JP3785662B2 - 回路しゃ断器の開閉操作機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器保護用のサーキットプロテクタなどに適用する回路しゃ断器の開閉操作機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、頭記した回路しゃ断器(サーキットプロテクタ)の従来構成,並びにON,OFF,トリップ開閉動作を図6,図7,図8に示す。図6において、1は樹脂モールド品としてなる回路しゃ断器の樹脂ケースであり、樹脂ケース1の内部には固定接触子2,可動接触子3,可動接触子ホルダ4,該ホルダ4に連結した回動式の操作ハンドル5、電磁式引外し装置6、該引外し装置6の継鉄部に一端を軸支したアーチ状の係止レバー7、該係止レバー7の先端と可動接触子ホルダ4との間に張架した開閉ばね(引張ばね)8、前記係止レバー7に対向するラッチ爪9などの各部品が図示のように組み込まれており、前記の可動接触子ホルダ4,操作ハンドル5,係止レバー7,開閉ばね8でトグルリンク式の接点開閉機構を構成している。なお、10は引外し装置6のアーマチュア6aとラッチ爪9との間に掛け渡してラッチ爪9を鎖錠位置に付勢するばねである。
【0003】
かかる構成で、図6の接点ONの状態から手動操作により操作ハンドル5を支軸5aの回りで反時計方向に移動操作すると、操作ハンドル5の腕部5bと可動接触子ホルダ4とを連結した支軸4aが右方向に移動し、この移動過程でトグルリンク機構の反転ポイントを超えると開閉ばね8のばね付勢力でトグルリンク機構が反転動作して可動接触子3が開離し、図7のOFF状態になる。なお、操作ハンドル5の操作によるON,OFFの状態では、係止レバー7の係合片7aがラッチ爪9に係止されたまま図示の位置に鎖錠されている。また、OFF位置から操作ハンドル5を時計方向に回すと、接点は復帰動作して図示のON状態に戻る。
【0004】
さらに、ONの状態で回路に流れる過電流を検出して電磁引外し装置6が作動すると、アーマチュア6aの吸引動作によりアーマチュア6aのレバー6bがラッチ爪9から突出したレバーを叩いて係止レバー7との係合を解く。これにより、係止レバー7は支軸7bを揺動支点として開閉ばね8のばね力により反時計方向へ急速に回動し、その回動途上で開閉ばね8との結合点が可動接触子ホルダ4の支軸4aより左側に移動すると、トグルリンク機構が反転して可動接触子3が開離して図8に示すようにトリップ動作状態となる。そして、トリップ動作後は操作ハンドル5を一旦図7で示すOFFの位置に回した後にON位置に操作して図6のON状態にリセットする。この場合に、操作ハンドル5をトリップ位置からOFF位置に操作すると、ハンドル5の腕部5aの側縁に形成した膨出部5cが係止レバー7に形成した平坦面を呈する当接部7cの面と摺動し合いながら開閉ばね8のばね力に抗して係止レバー7を右方向に押し込む。これにより、係止レバー7は支軸7bを支点に時計方向に回動し、OFF位置直前で係止レバー7の係合片7aをラッチ爪9に係止してリセットされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来構成の接点開閉操作機構では、ハンドルによるOFF操作,リセット操作の際に次記のような動作上の問題点が残る。
1)操作ハンドル5の手動操作によりON位置からOFF位置に切換える途中でハンドルから手を離すと、操作ハンドル5が中途半端な位置に停止したままになることがある。
【0006】
すなわち、ハンドル5をONからOFFに向けて反時計方向に回していくと、その途中で可動接触子ホルダ4と開閉ばね8とが一直線上に並んでトグルリンク機構が反転直前で釣り合う点があり、そのために、OFF操作の途中でハンドル5から手を離すと、ハンドル5がその位置で止まり、外見上では接点が開離した(OFF状態)のか、閉じたまま(ON状態)なのかが目視判別できないといった不具合が発生する。
【0007】
2)過電流によりトリップ動作した後に行うリセット操作において、ハンドル5をトリップ位置からOFF位置に切り換える途中で手を離すと、前記と同様に操作ハンドル5が中途半端な位置に停止してしまい、外形上ではトリップ状態のままなのか、係止レバー7がリセット位置に復帰したのが目視判別できないといった問題がある。
【0008】
すなわち、従来構造のように係止レバー7の当接部7cが平坦面であると、リセット操作時にハンドル5を反時計方向に回すと、前記膨出部5cと当接部7cとの間の接触点(力点)が操作ハンドル5の腕部先端側に移り変わり、同時に係止レバー7の時計方向の回動とともに当接部7cの平坦面が前傾姿勢(図8参照)から後傾姿勢(図7参照)に向きを変える。このために、膨出部5cと当接部7cとの間の接触点を介して操作ハンドル5に作用する開閉ばね8の抗力Fの向きが図8,図9で表すように変化する。すなわち、図8のトリップ動作後の状態では抗力F(当接面と直角方向に作用する)が操作ハンドル5を時計方向へ押し戻す方向に大きく働くが、操作ハンドル5をOFF位置に向けて回すと抗力Fの分力がハンドル5の腕部を支軸5aに押しつけるように作用し、操作ハンドル5をOFF位置に押し戻す力が小さくなる。この結果、ハンドル5と支軸5aとの間の摩擦抵抗も加わり、リセット操作の途中で操作ハンドル5から手を離すとハンドルはトリップ位置とOFF位置の間の中途半端な位置に停止してしまう。
【0009】
本発明は、上記の点にかんがみなされたものであり、その目的は前記した課題1)を解決し、ハンドルの手動操作によるOFF操作の途中でハンドルから手を離しても、ハンドルが操作途上の中途半端な中間位置で停止することがないようにした回路しゃ断器の開閉操作機構を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、開閉操作機構を次記のように構成するものとする。
1)先記した課題1)の解決手段として、可動接触子ホルダの側縁に突起Aを設けるとともに、接点ONの状態で前記突起Aの近傍に向かい合う電磁引外し装置の継鉄部に前記突起Aに向けて突出する蹴り出し用突起Bを設け、操作ハンドルを手動操作によりONからOFFに切換操作する途上で、前記突起Aをトグルリンク機構の反転ポイント直前に突起Bに突き当て、突起A,B間の当接点を支点として、トグルリンク機構をOFF位置に向けて蹴り出すようにする。
【0012】
前記構成の突起A,Bは次記のように機能する。
すなわち、前項1)の構成によれば、操作ハンドルをON位置からOFF位置に向けて移動すると、その操作途上におけるトグルリンク機構の反転ポイント直前で突起AとBが突き当たって一時的にハンドルに制動力が働く。したがって、この位置で仮に操作ハンドルから手を離しても、操作ハンドルは開閉ばねのばね力でON位置に戻り、中途半端な中間位置に停止することがない。また、突起AとBの当接地点で操作ハンドルから手を離さずに、さらにOFF位置に向けてハンドル操作を続行すると、突起AとBとの当接点を支点に可動接触子ホルダが開離方向に蹴り出される。これにより、トグルリンク機構は一気に反転ポイントを超えてONからOFFに反転動作する。つまり、操作ハンドルをONからOFFに切換える操作途上では、トグルリンク機構が釣り合ったまま操作ハンドルが停止することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。おな、図1は開閉操作機構の分解斜視図、図2,図3,図4はそれぞれ回路しゃ断器のON,OFF,トリップ状態を表す図、図5はONからOFFへの切換え操作時におけるトグルリンク機構の動作を表すす説明図であり、各図中で図6に対応する同一部材には同じ符号が付してある。
【0015】
すなわち、図示実施例の構成おいては、接点開閉操作機構,並びにON,OFF,トリップ動作は基本的に図6〜図8に示した従来構造と同じであるが、可動接触子ホルダ4の側縁に突起Aを設けるとともに、該突起Aに対向して電磁引外し装置6の継鉄部6bに形成した係止レバー7の軸受部6cには、前記突起Aに向けて突出する蹴り出し用の突起Bが形成されている。また、操作ハンドル5の腕部5bの下部側縁には円弧面Cを呈する膨出部5cが形成されており、この膨出部5cに対向して係止レバー7に形成した当接部7cは円弧状の当接面Dを呈するようにR曲げ加工が施されている。
【0016】
次に、前記構成で操作ハンドル5をONからOFFに切換え操作する場合の動作を図5で説明する。なお、図5(a)は可動接触子ホルダ4,操作ハンドル5,係止レバー7,開閉ばね8の組合わせからなるトグルリンク機構のON状態を表す図、図5(b)は(a)に対応する模式図、図5(c)は切換え操作途上における可動接触子ホルダの蹴り出し動作開始の状態を表す模式図、図5(d)は蹴り出し後の反転動作を表す模式図である。すなわち、図5(a),(b)で表すON状態では突起AとBとが間隙を隔てて対向している。この位置から操作ハンドル5を反時計方向に回動すると、図5(c)で示すように、トグルリンク機構の反転ポイント直前で突起AがBに突き当たり、操作ハンドル5に一時的に制動力が加わる。この状態で操作ハンドル5から手を離しても、開閉ばね8のばね力により操作ハンドル5は図5(b)のON位置に戻る。一方、図5(c)の位置で操作ハンドル5から手を離さずにOFF位置に向けて力を加えると、図5(d)で表すように、可動接触子ホルダ4は突起AとBとの当接点を支点として時計方向に傾動して可動接触子3が固定接触子2から開離するとともに、同時に可動接触子ホルダ4の支軸4aが開閉ばね8の右側に移動する。これにより、トグルリンク機構がOFF位置に向けて反転動作する。この動作から判るように、ONからOFFへの切換え途上ではトグルリンク機構の釣り合う地点がなく、途中で操作ハンドルから手を離しても、ハンドルはON位置に戻るか,あるいはOFF位置に進むかのいずれかであり、操作ハンドル5が中途半端な中間位置に停止するおそれはない。
【0017】
また、図4に示すトリップ動作後の状態では、係止レバー7の円弧状当接面Dが操作ハンドル5の円弧状膨出部Cに当接しており、この状態で開閉ばね8のばね力で膨出部Cに押しつけられている。ここで、係止レバー7をリセットさせるために操作ハンドル5をOFF位置に向けて反時計方向に手動操作すると、操作ハンドル5の円弧状膨出部Cと係止レバー7の円弧状当接面Dとが摺動し合いながら係止レバー7をリセット位置に向けて押し込む。この場合に、膨出部Cと当接面Dとの当接点(力点)介して操作ハンドル5に加わる開閉ばね8の抗力Fは、係止レバー7の傾動位置に関係なく前記膨出部Cの円弧中心と当接面Dの円弧中心との間を結んだ方向、つまり常に操作ハンドル5をOFF位置に押し戻す方向に作用する。したがって、リセット操作の途中でハンドルから手を離しても、操作ハンドルが中途半端な中間位置に停止することがない。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば、ハンドルの手動操作によりONからOFFへ切換える操作過程の途中で操作ハンドルから手を離しても、操作ハンドルが中途半端な位置に停止することがなくなり、これにより従来の回路しゃ断器で問題となっていたON,OFF,リセット操作に対応する操作ハンドルの各位置の目視判別不能の問題点を解消して回路しゃ断器の信頼性向上化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による回路しゃ断器の開閉操作機構の分解斜視図
【図2】本発明実施例の回路しゃ断器のON状態図
【図3】本発明実施例の回路しゃ断器のOFF状態図
【図4】本発明実施例の回路しゃ断器のトリップ動作後の状態図
【図5】本発明の実施例で開閉操作機構をONからOFFに切り換える際の動作説明図であり、(a)はON状態のを表す図、(b)は(a)に対応する模式図、(c)は切換え操作の途上における可動接触子ホルダの蹴り出し動作地点の状態を表す模式図、(d)は蹴り出し後の反転動作を表す模式図
【図6】従来における回路しゃ断器のON状態図
【図7】従来における回路しゃ断器のOFF状態図
【図8】従来における回路しゃ断器のトリップ動作後の状態図
【符号の説明】
1 樹脂ケース
2 固定接触子
3 可動接触子
4 可動接触子ホルダ
5 操作ハンドル
5a 支軸
5b 腕部
6 電磁引外し装置
7 係止レバー
8 開閉ばね
9 ラッチ爪
A,B 突起
C 円弧状膨出部
D 円弧状当接面
Claims (1)
- 回動式の操作ハンドルと、該ハンドルの腕部に軸支連結した可動接触子ホルダと、電磁引外し装置に連繋した係止レバーと、該係止レバーの先端と可動接触子ホルダとの間に張架した開閉ばねとでトグルリンク機構を構成し、ハンドルの手動操作によりON,OFF,およびトリップ動作後のリセットを行うとともに、過電流が流れると前記係止レバーの回動により前記トグルリンク機構を反転させてトリップ動作させる回路しゃ断器の開閉操作機構において、
前記可動接触子ホルダの側縁に突起Aを設けるとともに、接点ONの状態で前記突起Aの近傍に向かい合う電磁引外し装置の継鉄部に前記突起Aに向けて突出する蹴り出し用突起Bを設け、操作ハンドルを手動操作によりONからOFFに切換操作する途上で、前記突起Aをトグルリンク機構の反転ポイント直前に突起Bに突き当て、この突き当て点を支点としてトグルリンク機構をOFF位置に向けて蹴り出すようにしたことを特徴とする回路しゃ断器の開閉操作機構。
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