JP5448547B2 - 陸上輸送用冷凍装置 - Google Patents
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陸上輸送用冷凍装置には、冷媒圧縮用の圧縮機駆動に車両走行用エンジンの出力を利用する直結式と、専用の駆動源(エンジンや電動機等)を備えたサブエンジン方式とがある。
このように幅広い設定温度領域をカバーするためには、外気温度と庫内設定温度との関係より冷却と加熱と両方の機能を備えることが必要である。また、陸上輸送用冷凍装置は移動しながら使用されるので、時刻、季節および天候の変化によって環境条件、たとえば、外気温度が大きく変化する。
また、特許文献2に示されるように、エンジンの排ガスの熱量を利用するためにエンジンを通過する空気でこの熱量を回収し、冷媒の加熱器に提供するものが提案されている。
空気調和装置で一般的なヒートポンプ暖房とすると、前記加熱能力、エネルギ効率の課題は解決することができる。
しかし、空気調和装置で一般的なヒートポンプ暖房は陸上輸送用冷凍装置として用いられていないのが現状である。
これは、ひとつには加温ニーズが少なかったことにより高価なヒートポンプ暖房を備えることがコスト的に見合わなかったことがある。
たとえば、冬季に庫外熱交換器をエバポレータとして使用すると、外気温度が低温であるので、庫外熱交換器での熱交換効率が低下する。これにより、暖房能力が低下し、庫内温度を所定温度に維持できなくなる恐れがある。
庫外熱交換器は冷却性を考慮して空気吸込みが容易となるように配置されるのが普通である。雪が降っている場合に、庫外熱交換器がエバポレータとして用いられると、庫外熱交換器に吹き込む雪が熱交換部に着雪し、送風機を作動させても空気が通過しないようになるので、エバポレータとしての機能を奏しない状態となる。
庫外熱交換器が着霜した場合にデフロスト運転を行うが、車両走行風の影響によってデフロストによる霜の除去が難しい。
すなわち、本発明にかかる陸上輸送用冷凍装置は、コンデンサとして、あるいは、エバポレータとして機能する庫外熱交換器が保冷庫の前壁上部に備えられている陸上輸送用冷凍装置であって、前記保冷庫の前壁に、該前壁の一部を覆うように設けられ、車両走行用エンジンを通過したエンジン排風を前記庫外熱交換器の吸込側に案内するダクトと、該ダクト内の通風路を開閉する開閉手段と、が備えられていることを特徴とする。
開閉手段がダクト内の通風路を開放していると、車両走行用エンジンを通過し、キャビンと保冷庫との間に排出されるエンジン排風は、保冷庫の前壁に取り付けられたダクトに案内されて庫外熱交換器の吸込み側に供給される。
たとえば、直結式の陸上輸送用冷凍装置では、車両が停止しアイドリング運転を行っている場合、圧縮機の回転数が低下するため、加熱能力が低下する。この場合でも、エンジン排風による熱量回収が行えるので、加熱能力の低下量を縮小することができる。
このように、外気温度の低い場合にエバポレータとして用い、あるいは外気温度の高い場合にコンデンサとして用いる等、極端な環境条件でも熱交換器としての能力低下を抑制できるので、庫内温度を所定温度に確実に維持できる等、陸上輸送用冷凍装置を安定して運転することができる。
たとえば、降雪時に庫外熱交換器がエバポレータとして用いられている場合に、庫外熱交換器に吹き込む雪が直接吹き込まないので、熱交換部に着雪するのを抑制することができ、エバポレータとしての機能を維持できる。
また、走行風がダクトを通るエンジン排風を庫外熱交換器に案内する機能を奏するので、エンジン排風を滑らかに庫外熱交換器に導くことができる。
このようにすると、庫外熱交換器をエバポレータとして用いる場合、あるいはデフロスト運転を行った場合に発生するドレンをドレンパンに回収してまとめて車外に排出できる。
また、保冷庫の前壁に、前壁を覆うように設けられ、車両走行用エンジンを通過したエンジン排風を庫外熱交換器の吸込側に案内するダクトと、ダクト内の通風路を開閉する開閉手段と、が備えられているので、庫内温度を所定温度に確実に維持できる等、陸上輸送用冷凍装置を安定して運転することができる。
図1は、本実施形態にかかる陸上輸送用冷凍装置1の概略構成を示す部分断面図である。
陸上輸送用冷凍装置1が設置されるトラック3には、乗員が乗り込むキャビン5と、荷台に積載されたバン(保冷庫)7とが備えられている。
キャビン5には、トラック3を走行駆動させるエンジン(車両走行用エンジン)9が備えられている。
陸上輸送用冷凍装置1には、冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒として吐出する図示しない圧縮機と、バン7の外部に設置された庫外熱交換器11と、バン7の内部に設置された庫内熱交換器13と、が備えられている。
一方、庫外熱交換器11がエバポレータとして機能すると、庫内熱交換器13はコンデンサとして機能するのでバン7は加熱運転されることになる。
庫外熱交換器11および庫内熱交換器13は、たとえば、直方体形状のパラレルフロー型熱交換器により構成されているが、これに限定されるものではない。
庫内熱交換器13には庫内ファン19によってバン7内部の庫内気が供給されるようにされている。庫内ファン19はバン7内に室内熱交換器13を通って循環する気流を発生させる。
庫外熱交換器11は、面部が前方に面するように配置されている。庫外熱交換器11の後方側には庫外ファン21が設置されている。庫外ファン21が作動することによって庫外熱交換器11を通って後方に流れる外気の流れが形成される。
ダクト29は、前壁15の下端位置からパネル27の下方位置まで延在するように配置されている。ダクト29は、U字状の断面形状の開放側端部が前壁15に、たとえば、ネジによって接合されている。前壁15とダクト29とによって通風路31が形成される。
切欠33は、トラック3の前面から取り込まれ、ラジエータ、エンジン9を通過し、キャビン3とバン7との間に排出されるエンジン排風の通路に面するようにされている。
通風路31の中途には、通風路31を開閉するダンパ(開閉手段)35が設けられている。
まず、バン7内部の温度を上昇させる加熱運転について説明する。
冷媒は圧縮機から庫内熱交換器13、庫外熱交換器11を通って圧縮機に戻るように流れる。庫内熱交換器13はコンデンサとして機能し、庫外熱交換器11はエバポレータとして機能する。
圧縮機が回転駆動されると、低圧の冷媒ガスを吸い込み、これを圧縮して高温高圧の過熱ガスである冷媒ガスを吐き出す。
この液冷媒は減圧されて庫外熱交換器11に供給される。庫外熱交換器11に供給された冷媒は庫外ファン21によって通風される外気を冷却して蒸発ガス化される。
このとき、庫外熱交換器11の前方にパネル27が設置されているので、走行風となる外気はパネル27に当り、パネル27の周縁部を回り込むようにして庫外熱交換器11に流れ込む。言い換えると、庫外熱交換器11には、外気が車両進行方向に略直交する方向から吸込まれることになる。したがって、庫外熱交換器11は走行風によるラム圧の影響を受け難くなる。
また、走行風が後述するように通風路31を通るエンジン排風を庫外熱交換器11に案内する機能を奏するので、エンジン排風を滑らかに庫外熱交換器11に導くことができる。
エンジン排風はエンジン9によって温められているので、庫外熱交換器11に取り込まれる外気よりも高い温度を有している。外気にエンジン排風が混合することによって庫外熱交換器11を通過する空気の温度が上昇する。
なお、外気の温度が十分に高い場合には、ダンパ35を閉鎖してエンジン排風を庫外熱交換器11に供給しないようにしてもよい。すなわち、加熱能力を環境条件に対応して調整することができる。
蒸発ガス化された冷媒は、再び圧縮機に吸入され、以下同様のサイクルを繰り返すことによって加熱運転が行われる。
冷媒は圧縮機から庫外熱交換器11、庫内熱交換器13を通って圧縮機に戻るように流される。庫外熱交換器11はコンデンサとして機能し、庫内熱交換器13はエバポレータとして機能する。
圧縮機が回転駆動されると、低圧の冷媒ガスを吸い込み、これを圧縮して高温高圧の過熱ガスである冷媒ガスを吐き出す。
このとき、ダンパ35は、通風路31を閉鎖している。これはコンデンサとして機能する場合、外気の温度は低い方が冷媒を凝縮液化する能力が大きいからである。
なお、外気の温度が十分に低い場合には、ダンパ35を開放してエンジン排風を庫外熱交換器11に供給するようにしてもよい。すなわち、冷却能力を環境条件に対応して調整することができる。
このように、ダンパ35によって通風路31を閉鎖することができるので、たとえば、夏場等の外気温度が高い場合に、エンジン排風の影響を受けることを防止できる。これにより、コンデンサとしての能力低下を抑制することができる。
この冷却空気によりバン7の内部が所定温度に冷却される。蒸発ガス化された冷媒は、再び圧縮機に吸入され、以下同様のサイクルを繰り返すことによって冷却運転が行われる。
また、外気温度の低い場合にエバポレータとして用い、あるいは外気温度の高い場合にコンデンサとして用いる等、極端な環境条件でも熱交換器としての能力低下を抑制できるので、庫内温度を所定温度に確実に維持できる等、陸上輸送用冷凍装置1を安定して運転することができる。
7 バン
9 エンジン
11 庫外熱交換器
15 前壁
23 ドレンパン
27 パネル
29 ダクト
31 通風路
35 ダンパ
Claims (6)
- コンデンサとして、あるいは、エバポレータとして機能する庫外熱交換器が保冷庫の前壁上部に備えられている陸上輸送用冷凍装置であって、
前記保冷庫の前壁に、該前壁の一部を覆うように設けられ、車両走行用エンジンにより加熱されたエンジン排風を前記庫外熱交換器の吸込側に案内するダクトと、
該ダクト内の通風路を開閉する開閉手段と、
走行風を用いて前記庫外熱交換器の吸込側の圧力を低下させるパネルと
が備えられていることを特徴とする陸上輸送用冷凍装置。 - 前記パネルは、さらに、前記庫外熱交換器の吸込側に、走行風が前記庫外熱交換器に直接入るのを防止することを特徴とする請求項1に記載の陸上輸送用冷凍装置。
- 前記庫外熱交換器の下部にドレンを収容するドレンパンが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の陸上輸送用冷凍装置。
- 前記開閉手段は、前記庫外熱交換器がコンデンサとして機能している場合は前記ダクト内の通風路を閉鎖し、エバポレータとして機能している場合は前記ダクト内の通風路を開放するように制御されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の陸上輸送用冷凍装置。
- 前記開閉手段は、前記庫外熱交換器がコンデンサとして機能しており、かつ低外気温度の場合には、前記ダクト内の通風路を開放するように制御されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の陸上輸送用冷凍装置。
- 前記開閉手段は、前記庫外熱交換器がエバポレータとして機能しており、かつ高外気温度の場合には、前記ダクト内の通風路を閉鎖するように制御されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の陸上輸送用冷凍装置。
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