JP3792565B2 - 自動車用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ方式による暖房機能を備えた自動車用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の室内の暖房を行う方法として、例えば、エンジンの冷却水を熱源とする方法がある。この方法では、廃熱を有効に利用できる利点があるが、エンジンが十分に暖まっていないときには、室内の暖房や窓ガラスの除霜を短時間に行うことができない欠点がある。
【0003】
一方、冷却水を用いる代わりに、冷媒を用いて外気熱や冷却水の冷却熱を汲み上げ、その熱を用いて室内を暖房するヒートポンプ方式を利用したものがある。
【0004】
しかしながら、このヒートポンプ方式では、外気温が低い場合、外気熱を十分に汲み上げて効率的な暖房を行うことができないばかりか、外気熱を汲み上げる室外熱交換器が着霜し、熱交換が不可能になってしまうおそれがあるため、適用可能な外気温の下限値に限界がある。また、冷却水から冷却熱を汲み上げる場合には、冷却水と冷媒との間で熱交換する熱交換器が別途必要となるため、余分なスペースを占有する問題が生じる。
【0005】
そこで、特開平8−20239号公報では、室外熱交換器が着霜状態にあることを検知したとき、自動車用空調装置の運転モードを一旦除霜モードに変更し、除霜を行った後、再びヒートポンプ方式による暖房を行うようにした技術を提案している。また、特開平10−329532号公報では、冷却水の廃熱を室外熱交換器に供給して除霜を行うようにした技術を提案している。
【0006】
なお、近年、自動車の燃費向上の要求に伴い、高効率エンジンが注目されている。この場合、エンジンの高効率化は、エンジン廃熱の減少を招来するため、冷却水の低温化による暖房性能の低下が大きな課題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、外気温が低い場合であっても、自動車の室内を効率的に暖房することのできる簡易な構成からなる自動車用空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明では、暖房運転の際、圧縮機により冷媒を吸入圧縮して室内熱交換器に供給して凝縮させ、発生する凝縮熱によって自動車の室内の空気を加温する。次いで、冷媒は、室外熱交換器に供給されて蒸発することにより、外気熱を吸熱して圧縮機に戻される。
【0009】
この場合、外気温が低いと、室外熱交換器が着霜し、熱交換の効率が著しく低下するおそれがあるが、本発明では、自動車のエンジン回りの空気を室外熱交換器に送風することにより、エンジン、特に高温となるエキゾーストマニホールド、シリンダブロック、ラジエータ等から熱を奪い、その熱を室外熱交換器で吸熱させ、室内熱交換器を介して室内に供給することができる。これにより、低外気温であっても、室外熱交換器が着霜することがなく、ヒートポンプの連続運転が可能となる。
【0010】
また、エンジンルームと外界とを連通する連通路の少なくとも一部を開閉扉を駆動して閉塞し、エンジンルームで発生する熱が外気に放出されることを阻止するとともに、送風機を駆動して熱を室外熱交換器に供給することにより、室外熱交換器を効果的に加熱することができる。これにより、室外熱交換器が着霜することがなく、外気熱およびエンジン廃熱を効率よく吸熱し、室内熱交換器を介して熱を室内に供給することができる。
【0011】
なお、複数の送風機を独立に制御し、例えば、エンジン側から室外熱交換器に対して送風した後、再びエンジン側に送風するように空気を循環させることにより、エンジンルームの空気温度を上昇させ、暖房効率をさらに向上させることができる。
【0012】
ここで、自動車の外気温度、または、冷却水温度、若しくは、エンジンルームの空気温度が所定温度以下のとき、連通路を閉塞すべく変形する形状記憶合金部材を用いて開閉扉を駆動することにより、電気的な制御回路を不要とすることができる。なお、モータやシリンダ等のアクチュエータを用いて開閉扉を開閉するように構成することも可能である。
【0013】
また、自動車の室内に冷却水が導入されるヒータコアを配設することで、室内熱交換器によって発生する熱と、ヒータコアによって発生する熱とにより室内を効率的に暖房することができる。さらに、冷却水が低水温であるとき、室内熱交換器から放熱する凝縮熱をヒータコアに導くことにより、冷却水を加熱してエンジンの暖機時間を短縮することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態の自動車用空調装置10の構成を示す。
【0015】
自動車用空調装置10は、冷媒を吸入圧縮する圧縮機12と、冷媒の供給方向を制御する四方弁14と、四方弁14から圧縮機12に向かう冷媒の通路中に配設されるアキュムレータ16と、自動車18の室内に連通するユニット20内に配設される室内熱交換器22と、自動車18のフロント部分に配設される室外熱交換器26と、室内熱交換器22および室外熱交換器26間に配設される開度調整可能な2つの電磁弁28、30とを備える。
【0016】
室内熱交換器22には、室内ファン24が近接して配置される。また、ユニット20の室内側には、デフロスタ吹き出し口32、フェース吹き出し口34およびフット吹き出し口36が夫々設けられる。各吹き出し口32、34および36は、ダンパ38、40および42により開閉可能に構成される。
【0017】
自動車18のエンジン44は、ウォータポンプ46によって流動する冷却水が供給されるウォータジャケット48を備える。ウォータジャケット48には、室外熱交換器26に近接配置されるラジエータ50がサーモスタット75を介して接続される。なお、サーモスタット75とウォータポンプ46とは、バイパス通路77によって接続される。ラジエータ50には、図2に示すように、2つの室外ファン58および60(送風機)が近接して配置される。
【0018】
また、ウォータジャケット48には、ユニット20内に配設されるヒータコア52がウォータバルブ54を介して接続される。なお、室内熱交換器22とヒータコア52との間には、ヒータコア52を室内熱交換器22から遮断するためのダンパ56が配設される。
【0019】
一方、室外熱交換器26およびラジエータ50と自動車18の外界とを連通するダクト62(連通路)には、ダクト62を開閉するためのシャッタ64a〜64dが配設される。各シャッタ64a〜64dは、図3および図4に示すように、両側部の支軸66a〜66dを介してダクト62に回動可能に支持される。そして、支軸66a〜66dから偏心した端部に形成された軸部68a〜68dがダクト62の両側部に配設した変位部材70に軸支される。
【0020】
変位部材70は、下端部がスリーブ72に収納される。スリーブ72内には、変位部材70の下端部の上下に当接するスプリング74および76が収納される。この場合、下部に配設されるスプリング74は、例えば、外気温が略10℃以上の冷房モード域のとき、上部のスプリング76の弾発力によって圧縮される一方(図3)、外気温が略10℃以下の暖房モード域のとき、上部のスプリング76の弾発力に抗し予め記憶されていた所定量伸張した状態(図4)に変形する形状記憶合金部材によって形成される。
【0021】
本実施形態の自動車用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作について説明する。
【0022】
先ず、図5に示すフローチャートに従い、暖房運転を行う場合の動作について説明する。
【0023】
シャッタ64a〜64dの周辺の温度、例えば、自動車18の外気温が略10℃以下の暖房モード域のとき(ステップS1)、シャッタ64a〜64dは、ダクト62を閉塞状態とする(ステップS2)。すなわち、図3に示すスプリング74は、上部のスプリング76の弾発力に抗し、記憶していた形状に伸張し、変位部材70を上方向に変位させる。これにより、端部が変位部材70に連結されたシャッタ64a〜64dが支軸66a〜66dを中心として回動し、ダクト62を閉塞する(図4参照)。なお、外気温が略5℃以上で外気熱のみの吸熱でも十分に暖房を行うことができる場合には、シャッタ64a〜64dを開成保持するように設定してもよい。
【0024】
次に、ドライバDが自動車用空調装置10の図示しない操作パネルを操作し、暖房運転を選択すると、ダンパ38、40および42が動作し、デフロスタ吹き出し口32、フェース吹き出し口34およびフット吹き出し口36の開閉状態が適宜設定される(ステップS3)。
【0025】
暖房運転が選択されると、圧縮機12から冷媒が室内熱交換器22側に供給されるように、四方弁14が図1の状態に設定される(ステップS4)。次いで、ヒートアップ優先モードが選択されず、エンジン44の冷却水を利用して暖房運転を行う場合(ステップS5)、ウォータバルブ54が開成され、エンジン44の冷却水がヒータコア52に供給可能な状態に設定される(ステップS6)。また、ダンパ56が室内熱交換器22とヒータコア52との間から退避する(ステップS7)。
【0026】
さらに、室内熱交換器22と室外熱交換器26との間に配設される電磁弁28、30の開度が調整される(ステップS8)。すなわち、室内熱交換器22に圧縮冷媒を効率的に供給して室内を加温するため、電磁弁28が全開状態に設定される一方、冷媒を霧状として室外熱交換器26に供給することで外気熱およびエンジン廃熱を汲み上げるため、電磁弁30を所定の設定開度に調整する。
【0027】
次に、室内ファン24が回転駆動され、自動車18の室内空気が室内熱交換器22およびヒータコア52を介して選択されたデフロスタ吹き出し口32、フェース吹き出し口34またはフット吹き出し口36に送給される(ステップS9)。
【0028】
また、ステップS2においてシャッタ64a〜64dが閉塞されているとき(ステップS10)、ラジエータ50に近接配置された2つの室外ファン58および60が正転方向(空気を外界から自動車18内に取り込む方向)および逆転方向(空気を自動車18から外界に送り出す方向)に回転駆動される(ステップS11)。この場合、図2および図6に示すように、エンジン44側の空気は、逆転駆動される室外ファン58によってラジエータ50および室外熱交換器26を介してダクト62側に送給された後、正転駆動される室外ファン60によって吸引され、閉塞状態にあるシャッタ64a〜64d側から室外熱交換器26およびラジエータ50を介してエンジン44側に取り込まれる。
【0029】
なお、シャッタ64a〜64dの周辺の温度、例えば、外気温がさほど低くなく、シャッタ64a〜64dが開成されたままの状態のときには(ステップS10)、2つの室外ファン58および60をいずれも正転方向または逆転方向に回転させることにより(ステップS12)、空気を室外熱交換器26側からラジエータ50側に、あるいは、ラジエータ50側から室外熱交換器26側に送り出す。
【0030】
以上の準備作業が完了した後、圧縮機12が駆動され(ステップS13)、暖房運転が開始される(ステップS14)。
【0031】
そこで、圧縮機12から吐出された高温高圧の圧縮冷媒は、四方弁14を介して室内熱交換器22に供給され、凝縮される。このとき、室内ファン24によって供給された空気は、室内熱交換器22によって加温された後、ヒータコア52を介して選択されたデフロスタ吹き出し口32、フェース吹き出し口34またはフット吹き出し口36から室内に供給される。
【0032】
また、エンジン44によって加熱された冷却水は、ウォータポンプ46により、ウォータジャケット48からウォータバルブ54を介してヒータコア52に供給されている。従って、室内ファン24によって室内熱交換器22に供給され加温された空気は、ヒータコア52を通過することでさらに加温され、室内に供給される。この結果、室内の空気は、室内熱交換器22およびヒータコア52によって効率的に加温される。
【0033】
一方、室内熱交換器22に供給された冷媒は、全開状態に設定されている電磁弁28から所定の開度に設定された電磁弁30に供給されることで霧状の低温低圧の冷媒となった後、室外熱交換器26に供給されて蒸発する。そのとき、蒸発する冷媒が室外熱交換器26の周囲の空気から冷却熱を汲み上げる。この場合、外気温が低いと、室外熱交換器26が着霜するおそれがある。室外熱交換器26が着霜すると、空気が流れず、吸熱ができなくなってしまう。
【0034】
本実施形態においては、エンジン44から冷却水の供給されるラジエータ50が室外熱交換器26に近接して配置されており、且つ、外気温が略10℃以下の場合、シャッタ64a〜64dが閉塞され、室外ファン58が逆転し、室外ファン60が正転している。従って、図6に示すように、室外熱交換器26の周囲の空気は、室外ファン58によってエンジン44側から室外熱交換器26に供給された後、室外ファン60によってシャッタ64a〜64d側から再び室外熱交換器26を介してエンジン44側に戻るように循環することになる。
【0035】
この場合、エンジン44、特にエキゾーストマニホールドやシリンダブロック等で発生した熱が室外熱交換器26に効率的に供給されるため、室外熱交換器26が着霜することがない。また、シャッタ64a〜64dが閉塞状態となっているため、自動車18の走行中におけるラム圧の影響を受けることがない。従って、エンジンルーム内の空気は良好に循環し、これによって室外熱交換器26の加熱が効果的に行われるため、室外熱交換器26内の冷媒が周囲の空気から効率的に吸熱することができる。この結果、ヒートポンプ方式による急速暖房が実現される。
【0036】
また、冷却水がエンジン44の廃熱によって上昇し、所定温度、例えば、略80℃以上になると、サーモスタット75が作動して冷却水がエンジン44側からラジエータ50側に供給される。このとき、ラジエータ50で発生した冷却水の熱が、室外ファン58、60によって室外熱交換器26に効果的に供給されて冷媒を加熱するため、暖房効率が一層向上することになる。
【0037】
なお、ステップS5において、ドライバDによりヒートアップ優先モードが選択され、低温状態にある冷却水を利用せずに暖房運転を行う場合には、ウォータバルブ54を閉塞するとともに(ステップS15)、ダンパ56を室内熱交換器22とヒータコア52との間に配置する(ステップS16)。この状態において、上述した場合と同様の暖房運転を開始することにより、室内熱交換器22によってのみ加温された空気が室内に供給され、ヒートアップ優先モードによる暖房が行われる。
【0038】
ここで、外気温との関係でエンジン44の高温化が懸念されるような場合、例えば、図7に示すように、シャッタ64a〜64dを閉塞して室外熱交換器26の周囲の空気を循環させるとともに、空気の一部を外部に逃がすような制御を行うこともできる。また、図8に示すように、シャッタ64a〜64dを閉塞するとともに、室外ファン58および60をいずれも逆転駆動して空気を外界方向に送給することにより、室外熱交換器26を加熱するとともに、冷却水の冷却効果を確保するように制御することもできる。
【0039】
なお、シャッタ64a〜64dの周辺の温度、例えば、外気温がさほど低くない場合には、シャッタ64a〜64dを開成し(ステップS1)、エンジン44の熱を放熱するとともに、室外熱交換器26を加熱し、その吸熱作用により暖房運転を遂行する。
【0040】
図9は、以上のように動作する本実施形態のヒートポンプ方式による暖房運転時におけるエンタルピと冷媒の圧力との関係(実線)を、室外熱交換器26を加温しない従来のヒートポンプ方式の場合(点線)と比較してモリエル線図に重畳させて示したものである。この図9から了解されるように、従来の方式では、室内熱交換器22での冷媒の圧力が低く、発熱量が少ないのに対して、本実施形態の方式では、室外熱交換器26に十分な量の冷媒が供給されるため、室内熱交換器22に高温高圧の冷媒が供給され、これによって室内の空気を効率的に加温できる。
【0041】
次に、図10に示すフローチャートに従い、本実施形態の自動車用空調装置10を用いて冷房運転を行う場合の動作について説明する。
【0042】
冷房運転を行う場合、シャッタ64a〜64dの周辺の温度、例えば、自動車18の外気温は、一般に高い温度となっているため、シャッタ64a〜64dはダクト62を開成状態としている。すなわち、図3に示すように、スプリング74は、上部のスプリング76の弾発力によって縮退状態となっており、変位部材70が下方向に変位してシャッタ64a〜64dを開成状態とする。
【0043】
ドライバDが自動車用空調装置10の図示しない操作パネルを操作し、冷房運転を選択すると、ダンパ38、40および42が動作し、デフロスタ吹き出し口32、フェース吹き出し口34およびフット吹き出し口36の開閉状態が適宜設定される(ステップS21)。
【0044】
冷房運転が選択されると、圧縮機12から冷媒が室外熱交換器26側に供給されるように、四方弁14が制御される(ステップS22)。また、ウォータバルブ54が閉塞され、ヒータコア52に対する冷却水の供給が阻止される(ステップS23)。なお、ダンパ56は、室内熱交換器22とヒータコア52との間となるように閉塞状態に設定される(ステップS24)。
【0045】
さらに、室外熱交換器26によって凝縮された冷媒を霧状の低温低圧の冷媒として室内熱交換器22に効率的に供給するため、電磁弁30が全開状態に調整されるとともに、電磁弁28が所定の開度に調整される(ステップS25)。
【0046】
室内ファン24は、外気を室内熱交換器22を介して室内に供給するように駆動され(ステップS26)、室外ファン58および60は、外気を取り込んで室外熱交換器26およびラジエータ50を冷却するように、正転駆動される(ステップS27)。
【0047】
以上の準備作業が完了した後、圧縮機12が駆動され(ステップS28)、冷房運転が開始される(ステップS29)。
【0048】
この場合、圧縮機12から吐出された高温高圧の圧縮冷媒は、四方弁14を介して室外熱交換器26に供給され、凝縮される。なお、この高温高圧の冷媒は、室外ファン58および60によって取り込まれた外気により冷却される。
【0049】
次いで、冷媒は、電磁弁30を介して電磁弁28に供給され、霧状になった後、室内熱交換器22において蒸発することにより、室内ファン24によって供給された外気を冷却し、室内を冷房する。蒸発した冷媒は、四方弁14からアキュムレータ16に供給された後、冷媒の気体の部分が圧縮機12によって吸入されることにより、冷房運転が継続される。
【0050】
なお、上述した実施形態では、シャッタ64a〜64dの周辺の温度に従って変位部材70を変位させることで開閉するように構成しているが、例えば、冷却水の温度を検出し、その温度に応じてシャッタ64a〜64dを開閉させるようにしてもよい。また、エンジンルームの空気温度に応じて開閉させるようにしてもよい。さらに、シャッタ64a〜64dの開閉手段としては、形状記憶合金部材を用いる代わりに、モータやシリンダ等のアクチュエータを利用することも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、外界との連通路を閉塞し、エンジンが駆動することによって発生する排気熱、冷却熱、摩擦熱等のエンジン廃熱を送風機を用いて室外熱交換器に効率的に供給することにより、外気温が低い場合であっても室外熱交換器が着霜することがなく、ヒートポンプ方式による暖房を効果的に行うことができる。
【0052】
また、複数の送風機を制御し、エンジンと室外熱交換器との間で空気を循環させることにより、暖房効率をさらに向上させることができる。
【0053】
さらに、温度に応じて変形する形状記憶合金部材を用いて開閉扉を駆動して連通路を閉塞することにより、電気的な制御回路を不要とし、構成を簡易なものとすることができる。
【0054】
さらにまた、冷却水をヒータコアによって室内に導くことにより、室内熱交換器およびヒータコアで発生する熱を用いて、室内を一層効率的に暖房することができる。
【0055】
なお、冷却水が低温であるとき、室内熱交換器から放熱する凝縮熱をヒータコアに導くことにより、冷却水を加熱してエンジンの暖機時間を短縮し、燃費向上に寄与することができる。
【0056】
また、冷媒を用いた暖房であるため、冷却水による暖房に比較してヒートマスが小さく、暖房を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の自動車用空調装置の構成図である。
【図2】本実施形態の自動車用空調装置におけるラジエータ、室外熱交換器間での空気の循環状態を示す斜視説明図である。
【図3】本実施形態の自動車用空調装置におけるシャッタの開成状態を示す斜視説明図である。
【図4】本実施形態の自動車用空調装置におけるシャッタの閉塞状態を示す斜視説明図である。
【図5】本実施形態の自動車用空調装置における暖房運転の動作フローチャートである。
【図6】本実施形態の自動車用空調装置における密閉状態での空気循環説明図である。
【図7】本実施形態の自動車用空調装置における一部開放状態での空気循環説明図である。
【図8】本実施形態の自動車用空調装置における一部開放状態での空気排出説明図である。
【図9】本実施形態の自動車用空調装置における暖房運転時のエンタルピと冷媒圧力との関係を示す説明図である。
【図10】本実施形態の自動車用空調装置における冷房運転の動作フローチャートである。
【符号の説明】
10…自動車用空調装置 12…圧縮機
14…四方弁 16…アキュムレータ
18…自動車 22…室内熱交換器
24…室内ファン 26…室外熱交換器
28、30…電磁弁 44…エンジン
46…ウォータポンプ 48…ウォータジャケット
50…ラジエータ 52…ヒータコア
54…ウォータバルブ 58、60…室外ファン
64a〜64d…シャッタ 74、76…スプリング
Claims (4)
- エンジンルーム内にエンジンを収容した自動車用空調装置であって、
前記空調装置は、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機と、
圧縮された前記冷媒を凝縮する室内熱交換器と
前記冷媒を蒸発させる室外熱交換器と、
前記エンジン側から前記室外熱交換器に空気を送風する第1の送風機と、
前記室外熱交換器側から前記エンジン側に空気を戻す第2の送風機と、
前記室外熱交換器と前記自動車の外界とを連通する連通路と、
前記自動車の外気温度、または、冷却水温度、若しくは、前記エンジンルームの空気温度に従って前記連通路を開閉する開閉扉と、
を備え、当該温度が所定温度以下のとき、前記開閉扉により前記連通路の少なくとも一部を閉塞するとともに、前記第1の送風機で前記エンジン側から前記室外熱交換器に空気を送風し、前記第2の送風機で前記室外熱交換器側から前記エンジン側に空気を戻すことにより、前記開閉扉によって閉塞された前記エンジンルームで空気を循環させることを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記開閉扉は、当該温度が所定温度以下のとき、前記連通路を閉塞すべく変形する形状記憶合金部材により駆動されることを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記開閉扉は、当該温度が所定温度以下のとき、前記連通路を閉塞すべく変位するアクチュエータにより駆動されることを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記自動車の室内に配設され、エンジンを冷却する冷却水が導入されるヒータコアを有することを特徴とする自動車用空調装置。
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