JP3706056B2 - 直流機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両方向の回転用途に供せられる直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラシとコンミテータとマグネットとを備えた直流モータ(直流機)では、ブラシとコンミテータで電機子コイルに通電している状態の方向を切り替える(いわゆる整流)構成であるが、多くの場合、切り替え時の最終時点で突然切り替わる現象(整流不足)が発生している。
【0003】
この整流不足を解決するために、本出願人は、マグネットの磁束(密度)分布を変えることで整流中の電機子コイルを通過する磁束量を変え、整流が改善できように構成したものを先に提案している(例えば、特願平11−270566号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、先に提案された構成で使用されるマグネットの磁束分布は、一方向の回転用途にのみ供せられる直流モータを前提に提案されたものであった。従って、両方向の回転用途に供せられる直流モータに対しては、良好な整流を保つことが困難となっていた。
【0005】
本発明の目的は、両方向の回転においてそれぞれ良好な整流を行うことができる直流機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、略等角度間隔に設けられた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装して構成される両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されたマグネットとを備え、整流中にブラシでコンミテータの整流子片を短絡して該電機子コイルの電流方向が反転する直流機において、前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部と、該主磁束部の各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成され該端部において弱磁束部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部とを有し、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記延長部の弱磁束部に配置され、前記電機子コアは低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板にて形成されたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、略等角度間隔に設けられた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装して構成される両方向回転用の電機子と、該電機子を挟んで対向配置されたマグネットとを備え、整流中にブラシでコンミテータの整流子片を短絡して該電機子コイルの電流方向が反転する直流機において、前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部と、該主磁束部の各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成され該端部において弱磁束部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部とを有し、前記各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が回転方向前側となる前記延長部の弱磁束部に配置され、前記電機子コアは0.2%よりも炭素濃度の大きい磁性鋼板にて形成されたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流機において、各整流に係る電機子コイルが巻装される前記ティースの一端及び他端のなす角度は、前記主磁束部及び一方の延長部のなす角度に略一致することを要旨とする。
【0009】
(作用)
電機子の回転時には、電機子コイルのインダクタンスにより電流を妨げる向きのリアクタンス電圧が同電機子コイルに発生する。一方、電機子の回転に伴って整流中の電機子コイルを通過する磁束量が変化すると、その変化によって逆起電力である誘起電圧が発生する。
【0010】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明によれば、上記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部と、同主磁束部の各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成された延長部とを有している。各延長部は、主磁束部の端部において弱磁束部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する。そして、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティースの前端が、回転方向前側となる延長部の弱磁束部に配置されるようになっている。従って、電機子の回転に伴い回転方向前側となる延長部によって整流中の電機子コイルを通過する磁束量が漸増し、上記誘起電圧も整流開始時から漸増する。この誘起電圧は、上記リアクタンス電圧を打ち消すように作用する。
【0011】
一方、各回転方向において回転方向後側となる延長部には、整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向後側となるティースが配置されることとなる。請求項1又は3に記載の発明によれば、前記電機子コアは低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板にて形成されている。また、請求項2又は3に記載の発明によれば、前記電機子コアは0.2%よりも炭素濃度の大きい磁性鋼板にて形成されている。従って、回転方向後側となるティースは直後に通過したマグネットの磁界方向に着磁されている。すなわち、回転方向後側となるティースは現在通過しているマグネットの入口部分(回転方向後側となる延長部)で同マグネットの磁界と逆向きの磁界を形成している。従って、回転方向後側となる延長部による整流中の電機子コイルを通過する磁束量への影響は、この回転方向後側となるティースが有する磁界(磁束量)によって相殺される。
【0012】
以上により、各回転方向において電機子の回転に伴う整流中の電機子コイルを通過する全体としての磁束量の変化は、回転方向前側となる延長部によるものが(回転方向後側となる延長部によるものに比して)支配的になる。すなわち、電機子の回転に伴って整流中の電機子コイルを通過する磁束量が漸増し、電機子コイルのインダクタンスの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生され、各回転方向においてそれぞれ整流が改善される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を直流機としての自動車用小型モータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。なお、図1は、直流機としての自動車用小型モータ(以下、「小型モータ1」という)の概略構造を示す部分断面図である。
【0014】
図1に示すように、小型モータ1は、マグネット2,3、電機子4、ブラシ5a,5b及び回転軸6等を有している。
詳述すると、本実施形態の小型モータ1は、2極の直流モータであって、軟鉄製のモータハウジング(ヨーク)7の湾曲した内側面において、N極及びS極を形成する断面円弧状の2つのマグネット(例えば、フェライト磁石)2,3が電機子4を挟んで対向配置されている。2つのマグネット2,3は、電機子4の中心点Oに対して点対称に配置されている。電機子4は、電機子コア8と、その電機子コア8に巻装される電機子コイル(巻線)9a,9bと、コンミテータ(整流子)10とを有している。同図において、電機子コイル9a,9bも中心点Oに対して点対称に配置されている。そして、電機子4は、供給される直流電流の方向を切り替えることにより時計回り方向(図1においてCW方向)及び反時計回り方向(図1においてCCW方向)のいずれにも回転駆動されるようになっている。
【0015】
電機子コア8には、等間隔に断面略T字状の複数(本実施形態では12個)のティース8aが形成されており、そのうちのn個(本実施形態では4個)のティース8aを1組としてその周囲に上記電機子コイル9a,9bが巻き付けられている。図示を省略しているが、複数の他の電機子コイルがn個(4個)のティース8aを1組として同様に巻き付けられている。つまり、巻線の巻装方式は分布巻である。なお、本実施形態では、ティース8aの個数は12個であり、同ティース8aは電機子4の周方向に30°ごとに形成されている。つまり、隣り合うティース8aは、その中心線のなす角が30°(=360°/12)となるように形成されている。
【0016】
コンミテータ10は、電機子4の一端に配置され、複数(12個)の整流子片11を有して構成されている。そして、図1及び図2に示すように、隣り合う整流子片11a,11b間は前記電機子コイル9aにて結線され、隣り合う整流子片11c,11d間は前記電機子コイル9bにて結線されている。なお、上記整流子片11bに隣接する整流子片11bと反対側は整流子片11eとなっており、整流子片11dに隣接する整流子片11cと反対側は整流子片11fとなっている。これら隣り合う整流子片11b,11e間、整流子片11d,11f間も、それぞれ図示しない電機子コイルにて結線されている。図1において、中心点Oを基準とし、整流子片11a,11b,11eの点対称となる位置に整流子片11c,11d,11fが配置されている。そして、各整流子片11間のスリットは、各ティース8a間の略中間に位置するようになっている。また、ブラシ5a,5bがコンミテータ10に摺接するように付勢された状態で配設されている。電機子コイル(9a,9b)には、図示しない直流電源から供給される直流電流が、ブラシ5a,5bとコンミテータ10の各対応する整流子片(11a,11b,11c,11d)を経て流入されるようになっている。ブラシ5a,5bは整流子片11と略同等の角度を有し、回転方向に応じて短絡する整流子片11の位置が切り替わるような配置になっている。すなわち、図1においてCW方向ならそれぞれブラシ5a,5bと整流子片11a,11b間、整流子片11c,11d間とが短絡し、CCW方向ならそれぞれブラシ5a,5bと整流子片11b,11e間、整流子片11d,11f間とが短絡する。
【0017】
例えば、電機子4がCW方向に回転すると、図2に示すように、ブラシ5aにより整流子片11a,11b間が短絡されて電機子コイル9aには短絡電流i1が流れ、ブラシ5bにより整流子片11c,11d間が短絡されて電機子コイル9bには短絡電流i2が流れる。ここで、ブラシ5aは直流電源のプラス端子(+)に接続され、ブラシ5bは直流電源のマイナス端子(−)に接続されている。このブラシ5a,5bによる短絡中に、電機子コイル9a,9bに流れる電流の向きが変更されて、電機子4が時計回り方向(図1のCW方向)に回転するようになっている。そして、その回転力が電機子4の中央部から延設された回転軸6を介して外部に伝達される。なお、本実施形態では、図1に示すように、12個の整流子片11が周方向に30°ごとに設けられており、電機子4がブラシ5a,5bに対して30°回転するとき、電機子コイル9a,9bの電流の向きが変更される。つまり、電機子4の30°の回転によって電機子コイル9a,9bの整流が行われる。
【0018】
ちなみに、ブラシ5a,5bが接続される直流電源の極性を切り替えることで、すなわち図2においてブラシ5aが直流電源のマイナス端子(−)に接続され、ブラシ5bが直流電源のプラス端子(+)に接続されることで、電機子4が反時計回り方向(図1のCCW方向)に回転するのはいうまでもない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のマグネット2,3は、それぞれ主磁束部2a,3aと、同主磁束部2a,3aの一側(図1においてCW方向側)端部(以下、延長開始点2d,3dという)に設けた延長部2b,3bと、同他側(図1においてCCW方向側)端部(以下、延長開始点2e,3eという)に設けた延長部2c,3cとを備えている。主磁束部2a,3aは、一般の直流モータに配設されるマグネットに相当する部分である。そして、延長部2b,3b及び延長部2c,3cは、それぞれ上記主磁束部2a,3aの一側(図1においてCW方向側)及び他側(図1においてCCW方向側)の各端部に延出形成されている。
【0020】
主磁束部2a,3aは、電機子コイルが巻装される4つのティース8aのうち一側及び他側(図1においてCW方向側及びCCW方向側)に配置されるティース8aの中心線間の角度(=90°)に対応した長さとなるように形成されている。そして、電機子コイル9a,9bが巻装される4つのティース8aの一端及び他端のなす角度は、主磁束部2a,3a及び一方の延長部2b,3b(又は延長部2c,3c)のなす角度に略一致するように設定されている。
【0021】
本実施形態におけるマグネット2,3は、図示しない着磁装置を用い、図1及び図3の磁束密度分布B2,B3に示すように、各延長部開始点2d,2e,3d,3eの近傍部分の着磁の強弱を変化させて製造されている。つまり、周方向に略一定の磁束密度B20,B30を有する主磁束部2a,3aに対して、各延長部開始点2d,2e,3d,3e近傍部分での磁束密度が弱められ、図1に示す磁束密度分布B2,B3となるように磁束変化を持たせている。本実施形態のマグネット2,3では、各延長部開始点2d,2e,3d,3eに対応する部位がそれぞれ磁束密度の極小値B21,B22,B31,B32となる弱磁束部としての磁束極小部である。そして、マグネット2,3の磁束極小部よりも周方向先端側の部位がそれぞれ磁束密度の極大値B23,B24,B33,B34となる磁束極大部である。すなわち、各延長部2b,2c,3b,3cは、これら磁束極小部及び磁束極大部との間で周方向外側に向かって磁束密度が漸増するようになっている。なお、磁束密度の極大値B23,B24,B33,B34の大きさ(強さ)は、主磁束部2a,3a(磁石中央部)の磁束密度B20,B30の大きさ(強さ)の略1/2に設定されている。
【0022】
一方、本実施形態における電機子コア8は、一般的な直流モータに使用される低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板、例えば0.5%炭素鋼板を使用している。ここでいう「磁気ヒステリシスの大きい」とは、例えば磁化曲線(いわゆるB−Hカーブ)において残留磁束密度Br若しくは保磁力(減磁耐力)Hcが大きいことをいう。図4は、0.5%炭素鋼板の磁化曲線を実線で、一般的な直流モータに使用される0.2%炭素鋼板(低炭素鋼板)の磁化曲線を破線でそれぞれ示したものである。このように電機子コア8に磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板を使用することで、例えばCW方向に回転駆動されているとしてマグネット3を通過したティース8aはその直後から若干の期間において同マグネット3の磁界方向に着磁されている。すなわち、ティース8aはマグネット2の入口部分(回転方向後側となる延長部2c,3c)の弱い磁界内で同マグネット2の磁界と逆向きの磁界を形成している。
【0023】
次に、このように構成された小型モータ1の動作について図3に基づき更に詳述する。図3は、電機子4(電機子コア8)がCW方向に回転駆動されているとして整流子片11a,11b間(整流子片11c,11d間)における整流開始時、すなわちブラシ5a,5bが回転方向後側の整流子片11a,11cに接触し始めるときのティース8a及びマグネット2,3の磁束密度分布の位置関係を示す説明図である。なお、図3にはマグネット2,3の磁束密度分布(磁束量)に対応させてティース8aの回転角度及びそのときの電機子コイル9a,9bに発生する総磁束量Φとの関係を併せ示している。なお、総磁束量Φは、マグネット2,3による磁束量、電機子コイル9a,9bに流れる電流による磁束量、及び電機子コア8(ティース8a)の着磁に基づく磁束量を合計したものとなっている。同図においては、当該電機子コイル9a,9bに係るティース8aを便宜的に回転方向先頭側(前側)から順番にティース81,82,83,84と記す。
【0024】
同図に示すように、この整流開始時では、ティース81の回転方向先頭側の端部(前端)81aの位置が極小値B21,B31(延長部開始点2d,3d)に配置されるように設定されている。従って、マグネット2,3の磁束密度が極小値B21,B31〜極大値B23,B33の分布特性を有することで整流中は電機子4の回転に伴って電機子コイル9a,9bを通過する磁束量はその分増加(漸増)するようになっている。
【0025】
一方、この整流開始時において、ティース84の回転方向先頭側の端部84aの位置が極小値B22,B32(延長部開始点2e,3e)に配置され、同回転方向後側の端部84bの位置が極大値B24,B34の近傍に配置される。本実施形態では、電機子コア8に磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板が使用されているため、上記ティース84は直後に通過したマグネット2,3の磁界方向に着磁されている。すなわち、ティース84は現在通過しているマグネット2,3の入口部分の弱い磁界内で同マグネット2,3の磁界と逆向きの磁界を形成している。従って、この場合での電機子コイル9a,9bを通過する磁束量への影響は、ティース84が有する磁界(磁束量)によって相殺される。
【0026】
以上により、整流中では一方の磁束密度の分布特性(極小値B21,B31〜極大値B23,B33)が支配的になって、CW方向に回転駆動されているときの整流期間での総磁束量Φは、図3の実線にて示されるようになる。すなわち、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLの影響によるリアクタンス電圧(L・di/dt)を打ち消す誘起電圧のみが発生され、当該回転方向において整流が改善されるようになっている。つまり、マグネット2,3は、実質的に延長部開始点2d,3dを起点とする磁束密度の増加領域(極小値B21,B31〜極大値B23,B33)のみを有することによりリアクタンス電圧(L・di/dt)を打ち消す誘起電圧(−dΦ/dt)のみを発生させている。
【0027】
なお、上記においては電機子4(電機子コア8)がCW方向に回転駆動される場合について説明したが、CCW方向に回転駆動される場合についても同様であるためその説明は割愛する。このときの整流期間での総磁束量Φは、図3の破線にて示されるようになる。
【0028】
以上により、電機子4(電機子コア8)がCW方向及びCCW方向のいずれかに回転駆動されているとしてティース8aの回転角度とこれに発生する総磁束量Φの変化は、それぞれ図5の実線及び破線にて示されるようになる。すなわち、各回転方向において電機子コイル9a,9bの整流期間中は総磁束量Φが増加し、良好な整流が実現される。
【0029】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、上記マグネット2,3は、磁束密度が略均一な主磁束部2a,3aと、同主磁束部2a,3aの各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成された延長部2b,2c,3b,3cとを有している。各延長部2b,2c,3b,3cは、主磁束部2a,3aの端部において磁束極小部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する。そして、各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイル9a,9bが巻装されるティース8aの回転方向前側となるティース81の前端81aが、回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cの磁束極小部に配置されるようになっている。従って、電機子4の回転に伴い回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cによって整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が漸増し、これによる誘起電圧も整流開始時から漸増する。この誘起電圧は、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLによるリアクタンス電圧を打ち消すように作用する。
【0030】
一方、各回転方向において回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cには、整流開始時に当該整流に係る電機子コイル9a,9bが巻装されるティース8aの回転方向後側となるティース84が配置されることとなる。本実施形態では、電機子コア8は低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板(0.5%炭素鋼板)にて形成されている。従って、回転方向後側となるティース84は直後に通過したマグネット2,3の磁界方向に着磁されている。すなわち、回転方向後側となるティース84は現在通過しているマグネット2,3の入口部分(回転方向後側となる延長部)で同マグネット2,3の磁界と逆向きの磁界を形成している。従って、回転方向後側となる延長部2b,2c,3b,3cによる整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量への影響は、この回転方向後側となるティース84が有する磁界(磁束量)によって相殺される。
【0031】
以上により、各回転方向において電機子4の回転に伴う整流中の電機子コイル9a,9bを通過する全体としての磁束量の変化は、回転方向前側となる延長部2b,2c,3b,3cによるものが(回転方向後側となる延長部によるものに比して)支配的になる。すなわち、電機子4の回転に伴って整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が漸増し、電機子コイル9a,9bのインダクタンスLの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生し、各回転方向においてそれぞれ整流を改善できる。
【0032】
(2)本実施形態では、2つのマグネット2,3にて最小限の極数(N極及びS極)を有する極めて簡易な構成にできる。
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
【0033】
・前記実施形態においては、低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい0.5%炭素鋼板を電機子コア8に使用したが、0.2%よりも炭素濃度の大きい磁性鋼板であればよい。また、例えば低炭素鋼板の一部にモルテンサイト系の成分を加えて成形した磁性鋼板を電機子コア8に使用してもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0034】
・前記実施形態においては、1種類の磁性鋼板(0.5%炭素鋼板)のみを電機子コア8に使用したが、例えば低炭素鋼板とこれよりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板とを併せて積層したものを電機子コア8に使用してもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
・前記実施形態においては、電機子コア8の4個のティース8aを1組としてその周囲に電機子コイル9a,9bを巻き付けた電機子4とした。これに対して、図6に示されるように電機子コア8の5個のティース8aを1組としてその周囲に電機子コイル9a,9bを巻き付けた電機子4としてもよい。また、その他の複数個のティース8aを1組としてその周囲に電機子コイル9a,9bを巻き付けた電機子4としてもよい。
【0036】
・前記実施形態においては、電機子コア8に12個のティース8aを設けたが、その他の個数のティースを設けてもよい。
・前記実施形態においては特に言及していないが、電機子4の回転に伴って整流中の電機子コイル9a,9bを通過する磁束量が全体として漸増し、電機子コイル9a,9bのインダクタンスの影響によるリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧のみが発生されればよい。このため、点対称位置で互いに同様の整流がそれぞれ行われることから、マグネット2,3の各磁束密度の大きさは互いに異なっていてもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
・前記実施形態においては、延長部2b,2c,3b,3cの磁束分布を着磁装置にて形成した。これに対して、例えば各延長部開始点2d,2e,3d,3eを最薄肉部として延長部2b,2c,3b,3cの肉厚(径方向の厚さ)を周方向外側に漸増させることで同様の磁束分布を形成してもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
・前記実施形態においては、2つのマグネット2,3を使用した2極の小型モータ1に適用するものであったが、これ以外に4極の直流モータ等の多極直流モータに適用してもよい。この場合、全てのマグネットについて同様の主磁束部及び延長部を設けることが好ましい。このように変更をしても前記実施形態の(1)と同様の効果が得られる。
【0039】
・前記実施形態においては、直流機としての小型モータ1に具体化したが、例えば直流発電機に具体化してもよい。このように変更をしても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流機において、前記延長部の磁束分布は着磁装置にて形成されたことを特徴とする直流機。
【0041】
(ロ)請求項1〜3のいずれか1項に記載の直流機において、前記延長部の磁束分布は、該延長部の肉厚を周方向外側に漸増させて形成されたことを特徴とする直流機。
【0042】
(ハ)請求項1〜3及び上記(イ)、(ロ)のいずれか1項に記載の直流機において、前記マグネットは2つであることを特徴とする直流機。同構成によれば、最小限の極数(N極及びS極)を有する極めて簡易な構成とされる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明によれば、両方向の回転においてそれぞれ良好な整流を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す部分断面図。
【図2】整流を説明するための回路図。
【図3】整流開始時でのティースとマグネットの磁束密度との位置関係等を示す説明図。
【図4】電機子コアのB−Hカーブを示す図。
【図5】ティースの回転角度と電機子コイルに発生する総磁束量を示すグラフ。
【図6】同実施形態の別例を示す部分断面図。
【符号の説明】
2,3…マグネット、2a,3a…主磁束部、2b,2c,3b,3c…延長部、4…電機子、5a,5b…ブラシ、8…電機子コア、8a,81〜84…ティース、9a,9b…電機子コイル、10…コンミテータ、11a〜11f…整流子片、81a…前端。

Claims (3)

  1. 略等角度間隔に設けられた複数のティース(8a)を有する電機子コア(8)に電機子コイル(9a,9b)を巻装して構成される両方向回転用の電機子(4)と、該電機子を挟んで対向配置されたマグネット(2,3)とを備え、整流中にブラシ(5a,5b)でコンミテータ(10)の整流子片(11a〜11f)を短絡して該電機子コイルの電流方向が反転する直流機において、
    前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部(2a,3a)と、該主磁束部の各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成され該端部において弱磁束部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部(2b,2c,3b,3c)とを有し、
    各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティース(81)の前端(81a)が回転方向前側となる前記延長部の弱磁束部に配置され、
    前記電機子コアは低炭素鋼板よりも磁気ヒステリシスの大きい磁性鋼板にて形成されたことを特徴とする直流機。
  2. 略等角度間隔に設けられた複数のティース(8a)を有する電機子コア(8)に電機子コイル(9a,9b)を巻装して構成される両方向回転用の電機子(4)と、該電機子を挟んで対向配置されたマグネット(2,3)とを備え、整流中にブラシ(5a,5b)でコンミテータ(10)の整流子片(11a〜11f)を短絡して該電機子コイルの電流方向が反転する直流機において、
    前記マグネットは、磁束密度が略均一な主磁束部(2a,3a)と、該主磁束部の各端部から周方向一側及び他側にそれぞれ延出形成され該端部において弱磁束部を有するとともに周方向外側に向かって磁束が漸増する延長部(2b,2c,3b,3c)とを有し、
    前記各回転方向において整流開始時に当該整流に係る電機子コイルが巻装されるティースの回転方向前側となるティース(81)の前端(81a)が回転方向前側となる前記延長部の弱磁束部に配置され、
    前記電機子コアは0.2%よりも炭素濃度の大きい磁性鋼板にて形成されたことを特徴とする直流機。
  3. 請求項1又は2に記載の直流機において、
    各整流に係る電機子コイルが巻装される前記ティースの一端及び他端のなす角度は、前記主磁束部及び一方の延長部のなす角度に略一致することを特徴とする直流機。
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