JP3778714B2 - 光ビーム走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置の光書き込み装置に応用される光ビーム走査装置と、その光ビーム走査装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機のデジタル化が進む中で、A1、A0等の広幅用紙に対応した複写機においてもデジタル化が進む傾向にあり、さらなる高画質化が要求されている。現在A1,A0等の広幅用紙対応のデジタル複写機においては、光書き込み装置はLEDアレイを用いて書き込む方式が主流であるが、これはレーザー光(光ビーム)をポリゴンミラー等で偏向走査して書き込む方式に比較してコスト高であり、画質的にも劣ることは否めない。ただし、A0幅でのレーザー光走査による書き込みを考えた場合、光路長の長さ、レンズの大型化、反射ミラーの長尺化等からユニットの大型化、コスト高が課題となる。そこでこの課題を解決する手段として、従来より主走査方向(レーザー光の走査方向)に2つの書き込み系を繋ぎあわせて広幅の走査幅を得る方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、2つの光学系の走査線を主走査方向に繋ぎ合わせて、広幅の走査幅(書き込み幅)の光書き込み装置を得る方法に関しては、特開昭61−11720号公報や、特開昭62−69575号公報、特開平6−208066号公報などが提案されている。これらの発明は、いずれも2つのポリゴンミラーと2つの結像光学系を用いた構成となっており、光書き込み装置のユニットのコンパクト化、低コスト化が図れる。
しかしながら前者の2つの方式は、同じ方向に走査する2つの走査線を繋げる方式を用いており、第1の走査線の終端を第2の走査線の開始端とする必要が有るため、主走査方向の位置を精度良く揃えるのが技術的に困難であった。また、副走査方向(被走査面上で主走査方向に直交する方向)の走査線位置を揃えるためにもポリゴンミラーの回転の同期をとる必要があり、技術的に課題があった。
また、3番目の発明においては、2つのポリゴンミラーを逆方向に回転させ、全走査幅のほぼ中央に配置した一つの同期検知装置で書き出し位置のタイミングを測って、中央から両端に向けて光ビームを走査する構成としているため、主走査方向の走査線の位置合わせを容易に行うことができる。ただしこの方式では、2つのポリゴンミラーにより2つの走査線は別々に走査されるため、やはり副走査方向の走査線の位置を揃えるためには、2つのポリゴンミラーの回転の同期をとる必要があり、実用化には問題があった。
【0004】
さらに特開平8−72308号公報には、2つのポリゴンミラーを一つの駆動源で回転させて、該ポリゴンミラーの回転の同期を取る方法が提案されているが、高速回転する2つのポリゴンミラーを一つの駆動源で駆動伝達機構を介して同時に回転させることは、実際には困難であった。また、この従来技術では1つのポリゴンミラーの異なる偏向面に2つのビームを入射させ、共通の結像光学系で2つの走査ビームを主走査方向に繋ぎ合わせる構成の光書き込み系を提案している。しかし、ポリゴンミラーが1つのため、2つの走査線の副走査方向の位置合わせは容易に行えるが、2つの走査線の走査方向が同じため、前述の従来技術と同様に主走査方向の走査線の位置合わせに問題があり、さらに結像光学系のレンズも大型化し実用的ではなかった。
また、その他にも、特開平9−5655号公報、特開平9−127440号公報等の発明が提案されているが、これらも2つ以上のポリゴンミラーと結像光学系を用いた構成となっているため、上述の従来技術と同様の技術課題がある。従って、上述の技術課題を全て解決する従来技術は提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、2つの光学系の走査線を主走査方向に繋ぎ合わせて、広幅の走査幅の光書き込み装置を得る方法に関しては種々の提案があり、これらの方法によれば、光書き込み装置のユニットのコンパクト化、低コスト化が図れるが、2つの走査線の繋ぎ合わせ部を精度良く揃えるための技術(2つのポリゴンミラーの回転同期を取り、走査線のズレを補正する技術)の難しさから実用化には至っていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、1つの偏向手段(ポリゴンミラー等の偏向器)で2つの書き込み系を走査することにより、偏向手段の同期を取る必要をなくし、これにより走査線の繋ぎ合わせ部を精度良く繋ぎ合わせることができ、走査幅の広い、低コスト、コンパクトで高画質な光ビーム走査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る光ビーム走査装置は、光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、前記2系統の書き込み系は同じ構成で前記偏向手段を中心に180°回転させた位置に配置され、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像手段により、前記2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査し、前記被走査面上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向かって走査され、1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像手段の光軸は、前記偏向手段の走査方向と平行な前記被走査面の中心軸(以下、被走査面軸と言う)に対してそれぞれθ 1 ,θ 2 傾けられて配置され、
(ただし、0°<|θ 1 |<90°,0°<|θ 2 |<90°)
それぞれの結像手段が走査光の被走査面軸に対する光軸の傾きを90°に変更するための走査方向変更手段としてのミラーを有し、前記θ 1 ,θ 2 は、前記偏向手段の走査方向に対して同一の正負関係を有することを特徴とするものである。
すなわち請求項1に係る光ビーム走査装置においては、同一の走査面上で分割走査される2つの走査線が1つの偏向手段により偏向走査されることにより、複数の偏向手段を使用した場合に比較して、偏向手段自体の同期を取る必要を無くすことができ、これにより、副走査方向で2つの走査線の書き出しのタイミングを揃えることが容易化し、副走査方向の走査線の位置ズレを防止することが可能となる。
【0008】
また、請求項1に係る光ビーム走査装置においては、被走査面上を走査する2つの走査ビームを、走査線の継ぎ目部よりそれぞれ逆方向に両端部に向かって走査することにより、主走査方向の書き出しタイミングを揃えることを容易とし、主走査方向の走査線の位置ズレを防止することが可能となる。
【0009】
さらに請求項1に係る光ビーム走査装置においては、2つの結像手段の配置、構成を上記のように定めたことにより、一つの偏向手段と、2つの結像手段を用いて2つの走査線を主走査方向にずらした形で繋ぎ合わせることができ、その走査幅を広くすることが可能となる。
【0010】
請求項2に係る光ビーム走査装置は、請求項1に記載の光ビーム走査装置において、1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段として2枚のミラーを有し、前記偏向手段を含むビーム走査面に対する前記2枚のミラーの副走査方向の傾きをそれぞれα,βとすると、
|α−β|=90°
の関係を持たせると共に、前記2枚のミラーは副走査方向に一定の間隔をおいて重ね合わせた構成とし、さらに走査光を被走査面に導くための第3のミラーを設けたことを特徴とするものである。
すなわち請求項2に係る光ビーム走査装置においては、結像光学系中のミラーの配置、角度等を上記のように定めたことにより、2つの結像手段の結像位置を被走査面上の1走査線上に精度良く重ね合わせることができ、ビーム径等が均一で高画質な光ビーム走査装置の実現が可能となる。
【0011】
請求項3に係る光ビーム走査装置は、請求項1記載の光ビーム走査装置において、被走査面軸と、2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸とのなす角をそれぞれθ1,θ2、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射するときのビーム走査面上でのミラー法線に対する入射角度をそれぞれγ1,γ2とすると、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
となるように構成したことを特徴とするものである。
すなわち請求項3に係る光ビーム走査装置においては、2つの結像手段やミラーの配置、角度等を上記のように定めたことにより、2つの結像手段の走査線を精度良く1直線上に揃えることが可能となり、走査線の曲がりや傾き等の発生しない高画質な光ビーム走査装置の実現が可能となる。
【0012】
請求項4に係る光ビーム走査装置は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の光ビーム走査装置において、2つの結像手段として共通な構成で、共通な結像性能を持つ物を用いたことを特徴とするものである。
すなわち請求項4に係る光ビーム走査装置においては、2つの結像手段として共通な構成で、共通な結像性能を持つ物を用いるので、2つの分割された走査線部分での性能を同等とし、全走査幅に渡り均一で安定した高画質な光ビーム走査装置を実現することが可能となる。また、2つの結像光学系に共通な物を用いることにより、より低コストな光ビーム走査装置を実現することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ビーム走査装置の構成、動作を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示す図であって、光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図であり、デジタル複写機等の画像形成装置の光書き込み装置に用いた例を示すものである。
図1に示す光ビーム走査装置(光書き込み装置)は、光ビームを出射する光源として半導体レーザー(LD)光源1-1,1-2を2つ備え、各半導体レーザー光源1-1,1-2の出射ビームに対してそれぞれコリメートレンズ2-1,2-2と、シリンドリカルレンズ3-1,3-2が配設されている。そしてコリメートレンズ2-1,2-2と、シリンドリカルレンズ3-1,3-2を介してそれぞれ導光された2つの光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段として単一のポリゴンミラー4が設けられている。このポリゴンミラー4で偏向された2つの光ビームを被走査面である感光体ドラム10上にそれぞれ結像する結像手段としては、第1のFθレンズ5-1,5-2と第2のFθレンズ6-1,6-2がそれぞれ設けられており、さらに走査方向変更手段として、2系統の光路のそれぞれに2枚のミラーすなわち第1のミラー7-1,7-2と第2のミラー8-1,8-2が配設されている。さらにまた、結像光学系の光路上には、第1、第2のミラーにより走査方向を変更された走査光を被走査面である感光体ドラム10に導くための第3のミラー9-1,9-2が配設されている。このように図1に示す光ビーム走査装置(光書き込み装置)においては、2系統の光書き込み系を備えており、ポリゴンミラー4は2系統の光書き込み系で共用される構成である。尚、ここでは偏向手段4より左側半分の光書き込み系を第1書き込み系I、右側半分の光書き込み系を第2書き込み系IIと呼ぶものとする。
【0014】
第1書き込み系Iにおいて、図示されない駆動装置に制御されて半導体レーザー(LD)光源1-1は画像信号に応じて変調されたレーザー光を発光し、このレーザー光はコリメートレンズ2-1で平行光とされ、コリメートレンズ2-1で平行光とされたレーザービームはシリンドリカルレンズ3-1を経てポリゴンミラー4に入射する。ポリゴンミラー4は図示しないモータにより回転されており、ポリゴンミラー4に入射したレーザービームは偏向面で反射され偏向走査される。そしてポリゴンミラー4で偏向走査された光ビームは第1、第2のFθレンズ5-1,6-1によってそれぞれ等角速度偏向から等速偏向に変更され、第1、第2のミラー7-1,8-1により走査方向を変更された後、第3のミラー9-1によって反射されて、被走査面である感光体ドラム10の方向に導かれ、感光体ドラム10上の所定の走査位置の中央から一方側の端部に向かって走査する。
【0015】
また、第2書き込み系IIは、第1書き込み系Iと同様の構成であり、第1書き込み系をポリゴンミラー4を中心に180°回転させた位置に配置されている。そして、LD光源1-2から出射したレーザー光はコリメートレンズ2-2で平行光とされた後、シリンドリカルレンズ3-2を経てポリゴンミラー4に入射し、ポリゴンミラー4で偏向走査され、第1、第2のFθレンズ5-2,6-2、第1、第2、第3のミラー7-2,8-2,9-2を経て感光体10に至り、感光体ドラム10上の所定の走査位置の中央から、第1書き込み系Iとは逆方向の端部に向かって走査される。
【0016】
尚、図1中の符号11-1,11-2はそれぞれ、第1、第2書き込み系I,IIの同期検知ユニットで、各同期検知ユニット11-1,11-2はレーザービームの走査領域外に設けられ、レーザービームの1走査毎にレーザービームの走査タイミングを検知する。また、図示しない書き込み制御回路は、同期検知ユニット11-1,11-2で検知したタイミングに応じて第1、第2書き込み系I,IIのレーザービームの走査タイミングと書き込み開始位置との同期を取るように構成されている。
【0017】
図2は図1に示す光ビーム走査装置を上方から見た概略平面図であり、図中のMの2点鎖線は走査光が第1、第2のミラー7-1,8-1(7-2,8-2)で反射される位置(第1、第2のミラーの反射面)を、M’の2点鎖線は走査光が第3のミラー9-1(9-2)で反射される位置(第3のミラーの反射面)をそれぞれ示しており、Qの1点鎖線は感光体ドラム10の中心線を、Rの1点鎖線は走査面上での結像光学系の光軸(走査ビームの光軸)をそれぞれ示している。また、図中の矢印13はポリゴンミラー4の回転方向を、矢印14は感光体ドラム10上で走査線が走査される方向(ビーム走査方向)を示している。また、図3、図4は図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの光路の概略を示す図であり、図3は第1書き込み系Iだけの光路の概略を、図4は第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの両方の光路の概略を示している。
【0018】
尚、上記の構成の光ビーム走査装置は、通常、埃等の付着を嫌うため、図示しない光学箱内部に密閉され、精度良く固定、配置されている。ただしレーザーの出射口は開放する必要があるため、光学箱にはレーザー出射口を設け、その出射口には図4に示すように防塵ガラス12-1,12-2等を配置して、埃等の侵入を防いでいる。
【0019】
以上、本発明に係る光ビーム走査装置の一構成例を示したが、本発明の光ビーム走査装置では、同一の感光体ドラム(被走査面)10上で分割走査される2つの走査線が1つのポリゴンミラー4により偏向走査されているため、ポリゴンミラー等の偏向器を複数使用した場合に比較して、偏向器自体の同期を取る必要がない。このため、副走査方向で二つの走査線の書き出しのタイミングを容易に揃えることができ、副走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
【0020】
次に図5に本発明に係る光ビーム走査装置の別の構成例を示す。この光ビーム走査装置は隣接して配置された第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの2つの書き込み系を備え、2つのLD光源1-1,1-2から出射された2つの光ビームをコリメートレンズ2-1,2-2、シリンドリカルレンズ3-1,3-2を介して、1つの偏向手段(ポリゴンミラー)4の異なる偏向面に入射して偏向し、それぞれ異なる結像光学系(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)と折り返しミラー9’により被走査面(感光体ドラム10)上に導光して、被走査面上の一つの走査領域を2分割して同方向に光走査する例を示している。
【0021】
図5の構成例では1つの偏向手段4により2つの走査線が同時に走査されるため、副走査方向の走査線のずれは発生しにくい。ただし、主走査方向の走査線の繋ぎ合わせ部を精度良く揃えるためには、第1書き込み系Iの走査線の終端に合わせて第2書き込み系IIの走査線を書き始める必要があり、技術的には難しい。また図5に示した例では、各結像光学系の光軸は被走査面軸(主走査方向と平行な感光体ドラム10の中心軸)に対して傾いているが、2つの書き込み系で共用している1つの折り返しミラー9は被走査面軸に平行に配設されているため、走査光の光軸は被走査面の軸に対して直角より傾いたままとなり、各結像光学系の結像位置が被走査面上に一致せず、深度方向に傾いた状態となり、結果としてビーム径が像高により不揃いとなるため、良好な画質を得ることができない。
【0022】
次に図6に本発明に係る光ビーム走査装置のさらに別の構成例を示す。この光ビーム走査装置は、偏向手段4を挾んでほぼ対向して配置され、且つ結像光学系の光軸が被走査面の軸にほぼ直角に配置された第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの2つの書き込み系を備え、図示しない2つの光源から出射された2つの光ビームを、図示しないコリメートレンズ、シリンドリカルレンズを介して、1つの偏向手段(ポリゴンミラー)4の異なる偏向面に入射して、それぞれほぼ対向する方向に反射、走査し、それぞれ異なる結像光学系(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)と異なる折り返しミラー(7’-1,9’-1),(7’-2,9’-2)により被走査面(感光体ドラム10)上に導光して、被走査面上の一つの走査領域を2分割して互いに逆方向で両端部に向かって光走査する例を示している。
【0023】
図6の構成例においては、副走査方向の走査線のずれは発生しにくく、さらにそれぞれの走査線が走査領域の中央部から両端部に向かって走査されるため、中央部に同期検知手段を設けることにより、走査線の主走査方向の繋ぎ合わせを精度良く行うことができる。
ただし、この構成によると、結像光学系(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)は偏向手段4を挾んでほぼ対向して配置され、且つその結像光学系の光軸は、被走査面の軸に対してほぼ直角に配置されているため、2つの走査領域の重なり合う領域が広く、繋ぎ合わせ後の走査領域の幅を広く取ることができない。
【0024】
次に図7に本発明に係る光ビーム走査装置のさらに別の構成例を示す。この光ビーム走査装置は、偏向手段4を挾んでほぼ対向して配置され、且つ結像光学系の光軸を被走査面の軸に対して直角より傾けて配置された第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの2つの書き込み系を備え、図示しない2つの光源から出射された2つの光ビームを、図示しないコリメートレンズ、シリンドリカルレンズを介して、1つの偏向手段(ポリゴンミラー)4の異なる偏向面に入射して、それぞれほぼ対向する方向に反射、走査し、それぞれ異なる結像光学系(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)と異なる折り返しミラー(7-1,9-1),(7-2,9-2)により被走査面(感光体ドラム10)上に導光して、被走査面上の一つの走査領域を2分割して互いに逆方向で両端部に向かって光走査する例を示している。
【0025】
先の図6の構成例では、結像光学系は、その光軸を被走査面の軸に対して直角に配置したものであった。これに対して図7では、2つの結像光学系(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)の光軸を被走査面(感光体ドラム10)の軸に対して直角より傾けて配置したものである。さらに各結像光学系は、最終的な走査線の向きを被走査面の軸に平行な方向(主走査方向)とするため、走査光の走査方向変更手段としてのミラー(7”-1,9”-1),(7”-2,9”-2)を有しており、このミラーを、被走査面の軸(感光体ドラム10の中心軸)に対して傾けて配置している。このため、図6の構成と比較して、走査領域幅を最大限に広くすることが可能となる。
ただし、図7の構成例では、それぞれの結像光学系において、2枚のミラー(7”-1,9”-1),(7”-2,9”-2)が被走査面の軸に対して傾けて配置されているため、図5の場合と同様に、各結像光学系の結像位置が被走査面上に一致せず、深度方向に傾いた状態となり、結果としてビーム径が像高により不揃いとなり、ビーム径の不均一が生じるため、良好な画質を得ることができない。
【0026】
以上のように図5〜図7に示した構成例では、良好な画質が得られない、あるいは走査幅(書き込み幅)を広く取ることができない等の問題が残る。
これに対して、前述の図1〜4に示した構成の光ビーム走査装置では、被走査面(感光体ドラム10)上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向かって走査されるように構成しているので、主走査方向の書き出しタイミングを容易に揃えることができ、主走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
また、この光ビーム走査装置では、図2に示すように1つの偏向手段(ポリゴンミラー4)により偏向走査される2つのレーザービームを同一の感光体ドラム10に導く2つの結像手段(Fθレンズ5-1,6-1),(Fθレンズ5-2,6-2)の光軸Rは、感光体ドラム10の中心軸(被走査面軸)Qに対してそれぞれθ1,θ2傾けられて配置されているが、
(ただし、0°<|θ1|<90°,0°<|θ2|<90°)
それぞれの結像手段が走査光の光軸Rの傾きを90°に変更するための走査方向変更手段としての2枚のミラー(7-1,8-1),(7-2,8-2)を有している構成としたので、一つのポリゴンミラー4と、2つの結像光学系を用いて2つの走査線を主走査方向にずらした形で繋ぎ合わせて走査幅の広い光ビーム走査装置(光書き込み装置)とすることができる。
【0027】
さらに図1〜4に示した構成の光ビーム走査装置では、それぞれの結像手段の走査方向偏向手段としての2枚のミラー(7-1,8-1),(7-2,8-2)を上下方向に間隔を置いて重なる位置に配置し、さらに最終的に走査光を被走査面に導くための第3のミラー9-1,9-2を配置している。そして、図8に示すように、走査方向偏向手段としての第1、第2のミラー7-1,8-1(7-2,8-2)の偏向手段4を含むビーム走査面に対する副走査方向の傾きを、それぞれα,βとした時に、
|α−β|=90°
の関係に設定したため、第1のミラー7-1(7-2)に入射する前のビーム走査面と第2のミラー8-1(8-2)出射後のビーム走査面は平行になる。このため、走査方向変更手段としての2枚のミラーの被走査面10の軸に対する角度α,βを、このミラー出射後の走査ビームの光軸が被走査面の軸に直角になるように配置すれば、それぞれの結像光学系の結像点を被走査面上の走査線上に一致させることができ、ビーム径が均一で、良好な画像を得ることができる。
従って、図1〜4及び図8の構成を満たすことにより、走査幅(書き込み幅)が広く、高画質な光書き込み装置を実現することができる。
【0028】
次に図9、図10は図2と同様の光ビーム走査装置の概略平面図であり、図1〜4、図8に示した構成の光ビーム走査装置において、各結像光学系の光軸Rと被走査面の軸Qとのなす角度と、走査方向変更手段としてのミラーの反射面Mへ光ビームが入射する角度の関係を示したものである。
図9、図10に示すように、図1〜4及び図8に示した構成の光ビーム走査装置においては、被走査面の軸Qと2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸Rのなす角をそれぞれθ1,θ2、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーの反射面Mへ入射する角度をそれぞれγ1,γ2とすると、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
の関係となるように各要素を配置しているが、このような配置とすることにより、2つの結像光学系は被走査面上の1つの走査線上に結像点を結ぶことが可能となり、常に安定した高画質を得ることができる。
【0029】
尚、図9はθ1とθ2がほぼ同じ角度の場合であり、この場合は、2つの走査ビームの走査範囲(走査幅)をほぼ等しくすることができる。
また、図10はθ1とθ2が異なる角度の場合(θ1<θ2)であり、この場合は、2つの走査ビームの走査幅は異なるものとなる。しかし、上記の関係を満たしているため、被走査面上の1つの走査線上に2つの走査ビームの結像点を一致させることができるので、問題は無い。
【0030】
さらに図1〜4及び図8〜10の構成の光ビーム走査装置においては、2つの結像光学系(Fθレンズ等)に同じ結像性能を持つ共通な光学系を用いれば、ビーム径、倍率誤差、シェーディング、走査線の曲がり、その他の結像性能が、分割された2つの走査領域において同等なものとなるため、性能的に均一で、温度変動などに対しても安定した光ビーム走査装置(光書き込み装置)を得ることができる。また、2つの結像光学系に共通品を使用することは、部品の種類を減らし、製造ロット数を増やして装置全体のコストを安くすることができる。
【0031】
尚、以上の本発明の実施形態においては、説明の簡略化のため2つの光源から発っせられた2つの光ビーム(レーザー光)として説明を行ったが、各光源をマルチビーム光源として、1度に複数の光ビームを走査する構成の光ビーム走査装置に関しても、同様の構成で実施することができ、同様な効果を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の光ビーム走査装置においては、光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、前記2系統の書き込み系は同じ構成で前記偏向手段を中心に180°回転させた位置に配置され、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像手段により、前記2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査する構成としたことにより、同一の被走査面上で分割走査される2つの走査線が単一の偏向手段(1つの偏向器)により偏向走査されているため、偏向器を複数使用した場合と比較して、偏向器自体の同期を取る必要が無い。このため、副走査方向の2つの走査線の書き出しのタイミングを容易に揃えることができ、副走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
【0033】
また、請求項1記載の光ビーム走査装置においては、上記の構成に加えて、被走査面上を走査する2つの走査ビームを、走査線の継ぎ目部よりそれぞれ逆方向に両端部に向かって走査することにより、主走査方向の書き出しタイミングを容易に揃えることができ、主走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
【0034】
さらに請求項1記載の光ビーム走査装置においては、上記の構成に加えて、1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像手段の光軸は、偏向手段の走査方向と平行な被走査面の中心軸(被走査面軸)に対してそれぞれθ1,θ2傾けられて配置され、
(ただし、0°<|θ1|<90°,0°<|θ2|<90°)
それぞれの結像手段が走査光の被走査面軸に対する光軸の傾きを90°に変更するための走査方向変更手段としてのミラーを有し、前記θ 1 ,θ 2 は、前記偏向手段の走査方向に対して同一の正負関係を有することにより、1つの偏向手段と、2つの結像手段を用いて2つの走査線を主走査方向にずらした形で繋ぎ合わせることができ、その走査幅を広くすることができ、走査幅の広い光ビーム走査装置を実現できる。従って、本発明を画像形成装置に適用すれば、書き込み幅の広い光書き込み装置を実現することができる。
【0035】
請求項2記載の光ビーム走査装置においては、請求項1の構成に加えて、1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段として2枚のミラーを有し、偏向手段を含むビーム走査面に対する前記2枚のミラーの副走査方向の傾きをそれぞれα,βとすると、
|α−β|=90°
の関係を持たせると共に、前記2枚のミラーは副走査方向に一定の間隔をおいて重ね合わせた構成とし、さらに走査光を被走査面に導くための第3のミラーを設けたことにより、2つの結像光学系の結像位置を被走査面上の1走査線上に精度良く重ね合わせることができ、ビーム径等が均一で高画質な光ビーム走査装置を実現することができる。従って、本発明を画像形成装置に適用すれば、書き込み幅の広い高画質な光書き込み装置を実現することができる。また、ミラー3枚の配置方法の構成上、温度変動による影響の少ない高画質な光書き込み装置を提供することができる。
【0036】
請求項3記載の光ビーム走査装置においては、請求項1の構成に加えて、被走査面軸と2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸のなす角をそれぞれθ1,θ2、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射するときのビ0ム走査面上でのミラー法線に対する入射角度をそれぞれγ1,γ2とすると、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
となるように構成したことにより、2つの結像手段の走査線を精度良く1直線上に揃えることができ、走査線の曲がりや傾き等の発生しない高画質な光ビーム走査装置を実現することができる。従って、本発明を画像形成装置に適用すれば、書き込み幅の広い高画質な光書き込み装置を実現することができる。
【0037】
請求項4記載の光ビーム走査装置においては、請求項1乃至3のいずれか一つの構成に加えて、2つの結像手段として共通な構成で、共通な結像性能を持つ物を用いたことにより、2つの分割された走査線部分での性能が同等となり、全走査幅に渡り均一で安定した高画質な光ビーム走査装置を実現することができる。従って、本発明を画像形成装置に適用すれば、書き込み幅の広い高画質な光書き込み装置を実現することができる。また、2つの結像光学系に共通な物を用いることにより、より低コストな光書き込み装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図であって、光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光ビーム走査装置を上方から見たときの概略平面図である。
【図3】図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの図であり、第1書き込み系だけの光路の概略を示す図である。
【図4】図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの図であり、第1書き込み系と第2書き込み系の両方の光路の概略を示す図である。
【図5】本発明に係る光ビーム走査装置の別の構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る光ビーム走査装置のさらに別の構成例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る光ビーム走査装置のさらに別の構成例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る光ビーム走査装置の結像光学系に配設される走査方向偏向手段としての2枚のミラーの配置角度と、ビーム走査面の関係を示す図である。
【図9】図2と同様の構成の光ビーム走査装置の概略平面図であり、各結像光学系の光軸と被走査面の軸とのなす角度と、走査方向偏向手段としてのミラーの反射面へ光ビームが入射する角度の関係を示す図である。
【図10】図2と同様の構成の光ビーム走査装置の概略平面図であり、各結像光学系の光軸と被走査面の軸とのなす角度と、走査方向偏向手段としてのミラーの反射面へ光ビームが入射する角度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1-1,1-2:半導体レーザー(LD)光源
2-1,2-2:コリメートレンズ
3-1,3-2:シリンドリカルレンズ
4:ポリゴンミラー(偏向手段)
5-1,5-2:第1のFθレンズ(結像手段)
6-1,6-2:第2のFθレンズ(結像手段)
7-1,7-2:第1のミラー(走査方向偏向手段)
8-1,8-2:第2のミラー(走査方向偏向手段)
9-1,9-2:第3のミラー
10:感光体ドラム(被走査面)
11-1,11-2:同期検知ユニット
I:第1書き込み系
II:第2書き込み系
M:第1、第2のミラーの反射面
M’:第3のミラーの反射面
Q:感光体ドラムの中心軸(被走査面の軸)
R:結像手段の光軸
Claims (5)
- 光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、前記2系統の書き込み系は同じ構成で前記偏向手段を中心に180°回転させた位置に配置され、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像手段により、前記2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査し、前記被走査面上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向かって走査され、1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像手段の光軸は、前記偏向手段の走査方向と平行な前記被走査面の中心軸(以下、被走査面軸と言う)に対してそれぞれθ 1 ,θ 2 傾けられて配置され、
(ただし、0°<|θ 1 |<90°,0°<|θ 2 |<90°)
それぞれの結像手段が走査光の被走査面軸に対する光軸の傾きを90°に変更するための走査方向変更手段としてのミラーを有し、前記θ 1 ,θ 2 は、前記偏向手段の走査方向に対して同一の正負関係を有することを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1記載の光ビーム走査装置において、1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段として2枚のミラーを有し、前記偏向手段を含むビーム走査面に対する前記2枚のミラーの副走査方向の傾きをそれぞれα,βとすると、
|α−β|=90°
の関係を持たせると共に、前記2枚のミラーは副走査方向に一定の間隔をおいて重ね合わせた構成とし、さらに走査光を被走査面に導くための第3のミラーを設けたことを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1記載の光ビーム走査装置において、被走査面軸と、2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸とのなす角をそれぞれθ 1 ,θ 2 、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射するときのビーム走査面上でのミラー法線に対する入射角度をそれぞれγ 1 ,γ 2 とすると、
|θ 1 |+2×|γ 1 |=90°
|θ 2 |+2×|γ 2 |=90°
となるように構成したことを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の光ビーム走査装置において、2つの結像手段として共通な構成で、共通な結像性能を持つ物を用いたことを特徴とする光ビーム走査装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光ビーム走査装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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