JP3858352B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空調装置、より具体的には、コンプレッサの駆動により冷媒を車室外熱交換器及び車室内熱交換器に循環させる蒸気圧縮サイクルを備えた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用空調装置としては、電気自動車のように暖房用熱源がない車両やエンジン冷却水の熱量が不足してヒータ性能が足りない車両に適用して、蒸気圧縮サイクルによる暖房運転を行なうようにしたものが、例えば、特願平8−76551号公報に開示されている。
【0003】
図10に、この従来技術の蒸気圧縮サイクルの構成を示す。蒸気圧縮サイクルは、コンプレッサ、四方弁、車室外熱交換器、膨張弁、絞り手段、第1の車室内熱交換器、第2の車室内熱交換器で構成され、暖房運転時は、コンプレッサ→四方弁→第2の車室内熱交換器→膨張弁→第1の車室内熱交換器→コンプレッサの順に冷媒が流れる。
暖房運転時は車室外熱交換器に冷媒を流さないので、外気温の影響を受けることなくコンプレッサを運転することができ、車室内空調風は、第1の車室内熱交換器で冷却され、第2の車室内熱交換器で加熱され、低湿度で温度の高い空気となって車室内に吹き出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
第1の車室内熱交換器の熱負荷が低い状態で暖房運転を行なうと、コンプレッサの吸入冷媒の圧力や温度が低下し、コンプレッサの負圧運転による耐久性低下や第1の車室内熱交換器の凍結といった問題が生じる。特に、暖房運転時は、長い時間コンプレッサを停止すると、その間にガラスの曇りが発生してしまうために、短時間で上記の問題を回避して蒸気圧縮サイクルが連続的な運転を行なえるようにしなければならない。
【0005】
これに対して、考案者は、特願平8−76551号公報開示の車両用空調装置において、暖房運転時に第1の車室内熱交換器の作動状態(温度や圧力)が低下したときの保護手段として、第1の車室内熱交換器の作動状態が第1の設定状態よりも低下した場合には、コンプレッサ停止と同時に四方弁を暖房側から冷房側に切り替え、その後、第1の車室内熱交換器の作動状態が第2の設定状態まで高くなったときに、再度コンプレッサを運転し、同時に四方弁を暖房側に戻すという方法を考案した。コンプレッサ停止と同時に四方弁を暖房側から冷房側に切り替えることで、第2の車室内熱交換器内の温度や圧力の高い冷媒が四方弁を経由してコンプレッサの冷媒吸入側や第1の車室内熱交換器に移動する。これによって、第1の車室内熱交換器の温度や圧力が短時間で高まり、コンプレッサを短時間で再起動させることが可能になる。また、コンプレッサの吸入圧力と吐出圧力の圧力差も同時に減少するので、コンプレッサ再起動時の起動トルクが低下するという効果も得られる。本方法は冷房運転時においても暖房運転時と同様の効果が得られる。
【0006】
ところが、考案者の実験によると、ある条件で本保護手段を実施した場合に、圧力の異常上昇が検出され、サイクル保護のための圧力スイッチが作動して蒸気圧縮サイクルが停止になってしまうことがあることが判明した。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、圧力異常による蒸気圧縮サイクルの停止を回避することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する第1の車室内熱交換器と第2の車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の車室内熱交換器が蒸発器、第2の車室内熱交換器が凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の車室内熱交換器が蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、第1の車室内熱交換器とコンプレッサの間から分岐し、冷媒流路切換手段に接続するバイパス路とから成る蒸気圧縮サイクルに適用される
【0009】
して、コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、コンプレッサの吐出冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出手段と、コンプレッサの吸入冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出手段と、コンプレッサの停止が検出されたときに、吐出圧力、または、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、流路設定変更手段によって冷媒流路切換手段の設定を変更する手段とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する第1の車室内熱交換器と第2の車室内熱交換器と、暖房運転時には、第1の車室内熱交換器が蒸発器、第2の車室内熱交換器が凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の車室内熱交換器が蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、第1の車室内熱交換器とコンプレッサの間から分岐し、冷媒流路切換手段に接続するバイパス路とから成る蒸気圧縮サイクルに適用される。そして、コンプレッサの停止を検出したときに、冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、バイパス路、あるいは、冷媒流路切換手段と車室外熱交換器の間および冷媒流路切換手段と第2の車室内熱交換器の間に設けられて、流路設定変更手段によって引き起こされる冷媒の移動に対して抵抗となる冷媒流れ抵抗手段とを備える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、第1の冷媒パスとコンプレッサの間から分岐し、冷媒流路切換手段に接続するバイパス路とから成る蒸気圧縮サイクルに適用される。そして、コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、運転モードに応じて待ち時間を設定する待ち時間設定手段と、コンプレッサの停止が検出されたときに、待ち時間設定手段によって設定された待ち時間が経過した後に、流路設定変更手段によって冷媒流路切換手段の設定を変更する手段とを備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、第1の冷媒パスとコンプレッサの間から分岐し、冷媒流路切換手段に接続するバイパス路とから成る蒸気圧縮サイクルに適用される。そして、コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、コンプレッサの吐出冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出手段と、コンプレッサの吸入冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出手段と、コンプレッサの停止が検出されたときに、吐出圧力、または、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、流路設定変更手段によって冷媒流路切換手段の設定を変更する手段とを備える。
【0013】
請求項5に記載の発明は、エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、第1の冷媒パスとコンプレッサの間から分岐し、冷媒流路切換手段に接続するバイパス路とから成る蒸気圧縮サイクルに適用される。そして、コンプレッサの停止を検出したときに、冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、バイパス路、あるいは、冷媒流路切換手段と車室外熱交換器の間および冷媒流路切換手段と第2の冷媒パスの間に設けられて、流路設定変更手段によって引き起こされる冷媒の移動に対して抵抗となる冷媒流れ抵抗手段とを備える。
【0014】
以下、本発明の作用を説明する。
第1の発明では、コンプレッサ停止時に、運転モードに応じて設定された待ち時間が経過した後に、冷媒流路切換手段が冷房側から暖房側、あるいは、暖房側から冷房側に切り換えられる。
この結果、コンプレッサ停止後、冷媒流路切換手段の設定を変更するまでにコンプレッサの吐出圧力と吸入圧力の圧力差を小さくすることが可能になる。
【0015】
第2の発明では、コンプレッサ停止時に、吐出圧力、あるいは、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、冷媒流路切換手段が冷房側から暖房側、あるいは、暖房側から冷房側に切り換えられる。
この結果、コンプレッサ停止後、確実に圧力が低下した状態で冷媒流路切換手段の設定を変更することが可能になる。
【0016】
第3の発明では、バイパス路、あるいは、冷媒流路切換手段と車室外熱交換器の間および冷媒流路切換手段と第2の車室内熱交換器の間に冷媒流れ抵抗手段が設けられる。冷媒流れ抵抗手段は方向性を備え、コンプレッサ停止後に冷媒流路切換手段の設定変更が行なわれたときに引き起こされる冷媒移動のみに作用するので、冷媒流れ抵抗手段を通過するときに冷媒流路切換手段の設定変更時の移動冷媒量を減少させることが可能になる。
【0017】
第4の発明では、第1の発明と同様に、コンプレッサ停止時に、運転モードに応じて設定された待ち時間が経過した後に、冷媒流路切換手段が冷房側から暖房側、あるいは、暖房側から冷房側に切り換えられる。
この結果、コンプレッサ停止後、冷媒流路切換手段の設定を変更するまでにコンプレッサの吐出圧力と吸入圧力の圧力差を小さくすることが可能になる。
【0018】
第5の発明では、第2の発明と同様に、コンプレッサ停止時に、吐出圧力、あるいは、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、冷媒流路切換手段が冷房側から暖房側、あるいは、暖房側から冷房側に切り換えられる。
この結果、コンプレッサ停止後、確実に圧力が低下した状態で冷媒流路切換手段の設定を変更することが可能になる。
【0019】
第6の発明では、第3の発明と同様に、バイパス路、あるいは、冷媒流路切換手段と車室外熱交換器の間および冷媒流路切換手段と第2の冷媒パスの間に冷媒流れ抵抗手段が設けられる。冷媒流れ抵抗手段は方向性を備え、コンプレッサ停止後に冷媒流路切換手段の設定変更が行なわれたときに引き起こされる冷媒移動のみに作用するので、冷媒流れ抵抗手段を通過するときに冷媒流路切換手段の設定変更時の移動冷媒量を減少させることが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による車両用空調装置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による車両用空調装置の一実施の形態の構成を示す図である。図1において、コンプレッサ31は、エンジンルームに設けられ、コンプレッサクラッチがONならばエンジン201で駆動され、OFFならばエンジン201と切り離されて停止する。冷媒流路切換手段としての四方弁73にはコンプレッサ31の吐出側と車室外熱交換器38と第2の車室内熱交換器33とバイパス路101が接続され、暖房設定時には、実線示のような流路切り換え状態となり、コンプレッサ31の吐出側と第2の車室内熱交換器33および車室外熱交換器38とバイパス路101がそれぞれ連通する一方、冷房設定時には、点線示のような流路切り換え状態となり、コンプレッサ31の吐出側と車室外熱交換器38および第2の車室内熱交換器33とバイパス路101がそれぞれ連通する。車室外熱交換器38は車室外に設けられ、コンプレッサ31から吐出される冷媒の熱を外気に放熱する車室外コンデンサになっている。第1の車室内熱交換器35と第2の車室内熱交換器33は、ダクト39内に配置される。第1の車室内熱交換器35の一端はコンプレッサ31の冷媒吸入に、他端は第1の膨張手段としての膨張弁34に接続し、コンプレッサ31が運転しているときには常に吸熱器となってブロワファン37によって送風された空気を冷却する。第2の車室内熱交換器33の一端は四方弁73に接続し、他端はバイパス路100に接続し、バイパス路100は第2の膨張手段としての絞り80を介して第1の車室内熱交換器35と膨張弁34の間に接続する。バイパス路101は、第1の車室内熱交換器35の一端とコンプレッサ31の冷媒吸入の間に接続する。
なお、符号203はエンジン冷却水配管である。
【0021】
冷房運転時の冷媒は、コンプレッサ31→四方弁73→車室外熱交換器38→膨張弁34の順番に流れ、膨張弁34の下流において、一部の冷媒は第1の車室内熱交換器35→コンプレッサ31と流れ、残りの冷媒は絞り80→第2の車室内熱交換器33→四方弁73→コンプレッサ31と流れる。第2の車室内熱交換器33に流入する冷媒は、膨張弁34と絞り80を通過することでより低温の冷媒になるので、第1の車室内熱交換器35で冷却された後の空気からでも吸熱することができる(絞り80が無ければ、第2の車室内熱交換器33での吸熱は期待できない)。
このように冷房運転時は第1の車室内熱交換器35と第2の車室内熱交換器33の両方が吸熱器となり、ブロワファン37によって送風された空気は、第1の車室内熱交換器35と第2の車室内熱交換器33の両方で冷却される。
【0022】
暖房運転時の冷媒は、コンプレッサ31→四方弁73→第2の車室内熱交換器33→絞り80の順番に流れ、絞り80の下流において、一部の冷媒は第1の車室内熱交換器35→コンプレッサ31と流れ、残りの冷媒は膨張弁34→車室外熱交換器38→四方弁73→コンプレッサ31と流れる。暖房運転時は、第1の車室内熱交換器35が吸熱器、第2の車室内熱交換器33が放熱器となり、ブロワファン37によって送風された空気は、第1の車室内熱交換器35で冷却(除湿)された後、第2の車室内熱交換器33で加熱(リヒート)される。
【0023】
膨張弁34は冷房運転時の性能が最適になることを優先に設定され、絞り80は暖房運転時の性能が最適になることを優先に設定される。
【0024】
また、ダクト39には、第2の車室内熱交換器33の下流にヒータコア202が設けられ、エンジン冷却水が流入する。
【0025】
ダクト39の第1の車室内熱交換器35よりも上流側には、車室内空気を導入する内気導入口40と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入口41とが設けられている。この内気導入口40と外気導入口41とが分岐する部分には、内気導入口40と外気導入口41とを任意の比率で開閉するインテークドア42が設けられている。インテークドア42の開度たるインテークドア開度Xintは、外気導入量が零でフル内気となる位置をXint=0%と設定し、フル外気導入となる位置をXint=100%と設定する。内気導入口40と外気導入口41との空気導入側(空気流の下流側)と第1の車室内熱交換器35との間には、前記ブロワファン37が配置され、制御装置43で駆動されるブロワファンモータ44で回転駆動されるようになっている。
【0026】
第2の車室内熱交換器33の下流側には、エアミックスドア46が設けられている。このエアミックスドア46は、制御装置43で駆動される図外のエアミックスドアアクチュエータにより、下流のヒータコア202を通過する空気と通過しない空気の割合を調節するように開閉する。エアミックスドア46は、ヒータコア通過風量を可変することができ、ヒータ風量可変手段となっている。エアミックスドア46の開度たるエアミックスドア開度Xmixは、エアミックスドア46が一点鎖線示の位置となってヒータコア202を通過する空気が零となるときをエアミックスドア開度Xmix=0%(全閉、Full COOL)と設定し、エアミックスドア46が二点鎖線示の位置となってすべての空気がヒータコア202を通過するときをエアミックスドア開度Xmix=100%(全開、Full HOT)と設定する。
【0027】
ダクト39のヒータコア202よりも下流側には、上記冷風と温風との混合を良くすることにより、温度調節された空調風を作る部屋としてのエアミックスチャンバ47が設けられている。エアミックスチャンバ47には、図外の対象乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すベンチレータ吹出口51と、対象乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口53と、図外のフロントウィンドガラスに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口52とが設けられている。エアミックスチャンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア57とデフロスタドア56とが設けられている。ベンチレータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベンチレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹出口51を開閉する。フットドア57は、制御装置43で駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、フット吹出口53を開閉する。デフロスタドア56は、制御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチュエータにより、デフロスタ吹出口52を開閉する。デフロスタドア56は、デフロスタ吹出風量を可変することができ、デフロスタ風量可変手段となっている。デフロスタドア56の開度たるデフロスタドア開度Xdefは、デフロスタ吹出口52が全閉となる位置をXdef=0%と設定し、デフロスタ吹出口52が全開となる位置をXdef=100%と設定する。
【0028】
制御装置43は、第1の車室内熱交換器作動温度センサ59と日射量センサ61と外気温センサ62と室温センサ63と室温設定器64と吹出口モードスイッチ65とブロワファンスイッチ66と水温センサ204などの熱環境情報入力手段から得られる第1の車室内熱交換器35の作動温度Tevaと車両の日射量Qsunと車室外の外気温度Tambと車室内の検出温度(車室内温度)Troomと車室内の設定温度Tptcと水温Twなどの熱環境情報により、エアミックスドア開度Xmixとインテークドア開度Xintとデフロスタドア開度Xdefと風量Vevaと目標吹出温度Tofなどの目標冷暖房条件を演算し、車室内の冷暖房条件が上記演算された目標冷暖房条件を維持するように、ブロワファンモータ44とインテークドアアクチュエータとエアミックスドアアクチュエータとベンチレータドアアクチュエータとフットドアアクチュエータとデフロスタドアアクチュエータなどを駆動する。また、制御装置43は、コンプレッサクラッチをON/OFFしたり、エンジン回転数やタイヤの回転数から車両がどのような走行状態にあるかを検出する。第1の車室内熱交換器作動温度センサ59は、第1の車室内熱交換器35の作動温度検出手段の役割も果たしている。
【0029】
なお、実際の車両では、車室外熱交換器38の後にラジエータが設けられ、ここにもエンジン冷却水が流れて外気に放熱するようになっているが、図1には図示されていない。また、本実施の形態では、加熱手段としてエンジン冷却水を利用したヒータコアを例にして説明するが、電気ヒータや燃焼式ヒータ等の加熱手段を用いてもよい。
【0030】
図1の蒸気圧縮サイクルにおいて、暖房運転時にコンプレッサ31が停止したときに四方弁73を暖房側から冷房側に切り替えて、第2の車室内熱交換器33内の冷媒が四方弁73を経由してコンプレッサ31の冷媒吸入側に移動する状態、あるいは、冷房運転時にコンプレッサ31が停止したときに四方弁73を冷房側から暖房側に切り替えて、車室外熱交換器38内の冷媒が四方弁73を経由してコンプレッサ31の冷媒吸入側に移動する状態を考える。
【0031】
冷媒は両端に圧力差ΔPが作用することで移動を開始し、移動冷媒の質量をm、移動速度をv、流路の断面積をAとおくと、
移動冷媒が毎秒失う運動量:−m・dv/dt
圧力差による力 :A・ΔP
移動冷媒の運動量保存を考えると両者がつり合うので、
ΔP=−m/A・dv/dt
が得られる。
このように、冷媒の移動速度に加減速が生じれば、この加減速の大きさと移動冷媒の質量の積に応じて圧力が発生する。
【0032】
本実施の形態では、冷媒の移動開始時の圧力差を小さくする方法と、移動冷媒の質量を移動中に減少させる方法によって、上記圧力勾配の発生を抑制する。
【0033】
図2と図3は、冷媒の移動開始時の圧力差を小さくする場合の制御フローチャートを示している。
【0034】
まず、図2のコンプレッサ停止時の四方弁制御の制御フローチャートに沿って説明する。
ステップS201でコンプレッサ停止時の四方弁制御を開始すると、ステップS202では、運転終了によるコンプレッサ停止か、断続運転によるコンプレッサ停止かを判断し、運転終了による場合にはステップS203に進んで四方弁73をOFFし、断続運転による場合にはステップS204に進む。
【0035】
ステップS204では、コンプレッサ停止直前の運転モードを判断し、冷房運転の場合にはステップS205に進み、暖房運転の場合にはステップS208に進む。
【0036】
ステップS205では、冷房運転時の待ち時間(Δt.COLD)を設定する。冷房運転時は、コンプレッサ停止時間が多少長くなっても、ガラスの防曇性悪化や吹出温変動といった問題は起こらない。また、暖房運転時に比べて、圧力差が大きく、移動冷媒量も多くなるので、暖房運転時の待ち時間よりは長く設定することができる。
【0037】
ステップS206では、コンプレッサ停止からステップS205で設定した待ち時間経過したかどうかを判断し、待ち時間(Δt.COLD)経過すると、ステップS207に進む。
ステップS207では、四方弁73を冷房側から暖房側に切り替える。
【0038】
一方、ステップS204で暖房運転時の断続運転と判断された場合には、ステップS208において、暖房運転時の待ち時間(Δt.HOT)を設定する。暖房運転時の待ち時間(Δt.HOT)が長くなると、その間にガラスの曇りが発生してしまうので、ここでは、実験的に得られたコンプレッサ停止時の差圧の変化をもとにして、待ち時間がより短時間となるように設定する。
【0039】
ステップS209では、コンプレッサ停止からステップS208で設定した待ち時間経過したかどうかを判断し、待ち時間(Δt.HOT)経過すると、ステップS210に進む。
ステップS210では、四方弁73を暖房側から冷房側に切り替える。
【0040】
図3は、別のコンプレッサ停止時の四方弁制御の制御フローチャートである。ステップS301でコンプレッサ停止時の四方弁制御を開始すると、ステップS302では、運転終了によるコンプレッサ停止か、断続運転によるコンプレッサ停止かを判断し、運転終了による場合にはステップS303に進んで四方弁73をOFFし、断続運転による場合にはステップS304に進む。
【0041】
ステップS304では、コンプレッサ31の吸入冷媒圧力(Ps)を検出する。
ステップS305では、コンプレッサ31の吐出冷媒圧力(Pd)を検出する。
【0042】
コンプレッサ31の運転を停止すると、Psが高くなり、Pdが低下し、PdとPsの圧力差が小さくなる。ステップS306では、Pdまたは(Pd−Ps)の圧力差が所定値よりも低下したか否かを判断し、所定値よりも低下したならば、ステップS307に進む。
【0043】
ステップS307では、コンプレッサ停止直前の運転モードを判断し、冷房運転の場合にはステップS308に進み、暖房運転の場合にはステップS309に進む。
【0044】
ステップS308では、四方弁73を冷房側から暖房側に切り替える。
ステップS309では、四方弁73を暖房側から冷房側に切り替える。
【0045】
このように直接圧力を検出し、検出された圧力あるいは圧力差が所定値よりも低下したときに四方弁73を切り替えることで、移動冷媒に作用する力を低下させることができる。
【0046】
なお、図3では、冷媒圧力を使って説明したが、コンプレッサ31が停止したときには吸入側と吐出側のどちらも冷媒がほぼ二相状態になるので、冷媒温度を検出してその温度に対する飽和圧力から冷媒圧力を推定するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0047】
図4と図5は、移動冷媒の質量を移動中に減少させる場合の蒸気圧縮サイクルの構成を示している。
図4では、図1の蒸気圧縮サイクルにおいて、バイパス路101に冷媒流れの抵抗110を設けている。コンプレッサ31を停止したときに四方弁73を切り替えることで生じる移動冷媒は、暖房運転と冷房運転によらず、必ずバイパス路101を通過するので、ここに流れの抵抗を設けることで移動冷媒の質量を減少させることができる。本実施の形態のように、バイパス路101に抵抗110を設けることで、確実に移動冷媒の質量を減少させることができる。
【0048】
また、図5は、四方弁73と第2の車室内熱交換器33の間に抵抗111と逆止弁112を、四方弁73と車室外熱交換器38の間に抵抗113と逆止弁114を各々設けている。
【0049】
暖房運転時にコンプレッサ31から吐出された冷媒は抵抗111を通らず逆止弁112を通過し、コンプレッサ停止時に四方弁73を暖房側から冷房側に切り替えたときに生じる移動冷媒は逆止弁112を通らず抵抗111を通過する。抵抗111は第2の車室内熱交換器33からコンプレッサ31の冷媒吸入に向かって流れる移動冷媒に作用して、移動冷媒の質量を減少させる。
【0050】
冷房運転時にコンプレッサ31から吐出された冷媒は抵抗113を通らず逆止弁114を通過し、コンプレッサ停止時に四方弁73を冷房側から暖房側に切り替えたときに生じる移動冷媒は逆止弁114を通らず抵抗113を通過する。抵抗113は車室外熱交換器38からコンプレッサ31の冷媒吸入に向かって流れる移動冷媒に作用して、移動冷媒の質量を減少させる。
【0051】
このように、図5に示したサイクル構成とすることで、図4に示したサイクルと同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上では、冷媒の移動開始時の圧力差を小さくする方法、移動冷媒の質量を移動中に減少させる方法の何れか一方を行なう例で説明を行なったが、両方の手段を同時に実施しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0053】
図6〜図9は、別の蒸気圧縮サイクル構成を示している。
図6に示す蒸気圧縮サイクルは、図1に示す蒸気圧縮サイクルに対して、絞り80を廃止して冷房運転時も暖房運転時も膨張弁34で断熱膨張するようにしたものである。冷房運転時は第1の車室内熱交換器35のみが蒸発器となり、暖房運転時は第1の車室内熱交換器35が蒸発器、第2の車室内熱交換器33が凝縮器となる。この場合にも、図2や図3に示す制御を行なうことで、図1の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図4の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗110を設けることで、図4の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図示していないが、図5の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗111と113、逆止弁112と114を設けることによっても、図5の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。
なお、符号70,71は逆止弁である。
【0054】
図7に示す蒸気圧縮サイクルは、図6に示す蒸気圧縮サイクルの変形例で、冷房運転時に第1の車室内熱交換器35だけでなく、選択的に第2の車室内熱交換器33を蒸発器とすることができるようにしたものである。この場合にも、図2や図3に示す制御を行なうことで、図1の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図4の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗110を設けることで、図4の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図示していないが、図5の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗111と113、逆止弁112と114を設けることによっても、図5の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。
なお、符号70,71は逆止弁、74は膨張弁、75は開閉弁である。
【0055】
図8に示す蒸気圧縮サイクルは、図1に示す蒸気圧縮サイクルに対して、第1の車室内熱交換器35と第2の車室内熱交換器33の配置を変更したものである。この場合にも、図2や図3に示す制御を行なうことで、図1の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図4の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗110を設けることで、図4の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図示していないが、図5の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗111と113、逆止弁112と114を設けることによっても、図5の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。
【0056】
図9に示す蒸気圧縮サイクルは、図1に示す蒸気圧縮サイクルに対して、第1の車室内熱交換器35と第2の車室内熱交換器33に代えて、単一の車室内熱交換器205を設けるとともに、その車室内熱交換器205に第1の冷媒パス77と第2の冷媒パス76を備えたものである。冷房運転時は第1の冷媒パス77と第2の冷媒パス76の両方が蒸発器となり、暖房運転時には第1の冷媒パス77が蒸発器、第2の冷媒パス76が凝縮器となる。この場合にも、図2や図3に示す制御を行なうことで、図1の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図4の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗110を設けることで、図4の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。また、図示していないが、図5の蒸気圧縮サイクルと同じ位置に抵抗111と113、逆止弁112と114を設けることによっても、図5の蒸気圧縮サイクルと同様の効果を得ることができる。
【0057】
本実施の形態では、図1の車両用空調装置を例にして説明したが、図6〜図9の蒸気圧縮サイクル、あるいは、これらを組み合わせた蒸気圧縮サイクルにおいても同様の効果が得られる。
【0058】
また、本実施の形態では、フロントのみに蒸気圧縮サイクルを備えた場合を例にして説明したが、フロントとリアに蒸気圧縮サイクルを備えた場合にも同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、コンプレッサ停止時に、コンプレッサの吐出冷媒圧力、あるいは、コンプレッサの吐出冷媒圧力と吸入冷媒圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、四方弁を冷房側から暖房側、あるいは、暖房側から冷房側に切り替えるので、四方弁を切り替えた瞬間に移動冷媒に作用する力を小さくすることができる
【0060】
の結果、移動冷媒の加減速が小さくなるので、この加減速に起因する圧力の急上昇が抑制され、圧力異常による蒸気圧縮サイクルの停止を回避することができる。
【0061】
また、バイパス路、あるいは、四方弁と車室外熱交換器の間および四方弁と第2の車室内熱交換器(または第2の冷媒パス)の間に、四方弁切替時に引き起こされる移動冷媒にのみ作用するように冷媒流れ抵抗を設けるので、移動冷媒の質量や運動量を効果的に減少させることができる。移動冷媒の質量や運動量が減少することで、四方弁切替直後の圧力の急上昇が抑制され、圧力異常による蒸気圧縮サイクルの停止を回避することができる。
なお、四方弁と車室外熱交換器の間および四方弁と第2の車室内熱交換器(または第2の冷媒パス)の間に設けられる冷媒流れ抵抗は、逆止弁と組み合わせることで、通常の冷房運転や暖房運転時には抵抗として働かない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用空調装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】コンプレッサ停止時の四方弁制御の制御フローチャートである。
【図3】別のコンプレッサ停止時の四方弁制御の制御フローチャートである。
【図4】本発明による車両用空調装置の他の実施の形態の構成を示す図である。
【図5】本発明による車両用空調装置の他の実施の形態の構成を示す図である。
【図6】一実施の形態の変形例の構成を示す図である。
【図7】一実施の形態の変形例の構成を示す図である。
【図8】一実施の形態の変形例の構成を示す図である。
【図9】一実施の形態の変形例の構成を示す図である。
【図10】従来の車両用空調装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
31 コンプレッサ
33 第2の車室内熱交換器
34 膨張弁(第1の膨張手段)
35 第1の車室内熱交換器
37 ブロワファン
38 車室外熱交換器
39 ダクト
40 内気導入口
41 外気導入口
42 インテークドア
43 制御装置
44 ブロワファンモータ
46 エアミックスドア
47 エアミックスチャンバ
51 ベンチレータ吹出口
52 デフロスタ吹出口
53 フット吹出口
55 ベンチレータドア
56 デフロスタドア
57 フットドア
59 第1の車室内熱交換器作動温度センサ
61 日射量センサ
62 外気温センサ
63 室温センサ
64 室温設定器
65 吹出口モードスイッチ
66 ブロワファンスイッチ
70,71 逆止弁
73 四方弁
74 膨張弁
75 開閉弁
76 第2の冷媒パス
77 第1の冷媒パス
80 絞り(第2の膨張手段)
100,101 バイパス路
110,111,113 抵抗
112,114 逆止弁
201 エンジン
202 ヒータコア
203 エンジン冷却水配管
204 エンジン冷却水温センサ
205 車室内熱交換器

Claims (5)

  1. エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する第1の車室内熱交換器と第2の車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の車室内熱交換器が蒸発器、第2の車室内熱交換器が凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の車室内熱交換器が蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、前記第1の車室内熱交換器と前記コンプレッサの間から分岐し、前記冷媒流路切換手段に接続するバイパス路と、から成る蒸気圧縮サイクルにおいて、前記コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、前記冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、前記コンプレッサの吐出冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記コンプレッサの吸入冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出手段と、前記コンプレッサの停止が検出されたときに、吐出圧力、または、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、前記流路設定変更手段によって前記冷媒流路切換手段の設定を変更する手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  2. エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する第1の車室内熱交換器と第2の車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の車室内熱交換器が蒸発器、第2の車室内熱交換器が凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の車室内熱交換器が蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、前記第1の車室内熱交換器と前記コンプレッサの間から分岐し、前記冷媒流路切換手段に接続するバイパス路と、から成る蒸気圧縮サイクルにおいて、前記コンプレッサの停止を検出したときに、前記冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、前記バイパス路、あるいは、前記冷媒流路切換手段と前記車室外熱交換器の間および前記冷媒流路切換手段と前記第2の車室内熱交換器の間に設けられて、前記流路設定変更手段によって引き起こされる冷媒の移動に対して抵抗となる冷媒流れ抵抗手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  3. エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、前記第1の冷媒パスと前記コンプレッサの間から分岐し、前記冷媒流路切換手段に接続するバイパス路と、から成る蒸気圧縮サイクルにおいて、前記コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、前記冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、運転モードに応じて待ち時間を設定する待ち時間設定手段と、前記コンプレッサの停止が検出されたときに、待ち時間設定手段によって設定された待ち時間が経過した後に、前記流路設定変更手段によって前記冷媒流路切換手段の設定を変更する手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  4. エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、前記第1の冷媒パスと前記コンプレッサの間から分岐し、前記冷媒流路切換手段に接続するバイパス路と、から成る蒸気圧縮サイクルにおいて、前記コンプレッサの停止を検出するコンプレッサ停止検出手段と、前記冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と 、前記コンプレッサの吐出冷媒の圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記コンプレッサの吸入冷媒の圧力を検出する吸入圧力検出手段と、前記コンプレッサの停止が検出されたときに、吐出圧力、または、吐出圧力と吸入圧力の圧力差が設定値よりも低下した後に、前記流路設定変更手段によって前記冷媒流路切換手段の設定を変更する手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  5. エンジンやモータで駆動されるコンプレッサと、冷媒と外気とで熱交換する車室外熱交換器と、冷媒を断熱膨張させる膨張手段と、第1の冷媒パスと第2の冷媒パスで構成され、冷媒と車室内に吹き出す空調風とで熱交換する車室内熱交換器と、暖房運転時には、前記第1の冷媒パスが蒸発器、第2の冷媒パスが凝縮器として作用するように、冷房運転時には、少なくとも第1の冷媒パスが蒸発器として作用するように、暖房運転時と冷房運転時で冷媒流れを切り換える冷媒流路切換手段と、前記第1の冷媒パスと前記コンプレッサの間から分岐し、前記冷媒流路切換手段に接続するバイパス路と、から成る蒸気圧縮サイクルにおいて、前記コンプレッサの停止を検出したときに、前記冷媒流路切換手段を運転モードに応じた設定から変更する流路設定変更手段と、前記バイパス路、あるいは、前記冷媒流路切換手段と前記車室外熱交換器の間および前記冷媒流路切換手段と前記第2の冷媒パスの間に設けられて、前記流路設定変更手段によって引き起こされる冷媒の移動に対して抵抗となる冷媒流れ抵抗手段と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
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