JP3889549B2 - 光ビーム走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタル複写機、プリンター、ファクシミリ、プロッター等の画像形成装置の光書き込み装置として応用される光ビーム走査装置および、その光ビーム走査装置を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機等の画像形成装置のデジタル化が進む中で、A1版、A0版等の広幅用紙に対応した画像形成装置においてもデジタル化が進む傾向にあり、さらなる高画質化が要求されている。現在A1版,A0版等の広幅用紙対応のデジタル複写機においては、光書き込み装置はLEDアレイを用いて書き込む方式が主流であるが、これはレーザー光(光ビーム)をポリゴンミラー等で偏向走査して書き込む方式に比較してコスト高であり、画質的にも劣ることは否めない。ただし、A0幅でのレーザー光走査による書き込みを考えた場合、光路長の長さ、レンズの大型化、反射ミラーの長尺化等からユニットの大型化、コスト高が課題となる。そこで、この課題を解決する手段として、従来より主走査方向(レーザー光の走査方向)に2つの書き込み系を繋ぎ合わせて広幅の走査幅を得る方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、2つの光学系の走査線を主走査方向に繋ぎ合わせて、広幅の走査幅(書き込み幅)の光書き込み装置を得る方法に関しては、特開昭61−11720号公報や、特開昭62−69575号公報、特開平6−208066号公報などが提案されている。これらの発明は、いずれも2つのポリゴンミラーと2つの結像光学系を用いた構成となっており、光書き込み装置のユニットのコンパクト化、低コスト化が図れる。
しかしながら前者の2つの方式は、同じ方向に走査する2つの走査線を繋げる方式を用いており、第1の走査線の終端を第2の走査線の開始端とする必要が有るため、主走査方向の位置を精度良く揃えるのが技術的に困難であった。また、副走査方向(被走査面上で主走査方向に直交する方向)の走査線位置を揃えるためにもポリゴンミラーの回転の同期をとる必要があり、技術的に課題があった。
また、3番目の発明においては、2つのポリゴンミラーを逆方向に回転させ、全走査幅のほぼ中央に配置した一つの同期検知装置で書き出し位置のタイミングを測って、中央から両端に向けて光ビームを走査する構成としているため、主走査方向の走査線の位置合わせを容易に行うことができる。ただしこの方式では、2つのポリゴンミラーにより2つの走査線は別々に走査されるため、やはり副走査方向の走査線の位置を揃えるためには、2つのポリゴンミラーの回転の同期をとる必要があり、実用化には問題があった。
【0004】
さらに特開平8−72308号公報には、2つのポリゴンミラーを一つの駆動源で回転させて、該ポリゴンミラーの回転の同期を取る方法が提案されているが、高速回転する2つのポリゴンミラーを一つの駆動源で駆動伝達機構を介して同時に回転させることは、実際には困難であった。また、この従来技術では1つのポリゴンミラーの異なる偏向面に2つのビームを入射させ、共通の結像光学系で2つの走査ビームを主走査方向に繋ぎ合わせる構成の光書き込み系を提案している。しかし、ポリゴンミラーが1つのため、2つの走査線の副走査方向の位置合わせは容易に行えるが、2つの走査線の走査方向が同じため、前述の従来技術と同様に主走査方向の走査線の位置合わせに問題があり、さらに結像光学系のレンズも大型化し実用的ではなかった。
また、その他にも、特開平9−5655号公報、特開平9−127440号公報等の発明が提案されているが、これらも2つ以上のポリゴンミラーと結像光学系を用いた構成となっているため、上述の従来技術と同様の技術課題がある。従って、上述の技術課題を全て解決する従来技術は提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、2つの光学系の走査線を主走査方向に繋ぎ合わせて、広幅の走査幅の光書き込み装置を得る方法に関しては種々の提案があり、これらの方法によれば、光書き込み装置のユニットのコンパクト化、低コスト化が図れるが、2つの走査線の繋ぎ合わせ部を精度良く揃えるための技術(2つのポリゴンミラーの回転同期を取り、走査線のズレを補正する技術)の難しさから実用化には至っていない。
【0006】
そこで本発明者らは先に、1つの偏向手段(ポリゴンミラー等の偏向器)で2つの書き込み系を走査することにより、偏向手段の同期を取る必要をなくし、これにより走査線の繋ぎ合わせ部を精度良く繋ぎ合わせることができ、走査幅の広い、低コスト、コンパクトで高画質な光ビーム走査装置を実現することを目的として、「光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像光学系により、これら2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査するように各要素を構成したことを特徴とする光走査装置」を提案した(特願平10−365095号、特願平11−75544号)。
【0007】
この光ビーム走査装置によれば、同一の被走査面上で分割走査される2つの走査線が単一の偏向手段(1つの偏向器)により偏向走査されているため、偏向器を複数使用した場合と比較して、偏向器自体の同期を取る必要が無い。
このため、副走査方向の2つの走査線の書き出しのタイミングを容易に揃えることができ、副走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
しかしながら、上記光ビーム走査装置においては、副走査方向の走査線のずれを検出し補正することはできるが、2つの走査線がそれぞれ任意の方向に傾いた場合や、走査領域の右半分、左半分で倍率誤差がそれぞれ変動してしまった場合には、対応することができなかった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、温度変動やマシン姿勢の変化により生じる走査ビームの傾きと倍率誤差の変動を精度良く検出し、これに応じて走査ビームの傾きと倍率誤差の補正を行うことができるようにした光ビーム走査装置を提供することを目的とする。さらには、その光ビーム走査装置を用い、常に安定した良質な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ビーム走査装置は、光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を含む結象光学系とを有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像光学系により、これら2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査するように各要素を構成したことを特徴とし、
(1)前記被走査面上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向って走査されるように構成し、
(2)1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像光学系の結像手段の光軸は、被走査面軸に対してそれぞれ角度:θ1,θ2(ただし、0°<|θ1|<90°、0°<|θ2|<90°)傾けて配置され、それぞれの結像光学系は、結像手段からの走査光の光軸傾きを、被走査面に対して90°に変更するための走査方向変更手段を有し、
(3)1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段は、副走査方向に一定の間隔を置いて空間的に重ね合わせた構成の2枚のミラーを有し、これら2枚のミラーの、偏向手段を含むビーム走査面に対するそれぞれの傾き角:α,βが、
|α−β|=90°
の関係を満足すると共に、この2枚のミラーにより反射された走査ビームを被走査面に導くための第3のミラーを有し、
(4)被走査面軸と2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸のなす角:θ1,θ2と、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射する角度:γ1,γ2が、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
なる関係を満足するように構成し、
(5)2つの結像光学系がそれぞれビーム走査位置検出手段を有するか、あるいは同期検知手段が前記ビーム走査位置検出手段を兼ねる構成とし、
(6)少なくともどちらか一方の結像光学系がビーム走査位置制御手段を有する構成とした、
ことを特徴としている。
【0010】
そして、請求項1に係る光ビーム走査装置は、上記(1)〜(6)の構成に加えて、2つの結像光学系のそれぞれの同期検知手段が、ビーム走査開始端と終了端の2点に設けられ、且つ倍率誤差検出機能と、その調整機能を有することを特徴としている。すなわち、請求項1に係る光ビーム走査装置においては、特別な治具を用いずとも、2つの結像光学系でそれぞれに倍率誤差の検出を可能とし、さらにその調整機構を設けることにより、光ビーム走査装置として、全走査幅での初期倍率誤差調整を容易に行うことができるようにするものである。
【0011】
請求項2に係る光ビーム走査装置は、請求項1の構成に加えて、倍率誤差変動の検出と、その自動補正機能を有することを特徴としている。すなわち、請求項2に係る光ビーム走査装置においては、温度変化等の経時変化により、倍率誤差が変化してもこれを検出し、自動的に補正して、常に倍率誤差の安定した良好な画像が得られるようにするものである。
【0012】
請求項3に係る光ビーム走査装置は、上記(1)〜(6)の構成に加えて、2つの結像光学系のそれぞれが、ビーム走査位置検出手段をビームの走査開始端と終了端の2点に持ち、ビーム傾き量を検出すると共に、どちらか1方または両方の結像光学系がその調整機能を有することを特徴としている。すなわち、請求項3に係る光ビーム走査装置においては、特別な治具を用いずとも、2つの結像光学系が共に走査ビームの傾き量の検出、調整ができるようにして、走査全幅に渡り初期的に走査線の傾きの無い良好な画像が容易に得られるようにするものである。
【0013】
請求項4に係る光ビーム走査装置は、請求項3の構成に加えて、それぞれの結像光学系が、ビーム傾き変動量の検出の機能を有しており、どちらか1方または両方の結像光学系が、その自動補正機能を有することを特徴としている。すなわち、請求項4に係る光ビーム走査装置においては、2つの結像光学系が、それぞれ走査線傾き量の検出と自動補正機能を有しているので、温度変動、マシンの移動等により走査線の傾きが発生してもこれを検出し補正して、常に全走査領域に渡って走査線傾きの無い良質な画像が得られるようにするものである。
【0014】
さらに請求項5に係る画像形成装置は、光導電性の像担持体を帯電し、該像担持体に光書き込み装置により静電潜像の書き込みを行い、形成された静電潜像を現像して可視化し、この可視像を記録材に転写・定着する方式の画像形成装置において、前記像担持体の表面を被走査面とし、前記光書き込み装置として、請求項1〜4のうちの何れか一つに記載の光ビーム走査装置を用いたことを特徴としたものである。すなわち、請求項5に係る画像形成装置においては、請求項1〜4のうちの何れか一つに記載の光ビーム走査装置を用いたことにより、温度変動やマシン姿勢の変化により生じる走査ビームの傾きと倍率誤差の変動を精度良く検出し、これに応じて走査ビームの傾きと倍率誤差の補正を行うことができるようになるため、常に安定した良質な画像を得ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ビーム走査装置の構成、動作を図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の対象となる光ビーム走査装置の基本的な構成について図9〜20を参照して説明する。
図9は本発明の対象となる光ビーム走査装置の概略構成例を示す斜視図であり、デジタル複写機等の画像形成装置の光書き込み装置に用いた例を示したものである。
図9に示す光ビーム走査装置(光書き込み装置)は、光ビームを出射する光源として半導体レーザー(LD)光源1−1,1−2を2つ備え、各半導体レーザー光源1−1,1−2の出射ビームに対してそれぞれコリメートレンズ2−1,2−2と、シリンドリカルレンズ3−1,3−2が配設されている。そしてコリメートレンズ2−1,2−2と、シリンドリカルレンズ3−1,3−2を介してそれぞれ導光された2つの光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段として、単一のポリゴンミラー4が設けられている。このポリゴンミラー4で偏向された2つの光ビームを被走査面である光導電性の像担持体(例えば、感光体ドラム)10上にそれぞれ導き結像する結像光学系の結像手段としては、第1のFθレンズ5−1,5−2と第2のFθレンズ6−1,6−2がそれぞれ設けられており、さらに走査方向変更手段として、2系統の結像光学系の光路のそれぞれに2枚のミラー、すなわち第1のミラー7−1,7−2と第2のミラー8−1,8−2が配設されている。さらにまた、結像光学系の光路上には、第1、第2のミラーにより走査方向を変更された走査光を、被走査面である感光体ドラム10に導くための第3のミラー(折り返しミラー)9−1,9−2が配設されている。このように図9に示す光ビーム走査装置(光書き込み装置)においては、2系統の光書き込み系を備えており、ポリゴンミラー4は2系統の光書き込み系で共用される構成である。尚、ここでは偏向手段4より左側半分の光書き込み系を第1書き込み系I、右側半分の光書き込み系を第2書き込み系IIと呼ぶものとする。
【0016】
第1書き込み系Iにおいて、図示されない駆動装置に制御されて半導体レーザー(LD)光源1−1は画像信号に応じて変調されたレーザー光を発光し、このレーザー光はコリメートレンズ2−1で平行光とされ、コリメートレンズ2−1で平行光とされたレーザービームはシリンドリカルレンズ3−1を経てポリゴンミラー4に入射する。ポリゴンミラー4は図示しないモータにより回転されており、ポリゴンミラー4に入射したレーザービームは偏向面で反射され偏向走査される。そしてポリゴンミラー4で偏向走査されたレーザービーム(走査ビーム)は第1、第2のFθレンズ5−1,6−1によってそれぞれ等角速度偏向から等速偏向に変更され、第1、第2のミラー7−1,8−1により走査方向を変更された後、第3のミラー9−1によって反射されて、被走査面である感光体ドラム10の方向に導かれ、感光体ドラム10上の所定の走査位置の中央部S0から一方側の走査領域S1の端部に向かって走査される。
【0017】
また、第2書き込み系IIは、第1書き込み系Iと同様の構成であり、第1書き込み系をポリゴンミラー4を中心に180°回転させた位置に配置されている。そして、LD光源1−2から出射したレーザー光はコリメートレンズ2−2で平行光とされた後、シリンドリカルレンズ3−2を経てポリゴンミラー4に入射し、ポリゴンミラー4で偏向走査され、第1、第2のFθレンズ5−2,6−2、第1、第2、第3のミラー7−2,8−2,9−2を経て感光体10に至り、感光体ドラム10上の所定の走査位置の中央部S0から、第1書き込み系Iとは逆方向の走査領域S2の端部に向かって走査される。
【0018】
尚、図9中の符号11−1,11−2はそれぞれ、第1、第2書き込み系I,IIの同期検知ユニットで、各同期検知ユニット11−1,11−2はレーザービームの走査領域外に設けられ、レーザービームの1走査毎にレーザービームの走査タイミングを検知する。また、図示しない書き込み制御回路は、同期検知ユニット11−1,11−2で検知したタイミングに応じて第1、第2書き込み系I,IIのレーザービームの走査タイミングと書き込み開始位置との同期を取るように構成されている。
【0019】
図10は図9に示す光ビーム走査装置を上方から見た概略平面図であり、図中のMの2点鎖線は走査光が第1、第2のミラー7−1,8−1(7−2,8−2)で反射される位置(第1、第2のミラーの反射面)を、M’の2点鎖線は走査光が第3のミラー9−1(9−2)で反射される位置(第3のミラーの反射面)をそれぞれ示しており、Qの1点鎖線は感光体ドラム10の中心線を、Rの1点鎖線は走査面上での結像光学系の光軸(走査ビームの光軸)をそれぞれ示している。また、図中の矢印13はポリゴンミラー4の回転方向を、矢印14は感光体ドラム10上で走査線が走査される方向(ビーム走査方向)を示している。また、図11、図12は図10の光ビーム走査装置をA方向から見たときの光路の概略を示す図であり、図11は第1書き込み系Iだけの光路の概略を、図12は第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの両方の光路の概略を示している。
【0020】
尚、上記の構成の光ビーム走査装置は、通常、埃等の付着を嫌うため、図示しない光学箱内部に密閉され、精度良く固定、配置されている。ただしレーザーの出射口は開放する必要があるため、光学箱にはレーザー出射口を設け、その出射口には図12に示すように防塵ガラス12−1−12−2等を配置して、埃等の侵入を防いでいる。
【0021】
図9〜12に示す構成の光ビーム走査装置では、1つの偏向手段(ポリゴンミラー)4の異なる偏向面に2つの光ビーム(レーザービーム)を入射し偏向して、それぞれ異なる結像光学系で感光体ドラム10の被走査面上の一つの走査領域を、2分割して光走査している。従って、被走査面上で分割走査される2つの走査線が1つのポリゴンミラー4により同時に偏向走査されているため、副走査方向の走査線のずれは発生しにくい(ポリゴンミラーの面倒れ、回転ムラに起因する走査ピッチムラが2分割された領域で一致するため)。さらに、それぞれの走査線が走査領域の中央部S0から両端部に向って走査されるため、中央部に同期検知を設けることが可能で、走査線の主走査方向の繋ぎ合わせを精度良く行うことができる。
また、図9〜12に示した構成の光ビーム走査装置では、被走査面(感光体ドラム10)上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向かって走査されるように構成しているので、主走査方向の書き出しタイミングを容易に揃えることができ、主走査方向の走査線の位置ズレを防止することができる。
【0022】
一般的に、2つの結像光学系の光軸が最終的に被走査面軸(感光体ドラム軸Q)に直角に設定され、2つの光路長が結像レンズの光路長に等しい関係に有れば、結像点を被走査面上の1本の走査線上に一致させることができるため、ビーム径が均一で、良好な画像を得ることができる。
本発明に係る光ビーム走査装置では、図10に示すように1つの偏向手段(ポリゴンミラー4)により偏向走査される2つの走査ビームを同一の感光体ドラム10に導く2つの結像手段(Fθレンズ5−1,6−1),(Fθレンズ5−2,6−2)の光軸Rは、感光体ドラム10の中心軸(被走査面軸)Qに対してそれぞれ角度:θ1,θ2傾けられて配置されているが、
(ただし、0°<|θ1|<90°,0°<|θ2|<90°)
それぞれの結像光学系が、走査ビームの光軸Rの傾きを90°に変更するための走査方向変更手段としての2枚のミラー(7−1,8−1),(7−2,8−2)を有している構成としたので、一つのポリゴンミラー4と、2つの結像光学系を用いて2つの走査線を主走査方向にずらした形で繋ぎ合わせて走査幅の広い光ビーム走査装置(光書き込み装置)とすることができる。
【0023】
さらに図9〜12に示した構成の光ビーム走査装置では、それぞれの結像光学系の走査方向偏向手段としての2枚のミラー(7−1,8−1),(7−2,8−2)を上下方向に間隔を置いて空間的に重なる位置に配置し、さらに最終的に走査光を被走査面に導くための第3のミラー9−1,9−2を配置している。そして、図13に示すように、走査方向偏向手段としての第1、第2のミラー7−1,8−1(7−2,8−2)の偏向手段4を含むビーム走査面に対する副走査方向の傾き角を、それぞれα,βとした時に、
|α−β|=90°
となる関係を満足するように設定したため、第1のミラー7−1(7−2)に入射する前のビーム走査面と第2のミラー8−1(8−2)出射後のビーム走査面は平行になる。このため、走査方向変更手段としての2枚のミラーの被走査面10の軸に対する角度α,βを、このミラー出射後の走査ビームの光軸が被走査面の軸に直角になるように配置すれば、それぞれの結像光学系の結像点を被走査面上の走査線上に一致させることができ、ビーム径が均一で、良好な画像を得ることができる。
従って、図9〜13の構成を満たすことにより、走査幅(書き込み幅)が広く、高画質な光書き込み装置を実現することができる。
【0024】
ここで、図14、図15は図10と同様の光ビーム走査装置の概略平面図であり、図9〜13に示した構成の光ビーム走査装置において、各結像光学系の光軸Rと被走査面の軸Qとのなす角度と、走査方向変更手段としてのミラーの反射面Mへ光ビームが入射する角度の関係を示したものである。
図14、図15に示すように、図9〜13に示した構成の光ビーム走査装置においては、被走査面の軸Qと2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸Rのなす角をそれぞれθ1,θ2、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーの反射面Mへ入射する角度をそれぞれγ1,γ2とすると、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
となる関係を満足するように各要素を配置しているが、このような配置とすることにより、2つの結像光学系は被走査面上の1つの走査線上に結像点を結ぶことが可能となり、常に安定した高画質を得ることができる。
【0025】
尚、図14はθ1とθ2がほぼ同じ角度の場合であり、この場合は、2つの走査ビームの走査範囲(走査幅)をほぼ等しくすることができる。
また、図15はθ1とθ2が異なる角度の場合(θ1<θ2)であり、この場合は、2つの走査ビームの走査幅は異なるものとなる。しかし、上記の関係を満たしているため、被走査面上の1つの走査線上に2つの走査ビームの結像点を一致させることができるので、問題は無い。
【0026】
さらに図9〜15の構成の光ビーム走査装置においては、2つの結像光学系の結像手段(Fθレンズ等)に同じ結像性能を持つ共通な光学系を用いれば、ビーム径、倍率誤差、シェーディング、走査線の曲がり、その他の結像性能が、分割された2つの走査領域において同等なものとなるため、性能的に均一で、温度変動などに対しても安定した光ビーム走査装置(光書き込み装置)を得ることができる。また、2つの結像光学系に共通品を使用することは、部品の種類を減らし、製造ロット数を増やして装置全体のコストを安くすることができる。
【0027】
ところで、本発明が適用される光ビーム走査装置は、2つの結像光学系の走査ビームを精度良く繋ぎ合わせて1つの走査線を得ている。そして上記に述べた方法により、調整等で初期的にはこの状態が保たれているが、この光ビーム走査装置を搭載した画像形成装置の機内温度上昇または偏向手段自体の発熱等で、光ビーム走査装置のハウジングの熱膨張やそれに伴う反射ミラーや結像手段等の姿勢変化などにより、2つの走査ビームが副走査方向にずれる現象が発生する。
そこで、この走査線のずれ量を検出し、これを自動的に補正するシステムが必要となってくるため、以下、その方法について説明する。
【0028】
図16は、図9に示す構成の光ビーム走査装置に走査線のずれ量を検出するビーム走査位置検出手段を付加した構成の光ビーム走査装置の概略斜視図であり、図9と同符号を付したものは同様の構成部材である。
図16において、符号13−1,13−2が第1、第2書き込み系のビーム走査位置検出手段であり、このビーム走査位置検出手段13−1,13−2は例えばCCD等のセンサーよりなり、同期検知ユニット11−1,11−2と同様、画像走査領域外の感光体ドラム10近傍に設置されている。また、符号22は第2書き込み系の第3ミラー9−2に設けられた、ビーム走査位置制御手段を示している。このビーム走査位置制御手段は、例えば、ステッピングモーター等からなり、第3ミラー9−2の角度を変更する。
【0029】
ここで、上記ビーム走査位置検出手段(CCD)13−1,13−2の検出信号は図示しない制御部に入力され、該制御部はその検出信号に基づいて第1、第2書き込み系のビーム走査位置のずれを検出し、そのずれ量から補正量を演算し、ビーム走査位置制御手段(ステッピングモータ等)22を制御して走査線のずれを自動的に補正する。
より具体的に述べると、予め走査線のずれの無い状態で第1、第2書き込み系の走査ビームが各々のビーム走査位置検出手段13−1,13−2のCCDを通過するアドレスを検出して、それぞれ制御部のメモリーに記憶しておく。そして、ビーム走査位置が変化した際には、その変化後のそれぞれのアドレスと、上記のずれの無い時のアドレスとの差から、第1、第2のビーム走査位置の移動量が求まるので、その和から2つのビーム走査線の相対的距離(ずれ量)が求められ、ビーム走査位置の補正量が演算される。そして、制御部は上記相対的距離(ずれ量)に見合う補正量だけビーム走査位置制御手段22を駆動して、第2書き込み系の第3ミラー9−2の角度を変更し、第2書き込み系の走査線位置を移動して第1書き込み系の走査線位置と合わせることにより、再び走査線ずれの無い良好な画像を得ることができる。
【0030】
尚、上記の例では第2書き込み系側だけを制御しているが、勿論、ビーム走査位置制御手段を第1書き込み系にも設け、2つのビーム走査位置が常に初期の位置からずれないように制御してもよい。
また、上記の制御は、画像形成時にはなされず、画像形成直前または、連続通紙時の紙間になされるものとする。
また、ビーム走査位置検出手段13−1,13−2は、画像領域外であれば、ビームの走査開始端側の同期検知前後のどちらに設けても良い。
【0031】
次に、図17,18は、同期検知手段が上記ビーム走査位置検出手段を兼ねる構成とした例であり、同期検知手段により、ビーム走査位置検出を行う方法を示している。ここで、図17の(a)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの長手方向の側面から見たときの光路の概略を示す図、(b)は光ビーム走査装置を上方(偏向器の軸方向)から見たときの光路の概略を示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1書き込み系側の光路の概略を示す図である。また、図18の(a)は図17(a)の同期検知手段の部分を拡大して示す図、(b)は図17(b)の同期検知手段の部分を拡大して示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1、第2書き込み系の光路の概略を示す図である。図17,18の符号11a−1,11a−2はビーム走査位置検出手段を兼ねる同期検知ユニットであり、16−1,16−2は同期検知ミラーである。
【0032】
図17,18において、第1書き込み系、第2書き込み系の同期光は第3ミラー9−1,9−2で反射された後、第3ミラー9−1,9−2と感光体ドラム10の間に新たに設置された同期検知ミラー16−1,16−2でそれぞれ折り返されて、感光体ドラム相当位置に設置された同期検知ユニット11a−1,11a−2に入射する。
第1、第2書き込み系の同期検知ミラー16−1,16−2はそれぞれ副走査方向に傾けられて配置され、同期光を各々の同期検知ユニット11a−1,11a−2に導いている。また、同期光はそれぞれ第3ミラー9−1,9−2を経由しているため、ハウジングの熱変形で第3ミラー9−1,9−2の姿勢が変化しビーム走査位置が変動した場合には、これを検出することができる。従って、同期検知ユニット11a−1,11a−2の検出信号から第1、第2書き込み系のビーム走査位置を検出してビーム走査位置のずれ量を演算し、ビーム走査位置制御手段(ステッピングモータ等)22を制御して走査線のずれを補正することが可能となる。
【0033】
次に上記の同期検知ユニットによるビーム走査位置の検出方法について説明する。
図19は同期検知ユニットの一例を示す図であって、同期検知ユニットを直角三角形の受光部を有する同期検知板Iで構成した例である。この同期検知板Iの受光部は、ビームの入口側が主走査方向に直交し副走査方向に平行な辺となっており、ビームの出口側が主・副走査方向に傾斜した傾きθの斜辺となっている。
図19において、初期のビーム走査位置ずれの無い状態のビーム通過位置をAとした時、その走査ビームAの同期検知信号(信号A)の検出時間がtAであったとする。また、温度変動により位置ずれが発生した時のビーム通過位置をBとし、その走査ビームBの同期検知信号(信号B)の検出時間がtBに変化したとする。
この時のビーム位置変動量pvは、ビームの走査速度をv、センサーの斜辺の角度をθ、Δt=tA−tBとすると、
pv=v・(tA−tB)/tanθ=v・Δt/tanθ
として求めることができる。
【0034】
また、図20は同期検知ユニットの別の例を示す図であって、同期検知ユニットを2つのセンサー(フォトダイオード)PD1,PD2からなる同期検知板IIで構成した例である。この同期検知板IIのビーム入口側のセンサーPD1は主走査方向に直交し副走査方向に平行な配置となっており、出口側のセンサーPD2は主・副走査方向に45°傾けた配置となっている。
図20において、初期のビーム走査位置ずれの無い状態のビーム通過位置をAとした時、その走査ビームAの同期検知信号(信号A)の2つのセンサー間のビーム通過時間がtAであり、また、温度変動により位置ずれが発生した時のビーム通過位置をBとし、その走査ビームBの同期検知信号(信号B)の2つのセンサー間のビーム通過時間がtBに変化したとすると、両者のビーム通過時間の差Δt=tA−tBにより、ビーム走査位置のずれ量:pvは、
pv=v・Δt/tanθ
であり、θ=45°のとき、tanθ=1であるから、
pv=v・Δt
により求めることができる。
【0035】
図19または図20の方法により、第1、第2書き込み系のビーム走査位置の変化量(ずれ量)をそれぞれ同期検知ユニットにより検出した後、制御部で第1、第2書き込み系の2つのビーム走査位置の変化量(ずれ量)を合計して補正量を演算し、前述のビーム走査位置制御手段22によりこの量に等しいだけビーム走査位置を補正すれば、温度変動等によっても2つのビーム走査位置に位置ずれの無い良質な画像を得ることができる。
尚、図19または図20の同期検知板を同期検知ユニットに用いた場合、主走査方向の書き出し位置を決めるための同期信号としては、どちらの構成の場合も、ビーム走査位置により変化しない検出信号Aを使用する。
【0036】
以上、本発明が対象とする光ビーム走査装置の基本的な構成について説明したが、この光ビーム走査装置においては、副走査方向の走査線の位置ずれを検出して補正することができるので、温度変動等によっても2つのビーム走査位置に位置ずれの無い良質な画像を得ることができる。しかしながら、この光ビーム走査装置においては、ビーム走査位置検出手段を兼ねた同期検知手段がビーム走査開始端にしか設けられていないため、2つの走査線がそれぞれ任意の方向に傾いた場合や、走査領域の右半分、左半分で倍率誤差がそれぞれ変動してしまった場合には、対応することができない。
【0037】
そこで本発明では、図9〜20の構成に加えて、2つの結像光学系のそれぞれの同期検知手段が、ビーム走査開始端と終了端の2点に設けられ、且つ倍率誤差検出機能と、その調整機能を有する構成とし(請求項1)、さらには、倍率誤差変動の検出と、その自動補正機能を有する構成とする(請求項2)。あるいは、図9〜20の構成に加えて、2つの結像光学系のそれぞれが、ビーム走査位置検出手段をビームの走査開始端と終了端の2点に持ち、ビーム傾き量を検出すると共に、どちらか1方または両方の結像光学系がその調整機能を有する構成とし(請求項3)、さらには、それぞれの結像光学系が、ビーム傾き変動量の検出の機能を有しており、どちらか1方または両方の結像光学系が、その自動補正機能を有する構成とする(請求項4)。以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0038】
【実施例】
まず請求項1の発明を適用した実施例を図1〜4に示す。図1は請求項1に係る光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図、図2は図1に示す光ビーム走査装置を上方(偏向器の光軸方向)から見た概略平面図である。また、図3、図4は図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの光路の概略を示す図であり、図3は第1書き込み系Iだけの光路の概略を、図4は第1書き込み系Iと第2書き込み系IIの両方の光路の概略を示している。
図1〜4に示す光ビーム走査装置は、図9〜12に示した光ビーム走査装置の第1、第2書き込み系のそれぞれに、もう一つの同期検知ユニット17−1,17−2を追加したものであり、この新たに追加された同期検知ユニット17−1,17−2は、ビーム走査終了端で、画像領域外に設けられている。尚、図1〜4において、図9〜12と同符号を付したものは同様の機能・動作を有する構成部材であるので、ここでは説明を省略する。また、図1〜4には図示していないが、図16に示したビーム走査位置検出手段13−1,13−2と、ビーム走査位置制御手段22が設けられている。
【0039】
図1〜4に示す構成の光ビーム走査装置においては、例えば、ポリゴンミラー4の回転数が一定で、結像レンズ、ミラー等の光学素子の部品精度、取り付け精度に誤差の無い場合、第1書き込み系Iの2つの同期検知ユニット11−1,17−1の同期検知信号より検出される信号間隔は一定となる。この時間間隔が基準値より短い場合には画像が伸び、長い場合には画像が縮む。従って第1、第2書き込み系のビーム走査開始端と終了端に設置されたこれら2つの同期検知信号の信号間隔を測定することにより、それぞれの書き込み系の倍率誤差の値を求めることができ、ポリゴンミラー4を回転するポリゴンモータの回転数や、書き込みクロック周波数の微調整を行えば、種々の要因によりバラツク初期的な倍率誤差のずれを合わせ込むことができる。従って、光ビーム走査装置として、全走査幅での初期倍率誤差調整を容易に行うことができる。
【0040】
次に請求項2の発明を適用した実施例を図5、図6に示す。図5は図1〜4に示す構成の光ビーム走査装置において、倍率誤差補正動作をポリゴンモータの回転数で補正する場合の実施例を示す制御系のブロック図であり、簡略化のため、感光体ドラム10の半分の走査領域の1つの書き込み系(第1または第2書き込み系)について図示してある。図5において、符号31は半導体レーザー光源1を制御するレーザー駆動回路、32は位相同期回路、33は書き込みクロック生成回路(倍率補正回路)、34はポリゴンモータ駆動回路、35は画像形成装置の本体駆動回路である。また、DETP1は走査開始端側の同期検知ユニット(図1〜4の11−1,11−2)を、DETP2は走査終了端側の同期検知ユニット(図1〜4の17−1,17−2)を示している。また、図6は図5に示す制御系による制御動作の概略を説明するためのフローチャートを示している。
【0041】
図5に示す制御系においては、図6に示すように、書き込みクロック生成回路(倍率補正回路)33により、2つのレーザー光検出手段(同期検知ユニット)DETP1,DETP2間の走査時間(カウント数)を測定し(S1)、ポリゴンモータ駆動回路34により偏向速度vの制御(ポリゴンモータの回転数の制御)を行う(S2)。この際、初期的に調整されたDETP1,DETP2の時間間隔をT0とし、経時の温度変動等により倍率誤差が変化した任意の時点におけるDETP1,DETP2の時間間隔をTとした場合に、書き込みクロック生成回路(倍率補正回路)33により、このTとT0を比較して(S3)、その差がほぼ等しくなるようにポリゴンモータ駆動回路34によりポリゴンモータの回転数を制御するので(S1〜S3)、倍率誤差を自動的に補正することができる。そして、この制御を、第1、第2のそれぞれの書き込み系について行えば、環境、経時変動によっても倍率誤差変動のない、良質な画像を得ることができる。
尚、上記制御の過程でエラーが発生した場合は(S4)、エラー処理が行われ(S5)、時間間隔Tの測定から再実行されるか、あるいは、装置本体の操作パネルの表示部等にエラー表示がなされる。
【0042】
次に請求項3の発明を適用した実施例を図7により説明する。
本実施例は、第1、第2の書き込み系が、それぞれビーム走査位置検出手段を兼ねた同期検知手段をビームの走査開始端と終了端の2点に持ち、ビーム傾き量を検出すると共に、どちらか1方または両方の結像光学系がその調整機能を有する構成としたものである。ここで、図7の(a)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの長手方向の側面から見たときの光路の概略を示す図、(b)は光ビーム走査装置を上方(偏向器の軸方向)から見たときの光路の概略を示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1書き込み系側の光路の概略を示す図である。
【0043】
図7(a)〜(c)は、いずれも、第1書き込み系側を示したものであるが、第2書き込み系側も同様の構成である。ここで第1書き込み系について説明すると、画像領域外でビームの走査開始端側には、図17,18に示したものと同様の構成の同期検知ミラー16−1と同期検知ユニット11a−1を設けており、画像領域外でビームの走査終了端側には、同期検知ミラー18−1及び同期検知ユニット19−1を、ビームの走査開始端側の同期検知ミラー16−1、同期検知板11a−1に対応する位置に設けている。走査開始端の同期光は、同期検知ミラー16−1により同期検知ユニット11a−1に導かれ、走査終了端の同期光は、開始端側と同様に同期検知ミラー18−1により、同期検知ユニット19−1に導かれる。尚、走査開始端側の同期検知ユニット11a−1は図19または図20の構成であり、ビーム走査位置の検出方法は前述した通りである。また、走査終了端側の同期検知ユニット19−1の構成及びビーム走査位置検出方法も同様である。
【0044】
従って、図示しない調整機構(例えば、第3のミラー(折り返しミラー)9−1の取り付け基準面の1方が調整ネジ等により移動できる等)により調整して走査線の傾きを修正し、傾きの無い状態での2つの同期検知ユニット11a−1,19−1の同期検知信号の時間(図19または図20の信号Aの時間に相当)をtA(開始端)、tA(終了端)とし、傾きが発生した時の同期検知信号の時間(図19または図20の信号Bの時間に相当)をtB(開始端)、tB(終了端)として、
tA(開始端)−tA(終了端)=tB(開始端)−tB(終了端)
の関係が成り立つように再調整してやれば、走査線の傾きをなくすことができる。そして、この調整を、第1、第2の書き込み系の両方について行い、さらに図17〜図20を参照して説明した方法により副走査方向のビーム走査位置のずれ量調整を行えば、2つの走査線のずれ及び傾きを修正することができる。
【0045】
次に請求項4の発明を適用した実施例を図8により説明する。図8は光ビーム走査装置の第1書き込み系側の要部のみを示す概略斜視図であり、図7と同様のビーム走査位置検出手段を兼ねた同期検知ユニット11a−1,19−1をビームの走査開始端と終了端の2点に設けると共に、ビーム傾き変動量の自動補正機能を有する構成としたものである。
すなわち、本実施例では、第1、第2の書き込み系でそれぞれ検出した上記のtA(開始端)、tA(終了端)の値を図示しない制御部のメモリーに保存しておき、tB(開始端)、tB(終了端)の検出値が、第1、第2の書き込み系とも、
tA(開始端)−tA(終了端)=tB(開始端)−tB(終了端)
の関係を満たすように、第3のミラー(折り返しミラー)9−1の姿勢、長手方向の傾きを自動調整するようにしたものである。
自動調整の具体的な方法としては、第3のミラー(折り返しミラー)9−1の短手方向の傾き調整用の第1ステッピングモータ22をラック・アンド・ピニオン20で支持する構成とし、長手方向の傾き調整用に第2ステッピングモータ21を設け、上記の式の関係を維持するように図示しない制御部により第2ステッピングモータ21を制御してラック・アンド・ピニオン20を駆動し、第1ステッピングモータ22の位置をスライドすれば、第3ミラー9−1の長手方向の傾きの姿勢調整を行うことができる。
従って、本実施例の光ビーム走査装置においては、温度変動、マシンの移動等により走査線の傾きが発生してもこれを検出し補正して、常に全走査領域に渡って走査線傾きの無い良質な画像が得られる。
【0046】
以上、請求項1〜4に係る光ビーム走査装置の実施例について説明したが、本発明に係る画像形成装置は、光書き込み装置として請求項1〜4のうちの何れか一つに記載の光ビーム走査装置を用いたものであり、光導電性の感光体ドラム10を帯電し、感光体ドラム10に光ビーム走査装置により静電潜像の書き込みを行い、形成された静電潜像を現像して可視化し、この可視像を記録材に転写・定着する電子写真方式の画像形成装置である(請求項5)。
より具体的に説明すると、図示しないが感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の表面(被走査面)を均一に帯電する帯電装置と、上記の光ビーム走査装置を用いて感光体ドラム10の表面に静電潜像の書き込みを行う光書き込み装置と、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化する現像装置と、その可視像を記録材に転写する転写装置と、転写後の感光体ドラム表面を清掃するクリーニング装置と、感光体ドラム表面の残留電荷を除電する除電装置等が配設されており、上記転写装置の記録材搬送方向下流側には、記録材に転写されたトナー像を定着する定着装置が設けられている。また、この他、上記転写装置の位置に記録材を給紙・搬送する、給紙装置や搬送手段が設けられている。
この画像形成装置では、光書き込み装置として、請求項1〜4のうちの何れかの構成の光ビーム走査装置を用いているので、走査線の繋ぎ目のずれが無い良好な広幅の光ビーム走査を行うことができ、大画面の記録画像を容易に得ることができる。また、温度変動やマシン姿勢の変化により生じる走査ビームの傾きと倍率誤差の変動を精度良く検出し、これに応じて走査ビームの傾きと倍率誤差の補正を行うことができるので、常に安定した良質な大画面の記録画像が得られる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、、請求項1に係る光ビーム走査装置においては、2つの結像光学系のそれぞれの同期検知手段が、ビーム走査開始端と終了端の2点に設けられ、且つ倍率誤差検出機能と、その調整機能を有するので、特別な治具を用いずに、2つの結像光学系でそれぞれに倍率誤差の検出が可能であり、さらにその調整機構が設けられているので、光ビーム走査装置として、全走査幅での初期倍率誤差調整を容易に行うことができる。
また、請求項2に係る光ビーム走査装置は、請求項1の構成に加えて、倍率誤差変動の検出と、その自動補正機能を有するので、温度変化等の経時変化により、倍率誤差が変化してもこれを検出し、自動的に補正できるので、常に倍率誤差の安定した良好な画像を得ることができる。
【0048】
請求項3に係る光ビーム走査装置は、2つの結像光学系のそれぞれが、ビーム走査位置検出手段をビームの走査開始端と終了端の2点に持ち、ビーム傾き量を検出すると共に、どちらか1方または両方の結像光学系がその調整機能を有するので、特別な治具を用いずに、2つの結像光学系が共に走査ビームの傾き量の検出、調整ができるので、走査全幅に渡り初期的に走査線の傾きの無い良好な画像を容易に得ることができる。
【0049】
請求項4に係る光ビーム走査装置は、請求項3の構成に加えて、2つの結像光学系が、それぞれ走査線傾き量の検出と自動補正機能を有しているので、温度変動、マシンの移動等により走査線の傾きが発生してもこれを検出し補正して、常に全走査幅に渡って走査線傾きの無い良質な画像を得ることができる。
【0050】
さらに請求項5に係る画像形成装置は、光書き込み装置として、請求項1〜4のうちの何れか一つに記載の光ビーム走査装置を用いたことにより、走査線の繋ぎ目のずれが無い良好な広幅の光ビーム走査を行うことができ、大画面の記録画像を容易に得ることができる。また、温度変動やマシン姿勢の変化により生じる走査ビームの傾きと倍率誤差の変動を精度良く検出し、これに応じて走査ビームの傾きと倍率誤差の補正を行うことができるので、常に安定した良質な大画面の記録画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る光ビーム走査装置の概略構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光ビーム走査装置を上方から見た概略平面図である。
【図3】図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの第1書き込み系の光路の概略を示す図である。
【図4】図2の光ビーム走査装置をA方向から見たときの第1書き込み系と第2書き込み系の両方の光路の概略を示す図である。
【図5】請求項2の一実施例を示す図であって、光ビーム走査装置の倍率誤差補正動作をポリゴンモータの回転数で補正する場合の制御系のブロック図である。
【図6】図5に示す制御系による制御動作の概略を説明するためのフローチャートである。
【図7】請求項3の一実施例の説明図であって、(a)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの長手方向の側面から見たときの光路の概略を示す図、(b)は光ビーム走査装置を上方(偏向器の軸方向)から見たときの光路の概略を示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1書き込み系側の光路の概略を示す図である。
【図8】請求項4の一実施例を示す図であって、光ビーム走査装置の第1書き込み系側の要部のみを示す概略斜視図である。
【図9】本発明の対象となる光ビーム走査装置の概略構成例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す光ビーム走査装置を上方から見た概略平面図である。
【図11】図10の光ビーム走査装置をA方向から見たときの第1書き込み系の光路の概略を示す図である。
【図12】図10の光ビーム走査装置をA方向から見たときの第1書き込み系と第2書き込み系の両方の光路の概略を示す図である。
【図13】図9〜12の光ビーム走査装置の結像光学系に配設される走査方向変更手段としての2枚のミラーの配置角度と、ビーム走査面の関係を示す図である。
【図14】図10と同様の構成の光ビーム走査装置の概略平面図であり、各結像光学系の光軸と被走査面の軸とのなす角度と、走査方向偏向手段としてのミラーの反射面へ光ビームが入射する角度の関係を示す図である。
【図15】図10と同様の構成の光ビーム走査装置の概略平面図であり、各結像光学系の光軸と被走査面の軸とのなす角度と、走査方向偏向手段としてのミラーの反射面へ光ビームが入射する角度の関係を示す図である。
【図16】図9に示す構成の光ビーム走査装置に走査線のずれ量を検出するビーム走査位置検出手段を付加した構成の光ビーム走査装置の概略斜視図である。
【図17】同期検知手段がビーム走査位置検出手段を兼ねる構成とした光ビーム走査装置の構成説明図であり、(a)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの長手方向の側面から見たときの光路の概略を示す図、(b)は光ビーム走査装置を上方(偏向器の軸方向)から見たときの光路の概略を示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1書き込み系側の光路の概略を示す図である。
【図18】図17と同様の構成説明図であり、(a)は図17(a)の同期検知手段の部分を拡大して示す図、(b)は図17(b)の同期検知手段の部分を拡大して示す図、(c)は光ビーム走査装置を感光体ドラムの軸方向から見たときの第1、第2書き込み系の光路の概略を示す図である。
【図19】図17、図18に示す同期検知ユニットの一例を示す構成説明図である。
【図20】図17、図18に示す同期検知ユニットの別の例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
1−1,1−2:半導体レーザー(LD)光源
2−1,2−2:コリメートレンズ
3−1,3−2:シリンドリカルレンズ
4:ポリゴンミラー(偏向手段)
5−1,5−2:第1のFθレンズ(結像手段)
6−1,6−2:第2のFθレンズ(結像手段)
7−1,7−2:第1のミラー(走査方向偏向手段)
8−1,8−2:第2のミラー(走査方向偏向手段)
9−1,9−2:第3のミラー(折り返しミラー)
10:感光体ドラム(被走査面)
11−1,11−2,17−1,17−2:同期検知ユニット
11a−1,11a−2,19−1,19−2:ビーム走査位置検出手段兼用の同期検知ユニット
16−1,16−2,18−1,18−2:同期検知ミラー
20:ラック・アンド・ピニオン
21:長手方向の傾き調整用ステッピングモータ
22:ビーム走査位置制御手段(ステッピングモータ)
Claims (5)
- 光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を含む結象光学系とを有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像光学系により、これら2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査するように各要素を構成したことを特徴とし、
前記被走査面上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向って走査されるように構成し、
1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像光学系の結像手段の光軸は、被走査面軸に対してそれぞれ角度:θ1,θ2(ただし、0°<|θ1|<90°、0°<|θ2|<90°)傾けて配置され、それぞれの結像光学系は、結像手段からの走査光の光軸傾きを、被走査面に対して90°に変更するための走査方向変更手段を有し、
1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段は、副走査方向に一定の間隔を置いて空間的に重ね合わせた構成の2枚のミラーを有し、これら2枚のミラーの、偏向手段を含むビーム走査面に対するそれぞれの傾き角:α,βが、
|α−β|=90°
となる関係を満足すると共に、この2枚のミラーにより反射された走査ビームを被走査面に導くための第3のミラーを有し、
被走査面軸と2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸のなす角:θ1,θ2と、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射する角度:γ1,γ2が、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
となる関係を満足するように構成し、
2つの結像光学系がそれぞれビーム走査位置検出手段を有するか、あるいは同期検知手段が前記ビーム走査位置検出手段を兼ねる構成とし、且つ、少なくともどちらか一方の結像光学系がビーム走査位置制御手段を有する構成とした、
ことを特徴とする光ビーム走査装置において、
2つの結像光学系のそれぞれの同期検知手段が、ビーム走査開始端と終了端の2点に設けられ、且つ倍率誤差検出機能と、その調整機能を有することを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1記載の光ビーム走査装置において、
倍率誤差変動の検出と、その自動補正機能を有することを特徴とする光ビーム走査装置。 - 光ビームを出射する光源と、該光源からの光ビームを導光する導光手段と、その導光された光ビームを偏向する複数の偏向面を有する偏向手段と、偏向された光ビームを被走査面上に結像する結像手段を含む結象光学系とを有する書き込み系を2系統備え、前記偏向手段は2系統の書き込み系で共用される単一の偏向手段であり、2つの光源から出射した光ビームを、それぞれ異なる導光手段により、複数の偏向面を有する単一の偏向手段の異なる偏向面に導光した後、それぞれ異なる方向に偏向し、2つの異なる結像光学系により、これら2系統の光ビームを同一の被走査面上に導き、該被走査面上の1つの走査領域を、2分割して光走査するように各要素を構成したことを特徴とし、
前記被走査面上を走査する2つの走査ビームは、走査線の継ぎ目部より、それぞれ逆方向で、両端部に向って走査されるように構成し、
1つの偏向手段により偏向走査される2つの光ビームを同一の被走査面に導く2つの結像光学系の結像手段の光軸は、被走査面軸に対してそれぞれ角度:θ1,θ2(ただし、0°<|θ1|<90°、0°<|θ2|<90°)傾けて配置され、それぞれの結像光学系は、結像手段からの走査光の光軸傾きを、被走査面に対して90°に変更するための走査方向変更手段を有し、
1つの結像光学系中に配置する走査方向変更手段は、副走査方向に一定の間隔を置いて空間的に重ね合わせた構成の2枚のミラーを有し、これら2枚のミラーの、偏向手段を含むビーム走査面に対するそれぞれの傾き角:α,βが、
|α−β|=90°
となる関係を満足すると共に、この2枚のミラーにより反射された走査ビームを被走査面に導くための第3のミラーを有し、
被走査面軸と2つの結像手段の偏向手段を含むビーム走査面上での光軸のなす角:θ1,θ2と、この2つの光軸を通る光ビームが走査方向変更手段としてのミラーへ入射する角度:γ1,γ2が、
|θ1|+2×|γ1|=90°
|θ2|+2×|γ2|=90°
となる関係を満足するように構成し、
2つの結像光学系がそれぞれビーム走査位置検出手段を有するか、あるいは同期検知手段が前記ビーム走査位置検出手段を兼ねる構成とし、且つ、少なくともどちらか一方の結像光学系がビーム走査位置制御手段を有する構成とした、
ことを特徴とする光ビーム走査装置において、
2つの結像光学系のそれぞれが、ビーム走査位置検出手段をビームの走査開始端と終了端の2点に持ち、ビーム傾き量を検出すると共に、どちらか1方または両方の結像光学系がその調整機能を有することを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項3記載の光ビーム走査装置において、
それぞれの結像光学系が、ビーム傾き変動量の検出の機能を有しており、どちらか1方または両方の結像光学系が、その自動補正機能を有することを特徴とする光ビーム走査装置。 - 光導電性の像担持体を帯電し、該像担持体に光書き込み装置により静電潜像の書き込みを行い、形成された静電潜像を現像して可視化し、この可視像を記録材に転写・定着する方式の画像形成装置において、
前記像担持体の表面を被走査面とし、前記光書き込み装置として、請求項1〜4のうちの何れか一つに記載の光ビーム走査装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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