JP3775031B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御方法及びバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御方法及びバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて内燃機関の吸気側バルブあるいは排気側バルブの開閉タイミングを変更する内燃機関のバルブタイミング制御装置及びバルブタイミング制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの運転状態に応じて吸気側バルブや排気側バルブのバルブタイミング(開閉タイミング)を変更し、エンジンの動力特性をその運転状態に対して最適な特性に制御するバルブタイミング制御装置が実用化されている。この種のバルブタイミング制御装置は、その回転がエンジンの基準回転位相となるクランクシャフトに対する吸気側あるいは排気側カムシャフトの相対位相を変化させるものである。
【0003】
例えば、図13及び図14は、特開平9−60508号公報にて開示された内燃機関用バルブタイミング制御装置を示している。バルブタイミング制御装置120は、カムシャフト121の端部に一体回転可能に固定されたベーンロータ122と、同ベーンロータ122に対して相対回動可能に支持されたベーンロータ収容体123とを備えている。ベーンロータ収容体123は、図示しないタイミングチェーンによりエンジンの基準回転位相となるクランクシャフトの回転に同期して回転駆動される。ベーンロータ122はベーンロータ収容体123に対して所定の相対位相を保った状態で回転駆動される。この相対位相を変更することにより、クランクシャフトの回転基準位相に対するバルブの開閉タイミングの位相が調整される。
【0004】
ベーンロータ収容体123は、タイミングチェーンを介してクランク軸に連結されたチェーンスプロケット124、ベーン室125を形成するシューハウジング126、及び、ベーン室125を閉塞するフロントプレート127にて形成されている。ベーンロータ収容体123には、2個のベーン室125が形成され、各ベーン室125内に収容されたベーンロータ122のベーン128によりベーン室125が遅角室129と進角室130とに区画されている。そして、ベーンロータ収容体123が回転駆動されると、遅角室129及び進角室130に充満されている作動油を介してベーンロータ122が回転駆動され、カムシャフト121がクランクシャフトと同期して回転駆動される。
【0005】
遅角室129と進角室130とに対して共に同じ油圧が供給されている状態では、ベーンロータ122とベーンロータ収容体123との相対回動が遅角室129と進角室130の油圧の均衡により規制される。この状態では、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が変更されず、バルブの開閉タイミングがそのときのままで保持される。
【0006】
一方、遅角室129に作動油が供給されるとともに進角室130から作動油が排出されると、ベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して遅角側に相対回動する。すると、クランクシャフトに対するカムシャフト121の回転位相が遅れるように相対回動され、バルブの開閉タイミングが相対的に遅角側に変更される。この場合には、ベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して最も遅角側に相対回動した最遅角位置にあるときが、最遅角タイミングとなる。
【0007】
反対に、進角室130に作動油が供給されるとともに遅角室129から作動油が排出されると、ベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して進角側に相対回動する。すると、クランクシャフトに対するカムシャフト121の回転位相が進むように相対回動され、バルブの開閉タイミングが相対的に進角側に変更される。この場合には、ベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して最も進角側に相対回動した最進角位置にあるときが、最進角タイミングとなる。
【0008】
各遅角室129及び進角室130には、エンジン側から作動油が給排されるようになっている。シリンダブロック131には、各遅角室129に対して作動油を給排するための遅角側油路132と、各進角室130に対して作動油を給排するための進角側油路133が設けられている。この各油路132,133は、電磁方向制御弁134を介してオイルポンプ135及びオイルタンク136に接続されている。
【0009】
この電磁方向制御弁134は、遅角側油路132にオイルポンプ135の吐出側を連通するとともに進角側油路133をオイルタンク136に連通する遅角側制御位置と、反対に、遅角側油路132をオイルタンク136に連通するとともに進角側油路133にオイルポンプ135の吐出側を連通する進角側制御位置とに切り換え配置されるスプールを備えている。そして、スプールが遅角側制御位置に配置されると、遅角室129に作動油が供給されるとともに進角室130から作動油が排出されベーンロータ収容体123に対するベーンロータ122の相対位相が遅角側に変更される。反対に、スプールが進角側制御位置に配置されると、進角室130に作動油が供給されるとともに遅角室129から作動油が排出されベーンロータ収容体123に対するベーンロータ122の相対位相が進角側に変更される。
【0010】
電磁方向制御弁134は、スプールを遅角側制御位置に付勢保持するリターンスプリング137と、同リターンスプリング137の付勢力に抗してスプールを遅角側制御位置から進角側制御位置に移動させる電磁ソレノイド138とを備えている。従って、イグニッションスイッチがオフとされエンジン電子制御装置と共にエンジンの運転が停止されると、スプールは遅角側制御位置に配置される。すると、進角側油路133はオイルタンク136に接続された状態となり、遅角側油路132はオイルポンプ135に接続された状態となる。又、エンジンの運転が停止されると、オイルポンプ135の運転が停止して電磁方向制御弁134に油圧が供給されなくなる。従って、エンジンが停止されると、各遅角室129に供給されていた油圧が抜けるとともに各進角室130に供給されていた油圧が抜ける。
【0011】
ところで、エンジンはイグニッションスイッチがオフとされ運転が停止されても惰性でしばらく回転する。このとき、カムシャフトを回転駆動するために必要な回転トルクが反力としてベーンロータ122に作用する。一方、各遅角室129及び進角室130には所定の油圧が供給されなくなるため、ベーンロータ122とベーンロータ収容体123との相対回動が規制されなくなっている。その結果、惰性によりクランクシャフトが回転する間に、ベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して相対回動して最遅角位置側に移動配置される。
【0012】
又、エンジンが一旦停止された状態から始動されるときには、オイルポンプ135から電磁方向制御弁134に供給される油圧が所定の油圧が達していない。このため、ベーンロータ122とベーンロータ収容体123とは、遅角室129と進角室130の油圧の均衡によって相対回動が規制されていない状態にある。この状態でクランキングによりベーンロータ収容体123が回転駆動されると、カムシャフトを回転駆動する反力により、ベーンロータ122が最遅角位置側に移動するように付勢される。
【0013】
ところで、クランキング時においてカムシャフトを1回転させるとき、そのために必要な回転トルクの大きさが負となる領域がある。このため、クランキング中にベーンロータ122が最遅角位置で保持されず、最遅角位置とやや進角側の位置との間を繰り返し往復移動して各ベーン128が進角室129の側壁に繰り返し衝突することが知られている。
【0014】
このような状態を防止するため、バルブタイミング制御装置120には、エンジン始動時にのみベーンロータ122を最遅角位置で保持するためのロックピン139が設けられている。このロックピン139はベーンロータ122の1つのベーン128に設けられている。一方、フロントプレート127には、ベーンロータ122が最遅角位置に配置されたときロックピン139が係合可能な係合穴140が設けられている。このロックピン139は圧縮コイルばね141にてフロントプレート127側に付勢されており、ベーンロータ122が最遅角位置に配置されたとき係合穴140に係合するようになっている。
【0015】
又、ロックピン139には遅角室129あるいは進角室130に供給される油圧が同ロックピン139をチェーンスプロケット124側に付勢するように印加されている。そして、エンジンが運転中であるときには遅角室129あるいは進角室130に供給される油圧による付勢力が圧縮コイルばね141の付勢力を上回ることにより、ロックピン139が係合穴140に係合しないベーンロータ122側の位置で保持されるようになっている。従って、エンジンが運転中であるときには、ベーンロータ122が最遅角位置に調整されても、ベーンロータ122が最遅角位置に固定されないようになっている。
【0016】
そして、エンジン停止時に惰性でベーンロータ収容体123が回転駆動される間にベーンロータ122が最遅角位置に移動配置されると、ロックピン139が係合穴140に係合する。その結果、ベーンロータ122が最遅角位置に配置された状態でベーンロータ収容体123に対して相対回動不能に連結固定され、バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングに固定される。この状態でエンジン始動のためにクランキングが行われると、ベーンロータ122が連結固定されたままでベーンロータ収容体123が回転駆動される。そして、エンジンが始動し遅角室129あるいは進角室130に所定の油圧が供給されると、ロックピン139による連結が解除され、遅角室129及び進角室130への作動油の給排に基づくベーンロータ122とベーンロータ収容体123との相対回動が可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように、エンジンが停止されるとオイルポンプ135から遅角室129及び進角室130に所定の油圧で作動油が供給されなくなり、惰性回転によりベーンロータ122が最遅角位置側に移動配置される。このとき、進角室130はオイルタンク136に接続されているため作動油が小さい排出抵抗で排出される。しかし、遅角室129はオイルポンプ135に接続されているため油圧が閉じ込められた状態となる。その結果、カムシャフト121が受ける反力によりベーンロータ122が最遅角位置側に移動するように付勢されると、遅角室129に背圧が作用する状態となり、ベーンロータ122が最遅角位置側に容易に移動しない状態となる。従って、エンジン停止時の惰性回転の間にベーンロータ122を最遅角位置まで確実に移動させることができず、ベーンロータ122を最遅角位置でロックピン139により固定することができない場合があった。
【0018】
しかも、エンジン停止時にベーンロータ122が最遅角位置まで移動したとしても、遅角室129に抜けない状態で残っている油圧によりロックピン139が係合穴140に係合しにくい状態となっていため、ベーンロータ122を確実に固定することができなかった。
【0019】
もし、ベーンロータが最遅角位置まで移動していない状態でエンジンを始動すると、クランキング時にカムシャフトが受ける反力によりベーンロータ122がベーンロータ収容体123に対して相対回動して最遅角位置まで移動する。ところが、前述のようにカムシャフトが受ける反力はその方向が反転する状態で変動しているため、ベーンロータ122は最遅角位置に止まることなく再び進角側に移動する。さらに、反力の方向が反転する毎に、ベーンロータ122は遅角側に移動して最遅角位置まで達した後、進角側の位置まで戻る動作を繰り返すようになる。このとき、ベーンロータ122は速い速度で移動するため、ベーンロータ122が最遅角位置に移動してもロックピン139が係合穴140に係合する動作が間に合わない状態となる。従って、エンジンの始動時にベーンロータ122を最遅角位置に確実に固定することは困難である。
【0020】
以上のように、内燃機関の始動時のバルブの開閉タイミングを確実に最遅角タイミングとして、始動時における高い始動性を確実に確保することができなかった。
【0021】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関停止時の惰性回転を利用して内燃機関再始動時のバルブの開閉タイミングを確実に遅角側の所定開閉タイミングとすることができる内燃機関のバルブタイミング制御方法及びバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、内燃機関のクランクシャフトに駆動連結された第1回転体と、バルブを開閉駆動するカムシャフトに駆動連結され、前記第1回転体に対して同一回転軸で相対回動可能に設けられた第2回転体と、前記第1回転体あるいは第2回転体の一方に設けられたベーン室と、前記第1回転体あるいは第2回転体の他方に設けられ、前記ベーン室を遅角室と進角室とに区画するベーンとを備えたバルブタイミング調整手段に対して、内燃機関により駆動されるオイルポンプの吐出側を前記遅角室あるいは進角室の一方に連通するとともに、両室の他方をオイル回収手段に連通することにより、前記第1回転体を第2回転体に対して相対回動させ、前記カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を変更する内燃機関のバルブタイミング制御方法において、内燃機関が停止されるときには、前記遅角室及び進角室を共に前記オイル回収手段に連通させる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトに駆動連結された第1回転体と、バルブを開閉駆動するカムシャフトに駆動連結され、前記第1回転体に対して同一回転軸で相対回動可能に設けられた第2回転体と、前記第1回転体あるいは第2回転体の一方に設けられたベーン室と、前記第1回転体あるいは第2回転体の他方に設けられ、前記ベーン室を遅角室と進角室とに区画するベーンとを備えたバルブタイミング調整手段と、前記遅角室及び進角室に連通されるとともにオイルポンプの吐出側及びオイル回収手段に連通され、前記遅角室を前記オイルポンプの吐出側に連通するとともに前記進角室を前記オイル回収手段に連通する第1制御状態と、前記遅角室を前記オイル回収手段に連通するとともに前記進角室を前記オイルポンプの吐出側に連通する第2制御状態とに切り換え可能な第1給排制御手段と、内燃機関の運転状態に基づき、前記第1給排制御手段を前記第1制御状態あるいは第2制御状態に制御して、前記第1回転体と前記第2回転体との相対位相を前記運転状態に応じて予め設定された相対位相に制御するバルブタイミング制御手段と、前記オイルポンプの吐出側と該吐出側と連通される前記第1給排制御手段の導入側との間に設けられ、該導入側を前記オイル回収手段に連通する第3制御状態と、前記吐出側と該導入側とを連通する第4制御状態とに切り換え可能な第2給排制御手段と、内燃機関が運転されているときには、前記第2給排制御手段を第4制御状態とし、内燃機関転されていないときには、第2給排制御手段を第3制御状態とする給排状態制御手段とを備えた。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、内燃機関が運転されていないときには、前記第1回転体が遅角側の所定位置にあるとき該第1回転体と第2回転体とを相対回動不能に連結し、内燃機関が運転されたときには、前記第1回転体が前記所定位置に移動しても該第1回転体と第2回転体とを相対回動不能に連結しない連結手段を備えた。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記連結手段は、前記遅角室あるいは進角室に供給される作動油の油圧が所定の油圧未満のときには前記第1回転体と第2回転体とを連結し、前記所定の油圧以上であるときに該油圧に基づき該第1回転体と第2回転体とを連結しないように構成され、前記給排状態制御手段は、内燃機関が始動された後、前記オイルポンプから第2給排制御手段に供給される油圧が、前記カムシャフトが受ける反力に抗して前記第1回転体を第2回転体に対して進角側に相対回動させることができる油圧以上の油圧となったときに第3制御状態から第4制御状態に切り換えるように構成され、前記連結手段は、前記給排状態制御手段が第3制御状態から第4状態に切り換わるときの油圧未満の大きさの油圧に基づき第1回転体と第2回転体とを連結するように設定された。
【0026】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関が運転されている状態では、オイルポンプから遅角室あるいは進角室の一方に供給されるとともに両室の他方からオイル回収手段に排出される。すると、第1回転体と第2回転体との相対位相が変更され、カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相が変更されて、バルブの開閉タイミングがクランクシャフトの回転に対して遅角側あるいは進角側に変更される。一方、内燃機関が停止されるときには、遅角室及び進角室から共にオイル回収手段に作動油が排出される。従って、内燃機関の運転が停止され惰性で回転する間に、カムシャフトが受ける反力により第1回転体が第2回転体に対して容易に遅角側に相対回動し、機械的に相対回動が規制される遅角側の所定位置に配置される。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、内燃機関が運転されている状態では、オイルポンプから供給される作動油が第2給排制御手段を介して第1給排制御手段に供給され、第1給排制御手段からバルブタイミング調整機構の遅角室あるいは進角室に供給される。その結果、第1回転体と第2回転体との相対位相が変更され、クランクシャフトの回転に対するバルブの開閉タイミングが遅角側あるいは進角側に変更される。一方、内燃機関の運転が停止されると、オイルポンプから第2給排制御手段に供給される作動油がそのままオイル回収手段に戻されるとともに第2給排制御手段を介してオイルポンプの吐出側と連通される第1給排制御手段の導入側がオイル回収手段と連通される。その結果、バルブタイミング制御手段の遅角室と進角室が共にオイル回収手段に連通される。従って、内燃機関の運転が停止され惰性で回転する間に、カムシャフトが受ける反力により第1回転体が第2回転体に対して遅角側に容易に相対回動し、機械的に相対回動が規制される遅角側の所定位置に配置される。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加えて、内燃機関の運転が停止されるときに第1回転体が遅角側の所定の位置に配置されると、連結手段により第2回転体に対して相対回動不能に固定される。一方、内燃機関が運転されたときには、第1回転体と第2回転体との相対回動が規制されない。従って、内燃機関が始動されるときに、内燃機関が運転されるまでの間はクランキングによりカムシャフトが受ける方向が反転する反力により第1回転体と第2回転体とが相対回動することが規制される。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加えて、内燃機関の運転が開始されても、第1回転体と第2回転体との相対回動が許容された場合にカムシャフトが受ける反力により第1回転体が第2回転体に対して揺動する可能性がある状態では、第1回転体と第2回転体との相対回動が連結手段にて禁止される。そして、油圧が所定の油圧以上となりバルブタイミング調整機構の遅角室あるいは進角室に作動油が供給されると、第1回転体と第2回転体との連結状態が解除される。それとともに、カムシャフトが受ける反力に抗して第1回転体が第2回転体に対して進角側に相対回動されるか、あるいは、遅角側の所定位置に保持される。従って、第1回転体と第2回転体との連結状態が解除されるときには、第1回転体がカムシャフトが受ける反力に拘らず遅角室あるいは進角室に供給されている油圧にて制御される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図10に従って説明する。
図2は、弁駆動方式がDOHC(Double Over Head Camshaft )で弁数が吸気側2バルブ排気側2バルブである4気筒エンジン(内燃機関)の吸気側カムシャフト11及び排気側カムシャフト12を示す摸式平面図である。排気側カムシャフト12の一端にはカムプーリ13が固定され、カムプーリ13には駆動軸としての図示しないクランクシャフトの一端に固定されているクランクプーリに掛装されたタイミングベルト14が掛装されている。排気側カムシャフト12には、各気筒に対応する位置にそれぞれ排気側カム15が設けられている。排気側カムシャフト12の他端には、ドライブギア16が固定されている。
【0031】
カムシャフトとしての吸気側カムシャフト11において、前記ドライブギア16側と対応する端部には、バルブタイミング調整機構17が設けられている。バルブタイミング調整機構17は、ドライブギア16にて回転駆動されるようになっている。吸気側カムシャフト11には、各気筒に対応する位置にそれぞれバルブとしての吸気側カム18が設けられている。
【0032】
図4は、バルブタイミング調整機構17を示す吸気側カムシャフト11の中心軸を含む断面図であって、図5におけるB−B線断面図である。吸気側カムシャフト11のジャーナル19は、シリンダヘッド20とベアリングキャップ21により回転可能に支持されている。吸気側カムシャフト11の端部にはジャーナル19より大径の拡径部22が設けられ、拡径部22の端面には小径の突出部23が設けられている。吸気側カムシャフト11には、その中心軸方向に貫通する貫通孔24が設けられ、貫通孔24の端部には雌ねじ部25が設けられている。バルブタイミング調整機構17は、拡径部22から外側に設けられている。
【0033】
バルブタイミング調整機構17は、ドリブンギア26、第1回転体としてのロータハウジング27、第2回転体としてのベーンロータ28、カバー29等を備えている。
【0034】
ドリブンギア26は円環状に形成され、拡径部22に対して相対回動可能に嵌合されている。ドリブンギア26には、前記ドライブギア16が歯合されている。ドリブンギア26の外側端面には、ロータハウジング27が連結ボルト38にて連結固定されている。図5は、図4におけるA−A線断面である。ロータハウジング27は、クランクシャフトにより、図5において時計方向にエンジンの基準回転位相に同期して回転駆動されるようになっている。
【0035】
図5に示すように、ロータハウジング27は、その中心部に円柱状の空間部30を備えるとともに該空間部30から外周側に拡開する略扇形状のベーン室31が複数個等角度間隔に備えている。ロータハウジング27の空間部30及び各ベーン室31には、前記ベーンロータ28が収容されている。
【0036】
ベーンロータ28は、円柱状の軸部32を備え、該軸部32の外周面には外周側に拡開する略扇形状のベーン33が複数個等角度間隔で設けられている。軸部32は空間部30に対して相対回動可能に嵌挿され、各ベーン33はそれぞれベーン室31内に収容されている。
【0037】
図4に示すように、軸部32の端面には嵌合穴34が設けられ、該嵌合穴34は前記突出部23に外嵌されている。軸部32は、吸気側カムシャフト11の拡径部22の端面から突出する図示しないノックピンにて同カムシャフト11に対して相対回動不能とされている。
【0038】
嵌合穴34の開口端には段差部35が形成され、この段差部35の側面と、突出部23の外周面と、拡径部22の端面とにより、円環状の油路36が形成されている。軸部32の中心には雌ねじ孔25よりやや大径に形成され、軸部32を貫通して雌ねじ孔25に連通する中心孔37が設けられている。
【0039】
図4に示すように、ロータハウジング27の端面には、前記カバー29が相対回動可能に外嵌されている。カバー29の内側面は前記ベーンロータ28の端面に当接されている。カバー29の中央部には前記中心孔37よりも大径に形成され、該中心孔37に連通された取付用孔44が設けられている。取付用孔44からは、吸気側カムシャフト11、ベーンロータ28及びカバー29をスラスト方向に固定するボルト45が、軸部32の中心孔37を挿通して吸気側カムシャフト11の雌ねじ孔25に螺合されている。従って、吸気側カムシャフト11に対して、ベーンロータ28及びカバー29が一体回動可能に連結固定されている。そして、吸気側カムシャフト11の拡径部22、ドリブンギア26、ロータハウジング27及びカバー29により、ロータハウジング27の各ベーン室31が閉塞されている
図5及び図6に示すように、各ベーン室31は、ベーン33にて遅角室46と進角室47とに区画されている。本実施の形態では、各ベーン室31において、ベーン33に対してロータハウジング27の回転方向と同方向側に遅角室46が形成され、同じくその反対方向側に進角室47が形成されている。
【0040】
そして、各ベーン33が遅角室46側から進角室47側に移動配置されるように、ロータハウジング27とベーンロータ28とが相対回動すると、吸気側カム18にて開閉される吸気側バルブの開閉タイミングがより遅角側に調整されるように吸気側カムシャフト11のクランクシャフトに対する相対位相が変更される。そして、図5に示すように、各ベーン33が進角室47に移動して1つのベーン33が同進角室47の側壁に当接してベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が規制される最遅角位置となったとき、吸気側バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングに調整される。
【0041】
反対に、各ベーン33が進角室47側から遅角室46側に移動配置されるように、ロータハウジング27とベーンロータ28とが相対回動すると、吸気側バルブの開閉タイミングがより進角側に調整されるように吸気側カムシャフト11のクランクシャフトに対する相対位相が変更される。そして、図6に示すように、各ベーン33が遅角室46に移動して同遅角室46の側壁に当接してベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が規制される最進角位置となったとき、吸気側バルブの開閉タイミングが最進角タイミングに調整される。
【0042】
バルブタイミング調整機構17の遅角室46及び進角室47に対しては、エンジン側から吸気側カムシャフト11を介して作動油が給排されるように構成されている。以下、各遅角室46及び進角室47に対して作動油の給排を行うために設けられた油路の構成を説明する。
【0043】
図4に示すように、エンジンのシリンダヘッド20には、各遅角室46に対して作動油を給排するための遅角側ヘッド油路64と、各進角室47に対して作動油の給排を行うための進角側ヘッド油路65が設けられている。
【0044】
シリンダヘッド20及びベアリングキャップ21にて形成されるジャーナル軸受の内周面には、遅角側ヘッド油路64が連通された環状油溝66と、進角側ヘッド油路65が連通された環状油溝67とが設けられている。環状油溝66は、前記吸気側カムシャフト11の中心軸線上に形成された油路69と同カムシャフト11に形成された油路70を介して連通されている。前記油路69は、前記吸気側カムシャフト11に形成された貫通孔24内において前記ボルト45及び球68にて形成されている。又、前記拡径部22の外周面には周方向に延びる環状油溝71が設けられ、該環状油溝71には前記油路69と連通する油孔72が形成されている。又、ドリブンギア26の内部には、図7及び図8に示すように、環状油溝71を各遅角室46に連通する遅角側給排油路73が設けられている。従って、各遅角室46は、油路73、環状油溝71、油路72、油路69、油路70及び環状油溝66を介して遅角側ヘッド油路64に連通されている。
【0045】
一方、吸気側カムシャフト11の拡径部22側には、図4に示すように、環状油溝67を前記油路36に連通する油路74が設けられている。又、ベーンロータ28のドリブンギア26側の端面には、前記油路36を各進角室47に連通する進角側給排油溝75がそれぞれ設けられている。従って、各進角室47は、進角側給排油溝75、油路36、油路74及び環状油溝67を介して進角側ヘッド油路65に連通されている。
【0046】
図4及び図5に示すように、前記ベーン33の1つには、最遅角位置に配置されたベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動を規制するためのロックピン48が設けられている。ロックピン48が設けられたベーン33には、図7に示すように、中心軸方向に延びる断面円形状の保持孔49が設けられている。保持孔49は、カバー29側の大径部50と、ドリブンギア26側の小径部51とを備えている。保持孔49には、回転体形状のロックピン48が中心軸方向に移動可能に保持されている。ロックピン48は、小径部51に摺接する軸部52と、大径部50に摺接する拡径部53とを備えている。ロックピン48は中心軸方向の長さが保持孔49の同長さよりもやや短く形成され、拡径部53は同長さが大径部50の同長さよりも小さく形成されている。そして、大径部50の内周面と、軸部52の外周面との間には、円環状の油室54が形成されている。油室54は、ベーンロータ28に形成された油路55を介して前記油路36と連通されている。
【0047】
ロックピン48には、大径部50の端面から中心軸方向に延びるばね穴56が設けられ、該ばね穴56にはカバー29の内側面に当接してロックピン48をドリブンギア26側に付勢する圧縮コイルばね57が保持されている。ばね穴56の内周面、大径部50の内周面、及び、カバー29の内側面により、ロックピン48の大径部50の端面側に背圧室58が形成されている。
【0048】
一方、ドリブンギア26のベーン室31を形成する側面には、ベーンロータ28が最遅角位置となったときにロックピン48が相対する位置に係合穴59が設けられている。係合穴59は、図8に示すように、ロックピン48のドリブンギア26側への移動を許容して小径部51が係合するように形成されている。図9及び図10に示すように、係合穴59には、遅角室46に連通された油溝60が連通されている。本実施の形態では、ロックピン48、保持孔49、圧縮コイルばね57及び係合穴59にて連結手段が構成されている。
【0049】
ロックピン48は、図7に示すように、大径部50側の端面がカバー29の内側面に当接し小径部51側の端部がベーンロータ28のドリブンギア26側の端面から突出しない退避位置と、図8に示すように、大径部50側の端面がカバー29の内側面から離れて小径部51側の端面が係合穴59の底面に当接する係合位置との間で切り換え可能に設けられている。そして、ロックピン48は、係合穴59即ち遅角室46に供給された油圧が所定値以上、あるいは、前記油室54即ち進角室47に供給された油圧が所定値以上のとき、圧縮コイルばね57の付勢力に抗して退避位置に配置されるようになっている。
【0050】
ロックピン48の背圧室58は、外部に連通されている。図5及び図6に示すように、ベーンロータ28の軸部32には、カバー29側の端面に、中心軸を中心とする環状溝61が設けられている。又、ベーン33の同端面には、環状溝61と前記保持孔49とを連通する連通溝62が設けられている。この連通溝62は、図8に示すように、前記ロックピン48が圧縮コイルばね57の付勢力によりカバー29の内側面から離れたとき背圧室58を環状溝61に連通するように形成されている。又、カバー29には、図4に示すように、環状溝61に連通する空気孔63が設けられている。従って、背圧室58は、連通溝62、環状溝61及び空気孔63を介して外気に連通可能になっている。
【0051】
前記遅角側ヘッド油路64及び進角側ヘッド油路65は、図1に示すように、電磁比例方向流量制御弁である第1給排制御手段としてのOCV(Oil Control Valve )76にそれぞれ接続されている。OCV76は、第1ポートA、第2ポートB、第3ポートR1、第4ポートR2及び第5ポートPを備えている。第1ポートAは進角側ヘッド油路65と連通され、第2ポートBは遅角側ヘッド油路64と連通されている。又、第3ポートR1及び第4ポートR2はオイル回収手段としてのオイルパン77に連通され、第5ポートPは、第2給排制御手段としての電磁方向制御弁78と連通されている。
【0052】
本実施の形態ではOCV76はスプール型であって、前記各ポートが形成されたケーシング79の内部に第1弁体としてのスプール80が収容されている。OCV76は、スプール80の移動により、図1に示すように、第1ポートAと第3ポートR1とを連通するとともに第2ポートBと第5ポートPとを連通する第1制御状態としての第1制御位置と、図3に示すように、第1ポートAと第5ポートPとを連通するとともに第2ポートBと第4ポートR2とを連通する第2制御状態としての第2制御位置との間で切り換え可能に形成されている。又、スプール80は、第1制御位置と第2制御位置との間において、全てのポートA,B,P,R1,R2間を連通しない中立位置に配置可能に設けられている。
【0053】
ケーシング79内には、スプール80を第1制御位置側に付勢する第1ばね部材としての圧縮コイルばね81と、第1制御位置に付勢配置されているスプール80を該圧縮コイルばね81の付勢力に抗して第1制御位置から第2制御位置に切り換え配置する第1単動型電磁ソレノイドとしての電磁ソレノイド82とが設けられている。
【0054】
電磁方向制御弁78は、図1に示すように、第1ポートC、第2ポートD及び第3ポートEを備えている。第1ポートCは、前記OCV76の第5ポートPと連通されている。第2ポートDは、フィルタ83を介してオイルポンプ84の吐出側と連通され、第3ポートEは、オイルパン77と連通されている。
【0055】
本実施の形態では、電磁方向制御弁78はスプール型であって、図示しない第2弁体としてのスプールを備えている。電磁方向制御弁78は、スプールの移動により、第1ポートC及び第2ポートDを共に第3ポートEに連通する第3制御状態としての第3制御位置と、第1ポートCと第2ポートDとを連通するとともに第3ポートEを遮断する第4制御状態としての第4制御位置(図1に示す状態)とに切り換え可能に形成されている。
【0056】
電磁方向制御弁78は、スプールを第3制御位置に付勢する第2ばね部材としての圧縮コイルばね85を備えるとともに、第3制御位置に付勢配置されているスプールを該圧縮コイルばね85の付勢力に抗して第3制御位置から第4制御位置に移動配置する第2単動型電磁ソレノイドとしての電磁ソレノイド86を備えている。
OCV76の電磁ソレノイド82と電磁方向制御弁78の電磁ソレノイド86は、バルブタイミング制御手段及び給排状態制御手段としてのエンジン電子制御装置( Engine Electronic Control Unit 、以下、ECU)87の出力側に電気的に接続されている。
【0057】
ECU87の入力側には、イグニッションスイッチ88、エンジンの回転数を検出する回転数センサ89、吸気圧を検出する吸気圧センサ90、クランク角を検出するクランク角センサ91、及び、吸気側カムシャフト11のカム角を検出するカム角センサ92がそれぞれ電気的に接続されている。
【0058】
ECU87は、イグニッションスイッチ88がオンとされると起動し、エンジンが運転されたか否かを判断する。そして、ECU87は、エンジンが運転されてから所定の待機時間だけ経過するとオイルポンプ84からOCV76に所定の油圧が供給されている状態になったと判断し、OCV76を第3制御位置から第4制御位置に切り換えてその状態を保持する。この所定の油圧は、吸気側カムシャフト11が受ける反力に抗してベーンロータ28をロータハウジング27に対して進角側に相対回動させることができる大きさの油圧である。そして、前記ロックピン48が係合位置に配置されるときの油圧は、ECU87がOCV76を第3制御位置から第4制御位置に切り換えるときの油圧よりも小さい油圧となるように前記圧縮コイルばね57のばね定数、油室54及び係合穴59の受圧面積が設定されている。ECU87は、イグニッションスイッチ87がオフとされると非作動状態となる。
【0059】
又、ECU87は、エンジンが運転されている間は、エンジンの回転数、吸気圧及び吸気側カムシャフト11の回転位相に基づいてエンジンの運転状態を判断し、その運転状態に対する目標開閉タイミングに対応した吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとの目標相対位相を求める。そして、ECU87は、そのときの実際の相対位相と目標相対位相との偏差を求め、同偏差が所定値以下となるようにバルブタイミング調整機構17を制御すべくOCV76をデューティ制御する。
【0060】
次に、上記のように構成されたバルブタイミング制御装置の作用について説明する。
エンジン始動のためにイグニッションスイッチ88がオンされると、クランキングによりクランクシャフトが回転駆動されてロータハウジング27が回転駆動される。このとき、ベーンロータ28は、吸気側カムシャフト1から受ける反力により最遅角位置側に相対回動するように付勢された状態で回転する。クランキングにて回転駆動されるオイルポンプ84からは、電磁方向制御弁78側に作動油が供給される。このとき、オイルポンプ84から供給される作動油の油圧はベーンロータ28を相対回動させる所定の油圧まで達していないが、電磁方向制御弁78は第3制御位置のままであるためそのままオイルパン77に戻される。
【0061】
エンジンが始動した時点から所定の待機時間が経過するまでには、オイルポンプ84から電磁方向制御弁78側に供給される油圧がベーンロータ28を吸気側カムシャフト11が受ける反力に抗して進角側に相対回動させることができる所定の油圧に達する。このとき、ECU87は、電磁方向制御弁78を第3制御位置から第4制御位置に切り換え制御する。その結果、OCV76の第5ポートPには、最初からベーンロータ28を相対回動させることができる大きさの油圧が供給される。
【0062】
こうしてOCV93に所定の大きさの油圧が供給された状態で、ECU87が、吸気側バルブの開閉タイミングを遅角側あるいは進角側に変更するためにOCV79を中立位置から第1制御位置側あるいは第2制御位置側にデューティ制御すると、油室54あるいは係合穴59に供給される油圧によりロックピン48が係合位置から退避位置に切り換え配置される。すると、ベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が許容され、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとの相対位相を調整することが可能となる。このとき、OCV76から遅角側ヘッド油路64あるいは進角側ヘッド油路65には供給される油圧は、吸気側カムシャフト11が受ける反力に抗してベーンロータ28を進角側に相対回動させることができる大きさの油圧である。その結果、ロックピン48が係合位置から退避位置に移動してベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が許容されると、ベーンロータ28が吸気側カムシャフト11が受ける反力に拘らず進角側に相対回動されるか、あるいは、最遅角位置で保持される。
【0063】
エンジンが始動して運転されている状態で、ECU87が、吸気側バルブの開閉タイミングをより遅角側に調整するためにOCV76の制御位置を中立位置よりも第2制御位置側に所定時間デューティ制御すると、電磁方向制御弁78を介してオイルポンプ84から供給される作動油が各遅角室46に供給されるとともに各進角室47から作動油がオイルパン77に排出される。すると、遅角室46と進角室47間の油圧差により各ベーン33がより遅角室46側に移動するようにベーンロータ28とロータハウジング27とが相対回動される。その結果、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとの相対位相が変更され、吸気側バルブの開閉タイミングがより遅角側となるように変更される。
【0064】
反対に、ECU87が、吸気側バルブの開閉タイミングをより進角側に調整するために、OCV76の制御位置を中立位置よりも第1制御位置側に所定時間デューティ制御すると、電磁方向制御弁弁78を介してオイルポンプ84から供給される作動油が各進角室47に供給されるとともに各遅角室46から作動油がオイルパン77に排出される。すると、遅角室46と進角室47間の油圧差により各ベーン33がより進角室47側に移動するようにベーンロータ28とロータハウジング27とが相対回動される。その結果、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとの相対位相が変更され、吸気側バルブの開閉タイミングがより進角側となるように変更される。
【0065】
一方、ECU87が、吸気側バルブの開閉タイミングをそのときの開閉タイミングから変更しないようにするために、OCV76の制御位置を中立位置にデューティ制御すると、オイルポンプ84から供給されている油圧が各遅角室46及び進角室47のいずれにも供給されず、又、遅角室46と進角室47のいずれからも作動油がオイルパン77に排出されなくなる。すると、各ベーン33の位置が保持されベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が規制される。その結果、吸気側カムシャフト11とクランクシャフトとが相対回動せず、吸気側バルブの開閉タイミングがそのときのままで保持される。
【0066】
エンジンの運転を停止するためにイグニッションスイッチ88がオフされると、ECU87は非作動状態となる。すると、OCV76は圧縮コイルばね81の付勢力により第2制御位置から第1制御位置に切り換えられ、各進角室47がオイルパン77に連通される。又、電磁方向制御弁78は圧縮コイルばね85の付勢力により第4制御位置から第3制御位置に切り換えられ、OCV76の第5ポートPが電磁方向制御弁78を介してオイルパン77に連通される。その結果、各遅角室46及び進角室47が共にオイルパン77に連通された状態となる。
【0067】
一方、イグニッションスイッチ88がオフされても運転が停止したエンジンがしばらくの間だけ惰性で回転する。このとき、ベーンロータ28には、吸気側カムシャフト11に加わる反力としての回転トルクが加わる。このため、ベーンロータ28は、ロータハウジング27に対して相対回動して最遅角位置に移動するように付勢される。すると、各角室4からは作動油がオイルパン77に排出されるとともに各角室4には背圧が発生しないように作動油が導入される。このとき、各角室4が直接オイルパン77に連通されているため、各角室4からは作動油が小さな排出抵抗で排出される。一方、各角室4もオイルパン77に直接連通されているため、各ベーン33が遅角側に移動するに応じて小さい吸入抵抗で作動油が導入される。その結果、エンジンが惰性で回転している間に、ベーンロータ28がロータハウジング27に対して容易に相対回動して最遅角位置まで移動する。
【0068】
又、各遅角室46及び進角室47が共にオイルパン77に連通されるため、ロックピン48を係合位置に付勢する油圧が導入される油室54及び係合穴59の油圧が共に減少する。従って、イグニッションスイッチ88がオフとされると、ロックピン48が圧縮コイルばね57により退避位置から係合位置側に移動するように付勢された状態となりドリブンギア26の端面に当接した状態で保持される。従って、ベーンロータ28が最遅角位置に移動配置されロックピン48が係合穴59に相対向する位置となると、ロックピン48が係合穴59側に移動して係合位置に配置される。このとき、エンジンの回転数が次第に低くなりロータハウジング27に対するベーンロータ28の回動速度が小さくなるため、ロックピン48が係合穴59側に容易に係合する。その結果、エンジンが停止されるときに、ベーンロータ28が最遅角位置に固定された状態でベーンロータ28とロータハウジング27とが相対回動しないように連結固定される。
【0069】
エンジン始動時のクランキングによりロータハウジング27が回転駆動されると、ベーンロータ28が最遅角位置に配置された状態で回転駆動される。従って、吸気側バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングの状態でエンジンが始動される。
【0070】
このとき、オイルポンプ84から供給される作動油は電磁方向制御弁78からオイルパン77に戻されるため、各遅角室46及び進角室47には所定の油圧が供給されていない。しかし、ベーンロータ28は、ロックピン48にてロータハウジング27に対して最遅角位置で連結固定されているため、吸気側カムシャフト11に加わる大きさが変動する反力に拘らず最遅角位置で保持される。その結果、エンジンの始動時には、吸気側カムシャフト12が受ける反力によりベーンロータ28がロータハウジング27に対して相対回動することが防止される。そして、吸気側バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングの状態でエンジンが始動される。
【0071】
エンジンが始動して所定の油圧が油室54あるいは係合穴59に供給されると、ロックピン48は係合位置から退避位置に移動配置される。その結果、ベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が許容され、吸気側バルブの開閉タイミングを変更することが可能になる。
【0072】
以上詳述したように、本実施の形態の内燃機関におけるバルブタイミング調整機構によれば、以下の効果を得ることができる。
(a) 内燃機関が停止すると、遅角室46及び進角室47が共にオイルパン77に直接連通される。従って、内燃機関の停止後の惰性回転によりロータハウジング27が回転駆動されると、角室4から小さい排出抵抗で作動油がオイルタンク77に排出されるとともに角室4に背圧が発生しないように作動油が遅角室46に導入される。従って、ベーンロータ28がロータハウジング27に対して容易に相対回動し、最遅角位置に移動配置される。その結果、エンジン停止時の惰性回転を利用してエンジン再始動時の吸気側バルブの開閉タイミングを確実に最遅角タイミングとすることができる。
【0073】
(b) 内燃機関の停止時に最遅角位置に移動したベーンロータ28が、ロックピン48、保持孔49、係合穴59等にて構成された連結手段によりロータハウジング27に対して相対回動不能に固定される。従って、内燃期間の始動時に、吸気側カムシャフト11が受ける方向が反転する反力によりベーンロータ28がロータハウジング27に対して揺動して衝突することが防止される。その結果、始動時における異音の発生を防止することができる。
【0074】
(c) 内燃機関の運転が開始されても、ベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動が許容された場合に吸気側カムシャフト11が受ける変動反力によりベーンロータ28がロータハウジング27に対して揺動する可能性がある状態では、ベーンロータ28とロータハウジング27との相対回動がロックピン48、保持孔49、係合穴59等にて構成される連結手段にて規制される。そして、油圧が所定の油圧以上となりバルブタイミング調整機構17の遅角室46あるいは進角室47に作動油が供給されると、ベーンロータ28とロータハウジング27との連結状態が解除されるととともにベーンロータ28がロータハウジング27に対して相対回動される。従って、ベーンロータ28とロータハウジング27との連結状態が解除されるときには、ベーンロータ28が最遅角位置に保持されるか、あるいは最遅角位置から進角側に移動するように制御される。その結果、内燃機関が始動しても油圧が低くてベーンロータ28のロータハウジング27に対する相対位相を変更することができない間は、ベーンロータ28とロータハウジング27とが揺動するように相対回動することを防止して、その衝突を防止することができる。
【0075】
(d) 1つのECU87にてバルブタイミング制御手段と給排状態制御手段とが構成されるため、構成を簡素することができる。
(e) 内燃機関の停止時に吸気側バルブの開閉タイミングが確実に最遅角タイミングとされるため、内燃機関の始動時には最遅角タイミングで内燃機関が始動される。その結果、始動時に吸気側バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングよりも進角側の開閉タイミングとなることを防止して、バルブオーバラップ期間が長くなり燃焼室における内部EGR量が過多となることによる始動性の悪化を防止することができる。
【0076】
(f) 内燃機関が運転されている間は、遅角室46と進角室47に対して作動油を給排するOCV76に電磁方向制御弁78を介してオイルポンプ84の吐出側が連通される。内燃機関が停止してECU87が非作動状態となると、OCV76が電磁方向制御弁78を介してオイルパン77に連通される。従って、内燃機関を停止したときには、ECU87も非作動状態とすることができる。その結果、内燃機関を積んだ車両の運転を終了したときには、ECU87を非作動状態とすることができる。
【0077】
尚、実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、以下のように変更して実施してもよい。
・ OCV76の第5ポートPとオイルポンプ84の吐出側との間に、第5ポートPをオイルポンプ84の吐出側あるいはオイルパン77の一方に連通する電磁制御弁78を設ける代わりに、エンジンの遅角側ヘッド油路64(遅角室46)とOCV76の第2ポートB(給排ポート)との間に、同ヘッド油路64をオイルパン77に連通する第5制御状態と、同ヘッド油路64を第2ポートBに連通する第6制御状態とに切り換え可能な電磁制御弁(第3給排制御手段)を設けた構成としてもよい。この場合にも、内燃機関が運転されているときには第6制御状態として遅角室46に対して作動油が給排されるようにし、運転が停止されたときには第5制御状態として遅角室46に背圧が発生しないようにすることができる。そして、内燃機関停止時の惰性回転を利用して内燃機関再始動時の吸気側バルブの開閉タイミングを確実に再遅角タイミングとすることができる。
【0078】
・ 内燃機関停止時にベーンロータ28がロータハウジング27に対して遅角側に相対回動して配置される位置は、上記実施の形態のように、ベーン33がベーン室31の側壁に当接することにより相対回動が規制される最遅角位置に限らない。これを、内燃機関の始動時に、吸気側バルブの開閉タイミングを最遅角位置に対応する最遅角タイミングよりもやや進角側に設定された始動タイミングとなるようにロータハウジング27とベーンロータ28との相対位相を設定する始動タイミング設定手段を備えたバルブタイミング調整機構を含むバルブタイミング制御装置において実施してもよい。
【0079】
図11及び図12は、そのような始動タイミング設定手段を備えたバルブタイミング調整機構の構成と作動状態を示す摸式断面図である。内燃機関の運転が停止されるときには、惰性により回転するクランクシャフトの回転数がある程度まで減速したときに、図11に示すように、第1ストッパ100が圧縮コイルばね101にて始動位置に配置される。そして、吸気側カムシャフト11が受ける反力によりベーンロータ28がロータハウジング27に対して遅角側に相対回動すると、第1ストッパ100の当接部102が第2ストッパ103に当接する位置で相対回動が規制される。従って、内燃機関が停止されたときにはロータハウジング27が最遅角位置よりもやや進角側の始動位置に配置された状態となり、内燃機関の再始動時にはバルブの開閉タイミングが最遅角タイミングよりもやや進角側に設定された始動タイミングに制御される。
【0080】
内燃機関が運転されると、第1ストッパ100に作用する遠心力により、第1ストッパ100は圧縮コイルばね101の付勢力に抗して当接部102が第2ストッパ103に当接しない運転位置に移動配置される。従って、内燃機関の運転中には、図12に示すように、ロータハウジング27が始動位置を超えて最遅角位置まで相対回動される。その結果、運転状態に応じた最適な開閉タイミングに調整することができるとともに高い始動性を得ることができる。
【0081】
このように構成されたバルブタイミング調整機構を備えたバルブタイミング制御装置に実施した場合には、内燃機関停止時の惰性回転を利用して再始動時のバルブの開閉タイミングを確実に最遅角タイミングよりもやや進角側に設定された始動タイミングとすることができる。
【0082】
・ 上記実施の形態では、イグニッションスイッチ88がオフとされECU76が非作動状態となる通常の運転停止時に電磁制御弁78の励磁制御が終了するようにした。これを、イグニッションスイッチ88がオンのままであってECU76が作動状態であるときにエンジンの運転が停止される所謂エンストの場合に実施してもよい。この場合には、ECU78が作動状態である状態で、車両が走行中であるか停止状態であるかに拘らずエンジンの運転が停止した状態を検出することが必要である。その方法としては、エンジンの回転数に対応したパルス信号を取り出すようにしたり、オルタネータからの出力をモニタする方法がある。そして、ECU76がエンジンの運転が停止したと判断すると、電磁制御弁を制御して遅角室46をオイルパン77に連通する。この場合には、車両が停止中あるいは走行中において所謂エンストが発生したときに、再始動時には吸気側バルブの開閉タイミングを確実に最遅角タイミングとすることができる。
【0083】
・ ロータハウジング27が備えるベーン室31の数、及び、ベーンロータ28が備えるベーン33の数は、4つに限らず、3つ以下、あるいは、5つ以上であってもよい。
【0084】
・ オイル回収手段は、遅角室46に連通する油路内に空気を導入しない状態で背圧の発生を防止することができるものであればよく、オイルパン77に限らず、例えばオイルパンを持たないドライサンプ方式の内燃機関の場合におけるオイルタンクであってもよい。
【0085】
・ ロックピン48等にて構成される連結手段を備えないバルブタイミング調整機構としてもよい。但し、この場合には、内燃機関始動時のクランキングにより、吸気側カムシャフト11がバルブスプリング等から受ける方向が反転する変動反力によりロータハウジング27とベーンロータ28とが揺動する。
【0086】
・ バルブタイミング制御手段だけをECU87にて構成し、給排状態制御手段は別に設けた制御装置としてもよい。この場合には、従来のバルブタイミング制御装置に電磁方向制御弁78と同制御装置を追加してバルブタイミング制御装置を構成することができる。
【0087】
・ ロータハウジング27がカムシャフトと一体回転可能に設けられ、ベーンロータ28がクランクシャフトにて回転駆動されるように構成されたバルブタイミング調整機構を備えたバルブタイミング制御装置としてよい。
【0088】
・ 連結手段を構成するロックピン48をロータハウジングに設けた構成としてもよい。この場合には、例えば、吸気側カムシャフト11に固定された円盤プレートに内周面が摺接するように設けられたスプロケットにロックピン48を収容し、円盤プレートにロックピン48が係合する係合穴を設ける。
【0089】
・ バルブタイミング調整機構は、バルブオーバラップが大きめに設定された状態で排気側バルブの開閉タイミングを調整するように排気側カムシャフト12に設けられたものであってもよい。この場合には、内燃機関の停止時に排気側バルブの開閉タイミングが遅角側の所定の開閉タイミングに設定される。従って、運転時には大きなバルブオーバラップにより吸気慣性効果を大きくしてより高回転で運転することができ、始動時にはオーバラップを最小として始動性を確保することができる。
【0090】
・ 吸気側あるいは排気側バルブの駆動方式は、直動式、スイングアーム式、ロッカアーム式のいずれの方式であってもよい。
・ 吸気側カムシャフト11及び排気側カムシャフト12の同じ側の端部にそれぞれ固定されたタイミングプーリ(スプロケット)と、クランクシャフトの同じ側の端部に固定されたタイミングプーリ(スプロケット)との間にタイミングベルト(チェーン)を掛装したベルト(チェーン)駆動方式の弁駆動機構を備えたエンジンに実施してもよい。
【0091】
・ 平歯車列にて駆動されるギアトレイン弁駆動方式のエンジンや、シャフトとかさ歯車にて駆動されるシャフト駆動方式のエンジンに実施してもよい。
・ 車両用エンジンに限らず、船舶用、航空機用等の内燃機関に実施してもよい。
【0092】
以下、特許請求の範囲に記載された技術的思想の外に前述した各実施の形態から把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
(1) 内燃機関のクランクシャフトに駆動連結された第1回転体と、バルブを開閉駆動するカムシャフトに駆動連結され、前記第1回転体に対して同一回転軸で相対回動可能に設けられた第2回転体と、前記第1回転体あるいは第2回転体の一方に設けられたベーン室と、前記第1回転体あるいは第2回転体の他方に設けられ、前記ベーン室を遅角室と進角室とに区画するベーンとを備えたバルブタイミング調整手段と、前記遅角室及び進角室に連通されるとともにオイルポンプの吐出側及びオイル回収手段に連通され、前記遅角室を前記オイルポンプの吐出側に連通するとともに前記進角室を前記オイル回収手段に連通する第1制御状態と、前記遅角室を前記オイル回収手段に連通するとともに前記進角室を前記オイルポンプの吐出側に連通する第2制御状態とに切り換え可能な第1給排制御手段と、内燃機関の運転状態に基づき、前記第1給排制御手段を前記第1制御状態あるいは第2制御状態に制御して、前記第1回転体と前記第2回転体との相対位相を前記運転状態に応じて予め設定された相対位相に制御するバルブタイミング制御手段と、前記遅角室と該遅角室に連通される前記第1給排制御手段の給排ポートとの間に設けられ、該遅角室を前記オイル回収手段に連通する第5制御状態と、該遅角室と前記給排ポートとを連通する第6制御状態とに切り換え可能な第3給排手段と、内燃機関が運転されているときには、前記第3給排制御手段を第6制御状態とし、内燃機関転されていないときには、第3給排制御手段を第5制御状態とする給排状態制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0093】
このような構成によっても、内燃機関停止時の惰性回転を利用して再始動時のバルブの開閉タイミングを確実に遅角側の所定の開閉タイミングとすることができる。
【0094】
(2) 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記第2給排制御手段は、前記第3制御状態に対応する第3制御位置と、前記第4制御状態に対応する第4制御位置とを備えるとともに該両制御位置の切り換えを行う第2弁体を備え、該第2弁体を付勢して前記第3制御位置に配置する第2ばね部材と、前記第2ばね部材の付勢力に抗して前記第2弁体を前記第4制御位置に切り換え配置する第2単動型電磁ソレノイドを有する第2電磁操作方向制御弁であり、前記給排状態制御手段は、内燃機関が運転されているときには前記第2単動型ソレノイドを磁励制御し、内燃機関が運転されていないときには非作動状態となる。このような構成によれば、内燃機関を停止したときには給排状態制御手段を作動させる必要がない。
【0095】
(3) 上記(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記第1給排制御手段は、前記第1制御状態に対応する第1制御位置と、前記第2制御状態に対応する第2制御位置とを備えるとともに両制御位置の切り換えを行う第1弁体を備え、該第1弁体を付勢して前記両制御位置のいずれか一方の制御位置に配置する第1ばね部材と、該第1ばね部材の付勢力に抗して前記第1弁体を両制御位置の他方の制御位置に切り換え配置する第1単動型電磁ソレノイドとを備えた第1電磁操作方向制御弁であり、前記バルブタイミング制御手段は、内燃機関が運転されているときには前記第1単動型電磁ソレノイドを励磁制御し、内燃機関が運転されていないときには非作動状態となる。このような構成によれば、内燃機関を停止したときにバルブタイミング制御装置を作動させる必要がない。
【0096】
(4) 請求項2〜請求項4及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関の始動時に、前記バルブの開閉タイミングを、内燃機関運転時において開閉タイミングが前記クランクシャフトの回転位相に対して最も遅れた最遅角タイミングよりも進角側に設定された始動タイミングとなるように前記ロータハウジング27とベーンロータ28との相対位相を設定する始動タイミング設定手段を備えた。このような構成によれば、内燃機関停止時の惰性回転を利用して再始動時のバルブの開閉タイミングを確実に始動タイミングとすることができる。
【0097】
(5) 請求項2〜請求項4及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記バルブタイミング制御手段及び給排状態制御手段は、共に同一のコンピュータにて構成された。このような構成によれば、各制御手段を別々に設ける場合に比較して構成を簡素化することができる。
【0098】
(6) 請求項2〜請求項4及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記カムシャフトは、吸気側カムシャフトである。このような構成によれば、始動時に内部EGR量が過多となることを防止して始動性の悪化を防止することができる。
【0099】
(7) 請求項2〜請求項4及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の内燃機関におけるバルブタイミング制御装置を備えた内燃機関。このような構成によれば、始動を確実に遅角側の所定の開閉タイミングで行うことができる。
【0100】
(8) 上記付記(7)に記載の内燃機関を備えた車両。このような構成によれば、内燃機関の始動を確実に遅角側の所定の開閉タイミングで行うことができる。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、内燃機関停止時の惰性回転を利用して内燃機関再始動時のバルブの開閉タイミングを確実に遅角側の所定の開閉タイミングとすることができる。
【0102】
請求項3に記載の発明によれば、内燃機関の始動時に第1回転体と第2回転体とが揺動して衝突することを防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、内燃機関が始動しても油圧が低くて第1回転体の相対位相を変更することができない間は第1回転体と第2回転体とが揺動して衝突することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バルブタイミング制御装置を示す摸式構成図。
【図2】 吸気側及び排気側カムシャフトを示す摸式平面図。
【図3】 電磁比例制御弁を示す摸式断面図。
【図4】 バルブタイミング調整機構を示す断面図。
【図5】 バルブタイミング調整機構を示す正面側から見た断面図。
【図6】 同じく正面側から見た断面図。
【図7】 ロックピンを含む部位の断面図。
【図8】 同じく作動状態を示す断面図。
【図9】 ロックピンを示す要部断面図。
【図10】 図9におけるC−C線断面図。
【図11】 始動タイミング設定手段を示す正面から見た断面図。
【図12】 同じく作動状態を示す断面図。
【図13】 従来例のバルブタイミング調整機構を示す正面からの断面図。
【図14】 図13におけるD−D線断面図。
【符号の説明】
11…カムシャフトとしての吸気側カムシャフト、27…第1回転体としてのロータハウジング、28…第2回転体としてのベーンロータ、31…ベーン室、33…ベーン、46…遅角室、47…進角室、48…連結手段を構成するロックピン、49…同じく保持孔、57…同じく圧縮コイルばね、59…同じく係合穴、76…第1給排制御手段としてのOCV、77…オイル回収手段としてのオイルパン、78…第2給排態制御手段としての電磁方向制御弁、80…第1弁体としてのスプール、81…第1ばね部材としての圧縮コイルばね、82…第1単動型電磁ソレノイドとしての電磁ソレノイド、84…オイルポンプ、85…第2ばね部材としての圧縮コイルばね、86…第2単動型電磁ソレノイドとしての電磁ソレノイド、87…バルブタイミング制御手段、給排状態制御手段及びコンピュータとしてのECU、100…始動タイミング設定手段を構成する第1ストッパ、101…同じく圧縮コイルばね、102…同じく当接部、103…同じく第2ストッパ。

Claims (4)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに駆動連結された第1回転体と、バルブを開閉駆動するカムシャフトに駆動連結され、前記第1回転体に対して同一回転軸で相対回動可能に設けられた第2回転体と、前記第1回転体あるいは第2回転体の一方に設けられたベーン室と、前記第1回転体あるいは第2回転体の他方に設けられ、前記ベーン室を遅角室と進角室とに区画するベーンとを備えたバルブタイミング調整手段に対して、
    内燃機関により駆動されるオイルポンプの吐出側を前記遅角室あるいは進角室の一方に連通するとともに、両室の他方をオイル回収手段に連通することにより、前記第1回転体を第2回転体に対して相対回動させ、前記カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を変更する内燃機関のバルブタイミング制御方法において、
    内燃機関が停止されるときには、前記遅角室及び進角室を共に前記オイル回収手段に連通させる内燃機関のバルブタイミング制御方法。
  2. 内燃機関のクランクシャフトに駆動連結された第1回転体と、バルブを開閉駆動するカムシャフトに駆動連結され、前記第1回転体に対して同一回転軸で相対回動可能に設けられた第2回転体と、前記第1回転体あるいは第2回転体の一方に設けられたベーン室と、前記第1回転体あるいは第2回転体の他方に設けられ、前記ベーン室を遅角室と進角室とに区画するベーンとを備えたバルブタイミング調整手段と、
    前記遅角室及び進角室に連通されるとともにオイルポンプの吐出側及びオイル回収手段に連通され、前記遅角室を前記オイルポンプの吐出側に連通するとともに前記進角室を前記オイル回収手段に連通する第1制御状態と、前記遅角室を前記オイル回収手段に連通するとともに前記進角室を前記オイルポンプの吐出側に連通する第2制御状態とに切り換え可能な第1給排制御手段と、
    内燃機関の運転状態に基づき、前記第1給排制御手段を前記第1制御状態あるいは第2制御状態に制御して、前記第1回転体と前記第2回転体との相対位相を前記運転状態に応じて予め設定された相対位相に制御するバルブタイミング制御手段と、
    前記オイルポンプの吐出側と該吐出側と連通される前記第1給排制御手段の導入側との間に設けられ、該導入側を前記オイル回収手段に連通する第3制御状態と、前記吐出側と該導入側とを連通する第4制御状態とに切り換え可能な第2給排制御手段と、
    内燃機関が運転されているときには、前記第2給排制御手段を第4制御状態とし、内燃機関転されていないときには、第2給排制御手段を第3制御状態とする給排状態制御手段と
    を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 内燃機関が運転されていないときには、前記第1回転体が遅角側の所定位置にあるとき該第1回転体と第2回転体とを相対回動不能に連結し、内燃機関が運転されたときには、前記第1回転体が前記所定位置に移動しても該第1回転体と第2回転体とを相対回動不能に連結しない連結手段を備えた請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記連結手段は、前記遅角室あるいは進角室に供給される作動油の油圧が所定の油圧未満のときには前記第1回転体と第2回転体とを連結し、前記所定の油圧以上であるときに該油圧に基づき該第1回転体と第2回転体とを連結しないように構成され、
    前記給排状態制御手段は、内燃機関が始動された後、前記オイルポンプから第2給排制御手段に供給される油圧が、前記カムシャフトが受ける反力に抗して前記第1回転体を第2回転体に対して進角側に相対回動させることができる油圧以上の油圧となったときに第3制御状態から第4制御状態に切り換えるように構成され、
    前記連結手段は、前記給排状態制御手段が第3制御状態から第4状態に切り換わるときの油圧未満の大きさの油圧に基づき第1回転体と第2回転体とを連結するように設定された請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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