JP3777754B2 - ガス検知センサのクリーニング装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒータによってガス検知センサに付着した付着物を除去してクリーニングするクリーニング装置及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋内設置型給湯器、ファンヒータ、ストーブ等のガス燃焼装置においては、不完全燃焼を防止するために一酸化炭素等の可燃ガスの濃度を測定するガス検知センサを設け、このガス検知センサからの信号に基づいて安全装置を作動させている。ところで、上記ガス燃焼装置が家庭で使用される場合には販売後、故障の時以外にはメンテナンスは困難であるため、ガス検知センサは器具の寿命以上の耐久性が望まれる。しかしながら、ガス燃焼装置を使用していると、ガス検知センサに油、埃、硫黄酸化物等の付着物が付着して感度が鈍るということがある。また、室内に配置されたガスもれ警報器においても同様なことが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、従来よりガス検知センサにヒータを設けて、このヒータの熱によって付着物を除去するクリーニング装置が提案されている(特開平8−101155号)。
【0004】
上記クリーニング装置の動作状態を示したものが図8のグラフであり、図8の下のグラフは、ガス検知センサのヒータにかけるヒータ電圧と時間との関係を示し、上のグラフがセンサ温度と時間との関係を示したものである。
【0005】
通常の使用時においては、図8の上のグラフの実線に示すように、ヒータ電圧をかけてガス検知センサを加熱しても、その付着物は少ないため、センサの感度に悪影響を及ぼす限界温度に至ることはない。
【0006】
ところが、給湯器、ガスもれ警報器等を油煙が多く発生する料理店及び家庭等で使用している場合には油がガス検知センサに付着することが多い(以下、この環境を特定環境という)。そのため、図8の上のグラフの点線に示すように、ヒータを加熱すると付着した油が発火してセンサ温度が異常に上昇する場合がある。この場合には、センサ温度が限界温度以上になり、センサの感度に悪影響を及ぼす。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ガス検知センサを加熱してクリーニングを行う場合であっても、センサの感度に悪影響を及ぼさないクリーニング装置及びその方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1のガス検知センサのクリーニング装置は、ヒータを備えたガス検知センサと、前記ヒータを加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する制御手段とを有したガス検知センサのクリーニング装置において、前記制御手段による制御は、付着物が燃焼せずに脱着する温度まで上昇させる第1の段階と、前記第1の段階において脱着しなかった付着物を前記ガス検知センサの焼結温度である限界温度以下で燃焼させて除去する温度までさらに上昇させる第2の段階とからなることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2のガス検知センサのクリーニング装置は、請求項1のものにおいて、前記制御手段は、前記加熱手段によって前記ヒータの温度を、予め記憶された温度上昇パターンに基づいて前記除去温度まで上昇するように加熱手段を制御するものである。
【0012】
請求項3のガス検知センサのクリーニング装置は、請求項1または請求項2のものにおいて、前記ガス検知センサが、接触燃焼式センサであるものである。
【0013】
請求項4のガス検知センサのクリーニング方法は、ヒータを備えたガス検知センサにおいて、前記ガス検知センサに付着した付着物を除去できる除去温度まで段階的に上昇するようにしたガス検知センサのクリーニング方法において、前記温度上昇は、付着物が燃焼せずに脱着する温度まで上昇させる第1の段階と、前記第1の段階において脱着しなかった付着物を前記ガス検知センサの焼結温度である限界温度以下で燃焼させて除去する温度までさらに上昇させる第2の段階とからなることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5のガス検知装置のクリーニング方法は、請求項4のものにおいて、前記ヒータの温度を、予め記憶された温度上昇パターンに基づいて前記除去温度まで上昇するようにしたものである。
【0017】
請求項6のガス検知センサのクリーニング方法は、請求項4または請求項5のものにおいて、前記ガス検知センサが、接触燃焼式センサであるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
以下、本発明の第1の実施例を説明する。
【0023】
図3はガス給湯器のガス燃焼装置1に適応した一実施例を示したものであり、給湯器本体10の下端部には、バーナ12に必要な空気を供給するファン14が設けられており、このファン14からの空気と図示しない都市ガス13Aのガス供給管からのガスとが本体10内部のバーナ12に送られて、ガスが燃焼する。このバーナ12の上方に配設された熱交換器16において、図示しない給水管からの水が所定温度の湯に沸き上げられる。また、本体10の上端部には排気口18が設けられており、バーナ12からの一酸化炭素等の可燃ガスを含んだ燃焼ガスが排気される。さらに、本体10の上端部であって燃焼ガスが通過する位置には、CO検知器20の接触燃焼式ガス検知センサ(以下、単にセンサという)22が配設されている。CO検知器20は、上記したセンサ22とセンサ駆動回路24とよりなり、センサ駆動回路24にはCPUのマイクロコンピュータからなる制御回路26に接続されている。この制御回路26には、警報ブザー30、ファン駆動回路32、バーナ制御回路34が接続されている。
【0024】
次に、CO検知器20の構造について図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
図1は、センサ22の拡大斜視図であり、図2は、センサ駆動回路24と制御回路26を示している。
【0026】
センサ22は、図1に示すように円盤型の取付台23に、第1検知部42と温度補償用の第2検知部44を突出させている。第1検知部42は、線径が20〜30μmの白金線43をコイル状に成形し、このコイルの上に貴金属触媒48を担持したアルミナをビード状に成形した焼結体46よりなる。一方、第2検知部44も、白金線に焼結体50を設けている点は同一であるが、貴金属触媒48を担持していない。
【0027】
センサ22からの出力信号を検知するのがセンサ駆動回路24である。この回路は、第1検知部42と温度補償用の第2検知部44と2つの可変抵抗R1,R2がブリッジ回路を構成している。第1検知部42が排気に触れることで排気中のCO濃度に応じて発熱し、第1検知部42の抵抗値が変化することでブリッジ回路の平衡状態が崩れ、非平衡度に応じた大きさの電圧が検知出力V0として出力される。この時センサ温度は約200℃に保たれている。このV0をアンプ52で増幅して、制御回路26に出力する。
【0028】
制御回路26ではアンプ52によって増幅された検知出力V0が閾値を超えた場合には、一酸化炭素濃度が危険状態になったと判断して、警報ブザー30を駆動させる。これにより、中毒事故を防止する。
【0029】
一方、ブリッジ回路には第1検知部42と第2検知部44に直流電流を流すための電源部54が接続されている。そして、この電源部54は制御回路26からの制御信号に基づいてブリッジ回路にかけるヒータ電圧を制御できる。
【0030】
ところで、従来技術でも説明したように、このセンサ22に付着した付着物または吸着した吸着物(以下、単に「付着物」という)をクリーニングするために、バーナ12を点火する度にクリーニング動作を行っている。このクリーニングの時には、CO検出はできず、クリーニング終了後センサ温度が検出温度である約200℃の一定温度に保たれた時にCOセンサが動作可能になりCO検出ができる状態になる。
【0031】
以下、そのクリーニング動作を図2のセンサ駆動回路24及び図4のグラフに基づいて説明する。
【0032】
バーナ12が点火する時点が、クリーニング開始時点にあたる。この時点で制御回路26は電源部54に対しブリッジ回路にヒータ電圧を図4の下のグラフに示すように、V1とV2の2段階でヒータ電圧を上昇させる。これにより、発熱する第1検知部42のセンサ温度は、図4の上のグラフが示すように、2段階の上昇となる。
【0033】
すなわち、センサ温度T1のときには付着物が燃焼せずに脱着する。この時の脱着は吸熱現象である。したがって、付着物が多い特定環境下でも、付着物の少ない通常の環境下でもセンサ温度から急激に上昇することがない。
【0034】
さらに、センサ温度T1以上に温度が上昇すると、脱着しなかった付着物を燃焼させて除去できる。この場合に、通常環境下においては、センサへの付着物はほとんどなく、ついたとしてもセンサ温度T1にすることにより付着物はほとんど脱着しているので燃焼による発熱は少なくセンサ温度の急激な上昇は起こらない(図4の上のグラフの実線の状態)。
【0035】
また、特定環境下においてはセンサ温度T1の時点で付着物の大部分が脱着するが、通常の環境下で付着している量よりも多くの付着物が残っているので、電圧V2まで上昇させると油が燃焼して、センサ温度が通常環境下よりも上昇するが限界温度を超えることはない(図4の上のグラフの点線の状態)。
【0036】
このことにより、センサ22の感度比に影響を及ぼす限界温度までセンサ温度が上昇することがない。
【0037】
次に、制御回路26が電源部54を制御してヒータ電圧を上記のように2段階で上昇させる制御方法を説明する。
【0038】
CPUである制御回路26に内蔵されているタイマーで、バーナ12が点火された時点からt1秒間だけV1の電圧を維持し、その後t2秒間だけ電圧V2を維持するように制御する。すなわち、タイマーがカウントする時間によって段階的にヒータ電圧を上昇させる。t1としては1〜20秒間(好ましくは10秒〜20秒間)であり、t2としては1〜20秒間(好ましくは5〜12秒間)である。これは、バーナ12が点火された後にCO検知器20がすぐに動作状態になるのが好ましいが、あまりクリーニングのための時間(t1+t2)が短いと、付着物を除去できないから上記に示した時間をかけることが必要である。
【0039】
センサ温度T1としては、油等が燃焼せずに第1検知部42から脱離する温度である100〜350℃であり、T2としては300〜600℃が好適である。ただし、この温度T2は使用するセンサ22の種類や検知するガスによって異なってくる。しかしながら、最も重要な点はセンサ温度T2がセンサ22に悪影響を及ぼす許容温度まで到達しないようにすることである。ここで許容温度とは、センサ素子の焼結温度である限界温度よりも余裕を持った温度、例えば、限界温度よりも約100℃以下の温度が好ましい。例えば、700℃で焼結されたCO検知器22の場合には、許容温度は600℃以下に設定する。なお、CO検知器22は600℃から900℃の間で焼結されるので、その焼結温度に対応した許容温度とする。なお、以下で説明する実施例における許容温度も同じ意味である。
【0040】
この第1の実施例の制御方法においては2段階で電圧を上げたが、これに限らず3段階またはそれ以上の段階で電圧を上げていっても良い。また、段階的に電圧を上げるだけでなく、時間と比例して電圧を次第に上昇させても同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第2の実施例)
本実施例と第1の実施例の異なる点は、制御回路26のメモリで予めこのヒータ電圧の上昇パターン、すなわち、センサ温度の温度パターンを記憶させておき、この記憶したデータに基づいて電源部54を制御する点にある。
【0042】
図5のグラフがそのパターンによって再現したセンサ温度とヒータ電圧との関係を示すグラフであり、時間と比例してヒータ電圧の上昇速度を2段階で次第に許容温度まで上昇させている。これによるとセンサ温度が200℃から300℃に20秒間で次第に上昇するときに付着物が燃焼せずに脱着する。この時の脱着は吸熱現象である。したがって、付着物が多い特定環境下でも、付着物の少ない通常の環境下でもセンサ温度から急激に上昇することがない。
【0043】
さらに、センサ温度が300℃から500℃に10秒間で次第に上昇すると、脱着しなかった付着物を燃焼させて除去できる。この場合に、センサ温度が200℃から300℃が上昇するときに殆ど付着物は脱着しているので燃焼による発熱は少なく通常の環境下においてはセンサ温度の急激な上昇は起こらない。
【0044】
なお、この第2の実施例の制御方法においても、2段階でヒータ電圧の上昇速度を上げてもよく、また、3段階またはそれ以上の段階で電圧の上昇速度を上げていっても良い。
【0045】
(第3の実施例)
次に、図6及び図7に基づいて、CO検知器122の第2の実施例について説明する。
【0046】
本実施例と、第1の実施例のCO検知器22との基本構成は殆ど同じであるが、異なる点は、クリーニングの動作状態にある。
【0047】
図6に示すように、第1検知部42の両端の電圧を測れるようにするための第1電圧計56が設けられ、また、第1検知部42と直列に接続された抵抗RLの両端の電圧を測定する第2電圧計58が設けられている。第1電圧計56の目的は、第1検知部42の両端の電圧を測定することが目的であり、第2電圧計58は、抵抗RLの両端の電圧を測定して、そこから第1検知部42へ流れる電流Iを測定することが目的である。すなわち、第1検知部42の両端の電圧Vと、それを流れる電流Iとを測定することにより、第1検知部42に与えられる電力が計算される。これによって、第1検知部42の現在の電力値を介してセンサ温度を直接測定できることとなる。
【0048】
制御回路26は、図7に示すように、バーナ12の点火時点から電源部54に対しヒータ電圧を上げるように指示する。電源部54はその指示にしたがってヒータ電圧を上昇させる。一方、制御回路26は、第1電圧計56、第2電圧計58から上記したセンサ温度をリアルタイムに計測し、センサ温度が限界温度より100℃より低い許容温度に到達した場合には、電源部54に対しヒータ電圧を下げるように制御する。すなわち、制御部26はセンサ温度をリアルタイムに観測して、センサ温度が許容温度に到達した場合にはそれ以上センサ温度が上がらないように電源部54をフィードバック制御している。
【0049】
この制御方法であっても、付着物が燃焼を開始した場合にヒータから加える熱量を減少させ第1検知部42のセンサ温度を一定に保つことができるため、油等が発火することがなく、限界温度を超えることがない。
【0050】
(他の適用例)
CO検知器に限らずメタンガス検知器、H2 検知器等のクリーニング装置に使用してもよい。
【0051】
ここで、メタンガス検知器の限界温度、すなわち、焼結温度は700℃から900℃であるので、許容温度はそれよりも100℃低い600℃から800℃であり、H2 検知器の限界温度、すなわち、焼結温度は600℃から900℃であるので、許容温度はそれよりも100℃低い500℃から800℃とする。
【0052】
【発明の効果】
以上により本発明のガス検知センサのクリーニング装置及びその方法であると、ガス検知センサを除去温度まで加熱する場合において、付着物が燃焼等して限界温度に至らないようにヒータの温度を制御するため、ガス検知センサがそれによって悪影響が及ぶことがない。したがって、長期間常に好適な状態でガスを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】センサの拡大斜視図である。
【図2】センサ駆動回路の回路図である。
【図3】給湯器のブロック図である。
【図4】第1の制御方法のセンサ温度とヒータ電圧の関係を示すグラフである。
【図5】第2の制御方法のセンサ温度とヒータ電圧の関係を示すグラフである。
【図6】第3の制御方法のセンサ駆動回路の回路図である。
【図7】第3の制御方法のセンサ温度とヒータ電圧の関係を示すグラフである。
【図8】従来のセンサ温度とヒータ電圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
20 CO検知器
22 センサ
24 センサ駆動回路
26 制御回路
42 第1検知部
44 第2検知部
Claims (6)
- ヒータを備えたガス検知センサと、
前記ヒータを加熱する加熱手段と、
前記加熱手段を制御する制御手段とを有したガス検知センサのクリーニング装置において、
前記制御手段による制御は、
付着物が燃焼せずに脱着する温度まで上昇させる第1の段階と、
前記第1の段階において脱着しなかった付着物を前記ガス検知センサの焼結温度である限界温度以下で燃焼させて除去する温度までさらに上昇させる第2の段階とからなる
ことを特徴とするガス検知センサのクリーニング装置。 - 前記制御手段は、
前記加熱手段によって前記ヒータの温度を、予め記憶された温度上昇パターンに基づいて前記除去温度まで上昇するように加熱手段を制御することを特徴とする請求項1記載のガス検知センサのクリーニング装置。 - 前記ガス検知センサが、接触燃焼式センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のガス検知センサのクリーニング装置。
- ヒータを備えたガス検知センサにおいて、
前記ガス検知センサに付着した付着物を除去できる除去温度まで段階的に上昇するようにしたガス検知センサのクリーニング方法において、
前記温度上昇は、
付着物が燃焼せずに脱着する温度まで上昇させる第1の段階と、
前記第1の段階において脱着しなかった付着物を前記ガス検知センサの焼結温度である限界温度以下で燃焼させて除去する温度までさらに上昇させる第2の段階とからなる
ことを特徴とするガス検知センサのクリーニング方法。 - 前記ヒータの温度を、予め記憶された温度上昇パターンに基づいて前記除去温度まで上昇するようにしたことを特徴とする請求項4記載のガス検知センサのクリーニング方法。
- 前記ガス検知センサが、接触燃焼式センサであることを特徴とする請求項4または5に記載のガス検知センサのクリーニング方法。
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