JP3045398B2 - 蛋白質、dnaおよびその用途 - Google Patents

蛋白質、dnaおよびその用途

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JP3045398B2
JP3045398B2 JP02235405A JP23540590A JP3045398B2 JP 3045398 B2 JP3045398 B2 JP 3045398B2 JP 02235405 A JP02235405 A JP 02235405A JP 23540590 A JP23540590 A JP 23540590A JP 3045398 B2 JP3045398 B2 JP 3045398B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は骨形成蛋白質(Bone Morphogenetic Protei
n,BMP)に類似したアフリカツメガエルBMP類をコードす
るDNAを含有するDNA、アフリカツメガエルBMP類の前駆
体蛋白質(前駆体ポリペプチドともいう)および成熟蛋
白質(成熟ポリペプチドともいう)、該前駆体蛋白質と
成熟蛋白質の製造方法、および上記蛋白質の用途に関す
る。本明細書において、前駆体蛋白質とは、成熟ペプチ
ドアフリカツメガエルBMP類のアミノ酸配列を持ち、か
つそのN末端側、C末端側またはその両方にアフリカツ
メガエルBMP類DNAによってコードされるアミノ酸配列の
一部又は全部を持つような蛋白質をさす。
従来の技術 骨形成作用(BMP作用)を有するtransforming growth
factor−beta(TGF−beta,TGF−β)は細胞増殖の調節
をしているだけでなく、細胞の分化の調節など多様な生
理活性を持っていることが最近明らかにされつつある。
特にTGF−βの骨形成を促進する作用は注目されてお
り、その強力な軟骨・骨誘導作用を生かして、骨折ある
いは骨粗しょう症(osteoporosis)の治療にTGFを用い
ようとする試みがなされている〔Noda,M.らジャーナル
オブ エンドクリノロジー(J.Endocrinology),124:
2991−2994,1989;Joyce,M.E.ら、ジャーナル オブ ボ
ーン ミネラル リサーチ(J.Bone Mineral Res.),4:
S−259,1989;Seyedin,S.M.ら、ジャーナル バイオロジ
カルケミストリー(J.Biol.Chem.),281:5693−5695,19
86〕。しかしながら、ごく最近、骨や軟骨の形成を促進
する因子として互いに分子構造の異なる4種の骨形成蛋
白質(BMP)が同定された。この4種のヒトBMP−1,ヒト
BMP−2A,ヒトBMP−2B,ヒトBMP−3のうちヒトBMP−2A,
ヒトBMP−2BおよびヒトBMP−3はTGF−βと構造がよく
似ているものの新規なペプチドであり、またこのものは
動物の皮下あるいは筋肉内に移植すると軟骨と骨の形成
を誘導することが報告されている〔J.M.Wozneyら、サイ
エンス(Science),Vol.242,1528−1534,1989〕。
発明が解決しようとする課題 これらBMP作用を有する上記ペプチドが局在している
と考えられる骨あるいは該ペプチドを産生していると思
われるヒト骨肉腫細胞(U2−OS)からのペプチドの単
離、精製といった方法は複雑で、また目的とするペプチ
ドも少量しか得られないという問題があり、また遺伝子
組み換え技術によるものはヒトに関してのみ成功したに
すぎず、その研究の途についた所というのが現状であ
る。
課題を解決するための手段 本発明者らはBMP作用を有する同様のペプチドを、ア
フリカツメガエルからも採取し、しかもそれを遺伝子組
み換え技術によって製造することができれば、今後の研
究、治療に多大な効果を奏することができると考え、研
究を重ねた結果、次のような知見を得、本発明に到達し
たものである。
即ち、本発明者らは同じくTGF−βファミリーに属す
るラットインヒビンβA鎖の相補DNAをプローブとして
アフリカツメガエルのDNAライブラリーよりはじめてBMP
−2AをコードするDNAおよびそれに関連するDNA(アフリ
カツメガエルBMP類)を5種、続いて3種のcDNA、合計
8種をクローニングすることに成功した。さらにDNAの
一部の塩基を同定し、アフリカツメガエルBMP類(B9,M
3,C4,A4,A5,Xbr22,Xbr23,Xbr41と呼ぶ)のアミノ酸配列
〔各々、第3図の式(I)、(II)、(III)、(IV)
もしくは(V)、第4図の式(VI)、(VII)、(VII
I)を参照されたい〕を明らかにし、これらを遺伝子組
み換え技術によって大量に生産する道を拓くことに成功
したものである。
本発明は(1)アフリカツメガエルBMP類、(2)ア
フリカツメガエルBMP類をコードするDNAを含有するDN
A、(3)アフリカツメガエルBMP類をコードするDNAを
含有するDNAを保持する形質転換体、および(4)上記
(3)の形質転換体の培養、培養物中への蛋白質の生産
蓄積、採取を包含するアフリカツメガエルBMP類の製造
方法に関するものである。
本発明の、アフリカツメガエルBMP類の内の1つであ
るC4の、TGF−βに相当する98個または114個のペプチド
たる成熟アフリカツメガエルBMPは式(III)の6〜119
番目または22〜119番目のアミノ酸配列で表わされるも
のであり、分子量は二量体を形成した場合、糖鎖を除く
と約25,000と計算された。
このものはWozneyらの報告したアミノ酸配列と、分子
当り3個ないし4個のアミノ酸の違いがみられる。
第3図には本発明で得られた5種の新規なアフリカツ
メガエルBMP類のアミノ酸配列を、BMP作用を有する他の
既知の蛋白質のアミノ酸配列と比較して示し、βAを基
準としてβAと同じアミノ酸については「.」で示し、
βAと異なるアミノ酸部分を一文字表式で表示してい
る。第3図におけるCONSENSUSは第3図に挙げたBMP作用
蛋白質の全てに共通するアミノ酸を示すもので、このCO
NSENSUSを設けたことから、式中に欠落部分「−」を設
けることとなった。したがって、前駆体および成熟蛋白
質部分を表わす番号は、この欠落部は除外して数えられ
ている。
第4図には更に続いて本発明者が見出した3種の新規
なアフリカツメガエルBMP類のアミノ酸配列を示してい
る。
またDNA配列については、本発明のアフリカツメガエ
ルBMP類をコードするDNAは第2図に示す式(1)〜
(8)(各々がB9,M3,C4,A4,A5,Xbr22,Xbr23,Xbr41に相
当)の塩基配列を含有するものであるかあるいはその一
部である。Wozneyらはアミノ酸配列は報告しているもの
の、塩基配列は明らかにしていない。
成熟BMPに関する部分〔第3図に示す式(I)の15〜1
30番目のアミノ酸配列、式(II)の14〜127番目のアミ
ノ酸配列、式(III)の6〜119番目または22〜119番目
のアミノ酸配列、式(IV)の6〜63番目のアミノ酸配
列、式(V)の6〜65番目のアミノ酸配列、第4図に示
す式(VI)の282〜398番目または298〜398番目のアミノ
酸配列、式(VII)の288〜401番目または304〜401番目
のアミノ酸配列、もしくは式(VIII)の328〜426番目の
アミノ酸配列に当る〕についてもTGF−βのDNAとは異な
っており、本発明のDNAは新規なものである。
本発明のBMP成熟ペプチドをコードするDNAとしては、
BMPの成熟ペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配
列を含有するものであればいかなるものであってもよい
が、たとえば式(1)〜(8)の塩基配列を含有するDN
Aあるいはその一部のDNAであることが好ましい。
式(1)〜(8)の塩基配列は本発明で得られたアフ
リカツメガエルBMP類DNA配列であり、式(I)〜(VII
I)のアフリカツメガエルBMP類アミノ酸をコードする塩
基配列の一例としては式(1)の693〜1040番目、式
(2)の134〜475番目、式(3)の435〜728番目、式
(4)の183〜356番目、式(5)の149〜328番目、式
(6)の249〜1442番目、式(7)の104〜1306番目、式
(8)の86〜1363番目で表わされるものが挙げられる。
本発明方法におけるBMP類をコードする塩基配列を有
するDNAを含有する発現型ベクターは、例えば、(i)B
MP類産生細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を分離
し、(ii)該mRNAから単鎖の相補DNA(cDNA)を、次い
で二重鎖DNAを合成し、(iii)該相補DNAをファージま
たはプラスミドに組み込み、(iv)得られた組み換えフ
ァージまたはプラスミドで宿主を形質転換し、(v)得
られた形質転換体を培養後、形質転換体から適当な方
法、例えばBMPの一部をコードするDNAプローブとのハイ
ブリダイゼーションにより、あるいは抗BMP抗体を用い
たイムノアッセイ法により目的とするDNAを含有するフ
ァージあるいはプラスミドを単離し、(vi)その組み換
えDNAから目的とするクローン化DNAを切り出し、(vi
i)該クローン化DNAまたはその一部を発現ベクター中の
プロモーターの下流に連結する、ことにより製造するこ
とができる。
BMPをコードするmRNAは、種々のBMP産生細胞、例えば
ROS細胞などから得ることができる。
BMP産生細胞からRNAを調製する方法としては、グアニ
ジンチオシアネート法〔(ジェー・エム・チルグウィン
(J.M..Chirgwin)ら、バイオケミストリー(Bio−chem
istry),18,5294(1979)〕などが挙げられる。
このようにして得られたmRNAを鋳型とし、逆転写酵素
を用いて、例えば岡山(H.Okayama)らの方法〔モレキ
ュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Molecular
and Cellular Biology),161(1982)および同志,2
80(1983)〕に従いcDNAを合成し、得られたcDNAをプラ
スミドに組み込む。
cDNAを組み込むプラスミドとしては、たとえば大腸菌
由来のpBR322〔ジーン(gene),,95(1977)〕,pBR3
25〔ジーン,,121(1978)〕,pUC12〔ジーン,19,,25
9(1982)〕,pUC13〔ジーン,19,259(1982)〕、枯草
菌由来のpUB110〔バイオケミカル・バイオフィジカル・
リサーチ・コミュニケーション(Biochemical and Biop
hysical Research Communication),112,678(198
3)〕などが挙げられるが、その他のものであっても、
宿主内で複製増殖されるものであれば、いずれをも用い
ることができる。またcDNAを組み込むファージベクター
としては、たとえばλgt11〔ヤング及びデーヴィス(Yo
ung,R.,and Davis,R.,)プロシーディングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・
ザ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.
A.),80,1194(1983)〕などが挙げられるが、その他
のものであっても宿主内で増殖できるものであれば用い
ることができる。
プラスミドに組み込む方法としては、たとえば、ティ
ー・マニアティス(T.Maniatis)ら,モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)コールド・スプリン
グ・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor La
−boratory),第239頁(1982)に記載の方法などが挙
げられる。またファージベクターにcDNAを組み込む方法
としては、たとえばヒューン(Hyunh,T.V.)らの方法
〔ディー・エヌ・エー クローニング,ア プラクティ
カル アプローチ(DNA Cloning,A Practical Approac
h),49(1985)〕などが挙げられる。
このようにして得られたプラスミドは、適当な宿主た
とえばエシェリヒア(Escherichia)属菌,バチルス(B
acillus)属菌などに導入する。
上記エシェリヒア属菌の例としては、エシェリヒア・
コリ(Escherichia coli)K12DH1〔プロシージング・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)60,160(1968)〕,M103
〔ヌクレイック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acid
s Research),,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・
オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molec
ular Biology)〕,120,517(1978)〕,HB101〔ジャー
ナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー41,459(196
9)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39,440
(1954)〕などが挙げられる。
上記バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチ
リス(Bacillus subtilis)MI114(ジーン,24,255(1
983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミスト
リー(Journal of Biochemistry)95,87(1984)〕など
が挙げられる。
プラスミドで宿主を形質転換する方法としては、たと
えばティー・マニアティス(T.Maniatis)ら,モレキュ
ラー・クローニング(Molecular Cloning),コールド
・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring
Harbor Laboratory),第249頁(1982)に記載のカルシ
ウムクロライド法あるいはカルシウムクロライド/ルビ
ジウムクロライド法などが挙げられる。
またファージ・ベクターを用いる場合には、たとえば
増殖させた大腸菌にインビトロパッケージング法を用い
て導入することができる。
アフリカツメガエルBMP類cDNAを含有するアフリカツ
メガエル・cDNAライブラリーは上記の方法などで得るこ
とが出来るが、市販品として購入することも可能であ
り、例えばアフリカツメガエルのcDNAライブラリーはク
ローンテックラボラトリーズ(Clontech Laboratories,
Inc.,米国)から入手することができる。
アフリカツメガエル・DNAライブラリーからアフリカ
ツメガエル・BMP類DNAをクローニングする方法として
は、例えばファージベクターλcharon28Aとラットイン
ヒビン(アクティビン)βA cDNAをプローブとして用
いたプラークハイブリダイゼーション法〔ティー・マニ
アティス(T.Maniatis)ら,モレキュラー・クローニン
グ(Molecular Cloning)コールド・スプリング・ハー
バー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor La−borator
y),(1982)〕などが挙げられる。
このようにしてクローン化されたアフリカツメガエル
・BMP類DNAは必要があればプラスミド、例えばpBR322,p
UC12,pUC13,pUC18,pUC19,pUC118,pUC119などにサブクロ
ーニングしてアフリカツメガエル・BMP類DNAを得ること
ができる。
このようにして得られたDNAの塩基配列を、たとえば
マキサム・ギルバート(Maxam−Gilbert)法〔Maxam,A.
M.and Gilbert,w.,プロシーディングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・
ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.),7
4,560(1977)〕あるいはジデオキシ法〔Messing,J.
ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acid
s Research),309(1981)〕によって決定し、既知の
アミノ酸配列との比較からアフリカツメガエル・BMP類D
NAの存在を確認する。
以上のようにして、アフリカツメガエル・BMP類をコ
ードするDNA(アフリカツメガエル・BMP類DNA)(式1
〜8)が得られる。
後述の実施例1で得られたアフリカツメガエル・BMP
類をコードするDNAを含むDNAの制限酵素断片地図を第1
図に示す。またジデオキシ法で決定したDNAの塩基配列
式1〜8を第2図に、その塩基配列から判明したアミノ
酸配列式I〜V、および式VI〜VIIIを第3図および第4
図に示す。
上記のようにしてクローン化されたアフリカツメガエ
ル・BMP類をコードするDNAは目的によりそのまま、また
は所望により制限酵素で消化して使用することが出来
る。
クローン化されたDNAから発現させたい領域を切り出
し、発現に適したビークル(ベクター)中のプロモータ
ーの下流に連結して発現型ベクターを得ることができ
る。
該DNAはその5′末端に翻訳開始コドンとしてのATGを
有し、また3′末端には翻訳終止コドンとしてのTAA,TG
AまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コド
ンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用
いて付加することもできる。さらに該DNAを発現させる
にはその上流にプロモーターを接続する。
ベクターとしては、上記の大腸菌由来のプラスミド
(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13),枯草菌由来プラ
スミド(例、pUB110,pTP5,pC194),酵母由来プラスミ
ド(例、pSH19,pSH15),あるいはλファージなどのバ
クテリオファージおよびレトロウィルス、ワクシニアウ
ィルスなどの動物ウィルスなどが挙げられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の
発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであれ
ばいかなるものでもよい。
形質転換する際の宿主がエシェリキア属菌である場合
は、trpプロモーター,lacプロモーター,recAプロモータ
ー,λPLプロモーター,lppプロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター,SPO2プ
ロモーター,penPプロモーターなど、宿主が酵母である
場合は、PHO5プロモーター,PGKプロモーター,GAPプロモ
ーター,ADHプロモーターなどが好ましい。とりわけ宿主
がエシェリキア属菌でプロモーターがtrpプロモーター
またはλPLプロモーターであることが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモー
ター、レトロウィルスのプロモーター、メタロチオネイ
ンプロモーター、ヒートショックプロモーターなどがそ
れぞれ利用できる。
なお、発現にエンハンサーの利用も効果的である。
このようにして構築されたアフリカツメガエルBMP類
の成熟ペプチドをコードするDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造する。
宿主としては、たとえばエシェリヒア属菌、バチルス
属菌、酵母、動物細胞などが挙げられる。
上記エシェリヒア属菌、バチルス属菌の具体例として
は、前記したものと同様のものが挙げられる。
上記酵母としては、たとえばサッカロマイセスセレビ
シエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−1
1A,DKD−5Dなどが挙げられる。
動物細胞としては、たとえばサル細胞COS−7,Vero,チ
ャイニーズハムスター細胞CHO,マウスL細胞,ヒトFL細
胞などが挙げられる。
上記エシェリキア属菌を形質転換するには、たとえば
プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),69,211
0(1972)やジーン,17,107(1982)などに記載の方法
に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュ
ラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecu
lar & General Genetics),168,111(1979)などに記
載の方法に従って行なわれる。
酵母を形質転換するには、たとえばプロシージング・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),75,1929(1978)に記載
の方法に従って行なわれる。
動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー
(Virology)52,456(1973)に記載の方法に従って行な
われる。
このようにして、アフリカツメガエルBMP類成熟ペプ
チドをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転
換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転
換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体
培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必
要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、たとえばグリコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえ
ばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイシ
ョ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはた
とえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化
マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン
類、生長促進因子などを添加してもよい。
培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Mill
er),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モ
レキュラー・ジェネティックス(Journal of Experimen
ts in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Ha
rbor Laboratory,New York 1972〕が好ましい。ここに
必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、た
とえば3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加
えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43
℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や攪拌を加え
ることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で
約6〜24時間行ない、必要により通気や攪拌を加えるこ
ともできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培
地〔Bostian,K.L.ら、「プロシージング・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.
Acad.Sci.USA)77,4505(1980)〕が挙げられる。培地
のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約
20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や攪
拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地
としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM
培地〔サイエンス(Science)122,501(1952)〕,DMEM
培地〔ヴィロロジー(Virology),,396(1959)〕,R
PMI1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メ
ディカル・アソシエーション(The Jounal of the Amer
ican Medical Association)199,519(1967)〕,199培
地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー
・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of th
e Society for the Biological Medicine)73,1(195
0)〕などが挙げられる。pHは約6〜8であるのが好ま
しい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必
要に応じて通気や攪拌を加える。
上記培養物からアフリカツメガエルBMP類の成熟ペプ
チドを分離精製するには、例えば下記の方法により行な
うことができる。
アフリカツメガエルBMP類の成熟ペプチドを培養菌体
あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の
方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に
懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解な
どによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離
やろ過によりBMPの成熟ペプチドの粗抽出液を得る方法
などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジ
ンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100などの界
面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にBMP類前駆体たんぱくや成熟ペプチドが分
泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で
菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。こ
のようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含
まれるBMP類前駆体たんぱくや成熟ペプチドは、自体公
知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことがで
きる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶
媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ
過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方
法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利
用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグ
ラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動法などの等電点の差を利用する方法などが挙げられ
る。またBMP相補DNAあるいはDNAを大腸菌由来DNA lacZ
と融合させ発現させた融合蛋白質に対する抗体を免疫ア
フィニティカラムとして使用する方法も考えられる。
本発明のBMP類発現に当っては、Wangら、プロシージ
ングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)807,2220−222
4,1990に記載されているような、CHO細胞に遺伝子を導
入し、BMP類を大量に産生させるような方法が具体的に
挙げられる。
かくして生成するBMP類前駆体たんぱくや成熟ペプチ
ドは特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどに
より測定することができる。また生成物に骨形成活性が
ある場合は、該活性を指標にして測定することもでき
る。
作用・効果 本発明のDNAでDNA感染または形質転換した菌体や細胞
では、大量のBMP類成熟ペプチドを産生せしめることが
でき、BMP類成熟ペプチド生産を有利に導くことができ
る。
ここに製造されるBMP類成熟ペプチドは軟骨基質の主
要成分たるプロテオグリカンの合成を促進することが判
明したので、生体、特に人間の骨・軟骨形成反応のメカ
ニズムの解析や、骨折、骨そしょう症治療剤としても利
用することができる。
該蛋白質をこのような治療剤として用いる場合、哺乳
動物に対してその有効量が用いられ、この有効量は軟骨
細胞におけるプロテオグリカンの合成を促進するために
必要とされる量の蛋白質である。一般的には0.001〜35
μg/体重kgの範囲で用いられるが、この厳密な量につい
ては当業者によって適宜決められるものである。
この蛋白質を治療剤として用いる場合には、注意深く
精製を行ない細菌や発熱物質が存在しないように注意し
なければならない。
BMP類を骨折や骨そしょう症などの治療薬として用い
る場合、そのままあるいは薬学的に許容される担体、賦
形剤、希釈剤と混合したのち、液剤、注射剤、軟膏剤な
どの剤型で非経口的に投与することができる。投与形態
は患部に近い皮膚表面に投与する、患部に注入す
る、切開後、患部に直接投与する、などが適当であ
る。骨折の治療におけるBMP類の投与量は成人の場合、
1回あたり0.1〜2,000μg、好ましくは20〜400μgで
1日1回の投与が適当である。骨そしょう症の治療にお
ける投与量は成人の場合、1回あたり0.1〜200μgで1
日1回の投与が適当である。投与日数は通常1〜30日で
ある。治療剤の濃度は液剤では0.001〜0.2%、注射剤で
は0.001〜0.2%、軟膏剤では0.001〜0.2%が適当であ
る。
以上、BMP類をコードするDNAのクローニング、BMP類
成熟ペプチドの発現ベクターの作製と、それらによる形
質転換体の製造、該形質転換体を用いたBMP類成熟ペプ
チドの製造及びその有用性等について詳細に述べた。
本発明明細書および図面において、塩基やアミノ酸な
どを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Bi
ochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野に
おける慣用略号に基づくものであり、その例を下記す
る。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL−体を示すものとする。
DNA:デオキシリボ核酸 cDNA:相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA:メッセンジャーリボ核酸 dATP:デオキシアデノシン三リン酸 dTTP:デオキシチミジン三リン酸 dGTP:デオキシグアノシン三リン酸 dCTP:デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA:エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム GlyまたはG:グリシン AlaまたはA:アラニン ValまたはV:バリン LeuまたはL:ロイシン IleまたはI:イソロイシン SerまたはS:セリン ThrまたはT:スレオニン CysまたはC:システイン MetまたはM:メチオニン GluまたはE:グルタミン酸 AspまたはD:アスパラギン酸 LysまたはK:リジン ArgまたはR:アルギニン HisまたはH:ヒスチジン PheまたはF:フェニールアラニン TyrまたはY:チロシン TrpまたはW:トリプトファン ProまたはP:プロリン AsnまたはN:アスパラギン GlnまたはQ:グルタミン なお、本発明のアフリカツメガエルBMP類成熟ペプチ
ドにおいては、そのアミノ酸配列の一部が修飾(付加、
除去、その他のアミノ酸への置換など)されていてもよ
い。
実施例 以下の実施例により本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
後述の実施例1で得られた形質転換体Escherichia co
li HB101/pXar3(コードする蛋白はM3),Escherichia c
oli HB101/pXar4(コードする蛋白はA4),Escherichia
coli HB101/pXar5(コードする蛋白はA5),Escherichia
coli HB101/pXar9(コードする蛋白はB9),Escherichi
a coli HB101/pXar14(コードする蛋白はC4)は平成1
年8月28日から財団法人発酵研究所(IFO)に各々受託
番号IFO 14928,IFO 14929,IFO 14930,IFO 14931,IF
O 14932として寄託され、また本形質転換体は平成1年
9月2日から通商産業省工業技術院 微生物工業技術研
究所(FRI)にブタペスト条約に基き各々受託番号 FER
M BP−2578,FERM BP−2579,FERM BP−2580,FERM BP
−2581,FERM BP−2582として寄託され保管されてい
る。
後述の実施例2で得られた形質転換体Escherichia co
li HB101/pXbr22(コードする蛋白はアフリカツメガエ
ルBMP−2A),Escherichia coli HB101/pXbr23(コード
する蛋白はアフリカツメガエルBMP−2B),Escherichia
coli HB101/pXbr41(コードする蛋白はアフリカツメガ
エルVgr−1)は平成2年8月10日から財団法人発酵研
究所(IFO)に各々受託番号IFO 15080,IFO 15081,IFO
15082として寄託され、また本形質転換体は平成2年
8月16日から通商産業省工業技術院 微生物工業技術研
究所(FRI)にブダペスト条約に基き各々受託番号 FER
M BP−3066,FERM BP−3065,FERM BP−3067として寄
託され保管されている。
実施例1 アフリカツメガエル肝臓由来DNAライブラリ
ーの作成 1)ツメガエル染色体DNAの調製とライブラリーの作成 肝臓1gを液体窒素中で粉砕し、パウダー状にする。緩
衝液(1)〔100μg/mlプロテイナーゼK,0.5%Sarkosi
l,0.5M EDTA(pH8.0)〕を10ml加え、50℃で2時間イ
ンキュベートする。DNAサンプルをフェノール処理した
後、緩衝液(2)〔10mM EDTA,10mM NaCl,50mM Tris
−HCl(pH8.0)〕にて透析することによってフェノール
を除く。終濃度100μg/mlとなるようにRNaseを加え37℃
で3時間インキュベート後、フェノール処理を2回くり
返す。水層を緩衝液(3)〔1mM EDTA,10mM Tris−HC
l(pH8.0)〕に対して透析する。約1mgの肝臓由来の染
色体DNAを得る。このDNAのうち10μgを用い制限酵素Sa
u3AIにて部分的に切断せしめ、CsClによる平衡密度勾配
遠心を行い、その長さが10〜20Kbの画分を選びベクター
となるファージcharon28DNAをBamH Iで切断したものに
組み込む。ライゲーション(ligation)と呼ばれるこの
過程は15℃、16時間の反応にて行われる。このようにch
aron28ベクターにツメガエル染色体DNAが組み込まれた
ものはファージ頭部に収められる(イン・ビトロパッケ
ージング)。この操作は市販のパッケージングキットを
用いて行う(Stratagene社、Gigapak Gold)。この組み
換え体ファージは大腸菌LE392に感染させることにより
増幅される具体的にはファージを過剰量のLE392と混合
し37℃で10分間吸着させた後NZYM培地(13%agarを含
む)上にプレーティングし、一晩培養する。
2)スクリーニング シャーレ中に出来たプラークの数からファージ・クロ
ーン総数は約100万と概算される。プローブ(ハイブリ
ダイゼーションにより目的とする遺伝子を検出するため
に用いられるDNA)としてラットアクティビンβA cDN
A〔モレキュラーエンドクリノロジー(Molecular Endoc
rinology),,388−396,1987〕をランダムプライム法
にて32P標識したものが用いられる。シャーレよりニト
ロセルロース膜に転写されたプラークはアルカル処理
(0.1N NaOH,0.6M NaCl中に30秒間浸す)を得て、中
性に戻される(0.2M Tris,0.6M NaCl,pH7.4)。上記
処理後のフィルターを真空恒温槽で80℃、1時間加熱す
る。加熱後プレハイブリダイゼーション液(50%ホルム
アミド、5×Denhardt's solution,5×SSPE,0.1%SDS,1
00μg/ml熱変性サケ精子DNA)中に浸し、42℃で4時間
インキュベートする。その後、同ハイブリダイゼーショ
ン液とDNAプローブを混合した液中で、60℃で一晩放置
される。この操作はプラスチック袋中で行なわれる。翌
日、袋からニトロセルロース膜を取り出し、2×SSC,0.
1%SDSで15分、0.1×SSC,0.1%SDSで15分温度を段階的
に上昇させながら、フィルターのcpm値が約1000cpmにな
るまで洗浄する。洗浄後ろ紙で洗浄液を除き、オートラ
ジオグラフィーを行う。フジX線フィルムを感光させる
ことによって目的とする遺伝子を含むプラークを同定す
る。上記のプラークハイブリダイゼーションをくり返す
ことによって遺伝子をクローン化する。
なお、20×SSCは0.3Mクエン酸ナトリウム(pH7.0),3
M NaCl;20×SSPEは0.2Mリン酸ナトリウム,20mM EDTA,
3M NaCl(pH7.4);Denhardt's solutionは1% Ficol
l,1%ポリビニルピロリドン,1%BSA(Pentax Fraction
V)である。
3)塩基配列の決定(シークエンシング) 単離された5つのクローンA4,A5,B9,C4,M3はすべてpu
c19にサブクローニング(組み換え)された。それぞれ
プラスミドpuc19に組み換える際には、それぞれのクロ
ーンのプローブによってハイブリダイズするフラグメン
トを生ずる制限酵素認識部位を利用して組み換えたが、
A4は市販のSma IサイトにBgl IIリンカーをつけたもの
を用いた。
塩化ルビジウム法により作製したコンピテントHB101
細胞(大腸菌)に各プラスミドをトランスフォームして
各形質転換体5種、Escherichia coli HB101/pXar3(コ
ードする蛋白はM3),Escherichia coli HB101/pXar4
(コードする蛋白はA4),Escherichia coli HB101/pXar
5(コードする蛋白はA5),Escherichia coli HB101/pXa
r9(コードする蛋白はB9),Escherichia coli HB101/pX
ar14(コードする蛋白はC4)を得た。
塩基配列決定のために各クローンのディレーションミ
ュータント(deletion mutant)を作成し、プローブに
よってハイブリダイズするフラグメントの中でも最も短
いフラグメントを選びpuc19から直接Sanger法(あるい
はdideoxy法)にて塩基配列を決定した。
また塩基配列のアミノ酸への翻訳あるいは相同性の検
索には日本SDC社の遺伝子解析用ソフトウェアGENETYXを
用いた。
実施例2 アフリカツメガエルBMP−2Aをコードしている染色体D
NA、Xar14を制限酵素、Pst IおよびHind IIIで断片化す
ることによってプローブを調整し、ツメガエル未受精卵
のcDNAライブラリーをハイブリダイゼーション法によっ
てスクリーニングすることによって3種類のcDNA,Xbr2
2,Xbr23,Xbr41を単離した。すでに単離されているツメ
ガエルBMP類の染色体DNAの構造との比較からXbr22はツ
メガエルBMP−2A,Xbr23はBMP−2B,Xbr41はLyonらによっ
て報告されたマウスVgr−1〔プロシージングス・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)806,4554−4558,1989〕と相
同性を持つタンパク質をコードしていることが明らかに
なった。
1)アフリカツメガエルBMP−2Aプローブの調製 アフリカツメガエル未受精卵のcDNAライブラリーはソ
ーク研究所(C.Kintner)より供与を受けた。このライ
ブラリーはλgt10をもとに作成されており、この組み換
え体ファージは大腸菌NM514に感染させることにより増
幅される。具体的にはファージを過剰量のNM514と混合
し37℃で10分間吸着させた後NZYM培地(13%agarを含
む)上にプレーティングし、一晩培養する。
2)スクリーニング シャーレ中に出来たプラークの数からファージ・クロ
ーン総数は約120万と概算される。プローブ(ハイブリ
ダイゼーションにより目的とする遺伝子を検出するため
に用いられるDNA)としてXar14を制限酵素、Pst Iおよ
びHind IIIで切断化したDNA(185b.p.)をランダムプラ
イム法にて32P標識したものが用いられる。シャーレよ
りニトロセルロース膜に転写されたプラークはアルカリ
処理(0.1N NaOH,0.6M NaCl中に30秒間浸す)を経
て、中性に戻される(0.2M Tris,0.6M NaCl,pH7.
4)。上記処理後のフィルターを真空恒温槽で80℃、1
時間加熱する。加熱後プレハイブリダイゼーション液
(50%ホルムアミド、5×Denhardt's solution,5×SSP
E,0.1%SDS,100μg/ml熱変性サケ精子DNA)中に浸し、4
2℃で4時間インキュベートする。その後、同ハイブリ
ダイゼーション液とDNAプローブを混合した液中で、60
℃で一晩放置される。この操作はプラスチック袋中で行
なわれる。翌日、袋からニトロセルロース膜を取り出
し、2×SSC,0.1%SDSで15分、0.1×SSC,0.1%SDSで15
分温度を段階的に上昇させながら、フィルターのcpm値
が約1000cpmになるまで洗浄する。洗浄後ろ紙で洗浄液
を除き、オートラジオグラフィーを行う。フジX線フィ
ルムを感光させることによって目的とする遺伝子を含む
プラークを同定する。上記のプラークハイブリダイゼー
ションをくり返すことによって遺伝子をクローン化す
る。
なお、20×SSCは0.3Mクエン酸ナトリウム(pH7.0),3
M NaCl;20×SSPEは0.2Mリン酸ナトリウム,20mM EDTA,
3M NaCl(pH7.4);Denhardt's solutionは1% Ficol
l,1%ポリビニルピロリドン,1%BSA(Pentax Fraction
V)である。
3)塩基配列の決定(シークエンシング) 単離された3つのクローンXbr22,Xbr23,Xbr41はすべ
てpuc19にサブクローニング(組み換え)された。それ
ぞれプラスミドpuc19に組み換える際には、それぞれの
クローンのプローブによってハイブリダイズするフラグ
メントを生ずる制限酵素認識部位を利用して組み換え
た。
塩化ルビジウム法により作製したコンピテントHB101
細胞(大腸菌)に各プラスミドをトランスフォームして
各形質転換体3種、Escherichia coli HB101/pXbr22
(コードする蛋白はアフリカツメガエルBMP−2A),Esch
erichia coli HB101/pXbr23(コードする蛋白はアフリ
カツメガエルBMP−2B),Escherichia coli HB101/pXbr4
1(コードする蛋白はアフリカツメガエルVgr−1)を得
た。
塩基配列決定のために各クローンのディレーションミ
ュータント(deletion mutant)を作成し、プローブに
よってハイブリダイズするフラグメントの中でも最も短
いフラグメントを選びpuc19から直接Sanger法(あるい
はdideoxy法)にて塩基配列を決定した。
また塩基配列のアミノ酸への翻訳あるいは相同性の検
索には日本SDC社の遺伝子解析用ソフトウェアGENETYXを
用いた。
各塩基配列を第2図(6)、(7)、(8)にまた各
アミノ酸配列を第4図(VI)、(VII)、(VIII)に示
す。
実施例3 アフリカツメガエルBMP関連遺伝子産物の生物活性に
ついて検討するためXbr22,Xbr23,Xbr41それぞれのcDNA
を動物細胞での発現ベクター、pCDM8(Invitrogen,U.S.
A.)に挿入し、COS細胞(アフリカミドリザル腎臓細
胞)発現させ培養上清を生物活性測定に用いた。
Xbr22,Xbr23,Xbr41 cDNAはいずれも両端をXho Iリン
カーと連結後、pCDM8のXho I制限酵素切断部位に挿入さ
れ、トランスフェクション(DNAの導入)に用いられ
た。3×106個の細胞を100mmプラスチック・シャーレに
継代培養後、24時間目に培地を取り除き10mlのTBS(Tri
s−buffered saline)で1回洗浄する。TBSで希釈したD
NA溶液(1.5μg DNA)300μと0.1%DEAE−デキスト
ラン溶液300μを混合し細胞へ滴下する。15分間常温
静置後TBS300μで1回洗浄し、ダルベッコ改変イーグ
ル培地(DMEM、10%FBS、100U/mlペニシリン、100mcg/m
lストレプトマイシン、100umクロロキンを含む)で培養
する。3時間後、TBSで2回洗浄し、DMEM(10%FBS、10
0U/mlペニシリン、100mcg/mlストレプトマイシン)で培
養する。24時間後、TBSで3回洗浄し、DMEM(100U/mlペ
ニシリン、100mcg/mlストレプトマイシン)で4日間培
養した後、培地を回収する。回収した培地を2000rpm、
5分間遠心して得られた上清を培養上清とする。
これらの培養上清をアフリカツメガエルBMP2−A、BM
P−2B、Vgr−1タンパク質を含む試料として生物活性の
検定を用いた。即ち、これら試料を兎軟骨細胞培養系
〔Kato,Y.ら、エクスペリメンツ オブ リサーチ(Ex
p.Cell Res.),130:73−81,1980;Kato,Y.ら、ジャーナ
ル オブ バイオロジカル ケミストリー(J.Biol.Che
m.),265:5903−5909,(1990)〕に添加して、軟骨基質
の主要成分であるプロテオグリカンの合成に及ぼす影響
を検討した。その結果、次表に示すごとく、発現ベクタ
ーのみをCOS細胞にトランスフェクションした対照や無
処理のCOS細胞培地が、プロテオグリカン合成に影響し
なかったのに対して、本発明で得られた上記3種蛋白質
は、軟骨細胞のプロテオグリカン合成を強く促進した。
アフリカツメガエルのBMP−2A,BMP−2B,およびVgr−1
の最大活性は、TGF−beta−1よりも強かった。なおプ
ロテオグリカン合成はその最終段階であるグリコサミノ
グリカンへの35S−硫酸の取り込みを測定することによ
り決定した〔Kato,Y.ら、エクスペリメンツ オブ リ
サーチ(Exp.Cell Res.),130:73−81,1980;Kato,Y.
ら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(J.Biol.Chem.),265:5903−5909,(1990)〕。この結
果はアフリカツメガエルおよび他の動物のBMP類が軟骨
分化を促進することを示している。したがって、骨折治
癒促進および各種の軟骨・骨の病気(関節炎、骨そしょ
う症など)の治療薬としてのBMP類の応用が期待され
る。
*細胞の種類 6mm直径のプラスチックウェル上に保持されたウサギ
肋骨軟骨細胞 *標識の種類35 S 1μCi/100μ培地/ウェル *培地種類 実験操作 ウサギ軟骨細胞を、3ないし4週令の雄ニュージーラ
ンドラビットの肋骨の成長プレートから前述のようにし
て単離した(Y.Katoら、エクスペリメンタル セル リ
サーチ)。該細胞を104細胞/6mm直径プラスチック培養
ウェルの濃度で10%の牛胎児血清および抗生物質を加え
た0.1mlのイーグル最少必須培地(MEM)中に植え付け
た。培養液が飽和状態になったとき、この細胞を0.3%
の牛胎児血清を加えた0.1mlのDMEMおよびハムのF−12
培地(1:1混合物)(DF)中、24時間予備的にインキュ
ベートした。この細胞を次いで、種々のCOS細胞で調整
された1ないし5μの培地を添加した上記と同じ培地
(DF)0.1mlに移した(この調整培地はDMEMで希釈もし
くは希釈されていないもので、最終濃度は10ないし30%
である)。3時間後、1μCiの35SO4 2-を加えた5μ
のDMEMを同様に添加し、そしてインキュベーションを更
に17時間続けた(Y.Katoら、エクスペリメンタル セル
リサーチ)。
【図面の簡単な説明】
第1図はアフリカツメガエルBMP類前駆体や成熟ペプチ
ドDNAを含むDNAの簡単な制限酵素地図である。 第2図(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
(8)はアフリカツメガエルBMP類,B9,M3,C4,A4,A5,BMP
−2A,BMP−2B,Vgr−1のDNAの塩基配列を、それから推
定されるアミノ酸配列と共に示し、第3図は第2図
(1)〜(5)のDNAより推定されるアフリカツメガエ
ルBMP類のアミノ酸配列を、他の既知のBMP作用を有する
蛋白質のアミノ酸配列と比較して示したものであり、第
4図は第2図(6)〜(8)のDNAより推定されるアフ
リカツメガエルBMP類のアミノ酸配列を示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) 微生物の受託番号 FERM BP−2582 微生物の受託番号 FERM BP−3066 微生物の受託番号 FERM BP−3065 微生物の受託番号 FERM BP−3067 (72)発明者 加藤 幸夫 大阪府豊中市西緑丘2丁目2番5―521 号 (56)参考文献 Science,Vol.242, (1988),p.1528−1534 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/00 - 16/46 C12N 15/00 - 15/90 C12N 1/00 - 5/28 C12P 21/00 - 21/08 A61P 3/02 A61P 43/00 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第3図における式(I)の15〜130番目の
    アミノ酸配列、 第3図における式(II)の14〜127番目のアミノ酸配
    列、 第3図における式(III)の6〜119番目のアミノ酸配
    列、 第3図における式(III)の22〜119番目のアミノ酸配
    列、 第3図における式(IV)の6〜63番目のアミノ酸配列、 第3図における式(V)の6〜65番目のアミノ酸配列、 第4図における式(VI)の282〜398番目のアミノ酸配
    列、 第4図における式(VI)の298〜398番目のアミノ酸配
    列、 式(VII)の288〜401番目のアミノ酸配列、 式(VII)の304〜401番目のアミノ酸配列、 もしくは式(VIII)の328〜426番目のアミノ酸配列、 で表わされる成熟蛋白質。
  2. 【請求項2】第3図における式(I)、 第3図における式(II)、 第3図における式(III)、 第3図における式(IV)、 第3図における式(V)、 第4図における式(VI)、 第4図における式(VII)、 第4図における式(VIII)、 のアミノ酸配列で表わされる前駆体蛋白質。
  3. 【請求項3】請求項1〜2のいずれかに記載の蛋白質を
    コードするDNAを含有するDNA。
  4. 【請求項4】第2図における式(1)、 第2図における式(2)、 第2図における式(4)、 第2図における式(5)、 第2図における式(6)、 第2図における式(7) もしくは第2図における式(8) の塩基配列もしくはその一部を含有する、請求項3記載
    のDNA。
  5. 【請求項5】請求項1〜2のいずれかに記載の蛋白質を
    コードするDNAを含有するDNAを保持する形質転換体。
  6. 【請求項6】Escherichia coli HB101/pXar3である請求
    項5記載の形質転換体(FERM BP−2578)。
  7. 【請求項7】Escherichia coli HB101/pXar4である請求
    項5記載の形質転換体(FERM BP−2579)。
  8. 【請求項8】Escherichia coli HB101/pXar5である請求
    項5記載の形質転換体(FERM BP−2580)。
  9. 【請求項9】Escherichia coli HB101/pXar9である請求
    項5記載の形質転換体(FERM BP−2581)。
  10. 【請求項10】Escherichia coli HB101/pXbr22である
    請求項5記載の形質転換体(FERM BP−3066)。
  11. 【請求項11】Escherichia coli HB101/pXbr23である
    請求項5記載の形質転換体(FERM BP−3065)。
  12. 【請求項12】Escherichia coli HB101/pXbr41である
    請求項5記載の形質転換体(FERM BP−3067)。
  13. 【請求項13】請求項1〜2のいずれかに記載の蛋白質
    をコードするDNAを含有するDNAを保持する形質転換体を
    培養し、培養物中に上記蛋白質を生成蓄積せしめ、これ
    を採取することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに
    記載の蛋白質の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項1〜2のいずれかに記載の蛋白質
    および薬剤学的に許容し得る添加成分の有効量を含有す
    る、骨折もしくは骨そしょう症治療用組成物。
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