JP3793859B2 - 自動点火用ガスコック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガステーブルこんろ,ガスストーブ等のガス燃焼機器における自動点火用ガスコックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、ガスこんろにおいては、点火装置と火力の調節装置、つまり電極間に火花を飛ばして燃料ガスに着火させる点火装置と、こんろバーナへ供給する燃料ガス流量を調節するガス量調節装置とが設けられ、それぞれの操作が共通の操作軸で行なわれるものが知られている。例えば、図6に示すように、操作軸6Aの押し回し操作によりパイロット通路4Aおよび主ガス通路2Aを開き、操作軸6Aを最大回転した時点で火花を飛ばしてパイロットバーナ45に点火しパイロットバーナ45より主バーナ46に自動的に火移り着火し、着火後押操作を解除してパイロット通路4Aを閉じる。そして、操作軸6Aの逆回動操作によりガス流路内に設けられた閉子3Aを回転させて流路面積を狭めてガス量調節を行なっている。
【0003】
つまり、これらの従来の装置は、閉子3Aが全開になりガス量が能力最大の大流量の状態で点火するように設定されるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、点火時のガス流量が能力最大の大流量の場合には、安全ではあるものの勢よく着火するため、使用者の袖を焦がしたり、使用者に恐怖感を与えてしまうことがある。特に、高カロリーバーナの普及に伴って、強火点火時での不快感(恐怖感)は看過できない。
一般的に、ガスこんろにおいては強火力を必要とするのは炒め物であり、炒め物以外の使用には中火の頻度が最も高い。そのため、点火操作の後に強火から中火にわざわざ戻す操作を頻繁に行なわなければならず使い勝手が悪い。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、良好な着火性を維持すると共に、着火時での使用者に与える不快感を低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の自動点火用ガスコックは、
コック本体内に回動可能に組付けられ、その回動位置に応じてガス通路の開度を閉止状態から最大開度まで調整する閉子と、
上記閉子を回動させて燃料ガス供給量を調整する操作軸と、
上記閉子の閉止状態からガス量増大側へ向けた上記操作軸の回動操作と連動して作動する点火装置とを備え、
上記操作軸の回動操作により、点火操作と燃料ガス供給量の調整操作の両操作を行うようにされた自動点火用ガスコックにおいて、
点火操作時の上記操作軸の回動操作により上記閉子の開度が最大開度より小さい所定開度に達したとき、ガス量増大側への上記回動操作を一旦規制する規制手段と、
上記所定開度に達したとき又は達するまでに上記点火装置を作動させる点火制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
上記課題を解決する本発明の請求項2記載の自動点火用ガスコックは、上記回動操作を規制する時の閉子開度を略中火相当開度に設定したことを要旨とする。
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項3記載の自動点火用ガスコックは、上記規制手段は、上記操作軸と一体的に取着したカム板と、該カム板の所定回動位置でカム板と係合して回動を規制する係合対とを備えると共に、上記操作軸を軸方向に移動させることで係合規制が解除されることを要旨とする。
【0009】
上記構成を有する請求項1記載の自動点火用ガスコックは、閉子の最大開度に達する前に点火装置が作動し、所定開度に達するとそれ以上の回動操作はできなくなるように構成したので、点火時のガス流量が所定ガス量以上になることはない。従って、最大ガス量での点火は確実に防止され点火時に炎が溢れて使用者に恐怖感を与えるといったことはなくなる。
また、所定ガス量を使用頻度の多いガス量に設定しておくことにより、点火後にそのガス量のままで調理する場合が多くなり使い勝手が向上する。
【0010】
また、請求項2記載の自動点火用ガスコックは、点火時の閉子開度を略中火相当開度に設定しているため、点火操作の後に強火から中火にわざわざ戻す操作を頻繁に行なうといったことがなくなり使い勝手が向上する。
【0011】
また、請求項3記載の自動点火用ガスコックは、規制手段はカム板を軸方向に移動させて解除行なう。カム板は操作軸と一体的に取着したので、操作軸を軸方向に移動させることで規制解除できる。従って、点火,消火,ガス量調整を含めて操作軸のみの操作で行なうことができるので操作性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明確にするために、以下、本発明の自動点火用ガスコックの好適な実施例について説明する。
図1及び図2は、一実施例としての自動点火用ガスコックの概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、自動点火用ガスコックは、点火・消火・ガス量調節操作用ツマミ5(以下操作ツマミと呼ぶ)と、テーパ状内孔8と円筒状内孔9,10を備えたコック本体1と、コック本体1のテーパ状内孔8に回動可能に組付けられてメインガス通路2を開閉する閉子3と、閉子3の中心部を貫通して軸方向へ進退移動可能に組付けられた弁軸15と、コック本体1の円筒状内孔9に装備されて操作軸6の押動,回動を伝達して弁軸15の移動や閉子3の回転を行なう操作機構30と、コック本体1の円筒状内孔10に弁軸15と関連させたマグネット弁13と、操作軸6の回転操作に連動して作動する点火装置40によって構成されている。
【0014】
閉子3は、図面の左端部に操作軸の押動,回動を伝達する係合突起22と、90度往復回動することによりメインガス通路2を開閉させるメインガス通路孔26と、所定の回動(本実施例では5度)でパイロットガス通路4と連通するパイロットガス通路孔27と、弁軸15の中間部に形成した凹部7の移動によりパイロットガス流路の開閉を行なうパイロット弁17とから構成されている。
尚、凹部7は弁軸15と閉子3との間に互いに離反する方向に付勢するように介装したバネ12によりパイロット弁17の図面左側に位置し、ガス流路は閉じられた状態に保たれている。
【0015】
操作機構30は、断面角形の操作軸6と、その関連部品のピン23,操作カム板18と、操作カム板18を係止する係止部16とにより構成されている。
ピン23は、操作軸6の先端部を交差方向に貫通してその両端部を外方に突出させている。操作カム板18は、図5に示すように、外周に複数の係合部21aを有する円盤形状で操作軸6に嵌合して係止リング44とバネ43とにより固定されている。係止部16は、高さの異なる複数の突片(16a,16b,16c,16d)が取付板33Bと一体に形成され、操作カム板18の押動された位置に応じて係合部21と係合して操作カム板18の回動をストップさせるように構成されている。
尚、取付け板33Bは、コック本体1の円筒状内孔9の開口部に止めねじ34により取付け固定されている。
【0016】
操作軸6は、その端部と閉子3の左端との間に弁軸15を介すことによりコック本体1の円筒状内孔9内に閉子3と離間する方向、つまり操作カム板18が取付板33Bに当接するように付勢された状態で組付けられ、操作軸6の押動によりピン23を閉子3の係合突起22に嵌入させてこれらが連動するようにしている。尚、操作カム板18が取付板33Bに当接した状態では、図5(A)に示すように、係止部16の突片16b,16c,16dに操作カム板18の係合部21aが当接して回転不可に設定されている。そして、操作カム板18が軸方向に移動すると最初に突片16b,16cとの係合が解除するように設定されている。 更に操作カム板18を軸方向に移動させると庇を持った突片16aに規制され所定の角度しか回動できないように設定されている。
【0017】
マグネット安全弁20は、ガス導入口11とテーパ状内孔8との間に形成された弁シート部29と、弁シート部29に接離可能に対設したマグネット弁13と、マグネット弁13を閉方向に付勢するばね14と、軸19を介してマグネット弁13と一体的に形成した吸着片25とからなり、吸着片25はマグネットの吸着面28に吸着、離脱可能に設けられた構成になっている。そして、例えば、こんろのメインバーナに臨ませた熱電対の熱起電力が消失したときマグネット弁13がその弁シート部29に圧接されてガスの供給を断つようになっている。また、弁軸15の前進移動によりマグネット弁13の押動開弁及び吸着片25のマグネット32の吸着面28への押し当てとが連動して行なえるようになっている。
【0018】
点火装置40は、圧電点火装置で、打撃すると電圧を生じる圧電素子31と、打撃用ハンマー38と、打撃用ハンマー38を上方に付勢するバネ35と、バネ35の付勢力に抗して打撃用ハンマー38を下方に下げる操作軸6の回転操作に連動したトリガー37とからなり、それぞれ取付板33Aに固定されている。
尚、トリガー37の取付け穴は操作軸6の形状と同じ角形に形成し、操作軸6に挿入するとともにバネ39で固定され操作軸6と連動して動作するように設定されている。
【0019】
ここで、点火操作とガス量調節について説明する。
点火時に操作ツマミ5を、図3(A),図5(A)に示す最初の止位置(消火位置)の状態から弁軸15のバネ12の付勢力に抗して押動すると、操作軸6と一体的に形成した操作カム板18が前進(図2において右方向に移動することを示す)して係止部16の突片16b,16c,16dから解除され、操作軸6先端のピン23が閉子3の係合突起22に挿入されて操作軸6と連結する。同時に、弁軸15が前進し、その凹部7がパイロット弁17の有る位置に移動してパイロットガス流路を開にする。更に、弁軸端部24がマグネット安全弁20のバネ14に抗して軸19を前進させてマグネット弁13を弁シート部29から離間し開放するとともに、軸19と一体的に形成した吸着片25をマグネット32の吸着面28に押し当てる。そして、操作ツマミ5を反時計方向に回転させると操作軸のピンと連動して閉子3が回転し、メインガス通路孔26がメイン流路穴2と連通し、パイロットガス通路孔27は、図2に示すように、パイロット流路4に連通する。これに伴ってガスが矢印(図2のガス流路内の矢印)に沿って流れる。こうして、ガス導入口11とメインガス通路2及びパイロットガス通路4とが連通する。同時に、図4(B),図5(B)に示すように、操作軸6に嵌着固定された操作カム板18は前進して突片16b,16c,16dを越えて突片16aの庇の高さ位置にくる。
閉子3を通過するガスの流量は、閉子の回転角の位置により決定される。つまり、図3に示すように、操作ツマミ5を操作してメインガス通路孔26が、図3(D)に示すように、全開の大位置にある時には大流量となり、図3(B)に示すように、小の位置にある時には閉子3のメインガス通路孔26の外周に設けられたスリット26Aにより流量が供給されるのでとろ火相当の小流量となる。
【0020】
メインガス通路孔26は、図3(C)に示すように、操作ツマミ5を角度45度まで回動した時点で半分程度開孔してメインバーナ(図示略)にガスが供給される(本実施例では最大ガス量の半分程度のガス量が供給される)。同時に圧電素子31打撃用のハンマー38が、図4(C)に示すように、トリガー37によりバネ35に抗して付勢され、圧電素子31を打撃する。そして、圧電素子31の打撃直後に操作カム板18の係止面21aが、図5(C)に示すように、係止部16の突片16aで係止されるので、操作カム板18と嵌着固定されている操作軸6と操作ツマミ5はそれ以上の回動ができなくなる。従って、点火時にはメインガス通路孔26は半開以上に開かれることはなく、メインバーナに中火相当より多いガス量が供給されることはない。こうして、電極(図示略)に火花放電してパイロットバーナに(図示略)点火するとともにメインバーナに着火する。そして、メインバーナにより熱電対が加熱されるためその熱起電力によりマグネット32が励磁され、吸着片25を吸着しマグネット弁13を開状態に保持する。
【0021】
パイロットバーナ及びメインバーナへの点火後、操作ツマミ5から手を放して弁軸15への押力を解くと、操作軸6は弁軸15を介してバネ12の付勢力で後退(図2において左方向に移動することを示す)させられ操作カム板18は、図5(D)に示すように、係止部16の突片16aから解除されて突片16b,16cに支えられる。この結果、操作軸6は大流量側,小流量側に回動自在となり、大流量側へは突片16dで係止するまで回動できる。また、凹部7も後退してパイロット弁17の位置から外れるためパイロットガス流路が遮断されパイロットバーナのみ消火する。
【0022】
点火動作終了後、操作カム板18が係止部16の突片16aの規制から解除された後、操作ツマミ5を更に反時計回転する(回転角90度)と、図3(D)に示すように、メインガス通路孔26は全開となりメインバーナに大火炎が形成されるガス量が供給される。逆に、操作ツマミ5を時計方向に回転させることによりメインガス通路孔26の開度が狭められて供給ガス量は絞られる。そして、メインガス通路孔26がスリット26Aの開口になった場合、とろ火火炎が形成されるガス量が供給されるように設定されている。消火は、図5(A)に示すように、更に操作ツマミ5を時計方向に回転させると、操作カム板18の係合部21はバネ43の付勢力により後退して突片16b,16cと係合し、最初の止位置(消火位置)でロックされる。その間に、閉子3のメインガス通路孔27は閉じられるのでガス導入口11とメインガス通路2との連通が遮断され、メインバーナは消火する。そして、熱電対の加熱も停止されるため、その熱起電力が低下してマグネット32による吸着片25の吸着が解かれマグネット弁13はバネ14の付勢力で弁シート部29に圧接して閉止されガスの供給を完全に遮断する。
尚、図3,図4,図5中における記号(A),(B),(C),(D)のそれぞれ同記号の操作は同時期に行なわれることを表している。
【0023】
以上説明したように本実施例の自動点火用ガスコックは、点火操作と連動する操作機構30を備え、点火時に操作カム板18を回転させてその係止面21aを供給ガス量が中火相当のガス量に設定された回転角に相当する係止部16の突片16aの位置で火花放電させて点火させるとともに、突片16aにより操作軸6の回動を係止させたので、メインバーナに中火以上に大きな火炎が形成されることはない。この結果、強火状態での着火が防止されて、使用者に恐怖感等の不快感を与えることがない。また、点火用のパイロットガス通路を備え、点火をパイロット側で行なうようにしたので、メイン側のガス量は点火性能で制約されないため、更に小さい火炎に設定することができる。また、点火時の火力は使用頻度の多い中火であるため、これ以上調節せずに点火時の状態のままで使用することも多く使い勝手がよい。また、中火の火力は高い熱効率が得られるので省エネルギーである。(一般的に強火力バーナを搭載したこんろは、通常の鍋を使用した場合に中火が一番効率が高くなるように設計されている。強火は火炎が溢れ、弱火は火炎が届かないので熱効率が悪くなる。)
また、点火時に中火に設定されているため、強火や弱火に調整する場合にガス量の変化が少なくなり火炎が不安定になることは生じない。
【0024】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、様々な態様で実施し得ることは勿論である。例えば、点火装置に連続的にスパークするイグナイターを設け、回転操作ツマミの押し操作で点火動作する簡単な構成にしてもよく、この場合点火作動タイミングは所定開度に達する前から開始してもよい、本発明の要旨を逸脱しない範囲に於いて、種々なる態様で実施し得る事は勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の請求項1記載の自動点火用ガスコックによれば、点火時に閉子の最大開度に達する前に点火装置の点火動作を行ない最大ガス量での強火点火を確実に防止して着火時での火炎の溢れを少なくし、使用者の袖を焦がしたり、不快感を与えたりすることを低減するという優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明の請求項2記載の自動点火用ガスコックによれば、点火動作時のガス量を使用頻度の多い中火相当量に設定しておくことにより、点火後にそのガス量のままで調理する場合が多くなり火力調整の動作が減り使い勝手が良くなる。
また、中火相当量のガス量が供給されるので着火が確実に行なわれる。
【0027】
また、本発明の請求項3記載の自動点火用ガスコックによれば、規制手段は操作軸を軸方向に移動させて解除できるようにしたので、点火,消火,ガス量調整を含めて操作軸のみの操作で行なうことができ操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動点火用ガスコックの断面図である。
【図2】自動点火用ガスコックの断面図である。
【図3】操作ツマミとメインガス通路孔との操作位置の説明図である。
【図4】点火器の動作説明図である。
【図5】操作カム板の動作説明図である。
【図6】テーブルコンロの概略構成図である。
【符号の説明】
1…コック本体
3…閉子
6…操作軸
7…凹部
15…弁軸
16…係止部
16a,16b,16c,16d…突片
17…パイロット弁
18…操作カム板
21…係合部
21a…係止面
22…係合突起
23…ピン
26…メインガス通路孔
30…操作機構
37…トリガー
38…ハンマー
40…点火装置
Claims (3)
- コック本体内に回動可能に組付けられ、その回動位置に応じてガス通路の開度を閉止状態から最大開度まで調整する閉子と、
上記閉子を回動させて燃料ガス供給量を調整する操作軸と、
上記閉子の閉止状態からガス量増大側へ向けた上記操作軸の回動操作と連動して作動する点火装置とを備え、
上記操作軸の回動操作により、点火操作と燃料ガス供給量の調整操作の両操作を行うようにされた自動点火用ガスコックにおいて、
点火操作時の上記操作軸の回動操作により上記閉子の開度が最大開度より小さい所定開度に達したとき、ガス量増大側への上記回動操作を一旦規制する規制手段と、
上記所定開度に達したとき又は達するまでに上記点火装置を作動させる点火制御手段とを備えたことを特徴とする自動点火用ガスコック。 - 上記回動操作を規制する時の閉子開度を略中火相当開度に設定したことを特徴とする請求項1記載の自動点火用ガスコック。
- 上記規制手段は、上記操作軸と一体的に取着したカム板と、該カム板の所定回動位置でカム板と係合して回動を規制する係合対とを備えると共に、上記操作軸を軸方向に移動させることで係合規制が解除されることを特徴とする請求項1または2記載の自動点火用ガスコック。
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1996
- 1996-11-06 JP JP31133396A patent/JP3793859B2/ja not_active Expired - Lifetime
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