JP2000062452A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP2000062452A
JP2000062452A JP10239350A JP23935098A JP2000062452A JP 2000062452 A JP2000062452 A JP 2000062452A JP 10239350 A JP10239350 A JP 10239350A JP 23935098 A JP23935098 A JP 23935098A JP 2000062452 A JP2000062452 A JP 2000062452A
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heat exchanger
vehicle
compressor
vehicle interior
refrigerant
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Takayoshi Matsuoka
孝佳 松岡
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アイドル時等にエンジンを停止したまま、冷
房感を維持することができる車両用空調装置を提供する
こと。 【解決手段】 コンプレッサ31、車室外熱交換器3
2、第1の膨張手段33、第1の車室内熱交換器34で
構成されるエアコンサイクルにおいて、車室外熱交換器
32と第1の膨張手段33の間から分岐して、第2の膨
張手段35と第2の車室内熱交換器36を経由して第1
の膨張手段33と第1の車室内熱交換器34の間に接続
するバイパス路37を設け、第2の車室内熱交換器36
を第1の車室内熱交換器34の空気流れ下流に設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用空調装置、よ
り具体的には、コンプレッサの駆動により冷媒を車室外
熱交換器及び車室内熱交換器に循環させる蒸気圧縮サイ
クルを備えた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エアコンサイクル内に冷蔵手段や蓄冷手
段を備えた従来の車両用空調装置としては、例えば特開
平8−2243号公報に開示されているように、図12
に示すような構造のものがあった。
【0003】この従来技術は、コンプレッサ1、車室外
熱交換器2、リキッドタンク3、膨張弁4、車室内熱交
換器5で構成されるエアコンサイクルにおいて、膨張弁
4の冷媒流れ上流から分岐して、膨張弁6、冷温蔵庫用
蒸発器7を経由して、車室内熱交換器5とコンプレッサ
1の間に接続する冷媒流路を備え、エアコンの冷却能力
を利用して冷温蔵庫内を冷却することができるものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のエンジン車で
は、コンプレッサをエンジンで駆動することで車室内の
冷房を行っている。近年のエンジンストップ運動の高ま
りやハイブリッド車の登場により、エンジンを停止して
いる間も冷房感を維持することができるエアコンシステ
ムのニーズが高まってきている。
【0005】図12に示す従来の冷温蔵庫の場合、冷温
蔵庫の冷却能力を使って車室内を冷却することができ
ず、仮に、冷温蔵庫用蒸発器7を取り出して、エンジン
停止後に、ここに蓄えられる冷熱を利用して車室内を冷
房するようにしたとしても、室温のような比較的温度の
高い環境に曝される冷温蔵庫用蒸発器7に蓄えられる低
温の冷媒量は少なく、あまり効果が期待できないといっ
た問題点があった。しかも、冷温蔵庫用蒸発器7の熱負
荷が小さい状態で冷媒を流すと、コンプレッサ1への液
バックが激しくなり、コンプレッサ1の耐久信頼性の問
題が生じる可能性が高かった。
【0006】また、蓄熱材を用いる一般的な蓄冷システ
ムの場合、(1)応答性が悪く、蓄冷や放冷に時間がか
かる、(2)重量増加や容積増加の理由から小型車両へ
の車載が難しい、(3)エアコンの省動力のために目標
吹出温の変化に応じてエアコンサイクルの低圧圧力を制
御しようとした場合にその温度変化全域に適応できる適
当な蓄冷材がない、といった問題点もあった。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、コンプレッサがエンジンで駆動さ
れるエアコンサイクルにおいて、アイドル時等にエンジ
ンを停止したまま、冷房感を維持することができる車両
用空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、請求項1に記載の第1の発明の車両用空
調装置は、エンジンで駆動可能なコンプレッサと、前記
コンプレッサから吐出された冷媒と外気とで熱交換し、
凝縮器となる車室外熱交換器と、前記車室外熱交換器で
凝縮された冷媒を断熱膨張させる第1の膨張手段と、前
記第1の膨張手段で断熱膨張された冷媒と車室内に吹き
出す空調風とで熱交換し、蒸発器となる第1の車室内熱
交換器とを順次接続することで構成されるエアコンサイ
クルと、前記車室外熱交換器で凝縮された冷媒を断熱膨
張させる第2の膨張手段と、前記第1の車室内熱交換器
の空調風流れ下流に設けられ、前記第2の膨張手段で断
熱膨張された冷媒と前記第1の車室内熱交換器で冷却さ
れた後の空調風とで熱交換する第2の車室内熱交換器
と、前記車室外熱交換器出口から前記第1の膨張手段入
口の間から分岐し、前記第2の膨張手段および前記第2
の車室内熱交換器を経由して、前記第1の膨張弁出口と
前記第1の車室内熱交換器入口の間に接続するバイパス
路とを備える。
【0009】また、請求項2に記載の第2の発明の車両
用空調装置は、第1の発明による車両用空調装置におい
て、前記第1の膨張手段と前記第2の膨張手段に電動弁
を使用し、少なくとも、前記第1の膨張手段と前記第2
の膨張手段がともに全閉となるAモードと、前記第1の
膨張手段と前記第2の膨張手段がともに通常制御となる
Bモードとを備え、車両が減速時にはBモードに設定し
て前記コンプレッサを運転し、減速後のアイドル開始直
後にAモードに設定して前記コンプレッサを停止する。
【0010】また、請求項3に記載の第3の発明の車両
用空調装置は、第1の発明による車両用空調装置におい
て、前記第1の膨張手段と前記第2の膨張手段に温度式
膨張弁を使用し、前記第1の膨張弁の感温筒を前記第1
の車室内熱交換器の冷媒出口から前記コンプレッサの冷
媒吸入間に設置するとともに、前記第2の膨張弁の感温
筒を前記第2の車室内熱交換器の冷媒出口と前記第1の
車室内熱交換器の冷媒入口の間に設置する。
【0011】また、請求項4に記載の第4の発明の車両
用空調装置は、少なくとも、エンジンで駆動可能なコン
プレッサと、前記コンプレッサから吐出された冷媒と外
気とで熱交換し、凝縮器となる車室外熱交換器と、前記
車室外熱交換器で凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張
手段と、前記膨張手段で断熱膨張された冷媒と車室内に
吹き出す空調風とで熱交換し、蒸発器となる車室内熱交
換器と、を順次接続して構成されるエアコンサイクルを
備える車両用空調装置において、車両が減速時に前記コ
ンプレッサを強制的に運転し、減速後の車両停止直後に
前記膨張手段を全閉にして前記コンプレッサを停止す
る。
【0012】また、請求項5に記載の第5の発明の車両
用空調装置は、第4の発明による車両用空調装置におい
て、前記膨張手段として、前記コンプレッサ停止後しば
らくの間全閉となる特性を備えた温度式膨張弁を使用す
る。
【0013】以下、本発明の作用を説明する。第1の発
明では、コンプレッサ、車室外熱交換器、第1の膨張手
段、第1の車室内熱交換器で構成されるエアコンサイク
ルにおいて、車室外熱交換器と第1の膨張手段の間から
分岐して、第2の膨張手段と第2の車室内熱交換器を経
由して第1の膨張手段と第1の車室内熱交換器の間に接
続するバイパス路を設け、第2の車室内熱交換器を第1
の車室内熱交換器の空気流れ下流に設置する。
【0014】これによって、第1の車室内熱交換器だけ
で冷房能力が不足する場合には第2の車室内熱交換器で
補われ、第1の車室内熱交換器の冷房能力が十分な場合
には第2の車室内熱交換器への蓄冷媒が促進される。ま
た、特にコンプレッサを回すためだけにエンジンを運転
するアイドル時には、短時間のコンプレッサ運転で、必
要冷房能力の確保と第2の車室内熱交換器への蓄冷媒を
行うことが可能になるので、結果的に、エンジン運転時
間を短くすることが可能になる。
【0015】また、第2の発明では、減速時には、第1
の膨張手段と第2の膨張手段の両方を開いて第2の車室
内熱交換器への蓄冷媒を行い、アイドル時には、第1の
膨張手段と第2の膨張手段の両方を閉じて、第1の車室
内熱交換器と第2の車室内熱交換器に低温低圧の冷媒を
密閉する。これによって、アイドル時、この密閉された
蓄冷媒の冷熱だけで冷房感を維持することが可能にな
り、コンプレッサやエンジンの運転時間を短くすること
ができる。
【0016】また、第3の発明では、第1の膨張手段と
第2の膨張手段に、温度式膨張弁を用いる。これによっ
て、コンプレッサ運転時は、第1の車室内熱交換器だけ
で冷房能力が足りない場合には第2の車室内熱交換器で
補われ、第1の車室内熱交換器の冷房能力が十分な場合
には第2の車室内熱交換器への蓄冷媒が促進され、コン
プレッサ停止後はしばらくの間、自動的に閉状態となっ
て、第1の車室内熱交換器と第2の車室内熱交換器に低
温低圧冷媒を密閉できる。これによって、アイドル時、
この密閉された蓄冷媒の冷熱だけで冷房感を維持するこ
とが可能になり、コンプレッサやエンジンの運転時間を
短くすることができる。このように、安価で簡単な構成
で効果を得ることができる。
【0017】また、第4の発明では、少なくとも、コン
プレッサ、車室外熱交換器、膨張手段、車室内熱交換器
で構成されるエアコンサイクルにおいて、減速時には、
強制的にコンプレッサを運転して車室内熱交換器への蓄
冷媒を行い、アイドル時には、膨張手段を閉じてコンプ
レッサを停止することで車室内熱交換器に低温低圧の冷
媒を密閉する。これによって、アイドル時に、この密閉
された蓄冷媒の冷熱だけで冷房感を維持することが可能
になり、コンプレッサやエンジンの運転時間を短くする
ことができる。
【0018】また、第5の発明では、前記膨張手段とし
て、コンプレッサ停止後しばらくの間全閉となる特性を
備えた温度式膨張弁を使用する。これによって、コンプ
レッサ運転時は車室内熱交換器への冷媒流入が促進さ
れ、コンプレッサ停止後はしばらくの間、自動的に閉状
態となって車室内熱交換器に低温低圧冷媒を密閉でき
る。これによって、アイドル時に、この密閉された蓄冷
媒の冷熱だけで冷房感を維持することが可能になり、コ
ンプレッサやエンジンの運転時間を短くすることができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明による車両用空調装
置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による車両用空調装置の一実施の形態を
示す概略構成図である。
【0020】まず、構成を説明する。図1において、コ
ンプレッサ31は、エンジンルームに設けられ、コンプ
レッサクラッチがONならばエンジン201で駆動さ
れ、OFFならばエンジンと切り離されて停止する。車
室外熱交換器32は車室外に設けられ、コンプレッサ3
1から吐出される冷媒の熱を外気に放熱する車室外コン
デンサになっている。
【0021】第1の車室内熱交換器34と第2の車室内
熱交換器36は、ダクト39内に配置される。第1の車
室内熱交換器34の一端はコンプレッサ31の冷媒吸入
に、他端は膨張手段としての第1の膨張弁33に接続
し、コンプレッサ31が運転しているときには、常に吸
熱器となってブロワファン37によって送風された空気
を冷却する。第2の車室内熱交換器36は第1の車室内
熱交換器34の空気流れ下流に置かれ、第1の車室内熱
交換器34で冷却された後の空調風と内部を流れる冷媒
とが熱交換を行う。
【0022】バイパス路37は、車室外熱交換器32と
第1の膨張弁33の間から分岐し、第2の膨張弁35と
第2の車室内熱交換器36を経由して、第1の膨張弁3
3と第1の車室内熱交換器34の間に接続する。そのた
め、車室外熱交換器32で凝縮された後、第2の膨張弁
35で断熱膨張された低温低圧の冷媒が、第2の車室内
熱交換器36に流入する。
【0023】また、ダクト39には、第2の車室内熱交
換器36の下流にヒータコア202が設けられ、エンジ
ン冷却水が流入する。203は、エンジン冷却水配管で
ある。
【0024】ダクト39の第1の車室内熱交換器34よ
りも上流側には、車室内空気を導入する内気導入口40
と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入口41と
が設けられている。この内気導入口40と外気導入口4
1とが分岐する部分には、内気導入口40と外気導入口
41とを任意の比率で開閉するインテークドア42が設
けられている。インテークドア42の開度たるインテー
クドア開度Xintは、外気導入量が零でフル内気とな
る位置をXint=0%と設定し、フル外気導入となる
位置をXint=100%と設定する。内気導入口40
と外気導入口41との空気導入側(空気流の下流側)と
第1の車室内熱交換器34との間には、ブロワファン3
8が配置され、制御装置43で駆動されるブロワファン
モータ44で回転駆動されるようになっている。
【0025】第2の車室内熱交換器36の下流側には、
エアミックスドア46が設けられている。このエアミッ
クスドア46は、制御装置43で駆動される図外のエア
ミックスドアアクチュエータにより、下流のヒータコア
202を通過する空気と通過しない空気の割合を調節す
るように開閉する。エアミックスドア46は、ヒータコ
ア通過風量を可変することができ、ヒータ風量可変手段
となっている。エアミックスドア46の開度たるエアミ
ックスドア開度Xmixは、エアミックスドア46が一
点鎖線示の位置となってヒータコア202を通過する空
気が零となるときをXmix=0%(全閉、Full
COOL)と設定し、エアミックスドア46が二点鎖線
示の位置となってすべての空気がヒータコア202を通
過するときをXmix=100%(全開、Full H
OT)と設定する。
【0026】ダクト39のヒータコア202よりも下流
側には、上記冷風と温風との混合を良くすることによ
り、温度調節された空調風を作る部屋としてのエアミッ
クスチャンバ47が設けられている。エアミックスチャ
ンバ47には、図外の対象乗員の上半身に向けて空調風
を吹き出すベンチレータ吹出口51と、対象乗員の足元
に向けて空調風を吹き出すフット吹出口53と、図外の
フロントウィンドガラスに向けて空調風を吹き出すデフ
ロスタ吹出口52とが設けられている。エアミックスチ
ャンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア
57とデフロスタドア56とが設けられている。ベンチ
レータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベ
ンチレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹
出口51を開閉する。フットドア57は、制御装置43
で駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、
フット吹出口53を開閉する。デフロスタドア56は、
制御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチ
ュエータにより、デフロスタ吹出口52を開閉する。デ
フロスタドア56は、デフロスタ吹出風量を可変するこ
とができ、デフロスタ風量可変手段となっている。デフ
ロスタドア56の開度たるデフロスタドア開度Xdef
は、デフロスタ吹出口52が全閉となる位置をXdef
=0%と設定し、デフロスタ吹出口52が全開となる位
置をXdef=100%と設定する。
【0027】制御装置43は、第2の車室内熱交換器吹
出温センサ58と第2の車室内熱交換器出口冷媒温セン
サ59と日射量センサ61と外気温センサ62と室温セ
ンサ63と室温設定器64と吹出口モードスイッチ65
とブロワファンスイッチ66とエンジン冷却水温センサ
204などの熱環境情報入力手段から得られる第2の車
室内熱交換器36の吹出空気温度Toutと、第2の車
室内熱交換器36の出口冷媒温度Teoと、車両の日射
量Qsunと、車室外の外気温度Tambと、車室内の
検出温度(車室内温度)Ticと、車室内の設定温度T
ptcと、水温Twなどの熱環境情報により、エアミッ
クスドア開度Xmixとインテークドア開度Xintと
デフロスタドア開度Xdefと風量Vevaと目標吹出
温度Tofなどの目標冷暖房条件を演算し、車室内の冷
暖房条件が上記演算された目標冷暖房条件を維持するよ
うに、ブロワファンモータ44とインテークドアアクチ
ュエータとエアミックスドアアクチュエータとベンチレ
ータドアアクチュエータとフットドアアクチュエータと
デフロスタドアアクチュエータなどを駆動する。また、
制御装置43は、コンプレッサクラッチをON/OFF
したり、エンジン回転数やタイヤの回転数から車両がど
のような走行状態にあるかを検出する。第2の車室内熱
交換器作動温度センサ58は、第2の車室内熱交換器3
6の作動温度検出手段の役割も果たしている。
【0028】なお、実際の車両では、車室外熱交換器3
2の後にラジエータが設けられ、ここにもエンジン冷却
水が流れて外気に放熱するようになっているが、図1に
は図示されていない。
【0029】図2〜図5は、本実施の形態の制御フロー
で、第1の膨張弁33および第2の膨張弁35に電動膨
張弁を用いた場合の制御フローを示している。ステップ
S101で、エアコン運転を開始すると、ステップS1
02では、センサ値およびアクチュエータ出力を検出す
る。ここで、Tptcは設定温度、Twは水温、Tou
tは第2の車室内熱交換器36の吹出空気温度、Teo
は第2の車室内熱交換器の出口冷媒温度、Tambは外
気温、Ticは室温、Qsunは日射量、Vfanはブ
ロワファン電圧、Xdefはデフロスタドア開度、Xi
ntはインテークドア開度、Xmixはエアミックスド
ア開度である。
【0030】ステップS103では、ステップS102
で検出したセンサ値やアクチュエータ出力を用いて、目
標吹出温度Tofを演算する。
【0031】ステップS104では、車両が減速あるい
はアイドル状態にあるか否かを判断し、減速あるいはア
イドル状態にあればステップS112に進み、加速時ま
たは定速度走行時はステップS105に進む。
【0032】ステップS105では、コンプレッサ制御
温度To.compを演算する。ここでは、車室内に吹
き出すまでにダクト等で暖められることを考慮して、ス
テップS103で演算した目標吹出温度Tofからα1
小さい温度に設定する。
【0033】ステップS106では、ステップS105
で設定したコンプレッサ制御温度To.compを基準
にして、コンプレッサ31のON/OFFを判断した
後、ステップS107に進む。
【0034】ステップS107では、コンプレッサON
ならばステップS108に進み、コンプレッサOFFな
らばステップS110に進む。
【0035】ステップS108では、通常のコンプレッ
サ制御を行う。コンプレッサ31に可変容量タイプのコ
ンプレッサを用いる場合、ここで制御定数を算出する。
【0036】ステップS109では、第2の膨張弁35
を全閉にし、第1の膨張弁33は通常の制御を行う。例
えば、コンプレッサ31の吸入冷媒の過熱度を検出し
て、検出した過熱度が適正値に入るように電動弁開度を
制御する。冷房能力が足りない場合は第2の膨張弁35
を通常の制御としてもよいが、加速時や定速度走行時に
は、第1の車室内熱交換器34の冷却能力だけで十分冷
房性能を満足することができるので、第2の膨張弁35
を全閉に設定しても問題ない。また、コンプレッサ31
への液バック防止の点から見ても、第1の車室内熱交換
器で十分冷房能力が満足できるならば、第2の膨張弁3
5を全閉にして第2の車室内熱交換器36を使用しない
方が望ましい。
【0037】ステップS110では、コンプレッサ31
のマグネットクラッチをOFFする。
【0038】ステップS111では、第1の膨張弁33
と第2の膨張弁35の両方を全閉にする。これによって
第1の車室内熱交換器34と第2の車室内熱交換器36
内に低温低圧冷媒が閉じ込められるので、このとき蓄え
られた冷媒の冷熱を用いてコンプレッサOFF後もしば
らくの間冷房感を維持することができる。
【0039】ステップS112では、車両が減速状態か
否かを判断し、車両が減速状態にあればステップS11
3に進み、アイドル状態にある場合にはステップS11
5に進む。
【0040】ステップS113では、コンプレッサクラ
ッチがOFF状態にあるか否かを判断し、コンプレッサ
クラッチがOFFでコンプレッサ31が停止している場
合にはステップS114に進んで、強制的にコンプレッ
サクラッチをONしてコンプレッサ停止を解除する。
【0041】ステップS119では、通常のコンプレッ
サ制御を行い、ステップS120では、第1の膨張弁3
3と第2の膨張弁35ともに通常制御を行う。
【0042】減速時にステップS113,S114,S
119,S120を行うことで、これまでブレーキで消
耗されていた減速エネルギを使ってコンプレッサ31を
運転し、第2の膨張弁35を開くことで第2の車室内熱
交換器36内に流入する冷媒量を増加させ、減速後のア
イドル停止になるまでに、第2の車室内熱交換器36内
に必要なだけの低温低圧冷媒を蓄えることができる。
【0043】ステップS115では、アイドルに入った
直後か否かを判断し、アイドルに入った直後の場合には
ステップS121に進む。ステップS121で、コンプ
レッサクラッチをOFFしてコンプレッサ31を停止
し、ステップS122で第1の膨張弁33と第2の膨張
弁35の両方を全閉にする。これによって、減速時に第
1の車室内熱交換器34や第2の車室内熱交換器36に
蓄えられた低温低圧冷媒が密閉され、この冷媒の冷熱を
使えば、コンプレッサ31を停止した状態で冷たい空調
風を吹き出すことが可能になる。
【0044】ステップS115で、アイドルに入った直
後ではないと判断された場合には、ステップS116に
進み、コンプレッサ制御温度To.compを演算す
る。通常の車では、アイドル時にエンジン回転数が下が
るために冷房能力が低下する。ここでは、目標吹出温T
ofとアイドル時の冷房能力を考慮してコンプレッサ制
御温度を設定する。
【0045】ステップS117,S118では、ステッ
プS116で設定したコンプレッサ制御温度To.co
mpを基準にしてコンプレッサ31のON/OFFを判
断した後、コンプレッサONならばステップS119に
進み、コンプレッサOFFならばステップS121に進
む。
【0046】アイドル時にコンプレッサ31を運転する
場合には、ステップS120で第1の膨張弁33と第2
の膨張弁35の両方を開き、第1の車室内熱交換器34
と第2の車室内熱交換器36の両方を使って冷房運転す
るので、再び、ステップS117でコンプレッサOFF
となるまでの時間を短くすることができるだけでなく、
より燃費率のいい作動点でエンジンを運転することにな
るので、燃料消費量も少なくなる。
【0047】アイドル時は、コンプレッサ31を運転す
るためだけにエンジン201を運転するが、上記に示し
た制御によってコンプレッサ31の停止時間が長くなれ
ば、それに連動してエンジン201の運転時間を短くす
ることができ、燃料消費量が少なくなる。
【0048】図6は、第1の膨張弁33と第2の膨張弁
35に温度式膨張弁を用いる場合の実施の形態である。
この場合、第1の膨張弁33の感温筒71は第1の車室
内熱交換器34の冷媒出口に取り付け、第2の膨張弁3
5の感温筒72は第2の車室内熱交換器36の冷媒出口
に取り付ける。
【0049】温度式膨張弁を用いる場合、車両の走行状
態に応じたきめ細かな制御はできないが、コンプレッサ
停止後しばらくの間、全閉になるという特性を備えた上
で、第1の膨張弁33はコンプレッサ31の吸入冷媒の
状態が適正になるように流量制御し、第2の膨張弁35
は次のような流量制御を行う。第1の車室内熱交換器3
4だけでは冷房能力が足りなく、第2の車室内熱交換器
36も蒸発器として作用する必要がある場合、感温筒7
2で検出する温度が高くなるので、第2の膨張弁35は
第2の車室内熱交換器36に冷媒を流す方向に作用し、
逆に、第1の車室内熱交換器34だけで十分冷房能力を
満足できる場合には、感温筒72で検出される温度が低
下するので、第2の膨張弁35は閉じる方向に作用す
る。
【0050】このように、図6に示すような構成によっ
ても、走行時に第2の車室内熱交換器36に低温低圧の
冷媒を蓄え、アイドル時にその冷熱を使ってエンジン2
01やコンプレッサ31を停止したまま冷房感を維持す
ることができる。
【0051】図7〜図9は、別の実施の形態のサイクル
構成を示している。図7は、コンプレッサ31、車室外
熱交換器32、膨張弁80、第1の車室内熱交換器34
で構成されるエアコンサイクルである。図8は、図7に
示すエアコンサイクルにおいて、膨張弁80の冷媒流れ
下流に第2の車室内熱交換器36と第1の車室内熱交換
器34が直列に配置された場合のエアコンサイクルであ
る。図9は、図7に示すエアコンサイクルにおいて、膨
張弁80の冷媒流れ下流に第1の車室内熱交換器34と
第2の車室内熱交換器36が並列に配置された場合のエ
アコンサイクルである。
【0052】図8と図9に示す第2の車室内熱交換器3
6は、図1に示す車両用空調装置と同じく、第1の車室
内熱交換器34の空気流れ下流に置かれ、第1の車室内
熱交換器34で冷却された後の空調風と内部を流れる冷
媒とが熱交換を行う。
【0053】図7〜図9に示すエアコンサイクルに対し
て図2と図3と図10と図11で示される制御を行うこ
とで、図1に示すエアコンサイクルに対して図2〜図5
の制御を行った場合と同様の効果を得ることができる。
ここでは、説明の重複を避けるために、図4と図10、
及び、図5と図11の相違点のみ説明する。
【0054】図4と図10の相違は2つあり、一つは、
図4のステップS120で第1の膨張弁33と第2の膨
張弁35の両方で通常制御を行うとしているが、図10
では、ステップS220で膨張弁80のみ通常制御を行
うとしていることである。また、もう一つは、図4のス
テップS122で第1の膨張弁33と第2の膨張弁35
の両方を全閉にするとしているが、図10では、ステッ
プS222で膨張弁80のみ全閉にするとしていること
である。
【0055】図5と図11の相違は2つあり、一つは、
図5のステップS109で第1の膨張弁33を通常制御
して第2の膨張弁35を全閉にするとしているが、図1
1では、ステップS209で膨張弁80のみ通常制御を
行うとしていることである。また、もう一つは、図5の
ステップS111で第1の膨張弁33と第2の膨張弁3
5の両方を全閉にするとしているが、図11では、ステ
ップS211で膨張弁80のみ全閉にするとしているこ
とである。
【0056】また、図2と図3と図10と図11で示し
た制御では、膨張弁80に電動弁を用いた場合を例にし
て説明を行っているが、今までの説明から膨張弁80に
温度式膨張弁を用いた場合にも同様の効果が得られるこ
とは言うまでもない。
【0057】本実施の形態では、エンジン車の場合を例
にして説明したが、エンジンとモータを併用したハイブ
リッド車に適用しても同様の効果を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】近年のハイブリッド車のように、アイド
ル時にエンジンを停止することで数十%以上の燃費向上
が見込まれる。実際、エアコン運転時のアイドルでは、
コンプレッサを回すためにだけエンジンが運転され、こ
の部分を少なくできればエアコン時の燃費向上が期待で
きる。
【0059】本発明の車両用空調装置によれば、第1の
車室内熱交換器だけで冷房能力が不足する場合には第2
の車室内熱交換器で冷房能力が補われ、第1の車室内熱
交換器の冷房能力が十分になれば第2の車室内熱交換器
への蓄冷媒が促進される。また、特にコンプレッサを回
すためだけにエンジンを運転するアイドル時には、短時
間のコンプレッサ運転で、必要冷房能力の確保と第2の
車室内熱交換器への蓄冷媒を行うことが可能になる。こ
のように、第2の車室内熱交換器に低温低圧冷媒を蓄え
ることによって、エンジンやコンプレッサを止めた状態
でもより長い間冷房感を維持できるようになり、結果的
に、エンジンやコンプレッサの運転時間を短くすること
が可能になり、エアコン運転時の燃費を向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用空調装置の一実施の形態の
概略構成図である。
【図2】電動弁を用いる場合の制御フローである。
【図3】電動弁を用いる場合の制御フローである。
【図4】電動弁を用いる場合の制御フローである。
【図5】電動弁を用いる場合の制御フローである。
【図6】温度式膨張弁を用いる場合の概略構成図であ
る。
【図7】本発明による車両用空調装置の他の実施の形態
の概略構成図である。
【図8】本発明による車両用空調装置の他の実施の形態
の概略構成図である。
【図9】本発明による車両用空調装置の他の実施の形態
の概略構成図である。
【図10】本発明による車両用空調装置の他の実施の形
態の制御フローである。
【図11】本発明による車両用空調装置の他の実施の形
態の制御フローである。
【図12】従来技術による車両用空調装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
31 コンプレッサ 32 車室外熱交換器 33 第1の膨張弁 34 第1の車室内熱交換器 35 第2の膨張弁 36 第2の車室内熱交換器 37 バイパス路 38 ブロアファン 39 ダクト 40 内気導入口 41 外気導入口 42 インテークドア 43 制御装置 46 エアミックスドア 47 エアミックスチャンバ 51 ベンチレータ吹出口 52 デフロスタ吹出口 53 フット吹出口 55 ベンチレータドア 56 デフロスタドア 57 フットドア 58 第2の車室内熱交換器吹出温センサ 59 第2の車室内熱交換器出口冷媒温センサ 61 日射量センサ 62 外気温センサ 63 室温センサ 64 室温設定器 65 吹出口モードスイッチ 66 ブロワファンスイッチ 71,72 感温筒 80 膨張弁 201 エンジン 202 ヒータコア 203 エンジン冷却水配管 204 エンジン冷却水温センサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンで駆動可能なコンプレッサと、 前記コンプレッサから吐出された冷媒と外気とで熱交換
    し、凝縮器となる車室外熱交換器と、 前記車室外熱交換器で凝縮された冷媒を断熱膨張させる
    第1の膨張手段と、 前記第1の膨張手段で断熱膨張された冷媒と車室内に吹
    き出す空調風とで熱交換し、蒸発器となる第1の車室内
    熱交換器と、 を順次接続することで構成されるエアコンサイクルと、 前記車室外熱交換器で凝縮された冷媒を断熱膨張させる
    第2の膨張手段と、 前記第1の車室内熱交換器の空調風流れ下流に設けら
    れ、前記第2の膨張手段で断熱膨張された冷媒と前記第
    1の車室内熱交換器で冷却された後の空調風とで熱交換
    する第2の車室内熱交換器と、 前記車室外熱交換器出口から前記第1の膨張手段入口の
    間から分岐し、前記第2の膨張手段および前記第2の車
    室内熱交換器を経由して、前記第1の膨張弁出口と前記
    第1の車室内熱交換器入口の間に接続するバイパス路
    と、 を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両用空調装置におい
    て、 前記第1の膨張手段と前記第2の膨張手段に電動弁を使
    用し、 少なくとも、前記第1の膨張手段と前記第2の膨張手段
    がともに全閉となるAモードと、前記第1の膨張手段と
    前記第2の膨張手段がともに通常制御となるBモードと
    を備え、 車両が減速時にはBモードに設定して前記コンプレッサ
    を運転し、減速後のアイドル開始直後にAモードに設定
    して前記コンプレッサを停止することを特徴とする車両
    用空調装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の車両用空調装置におい
    て、 前記第1の膨張手段と前記第2の膨張手段に温度式膨張
    弁を使用し、 前記第1の膨張弁の感温筒を前記第1の車室内熱交換器
    の冷媒出口から前記コンプレッサの冷媒吸入間に設置す
    るとともに、前記第2の膨張弁の感温筒を前記第2の車
    室内熱交換器の冷媒出口と前記第1の車室内熱交換器の
    冷媒入口の間に設置することを特徴とする車両用空調装
    置。
  4. 【請求項4】 少なくとも、エンジンで駆動可能なコン
    プレッサと、 前記コンプレッサから吐出された冷媒と外気とで熱交換
    し、凝縮器となる車室外熱交換器と、 前記車室外熱交換器で凝縮された冷媒を断熱膨張させる
    膨張手段と、 前記膨張手段で断熱膨張された冷媒と車室内に吹き出す
    空調風とで熱交換し、蒸発器となる車室内熱交換器と、 を順次接続して構成されるエアコンサイクルを備える車
    両用空調装置において、 車両が減速時に前記コンプレッサを強制的に運転し、減
    速後の車両停止直後に前記膨張手段を全閉にして前記コ
    ンプレッサを停止することを特徴とする車両用空調装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の車両用空調装置におい
    て、 前記膨張手段として、前記コンプレッサ停止後しばらく
    の間全閉となる特性を備えた温度式膨張弁を使用するこ
    とを特徴とする車両用空調装置。
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