JPH06172390A - 新規骨形成誘導蛋白質、それをコードするdna及び該蛋白質の製造方法並びにそれを有効成分とする骨形成誘導剤 - Google Patents
新規骨形成誘導蛋白質、それをコードするdna及び該蛋白質の製造方法並びにそれを有効成分とする骨形成誘導剤Info
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- JPH06172390A JPH06172390A JP5193023A JP19302393A JPH06172390A JP H06172390 A JPH06172390 A JP H06172390A JP 5193023 A JP5193023 A JP 5193023A JP 19302393 A JP19302393 A JP 19302393A JP H06172390 A JPH06172390 A JP H06172390A
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Abstract
それをコードするDNA及び該骨形成誘導蛋白質を製造
する方法並びにそれを有効成分とする骨形成誘導剤を提
供する。 【構成】 ヒトの大腿骨頭及び新生ラットの大腿骨それ
ぞれから、mRNAを単離し、これをcDNAに変換し
て、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列を
決定し、形質転換法により高い骨誘導活性を有する骨形
成誘導蛋白質を発現させた。 【効果】 この蛋白質を有効成分とする骨形成誘導剤に
より、歯槽膿漏による歯の脱落及び骨粗鬆症の予防及び
根本的治療が可能となり、また、骨折の加療期間を短縮
することができる。
Description
質、それをコードするDNA及び該蛋白質の製造方法並
びに該蛋白質を有効成分とする骨形成誘導剤に関し、更
に詳しくは、脊椎動物の骨由来の新規なDNAの発現に
より得られる新規な骨形成誘導蛋白質及び該DNAを組
み込んだ形質転換細胞の培養により該蛋白質を製造する
方法並びに該蛋白質を有効成分とする骨粗鬆症、骨欠損
症、例えば、歯槽膿漏による顎骨の部分欠損及び骨折の
治療剤に関する。
会的、医学的に注目されている。これまで、この骨粗鬆
症の治療薬として、カルシトニン、女性ホルモン、活性
ビタミンD3 、蛋白同化ステロイド等が用いられてき
た。しかしながら、これら治療薬は、骨溶解を抑制する
に過ぎず、骨量の増加を図るという根本的な治療を達成
するものではない。また、例えば、ビタミンD3 を用い
た場合には、高カルシウム尿症といった副作用も問題と
なる。一方、歯槽膿漏による歯の脱落は、顎骨の部分欠
損を原因とするものであり、特に高齢者において起こり
易く、かつ、骨の欠損を伴うという点で骨粗鬆症と共通
するものであるが、これに対して有効な治療法はない。
ので、欠損部位の骨形成を促進できれば、根本的な治療
が可能になる。また、骨折の治療においても、骨形成の
促進は、骨折部位の癒合を促進して骨折の加療期間を短
縮し、リハビリテーション期間の短縮、更には医療費の
低減という利点をもたらす。このような骨形成を促進す
る物質として、ウリスト(Urist)らは、0.6N塩酸で脱
灰した骨基質を用いた異所性骨誘導実験系を確立し〔Sc
ience, 150, 893-899 (1965)〕、その後、この骨誘導現
象は石灰化組織のコラーゲンに固く結合した蛋白質によ
って引き起こされることを実験的に示し、それを骨形態
形成蛋白質(BMP)と命名した。以来、骨肉腫あるい
は脱灰骨や脱灰歯牙基質から、4M塩酸グアニジンや6
M尿素を溶媒として抽出し、イオン交換やゲル濾過等の
精製方法を用いてBMPを精製した例が報告されている
〔Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,,85, 9484-9488 (1988):
J.Bio.Chem., 264, 13377-13380 (1989):J.Bio.Chem.,
265, 13198-13205 (1990)〕。また、かかるBMPをコ
ードするDNA配列も報告されており、それらは、例え
ば、特表平2−500241号、特表平3−50364
9号及び特開平3−195495号公報に記載されてい
る。しかしながら、これら精製されまたはコードされた
BMPはいずれも骨誘導活性が低く、上記骨欠損症の治
療剤として用いるには、より活性の高い骨形成誘導蛋白
質が望まれているのである。
活性を有する骨形成誘導蛋白質、それをコードするDN
A及び該骨形成誘導蛋白質を製造する方法並びにそれを
有効成分とする骨形成誘導剤を提供することを目的とす
る。
を解決すべく鋭意研究した結果、脊椎動物の骨の中に極
めて高活性な骨形成誘導蛋白質をコードするmRNAが
存在することを見出し、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は、配列表の配列番号1のアミノ酸1〜11
0で示されるアミノ酸配列またはそれと類似の配列を含
む蛋白質(以下、BIPと略称することがある)の発明
である。この配列番号1のアミノ酸−368〜+110
の蛋白質は前駆体蛋白質であり、このうちアミノ酸1〜
110で示されるアミノ酸配列の蛋白質は成熟蛋白質の
1つである。
るアミノ酸配列と類似の配列とは、該アミノ酸配列と実
質的に相同なアミノ酸配列であって、かつ、その蛋白質
が配列番号1のアミノ酸1〜110の蛋白質と同様な骨
形成誘導能を有するものを意味する。かかるアミノ酸配
列は、配列番号1のアミノ酸1〜110で示されるアミ
ノ酸配列のうち、少なくとも1つのアミノ酸が異なった
ものである。少なくとも1つのアミノ酸が異なる態様と
しては、少なくとも1つのアミノ酸が置換している場
合、少なくとも1つの新たなアミノ酸が挿入されている
場合、少なくとも1つのアミノ酸が欠損している場合が
ある。なお、これら類似のアミノ酸配列からなる蛋白質
も成熟蛋白質である。かかる配列番号1のアミノ酸1〜
110で示されるアミノ酸配列と類似の配列の例として
は、配列番号3のアミノ酸1〜110で示されるアミノ
酸配列を挙げることができる。これらアミノ酸配列の間
では2つのアミノ酸の種類が相違している。
は、これら成熟蛋白質の骨形成誘導能を維持する範囲
で、成熟蛋白質の両端のいずれかのペプチド鎖が少なく
とも1アミノ酸延長された蛋白質を意味しており、例え
ば、配列番号1のアミノ酸−368〜+110の前駆体
蛋白質のほか、かかる前駆体蛋白質の前駆体領域が他の
配列で置換されたもの、及びアミノ酸1より上流で前駆
体蛋白質から切り出された蛋白質、例えば、配列番号1
のアミノ酸−1や−2で前駆体蛋白質から切り出された
成熟蛋白質を挙げることができる。かかる本発明の蛋白
質は、上記の如きアミノ酸配列を有する限り蛋白質の他
の構造的特徴を問わない。つまり、本発明の蛋白質を含
む蛋白質の二量体、グルコシル化部位における糖鎖の修
飾の有無等は問わず、かかる蛋白質及びそれらの混合物
も本発明の蛋白質に含まれる。
質をコードするDNAの発明である。このようなDNA
には、配列表の配列番号1の塩基1191〜1520で
示される塩基配列を含むDNAのほか、それと類似のD
NA、及び塩基配列の類似性は低いものの本発明の骨形
成誘導蛋白質をコードできるDNAがある。配列番号1
の塩基1191〜1520で示される塩基配列を含むD
NAとしては、例えば、配列番号1の塩基87〜152
0示される塩基配列のDNAがある。この塩基配列は、
配列番号1のアミノ酸−368〜+110の前駆体蛋白
質をコードする配列である。ここで、類似のDNAと
は、配列番号1の塩基1191〜1520で示される塩
基配列と実質的に相同な塩基配列を含むDNAを意味す
る。かかるDNA配列は、配列番号1の塩基1191〜
1520に相当する部分の少なくとも1つのコドンが異
なったものである。少なくとも1つのコドンが異なる態
様としては、少なくとも1つのコドンが置換している場
合、少なくとも1つの新たなコドンが挿入されている場
合、少なくとも1つのコドンが欠損している場合があ
る。
明の蛋白質をコードできるDNAとは、配列番号1の塩
基1191〜1520の配列中のかなりの数のコドンが
相違しているが、該相違するコドンが同一のアミノ酸を
コードできるため、結果として本発明の骨形成誘導蛋白
質をコードすることができるDNAをいう。かかるDN
Aは、本発明の蛋白質の配列の各アミノ酸をコードする
各コドンを適宜組み合わせて設計することができる。な
お、上記のDNAのうち本発明の骨形成誘導蛋白質の前
駆体領域をコードする塩基配列を適宜変換したDNAも
本発明の骨形成誘導蛋白質の成熟蛋白質をコードするも
のであり、かかるDNAも本発明の範囲に属することは
言うまでもない。
れをコードするDNAの調製方法を詳しく説明する。本
発明の骨形成誘導蛋白質をコードするDNAは次のよう
にして得られる。まず、脊椎動物の組織から本発明のc
DNAの鋳型であるmRNAを抽出、単離する。脊椎動
物としては、哺乳類を挙げることができ、具体的には、
ヒト、ラット及びウシを挙げることができる。特にヒト
及び新生ラットが好ましい。使用する組織は特に限定さ
れないが、大腿骨、大腿骨頭、頭蓋冠等を挙げることが
でき、特にヒトの大腿骨骨頭及び新生ラットの頭蓋冠若
しくは大腿骨が好ましい。mRNAの抽出及び単離は常
法で行うことができる。mRNAを単離したら、これか
らcDNAライブラリーを作成する。mRNAからのc
DNAライブラリーの作成も常法で行うことができる。
する目的のクローンを検出するためのDNAプローブを
調製する。このDNAプローブの基になるオリゴヌクレ
オチドプライマーは、公知の骨形成誘導蛋白質をコード
するcDNAを参考にして合成することができる。この
ようにして得られたプローブをラベル化し、上記のcD
NAライブラリーをスクリーニングすることにより、ハ
イブリダイゼーションしたクローンが得られる。このプ
ローブでは、本発明のcDNAに対応するクローンだけ
がハイブリダイゼーションするのではなく、公知のクロ
ーンもハイブリダイゼーションするが、本発明のクロー
ンは、相対的にハイブリダイゼーションの程度が低く、
公知のクローンとはサザーンのハイブリダイゼーション
によるシグナルの強さによって分離することができる。
一旦、本発明のcDNAが得られれば、その決定された
塩基配列からcDNAを合成することができ、もはやク
ローン化することを要さない。
Aを発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを用いて
宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションし、こ
れを増殖して、細胞内または培地中に分泌させることに
よって得られるほか、例えば、カゼインプロモーター制
御下に該DNAを連結して得られたDNAを用いて作成
したトランスジェニック動物、例えば、ヤギやウシの乳
汁中に分泌させることによっても得られる。
現ベクターとしては、プラスミド、ウィルス、ファー
ジ、及び、本発明のcDNAを組み込むことが可能でか
つ宿主細胞に導入可能なDNAを挙げることができる。
発現ベクターは、転写プロモーター、転写を制御するエ
ンハンサー或いはオペレーター配列、適切なリボソーム
結合部位をコードする配列、及び転写と翻訳の終止を制
御する配列が含まれる必要があり、場合によっては、宿
主細胞内での発現用ベクターが複製を行うために必要な
DNA配列、或いはジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)
の阻害剤であるメトトレキセート存在下で導入DNAの
増幅を可能ならしめるdhfr遺伝子とその発現に必要
な制御配列が必要である。具体的には、動物細胞を用い
て発現する場合には、pcDL−SRα296(Mol. C
ell. Biol.8 466, 1988)、pCDM8〔シード(B.Se
ed)Nature 329, 840, 1987〕、pMAM neo〔リー
(F.lee)ら、Nature 294, 228, 1981〕、BCMG Neo
〔カラスヤマら、Eur. J. Immuno. 18, 97, 1988〕、p
SV2dhfr(リーら、前記文献)等のベクターを挙
げることができ、このうち、pcDL−SRα296及
びpSV2dhfrが好ましい。また、昆虫を宿主とし
た場合には、pAc373〔スミス(G.E.Smith)ら、Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 8404, 1985〕、酵母の
場合には、pAM80(ミヤノハラら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA. 80, 1, 1983 )、大腸菌の場合には、p
Trc99A〔アマン(E.Amann)ら、Gene 69, 301, 1
988 〕等のベクターを挙げることができる。なお、発現
ベクターは必要に応じて改変して用いることができる。
せるのに適切な宿主細胞には、例えば、COS−1細
胞、Verots細胞、CHO細胞、マウスC127細胞、ヒ
ト293細胞、シリアンハムスターBHK細胞、ヒトN
amalwa細胞、サルVoro細胞等を挙げることが
でき、好ましい宿主細胞はCOS−1細胞、ヒト293
細胞、シリアンハムスターBHK細胞である。宿主細胞
を形質転換またはトランスフェクションする際に使用す
る培地は、使用した宿主細胞の種類によって異なるが、
例えば、牛胎児血清を含むDMEM、αMEM、Ham
12、RPMI−1640等を用いることができる。宿
主細胞がCOS−1細胞である場合にはDMEMが好ま
しく、CHO細胞である場合にはαMEMが好ましい。
は、例えば、一過性発現ではpcDL−SRα296ベ
クターとCOS−1細胞であり、安定発現ではpSV2
dhfrベクターとシリアンハムスターBHK細胞であ
る。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションし
た後は、蛋白質が発現される条件で増殖させる。蛋白質
が培地中に分泌される場合には細胞を除去して培地から
直接精製することができる。蛋白質が細胞内に蓄積する
場合には、細胞溶解物から単離される。
で活性を有さない前駆体として生合成された後、プロセ
スサイトにおいてプロテアーゼにより切断されることに
より活性型の成熟体に変換されると考えられる。本発明
の骨形成誘導蛋白質を組み換えDNA技術により動物細
胞において高発現する場合、このプロセスサイトのアミ
ノ酸配列がプロテアーゼにより効率よく切断されること
が望ましい。前駆体構造を有する既知の蛋白質のプロセ
スサイトのアミノ酸配列は、Arg-X-Arg/Lys-Arg(Xは
必須アミノ酸を表す)が最も多いことが知られており
(J. Biol. Chem.267, 16335-16340 (1992))、この配
列はコンセンサス配列として提唱された。この配列で
は、最後のArg のC末端で前駆体は切断される。また、
この配列の場合、プロテアーゼによるプロセシングが効
率よく起こる。
BIP)の前駆体のプロセスサイトのアミノ酸配列は、
配列表の配列番号1のアミノ酸−4〜−1であるAla-Ar
g-Arg-Lys と考えられ、この配列は上記のコンセンサス
配列とは異なっている。従って、本発明のヒト骨形成誘
導蛋白質を効率よく分泌生産させるためにはプロセスサ
イトのアミノ酸配列を上記のコンセンサス配列と一致さ
せることが好ましい。そのような方法として、例えば、
プロセスサイトに対応するcDNA領域(配列表の配列
番号1の塩基1179〜1190)を目的のアミノ酸配
列に対応するように設計した合成DNAに置換すること
により、コンセンサス配列に変換することができる。例
えば、コンセンサス配列と一致するヒトBMP−2(特
表平2−500241号)のプロセス配列であるArg-Gl
u-Lys-Arg 或いはヒトアクチビンA(D. Huylebroeck e
t al., Mol. Endocrynol. 4, 1153 (1990)) のプロセス
配列であるArg-Arg-Arg-Arg はコンセンサス配列と一致
しており、これらのアミノ酸配列をコードする合成DN
Aを用いて本発明のヒト骨形成誘導蛋白質が本来持って
いるプロセス配列をそれぞれのコンセンサス配列に変換
できる。このような合成DNAで置換されたcDNAを
用いて、適当な宿主細胞において安定生産株を構築すれ
ばヒト骨形成誘導蛋白質を効率良く分泌生産することが
できる。安定生産株の構築に適した宿主細胞としては、
上記したもののうち、ヒト293細胞、シリアンハムス
ターBHK細胞、ヒトNamalwa細胞、サルVer
o細胞等が挙げられる。
骨形成誘導蛋白質またはその活性断片を有効成分とする
骨形成誘導剤の発明である。本発明の蛋白質は、その優
れた骨形成誘導活性から、骨粗鬆症、骨欠損症、例え
ば、歯槽膿漏等の骨欠損を伴う疾患及び骨折の治療剤と
して有用なものである。本発明の治療剤の投与は、例え
ば、経口、注射、骨損傷部への移植等、種々の方法で行
うことができ、また、それぞれに適した製剤、例えば、
散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、内用液剤、乳化剤、
懸濁剤等の経口投与剤、注射剤及び移植に適した製剤に
することができる。特に、注射剤は骨損傷部への到達に
適した剤形で行うことができ、骨損傷部へ移植する場合
にはマトリックスとともに行うことができる。かかる製
剤は、本発明の蛋白質は単独に、または本発明の蛋白質
を各剤形に応じた薬学的、製剤学的に許容される添加剤
との混合物として投与してもよい。これら製剤は適当な
溶剤中に溶解、乳化または懸濁する等して、常法により
行うことができる。
る添加剤としては、賦形剤(例えば、乳糖、ブドウ糖、
D‐マンニトール、澱粉、結晶セルロース、炭酸カルシ
ウム、カオリン等)、結合剤(例えば、デンプン糊液、
ゼラチン溶液、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、エタノール等)、崩壊剤(例えば、デンプン、ゼラ
チン末、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースカルシウム塩等)、滑沢剤(例えば、ステ
アリン酸マグネシウム、タルク等)、コーティング剤
(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセ
チルセルロース、白糖、酸化チタン等)があり、その他
必要に応じて着色剤、矯味剤等が加えられる。また、内
用液剤に加えられる添加剤としては、保存剤(例えば、
安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸
ナトリウム等)、懸濁化剤または乳化剤(例えば、アラ
ビアゴム、トラガント、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム塩、メチルセルロース、卵黄、界面活性剤
等)、甘味剤(例えば、白糖、単シロップ、クエン酸
等)があり、その他必要に応じて着色剤、安定剤等が加
えられ、これらに使用される溶剤は、主として精製水で
あるが、エタノール、グリセリン、プロピレングリコー
ル等も使用される。
注射用水、非水溶剤(例えば、エタノール、グリセリ
ン、プロピレングリコール、マクロゴール等)があり、
また、注射剤に使用する添加剤には、緩衝剤(例えば、
リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リ
ン酸ナトリウム等)、等張剤(例えば、ブドウ糖、塩化
ナトリウム等)、保存剤(例えば、フェノール、チメロ
サール、パラオキシ安息香酸エステル等)、安定剤(例
えば、亜硫酸水素ナトリウム等)があり、その他必要に
応じて、無痛化剤、溶解補助剤等が加えられる。また、
骨損傷部へ移植する場合に、本発明の蛋白質と共に移植
されるマトリックスとしては、生物吸収性で化学的なも
のとして、例えば、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、
硫酸カルシウムなどがあり、生物吸収性で生物学的なも
のとして、例えば、I型コラーゲンや骨などがある。ま
た、生物非吸収性のものとして、例えば、セラミックス
やチタンなどがある。これらは組み合わせて使用するこ
とができる。なお、骨粗鬆症の治療には、主として注射
剤が適用され、歯槽膿漏及び骨折の治療には、経口剤、
注射剤以外に上記の如く骨損傷部への移植が行われる。
及び製剤の種類のほか、疾患の種類、患者の年令、性別
等によって大きく変動するが、一般に、本発明の蛋白質
またはその活性断片の量が成人で0.01〜100mg/
日である。また、コラーゲン等との混合剤として患部に
移植する場合の本発明の蛋白質またはその活性断片とコ
ラーゲン等との混合比は、4×10-6〜4×10-1重量
%、好ましくは4×10-6〜4×10-2重量%、更に好
ましくは4×10-5〜4×10-3重量%とするのがよ
い。移植する混合剤の量は、疾患の程度により、医師に
より適宜決定される。
及び骨粗鬆症の予防及び根本的治療が可能となり、ま
た、骨折の加療期間を短縮することができる。以下に実
施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの記
載によって限定されるものではない。
するcDNAの単離プローブの調製 下記のプライマーを自動DNA合成機で合成し、これら
を用いて下記反応条件下でDNA断片をヒト胎盤染色体
DNAよりPCR法で増幅した。 プライマー1 5'‐AGCCATCAAATCATGC
TACC‐3' プライマー2 5'‐TCTGCAAGCGCAAGAC
TCTA‐3' 反応液:10mMトリス−塩酸(pH8.3)、50mMKC
l、1.5mMMgCl2 、0.001%ゼラチン、200μ
M dATP、200μM dCTP、200μM dGT
P、200μM dTTP、2.5ユニットAmpliTaq(Perk
in Elmer Cetus社製)、250nMプライマー1、250
nMプライマー2、1μg ヒト胎盤染色体DNA/100
μl 条件:94℃で1分間、37℃で2分間及び72℃で3
分間を1サイクルとして25サイクル行った。
にかけ、約180bpのDNA断片をガラス吸着法にて
回収した。この断片にEcoRIアダプター(ファルマ
シア社製)を常法に従いT4リガーゼで結合後、同様に
してこれをプラスミドBlueScriptIISK+〔ストラタジェ
ン(Stratagene)社製〕の制限酵素EcoRI認識部位
に連結した。この反応液を用いて、イノウエら(Gene,
96, 23. 1990)の方法にて調製した大腸菌(E.coli JM1
09)のコンピテントセルを形質転換した。得られた形質
転換株をLB培地で培養して回収した菌体よりアルカリ
・SDS法〔バーンボイム(Birnboim)ら、Nucleic Ac
ids Res.,7, 1513. 1979〕を使用して、プラスミドDN
Aを単離後、混在しているRNAを RNaseA処理DE除
き、PEG(ポリエチレングリコール)沈澱及びフェノ
ール抽出により除蛋白し、エタノール沈澱にてプラスミ
ドDNAを調製した。こうして調製したプラスミドDN
Aの塩基配列の決定は、ハットリら(Analytical Bioch
emistry 152, 232.1986)の方法でDNAを変性後、T
7DNAポリメラーゼを用いたダイデオキシ法〔サンガ
ー(Sanger)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,74, 54
63. 1977〕で行った。得られたDNA断片の塩基配列を
配列表2に示した。このプラスミドDNAを制限酵素E
coRIで消化後、1%アガロース電気泳動しガラス吸
着法にて回収した約180bpの断片をプローブとし
た。
・フェノール・クロロホルム抽出法(Analytical Bioch
emistry 162, 156. 1987)にて、トータルRNAを1.9
mg調製した。このRNA1.3mgからオリゴdTラテ
ックス(日本ロッシュ社製)によりポリ(A)RNAを
抽出し、このポリ(A)RNA5μgから、グブラー
(Gubler)、ホフマン(Hoffman)の方法に従って二本鎖
cDNAを合成した。このcDNAにEcoRIアダプ
ターをT4リガーゼで結合した後1%アガロース電気泳
動にかけ、2〜5kbの画分をアガロースゲルより抽出
した。このcDNAをラムダファージλgt10アーム
〔マーレイ(Murray)ら、Mol. gen. Genet.,150, 53.
1977〕〔ベセスダ(Bethesda)研究所製〕の制限酵素E
coRI認識部位に結合後、インビトロ・パッケージン
グ〔コリンス(Collins)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA.,71, 4242. 1978〕を行い、cDNAライブラリーを
作成した。
大腸菌C600fhl(DNA cloning,1, 56, 1985)に
感染させた。得られた約1,000,000個のプラークを
ニトロセルロースフィルターに固定した〔ベントン(Be
nton)ら、Science 196, 180. 1977〕。このフィルター
を37℃でハイブリダイゼーション溶液(20%ホルム
アミド、6×SSPE、0.1%SDS、100μg/ml
サケ精子DNA)中で20時間プレハイブリダイゼーシ
ョンし、その後、マルチプライムラベリングキット〔ア
マシャム(Amersham)社製〕により〔α−32P〕dCT
Pで放射ラベルした上記プローブDNAを用いて、42
℃で上記ハイブリダイゼーション溶液中でハイブリダイ
ゼーションを行った。次いで、このフィルターを2×S
SC、0.1%SDS溶液中、50℃で洗浄後、オートラ
ジオグラフィーにてポジティブクローンを16クローン
得た。得られたクローンを常法に従って純化しそのDN
Aを調製した。これら組み換えファージDNAに挿入さ
れたDNA断片をサザーン(Southern)の方法(J. Mo
l. Biol., 98, 503. 1975)で、上記プローブによるハ
イブリダイゼーションにて確認した。これらのクローン
をHE24、25、27と命名した。いずれも同じ塩基
配列であった。
消化後アガロース電気泳動に付し、ガラス吸着法で精製
したcDNA断片をプラスミドBlueScriptIISK+のNo
tI部位に挿入しサブクローン化した。HE24を含む
大腸菌は、1992年7月3日に工業技術院微生物工業
技術研究所に寄託した(受託番号FERM P−130
45)。このプラスミドDNAを用いてダイデオキシ法
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 74, 5463. 1977 )に
従って、cDNAの部分塩基配列を決定した。このcD
NAの塩基配列及びこれによってコードされるアミノ酸
配列を配列表の配列番号1に示した。この結果から、ヒ
ト骨形成誘導蛋白質は塩基87から1520にコードさ
れている478残基のアミノ酸からなることがわかる。
即ち、この蛋白質は分泌シグナルを含む478残基の前
駆体蛋白質として合成され、分泌された後は更にアミノ
酸−2、−1或いは1で切断され、112、111或い
は110残基のアミノ酸よりなる成熟蛋白質が作られ
る。
IP)をコードするcDNAの単離ラット骨組織のcDNAライブラリーの調製 誕生直後の新生ラットの大腿骨2gより酸グアニジンチ
オシアネート・フェノール・クロロホルム抽出法(Anal
ytical Biochemistry 162, 156. 1987)にて、トータル
RNA5.8mgを調製した。このトータルRNA2mg
からオリゴdTラテックス(日本ロッシュ社製)により
ポリ(A)RNAを抽出し、このポリ(A)RNA5μ
gから、グブラー(Gubler)、ホフマン(Hoffman)の方
法に従って二本鎖cDNAを合成した。このcDNAに
EcoRIアダプターをT4リガーゼで結合した後1%
アガロース電気泳動にかけ、1.2〜5kbの画分をアガ
ロースゲルより抽出した。このcDNAをラムダファー
ジλgt10アーム〔マーレイ(Murray)ら、Mol. ge
n. Genet.,150, 53. 1977〕〔ベセスダ(Bethesda)研
究所製〕の制限酵素EcoRI認識部位に結合後、イン
ビトロ・パッケージング〔コリンス(Collins)ら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA.,71, 4242. 1978〕を行い、
cDNAライブラリーを作成した。
大腸菌C600fhl(DNA 1, 56, 1985)に感染させ
た。得られた約1,000,000個のプラークをニトロセ
ルロースフィルターに固定した〔ベントン(Benton)
ら、Science 196,180. 1977〕。このフィルターをハイ
ブリダイゼーション溶液(20%ホルムアミド、6×S
SPE、5×デンハルツ、0.5%SDS、100μg/
mlサケ精子DNA)中で37℃でプレハイブリダイゼー
ションし、その後、マルチプライムラベリングキット
(アマシャム社製)により〔α−32P〕dCTPで放射
ラベルした実施例1で得たプローブDNAを用いて、4
2℃で上記ハイブリダイゼーション溶液中でハイブリダ
イゼーションを行った。次いで、このフィルターを2×
SSC、0.1%SDS溶液中、50℃で洗浄後、オート
ラジオグラフィーにてポジティブクローンを24クロー
ン得た。得られたクローンを常法に従って純化しそのD
NAを調製した。これら組み換えファージDNAに挿入
されたDNA断片をサザーンの方法(J. Mol. Biol., 9
8, 503. 1975)で、上記プローブによるハイブリダイゼ
ーションにて確認した。これらのクローンをRB12、
45、RC2と命名した。いずれも同じ塩基配列であっ
た。
消化後アガロース電気泳動に付し、ガラス吸着法で精製
したcDNA断片をプラスミドBlueScriptIISK+のNo
tI部位に挿入しサブクローン化した。RB45を有す
るプラスミドDNAを含む大腸菌は、1992年7月3
日に工業技術院微生物工業技術研究所に寄託した(受託
番号FERM P−13046)。このプラスミドDN
Aを用いてダイデオキシ法(Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA., 74,5, 463. 1977)に従って、cDNAの塩基配列
を決定した。このcDNAの塩基配列及びこれによって
コードされるアミノ酸配列を配列表の配列番号3に示し
た。この結果から、ラット骨形成誘導蛋白質は配列番号
3の塩基60から1487にコードされている476残
基のアミノ酸からなることがわかる。この蛋白質は更に
プロセスを受けて塩基1152、1155或いは115
8〜1487の間にコードされている112、111或
いは110残基からなる成熟蛋白質が作られる。
形成誘導蛋白質の発現 本発明のヒト骨形成誘導蛋白質が骨形成活性を有するこ
とを確認するために、実施例1で得られたcDNAを一
過性発現ベクターに連結し、これをCOS−1細胞(Gl
uzman: Cell, 23, 175. 1981)に導入・発現させ、培養
上清中の生成物の活性を測定した。発現ベクターの構築 一過性発現ベクターには、武部らによって報告されたp
cDL−SRα296〔Mol. Cell. Biol. 8(1) 466,19
88〕を改変したpcDL−SRDを用いた。即ち、ベク
ターpcDL−SRα296を制限酵素KpnI、Ps
tIで消化後、DNAポリメラーゼIを用いて平滑末端
とし、EcoRIリンカーを挿入したものである。ま
ず、本発明のヒト骨形成誘導蛋白質をコードするcDN
Aを図1に示す方法で蛋白質の非コード領域の除去を行
った。即ち、5'側の非コード領域を除去するために、H
E24を制限酵素NcoIで消化しDNAポリメラーゼ
Iをもちいて平滑末端とした後、制限酵素SalIで消
化し、開始コドンを含む5'側のフラグメントであるNc
o△−SalIフラグメントを単離した。一方、HE2
4から制限酵素SalI及びKpnIで消化して得たS
al−Kpnフラグメントを単離した。上記の2つのD
NAフラグメントをBlueScriptIISK+を制限酵素Hin
dIII で消化し、DNAポリメラーゼIをもちいて平滑
末端とした後、制限酵素KpnIで消化したベクターに
連結した。得られたプラスミドを制限酵素EcoRV及
びKpnIで消化し、EV−Kpnフラグメントを単離
した。次に、下に示すような本発明の蛋白質のC末端に
対応するcDNA領域を増幅するための2種のPCR用
プライマー: C−1 5'‐GATATCTCACCGGCAGGCA
CAGGTG‐3' C−2 5'‐TCCCGGAGGTACCTGAAGG
T‐3' を合成した。
24を鋳型にPCRを下記反応条件で行ったのち、アガ
ロース電気泳動でDNAを分離し、ガラス吸着法にて、
各所望のDNA断片を単離・精製した。 反応液:10mMトリス−塩酸(pH8.3)、50mMKC
l、1.5mMMgCl2 、0.001%ゼラチン、200μ
M dATP、200μM dCTP、200μM dGT
P、200μM dTTP、5ユニットAmpliTaq(Perkin
Elmer Cetus社製)、1μM プライマーC−1、1μM
プライマーC−2、500pg HE24プラスミドDN
A/50μl 条件:92℃で1分間、50℃で2分間及び72℃で3
分間を1サイクルとして32サイクル
nI−EcoRV(Kpn−EV)フラグメントを単離
し、BlueScriptIISK+の制限酵素認識部位EcoRVの
3'末端にdTTPをT−ベクターに連結し、実施例1と
同様にDNA塩基配列を決定した。得られたプラスミド
は、制限酵素KpnI及びEcoRVで消化してKpn
−EVフラグメントを単離した。このフラグメントを上
記EV−Kpnフラグメント及びBlueScriptIISK+を制
限酵素EcoRVで消化した後、アルカリ性ホスファタ
ーゼ処理により脱リン酸化したものと連結して非コード
領域を除去したコード領域全長のcDNAを得た。この
cDNAをBlueScriptIISK+/EVから制限酵素Eco
RVで消化することによって単離し、前記のpcDL−
SRDベクターのEcoRI認識部位を平滑末端とした
ところに連結して、ヒト骨形成誘導蛋白質発現ベクター
(SRD−hBIP)を構築した。図2は、得られたプ
ラスミドの制限酵素地図である。
ンスフェクション及び発現 サムブルーク(Sambrook)らの方法(Molecular Clonin
g:Cold Spring HaborLaboratory Press. 16. 41. 198
9)に従い、得られたベクターでCOS−1細胞にトラ
ンスフェクションし、ヒト骨形成誘導蛋白質を発現させ
た。10mlのDMEM+10%牛胎児血清を培地とし
て、100mm細胞培養用ディッシュに1×106 個のC
OS−1細胞を播種し、5%CO2 インキュベーター内
で37℃で18時間培養後、10mlのリン酸緩衝生理食
塩水〔PBS(−)〕で2回洗浄した。これに2μgの
上記ベクターとDEAEデキストランとの混合溶液を添
加し、室温で15分間静置後、100μMのクロロキン
を含む5mlのDMEM+10%牛胎児血清を添加して、
37℃で3時間30分保温後に培地を除き、900μl
の10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むDM
EM+10%牛胎児血清を加え、室温で2分間静置し
た。その後、PBS(−)、DMEM+10%牛胎児血
清各5mlで1回洗浄し、DMEM+10%牛胎児血清を
10ml加え、5%CO2 インキュベーター内で37℃で
24時間培養した後、培地を除いて10mlのDMEM+
2%牛胎児血清を添加し、5%CO2 インキュベーター
内で37℃で保温した。5日後、培地を回収し4℃で1
0000rpm の回転数で10分間遠心分離し、上清を採
取した。
酸(pH7.0)を加えて、6M尿素50mMトリス−塩酸
(pH7.0)となるように調整し、これを6M尿素/5
0mMトリス−塩酸(pH7.0)で予め平衡化したヘパリ
ン−セファロースカラム(20ml,ファルマシア製)
に流した。吸着された蛋白質を同緩衝液で洗浄した後、
0.5M塩化ナトリウムを含む同緩衝液30mlで溶出させ
た。セントリコンを用いた限外濾過により約5mlまで濃
縮した後、脱イオン水に対し透析を行い、更に凍結乾燥
を行い、1%デオキシコール酸ナトリウム/50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)で溶解した。これを同緩衝
液で予め平衡化したConA−セファロースカラム(2
00μl 、ファルマシア製)に流し、同緩衝液で洗浄し
た後、0.5Mメチル−α−D−マンノシドを含む同緩衝
液1mlで溶出を行った。また、対照(モック)として、
ヒト骨形成誘導蛋白質をコードするcDNAを含まない
pcDL−SRDベクターだけを用いて上記と同様に処
理した。
6591. 1983 )に従って、上記のConA吸着画分及び
非吸着画分の骨形成誘導活性を測定した。まず、ラット
脱灰骨から4Mグアニジン塩酸により、骨形成誘導活性
を除去したマトリックス残渣25mgと前項で調製した蛋
白質試料とで共沈澱ペレットを作り、これを21〜28
日齢雄SDラットの腹胸部皮下に移植した。次いで、1
2日後にペレットを取り出し、その中のアルカリ性ホス
ファターゼ活性及びカルシウム含量を測定した。対照と
してモック・トランスフェクション上清を用いて、ヘパ
リン−セファロースカラム、ConA−セファロースカ
ラムにより同様の方法で精製を行った蛋白質試料につい
て骨形成誘導活性を測定した。その結果を表1に示し
た。
白質を含むConA吸着画分に、モックに比べ強い骨形
成誘導活性が検出された。このことから、本発明のヒト
骨形成誘導蛋白質は強い骨形成誘導活性を有する蛋白質
であることが明らかである。
成誘導蛋白質の発現 ヒト腎由来の293T細胞(J. Gen. Virology, 36, 59
-72 (1977)) において生産した本発明のヒト骨形成誘導
蛋白質が骨形成活性を有することを確認するために、実
施例3で構築した一過性発現ベクターを用い、これを2
93T細胞に導入・発現させ、培養上清中の生成物の活
性を測定した。ヒト骨形成誘導蛋白質発現ベクターのトランスフェクシ
ョン及び発現 実施例3で構築した一過性発現ベクター(SRD−hB
IP)を293T細胞にトランスフェクションし、ヒト
骨形成誘導蛋白質を発現させた。10mlのMEM+10
%牛胎児血清を培地として、100mm細胞培養用ディッ
シュに1×106 個の293T細胞を播種し、5%CO
2 インキュベーター内で37℃で18時間培養後、実施
例3で構築したSRD−hBIPを用いて調製した20
μgのリン酸カルシウムの沈殿を加え、5%CO2 イン
キュベーター内で保温した。18時間培養後、培地を除
いて10mlのMEM+2%牛胎児血清を添加し、5%C
O2 インキュベーター内で37℃で保温した。3日後培
地を回収して4℃で10000rpm の回転数で10分間
遠心分離し、上清を採取した。また、対照(モック)と
して、上記と同様に293T細胞へpcDL−SRDベ
クターのみをトランスフェクションして培養後、上清を
採取した。
塩酸(pH7.0)を加えて、6M尿素50mMトリス−塩
酸(pH7.0)となるように調整し、これを6M尿素/
50mMトリス−塩酸(pH7.0)で予め平衡化したヘパ
リン−セファロースカラム(20ml,ファルマシア製)
に流した。吸着された蛋白質を同緩衝液で洗浄した後、
0.5M塩化ナトリウムを含む同緩衝液30mlで溶出させ
た。セントリコンを用いた限外濾過により約5mlまで濃
縮した後、脱イオン水に対し透析を行い、更に凍結乾燥
を行い、1%デオキシコール酸ナトリウム/50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解した。これを同緩衝
液で予め平衡化したConA−セファロースカラム(2
00μl 、ファルマシア製)に流し、同緩衝液で洗浄し
た後、0.5Mメチル−α−D−マンノシドを含む同緩衝
液1mlで溶出を行った。
ち、マトリックス残渣25mgと前項で調製した蛋白質試
料とで共沈澱ペレットを作り、これを21〜28日齢雄
SDラットの腹胸部皮下に移植した。次いで、12日後
にペレットを取り出し、その中のアルカリ性ホスファタ
ーゼ活性及びカルシウム含量を測定した。対照としてモ
ック・トランスフェクション上清を用いて、ヘパリン−
セファロースカラム、ConA−セファロースカラムに
より同様の方法で精製を行った蛋白質試料について骨形
成誘導活性を測定した。その結果を表2に示した。
白質を含むConA吸着画分に、モックに比べ強い骨形
成誘導活性が検出された。このことから、293T細胞
において生産した本発明のヒト骨形成誘導蛋白質も強い
骨形成誘導活性を有する蛋白質であることが明らかであ
る。
骨形成誘導蛋白質の発現 本発明のラット骨形成誘導蛋白質が骨形成活性を有する
ことを確認するために、実施例2で得られたcDNAを
一過性発現ベクターに連結し、これをCOS−1細胞に
導入・発現させ、培養上清中の生成物の活性を測定し
た。発現ベクターの構築 一過性発現ベクターには、実施例3と同様に武部らによ
って報告されたpcDL−SRα296を改変したpc
DL−SRDを用いた。即ち、ベクターpcDL−SR
α296を制限酵素KpnI、PstIで消化後、DN
AポリメラーゼIを用いて平滑末端とし、EcoRIリ
ンカーを挿入したものである。まず、このベクターを制
限酵素EcoRIで消化し、DNAポリメラーゼIを用
いて平滑末端とした後、アルカリ性ホスファターゼ処理
により脱リン酸化した。一方、本発明の骨形成誘導蛋白
質をコードするcDNAは、図3に示す方法で蛋白質の
非コード領域の除去を行った。まず、下に示すような本
発明の蛋白質のN末端(ATG;開始コドン)及びC末
端(TAA;停止コドン)各2種のPCR用プライマ
ー: N末端プライマー N−1 5'‐GATATCATGGCTCCAGGTC
TTGC‐3' N−2 5'‐GCACGGAAGCTTCGGACG‐
3' C末端プライマー C−1 5'‐GATATCTTACCGACAGGCA
CAGGT‐3' C−2 5'‐CCAGGAGGTACCTGAAGG‐
3' を合成した。
を用いてRB45を鋳型にPCRを下記条件でN末端側
DNAを増幅後、アガロース電気泳動でDNAを分離
し、ガラス吸着法にて、各所望のDNA断片を単離・精
製した。 反応液:10mMトリス−塩酸(pH8.3)、50mMKC
l、1.5mMMgCl2 、0.001%ゼラチン、200μ
M dATP、200μM dCTP、200μM dGT
P、200μM dTTP、5ユニットAmpliTaq(Perkin
Elmer Cetus社製)、1μM プライマーN−1、1μM
プライマーN−2、500pg RBプラスミドDNA/
50μl 条件:94℃で1分間、45℃で2分間及び72℃で2
分間を1サイクルとして30サイクル反応を行った。
いて同条件でC末端側DNAを増幅・単離・精製した。
こうして得られたN末端側DNA・EcoRV−Hin
dIII (EV−H3)フラグメント及びC末端側DNA
・KpnI−EcoRV(Kpn−EV)フラグメント
それぞれを、実施例2のT−ベクターに別々に連結し、
実施例1と同様にDNA塩基配列を決定した。得られた
2種類のプラスミドDNAのうち、N末端側DNAであ
るEV−H3フラグメントを連結したプラスミドDNA
については、制限酵素EcoRVとHindIII で消化
して単離したEV−H3フラグメントを、RB45を制
限酵素HindIII 及びKpnIで消化して単離したH
indIII −KpnI(H3−Kpn)フラグメントと
共に、BlueScriptIISK+の制限酵素認識部位EcoRV
とKpnIの間に挿入し、更にこうして得られたプラス
ミドDNAを制限酵素EcoRV及びKpnIで消化し
てEcoRV−KpnI(EV−Kpn)フラグメント
を単離した。
フラグメントを連結したプラスミドDNAについては、
制限酵素KpnI及びEcoRVで消化してKpn−E
Vフラグメントを単離した。これら両フラグメントを前
記のpcDL−SRDベクターの平滑末端とした制限酵
素EcoRI認識部位に連結して、骨形成誘導蛋白質発
現ベクターを構築した。図4は、得られたプラスミドの
制限酵素地図である。
ランスフェクション及び発現 前項で得られたベクターをCOS−1細胞にトランスフ
ェクションし、ラット骨形成誘導蛋白質を発現させた。
10mlのDMEM+10%牛胎児血清を培地として、1
00mm細胞培養用ディッシュに1×106 個のCOS−
1細胞を播種し、5%CO2 インキュベーター内で37
℃で18時間培養後、10mlのリン酸緩衝生理食塩水
〔PBS(−)〕で2回洗浄した。これに2μgの上記
ベクターとDEAEデキストランとの混合溶液を添加
し、室温で15分間静置後、100μMのクロロキンを
含む5mlのDMEM+10%牛胎児血清を添加して、3
7℃で3時間30分保温後に培地を除き、900μl の
10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むDME
M+10%牛胎児血清を加え、室温で2分間静置した。
その後、PBS(−)、DMEM+10%牛胎児血清各
5mlで1回洗浄し、DMEM+10%牛胎児血清を10
ml加え、5%CO2 インキュベーター内で37℃で24
時間培養した後、培地を除いて10mlのDMEM+2%
牛胎児血清を添加し、5%CO2 インキュベーター内で
37℃で保温した。5日後、培地を回収し4℃で100
00rpm の回転数で10分間遠心分離し、上清を採取し
た。また、対照(モック)として、骨形成誘導蛋白質を
コードするcDNAを含まないpcDL−SRDベクタ
ーだけを用いて上記と同様にCOS−1細胞を形質転換
し、培養を行って上清を採取した。
酸(pH7.0)を加えて、6M尿素50mMトリス−塩酸
(pH7.0)となるように調整し、これを6M尿素/5
0mMトリス−塩酸(pH7.0)で予め平衡化したヘパリ
ン−セファロースカラム(20ml,ファルマシア製)
に流した。吸着された蛋白質を同緩衝液で洗浄した後、
0.5M塩化ナトリウムを含む同緩衝液30mlで溶出させ
た。セントリコンを用いた限外濾過により約5mlまで濃
縮した後、脱イオン水に対し透析を行い、更に凍結乾燥
を行い、1%デオキシコール酸ナトリウム/50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解した。これを該緩衝
液で予め平衡化したConAセファロースカラム(20
0μl 、ファルマシア製)に流し、同緩衝液で洗浄した
後、0.5Mメチル−α−D−マンノシドを含む同緩衝液
1mlで溶出を行った。
吸着画分の骨形成誘導活性を測定した。まず、ラット脱
灰骨から4Mグアニジン塩酸により、骨形成誘導活性を
除去したマトリックス残渣25mgと前項で調製した蛋白
質試料とで共沈澱ペレットを作り、これを21〜28日
齢雄SDラットの腹胸部皮下に移植した。次いで、12
日後にペレットを取り出し、その中のアルカリ性ホスフ
ァターゼ活性及びカルシウム含量を測定した。対照とし
てモック・トランスフェクション上清を用いて、ヘパリ
ン吸着画分について骨形成誘導活性を測定した。その結
果を表3に示した。
蛋白質を含むConA吸着画分に、モックに比べ強い骨
形成誘導活性が検出された。このことから、本発明の骨
形成誘導蛋白質は強い骨形成誘導活性を有する蛋白質で
あることが明らかである。図5〜10に、骨形成誘導活
性を測定した際の12日目のペレットの組織学的所見を
示した。図5〜7は、ConA吸着画分の部分精製ラッ
ト骨形成誘導蛋白質とラット骨マトリックス残渣の共沈
澱ペレットを移植したものであり、図8〜10は、モッ
ク培養上清よりヘパリンセファロースにより部分精製し
たものとラット骨マトリックス残渣の共沈澱ペレットを
移植したものである。図5及び8は、ヘマトキシリン及
びエオシン染色後の顕微鏡写真(×150)であり、図
6及び9は、PAS及びアルシャン・ブルー染色後の顕
微鏡写真(×200)であり、図7及び10は、von Ko
ssa 染色後の顕微鏡写真(×200)である。
スの間隙に顕著な間質細胞の増生が認められる。その中
には、破骨細胞や線維芽細胞がみられ、コラーゲンマト
リックスの周囲に沿って存在する骨芽細胞と考えられる
細胞も認められる。また、軟骨細胞を伴う軟骨基質の増
生も認められる。更に、コラーゲンマトリックスには顕
著な石灰化が認められ、軟骨基質にも点状に石灰化が認
められる。図6では、軟骨細胞がアルシャン・ブルーに
淡染し、その中にはアルシャン・ブルーに強染する軟骨
細胞が散見される。また、PASで染色される石灰化物
質が認められる。図7では、コラーゲンマトリックス及
び軟骨基質中に顕著な石灰化物質が認められる。一方、
図8〜10では、コラーゲンマトリックスの間隙での細
胞増生は少なく、殆どが線維芽細胞と考えられる。ま
た、軟骨基質、破骨細胞、骨芽細胞及び石灰化も認めら
れない。このように、組織学的所見からも本発明の蛋白
質は明らかに骨形成を誘導していることが認められた。
分布 ラットの種々の組織からポリ(A)RNAを抽出し、ノ
ーザン・ハイブリダイゼーション法により該ラット骨形
成誘導蛋白質のmRNAの発現を検出した。10〜15
週齢のSDラットの小脳、肋骨、肋軟骨、気管、血管、
脾臓、胸腺、筋肉及び骨髄及び新生子ラットのSDラッ
トの大腿骨、頭蓋冠より、酸グアニジンチオシアネー
ト、フェノール、クロロホルム抽出法にてRNAを抽出
し、これらからオリゴdTラテックスでポリ(A)RN
Aを抽出した。各組織のポリ(A)RNA10μgを1
Mグリオキサール、50%ジメチルスルホキシド、10
mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中にて、50
℃、1時間変性した後、1%アガロースゲル〔10mMリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)〕にて電気泳動を行
った。既知分子量のRNA(GIBCO BRL社製)を上記と
同様の処理を行って分子量マーカーとして使用した。
よりアガロースゲルからナイロンメンブレン(商品名;
ハイボンドN(アマシャム社製))に転写した。このフ
ィルターを42℃でハイブリダイゼーション溶液(40
%ホルムアミド、6×SSPE、5×デンハルツ、0.1
%SDS、100μg/mlサケ精子DNA)中で3時間
プレ−ハイブリダイゼーションし、その後、マルチプラ
イムラベリングキットにより〔α−32P〕dCTPで放
射ラベルしたラット骨形成誘導蛋白質プローブを用いて
42℃で20時間上記ハイブリダイゼーション溶液中で
ハイブリダイゼーションを行った。ラット骨形成誘導蛋
白質プローブは、プラスミドRB12から制限酵素No
tIで切り出されるラット骨形成誘導蛋白質cDNAの
全2.2KbのDNAフラグメントを用いた。次いで、こ
のフィルターを0.1×SSC、0.1%SDS溶液中、5
0℃で洗浄後、オートラジオグラフィーを行い、シグナ
ルの強度により各組織のラット骨形成誘導蛋白質の発現
分布と存在量を検出した。
し、特表平2−500241号及び特表平3−5036
49号等に記載された骨形成誘導蛋白質であるBMP−
2及びBMP−3についても、それぞれラットBMP−
2cDNA及びラットBMP−3cDNAをプローブと
してハイブリダイゼーションを行い、発現分布と存在量
を検出した。ラットBMP−2のプローブの調製 特表平2−500241号に記載されたヒトBMP−2
cDNAの塩基配列よりDNAプローブ(5'-ACTAATCAT
GCCATTGTTCAGACGTTGGTCAACTCTGTTAAC-3')を合成した。
このプローブを用いてヒト胎盤cDNAライブラリーよ
り、ヒトBMP−2cDNAをクローニングした。ヒト
BMP−2の全コード領域を含むcDNAフラグメント
をプローブとして用い、ラット胎盤cDNAライブラリ
ーから、ラットBMP−2cDNAをクローニングし
た。ラットBMP−2の全コード領域を含むcDNAフ
ラグメントをノーザン・ハイブリダイゼーションのプロ
ーブとして用いた。ラットBMP−3のプローブの調製 特表平2−500241号に記載されたヒトBMP−3
cDNAの塩基配列よりプライマーDNAを合成した。
実施例1及び2に記載した方法に従って、このプライマ
ーを用いてヒト胎盤染色体DNAから、180bpの成
熟体領域を含むDNA断片をPCR法により増幅した
後、プラスミドBlueScriptIISK+にサブクローニングし
た。このDNA断片をプローブとして用い、ラット大腿
骨cDNAライブラリーから、ラットBMP−3cDN
Aをクローニングした。ラットBMP−3の全長を含む
cDNAフラグメントをノーザン・ハイブリダイゼーシ
ョンのプローブとして用いた。
る。A及びBは本発明の骨形成誘導蛋白質のオートラジ
オグラムであり、CはBMP−2のオートラジオグラム
であり、D及びEはBMP−3のオートラジオグラムで
ある。また、レーンA〜Kは以下の組織のオートラジオ
グラムである。 A 小脳 成熟SDラット B 肋骨 〃 C 肋軟骨 〃 D 気管 〃 E 血管 〃 F 脾臓 〃 G 胸腺 〃 H 筋肉 〃 I 骨髄 〃 J 大腿骨 新生SDラット K 頭蓋冠 〃
蛋白質mRNAの大きさは、4.1kb及び2.8kbであ
ることがわかる。また、本発明のラット骨形成誘導蛋白
質mRNAは、新生子ラットの大腿骨、頭蓋冠、成熟ラ
ットの小脳、肋軟骨、気管及び血管に強い存在が認めら
れた。一方、C〜Eから、ラットBMP−2mRNAの
大きさは、3.8kb及び2.5kbであり、ラットBMP
−3cDNAmRNAの大きさは、6.7kb、4.7kb
及び2.6kbであって、本発明のラット骨形成誘導蛋白
質mRNAの大きさとBMP−2及びBMP−3mRN
Aの大きさとは異なる。このことは、本発明の骨形成誘
導蛋白質の遺伝子がBMP−2及びBMP−3の遺伝子
とは異なることを示している。また、mRNAの発現分
布についても、ラットBMP−2及びラットBMP−3
は、本発明のラット骨形成誘導蛋白質と大きな相違を見
せている。即ち、ラットBMP−2においては、気管に
強い存在が認められるものの小脳、肋軟骨及び血管には
弱い存在しか認められず、また、ラットBMP−3にお
いても、気管に強い存在が認められるものの小脳及び肋
軟骨には存在が認められない。このように、本発明のラ
ット骨形成誘導蛋白質は、BMP−2及びBMP−3と
明らかに異なる蛋白質である。なお、本発明の骨形成誘
導蛋白質mRNAは小脳及び肋軟骨で強い存在が認めら
れることから、中枢神経系及び軟骨形成で重要な役割を
果たしている可能性がある。
ス配列の置換 本発明の前駆体蛋白質から成熟蛋白質を効率よく切り出
すために、以下に示される、配列表の配列番号1におい
て塩基1171〜1226で示される、本発明の前駆体
蛋白質のプロセス配列を含むアミノ酸配列をコードする
DNA配列: 5'-TG CAG AAA GCC CGG AGG AAG CAG TGG GAT GAG CCG AGG GTG TGC TCC 3'-C TTT CGG GCC TCC TTC GTC ACC CTA CTC GGC TCC CAC ACG AGG Glu Lys Ala Arg Arg Lys Gln Trp Asp Gln Pro Arg Val Cys Ser CGG AGG TAC-3' GCC TC-5' Arg Arg Tyr を、先に述べたコンセンサス配列(Arg-Glu-Lys-Arg )
を含む以下のヒトBMP−2タイプ合成DNAと置換し
た。 (ヒトBMP−2タイプ) 5'-TG CAC AAA CGC GAG AAG AGG CAG TGG GAT GAG CCG AGG GTG TGC TCC 3'-G TTT GCG CTC TTC TCC GTC ACC CTA CTC GGC TCC CAC ACG AGG His Lys Arg Gln Lys Arg CGG AGG TAC-3' GCC TC-5' まず、図12に示したSK+/H3△,Kpnを制限酵
素BbsI及びKpnIで消化し、上記合成DNAを連
結してSK+/H3△,Kpn改変体を得た。次いで、
この改変体をEcoRV及びKpnIで消化し、前駆体
領域と改変部分を含むEcoRV−KpnIフラグメン
トを得た。一方、SK+/EVをKpnI及びEcoR
Vで消化し、ヒト骨形成誘導蛋白質の成熟領域のC末端
部分を含むKpnI−EcoRVフラグメントを得た。
これら2つのDNAフラグメントをBlueScriptIISK+ の
制限酵素EcoRV認識部位に挿入した。こうして得ら
れたプラスミドDNAのEcoRVフラグメント中のヒ
ト骨形成誘導蛋白質cDNAのプロセス配列はコンセン
サス配列に置換されていた。更に、下記合成DNAを用
いて、上記と同じ処理をしたところ、やはり、ヒト骨形
成誘導蛋白質cDNAのプロセス配列はコンセンサス配
列(Arg-Arg-Arg-Arg )に置換されていた。 (ヒトアクチビンAタイプ) 5'-TG CAG AAA CGC CGG AGG AGG CAG TGG GAT GAG CCG AGG GTG TGC TCC 3'-C TTT GCG GCC TCC TCC GTC ACC CTA CTC GGC TCC CAC ACG AGG Gln Lys Arg Arg Arg Arg CGG AGG TAC-3' GCC TC-5' 図12はこれらの方法を示したものである。このように
して得られたcDNAを用いて形質転換した細胞は、本
発明のヒト骨形成誘導蛋白質を効率良く分泌生産した。
限酵素EcoRVで消化後、バクテリアル・アルカリ性
ホスファターゼで5'末端の脱リン酸化を行った。このD
NAに、上記実施例3で作製したプラスミドBlueScript
IISK+/EVを制限酵素EcoRVで消化して単離した
DNAフラグメントを、T4DNAリガーゼで連結し
て、安定発現ベクターpEVMT(hBIP)を構築し
た。また、ベクターpEVCMVを使用して同様の操作
を行い、安定発現ベクターpEVCMV(hBIP)を
構築した。ヒト293細胞の形質転換及び高生産株の分離 次に、チェンら(Chen, c.& Okayama, H. Mol. Cell B
iol., 7, 12745-12752(1987))の方法に従って、20
μgの安定発現ベクターpEVMT(hBIP)DNA
と2μgのpSV2neoを用いてリン酸カルシウム共
沈澱を作製した。これを、培地(90%MEM+10%
牛胎児血清)1ml当たり2×105 個のヒト293細
胞を播種し、37℃、5%CO2 ガス中で1晩培養した
細胞培養用100mmディッシュに滴下した。1晩保温
後、0.025%トリプシン−0.01%EDTAで細胞を
剥がし、この細胞を選択培地(90%MEM+10%牛
胎児血清1ml+G418 2mg/L)で10倍に希
釈して10枚の100mmディッシュに播種し、同培地
中でコロニーが出現するまで、培地を交換しながら培養
した。出現したコロニーをそれぞれ拡大培養し、培養上
清中に発現したヒト骨形成誘導蛋白の量を酵素抗体測定
法(EIA)で測定し、発現量の多い生産株を分離し
た。安定発現ベクターpEVCMV(hBIP)につい
ても同様に処理し、発現量の多い生産株を分離した。図
13は、以上の方法を示したものである。こうして得ら
れた株は、培地中にメトトレキセート(MTX)を添加
し、順次その濃度を上げて馴養を行えば、更に高発現の
株となる。
Ile Pro Gly Ile Pro Glu Pro 60 65 70 TGC TGT GTT CCC GAT AAG ATG AAC TCC CTT GGG GTC CTC TTC CTG GAT 1457 Cys Cys Val Pro Asp Lys Met Asn Ser Leu Gly Val Leu Phe Leu Asp 75 80 85 GAG AAT CGG AAT GTG GTT CTG AAG GTG TAC CCC AAC ATG TCC GTG GAC 1505 Glu Asn Arg Asn Val Val Leu Lys Val Tyr Pro Asn Met Ser Val Asp 90 95 100 105 ACC TGT GCC TGC CGG TGAGACCACT CCAGGGTGGA AAGAAGCCAC GCCCAGCAGA 1560 Thr Cys Ala Cys Arg 110
産物) 配列 AGCCATCAAA TCATGCTACC ATCCAGAGTA TAGTGAGAGC TGTGGGGGTC GTTCCTGGGA 60 TTCCTGAGCC TTGCTGTGTA CCAGAAAAGA TGTCCTCACT CAGTATTTTA TTCTTTGATG 120 AAAATAAGAA TGTAGTGCTT AAAGTATACC CTAACATGAC AGTAGAGTCT TGCGCTTGCA 180 GA 182
の構築の方法を図示したものである。
の制限酵素地図である。
ーの構築の方法を図示したものである。
ーの制限酵素地図である。
誘導活性を測定した際の12日目のペレットの組織学的
所見写真である。
誘導活性を測定した際の12日目のペレットの組織学的
所見写真である。
誘導活性を測定した際の12日目のペレットの組織学的
所見写真である。
の12日目の組織学的所見写真である。
の12日目の組織学的所見写真である。
トの12日目の組織学的所見写真である。
びBは本発明の骨形成誘導蛋白質のオートラジオグラム
であり、C〜Eは従来技術の骨形態形成蛋白質のオート
ラジオグラムである。A〜Iは順に成熟SDラットの小
脳、肋骨、肋軟骨、気管、血管、脾臓、胸腺、筋肉、骨
髄のレーンであり、J及びKは新生SDラットの大腿骨
及び頭蓋冠のレーンである。
ものである。
構築方法を示したものである。
Claims (10)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1のアミノ酸1〜11
0で示されるアミノ酸配列またはそれと類似の配列を含
む蛋白質。 - 【請求項2】 ヒト由来の蛋白質である請求項1記載の
蛋白質。 - 【請求項3】 ラット由来の蛋白質である請求項1記載
の蛋白質。 - 【請求項4】 配列表の配列番号1のアミノ酸1〜11
0で示されるアミノ酸配列またはそれと類似の配列を含
む蛋白質をコードするDNA。 - 【請求項5】 蛋白質がヒト由来の蛋白質である請求項
4記載のDNA。 - 【請求項6】 蛋白質がラット由来の蛋白質である請求
項4記載のDNA。 - 【請求項7】 配列表の配列番号1の塩基1191〜1
520で示される塩基配列またはそれと類似の配列を含
む請求項4記載のDNA。 - 【請求項8】 配列表の配列番号1の塩基87〜152
0で示される塩基配列またはそれと類似の配列を含む請
求項7記載のDNA。 - 【請求項9】 配列表の配列番号1のアミノ酸1〜11
0で示されるアミノ酸配列またはそれと類似の配列を含
む蛋白質を製造する方法であって、(a)発現制御配列
を有する、該蛋白質をコードするDNAで細胞を形質転
換する工程;及び(b)該形質転換細胞を培養する工程
を含む方法。 - 【請求項10】 配列表の配列番号1のアミノ酸1〜1
10で示されるアミノ酸配列またはそれと類似の配列を
含む蛋白質またはその活性断片を有効成分とする骨形成
誘導剤。
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---|---|---|---|
JP19302393A JP3527760B2 (ja) | 1992-07-13 | 1993-07-09 | 新規骨形成誘導蛋白質、それをコードするdna及び該蛋白質の製造方法並びにそれを有効成分とする骨形成誘導剤 |
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JP20699692 | 1992-07-13 | ||
JP19302393A JP3527760B2 (ja) | 1992-07-13 | 1993-07-09 | 新規骨形成誘導蛋白質、それをコードするdna及び該蛋白質の製造方法並びにそれを有効成分とする骨形成誘導剤 |
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JPH06172390A true JPH06172390A (ja) | 1994-06-21 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008536904A (ja) * | 2005-04-19 | 2008-09-11 | キングス カレッジ ロンドン | 使用 |
-
1993
- 1993-07-09 JP JP19302393A patent/JP3527760B2/ja not_active Expired - Lifetime
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