JP3775026B2 - 印刷装置及びその印刷管理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部装置から起動された印刷ジョブによりプリンタ部を駆動して印刷を行う印刷装置に係わり、詳しくはプリンタ部の印刷資源である記録紙等の消耗品の残量等を監視して、いつどの印刷ジョブで消耗品不足によるジョブ停止が発生するか等を予測して利用者に通知し、利用者による消耗品供給を適切に行わせるための印刷管理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の印刷装置における印刷管理方法としては、特開平3-247480号公報や特開平5-270082号公報に記載される方法が一般的であった。
【0003】
ここで、特開平3-247480号公報には、用紙を1枚プリントする毎に残存枚数情報を記憶するカウンタをカウントダウンする処理を残り枚数が所定枚数になるまで繰り返し、残りの枚数が上記所定枚数になった時点で警告ランプを点滅させる等の方法により利用者に紙の補給時期であることを警告する機能を有するプリンタが開示されている。
【0004】
また、特開平5-270082号公報には、利用者が印刷装置11への印刷要求を出すと、印刷要求枚数確認手段3が印刷要求枚数を得て印刷可能判断手段4に通知し、印刷可能判断手段4は印刷用紙使用量ファイル管理手段2を介して印刷用紙使用量ファイル6から得た印刷用紙の残り枚数と印刷要求枚数とを比較し、印刷用紙の残り枚数が印刷要求枚数より少なければ、エラー通知手段5を介して利用者に印刷用紙の不足を通知する機能を有する印刷用紙使用量監視方式が開示されている。
【0005】
これら特開平3-247480号公報や特開平5-270082号公報などに記載される従来装置は、単に、印刷ジョブの受信時、現在の給紙残量との関係からそのジョブで用紙切れが発生することを通知する機能しか有せず、印刷ジョブ開始時期を利用者に通知したり、あるいは現在の印刷装置内の消耗品残量状況に応じてそのジョブ実行中に用紙切れやスタッカ満杯状態等の要因によって印刷装置の停止の可能性が判別して利用者に通知する機能等は備わっておらず、更にその印刷ジョブがいつどのような要因で停止あるいは終了するか等の予測結果を表示する機能も一切示唆されていなかった。
【0006】
これにより、従来装置においては、以下の様な種々の問題点を招来していた。
【0007】
例えば、ネットワーク型プリンタ等で、複数の人により印刷装置を共有利用する場合において、各人がジョブ起動時に、既に印刷待ちや印刷中の先行ジョブとの関係で次ジョブがいつ頃終了するかの予測がつかなかった。更に、現在の用紙補給状態やビン排出量状態は何等かの検出機能により把握可能であったとしても、自分のジョブ実行時に用紙切れやビン満杯等で停止するかを判断できないことから、適当な時間が経過した後、印刷結果を取りに行った際、まだ前の人のジョブを実行中で自分のジョブが始まっていないことに気付くとか、自分のジョブは開始されていたが用紙切れやスタッカ満杯状態でプリント未完了に気付く等、著しく非効率な運用に迫られ、プリンタ稼働率の低下を招いていた。
【0008】
また、集中印刷型プリンタ等では、選任オペレータを置き、ジョブを指定時間内に終了させるために、複数の給紙トレイや排紙トレイを使って、計画的な無停止運転を実行するような工夫がなされるが、この場合には、完全に実行されるジョブの内容を事前に把握していない限り、各消耗品の補給タイミングを計画的に管理・運用することが困難であった。更に、たとえ事前把握できた場合であっても、用紙ジャム等の発生により実際の消耗品の使用状況が変動し、計画と狂いが生じるのが一般的であることから、結局は、印刷ジョブの実行状況と消耗品の残量状況を注意深く観察していないと、どの給紙トレイやスタッカ(排紙トレイ、排紙ビン)がいつ頃用紙切れあるいは満杯状態に陥るかを把握できず、専任オペレータがいる状況でさえ、常時、これらの消耗品状態の注意深い監視が必要となり、オペレータの負荷が過大であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、特開平3-247480号公報や特開平5-270082号公報などに記載される従来装置では、単に、印刷ジョブの受信時に現在の給紙残量との関係からそのジョブで用紙切れが発生することを通知する機能を持つだけで、こうした用紙不足以外の例えばスタッカ満杯等、日常的に発生するプリンタ停止要因を予測する機能も、その予測結果を利用者に通知する機能も持たなかったため、印刷装置の計画的な管理・運用ができず、またこれを実現しようとすれば利用者の負担が増大するという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、印刷処理の進捗状況や消耗品の監視等に係わる利用者の負担を増大させることなく、印刷装置の円滑な管理・運用が実現できる印刷装置及びその印刷管理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の発明は、外部装置から起動された印刷ジョブに従ってプリンタ部を駆動して印刷データを印刷する印刷装置において、前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量を含む消耗品の残量を管理する消耗品残量管理手段と、前記プリンタ部の処理能力を管理する処理能力管理手段と、前記外部装置から起動された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理手段と、前記消耗品残量管理手段、前記処理能力管理手段及び前記ジョブ管理手段の管理結果に基づき前記管理中の印刷ジョブの実行時における前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量状況及び満杯到達時刻を含む印刷処理進捗状況を予測する進捗状況予測手段と、前記進捗状況予測手段の予測結果を通知する通知手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記通知手段は、前記消耗品残量管理手段で管理中の各消耗品毎の状態及び属性に関する情報及び前記ジョブ管理手段で管理中の前記各ジョブの状態及び属性情報を前記進捗状況予測手段の予測結果と共に表示する表示手段により構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記進捗状況予測手段により予測される前記印刷処理進捗状況には、前記各印刷ジョブ毎の印刷開始予測時刻及び終了予測時刻、消耗品不足が発生するか否かの予測結果、消耗品不足発生予測時刻が少なくとも含まれ、前記表示手段は、前記消耗品の不足の発生が予測される場合にはその予測結果を該当する印刷ジョブの識別子と対応付けて表示することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、前記進捗状況予測手段による予測結果情報を、実測により求められた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別する分別手段を具備し、前記表示手段は、前記事実情報と前記予測情報とを判別可能な態様で表示することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記進捗状況予測手段による予測結果の修正を必要とする予測修正要因を検出する予測修正要因検出手段と、前記予測修正要因検出手段の検出結果に基づき前記進捗状況予測手段の予測結果を修正する予測修正手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記予測修正要因には、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、前記プリンタ部の予測処理能力と実処理能力との差異が少なくとも含まれることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記表示手段の表示動作に関する随時通知モードまたは指定時通知モードを設定する通知モード設定手段と、前記随時通知モードでは、前記予測結果が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行い、前記指定時通知モードでは、ユーザから情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測結果の表示を行う表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1の発明において、前記外部装置との情報送受信が可能な外部インタフェース手段を具備し、前記通知手段により通知する前記進捗状況予測手段の予測結果情報を前記外部インタフェースを介して前記印刷ジョブを起動した外部装置にも通知することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、前記管理中の印刷ジョブの実行順序の変更を指示する実行順序変更指示手段と、前記実行順序変更指示に従って前記管理中の印刷ジョブの実行順序を変更する実行ジョブ変更手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記実行ジョブ変更手段により前記印刷ジョブの実行順序が変更された場合、該変更後の印刷ジョブの実行順序に従って前記進捗状況予測手段による前記印刷処理進捗状況予測を再実行させることを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明は、外部装置から起動された印刷ジョブに従ってプリンタ部を駆動して印刷データを印刷する印刷装置の印刷管理方法において、前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量を含む消耗品の残量を管理する消耗品残量管理ステップと、前記プリンタ部の処理能力を管理する処理能力管理ステップと、前記外部装置から起動された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理ステップと、前記消耗品残量管理ステップ、前記処理能力管理ステップ及び前記ジョブ管理ステップの管理結果に基づき前記管理中の印刷ジョブの実行時における前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量状況及び満杯到達時刻を含む印刷処理進捗状況を予測する進捗状況予測ステップと、前記進捗状況予測ステップの予測結果を通知する通知ステップとを具備することを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記通知ステップは、前記消耗品残量管理ステップで管理中の各消耗品毎の状態及び属性に関する情報及び前記ジョブ管理ステップで管理中の前記各ジョブの状態及び属性情報を前記進捗状況予測ステップの予測結果と共に表示する表示ステップにより構成されることを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記進捗状況予測ステップにより予測される前記印刷処理進捗状況には、前記各印刷ジョブ毎の印刷開始予測時刻及び終了予測時刻、消耗品不足が発生するか否かの予測結果、消耗品不足発生予測時刻が少なくとも含まれ、前記表示ステップでは、前記消耗品の不足の発生が予測される場合にはその予測結果を該当する印刷ジョブの識別子と対応付けて表示することを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項12または13の発明において、前記進捗状況予測ステップによる予測結果情報を、実測により求められた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別する分別ステップを具備し、前記表示ステップでは、前記事実情報と前記予測情報とを判別可能な態様で表示することを特徴とする。
【0025】
請求項15の発明は、請求項11の発明において、前記進捗状況予測ステップによる予測結果の修正を必要とする予測修正要因を検出する予測修正要因検出ステップと、前記予測修正要因検出ステップの検出結果に基づき前記進捗状況予測ステップの予測結果を修正する予測修正ステップとを具備することを特徴とする。
【0026】
請求項16の発明は、請求項15の発明において、前記予測修正要因には、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、前記プリンタ部の予測処理能力と実処理能力との差異が少なくとも含まれることを特徴とする。
【0027】
請求項17の発明は、請求項15の発明において、前記表示ステップの表示動作に関する随時通知モードまたは指定時通知モードを設定する通知モード設定ステップを有し、前記随時通知モードでは、前記予測結果が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行い、前記指定時通知モードでは、ユーザから情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測結果の表示を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項18の発明は、請求項11の発明において、前記進捗状況予測ステップの予測結果情報を外部インタフェースを介して前記印刷ジョブを起動した外部装置にも通知することを特徴とする。
【0029】
請求項19の発明は、請求項11の発明において、前記管理中の印刷ジョブの実行順序の変更を指示する実行順序変更指示ステップと、前記実行順序変更指示に従って前記管理中の印刷ジョブの実行順序を変更する実行ジョブ変更ステップとを具備することを特徴とする。
【0030】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記実行ジョブ変更ステップにより前記印刷ジョブの実行順序が変更された場合、該変更後の印刷ジョブの実行順序に従って前記進捗状況予測ステップによる前記印刷処理進捗状況予測を再実行させることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係わる印刷管理制御装置の概略構成を示すブロック図である。この印刷管理制御装置10は、主制御部(CPU)11、入力操作/表示部12、主記憶部13、入出力インタフェース部14、イメージ生成部15、補助記憶部16、プリンタインタフェース部17を具備して構成され、上記入出力インタフェース部14には外部ホスト装置30が接続されるとともに、上記プリンタインタフェース部17には印刷装置20が接続される。
【0032】
印刷管理制御装置10の本体内において、主制御部11、入出力インタフェース部14、イメージ生成部15、補助記憶部16、プリンタインタフェース部17はシステムバスにより相互に接続される。主制御部11には、入力操作/表示部12、主記憶部13が接続される。入力操作/表示部12は、例えばキーボード及びディスプレイにより構成される。主記憶部13には、この印刷管理制御装置10を制御するためのソフトウェア及び該ソフトウェアが使用する一時データが格納される。
【0033】
入力インタフェース部14は、ネットワーク等を介して外部装置30からの印刷データの受信及び外部装置30への印刷進捗状況等の通知の処理を実行する。イメージ生成部15は印刷データに基づきページビデオデータを生成する。プリンタインタフェース部17は、ビデオ信号線(Video Line)を介した印刷装置20へのページビデオデータの送信、制御線(Control Line)を介した印刷装置30の印刷動作制御及び印刷装置20からの状態信号等の受信の処理を行う。入力操作/表示部12は、キーボード及びディスプレイによって成り、利用者とのユーザインタフェースを実行する。
【0034】
補助記憶装置17は、受信した印刷データのスプールを行ったり、記録用紙等の印刷資源を管理するためのデータベース(消耗品管理データベース)、印刷ジョブの状態を管理するためのデータベース(ジョブ管理データベース)、印刷装置20の処理能力を管理するデータベース(スループット算出データベース)等を格納するものである。
【0035】
印刷装置20は、ゼログラフィプロセスでプリント動作を行う装置であり、用紙をフィードするための1つ以上の給紙トレイと、印刷した用紙を排出するための1つ以上の排出ビンを有する。
【0036】
また、図2はこの印刷管理制御装置10の主制御部11の機能構成を示すブロック図である。同図に示す如く、主制御部11は、入力制御部111、ジョブ管理制御部112、デコンポーザ制御部113、ユーザインタフェース(UI)制御部114、印刷制御部115、消耗品設定制御部116、スループット算出制御部117、消耗品不測検知制御部118を具備して構成される。これら入力制御部111、ジョブ管理制御部112、デコンポーザ制御部113、ユーザインタフェース(UI)制御部114、印刷制御部115、消耗品設定制御部116、スループット算出制御部117、消耗品不測検知制御部118は、それぞれ後述する入力制御処理、ジョブ管理処理、デコンポーザ処理、UI制御処理、印刷制御処理、消耗品補給量設定処理、スループット算出処理、消耗品不測検知処理を実行するものである。
【0037】
次に、この印刷管理制御装置10における印刷動作について図3を参照して説明する。まず、印刷装置20により印刷を行おうとする外部ホスト装置30では、その印刷に係わる印刷ジョブを印刷管理制御装置10に対して起動する。これにより、上記起動された印刷ジョブに対応する印刷データが入力インタフェース部14を通じて印刷管理制御装置10に取り込まれる(ステップ301)。外部ホスト装置30より入力された印刷データは、主制御部11での入力制御処理によりデータ解析され、ジョブ毎にページ単位の印刷制御情報と内部形式の印刷フォーマットデータに変換された後、補助記憶部16にスプールされる(ステップ302)。
【0038】
スプールされたジョブデータは、主制御部11でのジョブ管理処理によりジョブ管理データベースに登録される(ステップ303,ステップ304)と共に、デコンポーザ処理に渡される(ステップ305)。デコンポーザ処理では、上記ジョブデータを基にイメージ生成部16によりページ単位にビットマップデータを作成し、ページバッファメモリ上にページイメージを蓄える(ステップ306)。
【0039】
次に、印刷制御処理では、プリンタインタフェース部17を介して印刷装置20の動作状態/状態監視を行いながら(ステップ308)、ページバッファ上のビットマップイメージをビデオデータとして印刷装置20に送出する(ステップ307,ステップ308)。印刷装置20は、入力されたビデオデータに基づきゼログラフィプロセスでプリント動作を実行する。
【0040】
また、ジョブ実行中、上記印刷制御処理、デコンポーザ処理、入力制御処理においては、それぞれの処理の進行状況をジョブ管理処理に通知する(ステップ309,ステップ310,ステップ311)。ジョブ管理処理では、上記各処理から通知された処理進行状況情報をベースにジョブ管理データベース及び消耗品管理データベースの設定・更新処理を行う(ステップ304,ステップ312)。
【0041】
また、UI制御処理では、入力操作/表示部12のキーボードにより利用者から入力された情報をジョブ管理処理に通知するとともに、ジョブ管理処理から渡されたジョブ情報を入力操作/表示部12に通知し、このユーザ通知情報をディスプレイ表示する等、利用者とのユーザインタフェース処理を実行する(ステップ313,ステップ314)。
【0042】
ここで、ジョブ管理処理からUI制御処理へ通知するユーザ通知情報の中には、上記ジョブ管理データベースや消耗品データベースの管理情報も含まれる。これら各データベースの内容は、上述したように、印刷ジョブの起動や印刷装置20での印刷動作の進行等、印刷処理進捗状況に応じてジョブ管理処理により逐次更新されるものである。この結果、ディスプレイ上には、これら各データベースの更新結果が反映された印刷処理進捗状況表示がなされる。更に、このディスプレイ表示されるユーザ通知情報は、入力制御処理によって、印刷ジョブを起動した外部ホスト装置30にも通知される(ステップ315)。これにより、外部ホスト端末30では、この通知を受けたユーザ通知情報を入力操作/表示部12と同様にディスプレイ表示でき、この表示を基に自ら起動した印刷ジョブや他のホスト装置30からの先行ジョブ等に関する印刷管理制御装置10での印刷処理進捗状況を確認することができる。
【0043】
次に、この印刷管理制御装置10における上記ユーザ通知情報の生成処理について図4を参照しながら更に詳細に説明する。このユーザ通知情報の生成処理に際しては、印刷装置20での印刷に用いる消耗品の設定及び消費量の管理と、印刷ジョブの起動及び進捗状況の管理が必要となる。
【0044】
ここでは、まず、上記消耗品の補給量設定処理から説明する。図4における消耗品補給量設定処理では、利用者が例えば給紙トレイに用紙を給紙する際、その給紙した用紙に係わる用紙情報(補給枚数、用紙サイズ、用紙種類等)を入力操作/表示部12(UI制御手段)により設定する(ステップ400)。この消耗品補給量の設定は、例えば印刷装置20の給紙トレイに設けた検知手段による収容枚数の検知結果を基に印刷制御部115(IOT制御手段)を通じて設定することも可能である。
【0045】
また、利用者がある排紙ビンから用紙を取り除く際、その取り除いた用紙に係わる用紙情報(取り除いた用紙枚数、用紙サイズ等)を入力操作/表示部12(UI制御手段)により設定する(ステップ400)。この設定も、印刷装置20の排紙ビンに設けた検知手段による排紙枚数の検知結果を基に印刷制御部115(IOT制御手段)を通じて設定することも可能である。
【0046】
この消耗品補給量設定処理による設定情報は、ジョブ管理処理に通知され(ステップ401)、ジョブ管理処理はその通知された設定情報に基づいて各給紙トレイの消耗品管理データベースへの登録または更新処理を行う(ステップ402)。
【0047】
これにより、例えば、給紙トレイ1に残量500枚が収容されている時に新たに1000枚のA4サイズの普通紙が追加されたことがオペレータあるいは検知手段より通知された場合、給紙トレイ1の残量管理データベースにはこれまでの残量500枚と併せて1500枚のA4普通紙が残量として設定される。
【0048】
また、例えば、A4サイズに設定された排紙ビン1からプリント結果を全て取り除いた(排紙ビン1が空っぽになる)ことが利用者または上記検知手段より通知された場合、当該排紙ビン1の排出容量管理データベースには排紙ビン1の排出許容量である1500枚のA4普通紙が排出可能として設定される。
【0049】
上記消耗品補給量設定の後、印刷装置20で印刷ジョブが実行されると、その時の給紙動作により給紙トレイの用紙の枚数は減っていき、排紙ビンへの用紙の排紙枚数が増えていく。この印刷動作中に消費された各給紙トレイからの用紙フィード枚数及び各排紙ビンへの出力枚数に係わる各情報がジョブ進捗情報の1つとして印刷制御処理(IOT制御手段)からジョブ管理処理に通知される(ステップ403)。ジョブ管理処理では、これらジョブ進捗情報に基づいて各消耗品管理データベースの残量管理(登録・更新処理)を行う(ステップ402)。例えば、100ページのA4片面印刷ジョブを「TRAY1からBIN1へ全てを排出する」という条件で印刷する時に、当該ジョブ実行中に10枚分の用紙が用紙ジャムにより無駄になった場合、上記消耗品管理データベースの内容は、TRAY1から110枚を消費したことにより「1500−110=1390」枚に、BIN1には100枚排出し、排出容量を100枚分消費したことにより「1500−100=1400」枚にそれぞれの残量値が更新される。
【0050】
上記処理により、各消耗品の設定または印刷動作中の消費に伴う各消耗品残量の状態は適正に管理される。図5は、ジョブ管理処理により管理される消耗品管理データベースの一例を示す図である。この消耗品管理データベースには、「消耗品種類」,「消耗品種類別の識別子(ID)」,「用紙検知特性」,「用紙サイズ」,「用紙種類」,「状態」,「容量」,「残量」の各管理項目が少なくとも設けられ、それぞれ該当する情報が格納されている。この情報内容からも分かるように、この例の消耗品管理データベースは、特に、「TRAY1」と「TRAY2」の2つ給紙トレイを持ち、かつ「BIN1」と「TOP(印刷装置20の上面に形成された排紙トレイ)」の2つの排紙BINを持つ印刷装置20の消耗品管理に適用されるものである。
【0051】
この消耗品管理データベースの情報内容を基にジョブ管理処理部112は次の管理結果を認識できる。
【0052】
・TRAY1はA4サイズの普通紙2000枚分の収容容量を持ち、現時点で1000枚を給紙中の状態(使用中)にあって、1000枚の残量がある。収容用紙の検知特性に関しては、用紙サイズ検知と用紙切れ検知が「有り」であり、容量検知と用紙種類検知は「無し」である。
【0053】
・TRAY2はA4サイズの色紙1000枚分の収容容量を持ち、現時点で500枚を消費し終えて未使用の状態(使用可能)にあって、500枚の残量がある。収容用紙の検知特性に関しては、用紙サイズ検知と用紙切れ検知が「有り」であり、容量検知と用紙種類検知は「無し」である。
【0054】
・BIN1はA4サイズの用紙〔普通紙か色紙かを問わない:設定値(NA)〕2500枚分の排紙容量を持ち、現時点で1500枚を排紙中の状態(使用中)にあって、1000枚の残量がある。排紙用紙の検知特性に関しては、用紙混在排出が「不可」であり、用紙サイズ検知,EMPTYの検知,FULLの検知がそれぞれ「有り」である。
【0055】
・TOPは各サイズの用紙〔普通紙か色紙かを問わない:設定値(NA)〕500枚分の排紙容量を持ち、現時点で満杯の状態にあって、残量が0枚である。排紙用紙の検知特性に関しては、用紙混在排出が「可」、用紙サイズ検知が「不可」であり、EMPTYの検知,FULLの検知とがそれぞれ「有り」である。
【0056】
次に、この印刷管理制御装置10における印刷処理進捗状況予測処理について説明する。この印刷管理制御装置10の予測対象としては、
(a)各ジョブ毎の動作開始時期及び動作終了時期
(b)給紙トレイ若しくは排紙ビンでの用紙残量不足に起因する動作停止の可能性の有無
(c)上記(b)で動作停止が発生する場合の動作停止時期(消耗品補給時期)
等があげられる。
【0057】
上記(a)の予測に際しては、印刷ジョブの起動状況を監視し、この起動された印刷ジョブの実行に要する時間を印刷装置20の処理処理能力(スループット)を基に算出する必要がある。また、上記(b),(c)の予測に際しては、起動された印刷ジョブの印刷枚数と消耗品管理データベースに格納された消耗品の残量との関係から各印刷ジョブ毎の用紙の過不足を判断し、不足が見込まれる場合にはその不足が生じるまでの枚数の印刷に要する時間を印刷装置20のスループットを基に算出する必要がある。
【0058】
つまり、本発明における印刷処理進捗状況予測処理に際しては、消耗品を管理する上記消耗品管理データベース(図5参照)の他、印刷ジョブの起動状況を管理するジョブ管理データベースや印刷装置20のスループットを管理するスループット算出データベースが必要となる。図6はこの印刷管理制御装置10で用いるスループット算出データベースの一例を示し、図7はジョブ管理データベースの一例を示したものである。
【0059】
図6において、スループット算出データベースには、A4片面印刷やB4両面印刷等の「印刷モード」,当該モード毎に1分間に何ページの印刷が行えるかについての印刷能力「ppm」,1枚当たりの「印刷時間」等の情報(同図左欄)と、プリンタサイクルアップやサイクルダウンあるいはトレイ切り替わり時またはビン切り替わり時のオーバーヘッドといった各事象毎の時間の情報〔同図右欄)が管理される。
【0060】
また、図7において、印刷ジョブ管理データベースには、ジョブIDに対応付けたジョブ属性に関する情報(同図上欄)と、ジョブIDに対応付けた予測情報(同図下欄)とが管理される。同図上欄のジョブ属性に関しては、「送信者ID」、「用紙サイズ」、「モード」、「状態」、「総ページ数」、「印刷済みページ数」、「利用資源」、「印刷済み利用資源」、「開始時間」、「現処理時間」等の各項目が設定される。また、同図下欄の予測情報に関しては、「開始時間」、「処理時間」、「停止要因個数」、「停止要因の内容#1,#2,…,#n」等の各項目が設定され、更に、停止要因の内容には、「発生要因」、「発生時刻」、「発生ページ」が含まれる。
【0061】
次に、上記各データベースの管理方法とその管理結果に基づく印刷処理進捗状況予測処理について再び図4を参照しながら説明していく。まず、外部ホスト装置30から入力インタフェース部14を通じて印刷データが入力すると、この印刷データは主制御部11での入力制御処理によりデータ解析され、各印刷ジョブ毎に補助記憶装置16にスプールされる。この際、入力制御処理では、印刷データに付随した印刷動作制御指示または外部からのジョブ制御指示識別子に基づいてジョブ/ページの属性情報(総ページ数、用紙サイズ、片面印刷と両面印刷の別、送信者ID)や利用する消耗品資源情報(用紙種類毎の利用枚数、排出先種類毎の利用枚数)を抽出し、ジョブ管理処理に通知する(ステップ405)。この処理は印刷ジョブの起動を受ける毎に実施され、各印刷ジョブのスプールがなされる。
【0062】
また、ジョブ管理処理では、入力制御処理から受け取った印刷ジョブ情報にJOB−IDと印刷開始時刻として現時点の時刻(既に先行して印刷している場合には、前ジョブの終了時刻)を設定し、この受け取った情報をジョブ管理データベース(図7参照)に登録する(ステップ406)とともに、ジョブ実行状態をスプール済みに設定する。
【0063】
次いで、ジョブ管理処理では、予測実施指示を発行することにより(ステップ407)スループット算出処理を起動し、上記印刷ジョブの実行時間を予測算出する。このスループット算出処理では、印刷装置20のスループットを格納したスループット算出データベース(図6参照)を参照し(ステップ408)、受信した印刷ジョブの特性に従って予測処理時間を算出し、この予測処理時間を上記印刷開始時刻に加算することにより印刷終了時刻を算出し、これをジョブ管理データベース(図7参照)に設定する(ステップ409)。
【0064】
次に、ジョブ管理処理は、予測実施指示を発行することにより(ステップ410)、上記印刷ジョブの実行中に消耗品の不足が発生するか否かを判定する消耗品不足検知処理を起動する。この消耗品不足検知処理では、印刷ジョブが利用する各消耗品資源(未完了の先行印刷ジョブが存在する場合には、この先行印刷ジョブが利用する各消耗品資源も含める)と、消耗品管理データベースを参照することにより(ステップ411)得た各消耗品の残量状態とから本ジョブ実行中に消耗品の不足が発生するかどうかを検出し、消耗品不足が発生すると予測された場合に認められれば、その全ての発生要因と発生ページ番号をジョブ管理データベースに設定し(ステップ412)、ジョブ管理処理に通知する。
【0065】
ジョブ管理処理では、このジョブの実行中に消耗品不足が発生すると判明すれば、スループット算出処理を起動し(ステップ407)、その不足発生ページまでの処理時間をスループット算出データベースのスループットを参照して(ステップ408)算出させ、その発生時間をジョブ管理データベース上に設定する(ステップ409)。
【0066】
次に、ジョブ管理処理では、デコンポーザ処理と印刷制御処理を起動し、上記スプール完了した印刷ジョブの印刷動作を実行させると共に、当該印刷ジョブの実行状態を「印刷中」に設定する。その後、印刷ジョブの印刷動作が開始され、この印刷動作の進行に伴って当該印刷ジョブの各ページの印刷終了情報が印刷制御処理から受信される(ステップ404,ステップ405)と、ジョブ管理処理では、ジョブ管理データベース上の印刷済みのページ数、印刷済み利用資源、現時間処理情報をそれぞれ更新していく(ステップ406)。
【0067】
その際、ジョブ管理処理では、各ページの印刷終了時刻と予測処理による本ページの予測終了時刻の比較を所定のスレッショルドタイミング(例えば、印刷装置20の停止事象発生時、ジョブ開始・終了時、任意のページ数の印刷終了毎、消耗品補給時等のうちの少なくともいずれか1つのタイミング)で行い、一定値以上の予測誤差が検出された場合、その差分時間によりジョブ管理データベースを更新することにより、本ジョブの予測終了時刻と、以降のジョブの開始時刻を補正する処理も行う。上記処理により、ジョブの最終ページの印刷データを受信したら、印刷状態を「印刷済み」に設定し、次のジョブの印刷処理に移る。
【0068】
以上の処理によって、ジョブ管理データベース上では、各印刷ジョブに関して、その印刷開始時刻や終了時刻、印刷実行中の消耗品不足に伴う動作停止の可能性の有無、動作停止の可能性が有る場合の発生時刻等の各状態情報を適正に維持管理できる。
【0069】
以後、ジョブ管理処理では、上記消耗品管理データベース、ジョブ管理データベースでの管理結果をユーザ通知情報としてUI制御処理を介して入力操作/表示部12に送出してディスプレイ上に表示させる(ステップ413)。
【0070】
また、上記外部ホスト装置30としてパーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)をRPC(リモート・プロシジャ・コール)等の外部インタフェース手段を介して収容している環境下では、これら外部ホスト装置30のうち、ジョブを起動してきた外部ホスト装置30に対して、上記ユーザ通知情報を入力制御処理を介して通知する(ステップ413)。これにより、各PCやWSで上記ユーザ通知情報をディスプレイ表示でき、この表示を基に各端末のユーザは自ら起動した印刷ジョブを他の端末から起動ジョブと含めてこれらの進捗状況の認識ができる。
【0071】
次に、上記消耗品管理データベース、ジョブ管理データベースに設定された情報に基づくユーザ通知情報の利用者への通知動作について説明する。上述した如く、ジョブ管理処理においては、ジョブ管理データベース及び消耗品管理データベースに設定された情報に基づきUI制御処理を介して入力操作/表示部12のディスプレイにジョブ状況の表示を行う。図8乃至図11は、上記表示制御に基づく具体的な表示例を示したものである。
【0072】
ここで、図8及び図9は、印刷装置20が2つの給紙トレイ(共にA4サイズの用紙用)と2つの排紙トレイ(共にA4サイズの用紙用)を持ち、A4サイズの用紙を1分間に50枚だけ印刷する能力(50ppm)を有する場合の予測情報表示例であり、特に、図8は、消耗品状態情報の表示例であり、図9は、ジョブ状態情報表示例である。
【0073】
これら図8及び図9の表示例において、反転文字部は上記処理に基づく予測情報の表示であることを示し、反転文字部以外の文字部は状態通知情報(事実情報)の表示でありことを意味している。このように、本発明では、ディスプレイ表示すべき各情報を、実際に求めた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別し、ディスプレイ上においては、これら事実情報と予測情報とを明確に判別可能な態様で表示することにより、利用者が情報の区分けをより明瞭に認識できるようにしている。
【0074】
図8の消耗品状態情報表示例では、「トレイ」,「サイズ」,「用紙種」,「状態」,「残量/容量」の各管理項目が事実情報として表示され、「次回給紙時刻と対象Job-ID」に関する管理項目が予測情報として表示されている。 この表示例によれば、
・A4サイズの用紙対象の#2の印刷ジョブ実行時にTray1が用紙不足に陥り、11時42分30秒に用紙補給の必要がある。
【0075】
・A4サイズの用紙対象の#3の印刷ジョブ実行時にTray2が用紙不足に陥り、11時45分35秒に用紙補給の必要がある。
【0076】
・A4サイズの用紙対象の#2の印刷ジョブ実行時に排紙BIN1が11時42分30秒に用紙満杯に陥り、除去の必要がある。
【0077】
等が予測されている。
【0078】
また、図9のジョブ状態情報表示例では、「JOB」,「属性」,「状態」,「出力/総ページ数」,「利用残資源」の各管理項目が事実情報として表示され、「開始/終了時刻」,「ジョブ停止要因」の各管理項目等が予測情報として表示されている。この表示例によれば、
・A4サイズの用紙片面対象の#2の印刷ジョブの開始時刻が11時30分25秒(事実情報)に既に実行開始され、11時40分25秒に終了予定。ジョブ停止要因は無し。
【0079】
・A4サイズの用紙片面対象の#2の印刷ジョブの開始予定が11時40分30秒、終了予定が11時50分30秒。ジョブ停止要因は無し。
【0080】
・A4サイズの用紙両面対象の#3の印刷ジョブの開始予定が11時50分35秒、終了予定が12時10分33秒。但し、ジョブ停止要因は有り。
【0081】
等が予測されており、更に、#3の印刷ジョブの「ジョブ停止要因 有り」に関連して、「11時58分35秒にA4普通紙不足で停止します。A4普通紙を補給して下さい。」との予測結果が表示されている。
【0082】
また、図10及び図11は、印刷装置20が4つの給紙トレイと3つの排紙トレイを持ち、A4サイズの用紙を1分間に50枚印刷可能でB4サイズの用紙を1分間に40枚印刷可能な能力(A4/B4=50/40ppm)を有する場合の予測情報表示例を示したものであり、特に、図10は、消耗品状態情報の表示例であり、図11は、ジョブ状態情報表示例である。これら図10及び図11の表示例においても、反転文字部は予測情報の表示であり、反転文字部以外の文字部は事実情報の表示である。
【0083】
図10の消耗品状態情報表示例は、図8と同様に見ることができ、
・#2の印刷ジョブ実行時にTray1で11時42分00秒に用紙補給の必要がある。
【0084】
・実行中の#1の印刷ジョブについてTray2で現在用紙補給の必要がある。
【0085】
・#3の印刷ジョブ実行時にTray3で11時45分35秒に用紙補給の必要がある。
【0086】
・#3の印刷ジョブ実行時に排紙BIN1で11時43分32秒に用紙除去の必要がある。
【0087】
・実行中の#2の印刷ジョブについてBIN2で現在用紙除去の必要がある。
【0088】
等が予測されている。
【0089】
また、図11のジョブ状態情報表示例は、図9と同様に見ることができ、
・#1の印刷ジョブの開始時刻が11時30分25秒(事実情報)に既に実行開始され、11時32分25秒に終了予定。ジョブ停止要因は無し。
【0090】
・#2の印刷ジョブの開始予定が11時32分30秒、終了予定が11時42分30秒。ジョブ停止要因は有り。
【0091】
この「ジョブ停止要因 有り」に関連して、「11時42分00秒にA4普通紙不足で停止します。A4普通紙を補給して下さい。11時32分30秒にビン2が満杯で停止します。ビン2から用紙を取り除いて下さい。」
等の予測結果が表示されている。
【0092】
これらの表示情報を基に情報管理制御装置10の利用者、あるいはジョブを起動した外部ホスト装置30のユーザは、起動された各印刷ジョブの進捗状況を容易に把握できる。
【0093】
更に、印刷管理制御装置10では、予測情報の修正を必要とする予測修正要因を検出し、該検出結果に基づき予測情報を修正する機能を有している。ここで、上記予測修正要因としては、例えば、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、印刷装置20の予測処理能力と実処理能力との差異等があげられる。この機能を用いて、ジョブ管理処理では、一旦、上記各データベースの各情報の予測情報を設定した後、予測情報の誤差の検出を行い、予測情報の誤差が検出された場合には、その検出タイミング毎に当該誤差分を補正する処理も行う。この誤差分の補正がなされた場合、補正後の各データベースの内容でディスプレイ上に再表示を行う。これにより、利用者に対して、常に最新の正確な予測情報を提供することができる。
【0094】
なお、この予測情報の表示動作に関しては、随時通知モードと指定時通知モードとを設け、随時通知モードでは、上記予測情報が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行い、指定時通知モードでは、利用者から情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測情報の再表示を行うように構成しても良い。更に、利用者から予測情報の表示/非表示を指示し、表示の指示があった場合にのみ予測情報を表示させたり、あるいは表示を行う場合にも、表示対象の予測情報を取捨選択可能とし、必要な予測情報のみを表示し得るように構成することもできる。
【0095】
この他、本発明は上述した主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形あるいは応用が可能であることは言うまでもない。
【0096】
例えば、上記実施例ではユーザへの予測情報の通知手段として、表示装置(ディスプレイ)のみを用いるようにしているが、外部ホスト装置30へのブザーの鳴動制御やランプ表示等の制御を併用し、遠隔の利用者に対してより分かり易い形で予測情報の提供を行うようにしても良い。
【0097】
また、上記実施例では、ユーザに提供する予測情報として消耗品の不足発生時刻等を含めているが、これらの時刻予測表示機能を削除し、単に各ジョブに対し、そのジョブ実行中に消耗品不足が発生するか否かを事前に警告表示するような簡単な構成とすることも考えられる。
【0098】
また、上記実施例では、管理対象の消耗品として、各給紙トレイに収容される用紙の残量と各排紙ビンに排出可能な用紙の残量を想定しているが、消耗品管理データベース及びジョブ管理データベースの構成によって、これら以外の消耗品を対象としてその管理が行えることは言うまでもない。
【0099】
更に、上記実施例では、各印刷ジョブに関して消耗品不足により印刷停止が発生することが予測される場合、その予測結果を表示によってユーザに知らしめるのみに留まっていたが、ジョブ実行直前に上記予測情報表示を参照して当該ジョブで印刷動作停止要因が解除されないと判断された場合は、後続ジョブのうち、印刷停止要因が発生しないようなジョブを優先実行するように構成することが考えられる。
【0100】
この場合、図4に示したジョブ管理処理の流れの中に、新たに実行ジョブ変更処理を付加する。この実行ジョブ変更処理では、入力操作/表示部12から与えられるジョブ変更情報を取り込み、この情報をジョブ管理処理に渡す。ジョブ管理処理では、上記ジョブ変更情報に基づいてジョブ管理データベースに既に格納されている印刷ジョブのうちのスプール済みのものを当該変更要求にあったジョブに変更し、これに対応してジョブ管理データベースのジョブキューを新たに指定されたジョブに書き換える処理を行う。この時、変更後の印刷ジョブの実行順序に従って上記印刷処理進捗状況予測を再実行させることを言うまでもない。このように予測結果を知った後にジョブキューの変更を可能とする機能を有する構成によれば、例えば、ある印刷ジョブを起動した際の表示内容に、当該印刷ジョブに関する印刷停止要因が認められる場合には、当該印刷ジョブよりページ数の少ない印刷ジョブを選択して優先実行させることにより、印刷装置20の印刷動作停止回数を減らし、引いてはプリンタのトータル性能を大幅に向上させることができる。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1(または請求項11)記載の発明によれば、プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量も含めた消耗品残量、プリンタ部の処理能力、及び外部装置から起動された印刷ジョブをそれぞれ管理し、これらの管理結果に基づき印刷ジョブの実行時におけるプリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量及び満杯到達時刻も含めた印刷処理進捗状況を予測し該予測結果をユーザに通知することによって、ユーザはこれらの通知情報を基に、単に給紙用紙の不足を認識できるだけでなく、プリンタ部の排紙ビンに現在何枚の排紙用紙があり、該排紙ビンで排紙用紙が満杯になる時刻がいつぐらいになるかも含めて各印刷ジョブの進捗状況全体を把握しながら、プリンタ部の排紙ビンで排紙用紙が満杯になることで運用停止に陥る事態を回避する手立てを講じつつ印刷処理の管理・運用を円滑に行うことができる。
【0102】
また、請求項2(または請求項12)の発明によれば、上記予測結果の通知を、管理中の各消耗品毎の状態及び属性に関する情報、各ジョブの状態及び属性情報を上記予測結果と共に表示することにより行うようにしたため、各印刷ジョブに関する印刷処理進捗状況をより明確に把握できる。
【0103】
また、請求項3(または請求項13)の発明によれば、上記予測結果として、各印刷ジョブ毎の印刷開始予測時刻及び終了予測時刻、消耗品不足が発生するか否かの予測結果、消耗品不足発生予測時刻を少なくとも表示し、特に、消耗品の不足の発生が予測される場合にはその予測結果が該当する印刷ジョブの識別子と対応付けて表示するようにしたため、プリンタ部の複数の給紙あるいは排紙トレイを利用して無停止運転を行う状況下で、利用者に対し、各給紙トレイの用紙補給タイミングや、各排紙トレイの満杯解除タイミングの予測時間を知らしめることで各消耗品の補給タイミングの計画的な管理が容易となり、利用者の不注意によるプリンタ停止を未然防止して印刷時間の大幅な短縮に寄与できる。
【0104】
また、請求項4(または請求項14)の発明によれば、上記予測結果情報を、実測により求められた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別し、事実情報と予測情報とを判別可能な態様で表示するようにしたため、消耗品の不足発生の警告か否か等を一目で容易に判断できる。
【0105】
また、請求項5及び6(または請求項15及び請求項16)の発明によれば、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、前記プリンタ部の予測処理能力と実処理能力との差異等、上記予測結果の修正を必要とする予測修正要因が生じた場合に上記予測結果を修正するようにしたため、上記予測結果を常に正確にユーザに通知できる。
【0106】
また、請求項7(または請求項17)の発明によれば、上記予測結果が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行う随時通知モードと、ユーザから情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測結果の表示を行う指定時通知モードとを使い分けることにより、ユーザの都合に合わせた印刷処理の管理・運用が可能になる。
【0107】
また、請求項8(または請求項18)の発明によれば、上記予測結果情報を外部インタフェースを介して印刷ジョブを起動した外部装置にも通知するようにしたため、ネットワークプリンタ等の使用形態において、それぞれの外部装置のユーザが自ら起動したジョブに対し管理していかなければならない場合でも、各ユーザがどのジョブで消耗品切れによるプリンタ停止が発生するかが予測でき、事前対処が容易になることから、印刷結果を取りに行って初めて用紙切れ等に気付くとか、他のユーザの不注意で自分のジョブが所定時間内に完了していないといった不測の事態を回避できる。
【0108】
また、請求項9(または請求項19)の発明によれば、管理中の印刷ジョブの実行順序の変更を指示し、当該指示に従って管理中の印刷ジョブの実行順序を変更する機能を付加したため、消耗品不足発生が予測される印刷ジョブをより印刷ページ数の少ない印刷ジョブに入れ替える等によって、より適切な印刷スケジュールを組むことが可能となる。
【0109】
また、請求項10(または請求項20)の発明によれば、印刷ジョブの実行順序が変更された場合、該変更後の印刷ジョブの実行順序に従って上記進捗状況予測状況予測を再実行させるようにしたため、印刷スケジュールを変更したとしてもユーザに対しては常に正確な予測結果を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる印刷管理制御装置の概略構成を示す図。
【図2】図1における主制御部の機能構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係わる印刷管理制御装置の印刷動作の流れを示す図。
【図4】本発明に係わる印刷管理制御装置のジョブ管理処理の流れを示す図。
【図5】本発明で用いる消耗品管理データベースの構成例を示す図。
【図6】本発明で用いるスループット算出データベースの構成例を示す図。
【図7】本発明で用いるジョブ管理データベースの構成例を示す図。
【図8】ジョブ管理処理に基づく印刷処理進捗状況予測結果のうち消耗品状態情報の表示例を示す図。
【図9】ジョブ管理処理に基づく印刷処理進捗状況予測結果のうちジョブ状態情報の表示例を示す図。
【図10】ジョブ管理処理に基づく印刷処理進捗状況予測結果のうち消耗品状態情報の別の表示例を示す図。
【図11】ジョブ管理処理に基づく印刷処理進捗状況予測結果のうちジョブ状態情報の別の表示例を示す図。
【符号の説明】
10…印刷管理制御装置、11…主制御部、111…入力制御部、112…ジョブ管理制御部、113…デコンポーザ制御部、114…ユーザインタフェース(UI)制御部、115…印刷制御部、116…消耗品設定制御部、117…スループット算出制御部、118…消耗品不測検知制御部、12…入力操作/表示部、13…主記憶部、14…入力インタフェース部、15…イメージ生成部、16…補助記憶部、17…プリンタインタフェース部、20…印刷装置、30…外部ホスト装置

Claims (20)

  1. 外部装置から起動された印刷ジョブに従ってプリンタ部を駆動して印刷データを印刷する印刷装置において、
    前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量を含む消耗品の残量を管理する消耗品残量管理手段と、
    前記プリンタ部の処理能力を管理する処理能力管理手段と、
    前記外部装置から起動された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理手段と、
    前記消耗品残量管理手段、前記処理能力管理手段及び前記ジョブ管理手段の管理結果に基づき前記管理中の印刷ジョブの実行時における前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量状況及び満杯到達時刻を含む印刷処理進捗状況を予測する進捗状況予測手段と、
    前記進捗状況予測手段の予測結果を通知する通知手段と
    を具備することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記通知手段は、前記消耗品残量管理手段で管理中の各消耗品毎の状態及び属性に関する情報及び前記ジョブ管理手段で管理中の前記各ジョブの状態及び属性情報を前記進捗状況予測手段の予測結果と共に表示する表示手段により構成されることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
  3. 前記進捗状況予測手段により予測される前記印刷処理進捗状況には、前記各印刷ジョブ毎の印刷開始予測時刻及び終了予測時刻、消耗品不足が発生するか否かの予測結果、消耗品不足発生予測時刻が少なくとも含まれ、前記表示手段は、前記消耗品の不足の発生が予測される場合にはその予測結果を該当する印刷ジョブの識別子と対応付けて表示することを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
  4. 前記進捗状況予測手段による予測結果情報を、実測により求められた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別する分別手段を具備し、前記表示手段は、前記事実情報と前記予測情報とを判別可能な態様で表示することを特徴とする請求項2または3記載の印刷装置。
  5. 前記進捗状況予測手段による予測結果の修正を必要とする予測修正要因を検出する予測修正要因検出手段と、前記予測修正要因検出手段の検出結果に基づき前記進捗状況予測手段の予測結果を修正する予測修正手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
  6. 前記予測修正要因には、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、前記プリンタ部の予測処理能力と実処理能力との差異が少なくとも含まれることを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
  7. 前記表示手段の表示動作に関する随時通知モードまたは指定時通知モードを設定する通知モード設定手段と、前記随時通知モードでは、前記予測結果が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行い、前記指定時通知モードでは、ユーザから情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測結果の表示を行う表示制御手段とを具備することを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
  8. 前記外部装置との情報送受信が可能な外部インタフェース手段を具備し、前記通知手段により通知する前記進捗状況予測手段の予測結果情報を前記外部インタフェースを介して前記印刷ジョブを起動した外部装置にも通知することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
  9. 前記管理中の印刷ジョブの実行順序の変更を指示する実行順序変更指示手段と、
    前記実行順序変更指示に従って前記管理中の印刷ジョブの実行順序を変更する実行ジョブ変更手段と
    を具備することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
  10. 前記実行ジョブ変更手段により前記印刷ジョブの実行順序が変更された場合、該変更後の印刷ジョブの実行順序に従って前記進捗状況予測手段による前記印刷処理進捗状況予測を再実行させることを特徴とする請求項9記載の印刷装置。
  11. 外部装置から起動された印刷ジョブに従ってプリンタ部を駆動して印刷データを印刷する印刷装置の印刷管理方法において、
    前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量を含む消耗品の残量を管理する消耗品残量管理ステップと、
    前記プリンタ部の処理能力を管理する処理能力管理ステップと、
    前記外部装置から起動された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理ステップと、
    前記消耗品残量管理ステップ、前記処理能力管理ステップ及び前記ジョブ管理ステップの管理結果に基づき前記管理中の印刷ジョブの実行時における前記プリンタ部の排紙ビンにおける排紙用紙の残量状況及び満杯到達時刻を含む印刷処理進捗状況を予測する進捗状況予測ステップと、
    前記進捗状況予測ステップの予測結果を通知する通知ステップと
    を具備することを特徴とする印刷装置の印刷管理方法。
  12. 前記通知ステップは、前記消耗品残量管理ステップで管理中の各消耗品毎の状態及び属性に関する情報及び前記ジョブ管理ステップで管理中の前記各ジョブの状態及び属性情報を前記進捗状況予測ステップの予測結果と共に表示する表示ステップにより構成されることを特徴とする請求項11記載の印刷装置の印刷管理方法。
  13. 前記進捗状況予測ステップにより予測される前記印刷処理進捗状況には、前記各印刷ジョブ毎の印刷開始予測時刻及び終了予測時刻、消耗品不足が発生するか否かの予測結果、消耗品不足発生予測時刻が少なくとも含まれ、前記表示ステップでは、前記消耗品の不足の発生が予測される場合にはその予測結果を該当する印刷ジョブの識別子と対応付けて表示することを特徴とする請求項12記載の印刷装置の印刷管理方法。
  14. 前記進捗状況予測ステップによる予測結果情報を、実測により求められた事実情報と予測により求められた予測情報とに分別する分別ステップを具備し、前記表示ステップでは、前記事実情報と前記予測情報とを判別可能な態様で表示することを特徴とする請求項12または13記載の印刷装置の印刷管理方法。
  15. 前記進捗状況予測ステップによる予測結果の修正を必要とする予測修正要因を検出する予測修正要因検出ステップと、前記予測修正要因検出ステップの検出結果に基づき前記進捗状況予測ステップの予測結果を修正する予測修正ステップとを具備することを特徴とする請求項11記載の印刷装置の印刷管理方法。
  16. 前記予測修正要因には、印刷中の用紙ジャム、消耗品の補給、前記プリンタ部の予測処理能力と実処理能力との差異が少なくとも含まれることを特徴とする請求項15記載の印刷装置の印刷管理方法。
  17. 前記表示ステップの表示動作に関する随時通知モードまたは指定時通知モードを設定する通知モード設定ステップを有し、前記随時通知モードでは、前記予測結果が修正された時点で自動的に当該修正予測結果の表示を行い、前記指定時通知モードでは、ユーザから情報通知指示が与えられる毎に最新の修正予測結果の表示を行うことを特徴とする請求項15記載の印刷装置の印刷管理方法。
  18. 前記進捗状況予測ステップの予測結果情報を外部インタフェースを介して前記印刷ジョブを起動した外部装置にも通知することを特徴とする請求項11記載の印刷装置の印刷管理方法。
  19. 前記管理中の印刷ジョブの実行順序の変更を指示する実行順序変更指示ステップと、
    前記実行順序変更指示に従って前記管理中の印刷ジョブの実行順序を変更する実行ジョブ変更ステップと
    を具備することを特徴とする請求項11記載の印刷装置の印刷管理方法。
  20. 前記実行ジョブ変更ステップにより前記印刷ジョブの実行順序が変更された場合、該変更後の印刷ジョブの実行順序に従って前記進捗状況予測ステップによる前記印刷処理進捗状況予測を再実行させることを特徴とする請求項19記載の印刷装置の印刷管理方法。
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