JP3779205B2 - 直流機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両方向の回転用途に供せられる直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラシとコンミテータとを備えた直流モータ(直流機)では、ブラシとコンミテータにより、電機子コイルに通電している電流の方向が切り替えられる、いわゆる整流が行われる。しかし、多くの直流モータでは、整流状態が不足整流となり、これは性能向上を妨げる要因となっている。
【0003】
この不足整流を解決するために、本出願人は、マグネットの磁束(密度)分布を変えることで整流中の電機子コイルを通過する磁束量を変え、整流が改善できように構成したものを提案している(例えば、特開2001−95218号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開2001−95218号公報の構成で使用されるマグネットの磁束分布は、一方向の回転用途にのみ供せられる直流モータを前提に提案されたものであった。また、同直流モータでは、マグネットを収納固定するヨークの形状は円筒形状である。従って、扁平円筒状のヨークを有し両方向の回転用途に供せられる直流モータに対しては、良好な整流状態を保つことが困難となっていた。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、扁平円筒状のヨークを有し、両方向の回転においてそれぞれ良好な整流を行うことができる直流機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装してなる両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されるマグネットと、平坦部と湾曲部とを有して扁平円筒状に形成され該湾曲部に前記マグネットが配置されるヨークと、整流子に接触し前記電機子コイルに直流電流を供給するブラシとを備え、前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部の回転方向両端に周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部とを有し、前記延長部は、前記主磁束部の各端部において該主磁束部よりも磁束を弱くした弱磁束部を有し、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記弱磁束部に配置され、前記マグネットの延長部に磁性金属を配設し、前記ヨークの前記平坦部において前記電機子コアに対向する範囲であって前記マグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔を形成した。
【0007】
請求項2に記載の発明は、複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装してなる両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されるマグネットと、平坦部と湾曲部とを有して扁平円筒状に形成され該湾曲部に前記マグネットが配置されるヨークと、整流子に接触し前記電機子コイルに直流電流を供給するブラシとを備え、前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部の回転方向両端に周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部とを有し、前記延長部は、前記主磁束部の各端部において該主磁束部よりも磁束を弱くした弱磁束部を有し、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記弱磁束部に配置され、前記ヨークの前記平坦部において、前記電機子に対向する範囲であって前記マグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔を形成し、該ヨーク孔の前記弱磁束部側にそのヨーク孔の面積が前記周方向外側から前記弱磁束部側に向けて徐々に減少するよう延出部を形成した。
【0008】
請求項3に記載の発明は、延出部は、その面積が前記マグネットの端部側から弱磁束部側に向けて徐々に増加するよう形成され、その増加度合はマグネットの端部側ほど小さい。
【0009】
(作用)
電機子の回転時には、電機子コイルのインダクタンスにより電流を妨げる向きのリアクタンス電圧が同電機子コイルに発生する。一方、電機子の回転に伴って整流中の電機子コイルを通過する磁束量が変化すると、その変化によって逆起電力である誘起電圧が発生する。
【0010】
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、上記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部の回転方向両端に、周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部を有している。各延長部は、主磁束部の各端部において該主磁束部よりも磁束を弱くした弱磁束部を有する。そして、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が、回転方向前側となる弱磁束部に配置される。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、マグネットの延長部に磁性金属が配設されており、電機子の発生する磁界により、回転方向前側となる延長部に配置された磁性金属は同延長部を減磁する方向に磁化される。従って、電機子の回転に伴い回転方向前側となる上記減磁された延長部によって、整流中の電機子コイルを通過する磁束量がより顕著に漸増し、上記誘起電圧も整流開始時から漸増する。この誘起電圧は、上記リアクタンス電圧を打ち消すように作用する。
【0012】
一方、各回転方向において回転方向後側となる延長部に配置された磁性金属は、電機子の発生する磁界により、同延長部を増磁する方向に磁化される。従って、この磁性金属は、回転方向後側となる延長部の本来の磁束分布(弱磁束部での磁束減少)を補充する。従って、回転方向後側となる延長部による整流中の電機子コイルを通過する磁束量の本来の変動は抑制される。
【0013】
また、ヨークの平坦部において電機子コアに対向する範囲であってマグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔を配設したので、マグネットの延長部がヨークの平坦部に接近することによりその平坦部に磁束が流れ、該平坦部に磁束が集中するといったことが回避される。
【0014】
以上により、各回転方向において電機子の回転に伴う整流中の電機子コイルを通過する全体としての磁束量の変化は、回転方向前側となる延長部によるものが(回転方向後側となる延長部によるものに比して)支配的になる。すなわち、電機子の回転に伴って整流中の電機子コイルを通過する磁束量が漸増し、電機子コイルのインダクタンスの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生され、各回転方向においてそれぞれ整流が改善される。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ヨークの平坦部において、電機子に対向する範囲であってマグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔が配設され、該ヨーク孔の弱磁束部側には、ヨーク孔の面積が周方向外側(マグネット端部側)から弱磁束部側に向けて徐々に減少するよう延出部が設けられている。つまり、この延出部は、弱磁束部側の面積が最も大きくマグネットの端部側に向かって減少するよう形成されている。この場合、ヨーク孔を形成することにより、請求項1と同様に、平坦部に磁束が流れ該平坦部に磁束が集中するといったことが回避される。また、延出部は、請求項1の発明における磁性金属の役割を果たす。つまり、電機子の発生する磁界により、回転方向前側にある延出部はマグネットの延長部を減磁する方向に磁化される。この延出部は、弱磁束部側ほど面積が大きいため、弱磁束部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。よって、整流中の電機子コイルを通過する磁束量がより顕著に漸増し、リアクタンス電圧を打ち消す好適な誘起電圧が発生する。一方、電機子の発生する磁界により、回転方向後側にある延出部は、マグネットの延長部を弱磁束部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。従って、回転方向後側となる延長部の本来の磁束分布(弱磁束部側ほど磁束減少)をより好適に補充し、同延長部による整流中の電機子コイルを通過する磁束量の変動は略皆無とされる。その結果、請求項1と同様に、各回転方向においてそれぞれ整流を改善することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、延出部は、その面積が前記マグネットの端部側から主磁束部側に向けて徐々に増加するよう形成され、この面積の増加度合はマグネットの端部側ほど小さい。このようにすると、ヨークの平坦部に磁束が集中することを防止する上で好ましいものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を直流機としての自動車用小型モータに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。なお、図1は、直流機としての自動車用小型モータ(以下、「小型モータ」という)の概略構造を示す部分断面図である。
【0018】
図1に示すように、小型モータ1は、マグネット2,3、電機子4、ブラシ5a,5b等を有している。
詳述すると、本実施形態の小型モータ1は、2極の直流モータであって、軟鉄製のヨーク(モータハウジング)7内において、N極及びS極を形成する断面円弧状の2つのマグネット(例えば、フェライト磁石)2,3が電機子4を挟んで対向配置されている。ヨーク7は、平坦部7aと湾曲部7bとを有し扁平円筒状(断面小判状)に形成されている。2つのマグネット2,3は、電機子4の中心点Oに対して点対称となるよう湾曲部7bの内周面に固定されている。電機子4は、電機子コア8と、その電機子コア8に巻装される電機子コイル(巻線)9a,9bと、コンミテータ(整流子)10とを有している。同図において、電機子コイル9a,9bも中心点Oに対して点対称に配置されている。そして、電機子4は、供給される直流電流の方向を切り替えることにより時計回り方向(図1においてCW方向)及び反時計回り方向(図1においてCCW方向)のいずれにも回転駆動できるよう構成されている。
【0019】
電機子コア8には、等間隔に断面略T字状の複数(本実施形態では12個)のティース8aが形成されており、そのうちのn個(本実施形態では4個)のティース8aを1組としてその周囲に上記電機子コイル9a,9bが巻き付けられている。図示を省略しているが、複数の他の電機子コイルがn個(4個)のティース8aを1組として同様に巻き付けられている。つまり、巻線の巻装方式は分布巻である。なお、本実施形態では、ティース8aの個数は12個であり、同ティース8aは電機子4の周方向に30°ごとに形成されている。つまり、隣り合うティース8aは、その中心線のなす角が30°(=360°/12)となるように形成されている。
【0020】
コンミテータ10は、電機子4の一端に配置され、複数(12個)の整流子片11を有して構成されている。そして、図1及び図2に示すように、隣り合う整流子片11a,11b間は前記電機子コイル9aにて結線され、隣り合う整流子片11c,11d間は前記電機子コイル9bにて結線されている。なお、上記整流子片11bに隣接する整流子片11aと反対側は整流子片11eとなっており、整流子片11dに隣接する整流子片11cと反対側は整流子片11fとなっている。これら隣り合う整流子片11b,11e間、整流子片11d,11f間も、それぞれ図示しない電機子コイルにて結線されている。
【0021】
図1において、中心点Oを基準とし、整流子片11a,11b,11eの点対称となる位置に整流子片11c,11d,11fが配置されている。そして、各整流子片11間のスリットは、各ティース8a間の略中間に位置するようになっている。また、ブラシ5a,5bがコンミテータ10に摺接するように付勢された状態で配設されている。電機子コイル(9a,9b)には、図示しない直流電源から供給される直流電流が、ブラシ5a,5bとコンミテータ10の各対応する整流子片(11a,11b,11c,11d)を経て流入される。
【0022】
ブラシ5a,5bと整流子片11との当接幅に対応する角度は、整流子片11間の角度、即ち整流子片11の配列ピッチと略同等の角度に設定されている。ブラシ5a,5bは、回転方向に応じて異なる整流子片11を短絡するようになっている。具体的には、図1において、電機子4がCW方向に回転すると、ブラシ5aは整流子片11a,11b間を短絡し、ブラシ5bは整流子片11c,11d間を短絡する。一方、電機子4がCCW方向に回転すると、ブラシ5aは整流子片11b,11e間を短絡し、ブラシ5bは整流子片11d,11f間を短絡する。このように、ブラシ5a,5bが短絡する整流子片11の位置は回転方向に応じて切り替わる。
【0023】
本実施形態において、ブラシ5aが直流電源のプラス端子(+)に接続されブラシ5bが直流電源のマイナス端子(−)に接続されて電機子コイルに直流電流が供給されると、電機子4がCW方向に回転し始める。そして、図2に示すように、ブラシ5aにより整流子片11a,11b間が短絡されて電機子コイル9aには短絡電流i1が流れ、ブラシ5bにより整流子片11c,11d間が短絡されて電機子コイル9bには短絡電流i2が流れる。このブラシ5a,5bによる短絡中に、電機子コイル9a,9bに流れる電流の向きが変更されて、電機子4が時計回り方向(図1のCW方向)に回転し続ける。その回転力が電機子4の中央部から延設された回転軸6を介して外部に伝達される。なお、本実施形態では、図1に示すように、12個の整流子片11が周方向に30°ごとに設けられており、電機子4がブラシ5a,5bに対して30°回転するとき、電機子コイル9a,9bの電流の向きが変更される。つまり、電機子4の30°の回転によって電機子コイル9a,9bの整流が行われる。
【0024】
ちなみに、ブラシ5a,5bが接続される直流電源の極性を切り替えることで、すなわち図2においてブラシ5aが直流電源のマイナス端子(−)に接続され、ブラシ5bが直流電源のプラス端子(+)に接続されることで、電機子4が反時計回り方向(図1のCCW方向)に回転するのはいうまでもない。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のマグネット2,3は、それぞれ主磁束部2a,3aと、同主磁束部2a,3aの一側(図1においてCW方向側)端部(以下、延長部開始点2d,3dという)に設けた延長部2b,3bと、同他側(図1においてCCW方向側)端部(以下、延長部開始点2e,3eという)に設けた延長部2c,3cとを備えている。主磁束部2a,3aは、一般の直流モータに配設されるマグネットに相当する部分である。そして、延長部2b,3b及び延長部2c,3cは、それぞれ上記主磁束部2a,3aの一側(図1においてCW方向側)及び他側(図1においてCCW方向側)の各端部に延出形成されている。
【0026】
主磁束部2a,3aは、電機子コイルが巻装される4つのティース8aのうち一側及び他側(図1においてCW方向側及びCCW方向側)に配置されるティース8aの中心線間の角度(=90°)に対応した長さとなるように形成されている。そして、電機子コイル9a,9bが巻装される4つのティース8aの一端及び他端のなす角度は、主磁束部2a,3a及び一方の延長部2b,3b(又は延長部2c,3c)のなす角度に略一致するように設定されている。
【0027】
また、マグネット2,3の端部(各延長部2b,2c,3b,3c)における外周面は、ヨーク7の平坦部7aの形状に合わせて直線状に面取りされている。そして、ヨーク7の平坦部7aにおいて、延長部2b,2c,3b,3c(面取部)に対向する位置(平坦部7aの両端となる位置)には、ヨーク内外を連通するヨーク孔12が形成されている。ヨーク孔12は、図3に示すように、長方形状をなし、その長手方向が軸線方向と平行となるよう配設されている。このヨーク孔12は、ヨーク7内における電機子コア8に対向する範囲Wで形成されている。すなわち、ヨーク孔12は電機子コア8と対向する位置にあり、その長手方向(軸線方向)の長さは電機子コア8の軸線方向の長さと一致している。
【0028】
このようにヨーク孔12を形成することにより、マグネット2,3の延長部2b,2c,3b,3cからの磁束が平坦部7aに流れ、該平坦部7aに集中してしまうといったことが防止されている。
【0029】
また、図4に示すように、マグネット2,3の各延長部2b,2c,3b,3cの軸線方向両端には、軸線方向中央に向かって穿設された切欠き13が形成されている。この切欠き13の上記軸線方向への深さは、上記延長部開始点2d,2e,3d,3eにおいて最深部となり、周方向外側に向かって徐々に浅くなるように設定されている。換言すると、この切欠き13は、マグネット2,3の各延長部2b,2c,3b,3cの横断面積を上記主磁束部2a,3aの各端部(延長部開始点2d,2e,3d,3e)において略最小にするとともに周方向外側に向かって漸増する。なおここで、延長部の横断面積とは、電機子4の中心点Oを通り軸線方向に平行な面における断面積をいう。
【0030】
マグネット2,3は、図示しない着磁装置を用いて磁化され、かつ、上記延長部2b,2c,3b,3cに切欠き13を形成することにより、図1及び図7の磁束密度分布B2,B3を示すようになる。つまり、周方向に略一定の磁束密度B20,B30を有する主磁束部2a,3aに対して、各延長部開始点2d,2e,3d,3e近傍部分での磁束密度が弱められ、図1に示す磁束密度分布B2,B3となるように磁束変化を持たせている。本実施形態のマグネット2,3では、各延長部開始点2d,2e,3d,3eに対応する部位がそれぞれ磁束密度の極小値B21,B22,B31,B32となる弱磁束部としての磁束極小部である。そして、マグネット2,3の磁束極小部よりも周方向先端側の部位がそれぞれ磁束密度の極大値B23,B24,B33,B34となる磁束極大部である。すなわち、各延長部2b,2c,3b,3cは、これら磁束極小部及び磁束極大部との間で周方向外側に向かって磁束密度が漸増するようになっている。
【0031】
また、図4に示すように、延長部2b,3bには、切欠き13に埋設される態様で磁性金属14bが配置され、延長部2c,3cには、切欠き13に埋設される態様で磁性金属14cが配置されている。この磁性金属14b,14cは、強磁性体(高透磁率材料)である、例えば軟鉄にて形成されている。なお、磁性金属14b,14cは、上記態様で形成された切欠き13に埋設されることから、磁束極小部(延長部開始点2d,2e,3d,3e)を起点として周方向外側に向かってその横断面積が漸減する。
【0032】
ここで、上記マグネット2,3の配置に対して電機子4が発生する磁界の極性及び同磁界により磁化される磁性金属14b,14cの極性について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は小型モータ1のマグネット2,3が対向配置される径方向をy軸として定義し、y軸に直交する径方向をx軸として定義し、このxy平面にて定義される第1象限〜第4象限を示したものである。また、図6はこの小型モータ1(電機子4)が時計回り方向(図5においてCW方向)に回転駆動されているとして各象限でのマグネット2,3による極性、電機子4が発生する磁界の極性及び同磁界により磁化される磁性金属14b,14cの極性をそれぞれ示す一覧図である。
【0033】
同図から明らかなように、第1及び第2象限ではマグネット2によりN極となり、第3及び第4象限ではマグネット3によりS極となる。また、ブラシ5a,5bがマグネット2,3の対向方向(すなわち、y軸方向)に配置され、整流中の電機子コイルが同方向に対向配置される。このことから、電機子4がCW方向に回転駆動されているとき、電機子4が発生する磁界(電機子コイルに流れる電流全体として発生する磁界)の極性は第1及び第4象限ではN極となり、第2及び第3象限ではS極となる。換言すると、マグネット2,3は、電機子4を挟んで同電機子4の発生する磁界の方向と略直交する方向に対向配置されている。そして、上記磁性金属14b,14cはこの電機子4が発生する磁界と逆極性で磁化されることから、第1及び第4象限ではS極となり、第2及び第3象限ではN極となる。
【0034】
すなわち、電機子4がCW方向に回転駆動されているとき、電機子4の発生する磁界により、回転方向前側となる延長部2b,3bに配置された磁性金属14bは同延長部2b,3bにおける磁束を減磁する方向に磁化される。一方、回転方向後側となる延長部2c,3cに配置された磁性金属14cは、電機子4の発生する磁界により、同延長部2c,3cにおける磁束を増磁する方向に磁化される。
【0035】
既述のように、磁性金属14b,14cは、磁束極小部(延長部開始点2d,2e,3d,3e)を起点として周方向外側に向かってその横断面積が漸減する。このため、磁性金属14b,14cは、電機子4の発生する磁界により磁束極小部側ほど大きく、周方向外側に向かって減少するように磁化される。従って、電機子4の発生する磁界により、回転方向前側となる延長部2b,3bに配置された磁性金属14bは、同延長部2b,3bの磁束極小部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。一方、回転方向後側となる延長部2c,3cに配置された磁性金属14cは、同延長部2c,3cの磁束極小部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。
【0036】
次に、このように構成された小型モータ1の動作について図7に基づき更に詳述する。図7は、電機子4(電機子コア8)がCW方向に回転駆動されているとして整流子片11a,11b間(整流子片11c,11d間)における整流開始時、すなわちブラシ5a,5bが回転方向後側の整流子片11a,11cに接触し始めるときのティース8a及びマグネット2,3の磁束密度分布の位置関係を示す説明図である。なお、図7にはマグネット2,3の磁束密度分布(磁束量)に対応させてティース8aの回転角度及びそのときの電機子コイル9a,9bに発生する総磁束量Φとの関係を併せ示している。なお、総磁束量Φは、マグネット2,3による磁束量、電機子コイル9a,9bに流れる電流による磁束量、及び磁性金属14b,14cの着磁に基づく磁束量を合計したものとなっている。同図においては、当該電機子コイル9a,9bに係るティース8aを便宜的に回転方向先頭側(前側)から順番にティース81,82,83,84と記す。
【0037】
既述のように、電機子4の発生する磁界により、回転方向前側となる延長部2b,3bに配置された磁性金属14bは、同延長部2b,3bの磁束極小部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。従って、上記延長部2b,3bは、前記磁束極小部においてマグネット2,3のみでの本来の極小値B21,B31よりも著しく低減された極小値B41を有することになる。そして、各延長部2b,3bは、これら磁束極小部及び前記磁束極大部との間で周方向外側に向かって磁束密度がより顕著に漸増する。
【0038】
一方、回転方向後側となる延長部2c,3cに配置された磁性金属14cは、同延長部2c,3cの磁束極小部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。従って、上記延長部2c,3cは、前記磁束極小部においてマグネット2,3のみでの本来の極小値B22,B32が好適に補充され、同延長部2c,3cでの磁束密度の変動は略皆無とされている。
【0039】
ここで、整流開始時では、ティース81の回転方向先頭側の端部(前端)81aの位置が極小値B41(延長部開始点2d,3d)に配置されるように設定されている。従って、マグネット2,3の磁束密度が極小値B41〜極大値B23,B33の分布特性を有することで整流中は電機子4の回転に伴って電機子コイル9a,9bを通過する磁束量はその分増加(漸増)する。
【0040】
一方、この整流開始時において、ティース84は回転方向後側となる延長部2c,3cの近傍に配置されるが、同延長部2c,3cでの磁束密度の変動は略皆無であるため、この場合での電機子コイル9a,9bを通過する磁束量への影響は抑制される。
【0041】
以上により、整流中では一方の磁束密度の分布特性(極小値B41〜極大値B23,B33)が支配的になって、CW方向に回転駆動されているときの整流期間での総磁束量Φは、図7の実線にて示されるようになる。すなわち、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLの影響によるリアクタンス電圧(L・di/dt)を打ち消す誘起電圧のみが発生され、当該回転方向において整流が改善される。つまり、マグネット2,3は、実質的に延長部開始点2d,3dを起点とする磁束密度の増加領域(極小値B41〜極大値B23,B33)のみを有することによりリアクタンス電圧(L・di/dt)を打ち消す誘起電圧(−dΦ/dt)のみを発生させている。
【0042】
なお、上記においては電機子4(電機子コア8)がCW方向に回転駆動される場合について説明したが、CCW方向に回転駆動される場合についても同様であるためその説明は割愛する。このときの整流期間での総磁束量Φは、図7の破線にて示されるようになる。
【0043】
また、扁平円筒状のヨーク7内において、マグネット2,3の延長部2b,2c,3b,3cがヨーク7の平坦部7aに接近するため、同平坦部7aにヨーク孔12を形成しない場合には、整流期間での総磁束量Φが乱れてしまう。つまり、延長部2b,2c,3b,3c(特に、磁性金属14b,14c)の磁束が平坦部7aに流れ同平坦部7aでの磁束密度が増大し、図7に示す磁束密度分布を実現することができない。これに対し、本実施形態のように、電機子コア8に対向する範囲Wでヨーク内外を連通するヨーク孔12を形成することにより、平坦部7aへの磁束の集中が回避され、図7の磁束密度分布が実現されている。
【0044】
以上詳述したように本実施の形態は、以下の特徴を有する。
(1)マグネット2,3は、磁束密度が略均一な主磁束部2a,3aと、同主磁束部2a,3aの各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成された延長部2b,2c,3b,3cとを有している。各延長部2b,2c,3b,3cは、主磁束部2a,3aの端部において該主磁束部2a,3aよりも磁束を弱くした磁束極小部を有し、周方向外側に向かって磁束が漸増する。そして、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイル9a,9bが巻装されるティース8aの回転方向前側となるティース81の前端81aが、回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cの磁束極小部に配置される。ここで、上記マグネット2,3は電機子4の発生する磁界の方向と略直交する方向に対向配置されているため、電機子4の発生する磁界により、回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cに配置された磁性金属14b,14cは同延長部2b,2c,3b,3cを減磁する方向に磁化される。従って、電機子4の回転に伴い回転方向前側となる上記減磁された延長部2b,2c,3b,3cによって整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量がより顕著に漸増し、これによる誘起電圧も整流開始時から漸増する。この誘起電圧は、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLによるリアクタンス電圧を打ち消すように作用する。
【0045】
一方、各回転方向において回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cに配置された磁性金属14b,14cは、電機子4の発生する磁界により、同延長部2b,2c,3b,3cを増磁する方向に磁化される。従って、この磁性金属14b,14cは、回転方向後側となる延長部の本来の磁束分布(弱磁束部での磁束減少)を補充する。従って、回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cによる整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量の本来の変動は抑制される。
【0046】
また、ヨーク7の平坦部7aにおいて、延長部2b,2c,3b,3cの近傍部分には電機子コア8に対向する範囲Wでヨーク内外を連通する略長方形状のヨーク孔12を配設した。従って、マグネット2,3の延長部2b,2c,3b,3cがヨーク7の平坦部7aに接近することによりその平坦部7aに磁束が流れ、該平坦部7aに磁束が集中するといったことが回避される。
【0047】
以上により、各回転方向において電機子4の回転に伴う整流中の電機子コイル9a,9bを通過する全体としての磁束量の変化は、回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cによるものが(回転方向後側となる延長部によるものに比して)支配的になる。すなわち、電機子4の回転に伴って整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が漸増し、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生し、各回転方向においてそれぞれ整流を改善できる。
【0048】
(2)本実施形態では、磁性金属14b,14cは、磁束極小部を起点として周方向外側に向かって横断面積が漸減するため、電機子4の発生する磁界により磁束極小部側ほど大きく、周方向外側に向かって減少するように磁化される。従って、電機子4の発生する磁界により、各回転方向において回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cに配置された磁性金属14b,14cは、同延長部2b,2c,3b,3cの磁束極小部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。このため、電機子4の回転に伴い回転方向前側となる上記減磁された延長部2b,2c,3b,3cによって、整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が更に顕著に漸増し、上記リアクタンス電圧を打ち消すより好適な誘起電圧が発生する。
【0049】
一方、電機子4の発生する磁界により、各回転方向において回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cに配置された磁性金属14b,14cは、同延長部2b,2c,3b,3cの磁束極小部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。従って、回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cの本来の磁束分布(磁束極小部側ほど磁束減少)をより好適に補充し、同延長部2b,2c,3b,3cによる整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量の変動は略皆無とされる。
【0050】
以上により、電機子4の回転に伴って整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量がより顕著に漸増し、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLの影響によるリアクタンス電圧を打ち消すより好適な誘起電圧のみが発生され、各回転方向においてそれぞれ整流を更に改善できる。
【0051】
(3)本実施形態では、磁性金属14b,14cは、切欠き13に埋設して配置されることで、これによる容積確保などの制約を抑制できる。
(4)小型モータ1において整流を改善できることから、雑音防止用の電子部品(バリスタ等)が不要となり、同モータ1の製造コストを低減することができる。
【0052】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、その詳細な説明及び図面を省略する。
【0053】
上記第1実施形態では、各延長部2b,2c,3b,3cにおける切欠き13に磁性金属14b,14cを埋設していたが、本実施形態では、図8に示すように、磁性金属14b,14cを取り除いたマグネット2,3を用いている。また、図9に示すように、本実施形態のヨーク孔16は、上記第1実施形態における長方形状のヨーク孔12(図3参照)に対して、湾曲部7b(マグネット2,3の弱磁束部)側となる2つの角部を延出部17により埋めた形状をなす。
【0054】
延出部17は、該ヨーク孔16の湾曲部7b側に設けられ、マグネット2,3の端部側(平坦部7aの中央側)に向けてヨーク孔16の面積が徐々に増加するよう形成されている。つまり、延出部17は、その面積が平坦部7aの中央側から湾曲部7b側に向けて徐々に増加するよう形成され、その増加度合は平坦部7aの中央側ほど小さい。
【0055】
このように、本実施形態においても、ヨーク7の平坦部7aには、延長部2b,2c,3b,3cの近傍部分であって電機子4に対向する範囲Wでヨーク内外を連通するヨーク孔16が形成されている。このヨーク孔16によって、平坦部7aに磁束が流れ、該平坦部7aに磁束が集中するといったことが回避される。特に、延出部17の面積の増加度合は、平坦部7aの中央側ほど小さく、平坦部7aへの磁束の集中を防止する上で好ましいものとなる。
【0056】
また、本実施形態では、ヨーク孔16に延出形成した延出部17が、第1実施形態における磁性金属14b,14cの役割を果たす。より詳しくは、延出部17は、マグネット2,3における切欠き13に対応する位置に配設され、切欠き13の最深部(各延長部開始点2d,2e,3d,3e)側ほど、延出部17の面積は大きくなる。そのため、電機子4の発生する磁界により、回転方向前側となる延出部17は、弱磁束部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。よって、整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量がより顕著に漸増し、リアクタンス電圧を打ち消す好適な誘起電圧が発生する。
【0057】
一方、電機子4の発生する磁界により、回転方向後側となる延出部17は、弱磁束部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。従って、回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cの本来の磁束分布(弱磁束部側ほど磁束減少)をより好適に補充し、整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量の変動は略皆無とされる。
【0058】
よって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、各回転方向においてそれぞれ整流を改善することができる。
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
【0059】
・上記第1実施形態においては、磁性金属14b,14cを軟鉄にて形成したが、その他の強磁性体にて形成してもよい。
・上記第2実施形態において、図9に示すヨーク7のヨーク孔16及び延出部17を、図10に示すヨーク孔18及び延出部19に変更してもよい。つまり、ヨーク孔16,18は、延長部2b,2c,3b,3cの近傍部分にて電機子4に対向する範囲Wでヨーク内外を連通するものであればよく、延出部17,19は、マグネット2,3の端部(平坦部7aの中央部)側に向けてヨーク孔16,18の面積が徐々に増加するように形成するものであればよい。このようにすると、ヨーク7の平坦部7aへの磁束の集中が回避される。よって、図1及び図7に示すような磁束密度分布B2,B3を実現でき、両回転方向においてそれぞれ整流を改善することができる。
【0060】
・上記各実施形態においては特に言及していないが、電機子4の回転に伴って整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が全体として漸増し、電機子コイル9a,9bのインダクタンスの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生されればよい。このため、点対称位置で互いに同様の整流がそれぞれ行われることから、マグネット2,3の各磁束密度の大きさは互いに異なっていてもよい。そして、各マグネット2,3(延長部2b,2c,3b,3c)に設けられる磁性金属14b,14c(切欠き13)の大きさも互いに異なっていてもよい。また例えば、一方のマグネット2の延長部2b,2cにのみ、切欠き13を形成して磁性金属14b,14cを埋設するようにしてもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
・上記各実施形態においては、延長部2b,2c,3b,3cの軸線方向両側に切欠き13を設けた。これに対して、延長部2b,2c,3b,3cの軸線方向一側にのみ切欠き13を設けてもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
・上記各実施形態においては、延長部2b,2c,3b,3cに切欠き13を設けることでその磁束分布を上述の態様に形成した。これに対して、切欠き13は必ずしも必要ではなく、例えば同様の磁束分布を着磁装置にて形成してもよい。すなわち、各延長部開始点2d,2e,3d,3eの近傍部分における着磁の強弱を着磁装置により変化させて同様の磁束分布を形成してもよい。
【0063】
・上記各実施形態においては、電機子コア8の4個のティース8aを1組としてその周囲に電機子コイル9a,9bを巻き付けた電機子4とした。これに対して、その他の複数個のティース8aを1組としてその周囲に電機子コイル9a,9bを巻き付けた電機子4としてもよい。
【0064】
・上記各実施形態においては、電機子コア8に12個のティース8aを設けたが、その他の個数(例えば、3個、5個、10個等)のティースを設けてもよい。
【0065】
・前記各実施形態においては、直流機としての小型モータ1に具体化したが、例えば直流発電機に具体化してもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
上記実施形態から把握できる技術思想をその効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載の直流機において、前記磁性金属は、前記弱磁束部を起点として周方向外側に向かって横断面積が漸減することを特徴とする直流機。この場合、電機子の発生する磁界により、各回転方向において回転方向前側となる延長部に配置された磁性金属は、同延長部の弱磁束部側ほど大きく減磁する方向に磁化される。このため、電機子の回転に伴い回転方向前側となる上記減磁された延長部によって、整流中の電機子コイルを通過する磁束量が更に顕著に漸増し、上記リアクタンス電圧を打ち消すより好適な誘起電圧が発生する。一方、電機子の発生する磁界により、各回転方向において回転方向後側となる延長部に配置された磁性金属は、同延長部の弱磁束部側ほど大きく増磁する方向に磁化される。従って、回転方向後側となる延長部の本来の磁束分布(弱磁束部側ほど磁束減少)をより好適に補充し、同延長部による整流中の電機子コイルを通過する磁束量の変動は略皆無とされる。
【0067】
(ロ)請求項1又は上記(イ)に記載の直流機において、前記延長部には、その断面積を前記主磁束部の端部から周方向外側に向かって漸増するよう切欠きが形成され、前記磁性金属は、前記切欠きに埋設して配置されたことを特徴とする直流機。このように、磁性金属が切欠きに埋設して配置されることで、これによる容積確保などの制約は抑制される。
【0068】
(ハ)請求項2に記載の直流機において、前記延長部には、その断面積を前記主磁束部の端部から周方向外側に向かって漸増するよう切欠きが形成され、該切欠きに対応する位置に前記延出部が配設され、該切欠きの最深部側ほど前記延出部の面積を大きくしたことを特徴とする直流機。このようにすれば、延出部は、弱磁束部を起点として周方向外側に向かって面積が漸減するので、その延出部が上記(イ)における磁性金属の役割を果たす。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、扁平円筒状のヨークを有する直流機において、両方向の回転時にそれぞれ良好な整流を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における小型モータを示す部分断面図。
【図2】 整流を説明するための回路図。
【図3】 ヨークを示す平面図。
【図4】 マグネット及び磁性金属を示す斜視図。
【図5】 各象限を定義する図。
【図6】 各象限における極性を示す一覧図。
【図7】 整流開始時でのティースとマグネットの磁束密度との位置関係等を示す説明図。
【図8】 第2実施形態のマグネットを示す斜視図。
【図9】 第2実施形態のヨークを示す平面図。
【図10】 別例のヨークを示す平面図。
【符号の説明】
1…直流機としての小型モータ、2,3…マグネット、2a,3a…主磁束部、2b,2c,3b,3c…延長部、4…電機子、5a,5b…ブラシ、7…ヨーク、7a…平坦部、7b…湾曲部、8…電機子コア、8a,81〜84…ティース、9a,9b…電機子コイル、10…整流子としてのコンミテータ、12…ヨーク孔、13…切欠き、14b,14c…磁性金属、16…ヨーク孔、17…延出部、18…ヨーク孔、19…延出部、81a…前端。
Claims (3)
- 複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装してなる両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されるマグネットと、平坦部と湾曲部とを有して扁平円筒状に形成され該湾曲部に前記マグネットが配置されるヨークと、整流子に接触し前記電機子コイルに直流電流を供給するブラシとを備え、
前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部の回転方向両端に周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部を有し、
前記延長部は、前記主磁束部の各端部において該主磁束部よりも磁束を弱くした弱磁束部を有し、
各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記弱磁束部に配置され、
前記マグネットの延長部に磁性金属を配設し、前記ヨークの前記平坦部において前記電機子コアに対向する範囲であって前記マグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔を形成したことを特徴とする直流機。 - 複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装してなる両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されるマグネットと、平坦部と湾曲部とを有して扁平円筒状に形成され該湾曲部に前記マグネットが配置されるヨークと、整流子に接触し前記電機子コイルに直流電流を供給するブラシとを備え、
前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部の回転方向両端に周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部とを有し、
前記延長部は、前記主磁束部の各端部において該主磁束部よりも磁束を弱くした弱磁束部を有し、
各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記弱磁束部に配置され、
前記ヨークの前記平坦部において、前記電機子に対向する範囲であって前記マグネットの延長部に対向する位置にヨーク内外を連通するヨーク孔を形成し、該ヨーク孔の前記弱磁束部側にそのヨーク孔の面積が前記周方向外側から前記弱磁束部側に向けて徐々に減少するよう延出部を形成したことを特徴とする直流機。 - 請求項2に記載の直流機において、
前記延出部は、その面積が前記マグネットの端部側から弱磁束部側に向けて徐々に増加するよう形成され、その増加度合はマグネットの端部側ほど小さいことを特徴とする直流機。
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