JP4673078B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
これによる画像品質劣化を低減するため、特許第3466370号公報には、同期検知センサの受光面を結像位置からずらして配置することを特徴とする1ビーム走査装置が開示されている。
光走査装置は光プリンタ等に関連して広く知られている。光走査装置の光源は一般に半導体レーザであって、発散性の光束を発するので、この光束を以降の光学系に適合しやすい光束にするためにカップリングレンズが用いられる。
このようなカップリングレンズとしては、従来より、半導体レーザからの発散性の光束を平行光束化するコリメートレンズが知られている。
近年では、光走査の高速化、高密度化を図るため、光源数(すなわち走査する光束数)を複数とした「マルチビーム走査方式」が一般的になってきている。
マルチビーム走査を達成する方法として、(1)複数の発光点を有するマルチビーム半導体レーザを用いる方法や、(2)複数の半導体レーザから出射された光束をビーム合成プリズム等のビーム合成手段を用いて合成する方法等が従来から提案されてきた。
(2)の変形例として、ビーム合成手段を用いずに、2つの光ビームを直接光偏向器に対して、ある開き角を有して入射させる方式等も実用化されている。
光源側からの光束を偏向させる光偏向器としては、偏向反射面により光源側からの光束を反射させ、上記偏向反射面を等速回転させることにより反射光束を等角速度的に偏向させるものが広く用いられている。
このような光偏向器に対し、主走査断面において異なる開き角を有する、すなわち互いに非平行な2つの光ビームを入射させた場合、偏向反射面における2つの光ビームの反射点は、光偏向器の回転に伴い移動する。
カップリングレンズにより「発散性もしくは収束性の光束」にカップリングされた光束を用いる光走査装置の場合、上記のような2つの光ビームの反射点位置ずれに起因して、光走査における2つの光ビームの書き出し位置と書き込み終了位置ずれが発生してしまう。
近年、走査光学系の光学素子にはプラスチック材料が多く使われている。走査光学系においては、主走査方向に長い形状の光学素子が多く、保持方法によっては走査線傾き、走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれとなる。また、光学素子のハウジングへの取り付け誤差も走査面上での副走査対応方向への走査位置ずれとなり、無視できない大きさになる場合が多い。
更に、複数の走査手段を持つ画像形成装置においては、走査手段を保持固定しているハウジング間の温度偏差により、各走査手段毎に走査線傾き、走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれの量が異なってしまう。
一方、複数の光ビームを単一の偏向器に入射させて走査し、光学素子を副走査方向に重ね合わせて配置する方式(同一の光学ハウジング内に全ての走査手段を保持する方式)においても、前記走査光学系の形状誤差、取付誤差、同一ハウジング内での温度分布の影響により、各感光体での走査線傾き、走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれの量が異なってしまう。
このため、各色毎にばらばらの副走査対応方向の走査位置ずれが生じてしまうと画質の低下、色ずれなどを引き起こす。
このような出力画像品質劣化を抑制するための1つの手段として、経時的、温度変化に伴う走査線傾きを補正する方法があるが、そのためには、走査線傾きの程度(絶対値、又はステーション間の相対値)を把握する必要がある。上記走査線傾きを検出する手段として、種々の検知センサが提案されている。このような検知センサの多くは、その受光面を光ビームが走査する(横切る)時間を検出・計測し、その検出結果を「長さ」に換算する構成を採用している。
このような光走査装置を露光手段として用いた画像形成装置による出力画像は、品質が低下しやすい。
また、上述のように、経時、温度変化に伴う走査線傾きを検出するために、光走査装置内に検知センサが備えられることが多い。しかしながら上記検知用センサは、走査線傾き量(すなわち走査位置又は光ビーム位置)そのものを検出するのではなく、検知用センサ受光面を光ビームが走査する(横切る)時間を計測し、それを「長さ」に換算している。
そのため、検知用センサの配置が不適切である場合には、走査時間を高精度に計測できたとしても、走査距離(すなわち光ビームの位置)を正確に求められない虞があった。
図19は、画像形成装置の露光装置に用いられる光走査装置内の光学配置の一例である。通常、これらの光学素子は、図示しないハウジング内部に収納されている。
この光走査装置においては、2つの光源としての半導体レーザ(シングルビーム半導体レーザ)11a、11bから放射され、各々2つのカップリングレンズ12a、12bにより以降の光学系の特性に応じてカップリッグされたレーザビーム17a、17bが、副走査方向にパワーを有するシリンドリカルレンズ13の作用により、光偏向器としてのポリゴンミラー14の偏向反射面上に副走査方向に結像し主走査方向に長い線像として結像する。
また、ポリゴンミラー14の各面での光走査の開始タイミングを設定するための、いわゆる同期信号を得るための基準光束検出手段としての同期検知センサ18が、ポリゴンミラー14の回転方向(本図では時計回り方向)に対応してその走査開始側に、被走査面(感光体ドラム16)と光学的に等価な位置に設けられており、基準光束用光学素子としての同期光学系19を構成している。
図19における同期光学系19は、被走査面16にレーザビームを導く走査光学系15に含まれているが、少なくとも主走査方向にパワーを有する別の光学素子から構成しても構わない。
なお「光学的に等価な位置」とは、図示しない折り返しミラー等にてレーザビームの光路を折り曲げた場合に、その像面位置(結像位置)を異ならせないことを意味する。
2つの半導体レーザ(シングルビーム半導体レーザ)11a、11bから放射されたレーザ光が、各々2つのカップリングレンズ12a、12bにより平行光束にカップリッグされた場合について考える。
2つのカップリングレンズ11a、11bを出射した2つのレーザビーム(平行光束)17a、17bは、シリンドリカルレンズ13は主走査方向にパワーを有しないため、主走査方向には平行光束の状態でポリゴンミラー14の偏向反射面に入射し、偏向反射された後、走査光学系15により被走査面16上に光スポットBSa、BSbとして等速走査される。
いま、ポリゴンミラー14の回転方向を時計回り方向とすると、2つの光スポットBSa、BSbは、被走査面16を上方(光走査開始端)から下方(光走査終了端)に向けて走査することになる。走査幅の狙い値(設計中央値)は、300[mm]とする。
図20〜図22に、ポリゴンミラー14の回転に伴う、偏向反射面における2つのレーザビーム17a、17bの反射点(反射位置)の移動を模式的に示す。
(#A−1:2つのレーザビームが中央像高(H=0)付近に至る場合)
図21は、ポリゴンミラー14にて反射された2つのレーザビーム17a、17bが被走査面16の中央部付近に到達する場合(この説明では、レーザビーム17aの被走査面16における光スポット位置が被走査面16の中央(像高H=0)である場合)の模式図である。
ポリゴンミラー14にて反射した2つのレーザビーム17a、17bの主光線を実線(符号17a’、17b’)にて示した。図21においては、説明図を煩雑化しないため、偏向反射面よりポリゴンミラー14の回転中心側の位置で、2つのレーザビーム17a、17bが交差する構成としているが、両レーザビームが交差する位置は、偏向反射面上としてもよいし、偏向反射面より光源側の位置としても構わない。
図21に示すポリゴンミラー14の配置の場合には、レーザビーム17aの光スポットBSaは上述のように被走査面16上で像高H=0に至るが、後行して走査するレーザビーム17bの光スポットBSbは、光走査開始端寄り[(−)像高側]に位置する。なお、走査光学系15が等速走査性を維持しており、レーザビームの主光線の画角θ(被走査面16の法線と、偏向反射面により反射されたレーザビームの主光線との間の角度)と光スポット位置Hとが、
H=F×θ(Fは走査光学系15の焦点距離)
の関係を満たすとすると、光スポットBSbは、
H=−F×2φ(負号は、光走査開始側寄り、すなわち(−)像高側であることを意味する)
に位置することになる。
本比較例で説明する走査光学系15の場合、平行光束を被走査面に結像させる機能を有するため、互いに平行な主光線を有する2つのレーザビーム17a、17bは、被走査面16の同じ位置(図21では、像高H=0[mm])に到達することになる。
図20は、2つのレーザビーム17a、17bが被走査面16の光走査開始側の最周辺付近に到達する場合(この説明では、レーザビーム17aの被走査面16における光スポット位置BSaが像高H=−150[mm]である場合)の模式図であり、ポリゴンミラー14にて反射した両レーザビームの主光線を実線(符号17a’、17b’)にて示した。
図21の場合と同様に、ポリゴンミラー14が時計回り方向に角度φだけ回転した場合の、レーザビーム17bの主光線を破線(符号17b’’)にて示すと、図20の場合にも、破線で示すレーザビーム17bの主光線(17b’’)と、実線で示すレーザビーム17aの主光線(17a’)は、互いに平行となる。すなわち両レーザビームは、被走査面16の同じ位置(像高H=−150[mm])に到達することになる。
図22は、2つのレーザビーム17a、17bが被走査面16の光走査終了側の最周辺付近に到達する場合(この説明では、レーザビーム17aの被走査面16における光スポット位置が像高H=+150[mm]である場合)の模式図であり、ポリゴンミラー14にて反射した両レーザビームの主光線を実線(符号17a’、17b’)にて示した。
図20及び図21の場合と同様に、ポリゴンミラー14が時計回り方向に角度φだけ回転した場合の、レーザビーム17bの主光線を破線(符号17b’’)にて示すと、図22の場合にも、破線で示すレーザビーム17bの主光線(17b’’)と、実線で示すレーザビーム17aの主光線(17a’)は、互いに平行となる。
すなわち、両レーザビームは、被走査面16の同じ位置(像高H=+150[mm])に到達することになる。
同期検知センサ18の受光部を、被走査面16と光学的に等価な位置に配置した場合には、被走査面16の延長線上に同期検知センサ18の受光部が配置されているとみなすことができる。
上記受光面は被走査面16と平行(すなわち同一面)となるものとし、また、これに対応する像高を「同期像高」と呼ぶことにする。
光走査開始像高よりも外側(H<−150[mm])に位置する「同期像高」においても、(#A−2)のケース等と同様の状況となる。
間隔ΔY=F×2φ
だけ後行して走査していることが分かる。
すなわち、このような光走査装置の場合には、同期検知センサ18を被走査面16と等価な位置に配置し、同期検知センサ18による「同期信号」を基準として光走査開始タイミングを設定することにより、両レーザビーム17aと17bの被走査面16における光スポットBSaとBSbは、(間隔ΔYだけずれながら)同じ画角θに対しては、常に同じ位置に到達することが可能である。
以下、図1乃至図6に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。なお、上記比較例と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既に説明した構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
まず、本実施形態における要旨を説明する前に、走査光学系に入射するレーザビームが、主走査断面内で「発散性」である場合に、複数(ここでは2つ)の光スポットの光走査幅に偏差が発生する原理を説明する。
走査光学系に入射するレーザビームが(主走査断面内で)発散光束の場合には、上記比較例で説明した平行光束の場合とは全く状況が異なる。これを、図4乃至図6に基づいて説明する。
(1)半導体レーザ11から放射されたレーザ光を、カップリングレンズ12により「発散光束」に変換し、副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズ13を通過した後、ポリゴンミラー14の偏向反射面に入射させる構成、
(2)半導体レーザ11から放射されたレーザ光を、カップリングレンズ12により「平行光束」に変換した後、主走査方向に「弱いパワーを有する」光学素子を少なくとも介して、ポリゴンミラー14の偏向反射面に入射させる構成、
等、いずれの構成を採用しても構わない。
走査光学系15が(主走査断面内で)発散性の光束を被走査面16上に結像させる機能を有する場合のレーザビーム17a及び17bの挙動を、図4及び図5に基づいて以下に説明する。
図5においては、走査光学系15を上下方向の「両矢印」にて、その主点に相当する位置に記載した。また、走査光学系15の焦点を「一点鎖線」にて記載した。
図4及び図5に示すように、ポリゴンミラー14に入射したレーザビーム17aは、ポリゴンミラー14にて反射された後(その主光線を符号17a1で示す)、走査光学系15を介して、被走査面16における光走査開始端(像高H=−150[mm])に達する。
上記と同じポリゴンミラー14の配置角度の状態でポリゴンミラー14に入射したレーザビーム17bの反射ビームの主光線(符号17b1’で示す実線)は、走査光学系15を介して、被走査面16における走査開始端の外側[像高H=−(150+K×2φ)の位置に相当]に到達する(光スポットBSaにK×2φだけ後行している)。なおKの定義については後述する。
「平行光束」の場合とは異なり、図5に示す本走査光学系15は、主走査断面内で発散性の光束を被走査面16上に結像させる機能を有するため、互いに平行な状態で走査光学系15に入射した2つのレーザビーム17a1、17b1の主光線は、被走査面16上ではなく、ポリゴンミラー14に近づく位置(走査光学系15の焦点位置;一点鎖線で表示)で、互いに交差することになる。
すなわち、被走査面16上では、レーザビーム17a1の光スポットBSaはレーザビーム17b1の光スポットBSbよりも先行する(より(+)像高側に位置する)ことになる。
両光スポットの主走査方向の間隔を、図5においては、e1で示した。
図5において、ポリゴンミラー14にて偏向反射されたレーザビーム17aの光走査終了端(像高H=+150[mm])に達する主光線を符号17a2で示し、一方、この状態からポリゴンミラー14が時計回り方向に角度φだけ回転した状態でポリゴンミラー14に入射したレーザビーム17bの反射ビーム(符号17b2で示す)の主光線を破線で表す。
光走査開始端側と同様に、この両レーザビーム17a2及び17b2も、互いに平行な状態で走査光学系15に入射した後、被走査面16からポリゴンミラー14に近づく位置(走査光学系15の焦点位置;一点鎖線で表示)で互いに交差し、被走査面16に至る。この場合の両光スポットの主走査方向の間隔をe2で示した。
従って、2つの光スポットの間隔e1とe2を比較すると、
e1<e2
の関係が成立する。
同様に、光走査開始端から終了端までの全領域(幅:300[mm])において、レーザビーム17aの光スポットBSaの像高H1及びH2(H1<H2)における両光スポットの間隔をe01及びe02とすると、常に、
e01<e02
の関係が成立する。
従って、図5から分かるように、レーザビーム17a(BSa)の光走査幅300[mm]に対して、レーザビーム17b(BSb)の光走査幅は、「e2−e1」だけ短くなる。
同様に、同期検知センサ18の受光面に至るレーザビームを符号17a(−)、17b(−)で示す。
両レーザビーム17a(−)と17b(−)の光スポットの被走査面16における主走査方向の間隔をe(−)とすると、(B−1)及び(B−2)の説明と同様な理由で、図5に示すように、
e(−)<e1<e2
の関係が成立する。
さらに下記に説明するように、2つのレーザビーム17aと17bの光走査開始位置が不適切となることと併せて、出力画像品質の劣化を引き起こす原因となる。
図5及び図6に基づいて、同期検知センサ18(の受光面)を被走査面16と等価の位置に配置した場合の、両光スポットの光走査開始端の差異について説明する。
(B−1)〜(B−3)にて説明したように、ポリゴンミラー14の偏向反射面を反射した2つの互いに平行なレーザビーム17a、17bの、同期像高、光走査開始端、及び光走査終了端における光スポットの間隔を、各々、e(−)、e1、及びe2とする(図5)。
光スポット位置:Y=K×θ(Kは比例定数)
光スポットの走査速度:VY=dY/dt=K×(dθ/dt)=K×ω
(ωは画角の時間微分=角速度)
が成立するので、レーザビーム17a(光スポットBSa)が同期検知センサ18に入射してからレーザビーム17b(光スポットBSb)が同期検知センサ18に入射するまでの時間をt0、走査速度をVYとすると、
e(−)=VY×t0=K×ω×t0
となる。すなわち、
t0=e(−)/(K×ω)
で表される。
レーザビーム17aが光走査開始端及び光走査終了端に到達してから時間t0後のレーザビーム17bの光スポットの相対位置(光走査開始端及び光走査終了端からの変位量)を、それぞれE1及びE2とすると、
E1=|e1−e(−)|
E2=|e2−e(−)|
e(−)<e1<e2
である(図6)。この変位量E1及びE2が、被走査面16における主走査方向の光スポット位置ずれに相当する。
このような光走査装置を画像形成装置の露光手段として用いた場合には、光走査開始側と光走査終了側に対応する出力画像における領域間で、画像品質がばらつく(差異が生じる)ことになり、特に「ハーフトーン」等濃度むらが顕著に現れやすい出力画像の場合に、全体としての画像の印象が悪くなってしまう。
この不具合を抑制するには、光走査開始側と光走査終了側に対応する出力画像における領域間での画像品質のばらつきを小さくすればよい。そのためには、上記にて定義したE1及びE2の関係を、設計時に「E1=E2」とする、すなわち2つのレーザビーム17aと17b(光スポットBSaとBSb)の光走査幅の中心を合致させることで、「全体としての画像の印象の悪さ」を低減することができる。
例えば、走査光学系15に入射する光束が主走査断面にて「発散光束」である光学系の場合、図1に示すように、同期検知センサ18を、被走査面16と光学的に等価な位置から、ポリゴンミラー14から遠ざかる向きにずらすことにより、2つの光スポット間隔e(−)’を、図5におけるe(−)より大きくすることができる。すなわち、
e(−)’>e1>e(−)
の関係が成立する。従って、図5の構成の場合、
|e1−e(−)|<|e2−e(−)|
ここで、e1−e(−)>0
e2−e(−)>0
であったが、図1の構成を採用することにより、2つの光スポットの間隔e(−)’を拡大することができるので、2つの光スポット位置の関係を、
|e1−e(−)’|≒|e2−e(−)’|
ここで、e1−e(−)’<0
e2−e(−)’>0
の関係に近づけることが可能となる。
設計的には、同期検知センサ18を、
e(−)’=(e2+e1)/2
となる位置まで、すなわち、図2中に矢印で示した距離Δだけ移動することで、図1にて定義した、
E1=|e1−e(−)’|
E2=|e2−e(−)’|
が、図2に示すように「E1=E2」を満足することができる。
従って、同期検知センサ18のずらし量は、
e1<e(−)<e2 (式1−1)
の関係が成立する範囲内とすることが望ましい。
Ya(START)−Yb(START)=e1
Ya(END)−Yb(END)=e2
とおく。光スポットBSaの光走査幅内に光スポットBSbの光走査幅がすべて含まれることは、
e1×e2≦0
となることを意味するので、
{Ya(START)−Yb(START)}×{Ya(END)−Yb(END)}≦0 (式1−3)
が成立すれば、関係式(式1−1)及び(式1−2)が成立する。
のドット位置をDb(START)、光走査終了端のドット位置をDb(END)、としたとき、
{Da(START)−Db(START)}×{Da(END)−Db(END)}≦0
が成立する範囲に同期検知センサの受光面を移動することが、高品位な出力画像を得るためには望ましい。
一方、これを電気制御的に達成するには、2つのレーザビームの光走査開始タイミングを個別に設定することで、光走査開始端を各々決定することが可能となる。但し、この場合には、ポリゴンミラーの形状誤差に起因する、主走査方向の走査位置ずれ、いわゆる「縦線揺らぎ」を補正することはできない。
このように同期検知センサ18の位置をずらすことの別の効果として、特許文献1に提案されているような、ポリゴンミラーの形状誤差(回転軸から各偏向反射面までの距離のばらつき)に起因する、いわゆる「縦線揺らぎ」を低減可能である。
これにより、被走査面上の光スポットの主走査方向の間隔を維持することが可能となり、1つの同期検知センサにて両光スポットを独立に検出することが可能
となる。
半導体レーザ11a、11bは、1つの発光点を有するシングルビーム半導体レーザでもよいし、複数の発光点を有するマルチビーム半導体レーザとしても構わない。
図7に示す構成は、2つの半導体レーザ11a、11bから放射され、各々2つのカップリングレンズ11a、11bによりカップリッグされたレーザビーム17a、17bが、ビーム合成手段(ビーム合成プリズム)23により合成された後、ポリゴンミラー14に入射する構成である。ビーム合成手段23により2つのレーザビーム17a、17bを合成することにより、両レーザビームが交差する角度を小さくすることができ、被走査面での両レーザビームの光学特性の偏差を抑制することが可能となる。
図8に示す構成は、複数の発光点を有する半導体レーザ(例えば、半導体レーザアレイ等)11を光源とし、1つのカップリングレンズ12にてカップリングする構成である。このようなモノリシックに形成された発光点を有する半導体レーザの発光点の配置は、温度変化や時間経過によりほとんど変動することはないため、被走査面での光スポット間隔を高精度に維持することが可能である。
(#C−1:同期検知センサを光走査終了端の外側に配置する場合)
図9に基づいて第2の実施形態を説明する。
同期検知センサを光走査終了端の外側に配置することもできる。
この場合には、図9に示すように、走査光学系15に入射する平行な2つのレーザビーム17a、17bの基準光束用光学素子としての同期検知センサ18’における光スポット間隔をe(+)とすると、レーザビーム17aの光スポットが入射してからレーザビーム17bの光スポットが入射するまでの時間t0は、第1の実施形態の場合と同様に、
t0=e(+)/(K×θ)
で表される。
レーザビーム17aが光走査開始端及び光走査終了端に到達してから時間t0後のレーザビーム17bの光スポットの相対位置(光走査開始端及び光走査終了端からの変位量)を、それぞれE1及びE2とすると、
E1=|e1−e(+)|
E2=|e2−e(+)|
この変位量E1及びE2が、被走査面16における主走査方向の光スポット位置ずれに相当する。
この光スポット位置ずれ量E1及びE2を、「E1=E2」に近づけけることにより、光走査幅全領域で発生する光スポット位置ずれ量の最大値を小さくすることが可能となる。そのためには、第1の実施形態の場合とは対照的に、被走査面と光学的に等価な位置からポリゴンミラー14に近づく向きに同期検知センサ18’をずらせばよい。
|e1−e(+)’|≒|e2−e(+)’|
に近づけることが可能となる。この場合にも同期検知センサ18’のずらし量を大きくしすぎると、|e1−e(+)’|が|e2−e(+)’|より大きくなりすぎて、光走査終了側の光スポット位置ずれ量が大きくなってしまう。また同期検知センサ18’の受光面にてレーザビームが結像しない(ビームウェスト位置がずれる)ため、センサの種類によっては、検出精度が劣化する虞がある。
従って、同期検知センサ18’のずらし量は、
e2<e(+)<e1 (式1−2)
の関係が成立する範囲とすることが望ましい。
なお、同期検知センサをずらして配置したこと、すなわち、レーザビームが同期検知センサの受光面で結像しなくなったことによる検出精度の低下を防止するため、受光面が主走査方向に2分割された「2分割受光素子」を用いることができる。これにより、2分割受光素子における2つの受光部の光量が同じになったときに検出信号を発生するようにすることで、高精度な検出信号を獲得することが可能となる。
図10に基づいて第3の実施形態を説明する。
図10に示すように、ポリゴンミラー14の回転方向を時計回り方向とした場合に、「光走査開始端の外側」及び「光走査終了端の外側」に同期検知センサ18及び18’の間を配置することができる。
その際、(#C−1)にて説明したように、同期検知センサを被走査面と等価な位置からずらして配置しても構わない。
このような構成を採用することにより、上述した、原理的に発生する「走査光学系に入射するレーザビームが発散光束であることに起因する、2つの光スポット間の光走査幅の偏差」を抑制することが可能となる。
いま、2つのレーザビーム17a及び17bの被走査面16における光スポットBSa及びBSbが、光走査領域の両外側に配置された同期検知センサ18及び18’を通過する時間(一走査の時間)を各々ta及びtbとする。通常は、一走査でのポリゴンミラー14の回転角度がBSaとBSbにて同じなので、上述したように、BSaの光走査幅はBSbの走査幅より大きくなる。
すなわち、「ta<tb」の関係となる。このような「2つの光スポット間の一走査時間の偏差」、あるいは、「(設計的に)理想的な一走査時間との偏差」を補正するように、画像情報に対応する光源の変調周波数を調整すればよい。このような調整は一般に「クロック調整」と呼ばれている。
図11に基づいて第4の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、光源からのレーザビームが光偏向器(ポリゴンミラー)に対し光走査開始側から入射する構成について説明した。
一方、別の構成として、光源からのレーザビームが光偏向器(ポリゴンミラー)に対し光走査終了側から入射する構成を採用しても構わない。すなわち、図11
に示すように、ポリゴンミラー14の回転方向を反時計回り方向とした構成を採用することができる。
上述した内容から類推可能なように、ポリゴンミラー14の回転方向によらず、同期検知センサ18及び18’の配置等、光学レイアウトは、図10と図11において同じとすればよいことは言うまでもない。
また、同期検知センサ18及び18’はいずれか一方のみを配置するだけでもよいし、両方を配置しても構わないのは、上述した構成と同様である。
次に、図12に基づいて第5の実施形態を説明する。
走査光学系15に入射するレーザビームが「発散性」の場合とは異なり、「収束性」である場合について検討する。
走査光学系15に入射するレーザビームが「発散性」の場合を説明した図1と対比させて説明する。
図12に示す走査光学系15の場合には、「収束性」の光束(レーザビーム)を被走査面16上に結像させる機能を有するため、互いに平行な状態(すなわちポリゴンミラー14の配置角度がφだけずれている状態)で走査光学系15に入射した2つのレーザビーム17a、17bの主光線は、被走査面16上ではなくポリゴンミラー14から遠ざかる位置で互いに交差することになる。
その結果、被走査面16上での光走査開始端ではe1、光走査終了端ではe2、また同期検知センサ18上ではe(−)の光スポット間隔が生じる。
このとき、
e(−)<e1<e2
である。
レーザビーム17aが同期検知センサ18に入射してからレーザビーム17bが同期検知センサ18に入射するまでの時間をt0、また、レーザビーム17aが光走査開始端及び光走査終了端に到達してから時間t0後のレーザビーム17bの光スポットの相対位置(光走査開始端及び光走査終了端からの変位量)を、それぞれE1及びE2とすると、
e(−)=K×t0×ω
K:比例定数、ω:画角の時間微分
E1=|e1−e(−)|
E2=|e2−e(−)|
である。この変位量E1及びE2が、被走査面16における主走査方向の光スポット位置ずれに相当する。
この光スポット位置ずれ量E1及びE2(E1<E2)の関係を、「E1=E2」の理想的な状態に近づけるためには、e(−)を大きくすればよい。
図1の場合とは対照的に、同期検知センサ18を被走査面16と光学的に等価な位置からポリゴンミラー14に近づく向きに移動して配置すればよい。このときの2つの光スポット間隔をe(−)’とすれば、e(−)’は図12におけるe(−)より大きくすることができる。
|e1−e(−)|<|e2−e(−)|
ここで、e1−e(−)>0
e2−e(−)>0
から、
|e1−e(−)’|≒|e2−e(−)’|
ここで、e1−e(−)’<0
e2−e(−)’>0
の関係に近づけることが可能となる。
また、光走査終了側の外側に別の同期検知センサ18’を配置する場合には、第2の実施形態とは逆向き(ポリゴンミラー14へ近づける向き)に、同期検知センサ18’を移動させればよいことは説明するまでもない。
同期検知センサ18のずらし量を、「e1<e(−)<e2」の関係が成立する範囲内とすることが望ましいことも同様である。
すなわち、走査光学系15へ入射するレーザビームが「収束性」であり、光源からのレーザビームが光偏向器(ポリゴンミラー)に対し光走査開始側から入射する構成の場合(ポリゴンミラーは時計回り方向に回転する)には、図13に示すようなレイアウト(同期検知センサを光走査開始側及び終了側の両外側に配置した例)とすればよい。
図14に基づいて第6の実施形態(「収束性」である場合の別の構成)を説明する。
第5の実施形態においては、光源からのレーザビームが光偏向器(ポリゴンミラー)に対し光走査開始側から入射する構成について説明した。
別の構成として、光源からのレーザビームが光偏向器(ポリゴンミラー)に対し光走査終了側から入射する構成を採用しても構わない。すなわち図14に示すように、ポリゴンミラー14の回転方向を反時計回り方向とした構成を採用することができる。
このような構成の場合にも、上述した内容から類推可能なように、ポリゴンミラー14の回転方向によらず、同期検知センサ18及び18’の配置等、光学レイアウトは、図13と図14において同じとすればよいことは言うまでもない。
また、同期検知センサ18’のずらし量を、「e2<e(+)<e1」の関係
が成立する範囲とすることが望ましいことも同様である。
また、同期検知センサ18及び18’はいずれか一方のみを配置するだけでもよいし、両方を配置しても構わないのは、第1の実施形態、第2の実施形態の構成と同様である。
(#G−1:タンデム式カラー画像形成装置の概要)
上述のとおり、タンデム式カラー画像形成装置の露光装置として光走査装置を用いた場合、経時的に、あるいは温度変化に伴い、各カラーに対応するステーション間で、走査線の傾きが変動することがある。
タンデム式カラー画像形成装置においては、各カラーに対応する感光体ドラム周面に静電潜像を形成した後、該当するカラーのトナーで顕像化し、これを例えば転写ベルトによって搬送されるシート(記録媒体)上に順次転写して多色画像を形成するようになっている。
そのため、光走査装置内の各ステーションにて「走査線傾き」が発生すると、副走査対応方向の走査位置ずれが生じる結果、色ずれなどの出力画像品質の劣化を引き起こす。
次に、第7の実施形態を説明する。
図10、図11、図13、図14で示したレイアウトのように、光走査開始側及び終了側の両外側に、基準光束検出手段としての同期検知センサを配置する構成を示したが、このような基準光束検出手段を備えた光走査装置の場合には、2つのレーザビームの光走査幅の補正を行うだけではなく、基準光束検出手段を用いて、「走査線傾き量」を検出することも可能である。
例えば、基準光束検出手段として、画素が一列に配列した「ラインCCD」や、二次元的に配列した「二次元CCD」を採用することができる。
光走査開始側及び終了側の両外側に備えられた、2つの基準光束検出手段の検出結果から、走査線の両端(光走査開始端と終了端)の位置、あるいはそれらの変位量を導出する。
この導出された結果に基づき、光走査装置内に備えられた、従来周知の走査線傾き補正手段を制御・駆動すればよい。
走査線傾き補正手段としては、例えば、(1)ポリゴンミラーから被走査面(感光体ドラム表面)までの光路内に配置された折り返しミラーを変位させるタイプ、(2)走査光学系を構成するレンズを変位させるタイプ、等いずれの方式を採用しても構わない。
図15及び図16に基づいて第8の実施形態を説明する。
第7の実施形態では、走査線傾き量を検出する基準光束検出手段の例として、比較的高価な「ラインCCD」や「二次元CCD」を利用した構成を提案した。
より低コストにて実現可能な、走査線傾き量を検出する基準光束検出手段の一例を以下に説明する。
まず、図15に基づいて、本実施形態におけるタンデム式対応の光走査装置105の構成の概要を説明する。
同図において符号110はレーザビームを出射する光源、111は図示しないハウジング内に配置された窓、112は偏向走査手段(光偏向器)としてのポリゴンミラー、114はfθレンズ群を構成する第一のレンズ、115は走査線を補正する手段である液晶偏向素子、116はミラー、117はfθレンズ群を構成する第二のレンズ、119はハーフミラー(半透鏡)、120は感光体、121は中間転写ベルト、122ないし124は色ずれ検出手段としての検出部、P1は基準光束検出手段としての走査上流側レーザビーム検出器、P2は基準光束検出手段としての走査下流側レーザビーム検出器をそれぞれ示す。
カラー機用としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック(以下Y、M、C、Kと略す)の4色分の走査結像光学系をもち、各色に相当するレーザビームが感光体に集光する状態を示している。
光源における4つの半導体レーザは、それぞれ、Y、M、C、Kの各色成分画像を書込むための光束を放射する。
他方の反射光束はレーザビームを検知する走査上流側レーザビーム検出器P1K、走査下流側レーザビーム検出器P2Kへ結像され、受光部を走査する。なお、レーザビーム検出器は各々固定用基板B1、B2に実装固定されている。fθレンズ群とミラー116、ハーフミラー119をまとめて走査結像光学手段と呼ぶ。
Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色成分画像を書込む光束もそれぞれ上記と同様に、ミラーで反射され、レンズを透過し、ハーフミラーを透過、反射してドラム状の光導電性の感光体上に光スポットとして結像し、各色とも同一の矢印方向に走査される。この光走査により各感光体に対応する色成分画像の静電潜像が形成される。同図において、K以外の各色に相当する光学素子等には符号は付記していないが、ブラックの略意である「K」が符号後に付されている部品はY、M、Cとも光学的な同位置に配置されている。
このカラー画像はシート状記録媒体上ヘ転写され、定着される。カラー画像転写後の中間転写ベルト121は図示しないクリーニング装置でクリーニングされる。
以上説明したように図15に示す光走査装置は、カラー画像を構成する2以上の色成分画像に対応する複数の光源装置から放射された各光束を、偏向走査手段のポリゴンミラー112により同一方向に偏向走査し、各偏向光束を走査結像光学系のうち各色共通に透過する第一のレンズ114と、各々の走査結像手段に設けられたレンズ117により、各色成分画像に対応する被走査面120に向かって個別的に集光させて光走査を行い、各色成分に相当する4つの走査結像手段を有する光走査装置である。
まず、画像出力の開始信号の入力により、走査ビーム基準色部分(例えばブラック)115Kを透過させたレーザビームの走査位置をP1K、P2Kにより検出し、その検出結果に基づき所望の値以下であれば他の色に相当する液晶偏向素子を駆動せず、それ以上であれば液晶偏向素子を所定量偏向駆動し走査位置の補正を行う。
レーザビーム検出器から得られた結果をフィードバックする補正手段は液晶偏向素子のほか光学素子(走査レンズ、ミラー)の姿勢を適宜補正制御することにより、走査位置や副走査間隔の補正が可能となる。
このとき、各色の検知用のパターンは、中間転写ベルト121上において互いに副走査方向に等間隔となるように形成される。これら検知用のパターン画像は、色ずれ検出手段の各検出部で検出され、その結果に基づき、各走査ビームの走査線曲がり(走査線傾き、走査線相互の位置ずれを含む)が決定される。先に説明した各色毎の走査結像光学系におけるレーザビームの検出と中間転写ベルト上のトナーパターンの検出を行い、2つの検出結果に基づき適正に後述の補正手段等を働かせることにより、一層の高画質化が可能となる。
同図において符号219は検出器、PD1は第1系統の受光素子、PD2は第2系統の受光素子、Dは最大素子幅(全幅)、Hは有効検出高さ、θは受光素子傾斜辺の角度、AMPは増幅器、CMPは比較器をそれぞれ示す。
各色に対応するレーザビームは各々複数本あり、主走査方向及び副走査方向には所定の間隔で離間し、光学系を通り感光体面上に走査する。同図では2本の例(L1とL2)であり、主副両方向に所定間隔離間して走査される。主走査方向は少なくともDの間隔(下記詳述、数mmレベル)よりも広く設定され、副走査方向は画像の記録密度により適宜設定されており(1200dpiの場合、約21μm)、副走査間隔に対して主走査間隔の方が非常に広い関係となっている(上記はいずれもレーザビーム検出器に走査されるとき)。
各々の受光素子の2つの受光領域の間の角度は角度θ(0<θ<90)を持たせて配置する。角度θは30°〜60°が好適である。同図では45°の例を開示しており、最も好適な例である。
30°よりも小さいと走査されるレーザビームに対してT1、T2の差が少なくなり検出感度が悪くなるからであり、一方60°を超えると主走査方向の受光面の全幅Dに対する副走査方向の有効検出高さHが小さくなり、必要な有効検出高さHを確保するためには受光面の全幅Dが大きくなり、受光面が画像領域内に入りこむ問題やあるいは走査光学系の有効領域を広く設定する必要があり走査レンズが長大化してしまう問題がある。副走査方向の高さHと受光面の全幅Dは各々H=1〜3mm、D=5mm以下に設定することが、上記問題を発生させず好適である。なお、45°は上記の問題をバランスよく配分し許容でき最も好適である。
2系統の受光素子の隣接部の間隔は特に限定条件はないが、構成をなるべく小さくするために、通過するビームのスポットサイズより大きくない方が良い。
2つの受光領域のうち一方をレーザビームの走査方向に対し垂直に形成すると、レーザビームが副走査方向にずれた場合もセンサ出力のタイミングが変化しないので好適である。
図16(a)における符号219は、図15で示したレーザビーム検出器P1K(またはP2K)の受光面形状及び回路ブロック図で示した検出器である。本機能を有するレーザビーム検出器が基板B1またはB2に実装され固定される。
図16(b)は2つのレーザビームが受光素子PD1、PD2を通過したときのレーザビーム検出器の出力信号のタイミングチャートである。1つのレーザビームの通過により2つのパルスが出力される。その2つのパルスの時間間隔(T1あるいはT2)はレーザビームが走査される副走査の位置に依存する。2つのレーザビームの時間間隔がT1、T2のときレーザビームの副走査間隔ΔPは以下の式から求められる。
ΔP=v×(T2−T1)/tanθ
ここで、vは走査されるレーザビームの速度を表す。
なお、画像領域内と上記両端位置との走査ビーム特性が温度変化により異なる特性を有する場合、両端以外にも画像領域内の光学的に等価な位置にレーザビーム検出器を設けレーザビームを多像高で検知することにより、実際の走査ビームの状態や、走査ビームの曲がりや傾きなどの情報が得られ、その結果に基づいて補正することで、走査ビームの曲がりや傾きを高精度に補正することが可能となる。
なお、「ラインCCD」や「二次元CCD」を含め、基準光束検出手段による出力信号により、光走査の走査開始・終了タイミングを決定しても構わない。
(#G−3)で説明した基準光束検出手段は、その受光部を走査する(横切る)時間を検出した結果を「長さ」に換算している点で、ラインCCD等を用いて光スポットの位置(又は間隔)を検出する方法と大きく異なっている。
受光面を走査する(横切る)長さxは、「受光面での走査速度VY」と「受光面を走査する走査時間τ」の積で求められる。
ここで、比較例にて図20を用いて説明した、走査光学系15へ入射するレーザビームが「平行光束」である場合について、再度検討する。
(#A−1)にて示したように、被走査面15における光スポットの主走査方向の位置Hは、「走査光学系15の焦点距離F」と「ポリゴンミラー14で偏向反射されるレーザビームの主光線の画角θ」
との積、すなわち、
H=F×θ
で表される。従って、走査速度VYは、
VY=dH/dt=F×(dθ/dt)=F×ω(ωは画角の時間微分=角速度[rad/s])
となる。ここでポリゴンミラー14の回転数をN[rpm]とすると、画角の時間微分ω[rad/s]は、
ω=2×N×(2π/60)=(π/15)×N
なので、走査速度VYは、
VY=(π/15)×F×N (式2−1)
で表される。
光スポットBSaとBSbの副走査方法の間隔をp
主走査方向の時間差をΔτ=τ2−τ1
受光部の配置角度をθs
とすると、
p=(π/15)×F×N×Δτ/tanθs
で表される。
次に、第9の実施形態を説明する。
「発散光束」又は「収束光束」の場合には、上記と状況が異なる。第1の実施形態にて説明したとおり、被走査面16上の光スポットには等速走査性が成立し、被走査面での光スポットの走査速度VYは、
VY=dY/dt=K×(dθ/dt)=K×ω(Kは等速走査性を示す比例定数)
が成立する。しかし「発散光束」の場合として、図10又は図11に示したように、光走査開始側あるいは光走査終了側において、光源が配置されている側に設置された「同期検知センサ」、すなわち「基準光束検出手段」は、ポリゴンミラー14から遠ざかる向きに、被走査面16と光学的に等価な位置からずらして配置されている。そのため、このように配置された基準光束検出手段の受光面における走査速度は、(式2−1)より速くなる。
しかしながら、その変動量の絶対値を把握するには、VYを正確に導出する必要がある。
従って、この場合の走査速度VY’は、(式2−2)のように書き換える必要がある。
VY’=(π/15)×(K+ΔK1)×N (式2−2)
ΔK1>0
受光面を走査する(横切る)長さxは、「受光面での走査速度VY’」と「受光面を走査する走査時間τ」の積で求められる。すなわち3)
として受光面での、
x=(π/15)×(K+ΔK1)×N×τ (式2−走査距離xを算出することで、より高精度に走査距離xを導出することができる。
従って、このような場合には、
x=(π/15)×(K−ΔK2)×N×τ (式2−4)
ΔK2>0
として受光面での走査距離xを算出すればよい。
なお、「収束光束」の場合も同様に、ポリゴンミラーから遠ざかる向きに「基準光束検出手段」を被走査面と等価な位置からずらして配置した場合は、(式2−3)、ポリゴンミラーに近づく向きに「基準光束検出手段」を被走査面と等価な位置からずらして配置した場合は、(式2−4)により導出すればよい。
同図において符号102はベルト用ローラ、105は光走査装置、106は現像装置、125は画像形成装置、127は給紙カセット、126は定着装置をそれぞれ示す。
図1等に示した光走査装置の複数の走査結像手段を単一のハウジング内に収納した光走査装置105が、カラー画像形成装置125内に配置されている。光走査装置105は画像形成装置125内の4つの感光体120Y、120M、120C、120Kが並設された作像部の上方に配置されている。
複数の感光体120Y、120M、120C、120Kを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置である。装置上部から順に光走査装置105、現像装置106、感光体120、中間転写ベルト121、定着装置126、給紙カセット127がレイアウトされている。
感光体120Yを例に説明すると、帯電チャージャ(図示しない)、光走査装置105から出射された画像信号に基づくレーザビームLY、現像装置106Y、転写チャージャ(図示しない)、クリーニング装置(図示しない)等が順に配設されている。他の感光体120M、120C、120Kに対しても同様である。
すなわち、本実施形態では、感光体120Y、120M、120C、120Kを各色毎に設定された被走査面とするものであり、各々に対して光走査装置105からレーザビームLY、LM、LC、LKが各々に対応するように設けられている。
帯電チャージャにより一様に帯電された感光体120Yは、矢印A方向に回転することによってレーザビームLYを副走査し、感光体120Y上に静電潜像が形成される。また、光走査装置105によるレーザビームLYの照射位置よりも感光体の回転方向下流側には、感光体120Yにトナーを供給する現像器106Yが配設され、イエローのトナーが供給される。
現像器106Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体120M、120C、120Kには、それぞれM、C、Kの単色トナー像が形成される。
この搬送により、中間転写ベルト121は順に感光体120Y、120M、120C、120Kに移動されるようになっている。中間転写ベルト121は感光体120Y、120M、120C、120Kで現像された各々単色画像を順次重ねあわせて転写し、中間転写ベルト121上にカラー画像を形成するようになっている。
その後、給紙トレイ127から転写紙が矢印C方向に搬送されカラー画像が転写される。カラー画像が形成された転写紙は、定着器126により定着処理後、フルカラー画像として排紙される。
14 光偏向器としてのポリゴンミラー
15 走査結像素子としての走査光学系
16 被走査面
17a、17b 光束
18、18' 基準光束検出手段としての同期検知センサ
Claims (6)
- 光源から出射される複数の光束を偏向させる偏向反射面を有する光偏向器と、この光偏向器により偏向された光束を、被走査面上に光スポットとして集光して被走査面を光走査させる走査結像素子と、上記光偏向器により偏向された光束を基準光束として検出する基準光束検出手段と、少なくとも主走査対応方向にパワーをもち、上記基準光束を上記基準光束検出手段に導く基準光束用光学素子とを有し、上記基準光束検出手段と上記基準光束用光学素子は上記光走査の開始側に配置される光走査装置であって、上記光源から出射される複数の光束うち少なくとも2つの光束は収束性の状態で上記光偏向器に入射し、且つ、該少なくとも2つの光束の主光線は偏向走査面内で互いに重ならずに非平行な状態にて上記光偏向器に対し、被走査面における光走査方向の光走査開始側から入射される光走査装置において、
上記基準光束検出手段は、光走査開始側での主走査方向の光スポット位置ずれ量と光走査終了側での主走査方向の光スポット位置ずれ量とが同等となるように、その受光面を上記基準光束の主走査対応方向の結像位置から、該基準光束の光軸方向に上記光偏向器へ近づく向きにずらして配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 光源から出射される複数の光束を偏向させる偏向反射面を有する光偏向器と、この光偏向器により偏向された光束を、被走査面上に光スポットとして集光して被走査面を光走査させる走査結像素子と、上記光偏向器により偏向された光束を基準光束として検出する基準光束検出手段と、少なくとも主走査対応方向にパワーをもち、上記基準光束を上記基準光束検出手段に導く基準光束用光学素子とを有し、上記基準光束検出手段と上記基準光束用光学素子は上記光走査の開始側に配置される光走査装置であって、上記光源から出射される複数の光束うち少なくとも2つの光束は収束性の状態で上記光偏向器に入射し、且つ、該少なくとも2つの光束の主光線は偏向走査面内で互いに重ならずに非平行な状態にて上記光偏向器に対し、被走査面における光走査方向の光走査終了側から入射される光走査装置において、
上記基準光束検出手段は、光走査開始側での主走査方向の光スポット位置ずれ量と光走査終了側での主走査方向の光スポット位置ずれ量とが同等となるように、その受光面を上記基準光束の主走査対応方向の結像位置から、該基準光束の光軸方向に上記光偏向器から遠ざかる向きにずらして配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 光源から出射される複数の光束を偏向させる偏向反射面を有する光偏向器と、この光偏向器により偏向された光束を、被走査面上に光スポットとして集光して被走査面を光走査させる走査結像素子と、上記光偏向器により偏向された光束を基準光束として検出する基準光束検出手段と、少なくとも主走査対応方向にパワーをもち、上記基準光束を上記基準光束検出手段に導く基準光束用光学素子とを有し、上記基準光束検出手段と上記基準光束用光学素子は上記光走査の開始側に配置される光走査装置であって、上記光源から出射される複数の光束うち少なくとも2つの光束は発散性の状態で上記光偏向器に入射し、且つ、該少なくとも2つの光束の主光線は偏向走査面内で互いに重ならずに非平行な状態にて上記光偏向器に対し、被走査面における光走査方向の光走査開始側から入射される光走査装置において、
上記基準光束検出手段は、光走査開始側での主走査方向の光スポット位置ずれ量と光走査終了側での主走査方向の光スポット位置ずれ量とが同等となるように、その受光面を上記基準光束の主走査対応方向の結像位置から、該基準光束の光軸方向に上記光偏向器から遠ざかる向きにずらして配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 光源から出射される複数の光束を偏向させる偏向反射面を有する光偏向器と、この光偏向器により偏向された光束を、被走査面上に光スポットとして集光して被走査面を光走査させる走査結像素子と、上記光偏向器により偏向された光束を基準光束として検出する基準光束検出手段と、少なくとも主走査対応方向にパワーをもち、上記基準光束を上記基準光束検出手段に導く基準光束用光学素子とを有し、上記基準光束検出手段と上記基準光束用光学素子は上記光走査の開始側に配置される光走査装置であって、上記光源から出射される複数の光束うち少なくとも2つの光束は発散性の状態で上記光偏向器に入射し、且つ、該少なくとも2つの光束の主光線は偏向走査面内で互いに重ならずに非平行な状態にて上記光偏向器に対し、被走査面における光走査方向の光走査終了側から入射される光走査装置において、
上記基準光束検出手段は、光走査開始側での主走査方向の光スポット位置ずれ量と光走査終了側での主走査方向の光スポット位置ずれ量とが同等となるように、その受光面を上記基準光束の主走査対応方向の結像位置から、該基準光束の光軸方向に上記光偏向器へ近づく向きにずらして配置されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至4のうちの何れか1つに記載の光走査装置において、
上記基準光束検出手段からの出力信号により、光走査の走査開始タイミングと光走査終了タイミングのうち少なくとも一方を決定することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1乃至5のうちの何れか1つに記載の光走査装置を有していることを特徴とする画像形成装置。
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