JP3795068B2 - Mp52蛋白質 - Google Patents

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Description

本発明は、MP52蛋白質および該蛋白質をコードするDNA配列に関する。
BMP、TGFおよびインヒビンと血縁の蛋白質に属する(RobertsおよびSporn,Handbook of Experimental Pharmacology 95(1990),419〜472)、成長因子のTGF−β−系統群は、特に医学的処置方法および使用の他の範囲にとって重要である。この因子は、創傷治癒および組織の回復に関連する方法において適当である。更に、TGF−β−系統群の数多くのメンバは、組織成長、殊に骨の成長を誘発し、したがって軟骨および骨の形成の誘発の際に中心的な役割を演じる。
ウォズニイ(Wozney)(Progress in Growth Factor Research 1(1989),267-268)およびベイル(Vale)他(Handbook of Experimental Pharmacology 95(1990),211-248)は、種々の成長因子、例えばBMP−(骨形態形成蛋白質)およびインヒビン群と血縁関係にあるようなものを記載している。前記群のメンバーは、重要な構造的類似性を有している。蛋白質の前駆物質は、約110個のアミノ酸のアミノ末端信号配列、プロペプチド配列およびカルボキシル末端配列からなり、前記アミノ酸は、前駆物質から分離され、かつ円熟蛋白質を表わす。更に、前記アミノ酸のメンバーは、アミノ酸配列の相同性によって定義されている。円熟蛋白質は、最大で保存された配列、殊に系統群のメンバーの下で保存されている7個のシステイン基を含有する。TGF−β−種の蛋白質は、多官能性のホルモン活性成長因子である。また、該蛋白質は、血族の生物学的活性、例えば細胞の走化的誘引、細胞分化の促進および組織により誘発される能力、例えば軟骨および骨により誘発される能力をも示す。米国特許第5013649号明細書には、BMP−2と呼ばれる骨誘発性蛋白質をコードするDNA配列が開示されており、米国特許第179101号明細書および米国特許第170197号明細書には、BMP−蛋白質のBMP−1およびBMP−3が開示されている。更に、数多くの細胞タイプは、TGF−β−種の蛋白質を合成する状態にあり、実際に全ての細胞は、TGF−β−受容体を有している。
全体的に前記蛋白質は、構造の点で相違を示し、このことは、記載された生物学的機能の点で著しい変形を示す。更に、前記蛋白質は、異なる組織の種類および形成段階の広い範囲内で見い出される。従って、前記蛋白質は、記載された機能、例えば必要とされる細胞の生物学的環境、寿命、目的地、補助因子のための必要性および分解に抗する安定性に関連する相違を有することができる。従って、組織誘発性、殊に骨誘発性のポテンシャルを示す数多くの蛋白質は、有機体における天然の課題およびなお意義深い医学的重要性を詳細になおも研究されなければならない。骨形成または別の組織種の分化/誘発にとって重要であるTGF−β−系統群のなお未知のメンバーの存在の確率は、大きいものと思われる。しかし、この新規のTGF−β−種の蛋白質を分離する際の著しい困難は、該蛋白質の機能をなお十分に正確に識別力のあるバイオアッセイの展開について記載することができないことにある。他面、スクリーニングを古典的な核酸ハイブリダイゼーション技術によって可能にするためには、系統群の公知のメンバーに対して期待されるヌクレオチド配列の相同性は、僅かすぎる。それにも拘わらず、全ての望ましい医学的要求を満たす他の誘発蛋白質および分化蛋白質を調製するために、さらに新規のTGF−β−種の蛋白質の分離および特性決定が是非とも必要とされる。この因子は、創傷の治癒および骨および/または別の組織種、例えば腎臓または肝臓の退化性疾病の治療の際に使用することができる。
国際特許出願PCT/EP93/00350には、TGF−β−蛋白質MP−52のヌクレオチド配列およびアミン酸配列が記載されており、この場合円熟ペプチドに相当する配列およびMP−52のペプチドに相当する配列の大部分が記載されている。プロペプチドMP−52の完全な配列は、開示されていない。
本発明の基礎となる課題は、分裂促進因子のポテンシャルおよび/または分化誘発性、例えば骨誘発性のポテンシャルを有するTGF−β−蛋白質系統群の新規メンバーをコードするDNA−配列を提供することにある。殊に、本発明の課題は、TGF−蛋白質MP−52の完全なDNA配列およびアミノ酸配列を提供することにある。
この課題は、MP52蛋白質をコードしかつ
(a)SEQ ID No.1で示されるヌクレオチド640〜2142または1783〜2142、
(b)SEQ ID No.2で示されるアミノ酸1〜501または382〜501をコードするヌクレオチド配列、
(c)(a)および(b)からの配列の1つの対立遺伝子誘導体に相当するヌクレオチド配列または
(d)(a)または(b)からの配列の1つでストリンジェントな条件下でハイブリダイズされるヌクレオチド配列を含み、この場合(d)に記載のDNA分子は少なくとも成熟蛋白質
Figure 0003795068
をコードする部分を有するという前提条件下にあるDNA分子によって解決される。
更に、本発明の実施態様は、請求項2から11までのいずれか1項に記載の対象に関連する。本発明の別の特徴および利点は、有利な実施態様の記載および図面から明らかである。配列記録および図面は、今や短く記載される。
SEQ ID No.1は、TGF−β−蛋白質MP−52をコードするDNAの完全なヌクレオチド配列を示す。ATG−出発遺伝暗号は、ヌクレオチド640で開始する。成熟蛋白質の出発は、ヌクレオチド1782の後方で開始する。
SEQ ID No.2は、SEQ ID No.1で示されるヌクレオチド配列から導出されたTGF−β−蛋白質MP−52の完全なアミノ酸配列を示す。
図1は、MP−52のアミノ酸配列と7個の保存されたシステイン基の第1のシステイン基で開始するBMP−蛋白質系統群のメンバーとの比較を示す。*は、アミノ酸が全ての比較蛋白質において等しいことを意味し;+はアミノ酸が蛋白質の少なくとも1つにおいてMP−52と比較した場合に一致していることを意味する。
図2は、本発明で使用されたオリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド配列および該配列とTGF−β−系統群の公知のメンバーとの比較を示す。MはAまたはCを意味し、SはCまたはGを意味し、RはAまたはGを意味し、かつKはGまたはTを意味する。2aは、プライマーODの配列を示し、2bは、プライマーOIDの配列を示す。
本発明は、SEQ ID No.1で示されるヌクレオチド640〜2142または1783〜2142、SEQ ID No.2で示されるアミノ酸1〜501または382〜501をコードするヌクレオチド配列およびこのような配列の対立遺伝子誘導体に相当するヌクレオチド配列を包含する。
更に、本発明は、このようなDNA分子が少なくとも成熟蛋白質
Figure 0003795068
をコードする部分を有するという前提条件下でこの種の配列でストリンジェントな条件下でハイブリダイズされるヌクレオチド配列をも包含している。
本発明の範囲内で“官能的部分”の概念は、例えば信号ペプチド部分、プロペプチド部分もしくは成熟蛋白質部分として作用する、即ちMP−52の天然の蛋白質部分の生物学的機能の少なくとも1つを満たすような状態にある蛋白質部分を意味する。
蛋白質の成熟部分をコードする範囲は、SEQ ID No.1で示された配列のヌクレオチド1783〜2142によって達成される。場合によっては、DNA分子は、なおさらにSEQ ID No.1で示された配列の機能的部分、即ち信号部分または/およびペプチド部分をコードするヌクレオチド配列を包含することができる。特に有利には、DNA分子は、信号部分およびプロペプチド部分ならびに成熟蛋白質の部分のための配列、即ちSEQ ID No.1で示された配列のヌクレオチド640〜2142を包含する。他面、DNA分子は、成熟蛋白質をコードする部分とともに別の蛋白質、殊にMP52蛋白質の別の蛋白質、例えば上記のBMP蛋白質の機能的信号部分または/およびプロペプチド部分を包含することもできる。相応するヌクレオチド配列は、本明細書中で参考のために開示された上記の参考文献から認めることができる。
更に、本発明は、上記に定義されたようなDNA分子をも包含し、この分子は、付加的にSEQ ID No.1で示された配列のヌクレオチド1270と1271との間にコードされていないイントロン配列を含んでいる。このイントロン配列は、DSMに寄託されたプラスミドSKL52(H3)MP12中に含まれており、これは、MP−52のゲノム核酸配列を有している。
また、本発明には、MP−52蛋白質のファージλ15.1によってコードされたcDNA配列が包含されている。この配列は、SEQ ID No.1のヌクレオチドで開始される。
本発明によって包括される、対立遺伝子の退化したハイブリダイズ配列がヌクレオチド配列または/およびアミノ酸配列において僅かな変化に基づく構造的な相違を有するとしても、このような配列によってコードされた蛋白質は、なお本質的に同じ有用な性質を有し、この性質により原則的に同じ医学的使用を可能にする。
本発明によれば、“ハイブリダイズ”の用語は、通常のハイブリダイズ条件、特に0.6×SSC、62℃〜66℃でSDS0.1%での1時間の洗浄とともに62〜66℃で6×SSCの塩濃度を用いるという条件を意味する。特に有利には、“ハイブリダイズ”の用語は、0.1×SSC、62℃〜66℃でSDS0.1%での1時間の洗浄とともに62〜66℃で4×SSCの塩濃度を用いるという厳しいハイブリダイズ条件に関連する。
本発明の有利な実施態様は、脊椎動物、特に哺乳類、例えばブタ、ウシおよび齧歯類、例えばラットまたはマウス、および殊に霊長類、例えばヒトから得ることができる上記に定義されたようなDNA配列である。
本発明の1つの特に好ましい実施態様は、SEQ ID No.1で示されかつMP−52と呼ばれる配列である。MP−52の転写酵素は、胎児性組織から得られたものであり、BMP種の蛋白質の円熟部分に対して重要なアミノ酸相同性を示す1つの蛋白質をコードする(図1参照)。BMP2(=BMP2A)およびBMP4(=BMP2B)の蛋白質配列は、ウォズニイ(Wozney)他、Science 242(1988),1528-1534に記載されている。BMP5、BMP6およびBMP7の相応する配列は、セレステ(Celeste)他、Proc. Natl. Acad Sci. USA 87(1990),9843-9847に記載されている。MP−52の前駆物質部分の別の部分は、BMP前駆物質との著しい相違を示すが、公知のBMP配列にとって特異的である若干の典型的な配列相同性は、MP−52のプロペプチド部分においても見い出された。
本発明のもう1つの対象は、本発明によるDNA分子の少なくとも1つのコピーを有するベクターである。このようなベクターの場合、本発明によるDNA配列は、特に操作的に発現対象配列と結合されている。このようなベクターは、安定細胞または過渡的に形質転換された細胞中のMP52蛋白質の構造に適している。種々の動物系、植物系、真菌類系および細菌類系は、形質転換および引き続く培養に使用することができる。特に本発明によるベクターは、ホスト細胞の場合の複製に必要とされる配列を有し、かつ自己複製可能である。更に、選択可能な標識遺伝子を有するベクターの使用は、有利であり、それによってホスト細胞の形質転換は、検出可能になる。
更に、本発明の対象は、本発明によるDNAまたは本発明によるベクターで形質転換されている1つのホスト細胞である。適当なホスト細胞の例は、種々の真核細胞および原核細胞、例えば大腸菌、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞および真菌類、例えば酵母菌を包含する。
更に、本発明の対象は、請求項1に記載のDNA配列によってコードされたMP52蛋白質である。特に、本発明による蛋白質は、SEQ ID No.2で示されるアミノ酸配列382〜501または場合により該アミノ酸配列の機能的部分を有し、かつ恐らく治療的使用にとって重要である生物学的性質、例えば組織誘発能力、殊に骨誘発能力または/および分裂促進因子能力を有する。蛋白質の上記特徴は、ホモ二量体またはヘテロ二量体の形成に依存して変化することができる。このような構造は、同様に臨床的使用に適していることが判明しうる。
本発明による蛋白質の生物学的性質、殊に分裂促進因子誘発ポテンシャルおよび骨誘発ポテンシャルは、例えばセイジン(Seyedin)他、PNAS 82(1985),2267-2271またはサムパス(Sampath)およびレッディ(Reddi)、PNAS 78(1981),7599-7603に記載の検定法で測定することができる。
更に、本発明の対象は、MP52蛋白質を製造する方法であり、この方法は、本発明によるDNAまたは本発明によるベクターで形質転換されたホスト細胞を培養し、MP52蛋白質を細胞または/および培養上澄み液から取得することによって特徴付けられる。このような方法は、適当な培地中での形質転換されたホスト細胞の培養および製造されたMP52蛋白質の精製を包含する。こうして、この方法は、医学的治療の際の使用または成長因子が必要とされるような細胞培養技術を使用しながらの用途の際に十分な量の望ましい蛋白質の製造を可能にする。ホスト細胞は、細菌類、例えば桿菌または大腸菌。真菌類、例えば酵母菌、植物細胞、例えばタバコ、ジャガイモもしくはアラビドプシス(Arabidopsis)または動物性細胞、殊に脊椎動物細胞系列、例えばMo−、COS−もしくはCHO−細胞系列または昆虫細胞系列であることができる。
なおさらに、本発明の対象は、天然または合成のマトリックス材料上に施こされておりおよび/または該マトリックス中に組み込まれている作用物質としての本発明によるMP52蛋白質を場合によっては製薬学的に常用の担持剤、助剤、希釈剤または充填剤と一緒に含有し、前記マトリックス材料が生物認容性の、生体内で生物学的に分解可能な多孔質材料である、骨、軟骨、結合組織、皮膚、粘膜、上皮または歯の損傷を治療するかまたは予防するための、歯のインプラント用の、および創傷の治癒プロセスおよび組織再生用の製薬学的組成物である。このような製薬学的組成物は、創傷の治癒および組織の再生の場合ならびに骨、軟骨、結合組織、皮膚、粘膜、上皮または歯の損傷の治癒の場合および歯のインプラントの場合に単独でかまたは別の作用物質、例えばMP52蛋白質の別の蛋白質または増殖因子、例えばEGF(表皮増殖因子)またはPDGF(血小板由来増殖因子)との組合せ物で使用することができる。更に、このような製薬学的組成物は、疾病の予防の際に、例えば骨多孔症および関節症の予防のために使用することができる。
本発明によるMP52蛋白質の別の可能な臨床的使用は、移植器官の剥脱を回避するための免疫反応のサプレッサーとしての使用または血管形成と関連した使用にある。また、本発明による製薬学的組成物は、予防に使用することもできるし、美容整形外科において使用することもできる。更に、この組成物の使用は、ヒトに限定されるのではなく、動物、殊に家畜を含めることもできる。
最後に、本発明のもう1つの対象は、特異的な本発明による蛋白質の抗体または抗体断片(例えば、FabまたはFab')である。このような特異的抗体または抗体断片の製造法は、平均的な当業者の一般的な知識に属する。特に、このような抗体は、モノクロナール抗体である。このような抗体または抗体断片は、診断学的方法にも適している。
更に、本発明は、次の実施例によって明示されているはずである。
例1
MP−52の分離
1.1 全RNAをヒトの胎児性組織(8〜9週間の年齢)をキルグウィン(Chirgwin)他、Biochemistry 18(1979),5294-5299に記載の方法により分離した。ポリ(A+)−RNAを全RNAから製造者の規定によりオリゴ(dT)クロマトグラフィー(Strata遺伝子ポリ(A)クイックカラム)によって分離した。
1.2 逆転写反応のために、ポリ(A+)−RNA2.5μgを5分間65℃に加熱し、かつ急速に氷上で冷却した。反応混合物は、ポリ(A+)RNA 1μg当たりRNAガード(Guard)(Pharmacial社)27U、オリゴ(dT)12−18(Pharmacial社)2.5μg、5×緩衝液(トリス/HCl 250ミリモル/l pH8.5、MgCl2 50ミリモル/l、DTT 50ミリモル/l、全てのdNTP 5ミリモル/l、KCl 600ミリモル/l)およびAMV逆転写酵素(Boehringer Mannheim)20Uを含有していた。反応混合物(25μl)を42℃で2時間恒温保持した。
1.3 図2に示したデオキシヌクレオチドプライマーODおよびOIDを自動DNA合成装置(Biosearch社)上で製造した。精製を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動および等速電気泳動によるゲルからの主帯域の分離によって行なった。オリゴヌクレオチドをMP52の公知のメンバーの核酸配列の比較および最高の性質を持ち続けている領域の選択によって設計した。これらの領域の比較は、図2に示されている。クローン化を簡易化するために、2つのヌクレオチドは、EcoRI制限位置を有し、ODは、付加的に5′末端にNcoI制限個所を有していた。
1.4 PCR反応の場合には、ポリ(A+)RNAに相当する出発物質からのcDNA 20ngを使用した。反応を50μlの容量で実施し、この容量には、1×PCR緩衝液((NH4)2SO4 16.6ミリモル/l、トリス/HCl 67ミリモル/l pH8.8、MgCl2 2ミリモル/l、EDTA 6.7μモル/l、β−メルカプトエタノール10ミリモル/l、牛血清アルブミン(Gibco社)170μg/ml、全てのdNTP(Pharmacia社)200μモル/l、全てのオリゴヌクレオチド(ODおよびOID)30ピコモル)およびTaqポリメラーゼ(Amplitaq,Perkin Elmer Cetus)1.5Uが含有されていた。この反応混合物をパラフィンで覆い、40回のPCR作業周期を実施した。PCR反応の生成物をフェノール/クロロホルム抽出によって精製し、かつエタノールによる沈殿によって濃縮した。
1.5 PCR反応生成物を制限酵素SphI(Pharmacia社)およびAlwNI(Biolabs)を用いて製造者の規定に相応して分解した。
1.6 制限分解による生成物をアガロースゲル電気泳動によって分画した。臭化エチジウムでの着色後、分解されていない増幅生成物をゲルから切断し、かつフェノール抽出によって分離した。引続き、得られたDNAを2回フェノール/クロロホルム抽出によって精製した。
1.7 エタノールによる沈殿後、分離されたDNAの四分の一または五分の一を再増幅させ、この場合には、作業周期の回数を13回に減らすこと以外は、一次増幅と同じ条件を使用した。再増幅生成物を精製し、上記と同じ酵素を用いて切断し、切断されていない生成物を増幅生成物の上記説明と同様にアガロースゲルから分離した。再増幅課程を2回繰り返した。
1.8 ゲルからの最後の分離後、増幅生成物をEcoRI(Pharmacia社)4Uによって製造者によって推奨された条件下で分解した。制限混合物の四分の一をEcoRIで分解されたベクターpブルースクリプトII SK+(Strata遺伝子)中に結合させた。結合後、24個のクローンを配列決定によってさらに分析した。AlwNIおよびSphIで分解された試料により、MP−52と呼称される新規の配列が得られた。別のクローンは、主にBMP6−配列を有し、1つのクローンは、BMP7−配列を有していた。
クローンを、cDNAの3′末端でフローマン(Frohmann)(Perkin-Elmer Corp.によって刊行されたAmplifications,第5号(1990)、第11〜15頁)によって詳細に記載された方法により完成させた。MP−52の第1断片を分離するために使用された同じ胎児性mRNAを、上記の記載と同様に逆転写した。増幅を、MP−52配列のアダプタープライマー(AGAATTCGCATGCCATGGTCGACG)および内部プライマー(CTTGAGTACGAGGCTTTCCACTG)を使用しながら行なった。増幅生産物を、MP−52配列の重なり合うアダプタープライマー(ATTCGCATGCCATGGTCGACGAAG)および重なり合う内部プライマー(GGAGCCCACGAATCATGCAGTCA)を使用しながら再増幅した。再増幅生産物を、NcoIでの制限分解後に同様に分解されたベクター(1個のNcoI制限位置を含む変化された多重クローン化位置を有するpUC19(Pharmacia No.27-495101))中にクローン化し、かつ配列決定した。このクローンを、公知のMP−52配列の3′末端での配列の重なり合いによって特性決定した。その1つを、オースベル(Ausubel)等(Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience社刊(1989))によって詳細に記載された方法によりヒトのゲノム遺伝子バンク(Strata遺伝子No.946203)をスクリーニングするためのゾンデとして使用した。ファージ8×105λから、約20kbの挿入断片を含有するファージ(λ2.7.4)を分離し、かつ寄託番号7387でDSMに寄託した。このクローンは、mRNAから記載された方法によって分離された配列とともに他の配列情報を5′末端に有している。
配列分析するために、約7.45kbのHindIII断片を、同様に切断されたベクター(ブルースクリプトSK、Strata遺伝子No.212206)中に二次クローン化した。SKL52(H3)MP12と呼ばれる前記プラスミドを、同様に寄託番号7353でDSMに寄託した。SEQ ID No.1で示される配列情報は、ファージλ2.7.4に由来する。位置640でのATGは、読み枠内での第1のATGである(位置403で終止コドンは生じる)。これは、配列データに基づいて翻訳のための開始コドンであると推測される。
ゲノムDNAは、SEQ ID No.1の塩基対1270と1271との間に約2kbのイントロンを有している。イントロンの配列は示されていない。スプライシング位置の適切さは、この領域を有するcDNAに由来する増幅生産物の配列決定によって証明された。この配列情報は、フローマン(Frohmann)(Perkin-Elmer Corp.によって刊行されたAmplifications,第5号(1990)、第11〜15頁)によって詳細に記載された容易に変えられる方法により得られた。また、MP−52の3′末端の分離のために使用された同様の胎児性RNAを、MP−52配列(ACAGCAGGTGGGTGGTGTGGACT)の5′方向に配向された内部プライマーを使用しながら逆転写した。ポリAの尾を、末端転移酵素を使用しながら第1のcDNA鎖の5′末端に結合した。2工程の増幅を、第1にオリゴdTおよびアダプター配列からなるプライマー(AGAATTCGCATGCCATGGTCGACGAAGC(T16))を使用することによって実施し、第2にMP−52配列のアダプタープライマー(AGAATTCGCATGCCATGGTCGACG)および内部プライマー(CCAGCAGCCCATCCTTCTCC)を使用することによって実施した。増幅生産物は、同じアダプタープライマーおよびMP−52配列の重なり合う内部プライマー(TCCAGGGCACTAATGTCAAACACG)を使用しながら再増幅された。引続き、再増幅生産物を、MP−52配列の重なり合うアダプタープライマー(ATTCGCATGCCATGGTCGACGAAG)および重なり合う内部プライマー(ACTAATGTCAAACACGTACCTCTG)を使用しながら再増幅した。再増幅生産物を、同じ末端でEcoRVが分解されている1つのベクター(ブルースクリプトSK、Strata遺伝子No.212206)中にクローン化した。このクローンを、λ2.7.4のDNAを用いての配列の重なり合いによって特性決定した。
更に、ヒトの繊維芽細胞のRNAから製造されかつλgt10中でクローン化されたcDNAバンクを、スクリーニングした。この場合には、ファージ2×106が試験され、この場合放射性ゾンデとしてゲノムMP−52−DNAの約1kbの大きさの断片(3′−未翻訳領域内のHindIII制限位置までの2.エキソン)が使用された。17個の混合プラークを採用し、これは、MP−52配列の5′領域および3′領域からのプライマーを使用しながらPCRを用いて試験された。その上、8個のファージプラークを選択し、かつ個別化した。cDNAを、ファージからのEcoRI部分分解により分離し、かつ同様にEcoRIで分解されたブルースクリプトベクター中にクローン化した。
生じるプラスミドSK52L15.1MP25の配列決定は、最長のファージ(15.1)がSEQ ID No.1のヌクレオチドNo.321で開始されることを示した。更に、配列決定によってスプライシング位置(ヌクレオチド1270)は証明された。
プラスミドSKL52(H3)MP12を、寄託番号7353で1992年12月10日にDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen,Mascheroder Weg 1b,38124 Braunschweig)に寄託した。
ファージλ2.7.4を、寄託番号7387で1993年1月13日にDSMに寄託した。
プラスミドSK52L15.1MP25を、寄託番号8421で1993年7月16日にDSMに寄託した。
例2
MP52の発現
MP−52の発現のために、種々の系を試験した。発現系としてのワクシニアウィルスの使用は、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel他,Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience社刊,Wiley & Sons)に詳細に記載されており、当業者にとって修正可能なものであり、なお、これは以下、CP第16章ユニット16.15〜16.18と略記されている。この系は、異質DNAを一定のベクターを使用しながら相同的な組換えによってワクシニアウィルスのゲノム中に組み込むことができることに基づいている。この目的のために、使用されるベクターは、ワクシニアウィルスのゲノムからのTK(チミジンキナーゼ)遺伝子を有している。更に、組換えウィルスに対する選択を可能にするために、ベクターは、大腸菌−キサンチン−グアニン−ホスホリボリボシル−転移酵素−遺伝子(gpt)(Falkner他、J. Virol. 62(1988),1849-1854)を有している。このベクター中でMP52のための全コード領域を有するcDNAをクローン化した。cDNAはプラスミドSK52L15.1MP25(DSM、寄託番号8421)に由来するが、しかし、このプラスミドは、5′−未翻訳領域の大部分を除去するためにまず欠失されかつ中間クローン化された。そのために、プラスミドSK52L15.1MP25をSalIで系統化し、段階的に5′末端をExoIII/ムンビーンキット(Mung Bean Kit)(Strata遺伝子No.200330)で製造者の規定により欠失させた。BamHIでの制限後、種々の広範に欠失されたMP52cDNAsをアガロースゲル上で残存ベクターと分離し、単離し、かつ標準法(Sambrook他、Molecular Cloning,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)によりEcoRVおよびBamHIで制限されたpブルースクリプトII SK−ベクター(Strata遺伝子No.212206)中で中間クローン化した(pSK52s)。全体の制限を製造者の規定により行なった。配列決定酵素(Sequenase)(USB/Amersham No.70770)を用いての配列決定により、特にSEQ ID No.1(開始コドンの64個の塩基対を除去した)中のヌクレオチド576で開始される1つのクローンを生じた。このクローンからSalIおよびSacIの制限によりcDNA挿入断片を分離し、かつ同様に分解されたベクター中でワクシニアウィルス中での組換えのためにクローン化した。生じるプラスミド(pBP1MP52s)を1994年5月24日にDSM(寄託番号9217)に寄託し、かつ組換えワクシニアウィルスの製造に使用した。このために、80%の集密的な143B細胞(Hutk-,ATCC CRL 8303)にPBS2ml中のワクシニア野生型ウィルスを35mmの培養皿中で室温で30分間ときどき振盪させながら感染させた(10個の細胞に対して1つのウィルス)。上澄み液を吸引濾過しかつ培養液(MEM,Gibco BRL No.041-01095)2mlを添加した後、37℃で2時間恒温保持した。引続き、この培養液を除去し、これらの細胞の形質転換をMEM 1ml中のpBP1MP52s 100ng、担体DNA(牛の胸腺、Boehringer Mannheim No.104175)2μgおよびリポフェクチン(Lipofektin)(Gibco BRL No.18292-011)を用いて37℃で15時間で達成させた。FCS(Gibco BRL No.011-06290)20%を有するMEM1mlの添加後、37℃でさらに24時間恒温保持し、引続き溶解された細胞を凍結乾燥させた。
キサンチン−グアニン−ホスホリボシル転移酵素に対するgpt選択および分離および個々の組換えウィルスの増幅は、本質的にCPのユニット16.17の記載と同様に行なわれたが、しかし、RK13細胞(ATCC CCL 37)を使用した。
ウィルス−ゲノム中へのMP52 cDNAの組込みをドットブロット(dot blot)分析およびサザンブロット分析(CPユニット16.18)によって証明した。組換えウィルスを細胞系列143B(HuTK-,ATCC CRL 8303,ヒト)中での発現分析のために使用した。集密的細胞を細胞数に相当する数のウィルスで37℃で45分間感染させ、引続き相応する培養液(MEM,Gibco BRL No.041-01095)にFCS10%およびペニシリン/ストレプトマイシン(1:500,Gibco BRL No.043-05140H)を添加した。37℃で6時間後、この培養液を除去し、細胞を2回、例えばHBSS(GibcoBRL No.042-04180M)で洗浄し、生産媒体(例えば、MEM)をFCSなしに添加した。20〜22時間の生産後、細胞の上澄み液を捕集した。発現の分析を標準法(CPユニット10.8)によるウェスタンブロットによって行なった。そのために、細胞培養上澄み液100〜500μlからの蛋白質を等量のアセトンの添加および氷上での少なくとも1時間の恒温保持によって沈殿させ、かつ遠心分離した。ペレットを適切な緩衝液(尿素7モル、SDS 1%、燐酸二水素ナトリウム7ミリモル、ブロムフェノールブルー0.01%および場合によってはβ−メルカプトエタノール1%)中に再懸濁させた後、15%のポリアクリルアミドゲル中での分離を行なった。標識蛋白質として、予め着色された蛋白質−分子量標準(Gibco BRL No.26041-020)を使用した。PVDF膜(Immobilon No.IPVH00010)上での転移および膜の遮断は、標準法により行なわれた。
膜上のMP52を検出するために、MP52に抗するポリクロナール抗体をニワトリ中ならびにカイウサギ中に産出させた。このために、例えばホチュリ(Hochuli)他(BIO/Technology,第6巻、1321-1325(1988))の記載と同様に、MP52の成熟部分を大腸菌の場合のN−末端に接する6個のヒスチジンで発現させ、かつ精製した。2つの抗体を用いた場合には、MP52の特異的発現を検出することができ、この場合二量体MP52は、単量体よりも殆ど効果的でないことが認められる。図3に示したウェスタンブロットのためには、PEG沈殿(Thalley他,BIO/Technology第8巻,934-938(1990))および膜に結合した抗原(6個のヒスチジンを有する成熟MP52)(Sambrook他、Molecular Cloning,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989中の18.17)により特異的に精製されているニワトリ抗体を使用した。第2の抗体として結合されたアルカリホスファターゼ(シグマA9171)を有する抗ニワトリIgGを使用した。検出をトロピックスウエスタンライト蛋白質検出キット(Tropix Western-Light Protein Detection Kit)(Serva社 No.WL10RC)を用いて製造者の記載により行なった。
図3の場合のウェスタンブロットは、組換えウィルスの場合にのみMP52の特異的帯域を生じるが、しかし、野生型のウィルス(組み込まれた異質DNAのない)の場合にはMP52の特異的帯域は生じないことを示している。MP52の発現は、非還元の条件下で出現する分子量約25kDaを有する分泌された蛋白質を導く。還元条件下で蛋白質は、ゲル中14〜15kDaで展開する。この結果は、MP52が二量体の成熟蛋白質として発現されていることを示す。ウェスタンブロットで生じる、60kDaを上廻る範囲内の弱い帯域は、恐らく切断されていない前駆物質蛋白質の残基である。その上、展開挙動は、SEQ ID No.2から導出すべき理論的分子量を証明し、それによれば、成熟の単量体MP52は、13.6kDaの大きさを有している。
MP52の発現および成熟MP52への前駆物質蛋白質の分解は、種々の細胞系列において検出可能である。C127(ATCC CRL 1616,マウス)、BHK21(ATCC CCl 10,ハムスター)、MRC−5(ATCC CCL 171,ヒト)および3T6−スイスアルビノ(Swiss albino)(ATCC CCL 96,マウス)の細胞を試験した。
また、成熟MP52に対する発現および分解は、他の真核発現系においても示された。そのために、MP52のcDNA(ヌクレオチド576で開始する)を発現プラスミドpSG5(Strata遺伝子No.216201)中にクローン化した。プラスミドpSK52sをClaIおよびXbalで制限し、かつT4−ポリメラーゼ処理によってMP52−挿入断片の上に懸吊されている末端を切り取った。EcoRIで制限されかつT4−ポリメラーゼ処理によって同様に末端を切り取られたベクターpSG5のクローン化を標準法により行なった。全ての酵素反応は、製造者の記載により行なわれた。MP52−挿入断片の正しい配向を制限分析およびT7−プライマー(Strata遺伝子No.300302)での配列決定によって確実なものにした。生じるプラスミドpSG52s(寄託番号DSM9204でDSMに1994年5月17日に寄託した)は、安定な細胞系列を得るために、選択可能な標識、例えばG418−耐性のための遺伝子をコードするベクターで共形質転換することができる。この目的のために、pSG52sをプラスミドp3616(寄託番号DSM9203でDSMに1994年5月17日に寄託した)を用いてL929細胞(ATCC CCL1,マウス)中でリポフェクチン(Gibco BRL No.18292-011)と一緒に製造者の記載により共形質転換した。G418を用いての選択は、当業者に公知の方法(CP,ユニット9.5)により行なわれ、かつウェスタンブロットで検出可能な成熟MP52中で生産される細胞系列を導く。MP52のためのもう1つの発現ベクターをドクターミヤザキ(Dr.Miyazaki)によって提供されたプラスミドpABWN(Niwa他,Gene 108(1991),193-200および図4)を使用しながら製造した。
そのために、SEQ ID No.1のヌクレオチド576で開始するプラスミドpSK52sからのHindIII断片を分離し、上に懸吊されている末端をクレノウ断片を用いての処理によって切り取った。アダプターの連結反応によって2つの断片末端でNotIの制限切断位置を導入した。
Figure 0003795068
ベクターpABWnをXhoIで制限し、同様にクレノウ断片で処理し、かつ牛の直腸のアルカリホスファターゼ(Boehringer Mannheim)で脱リン酸した。同じ脱リン酸したアダプターを結合させ、したがって今やベクターの産生されたNotIの切断位置中へのNotIでの制限後のMP52−断片の挿入は可能になった。生じる発現ベクターを以下HindIII−MP52/pABWNと呼称する。クローン化のために実施される全ての反応を標準法(例えば、CPユニット3.16)により行なった。HindIII−MP52/pABWN発現ベクターの構造を配列決定および制限地図の作成によって証明した。HindIII−MP52/pABWNは、SEQ ID No.1のヌクレオチド576で開始されかつヌクレオチド227で終結するMP52配列を有する。
HindIII−MP52/pABWNをL細胞(マウスの繊維芽細胞)中に移入させ、それから安定な形質転換細胞を確定させた。そのために、プラスミドそれぞれ4μg(HindIII-MP52/pABWNまたはpABWN)を5×105L−細胞中に6cmの培養皿上でLopofectAMINE試薬(Gibco BRL No.18324-012)20μlを使用しながら移入した。そのために、溶液A(OPTI-MEM I(Gibco BRL No.31985)200μl中のそれぞれのプラスミドDNA4μg)を溶液B(OPTI-MEMI200μl中のLipofectAMINE試薬20μl)と注意深く混合し、かつ室温で45分間DNAリポソーム複合体の形成のために恒温保持した。その間に、細胞を1回OPTI−MEM I 2mlで洗浄した。それぞれの移入のために、OPTI-MEM I 1.6mlをDNAリポソーム複合体を有する容器に入れた。この溶液を注意深く混合し、それによって洗浄された細胞を上に成層させた。細胞を希釈された複合体と一緒に37℃で5時間CO2恒温保持器中で恒温保持した。恒温保持後、DMEM(Gibco BRL, Dulbecco's Modifiziertes Eagle Medium)2ml/FCS20%を添加した。移入してから24時間後、この媒体に新しいDMEM/FCS10%を添加した。移入を開始してから48時間後、細胞を10cmの培養皿中に移した。移入を開始してから72時間後、800μg/mlの濃度を有するG418の選択を開始した。安定なクローンは、1〜2週間後に現われた。
FCSを有するかまたはFCSを有しない状態調節されたDMEM5mlを集密的な形質転換細胞から得、これを3日間10cmの培養皿中で洗浄した。形質転換された細胞の2つの異なる細胞培養上澄み液(HindIII-MP52/pABWNおよびpABWN)ならびに細胞溶解物(Zellysate)をウェスタンブロットで検査した。この場合、成熟MP52は、状態調節された媒体中ならびにHindIII−MP52/pABWNを移入した細胞の細胞溶解物中に見い出された。クローンをさらにクローン化し、MP52を生産する細胞をそれぞれウェスタンブロット分析により選択した。ウェスタンブロット分析からの評価により1mg/lまでのMP52生産が生じた。
例3:
MP52の生物学的活性
MP52の生物学的活性を検出しかつ骨の疾病の回避および/または治療の医学的使用のための本発明の有用性を証明するために、数多くの実験を試験管内および生体内で実施した。
1.試験管内での検定法
1.1
TGF−β刺激後に軟骨細胞中でグリコアミノグリカン(GAG)合成が増大することは記載されている(Hiraki他、Biochimica et Biophysica Acta 969(1988),91-99)ので、MP52が同様にこの影響を発揮するのか否かを試験した。MP52を生産するL−細胞の形質転換細胞(HindIII-MP52/pABWNと一緒に移入された)の細胞培養上澄み液(FCS10%を有するDMEM)を使用しながら、胎児性ラットの四肢からの一次培養の場合のMP52の軟骨遺伝子活性を試験した。
そのために、年齢16日のラットの胎児の四肢を使用した。トリプシン処理後、F−12媒体(栄養混合物Ham's F-12,Gibco BRL No.21700)中の取得された細胞をFCS10%と一緒にコラーゲンの型Iで被覆された24個のウェルを備えた、細胞3×105を有する板上に平らに入れ、かつ集密的になるまで約2日間培養した。培養液(FCS10%を有するF-12媒体)500μlにHindIII−MP52/pABWN−L−細胞トランスフェクタント、pABWN−L−細胞トランスフェクタントまたは媒体(FCS10%を有するDMEM)だけの状態調節された媒体(KM)それぞれ56μlを添加した。0、3、6および9日間の時間の亘って、FCS10%を有するF−12媒体ならびに相応する添加剤を使用した。3日間全体で、相応する添加剤を有する媒体の交換を行なった。その後に、この培養液をさらに2日間FCSなしのF−12媒体中で相応する添加剤(状態調節された媒体もしくは対象媒体)の存在下に培養し、次いで35S−硫酸塩を6時間添加した。多糖類中に配合された35Sを、ヒラキ(Hiraki)他(Biochimica et Biophysica Acta 969(1988),91-99)の記載と同様にプロナーゼEの消化および沈殿の後に測定した。
Figure 0003795068
第1表に示されているように、MP52を生産するトランスフェクタントの細胞培養上澄み液は、重要なことに純粋な培養液(FCS10%を有するDMEM)またはpABWN−移入されたL−細胞の細胞培養上澄み液と比較してGAG合成を刺激する。このことは、MP52が軟骨細胞の分化を刺激しうることを示す。
1.2
BMP系統群の若干のメンバーについて記載された効果は、骨芽細胞中のアルカリホスフェターゼ(ALP)活性が上昇することにある。クローンラット細胞系列ROB−C26(C−26)は、相対的に早期の成熟段階の骨芽細胞に数えられる(Yamaguchi他,Calcif. Tissue Int. 49(1991),221-225)。例えば、BMP−2のような骨誘発性蛋白質について、ALP−活性を上昇させる能力をヤマグチ(Yamaguchi)他(J. Cell Biol. 113(1991),681-687)は記載している。
C26−細胞に対するMP52の影響を次のように試験した:C26−細胞をウェル1個当たり3×104の細胞を用いて24個のウェルを備えた板中に播種し、かつα−MEM(Gibco BRL)/FCS10%中で集密になるまで培養した。ウェル1個当たりMP52を生産するL−細胞トランスフェクタント(HindIII-MP52/pABWN)の細胞培養の上澄み液もしくはpABWN−L−細胞トランスフェクタントの細胞培養上澄み液またはL−細胞の細胞培養上澄み掖(FCS10%を有するDMEM)だけ56μlをC−26細胞培養媒体500μlに添加した。相応する添加物を有する媒体の交換は、全部で3日間で行なった。細胞抽出液のALP−活性を0、3、6、9および12日後に、例えばタクワ(Takuwa)他(Am. J.Physiol. 257(1989),E797-E803)が記載したように基質としてのp−ニトロフェニル−ホスフェートを基礎とする標準技術を用いて測定した。
Figure 0003795068
第2表に示されているように、ALP活性は、MP52の添加によって重要なことに純粋なDMEM/FCS10%媒体およびpABWNにより感染したJ−細胞の媒体と比較して上昇する。この結果は、MP52が軟骨細胞の分化を生じうるだけでなく、骨芽細胞の分化および円熟を生じうることを示す。
更に、タクワ(Takuwa)他(Biochem. Biophys. Res. Com. 174(1991),96-101)が記載したようにBMP−2の処理によってALP活性を示す骨芽細胞細胞系列(MC3T3-E1,マウス)は、MP52を生産するL−細胞トランスフェクタント(HindIII-MP52/pABWN)の状態調節された媒体またはMP52の生産後の媒体と一緒の恒温保持後に組換えワクシニアウィルスを用いての感染によってALP−活性の変化を全く生じない。このことは、MP52が目下、BMP−2とは偏倚した細胞特異性を有していることに関連する。個々のTGF−β系統群メンバーのための種々の目的場所に応じて異なる機能は、大きな医学的重要性を有することができる。
2.生体内実験
2.1
骨の形成について最も力強く述べることができる可能性を試すことは、生体内での異所性骨形成に基づくものである。このことは、例えば鉱物投与されてない骨基質の移植によって誘発されうる(Urist, Science 150(1965),893-899)。不活性の基質と骨を誘発する蛋白質との組合せによって、例えばサムパス(Sampath)他(PNAS(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)78(1981),7599-7603)が記載したのと同様のプロセスを誘発させることができる。この骨形成のプロセスは、胎児性の軟骨の骨形成および成人の骨の治癒のプロセスと等しいものである。従って、この方法は、生体内での骨誘発に対する蛋白質の能力を試みる可能性を提供する。
このような試験のために、ワクシニアウィルス系(例2参照)中での発現によって得られたMP52蛋白質を部分的に浄化し、かつ移植した。
そのために、143B細胞(HuTk-,ATCC CRL 8303)をを培養皿中および細頚瓶中で集密になるまで培養し、発現分析のための例2の記載と同様に組換えウィルスを感染させ、洗浄し、かつ約20時間MP52をMEM(Gibco BRL,細胞106当たり約1ml)中に蓄積させた。対照として、野生型のウィルスで感染させた同じ配合物を生じさせた。全ての配合物の細胞培養上澄み液(状態調節された媒体)を捕集し、かつ遠心分離した(4℃で30分間40000×g)。ウィルスを除去するために、上澄み液を無機フィルター(孔径0.1μm、Whatman, Anotop 25)を介して濾過した。MP52の特性決定の経過中に、この蛋白質は、ヘパリンセファロースに結合することが示された。この挙動は、部分的浄化に利用された。そのために、濾過されかつ遠心分離され、状態調節された媒体をトリス50ミリモル pH7.0、NaCl 100ミリモルおよび尿素6モルの最終濃度にもたらし、かつヘパリンカラムA(トリス50ミリモル pH7.0、NaCl 100ミリモルおよび尿素6モル)中で平衡にされているヘパリンカラム(HiTrapTM, Pharmacia No.17-0407-01)上に負荷した。負荷されたカラムを緩衝液Aで洗浄し、かつ0.5ml/minの通過流速度の際に緩衝液B(トリス50ミリモル pH7.0、NaCl 600ミリモルおよび尿素6モル)100%による線状勾配で50分間で溶離した(分画1回当たり2.5ml)。尿素の使用は強制的なものではない。ウェスタンブロット分析(例2参照)により、MP52は再生可能であるように主に2回の分画でNaCl約250〜400ミリモルを溶離することを検査することができた。この画分のアリコートを同様に製造者の記載により銀で着色された15%のポリアクリルアミドゲル(Silver Stain-II, Daiichi No.SE140000)を用いて試験し、かつ画分をプールした。野生型のウィルスでの感染後に状態調節された媒体の精製後に比較可能な画分を分析後に銀で着色されたゲル中に同様にプールした。
更に、MP52に対する試験から、MP52もヒドロキシアパタイトに結合していることが判明した。従って、ヒドロキシアパタイトによって付加的な精製を達成すること、もしくはヘパリンカラムをヒドロキシアパタイトカラム(例えば:BIO-RAD,Econo-pac HTP)によって代替することは、原理的に可能である。また、後精製のために当業者に知られた別の公知方法、例えばゲル篩カラム法、イオン交換カラム法、アフィニテートカラム法、金属キレートカラム法または疎水性交換作用に基づくカラム法が考えられる。
ヘパリンセファロースクロマトグラフィーにより前精製されたMP52蛋白質もしくは野生型の感染された細胞培養上澄み液中にも存在する相応するなお汚染されていない蛋白質をさらに逆相HPLCにより精製した。そのために、C8−カラム(Aquapore RP300, Applied Biosystems,粒径:7μm、孔径:300オングストローム)を緩衝液B(緩衝液A:トリフルオロ酢酸0.1%;緩衝液B:アセトニトリル90%、トリフルオロ酢酸0.1%)10%で平衡にした。カラムをヘパリンカラムのMP52を含有するプールした画分で負荷した後、緩衝液B 10%で十分に洗浄した。結合された蛋白質を次の勾配を用いて溶離した:20分間に亘って緩衝液B 10〜50%および50分間に亘って緩衝液B 50〜100%。画分を500μl捕集し、かつウェスタンブロットならびに銀で着色されたゲル中で分析した。MP52蛋白質は、選択された条件下でほぼアセトニトリル55〜65%の範囲内で溶離された。MP52を有する画分をプールした。同様のことを野生型のウィルスで感染された細胞の細胞培養液の上澄み液を対照精製することによる相応する画分を用いて行なった。
また、部分精製されたMP52−蛋白質は、50ナノグラム/mlのウェスタンブロット分析により評価される濃度で3回の恒温保持段階後にROB−C26−細胞に対してALP活性の明らかな上昇を示した。
軟骨形成および骨形成の能力を証明するために、部分的に精製されたMP52−蛋白質もしくは野生型のウィルスの感染後の相応する部分的に精製された細胞培養上澄み液からの対照蛋白質を基質で再構成され、かつラット中に移植した。
原理的には、当業者に知られた基質材料、即ち天然の基質(また、変性された)および合成により得られた基質を使用することができるが、しかし、有利には、生物認容性の、生体内で生物学的に分解可能な多孔質材料を使用することができる。この実験において、本質的にサムパス(Sampath)他(PNAS 80)1983),6591-6595)が記載したのと同様に調製された、ラットの骨基質を使用した。ラットの骨(FemurおよびTibia)をHCl 0.6モル中で24時間脱塩し、引続きなお存在する骨標識を除去した。水での洗浄およびクロロホルム/メタノール(1/1)混合物中での3時間の脱脂の後、骨を空気乾燥し、低温凍結させ、ミル中で粉砕し、かつ400〜1000μmの粒径を篩別した。引続き、基質を室温で7日間グアジニウム−HCl 4モル中でプロテアーゼ阻害剤の存在下に抽出した。水での広範囲の洗浄の後、基質を凍結乾燥させ、かつ4℃で貯蔵した。こうして処理された基質は、単独で骨誘発性の活性をもはや示さない。
蛋白質は、当業者に知られた種々の方法で抽出された骨基質と組み合わせることができる。
ヘパリンセファロースによっても逆相HPLCによっても精製されているMP52−蛋白質もしくは対照蛋白質をアセトニトリル/トリフルオロ酢酸溶液中で溶離後に移植組織1個当たりそれぞれ基質25mgと合わせ、十分に混合し、低温凍結させ、かつ凍結乾燥した。基質に結合したMP52の移植のために、体重100g当たり0.14mlを有する麻酔剤(Ketanest 50(Parke Davis)0.5mlで混合したRompun(Bayer社)0.2ml)の筋肉内注射によって意識を失っている年齢約3ヶ月の2匹のラット(Whister)を使用した。移植組織のために、腹筋系(胸部の下方、最も下の胸骨弓の下方約0.5cmから開始)中の両側の袋を調製した。基質に結合したMP52(ウェスタンブロットでの評価後約2〜4μg)ならびに相応するマトリックスに結合した対照蛋白質を0.9%の食塩溶液(Delta Pharma社)で湿らせ、かつ筋肉の袋中に移した。引続き、筋肉の袋ならびに必要とされる皮膚の切断片を縫い合わせた。ラットをシクロスポリンA(Sandimmun社)で免疫抑制した。18日後もしくは26日後に、挿入断片をラットから取り出し、かつ組織学的試験のために固定した。MP52を有する移植組織により26日後に既に巨視的に骨の形成が推測されたので、これを薄い切片の完成のためにメチルメタクリレート中に埋設させ、別の移植組織をパラフィン中に埋設させた。鉱物投与された軟骨組織および骨組織をコッサ(Kossa)による着色技術(Romeis, B; Mikroskopische Technik, Boeck, P編;Urban und Schwarzenberg; Muenchen, Baltimore, Wien(1989))によって黒色で際立たせる。マッソン−ゴルトナー(Masson-Goldner)(Romeis, B; Mikroskopische Technik, Boeck, P編;Urban und Schwarzenberg; Muenchen, Baltimore, Wien(1989))によるトリクロム着色法の場合には、鉱物投与された骨組織およびコラーゲンを光り輝くように緑に着色し、類骨は赤であり、かつ細胞質は帯赤褐色である。双方の着色技術を2つのラットからの移植組織上に使用した。双方の着色技術を用いた場合には、2つの試験動物において、MP52を含有する移植組織内で明らかに軟骨形成および骨形成を検出することができた。対照蛋白質を有する相応する移植組織は、軟骨形成または骨形成を示さなかった。同心円内で細胞外基質の形成が開始されかつ細胞外基質の鉱物投与が開始される軟骨細胞および軟骨面積を有する軟骨前駆物質の含量は、26日後の場合によりも多い18日後のMP52移植組織にある。しかし、18日後の移植組織の場合にも、既に方向性をもった類骨形成有する成熟骨組織ならびに骨内での個々の骨細胞を検出することができる。更に、骨標識形成の開始とともに閉鎖された小骨を認めることができる。また、26日後の移植組織の場合には、基質の形成および石灰化の開始とともに軟骨面積を検出することができるが、しかし、骨細胞および類骨縁部を有する緑に着色された鉱物投与された骨組織の含量は、明らかに増大していた。また、この移植組織の場合には、個別化された脂肪細胞の存在を有する骨標識の形成を検出することができる。明示するために、図5には、26日後の全移植組織の骨物質の着色検出法(Kossaによる)が示されている。図6には、マッソン−ゴルトナー着色法によるおよびなし移植組織の小さい割れ目が示されている。個々の壁面中に固着された骨芽細胞中のクビオダール(kubiodale)の骨芽細胞および類骨からの縁部を有する活性の骨が示されている。更に、鉱物投与された骨組織(元来の調製物中で緑に着色されている)中の個々の骨細胞を目視することができる。骨標識形成も同様に検出可能である。
この試験は、組換え体を製造したMP52が単独で基質との組合せ物で軟骨の骨形成を誘発する状態にあることを示す。
2.2
結果を証明するために、他の逸所症の骨形成試験をMP52 L−細胞形質転換細胞を使用しながら実施した。MP52を生産する(HINDIII-MP52/pABWN転移された)L−細胞(1×106細胞)およびMP52を生産しない(pABWN転移された)L−細胞(1×106細胞)をそれぞれ3匹の雄の毛の生えていないマウスの両側の大腿筋中に注射した。3週間後、全ての動物を死亡させ、大腿筋を分離し、この大腿筋を低エネルギーのX線照射により検査し、ならびに組織病理学的に検査した。
第3表に示されているように、X線照射の分析により、全てのMP52を生産するL−細胞の筋肉組織中での注射位置で緊密な物質が示されている。組織学的検査によれば、筋肉内で簡単な軟骨形成および石灰化された軟骨形成を確認することができた。また、この結果は、MP52が軟骨の骨形成を誘発することができることを証明している。
Figure 0003795068
実施された実験は、、P52蛋白質が分化されていない間葉板細胞からの軟骨の形成、ならびに骨芽細胞の分化および成熟を刺激することを証明している。このことは、胎児性骨形成の場合の誘発カスケードおよび骨折の際の骨の治癒に匹敵する軟骨の骨形成を導く。
試験において記載された条件は、MP52活性の説明のためのものであり、これに限定されるものではない。また、本発明は、別の形で試験することもでき、かつ特性決定することもできる。
本発明に記載された細胞系列およびプラスミドについては、添付した寄託証明書の記載から明らかである。
Figure 0003795068
Figure 0003795068

Claims (11)

  1. MP52蛋白質をコードしかつ
    (a)SEQ ID No.1で示されるヌクレオチド640〜2142または1783〜2142、
    (b)SEQ ID No.2で示されるアミノ酸1〜501または382〜501をコードするヌクレオチド配列または
    (d)(a)または(b)からの配列の1つでストリンジェントな条件下でハイブリダイズされるヌクレオチド配列を含み、この場合(d)に記載のDNA分子は少なくとも成熟蛋白質
    Figure 0003795068
    をコードする部分を有するという前提条件下にあるDNA分子。
  2. 請求項1記載のDNA分子の少なくとも1つのコピーを含有するベクター。
  3. 請求項1記載のDNAまたは請求項2記載のベクターで形質転換されているホスト細胞。
  4. 細菌類、真菌類、植物性細胞または動物性細胞である、請求項3記載のホスト細胞。
  5. 請求項1記載のDNA配列にコードされた、MP52蛋白質。
  6. SEQ ID No.2で示されたアミノ酸配列を有する、請求項5記載の蛋白質
  7. MP52蛋白質を製造する方法において、請求項3または4に記載のホスト細胞を培養し、MP52蛋白質を細胞または/および培養上澄み液から取得することを特徴とする、MP52蛋白質の製造法。
  8. 天然または合成のマトリックス材料上に施こされておりおよび/または該マトリックス中に組み込まれている作用物質としての請求項5または6に記載の少なくとも1つの蛋白質を場合によっては製薬学的に常用の担持剤、助剤、希釈剤または充填剤と一緒に含有し、前記マトリックス材料が生物認容性の、生体内で生物学的に分解可能な多孔質材料であることを特徴とする、骨、軟骨、結合組織、皮膚、粘膜、上皮または歯の損傷を治療するかまたは予防するための、骨のインプラント用の、および創傷の治癒プロセスおよび組織再生用の製薬学的組成物。
  9. 請求項5または6に記載の蛋白質抗体または抗体断片。
  10. SEQ ID No.2で示されたアミノ酸382〜501に相当する成熟部分を有する、請求項5記載の蛋白質。
  11. 成熟部分に加えてプロペプチド部分を含有する、請求項10記載の蛋白質。
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