JP3776547B2 - 木目エンボス化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系板材・棒材、金属板等の基材に貼り合わせて、建築物の内装、建具、家具、車両内装等使用される、高意匠性の木目柄を有する化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木目エンボス化粧シートの素材には塩化ビニル樹脂シートが多用されてきた。塩化ビニル樹脂シートは、エンボス加工適性と低温Vカット加工適性に優れている為に、木目導管柄を表現するエンボスの形状には、本物に近いシャープで深い形状が可能である。しかし、最近は、塩化ビニル樹脂に代わる素材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた木目エンボス化粧シートが注目されている。このオレフィン系熱可塑性エラストマーは、塩化ビニル樹脂の代替材料となり得る各種のオレフィン系樹脂の中でも、エンボス適性やVカット加工適性に優れている素材である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた場合でも、木目導管エンボスを有する化粧シートを板貼りしてVカット加工をすると、導管のエンボス部分から割れが発生し易いとい問題があった。割れ発生は、特に低温Vカット加工の場合に起こり易かった。その為、塩化ビニル樹脂素材の木目エンボス化粧シートに従来用いていたエンボス版をそのまま、オレフィン系熱可塑性エラストマー素材の木目エンボス化粧シートに使用するには、化粧シート全体の厚さを厚くするか、Vカット加工時の加工温度を高くするといった対応が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するために、本発明では、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる基材シート上に、木目柄印刷インキ層を介して、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる透明樹脂層が積層され、該透明樹脂層表面に木目導管エンボスが施された、木目エンボス化粧シートにおいて、木目導管エンボスの横断面形状における底部が、深さ一定又は略一定の平坦部を有し、且つ一つの木目導管エンボス内で少なくとも最大深さを与える部分で、木目導管エンボスの深さが、化粧シートの総厚の1/10より深く2/3より浅く且つ導管の開口幅より小さいことを満足する形状の木目導管エンボスとすることで、特に低温でのVカット加工時の亀裂発生や白化を防止した。さらに、木目導管エンボスは、エンボス形状全体、つまり開口形状、断面形状(横断面及び縦断面)、底面形状などに、鋭角部分が無い形状とすると良い。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0006】
先ず、図1は本発明の木目エンボス化粧シートが有する木目導管エンボスの特定形状を例示する斜視図である。図2及び図3は、本発明の木目エンボス化粧シートが特定する形状の木目導管エンボスについて、幅方向の横断面形状の説明図であり、横断面形状は開区間(x1 ,x2 )における関数f(x)で表してある。なお、以降は、縦断面形状と特に縦横の明示をしない限り、断面形状というときは、全て、エンボス幅方向の横断面形状の意味で用いる。
また、図4は、本発明の木目エンボス化粧シートの各種形態を例示する断面図である。そして、図5は本発明の木目エンボス化粧シートをVカット加工に適用する説明図であり、図6は、被着体として立体形状物品に木目エンボス化粧シートを適用した説明図である。
【0007】
本発明の木目エンボス化粧シート10は、木目導管エンボスが特定形状をしており、木目導管エンボスの断面形状における底部が深さ一定又は略一定の平坦部を有し、且つ一つの木目導管エンボス内で少なくとも最大深さを与える部分で、木目導管エンボスの深さが、化粧シートの総厚の2/3より浅く且つ導管の開口幅より小さいことを満足する形状をしているが、エンボスの形状全体としての鋭角部分の有無によって、例えば、図1(A)〜図1(C)の如く、各種形状があり得る。
図1(A)は、木目導管エンボスの開口形状及び底面形状に鋭角部分Aを有し、断面形状には鋭角部分が無く、エンボス縦方向任意位置での断面形状において底部全幅が平坦部となる底面Bと、側面Sとが、明確な交線Iを成して交わる形状例である。
次に、図1(B)は、木目導管エンボスの開口形状、底面形状及び断面形状の全てに、つまり、エンボス形状全体として鋭角部分が無く、エンボス縦方向のほぼ全領域での断面形状において中央部が平坦部となる底面Bと、側面Sとが、曲面で連結して明確な交線を成して交わらない形状例である。この図1(B)の形状は、請求項2に該当する。
また、図1(C)は、木目導管エンボスの開口形状が鋭角部分Aを有し、断面形状及び底面形状には鋭角部分が無く、エンボス縦方向のほぼ全領域での断面形状において中央部が平坦部となる底面Bと、側面Sとが、曲面で連結して明確な交線を成して交わらない形状例である。
なお、例えば、図1(A)のエンボス形状における底面Bは、底面B全面として、平面からなる斜面、深さ一定の平面、或いは曲面等があり得る。これは、木目導管エンボスを縦方向に切断した縦断面において、底部の深さが一定、深さが直線的に変化、深さが曲線的に変化に対応する。従って、横断面形状における底部の平坦部の成す面は、エンボスの縦方向の深さの変化の有無及び変化の仕方により、平面からなる斜面、深さ一定の平面、曲面等があり得る。
ところで、エンボス深さは開口幅に対して少なくとも深さ最大の部分では一定の関係とするので、例えば図1(A)で鋭角部分Aに近づく程開口幅が小さくなる様な部分では、エンボスの深さをそれにつれて浅くなる形状とする。エンボスの深さ一定のままの形状では、深さと開口幅の関係を満足しない部分が発生する。
【0008】
更に、木目導管エンボス1は、一つの木目導管エンボス内において少なくとも最大の深さを与える部分では、エンボスの深さが木目エンボス化粧シート10の総厚の2/3より浅く、且つエンボスの開口幅がエンボスの深さより大きい形状となっている。最低限、エンボス深さ最大部分で深さと開口幅の関係を規定するのは、エンボス深さ最大の部分が最も白化や亀裂発生が起き易い為である。もちろん、エンボス深さが最大の部分よりも浅い部分でも、この関係を満足させることは好ましい。
例えば、図1では、二つの異なる大きさの木目導管エンボスが例示してあり、一つはエンボス深さがbでエンボスの開口幅がcのエンボスと、もう一つはエンボスの深さがdでエンボスの開口幅がeのエンボスであり、これらエンボスの深さbやdは、化粧シートの総厚aに対して、b<(2/3)a、d<(2/3)aであり、且つ各エンボスの開口幅cやeに対して、b<c、d<eである。
エンボスの深さが、化粧シートの総厚の2/3以上であると、エンボス部分の化粧シートの厚さが薄すぎて、Vカット加工時にエンボス部分でシートが伸ばされ易くなり過ぎて、破断や白化が生じ易く好ましくない。また、エンボスの深さbがエンボスの開口幅c以上である様な深いエンボスでも、Vカット加工時にシートが伸ばされ易いエンボス部分が狭くなり過ぎて、応力集中が起こりやすくなり、破断や白化が生じ易く好ましくない。また、エンボスが浅すぎても意味がない。
従って、エンボスの深さ/化粧シート総厚(b/a)は、1/10より大きく2/3より小さい範囲〔(1/10)<b/a<(2/3)〕が好ましく、より望ましくは1/5より大きく1/2より小さい範囲〔(1/5)<b/a<(1/2)〕が好ましい。また、エンボスの深さ/エンボスの開口幅(b/c)は、1/10より大きく1/1より小さい範囲〔(1/10)<b/c<(1/1)〕が好ましく、より望ましくは1/7より大きく2/3より小さい範囲〔(1/7)<b/c<(2/3)〕が好ましい。
【0009】
次に、図2及び図3によって、本発明が規定する木目導管エンボスの横断面形状について更に詳述する。これら図は、開区間(x1 ,x2 )に属するx(両端を含まない、x1 <x<x2 なるx)、すなわちx∈(x1 ,x2 )における断面形状を関数f(x)で表したものである。そして、図2は断面形状に尖点x0 を有する場合、図3は断面形状に尖点が無い場合である。なお、尖点x0 とは、関数f(x)が連続ではあるが微分不可能な点である。図2(A)は、エンボスの側面Sとなる部分が直線で、平坦な底部Bとなる部分も水平な直線で、全て直線からな断面形状がなる場合である。尖点は直線の交点からなり、尖点が成す角度θは、θ>90°の鈍角であり、断面形状には90°未満となる鋭角部分がない。また、図2(B)は、エンボスの底部Bは図2(A)同様に平坦で直線となるが、エンボスの側面Sとなる部分に直線部分がなく曲線から成る場合である。尖点は曲線同士又は曲線と直線との交点から成り、この様な少なくとも一方が曲線のときでも、尖点x0 の成す角度θは、尖点における接線同士の成す角度として定義可能である。
【0010】
次に図3に示す、尖点の無い場合とは、エンボスの側面Sと平坦部を有する底部Bとが、滑らかな曲線により連結した断面形状の場合である。この内、図3(A)は、開区間(x1 ,x2 )の全域にて、関数f(x)に変曲点がない断面形状である。関数f(x)は開区間(x1 ,x2 )で微分可能な滑らかな曲線から成り、側面Sを成す線分は、少なくとも底部Bとは下に凸の曲線で接続している形状である。すなわち、x∈(x1 ,x2 )にて、関数f(x)の2次導関数f″(x)≧0を満たす断面形状である。
一方、図3(B)は、断面形状を表す関数f(x)に変曲点が有る場合の断面形状である。化粧シート表面への接続部(x=x1 ,x2 )も含め、断面形状は全て滑らかな曲面から成る。f″(x)=0を満たす、x3 及びx6 が変曲点である。関数f(x)の(1次)導関数f′(x)は、開区間(x1 ,x4 )にてf′(x)<0、閉区間〔x4 ,x5 〕にてf′(x)=0、開区間(x5 ,x2 )にてf′(x)>0である。また、f″(x)は、開区間(x1 ,x3 )にてf″(x)<0、x3 及びx6 にてf″(x)=0、開区間(x3 ,x6 )にてf″(x)≧0、開区間(x6 ,x2 )にてf″(x)<0である。
【0011】
なお、図1〜図3で説明した各種エンボス形状は、一つの木目エンボス化粧シートに混在していても構わない。
【0012】
そして、本発明では以上の様に、木目導管エンボスの形状を化粧シート総厚とも関連づけて特定形状とすることで、Vカット加工時のエンボス部分から亀裂や白化を防げるのは、次の様に応力集中を分散し和らげられる為と推定される。先ず、従来は、天然木の導管形状をリアルに再現する事に主眼がおかれていた為に、V字型の如く、かなりシャープで幅が狭く且つ深い断面形状をしていた。そして、この形状のエンボスをオレフィン系樹脂シートの様な伸び特性を持つシートに適用すると、Vカット加工で折り曲げた時に、シートが伸ばされると、シャープで深いエンボスの底の中央部の鋭角部分に応力集中が発生し、鋭角部分のみ局所的に伸ばされて伸びが大きくなる結果、そこから亀裂や白化が発生したと考えられる。エンボス底部の鋭角部分が最も化粧シートの厚みが薄く、伸び易いからである。応力集中が発生すると、局所的に伸びが大きい部分は伸ばされて更に薄くなり、その結果、更に伸ばされ易くなり、更に伸びるという状況が発生するのが亀裂や白化の原因である。
【0013】
しかし、本発明の木目エンボス化粧シートでは、Vカット加工で化粧シートが横方向に伸ばされ、しかも伸ばされる方向が木目導管エンボスの幅方向である時は、エンボス部分は確かに化粧シート全体から見れば厚みが薄く伸ばされやすいが、エンボス内部〔図3の開区間(x1 ,x2 )に該当〕に伸ばされ易い部分を局所的に有せず、エンボス底部は幅方向で均一な厚みの平坦部領域で均一な延伸性が得られる為に、エンボスの中に局所的な応力集中が発生せず、平坦部によりエンボスはほぼ均一に伸ばされることになる。
なお、エンボス断面形状において、化粧シート厚みに局所的に薄い部分を作らないという点からすれば、V字形状の断面でなければ、底部に平坦部が無くても、穏やかな曲線からなるU字形状でも近似的に平坦部と見なせ、従来よりは好ましい結果が得られる。しかし、U字形状でも底部に平坦部がなければ最も薄い部分が局所的にある点は程度の差こそあれ同様であり、より好ましくは、やはり平坦部を有する形状が良い。平坦部分全体で伸びを均等に受け持ち、応力集中を避けることができるからである。結局、Vカット加工適性は、エンボス底部形状がV字形状で最も悪く、平坦部を持たなくてもRを持った底部断面形状で改善され、底部が平坦に近くなる程より改善されて良好となり、平坦部を有する形状で最も良好となる。なお、以上のことからも分かる様に、本発明でいう平坦部とは完全に深さ一定の部分が最も好ましいが、深さが殆ど一定の部分でも好ましい結果が得られるので、深さ一定又は略一定部分を平坦部とする。
【0014】
しかも、本発明の木目エンボス化粧シートでは、エンボスの深さは化粧シート総厚の2/3以下であるので、エンボス底部から化粧シート裏面までの残りの化粧シートの厚みは、(エンボス深さ最大の部分でも最低限)化粧シート総厚の1/3以上の厚みを確保してある。この結果、化粧シートのエンボスが無い部分とエンボス部分との延伸性とに極端な差が生ぜず、Vカット加工時にシートが伸ばされる時に、エンボス部分への応力集中が軽減される。
【0015】
以上の結果、本発明では、従来の塩化ビニル樹脂製の化粧シートと遜色のないVカット加工適性を、オレフィン系樹脂からなる木目エンボス化粧シートに持たせることができ、白化や亀裂発生がVカット加工時に発生しないことになる。
【0016】
ところで、上述の様な特定形状の木目導管エンボスを形成するには、エンボス版として、例えば、エンボス凸部をその横幅よりも高さを小さくすることで該エンボス凸部の上面に略平坦部を有する形状とした、エンボス版を用いる。また、エンボス凸部をその横幅に対して低め(エンボス深さを浅め)としたり、エンボス凸部をその高さに対して横幅を広めとして、該凸部上に略平坦部を有する形状としたたエンボス版を用いる。そして、この様なエンボス版を用いてエンボスを施しても、化粧シートの総厚の1/3以上のシート厚みは残る様な化粧シート厚設計をすれば良い。
エンボス版により、化粧シート表面となる透明樹脂層に木目導管エンボスを形成するには、例えば平圧プレス機、ロールエンボス機等による従来公知の各種エンボス法によって形成することができる。例えば、特開平6−210808号公報の様に、基材シートに、透明樹脂層となる樹脂を溶融押出しして積層すると同時に、エンボス版で透明樹脂層表面にエンボスを施す、押出同時エンボス法で形成することがてきる。なお、基材シートには予め木目柄印刷インキ層を形成しておく。押出同時エンボス法は、溶融状態で押し出された樹脂の固化前に、エンボス版により透明樹脂層形成と同時にエンボスを施せるので、エンボス形状の再現性が良く、本発明の木目エンボス化粧シートの好ましい製造方法の一つである。しかし、透明樹脂層となる透明樹脂シートを別途作っておき、木目柄印刷インキ層を形成済の基材シートと、ドライラミネーションした後、エンボス加工を行っても良いし(この場合、木目柄印刷インキ層は、基材シート側、透明樹脂シート側のどちらか片方又は両方に形成する形態が可能)、基材シートと、透明樹脂層となる透明樹脂シートとを熱ラミネーションすると同時に、加熱された透明樹脂シート表面にエンボス版を押圧してエンボスを施す、所謂ダブリングエンボス法で形成しても良い。エンボス形成には、例えば平圧プレス機、ロールエンボス機等の従来公知の各種プレス機、エンボス機が使用できる。
【0017】
次に、本発明の木目エンボス化粧シートの層構成について、図4に例示する各種形態の断面図で説明する。
【0018】
図4(A)の木目エンボス化粧シート10は、不透明なオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる基材シート2と、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなり木目導管エンボス1を有する透明樹脂層3とが、木目柄印刷インキ層4を介して、積層した構成のシートである。次に、図4(B)の木目エンボス化粧シート10は、図4(A)の構成に対して、木目柄印刷インキ層4と基材シート2との間に易接着層5を間に設けた構成のシートである。なお、易接着層5は、通常は木目柄印刷インキ層4を印刷する側であるが、いずれもあり得る。更に、図4(C)の木目エンボス化粧シート10は、図4(B)の構成に対して、木目導管エンボス1の凹部内に着色部6を設け、透明樹脂層3の表面全面に保護層7を設けた構成のシートである。
【0019】
なお、各構成において、基材シートは着色又は無色の透明なシートとする形態もあり得る。また前述の如く、木目柄印刷インキ層4の印刷面は、基材シート2側、透明樹脂層3側、或いは両方のいずれもあり得る。
また、各構成では、木目導管エンボス1は、上層の透明樹脂層3内に止まる深さのエンボスとして例示してあるが、下層の基材シート2まで達する深さのエンボスでも良い。下層まで達するエンボスは、2層に積層後のエンボス加工やダブリングエンボス法によって施すことができる。また、押出同時エンボス法でも、透明樹脂層の溶融押出直後の積層前にエンボスするのではなく、溶融押出しして基材シートと積層中または積層後にオンラインでエンボスする場合は可能である。
【0020】
次に、本発明の木目エンボス化粧シートの各層について順次説明する。
【0021】
先ず、基材シート及び透明樹脂層はオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるが、オレフィン系熱可塑性エラストマーはオレフィン系エラストマーとオレフィン系樹脂とからなる複合材料であり、下記の3種類がある。
▲1▼ソフトセグメントとしてのオレフィン系エラストマーとハードセグメントとしてのオレフィン系樹脂との単純ブレンド物、
▲2▼オレフィン系エラストマーとオレフィン系樹脂とを部分的に架橋させて複合化した架橋タイプ、
▲3▼オレフィン系エラストマーを架橋させて、それをオレフィン系樹脂に分散させタイプ、の3種の組成物である。
上記オレフィン系エラストマーとはEPDM等に代表されるエチレン系ゴムが挙げられ、またオレフィン系樹脂とはポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0022】
上記▲2▼のタイプとしては、例えばイ)特公昭53−21021号公報、特公昭53−34210号公報等に記載されているもの、ロ)特公昭56−15741号公報に記載されているもの等が挙げられる。
【0023】
例えば、具体的には上記イ)は60〜80重量部のオレフィン共重合体エラストマーと、40〜20重量部のオレフィン系樹脂、及びその硬化剤を混合し、それらを硬化温度で、素練り中に硬化していないブレンド物の通常の溶剤に不溶にならない程度に部分的に硬化させたものである。
【0024】
上記のオレフィン系共重合体エラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合体し得るポリエンを少なくとも1種を加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体エラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主体とする弾性共重合体が挙げられる。
上記オレフィン系樹脂はエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン等のオレフィンを常法で重合して得られる熱可塑性樹脂であり、高級α−オレフィンで変性したポリエチレン、ポリプロピレン等も含む。
また、上記硬化剤としては、パーオキサイド、アサイド型、アルデヒド−アミン反応生成物、置換ウレア、キサンテート類、ジチオカーバメート類、イミダゾール類、スルファンアミド類、チウラムダイサルファイド類、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄等が挙げられる。
【0025】
そして、部分的に架橋させる為には、上記の配合物を開放型のロールの上で素練りするか、バンバリーミキサー、押出ミキサー、トランスファーミキサー等の内部ミキサー内で温度150〜280℃で1〜20分程度素練りすれば良い。
【0026】
また、上記(ロ)は、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、エチレンブタジエン共重合体ゴム、等のオレフィンを主成分とするペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、プロピレンエチレン共重合体、プロピレン−1−共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等を、高沸点石油留分、パラフィン系、ナフテン系、あるいは芳香族系等の鉱物油系軟化剤とともに、有機ペルオキシドと共に、溶融混練して部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーが得られる。上記製造条件としては、前述のイ)の方法と同様な方法で製造可能である。
【0027】
また、基材シートや透明樹脂層となるオレフィン系熱可塑性エラストマー中には、必要に応じ適宜、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、難燃剤、その他、染料や顔料等の着色剤、発泡剤等の各種添加剤を、必要に応じて添加することができる。添加剤は基材シート、透明樹脂層のいずれか片方又は両方に添加する。また、基材シートの場合は着色剤、充填剤、体質顔料等を適宜加えて、着色不透明なシートとすることができる。
【0028】
良好な耐候性(耐光性)を付与するために、基材シート、透明樹脂層のいずれか片方(通常は表側となる透明樹脂層)又は両方に、紫外線吸収剤や光安定剤を適宜添加できるが、添加する紫外線吸収剤、光安定剤は、いずれか片方でも良いが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.5〜10重量%程度である。これより少ないと、耐候性向上効果が充分に得られず、又これより多いと着色化したり表面にブリードしたりして好ましくない。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系等の有機系の紫外線吸収剤の他、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,2,,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0029】
又、添加する充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の粉末を用いる事ができる。物性調整等の為に必要に応じ適量添加する。
また、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等の粉末、或いは炭酸カルシウム等の無機充填剤を用いることができる。配合量は、目的とする難燃グレードにより適宜調整するが、樹脂分100重量部に対して10〜150重量部程度である。これより少ないと、難燃効果が充分に得られず、又これより多いと、添加した基材シートや透明樹脂層が脆くなり好ましくない。
【0030】
なお、基材シートや透明樹脂層を、細胞状(スポンジ状)発泡体として使用した木目エンボス化粧シートとする場合は、基材シートや透明樹脂層中に発泡剤を添加したものを加熱し、発泡剤を発泡させる。発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N−N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等の熱分解型、又はアクリロニトリル等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン等の熱膨張性気体を封入したマイクロカプセル型を用いる。添加量は樹脂分100重量部に対して通常1〜10重量部である。
【0031】
基材シート及び透明樹脂層の厚さは木目導管エンボスの深さ等の形状及び用途により適宜選択するが、基材シートは通常50〜500μm程度、透明樹脂層の厚さは通常50〜500μm程度である。基材シートは(或いは透明樹脂層も透明樹脂シートとして容易する場合は透明樹脂シートも)、延伸シート、未延伸シートのいづれも使用可能であるが、Vカット加工等の成形適性上は、未延伸シートの方が良好である。
【0032】
次に、木目柄印刷インキ層4は、印刷形成されたインキ層であり木目柄を少なくとも有する層であり、多色刷りによる多層の場合、全面ベタ印刷による層があっても良い。木目柄印刷インキ層を印刷形成する面は、基材シート側、或いは透明樹脂層が透明樹脂シートとして用意する場合は、透明樹脂層側、或いはこれら両方の面と任意である。木目柄印刷インキ層は、グラビア印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷などによって、或いは、別に離型性シート上に一旦木目柄印刷インキ層を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートを用いて転写印刷によって形成するなど、公知の印刷手段によれば良い。
【0033】
木目柄印刷インキ層4を形成する印刷インクとしては、種々のものを用いることができ、結着剤樹脂、着色剤、溶剤、更に必要に応じ、体質顔料、硬化剤、各種添加剤等を適宜添加した組成物を使用できる。結着剤樹脂としては、特に制限はなく、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン等の常温又は熱硬化性樹脂、アクリル系等の電離放射線硬化型樹脂などの通常のものを使用できる。また、着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料が仕様できる。また、体質顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム等を使用できる。
なお、印刷インキは、溶剤系、水系いずれでも良く、またそれぞれの系において、溶解系、分散系のいずれでも良い。
【0034】
基材シートや透明樹脂層(透明樹脂シートとして)に直接印刷する場合は、結着剤樹脂として塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が接着性の点で好ましいが、印刷面に易接着処理を行っても良い。また、易接着処理は、基材シートと透明樹脂層間の接着性を向上させることができる。
【0035】
上記易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、或いは、易接着層の塗布又は印刷による形成がある。
易接着層5としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、なかでも塩素化プロピレンは好ましい樹脂の一つである。なお、易接着層の形成は適宜コロナ処理を施した面に従来公知の塗工法、印刷法で行えば良いが、必要に応じて塗工適性、印刷適性等を考慮して各種の充填剤、添加剤を適宜含有させる。
【0036】
上記アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂等である。なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0037】
ポリウレタン系樹脂とは、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネート化合物を、架橋剤等を硬化剤とした反応生成物である。
上記ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、基本的には、単量体ジオール、トリオール等、及びその分子量に主に寄与するアルキレン繰返し単位の鎖を包含する重合体ジオール、トリオールを含む。典型的な重合体ポリオールは、ヒドロキシ基で停止した上記繰返し単位の直鎖もしくは分岐鎖のいづれかから実質的になり、好ましくは、2,3,4またはそれ以上のヒドロキシ基を有する単量体ポリオールを含む。たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ブテンジオール、シュークロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミン、n−メチルジメタノールアミン、ならびに環式芳香族および脂肪族およびトリオールを含む。さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
【0038】
上記イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物が用いられる。例えば、2,4トリレンジイソシアネート、2,6トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDIと称されるポリフェニルメタンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂肪族、脂環族または芳香族のジ又はトリイソシアネート化合物、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、或いはポリイソシアネート化合物と低分子量グリコールまたはトリオール、例えば、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンと反応させて得られるイソシアネート末端低分子量付加体等が使用できる。
【0039】
本発明の木目エンボス化粧シートは、図4(C)の如く、木目導管エンボス1の凹部内にワイピング法により、着色剤を施して着色部6を設けても良い。ワイピング法としては、ドクターブレードコート法またはナイフコート法にて木目導管エンボスを含む表面全面に着色剤インキを塗布しエンボスの凹部以外の表面から着色剤インキを除去することにより、エンボスの凹部内に着色剤を充填して着色部6を形成する方法がある。着色部6を形成する為の着色剤インキとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の結着剤樹脂と溶剤とからなるビヒクルに有機顔料、無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料、さらに必要に応じてその他添加剤を配合したインキ、或いはエマルション型の水系インキを使用できる。
【0040】
また、図4(C)の木目エンボス化粧シート10に例示の如く、木目導管エンボス1が形成された透明樹脂層3の表面に、さらに表面保護や意匠性付与の為に、透明な保護層7を形成しても良い。なお、木目導管エンボス1の凹部が完全に保護層で充填され化粧シート表面から凹部が消失すると、厚みが均一となり、Vカット加工時の応力集中は起きず、化粧シートが伸ばされても白化や亀裂の発生は起きにくくなるが、同時に木目導管の凹部のリアルな再現が出来なくなる。したがって、保護層7は、木目導管エンボス1による凹部形状を残す程度の薄さとする。
保護層7としては、下層の透明樹脂層と同種又は異種の樹脂フィルムを貼着しても良いが、無色透明又は着色透明の樹脂塗膜を、塗工又は印刷で形成する。保護層7の樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、或いは各種アクリレート、ポリエステル等からなる電離放射線硬化性樹脂等が表面物性等の点から好ましい。厚みは、木目導管エンボスの深さにもよるが通常1〜30μm程度である。
【0041】
ところで、以上の様な本発明の木目エンボス化粧シートは、各種部材の表面に積層し表面化粧する用途に用いることができる。被着体としては、鉄、アルミニウム等の金属板、木材単板、木材合板、木質繊維板等の木質板、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC等のセメント板等の板材、ポリプロピレン、フェノール樹脂等の樹脂製板材、或いこれら各種材料からなる、樹脂成形品等の立体形状物品が挙げられる。中でも、特に本発明の木目エンボス化粧シートでは、Vカット加工適性が向上しているで、Vカット加工用途の木質板等の被着体に対してその真価を発揮するが、その他の材質、形状の被着体でも、Vカット同様に化粧シートが伸ばされる用途にも好適である。
【0042】
なお、木目エンボス化粧シートの被着体への積層方法としては、先ず、▲1▼実公大15−31122号公報、特開昭48−47972号公報に記載されるように、まず化粧シートを板状基材に間に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤層を塗布した上で該溝を折り曲げ箱体又は柱状体を成形する所謂、Vカット又はUカット加工方法がある。
また、積層時に化粧シートが伸ばさるその他の積層方法としては、例えば▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に配置した後、溶融樹脂を型内に射出充填し、樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、成形品等の立体形状物品の表面に化粧シートを、間に接着剤を介して対向又は載置し、立体形状物品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを立体形状物品の表面に積層する、所謂真空プレス積層方法がある。
もちろん、本発明の木目エンボス化粧シートは、積層時に化粧シートが伸ばされない積層方法で使用しても良く、例えば、▲4▼接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲5▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状基材を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法等の積層方法にも適用できる。
【0043】
図5は、本発明の木目エンボス化粧シート10をVカット加工に適用する場合の説明図である。同図(A)では、平板状の被着体30の裏面側がVカット部分31として直角三角形状にカットされており、この被着体30の表側面に、木目導管エンボス1が形成された透明樹脂層3と基材シート2とが木目柄印刷インキ層4を間に介して積層された木目エンボス化粧シート10が、適宜な接着剤による接着剤層20を間に介して積層された状態を示す。そして、同図(B)はVカット部分で90°の折り曲げ加工を行った後の状態を示す。なお、木目エンボス化粧シート10が接着剤層20をその構成要素として有していても良い。
また、図6は、被着体32として、成形品やその他の方法によって立体物とした立体形状物品の表面に本発明の木目エンボス化粧シート10を積層したものである。
【0044】
また、本発明の木目エンボス化粧シートを積層し表面化粧された化粧部材は、壁面、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具類の表面化粧、家具や弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機等の車両内装等の用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の化粧シートを実施例及び比較例で更に具体的に説明する。
【0046】
(実施例1)
先ず、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる厚み80μmの基材シートの片面に、厚さ20μmのポリプロピレン樹脂系の易接着層を積層した積層シートを、基材シートとしてはソフトレックス(日本石油化学工業株式会社製 商品名)を、易接着層としてはアドマー QF 305(三井石油化学工業株式会社製 商品名)を用いて共押出しで製造した。次いで易接着層の上にウレタン系プライマー「AFS」(株式会社昭和インク工業所製 商品名)をグラビアコートした後、更にその上から塩化ビニル系樹脂による柄インク(株式会社昭和インク工業所製 化X)をグラビア印刷して、木目柄印刷インキ層を形成した。
【0047】
次に、上記基材シートの木目柄印刷インキ層形成面に、オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、タフマー XR110T(三井石油化学工業株式会社製商品名)を、Tダイで溶融押出しして樹脂固化前に、上記木目柄印刷インキ層が形成された積層シートと積層すると同時にエンボスする積層同時エンボス方式により、厚み80μmの透明樹脂層を積層すると同時にその表面に木目導管エンボスを施した。木目導管エンボスの形状は、最大の深さで80μm、開口幅は最大深さの所で500μmで、エンボス全体として鋭角部を持たない図1(B)の形状を形成して、実施例1のシート総厚約200μmの木目エンボス化粧シートとした。
【0048】
(実施例2)
木目導管エンボスの形状を、深さ及び開口幅はそのままで、開口形状に鋭角部を有する図1(C)の形状とした以外は、実施例1と同様にして作製して実施例2の木目エンボス化粧シートを得た。
【0049】
(実施例3)
木目導管エンボスの形状を、深さ及び開口幅はそのままで、開口形状に鋭角部があり、側面と底面とが曲面ではなく交線を成して連結する図1(A)の形状とした以外は、実施例1と同様にして作製して実施例3の木目エンボス化粧シートを得た。
【0050】
(実施例4〜6)
実施例1〜3において、基材シートの材料はそのままで、易接着層と透明樹脂層の両材料を下記に変更し、木目導管エンボス形状はそのままとして、実施例1〜3に対応して実施例4〜6の木目エンボス化粧シートを得た。易接着層にはポリプロピレン樹脂系のポリタック「E−100」(出光石油化学工業株式会社製商品名)、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる透明樹脂層には、出光TPO E−2600(出光石油化学工業株式会社製 商品名)を用いた。
【0051】
(比較例1〜3)
実施例1〜3にて、基材シート、易接着層、透明樹脂層の各材料はそのままとして、木目導管エンボスの形状を、最大深さ80μmの所で開口幅70μmのV字形状として、比較例1〜3の各木目エンボス化粧シートを作製した。
【0052】
(性能評価)
上記で得た、各木目エンボス化粧シートについて、Vカットされた合板基材に貼着して90°に折り曲げて低温Vカット加工適性を評価した結果を、表1に示す。表1の如く、木目導管エンボス形状がV字形状の比較例では、白化及び亀裂が発生したが、特定形状とした本発明による実施例1〜6では、白化や亀裂が発生が抑えられ、良好な低温Vカット加工適性を示した。また、図1(A)<図1(C)<図1(B)の順に、白化や亀裂発生が少なくなりVカット加工適性は縒り優れたものとなった。
【0053】
【表1】
Figure 0003776547
【0054】
【発明の効果】
本発明の木目エンボス化粧シートによれば、シート素材にオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いても、特に低温でのVカット加工時にもエンボス部で亀裂発生や白化が発生することを防ぐことができ、優れた低温Vカット加工適性が得られる。さらに、このVカット加工適性は、木目導管エンボス形状全体として鋭角の部分が無い形状とすることで、より優れたものとなる。
以上の結果、従来の塩化ビニル樹脂製の化粧シートと遜色のないVカット加工適性を、オレフィン系樹脂からなる木目エンボス化粧シートにも持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木目エンボス化粧シートの木目導管エンボスの形状例を説明する斜視図。
【図2】本発明による木目導管エンボスの横断面形状(尖点有り)の説明図。
【図3】本発明による木目導管エンボスの横断面形状(尖点無し)の説明図。
【図4】本発明の木目エンボス化粧シートの各種形態を示す断面図。
【図5】本発明の木目エンボス化粧シートをVカット加工に適用する説明図。
【図6】本発明の木目エンボス化粧シートを被着体として立体形状物品に適用した断面図。
【符号の説明】
1 木目導管エンボス
2 基材シート
3 透明樹脂層
4 木目柄印刷インキ層
5 易接着層
6 着色部
7 保護層
10 木目エンボス化粧シート
20 接着剤層
30 被着体(平板)
31 Vカット部分
32 被着体(立体形状物品)
A 鋭角部分
I 交線
B 底面
S 側面

Claims (1)

  1. オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる基材シート上に、木目柄印刷インキ層を介して、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる透明樹脂層が積層され、該透明樹脂層表面に木目導管エンボスが施された、木目エンボス化粧シートにおいて、
    木目導管エンボスの横断面形状における底部が、深さ一定又は略一定の平坦部を有し、且つ一つの木目導管エンボス内で少なくとも最大深さを与える部分で、木目導管エンボスの深さが、化粧シートの総厚の1/10より深く2/3より浅く且つ導管の開口幅より小さいことを満足し、且つ、木目導管エンボスが、エンボス形状全体として鋭角の部分が無い形状をしている、木目エンボス化粧シート。
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