JP3993524B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の快適性を損なうことのないデフロスト運転が可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のヒートポンプ式冷凍サイクルを導入した車両用空調装置について、主要コンポーネントの配置及び配管系統の一例を示す系統図である。なお、図中に表示した実線矢印は冷房運転時の冷媒流れ方向、破線矢印は暖房運転時の冷媒流れ方向、一点鎖線矢印は熱媒体サイクルの流れ方向を示している。
【0003】
図7において、車両用空調装置(以下、「空調装置」と言う)1は、冷房運転が選択された時、コンプレッサ23から吐出された冷媒が冷媒配管系統4を実線矢印で示した経路を循環し、そして暖房運転が選択された時は、破線矢印で示した経路を循環してコンプレッサ23に戻る冷凍サイクル運転を行う。
冷房運転時において、コンプレッサ23から吐出された高圧高温の冷媒は、冷媒−熱媒体熱交換器24にて熱媒体(たとえば内燃機関の冷却水)と熱交換した後、冷媒配管系統4の電磁弁37が開、そして電磁弁38が閉に制御されているので室外熱交換器26に入り、ここで放熱凝縮して絞り弁27に圧送される。
【0004】
絞り弁27にて断熱膨張した冷媒は、室内ユニット3内に配設された第一室内熱交換器28を流過する過程で、内気導入口8、または外気導入口9から導入され室内ブロワ2により圧送される空気と熱交換して吸熱蒸発した後、アキュムレータ29を経てコンプレッサ23に戻る。
そして、冷房運転時においては、室内ユニット3内に配設された第二室内熱交換器39の空気ダンパ42が第二室内熱交換器39を閉じる位置に制御されるので、第一室内熱交換器28にて冷媒と熱交換して冷却された空気は、第二室内熱交換器39をバイパスしてフェイス(FACE)吹出口15から車室内に吹出される。
【0005】
暖房運転時において、コンプレッサ23から吐出された高圧高温の冷媒は、冷媒−熱媒体熱交換器24にて熱媒体と熱交換した後、冷媒配管系統4の電磁弁37が閉、そして電磁弁38が開に制御されているので絞り弁25に圧送される。絞り弁25にて断熱膨張した冷媒は、室外熱交換器26にて外気と熱交換して吸熱蒸発した後、電磁弁38を通ってアキュムレータ29に入り、ここで気液分離してコンプレッサ23に戻る。
また、空調装置1には暖房運転における暖房熱源を供給するための熱媒体配管系統5が敷設されており、熱媒体供給手段40から出た熱媒体は、冷媒−熱媒体熱交換器24にて高温の冷媒と熱交換して加熱された後、室内ユニット3内に配設された第二室内熱交換器39にて第一室内熱交換器28を通過してきた空気と熱交換して放熱し熱供給手段40に戻る。
【0006】
熱媒体は熱媒体配管系統5に配設されたポンプ41によって上記経路を強制循環する。
そして、暖房運転においては、上記空気ダンパ42が第二室内熱交換器39を開く位置に制御されるので、第一室内熱交換器28を経た空気は第二室内熱交換器39にて冷媒で加熱された熱媒体と熱交換して暖められ、室内ユニット3のフット(FOOT)吹出口16から車室内に吹出される。
【0007】
除湿暖房運転時においては、上記暖房運転を冷房運転に切替え、かつ空気ダンパ42を開の位置に制御する。
これによって、第一室内熱交換器28にて除湿冷却された空気は第二室内熱交換器39を通過することにより加熱され、除湿暖房空気となってデフロスト(DEF)吹出口14、またはフェイス吹出口15、またはフット吹出口16から車室内に吹出される。
【0008】
上述した空調装置においては、デフロスト(DEF)モードに設定された場合、内外気切換ダンパ10は外気導入側へ切り替えられて外気導入口9から外気が導入され、冷凍サイクルは暖房運転に設定され、そして空気ダンパ42が開の位置に制御される。この結果、導入された外気は第二室内熱交換器39にて熱媒体と熱交換して加熱され、温風となってデフロスト吹出口14から吹出され、車両の前面ガラス及び側面ガラス等をデフロストする。(たとえば、特許文献1参照)
【0009】
【特許文献1】
特開平8−216655号公報(段落番号0039−0049、図1及び図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の車両用空調装置においては、デフロストモードを選択した場合には外気温度に係わらず上記設定(外気導入及び暖房運転)で運転されるため、外気温度あるいは室内温度が比較的高い運転条件では、デフロスト吹出口14から吹出して前面ガラス等をデフロストした温風が乗員の上半身に当たって快適性を損なうなど、空調フィーリングの点で問題があった。
また、車両用空調装置については、上述した従来技術の他にも、たとえば特許第3134705号公報、特開平8−310227号公報、特開平9−220924号公報、特開平10−226222号公報及び特開平11−28930号公報等にも開示されているが、いずれの場合も同様の問題を有している。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、デフロスト運転時における乗員の空調フィーリングを向上させることができる車両用空調装置の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の車両用空調装置は、内外気切換手段を備えた内気導入口及び外気導入口と、それぞれに開閉手段を備えた複数の吹出口とを設けた室内ユニット内に、空調空気流れ方向上流側から順に、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成する第一室内熱交換器と、熱媒体供給手段の循環系に連結された第二室内熱交換器とが配設されている車両用空調装置において、前記内外気切換手段が内気導入位置に設定された場合、内気吸込み空気温度が第一所定温度より低い第三所定温度以下の場合には前記冷凍サイクルを暖房運転に設定し、内気吸込み空気温度が前記第三所定温度より高い場合には前記冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に設定して運転するデフロストモードを設けたことを特徴とするものである。
【0016】
このような車両用空調装置によれば、内外気切換手段が内気導入位置に設定された場合、内気吸込み空気温度が第一所定温度より低い第三所定温度以下の場合には冷凍サイクルを暖房運転に設定し、内気吸込み空気温度が第三所定温度より高い場合には冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に設定して運転するデフロストモードを設けたので、内気吸込み空気温度が比較的高い運転条件では、冷房運転または除湿運転に設定したデフロストモードとなる。従って、冷風または除湿風がデフロスト吹出口から吹出すデフロストモードとなり、空調フィーリングを維持しながらガラス内面のミストを除去するデミスト性能も確保することができる。
【0017】
請求項2に記載の車両用空調装置は、請求項1記載のものにおいて、前記デフロストモードは、前記暖房運転を実施中の内気吸込み空気温度が前記第三所定温度より高い第四所定温度になった時、前記冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に切り替えることが好ましく、これにより、暖房運転を行うデフロストモード運転中に内気吸込み空気温度が上昇して第三所定温度より高くなった場合にも、冷房運転または除湿運転に設定したデフロストモードに切り替えることができる。従って、冷風または除湿風がデフロスト吹出口から吹出すデフロストモードとなり、空調フィーリングを維持しながらガラス内面のミストを除去するデミスト性能も確保することができる。
【0018】
請求項3に記載の車両用空調装置は、請求項1または2記載のものにおいて、前記第二室内熱交換器の空調空気流れ方向下流側に、前記デフロスト運転モード時に通電して発熱させる加熱手段を配設することが好ましく、これにより、温風の温度を上げて暖房運転時のデフロスト性能及びデミスト性能を向上させることができる。この場合、加熱手段は暖房運転を選択した場合に通電され、たとえば電気ヒータやPTC(PositiveTemperature Coefficient)ヒータ等の使用が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。<第1の実施形態>
図1に示す第1の実施形態において、車両用空調装置(以下、「空調装置」と言う)101には、ヒートポンプ式冷凍サイクルによる冷房運転及び暖房運転を行う冷媒配管系統104と、空調装置101に暖房熱源を供給するための熱媒体が循環する熱媒体配管系統105とが併設されている。
【0020】
図示の冷媒配管系統104は、ガス冷媒を圧縮するコンプレッサ123と、冷媒と外気との間で熱交換を行う室外熱交換器126と、冷媒を減圧する電子膨張弁128と、冷媒と空調する導入空気(外気または内気)との間で熱交換を行う第一室内熱交換器129とを具備し、気液の状態変化を繰り返す冷媒が循環する閉回路の冷凍サイクルを形成したものである。
また、この冷媒配管系統104は、コンプレッサ123の下流側に冷媒−熱媒体熱交換器124を備えている。この冷媒−熱媒体熱交換器124は、コンプレッサ123で圧縮された高圧高温のガス冷媒と後述する熱媒体配管系統105から供給される熱媒体との間で熱交換するように構成されている。
【0021】
上述した冷媒配管系統104において、第一室内熱交換器129と室外熱交換器126との間には、電子膨張弁125と電磁弁131とが並列に配置されており、電磁弁131の開閉により電子膨張弁125を選択的に使用可能となっている。
また、冷媒配管系統104において、室外熱交換器126と室内熱交換器129との間には、室外熱交換器126側から順にインタークーラ127及び電子膨張弁128が設けられている。このインタークーラ127は、室外熱交換器126を通過した冷媒とアキュムレータ130で気液分離された後コンプレッサ123に吸入される冷媒との間で熱交換するように構成されている。
なお、インタークーラ127と第一熱交換器129との間から分岐し、第一室内熱交換器129とアキュムレータ130との間に連結された冷媒バイパス配管104aに配設された電磁弁132を開閉することにより、冷媒流路を選択的に切り替えることができるようになっている。
【0022】
冷房運転時、コンプレッサ123から吐出された冷媒は、冷媒−熱媒体熱交換器124、電磁弁131、室外熱交換器126、インタークーラ127、電子膨張弁128、室内ユニット103に配設された第一室内熱交換器129、アキュムレータ130、及びインタークーラ127を経てコンプレッサ123に戻る実線矢印で示す経路を循環する。なお、この場合の電子膨張弁125及び電磁弁132は全閉とする。
また、暖房運転時には、コンプレッサ123、冷媒−熱媒体熱交換器124、電子膨張弁125、室外熱交換器126、インタークーラ127、電磁弁132、アキュムレータ130、及びインタークーラ127を経てコンプレッサ123に戻る破線矢印で示す経路を循環する。なお、この場合の電子膨張弁128及び電磁弁131は全閉とする。
【0023】
熱媒体配管系統105は、熱媒体が熱媒体供給手段140、ポンプ141、冷媒−熱媒体熱交換器124及び第二室内熱交換器を循環するように構成したものである。ここで使用可能な熱媒体としては、たとえば内燃機関エンジンの冷却、車両走行用電動機の冷却、燃料電池装置の冷却などを行って吸熱する冷却水等がある。
熱媒体配管系統105の熱媒体は、熱媒体を強制循環させるためのポンプ141、熱媒体供給手段140、冷媒−熱媒体熱交換器124、及び室内ユニット103に配設された第二室内熱交換器133から再びポンプ141に戻る一点鎖線矢印で示す経路を循環する。
【0024】
室内ユニット103は、いわゆるHVAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニットと呼ばれるものである。この室内ユニット103は、内気導入口108、外気導入口109及び各種吹出口を備えたケーシング内に、室内ブロワ102、第一室内熱交換器129、第二室内熱交換器133、空気(エアミックス)ダンパ111及び各種ダンパ類が設けられている。
室内ユニット103の室内ブロワ102は、内外気切換ダンパ110のアクチュエータ110aを作動させることにより、ダンパ位置を切り替えて内気導入口108から導入する車室内空気(内気)または外気導入口109から導入する外気のいずれか一方を選択できるようになっている。
【0025】
また、室内ユニット103には、それぞれに図示しないアクチュエータで開閉する開閉ダンパ114a,116a,117aを備えているフェース吹出口114、フット吹出口116及びデフロスト吹出口117が設けられている。これらの吹出口は、設定した運転モードに応じて開閉ダンパ114a,116a,117aが開かれ、第一室内熱交換器129及び第二室内熱交換器133にて熱交換した空調空気を車室内へ吹き出すことができるようになっている。
空調空気の温度は、第二室内熱交換器133の上流部に配設した空気ダンパ111の開度をアクチュエータ111aの動作により開閉制御することによって調整される。
【0026】
操作パネル160には、デフロストモードスイッチ(以下、「DEFモードスイッチ」と言う)161のほか、図示を省略した各運転モードスイッチ、空調装置101の操作スイッチ等が配設されている。
制御装置150は、操作パネル160に設置された各運転モードスイッチを操作した指令、そして、外気温度センサ112及び吸込み空気温度センサ113から入力される検出値に基づいて、電子膨張弁125,128、電磁弁131,132、内外気切換ダンパ110のアクチュエータ110a、空気ダンパ111のアクチュエータ111a及び開閉ダンパ114a,116a,117aのアクチュエータに出力し、空調装置101を運転モードスイッチの操作により選択された運転モードになるよう制御する。
【0027】
上述したように構成された室内ユニット103では、空調しようとする導入空気(内気または外気)がブロワファン102及び第一車内熱交換器129を通過して流れ、さらに、空気ダンパ111の開度に応じて第二車内熱交換器133を通過して流れる。この過程において、導入空気は第一車内熱交換器129及び第二車内熱交換器133に供給される冷媒と熱交換して空調空気となり、設定された運転モードの吹出口より車室内に吹き出すこととなる。なお、ここで選択可能な運転(吹出)モードには、フェイス吹出モード、フット吹出モード、デフロスト吹出モード、バイレベル吹出モードなどがある。
【0028】
以下、上述した構成の空調装置101について、その作用効果を図1及び図2のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ1(以下、「S1」と言う)の「スタート」から、乗員が操作パネル160のDEFモードスイッチ161を手動操作することにより生成される起動指示を制御装置150が受け付け、この受付を契機に制御装置150は図2に示した制御シーケンスに入る。具体的には、S2の「DEFモード設定」に進む。そして、空調装置101がデフロスト吹出モードに設定されると、制御装置150はアクチュエータ110aに出力して内外気切換ダンパ110を外気導入口109が開く側に制御して外気を導入する外気導入ステップを実行する。(S3)
【0029】
そして、次のS4では、制御装置150は、外気温度センサ112により検出された外気温度t1と、外気導入時の暖房運転遷移設定温度として予め設定した第一所定温度T1とを比較し、外気温度t1が第一所定温度T1以下(t1≦T1)であるとの結果を得た場合には、YESであると判定し、S5に進んで冷凍サイクルを暖房運転に制御する。
すなわち、空調装置101は、制御装置150の制御下において、電磁弁131を閉、電磁弁132を開、電子膨張弁128を全閉とし、さらに、空気ダンパ111のアクチュエータ111aに出力して空気ダンパ111を第二室内熱交換器133側が全開となる位置に制御するので、導入空気は熱媒体が循環する第二室内熱交換器133を通過することにより加熱される。こうして加熱された温風は、デフロスト吹出口117の開閉ダンパを開とすることにより、デフロスト吹出口117から吹出される。
【0030】
一方、S4において、制御装置150が、外気温度t1が第一所定温度T1より高く(t1>T1)なるとの比較結果を得た場合には、図2に示したNOに該当すると判断し、S6に進んで冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転に制御する。
すなわち、空調装置101は、制御装置150の制御下において、電磁弁131を開、電磁弁132を閉、電子膨張弁125を全閉とし、さらに、空気ダンパ111を第二室内熱交換器133側が全閉となる位置に制御するので、冷媒が循環する第一室内熱交換器129にて熱交換して冷却ないし除湿された導入空気は、第二室内熱交換器133をバイパスしてデフロスト吹出口117から吹出される。
【0031】
このようにして、外気温度t1が第一所定温度T1以下となる低温外気の場合には、温風がDEF吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出してデフロスト性能を維持すると共に、温風が車室内に吹出されるため車内の快適性を維持することもできる。
そして、外気温度t1が第一所定温度より高い場合には、冷風ないし除湿風がデフロスト吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出すので、この冷風ないし除湿風によりガラス内面のミストが除去されてデミスト性能を維持できると共に、冷風ないし除湿風が車室内に吹出される。従って、比較的外気温度が高い場合に温風が吹き出されて空調フィーリングを損なうようなことはなく、冷風ないし除湿風により車内の快適性を維持することができる。
【0032】
次に、上述した第1の実施形態における第1変形例について、図1及び図3のフローチャートに基づいて説明する。本変形例においては、デフロスト吹出モードにおいて暖房運転を実施している際に、さらに温度を検出して運転モード切替を行う。
詳細には、空調装置101を上述した第1の実施形態における外気導入のデフロスト吹出モードに設定して暖房運転を実施中(S5参照)、図3に示すS10では、制御装置150は、外気温度t1の検出値を、外気導入時の暖房運転終了設定温度として予め定めた第二所定温度T2と比較する。この場合の第二所定温度T2は、上述した第一所定温度T1より高い温度とする。そして、制御装置150が、外気温度t1が第一所定温度T1より高い第二所定温度T2(t1=T2>T1)に到達したと判断した場合には、S10におけるYESに該当するとして、次のS11に進んで冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転に切り替える。
なお、t1が第二所定温度T2よりも低い(t1<T2)と判断された場合には、S10におけるNOに該当するとして、S5に戻って暖房運転を継続する。ここで、制御装置による第二所定温度T2との比較処理(S10)は、リアルタイムで実施してもよいし、所定のインターバルをおいて比較処理してもよい。
【0033】
このようなデフロスト運転を行うことにより、外気温度t1が第二所定温度T2まで温度上昇した場合であっても、上述した第1の実施形態において外気温度t1が第一所定温度T1より高い時と同様に、冷風または除湿風がデフロスト吹出口117から吹出して前面及び側面ガラス内面のミストを除去するミスト性能を維持すると共に、冷風または除湿風により車室内の快適性を維持することもできる。
【0034】
次に、本発明の第1の実施形態における第2変形例について、図1及び図4のフローチャートに基づいて説明する。本変形例においては、DEFモードにおける吹出空気を内気と外気の双方を選択できる内外気切り替えスイッチを操作パネル160に設け、乗員から当該操作パネルを介して受け付けた選択指示にしたがって、前述した実施形態の外気導入以外に内気導入を実施する。
S21の「スタート」から、乗員が操作パネル160のDEFモードスイッチ161を手動操作することにより生成される起動指示を制御装置150が受け付け、この起動指示の受付を契機に、制御装置150は、図4に示した制御シーケンスに入る。具体的には、S22の「DEFモード」に進んで空調装置101がデフロスト吹出モードに設定される。
【0035】
そして、次のS23において、制御装置150は、内気導入が選択されているか否かを判断する。この結果、制御装置150が、図示を省略した内外気切替えスイッチにより内外気切替えダンパ110が内気導入に設定されているという判断結果を得た場合には、図4に示したYESに該当すると判断し、次のS24に進む。
【0036】
S24において、制御装置150は、内気吸込み空気温度センサ113により検出された内気吸込み空気温度t2と、内気導入時の暖房運転遷移設定温度として予め定めた第三所定温度T3とを比較し、内気吸込み空気温度t2が第三所定温度T3以下(t2≦T3)であるとの結果を得た場合には、YESであると判定し、S25に進んで冷凍サイクルを暖房運転に制御する。
一方、制御装置150が、内気吸込み空気温度t2が第三所定温度T3より高い(t2>T3)という結果を得た場合には、NOであると判定し、S26に進んで冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転に制御する。ここで、第三所定温度T3は、外気吸い込み時の暖房運転遷移設定温度(前述した第1の実施形態においては第一所定温度に相当する)よりも低い温度とされる。
【0037】
また、上述したS23において、制御装置150が、外気導入が選択されて内気導入は選択されていないという判断結果を得た場合には、図4に示したNOに該当すると判断し、次のS28に進む。
S28では、制御装置150は、外気温度センサ112により検出された外気温度t1と、外気導入時の暖房運転遷移設定温度として予め設定した第一所定温度T1とを比較し、外気温度t1が第一所定温度T1以下(t1≦T1)であるとの判断結果を得た場合には、YESであると判定し、S29に進んで冷凍サイクルを暖房運転に制御する。
【0038】
一方、S28において、制御装置150が、外気温度t1が第一所定温度T1より高く(t1>T1)なるとの比較結果を得た場合には、図4に示したNOに該当すると判断し、S30に進んで冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転に制御する。
【0039】
このようにして、内気導入が選択されている運転では、内気吸込み温度t2が第三所定温度T3以下となる低温内気の場合には、温風がDEF吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出してデフロスト性能を維持すると共に、温風が車室内に吹出されるため車内の快適性を維持することもできる。そして、内気吸込み温度t2が第三所定温度より高い場合には、冷風ないし除湿風がデフロスト吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出すので、この冷風ないし除湿風によりガラス内面のミストが除去されてデミスト性能を維持できると共に、冷風ないし除湿風が車室内に吹出される。従って、比較的内気吸込み温度が高い場合に温風が吹き出されて空調フィーリングを損なうようなことはなく、冷風ないし除湿風により車内の快適性を維持することができる。
【0040】
また、外気導入が選択されている運転では、図2に示した第1の実施形態と同様に、外気温度t1が第一所定温度T1以下となる低温外気の場合には、温風がDEF吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出してデフロスト性能を維持すると共に、温風が車室内に吹出されるため車内の快適性を維持することもできる。
そして、外気温度t1が第一所定温度より高い場合には、冷風ないし除湿風がデフロスト吹出口117から車両の前面ガラス及び前部側面ガラス部に吹出すので、この冷風ないし除湿風によりガラス内面のミストが除去されてデミスト性能を維持できると共に、冷風ないし除湿風が車室内に吹出される。従って、比較的外気温度が高い場合に温風が吹き出されて空調フィーリングを損なうようなことはなく、冷風ないし除湿風により車内の快適性を維持することができる。
【0041】
最後に、上述した第1の実施形態における第3変形例について、図1及び図5のフローチャートに基づいて説明する。本変形例においては、デフロスト吹出モードにおいて暖房運転を実行している際に、さらに温度を検出して運転モード切替を行う。
詳細には、空調装置101を上述した第2変形例における内気導入のデフロスト吹出モードに設定して暖房運転を実施中(S25参照)、図5に示すS40では、制御装置150が、内気吸込み温度t2の検出値を、内気導入時の暖房運転終了設定温度として予め定めた第四所定温度T4と比較する。この場合の第四所定温度T4は、上述した第三所定温度T3より高い温度とする。そして、制御装置150が、内気吸込み温度t2が第三所定温度T3より高い第四所定温度T4(t2=T4>T3)に到達したと判断した場合には、S40におけるYESに該当するとして、次のS41に進んで冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転に切り替える。
なお、t2が第四所定温度T4よりも低い(t2<T4)と判断された場合には、図5のS40におけるNOに該当するとして、S25に戻って暖房運転を継続する。ここで、制御装置150による第四所定温度T4との比較処理(S40)は、リアルタイムで実行してもよいし、所定のインターバルをおいて比較処理してもよい。
【0042】
このようなデフロスト運転を行うことにより、内気吸込み温度t2が第四所定温度T4まで温度上昇した場合であっても、上述した第3変形例において内気吸込み温度t2が第三所定温度T3より高い時と同様に、冷風または除湿風がデフロスト吹出口117から吹出して前面及び側面ガラス内面のミストを除去するミスト性能を維持すると共に、冷風または除湿風により車室内の快適性を維持することもできる。
【0043】
<第2の実施形態>
図6に示す第2の実施形態の空調装置101Aでは、室内ユニット103内に配設した第二室内熱交換器133の空調空気流れ方向下流側に、デフロスト運転モード時に通電して発熱させる加熱手段として電気ヒータ134が配設されている。この電気ヒータ134は、スイッチ152を介して車両電源153と接続しており、スイッチ152は制御装置150の出力により制御リレー151を介してON/OFF制御される。
なお、電気ヒータ134及びこれをON/OFF制御する上記構成以外については、その構成及び制御系統は図1と同じであるから、ここでは同一部位には同一記号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
このような構成とすれば、上述した第1の実施形態及びその第1〜第3変形例で説明したように、操作パネル160のDEFモードスイッチ161により空調装置101Aをデフロスト吹出モードに設定した時、制御装置150は制御リレー151を介して室内ユニット103の第二室内熱交換器133の下流側に配設された電気ヒータ134のスイッチ152をONに制御する。
以上によって、電気ヒータ134は通電を受けて発熱するので、第二室内熱交換器133を通過した温風はこの発熱によりさらに加熱されて温度が上がり、上述した第1の実施形態及びその各変形例における暖房運転のデフロスト吹出モードと比較して、デフロスト性能及びデミスト性能がより一層向上し、車室内の快適性を維持できる効果がある。
【0045】
ところで、上述した電気ヒータ134への通電は、暖房運転を行うデフロスト吹出モードが選択された時のみとするのが好ましい。すなわち、冷房運転または除湿運転が選択されたデフロスト吹出モードの運転では、第二室内熱交換器133による加熱の必要がないことから、電気ヒータ134への通電をやめることにより、車載電源153の電力消費を低減することができる。
また、上述した加熱手段は、電気ヒータ134に限定されることはなく、たとえばPTCヒータを採用してもよい。
【0046】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば冷媒配管系統104の構成など本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0047】
【発明の効果】
上述した請求項1記載の車両用空調装置によれば、内外気切換手段が内気導入位置に設定された場合、内気吸込み空気温度が第三所定温度以下の場合には冷凍サイクルを暖房運転に設定された場合、内気吸込み空気温度が第三所定温度より高い場合には冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に設定して運転するデフロストモードを設けたので、内気吸込み空気温度が比較的高い運転条件では、冷房運転または除湿運転に設定したデフロストモードの運転が可能となる。このため、冷風または除湿風がデフロスト吹出口から吹出すデフロストモードの実施により、空調フィーリングを維持しながらガラス内面のミストを除去するデミスト性能も確保することができる。すなわち、内気吸込み温度が所定値より高い場合においても、乗員の快適性を損なうことなく、効果的な曇り止めを行うことができる。
【0050】
また、暖房運転を実施中の内気吸込み空気温度が第三所定温度より高い第四所定温度になった時、冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に切り替えることにより、暖房運転を行うデフロストモード運転中に内気吸込み空気温度が上昇して第三所定温度より高くなった場合にも、冷房運転または除湿運転に設定したデフロストモードに切り替えることができる。従って、冷風または除湿風がデフロスト吹出口から吹出すデフロストモードとなり、空調フィーリングを維持しながらガラス内面のミストを除去するデミスト性能も確保することができる。
【0051】
さらに、第二室内熱交換器の空調空気流れ方向下流側に、デフロスト運転モード時に通電して発熱させる加熱手段を配設することにより、温風の温度を上げて暖房運転時のデフロスト性能及びデミスト性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用空調装置の第1の実施形態について、主要コンポーネントの配置、配管系統及び制御系統を示す構成図である。
【図2】 図1の車両用空調装置に係わるDEFモード設定の制御を示すフローチャートである。
【図3】 図1の車両用空調装置に係わるDEFモード設定の制御の第1変形例を示すフローチャートである。
【図4】 図1の車両用空調装置に係わるDEFモード設定の制御の第2変形例を示すフローチャートである。
【図5】 図1の車両用空調装置に係わるDEFモード設定の制御の第3変形例を示すフローチャートである。
【図6】 本発明に係る車両用空調装置の第2の実施形態について、主要コンポーネントの配置、配管系統及び制御系統を示す構成図である。
【図7】 従来の車両用空調装置について、主要コンポーネントの配置、配管系統及び制御系統を示す構成図である。である。
【符号の説明】
101,101A 車両用空調装置
103 室内ユニット(HVAC)
104 冷媒配管系統(冷凍サイクル)
105 熱媒体配管系統
108 内気導入口
109 外気導入口
110 内外気切換ダンパ
111 空気ダンパ
114 フェース吹出口
116 フット吹出口
117 デフロスト吹出口
123 コンプレッサ
124 冷媒−熱媒体熱交換器
125,128 電子膨張弁
126 室外熱交換器
127 インタークーラ
129 第一室内熱交換器
131,132 電磁弁
133 第二室内熱交換器
134 電気ヒータ(加熱手段)
140 熱媒体供給手段
150 制御装置
160 操作パネル

Claims (3)

  1. 内外気切換手段を備えた内気導入口及び外気導入口と、それぞれに開閉手段を備えた複数の吹出口とを設けた室内ユニット内に、空調空気流れ方向上流側から順に、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成する第一室内熱交換器と、熱媒体供給手段の循環系に連結された第二室内熱交換器とが配設されている車両用空調装置において、
    前記内外気切換手段が内気導入位置に設定された場合、内気吸込み空気温度が第一所定温度より低い第三所定温度以下の場合には前記冷凍サイクルを暖房運転に設定し、内気吸込み空気温度が前記第三所定温度より高い場合には前記冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に設定して運転するデフロストモードを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記デフロストモードは、前記暖房運転を実施中の内気吸込み空気温度が前記第三所定温度より高い第四所定温度になった時、前記冷凍サイクルを冷房運転または除湿運転のいずれか一方に切り替えることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
  3. 前記第二室内熱交換器の空調空気流れ方向下流側に、前記デフロスト運転モード時に通電して発熱させる加熱手段を配設したことを特徴とする請求項1または2記載の車両用空調装置。
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