JP3790584B2 - 無目と方立との結合装置及び結合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明に係る無目と方立との結合装置及び結合方法は、例えばトップライトや採光壁を構成するガラスパネルの四辺を支持する為の無目と方立との結合作業の容易化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
ビルディングの吹き抜け部分等に、トップライトと呼ばれる、ガラスパネルを主体とした傾斜天井を設ける事が行なわれている。又、ビルディングのロビー部分等の壁面を、ガラスパネルを主体とした採光壁とする事も行なわれている。この様なトップライト或は採光壁を構成するガラスパネルの四辺のうち、左右両側の竪辺は方立により、上下両側の横辺は無目により、それぞれ支持する。又、これら無目の両端部は、それぞれ上記方立の中間部に結合支持する。
【0003】
この様に無目の端部を方立の中間部に結合支持する為に従来は、1対の結合板部を互いに直角に連結して成るL字形の結合ブラケットを使用していた。即ち、この結合ブラケットの一方の結合板部を上記無目の端部に、他方の結合板部を上記方立の中間部に、それぞれねじ止め固定していた。これら1対の結合板部を無目又は方立にねじ止め固定する作業のうち、少なくとも何れかの結合板部を無目又は方立にねじ止め固定する作業は、建設現場で行なう必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の様に、建設現場で結合ブラケットと無目又は方立とをねじ止め固定する事により、これら無目の端部を方立の側面に結合支持する構造の場合、建設現場での作業が面倒になり、作業時間も長くなる。この結果、建設コストが増大するだけでなく、建設期間も長期化する為、好ましくない。
本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法は、この様な事情に鑑みて、建設現場での作業を容易にし、建設コストの低減と建設期間の短縮化とを図るべく発明したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法は何れも、方立の側面に無目の端部を結合するものである。
このうち、請求項1に記載した無目と方立との結合装置は、支持ピンと、支持凹溝と、浮き上がり防止片とを備える。
このうちの支持ピンは、上記方立に支持されて、この方立の側面からこの側面に対し直角方向に突出する。又、上記支持凹溝は、上記無目の一部に、この無目の下面側が開口した状態で設けられ、その奥部内側に上記支持ピンをがたつきなく挿入自在である。更に、上記浮き上がり防止片は、上記支持凹溝の下半部内側に、上記無目の長さ方向に亙る変位のみ自在に係合している。
これら支持ピンと支持凹溝と浮き上がり防止片とを備えた、本発明の無目と方立との結合装置は、上記無目の端部を上記支持ピンに載せ、この支持ピンを上記支持凹溝の奥部に位置させた状態で、上記浮き上がり防止片を上記支持ピンの下側に移動させる。そして、この浮き上がり防止片の上面と上記支持凹溝の奥面との間で上記支持ピンを上下から挟み付ける事により、上記無目の端部を方立の中間部に結合して成る。
【0006】
又、請求項2に記載した無目と方立との結合方法は、先ず、上記方立に支持ピンを、この支持ピンの一部がこの方立の側面からこの側面に対し直角に突出する状態で支持し、上記無目の一部にこの無目の下面側が開口した状態で設けられ、その奥部内側に上記支持ピンをがたつきなく挿入自在な支持凹溝の下半部内側に浮き上がり防止片を、上記無目の長さ方向に亙る変位のみ自在に係合させると共に、この浮き上がり防止片を上記無目の端部よりも少し中央部に寄った位置に移動させた状態としておく。
そして、この様に浮き上がり防止片を上記無目の端部よりも少し中央部に寄った位置に移動させた状態のまま、上記無目の端部を上記支持ピンに載せて、この支持ピンを上記支持凹溝の奥部に挿入する。
その後、上記浮き上がり防止片を上記無目の端部に向け移動させて、この浮き上がり防止片を上記支持ピンの下方に位置させる。そして、この浮き上がり防止片の上面と上記支持凹溝の奥面との間で上記支持ピンを上下から挟み付ける事により、上記無目の端部を方立の中間部に結合する。
【0007】
尚、好ましくは、上記無目と浮き上がり防止片との間に、この浮き上がり防止片が上記支持ピンの下側に移動した状態で互いに係合し、この浮き上がり防止片が上記無目の中央部に移動するのを阻止する移動阻止手段を設ける。この様な移動阻止手段は、例えば、上記浮き上がり防止片の一部に形成した、弾性変形自在な係止片と上記無目の端面とにより構成できる。上記浮き上がり防止片を上記無目の端部よりも少し中央部に寄った位置に移動させる際には、上記係止片をその弾性に抗して変形させる事により、この係止片を上記支持凹溝の内側に押し込む。上記支持ピンを支持凹溝の奥面と上記浮き上がり防止片の上面との間で挟持すべく、この浮き上がり防止片を上記支持ピンの下側に移動させると、上記係止片が上記支持凹溝から外れて弾性的に復元する。
【0008】
【作用】
上述の様に構成される本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法によれば、建設現場で無目と方立とを結合する為に要する手間を軽減できて、建設コストの低減と建設期間の短縮化とを図れる。
又、無目と浮き上がり防止片との間に移動阻止手段を設ければ、無目と方立との結合作業完了後に、この浮き上がり防止片が不用意に無目の中央部に向け移動する事を防止して、方立と無目との結合部の信頼性を確保できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜13は、本発明の実施の形態の1例を示している。本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法を実施するトップライトは、図1に示す様に、それぞれが斜め上下方向に、互いに平行に配置された複数本の方立1、1と、それぞれが水平方向に配置された複数本の無目2、2とを備える。これら各方立1、1及び無目2、2は、何れも、アルミニウム合金の押し出し成形材を所望長さに切断する事により造っている。尚、実際の場合には、上記各方立1、1を方立本体と抑え板とをねじ止め結合する事により構成し、上記各無目2、2を無目本体と抑え板とをねじ止め結合する事により構成する。そして、上記各方立本体と抑え板との間でガラスパネル3、3の左右両側の竪辺を支持し、上記各無目本体と抑え板との間で上記ガラスパネル3、3の上下両側の横辺を支持している。但し、この様にして方立1、1及び無目2、2によりガラスパネル3、3の四辺を支持する構造は従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しないので、図示並びに詳しい説明は省略する。本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法は、図1の円A、Aで囲んだ部分で実施し、上記各方立1、1を構成する方立本体と、上記各無目2、2を構成する無目本体とを結合する。尚、以下の説明では、方立本体を方立1、1として、無目本体を無目2、2として、それぞれ表す。
【0010】
上記各方立1、1の中間部で上記各無目2、2の端部を結合する部分には、図1〜4に示す様に、支持ピン4を支持している。即ち、丸棒状で両端部に先細のテーパ部を形成した支持ピン4を、上記各方立1、1の中間部に形成した円形の通孔にがたつきなく挿通し、1対の止め輪5、5により、上記各方立1、1に固定している。即ち、図6に示す様な止め輪5を、図5に示す様に上記支持ピン4の中間部一端寄り部分に係止した状態で、この支持ピン4を上記各方立1、1の中間部に形成した通孔に挿通した後、この支持ピン4の中間部他端寄り部分に上記止め輪5を係止し、これら1対の止め輪5、5により、上記方立1の中間部を挟持する。この様にして上記各支持ピン4、4を上記各方立1、1に支持した状態で、これら各支持ピン4、4の両端部は、これら各方立1、1の側面からこの側面に対し直角方向に突出する。
【0011】
一方、上記各支持ピン4、4によりそれぞれの端部を上記各方立1、1に支持される無目2、2には、図2〜4、7に示す様に、断面形状が倒立U字形の支持凹溝6を形成している。この支持凹溝6は、上記各無目2、2の中央部に、これら各無目2、2の下面側が開口する状態で設けている。この支持凹溝6の奥部内側には、上記支持ピン4、4をがたつきなく挿入自在としている。この為に上記支持凹溝6の奥面部分の曲率は、上記各支持ピン4、4の外周面の曲率とほぼ一致させている。又、この支持凹溝6の内側面同士の間隔は、下面側開口部に向かう程漸次広くなる様にしている。従って、上記各無目2、2の支持凹溝6に上記各支持ピン4、4を、これら各支持凹溝6の下面側開口から挿入すれば、これら各支持ピン4、4はこれら各支持凹溝6の奥端部に、がたつきなく嵌合する。更に、上記各支持凹溝6の内側面開口寄り部分には、次述する浮き上がり防止片7を摺動自在に係合させる為の係合溝8、8を形成している。
【0012】
浮き上がり防止片7は、上記各支持ピン4、4を上記各支持凹溝6の奥端部に挿入した状態で、これら各支持ピン4、4がこれら各支持凹溝6の開口端から抜け出る事を防止する為に設ける。この様な浮き上がり防止片7は、ポリアミド樹脂(ナイロン)等の滑り易く、弾性を有する合成樹脂を射出成形する事により、図8〜13に示す様な形状としている。この浮き上がり防止片7は摺動板部9を有し、この摺動板部9の両側縁部を、上記1対の係合溝8、8に摺動自在に係合自在としている。この摺動板部9の上面には、上記各支持ピン4の下面にがたつきなく当接自在な円弧状受面10を形成している。方立1の中間部側面に無目2の端部を結合した状態では、上記支持ピン4の端部が、上記支持凹溝6の凹面と上記円弧状受面10との間で挟持される。
【0013】
又、上記摺動板部9と連結板部11を介して連結された竪板部12の左右両側縁部にも、上記各係合溝8、8と摺動自在に係合する摺動片13、13を形成している。そして、これら摺動板部9と竪板部12との下方に、フレーム部14を設けている。このフレーム部14は、上記摺動板部9と竪板部12との補強を図ると共に、上記浮き上がり防止片7を当該浮き上がり防止片7が係合した無目2の長さ方向に移動させる際の手掛かりとなる。更に、上記摺動板部9の先端縁、即ち無目2への組み付け状態で方立1の側面と対向する端縁には、円弧状の押圧片15と鉤状の係止片16とを形成している。このうちの押圧片15は、上記端縁から上記方立1側に突出する状態で形成している。又、上記係止片16は、上記摺動板部9の先端部下面側に、先端縁に向かう程上記摺動板部9から遠ざかる方向に形成している。尚、これら押圧片15と係止片16とのうち、押圧片15の幅寸法は上記支持凹溝6の下端開口部の幅寸法よりも小さくしているが、上記係止片16の幅寸法は、この下端開口部の幅寸法よりも大きく、上記摺動板部9の幅寸法と同じとしている。又、この摺動板部9の先端部は、下面側を上方に凹ませる事により薄肉に形成している。
【0014】
以上に述べた様な支持ピン4、4と支持凹溝6、6と浮き上がり防止片7、7とを備えた、本発明の無目と方立との結合装置により、方立1の中間部に無目2の端部を結合するには、この方立1の中間部に予め固定した支持ピン4の両端部を、上記各無目2、2の下面に開口した支持凹溝6の奥部にがたつきなく挿入する。この挿入作業は、上記支持ピン4、4の上方位置で隣り合う方立1、1の間に挿入した無目2を、この方立1、1に沿って下方に移動させる事により行なう。
【0015】
この様な作業に基づいて、上記各支持ピン4、4を上記支持凹溝6の奥部に挿入した状態で、上記各無目2、2の端部下面(トップライトの下面側となる面)が、上記各方立1、1の下端部両側(下端部とはトップライトの下面側端部)に突出した突片17、17の上端縁に当接する。従って、上述の様に上記各支持ピン4、4を上記支持凹溝6の奥部に挿入した状態では、上記各無目2、2がこれら各支持ピン4、4を中心に回転する事はない。又、この状態で上記各無目2、2の重量は、上記各支持ピン4、4を介して、上記各方立1、1に支承される。
【0016】
尚、この様に上記各支持ピン4、4を上記支持凹溝6の奥部に挿入する作業を行なう際には、前記浮き上がり防止片7を無目2、2の中央寄り位置、即ち、図2の上側の無目2で表した位置、或は図8の右側位置に移動させておく。又、この浮き上がり防止片7は、予め工場で上記各無目2、2に装着しておく。この装着作業の際、前記係止片16を、その先端部を摺動板部9の下面に近づく方向に弾性変形させ、この摺動板部9と共に、前記係合溝8、8内に押し込んでおく。従って、上記係止片16が、上記浮き上がり防止片7を無目2、2の中央寄り位置に移動させる際の妨げとなる事はない。又、この様に無目2、2の中央寄りに移動させた浮き上がり防止片7は、上記係止片16の弾性に基づいてこの係止片16及び摺動板部9と係合溝8、8との間に発生する摩擦力により、上記係合溝8、8の間から不用意に抜け出る事がなくなる。
【0017】
上述の様にして、上記各支持ピン4、4を上記支持凹溝6の奥部に挿入したならば、上記浮き上がり防止片7を上記無目2の端部に向け、図2の下側の無目2で表した位置、或は図8の左側位置、或は図13の位置にまで移動させる。この状態で、上記各支持ピン4、4の先端部が上記支持凹溝6の奥面と前記円弧状受面10との間で挟持され、上記支持凹溝6から抜け出る事がなくなる。この結果、上記各無目2、2が方立1に対して上下方向に変位する事がなくなる。又、この状態では、上記係止片16が上記各係合溝8、8から抜け出て弾性的に復元する。そして、この係止片16の先端縁が図8の左側に示す様に、上記無目2の長さ方向端縁部に係合する。従って、上記浮き上がり防止片7がこの無目2の中央部に向け、不用意に退避する事がなくなる。又、上記押圧片15は、その先端を上記方立1の側面に突き当てて弾性変形し、上記係止片16の先端縁を上記無目2の長さ方向端縁部に突き当てる。従って、上記無目2の端部が上記方立1の中間部側面に、がたつきなく結合される。
【0018】
【発明の効果】
本発明の無目と方立との結合装置及び結合方法は、以上に述べた通り構成され作用するので、建設現場で無目と方立とを結合する為に要する手間を軽減できて、建設コストの低減と建設期間の短縮化とを図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するトップライトの上面を、この上面に対して直角方向から見た平面図。
【図2】図1のA部を、一部を省略して示す斜視図。
【図3】図1の拡大B−B断面図。
【図4】図1の拡大C−C断面図。
【図5】方立に装着する以前の支持ピンと止め輪との側面図。
【図6】止め輪を示す図で、(a)は図5の上方から見た図、(b)は(a)の右方から見た図。
【図7】無目の端面図。
【図8】浮き上がり防止片を、方立と無目とを組み合わせるべく無目の中央寄りに退避させた状態と、組み合わせた状態のまま固定すべく無目の端部に移動させた状態とで示す側面図。
【図9】浮き上がり防止片の斜視図。
【図10】同じく側面図。
【図11】同じく平面図。
【図12】同じく図10の右方から見た図。
【図13】同じく方立と無目とを結合すべく無目の端部に移動させた状態で示す平面図。
【符号の説明】
1 方立
2 無目
3 ガラスパネル
4 支持ピン
5 止め輪
6 支持凹溝
7 浮き上がり防止片
8 係合溝
9 摺動板部
10 円弧状受面
11 連結板部
12 竪板部
13 摺動片
14 フレーム部
15 押圧片
16 係止片
17 突片
Claims (2)
- 方立の側面に無目の端部を結合する結合装置であって、上記方立に支持されてこの方立の側面からこの側面に対し直角方向に突出した支持ピンと、上記無目の一部に、この無目の下面側が開口した状態で設けられ、その奥部内側に上記支持ピンをがたつきなく挿入自在な支持凹溝と、この支持凹溝の下半部内側に、上記無目の長さ方向に亙る変位のみ自在に係合した浮き上がり防止片とを備え、上記無目の端部を上記支持ピンに載せ、この支持ピンを上記支持凹溝の奥部に位置させた状態で、上記浮き上がり防止片を上記支持ピンの下側に移動させ、この浮き上がり防止片の上面と上記支持凹溝の奥面との間で上記支持ピンを上下から挟み付ける事により、上記無目の端部を方立の中間部に結合して成る無目と方立との結合装置。
- 方立の側面に無目の端部を結合する結合方法であって、上記方立に支持ピンを、この支持ピンの一部がこの方立の側面からこの側面に対し直角に突出する状態で支持し、上記無目の一部にこの無目の下面側が開口した状態で設けられ、その奥部内側に上記支持ピンをがたつきなく挿入自在な支持凹溝の下半部内側に浮き上がり防止片を、上記無目の長さ方向に亙る変位のみ自在に係合させると共に、この浮き上がり防止片を上記無目の端部よりも少し中央部に寄った位置に移動させた状態としておき、この状態のまま、上記無目の端部を上記支持ピンに載せて、この支持ピンを上記支持凹溝の奥部に挿入した後、上記浮き上がり防止片を上記無目の端部に向け移動させて、この浮き上がり防止片を上記支持ピンの下方に位置させ、この浮き上がり防止片の上面と上記支持凹溝の奥面との間で上記支持ピンを上下から挟み付ける事により、上記無目の端部を方立の中間部に結合する無目と方立との結合方法。
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