい発熱分布を有する。
図9及び図10で示すヒータ113a及び113bの100%と30%の発熱分布の切り替え位置、発熱分布の比率、定格電力等は、定着装置に応じて任意に設定して良い。
ローラ103の中央部の表面には、最小サイズ紙の通紙域Wminの対応部において、ローラ中央部の表面温度を検知するための第1温度検知手段としてのサーミスタ123a(外部加熱メインサーミスタ:外部加熱部材中央部温度検知手段)が接触配置されている。このサーミスタ123aは、ローラ103の通紙域対応部(ローラ101の通紙域に対応するローラ部分)の表面温度を所定温度(例えば230℃)に維持するように制御する温度制御用サーミスタである。
制御手段130は、このサーミスタ123aの検知温度に基づいてローラ103の長手方向中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ113a及び113bに対する通電を制御する。より具体的には、制御手段130はローラ103の中央部の温度を所定温度に維持するようにヒータ113a及び113bに対する電源部(不図示)をON/OFF制御する。
また、ローラ103の端部の表面には、ローラ103の非通紙域対応部(の表面温度を検知するための第2温度検知手段としてのサーミスタ123b(外部加熱サブサーミスタ:外部加熱部材端部温度検知手段)が接触配置されている。ローラ103の非通紙域対応部はローラ101の非通紙域に対応するローラ部分である。このサーミスタ123bは、最小サイズ紙の非通紙域対応部からローラ103の端部の間の任意位置に配置され、通常、より多くのサイズ(紙幅)の記録材において、ローラ103の非通紙域対応部温度を検知するために、ローラ103の端部近傍に配置される。
(1−4)サーミスタ配置
次に、上記の温度検知手段としての各サーミスタの配置に関して説明する。図6、図7、図8は、各ローラ101/102/103の長手方向に対する各サーミスタの配置を示す概略模式図である。
図6ないし図8で示すように、各メインサーミスタ(第1温度検知手段)121a/122a/123aは、記録材Pの最小サイズ紙の通紙域Wmin内に配置して、各ローラ101/102/103の通紙域(対応部)の位置に配置する。各サブサーミスタ(第2温度検知手段)121b/122b/123bは、最小サイズ紙の通紙域外からローラ端までの位置に、定着装置構成に応じて、各ローラ101/102/103の端部温度又は非通紙部温度を検知できる任意位置に配置して良い。例として、下記に3パターンを示す。
図6は、各ローラ101/102/103のサブサーミスタ121b/122b/123bを、最大サイズ紙の通紙幅Wmax外からローラ端の位置に配置した構成である。
図7は、各ローラ101/102/103のサブサーミスタ121b/122b/123bを、最大サイズ紙の通紙幅Wmax内の位置に配置した構成である。
図8は、各ローラ101/102/103のサブサーミスタ121b/122b/123bを、最大サイズ紙の通紙幅Wmaxの端部の位置に配置した構成である。
又、各サブサーミスタ121b/122b/123bの各ローラ101/102/103に対して配置する位置は、同一でなくても良い。図6ないし図8に挙げたサブサーミスタ配置を、各ローラ101/102/103や各サブサーミスタ121b/122b/123bに応じて、任意に組み合わせて良い。本実施例は、図6のサブサーミスタ配置を採用した。
(2)大サイズ紙の端部定着性向上
(2−1)本実施例においては、記録材として最大サイズ紙の紙幅が13インチ(紙幅:330mm)である。各ローラ101/102/103及び各ヒータ111a/111b/112a/112b/113a/113bの長さが350mmである。
この場合、A3サイズ紙(紙幅:297mm)を連続通紙すると、ローラ101の中央部温度が190℃に温調されていても、端部温度は非通紙部昇温によって210℃程度に温度上昇する。その非通紙部昇温の熱が通紙域端部にまで回りこむため、A3サイズ紙の両端部の定着性は良好である。ローラ101の中央部温度≒サーミスタ121aの検知温度である。また、端部温度≒サーミスタ121bの検知温度である。
しかしながら、最大サイズ紙の紙幅の例えば13インチ×19インチ紙(紙幅:330mm)を連続通紙すると、ローラ101の中央部温度が190℃に温調されていても、端部温度は180℃程度に低下してしまう。そのために、最大サイズ紙の両端部で定着性が低下し、定着不良が発生してしまった。
この最大サイズ紙を通紙した場合のローラ101の端部温度低下は次ぎのような理由による。即ち、紙幅が大きいために、ローラ端部において、記録材が奪う熱量と、各ローラ101/102/103の端部からの放熱量との和が、各ヒータ(定着ヒータ、加圧ヒータ、外部加熱ヒータ)から、各ローラ端部に供給される熱量を上回るために発生してしまう。
従って、最大サイズ紙の端部定着性を確保するためには、各ローラの各ヒータからローラ101の端部への供給熱量を大きくする必要がある。この場合、定着ローラ101や加圧ローラ102は、外径が大きく、特に低熱伝導率の耐熱弾性層101b/102bが被覆されているため、熱容量が大きい。そのため、定着サブヒータ111bや加圧サブヒータ112bの発熱比率を大きくしても、内部からの熱量が表面に到達するのに時間を要するので、ローラ101の端部の表面温度を急速に上昇させることができない。
一方、外部加熱ローラ103は、外径も小さく、特に低熱伝導率の耐熱弾性層が無いために、熱容量が小さいので、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を大きくして、急速にローラ103の端部温度を上昇させることができる。そして、端部昇温したローラ103は、ローラ101の表面を直接加熱する方式のため、ローラ101の端部の表面温度を急速に上昇させことができ、最大サイズ紙の端部定着性を向上できる利点を持つ。
外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を大きくする方法は、ヒータ113bの発熱率を100%より大きくすることはできない。そこで、中央部配置の温度検知手段で温度制御を行う構成において、中央部高発熱量の外部加熱メインヒータ113aの発熱率を小さくする。これにより、相対的に端部高発熱量のヒータ113bの発熱比率を大きくする、即ち発熱量を大きくする方法であり、詳細は後述する。
ここで、元々、外部加熱系の定着装置は、定着ヒータのみでは、記録材を通紙した時に、定着ローラ101の表面温度を目標温度に維持できないため、外部加熱ローラ103を追加して、定着ローラ101の表面温度を目標温度に維持する構成である。
よって、例えば、上述したように、中央部配置の温度検知手段で温度制御を行う構成において、中央部高発熱量の定着メインヒータ111aの発熱比率を小さくする。これにより、端部高発熱量の定着サブヒータ111bの発熱比率を大きくする方法を採用した場合には、定着ローラ101の中央部温度がすぐに低下してしまい、最大サイズ紙の中央部の定着性が低下して、定着不良が発生してしまう。
従って、上述したように、最大サイズ紙の端部定着性を向上させるためには、外部加熱ヒータの発熱比率を変更する構成が最も好適である。ただし、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を大きくすると、小サイズ紙を通紙した時の非通紙部昇温が増大して、定着装置の熱劣化や破損が発生してしまう。そのため、必要な時のみ、即ち、定着ローラ101の端部温度が低下した場合や、大サイズ紙(大紙幅紙)を通紙した場合にのみ、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を大きくすると良い。
ここで、本実施例での発熱比率、及び発熱率に関して説明する。「発熱比率」とは、第1発熱体(メインヒータ)の発熱率と、第2発熱体(サブヒータ)の発熱率とを比較した場合の割合を示す。従って、「第1発熱体の発熱比率」とは、第2発熱体の発熱率に対する第1発熱体の発熱率の割合を示す。「第2発熱体の発熱比率」とは、第1発熱体の発熱率に対する第2発熱体の発熱率の割合を示す。
「発熱率」とは、温度制御用サーミスタにより、温度制御手段130でヒータがONしている間に、ヒータが発熱する割合を示す。ヒータをONしている時、通常の定格電圧で全ONされている場合を100%とする。例えば後述する時間分割制御やヒータへの低電圧入力時には、100%(全ON)から0%(全OFF)の発熱率を選択できる。通常の画像形成装置において、電源電圧、即ち定格電圧以上の電圧を入力することはできないので、発熱率は上限100%、下限0%である。
ハロゲンヒータは、定格電圧以下の低電圧を入力すると短寿命等の問題が発生するので、ハロゲンヒータの発熱比率は、後述する時間分割制御により変更するのが好適である。
又、例えばセラミック基板上に抵抗発熱体を塗布・焼成して形成する面状ヒータ又は線状ヒータは次のような制御については方法もある。即ち、ヒータに入力する交流電圧の半波毎にON/OFF制御する波数制御や、半波の位相角で決定される範囲をON/OFF制御する位相制御等によって発熱率(又は通電率)を制御する方法である。
本実施例において、外部加熱ヒータの発熱率の変更は、例えば表1のヒータ時間分割制御方式を採用した。
例えば、外部加熱ローラ103の場合には、ローラ103の中央部に配置されたメインサーミスタ123aによる検知温度が230℃(所定温度)となるように、メインヒータ113aとサブヒータ113bとを制御手段130によりON/OFF制御させる。即ち、制御手段130は、メインサーミスタ123aの検知温度に基づいて外部加熱ローラ103の長手方向中央部の温度を所定温度(230℃)に維持するようにメインヒータ113aとサブヒータ113bに対する通電を制御する。
この時、メインヒータ113aの発熱率が100%、サブヒータ113bの発熱率が100%の場合には、メインサーミスタ123aが230℃を超えると、メインヒータ113aとサブヒータ113bとを全OFFする。そして、メインサーミスタ123aが230℃を下回ると、メインヒータ113aとサブヒータ113bとを全ONする。
この場合には、第2発熱体(外部加熱サブヒータ113b)の発熱率が100%、第1発熱体(外部加熱メインヒータ113a)の発熱率が100%から、外部加熱の第1発熱体(外部加熱ヒータ113a)の発熱比率は、100%である。
又、例えば、メインヒータ113aの発熱率が75%、サブヒータ113bの発熱率が100%の場合には、次のように制御する。メインサーミスタ123aの検知温度が230℃(所定温度)を超えると、メインヒータ113aとサブヒータ113bとを全OFFする。そして、メインサーミスタ123aが230℃を下回ると、メインヒータ113aは、表1の発熱率において「75%」項の時間分割制御である「3秒ON、1秒OFF」の点滅を繰り返し、一方、サブヒータ113bは全ONする。
この場合には、第2発熱体(外部加熱サブヒータ113b)の発熱率が100%、第1発熱体(外部加熱メインヒータ113a)の発熱率が75%から、外部加熱の第1発熱体(外部加熱ヒータ113a)の発熱比率は75%である。この時、本実施例においては、第2発熱体の発熱率が100%のため、第1発熱体の発熱比率は、第1発熱体の発熱率と同値の75%となる。
そして、この場合には、中央部発熱量が大きいメインヒータ113aの発熱量を、時間分割制御によって低下させる。これにより、メインサーミスタ123aが230℃を下回る頻度が増加し、必然的に端部発熱量が大きいサブヒータ113bを全ONする時間が長くなりサブヒータ113bの発熱量が増加する。よって、ローラ103の端部温度が上昇して、ローラ101の端部への供給熱量が増加し、即ちローラ101の端部温度を急速に上昇させることができる。
このように、第1発熱体(外部加熱メインヒータ113a)の発熱比率を小さくする程、ローラ103の端部温度が上昇して、ローラ101の端部温度を上昇させることができる。
しかしながら、メインヒータ113aの発熱比率を過度に小さくすると、実質上、外部加熱ヒータの総定格電力が小さくなる。そのため、メインサーミスタ123aで230℃温調としても、230℃を維持できずに、温度が低下してしまう状況が発生する。
このような場合には、ローラ101の中央部温度を定着温度である190℃に維持できずに温度低下してしまい、逆に、最大サイズ紙の中央部において定着不良が発生してしまうので、注意が必要である。よって、定着装置に応じて、ローラ103の中央部温度が所定の目標温度を維持できる範囲で、メインヒータ113aの発熱比率を小さくする必要がある。
(2−2)図11に本実施例における制御フローチャート1を示す。S1〜S6はフローステップである。プリント開始(S1)から、S2で定着サブサーミスタ121b温度:Tを検知する。S2の定着サブサーミスタ121b温度:Tが190℃(所定温度A)よりも高い(S2のYES)の場合とは、定着ローラ101が端部昇温している状態である。例えば最大サイズ紙よりも小さいA3サイズ(297mm×420mm)紙を連続通紙した場合、ローラ101の非通紙部昇温によって、定着サブサーミスタ121bの検知温度は約210℃程度まで上昇する。
このような場合には、A3サイズ紙端部の定着性が良好なため、外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a、及び第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bともに、発熱率を100%で通常のON/OFF制御のままとする(S3)。
一方、S2の定着サブサーミスタ121b温度:Tが190℃以下(S2のNO:所定温度Aの温度以下)の場合とは、ローラ101が端部昇温していない状態である。この状態において、例えば最大サイズ紙の13インチ×19インチ(330mm×483mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合、例えば定着サブサーミスタ121bの検知温度は190℃以下に低下して、紙端部の定着不良が発生してしまう。
このような場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を100%に変更する。即ち、メインヒータ113aの発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S4)。メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を上昇させ、ローラ101の端部温度を190℃(所定温度A)よりも高い温度に維持できるので、最大サイズ紙の端部の定着性を確保することができる。
そして、S5でプリントが継続中の場合には、S2〜S5を繰り返し、S5でプリントが終了と判断された場合には、プリントを終了(S6)して、制御フローチャート1が終了する。
図11の制御フローチャート1では、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率変更の分岐温度を1つ(190℃)で発熱比率変更を1つ(100%⇔75%)とした。しかし、定着装置によっては、前記分岐温度を2つ(例えば195℃と190℃)で発熱比率変更を2つ(例えば100%⇔85%⇔75%)としても良い。
分岐温度及び発熱比率変更を多数持つことにより、多様なサイズ(紙幅)の記録材に対応して、小サイズ紙の非通紙部昇温防止と、大サイズ紙の記録材端部定着性向上とを精度良く両立することができる利点を持つ。
又、定着装置によっては、図11の制御フローチャート1において、S4で外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする場合(100%⇒75%)、外部加熱サブサーミスタ123bの温度を検知して、リミット温度(例えば240℃)を設定すると良い。このような場合には、サブサーミスタ123bの検知温度が前記リミット温度以上となった場合、メインヒータ113aの発熱比率を大きくするような制御(例えば元に戻す:75%⇒100%)とする。
即ち、制御手段130は、外部加熱ローラ103の長手方向端部の温度を検知するサブサーミスタ123bの検知温度がリミット温度としての所定温度Cの温度以上の場合には、一度小さくしたメインヒータ113aの発熱比率を大きくする又は元に戻す。これにより、ローラ103の端部温度の異常昇温を防止することができるので、より好ましい。
又、本実施例では、定着メインヒータ111aと定着サブヒータ111bともに発熱率を100%、加圧メインヒータ112aと加圧サブヒータ112bともに発熱率を100%の一定とした。これに限られず、図11の制御フローチャート1のS4において、定着メインヒータ111a及び加圧メインヒータ112aの発熱比率を小さくして、よりローラ101の端部温度を上昇させる制御を併用しても良い。
ただし、ローラ101/102の熱容量が大きいため、定着ローラ101の端部温度を上昇させる効果を発揮するのに、かなりの時間を要する。従って、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする方法は、短時間でローラ101の端部温度を上昇させる効果を発揮できる利点を持つ。
(2−3)図12に本実施例における制御フローチャート2を示す。この制御フローチャート2は、図11の制御フローチャート1に、スループットダウンを組み合わせた構成である。ここで、スループットとは、単位時間当たりの記録材の定着処理枚数、又は単位時間当たりの定着処理画像イメージ数である。
図11の制御フローチャート1では、ローラ103の温度を230℃に維持できる範囲内として、外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%とした。しかしながら、定着装置によっては、最大サイズ紙で外部加熱メインヒータ113aの発熱率を例えば50%としなければ、定着サブサーミスタ123bの検知温度を190℃(所定温度A)よりも高い温度に維持できない場合もある。しかし、発熱率を前記のように50%とした場合には、外部加熱ヒータの総定格電力が低下してしまうため、ローラ103の中央部を所定温度の230℃に維持できないという問題が発生してしまう。
このような場合には、例えば、紙間を図12の制御フローチャート2のS3及びS4で示すように、S3では通常の紙間:0.1514[sec](A4横通紙換算で105[ppm])とする。S4では紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。S4で、外部加熱メインヒータ113aの発熱率を小さくするのと同時に、電力不足分をスループット低下により補う。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、ローラ103の中央部温度維持、即ち最大サイズ紙の中央部定着性維持とを両立することが可能となる。
本実施例では、スループットダウンの方法として、紙間を広げる方法を採用したが、プロセススピード(記録材搬送スピード)を低下させる方法等、その他のスループットダウン方法を採用しても良い。
図12の制御フローチャート2は、S4で外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくするのと同時に、スループットを低下させる以外は、図11の制御フローチャート1と同様のため、説明を省略する。
以上、本実施例で述べたように、定着ローラ101の端部温度、即ち定着サブサーミスタ121bの検知温度:Tに応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする。これにより、外部加熱ローラ103の端部温度を上昇させて定着ローラ101の端部温度を上昇させることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させる定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
本実施例1をまとめると次のとおりである。制御手段130は、外部加熱メインサーミスタ123aの検知温度に基づいて外部加熱ローラ103の長手方向中央部の温度を所定温度に維持するように外部加熱メインヒータ113a及びサブヒータ113bに対する通電を制御する。そして、制御手段130は、定着サブサーミスタ121bの検知温度が所定温度Aの温度以下の場合には、ローラ103のサブヒータ113bに対するメインヒータ113aの発熱比率を小さく変更するように両ヒータ113a、113bに対する通電を制御する。
制御手段130は、メインヒータ113aの発熱比率の変更に伴い、スループットを変更する。メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることに伴い、スループットを小さくする。
外部加熱ローラ103が中央部配置の温度検知手段123aで温度制御を行っているために、ローラ103の中央部温度が低下すると、メインヒータ113aとサブヒータ113bが発熱する。このとき、メインヒータ113aの発熱比率が小さいので、サブヒータ113bの発熱比率が大きくなり、ローラ103の端部温度が上昇する。そして、この端部昇温したローラ103が定着ローラ101の端部温度を上昇させることにより、大サイズ紙の端部定着性を向上させることができる。
熱容量の小さい外部加熱ローラ103の中央部高発熱分布ヒータ(第1発熱体)の発熱比率を小さくすることにより、定着ローラ101の端部表面温度を迅速に上昇させることができる。これにより、例えば熱容量の大きい定着ローラ101や加圧ローラ102の中央部高発熱分布ヒータの発熱比率を小さくするよりも、より迅速に定着ローラ101の端部表面温度を上昇させることができる利点を持つ。
又、外部加熱ローラ103のメインヒータ113aの発熱比率を小さくすると、ローラ103の電力が不足する場合が発生する。このような場合には、スループットを小さくして、ローラ103の電力不足分を補うことにより、ローラ103の中央部温度を所定温度に維持できるので、大サイズ紙中央部の定着性を低下させること無く、大サイズ紙端部の定着性を向上させることができる。
[実施例2]
実施例1では、最大サイズ紙を通紙することによる定着ローラ101の端部温度低下を検知して、外部加熱ローラ103の第1発熱体としてのメインヒータ113aの発熱比率を小さくすることで、最大サイズ紙の端部定着性を向上させる方法に関して説明した。本実施例2では、装置に通紙される記録材のサイズ、即ち紙幅を検知して、その紙幅に応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を変更する方法に関して説明する。
(1)図13に本実施例における制御フローチャート3を示す。まず、プリント開始(S1)から、S2で記録材幅(紙幅):Wを検知する。紙幅の検知方法は、多種あるが、本実施例では、図1の給紙カセット7の記録材サイズを、図1の操作部(入力手段)32からコントローラ31に手動で入力することにより、通紙される記録材Pの紙幅を検知する。給紙カセット7が複数ある場合には、給紙カセット毎に記録材サイズを入力することにより、通紙される記録材Pの紙幅を検知する。
画像形成装置によって紙幅検知は、例えば、給紙カセット7の記録材幅規制板(不図示)の位置を自動検知する方法が挙げられる。また、給紙カセット7内の紙サイズダイヤル(不図示)を手動で変更して検知する方法、給紙カセット7から転写ニップ部の間においてセンサで紙幅を検知する方法等が挙げられる。その他の紙幅検知方法を用いても良い。
S2で検知した紙幅:Wが例えば300mm未満(S2のYES:所定幅Xの幅よりも小さい幅)の場合には、例えば最大サイズ紙よりも小さいA3サイズ(297mm×420mm)紙を連続通紙した場合、定着ローラ101は非通紙部昇温する。その昇温によって、定着ローラ101の端部は約210℃程度まで上昇する。そのため、次にA3サイズ紙が通紙された場合のA3サイズ紙端部の定着性が良好となる。
従って、外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a、及び第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bともに、発熱率を100%で通常のON/OFF制御のままとする(S3)。
一方、S2で検知した紙幅:Wが例えば300mm以上(S2のNO:所定幅Xの幅以上)の場合には、紙端部の定着不良が発生してしまう。例えば最大サイズ紙の13インチ×19インチ(330mm×483mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合には、例えば定着ローラ101の端部は190℃以下(所定温度Aの温度以下)に低下する。そのため、紙端部の定着不良が発生してしまう。
このような場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を100%に変更して、第1発熱体の発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S4)。メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を上昇させ、ローラ101の端部温度を190℃(所定温度A)よりも高い温度に維持できるので、最大サイズ紙の端部の定着性を確保することができる。
そして、S5でプリントが継続中の場合には、S2〜S5を繰り返し、S5でプリントが終了と判断された場合には、プリントを終了(S6)して、制御フローチャート3が終了する。
ここで、図1のように給紙カセット7が1つしか無い場合には、1つのプリントジョブで異なるサイズの記録材がプリントされることは無いので、S5を省いた制御フローチャートとしても良い。
一方、給紙カセット7を多数具備した画像形成装置においては、給紙カセット毎に異なるサイズ紙が設定されている場合、紙幅:Wが異なるプリントジョブが結合されて、1つのプリントジョブと見なしてプリントが実行される画像形成装置もある。この場合には、S2〜S5を繰り返して、紙幅:Wを検知しながら、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を決定する構成とすると良い。
図13の制御フローチャート3では、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率変更の分岐紙幅を1つ(300mm:所定幅X)で発熱比率変更を1つ(100%⇔75%)とした。しかし、定着装置によっては、分岐紙幅を2つ(例えば315mmと300mm)で発熱比率変更を2つ(例えば100%⇔85%⇔75%)としても良い。分岐紙幅及び発熱比率変更を多数持つことにより、多様なサイズ(紙幅)の記録材に対応して、小サイズ紙の非通紙部昇温防止と、大サイズ紙の記録材端部定着性向上とを精度良く両立することができる利点を持つ。
又、定着装置によっては、図13の制御フローチャート3において、S4で外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする場合(100%⇒75%)、外部加熱サブサーミスタ123bの温度を検知して、リミット温度(例えば240℃)を設定すると良い。このような場合には、外部加熱サブサーミスタ123b検知温度が前記リミット温度以上となった場合、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を大きくするような制御(例えば元に戻す:75%⇒100%)とする。
即ち、制御手段130は、外部加熱ローラ103の長手方向端部の温度を検知するサブサーミスタ123bの検知温度がリミット温度としての所定温度Cの温度以上の場合には、一度小さくしたメインヒータ113aの発熱比率を大きくする又は元に戻す。これにより、ローラ103の端部温度の異常昇温を防止することができるので、より好ましい。
又、本実施例では、定着メインヒータ111aと定着サブヒータ111bともに発熱率を100%、加圧メインヒータ112aと加圧サブヒータ112bともに発熱率を100%の一定とした。これに限られず、図13の制御フローチャート3のS4において、定着メインヒータ111a及び加圧メインヒータ112aの発熱比率を小さくして、より定着ローラ101の端部温度を上昇させる制御を併用しても良い。
ただし、ローラ101/102の熱容量が大きいため、ローラ101の端部温度を上昇させる効果を発揮するのに、かなりの時間を要する。従って、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする方法は、短時間でローラ101の端部温度を上昇させる効果を発揮できる利点を持つ。
(2)図14に本実施例における制御フローチャート4を示す。この制御フローチャート4は、図13の制御フローチャート3に、スループットダウンを組み合わせた構成である。
図13の制御フローチャート3では、ローラ103の温度を230℃に維持できる範囲内として、外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%とした。しかしながら、定着装置によっては、最大サイズ紙で外部加熱メインヒータ113aの発熱率を例えば50%としなければ、ローラ101の端部温度を190℃よりも高い温度に維持できない場合もある。しかし、発熱率を前記のように50%とした場合には、外部加熱ヒータの総定格電力が低下してしまうため、ローラ103の中央部を所定温度の230℃に維持できないという問題が発生してしまう。
このような場合には、例えば、紙間を図14の制御フローチャート4のS3及びS4で示すように、S3では通常の紙間:0.1514[sec](A4横通紙換算で105[ppm])とする。S4では紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。S4で、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくするのと同時に、電力不足分をスループット低下により補う。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、ローラ103の中央部温度維持、即ち最大サイズ紙の中央部定着性維持とを両立することが可能となる。
図14の制御フローチャート4は、S4で外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくするのと同時に、スループットを低下させる以外は、図13の制御フローチャート3と同様のため、説明を省略する。
以上、本実施例で述べたように、通紙される記録材の記録材幅を検知手段により検知して、記録材幅(紙幅):Wに応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする。これにより、ローラ103の端部温度を上昇させてローラ101の端部温度を上昇させることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させる定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
本実施例2をまとめると次のとおりである。制御手段130は、外部加熱メインサーミスタ123aの検知温度に基づいて外部加熱ローラ103の長手方向中央部の温度を所定温度に維持するように外部加熱メインヒータ113a及びサブヒータ113bに対する通電を制御する。そして、制御手段130は、装置に通紙される記録材Pの幅が所定幅Xの幅以上の場合には、ローラ103のサブヒータ113bに対するメインヒータ113aの発熱比率を小さく変更するように両ヒータ113a、113bに対する通電を制御する。
制御手段130は、メインヒータ113aの発熱比率の変更に伴い、スループットを変更する。メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることに伴い、スループットを小さくする。
外部加熱ローラ103が中央部配置の温度検知手段123aで温度制御を行っているために、ローラ103の中央部温度が低下すると、メインヒータ113aとサブヒータ113bが発熱する。このとき、メインヒータ113aの発熱比率が小さいので、サブヒータ113bの発熱比率が大きくなり、ローラ103の端部温度が上昇する。そして、この端部昇温したローラ103が定着ローラ101の端部温度を上昇させることにより、大サイズ紙の端部定着性を向上させることができる。
熱容量の小さい外部加熱ローラ103の中央部高発熱分布ヒータ(第1発熱体)の発熱比率を小さくすることにより、定着ローラ101の端部表面温度を迅速に上昇させることができる。これにより、例えば熱容量の大きい定着ローラ101や加圧ローラ102の中央部高発熱分布ヒータの発熱比率を小さくするよりも、より迅速に定着ローラ101の端部表面温度を上昇させることができる利点を持つ。
又、外部加熱ローラ103のメインヒータ113aの発熱比率を小さくすると、ローラ103の電力が不足する場合が発生する。このような場合には、スループットを小さくして、ローラ103の電力不足分を補うことにより、ローラ103の中央部温度を所定温度に維持できるので、大サイズ紙中央部の定着性を低下させること無く、大サイズ紙端部の定着性を向上させることができる。
[実施例3]
実施例1では、定着ローラ101の端部温度(定着サブサーミスタ121bの検知温度)に応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させることに関して説明した。本実施例3では、小サイズ紙の連続通紙による定着ローラ101の非通紙部昇温を検知して、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくすることによる非通紙部昇温の低減を組み合わせた制御構成に関して説明する。
(1)図15に本実施例における制御フローチャート5を示す。まず、プリント開始(S1)から、S2で定着サブサーミスタ121b温度:Tを検知する。S2の定着サブサーミスタ121b温度:Tが190℃(所定温度A)<T<220℃(S2のYES:所定温度Aよりも高い所定温度B)の場合は、定着ローラ101に非通紙部昇温が生じている状態である。実施例1と同様に、例えば最大サイズ紙よりも小さいA3サイズ(297mm×420mm)紙を連続通紙した場合のローラ101の非通紙部昇温によって、定着サブサーミスタ121bの検知温度は約210℃程度まで上昇する。
このような場合には、A3サイズ紙端部の定着性が良好なため、外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a、及び第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bともに、発熱率を100%で通常のON/OFF制御のままとする(S3)。
一方、S2の定着サブサーミスタ121b温度:Tが190℃以下(S2のNO1:所定温度Aの温度以下)の場合には、実施例1と同様に、例えば最大サイズ紙の13インチ×19インチ(330mm×483mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合である。この場合は、例えば定着サブサーミスタ121bの検知温度は190℃以下に低下して、紙端部の定着不良が発生してしまう。
このような場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を100%に変更して、第1発熱体の発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S4)。外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を上昇させ、ローラ101の端部温度を190℃よりも高い温度に維持できるので、最大サイズ紙の端部の定着性を確保することができる。
他方、S2の定着サブサーミスタ121b温度:Tが220℃以上(S2のNO2:所定温度Bの温度以上)の場合とは、例えばA4サイズ縦(210mm×297mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合である。この場合には、ローラ101の非通紙部昇温によって、例えば定着サブサーミスタ121b検知温度は約225℃程度まで上昇する。この上昇によって、ローラ101の弾性層101bの軟化劣化や、芯金101aと弾性層101bと離型層101cとの各層間の接着力低下等の熱劣化が発生してしまう。
そこで、本実施例では、定着サブサーミスタ121bが220℃以上を検知した場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を100%とする。そして、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を75%に変更する。即ち、制御手段130は、定着サブサーミスタ121bの検知温度が所定温度Aよりも高い所定温度Bの温度以上の場合には、外部加熱メインヒータ113aに対するサブヒータ113bの発熱比率を小さく変更する。すなわち、第2発熱体113bの発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S7)。
サブヒータ113bの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を低下させ、ローラ101の端部温度を220℃以下に維持できる。これにより、小サイズ紙の非通紙部昇温による定着装置部材の熱劣化を低減することができる。
そして、S5でプリントが継続中の場合には、S2〜S5及びS7を繰り返し、S5でプリントが終了と判断された場合には、プリントを終了(S6)して、制御フローチャート5が終了する。
図15の制御フローチャート5では、サブヒータ113bの発熱比率変更の分岐温度を1つ(220℃)で発熱比率変更を1つ(100%⇔75%)とした。しかし、定着装置によっては、前記分岐温度を2つ(例えば215℃と220℃)で発熱比率変更を2つ(例えば100%⇔85%⇔75%)としても良い。分岐温度及び発熱比率変更を多数持つことにより、多様な小サイズ紙の記録材に対応して、非通紙部昇温低減を精度良く実行できる利点を持つ。
又、本実施例では、定着メインヒータ111aと定着サブヒータ111bともに発熱率を100%、加圧メインヒータ112aと加圧サブヒータ112bともに発熱率を100%の一定とした。これに限られず、図15の制御フローチャート5のS7において、定着サブヒータ111b及び加圧サブヒータ112bの発熱比率を小さくして、より定着ローラ101の非通紙部昇温を低下させる制御を併用しても良い。
ただし、ローラ101/102の熱容量が大きいため、ローラ101の非通紙部昇温を低下させる効果を発揮するのに、かなりの時間を要する。従って、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくする方法は、短時間でローラ101の非通紙部昇温を低下させる効果を発揮できる利点を持つ。
(2)図16に本実施例の制御フローチャート6を示す。図16の制御フローチャート6は、図15の制御フローチャート5に、スループットダウンを組み合わせた構成である。
図15の制御フローチャート5のS4では、ローラ103の温度を所定温度230℃に維持できる範囲内として、外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%とした。しかしながら、定着装置によっては、最大サイズ紙で外部加熱メインヒータ113aの発熱率を例えば50%としなければ、定着サブサーミスタ123b検知温度を190℃(所定温度A)よりも高い温度以上に維持できない場合もある。しかし、発熱率を前記のように50%とした場合には、外部加熱ヒータの総定格電力が低下してしまうため、ローラ103の中央部を230℃に維持できないという問題が発生してしまう。
このような場合には、例えば、紙間を図16の制御フローチャート6のS3及びS4で示すように、S3では通常の紙間:0.1514[sec](A4横通紙換算で105[ppm])とする。S4では紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。S4で、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくするのと同時に、電力不足分をスループット低下により補う。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、ローラ103の中央部温度維持、即ち最大サイズ紙の中央部定着性維持とを両立することが可能となる。
又、図15の制御フローチャート5のS7では、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を75%とした。しかし、定着装置によっては、さらに非通紙部昇温低減が必要な場合には、例えば、図16の制御フローチャート6のS7で示すように、発熱比率を50%に低下させる。かつ紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。スループット低下により、さらに非通紙部昇温を低減し、ローラ101の端部温度を220℃以下に維持できるので、小サイズ紙の非通紙部昇温による定着装置部材の熱劣化を、より低減することが可能である。
図16の制御フローチャート2は、S4及びS7で発熱比率を小さくするのと同時に、スループットを低下させる以外は、図15の制御フローチャート5と同様のため、説明を省略する。
以上、本実施例で述べたように、ローラ101の端部温度、即ち定着サブサーミスタ121bの検知温度:Tに応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする。あるいは、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくする。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、小サイズ紙の非通紙部昇温低減とを、両立する定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
[実施例4]
実施例2では、記録材のサイズ、即ち紙幅に応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させることに関して説明した。本実施例4では、記録材のサイズ、即ち紙幅に応じて、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくすることによる非通紙部昇温の低減を組み合わせた制御構成に関して説明する。
(1)図17は、本実施例の制御フローチャート7を示す。まず、プリント開始(S1)から、S2で記録材幅(紙幅):Wを検知する。紙幅の検知方法は実施例2で説明したのと同様である。
S2で検知した紙幅:Wが例えば250mm(所定幅Xよりも小さい所定幅Y)<W<300mm(S2のYES:所定幅X)の場合は、ローラ101が非通紙部昇温している状態である。実施例2と同様に、例えば最大サイズ紙よりも小さいA3サイズ(297mm×420mm)紙を連続通紙した場合、ローラ101の非通紙部昇温によって、ローラ101の端部は約210℃程度まで上昇する。
このような場合には、A3サイズ紙端部の定着性が良好なため、外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a、及び第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bともに、発熱率を100%で通常のON/OFF制御のままとする(S3)。
一方、S2で検知した紙幅:Wが例えば300mm以上(S2のNO1:所定幅Xの幅以上)の場合には、紙端部の定着不良が発生してしまう。即ち、実施例2と同様に、例えば最大サイズ紙の13インチ×19インチ(330mm×483mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合、例えば定着ローラ101の端部温度は190℃以下に低下して、紙端部の定着不良が発生してしまう。
このような場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を100%に変更して、第1発熱体の発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S4)。外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を上昇させてローラ101の端部温度を190℃よりも高い温度に維持できるので、最大サイズ紙の端部の定着性を確保することができる。
他方、S2で検知した紙幅:Wが例えば250mm以下(S2のNO2::所定幅Yの幅以下)の場合とは、例えばA4サイズ縦(210mm×297mm)紙を、S3設定で連続通紙した場合である。この場合には、ローラ101の非通紙部昇温によって、定着サブサーミスタ121b検知温度は約225℃程度まで上昇する。その昇温により、ローラ101の弾性層101bの軟化劣化や、芯金101aと弾性層101bと離型層101cとの各層間の接着力低下等の熱劣化が発生してしまう。
そこで、本実施例では、W≦250mm(所定幅Yの幅以下)を検知した場合には、例えば外部加熱ヒータの第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱率を100%、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱率を75%に変更する。即ち、第2発熱体の発熱比率を小さくして時分割制御を行う(S7)。外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくすることにより、ローラ103の端部温度を低下させてローラ101の端部温度を220℃以下に維持できるので、小サイズ紙の非通紙部昇温による定着装置部材の熱劣化を低減することができる。
そして、S5でプリントが継続中の場合には、S2〜S5、S7を繰り返し、S5でプリントが終了と判断された場合には、プリントを終了(S6)して、制御フローチャート7が終了する。
ここで、図1のように給紙カセット7が1つしか無い場合には、1つのプリントジョブで異なるサイズの記録材がプリントされることは無いので、S5を省いた制御フローチャートとしても良い。
一方、給紙カセット7を多数具備した画像形成装置においては、給紙カセット毎に異なるサイズ紙が設定されている場合、紙幅:Wが異なるプリントジョブが結合されて、1つのプリントジョブと見なしてプリントが実行される画像形成装置もある。この場合には、S2〜S5、S7を繰り返して、紙幅:Wを検知しながら、外部加熱メインヒータ113a及び外部加熱サブヒータ113bの発熱率を決定する構成とすると良い。
図17の制御フローチャート7では、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率変更の分岐紙幅を1つ(250mm)で発熱比率変更を1つ(100%⇔75%)とした。しかし、定着装置によっては、前記分岐紙幅を2つ(例えば275mmと250mm)で発熱比率変更を2つ(例えば100%⇔85%⇔75%)としても良い。分岐紙幅及び発熱比率変更を多数持つことにより、多様な小サイズ紙の記録材に対応して、非通紙部昇温低減を精度良く実行できる利点を持つ。
又、本実施例では、定着メインヒータ111aと定着サブヒータ111bともに発熱率を100%、加圧メインヒータ112aと加圧サブヒータ112bともに発熱率を100%の一定とした。これに限られず、図17の制御フローチャート7のS7において、定着サブヒータ111b及び加圧サブヒータ112bの発熱比率を小さくして、よりローラ101の非通紙部昇温を低下させる制御を併用しても良い。
ただし、ローラ101/102の熱容量が大きいため、ローラ101の非通紙部昇温を低下させる効果を発揮するのに、かなりの時間を要する。従って、外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくする方法は、短時間でローラ101の非通紙部昇温を低下させる効果を発揮できる利点を持つ。
(2)図18に本実施例の制御フローチャート8を示す。図18の制御フローチャート8は、図17の制御フローチャート7に、スループットダウンを組み合わせた構成である。図17の制御フローチャート7のS4では、ローラ103の中央部温度を所定温度230℃に維持できる範囲内として、外部加熱メインヒータ113aの発熱率を75%とした。
しかしながら、定着装置によっては、最大サイズ紙で外部加熱メインヒータ113aの発熱率を例えば50%としなければ、ローラ101端部温度を190℃よりも高い温度に維持できない場合もある。しかし、発熱率を前記のように50%とした場合には、外部加熱ヒータの総定格電力が低下してしまうため、ローラ103の中央部を230℃に維持できないという問題が発生してしまう。
このような場合には、例えば、紙間を図18の制御フローチャート8のS3及びS4で示すように、S3では通常の紙間:0.1514[sec](A4横通紙換算で105[ppm])とする。S4では紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。S4で、外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくするのと同時に、電力不足分をスループット低下により補う。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、ローラ103の中央部温度維持、即ち最大サイズ紙の中央部定着性維持とを両立することが可能となる。
又、図17の制御フローチャート7のS7では、外部加熱サブヒータ113bの発熱率を75%とした。しかし、定着装置によっては、さらに非通紙部昇温低減が必要な場合には、例えば、図18の制御フローチャート8のS7で示すように、発熱率を50%に低下させる。かつ紙間:0.33[sec](A4横通紙換算で80[ppm])に広げて、スループットを低下させると良い。スループット低下により、さらに非通紙部昇温を低減し、ローラ101の端部温度を220℃以下に維持できるので、小サイズ紙の非通紙部昇温による定着装置部材の熱劣化を、より低減することが可能である。
図18の制御フローチャート8は、S4及びS7で発熱比率を小さくするのと同時に、スループットを低下させる以外は、図17の制御フローチャート7と同様のため、説明を省略する。
以上、本実施例で述べたように、記録材のサイズ、即ち紙幅に応じて、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113aの発熱比率を小さくする。あるいは、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113bの発熱比率を小さくする。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、小サイズ紙の非通紙部昇温低減とを、両立する定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
[実施例5]
実施例1〜4は、外部加熱部材として外部加熱ローラ103を具備した定着装置に関して説明したが、本発明は、他の外部加熱部材に適用しても効果は同様である。そこで、本実施例5では、外部加熱能力を向上させるために、外部加熱部材として、複数の外部加熱ローラを具備した定着装置に関して説明する。
図19は本実施例5に係る定着装置100の構成を示す概略模式図である。複数の外部加熱ローラ103/104を具備する定着装置の一例である。ローラ103/104は、それぞれ、加圧手段(不図示)により定着ローラ101に所定圧力で加圧され、ローラ101と外部加熱ニップ部N2a及びN2bを形成し、ローラ101の回転に従動して回転する。
本実施例では、ニップ部N2a及びN2bのリーラ回転方向の幅は、それぞれ約3mmである。この定着装置は、図3A・図3Bの定着装置と比較して、外部加熱ニップ部が2倍に増加することにより、外部加熱能力も約2倍に増加する。
ローラ103/104は、それぞれ、図5の横断面模式図のように、例えば外径30mm、厚み3mm、長さ350mmの円筒状金属製(本実施例ではアルミニウム製)の芯金103a/104aを備える。芯金103a/104a上には、耐熱性の離型層103c/104cとしてフッ素樹脂(本実施例ではPFAチューブ)が30μmの厚さで被覆されている。
又、図19で示すように、ローラ103/104の芯金103a/104aの内部には、それぞれ、発熱体として、例えば各600Wで発熱体長が350mmのハロゲンヒータ113aと113b、及び同114aと114bが配置されている。総定格電力が各ローラ103/104に対して1200Wで、ローラ103/104の表面温度が温調手段により所定の温度となるように内部から加熱されている。
第1発熱体としてのハロゲンヒータ113a及び114aは、図9に示すように、定格電力が入力された時のローラ中央部の発熱量を100%とした場合に対して、ローラ端部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。即ち、ヒータ113a及び114aに定格電力を入力した時の端部の発熱量は、中央部の発熱量に比べて小さい。以後、第1発熱体としてのヒータ113a及び114aは、外部加熱メインヒータ113a及び114aと称する。
第2発熱体としてのハロゲンヒータ113b及び114bは、図10に示すように、定格電力が入力された時のローラ端部の発熱量を100%とした場合に対して、ローラ中央部の発熱量が例えば30%になるように調整されている。即ち、ハロゲンヒータ113b及び114bに定格電力を入力した時の中央部の発熱量は、端部の発熱量に比べて小さい。以後、第2発熱体としてのハロゲンヒータ113b及び114bは、外部加熱サブヒータ113b及び114bと称する。
図9及び図10で示す外部加熱メインヒータ113a及び114a、及び外部加熱サブヒータ113b及び114bの100%と30%の発熱分布の切り替え位置、発熱分布の比率、定格電力等は、定着装置に応じて任意に設定して良い。
図19に示す外部加熱ローラ103及び104の温度検知手段としてのサーミスタ123a及び124aは最小サイズ紙の通紙域対応部に配置されている。そして、通紙域対応部の外部加熱ローラ103及び104の表面温度を所定温度(例えば230℃)に維持するように制御する温度制御用サーミスタである。即ち、制御手段130により外部加熱メインヒータ113a及び114a、外部加熱サブヒータ113b及び114bの電源部をON/OFF制御する温度制御用サーミスタである。以後、サーミスタ123a及び124aは、外部加熱メインサーミスタ123a及び124aと称する。
又、外部加熱ローラ103及び104の温度検知手段としてのサーミスタ123b及び124bは、最小サイズ紙の非通紙域対応部から外部加熱ローラ103及び104端部の間の任意位置に配置される。これらは、非通紙域対応部の外部加熱ローラ103及び104の表面温度を検知するサーミスタである。以後、サーミスタ123b及び124bは、外部加熱サブサーミスタ123b及び124bと称する。
通常、外部加熱サブサーミスタ123b及び124bは、より多くのサイズ(紙幅)の記録材において、外部加熱ローラ103及び104の非通紙域対応部温度を検知するために、外部加熱ローラ103及び104の端部近傍に配置される。
図19の定着装置においても本発明の効果は同様である。図11の制御フローチャート1〜図18の制御フローチャート8において、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a及び114aの発熱率と、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113b及び114bの発熱率とを変更する。即ち、定着ローラ101の定着サブサーミスタ121bの検知温度に応じて、又は記録材の紙幅に応じて、各フローチャートのS3、S4、及びS7に従って変更する。
即ち、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a及び114aの発熱比率、又は第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113b及び114bの発熱比率を変更する。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、小サイズ紙の非通紙部昇温低減とを、両立する定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
又、本実施例のように、複数の外部加熱ローラを具備する構成において、定着装置によっては、外部加熱ローラ103の外部加熱ヒータ総定格電力と外部加熱ローラ104の外部加熱ヒータ総定格電力を異ならせても良い。本発明の効果は同様である。たとえば、外部加熱ヒータ総定格電力を1400W(外部加熱メインヒータ113a:700W、外部加熱サブヒータ113b:700W)とする。外部加熱ヒータ総定格電力を1000W(外部加熱メインヒータ114a:500W、外部加熱サブヒータ114b:500W)とする。
さらに、本実施例では、定着ローラ101の端部温度や紙幅に応じて、外部加熱メインヒータ113a(600W時)と114a(600W時)の発熱比率を小さくする値を、例えば75%の一定とした。しかし、複数の外部加熱ローラを具備して、かつ定格電力が異なる場合においては、外部加熱メインヒータ113a(700W時)は発熱比率を65%、外部加熱メインヒータ114a(500W時)は発熱比率を90%と異ならせる。これにより、外部加熱ローラの中央部温度が目標温度を維持できる発熱比率とするのがより好適であり、かつ本発明の効果は同様である。
複数の外部加熱部材を用いて外部加熱能力を向上させた定着装置においては、外部加熱部材が定着部材を加熱する能力が高い。従って、本発明による外部加熱部材の第1発熱体の発熱比率を小さくすることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させる効果は大きい利点を持つ。
[実施例6]
本実施例では、外部加熱能力をさらに向上させるために、外部加熱部材として外部加熱ベルトを具備した定着装置に関して説明する。図20は本実施例に係る定着装置100の構成を示す概略模式図である。外部加熱ベルトを具備する定着装置の一例であり、図19の2本の外部加熱ローラに、外部加熱ベルト105を張架した構成である。
外部加熱ベルト105は、外部加熱ローラ103及び同104に張架され、加圧手段(不図示)により定着ローラ101に所定圧力で加圧され、ローラ101と外部加熱ニップ部N2を形成し、矢印方向にローラ101の回転に従動して回転する。本実施例では、外部加熱ニップ部N2のベルト移動方向における幅は約35mmである。図20の定着装置は、図19の定着装置と比較して、外部加熱ニップ部N2の幅が増加することにより、外部加熱能力も増加する。
図20に示す外部加熱ローラ103及び104、外部加熱ヒータは、図19と同様である。外部加熱ベルト105は、基材として金属や耐熱性樹脂(例えばポリイミド等)が用いられる。本実施例では、SUS(ステンレス)の内径65mm、厚み60μmの基材上に、耐熱性の離型層としてフッ素樹脂(本実施例ではPFAチューブ)が30μmの厚さで被覆されている長さ350mmの外部加熱ベルトを用いた。
外部加熱ローラ103及び104の温度検知手段としてのサーミスタ123a及び124aは、最小サイズ紙の通紙域対応部に配置されている。これらは、通紙域対応部の外部加熱ローラ103及び104の表面温度を外部加熱ベルト105を介して検知する。そして、表面温度を所定温度(例えば230℃)に維持するように、制御手段130により外部加熱メインヒータ113a及び114a、外部加熱サブヒータ113b及び114bの電源部をON/OFF制御する温度制御用サーミスタである。以後、サーミスタ123a及び124aは、外部加熱メインサーミスタ123a及び124aと称する。
又、外部加熱ローラ103及び104の温度検知手段としてのサーミスタ123b及び124bは、最小サイズ紙の非通紙域対応部〜外部加熱ローラ103及び104端部の間の任意位置に配置される。非通紙域対応部の外部加熱ローラ103及び104上の外部加熱ベルト105を介して、表面温度を検知するサーミスタである。以後、サーミスタ123b及び124bは、外部加熱サブサーミスタ123b及び124bと称する。
通常、外部加熱サブサーミスタ123b及び124bは、より多くのサイズ(紙幅)の記録材において、外部加熱ベルト105を介した外部加熱ローラ103及び104の非通紙域対応部温度を検知する。そのために、外部加熱ベルト105を介した外部加熱ローラ103及び104の端部近傍に配置される。
図20の定着装置においても本発明の効果は同様である。図11の制御フローチャート1〜図18の制御フローチャート8において、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a及び114aの発熱率と、第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113b及び114bの発熱率とを変更する。すなわち、定着ローラ101の定着サブサーミスタ121bの検知温度に応じて、又は記録材の紙幅に応じて、各フローチャートのS3、S4、及びS7に従って変更する。
即ち、第1発熱体としての外部加熱メインヒータ113a及び114aの発熱比率、又は第2発熱体としての外部加熱サブヒータ113b及び114bの発熱比率を変更する。これにより、最大サイズ紙の端部定着性向上と、小サイズ紙の非通紙部昇温低減とを、両立する定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
又、実施例1〜実施例5で説明した外部加熱部材として外部加熱ローラを用いる場合には、表層に耐熱弾性層を有した定着ローラにおいては、外部加熱ニップ部をある程度確保できる。従って、外部加熱ローラによる定着ローラ表層の外部加熱能力を発揮することができる。しかしながら、表層に耐熱弾性層を有しない定着ローラにおいては、外部加熱ニップ部が小さくて十分確保できないので、外部加熱ローラによる定着ローラ表層の外部加熱能力は非常に低下してしまう。
一方、本実施例の外部加熱ベルトを用いる場合には、定着ローラ表層の耐熱弾性層の有無に関係無く、外部加熱ニップ部を十分に確保できる。そのため、外部加熱ベルトによる定着ローラ表層の外部加熱能力を、多様な定着ローラに対して、十分に発揮できる利点を持ち、汎用性が高い。
外部加熱ベルトを用いて外部加熱能力を更に向上させた定着装置においては、外部加熱部材が定着部材を加熱する能力が非常に高い。そのため、外部加熱部材の第1発熱体の発熱比率を小さくすることにより、最大サイズ紙の端部定着性を向上させる効果は、非常に大きい利点を持つ。
[実施例7]
(1)加圧部材102は、図21の装置100のように、非回転の弾性加圧部材とすることも出来る。この加圧部材102は回転可能な加熱部材である定着ローラ101の軸線方向を長手とする細長いパッド状部材である。部材102は、細長い剛性ステー102aと、このステー102aの定着ローラ101に対する対向面に積層した耐熱弾性層102bと、その弾性層102bに積層した耐熱性の離型層102cと、を有する。
部材102は離型層102c側を定着ローラ101に対向させてローラ101に対して加圧手段(不図示)弾性に抗して加圧圧接されてローラ101との間に記録材搬送方向Eにおいて所定幅のニップ部N1を形成している。そして、ニップ部N1において未定着画像tを担持した記録材Pを挟持搬送して画像tを加熱加圧して固着画像として定着する。この記録材挟持搬送時、記録材Pは裏面側が非回転の加圧部材102の離型層102cに対して摺動しながらローラ101の回転により搬送される。
(2)外部加熱部材103も、例えばセラミック基板上に第1発熱体と第2発熱体としての抵抗発熱体を塗布・焼成して形成した面状ヒータ又は線状ヒータを具備させた非回転の細長いパッド状部材の形態にすることも出来る。そして、その細長いパッド状部材をローラ101に対して直接に加圧接触させて、あるいは耐熱性のフィルムを介して加圧接触させて細長いパッド状部材の熱によりローラ101を外部加熱する。
図21の装置100の外部加熱部材103は、セラミック基板125上に第1発熱体と第2発熱体としての抵抗発熱体126a/126bを塗布・焼成して形成した面状ヒータ127を具備させた非回転の細長いパッド状部材128を用いる。そして、このパッド状部材128を定着ローラ101に対して円筒状の耐熱性のフィルム129を介して加圧接触させて部材128の熱によりローラ101を外部加熱するものである。フィルム129はローラ101の回転に従動して部材128の外周りを回転する。このとき、フィルム129の内周面はニップ部N2においてセラミック基板125に対して密着して摺動する。
装置100の制御手段130による制御は実施例1乃至6と同様である。抵抗発熱体126a/126bに入力する交流電圧の半波毎にON/OFF制御する波数制御や、半波の位相角で決定される範囲をON/OFF制御する位相制御等によって発熱率(又は通電率)を制御することができる。
[その他の事項]
1)以上、本発明の実施例に関して説明したが、本発明の実施例における諸数値や概略模式図は、実施例の説明を簡略化するための一例であって、画像形成装置や定着装置の構成、及び設定等に応じて任意に定めることができる
2)又、本発明は、実施例で説明した定着装置に限定されるものではなく、各実施例を任意に組み合わせる等、他の形態の定着装置、及び画像形成装置にも適用できる。
3)例えば、本発明の実施例で説明した定着装置では、回転可能な定着ローラ、及び加圧ローラを採用したが、回転可能な定着ベルト、及び加圧ベルト等の他の定着装置構成にも適用することができる。
4)又、発熱体においても、本発明の実施例で説明した定着装置では、ハロゲンヒータや面状発熱ヒータを採用したが、IH(電磁誘導加熱)方式等の他の発熱体構成にも適用できる。
5)外部加熱部材、加熱部材、加圧部材に具備させる発熱体は複数である。そして、複数の発熱体の内、少なくとも2つは、長手方向の発熱分布が互いに異なり、長手方向中央部の発熱量が大きい第1発熱体と、端部の発熱量が大きい第2発熱体である構成とすることができる。
6)温度検知手段はサーミスタに限られず、温度検知手段であればよく、また接触式でも非接触式でも構わない。
7)本発明に係る画像加熱装置は、実施例に示した、未定着画像を加熱加圧して固着画像として定着する画像定着装置としての使用に限られない。その他に、未定着画像を加熱加圧して仮定着する画像定着装置、記録材に一旦定着された画像を加熱加圧して光沢度を増大させる光沢増大装置(つや等の画像表面性を改質する表面改質装置)などの使用が挙げられる。