本発明は、印刷業界などにおいて、大量の用紙を供給され、連続して画像形成処理を行うカラー画像形成用又はモノクロ画像形成用のプリンタや、複写機、その複合機等に適用可能な画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
近年、電子写真方式の直接転写型のモノクロ画像形成用の高速プリンタや、複写機、これらの複合機、タンデム型のカラープリンタやカラー複写機、これらのカラー複合機等が使用される場合が多くなってきた。これらの画像形成装置を利用する印刷業界等においては、複数の高速プリンタを備え、個々のプリンタに数千枚単位の用紙をセットし、個々のプリンタに画像形成ジョブを設定して大量の画像形成済み記録紙を得るための画像形成システムを構築するようになされる。このような画像形成システムにおいては、大量の用紙に画像形成処理を行うため、使用予定の用紙の全量が個々のプリンタの給紙トレイに入りきらず、画像形成ジョブの途中において、ユーザが何度も用紙を補給する方法が採られる。
この種の画像形成システムに使用可能なプリンタに関連して、特許文献1には印刷終了時刻算出機能を備えたプリンタが開示されている。このプリンタによれば、印刷対象の画像を指定すると共に、用紙の印刷枚数を指定すると、指定された印刷枚数の用紙に指定画像の印刷に要する印刷所要時間が算出される。この印刷所要時間を表示手段に表示するようにした。このようにプリンタを構成すると、複数枚の用紙に画像を印刷するときに、印刷終了時間を事前に確認できるというものである。
ところで、大量の用紙に画像形成処理をする画像形成システムによれば、次のような問題がある。
i.画像形成ジョブの途中でプリンタに用紙を補給する方法によれば、用紙を給紙トレイに満載してから用紙切れになるまで、数十分から1時間以上になる場合がある。従って、用紙補給処理が必要になる時刻まで、ユーザは当該プリンタの前で待たなければならない。仮に、ユーザがプリンタの前から離れた時に、用紙が無くなってしまうと、再度、ユーザが戻るまでの間は、当該プリンタにおける画像形成処理が停止されたままになり、画像形成処理時間のロスにつながってしまう。
ii.特許文献1に見られるプリンタで採用されている印刷終了時間の算出方法を、大量の用紙に画像形成処理するシステムに導入した場合、用紙の消費速度が常に一定ならば、ユーザが用紙補給処理を行わなければならないおおよその時刻を算出することができる。しかし、用紙のサイズや、その厚さ、両面、片面等の画像形成モードの有無、あるいは、製本(ステイプル)等の後処理の有無といった画像形成条件の組み合わせによって、用紙の消費速度は、非常に多くの状況が想定される。
このため、多種多様の画像形成ジョブを順次処理するユーザにおいては、用紙切れ時間又は用紙切れ時刻の推測は殆ど不可能となっている。このように、複数のプリンタを使用して大量の用紙に画像形成処理を連続して実行する場合に、用紙供給部における用紙切れ時間あるいは用紙切れ時刻を正確に報知できていないのが現状である。
そこで、この発明はこのような問題を解決したものであって、大量の用紙に画像形成処理を連続して実行する場合に、用紙供給部における用紙切れ時間あるいは用紙切れ時刻を正確に報知できるようにした画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る画像形成装置は、所定の用紙に画像を形成する画像形成部と、複数の用紙を積載されて前記画像形成部へ順次用紙を供給する用紙供給部と、前記用紙供給部における用紙の積載高さを随時検知する用紙検知部と、前記用紙検知部から出力される用紙検知情報を入力し、当該用紙検知情報と用紙1枚の厚み情報から前記用紙供給部における用紙の残量を計算し、当該用紙の残量と用紙1枚当たりの画像形成所要時間とに基づいて前記用紙供給部における用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を演算する演算部とを備えることを特徴とするものである。
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙供給部から時々刻々と用紙が無くなり、用紙供給部が画像形成ジョブを開示した時から用紙切れに至る用紙切れ時間、あるいは、用紙供給部が現在時刻を基準として用紙切れとなる用紙切れ時刻を画像形成処理中に映像や音声等により報知できるようになる。
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1において、前記演算部は、用紙検知部で前記用紙の積載高さを検知した検知時刻における前記用紙供給部の用紙の残量に、用紙1枚当たりの画像形成所要時間を積算して当該検知時刻から前記用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間を算出することを特徴とするものである。
請求項3に係る画像形成装置は、請求項1及び2において、前記演算部は、用紙検知部で前記用紙の積載高さを検知した検知時刻における前記用紙供給部の用紙の残量に、用紙1枚当たりの画像形成所要時間を積算して当該検知時刻を基準にした前記用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を算出することを特徴とするものである。
請求項4に係る画像形成装置は、請求項1乃至3において、前記演算部から得られる用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を報知する報知部が備えられることを特徴とするものである。
請求項5に係る画像形成装置は、請求項1乃至4において、前記演算部から得られる画像形成所要時間情報を記憶する記憶部が備えられることを特徴とするものである。
請求項6に係る画像形成装置は、請求項1乃至5において、前記演算部は、画像形成ジョブ開始時に、前記用紙検知部から得られる用紙検知情報を入力し、前記記憶部から当該用紙に対応する画像形成所要時間情報を読み出して前記用紙供給部における用紙切れ時刻又は用紙切れ時間を演算することを特徴とするものである。
請求項7に係る画像形成装置は、請求項1乃至6において、前記演算部は、画像形成ジョブ開始後に、前記用紙検知部から出力される用紙検知情報を入力し、当該用紙検知情報と用紙1枚の厚み情報から前記用紙供給部における用紙の残量を計算し、当該用紙の残量と用紙単位枚当たりの画像形成所要時間とに基づいて前記用紙供給部における用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を再計算することを特徴とするものである。
請求項8に係る画像形成装置は、請求項1乃至7において、前記演算部から得られる再計算後の用紙1枚当たりの画像形成所要時間を更新して記憶することを特徴とするものである。
請求項9に係る画像形成装置は、請求項1乃至8において、前記演算部から得られる用紙切れ時間と所定の基準時間とが比較され、前記用紙切れ時間が所定の基準時間を越えた場合に、前記報知部は、前記用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を強調して報知することを特徴とするものである。
請求項10に係る画像形成装置は、請求項1乃至9において、前記演算部から得られる用紙切れ時間と所定の基準時間とが比較され、前記用紙切れ時間が所定の基準時間以下となる場合は、前記用紙切れ時間及び用紙切れ時刻の報知を省略することを特徴とするものである。
請求項11に係る画像形成システムは、複数の画像形成装置と、個々の前記画像形成装置と通信手段により接続され、当該画像形成装置毎に情報処理を実行する情報処理装置とを備え、前記画像形成装置は、所定の用紙に画像を形成する画像形成部と、複数の用紙を積載されて前記画像形成部へ順次用紙を供給する用紙供給部と、前記用紙供給部における用紙の積載高さを随時検知する用紙検知部と、前記用紙検知部から出力される用紙検知情報を入力し、当該用紙検知情報と用紙1枚の厚み情報から前記用紙供給部における用紙の残量を計算し、当該用紙の残量と用紙1枚当たりの画像形成所要時間とに基づいて前記用紙供給部における用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を演算する演算部とを有し、前記情報処理装置は、各々の前記画像形成装置の演算部から得られる用紙切れ時間又は用紙切れ時刻に関する情報を入力して前記用紙切れ時間又は用紙切れ時刻を報知することを特徴とするものである。
請求項1に係る画像形成装置によれば、用紙供給部から時々刻々と用紙が無くなって、用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間、あるいは、用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を画像形成処理中に映像や音声等により報知できるようになる。従って、ユーザは当該用紙供給部の用紙切れ時間、あるいは、用紙切れ時刻を見計らって画像形成装置に行き、用紙補給作業に従事すれば良いので、従来方式のように画像形成装置の前に常駐しなくても済む。これにより、大量の画像形成ジョブを連続して実行する用紙補給時間予測機能付きの画像形成装置を提供できるようになった。
請求項2に係る画像形成装置によれば、用紙検知部で前記用紙の積載高さを検知した検知時刻における前記用紙供給部の用紙の残量に、用紙1枚当たりの画像形成所要時間を積算して当該検知時刻から用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間を算出する演算部を備えるので、用紙供給部が用紙切れに至る時間、あるいは、用紙供給部が用紙切れとなる時刻を画像形成処理中に演算することができる。
請求項3に係る画像形成装置によれば、用紙検知部で前記用紙の積載高さを検知した検知時刻における前記用紙供給部の用紙の残量に、用紙1枚当たりの画像形成所要時間を積算して当該検知時刻を基準にした用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を算出する演算部を備えるので、用紙切れ時間、あるいは、用紙切れ時刻を画像形成ジョブ実行中に演算することができる。
請求項4に係る画像形成装置によれば、用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間、あるいは、用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を映像や音声等により報知できるようになる。
請求項5に係る画像形成装置によれば、記憶部から読み出した画像形成所要時間情報を使用して用紙切れ時間、あるいは、用紙切れ時刻を画像形成ジョブ開始時に演算できるようになる。
請求項6に係る画像形成装置によれば、画像形成ジョブ開始時に、用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間、あるいは、用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を予測することができる。
請求項7に係る画像形成装置によれば、画像形成ジョブ開始後に、用紙供給部が用紙切れに至る用紙切れ時間、あるいは、用紙供給部が用紙切れとなる用紙切れ時刻を補正することができ、より正確に用紙切れ時間、あるいは、用紙切れ時刻を報知できるようになる。
請求項8に係る画像形成装置によれば、更新後の画像形成所要時間情報を使用して、用紙供給部の用紙切れ時間、あるいは、その用紙切れ時刻を算出できるようになる。
請求項9に係る画像形成装置によれば、用紙切れ時間が所定の基準時間を越えた場合に、用紙切れ時間及び/又は用紙切れ時刻が強調して報知されるので、ユーザに対して当該画像形成装置における用紙補給の必要性を喚起できるようになり、従来方式のようにユーザが画像形成装置の前に常駐するという事態を回避できる。
請求項10に係る画像形成装置によれば、用紙切れ時間が所定の基準時間以下となる場合は、用紙切れ時間及び用紙切れ時刻の報知が省略されるので、当該画像形成装置における用紙補給の必要性が生じたときに報知をすれば良く、報知制御に係る負担を軽減できるようになる。
請求項11に係る画像形成システムによれば、本発明に係る画像形成装置が備えられ、ユーザが複数の画像形成装置を同時に使用して大量の画像形成処理を行う場合において、各々の画像形成装置が画像形成ジョブで使用している用紙供給部毎に、用紙切れに至る時間(用紙の補給を必要とするまでの時間)、あるいは、用紙切れとなる時刻を情報処理装置に一括して表示等できる。従って、ユーザはその表示画面等から用紙補給処理を必要とする画像形成装置を容易に認知できるようになる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像形成システムについて説明をする。図1は実施の形態としてのプリンタ101の構成例を示すブロック図である。
図1に示すプリンタ101は画像形成装置の一例を構成し、印刷業界などにおいて、大量の用紙Pが供給され、カラー画像や、モノクロ画像等を連続して用紙Pに印刷するものである。画像形成装置は、カラー画像形成用又はモノクロ画像形成用のプリンタの他に、複写機、その複合機等に適用可能なものである。プリンタ101は、例えば、用紙供給部10、用紙検知部11、画像形成部20、表示部30、操作部40、制御部50及び通信部60を有して構成される。
制御部50は、用紙制御部51、画像メモリ制御部52、メモリ部53、固定ディスク装置(以下HDD54という)、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)55、システムバス56及びI/Oインターフェース57を有して構成される。
CPU55にはシステムバス56を介してメモリ部53(記憶部)が接続される。メモリ部53は、図示しないROM(Read Only Memory)や、ワーク用のRAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electric Erasable Program ROM)等から構成される。メモリ部53には、例えば、当該プリンタ全体を制御するためのシステム起動用のプログラムデータD53が格納される。RAMには、プログラムデータD53や、各種計算実行時の制御コマンド等を一時記憶するようになされる。CPU55は電源がオンされると、ROMからシステムプログラムデータD53をRAMに読み出してシステムを起動し、当該プリンタ全体を制御するようになされる。
CPU55にはI/Oインターフェース57が接続される。I/Oインターフェース57には表示部30及び操作部40が接続される。表示部30には、画像形成ジョブ(以下でプリントジョブという)を設定するための印刷枚数、紙種、用紙サイズ、画像形成モード、給紙トレイ等の画像形成条件が表示される。表示部30には液晶表示ディスプレイが使用される。
操作部40は上述の画像形成条件を設定する際に使用される他、「プリントジョブを実行する」、又は、「プリントジョブをキャンセルする」等を制御部50に指示するように操作される。操作部40には液晶表示ディスプレイ及びタッチセンサパネルを組み合わせたものが使用される。操作部40により設定入力された操作データD40はI/Oインターフェース57を介してCPU55に出力される。
一方、用紙供給部10は、複数の用紙Pを積載されて画像形成部20へ順次用紙Pを供給する。用紙供給部10は、図示しない複数の給紙トレイを有しており、1つの給紙トレイには例えば、用紙Pが数千枚単位にセットされる。用紙供給部10には図示しない用紙繰り出し用のモータが実装され、所定の給紙トレイから画像形成部20へ用紙Pを送り出すようになされる。
用紙供給部10には用紙検知部11が配設され、当該用紙供給部10における用紙Pの積載高さを随時検知して用紙検知情報を成す用紙検知信号S11を生成するようになされる。用紙検知部11には用紙制御部51が接続され、用紙検知信号S11を入力してアナログ・デジタル変換した後の用紙検知データD11をCPU55に出力する。
用紙制御部51はCPU55からモータ制御データD51を入力してデコードし、デコード後のモータ制御信号S51を用紙供給部10に出力して用紙繰り出し制御を実行する。用紙供給部10では、モータ制御データD51を入力し、このモータ制御信号S51に基づいて不図示のモータが駆動され、指定された給紙トレイから用紙Pを1枚ずつ繰り出して画像形成部20へ搬送するようになされる。
CPU55は演算部の機能の一例を構成し、用紙制御部51から出力される用紙検知データD11を入力し、当該用紙検知データD11と用紙1枚の厚み情報から用紙供給部10における用紙Pの残量を計算し、当該用紙Pの残量と用紙1枚当たりの画像形成所要時間(以下で印刷所要時間tという)とに基づいて用紙供給部10における用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを演算する。
ここに印刷所要時間tとは用紙1枚当たりの印刷に要する画像形成時間をいう。印刷所要時間tは、プリンタ101や、用紙坪量、紙種、画像形成モード、用紙サイズ等によって異なる(表2参照)。また、用紙切れ時間Txとは、プリントジョブ開始時を基準にしたとき、画像形成部20がプリントジョブ開始時刻から用紙供給部10が用紙切れ時刻に至る所要時間をいう。用紙切れ時刻txとはプリントジョブ開始時刻を基準として用紙供給部10が用紙切れとなる時刻をいう。プリントジョブ実行中を基準にしたときは、用紙検知部11で用紙Pの積載高さを検知した検知時刻から用紙供給部10が用紙切れ時刻に至る所要時間をいう。用紙切れ時刻txとは当該検知時刻を基準として用紙供給部10が用紙切れとなる時刻をいう。
例えば、CPU55は、用紙検知部11で用紙Pの積載高さを検知した検知時刻における用紙供給部10の用紙Pの残量に、用紙1枚当たりの印刷所要時間tを積算して当該検知時刻から用紙供給部10が用紙切れに至る用紙切れ時間Txを算出する。このような算出機能を備えると、用紙供給部10から時々刻々と用紙Pが無くなって行くプリントジョブ実行中に、上述の算出結果に基づいて、用紙供給部10が用紙切れに至る用紙切れ時間Txを表示部30に表示できるようになる。
また、CPU55は、用紙検知部11で用紙Pの積載高さを検知した検知時刻における用紙供給部10の用紙Pの残量に、用紙1枚当たりの印刷所要時間tを積算して当該検知時刻を基準にした用紙供給部10が用紙切れとなる用紙切れ時刻txを算出するので、リアルタイムに用紙切れ時刻txを表示部30に表示できるようになる。
上述のI/Oインターフェース57を介してCPU55に接続された表示部30は、報知部の機能の一例を有しており、CPU55から得られる用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを表示するようになる。このような表示部30を備えると、用紙供給部10から時々刻々と用紙Pが無くなって行くプリントジョブ実行中に、用紙供給部10が用紙切れに至る用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙供給部10が用紙切れとなる用紙切れ時刻txを映像によりユーザに報知できるようになる(第1の実施例)。
報知部は表示部30には限られることはなく、I/Oインターフェース57に図示しない音声処理部及びスピーカーを接続し、用紙供給部10がプリントジョブ開始時から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙供給部10が現在時刻を基準とした用紙切れとなる用紙切れ時刻txを音声により報知してもよい。
また、システムバス56には画像メモリを構成するHDD54が接続され、画像形成部20へ供給するための画像データD54を記憶する。HDD54にはシステムバス56を介して画像メモリ制御部52が接続され、例えば、HDD54からページ単位に読み出した画像データD54を画像形成部20にセットするようになされる。画像メモリ制御部52には画像形成部20が接続され、画像データD54に基づいて用紙Pに画像を形成して出力する。以下で画像形成後の用紙Pを記録紙P’という。画像メモリ制御部52は画像データD54と共に画像形成制御信号S52を画像形成部20へ出力する。画像形成制御信号S52は画像書込みタイミング信号や、画像サイズ設定信号等である。
画像形成部20は、用紙供給部10から用紙Pが流れる側を下流側としたとき、その下流側に配設され、画像データD54及び画像形成制御信号S52を入力して、所定の用紙Pに画像を形成して記録紙P’を排紙するようになされる。画像形成部20には電子写真方式の直接転写型のモノクロ画像形成用のプリンタエンジンや、電子写真方式のタンデム型のカラー画像形成用のプリンタエンジンが使用される。
モノクロ画像形成用のプリンタエンジンによれば、単一の感光体ドラムを備え、ライン状にレーザ光源が配置されたLPH(LED Print Head)ユニットから感光体ドラムにライン単位に静電潜像が一括露光され、その後、トナー現像及び、所定の用紙Pへの転写処理がなされる。
カラー画像形成用のプリンタエンジンによれば、中間転写ベルト、各作像色毎に感光体ドラム及びライン状にレーザ光源が配置されたLPHユニットを備え、個々のLPHユニットから個々の感光体ドラムにライン単位に静電潜像が一括露光され、その後、各作像色毎にトナー現像され、更に、中間転写ベルト上で色を重ね合わせて色画像を形成し、所定の用紙Pへの転写処理がなされる。光源にはLPHユニットの他にポリゴンミラーを有したレーザ光走査露光装置が使用される。
上述の制御部50において、メモリ部53には、プログラムデータD53や制御コマンドの他に、用紙1枚当たりの厚さdの情報(以下で用紙厚さデータDdという)が記憶されている。用紙厚さデータDdはメモリ部53を構成する図示しないEEPROM等の不揮発メモリにデータテーブル化されて記憶される。その内容を表1に示している。
表1によれば、用紙1枚当たりの厚さ(d)が用紙坪量[g/m2]、普通紙[mm]及び塗工紙[mm]に分けて格納されている。例えば、用紙坪量が64〜80[g/m2]の場合、普通紙1枚当たりの厚さ(d)は0.1mmであり、塗工紙の1枚当たりの厚さは、0.05mmである。用紙厚さデータDdは用紙Pの残量を算出する際に使用される。
上述のメモリ部53には、プログラムデータD53や制御コマンド、用紙厚さデータDdが記憶される他、CPU55から得られる用紙1枚当たりの印刷所要時間tの情報(以下で印刷所要時間データDtという)を記憶するようになされる。印刷所要時間データDtはメモリ部53の不揮発メモリ内にデータテーブル化されて記憶される。その内容を表2に示している。
表2によれば、当該プリンタ101における用紙1枚当たりの印刷所要時間tが、用紙坪量、紙種、画像形成モード及び用紙サイズに分けて格納されている。例えば、用紙坪量が64〜80[g/m2]で、紙種が普通紙で、画像形成モードが片面で、用紙サイズがA4(版)以下の場合、普通紙1枚当たりの印刷所要時間tは、0.75[秒]である。
また、用紙坪量が81〜160[g/m2]で、紙種が塗工紙で、画像形成モードが両面で、用紙サイズがA3の場合、塗工紙1枚当たりの印刷所要時間tは、3.92[秒]である。この印刷所要時間t=3.92[秒]は、1.21×1.62×2.40によって算出される。この例では、用紙坪量=81〜160[g/m2]の塗工紙は普通紙坪量64〜80の場合の1.62倍が参照されると共に、用紙サイズがA3であって、画像形成モードが「両面」であるので、片面B4以上の普通紙の場合の印刷所要時間t=1.21[秒]及び2.4倍が参照される。印刷所要時間データDtは用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txを算出する際に使用される。
このような印刷所要時間データDtをメモリ部43に記憶しておくと、CPU55は、プリントジョブ開始時に、用紙検知部11から得られる用紙検知データD11を入力し、メモリ部53から当該用紙Pに対応する印刷所要時間データDtを読み出して用紙供給部10における用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを演算する。この演算結果から、プリントジョブ開始時に、用紙供給部10が用紙切れに至る用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙供給部10が用紙切れとなる用紙切れ時刻txを予測することができる(第1の実施例)。
上述のI/Oインターフェース57には通信部60が接続され、通信部60は通信手段2に接続され、他の画像形成装置や、上位の情報処理装置と通信処理を実行する際に使用される。通信部60には通信モデムが使用され、通信手段2には公衆電話回線や、専用通信回線、ローカルエリアネットワーク(LAN)等が使用される。
図2A及びBは、給紙トレイ10aにおける用紙満載時及び用紙非満載時の用紙残量の算出例を示す概念図である。この算出例は、用紙供給部10に設けられた1つの給紙トレイ10aに用紙Pが満載(セット)され、プリントジョブが設定され、プリントジョブの実行指示が得られると、給紙トレイ10aから画像形成部20へ連続して用紙Pが供給され、画像形成部20でプリント処理が実行される場合である。
図2Aに示す給紙トレイ10aは、図1に示した用紙供給部10を構成する。給紙トレイ10a内には用紙検知部11が配設される。用紙検知部11には、給紙トレイ10aに積載された用紙Pの量を多段階に、随時、検知可能な高分解能の用紙残量検知センサが使用される。用紙残量検知センサは、例えば、用紙Pの積層方向(給紙トレイ10aの底面に垂直な方向)において、複数の発光素子がライン状に配列され、各発光素子に対峙してライン状に配置された受光素子を備えて構成される。
図中、H0は用紙積載高さであって、給紙トレイ10a内に配設された用紙検知部11が、用紙高さを測定可能とする最高位を示す高さである。この例で、用紙積載高さH0は275mmであり、用紙残量検知センサ等の用紙検知部11から得られる用紙検知信号S11は、256段階の用紙残量出力レベルを示すものである。なお、用紙残量が「0」枚の場合は、積載高さH0は「0」mmであり、用紙検知信号S11が0段階を示すように用紙検知部11の用紙残量出力レベルが設定されている。
ここで給紙トレイ10aに用紙Pを満載した際の用紙積載高さをH0としたとき、H0が275mmとなる場合であって、用紙検知部11が用紙供給部10の用紙残量(積載高さH0)を256段階の分解能で検知する場合を例に採る。ここに用紙検知部11から得られる用紙検知信号S11の用紙残量出力レベルの1段階は275/256=1.074mmとなる。この1.074mmは用紙残量出力レベルの1段階を用紙積載高さHx(x=1,2・・・)に変換する際の定数となる。
また、用紙1枚当たりの用紙検知部11の用紙残量出力レベルの変化量(出力値変化量)は、用紙Pの厚み(d)を示す実測データとなる。このような用紙Pが積層された用紙束の高さHxを測定して得た用紙検知信号S11は、用紙検知部11から用紙制御部51へ出力するようになされる。
図2Bに示すH1は、用紙供給部10から画像形成部20へ連続して用紙Pが供給され、プリントジョブが実行されている場合であって、用紙検知部11から出力される検知時刻t1における用紙束の積載残高さである。ここでプリントジョブ開始時、用紙坪量が121〜160[g/m2]で、厚みdが0.13mmの塗工紙が給紙トレイ10aに「2000」枚セットされた場合であって、プリントジョブが開始されると、用紙検知部11が、例えば、プリントジョブ中の検知時刻t1における用紙束の積載高さH1を検知して用紙残量出力レベル=183段階の用紙検知信号S11(t1)を用紙制御部51に出力する。
この検知時刻t1における用紙束の積載残高さH1は、H1=183×1.074=196.5[mm]となる。同検知時刻t1における用紙Pの残量は、196.5/0.13=1511.5枚となる。これにより、プリントジョブ中に、検知時刻t1における用紙Pの残量を算出することができる。これらの演算はCPU55又は用紙制御部51で実行させるとよい。
図3は、第1の実施例としてのプリンタ101における画像形成例を示すフローチャート(メインルーチン)である。図4は、用紙供給及び報知処理例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
この実施例では、用紙供給部10に用紙Pが積載(セット)され、プリントジョブが設定され、プリントジョブの実行指示が得られると、用紙供給部10から画像形成部20へ連続して用紙Pが供給され、画像形成部20でプリント処理が実行される場合であって、このプリント開始時に、用紙供給部10における用紙束の積載高さ(残量)を測定し、プリントジョブ開始時を基準にした用紙供給部10の用紙切れ時間Tx又はその用紙切れ時刻txを算出し、この算出結果を報知処理する場合を例に挙げる。
これを用紙Pの供給処理条件にして、まず、ステップC1でCPU55はプリントジョブの設定を受け付ける。このとき、表示部30にはメニュー画面や設定画面を構成する表示データD30が入力され、当該データD30に基づく紙種、給紙トレイ10a、画像形成モード、プリント枚数、用紙サイズ、画像形成モード等のプリント条件設定画面が表示される。ここでユーザは、操作部40を操作して、例えば、用紙供給部10の複数の給紙トレイ10aの中から、用紙坪量121〜160g/m2のA3塗工紙が積載された給紙トレイ10aを選択するようにCPU55に指示する。更に、CPU55には、画像形成モードが自動両面モードでプリント枚数が「2000枚」となるようなプリントジョブが設定される。
このような画像形成条件等のプリントジョブの設定が終わると、ユーザは、「プリントジョブを実行する」、又は、「プリントジョブをキャンセルする」等を制御部50に指示するように操作部40を操作する。この際のプリント枚数を設定する情報や、ジョブ実行指示に関する情報は操作データD40となって、I/Oインターフェース57を介して操作部40からCPU55へ出力される。
次に、ステップC2でCPU55は、ジョブ実行指示に基づいてプリントジョブを開始する。ジョブ実行指示が無い場合は、ステップC3に移行して当該プリントジョブをキャンセルするかを判別する。キャンセルする指示がなされていない場合は、ステップC1に戻ってプリントジョブの設定をやり直す処理となる。
ステップC2でプリントジョブを実行する指示が有った場合は、ステップC4に移行して用紙供給処理をする。例えば、図4に示すサブルーチンをコールして、そのステップC41で用紙制御部51又はCPU55は塗工紙残量を検知する。図2Aに示した用紙束の積載高さH0の測定例によれば、用紙供給部10におけるプリントジョブ開始時、用紙満載状態の用紙Pを積載した用紙積載高さH0=275mmが測定されるが、用紙供給部10の塗工紙が満載状態でなかった場合、や、塗工紙の検知時刻t1がプリントジョブ開始後となる場合、用紙検知部11が塗工紙束の積載残高さH1を測定して、プリントジョブ開始時やプリントジョブ開始後の検知時刻t1における塗工紙束の積載高さH1を示す用紙検知信号S11を用紙制御部51に出力する。用紙制御部51は用紙検知信号S11をアナログ・デジタル変換し、変換後の用紙検知データD11をCPU55に出力する。
例えば、用紙供給部10の用紙が満載状態ではなく、プリントジョブ開始時の用紙Pの検知時刻t1における用紙検知部11から得られた用紙検知信号S11の用紙残量出力レベルが183段階を示しているとすれば、用紙積載高さH1は、183×1.074=196.5mmとなり、検知時刻t1における塗工紙の残枚数(H1/d)は、塗工紙1枚の厚みがd=0.13mmであるので、検知時刻t1における塗工紙の残枚数は、196.5/0.13=1511.5枚と計算される。なお、A3塗工紙1枚の厚みd=0.13mmは、メモリ部53内のデータテーブルが参照され、d=0.13mmを示す用紙厚みデータDdが読み出される。
その後、ステップC42でCPU55は用紙繰り出し処理をするように用紙制御部51を制御する。例えば、CPU55は用紙制御部51にモータ制御データD51を出力する。用紙制御部51はモータ制御データD51をデコードしたモータ制御信号S51を用紙供給部10に出力する。用紙供給部10は、モータ制御信号S51に基づくモータ動力を得て、指定された給紙トレイ10aから塗工紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部20へ送り出すように動作する。
その後、ステップC43に移行して用紙制御部51は給紙トレイ10aに積載(セット)された塗工紙の残量が「0」枚になったかを判別する。このとき、用紙制御部51は、用紙検知信号S11から得られる用紙検知データD11と比較基準値(残量=0)を示す閾値データとを比較して給紙トレイ10aにおける用紙束の積載高さ(残量=0)を判別する。用紙残量=0が検出されない場合は、ステップC41に戻って用紙制御部51又はCPU55による用紙残量検知を継続する。
これに並行して、図4に示したステップC44でCPU55は、プリントジョブ実行中に、検知時刻t1=プリント開始時刻から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx又は検知時刻t1を基準とした用紙切れとなる用紙切れ時刻txを算出する。上述の例で、A3塗工紙の1枚当たりの印刷所要時間tは、1.21×1.62×2.40=3.92[秒/枚]により算出される。給紙トレイ10aから塗工紙が無くなるまでの所要時間は、1511.5×3.92=5925[秒]により算出される。この所要時間=5925[秒]は、給紙トレイ10aがプリント開始時刻から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx=1時間38分45秒を示す。
ここでプリント開始時刻=検知時刻t1が10時20分25秒であったとすると、用紙切れにより、画像形成部20が停止すると予測される用紙切れ時刻txは、プリント開始時刻=10時20分25秒と用紙切れ時間Tx=1時間38分45秒とを加算した「11時59分10秒」であることが予測される。
そして、ステップC45でCPU55は報知処理を実行する。表示部30は、CPU55から給紙トレイ10aの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する表示データD30を入力してその用紙切れ時間Tx=「1時間38分45秒」又は用紙切れ時刻tx=「11時59分10秒」を表示する。例えば、表示部30には「給紙トレイ10aの次回用紙補給時刻は11:59です」等の文字映像を表示する。
このような文字映像によって、ユーザは、給紙トレイ10aから時々刻々と用紙Pが無くなって行くプリント開始直後や、プリントジョブ実行中に、給紙トレイ10aが用紙切れに至る用紙切れ時間Tx=「1時間38分45秒」、あるいは、給紙トレイ10aが用紙切れとなる用紙切れ時刻tx=「11時59分10秒」を認知できるようになる。そして、ステップC4にリターンし、その後、ステップC6に移行する。
上述の用紙供給処理に並行して、ステップC5でCPU55は画像メモリ制御部52及び画像形成部20を制御して画像形成処理を実行する。画像形成部20では給紙トレイ10aから給紙される塗工紙に画像を形成した後の記録紙P’を排紙するようになされる。画像形成部20がモノクロ画像形成用のプリンタエンジンである場合は、ライン状にレーザ光源が配置されたLPHユニットから単一の感光体ドラムにライン単位に静電潜像が一括露光され、その後、トナー現像及び、所定の塗工紙への転写処理がなされる。
その後、ステップC6に移行してCPU55は、塗工紙に画像を形成された記録紙P’が設定枚数に到達したかを判別する。設定枚数は図示しないカウンタを排紙位置に配設して、画像形成後の記録紙P’の出力枚数を計数すればよい。記録紙P’が設定枚数に到達していない場合は、ステップC4に戻って用紙供給処理を継続し、かつ、ステップC5に戻って画像形成処理を繰り返すようになされる。記録紙P’が設定枚数に到達した時点及び、上述のステップC2でキャンセル指示がなされている場合は、プリントジョブ終了する。
このように、本発明に係る第1の実施例としてのプリンタ101によれば、用紙供給部10から時々刻々と用紙Pが無くなり、用紙供給部10がプリントジョブ開始時から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙供給部10が現在時刻を基準とした用紙切れとなる用紙切れ時刻(推定時刻)txをプリント開始後や、プリントジョブ実行中に映像や音声等により報知できるようになる。
これにより、ユーザは用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙切れ時刻txを見計らって、当該プリンタ101に行って用紙補給作業に従事すれば良いので、従来方式のようにプリンタ101の前に常駐しなくても済む。従って、大量のプリントジョブを連続して実行する用紙補給時間予測機能付きのプリンタ101を提供できるようになった。
図5は、プリンタ101における第2の実施例としての用紙供給及び報知処理例を示すフローチャートであり、図4に示したフローチャートのステップC4のサブルーチンを構成する図である。
この実施例では、図1に示したCPU55がプリントジョブ開始後に、用紙検知部11から出力される用紙検知データD11を入力し、当該用紙検知データD11と用紙厚みデータDdから用紙供給部10における用紙の残量を計算し、当該用紙Pの残量と用紙単位枚当たりの給紙所要時間Tσとに基づいて用紙供給部10における用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを再計算するようになされる。
この例で、図1に示したメモリ部53には、CPU55から得られる再計算後の用紙1枚当たりの印刷所要時間tを更新して記憶するようになされる。印刷所要時間tは用紙Pの種類や、プリントジョブの種類毎に記憶される。このようにすると、更新後の印刷所要時間データDtを使用して、用紙供給部10の用紙切れ時間Tx、あるいは、その用紙切れ時刻txを算出できるようになる。
図5に示すフローチャートにおいて、ステップC41〜C44については、図4に示したステップC41〜C44の処理内容と同様となるのでその説明を省略する。
この例では、ステップC45’でCPU55は給紙所要時間Tσに基づく用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txの再計算処理を実行する。ここに給紙所要時間Tσとは単位枚数当たりの用紙Pを画像形成部20へ繰り出すのに要した時間をいう。例えば、実際に、用紙供給部10から画像形成部20へ塗工紙=50枚を給紙するのに、給紙所要時間Tσ=198[秒]を要したとする。このとき、用紙1枚当たりの印刷所要時間tはt=198/50で、実際には用紙1枚当たりの印刷所要時間tは3.96[秒/枚]であったことが分かる。
第1の実施例では、用紙1枚当たりの印刷所要時間tとして3.92[秒/枚]が算出され、これに基づいて用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを算出しているので、その算出精度を上げるためには、実際の給紙所要時間Tσから得られた用紙1枚当たりの印刷所要時間tを使用して用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを補正すればよい。
この例で、用紙検知部11の用紙検知信号S11の用紙残量出力レベルが、第1の検知時刻t1の183段階から、第2の検知時刻t2の177段階に変化していたとする。これにより、用紙Pの50枚当たりの用紙残量出力レベルの変化は、183−177=6段階である事が分かり、用紙供給部10の残枚数は、50×177/6=1475枚と推測される。これらより、第2の検知時刻t2から用紙供給部10の用紙Pが無くなるまでの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを再計算するようになされる。
上述の例で、A3塗工紙の1枚当たりの印刷所要時間t=3.92[秒/枚]は、t=3.96[秒/枚]に補正される。そして、給紙トレイ10aから塗工紙が無くなるまでの所要時間は、3.96×1475=5841[秒]により算出される。この所要時間=5841[秒]は、給紙トレイ10aが検知時刻t2から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx=1時間37分21秒を示す。
ここで検知時刻t2がプリント開示時刻=10時20分25秒から給紙所要時間Tσ=198秒後の時刻(10時23分33秒)であったとすると、用紙切れにより、画像形成部20が停止すると予測される用紙切れ時刻txは、検知時刻t2=10時23分33秒と用紙切れ時間Tx=1時間37分21秒とを加算した「12時00分54秒」であることが予測される。このように用紙P=50枚毎に再計算を行うことにより、更に、用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txの予測精度を高めることができる。
その後、ステップC46に移行して再計算後の用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txが報知対象か否かが判別される。このとき、CPU55は、再計算処理により得られた用紙切れ時間Txと所定の基準時間とを比較し、用紙切れ時間Txが所定の基準時間以下となる場合は、用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txの表示を省略するように表示部30を制御する。このように制御すると、当該プリンタ101における用紙補給の必要性が生じたときに表示をすれば良く、CPU55の表示制御に係る負担を軽減できるようになる。
この例では、再計算処理により得られた用紙切れ時間Txと所定の基準時間とを比較した結果で、用紙切れ時間Txが所定の基準時間を越える場合、ステップC47に移行してCPU55は報知処理を実行する。表示部30は、CPU55から、再計算後の給紙トレイ10aの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する表示データD30を入力して、第1の実施例で説明した用紙切れ時間Tx=「1時間38分45秒」を再計算後の現在時刻を基準にした用紙切れ時間Tx=「1時間37分21秒」に置き換え、用紙切れ時刻tx=「11時59分10秒」を再計算後の用紙切れ時刻tx=「12時00分54秒」に置き換えて表示する。例えば、表示部30には「給紙トレイ10aの次回用紙補給時刻は12:00です」等の文字映像を表示する。
また、CPU55は、演算処理により得られた用紙切れ時間Txが所定の基準時間を越えた場合に、表示部30に対して、用紙切れ時間Tx及び/又は用紙切れ時刻txを強調して表示するように表示部30を制御する。例えば、用紙切れ時間Tx及び/又は用紙切れ時刻txの文字色に対して、その背景色を赤色、青色、緑色、黄色等に強調して表示したり、用紙切れ時間Tx及び/又は用紙切れ時刻txの文字色をその背景色に対して赤色、青色、緑色、黄色等で強調して表示する。このような強調表示制御をすると、ユーザに対して当該プリンタ101における用紙補給処理の必要性を喚起できるようになり、従来方式のようにユーザがプリンタ101の前に常駐するという事態を回避できる。
なお、CPU55は、再計算処理により得られた用紙切れ時間Txと所定の基準時間とを比較し、用紙切れ時間Txが所定の基準時間以下となる場合は、用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txの表示を省略(報知処理の省略)するように表示部30を制御する。
報知処理が省略できるのは、用紙供給部10の用紙残量が、プリントジョブ設定時の印刷枚数=2000枚より多い場合と、用紙供給部10に用紙Pが十分残っていて、当該検知時刻から用紙切れに至る時間に使用が予測される用紙の消費枚数が少ない場合等である。このような表示制御を採ると、当該プリンタ101における用紙補給処理の必要性が生じたときに表示をすれば良く、CPU55の表示制御に係る負担を軽減できるようになる。そして、図3に示したステップC4にリターンする。なお、図3に示したステップC6で記録紙P’が設定枚数に到達するまで画像形成処理を繰り返すようになされる。
このように、第2の実施例としてのプリンタ101によれば、プリントジョブ開始後に、用紙検知部11から出力される用紙検知データD11を入力し、当該用紙検知データD11と用紙厚みデータDdから用紙供給部10における用紙Pの残量を計算し、当該用紙Pの残量と用紙単位枚当たりの給紙所要時間Tσとに基づいて用紙1枚当たりの印刷所要時間tを補正し、補正後の印刷所要時間tに基づいて用紙供給部10における用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを再計算するようになされる。
従って、プリントジョブ開始後に、用紙供給部10が用紙切れに至る用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙供給部10が用紙切れとなる用紙切れ時刻txを修正正することができ、より正確に用紙切れ時間Tx、あるいは、用紙切れ時刻txを報知できるようになった。
上述の実施例では、ステップC46で用紙供給部10の用紙残量が印刷枚数=2000枚よりも多い場合に、報知処理をパスする方法について説明したが、これに限られることはなく、図5において二点鎖線で示すステップC48に移行して、「画像形成中の給紙トレイ10aへの用紙補給は不要です。」というような文字表示をするように表示部30を制御してもよい。
図6は、プリンタ101における第3の実施例としての用紙供給、報知及びデータ記録例を示すフローチャートであり、図4に示したフローチャートのステップC4のサブルーチンを構成する図である。
この実施例では、図1に示したCPU55が用紙供給部10の用紙Pが実際に無くなった時点で、次回、用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txの算出に必要な実測データをデータテーブルへ記録し、及び、その記録内容(表3参照)を更新処理するようになされる。
表3によれば、実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)は、用紙1枚当たりの用紙検知部11の出力値変化量から求められ、用紙、プリントジョブ、用紙1枚当たりの印刷所要時間tに分けて記録される。例えば、第1及び第2の実施例で説明したような用紙サイズがA3版で、紙種が塗工紙で、用紙坪量が121〜160[g/m2]で、プリントジョブが両面印刷である場合であって、用紙1枚当たりの印刷所要時間tが3.96[秒/枚]と計算される場合に、用紙検知部11で実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)に「0.12mm」が記録される。
また、ユーザ登録#1により用紙”A”が設定された場合であって、そのプリントジョブが片面印刷で、用紙1枚当たりの印刷所要時間tが0.75[秒/枚]と計算される場合に、用紙検知部11で実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)に「0.09mm」が記録される。
更に、ユーザ登録#2により用紙”B”が設定された場合であって、そのプリントジョブが両面ステイプルで、用紙1枚当たりの印刷所要時間tが4.10[秒/枚]と計算される場合に、用紙検知部11で実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)に「0.15mm」が記録される。このような用紙検知部11で実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)を示す用紙厚さデータDdは、図1に示したメモリ部53の不揮発メモリ内にデータテーブル化されて記憶される。
なお、図6に示すフローチャートにおいて、ステップC41〜C47については、図5に示したステップC41〜C47の処理内容と同様となるのでその説明を省略する。これらを前提にして、図6に示すフローチャートのステップC43でCPU55は、実際に用紙供給部10の用紙Pが無くなって、用紙検知部11で用紙P=「0」枚が検出されると、ステップC48’に移行してCPU55は、次回、用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txの算出に必要な実測データをデータテーブルへ記録し、及び、その記録内容を更新処理する(表3参照)。
用紙検知部11で実測される用紙1枚当たりの厚さ(d)は、用紙供給部10の給紙トレイ10aにセットされた用紙Pが無くなるまでの通紙枚数と、第2の実施例で説明した補正後の用紙切れ時間Tx及び用紙切れ時刻txと、再計算後の印刷所要時間tとに基づいて算出される値である。第1の実施例では用紙1枚の厚さdに関して0.13mmを参照したが、この例では0.12mmに更新されている。
このように第3の実施例としてのプリンタ101によれば、表3のような印刷所要時間tや用紙1枚当たりの厚さ(d)等の実測データをデータテーブルに記録しておくようになされる。
従って、次回を始めそれ以後、図3に示したステップC1で、同じ用紙P、同じジョブが設定されたときには、第1の実施例で説明した[表2]ではなく、[表3]を参照して用紙Pの残量や、用紙切れ時間Tx、用紙切れ時刻txを直接計算できるようになる。これにより、当該プリンタ101に適合した確度の高い用紙切れ時間Txや、用紙切れ時刻tx等の予測計算をジョブ開始時直後から実行できるようになる。なお、用紙Pの種類は、プリンタ本体に個別に登録しておく紙種登録機能があれば、当該機能と連携させて紙種登録をしてもよい。
図7は、第4の実施例としての画像形成システム1の構成例を示すブロック図である。この実施例では、n台のプリンタ101〜10nを使用して数千〜数万単位の画像形成済みの記録紙P’を得る画像形成システムを構成し、n(n=2,3・・・)台のプリンタ101〜10nを中央の情報処理装置200で一括して用紙供給管理をするようにした。
図7に示す画像形成システム1は、n台のプリンタ101〜10nと、個々のプリンタ101〜10nと通信手段2により接続され、当該プリンタ101〜10nとの間で通信処理及び情報処理を実行する情報処理装置200とを備えて構成されている。通信手段2には、公衆電話回線や、専用通信回線、ローカルエリアネットワーク(LAN)等が使用される。
プリンタ101は、図1で説明したような所定の用紙Pに画像を形成する画像形成部20と、複数の用紙Pを積載されて画像形成部20へ順次用紙Pを供給する用紙供給部10と、用紙供給部10における用紙Pの積載高さを随時検知する用紙検知部11と、用紙検知部11から出力される用紙検知データD11を入力し、当該用紙検知データD11と用紙1枚の用紙厚みデータDdから用紙供給部10における用紙Pの残量を計算し、当該用紙Pの残量と用紙1枚当たりの印刷所要時間tとに基づいて用紙供給部10における用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを演算する制御部50とを有して構成される。
情報処理装置200は、各々のプリンタ101〜10nの制御部50から得られる用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する情報を入力して用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを報知処理する。情報処理装置200は、マウス13、キーボード14、制御装置15及びモニタ16を有して構成される。情報処理装置200にはデスクトップ型や、ノート型のパーソナルコンピュータが使用される。
制御装置15は、通信手段2を介して各々のプリンタ101〜10nの通信部60に接続されると共に、マウス13、キーボード14及びモニタ16に接続される。マウス13及びキーボード14は、画像形成システムで大量のプリントジョブを実行する際に、ユーザがn台のプリンタ101〜10n毎にプリントジョブを設定操作するように使用される。
図8は、画像形成システム1における情報処理例を示すフローチャートである。この実施例では、n台のプリンタ101〜10n毎に用紙Pが積載(セット)されてプリントジョブが設定され、各々のプリンタ101等にプリントジョブの実行指示が得られると、プリンタ101等の用紙供給部10から画像形成部20へ連続して用紙Pが供給され、当該画像形成部20でプリント処理が実行される。この場合において、プリント開始時に、各々のプリンタ101の用紙供給部10における用紙束の積載高さ(残量)が測定され、プリントジョブ開始時を基準にした用紙供給部10の用紙切れ時間Tx又はその用紙切れ時刻txを算出し、この算出結果を報知処理するようになされる。
これらを画像形成システムにおける用紙Pの供給処理条件にして、まず、ステップE1で制御装置15は、n台のプリンタ101〜10nにプリントジョブを設定する。このとき、モニタ16にはメニュー画面や設定画面を構成する表示データD30が入力され、当該データD30に基づく紙種、給紙トレイ10a、画像形成モード、プリント枚数、用紙サイズ、画像形成モード等のプリント条件設定画面が表示される。
ここでユーザは、マウス13やキーボード14を操作して、例えば、各々のプリンタ101〜10nの用紙供給部10の複数の給紙トレイ10aの中から、用紙坪量121〜160g/m2のA3塗工紙が積載された給紙トレイ10aを選択するように制御装置15を介してn台のプリンタ101〜10nに指示する。更に、各々のプリンタ101〜10nには制御装置15を介して画像形成モードが自動両面モードでプリント枚数が「2000枚」となるようなプリントジョブが設定される。
このような画像形成条件等のプリントジョブの設定が終わると、ユーザは、「プリントジョブを実行する」、又は、「プリントジョブをキャンセルする」等を制御装置15に指示するようにマウス13やキーボード14等を操作する。この際のプリント枚数を設定する情報や、ジョブ実行指示に関する情報は操作データD40となって、キーボード14等から制御装置15へ出力される。
次に、ステップE2で制御装置15は、ジョブ実行指示に基づいてプリントジョブを開始する。ジョブ実行指示が無い場合は、ステップE3に移行して当該プリントジョブをキャンセルするかを判別する。キャンセルする指示がなされていない場合は、ステップE1に戻ってプリントジョブの設定をやり直す処理となる。
ステップE2でプリントジョブを実行する指示が有った場合は、ステップE4に移行して制御装置15は、各々のプリンタ101〜10nの制御部50から用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する情報を受信する。そして用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txを報知処理するようにモニタ16を制御する。
この制御を受けて、ステップE5で、モニタ16は、制御装置15から、プリンタ101の給紙トレイ10aの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する表示データD30を入力して、例えば、用紙切れ時間Tx=「1時間37分21秒」及び、用紙切れ時刻tx=「12時00分54秒」を1画面中に表示する。また、モニタ16は同一画面中に、制御装置15から、プリンタ102の給紙トレイ10aの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する表示データD30を入力して、用紙切れ時間Tx=「1時間47分32秒」及び、用紙切れ時刻tx=「12時11分05秒」を表示する。
同様にして、モニタ16は同一画面中に、制御装置15から、プリンタ10nの給紙トレイ10aの用紙切れ時間Tx又は用紙切れ時刻txに関する表示データD30を入力して、用紙切れ時間Tx=「2時間07分19秒」及び、用紙切れ時刻tx=「12時31分24秒」を表示する。もちろん、「プリンタ101の次回用紙補給時刻は12:00です。」「プリンタ102の次回用紙補給時刻は12:11です。」・・・「プリンタ10nの次回用紙補給時刻は12:31です。」等のようにメッセージ表示形式により文字一覧映像や、n台のプリンタ101〜10nをアイコン画像にしたキャラクタ映像を表示するようにしてもよい。
このように、第4の実施例としての画像形成システム1によれば、ユーザがn台のプリンタ101〜10nを同時に使用して、大量のプリントジョブを行わせる場合において、各々のプリンタ101等がプリントジョブで使用している用紙供給部10毎に、プリントジョブ開始時から用紙切れに至る用紙切れ時間Tx(用紙Pの補給を必要とするまでの時間)、あるいは、現在時刻を基準とした用紙切れとなる用紙切れ時刻txを情報処理装置200に一括して表示等できるようになる。
従って、ユーザは情報処理装置200のモニタ16の表示画面等から用紙補給を必要とするプリンタ101等を容易に認知できるようになる。これにより、ユーザが各プリンタ101等の前に常駐せずとも、画像形成システム1において各々のプリンタ101等が用紙切れ状態に陥ることなく、プリントジョブを連続して実行できるようになる。
この発明は、印刷業界などにおいて、大量の用紙を供給され、連続して画像形成処理を行うカラー画像形成用又はモノクロ画像形成用のプリンタや、複写機、その複合機等に適用して極めて好適である。
実施の形態としてのプリンタ101の構成例を示すブロック図である。
(A)及び(B)は、給紙トレイ10aにおける用紙満載時及び用紙非満載時の用紙残量の算出例を示す概念図である。
第1の実施例としてのプリンタ101における画像形成例を示すフローチャート(メインルーチン)である。
用紙供給及び報知処理例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
プリンタ101における第2の実施例としての用紙供給及び報知処理例を示すフローチャートである。
プリンタ101における第3の実施例としての用紙供給、報知及びデータ記録例を示すフローチャートである。
第4の実施例としての画像形成システム1の構成例を示すブロック図である。
画像形成システム1における情報処理例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 画像形成システム
2 通信手段
10 用紙供給部
11 用紙検知部
20 画像形成部
30 表示部
40 操作部
50 制御部
51 用紙制御部
52 画像形成制御部
53 メモリ部(記憶部)
55 CPU(演算部)
60 通信部
101 プリンタ(画像形成装置)