JP3859703B2 - TGF−βファミリーの新規な成長/分化因子 - Google Patents
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Description
BMP、TGF、及びアクチビン/インヒビンに関連した種々のタンパク質は、成長因子であるTGF−βファミリーに属する物質である(RobertsおよびSporn, Handbook of Experimental Pharmacology 95, 419-472 (1990))。これらの因子は、医療での多岐にわたる治療方法や用途と関連性を有する物質で、傷の治癒や組織の再生に関連した種々の方法に用いるのに適している。さらに、TGF−βファミリーのいくつかの物質は、組織の成長、たとえば、骨の成長を誘導する。
Wozney(Progress in Growth Factor Research 1 (1989), 267-280)、ならびにValeら(Handbook of Experimental Pharmacology 95 (1990), 211-248)には、各種の成長因子、たとえばBMP及びアクチビン/インヒビン群に関連した因子が記載されている。こうした一群の因子には、有意な構造上の類似性がある。こうしたタンパク質の前駆体は、アミノ末端シグナル配列、プロペプチド配列、及び110−140個のアミノ酸からなるカルボキシ末端配列から構成されており、このカルボキシ末端配列が、前駆体から切断されて、成熟タンパク質になる。また、TGF−βファミリーに属する物質には、アミノ酸配列の相同性がある。成熟タンパク質は、最も保存された配列、具体的には、TGF−βファミリーに属する物質に共通に保存されている7つのシステイン残基を含んでいる。TGF−β様のタンパク質は、多機能性で、ホルモン活性を有する成長因子である。TGF−βファミリーに属する物質は、細胞の走化性誘引、細胞分化促進、組織誘導性といった相互に関連した生物活性も有している。EP 0 222 491 A1には、インヒビンα鎖及びβ鎖の配列が開示されている。
全体として見れば、TGF−βファミリーのタンパク質は、それぞれに構造が異なっており、そのため、それぞれの生物学上の機能に相当の差が生じている。また、TGF−βファミリーのタンパク質は、多岐にわたる各種の組織や発達段階で見いだされる。その結果、それぞれの機能、たとえば、必要とされる細胞の生理学的環境、寿命の長さ、標的とする領域、補因子の必要性、変性に対する抵抗に差が生じている可能性がある。組織誘導能を示すタンパク質は数多く記載されているものの、そうした物質の生物中での天然の機能や、さらに重要な意味をもつ医療との関連性については、さらなる詳細な研究が必要とされている。おそらく、各種組織の分化/誘導にとって重要な意味をもつTGF−βファミリーの未知の物質が、まだ存在しているものと考えられる。しかし、そうした新規なTGF−β様タンパク質の単離に際しては、そうしたタンパク質の機能がきっちり記載されておらず、識別性の高い生物学的分析方法を開発できないことが最大の障害となっている。一方、TGF−βファミリーの既知の物質との予期されるヌクレオチド配列の相同性は、従来の核酸ハイブリダイゼーション法によるスクリーニングを行うには小さすぎる。ともあれ、医療上所望される要件をすべて満たす誘導性及び分化性のタンパク質をさらに提供するべく、新規なTGF−β様タンパク質の単離及び特性解析が必要とされている。これらの因子は、医療に際して、傷創の治癒や、各種組織の変性を伴う疾病の治療に使用することができる。
TGF−βファミリーのタンパク質であるMP121のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列が、特許出願PCT/EP93/00350に記載されており、この特許出願には、成熟タンパク質に対応する、配列の主要部分が開示されている。プロペプチドMP121の完全な配列は開示されていない。
本発明の底流にある目的は、マイトジェン活性および/または分化誘導活性を有するTGF−βタンパク質ファミリーの新規な物質をコードするDNA配列を提供することにある。本発明の目的は、特に、TGFタンパク質であるMP121の完全なDNA配列及びアミノ酸配列を提供することにある。
この目的は、TGF−βファミリーのタンパク質をコードする以下のDNA分子によって達成される。すなわち、この分子は、
(a) 成熟タンパク質をコードする部分、及び必要に応じて配列番号1に示すヌクレオチド配列のさらなる機能性部分、
(b) 遺伝コードの縮重の範囲内にある、(a)の配列に対応するヌクレオチド配列、
(c) (a)および(b)の配列のいずれかの対立遺伝子誘導体に対応するヌクレオチド配列、あるいは
(d) 他の脊椎動物由来であるという事実ゆえに、配列(a)と異なる配列、
(e) (a)、(b)、(c)又は(d)の配列のいずれかとハイブリダイズする配列を含み、ただし、(e)のDNA分子は、少なくとも、TGF−βファミリーの成熟タンパク質をコードする部分を含んでいる。
本発明のさらなる実施態様は、請求項2−21の主題に関するものである。本発明の他の特徴及び利点は、好適実施態様の記載から明らかである。配列表と図面について、以下に簡単に説明する。
配列番号1は、ヒトのTGF−βタンパク質であるMP121をコードするDNAの完全なヌクレオチド配列を示す。ATG開始コドンは、ヌクレオチド128から開始する。完全な成熟タンパク質は、ヌクレオチド836から開始するのが、特に好ましい。
配列番号2は、配列番号1に示すヌクレオチド配列から導いた、ヒトのTGF−βタンパク質であるMP121のプレプロタンパク質の完全なアミノ酸配列を示す。成熟タンパク質の開始点は、アミノ酸217−240の領域であるのが好ましく、アミノ酸236又は237であるのが特に好ましく、アミノ酸237であるのが最も好ましい。
配列番号3は、マウスのTGF−βタンパク質であるMP121をコードするDNAの完全なヌクレオチド配列を示す。コード領域は、ヌクレオチド131のATG開始コドンから始まり、1187の位置から始まる停止コドンで終わっている。成熟タンパク質は、ヌクレオチド839から開始するのが好ましい。約5.5kbの大型のイントロンが、ゲノムDNAの446と447の間に位置している。
配列番号4は、配列番号3に示すヌクレオチド配列から導いた、マウスのTGF−βタンパク質であるMP121のプレプロタンパク質の完全なアミノ酸配列を示す。成熟タンパク質は、配列番号2のヒトMP121の場合と同様、アミノ酸217−240の領域から始まっている。成熟タンパク質がアミノ酸237から始まり、ヒトMP121の場合と同様に、成熟部分が116個のアミノ酸から構成されているのが最も好ましい。TGF−βファミリーの物質は、RXXR切断部位の後ろ側で切断されて、前駆体から成熟部分が分離することが多い。(Ozkaynakら、J. Biol. Chem. 267, 25220-25227 (1992)、及びこの文献に引用された文献を参照されたい)。マウス由来のMP121の場合には、成熟タンパク質の開始点が、アミノ酸236である場合も、少なくともありうる考えられる。
配列番号5は、ヒトMP121遺伝子のエクソン/イントロンが接する位置のヌクレオチド配列を示したものである。両方のエクソンからのヌクレオチドは大文字で、イントロンのヌクレオチドは小文字で示してある。
図1は、ヒトMP121のアミノ酸配列を、TGF−βファミリーのいくつかの物質(インヒビンα鎖およびβ鎖)と比較したものを、保存されているシステイン残基7つの最初のものの位置から示す。*は、比較したすべてのタンパク質でアミノ酸が同一であることを、+は、ヒトMP121と比較したタンパク質の少なくとも1種でアミノ酸が一致することを示す。
図2は、本発明で使用したオリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド配列、及びこれらの配列とTGF−βファミリーの既知の物質との比較を示す。MはA又はCを表し、SはC又はGを表し、RはA又はGを表し、KはG又はTを表す。図2aは、プライマーODの配列を示す。図2bは、プライマーOIDの配列を示す。
図3は、ヒトMP121に対するニワトリの抗体を使用したウェスタン・ブロットの図を示す。
図4は、各種マウス組織でのMP121の発現を、アクチビンβAおよびβBとの比較で示す。
図5は、部分精製MP121を用いた処理による、ドーパミン作動性ニューロンの生存に及ぼす正の影響を示す。
本発明の範囲では、「成熟タンパク質」という用語は、完全なタンパク質のうちの、完全なタンパク質と本質的に同一の生物活性を示すような機能性部分の領域であって、好ましくは、TGF−βファミリー内で保存されている7つのシステインの領域を少なくとも含む部分領域である。この場合、特に、成熟タンパク質のN末端にわずかに変化が生じていてもよく、すなわち、配列番号2および4に示す配列から変化が生じていてもよい。ちなみに、タンパク質の機能性に影響を及ぼさない追加のアミノ酸が存在していてもよいし、機能性が損なわれることがないならば、いくつかのアミノ酸が欠落していてもよい。しかし、ヒトのタンパク質及びマウスのタンパク質は、配列番号2および配列番号4に示すアミノ酸配列のアミノ酸237から始まる全てのアミノ酸を含んでいるのが好適である。TGB−βファミリーの他の物質から成熟タンパク質のN末端に追加のアミノ酸が付加しても、活性に影響が及ぶことはないことが、特に、N末端に6個の追加のヒスチジンが付加した場合についてわかっている。
したがって、本発明は、上記定義の成熟タンパク質をコードする部分、及び、必要に応じて配列番号1に示すヌクレオチド配列のさらなる機能性部分を包含するものであり、遺伝コードの縮重の範囲内でこうした配列に対応する配列、及びこうした配列の対立遺伝子誘導体も包含するものである。さらに、本発明は、他の哺乳動物から得られ、その由来ゆえに配列がわずかに異なるものの基本的には同一の生物学的機能、及びわずかにのみ異なる配列を有しているTGB−βファミリーのタンパク質をコードするDNA配列も包含する。配列番号1と配列番号3を比べるとわかるように、こうした配列同士は、極めて高度の対応を示す。
さらに、本発明には、TGB−βファミリーの成熟タンパク質(上記定義の通り)をコードする部分を完全に含み、生物活性が保持されているのであれば、こうした配列とハイブリダイズする配列も包含される。
本発明の意味内容では、「機能性部分」という用語は、たとえば、シグナルペプチド、プロペプチド又は成熟タンパク質部分として作用しうるタンパク質の部分を称する。すなわち、この部分は、MP121の天然の一部分が有する生物学的機能の少なくとも一つを果たすものである。
好適なヒトMP121の場合、タンパク質の成熟部分をコードしている領域は、配列番号1に示す配列のヌクレオチド836から、ヌクレオチド1184から始まる停止コドンまでの領域であるのが好ましい。DNA分子は、必要に応じて、配列番号1に示す配列のさらなる機能性部分、すなわち、シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含んでいてもよい。DNA分子が、シグナルペプチド及びプロペプチド部分の配列、ならびに成熟タンパク質部分、すなわち、配列番号1に示す配列のヌクレオチド128−1184から構成されているのが、特に好適である。好適なマウスMP121の場合、タンパク質の成熟部分をコードしている領域は、配列番号3に示す配列のヌクレオチド839から、1187の位置から始まる停止コドンまでの領域であるのが好ましい。この場合も、DNA分子は、必要に応じて配列番号3に示す配列のさらなる機能性部分、すなわち、シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含んでいてもよい。
一方、DNA分子は、成熟タンパク質コード領域に加えて、他のタンパク質、たとえばシスチン・ノット・モチーフ(cystine knot motif)を有するタンパク質(Cell 73 (1993), 421-424)、特にTGF−βファミリーの他のタンパク質、たとえば上述のアクチビン/インヒビン又はBMPタンパク質、特にMP52(PCT/EP94/02630参照)の機能性のシグナルペプチドおよび/またはプロペプチド部分を包含することもできる。それぞれのヌクレオチド配列は、上記引用文献中に記載されており、本明細書は、これらの引用文献の開示内容に言及するものである。こうした場合、成熟タンパク質の正しいリーディング・フレームが保存されることが重要である。発現がどの宿主細胞で生じるかに応じて、こうした別のシグナル配列および/または別のプロペプチド部分が、発現にポジティブな影響を及ぼす可能性がある。プロペプチド部分の、他のタンパク質の対応部分による置換は、たとえば、Mol. Endocrinol. 5 (1991), 149-155、およびProc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993), 2905-2909に記載されている。
本発明の範囲に包含される対立遺伝子配列、縮重による配列及びハイブリダイズ可能な配列、ならびに他の脊椎動物由来の配列は、ヌクレオチド、および/またはアミノ酸配列のわずかな変化ゆえに構造にちがいがあるものの、こうした配列によってコードされるタンパク質でも、同一の有用な特性が本質的に保持されており、ほぼ同じ医療分野の用途への使用が可能である。
本発明では、「ハイブリダイゼーション」という用語は、通常のハイブリダイゼーション条件、好ましくは、62−66℃で塩濃度6xSSCの後に、62−66℃で0.6xSSC、0.1%SDSという条件を示す。
本発明の好適実施態様は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、たとえばブタ、ウシ及びげっ歯類(たとえばラット又はマウス)、特に霊長類(たとえばヒト)から得ることができ、あるいはそうした対応配列からコピーされた上記定義のDNA配列である。
本発明の特に好適な実施態様は、配列番号1および3に示す配列であり、ヒト又はマウスMP121配列と称されるものである。MP121の転写物は肝臓組織から得られ、この転写物は、インヒビン/アクチビン様タンパク質の成熟部分と相当なアミノ酸の相同を示すタンパク質をコードしている(図1参照)。ヒトα−インヒビン、インヒビンβA(アクチビンβA)、及びインヒビンβB(アクチビンβB)は、Masonら(Biochem. Biophys. Res. Comm. 135, 957-964 (1986))に記載されている。既知のインヒビン配列に特有のいくつかの典型的な配列上の相同がMP121のプロペプチド部分にも見いだされたものの、MP121のプロペプチドのそれ以外の部分は、インヒビンのプロペプチドとは相当異なっていた。
しかし、これまでの知見では、MP121の発現パターンとアクチビンの発現パターンとでは差があることが示されている。アクチビンが主に生殖巣で発現されるのに対し(アクチビンβAが卵巣で発現され、アクチビンβBが精巣及び卵巣で発現される)、MP121は主に肝臓で発現される。しかし、現在のところ、実験の感度が不十分でわずかな発現までは検出できていない。アクチビンの場合については、たとえば文献に、成熟ラット中(Meunierら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 247-251 (1988))、ならびに胚発生の段階で(Robertsら、Endocrinology 128, 3122-3129 (1991))、生殖巣以外の各種の組織でも発現が検出されたことが記載されている。したがって、MP121の発現が今後も他の組織で検出される可能性がある。
本発明はまた、本発明のDNA分子のコピーを少なくとも1つ含むベクターにも関するものである。この種のベクターでは、本発明のDNA配列は、発現制御配列と作動可能なかたちで連結されているのが好ましい。この種のベクターは、安定的又は暫定的に形質転換された細胞で、TGF−β様タンパク質を生産するのに適している。形質転換及びその後の培養には、各種の動物、植物、菌類及び細菌の系を使用することができる。本発明のベクターは、好ましくは、宿主細胞中での複製に必要な配列を含んでおり、自律的に複製可能である。また、宿主細胞の形質転換の検出手段として使用できる選択性マーカー遺伝子を含むベクターを使用することが好ましい。
本発明はまた、本発明のDNA又は本発明のベクターで形質転換された宿主細胞にも関するものである。適当な宿主細胞の例としては、大腸菌、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞などの各種真核及び原核細胞、ならびに酵母などの菌類がある。
本発明はまた、請求の範囲第1項のDNA配列によってコードされるTGF−βファミリーのタンパク質にも関するものである。本発明のタンパク質は、好ましくは配列番号2又は配列番号4に示すアミノ酸配列、あるいは所望の場合には、その機能性部分(上記定義の通り)を有しており、治療用途に関連性のある可能性がある生物学的特性、たとえば組織誘導特性を示す。上述したようなタンパク質の性質は、「シスチン・ノット・モチーフ」を有する他のタンパク質、特にTGF−βタンパク質とのホモ二量体あるいはヘテロ二量体の形成に応じて異なったものであってよい。こうした構造も、臨床上の各種の用途で適当である可能性があり、したがって、こうした構造も、本発明の主題である。好適なヘテロ二量体としては、本発明のタンパク質の単量体と、α、βA、又はβBインヒビン鎖の単量体とから構成された二量体がある。ヘテロ二量体の形成によって生じた特性は、アクチビンあるいはインヒビンの特性により近いものとなる可能性がある。たとえば、インヒビンαタンパク質、あるいは他のインヒビンβタンパク質との間でヘテロ二量体が形成された場合には、MP121/インヒビン(α鎖)又はMP121/アクチビン(βA又はβB鎖)ヘテロ二量体が、濾胞刺激ホルモン(FSH)の形成を阻害したり、活性化したりする可能性がある。MP121/アクチビンヘテロ二量体は、中胚葉の発達にも影響を及ぼす可能性がある。さらに、TGF−βタンパク質のBMP群に属する物質とのヘテロ二量体形態は、BMP様の活性、たとえば、骨形成誘導又は促進能、軟骨形成能、あるいは結合組織形成能の増大を招くことが予測される。
したがって、本発明は、「シスチン・ノット・モチーフ」を有するタンパク質の単量体、好ましくは、TGF−βファミリーの他の物質の単量体を含む、請求の範囲第1項に記載されたDNA配列によってコードされる本発明のTGF−βファミリーのタンパク質のヘテロ二量体タンパク質にも関するものである。類似したヘテロ二量体タンパク質が、WO93/09229、EP 0 626 451 A2、ならびにJ. Biol. Chem. 265 (1990), 13198-13205に記載されている。
本発明はまた、本発明のDNA配列によってコードされるタンパク質、好ましくは配列番号2又は配列番号4に示すタンパク質の機能性誘導体又は一部分、特に成熟タンパク質の機能性部分と、さらに、他のタンパク質の一部分を有するキメラタンパク質にも関するものである。この場合も、他のタンパク質は、「シスチン・ノット・モチーフ」を有するタンパク質、好ましくはTGF−βファミリーにも属するタンパク質、たとえば、特にMP−52(PCT/EP94/02630)とすることができる。しかし、完全に異なったタンパク質の一部分、たとえば、当初のMP121タンパク質にもっと別の特異性を付与するような受容体結合性ドメインが存在していてもよい。
本発明のタンパク質、好ましくはMP121の生物学的特性は、たとえば、Wranaら、(Cell 71, 1003-1014 (1992))、Lingら(Proc. Natl. Acad. of Science, 82,7217-7221 (1985))、Takuwaら(Am. J. Physiol. 257, E797-E803 (1989))、FannおよびPatterson(Proc. Natl. Acad. of Science, 91, 43-47 (1994))、Broxmeyerら(Proc. Natl. Acad. of Science, 85, 9052-9056 (1988))、Greenら(Cell, 71, 731-739 (1992))、Partridgeら(Endocrinology, 108, 213-219 (1981))、あるいはKrieglsteinら(Embo J. 14, 736-742 (1995))に記載の分析方法によって調べることができる。
アクチビンA、ならびにTGF−β1、TGF−β2、およびTGF−β3は、in vitroで、ドーパミン作動性ニューロンの生存を促進することが記載されている(Krieglsteinら、EMBO J. 14, 736-742 (1995)、およびKrieglsteinら、Neuroscience 63, 1189-1196 (1994))。部分精製MP121の場合には、8日を経過した培養中でのドーパミン作動性ニューロンの生存が、対照上清による影響の場合と比べて促進されることを示すことができた(図5)。
本発明はまた、本発明のDNA又は本発明のベクターで形質転換した宿主細胞を培養し、細胞および/または培養上清からTGF−βタンパク質を単離することを特徴とするTGF−βファミリーのタンパク質の製造方法にも関するものである。この方法では、形質転換した宿主細胞を適当な培養液中で培養し、形成されたTGF−β様のタンパク質を精製する。こうして、本方法によって、医療上の処置、あるいは成長因子が必要とされる細胞培養技術を使用する用途に供するべく、適切な量の所望のタンパク質を産生することが可能となる。宿主細胞は、枯草菌又は大腸菌などの細菌、酵母などの菌類、タバコ、ジャガイモ、又はアラビドプシスなどの植物細胞、あるいは動物細胞、特に脊椎動物の株化細胞、たとえばMo、Cos又はCHO株化細胞、あるいは昆虫の株化細胞とすることができる。バキュロウイルス系を使用すると、昆虫の幼虫での発現も可能となる。細菌中で生産させる場合には、本発明のタンパク質を封入体の形で生産することができる。これらの封入体を、その後公知の方法で変性すると、タンパク質が活性の形態で得られる(たとえば、Jaenicke, R.およびRudolph, R., Protein Structure, ed. Creighton, T.E., IRL Press,第9章を参照のこと。)。TGF−βファミリーの他のタンパク質とのヘテロ二量体タンパク質を生産するにあたっては、双方のタンパク質モノマーを、同一の細胞で、あるいは封入体の形成とともに共通の復元を行うのが適当であるような過程で別々に発現させる。同一細胞内で同時に発現させる場合には、ウイルス系、たとえばバキュロウイルス系又はワクチニアウイルス系が特に適当である。ヘテロ二量体タンパク質の製造は当業者にとっては基本的に公知であり、たとえばWO/93/09229及びEP 0 626 451 A2に記載されている。
他のタンパク質の一部分を含むキメラタンパク質の製造は、DNAレベルでの相応の変化を必要としており、こうしたことは、当業者にとっては周知で、実施可能である(EMBO J. 10(1991), 2105-2110; Cell 69 (1992), 329-341; J. Neurosci. 39 (1994), 195-210)。
本発明のさらに別の主題は、活性物質として、本発明のTGF−β様タンパク質を薬剤学的に有効量含有する薬剤組成物を提供することにある。所望に応じて、この薬剤組成物は、薬剤として許容される担体又は助剤、希釈剤あるいは賦形剤を含有している。この種の薬剤組成物は、単独で、あるいは他の活性物質、たとえばEGF(表皮成長因子)又はPDGF(血小板由来増殖因子)などのTGF−βファミリーの他のタンパク質又は成長因子と組み合わせて、創傷の治癒や組織の再生に際して使用することができる。さらに、この種の薬剤組成物は、疾病の予防に使用することもできる。
また別の主題は、本発明のヘテロ二量体タンパク質、および/またはキメラタンパク質を含有する薬剤組成物である。
本発明の薬剤組成物は、骨、軟骨、結合組織、皮膚、粘膜、内皮、上皮、ニューロン、脳、腎臓又は歯の損傷の治療および予防、歯科インプラントに際しての用途、創傷の治癒および組織の再生過程での形態形成因子としての用途、肝臓組織の増殖の誘導、前駆体細胞又は骨髄細胞の増殖の誘導の用途、分化状態の保持、ならびに生殖能の傷害の治療又は避妊に使用するのが好ましい。さらに、本発明の薬剤組成物は、代謝関連の疾病、たとえば消化器系疾患又は血糖レベルに関連した疾患にも有用である。
本発明のTGF−β様タンパク質を使用しうる臨床上の用途としては、さらに、移植器官の拒絶反応を防止するための免疫反応抑制剤としての使用、あるいは脈管形成に関しての使用がある。本発明のタンパク質は、また、生殖能を高めたり、避妊したりする際にも使用できる。本発明の薬剤組成物は、予防的に、あるいは美容手術にも使用できる。さらに、この組成物の適用対象はヒトに限定されておらず、種々の動物、特にペット動物及び家畜にも適用が可能である。
したがって、他のタンパク質又は他の単量体の部分を使用して、所望に応じて、ヘテロ二量体タンパク質及びキメラタンパク質の用途及び特異性の範囲を変更することができる。
一般に、MP121の発現に関連した疾病は、本発明のタンパク質を使用して、存在しているMP121の量又は活性を増大させることによって、あるいは、MP121の活性を抑制したりすることによって、治療することができる。したがって、本発明は、MP121の翻訳を抑制するアンチセンス核酸及びリボザイムにも関するものである。こうした抑制は、mRNAをアンチセンス核酸でマスクしたり、リボザイムで切断したりすることによって達成されうるものである。
アンチセンス核酸の製造は、公知である(Weintraub, H.M., Scientific American 262: 40 (1990))。アンチセンス核酸は、それぞれのmRNAとハイブリダイズし、それ以上翻訳され得ない2本鎖分子を形成する。アンチセンス核酸の使用は、たとえば、Marcus-Sekura, C.J., Anal. Biochem. 172 (1988), p.289-295から公知である。
リボザイムは、DNAエンドヌクレアーゼと同様に、他の一本鎖RNA分子を特異的に切断しうるRNA分子である。リボザイムの製造については、Cech, J. Amer. Med. Assn. 260 (1988), p.3030に記載されている。
ちなみに、本発明では、本発明のDNA配列を含む適当なベクターを、in vitro又はin vivoで患者の細胞にトランスフェクトすることも、ベクターをin vitroで細胞にトランスフェクトしてから細胞を患者に移植することもできる。MP121のアンチセンスポリヌクレオチドを、MP121の望ましくない発現を示している細胞に導入することも可能である。
MP121の活性は、MP121とは異なり、信号のそれ以上の伝達の引き金とならないMP121の受容体にMP121分子を結合させることによっても抑制することができる。
したがって、本発明の範囲では、細胞上に位置するMP121の受容体も重要である。受容体を見いだす際には、まず、各種の株化細胞について、放射標識したMP121(125I−MP121)との結合特性について調べ、その後架橋すればよい。その後、MP121と結合する細胞から、発現ベクター(インビトロゲン(InVitrogen)から入手可能)を用いてcDNAライブラリーを構築すればよい。受容体cDNAでトランスフェクトされた細胞は、放射標識MP121との結合によって選択することができる。こうした方法は当業者にとっては公知の方法であり、たとえばアクチビンの単離(Mathews, L.S.およびVale, W. W., Cell 65 (1991), 973-982)、ならびにTGF−βII型受容体の単離(Lin, H.Y.ら、Cell 68 (1992), 775-785)に使用されている。公知のアクチビン受容体の場合と同様に、MP121受容体も、このファミリーに属する受容体複合体であると考えられ、当業者にとって公知のさらに別の方法、たとえば縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCRを使用して、ヘテロマー複合体の一部を見いだすことができる。この方法は、たとえば、アクチビン及びTGF−βI型受容体(Tsuchidaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993), 11242-11246; Attisanoら、Cell 75 (1993), 671-680; Franzen et al., Cell 75 (1993), 681-692)でも使用されたものである。
最後に、本発明は、本発明のタンパク質と特異的に結合しうる抗体、あるいはそうした抗体の断片(たとえば、Fab又はFab’)にも関するものである。この種の特異的抗体又は抗体断片の製造方法は、平均的な当業者の一般知識に属するものである。この種の抗体は、好ましくはモノクローナル抗体である。こうした抗体又は抗体断片の診断方法への使用も適当である。
本発明を、さらに以下の実施例によって例示する。
実施例l
MP121の単離
1.1 ヒト肝臓組織(40歳の男性)から、Chirgwinら(Biochemistry, 18, 5294-5299 (1979))の方法にしたがって、全RNAを単離した。オリゴ(dT)クロマトグラフィーを製造業者(Stratagene、poly(A) Quick columns)の指示にしたがって行うことにより、この全RNAからポリ(A+)RNAを分離した。
1.2 逆転写反応のために、1−2.5μgのポリ(A+)RNAを、65℃に5分間加熱し、氷上で急冷した。反応混合物は、ポリ(A+)RNA1μgあたり、27UのRNA-Guard(Pharmacia)、2.5μgのオリゴ(dT)12-18(Pharmacia)、5x緩衝液(250ミリモル/lのTris/HCl(pH8.5)、50ミリモル/lのMgCl2、50ミリモル/lのDTT、5ミリモル/lの各dNTP、600ミリモル/lのKCl)、ならびに20UのAMV逆転写酵素(Boehringer Manheim)を含有していた。反応混合物(25μl)を42℃で2時間にわたってインキュベートした。cDNAのプールを−20℃で保存した。
1.3 図2に示すデオキシヌクレオチドプライマーOD及びOIDを、自動DNA合成装置(Biosearch)で調製した。精製は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、アイソタコフォレーシス(isotachophoresis)によってゲルから主要なバンドを単離することによって行った。オリゴヌクレオチドは、TGF−βファミリーの既知の物質の核酸配列を比較し、保存度の高い領域を選択することによって設計した。この領域の比較を図2に示す。クローニングしやすくするために、双方のオリゴヌクレオチドとも、EcoRI切断部位を含むものとし、ODは、さらに、5’末端にNcoI制限切断部位を含むものとした。
1.4 PCR反応では、20ngのポリ(A+)RNAに対応するcDNAを出発原料として使用した(1.2参照)。反応は、50μlの容量で行い、1xPCR緩衝液(16.6ミリモル/lの(NH4)2SO4、67ミリモル/lのTris/HCl(pH8.8)、2ミリモル/lのMgCl2、6.7マイクロモル/lのEDTA、10ミリモル/lのβ−メルカプトエタノール、170μg/mlのウシ血清アルブミン(Gibco)、200マイクロモル/lの各dNTP(Pharmacia)、30ピコモルの各オリゴヌクレオチド(OD及びOID)、ならびに1.5UのTaqポリメラーゼ(AmpliTaq, Perkin Elmer Cetus))を含有するものとした。反応混合物をパラフィンで覆い、40PCRサイクルを行った。PCRの生成物を、フェノール/クロロホルムでの抽出によって精製し、エタノールでの沈殿によって濃縮した。
1.5 PCR生成物の半量を、制限酵素SphI(Pharmacia)及びAlwNI(Biolabs)を製造業者の指示にしたがって使用することによって切断した。もう一方の半量は、AvaI(BRL)、AlwNI(Biolabs)及びTfiI(Biolabs)を使用した一連の反応で切断した。制限は100μlで行い、8Uの酵素を37℃にて2−12時間使用した(ただし、TfiIは65℃で使用)。
1.6 制限酵素による切断の生成物は、アガロースゲル電気泳動によって分画した。
臭化エチジウムで染色した後、切断されなかった増幅生成物をゲルから切り出し、フェノールによる抽出で単離した。その後、得られたDNAをフェノール/クロロホルムによる抽出で2回精製した。
1.7 単離されたDNAの1/4又は1/5をエタノールで沈殿させた後に、サイクル数を13に減らした以外は最初の増幅の際と同一の条件を使用して再度の増幅を実施した。さきに増幅生成物について記載したようにして、再増幅生成物を精製し、上記と同一の酵素で切断し、切断されなかった生成物をアガロースゲルから単離した。再増幅の工程を繰り返した。
1.8 最後にゲルから単離した後、増幅生成物を、4UのEcoRI(Pharmacia)で、製造業者が推奨する条件にて切断した。制限混合物の1/4を、EcoRIで予め切断しておいたpBluescript SK+(Stratagene)ベクターにライゲーションした。ライゲーション後、各酵素の組み合わせについて、24クローンをさらに配列決定することによって分析した。AlwNIとSphIで切断した混合物には新規な配列は見いだされず、BMP6及びインヒビンβA配列のみが含まれていた。19の同一の新規配列(MP121と称する)が、AvaI、AlwNI及びTfiIで切断した混合物中に見いだされた。これらのプラスミドをpSK−MP121(OD/OID)と名付けた。配列の1つは、主に見いだされた配列とヌクレオチド2つだけ異なっていた。ライゲーション及び大腸菌の形質転換を、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1989)の記載にしたがって行った。
そのクローンはFrohmann(Perkin-Elmer Corp.刊,Amplifications, 5, 11-15 (1990))が詳細に述べている方法に従って、cDNAの3'端方向に向かって作成した。最初のMP121断片を単離するのに用いられたものと同じ肝由来mRNAをアダプタープライマー(AGAATTCGCATGCCATGGTCGACGAAGC-T16)にリンクしたオリゴdT(16mer)を用い、上述の方法で逆転写した。増幅はアダプタープライマー(AGAATTCGCATGCCATGGTCGACG)及びMP121の配列に従って調製した内部プライマー(GGCTACGCCATGAACTTCTGCATA)を用いて行った。さらにMP121の配列に従って調製した別の内部プライマー(ACATAGCAGGCATGCCTGGTATTG)及びアダプタープライマーを用いて増幅産物を製造した。SphIで切断した後、再増幅産物は同様な方法で切断したPT7/T3U19ベクター(Pharmacia)にクローニングし、配列を調べた。得られたクローンはMP121配列の既知部分との配列の重複により、特徴付けを行った。P121Lt3'MP13と名付けたクローンはNcoI(T4ポリメラーゼを用いて平滑末端を作った)/SphI断片の単離に用いた。この断片は上記のpSK-MP121(OD/OID)ベクターのうちの一つにクローニングした。そのpSK-MP121ベクターのODプライマー配列はpSK多重クローニング部位のT7プライマーの方向に向いていた。このため、そのベクターをSphI及びSmaIで切断し、構築物をpMP121DFus6と名付けた。それは配列番号1に示すMP121の配列の922番から1360番を含む。
1.9 pMP121DFus6のDdeI断片は配列番号1の931番から1304番であり、ヒト肝cDNAライブラリー(Clontech #HL3006b, lot 36223)のスクリーニングに用いた。スクリーニングはAusubelら(Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience刊, 1989)により詳細に記されているとおり行った。8.1x105のファージから24個の混合プラークをとり分離した。DdeI断片からLO2プライマー(ACATAGCAGGCATGCCTGGTATTG)及びLOI1プライマー(CTGCAGCTGTGTTGGCCTTGAGA)を用いたPCRで陽性シグナルを示すクローンを10個選び、分離した。そのファージからEcoRIでの切断によってcDNAを単離し、pBluescript SKベクター(これもEcoRIで切断したもの)中にクローニングした。
この結果得られたプラスミドの1つであるSK121L9.1の配列を調べた結果、3つの終止コドンが開始コドンの前の62、77、及び92番のフレーム中に存在することから開始コドンは配列番号1の128番から始まることを示していた。他のTGF-βタンパク質の配列から類推すれば、成熟MP121は配列番号1の836番から開始されるがそれは配列番号2の237番のアミノ酸に対応する。終止コドンは配列番号1の1184番から始まる。
プラスミドSK121L9.1は1994年4月26日付けでDSMに寄託し、受託番号は9177である。
1.10 マウスからのMP121のcDNA及びゲノムDNAの単離
マウスからMP121配列を単離するためにヒトMP121配列の情報を用いた。ここで用いた方法は当業者には公知のものであり、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausube1ら,Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience, Wiley & Sons, 1987-1995)又はMolecular Cloning(Sambrookら,第2版,Cold Spring Harbour Laboratory Press 1989)に記載されている。
最初にヒトMP121に由来し、5’末端にさらにEcoRI又はSalIによって制限分解される部位を含むプライマーACGAATTCCGACGAGGCATCGACTGC及びGCGTCGACTACCATGTCAGGTATGTCを合成した。これらのプライマーはマウスゲノムDNAの増幅に用いた。その結果得られた0.35kbの断片をBluescriptベクター(Stratagene)にサブクローニングし、放射活性プローブとして用いた。マウスゲノムDNAのλバンク及びcDNAのバンクを標準的な方法に従いスクリーニングした。cDNAはマウス肝から単離したRNAで合成し、λgt10にEcoRI/NotIリンカーを用いてクローニングした。MP121クローンはゲノム及びcDNAバンクから単離した。完全長のコード配列を含むcDNAをBluescriptベクターSK(Stratagene)のEcoRI切断部位にサブクローニングし、その結果できたプラスミドSKMP121(マウス)を1995年10月5日付でDSMに寄託した(DSM 9964)。完全長の配列は配列番号3に示す。開始コドンは配列番号3の131番から始まり、1187番から始まる終止コドンで終わる。その配列に由来するタンパク質を配列番号4に示す。ゲノムバンクから得たMP121を含むクローンをサブクローニング及び分析したところ、MP121配列には約5.5kbのプロペプチド部分に1つのイントロンが含まれることが示された。このイントロンは配列番号3の446番と447番との間に位置している。エクソン/イントロン結合部分は配列番号5に示した。
実施例2
MP121の発現
MP121の発現は真核細胞系、原核細胞系のいずれでも可能である。
MP121の成熟部分のみを原核細胞系での発現に用いた。精製後、大腸菌中でモノマーとして発現させた成熟MP121を折り畳んで、ダイマーに戻すことができた。MP121の精製を単純化するため、成熟タンパク質のN末端にさらに6つのヒスチジンを付加し、ニッケル・キレートカラムへ結合させることにより精製が容易となるようにした。
1例として、ヒトMP121の成熟部分(配列番号2の237番から352番のアミノ酸)にさらに13個のアミノ酸(N末端の6個のヒスチジンを含む、(MHHHHHHKLEFAM)を付加し、原核細胞系ベクターpBP4に発現させた。このベクターはpBR322由来のものでテトラサイクリン耐性を有し、さらにpBluescript II SKプラスミド(Stratagene)から得たT7プロモーターを含んでいる。さらにこのベクターはT7プロモーターの後ろにリボゾーム結合部位を持ち、また、6個のヒスチジンのコドンの前に開始コドンを有する。3つのリーディングフレームの全てにおいて、インサート及び終止コドンの挿入のために、ターミネーター(Tφ)をいくつかの単独の制限酵素切断部位、例えば、EcoRI、XhoI、SmaIやApaIの後ろに置いてある。MP121の成熟部分のcDNAを得るため、プラスミドSK121L9.1(DSM受託番号:9177)について2種のオリゴヌクレオチド、GAATTCGCCATGGGCATCGACTGCCAAGGAGG及びCCGCTCGAGAAGCTTCAACTGCACCCACAGGCを用いてPCRを行った。2つのオリゴヌクレオチドはさらにその末端に制限酵素切断部位を含んでいる(EcoRI及びNcoI、又はXhoIおよびHindIII)。中間段階において、その結果できた377bpの断片を、EcoRVで切断したpBluescript II SKベクター(Stratagene)に平滑末端でクローニングした。MP121の5’末端のT7プロモーターの方向の1つのクローンをEcoRIで切断し、その結果得られたインサート(0.38kb)をpBP4ベクター(EcoRIで切断)にクローニングした。その結果できたプラスミドpBP4MP121Hisにインサートが正しい方向に挿入されていることは、制限酵素分析と配列で確認した。プラスミドpBP4MP121Hisは1995年1月30日付でDSMに寄託した(受託番号:9704)。MP121タンパク質の発現はT7RNAポリメラーゼを同時に供給することによって行った。T7RNAポリメラーゼは種々の方法、例えば、T7RNAポリメラーゼの遺伝子を含む第2のプラスミドを用いるか、T7RNAポリメラーゼをコードするファージを感染させるか、あるいはT7RNAポリメラーゼの遺伝子がすでに組み込まれている特別な細菌株を用いることによっても供給しうる。ヒスチジンを付加したMP121の成熟タンパク質(MP121His)はBL21(DE3)pLysS株(Novagen, #69451-1)を用い、製造者の指示に従ってIPTGでT7RNAポリメラーゼの発現を誘発させることにより封入体(inclusion body)中に産生させた。SDSポリアクリルアミドゲル(15%)中でそのタンパク質は見かけの分子量としてほぼ16kD(理論的分子量:14.2kD)を示し、代表的なもののウエスタンブロットは図3に示すとおりである。対照としてpBP4で形質転換した細菌は特定のバンドの染色は認められなかった。ヒスチジンを付加しているため、このタンパク質は、例えば、Hochuliらが述べたように(BIO/Technology Vo1.6, 1321-1325(1988))、ニッケルキレート剤カラムで精製しうる。逆相HPLCでさらに精製することが可能である。逆相カラム(Nucleosil 300-7C4, Macherey-Nagel, 715023型)を、流速2mL/min.、0.1%TFA中アセトニトリル勾配0から90%(100分以内)で用いた。MP121Hisはこれらの条件下で約40%アセトニトリルのところから溶出される。
それぞれの場合において、MP121に特異的な抗体を用いたウエスタンブロットにより、それがMP121であるかどうかの決定を行った。ニワトリ及びウサギでMP121に対するポリクローナル抗体を作製した。免疫するための抗原を得るため、MP121成熟部分の一部(配列番号2の260番から352番のアミノ酸)をMS2バクテリオファージのポリメラーゼの最初の98個のアミノ酸と融合させ大腸菌で発現させた。封入体を単離した後、融合タンパク質(MS2-MP121)をポリアクリルアミドゲル上で分離し、銅染色の後、エレクトロエリューション法(Tessmer,U. & Dernick, R., IBL(1990), 8-13)により単離して免疫用とした。ニワトリ、ウサギのどちらの抗体を用いてもMP121の発現を特異的に検出することが可能であった。図3に示したウエスタンブロットではニワトリ抗体を用いた。そのニワトリ抗体はPEG沈殿法(Thalley B.S. and Carroll, S.B., BIO/Technology Vo1. 8, 934-938(1990))及び膜結合抗原法(融合タンパク質(MS2-MP121))(18.17, Sambrookら,Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)でさらに精製したものである。第二抗体としてはアルカリフォスファターゼをカップリングした抗ニワトリIgG(Sigma A9171)を用いた。検出はTropix Western-Light Protein Detection Kit(Serva, #WL10RC)を用いて、製造者の説明書の手順に従って行った。
生物学的に活性な物質を得るため、大腸菌で発現させたMP121モノマーを精製したものを折り畳みMP121ダイマーに戻しうる。これはたとえばJaenicke, R. & Rudolph, R.(Protein structure, ed. Creighton, T.E., IRL Press, Chapter 9)に記載の方法に従って行うことができる。
真核細胞での発現にはワクシニアウイルス発現系を用い、その詳細はCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら,Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience, Wiley & Sons)の第16章ユニット16.15-16.18に記載されているとおりだが(以後本文献をCPと略す)、当業者であれば容易に再現しうるものである。この発現系は、外来DNAはある種のベクターを用いて、相同組換えによりワクシニアウイルスのゲノムに組み込みうるという事実に基づいている。この目的のため、使用されたベクターはワクシニアゲノムから得たTK(チミジンキナーゼ)遺伝子を含んでいる。組換えウイルスの選択を可能にするため、このベクターはさらに大腸菌キサンチンーグアニンーフォスフォリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt)(Falkner, F.G. & Moss, B., J. of Virol. 62(1988), 1849-1854)を含んでいる。MP121をコードする領域を完全に含んだcDNAをこのベクターにクローニングした。
最初に作製したプラスミドSK121L9.1(DSM受託番号:9177)の5'末端及び3'末端の非翻訳領域の短縮と両末端への単一の制限酵素切断部位の挿入のためにPCR反応と中間クローニングが必要であった。全てのPCR反応はプラスミドSK121L9.1(DSM受託番号:9177)を用いて行った。5'の非翻訳末端を短縮するため、Bam HI及びNheI切断部位を挿入したプライマーCCCGGATCCGCTAGCACCATGACCTCCTCATTGCTTCTGを、内部プライマー(CCCTGTTGTCCTCTAGAAGTG)とともに用いPCR反応を行った。中間段階で得られた断片をBluescript SK(Stratagene)にクローニングし、配列を調べ、配列番号1に示す配列との一致を調べた。3'非翻訳末端の短縮にはプラスミドpBP4MP121HisからのSph I/Eco RI断片(0.22kb)を用いた。
MP121の両端の断片を、標準的な方法に従って(Sambrookら,Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)、内部制限酵素切断部位によりプラスミドSK121L9.1の中間欠如DNA配列につないだ。このようにして得られた短縮させたcDNAはMP121の完全なリーディングフレーム(配列番号1のヌクレオチド128番からヌクレオチド1184番)を有し、Bam HI及びEcoRIで切断したベクターpBP1にクローニングした。この結果できたプラスミドpBP1MP121を1995年1月12日付でDSMに寄託した(受託番号:9665)。
プラスミドpBP1MP121を組換えワクシニアウイルスの生産に用いた。このため、野生型のワクシニアウイルスをPBS 1mLを容れた35mmの培養プレート中で、80%集密状態の143B細胞(HuTK-、ATCC CRL 8303)と30分間室温で時々振盪させることにより感染させた。上清を吸引除去した後、培養液(MEM, Gibco BRL #041-01095 1:500希釈のペニシリンとストレプトマイシンGibco BRL#043-05140含有)2mLを加え、37℃で2時間インキュベートした。次いで培養液を取り除き、細胞を100ngのpBP1MP121、2μgのキャリアーDNA(ウシ胸腺由来、超音波処理Boehringer Mannheim #104175)及び10μLのリポフェクチン(Gibco BRL#18292-011)を含むMEM 1mLで、15時間、形質転換した。20%FCS(Sigma#F-7524)を含有するMEM 1mLを加えた後、さらに37℃で24時間インキュベートし、溶解した細胞を凍結させた。
キサンチンーグアニンーフォスフォリボシルトランスフェラーゼのGpt選択及び個々の組換えウイルスの単離と増幅は本質的にはCPの16.17ユニットに述べられている方法で(ただしRK13細胞(ATCC CCL37)を使用)行った。
ウイルスゲノムへのMP121 cDNAの組み込みはドットブロット解析(CPユニット16.18に記載)で確認した。pBPMP121をトランスフェクトした組換えウイルス及び野生型ウイルスを細胞系統143B(HuTk-, ATCC CRL 8303,ヒト)及びNIH-3T3(DSM ACC59,Swissマウス胚)中における発現の分析に使用した。細胞の培養は供給者の説明書に従った。集密状態の細胞に37℃で30分間、3倍の数のウイルスを感染させ、次いでそれぞれの株の培養液に10%FCSとペニシリン/ストレプトマイシン(1:500, Gibco BRL#043-05140)を含有させたものを加えた。37℃で6時間経過後、培養液を除去し、細胞を2度、洗浄した。洗浄にはたとえばHBSS(Gibco BRL#14180-046)及び産生用培養液(HuTk-用はMEM又は4.5g/Lのブドウ糖を含有するDMEM, NIH-3T3用はNEAA(Gibco BRL#11140-035),それぞれアプロチニン(Fluka#10820, 50U/L)及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有し、FCSを含まない)を用いる。20-22時間の産生期間の後、細胞上清を集めた。発現は、標準的な方法(CPユニット10.8)に従ってウエスタンブロットで調べた。1-3mLの細胞培養上清中のタンパク質を等容のアセトンを加えて沈殿させ、氷上で少なくとも1時間インキュベートし遠心した。得られたペレットをアプリケーションバッファー(7M尿素, 1%SDS, 7mMリン酸二水素ナトリウム、0.01%ブロモフェノールブルー及び必要であれば1%β-メルカプトエタノール)で再懸濁し、15%ポリアクリルアミドゲルで分離した。予備染色済タンパク質分子量標準品(Gibco BRL#6041-020)をマーカータンパク質として用いた。PVDF膜(Immobilon #IPVH00010)上に移し、膜のブロッキングは標準的方法に従った。
図3に代表的なウエスタンブロットの結果を示しているがそこではMP121特異的なバンドが組換えウイルス感染細胞に認められる。NIH-3T3におけるMP121の発現は、ゲルでの見かけの分子量は非還元条件下では18kDである分泌型のタンパク質をもたらした(期待される理論分子量:25kD)。還元条件下ではそのタンパク質はゲルの15kDの位置に移動する(期待される理論分子量:12.5kD)。これらの結果は、予測どおりMP121がダイマーの成熟タンパク質として発現することを示している。ダイマーのMP121タンパク質の挙動がモノマーのMP121よりわずかに遅いだけであるのはダイマーが球状であることによるものであろう。前駆体タンパク質の成熟タンパク質へのプロセシングもHuTk-細胞中で示し得た。野生型ウイルス(外来DNAを組み込んでいない)で感染させた細胞(HuTk-又はNIH-3T3)ではウエスタンブロットでバンドは認められなかった。
種々のTGF-βファミリーのメンバーをコードする組換えワクシニアウイルスでコトランスフェクションを行ったところ、ワクシニアウイルス発現系はまたヘテロのダイマーの生産に特に適している。TGF-βファミリーの個々のメンバーに対する特異的抗体を用いるアフィニティーカラムによって、ヘテロのダイマーとホモのダイマーを分けることが可能である。この場合インヒビンのα鎖のみならずβA鎖及びβB鎖が特に興味深い。
実施例3
種々のマウス組織でのMP121の発現の検討
6週令のマウスの各種の組織(脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、脾臓、筋肉、卵巣、精巣)及び胚の幹細胞から全RNAを標準的な方法で単離した。RNAseプロテクションアッセイ(RPA)は上記の全RNAの各10μgを用いてAmbion(RPA II kit, #1410)で、製造者の説明書に従って行った。アクチビンβA及びアクチビンβBに対して特異的なプローブを得るため、マウス(129Sv)のゲノムDNAを対応する特異的なプライマーを用いて成熟タンパク質部分から増幅した。クローニングを容易にするため、プライマーの末端にEcoRI及び/又はBamHI、あるいはHind III切断部位をそれぞれ導入した。アクチビンβAの場合にはプライマーはラットのmRNA(Genbank Accession #M37482)由来のもので、GCATCCGAATTCGGCTTGGAGTGTGATGGCAAGG及びGGATCCGAATTCCTCTGGGACCTGGCAACTCTAGである。アクチビンβBの場合には変性プライマーはヒトの配列由来のもので(Masonら,Molecular Endocrinology 3, 1352-1358(1989))、GAGAATTCCA(GA)CA(GA)TT(TC)TT(CT)AT及びGCAAGCTTT(GA)TA(TC)TC(GA)TC(GA)TCである。この結果得られたPCR断片はpGEM-4ベクター(Promega)にサブクローニングし、試験した。アクチビンに特異的でRPAプロテクトされた配列は、アクチビンβAの場合には369bpの、アクチビンβBの場合には254bpの大きさの断片である。MP121ではプロテクトされた断片は配列番号3の887番から1164番の配列からなる。pGEM-4にクローニングされた断片は、放射性標識アンチセンスRNAプローブを作製するため、in vitroで転写した。この操作は100μMのCTPと同時にα32P-CTP(800 Ci/mmol, Amersham)を用いて、製造者(Promega, Riboprobe Gemini Systems)の説明書に従って行った。放射性標識RNAはDde Iで直鎖化したプラスミドpTri-GAPDH(Ambion #7431)からも対照として合成した(CTP濃度は1mM)。4種類のアンチセンスRNAプローブをポリアクリルアミドゲルから単離した後、それぞれのマウス組織のRNAと混合し(1x105cpmのプローブあたり10μg全RNA)一晩42℃でインキュベートした。その後オートラジオグラフィーを用いた標準的な方法に従って、変性ゲル中で4日間分析を行なった。
実施例4
MP121の部分精製とその部分精製物の活性の検討
ワクシニア系(実施例2参照)で発現させて得られたMP121タンパク質を2つのカラムを用いて精製した。
MP121を生産するため、集密状態のNIH-3T3細胞(DSM ACC 59, Swissマウス胚)に同数の組換えウイルスを37℃で30分感染させた後、10%FCS及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有する適当な培地を加えた。
37℃で4時間置いた後培養液を除去し、細胞を2度洗浄し、FCSを含まない産生用培地(実施例2参照)を加えた。20-22時間産生後、細胞上清を集め、ウイルスを除去するため遠心し(40000×g,30分、4℃)、ろ過した(孔径0.1μm, Millex VV, Millipore #SLVV25LS)。対照上清(wt)は、野生型ワクシニアウイルスを感染させた後、同様の方法で得た。MP121の発現はウエスタンブロットで調べ、50-100μg/Lと見積もられた。
MP121を含有する細胞培養上清(1.1L)を、プロテアーゼインヒビターPMSF(1μM)と混合し、最終濃度が1M(NH4)2SO4, 20mM Tris pH8.0となるようにし、バッファーA(1M(NH4)2SO4, 20mM Tris pH8.0)で平衡化したフェニルセファロース(Fast flow(high sub)Pharmacia #17-0973-05)カラム(ベッド5mL)にロードした。ロードしたカラムをカラム容量の15倍のバッファーA及び10倍量のバッファーB(20mM Tris pH8.0)で洗い、1mL/min.の流速でバッファーC(20mM Tris pH8.0, 80%エチレングリコール)を直線的勾配で100%まで濃度を上げて、50分以内に溶出させた(5mL/フラクション)。ウエスタンブロット分析によりMP121は50から80%の間のエチレングリコール濃度のところに溶出することが分かった。これらのフラクションのアリコートを、製造者の説明書に従い、15%ポリアクリルアミド銀染色ゲル(Silver Stain-II, Daiichi #SE140000)で調べ、MP121を含むフラクションをプールした。対照上清の精製後、上記と同様のフラクションを、銀染色ゲルで分析した後、プールした。
プールしたフラクションはさらに逆相HPLCで精製した。C8カラム(Aquapore RP300, Applied Biosystems, 粒子径7μm,孔径300Å)をバッファーA(0.1%TFA/水)で平衡化した。フェニルセファロースカラムから得たMP121を含むプールしたフラクションを、そのカラムにロードし、バッファーAでよく洗浄した。結合したタンパク質は流速0.2mL/min.で、バッファーB(90%アセトニトリル, 0.1%TFA)を1分あたり1.5%の直線的勾配となるようにして溶出させた。600μLのフラクションを集め、ウエスタンブロット及び銀染色ゲルで分析した。この選択的な条件下で、MP121タンパク質は約55%アセトニトリルの後に溶出した。MP121を含有するフラクションを集めた。対照上清の精製で得た対応するフラクションについても同様の操作を行った。銀染色ゲルによる分析ではMP121が依然として他のタンパク質と混在していることを示していた。MP121の純品を得るためには精製工程がさらに必要である。
当業者に知られている方法としては例えば分子ふるいゲルカラム、イオン交換カラム、アフィニティーカラム、あるいは金属キレートカラムなどを、さらに精製するために用いうる。
ウエスタンブロットの結果から、約8μgの部分精製MP121を1Lの細胞培養上清から単離しうると見積もられた。部分精製タンパク質は凍結乾燥して-80℃で保存した。
MP121のドパミン作用性神経細胞への影響を調べるため、Shimodaら(Brain Res. 586, 319-331(1992))の方法に従って、14日目のラット胚(E14)の中脳底から神経細胞を単離した。個々の細胞に分散し、Krieglsteinらの方法(Neuroscience 63, 1189-1196(1994))で培養した。ポリオルニチン/ラミニンでコートしたカバーグラス上の細胞密度は200000個/cm2であった。24時間培養後、3日ごとに培養液の2/3(500μL)を取り除き、それぞれの添加物を含有する新しい培養液と交換した。フェニルセファロースと逆相HPLCで部分的に精製した凍結乾燥MP121を50%アセトニトリルに溶解し、培養液に添加した。培養液中のMP121の終濃度は20ng/mL(アセトニトリルは0.3%)であった。匹敵する量の対照上清を同様に精製し、50%アセトニトリルに溶解させて添加した。対照の培養液も0.3%のアセトニトリルを含有するようにした。8日後、培養物を4%パラホルムアルデヒド中で10分間、室温で固定した。細胞はアセトンで透過性を持たせ(10分、-20℃)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した。PBS中で1%H2O2で処理した後、洗浄しそしてウマ血清でブロッキングし、免疫細胞化学的に染色した。チロシン水酸化酵素(TH)はドパミン及び他のカテコールアミンの生合成の量を決定づける酵素であるので、本培養において、THはドパミン作用性神経細胞のマーカーとして用いうる(ノルアドレナリンを含有する細胞は単離されなかった)。THは抗ラットTHマウスモノクローナル抗体(1:200に希釈,Boehringer Mannheim)を用いて37℃で1時間インキュベートして検出し、さらに、Vectastain ABC kit(Vecto Labs)を用いて検出した。TH陽性の細胞は0.12cm2の面積でカウントした。MP121がドパミン作用性神経細胞の生存に対して正の効果を有することが図5に示されている。
図5はラット胚(E14)の中脳から摘出したTH免疫反応性のドパミン作用性神経細胞の8日間培養後の数を示している。20ng/mLの部分精製MP121の効力を等容の部分精製対照上清(wt)及び非処理の神経細胞と比較した(対照:0.3%アセトニトリル含有の培養液)。3回測定の平均±SEMを示している。
図3−5の詳細な説明:
図3:抗MP121ニワトリ抗体を用いたウエスタンブロットのダイアグラム
1:還元条件下(1% β−メルカプトエタノール)でpBP4MP121Hisで形質転換した大腸菌細胞
2:還元条件下(1% β−メルカプトエタノール)で組み換えウイルス(MP121cDNAを挿入)を感染させたNIH-3T3細胞の細胞培養上清
3:非還元条件下で組み換えウイルス(MP121cDNAを挿入)を感染させたNIH-3T3細胞の細胞培養上清
M:予備染色済タンパク質分子量マーカー、見かけの分子量を表示してある(Gibco BRL #26041-020)
図4:アクチビンβA(βA)、アクチビンβB(βB)及びMP121に対する特異的なプローブと、対照としてGAPDHに対して特異的なプローブを用いるRNAseプロテクションアッセイのゲル分析後のオートラジオグラム
種々のマウス組織(1:脳、2:心臓、3:腎臓、4:肝臓、5:肺、6:筋肉、9:卵巣、10:脾臓、11:精巣)、胚の幹細胞(12:CJ7)、及び対照として酵母(レーン13)から全RNAを単離し、試験した。レーン14には対照としてRNAを含まないものを置いた。ハイブリダイゼイションに用いたプロテクトしていないアンチセンスRNAプローブをレーン8及び15にアプライし、断片サイズの予想値を右の余白部分の括弧内に記した。プロテクトされている断片のバンドは左の余白部分に記した。Msp I(Biolabs #303)で切断し、γ-32P-ATP(Amersham)で末端ラベルしたpBR322をマーカーとして用いた(レーン7)。
図5はラット胚(E14)の中脳から単離したTH-免疫反応性のドパミン作用性神経細胞で8日間の培養後生存しているものの数を示す。20ng/mLの部分精製MP121の効力を同等量の部分精製対照上清(wt)及び非処理神経細胞と比較した(対照:0.3%アセトニトリルを含有する培養液)。3回測定の平均値±SEMを示している。
配列表
(2)配列番号:1:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:2272塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(vi)起源
(A)生物名:ヒト
(xi)配列
(2)配列番号:2:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:352アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(vi)起源
(A)生物名:ヒト
(xi)配列
(2)配列番号:3:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:1558塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(vi)起源
(A)生物名:マウス
(xi)配列
(2)配列番号:4:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:352アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(vi)起源
(A)生物名:マウス
(xi)配列
(2)配列番号:5:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:18塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(vi)起源
(A)生物名:ヒト
(xi)配列の特徴
(A)名称/特徴を現す記号:エクソン
(B)存在位置:1..3
(ix)配列の特徴
(A)名称/特徴を現す記号:イントロン
(B)存在位置:4..18
(xi)配列
(2)配列番号:6:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:18塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(vi)起源
(A)生物名:ヒト
(ix)配列の特徴
(A)名称/特徴を現す記号:イントロン
(B)存在位置:1..15
(ix)配列の特徴
(A)名称/特徴を現す記号:エクソン
(B)存在位置:16..18
(xi)配列
Claims (21)
- TGF-βファミリーの一つのタンパク質をコードするDNA分子であって、(a)配列番号1に示される配列の、ヌクレオチド836から、ヌクレオチド1184より始まる停止コドンまでの、ヒト成熟タンパク質をコードする領域からなるヌクレオチド配列、
(b)配列番号2もしくは4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸237〜352の配列からなる成熟タンパク質をコードするヌクレオチド配列、または
(c)配列番号3に示される配列の、ヌクレオチド839から、ヌクレオチド1187より始まる停止コドンまでの、マウス成熟タンパク質をコードする領域からなるヌクレオチド配列、
からなる上記DNA分子。 - 請求項1に記載の(a)〜(c)のうちの1つのヌクレオチド配列に加え、もう1種の別のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子であって、該ヌクレオチド配列が発現後に融合タンパク質を生成するように配置されているDNA分子。
- TGF-βファミリーの一つのタンパク質をコードするDNA分子であって、配列番号2もしくは4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1〜352の配列をコードするヌクレオチド配列からなる、DNA分子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNA分子を少なくとも1コピーを含んでいるベクター。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載に記載のDNA分子または請求項4に記載のベクターにより形質転換した、宿主細胞。
- 細菌、真菌、植物又は動物の細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
- 配列番号2または配列番号4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1〜352の配列からなる、TGF-βファミリーのタンパク質。
- 配列番号2または配列番号4に示されるアミノ酸配列のアミノ酸237〜352の配列からなる、TGF-βファミリーのタンパク質。
- 請求項5または6に記載の宿主細胞によって発現されるタンパク質。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質と、もう1種の他のタンパク質とを含むキメラタンパク質。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10に記載のキメラタンパク質のモノマーと、「シスチンノットモチーフ」(cystine knot motif)を有するスーパーファミリー由来の別のタンパク質のモノマーとからなる、ヘテロダイマータンパク質。
- 請求項5または6に記載の宿主細胞を培養し、その細胞及び/又は培養上清からタンパク質を得ることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質を生産する方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10に記載のキメラタンパク質のモノマーと、「シスチンノットモチーフ」(cystine knot motif)を有するスーパーファミリー由来の別のタンパク質のモノマーとを宿主細胞中で共発現させることを特徴とする、請求項11に記載のヘテロダイマータンパク質を生産する方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10に記載のキメラタンパク質のモノマーと、「シスチンノットモチーフ」(cystine knot motif)を有するスーパーファミリー由来の別のタンパク質のモノマーとを組み合わせて復元させることを特徴とする、請求項11に記載のヘテロダイマータンパク質を生産する方法。
- 少なくとも請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10に記載のキメラタンパク質または請求項11に記載のヘテロダイマータンパク質を有効成分として含む、神経細胞の障害を治療又は予防するための医薬組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNA分子に相補的なアンチセンスRNA。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質の発現をブロックするための、請求項16に記載のアンチセンスRNAのin vitroでの使用方法。
- 患者の細胞のin vitroでのトランスフェクションのための、請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNA分子または請求項4に記載のベクターの使用方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質に特異的に結合する抗体。
- 少なくとも請求項7〜9のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項10に記載のキメラタンパク質または請求項11に記載のヘテロダイマータンパク質を有効成分として含む、ドーパミン作動性ニューロンの生存を促進するための医薬組成物。
- 通常の製剤学的担体または補助剤、希釈剤または充填剤をさらに含む、請求項15または20に記載の医薬組成物。
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