JP3790562B2 - 薄板搬送処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は薄板搬送処理装置に係り、特にはプリント配線板の製造時において肉薄の銅張積層板などを搬送しながらエッチングを行うエッチング機等に代表される薄板搬送処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サブトラクティブプロセスによるプリント配線板の製造時においては、銅張積層板表面の銅箔をパターン状にエッチングする工程が実施される。そして、近年においては、この種の工程を効率的・省力的に行うために、通常、エッチング機と呼ばれる装置が利用されている。
【0003】
図8〜図10には、従来におけるエッチング機の一例が示されている。この装置は、いわゆる自動水平スプレーエッチング機31と呼ばれるものである。このエッチング機31を構成する1つまたは複数のエッチングチャンバ32は、水平方向へ銅張積層板33を搬送するためのコンベア部34を備えている。このコンベア部34は、下側ロール群R1 と、その下側ロール群R1 の上方に位置する上側ロール群R2 とからなる。図9,図10には、上述した下側ロール群R1 を構成するロール35の配置が示されている。これらのロール35の各ロールシャフト36には、それぞれ複数枚のディスク37が等間隔を隔てて(例えば約50mmピッチで)固定されている。従って、ロールシャフト36及び各ディスク37は、図示しない駆動手段の駆動力によって一体的に回転する。なお、これらのディスク37は、搬送方向であるロール35の配列方向に沿って千鳥状に配置されている。また、前記ディスク37は、前記配列方向に延びる同一の直線L1 上に乗るように規則的に配置されている。このことは上側ロール群R2 についても同様である。下側ロール群R1 の下方及び上側ロール群R2 の上方には、流体供給手段の一部を構成するシャワー管38が設けられている。これらのシャワー管38には、各々スプレーノズル39が複数個かつほぼ等間隔に設けられている。
【0004】
以上のように構成されたエッチング機31では、銅張積層板33は、両ロール群R1 ,R2 によって挟持された状態で搬送されるようになっている。その際、スプレーノズル39から噴射されるエッチング液によって、銅張積層板33の銅箔が連続的に除去されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においてはプリント配線板の小型化・肉薄化の要請が高まってきていることから、その材料である銅張積層板33も、厚さ0.1mm以下というように極めて肉薄でフレキシブルなものになりつつある。
【0006】
しかし、従来のエッチング機31に肉薄の銅張積層板33を流動すると、銅張積層板33の上側表面に溜まった液重及びスプレー圧力によりその両端部が湾曲すること等によって、折れや曲がりの発生する確率が高くなる。従って、この場合には銅張積層板33の搬送性の悪化につながってしまう。
【0007】
そこで、搬送性の悪化を解消するためには、例えば前記ディスク37の間隔を狭くすることにより、同一ロール35内におけるディスク37の数を増やすという対策が考えられる。しかしながら、この対策を行うと、エッチング液がエッチング面に充分に行き渡りにくくなり、同面に筋状にロール35の跡が付いたり、処理ムラができたりする等の不具合が起こりやすくなる。このように、従来においては搬送性を向上させようとすると、逆にエッチング性が損なわれるという問題もあった。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためなされたものであり、その目的は、処理流体による薄板の処理性を維持しつつ薄板の搬送性の向上を図ることができる薄板搬送処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、複数枚のディスクを持つロールを配列してなる下側ロール群と、その下側ロール群の上方に前記ロールを配列してなる上側ロール群と、両ロール群によって挟持される薄板に処理流体を供給する流体供給手段とを備え、前記ロールの配列方向に沿って前記薄板を搬送する薄板搬送処理装置において、同一ロール内に存在する複数のディスクのうち、前記薄板の端部を保持するディスクを、前記薄板の中央部を保持するディスクよりも相対的に密に配置し、かつ前記流体供給手段に第1及び第2の流体供給領域を設けるとともに、第1の流体供給領域により前記薄板の端部に供給される前記処理流体の単位時間あたりの量を、第2の流体供給領域により前記薄板の中央部に供給される前記処理流体の単位時間あたりの量よりも相対的に多くするように設定し、さらに前記第1及び第2の流体供給領域が前記薄板の搬送方向であるエッチングチャンバの長手方向に対して角度を有することを特徴とする薄板搬送処理装置をその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、前記流体供給手段は複数のシャワー管とそれらに設けられたスプレーノズルとからなることをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1において、前記上側ロール群を構成するロールを1つおきに間引いたことをその要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明では、薄板をエッチング処理するエッチングチャンバと、前記薄板の上下に互いに平行に配置され、該薄板の搬送方向である前記エッチングチャンバの長手方向に対して角度を有する複数のシャワー管と、前記各シャワー管に配置され、エッチング液を供給するための複数のスプレーノズルと、を備えることをその要旨とする。
【0013】
【作用】
請求項1〜4に記載の発明によると、処理性を維持しつつ搬送性を向上できる。
【0016】
【実施例】
〔実施例1〕
以下、本発明をプリント配線板製造プロセスにおいて使用される自動水平スプレーエッチング機1に具体化した一実施例を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0017】
このエッチング機1は、箱状をした金属製のエッチングチャンバ2を複数個直列に配置することによって構成されている。また、これらのエッチングチャンバ2の後方には、通常、図示しない水洗チャンバ等が設置される。図1(a),図1(b)に示されるように、前記エッチングチャンバ2の上半分は、薄板としての銅張積層板3を水平方向に搬送するためのコンベア部4になっている。一方、このエッチングチャンバ2の下半分は、噴射されたエッチング液を一時的に溜めておくための図示しない液溜め部になっている。
【0018】
図1,図3,図4に示されるように、前記コンベア部4は、下側ロール群R1 と上側ロール群R2 とからなる。下側ロール群R1 を構成する個々のロール5は、エッチングチャンバ2の長手方向に沿って皆同じ高さとなるように水平に配列されている。また、上側ロール群R2 を構成する個々のロール6は、前記下側ロール群R1 を構成する各ロール5の上方において、エッチングチャンバ2の長手方向に沿って皆同じ高さとなるように水平に配列されている。
【0019】
前記各ロール5,6を構成する金属製のロールシャフト7には、ポリエチレン製のディスク8が複数個設けられている。また、このロールシャフト7は、エッチングチャンバ2の壁面に設けられた軸受けによって回転可能に挿通されている。前記ロールシャフト7の一方の端部には、ギア9が固定されている。このギア9には、ロールシャフト7に駆動力を伝達するための図示しないプーリが巻装されている。従って、ロールシャフト7が回転すると、それに伴って各ディスク8も一体的に回転する。図1(a)に示されるように、銅張積層板3は、下側ロール群R1 の各ロール5と上側ロール群R2 の各ロール6とによって挟持された状態で水平方向に搬送される。
【0020】
図1(a),図1(b)に示されるように、下側ロール群R1 の下方及び上側ロール群R2 の上方には、それぞれ処理流体としてのエッチング液を供給するための流体供給手段が設けられている。本実施例における流体供給手段は、複数本のシャワー管10と、それらのシャワー管10に固定された供給口としての複数個のスプレーノズル11と、図示しないポンプとによって成り立っている。図3に概略的に示されるように、本実施例のシャワー管10は全部で上下に7本づつあり、それらは互いに平行な関係にある。また、前記各シャワー管10は、いずれも搬送方向であるエッチングチャンバ2の長手方向に対して所定の角度(本実施例では3°)をなしている。
【0021】
図3にて概略的に示されるように、前記シャワー管10のうち外側にある2本には、スプレーノズル11が3つ設けられている。それ以外の5本には、スプレーノズル11が9個設けられている。同一シャワー管10上に存在する各スプレーノズル11は、いずれも等間隔に(本実施例では130mmピッチで)配置されている。また、異なるシャワー管10上に存在するスプレーノズル11も、搬送方向A1 に直交する方向に沿って整列している。これらのスプレーノズル11は同一直線上に5個または6個存在しており、いずれも等間隔に(本実施例では130mmピッチで)整列している。
【0022】
シャワー管10内を圧送されてきたエッチング液は、スプレーノズル11の部分から噴射する。その際、噴射したエッチング液は、スプレーノズル11のオシレーション(首振り)によってエッチング面に均等に降り注ぐようになっている。この後、エッチング液は前記液溜め部に一時的に保持された後、ポンプによって吸い上げられ、再びシャワー管10内に圧送される。なお、前記エッチング液としては、例えば塩化第二銅、塩化第二鉄、過硫酸塩類、過酸化水素/硫酸、アルカリエッチャントなどの水溶液がある。
【0023】
次に、この実施例のコンベア部4を構成する各部材の寸法や配置等について詳細に説明する。
まず、下側ロール群R1 を構成するロール5について説明する。図2(a),図4に示されるように、これらのロール5が有するディスク8は、搬送方向であるロール5の配列方向A1 に沿って千鳥状に配置されるとともに、互いに少しずつずらした状態で配置されている。よって、従来における完全千鳥状の配置方法とは異なるものである。
【0024】
ここで、図2(a)において、搬送方向A1 に直交する直線L1 を仮想し、かつ複数本あるロール5のうち特定のロール5Aを基準として選択する。この場合、各ディスク8には次のような関係が成立する。即ち、特定のロール5Aのディスク8とそのロール5Aの近傍に存在する他のロール5B,5Cのディスク8とが、同一の直線L1 上に乗らないようになっている。本実施例の場合、少なくとも特定のロール5Aの5つ隣のロール5について、このような関係が成り立っている。
【0025】
なお、本実施例ではディスク8の幅は4mmに設定されている。ディスク8の直径は40mm(ちなみに従来は50mm)に設定されている。ロールシャフト7の間隔は35mm(ちなみに従来は45mm)に、直径は13mmに設定されている。隣接しているロール5間のディスク8のオーバーラップ量w3 は5mmに設定されている。同一ロール5内に存在するディスク8の間隔w1 は一律に50mmに設定されている。また、隣接しているロール5におけるディスク8のずらし量は5mmに設定されている。従って、このずらし量のほうが前記ディスク8の幅よりも若干大きいことになる。
【0026】
次に、上側ロール群R2 を構成するロール6について説明する。図2(b)に示されるように、これらのロール6が有するディスク8も、搬送方向であるロール6の配列方向A1 に沿って千鳥状に配置されるとともに、互いに少しずつずらした状態で配置されている。ただし、同一ロール6内に存在するディスク8の間隔w2 は、下側ロール群R1 のそれよりも大きく、75mmに設定されている。なお、その他の寸法については下側ロール群R1 のそれと等しくなっている。
【0027】
さて、本実施例のエッチング機1においては、上述のようにディスク8が千鳥状にかつ少しずつずらした状態で配置されている。従って、前記各ディスク8はほとんどロール5,6の配列方向A1 に沿った直線L1 上に乗っていない。一方、従来のエッチング機においては、ディスク8は同じく千鳥状に配置されているものの、前記各ディスク8は前記直線L1 上に乗るように規則的に配置されている。このため、従来では銅張積層板3の特定部分に何度もディスク8が接触するという特徴がある。ゆえに、接触頻度の多い部分とそうでない部分とでエッチング液の行き渡り具合に差が生じ、これが筋状のローラ跡や処理ムラ等の原因となる。その反面、実施例では銅張積層板3の特定部分に何度もディスク8が接触するということがないため、エッチング面にエッチング液を均等に行き渡らせることができる。従って、完全千鳥状にディスク8を配置していた従来に比べて、筋状のローラ跡や処理ムラ等が生じにくなる。その結果として、好適なエッチング性が維持される。さらに、本実施例のようにディスク8の配置の変更を主とする改良方法であると、既存の設備の大幅な改造を伴わないため、実施が比較的容易であるというメリットがある。
【0028】
続いて、上記のエッチング機1を用いた評価試験の方法及び結果について説明する。この評価試験では、L/S=100μm/100μmのくし歯パターンが形成された試験用の銅張積層板3を用いて、搬送性を調査した。前記銅張積層板3のサイズは340mm×510mmとし、銅箔の厚さは35μmとした。銅張積層板3の厚さは3段階(0.8mm,0.4mm,0.1mm)に設定した。ここでは、搬送性の良否を判断するうえで、パターン断線の有無及び端部3aの屈曲等に起因する折れ・破れの有無の二点を考慮した。表1にその結果を示す。なお、エッチング性は一定となるように設定した(パターンの形成精度σn-1 =6.3μm,粗密差の平均値=10μm)。粗密差とは、配線パターン間のスペースが密である箇所の銅箔と、疎である箇所の銅箔との厚さの差を意味する。エッチング機1の他の運転条件は以下の通りである。
【0029】
・オシュレーションの揺動回数: 最大50rpm,
・スプレー流量: 5.2リットル/分,
・総流量: 547リットル/分,
・スプレー圧: 2kgf/cm2 , ・ラインスピード: 2.8m/分.
【0030】
【表1】
表1からも明らかなように、このエッチング機1によると、板厚が0.1mmのときであっても、パターン断線や折れ・破れが発生することもなく、好適な搬送性が確保されていた。以上のように、本実施例によると、エッチング性を維持しつつ搬送性を向上させることができる。
〔実施例2〕
図5〜図7には、実施例2の自動水平スプレーエッチング機21が示されている。このエッチング機21も、実施例1と同じく4つのエッチングチャンバ2を備えている。ここでは、実施例1との相違点を中心に説明することとし、共通部分については同じ部材番号を付してその詳細な説明を省略する。また、4つあるエッチングチャンバ2のうち、主に後段の2つの構成について述べる。
【0031】
実施例2のエッチング機21の場合、コンベア部22を構成する各部材の寸法や配置等が実施例1の場合と相違している。
まず、下側ロール群R1 を構成するロール5について説明する。図7に示されるように、これらのロール5が有するディスク8は、搬送方向であるロール5の配列方向A1 に沿って千鳥状に配置されるとともに、互いに少しずつずらした状態で配置されている。この点については実施例1と何ら変わりはない。
【0032】
ただし、本実施例では、同一ロール5内に存在する複数のディスク8のうち、銅張積層板3の端部3aを保持するディスク8が、銅張積層板3の中央部3bを保持するディスク8よりも相対的に密に配置されている。具体的には、図5(b),図7に示されるように、銅張積層板3の端部3aを保持するディスク8のロール5の間隔w1 が25mmに設定されている。一方、銅張積層板3の中央部3bを保持するディスク8の間隔w1 が50mmまたは55mmに設定されている。従って、銅張積層板3の端部3aを保持する部分のディスク8は、銅張積層板3の中央部3bを保持する部分のディスク8の約2倍の密度で設置されていることになる。上側ロール群R2 を構成する各ロール6についてこのような配置方法を採用してもよく、採用しなくてもよい。本実施例では、基本的に前記配列方法を採用している(図5(b) 参照)。
【0033】
さらに、図5(a)に示されるように、上側ロール群R2 を構成するロール6は1つおきに間引きされている。その理由は、上面側のエッチング性の維持をより確実に図るためである。なお、下側ロール群R1 については、このような間引きは行われていない。また、上側ロール群R2 における間引きは、4つあるエッチングチャンバ2のうち前段の2つについてのみ実施され、後段の2つについては実施されていない。これは、エッチング機21の前段と後段とでは、搬送される銅張積層板3の状態に微妙な変化が生じることに起因する。即ち、後段になるほどエッチングが進むため銅箔が薄くなり、銅張積層板3がより屈曲・変形しやすくなるからである。
【0034】
次に、本実施例における流体供給手段について説明する。このエッチング機21も、上下7本のシャワー管10、前記各シャワー管10に固定された複数個のスプレーノズル11及び図示しないポンプとからなる流体供給手段を備えている。この点については実施例1と同じである。
【0035】
だだし、本実施例では、コンベア部22の下方に設けられたシャワー管10におけるスプレーノズル11の配置に変更が加えられている。即ち、図6にて概略的に示されるように、前記各シャワー管10のうち内側にある3本には、実施例1と同じく9個のスプレーノズル11が等間隔に設けられている。これらのシャワー管10に存在するスプレーノズル11は130mmピッチである。前記各スプレーノズル11は、その設置位置からして、主に銅張積層板3の中央部3bにエッチング液を噴射する。一方、それ以外の4本のシャワー管10には、17個のスプレーノズル11が等間隔に設けられている。これらのシャワー管10上に存在するスプレーノズル11のピッチは約70mmである。前記各スプレーノズル11は、その設置位置からして、主に銅張積層板3の両端部3aにエッチング液を噴射する。従って、図5(b)に概略的に示されるように、エッチングチャンバ2の両端部にはその中央部よりも相対的に密にスプレーノズル11が配置されていることになる。この場合、銅張積層板3の端部3aに供給されるエッチング液の単位時間あたりの量は、銅張積層板3の中央部に供給されるそれに比べて相対的に多くなる。
【0036】
さて、以上のような実施例2のエッチング機21は、実施例1と基本構成を同じくしていることから、言うまでもなく同様の作用効果を奏する。また、本実施例によると、銅張積層板3の両端部3aを保持するためのディスク8が相対的に密に配置されている。ゆえに、両端部3aを保持する箇所が実施例1よりも多くなっている。このため、両端部3aの屈曲が確実に防止され、結果として銅張積層板3の搬送性がいっそう向上する。さらに、本実施例では、両端部3aにディスク8を密に配置するばかりでなく、当該部分についてスプレーノズル11も密に配置することとしている。従って、ディスク8の増設により障害物が多くなったとしても、特に問題が起こることはない。つまり、スプレーノズル11を増設したことによって、エッチング液を両端部3aに充分に行き渡らせることができる。よって、好適なエッチング性が確実に維持される。また、本実施例では上側ロール群R2 が約半分に間引かれているため、その分だけ上面側へのエッチング液の行き渡りがよくなっている。このことは、上面側におけるエッチング性の維持、さらにはその向上にプラスに作用する。
【0037】
続いて、このエッチング機21を用い、実施例1の方法に準拠して評価試験を実施した結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
表2からも明らかなように、このエッチング機21によると、板厚が0.1mm,0.06mmのときであっても、パターン断線や折れ・破れが発生することもなく、好適な搬送性が確保されていた。以上のように、本実施例によると、エッチング性を維持しつつ搬送性をよりいっそう向上させることができる。
【0039】
なお、本発明は例えば次のように変更することが可能である。
(1)実施例1において特定のロール5Aを基準とした場合、少なくともその2つ隣以内に存在するロール5B,5Cのみについて、同一の直線L1 上にディスク8が乗らないように各ディスク8をずらすこととしてもよい。この場合でも実施例1に準ずる効果が得られる。なお、複数本あるロール5の全てについて上記関係が満たされていることが最も好ましい。
【0040】
(2)流体供給手段の一部である供給口として、スプレーノズル11以外のものを使用してもよい。また、スプレーノズル11を使用した場合でも、例えばその設置密度はそのままにし、銅張積層板3の両端部3aに噴射するエッチング液の単位時間あたりの量のみを相対的に増やすという方法を採ってもよい。
【0041】
(3)実施例2において、上側ロール群R2 を構成するロール6を2つおきまたは3つおきに間引くこととしてもよい。このような構成は、上面側のエッチング性のさらなる維持・向上につながる。また、実施例1において上側ロール群R2 のロール6を間引いてもよい。
【0042】
(4)上側ロール群R2 を構成するロール6のディスク8のうちの少なくとも一部のものは、下側ロール群R1 を構成するロール5のディスク8が疎である箇所(即ち、同一ロール5内にて隣接するディスク8の間隙)に対応して配置されることが好ましい。このようにすると、ディスク8によって銅張積層板3の上面が押さえられるため、下方から噴射されるエッチング液による銅張積層板3の部分的な吹き上がりが確実に防止される。従って、搬送性の向上が図られる。
【0043】
(5)実施例2において、密である箇所のディスク8を1軸ごとまたは2軸ほとに間引いてもよい。このような構成にすると、間引いたことによって液が充分に行き渡るようになり、エッチング性の維持・向上がよりいっそう確実に図られる。
【0044】
(6)実施例2において、上側ロール群R2 を構成するロール6のディスク8の疎な箇所におけるピッチは、50mm,55mmに限定されることはなく、例えば75mmなどにしてもよい。
【0045】
(7)処理流体は実施例1,2のようなエッチング液のみに限定されることはなく、処理の目的に応じてそれ以外の液体や、さらには気体等を用いることも可能である。
【0046】
(8)本発明は、実施例1,2にて示した自動水平スプレーエッチング機1,21以外のエッチング機に適用することができるばかりでなく、例えば現像装置等のような他の自動水平スプレー処理装置にも適用することができる。
【0049】
なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「処理流体: 被搬送物である薄板を処理するための液体や気体をいい、例えばエッチング液や現像液などを含む。」
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜4に記載の発明によれば、処理流体による薄板の処理性を維持しつつ薄板の搬送性の向上を図ることができる薄板搬送処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施例1の自動水平スプレーエッチング機の主要部を示す部分概略正面図、(b)は同じく部分概略側面図。
【図2】(a)は下側ロール群を示す部分拡大図、(b)は上側ロール群を示す部分拡大図。
【図3】前記エッチング機のスプレーノズルの配置を説明するための概略平面図。
【図4】前記エッチング機における下側ロール群のディスクの配置を説明するための部分概略平面図。
【図5】(a)は実施例2の自動水平スプレーエッチング機の主要部を示す部分概略正面図、(b)は同じく部分概略側面図。
【図6】前記エッチング機のスプレーノズルの配置を説明するための概略平面図。
【図7】前記エッチング機における下側ロール群のディスクの配置を説明するための部分概略平面図。
【図8】(a)は従来例の自動水平スプレーエッチング機の主要部を示す部分概略正面図、(b)は同じく部分概略側面図。
【図9】従来のエッチング機における下側ロール群のディスクの配置を説明するための部分概略平面図。
【図10】従来のエッチング機の下側ロール群を示す部分拡大図。
【符号の説明】
1,21…薄板搬送処理装置としての自動水平スプレーエッチング機、3…薄板としての銅張積層板、3a…薄板の端部、3b…薄板の中央部、5,6…ロール、8…ディスク、11…流体供給手段としてのスプレーノズル、A1 …ロールの配列方向、w1 …(下側ロール群を構成する)ロールの間隔、w2 …(上側ロール群を構成する)ロールの間隔、R1 …下側ロール群、R2 …上側ロール群、L1 …直線。
Claims (4)
- 複数枚のディスクを持つロールを配列してなる下側ロール群と、その下側ロール群の上方に前記ロールを配列してなる上側ロール群と、両ロール群によって挟持される薄板に処理流体を供給する流体供給手段とを備え、前記ロールの配列方向に沿って前記薄板を搬送する薄板搬送処理装置において、同一ロール内に存在する複数のディスクのうち、前記薄板の端部を保持するディスクを、前記薄板の中央部を保持するディスクよりも相対的に密に配置し、かつ前記流体供給手段に第1及び第2の流体供給領域を設けるとともに、第1の流体供給領域により前記薄板の端部に供給される前記処理流体の単位時間あたりの量を、第2の流体供給領域により前記薄板の中央部に供給される前記処理流体の単位時間あたりの量よりも相対的に多くするように設定し、さらに前記第1及び第2の流体供給領域が前記薄板の搬送方向であるエッチングチャンバの長手方向に対して角度を有することを特徴とする薄板搬送処理装置。
- 前記流体供給手段は複数のシャワー管とそれらに設けられたスプレーノズルとからなる請求項1に記載の薄板搬送処理装置。
- 前記上側ロール群を構成するロールを1つおきに間引いた請求項1に記載の薄板搬送処理装置。
- 薄板をエッチング処理するエッチングチャンバと、前記薄板の上下に互いに平行に配置され、該薄板の搬送方向である前記エッチングチャンバの長手方向に対して角度を有する複数のシャワー管と、前記各シャワー管に配置され、エッチング液を供給するための複数のスプレーノズルと、を備えることを特徴とする薄板搬送処理装置。
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