JP3791932B2 - ポリウレタンウレア連続成形体及びその製造法 - Google Patents

ポリウレタンウレア連続成形体及びその製造法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、優れた特性を有するセグメント化ポリウレタンウレア(以下PUUという)繊維やテープ等のPUU連続成形体及びその製造法に関するものである。詳しくは、本発明は、従来法で得られるポリウレタンウレア連続成形体よりも、初期応力が高く、かつ高伸度・高強度のPUU連続成形体に関するものである。さらに、繊度の小さい(テープ等の場合には薄膜状)PUU連続成形体を高生産速度で製造するのに適した改良されたPUU連続成形体の製造法に関するものである。
背景技術
ポリウレタンは、フォーム、接着剤、塗料、エラストマー、合成皮革、さらに繊維等幅広い分野に進出し、多くの有用な製品を生みだしている。
この中でも、とりわけ高弾性が要求されるPUU弾性繊維は、パンティストッキングを筆頭に、ファウンデーション、靴下や、最近では紙おむつ等のストレッチ部分にゴム代替品として広範な分野で使用されている。
PUU繊維の製造法には、乾式紡糸法、湿式紡糸法、反応紡糸法があり、これらの製法で得られた市販のスパンデックスは次の2つのタイプに分類される。
即ち
(1)100%伸長した場合の応力(初期応力)が比較的高く(0.06〜0.09g/d)、破断強度は高い(1.0g/d以上)が、破断伸長はそれほど大きくなく(500〜700%)、かつ伸度400%程度で応力が急激に立ち上がるタイプ。消費者は、このタイプの繊維の製品を着用した時、過度の締め付け感を感じる(乾式法および湿式法で得られるPUU弾性繊維)。
(2)初期応力は小さく(0.05g/d以下)、破断強度は0.5〜1.0g/d程度、破断伸度は高い(700%以上)が、応力の急激な立ち上がりはないタイプ。消費者は、このタイプの繊維の製品を着用した時に、不用な締め付け感がなく着用快適感を感じる(反応紡糸法PUU弾性繊維)。
上記(1)のような、低初期応力と400%伸長時の応力の急激な立ち上がりはPUU弾性繊維には、必ずしも好ましくはなく、真に所望されている特性を持つPUU弾性繊維は開発されていないのである。
次に、従来PUU連続成形体の製法上の課題をPUU弾性繊維を例として示す。乾式法、湿式法に使用できる紡糸用ポリウレタンウレア溶液(原液)を得るには2段階法が一般的である。即ち1段目として、ジイソシアネート成分とジオール成分とを溶融状態で反応させ、両末端にイソシアネート基を有する溶融状プレポリマーを製造した後で、N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジメチルホルムアミドの様な溶媒に溶解させてプレポリマー(以下、PUPと略す)溶液を得るか(溶融合成法)、または両成分を直接上記溶媒中で反応させてプレポリマー溶液を得て(溶液合成法)、次いで2段目で、このプレポリマーを米国特許2929804号明細書に記載されているような脂肪族ジアミンで重合(鎖延長)し、ポリウレタウレア溶液を調製する工程である。そして、この溶液から乾式法では加熱紡筒内で溶媒を蒸発させることにより、湿式法では凝固浴中で凝固させることによりPUU弾性繊維に成形する。
しかし、これらの方法ではポリマー溶液からの脱溶媒速度が遅く、経済的な紡糸速度で10デニールより太い繊度のPUU弾性繊維を製造することが難しい。そのため10デニールより太い繊度のものが所望される場合には、技術的により困難なマルチフィラメントを製造することを余儀なくされる。また空気抵抗や液抵抗のために逆に10デニールより細いPUU弾性繊維−これは最近製品の軽量化にともない需要が急増している−を造ることも困難である。
一方、反応紡糸法は、溶媒を全く含まないか、極僅かに含んだ溶融合成法によりPUPを調製し、このPUPを直接ポリアミンを含む反応液中でポリウレタンウレア化すると同時に糸条体に成形するシンプルな方法である。加えてPUU組成を広範に選択できるという、他の紡糸法には事実上実施困難な優れた特長がある。上述したように乾式法では、ポリマーは溶媒に可溶でなければならない。そのため、ポリマー組成は限定される。一方、反応紡糸法ではプレポリマーを溶媒に溶解することなく直接ポリマー化するので、このような制約はない。大幅に化学構造を変えることによって、PUU弾性繊維の欠点といわれてきた耐候性、耐黄変性、耐塩素性を改良できる潜在能力を持っている。
米国特許3115384号明細書や3387071号明細書に、反応紡糸法の一例が開示されている。米国特許3387071号明細書には、プレポリマーを溶融合成法で合成し、そのあとでこの溶融状のプレポリマーを直接鎖延長剤であるジアミンの溶液中に吐出し、糸条のポリウレタンウレアを得ながら巻き取る方法が記載されている。
しかし、従来の反応紡糸法によって得られたPUU弾性繊維は、以下に示す様な問題点を有する。
(1)第1に、反応浴液抵抗が大きく、紡糸速度を上げるのが困難である。従来技術ではポリアミン浴が実質的に静止しているので、成形過程のPUU糸条体は、引取速度をある速度以上にすると多大な液抵抗を受け物性が低下すると共に、結果的に切断する為である。この方法では、繊度約100デニールの糸の場合、60〜70m/分程度にしか紡糸速度を確保できない。乾式紡糸法では500〜1000m/分である。
(2)第2に、反応浴における液抵抗のために経済的な生産速度で、需要の多い50デニール以下の細い繊度のPUU弾性繊維を製造するのは難しい。
(3)第3に、既存の反応紡糸法によるPUU弾性繊維は、破断伸度は高いが、初期応力が極めて低く(乾式法によるPUU弾性繊維の約半分)、製品品位の低下を引き起こす点である。この理由および(2)の細繊度のPUU弾性繊維の製造が困難であることから、従来の反応紡糸法によるPUU弾性繊維の用途は限定されていた。
PUU弾性繊維は加工されるとき、一定の伸張力(ストレッチテンション)を加えて、伸長率を一定に(100〜200%程度の範囲で)保ちつつ、糸弛みのない状態で供給され、布帛化される。しかし、これらの加工工程中で付与される伸度に対する応力が十分に高くないために、加工時の張力の僅かな変動でPUU弾性繊維が弛んだり、またその反作用で逆に緊張するといった、伸長率に不規則な変動を生じてしまう。その結果、布帛組織中のPUU弾性繊維の伸度が部位によって変動し、布帛品位の斑として顕在化する、という問題(以下、加工斑と総称する)が発生する。PUU弾性繊維で初期応力が重要であるのはこのためである。この問題が改善するのに最低必要な応力は、PUU弾性繊維を100%伸長した場合、0.06〜0.07g/d以上である。
化学反応紡糸法で初期応力を向上させる方法として、ポリマー組成を変更する、ソフトセグメントとハードセグメントの長さを調節する、更に化学架橋を導入する等の方法が提案されているが、満足する結果は得られていない。
反応紡糸法は上述のように潜在的に優れた特徴は備えているものの、性能や繊度および生産性等に関する前記(1)〜(3)の課題は改善されていない。すなわち、先の米国特許に開示されている方法を含めた反応紡糸法のその後の進歩は、全く報告されていないのである。
本発明は、従来の反応紡糸法が抱えている上述の(1)〜(3)の課題を解決し、初期応力が高く、破断強度、破断伸長も実用性能を満たすPUU繊維及びテープ等を提供すると共に、高生産速度で、繊維の場合には多様な繊度、テープの場合、多様な膜厚みを持つ連続成形体を製造する新規な反応成形技術を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明で使用する連続成形体製造装置の一例を示す模式図である。
図2は、本発明で使用する、反応液と連続成形体の分離装置の一例の模式図である。
図3は、本発明で使用する連続成形体製造装置の他の例を示す模式図である。
発明の開示
本発明は、無張力状態での複屈折率(△n)が1.0×10-4以上8.0×10-4以下であり、100%伸長時の架橋点密度(N100)が5.0×1026/m3以上、400%伸長時の架橋点密度(N400)が4.0×1026〜3.0×1027/m3、破断時の架橋点密度(Nt)が1.6×1027/m3以上であり、かつ400%伸長時と100%伸長時の架橋点密度の比(N400/N100)が0.9〜1.3であることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体及びポリイソシアネートとポリオールから得られる、少なくとも2つの末端にイソシアネート基をもつ液状のポリウレタンプレポリマーを成形用ノズルから吐出線速度Lsで吐出し、吐出されたポリウレタンプレポリマーの進行方向に平均流動速度Vfで流動するポリアミン含有反応液からなる流動浴に、Ls≦Vfを満足する条件下で導き、流動浴中でイソシアネート基とポリアミンとを反応させてポリウレタンプレポリマーの鎖延長を行って固化されたポリウレタンウレアを製造しつつ、Vf以上の引き取り速度Vtでこれを引取ることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体の製造方法である。
本発明のPUU連続成形体は、初期応力、破断強度、破断伸度が十分に大きく、かつ中伸度域での応力の立ち上がりが小さい成形体であるため、加工斑の少ない布帛が提供でき、かつ着用時に過度の締め付け感がなく密着性に優れた製品を提供できる。
本発明の製法により、従来の反応紡糸法や乾式紡糸法でも達成困難な、幅広い繊度のPUU連続成形体を乾式法に匹敵する高い紡糸速度で製造することが可能になった。加えて乾式および湿式法では製造が難しい多様な組成のPUU連続成形体を製造することが可能であり、その工業的価値は極めて高い。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の連続成形体としては、繊維、フィルムなどが挙げられる。以下、繊維を例に挙げて本発明を説明する。フィルムその他の連続成形体の場合も同様に適用される。
PUU弾性繊維は、弾性を発現するソフトセグメントと、架橋点として機能するハードセグメントからなるブロックコポリマーであり、無定形量が85重量%以上の無定形ポリマーから構成されている。従って、PUU弾性繊維は、張力を加えて大変形させてエントロピー弾性を発現させる以前の、低伸度領域ではその応力は低い。
古典ゴム弾性理論では、伸長率(λ)における応力(σ)は(1)式に示されるように、架橋点密度(N、単位はm-3。)で求めることが可能である。架橋点密度とはPUU弾性繊維の単位体積中に分散している架橋点の数である。
σ=NkT(λ2−1/λ) (1)
ただし、kはボルツマン定数を表す。Tは測定温度。応力σは伸長率λの時の強力をその伸長時の断面積で除した値で示される(単位、N/m2)。伸長率λは、例えば伸度100%ではλ=2である。ある伸度におけるPUU繊維の断面積は、この繊維がポアソン変形するとして求めた。たとえば、伸度100、400%の時の断面積は、無伸長時のそれぞれ半分、4分の1となる。
本発明の明細書中、PUU繊維を100%伸長した場合の応力(初期応力)や破断強度は、一般の繊維強度の様に、各々の条件下での応力(TS)を初期断面積で除した値で表示した。ただしTSとσとの関係は以下の関係にある。
TS=σA0/(D・λ)=(A0NkT/D)・(λ−1/λ2) (2)
ただし、A0は無張力状態での断面積、Dは繊度(デニール)である。
伸度に応じた架橋点密度の変化は科学的に十分解明されていないが、ハードセグメント架橋点(Nhard)に、伸長によるソフトセグメントの配向結晶化による疑似架橋点(Ncrystal)及びセグメント鎖の絡み合い点形成による架橋点(Nentangl)とが加わると考えられている。従って、任意の伸度における架橋点密度(N)は次式で表現できる。
N=Nhard+Ncrystal+Nentangl (3)
本発明では、20℃で、初期長50mmで、1000%/分の伸長速度で伸長試験を行って、100%、400%及び破断時の伸度における応力の測定値およびその時の繊維の断面積から、(1)式により求められた架橋点密度をそれぞれ100%伸長時の架橋点密度(N100)、400%伸長時の架橋点密度(N400)、破断時の架橋点密度(Nt)を求めた。ただしNtと、式(2)から求まる破断強度とは必ずしも比例関係にない。たとえば、後述する実施例6と比較例2との比較の場合に見られるように、実施例6のPUU繊維の方が破断強度と破断伸度ともに大きい場合でも比較例2のPUU弾性繊維のNtの方が大きい場合がありうる。
以下に、本発明のPUU繊維の構造上の特徴を示し、その特徴が架橋点密度(N)で規定できることを示す。
本発明では、後述するがPUPがポリアミンと反応し、高分子量のポリウレタンウレア(PUU)化すると同時に繊維化され、PUU繊維となる。ポリアミン溶液がPUPよりも速い速度で移動している場合、PUP分子鎖は、一時的に配向(流動配向)状態をとるが、分子量が小さいために直ちに緩和する。その為、製造されたPUU繊維は低複屈折率を示す。緩和した分子鎖のうち、相互作用の大きなウレア結合部は凝集体(ハードセグメントブロック)を形成し、これが架橋点として作用する。本発明で好適に用いるPUPは、溶媒を含まないか、極く僅かしか含まない粘性体である。従って、反応により生成したウレア結合の分子鎖は拡散性に乏しいために成長が妨げられ、ウレア結合部同士が凝集したハードセグメントブロックを形成する。これ以外にこのブロックの回りを取り囲む大過剰数のソフトセグメント中のウレタン基と異種結合した、いわゆる‘ハード−ソフト’ブロックも形成していると考えられる。これら2つのブロックの形成中に流動配向による張力が加わると、各々のブロックの結合力はまだ十分でないために、糸長方向に適度な分散が起こり、これが結果的に架橋点密度(Nhard)の増加になる。本発明のPUU繊維の100%伸長時の架橋点密度(N100)は実質的にNhardに等しいので、100%伸長時の応力(初期応力)は高くなる。これに対して従来の化学反応紡糸法のように反応紡糸中の液抵抗のために流動配向がかけられない場合はそのNhardは小さく、初期応力は低い。一方乾式紡糸法PUU弾性繊維のNhardは比較的大きな値を示す。その理由は、ポリマー溶液中のハードセグメントが溶媒に難溶であるために、溶液中ですでにハードセグメント同士が凝集し、相当量の架橋点を形成しているからである。
本発明のPUU繊維を100%以上伸長した場合の架橋点密度の変化は、やや複雑である。この架橋点密度は伸度に応じて単調に増加するとは限らない。たとえば、伸度400%における架橋点密度(N400)が、伸度100%における架橋点密度(N100)よりも小さい場合がある。特にN100が大きい時に特徴的に発現する。この理由は完全に明らかではないが、本発明のPUU繊維のハードセグメント架橋点は上述したように、ウレア基同士のハードセグメントブロックの他にハードセグメントブロックがソフトセグメントに包まれた異種ブロックからなり、後者の結合が不完全であるために、その結合力が比較的弱く、伸長時の張力でブロック間の解離を生じる。これが原因で、ソフトセグメントの配向結晶化は誘起されず(すなわちNcrystalが増加しない)、従ってN400は急激には増加しない。一方乾式法によるPUU弾性繊維の場合には、上述したように、すでにポリマー溶液中で比較的強固なハードセグメント同士からなる架橋点を形成し、結合力も強く支持点として有効に作用するので、伸長によりソフトセグメントが配向結晶化する。そのために疑似架橋点(Ncrystal)のみならず分子鎖の絡み合い(Nentangl)が急激に増加し、これがN400の急激な増加につながる。
本発明のPUU繊維を400%以上伸長すると、上述したように、異種ブロック間で解離したハードセグメントブロックは有効に支持点として作用するので、伸度600%を越えた付近から徐々にソフトセグメントの配向結晶化が起こり始めると同時に分子鎖の絡み合いが始まり、Ntが増加し、その結果高破断伸度で高破断強度が発現される。
次に、本発明のPUU繊維の特徴を定量的に説明する。
本発明では、伸度0%(無張力状態)の本発明のPUU繊維の特性は、複屈折率で規定した。
本発明のPUU繊維は、無張力状態での複屈折率(△n)が1.0×10-4以上、8.0×10-4以下である。一般に、伸長されていないPUU弾性繊維の複屈折率は、他の合成繊維に比べて格段に小さい。また、本発明のPUU繊維以外のPUU弾性繊維の複屈折率の値は、乾式紡糸法では1.0×10-2程度、既存の反応紡糸法では1.0×10-3程度である。
本発明のPUU繊維は、高速度で成形して得られるが、その場合でも△nは8.0×10-4を越えない。このような△nを持つ本発明のPUU繊維は、500%以上の破断伸長と高い初期応力と破断強度を持つ。△nが1.0×10-4未満のPUU繊維は、高破断伸度は持つが、初期応力、破断強度に乏しい。
本発明のPUU繊維は、N100が5.0×1026/m3以上、N400が4.0×1026〜3.0×1027/m3、Ntが1.6×1027/m3以上である。N100が5.0×1026/m3未満では、(2)式から求まるように、初期応力が小さく実用性に乏しい。Ntが1.6×1027/m3未満では破断強度が小さい。
本発明のPUU繊維の中でも特にN100が大きなものは、無伸長状態で結晶性を持つPUU繊維にみられる。この繊維では、無伸長状態でポリオールの結晶性に起因して、低伸度域でも、極めて大きなNcrystalを持つ。伸長初期時の架橋点密度(N100)はこの寄与のために1.0x1027/m3を越え、伸度100%における初期応力は0.1g/dを上回るPUU繊維になる。
本発明のPUU繊維のN400が4.0x1026よりも小さいと、応力が小さすぎて、製品中で繊維が弛んでしまう。3.0x1027よりも大きいと応力の立ち上がりが起こる。
本発明のPUU繊維では、架橋点密度(N)の絶対値のみではなく、N100とN400との相対値も重要である。
本発明のPUU繊維では、N400/N100が0.9〜1.3という特徴的な値を示す。この値は乾式紡糸法によるPUU弾性繊維の2〜3に比べて極めて低い。また、従来の反応紡糸法によるPUU弾性繊維のN400/N100は、約1.4〜1.8で、N100は3.5×1026/m3、Ntは1.1×1027/m3程度である。
N400とN100の比は本発明のPUU繊維の特徴を明瞭に表す。N100が5×1026/m3以上で、かつN400/N100が0.9〜1.3であると、初期応力が高く、かつ中伸度域での応力の立ち上がりが小さい。
従来の反応紡糸法によるPUU弾性繊維のN400/N100は本発明のPUU繊維に近いが、N100およびNtが本発明のPUU繊維より小さい。
本発明のPUU繊維のNtは、通常3.0〜4.0x1027/m3(破断強度として1.2〜1.5g/d)で、通常の乾式紡糸法によるPUU弾性繊維によるものと同程度であるが、好適な場合5.0×1027/m3にも達し(1.5g/d以上の破断強度に相当)、乾式紡糸法によるPUU弾性繊維の中でも最高強度の部類に入るものに匹敵する。
本発明のPUU繊維は、このような特異な架橋点密度の伸度依存性を発現する結果、伸長初期領域で、従来の化学反応紡糸法によるPUU弾性繊維にくらべ初期応力が十分に高く、中伸度領域で応力の立ち上がりが著しく少なく、かつ高破断強度、高破断伸度が実現される。
このような本発明のPUU繊維は、加工斑の少ない布帛を提供できるし、着用時にも型くずれず密着性(フィットネス性)があり、かつ過度の締め付け感のない加工品をが提供できる優れた特性を持つ。
さらに高破断強度、高破断伸度が発現されることにより、PUU弾性繊維が加工時や製品着用時に過度に伸縮が繰り返されても断糸することがなく、製品品位が損なわれないし、製品の耐久性も著しく向上する。
本発明のPUU繊維は通常、初期応力が0.07〜0.1g/d、破断強度が1.2g/d以上、破断伸度が700〜1000%であり、好適な場合には初期応力が0.1g/d以上、破断強度が1.5g/d以上、破断伸度が700〜900%である。
本発明の第2の発明は、ポリイソシアネートとポリオールから得られる、少なくとも2つの末端にイソシアネート基をもつ液状のポリウレタンプレポリマーを成形用ノズルから吐出線速度Lsで吐出し、吐出されたポリウレタンプレポリマーの進行方向に平均流動速度Vfで流動するポリアミン含有反応液からなる流動浴に、Ls≦Vfを満足する条件下で導き、流動浴中でイソシアネート基とポリアミンとを反応させてポリウレタンプレポリマーの鎖延長を行って固化されたポリウレタンウレアを製造しつつ、Vf以上の引き取り速度Vtでこれを引取ることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体の製造方法である。
本発明の製造法をPUU繊維を例として詳細に説明する。フィルムの場合にも同様に適用できる。
本発明に用いられるポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られる両末端にイソシアネート基を持つポリウレタンプレポリマー(PUP)は、脂肪族、脂環族または芳香族のポリイソシアネートから選ばれた少なくとも一種類のポリイソシアネートとポリオールとをイソシアネート基が化学量論的に過剰な条件下で、常法に従って反応させて得られた末端にイソシアネート基を持つ液状プレポリマーである。本発明のPUPは、成形用ノズルから吐出できるような液状であれば基本的にはポリイソシアネートおよびポリオールの組み合わせには制限がない。
本発明に使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族ジ及びトリイソシアネート、芳香族ジ及びトリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートの具体例として1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、4−メチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、3,3−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。また1,3−および1,4−シクロヘキサンジイソシアネートの様な環状脂肪族ジイソシアネートの使用も可能である。脂肪族トリイソシアネートの例として、たとえばリジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタンのような脂肪族トリイソシアネートやトリフェニルメタントリイソシアネートやトリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートなどを用いることができる。これらのトリイソシアネートと上記のジイソシアネートと組み合わせて用いてもなんら差し支えない。
芳香族ジ及びトリイソシアネートとしては、イソシアネート基がベンゼン核に直結し、2個のイソシアネート基はパラ位に結合しているものが好ましい。2個のイソシアネート基が非対称位置に結合している芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−トリレンジイソシアネートや1,3−フェニレンジイソシアネートを用いても本発明のPUU繊維を得ることはできるが、PUU繊維の物性がパラ位結合の芳香族ジイソシアネートからのそれより劣るので好ましくない。このような芳香族ジイソシアネートとしては、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、m−およびp−キシリレンジイソシアネートおよびα,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの芳香族ジイソシアネートの中で特にPUPの粘性やPUU繊維の物性等のバランスから4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。芳香族トリイソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等を用いることができる。
本発明で用いられるポリオールは、数平均分子量が800〜6000で、かつ融点が60℃以下のものが好ましいが、この限りではない。このようなポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。さらにポリジメチルシロキサンポリオールや未水添または水添されたポリブタジエンポリオールも使用できる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリ(1,5−ペンタンジオール)、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらのポリオールは鎖状であっても分岐していてもかまわない。ポリエステルポリオールとしては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、マロン酸等の二塩基酸の一種または二種以上の混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールの一種または二種以上とから得られたものが挙げられ、またそのような方法で得られた末端にカルボキシル基を有するポリエステルに、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール等のポリエーテルジオールをさらに反応させて得られたものを使用することも可能である。天然のポリエステルポリオールも使用することができる。
ポリラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトン等を開環重合して得られるヒドロキシカルボン酸にプロピレングリコールやブタンジオール等のジオール類を反応させて得られたもの、またはポリオキシテトラメチレングリコールやポリオキシペンタメチレングリコール等のポリマージオールを反応させて得られたものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、アルキレンカーボネート類と1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等との反応により得られるポリ(ブタン−1,4−カーボネートジオール)、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネートジオール)、ポリ(ヘキサン−1,6−カーボネートジオール)およびそれらの共重合体ならびに混合物から得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。
これらのポリオールの中で、ポリエステルポリールおよびポリラクトンポリオールはかび脆化し易いこと、ポリカーボネートポリオールは溶融粘度が高く取り扱いが煩雑であること、さらにPUU繊維の化学的安定性や引張物性の点からポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)が特に好ましい。
PUP中のウレタン基濃度を調節し所望する物性が得られるようにするために、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール類、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族含有ジオール類から選ばれた低分子量ジオールを添加することもできる。
PUPに分岐構造を導入する目的で、たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオールを添加することも可能である。
本発明におけるポリイソシアネートとポリオールとの化学量論比は1.1〜2.5の範囲が、PUPの粘度や分子量、さらにPUU繊維の引張物性、耐熱性の点から好ましい。
本発明ではPUP粘度は100〜6000ポイズ(20℃)程度の粘凋な液体が好ましい。PUPの粘度調節を目的として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンとようなケトン類、N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサンのようなエーテル類、ジメチルスルホキシド等を少量PUPに添加しても良い。
PUPに酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤等のいわゆる安定剤を添加することも差し支えない。
本発明のポリアミン含有溶液(以下、反応液という)は、ジアミンとそのジアミンに対して不活性でPUP中のイソシアネート基とアミン化合物との反応を実質的に阻害せず、かつPUU繊維を溶解しない溶媒から構成される。溶媒はアミンの希釈剤または粘度調整剤として用いられる。溶媒はアミンがPUP中に拡散浸透するのを促進する作用を有する場合には更に好ましい。
PUPの鎖伸長剤であるポリアミンは公知の脂肪族、脂環族および芳香族ポリアミンを用いることができる。具体的にはたとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ヘキサンジアミン、イソブチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、3,3’−ジクロル−4,4’−ビフェニルジアミン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、水素化されたm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、テトラクロロ−m−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−フェニレンジアミンおよびそれらの混合物からなる群が挙げられるが、これに限定されない。
目的に応じてトリス(2−アミノエチル)アミンのような低分子量トリアミンや分子量400以上のポリオキシアルキレンポリアミン、たとえば商品名「Jeffamine」(Huntsman社)などのポリアミンも使用することができる。
さらに特開平5−155841号公報に記載されているような有機ジイソシアネートと有機ジアミンとからなるジアミノウレア化合物がある。たとえばN,N’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス{2−(エチルアミノ)−ウレア}、N,N’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス{2−(2−エチルエチルアミノ)−ウレア}、N,N’−(メチレンジ−4,1フェニレン)ビス{6−(ヘキシルアミノ)−ウレア}などが挙げられる。
重合度調整剤として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびその異性体、ブチルアミンおよびその異性体、ジエチルアミン等のモノアミン化合物等が併用できる。ジメチルヒドラジン、ジエチルヒドラジンなどの非対称のヒドラジンをモノアミンとして使用することもできる。
重合反応速度の確保、得られたPUU繊維の力学物性等の点から、エチレンジアミンのようなアミノ基の隣接炭素に立体障害基を持たない、構造的に対称性の高い(symmetrical)ジアミン化合物が好ましい。
次にポリアミンを希釈するための溶媒として、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、アミルアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドや芳香族炭化水素類、たとえばベンゼン、トルエン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼンなどがあげられる。これらの混合溶媒を使用してもかまわない。アミンのPUP中への拡散浸透を促進する目的で、例えば界面活性剤等を添加することも差し支えない。
本発明の製造法の第一の必須態様は、PUPを成形用ノズルから吐出線速度Lsで吐出した後、PUPの進行方向と同一方向に平均流動速度Vfで流動する反応液を含む浴(以下、反応浴という)中に、Ls≦Vfを満足する条件下で導き、イソシアネート基とポリアミンとを反応させてPUPの鎖延長を行いPUUを形成させつつ、Vfより大きい引取速度Vtで引取ることである。
本発明の製造法の目的は、反応液の移動速度をPUPおよびPUU繊維に成形過程中の糸条体(以下PUU糸条体という)の移動速度よりも大きくし、液抵抗が少ない状態でPUU糸条体を成形することにより、従来の反応紡糸法の低い生産速度や細い繊度のPUU繊維が製造できないという課題を解決し、かつ優れた力学物性をもつPUU繊維を得る技術を提供することにある。
Ls≫Vfの場合、反応液がPUU糸条体の著しい抵抗となり、糸条体は反応浴中で弛みや揺らぎを起こし、緊張状態で定常的に反応浴中を通過せず、本発明の目的を達成できない。
また、Vfが僅かにLsより小さい領域では、PUU糸条体の線速度は一旦急激に減少したあと、流動速度Vfにまで加速される。この際、減速と加速による大きな歪み変形速度がPUU糸条体に加わることになる。その為、高速成形が難しく、得られたPUU繊維は低強度かつ低伸度になるので好ましくない。
本発明で規定する平均流動速度Vfは、反応浴出口部から流出する反応液量を反応浴の断面積で除した値である。反応浴の断面が円形の管状路の場合、管状路の中心部はほぼVfの2倍の流動速度を持つ。実験観察結果によれば、本発明の製造方法の条件では、PUPおよびPUUは管状路のほぼ中心部を通過して管状路出口部に達する。従って、定常状態では、糸条体は2×Vfの移動速度を持っている。しかし、後に図示するが、管状路入り口部がテーパ状もしくはより口径の大きな管状路外管から構成されている場合には、この部分では反応液流速は定常状態にはなく、Vfに近い。従って、少なくとも管状路入り口部でVf>Lsが達成されていなければならない。
本発明はVt≧Vfである必要がある。
液抵抗の点のみからは、Ls=Vf=Vtであることが最良である。しかし、一般に繊維及びテープ等が、適度な張力下で成形することにより高い強度と伸度が発現されるように、Ls≦Vf<Vtである方がPUU繊維のタフネス(強度×伸度)が向上し、またこの条件の方が紡糸安定性の点から好ましく、PUU糸条体の切断も起こらない。
PUPは、反応液と接触すると瞬時(数十から数百マイクロ秒程度)に鎖延長(ウレア化)反応を完結する。しかし、基本的にはPUPの表面からウレア化反応が起こり、先ず表層が固体に変化する。従って、吐出されたPUPが引取速度に対応した応力を発現するのは、表層の固体化が始まってからであり、それ以前の極僅かな期間は反応液の流動に随伴して移動すると考えられる。この随伴期に、Ls>Vfであると、PUPは実質的に反応液から液抵抗を受ける為、好ましくない。PUPは、全体がウレア化するのと同時進行的に引取速度Vtに達するまで加速化され、分子鎖の配向と緩和を繰り返しながら適度に配向を受けた状態でPUU糸条体に成形される。Vt>Vfであると、反応浴中を加速されながら通過するPUU糸条体周辺の反応液は、局所的にPUU糸条体に随伴して加速する為、実質的な抵抗体とはならない。従って、Vt≫Vfの条件下でも糸条体の切断が起こらず、細い繊度の糸条体を高速で引き取ることが可能となる。
具体的には、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)からなるPUPを、本発明の製造方法に適用すると、好適な場合25〜30倍のドラフト率(Vt/Ls)を付与しても切断は起こらない。また、ドラフト率が高いほどタフネスが大きくなる。このため、Lsが50m/分の場合、引取速度Vtは約1500m/分にも達する。
また、引取速度Vtが大きくなるほど又は単繊度が小さくなるほど、PUU糸条体と反応液との分離が難しくなるので、緊張状態で連続して糸条体を引き取るためにはVt≧Vfであることが好ましい。
反応浴として管状路のような流動浴を用いると、吐出されるPUPは常に新鮮な反応液と接触できるので、反応液量はPUP中のイソシアネート基をウレア化するのに必要な最小限でよい。その結果、大幅な液抵抗の低減が可能となる。
前掲の米国特許明細書に述べられている化学反応紡糸法では、横型紡糸装置が採用されており、反応浴は実質上静止している。この方法であると、たとえ反応液を高速に流動させることは困難であるし、さらにPUU糸状体を反応浴から分離するときの抵抗も大きいので、低速で引き取る必要がある。
本発明の第一の好ましい態様は、ポリウレタンウレアをVtlの引き取り速度で流動浴から引き取り、次いでVt≦1.5Vtlの引き取り速度Vtで引き取ることによりPUU連続成形体を製造する方法である。
この方法では、PUPからPUU糸状体に移行する過程は無張力に近い状態で起こり、構造破壊を伴わない変形がなされる。この時、既述のように、ポリウレタンウレア分子鎖は配向よりも緩和が優先すると共に、ハードセグメントの高分子量化、ハードセグメントの適度な分散化が起こる。次に反応浴を出たPUU糸条体は、過度の変形を受けずに全工程を通過する。その結果、無張力状態での複屈折率△nが下限値である1.0×10-4に近く、N100が高く、Ntが極めて高い本発明のPUU繊維が得られる。つまり、初期応力が0.07〜0.1g/d、破断伸度は700〜1000%で破断強度は1.2g/d以上にまで高めることができる。
本発明の第二の好ましい態様は、ポリウレタンウレアをVtlの引き取り速度で流動浴から引き取り、次いでVt>1.5Vtlの引き取り速度Vtで引き取ることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体の製造法である。
本発明の方法は、特に初期応力(即ち、初期弾性率)が高い本発明のPUU繊維を得るのに有効である。VtはVtlの1.5倍以上であれば初期応力が一層高くなる。
この方法では、PUU糸条体および成形がほぼ完了したPUU繊維に更に延伸操作を加えることが可能になるので、ポリウレタンウレア分子鎖全体がより配向し、かつソフトセグメントを形成するポリマージオールの一部が配向結晶化する。
その結果、得られたPUU繊維の△nは本発明の上限値である8.0x10-4に近く、伸度100%で規定した初期応力が0.1〜0.25g/dであり、従来の化学反応紡糸法で得られるPUU弾性繊維の実に5倍に達す場合もある。さらに破断伸度が500%以上、破断強度1.4g/d以上を持つ優れたPUU弾性繊維となる。
VtとLsの比(Vt/Ls)は、使用するPUPにもよるが、30を越えないことが好ましい。
本発明の方法により、従来の反応紡糸法に比べて、約10倍以上の高速紡糸が可能になり、乾式法並の紡糸速度が達成できる。また初期応力は従来の化学反応紡糸法のPUU弾性繊維に比べ十分に大きく、好適な場合には約5倍にも達する。さらに破断伸度は700〜1000%にまで高められ、破断強度も乾式紡糸法によって得られる最高強度のPUU繊維に匹敵する。
これらに加えて、PUU繊度を従来の反応紡糸法、乾式法では達成が困難であった3デニールという細い繊度の繊維を製造することが可能である。さら200デニール以上の太い繊度のPUU繊維の製造も可能である。
本発明の製造方法の例を図面により説明する。図1の製造装置において、ノズルホールダー(1)に組み込まれた成形用ノズル(2)から吐出されたPUP(3)は、密閉状態で、ポリアミン含有反応液で充満したラッパ状の管状路入口部(4)でまず反応液と接触し、引き続きラッパ状に急激に管径を絞られた管状路本体(5)に導かれ、ポリアミンと鎖伸長反応し、PUU糸条体を形成しつつ、次にこのPUU糸条体は管状路内管出口部(6)で気体雰囲気中に解放され、反応液と分離された後で引取られる。反応液は、反応液入口部(7)で製造装置本体(8)に注入され、分配板(9)を通過し、ラッパ状の管状路内管8の入口部(4)より管状路本体(5)に導かれ本体出口部(6)より流出する。定常状態では、ラッパ状の管状路入口部(4)及び管状路本体(5)は反応液で充満され、反応液を強制的に供給できる為、反応液流速を自然流下状態よりも高速で移動させることができる。
本発明では、管状路を出たPUU糸条体と反応液とを分離する方法は、特に、細い繊度のPUU繊度を製造する場合に、重要である。
本発明では、次の三つの方法が好ましいが、この限りではない。
第1に、管状出口部(6)を出たPUU糸条体を空気中または不活性ガス中を走行させ、反応液を液滴化させ、PUU糸条体と分離させる方法である。走行距離は反応液の表面張力等で異なるので、適宜実験により決定すると良い。
第2に、管状路出口部と引き取りロールとの間に、短管のオリフィス等を設置し、オリフィス中をPUU糸条体を通過させ、過剰な反応液を溢れさせて分離する方法である。第1の方法と組み合わせるといっそう有効である。
第3に、図2に示すように、管状路出口部(例えば図1の(6)の部分)を角度θ1で変向させ分離する方法である。θ1は120〜150度であることが好適である。出口部の切り欠き部の切り欠き角度(θ2)は(180−θ1)度が好ましい。反応液流速Vfが大きくなるほどθ1を大きくすることが好ましい。
図3において、ノズル2から吐出されたPUPはAのエアーギャップ部を通過した後、反応液界面Bで反応液と接触し、ラッパ状に急激に管径を減じた管状路入口部(4)に導入される。次いで管状路(5)に導かれ、ポリアミンと鎖伸長反応を行い、PUU糸条体を形成しつつ、次にこのPUU糸条体は管状路出口部で解放され、反応液と分離されて引取られる。ポリアミン含有反応液は、反応液入口(7)から製造装置本体(8)に注入され、分配板(9)を通過してオーバフロー管(10)で規制された液面を保ちながら管状路入口部(4)に流入する。反応液とPUPは液面Bで初めて接触する。定常状態では、反応液は管状路全体に満された状態でなければならない。
この方法では管状路に供給される反応液は、管状路の材質、構造及び反応液の性状等に応じた圧力損失の為に同一ヘッド長の自由落下状態の液流速よりもかなり減じることができ、管状路内の反応液の流速を所望の速度に減ずるのに好都合である。エアーギャップ部でPUPを冷却又は加温させたり、予備的に反応剤と接触させることもできる。
管状路から出たPUU糸条体は、所定の条件で引取られる。次いで必要により過剰のアミンおよびアミン希釈用の溶媒を直接乾燥させるか、または水等で洗浄し、熱風で乾燥した後、所望により添加剤又は油剤を付与して巻き取られる。添加剤、油剤は乾燥前に付与しても差し支えない。乾燥時に過剰の熱をPUU糸状体に与えアニーリングする事もできる。アニーリングは、強度および伸度を大きくしタフネスを向上させ得るとともに、アミノ交換反応等の化学反応を誘起できるので有効である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでない。
実施例1
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという)とポリオキシテトラメチレングリコール(以下、PTMGという)とからなるPUPを、下記のように合成した。
MDI(分子量250.3)53.8gを500ccのセパラブルフラスコに秤量し、窒素ガス中、50℃でMDIが完全に溶解するまで撹拌した。次いで減圧脱水して50℃に保温したPTMG(分子量1830)246.2gを投入し、その後80℃に昇温し、昇温後4時間反応させ、NCO基とOH基の当量比(以下、R値という)が1.60である末端イソシアネート基のPUPを合成した。得られたPUPは45℃で遠心脱泡した。これをPUP−1とする。
実施例2
MDIとPTMGと1,4ブタンジオール(以下、1,4BDという)とからなるPUP−2を下記のように合成した。
MDI5.38gを500ccのセパラブルフラスコに秤量し、窒素ガス中、50℃でMDIが完全に溶解するまで撹拌した。次いで減圧脱水して50℃に保温したPTMG(分子量1830)246.2gを投入した後80℃に昇温し1.5時間反応させた。昇温してから1.5時間後に1.4BD1.35gを添加し、更に1時間反応させた。次いで、MDI6.0gを追添し1時間反応させ、R値が1.60であるPUPを合成した。得られたPUPは45℃で遠心脱泡した。これをPUP−2とする。
実施例3
MDIとPTMGとエチレンジアミン(EDA)とからなるPUP−3は下記のように合成した。
MDI53.8gを500ccのセパラブルフラスコに秤量し、窒素ガス中、50℃でMDIが完全に溶解するまで撹拌した。次いで減圧脱水して50℃に保温したPTMG(分子量1830)242.5gとEDA0.12gを混合した後80℃に昇温し4時間反応させ、R値が1.6であるPUPを合成した。得られたPUPは45℃で遠心脱泡した。これをPUP−3とする。
実施例4
MDIと、分子量850のPTMG(PTMG850)と分子量3000のPTMG(PTMG3000)からなるPUP−4は次のように合成した。
MDI53.8gを500ccのセパラブルフラスコに秤量し、窒素ガス中、50℃でMDIが完全に溶解するまで撹拌した。次いでPTMG850、42.5gとPTMG3000、172.7gとを混合したPTMG溶液を投入した後80℃昇温し4時間反応させ、R値が2.0であるPUPを合成した。得られたPUPは45℃で遠心脱泡した。これをPUP−4とする。
実施例5、6、参考例1、2
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−1のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数4個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=88m/分で吐出した。次いでPUP−1は、EDA/イソプロピルアルコール(IPA)=20/80(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfがそれぞれ200、400m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、それぞれ500、1000m/分の速度で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体を水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、それぞれ550、1100m/分で引き取り、最終的に500、1000m/分の速度で巻き取った。500m/分及び1000m/分で巻き取られたPUU繊維を実施例5、及び実施例6とする。
表1に実施例5、6の引張物性を示す。また、参考例1として市販の反応紡糸法のPUU弾性繊維及び参考例2として市販の乾式法で得られたPUU弾性繊維の引張物性を併記した。実施例5、6は初期弾性率が高く、強度、伸度が大きい優れたPUU弾性繊維としての特性を持っていた。
Figure 0003791932
実施例7〜10、比較例1、2
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−1のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数1個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=88m/分で吐出した。次いでPUP−1は、EDA/イソプロピルアルコール(IPA)=20/80(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfがそれぞれ、30、60、90、100、160、220m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、それぞれ500m/分の速度(Vtl)で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体を水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、それぞれ550m/分(Vt)で引き取り、最終的に500m/分の速度で巻き取り、繊度28デニールの計6個のPUU繊維を製造した。平均流速Vfが30、60、90、100、160、220m/分の試料をそれぞれ比較例1、比較例2、実施例7〜10とする。表2に引張物性を示す。比較例1、2は紡糸は可能であるが、強度、伸度に乏しかった。
Figure 0003791932
実施例11〜14
管内径2.2mmφ、管長250mmの図3に示すエアーギャップ型管状路を使い、PUP−1プレポリマーを、エアーギャップ長50mm、孔径0.16mmφ、孔数1個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=33m/分で吐出した。次いでPUP−1はEDA/IPA=20/80(モル比)の組成、かつ平均速度Vf=40m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路中に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、管状路出口部からPUU糸条体を1000mmの距離走行させた後で、3本のロールからなるスナブロールにより引取速度Vtl=80、100、200、600m/分でそれぞれ引き取り、次いで水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、それぞれVt=1.2Vtlの速度Vtで引き取り、最終的にそれぞれVtlの速度で巻き取り、計4個のPUU繊維を製造した(Vtl)小さい順に、実施例11、12、13、14とする)。得られた繊維の引張物性を表3に示す。実施例12〜14の繊維は、無伸長状態で測定した広角×線回折図で結晶性ピークが観察された。
Figure 0003791932
実施例15〜19
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−1のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数1個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=60m/分で吐出した。次いでPUP−1は、EDA/イソプロピルアルコール(IPA)=20/80(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfが70m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導きPUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、180m/分の速度(Vtl)で管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体を、それぞれ200、250、300、400,800m/分(Vt)で引き取り、次いで水洗工程、乾燥工程を経て、それぞれ等速で巻き取り、計5個のPUU試料を製造した。Vtが200、250、300、400、800m/分の試料をそれぞれ実施例15、16、17、18、19とする。これらの実施例の引張物性を表4に示す。実施例17〜19は、無伸長状態で結晶性を持ち、かつ高い初期弾性率を有していた。
Figure 0003791932
実施例20
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−1のプレポリマーを孔径0.08mmφ、孔数1個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=110m/分で吐出した。次いでPUP−1は、EDA/イソプロピルアルコール(IPA)=15/85(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfが300m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導きPUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、1000m/分の速度で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体は水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、1100m/分で引き取り、最終的に、1000m/分の速度で巻き取った。実施例20のPUU繊維は、繊度が5デニールであり、PUU弾性繊維としては極めて細い繊維であった。更に、従来の反応紡糸法や乾式紡糸法でも、5デニールの繊度のPUU弾性繊維をモノフィラメントで、かつ本発明のような高紡糸速度で成形することは殆ど不可能である。
実施例21
PUP−1のプレポリマーの幅0.16mm、長さ5mmで孔数1個のノズルから吐出線速度Ls=39m/分で吐出した。次いでPUP−1は20mmの空中を通過させた後、管状路出口部断面が幅1.5mm、長さ8mmの矩形断面、かつ管状路長が400mmのエアギャップ型の管状路に、EDA/IPA/フッ素系界面活性剤(メガファックF−833、大日本インキ化学工業社製、混合比は純分換算)=(20/80)/1(重量比)の組成、かつ平均速度Vf=45m/分の流動速度をもつ反応液(20℃)を用いて導き、テープ状のPUUに成形しつつ管状路を通過させ、管状路出口部から1500mmの距離を空走し、次いで3本のスナブロールによりVt=400m/分(ドラフト=14.0)で引取られ、水洗工程、予備乾燥工程、油剤付与工程を経て、400m/分で巻取られた。
実施例22
PUP−1のプレポリマーからPUUフィルムを下記の様にして得た。
幅0.16mmで長さ5.0mmで孔数1個の矩形型ノズルからPUP−1のプレポリマーを吐出線速度Ls=39m/分で矩形の密閉型管状路に吐出した。密閉型管状路は、管状路内管の入口部断面が幅4mm、長さ8mm、出口部断面が幅1.5mm、長さ8mmの矩形断面、かつ管状路長が500mmである。PUP−1は次いでエチレンジアミン/イソプロパノール/メガファックF−833=(20/80)/1(重量比)の組成、かつ平均速度Vf=200m/分の流動速度をもつ反応液(20℃)を用いて管状路内管部に導き、テープ状のPUUに成形しつつ管状路を通過させ、管状路出口部よりPUU糸条体を1000mmの距離走行させた後で、管状路から流出したテープ状成形体を50m/分で移動する100メッシュのステンレス製金網板に採取した。次いで金網板上で水洗し、400m/分で引取り、熱ロールで予備乾燥し、油剤を付与して400m/分で巻取った。
実施例23
PUP−2のプレポリマーのPUU繊維は下記のように得た。
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−2のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数4個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=136m/分で吐出した。次いでPUP−2は、EDA/(IPA:トルエン)=10/(95:5)(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfが200m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、800m/分の速度で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出された。さらに連続的に、このPUU糸条体は水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、880m/分で引き取り、最終的に800m/分の速度で巻き取った。繊度は108デニールであった。実施例23の繊維の引張物性を表5に示す。
実施例24
PUP−3のプレポリマーのPUU繊維は下記のように得た。
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−3のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数4個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=136m/分で吐出した。次いでPUP−2は、EDA/(IPA:トルエン)=7.5/92.5(95:5)(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfが200m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、800m/分の速度で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体は水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、880m/分で引き取り、最終的に800m/分の速度で巻き取った。繊度は108デニールであった。実施例24の繊維の引張物性を表5に示す。実施例23と同様に、PUP−1からのPUU繊維に比べ高初期応力、高破断強度となる傾向があった。
実施例25
PUP−4のプレポリマーのPUU繊維は下記のように得た。
管内径が2.0mmφ、管長が3000mmの図1に示す密閉型管状路を使い、PUP−4のプレポリマーを孔径0.15mmφ、孔数4個の紡糸用ノズルから吐出線速度Ls=136m/分で吐出した。次いでPUP−4は、EDA/IPA=20/80(モル比)の組成を持ち、かつ平均流速Vfが200m/分の流下速度を持つ反応液(30℃)を用いて管状路に導き、PUU糸条体に成形しつつ管状路を通過させ、800m/分の速度で3本のロールからなるスナブロールにより管状路出口に引き出した。さらに連続的に、このPUU糸条体は水洗工程、乾燥工程、油剤付与工程を経て、880m/分で引き取り、最終的に800m/分の速度で巻き取った。繊度は108デニールであった。実施例25の繊維の引張物性を表5に示す。実施例25は、初期応力、破断強度、破断伸度が高いばかりでなく、三者のバランスのとれた繊維になる傾向があった。
Figure 0003791932
産業上の利用可能性
本発明のPUU連続成形体は、初期応力、破断強度、破断伸度が十分に大きく、かつ中伸度域での応力の立ち上がりが小さい成形体であるため、加工斑の少ない布帛が提供でき、かつ着用時に過度の締め付け感がなく密着性に優れた製品を提供できる。
また、本発明の製法により、従来の反応紡糸法や乾式紡糸法でも達成困難な、幅広い繊度のPUU連続成形体を乾式法に匹敵する高い紡糸速度で製造することが可能になった。加えて乾式および湿式法では製造が難しい多様な組成のPUU連続成形体を製造することが可能であり、その工業的価値は極めて高い。

Claims (7)

  1. ポリウレタンプレポリマーを該ポリウレタンプレポリマーの進行方向と同一方向に流動する反応液を含む反応浴に対して吐出する反応紡糸法により製造されたポリウレタンウレア連続成形体であって、無張力状態での複屈折率(△n)が1.0×10-4以上、8.0×10-4以下、100%伸長時の架橋点密度(N100)が5.0×1026/m3以上、400%伸長時の架橋点密度(N400)が4.0×1026〜3.0×1027/m3、破断時の架橋点密度(Nt)が1.6×1027/m3以上、かつ400%伸長時と100%伸長時の架橋点密度の比(N400/N100)が0.9〜1.3であることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体。
  2. ポリイソシアネートとポリオールから得られる、少なくとも2つの末端にイソシアネート基をもつ液状のポリウレタンプレポリマーを成形用ノズルから吐出線速度Lsで吐出し、吐出されたポリウレタンプレポリマーの進行方向に平均流動速度Vfで流動するポリアミン含有反応液からなる流動浴に、Ls≦Vfを満足する条件下で導き、流動浴中でイソシアネート基とポリアミンとを反応させてポリウレタンプレポリマーの鎖延長を行って固化されたポリウレタンウレアを製造しつつ、Vf以上の引き取り速度Vtでこれを引取ることを特徴とするポリウレタンウレア連続成形体の製造方法。
  3. ポリウレタンウレアをVtlの引き取り速度で流動浴から引き取り、次いでVt≦1.5Vtlの引き取り速度Vtで引き取ることを特徴とする請求の範囲2記載のポリウレタンウレア連続成形体の製造法。
  4. ポリウレタンウレアをVtlの引き取り速度で流動浴から引き取り、次いでVt>1.5Vtlの引き取り速度Vtで引き取ることを特徴とする請求の範囲2記載のポリウレタンウレア連続成形体の製造方法。
  5. ポリウレタンプレポリマーを成形用ノズルから、ポリアミン含有反応液からなる流動浴中に吐出することを特徴とする請求の範囲2記載のポリウレタンウレア連続成形体の製造方法。
  6. ポリウレタンプレポリマーを成形用ノズルから吐出し、密閉状態でポリウレタンプレポリマーの進行方向に流動するポリアミン含有溶液で満たされた管状路に導き、ポリウレタンプレポリマーの鎖延長を行って気体雰囲気中に解放することを特徴とする請求の範囲2記載のポリウレタンウレア連続成形体の製造方法。
  7. 成形用ノズルから吐出されたポリウレタンプレポリマーを一旦気体雰囲気中を通過させた後、ポリウレタンプレポリマーの進行方向に流動するポリアミン含有溶液で満たされた管状路に導き、ポリウレタンプレポリマーの鎖延長を行って気体雰囲気中に解放することを特徴とする請求の範囲2記載のポリウレタンウレア連続成形体の製造方法。
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