JP3774819B2 - 工事現場の集塵器具 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、建築工事などにおけるコンクリートの破砕作業で発生した破片や粉塵を効果的に回収することができる工事現場の集塵器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の建築工事、リフォーム、ビルの解体、管路の貫通、ハツリなどの作業において、コンクリート製や石造りの床、壁、天井を破砕する作業がしばしば発生していた。このような破砕作業では、電動ドリルに取り付けたドリルを床面、壁面、天井面に接触させ、ドリルで穴を穿ったり、関通口を開口させていた。また、電動ハンマーに取り付けたビットを床面、壁面、天井面に接触させ、ビットに振動を与えることによりそれらの表面を剥がしたり、ハツルことがあった。このような破砕作業では、コンクリート製や石造りの床、壁、天井をドリルやビットで衝撃を与え、コンクリートや石を破壊してしまうことができ、ハンマーとノミによる手作業の工事よりも効率的なものであった。
【0003】
このような破砕作業では、ドリルやビットをコンクリートや石に衝撃的に衝突させ、コンクリートや石を破砕させるため、作業現場ではコンクリートや石の粉塵や小片が飛散することになっていた。このような作業環境では、細かな粉塵が飛散することとなり、特に、閉鎖した屋内で作業すると粉塵が白い霧のように漂うことになった。この粉塵が飛散している環境で作業員が空気を吸引すると、ジン肺などの原因となり、極めて非衛生なものであった。このような劣悪な作業環境で健康管理を行うために、作業員は防塵マスクを着用し、破砕作業で発生した粉塵を吸引しないように防止していた。しかし、防塵マスクを着用していても、必ずしも吸引している空気の中から全ての粉塵を除去できるものではなく、障害を完全に防止することはできにくいものであった。また、破砕作業で粉塵が発生すると、その作業をしている周辺に粉塵が流出し、防塵マスクをしていない他の作業員がコンクリートの粉塵を吸引する結果となり、二次汚染の要因となっていた。
【0004】
さらに、コンクリートや石を破砕すると、その破砕作業の終わった作業現場の周囲の床には細かな小片や粉塵が散らばり、作業後には掃除をしなければならないものであった。破砕によるコンクリートや石の粉塵は細かな粒子であり、箒で掃いても容易には清掃できず、手数が掛かるものであった。また、清掃し易いように水を散布して粉塵に湿気を与えても、水と粉塵が混ざらすにコロイド状となり、さらに掃きにくい結果となっており、清掃のための時間がかかることになっていた。このような破砕作業においては、作業後における清掃作業を省力化でき、衛生を向上させるために、粉塵を発生させないのが好ましいものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンクリート製や石造りの床、壁、天井等の破砕作業を行う際に、破砕によって発生したコンクリートや石の小片や粉塵を効果的に回収することができるものである。そして、破砕現場においては、小片や粉塵を周囲に撒き散らすことなく、真空吸引機により回収し、作業後における清掃を解消し、衛生的な環境を保持させることができる工事現場の集塵器具を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、塵埃捕獲体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項1記載の発明)。
【0007】
また、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段と、柔軟な材料で形成され、一方を大きく開口して破砕の作業をする面と接触する吸盤型をした吸着手段と、吸着手段と塵埃捕獲体を連結する結合手段と、吸着手段の内部の空気を吸引して負圧とする吸気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、吸気手段により吸着手段の内部空間を負圧として吸着手段を作業をする面で固定することで塵埃捕獲体をその位置に保持させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項2記載の発明)。
【0008】
そして、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体の側面の内外面を連通して空気の流動を行わせる導通手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を導通手段を通過させて排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項3記載の発明)。
【0009】
さらに、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体に連通され、塵埃捕獲体の内部の空気を吸引する塵埃排出手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を塵埃排出手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項4記載の発明)。
【0010】
そして、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項5記載の発明)。
【0011】
また、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ねたことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項6記載の発明)。
【0012】
さらに、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ね、切れ目が上下方向で重ならないように配置したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項7記載の発明)。
【0013】
そして、本発明では、前述の排気手段にエゼクターを接続し、エゼクターの吸引側に吸気手段を接続し、排気手段からエゼクターを通過する空気流により吸気手段から空気を吸引させることを特徴とする請求項2記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項8記載の発明)。
【0014】
【実施の態様】
以下、本発明の一実施の態様について、図面を参照しながら説明する。この図1は実施の態様における集塵器具11を上方から見た平面図であり、図2は図1中においてAーAを矢視した断面図であり、図3は集塵器具11を組み立てる前の各部品の構成を示す分解斜視図である。図1は組み立てられた状態の集塵器具11を示し、図2は組み立てられた状態の集塵器具11を壁面Bに吸着させた状態を示している。
【0015】
図1で示すように、この集塵器具11の主要な部材である吸着体12は、その外観が金ダライを逆さにして形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。この吸着体12の円形の上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート16を密着してあり、このシャッターシート16の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環17を密着して固定してある。この吸着体12の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ21を連結してあり、吸気パイプ21の中心軸は吸着体12の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ21の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント23が固着してある。さらに、直線状となった吸気パイプ21の側面であって吸着体12に接近した位置には、外径が小さく内部中空の塵埃排出手段としての分岐パイプ22の一端を結合してあり、この分岐パイプ22はその軸線を吸気パイプ21の軸線とは斜めになるように配置してある。この分岐パイプ22の他端は吸着体12の外側に挿入してあり、内部の二重になった空間(後述する)と連通してある。こうして、吸着体12の側面には枝別れした吸気パイプ21と分岐パイプ22が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0016】
次に、図2は吸着体12の内部構造を示すために上下で切断したものである。この吸着体12は図2で示すように、その内部は二重の断面構造となっており、吸着体12は負圧発生体としての負圧発生体としての外カバー体13と塵埃捕獲体としての内隔離体14とで構成されている。この外カバー体13は金ダライを伏せたような形状をしており、内隔離体14はお碗を伏せたような形状をしている。この外カバー体13の内部空間は内隔離体14の外径よりも大きく、外カバー体13に内隔離体14を収納しても両者の間には適度な隙間が形成できるような寸法となっている。外カバー体13の上面であって金ダライの底に相当する部分(図2で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の穴が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、外カバー体13の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図2で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング26を固着してあり、このクッションリング26の下面が図2で示すように壁面Bと接触することができる。
【0017】
また、内隔離体14はその下部がお碗状で上部が円筒形をしており、下方に大きく開口し、上端は円筒形をした開口があり、この上部の筒状となった開口が作業口15となっている。このため、内隔離体14はフラスコの底部分を切断して上下を貫通させたような形状となっていおり、この上部の円筒形の首部分の上端を外カバー体13の上面の円形の開口に接合してある。そして、内隔離体14の外周は半球形をしていて、その下端は水平方向に広がったリング状の平面となっていて、この平面にはスポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング27が固着してあり、このクッションリング27の下面が図2で示すように壁面Bと接触することができる。
【0018】
そして、外カバー体13の下端にある水平方向に広がったリング状の平面と、内隔離体14の下端にある水平方向に広がったリング状の平面とは、同じ高さ位置に設定してある。このため、両クッションリング26、27の平面は同じ平面位置にあり、図2で示すように、壁面Bに密着させた際には各クッションリング26、27が同時に壁面Bと接触することができる。また、外カバー体13の内部に内隔離体14を収納してあるため、外カバー体13の内部空間は二重に区切られ、クッションリング26、27が壁面Bと接触すると外カバー体13の内部は、外カバー体13の内側と内隔離体14の外側により形成された空間Cと、内隔離体14の内部に形成された空間Dに区分されることになる。
【0019】
前述した外カバー体13の金ダライを伏せた底の部分は平坦なリング状をした平面であり、この平面には円盤形をしたシャッターシート16を密着してあり、このシャッターシート16の上面の周囲にはリング状をした止め環17が密着させてある。この止め環17は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成してあり、止め環17と外カバー体13の上面をネジによって締め付けることによりシャッターシート16を上下から挟んで固定している。このシャッターシート16は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目47を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート16の切れ目47の中心は前述した内隔離体14の作業口15の中心線と一致させてある。これらの切れ目47によってシャッターシート16の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目47の中心からドリルやビットを作業口15の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目47によって細分化されたシャッターシート16の部材が密着して遮断し、空間Dから空気が逃げるのを防止することができる。
【0020】
そして、前述の外カバー体13の太鼓状となった側面には吸気パイプ21の先端が連通してあり、この吸気パイプ21の先端の開口は吸気口35となっており、吸気パイプ21と外カバー体13の内部の空間Cとが連通している。この吸気パイプ21の側面には、その軸線とは斜めの方向に向けた分岐パイプ22が連結してあり、吸気パイプ21の側面と分岐パイプ22の一端とはその内部で空気が流動できるように連通してある。また、分岐パイプ22の他方は外カバー体13の側面の突き抜けており、分岐パイプ22の他端は内隔離体14の側面に連通してある。この分岐パイプ22の他端の開口は内隔離体14の側面で吸気口44となっており、分岐パイプ22は内隔離体14の内部の空間Dと連通してある。
【0021】
次に、図3により、集塵器具11を構成する各部材を分解し、それぞれの部材の構成を詳しく説明する。
【0022】
前述した外カバー体13の全体は金ダライを伏せたような形状をしており、この外カバー体13における金ダライの底に相当する上面はリング部31となっており、このリング部31は円形をしていてその中央には開口32が貫通開口してある。この開口32の内径はリング部31の外径の半分程度に設定してあり、リング部31は平坦な環状形をしている。そして、リング部31の周囲には等間隔にネジ穴37が開口してある。平坦なリング部31の外周には下方に向かって膨らんだやや円筒形の胴部33が接続してあり、胴部33は金ダライの周面部に対応するものとなっている。この胴部33は図3で示すように、下方に向かって外径が拡大してカーブを描いており、胴部33の下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部34が連結してあり、圧着部34は金ダライの縁部に対応するものとなっている。なお、胴部33の側面には円形をした吸気口35が貫通開口してあり、胴部33の側面であって吸気口35に接近した位置には導通口36が貫通開口してある。
【0023】
前述した内隔離体14は外カバー体13の内部空間に収納されるものであり、この内隔離体14の外形はフラスコの下半分を切断したような形状となっている。この内隔離体14の上部は円筒形をした首部41であり、この首部41の中央の開口が図2で示す作業口15と対応している。そして、首部41の下部にはスカート部42が連続して接続してあり、スカート部42はお碗を伏せたような形状であり、下方に向かって円弧形となるようなカーブを描いている。スカート部42の広がった下端の円形となった周縁には圧着部43が連結してあり、この圧着部43は水平方向に広がったリング形をしている。なお、スカート部42の側面には分岐パイプ22を接続する吸気口44を開口してある。
【0024】
外カバー体13と内隔離体14はこのような形状に形成してあり、両者はFRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。これらの外カバー体13と内隔離体14を組み立てるには、首部41の上端を開口32に挿入し、首部41の上端外周と開口32の内周との間に接着剤を注入することで両者を結合させる。こうして、外カバー体13の内部空間に内隔離体14が収納されて固定され吸着体12として組み立てられ、外カバー体13の内部には図2で示すような二重の空間が区分されたことになる。このように外カバー体13と内隔離体14を組み立てた状態において、圧着部34の下面と圧着部43の下面とが同じ平面となるように設定しておく。
【0025】
このように組み立てられた外カバー体13の側面にある吸気口35には吸気パイプ21の先端を嵌め合わせ、吸気口35の内周と吸気パイプ21の先端外周の間に接着剤を注入することにより、吸気パイプ21を吸気口35に連結する。吸気パイプ21を吸気口35に嵌め込むと同時に、分岐パイプ22を導通口36に挿入して外カバー体13の内部に挿通させ、さらに、分岐パイプ22の先端を吸気口44の内周に嵌め合わせる。そして、分岐パイプ22の先端外周と吸気口44の内周との間に接着剤を注入し、分岐パイプ22を吸気口44に固着する。なお、分岐パイプ22の一端は予め吸気パイプ21の側面に固着してあり、Yの字形に枝分かれした形状で準備されており、分岐パイプ22と吸気パイプ21はその内部で空気が流動できるように連通させてある。
【0026】
次に、前述したシャッターシート16の構成を図4と共に説明すると、シャッターシート16はやや肉厚のビニール板やゴム板等の男性力をもつ材料を素材とした円盤形であり、その外径はリング部31の外径とほぼ同一となるように設定してある。このシャッターシート16の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目47が直線状に切り込んであり、各切れ目47の終端はシャッターシート16の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート16の中心より放射状に切れ目47を切り込むことにより、シャッターシート16の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片49が分離されたことになる。このシャッターシート16の素材は弾性力のあるビニール板やゴム板を素材としているので、分離された各弾性三角片49は上側や下側に対して反復力を持って曲げることができる(図4のように、上側に曲げた状態を参照のこと)。このように、各弾性三角片49がその三角形の底辺を周囲に結合したままで、弾性力をもって曲げることができるため、切れ目47の中心線にドリルやビットを挿入すると、各弾性三角片49はそれぞれ挿入方向に曲げられるため、ドリルやビットの挿入に対して抵抗を生じなく進入させることを許容する。しかも、各弾性三角片49は復元力があるため、挿入されたドリルやビットの周囲に密着し、空気が漏れないように遮蔽している。なお、シャッターシート16の周囲には、間隔を置いて複数箇所にネジ穴48を上下に貫通開口してある。
【0027】
そして、止め環17は薄肉の金属材料を素材とし、その外径はシャッターシート16の外径とほぼ同一に設定してあり、その中心にはやや径の大きい開口を開通してある。このため、止め環17は幅の狭い大径のリング形状をしており、止め環17の周囲には、間隔を置いて複数箇所にネジ穴50を上下に貫通開口してある。
【0028】
このシャッターシート16と止め環17を吸着体12に取り付けるには、シャッターシート16をリング部31の上面に密着させ、シャッターシート16の上面に止め環17を密着させ、各ネジ穴37、48、50の位置を一致させる。そして、ボルト51を止め環17の上方からネジ穴50、48、37の順に挿入し、各ボルト51の下端をリング部31の下面に突出させる。そして、リング部31の裏側よりナット52をボルト51にネジ込み、ナット52を締め付けることによりリング部31にシャッターシート16と止め環17を固定することができる。こうすると、シャッターシート16の上下面は止め環17とリング部31によって挟み込まれて固定されたことになり、しかも、シャッターシート16の中央部分は止め環17の中央に形成した開口で開放されていて、外部に露出していることになる。
【0029】
前述したクッションリング26、27はスポンジや発泡性ゴムを素材としており、弾性があり、かつ、原型に反復できる能力を持ったいる。このクッションリング26はその外径を圧着部34の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング26は圧着部34の下面に接着剤などで気密に固定してある。同様に、クッションリング27はその外径を圧着部43の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング27は圧着部43の下面に接着剤などで気密に固定してある。各クッションリング26、27は弾性があるため、図2で示すように、圧着部34、43を壁面Bに向けて押し当てると、クッションリング26、27が壁面Bと密着し、その弾性によって壁面Bの表面形状に沿って変形し、空気が外カバー体13、内隔離体14の内部空間より漏れ出さないように防いでいる。
【0030】
このように組み立てられた本実施の態様の集塵器具11を使用し、実際にコンクリートの壁面Bを破砕する作業を図5と共に説明する。
【0031】
コンクリート製の壁面B(例えば、完成したビルの屋内や躯体など)であって、これからこの壁面Bに穴を開口しようとする位置に集塵器具11を設置する。この設置では、集塵器具11にあるシャッターシート16の中心(切れ目47の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。そして、外カバー体13におけるクッションリング26と内隔離体14におけるクッションリング27をそれぞれ壁面Bの表面に密着させる。そして、ジョイント23の開口に連通ホース58の一端を接続し、連通ホース58の他端は真空吸引機56に設けた接続パイプ57に連結する。この真空吸引機56は、内部に収納した電動モーターにより駆動される吸引ポンプを持ち、塵埃と空気を分離できる塵埃回収袋を収納しており、従来から一般に知られている真空掃除機と同一の構成である。通常は、この真空吸引機56を掃除機として使用し、接続パイプ57にはホースを接続して、床面のゴミや塵埃を吸引して清掃作業に用いることができる。そして、接続パイプ57から吸引したゴミや塵埃は紙又は布で形成された塵埃回収袋で捕獲されて分離できる作用を持っている。
【0032】
この真空吸引機56を作動させると、接続パイプ57、連通ホース58を介して吸気パイプ21から空気を真空吸引機56の方向に吸引し、集塵器具11の内部の空気を排出することで大気圧よりも低い圧力に維持させる。つまり、図2で示したように吸気パイプ21、分岐パイプ22の先端の開口の吸気口35、吸気口44からは空気が常時真空吸引機56に吸引されており、空間C、D内の空気圧を負圧となるように保持させる。この空気の排出において、空間Cでは外カバー体13と内隔離体14によって区切られ、下方(図5では壁面Bの表面に密着した側)の開口はクッションリング26、27により気密性を持って壁面Bと密着しているため、外部からは空気の流動が無い閉鎖されたドーナッツ状の空間となる。このように、空間Cは外部とは気密に閉鎖され、しかも、空気が吸気口35より排出されているため、大気圧は外カバー体13の外面を押さえつけ、外カバー体13(すなわち、集塵器具11全体でもある)を壁面Bから落下しないように固定することになる。このため、集塵器具11全体は壁面Bに保持されたまま、最初に設定した位置に止められて落下することがない。この真空吸引機56を作動させ、吸気口35から空間Cの内圧を負圧に維持している限りは、集塵器具11は壁面Bに吸着させられ続けることになる。
【0033】
このように集塵器具11を壁面Bに吸着させたままの状態で、電動ハンマー61に取り付けたビット62の先端をシャッターシート16の中央に挿入する(このビット62は超硬質合金で形成されたもので、電動ハンマー61を駆動させることにより強力に前後進して、コンクリートの壁面Bに穴を穿つことができるものである)。このビット62をシャッターシート16の中央に挿入すると、切れ目47で仕切られたそれぞれの弾性三角片49はその弾性で曲げられ、ビット62の進入を妨げることがない。このため、ビット62の先端は図2で示す、内隔離体14の内部に位置した壁面Bの面に接触することができる。このビット62を挿入した後では、それぞれの弾性三角片49がビット62の側面にその弾性で密着し、空気が外部から空間Dに流入して圧力が高くならないように抑制している。このようにビット62を挿入したなら、電動ハンマー61を駆動させるとビット62は壁面Bに強い衝撃力で衝突し、壁面Bに所定の径の穴を穿つことができる。そして、このビット62が壁面Bに衝突してコンクリートを穿つと、コンクリートの破片や粉塵が剥離し、空間Dの内部に充満することになる。この時には真空吸引機56が作動していて空間D内の空気を吸気口44を介して吸引し、空間Dを負圧に維持していることから、剥離した破片や粉塵は吸気口44、分岐パイプ22、吸気パイプ21、連通ホース58、接続パイプ57の順に空気と共に真空吸引機56の内部に吸引される。なお、空間D内の空気が吸引されることにより不足した空気は、切れ目47より適度の流量で流入し、吸引する空気の不足を補っている。
【0034】
この真空吸引機56には紙又は布による塵埃回収袋を収納してあり、接続パイプ57より吸引した空気をこの塵埃回収袋に通過させ、塵埃回収袋で空気だけを外部に放出させ、コンクリートの破片や塵埃は塵埃回収袋の表面で捕獲する。このため、ビット62で壁面Bを穿つことによりコンクリートの破片や塵埃が発生するが、破片や塵埃は外部から閉鎖されて負圧となった内隔離体14の内部で発生し、集塵器具11の外部に飛散させることがなくなる。そして、発生した破片や塵埃は真空吸引機56により吸引され、その塵埃回収袋で分離させられ、清浄な空気だけが真空吸引機56より排出されるので、外部に飛散させることがない。このように、破片や塵埃の発生から捕獲までを外部から閉鎖された空間内で処理するので、壁面Bを破砕している作業現場の周囲には破片や塵埃を飛散させることなく、清潔に維持したままで作業を進めることができる。
【0035】
こうして、真空吸引機56を駆動させながら、ビット62により壁面Bを穿っていると、切れ目47による隙間から空気が空間Dに流入することがあっても、シャッターシート16の内側の空気と破片や塵埃は外部に流出せず、これらは吸気口44より真空吸引機56の方向に流動して回収される。そして、破砕作業を継続することでビット62がコンクリートの壁面Bに穴を穿ったり、開口を貫通させたならば、電動ハンマー61とビット62を図5において手前に引くとビット62はシャッターシート16より抜き出される。ビット62をシャッターシート16から抜き出すと、切れ目47によって区分けされた各弾性三角片49はその弾性力で元の位置に戻り、平坦な形状に復帰し、外部の空気が空間Dに流入することを防ぐことがでる。この後、真空吸引機56の動作を停止させると、吸気口35より空間C内の空気の吸引が停止され、空間Cで発生していた負圧がなくなり、大気圧による集塵器具11を押さえる圧力が解除される。すると、集塵器具11が壁面Bに吸着していた力が解消されるので、集塵器具11は壁面Bより離れることができ、次に破砕作業する位置に集塵器具11を移動させることができる。
【0036】
次に、図6、図7、図8、図9により本発明の第二の実施の態様を説明する。ここで、図6は第二の実施の態様である集塵器具71を上面から見た平面図、図7は図6中におけるEーEを矢視した断面図、図8は集塵器具71を構成する各部材を分解して示しす分解斜視図、図9はこの集塵器具71に用いるエゼクター136の構造を示す断面図である。
【0037】
この第二の実施の態様は前述した第一の実施の態様と異なり、集塵器具71の主要な部材である塵埃捕獲体としてのカバー体72は二重構造でなく、単一の空間を持った構造である。図6、図7で示すように、カバー体72はその外観が金ダライを逆さにして形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。このカバー体72の円形の上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート74を密着してあり、このシャッターシート74の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環75を密着して固定してある。このカバー体72の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ77を連結してあり、吸気パイプ77の中心軸はカバー体72の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ77の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント78が固着してある。こうして、カバー体72の側面には吸気パイプ21が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0038】
そして、止め環75の上面における等間隔に離れた三箇所には金属製の結合手段としての吸着脚81、82、83の一端がそれぞれ固着してあり、各吸着脚81、82、83は図6で示すように外方に向かって放射状に配置されている。これらの吸着脚81、82、83は帯状をした薄肉の金属片を材料としており、それらの他端はそれぞれカバー体72の開口方向に向けられており、吸着脚81の他端には吸着手段としての吸着キャップ84が固着してあり、吸着脚82の他端には吸着キャップ85が固着してあり、吸着脚83の他端には吸着キャップ86が固着してある。この吸着キャップ84には吸気手段としての吸気ホース87の一端を接続し、吸着キャップ85には吸気ホース88の一端を接続し、吸着キャップ86には吸気ホース89の一端を接続してある。各吸気ホース87、88、89はそれぞれ空気を流動できるように内部が中空のチューブ状をしており、各吸気ホース87、88、89の他端はまとめられて合流器90に接続してあり、合流器90には蛇腹状のホース(後述する)に接続するためのジョイント91を接続してある。
【0039】
次に、図7は集塵器具71の内部構造を示すために、図6中でEーEで上下に切断して矢視したものである。前述したカバー体72は図7で示すように、金ダライを伏せたような形状をしている。このカバー体72の上面であって金ダライの底に相当する部分(図7で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の穴が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、カバー体72の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図7で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング79を固着してあり、このクッションリング79の下面が図7で示すように壁面Gと接触することができる。このクッションリング79が壁面Gに接触した状態では、カバー体72の内部には外部から隔離された空間Fが形成されることになる。
【0040】
さらに、カバー体72の側面であってその厚みの半分程度の高さ位置には、このカバー体72の内外を連通するための吸気口100が開口してあり、この吸気口100には吸気パイプ77の一端を挿入し、接着剤などを注入することにより両者を気密に連結してある。この吸気口100は楕円形に開口してあり、断面円形の吸気パイプ77の一端を挿入し、カバー体72の周面に軸線を斜めにして吸気パイプ77を配置することができる。こうして、吸気パイプ77はカバー体72内の空間Fと連通することになる。この吸気パイプ77は真空吸引器に連通して空気を流動させることができるように中空の形状をしており、吸気パイプ77の他端には蛇腹等のホース(後述する)を接続するためのジョイント78が連結してある。
【0041】
前述したカバー体72の金ダライを伏せた底の部分はその中心に作業口73を開口した平坦なリング状をした平面であり、この平面には円盤形をしたシャッターシート74を密着してあり、このシャッターシート74の上面の周囲にはリング状をした止め環75が密着させてある。この止め環75は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成したものである。この止め環75の上面の三方には吸着脚81、82、83の一端の下面が接触してある(なお、図7では吸着脚83は手前側にあるため図示されない)。そして、それぞれの吸着脚81、82、83の上面より、止め環75、シャッターシート74、カバー体72にボルト113、114、115を挿入し、それぞれの下端にナット116、117、118をネジ込んで締め付けることによりシャッターシート74を上下から挟んでカバー体72に固定することができる。こうすると、シャッターシート74の上下面は止め環75とリング部96によって挟み込まれて固定されたことになり、しかも、シャッターシート74の中央部分は止め環75の中央に形成した開口で開放されていて、外部に露出していることになる。
【0042】
次に、このシャッターシート74は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目105を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート74の切れ目105の中心は作業口73の中心線と一致させてある。これらの切れ目105によってシャッターシート74の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目105の中心からドリルやビットを作業口73の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目105によって細分化されたシャッターシート74の部材が密着して遮断し、空間Fから空気が逃げるのを防止することができる。
【0043】
各吸着脚81、82、83は帯状をした細長い薄肉の金属片より形成されており、図7で示すように、各吸着脚81、82、83は側面より見てZ字形を引き伸ばしたような形状に二箇所で交互に折り曲げられている。各吸着脚81、82、83の一端の下面は止め環75の上面に密着させてあり、他端は放射状に拡大して配置してある。そして、伸ばしたZ字形の吸着脚81、82、83の他端はカバー体72の開口方向(図7で下方)に向けて配置してあり、吸着脚81の他端の下面には吸着キャップ84を固着し、吸着脚82の他端の下面には吸着キャップ85を固着し、吸着脚83の他端の下面には吸着キャップ86を固着してある。各吸着キャップ84、85、86は何れもゴムなどの柔軟な材料で形成され、お碗を伏せたような形状となっていて、下方に向けて大きく開口を持ち、お碗の底の部分をそれぞれ吸着脚81、82、83に固定してある。このため、吸着キャップ84、85、86は吸盤のような断面形状となっており、壁面Gの側面に吸着することができる。なお、各吸着キャップ84、85、86のそれぞれの開口端の位置は、図7で示すようにクッションリング79の平面と同じ位置になるように設定してある。
【0044】
そして、吸着キャップ84には吸気ホース87の一端を接続し、吸着キャップ85には吸気ホース88の一端を接続し、吸着キャップ86には吸気ホース89の一端を接続してある。各吸気ホース87、88、89は内部が中空のチューブ状をしたものであり、各吸気ホース87、88、89の他端はまとめられて合流器90に接続してある。この合流器90は、内部が空洞であり、それぞれの吸気ホース87、88、89と均一に空気の流動を許容することができるように、その内部空間と吸気ホース87、88、89の終端開口とを連通してある。また、合流器90には蛇腹などのホース(後述する)と接続するためのジョイント91が接続してある。
【0045】
次に、図8によって集塵器具71を構成する各部材の構造をより具体的に説明する。
【0046】
この集塵器具71の主要な部分であるカバー体72は金ダライを伏せたような形状をしており、FRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。カバー体72の金ダライの底に相当する上面は平坦なリング部96となっており、このリング部96の外周はは円形をしていて、その中央には作業口73が貫通開口してある。この作業口73の内径はリング部96の外径の半分程度に設定してあり、リング部96は平坦な環状形をしていることになる。そして、リング部96の周囲には等間隔にネジ穴97が開口してある。この平坦なリング部96の外周からは下方に向かって膨らんでカーブを描いた外形をした胴部98が接続してあり、胴部98は金ダライの外周面に対応している。この胴部98は下方に向かうにつれて径大となるように膨らみ、その下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部99が連結してあり、圧着部99は金ダライの縁部に対応している。なお、胴部98の側面には楕円形をした吸気口100が貫通開口してある。これらのリング部96、胴部98、圧着部99は射出成形等によって一体となるように形成されている。
【0047】
このよう形状の外カバー体72の側面に開口した吸気口100には吸気パイプ21の先端を嵌め合わせてあり、吸気口100の内周と吸気パイプ21の先端外周の間に接着剤を注入し、吸気パイプ21を吸気口100に気密に接着する。また、圧着部99の円環形となった下面には、リング状のクッションリング79が密着して固定してある。このクッションリング79はスポンジや発泡性ゴム等の弾性力を持つ材料で形成され、その内外径は圧着部99の内外径とほぼ同一となるように設定してある。
【0048】
次に、シャッターシート74は前述した図4で示すシャッターシート16と同じ形状であり、厚いビニール板やゴム板などの弾性力のある材料で形成されている。シャッターシート74は円盤形をしており、中心よりその外周方向に向けて複数の切れ目105が放射状に切り込まれ、三角形をした複数の小片に分離してある。そして、シャッターシート74の周囲にはネジ穴106が複数箇所に開口してある。止め環75は薄肉の金属製板を打ち抜いて形成してあり、内径が大きいリング状の形状をしており、止め環75の外径はシャッターシート74の外径とほぼ同一となるように設定してある。この止め環75の周囲には等間隔でネジ穴107を複数開口してある。
【0049】
このカバー体72の上部の周囲に固定される吸着脚81、82、83はそれぞれ同一の形状であり、金属製の細長い帯状をした板を交互に折り曲げることによって形成してある。すなわち、吸着脚81、82、83はそれぞれ帯状の細長い金属板をその前側と後側から1/3程度の長さの位置で逆の方向に交互に折り曲げ、引き伸ばしたような変形のZ字形に形成してある。この吸着脚81の一端にはネジ穴108を開口し、他端には挿通穴125を開口してある。また、吸着脚82の一端にはネジ穴109を開口し、他端には挿通穴126を開口してある。さらに吸着脚83の一端にはネジ穴110を開口し、他端には挿通穴127を開口してある。
【0050】
これらのシャッターシート74、止め環75、吸着脚81、82、83をカバー体72に固定するには、シャッターシート74の下面をリング部96の上面に密着させ、シャッターシート74の上面外周に止め環75の下面を密着させ、止め環75の上面に吸着脚81、82、83のそれぞれの一端の下面を密着させる。この後、カバー体72の上方より、ボルト113をネジ穴108、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト113の先端にナット116をネジ込んで締め付ける。また、ボルト114をネジ穴109、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト114の先端にナット117をネジ込んで締め付ける。さらに、ボルト115をネジ穴110、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト115の先端にナット118をネジ込んで締め付ける。このようにして、ボルト113、114、115とナット116、117、118を締め付けることにより、シャッターシート74、止め環75、吸着脚81、82、83は何れもカバー体72の上面に固定され、各吸着脚81、82、83はリング部96の中心より放射状に三方向に拡大して配置することができる。
【0051】
次に、前述した吸着キャップ84、85、86はそれぞれゴム等の柔軟性のある材料で形成されており、下方が大きく開口したお碗型をしており、いわゆる吸盤の形状である。この吸盤型をした吸着キャップ84のお碗の底に対応する頂部には、内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ128が突起してあり、吸着キャップ85のお碗の底に対応する頂部には内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ129が突起してあり、吸着キャップ86のお碗の底に対応する頂部には内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ130が突起してある。この吸着キャップ84を吸着脚81に固定するには、取付けパイプ128を挿通穴125に挿入し、突出した取付けパイプ128の先端より固定ナット131をネジ込むことで行うことができる。また、吸着キャップ85を吸着脚82に固定するには、取付けパイプ129を挿通穴126に挿入し、突出した取付けパイプ129の先端より固定ナット132をネジ込むことで行うことができる。さらに、吸着キャップ86を吸着脚83に固定するには、取付けパイプ130を挿通穴127に挿入し、突出した取付けパイプ130の先端より固定ナット133をネジ込むことで行うことができる。
【0052】
このように各吸着脚81、82、83にそれぞれ吸着キャップ84、85、86をそれぞれ固着すると、各吸着脚81、82、83の他端の上面には取付けパイプ128、129、130が突起することになる。この取付けパイプ128には吸気ホース87の一端を結合し、取付けパイプ129には吸気ホース88の一端を結合し、取付けパイプ130には吸気ホース89の一端を結合させる。そし、これらの吸気ホース87、88、89のそれぞれの他端を取りまとめ、合流器90に連通させる。この合流器90は、その内部が空洞となっていて、各吸気ホース87、88、89の終端開口と空洞が連通することにより、吸気ホース87、88、89から流動してきた空気はこの合流器90で混合される。前述したカバー体72における胴部98の側面には吸気口100が貫通開口してあり、この吸気口100に吸気パイプ77の先端を挿入して、吸気口100の内周面と吸気パイプ77の先端外周の間に接着剤を注入して、吸気パイプ77を胴部98に気密に固着することができる。
【0053】
次に、図9は本実施の態様において、ジョイント91及び合流器90から空気を吸引するために負圧を発生させるエゼクター136の内部構造を示したものである。
【0054】
このエゼクター136では、その主要部は本体パイプ137であり、この本体パイプ137は両端が開口してその内部が中空のパイプ状であり、本体パイプ137の一端(図9中右側)には蛇腹などと接続するための接続パイプ138を連結してある。この本体パイプ137の内部の中央には、その内径を狭くした開口を形成した絞り体139と140が間隔を置いて固定してあり、この絞り体139と140の間に負圧を発生させるための空間Gを形成してある。そして、この本体パイプ137の側面であって絞り体139と140の間の位置には、直角方向に横パイプ141が接続してあり、横パイプ141の他端にはL字形に折り曲げられた接続パイプ142が接続してある。このため、接続パイプ142の終端開口より本体パイプ137の空間Gとは空気が流動できるように連通されていることになる。
【0055】
次に、この実施の態様における集塵器具71を用いて、破砕作業で使用する場合を図10と共に説明する。
【0056】
コンクリート製の壁面Gであって、これからこの壁面Gに穴を開口しようとする位置に集塵器具71を設置する。この設置では、集塵器具71にあるシャッターシート74の中心(切れ目105の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。すると、図7で示すようにカバー体72のクッションリング79の平面は壁面Gに密着させられ、同時に、各吸着キャップ84、85、86のそれぞれの開口も壁面Gに密着させられる。前述のジョイント78には蛇腹状の空気を流通させる連通ホース148の一端を接続し、連通ホース148の他端はエゼクター136における接続パイプ138に接続する。そして、ジョイント91には蛇腹状の空気を流通させる吸引ホース149の一端を接続させ、吸引ホース149の他端はエゼクター136における接続パイプ142に接続する。さらに、エゼクター136の他方の開口は、真空吸引機146に突出させて外部から真空吸引機146に向けて空気を吸引する接続パイプ147と接続してある。この真空吸引機146は従来から一般に清掃の作業に用いるものであり、内蔵したモーターを作動させることにより接続パイプ147より内部に空気を吸引することができるものである。真空吸引機146の内部には、布又は紙製の塵埃回収袋を収納しており、接続パイプ147から吸引した空気から塵埃を捕獲する作用を持っている。
【0057】
この真空吸引機146に電源を投入して作動させ、接続パイプ147から内部に向けて空気を吸引すると、エゼクター136、連通ホース148、ジョイント78、吸気パイプ77を通じてカバー体72内の空間Fにある空気は吸い込まれる。そして、この空気がエゼクター136内で流動すると、図9で示すように、エゼクター136の内部に設けた絞り体139と140の径の細い部分では空気は高速で通過することになる。すると、この高速で空気が流動することにより空間Hでは周囲の空気が巻き込まれて吸引され、空間Hの内圧を負圧にさせる。空間Hが負圧となることから、周囲の空気はエゼクター136の中心を高速で流動している空気に巻き込まれるようにして吸引され、横パイプ141、接続パイプ142から空気を吸引する作用を発生する。
【0058】
すると、接続パイプ142に接続した吸引ホース149を介してジョイント91、合流器92より順に空気を吸引し、合流器92に接続した各吸気ホース87、88、89からそれぞれ空気を吸引することになる。この吸気ホース87の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ128を介して吸着キャップ84の内部空間の空気を排出し、吸気ホース88の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ129を介して吸着キャップ85の内部空間の空気を排出し、吸気ホース89の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ130を介して吸着キャップ86の内部空間の空気を排出することになる。各吸着キャップ84、85、86は図7で示すようにそれぞれ吸盤状をしていて、しかも、柔軟なゴムで形成してあるため、それらの内部空間が負圧となると吸着キャップ84、85、86は外部の大気圧より押されて変形し、それぞれの開口を壁面Gの平坦な面と強力に吸着して離れなくなる。このため、吸着キャップ84、85、86による吸引力は吸着脚81、83、83を介してカバー体72全体が壁面Gより落下しないように保持することにになり、穿孔しようとする壁面Gの位置にカバー体72を固定することができる。
【0059】
このように、真空吸引機146を作動させると、カバー体72をその作業位置の壁面Gに保持することができ、この後、電動ハンマーのビット(図10では省略しているが、図5において図示している)をシャッターシート74の切れ目105の中心に挿入する。シャッターシート74では、その平面が切れ目105によって複数の三角形の小片に分離されているため、ビットは三角形の小片を弾性をもって押し広げて自由に挿入することができる。このビットの先端を壁面Gの表面に接触させ、電動ハンマーを駆動すると、ビットは強力に壁面Gに振動を与え、コンクリートの表面に穴を穿つ作用をする。
【0060】
こうして、ビットにより壁面Gに穴を穿ったり、開口を貫通させる作業をすると、ビットの振動により壁面Gからはコンクリートの破片や粉塵が発生することになる。しかし、真空吸引機146が作動されていて、カバー体72内の空間Fにある空気が常時吸引されているため、発生したコンクリートの破片や粉塵は空気と共に吸気パイプ77の方向に流動され、ジョイント78、連通ホース148、接続パイプ138、接続パイプ147を通過し、真空吸引機146にまで吸引される。この真空吸引機146の内部には塵埃回収袋が収納してあり、この塵埃回収袋は空気は通すが粉塵はその膜面で捕獲して回収するため、カバー体72内の空間Fより吸引した空気よりコンクリートの破片や粉塵を捕獲して、外部には分散させることがない。こうして、外部からは閉鎖されたカバー体72内の空間Fと真空吸引機146により、壁面Gを穿ったことにより発生した破片や塵埃は外部に流出することなく、清浄になった空気だけを排気するので、作業現場に塵埃の煙を流出することなく、衛生的に作業を行うことができる。なお、カバー体72内の空間Fにある空気を排出していると、その排出した空気に見合う量の空気はシャッターシート74の切れ目105より流入して補充している。
【0061】
そして、真空吸引機146を作動させている限りは、吸着キャップ84、85、86の内部の空間は負圧となり、カバー体72が壁面Gより落下しないように保持している。だが、集塵器具71を壁面Gから取り外すには、真空吸引機146の動作を停止させ、吸着キャップ84、85、86の吸盤となった内部空間で負圧を発生しないように解除すると、各吸着キャップ84、85、86は壁面Gとの吸引力が解消され、集塵器具71は壁面Gから容易に取り外すことができる。この第二の実施の態様では、第一の実施例のように、カバー体72内が二重にならず、カバー体72の内部空間Fを広く使用することができる。また、吸着キャップ84、85、86による吸引力でカバー体72を壁面Gに保持することができるので、カバー体72を強力に固定することができる。
【0062】
次に、図11乃至図15は本発明の第三の実施の態様を示すものであり、各図面を参照しながら第三の実施の態様について説明する。図11はこの実施の態様における集塵器具161を上方から見た平面図であり、図12は図11中においてJーJを矢視した断面図であり、図13は集塵器具161を組み立てる前の各部品の構成を示す分解斜視図である。図11は組み立てられた状態の集塵器具161を示し、図12は組み立てられた状態の集塵器具161を壁面Kに吸着させた状態を示している。
【0063】
図11で示すように、この集塵器具161の主要な部材である吸着体162は、その外観が金ダライを逆さに伏せたような形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。この吸着体162の底に対応する上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート167、168を密着してあり、このシャッターシート167、168の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環169を密着して固定してある。この吸着体162の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ171を連結してあり、吸気パイプ171の中心軸は吸着体162の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ171の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント173が固着してある。こうして、吸着体162の側面には吸気パイプ171が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0064】
次に、図12は吸着体162の内部構造を示すために、図11中のJーJで示す線で上下で切断したものである。この吸着体162は図12で示すように、その内部は二重の断面構造となっており、吸着体162は負圧発生体としての外カバー体163と塵埃捕獲体としての内隔離体164とで構成されている。この外カバー体163は金ダライを伏せたような形状をしており、内隔離体164はお碗を伏せたような形状をしている。この外カバー体163の内部空間は内隔離体164の外径よりも大きく、外カバー体163に内隔離体164を収納しても両者の間には適度な隙間が形成できるような寸法となっている。外カバー体163の上面であって金ダライの底に相当する部分(図12で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の作業口165が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、外カバー体163の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図12で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング176を固着してあり、このクッションリング176の下面が図12で示すように壁面Kと接触することができる。
【0065】
また、内隔離体164はお碗を伏せたような形状をしており、下方に大きく開口していて、上部のお碗の底に対応する位置には作業口166が開口してあり、リング状の形状となっている。この内隔離体164の外周は半球形をしていて、その下端は水平方向に広がったリング状の平面となっていて、この平面の下面にはスポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング177が固着してあり、このクッションリング177の下面が図12で示すように壁面Kと接触することができる。
【0066】
そして、外カバー体163の下端にある水平方向に広がったリング状の平面と、内隔離体164の下端にある水平方向に広がったリング状の平面とは、同じ高さ位置に設定してある。このため、両クッションリング176、177の平面は同じ平面位置にあり、図12で示すように、壁面Kに密着させた際には各クッションリング176、177が同時に壁面Kと接触することができる。また、外カバー体163の内部に内隔離体164を収納してあるため、外カバー体163の内部空間は二重に区切られ、クッションリング176、177が壁面Kと接触すると外カバー体163の内部は、外カバー体163の内側と内隔離体164の外側により形成された空間Lと、内隔離体164の内部に形成された空間Mに区分されることになる。
【0067】
前述した外カバー体163の金ダライを伏せた底の部分は平坦なリング状をした平面であり、この平面の上部には円盤形をしたシャッターシート167、168が上下に密着してあり、このシャッターシート168の上面の周囲にはリング状をした止め環169を密着してある。この止め環169は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成してあり、止め環169と外カバー体163の上面をネジによって締め付けることによりシャッターシート167、168を上下から挟んで固定している。これらのシャッターシート167、168は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目197、199を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート167、168の切れ目197、199の中心は前述した外カバー体163の作業口165の中心線と一致させてある。これらの切れ目197、199によってシャッターシート167、168の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目197、199の中心からドリルやビットを作業口165、166の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目197、199によって細分化されたシャッターシート167、168の部材が密着して遮断し、空間Mから空気が逃げるのを防止することができる。
【0068】
そして、前述の外カバー体163の太鼓状となった側面には吸気パイプ171の先端が連通してあり、この吸気パイプ171の先端の開口は外カバー体163の側面に開口した吸気口185と連通してあり、吸気パイプ171と外カバー体163の内部の空間Lとが連通している。また、内隔離体164の側面には内外壁を貫通するように導通手段としての吸気口194が開口してあり、この吸気口194によって内隔離体164の空間Mと外カバー体163の内部の空間Lとを連通させている。
【0069】
次に、図13により、集塵器具161を構成する各部材を分解し、それぞれの部材の構成を詳しく説明する。
【0070】
前述した外カバー体163の全体は金ダライを伏せたような形状をしており、この外カバー体163における金ダライの底に相当する上面はリング部181となっており、このリング部181の外周は円形をしていてその中央には作業口165が貫通開口してある。この作業口165の内径はリング部181の外径の半分程度に設定してあり、リング部181は平坦な環状形をしている。そして、リング部181の周囲には等間隔にネジ穴187が開口してある。平坦なリング部181の外周には下方に向かって膨らんだやや円筒形の胴部183が接続してあり、胴部183は金ダライの周面部に対応するものとなっている。この胴部183は図13で示すように、下方に向かって外径が拡大してカーブを描いており、胴部183の下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部184が連結してあり、圧着部184は金ダライの縁部に対応するものとなっている。なお、胴部183の側面には円形をした吸気口185が貫通開口してあり、胴部183の側面であって吸気口185の周囲には複数のネジ穴188を開口してある。
【0071】
前述した内隔離体164は外カバー体163の内部空間に収納されるものであり、この内隔離体164の外形はお碗を伏せたような形状となっている。この内隔離体164のお碗の底に対応する上面はリング部191となっていて、このリング部191の外周は円形をしていてその中央には作業口166を開口してある。この作業口166は、前述した外カバー体163の作業口165と同じ内径で貫通開口してあり、リング部191の周囲には等間隔でネジ穴195が開口してある。そして、リング部191の外周には下方に向かって拡大したスカート部192が連続して接続してあり、スカート部192はお碗の外周部に対応する形状となり、下方に向かって円弧形となるようなカーブを描いている。スカート部192の広がった下端の円形となった周縁には圧着部193が連結してあり、この圧着部193は水平方向に広がったリング形をしている。なお、スカート部192の側面には吸気口194を開口してある。
【0072】
次に、前述したシャッターシート167、168の構成を図14と共に説明する。それぞれのシャッターシート167、168はやや肉厚のビニール板やゴム板等の弾性力をもつ材料を素材とした円盤形をしており、それらの外径はリング部181の外径とほぼ同一となるように設定してある。このシャッターシート167の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目197が直線状に切り込んであり、各切れ目197の終端はシャッターシート167の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート167の中心より放射状に切れ目197を切り込むことにより、シャッターシート167の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片201が分離されたことになる。同様に、このシャッターシート168の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目199が直線状に切り込んであり、各切れ目199の終端はシャッターシート168の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート168の中心より放射状に切れ目199を切り込むことにより、シャッターシート168の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片202が分離されたことになる。
【0073】
これらのシャッターシート167、168の素材は弾性力のあるビニール板やゴム板を素材としているので、分離された各弾性三角片201、202は上側や下側に対して反復力を持って曲げることができる(図14のように、上側に曲げた状態を参照のこと)。このように、各弾性三角片201、202がその三角形の底辺を周囲に結合したままで、弾性力をもって曲げることができるため、切れ目197、199の中心線にドリルやビットを挿入すると、各弾性三角片201、202はそれぞれ挿入方向に曲げられるため、ドリルやビットの挿入に対して抵抗を生じなく進入させることを許容する。しかも、各弾性三角片201、202は復元力があるため、挿入されたドリルやビットの周囲に密着し、空気が漏れないように遮蔽している。なお、シャッターシート167、168の周囲には、等間隔に複数のネジ穴198、200が上下に貫通開口してあり、シャッターシート167のネジ穴198とシャッターシート168のネジ穴200とは周方向にずらして位置させてある。すなわち、図15で示すように、両ネジ穴198、200を一致させてシャッターシート167、168を重ね合わせたときに、各切れ目197は一対の切れ目199の間に位置するように設定しておく。この場合、両切れ目197、199の中心は一致させた状態で、直線状となった切れ目197と切れ目199が重ならないように配置させておく。
【0074】
次に、止め環169は薄肉の金属材料を素材とし、その外径はシャッターシート167、168の外径(同時にリング部181の外径)とほぼ同一に設定してあり、その中心にはやや径の大きい開口を貫通してある。このため、止め環169は幅の狭い大径のリング形状をしており、この止め環169の周囲には、等間隔に複数のネジ穴204を上下に貫通開口してある。
【0075】
また、胴部183の側面に固着する吸気パイプ171はその内部が中空のパイプ状をしており、その後端には蛇腹形をしたホース(後述する)に接続するジョイント173が連結してある。この吸気パイプ171の先端の周囲は外部に拡散した取り付け片172が固着してあり、吸気パイプ171と取り付け片172は一体になるように成形してある。この取り付け片172の内面(図13で右側の面)は曲面となるように形成してあり、この曲面は胴部183の外周が持つ曲面と同じ曲率に設定してあり、取り付け片172の内面を胴部183の外周に接触させると両者を隙間無く密着させることができる。そして、取り付け片172の周囲にはネジ穴174を開口させてある。
【0076】
これらの外カバー体163と内隔離体164と吸気パイプ171は、それぞれ図13で示す形状に形成してあり、それぞれはFRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。
【0077】
次に、これらの部材を使用して集塵器具161を組み立てる手順を説明する。前述の外カバー体163の内部空間に内隔離体164を挿入し、リング部191の上面をリング部181の下面に密着させる。そして、リング部181の上面の平坦な面にシャッターシート167、168を上下に重ねて載置し、シャッターシート168の上面に止め環169を載置する。そして、それぞれのネジ穴204、200、187、195の位置を合わせ、上方からボルト211を各ネジ穴204、200、187、195に貫通するように挿入する。リング部191の下面に突出した各ボルト211の下端よりナット214をネジ込み、締め付けることでこれらの部材を固定する。こうして、リング部191はリング部181に連結されたことになり、外カバー体163の内部に内隔離体164が収納して固定されたことになる。このため、外カバー体163の内部には図12で示すような二重の空間が区分されたことになる。このように外カバー体163と内隔離体164を組み立てた状態において、圧着部184の下面と圧着部193の下面とが同じ平面となるように設定しておく。また、一対のシャッターシート167、168はその上下面をリング部181と止め環169によって挟まれ、その中央を止め環169の開口で露出した状態で固定されたことになる。
【0078】
このように組み立てられた外カバー体163の側面にある吸気口185には吸気パイプ171の先端の開口を位置合わせし、取り付け片172の内面を外カバー体163の外周面に密着させる。そして、ネジ穴174と188の位置を合わせ、ネジ穴174、188にボルト213を挿入し、外カバー体163の内面に突出したボルト213の先端にナット214をネジ込んで締めつける。こうして、取り付け片172は外カバー体163の胴部183に固定され、吸気パイプ171の軸線が外カバー体163の中心より偏位するように設定することができる。なお、胴部183の外周と取り付け片172の内面との間に接着剤を注入することにより、両者をより気密に結合することができる。
【0079】
前述したクッションリング176、177はスポンジや発泡性ゴムを素材としており、弾性があり、かつ、原型に反復できる能力を持ったいる。このクッションリング176はその外径を圧着部184の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング176は圧着部184の下面に接着剤などで気密に固定してある。同様に、クッションリング177はその外径を圧着部193の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング177は圧着部193の下面に接着剤などで気密に固定してある。各クッションリング176、177は弾性があるため、図12で示すように、圧着部184、193を壁面Kに向けて押し当てると、クッションリング176、177が壁面Kと密着し、その弾性によって壁面Kの表面形状に沿って変形し、空気が外カバー体163、内隔離体164の内部空間より漏れ出さないように防いでいる。
【0080】
このように組み立てられた集塵器具161を使用し、コンクリートの壁面Kを破砕する作業に用いることができる。この作業では、コンクリート製の壁面K(例えば、完成したビルの屋内や躯体など)であって、これからこの壁面Kに穴を開口しようとする位置に集塵器具161を設置する。この設置では、集塵器具161にあるシャッターシート167、168の中心(切れ目197、199の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。そして、外カバー体163におけるクッションリング176と内隔離体164におけるクッションリング177をそれぞれ壁面Kの表面に密着させる。そして、ジョイント173の開口に連通ホース(図示しないが、図5における連通ホース58と同一である)の一端を接続し、連通ホースの他端は真空吸引機(図示せず)に連結する。この真空吸引機を作動させると、ジョイント173を介して吸気パイプ171の空気が吸引され、吸気口185より外カバー体163内の空間Lに存在する空気は外部に排出され、空間L内の圧力は大気圧より負圧となる。
【0081】
この空間Lは外カバー体163と内隔離体164によって区切られ、下方(図12では壁面Kの表面に密着した側)の開口はクッションリング176、177により気密性を持って壁面Kと密着しているため、外部から空気が流入しない閉鎖されたドーナッツ状の空間となる。このように、空間Lは外部とは気密に閉鎖され、しかも、空気が吸気口185より排出されているため、大気圧は外カバー体163の外面を押さえつけ、外カバー体163(すなわち、集塵器具161全体でもある)を壁面Kから落下しないように固定することになる。このため、集塵器具161全体は壁面Kに保持されたまま、最初に設定した位置に止められて落下することがない。この集塵器具161の保持作用は、真空吸引機を作動させ、吸気口185から空間L内を負圧に維持している限りは、集塵器具161は壁面Kに吸着させられ続けることになる。
【0082】
このように空間L内の空気を排出していると、スカート部192の側面には吸気口194が開口してあるため空間Lと空間Mは連通しており、空気はこの吸気口194を通過して流動することになる。このため、内隔離体164の内部にある空間Mから空気が吸引され、空間Lに流入することになる。しかし、内隔離体164の作業口166は外カバー体163の作業口165と共にシャッターシート167、168によって閉鎖されているので、外カバー体163の外部から空気が進入するのを防ぎ、空間Lでの負圧を維持させることができる。また、シャッターシート167、168の切れ目197、199より内隔離体164の内部に空気が流入するが、吸気パイプ171より吸引している空気量に比べると少ないために空間Lの圧力は集塵器具161は壁面Kに吸着させることができる負圧に維持できる。また、空間Mより空間Lに空気が流動しても、吸気口194の開口が絞りの役目を行うため、空間Lの圧力は空間Mの圧力よりも負圧となっており、急激に空間Lの圧力が上昇することはない。
【0083】
このように集塵器具161を壁面Kに吸着させたままの状態で、電動ハンマーに取り付けたビットの先端をシャッターシート167、168の中央に挿入する(この電動ハンマーとビットは図5で示したものと同一である)。このビットをシャッターシート167、168の中央に挿入すると、切れ目197、199で仕切られたそれぞれの弾性三角片201、202はその弾性で曲げられ、ビットの進入を妨げることがない。このため、ビットの先端は図12で示す、内隔離体164の内部に位置した壁面Kの面に接触することができる。このビットをシャッターシート167、168に挿入した後では、それぞれの弾性三角片201、202がビットの側面にその弾性で密着し、空気が外部から空間Mに流入して圧力が高くならないように抑制している。また、シャッターシート167、168は図15で示すように、それぞれの切れ目197、199が重ならないようにずらして組み合わせてある。このため、切れ目197の隙間と切れ目199の隙間は相互に相手側の弾性三角片201、202で遮蔽され、空気が各切れ目197、199より流動しないように極力防いでいる。そして、ビットを切れ目197、199に挿入した際には、各弾性三角片201、202は図12において下方に撓み、それぞれの切れ目197、199の間隔が拡大されるが、切れ目197の隙間は弾性三角片202の中央で閉鎖され、切れ目199の隙間は弾性三角片201の中央で閉鎖され、空気が流入するのを防いでいる。また、上下に重ねられた弾性三角片201、202の先端がビットの周囲に接触することから、その重ね合わされた接触面は多くなり、各切れ目197、199の中央に開口が形成されるのを極力防止している。
【0084】
このようにビットを内隔離体164の内部に挿入したなら、電動ハンマーを駆動させるとビットは壁面Kに強い衝撃力で衝突し、壁面Kに所定の径の穴を穿つことができる。そして、このビットが壁面Kに衝突してコンクリートを穿つと、コンクリートの破片や粉塵が剥離し、空間Mの内部に充満することになる。この時には真空吸引機がすでに作動していて空間M内の空気を吸気口194を介して吸引していることから、剥離した破片や粉塵は吸気口194、185、吸気パイプ171を通じて連通ホースより真空吸引機の内部に吸引される。なお、空間M内の空気が吸引されることにより不足した空気は、切れ目197、199より適度の流量で流入し、吸引する空気の不足を補っている。
【0085】
この真空吸引機には紙又は布による塵埃回収袋を収納してあり、吸気パイプ171から吸引した空気をこの塵埃回収袋に通過させ、塵埃回収袋で空気だけを外部に放出させ、コンクリートの破片や塵埃は塵埃回収袋の表面で捕獲する。このため、ビットで壁面Kを穿つことによりコンクリートの破片や塵埃が発生するが、破片や塵埃は外部から閉鎖されて負圧となった内隔離体164の内部で発生し、集塵器具161の外部に飛散させることがなくなる。そして、発生した破片や塵埃は真空吸引機により吸引され、その塵埃回収袋で分離させられ、清浄な空気だけが真空吸引機より排出されるので、外部に飛散させることがない。このように、破片や塵埃の発生から捕獲までを外部から閉鎖された空間内で処理するので、壁面Kを破砕している作業現場の周囲には破片や塵埃を飛散させることなく、清潔に維持したままで作業を進めることができる。
【0086】
そして、破砕作業を継続することでビットがコンクリートの壁面Kに穴を穿ったり、開口を貫通させたならば、ビットを図12において上方に引くとビットはシャッターシート167、168より抜き出される。ビットをシャッターシート167、168から抜き出すと、切れ目197、199によって区分けされた各弾性三角片201、202はその弾性力で元の位置に戻り、平坦な形状に復帰し、外部の空気が空間Mに流入することを防ぐことがでる。この後、真空吸引機の動作を停止させると、吸気口185より空間L内の空気の吸引が停止され、空間Lで発生していた負圧がなくなり、大気圧による集塵器具161を押さえる圧力が解除される。すると、集塵器具161が壁面Kに吸着していた力が解消されるので、集塵器具161は壁面Kより離れることができ、次に破砕作業する位置に集塵器具161を移動させることができる。
【0087】
【発明の効果】
以上のように本発明にによれば、破砕の作業を行う面にお碗型の塵埃捕獲体を向け、密閉手段により作業を行う面と気密に密着させるため、塵埃捕獲体の内部空間は外部から閉鎖された空間を形成することができる。そして、排気手段で塵埃捕獲体内の空気を吸引することで負圧を発生させ、塵埃捕獲体をその負圧で作業を行う面に固定することができる。この状態で空気閉鎖手段よりドリルやビットなどの破砕工具を塵埃捕獲体内に挿入し、破砕工具で破砕の作業を行う面に衝撃を与えると塵埃が発生するが、塵埃捕獲体が密閉されているため、塵埃は外部は飛散することがない。そして、発生した塵埃は排気手段により塵埃捕獲体の外部に流動させることができ、環境を清潔にして衛生状態を向上させることができる。また、塵埃が作業現場に飛散しないので、作業員がこの塵埃を吸引することがなくなり、ジン肺などの障害が発生するのを防止することができる(請求項1に記載の発明)。
【0088】
また、お碗型の塵埃捕獲体には結合手段を介して吸盤型をした吸着手段を連結してあり、この吸着手段は吸気手段によりその内部の空気が排出されて負圧となり、破砕の作業を行う面に強固に吸い着くことになる。このため、塵埃捕獲体は吸着手段により作業を行う面の位置に保持され、落下したり、位置がずれることがなくなる(請求項2に記載の発明)。
【0089】
そして、お碗型の塵埃捕獲体の外周にはお碗型をした負圧発生体を配置し、両者で一方が大きく開口した二重の周壁を形成することができる。この塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間には空気を吸引する排気手段を接続し、塵埃捕獲体の周囲にはその内外周を連通する導通手段を開口してある。このため、排気手段で塵埃捕獲体と負圧発生体の間に形成されたドーナツ状の空間の空気を吸引すると、負圧発生体はその開口を破砕の作業を行う面に強力に吸着して固定することができる。そして、塵埃捕獲体の内部空間で発生した塵埃は、導通手段を通過して塵埃捕獲体と負圧発生体の間の空間に流動し、次いで排気手段により外部に排出される。この構成では、導通手段が絞りの役目をして、塵埃捕獲体と負圧発生体の間の空間と、塵埃捕獲体の内部の圧力を調整し、塵埃捕獲体と負圧発生体を破砕の作業を行う面に吸着させる負圧を常時発生させることができる。また、構成が簡易なため、製造が容易となる(請求項3に記載の発明)。
【0090】
さらに、お碗型の塵埃捕獲体の外周にはお碗型をした負圧発生体を配置し、両者で一方が大きく開口した二重の周壁を形成してあり、負圧発生体には排気手段を接続し、塵埃捕獲体には塵埃排出手段を接続してある。このため、排気手段は負圧発生体の内部から空気を排出し、塵埃排出手段は塵埃捕獲体の内部から空気を排出することができ、それぞれが独立した機能を発揮することができる。このため、負圧発生体には単独で排気手段が接続して、その内部空間を負圧に維持することができ、確実に塵埃捕獲体と負圧発生体を破砕の作業を行う面に固定することができる。また、塵埃捕獲体内で発生した塵埃は塵埃排出手段により空気と共に外部に排出されるので、塵埃の捕獲が確実となる(請求項4に記載の発明)。
【0091】
次に、この集塵器具では、ドリルやビットなどの破砕工具を塵埃捕獲体内に挿入させるために空気閉鎖手段を設けてある。この空気閉鎖手段では、弾力性のある平板に放射状に切れ目を加工してあり、この切れ目の中心で分離された小片を押し除けて破砕工具を塵埃捕獲体内に挿通することができる。この構成では、弾力性のある平板は常時は平坦な面を維持していて、空気が塵埃捕獲体に進入するのを阻止しており、破砕工具を挿通する際には切れ目によって分離された小片が弾力をもって曲がり、破砕工具が進入するのを妨げない。そして、各小片はその弾力で破砕工具に密着するため、空気が外部から塵埃捕獲体に侵入するのを極力防いでおり、塵埃捕獲体の内部が負圧になるの維持することができる(請求項5に記載の発明)。
【0092】
また、この空気閉鎖手段は平板状をしたものを複数枚用い、それらの平板を上下に重ね合わせて使用することができる。このため、各平板の切れ目によって形成された小片の数が多くなり、破砕工具に密着する小片の数と接触面積が増加する。このため、塵埃捕獲体に挿入した破砕工具の側面に密着する面積が多くなり、空気の侵入をより効果的に妨げることができる(請求項6に記載の発明)。
さらに、上下に複数枚積み重ねた平板状の空気閉鎖手段は、その切れ目が重ならないようにずらして配置してあるので、切れ目から塵埃捕獲体に侵入しようとする空気は他の空気閉鎖手段の小片に阻止され、塵埃捕獲体の内部に流入することが少なくなり、塵埃捕獲体内の負圧を効果的に保持することができる(請求項7に記載の発明)。
【0093】
そして、請求項2記載の発明による集塵器具では、排気手段にエゼクターを接続してあり、エゼクターの吸引側に吸気手段を接続してある。このため、排気手段からエゼクターに空気が通過すると、その通過する空気の速度によりその内部で負圧が発生し、吸気手段から空気を吸引することができる。このため、空気を排出するための機構を排気手段と吸気手段のそれぞれに独立して接続することがなく、単一の排出機構をエゼクターに接続すれば排気手段と吸気手段から同時に空気を吸引することができ、機構が簡易となる(請求項8に記載の発明)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図2】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図1におけるAーA矢視した断面図である。
【図3】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるシャッターシートを示す斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を用い、壁面に電動ハンマーで穴を穿つ作業を示す説明図である。
【図6】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図7】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図6におけるEーE矢視した断面図である。
【図8】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図9】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるエゼクターの構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を用い、壁面に穴を穿つ作業を示す説明図である。
【図11】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図12】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図11におけるJーJ矢視した断面図である。
【図13】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図14】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるシャッターシートを示す斜視図である。
【図15】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いる二枚のシャッターシートを組み合わせた状態を示す説明図である。
11 集塵器具
13 負圧発生体としての外カバー体
14 塵埃捕獲体としての内隔離体
15 作業口
16 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
21 排気手段としての吸気パイプ
22 塵埃排出手段としての分岐パイプ
26 密閉手段としてのクッションリング
27 密閉手段としてのクッションリング
47 切れ目
49 閉鎖小片としての弾性三角片
72 塵埃捕獲体としてのカバー体
73 作業口
74 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
79 密閉手段としてのクッションリング
77 排気手段としての吸気パイプ
84 吸着手段としての吸着キャップ
81 結合手段としての吸着脚
82 結合手段としての吸着脚
83 結合手段としての吸着脚
87 吸気手段としての吸気ホース
88 吸気手段としての吸気ホース
89 吸気手段としての吸気ホース
136 エゼクター
161 集塵器具
164 塵埃捕獲体としての内隔離体
163 負圧発生体としての外カバー体
165 作業口
166 作業口
167 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
168 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
176 密閉手段としてのクッションリング
177 密閉手段としてのクッションリング
171 排気手段としての吸気パイプ
194 導通手段としての吸気口
197 切れ目
199 切れ目
201 閉鎖小片としての弾性三角片
202 閉鎖小片としての弾性三角片
【産業上の利用分野】
本発明は、建築工事などにおけるコンクリートの破砕作業で発生した破片や粉塵を効果的に回収することができる工事現場の集塵器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の建築工事、リフォーム、ビルの解体、管路の貫通、ハツリなどの作業において、コンクリート製や石造りの床、壁、天井を破砕する作業がしばしば発生していた。このような破砕作業では、電動ドリルに取り付けたドリルを床面、壁面、天井面に接触させ、ドリルで穴を穿ったり、関通口を開口させていた。また、電動ハンマーに取り付けたビットを床面、壁面、天井面に接触させ、ビットに振動を与えることによりそれらの表面を剥がしたり、ハツルことがあった。このような破砕作業では、コンクリート製や石造りの床、壁、天井をドリルやビットで衝撃を与え、コンクリートや石を破壊してしまうことができ、ハンマーとノミによる手作業の工事よりも効率的なものであった。
【0003】
このような破砕作業では、ドリルやビットをコンクリートや石に衝撃的に衝突させ、コンクリートや石を破砕させるため、作業現場ではコンクリートや石の粉塵や小片が飛散することになっていた。このような作業環境では、細かな粉塵が飛散することとなり、特に、閉鎖した屋内で作業すると粉塵が白い霧のように漂うことになった。この粉塵が飛散している環境で作業員が空気を吸引すると、ジン肺などの原因となり、極めて非衛生なものであった。このような劣悪な作業環境で健康管理を行うために、作業員は防塵マスクを着用し、破砕作業で発生した粉塵を吸引しないように防止していた。しかし、防塵マスクを着用していても、必ずしも吸引している空気の中から全ての粉塵を除去できるものではなく、障害を完全に防止することはできにくいものであった。また、破砕作業で粉塵が発生すると、その作業をしている周辺に粉塵が流出し、防塵マスクをしていない他の作業員がコンクリートの粉塵を吸引する結果となり、二次汚染の要因となっていた。
【0004】
さらに、コンクリートや石を破砕すると、その破砕作業の終わった作業現場の周囲の床には細かな小片や粉塵が散らばり、作業後には掃除をしなければならないものであった。破砕によるコンクリートや石の粉塵は細かな粒子であり、箒で掃いても容易には清掃できず、手数が掛かるものであった。また、清掃し易いように水を散布して粉塵に湿気を与えても、水と粉塵が混ざらすにコロイド状となり、さらに掃きにくい結果となっており、清掃のための時間がかかることになっていた。このような破砕作業においては、作業後における清掃作業を省力化でき、衛生を向上させるために、粉塵を発生させないのが好ましいものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンクリート製や石造りの床、壁、天井等の破砕作業を行う際に、破砕によって発生したコンクリートや石の小片や粉塵を効果的に回収することができるものである。そして、破砕現場においては、小片や粉塵を周囲に撒き散らすことなく、真空吸引機により回収し、作業後における清掃を解消し、衛生的な環境を保持させることができる工事現場の集塵器具を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、塵埃捕獲体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項1記載の発明)。
【0007】
また、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段と、柔軟な材料で形成され、一方を大きく開口して破砕の作業をする面と接触する吸盤型をした吸着手段と、吸着手段と塵埃捕獲体を連結する結合手段と、吸着手段の内部の空気を吸引して負圧とする吸気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、吸気手段により吸着手段の内部空間を負圧として吸着手段を作業をする面で固定することで塵埃捕獲体をその位置に保持させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項2記載の発明)。
【0008】
そして、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体の側面の内外面を連通して空気の流動を行わせる導通手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を導通手段を通過させて排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項3記載の発明)。
【0009】
さらに、本発明は、一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体に連通され、塵埃捕獲体の内部の空気を吸引する塵埃排出手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を塵埃排出手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項4記載の発明)。
【0010】
そして、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項5記載の発明)。
【0011】
また、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ねたことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項6記載の発明)。
【0012】
さらに、本発明では、前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ね、切れ目が上下方向で重ならないように配置したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項7記載の発明)。
【0013】
そして、本発明では、前述の排気手段にエゼクターを接続し、エゼクターの吸引側に吸気手段を接続し、排気手段からエゼクターを通過する空気流により吸気手段から空気を吸引させることを特徴とする請求項2記載の工事現場の集塵器具を提供するものである(請求項8記載の発明)。
【0014】
【実施の態様】
以下、本発明の一実施の態様について、図面を参照しながら説明する。この図1は実施の態様における集塵器具11を上方から見た平面図であり、図2は図1中においてAーAを矢視した断面図であり、図3は集塵器具11を組み立てる前の各部品の構成を示す分解斜視図である。図1は組み立てられた状態の集塵器具11を示し、図2は組み立てられた状態の集塵器具11を壁面Bに吸着させた状態を示している。
【0015】
図1で示すように、この集塵器具11の主要な部材である吸着体12は、その外観が金ダライを逆さにして形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。この吸着体12の円形の上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート16を密着してあり、このシャッターシート16の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環17を密着して固定してある。この吸着体12の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ21を連結してあり、吸気パイプ21の中心軸は吸着体12の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ21の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント23が固着してある。さらに、直線状となった吸気パイプ21の側面であって吸着体12に接近した位置には、外径が小さく内部中空の塵埃排出手段としての分岐パイプ22の一端を結合してあり、この分岐パイプ22はその軸線を吸気パイプ21の軸線とは斜めになるように配置してある。この分岐パイプ22の他端は吸着体12の外側に挿入してあり、内部の二重になった空間(後述する)と連通してある。こうして、吸着体12の側面には枝別れした吸気パイプ21と分岐パイプ22が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0016】
次に、図2は吸着体12の内部構造を示すために上下で切断したものである。この吸着体12は図2で示すように、その内部は二重の断面構造となっており、吸着体12は負圧発生体としての負圧発生体としての外カバー体13と塵埃捕獲体としての内隔離体14とで構成されている。この外カバー体13は金ダライを伏せたような形状をしており、内隔離体14はお碗を伏せたような形状をしている。この外カバー体13の内部空間は内隔離体14の外径よりも大きく、外カバー体13に内隔離体14を収納しても両者の間には適度な隙間が形成できるような寸法となっている。外カバー体13の上面であって金ダライの底に相当する部分(図2で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の穴が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、外カバー体13の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図2で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング26を固着してあり、このクッションリング26の下面が図2で示すように壁面Bと接触することができる。
【0017】
また、内隔離体14はその下部がお碗状で上部が円筒形をしており、下方に大きく開口し、上端は円筒形をした開口があり、この上部の筒状となった開口が作業口15となっている。このため、内隔離体14はフラスコの底部分を切断して上下を貫通させたような形状となっていおり、この上部の円筒形の首部分の上端を外カバー体13の上面の円形の開口に接合してある。そして、内隔離体14の外周は半球形をしていて、その下端は水平方向に広がったリング状の平面となっていて、この平面にはスポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング27が固着してあり、このクッションリング27の下面が図2で示すように壁面Bと接触することができる。
【0018】
そして、外カバー体13の下端にある水平方向に広がったリング状の平面と、内隔離体14の下端にある水平方向に広がったリング状の平面とは、同じ高さ位置に設定してある。このため、両クッションリング26、27の平面は同じ平面位置にあり、図2で示すように、壁面Bに密着させた際には各クッションリング26、27が同時に壁面Bと接触することができる。また、外カバー体13の内部に内隔離体14を収納してあるため、外カバー体13の内部空間は二重に区切られ、クッションリング26、27が壁面Bと接触すると外カバー体13の内部は、外カバー体13の内側と内隔離体14の外側により形成された空間Cと、内隔離体14の内部に形成された空間Dに区分されることになる。
【0019】
前述した外カバー体13の金ダライを伏せた底の部分は平坦なリング状をした平面であり、この平面には円盤形をしたシャッターシート16を密着してあり、このシャッターシート16の上面の周囲にはリング状をした止め環17が密着させてある。この止め環17は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成してあり、止め環17と外カバー体13の上面をネジによって締め付けることによりシャッターシート16を上下から挟んで固定している。このシャッターシート16は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目47を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート16の切れ目47の中心は前述した内隔離体14の作業口15の中心線と一致させてある。これらの切れ目47によってシャッターシート16の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目47の中心からドリルやビットを作業口15の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目47によって細分化されたシャッターシート16の部材が密着して遮断し、空間Dから空気が逃げるのを防止することができる。
【0020】
そして、前述の外カバー体13の太鼓状となった側面には吸気パイプ21の先端が連通してあり、この吸気パイプ21の先端の開口は吸気口35となっており、吸気パイプ21と外カバー体13の内部の空間Cとが連通している。この吸気パイプ21の側面には、その軸線とは斜めの方向に向けた分岐パイプ22が連結してあり、吸気パイプ21の側面と分岐パイプ22の一端とはその内部で空気が流動できるように連通してある。また、分岐パイプ22の他方は外カバー体13の側面の突き抜けており、分岐パイプ22の他端は内隔離体14の側面に連通してある。この分岐パイプ22の他端の開口は内隔離体14の側面で吸気口44となっており、分岐パイプ22は内隔離体14の内部の空間Dと連通してある。
【0021】
次に、図3により、集塵器具11を構成する各部材を分解し、それぞれの部材の構成を詳しく説明する。
【0022】
前述した外カバー体13の全体は金ダライを伏せたような形状をしており、この外カバー体13における金ダライの底に相当する上面はリング部31となっており、このリング部31は円形をしていてその中央には開口32が貫通開口してある。この開口32の内径はリング部31の外径の半分程度に設定してあり、リング部31は平坦な環状形をしている。そして、リング部31の周囲には等間隔にネジ穴37が開口してある。平坦なリング部31の外周には下方に向かって膨らんだやや円筒形の胴部33が接続してあり、胴部33は金ダライの周面部に対応するものとなっている。この胴部33は図3で示すように、下方に向かって外径が拡大してカーブを描いており、胴部33の下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部34が連結してあり、圧着部34は金ダライの縁部に対応するものとなっている。なお、胴部33の側面には円形をした吸気口35が貫通開口してあり、胴部33の側面であって吸気口35に接近した位置には導通口36が貫通開口してある。
【0023】
前述した内隔離体14は外カバー体13の内部空間に収納されるものであり、この内隔離体14の外形はフラスコの下半分を切断したような形状となっている。この内隔離体14の上部は円筒形をした首部41であり、この首部41の中央の開口が図2で示す作業口15と対応している。そして、首部41の下部にはスカート部42が連続して接続してあり、スカート部42はお碗を伏せたような形状であり、下方に向かって円弧形となるようなカーブを描いている。スカート部42の広がった下端の円形となった周縁には圧着部43が連結してあり、この圧着部43は水平方向に広がったリング形をしている。なお、スカート部42の側面には分岐パイプ22を接続する吸気口44を開口してある。
【0024】
外カバー体13と内隔離体14はこのような形状に形成してあり、両者はFRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。これらの外カバー体13と内隔離体14を組み立てるには、首部41の上端を開口32に挿入し、首部41の上端外周と開口32の内周との間に接着剤を注入することで両者を結合させる。こうして、外カバー体13の内部空間に内隔離体14が収納されて固定され吸着体12として組み立てられ、外カバー体13の内部には図2で示すような二重の空間が区分されたことになる。このように外カバー体13と内隔離体14を組み立てた状態において、圧着部34の下面と圧着部43の下面とが同じ平面となるように設定しておく。
【0025】
このように組み立てられた外カバー体13の側面にある吸気口35には吸気パイプ21の先端を嵌め合わせ、吸気口35の内周と吸気パイプ21の先端外周の間に接着剤を注入することにより、吸気パイプ21を吸気口35に連結する。吸気パイプ21を吸気口35に嵌め込むと同時に、分岐パイプ22を導通口36に挿入して外カバー体13の内部に挿通させ、さらに、分岐パイプ22の先端を吸気口44の内周に嵌め合わせる。そして、分岐パイプ22の先端外周と吸気口44の内周との間に接着剤を注入し、分岐パイプ22を吸気口44に固着する。なお、分岐パイプ22の一端は予め吸気パイプ21の側面に固着してあり、Yの字形に枝分かれした形状で準備されており、分岐パイプ22と吸気パイプ21はその内部で空気が流動できるように連通させてある。
【0026】
次に、前述したシャッターシート16の構成を図4と共に説明すると、シャッターシート16はやや肉厚のビニール板やゴム板等の男性力をもつ材料を素材とした円盤形であり、その外径はリング部31の外径とほぼ同一となるように設定してある。このシャッターシート16の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目47が直線状に切り込んであり、各切れ目47の終端はシャッターシート16の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート16の中心より放射状に切れ目47を切り込むことにより、シャッターシート16の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片49が分離されたことになる。このシャッターシート16の素材は弾性力のあるビニール板やゴム板を素材としているので、分離された各弾性三角片49は上側や下側に対して反復力を持って曲げることができる(図4のように、上側に曲げた状態を参照のこと)。このように、各弾性三角片49がその三角形の底辺を周囲に結合したままで、弾性力をもって曲げることができるため、切れ目47の中心線にドリルやビットを挿入すると、各弾性三角片49はそれぞれ挿入方向に曲げられるため、ドリルやビットの挿入に対して抵抗を生じなく進入させることを許容する。しかも、各弾性三角片49は復元力があるため、挿入されたドリルやビットの周囲に密着し、空気が漏れないように遮蔽している。なお、シャッターシート16の周囲には、間隔を置いて複数箇所にネジ穴48を上下に貫通開口してある。
【0027】
そして、止め環17は薄肉の金属材料を素材とし、その外径はシャッターシート16の外径とほぼ同一に設定してあり、その中心にはやや径の大きい開口を開通してある。このため、止め環17は幅の狭い大径のリング形状をしており、止め環17の周囲には、間隔を置いて複数箇所にネジ穴50を上下に貫通開口してある。
【0028】
このシャッターシート16と止め環17を吸着体12に取り付けるには、シャッターシート16をリング部31の上面に密着させ、シャッターシート16の上面に止め環17を密着させ、各ネジ穴37、48、50の位置を一致させる。そして、ボルト51を止め環17の上方からネジ穴50、48、37の順に挿入し、各ボルト51の下端をリング部31の下面に突出させる。そして、リング部31の裏側よりナット52をボルト51にネジ込み、ナット52を締め付けることによりリング部31にシャッターシート16と止め環17を固定することができる。こうすると、シャッターシート16の上下面は止め環17とリング部31によって挟み込まれて固定されたことになり、しかも、シャッターシート16の中央部分は止め環17の中央に形成した開口で開放されていて、外部に露出していることになる。
【0029】
前述したクッションリング26、27はスポンジや発泡性ゴムを素材としており、弾性があり、かつ、原型に反復できる能力を持ったいる。このクッションリング26はその外径を圧着部34の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング26は圧着部34の下面に接着剤などで気密に固定してある。同様に、クッションリング27はその外径を圧着部43の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング27は圧着部43の下面に接着剤などで気密に固定してある。各クッションリング26、27は弾性があるため、図2で示すように、圧着部34、43を壁面Bに向けて押し当てると、クッションリング26、27が壁面Bと密着し、その弾性によって壁面Bの表面形状に沿って変形し、空気が外カバー体13、内隔離体14の内部空間より漏れ出さないように防いでいる。
【0030】
このように組み立てられた本実施の態様の集塵器具11を使用し、実際にコンクリートの壁面Bを破砕する作業を図5と共に説明する。
【0031】
コンクリート製の壁面B(例えば、完成したビルの屋内や躯体など)であって、これからこの壁面Bに穴を開口しようとする位置に集塵器具11を設置する。この設置では、集塵器具11にあるシャッターシート16の中心(切れ目47の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。そして、外カバー体13におけるクッションリング26と内隔離体14におけるクッションリング27をそれぞれ壁面Bの表面に密着させる。そして、ジョイント23の開口に連通ホース58の一端を接続し、連通ホース58の他端は真空吸引機56に設けた接続パイプ57に連結する。この真空吸引機56は、内部に収納した電動モーターにより駆動される吸引ポンプを持ち、塵埃と空気を分離できる塵埃回収袋を収納しており、従来から一般に知られている真空掃除機と同一の構成である。通常は、この真空吸引機56を掃除機として使用し、接続パイプ57にはホースを接続して、床面のゴミや塵埃を吸引して清掃作業に用いることができる。そして、接続パイプ57から吸引したゴミや塵埃は紙又は布で形成された塵埃回収袋で捕獲されて分離できる作用を持っている。
【0032】
この真空吸引機56を作動させると、接続パイプ57、連通ホース58を介して吸気パイプ21から空気を真空吸引機56の方向に吸引し、集塵器具11の内部の空気を排出することで大気圧よりも低い圧力に維持させる。つまり、図2で示したように吸気パイプ21、分岐パイプ22の先端の開口の吸気口35、吸気口44からは空気が常時真空吸引機56に吸引されており、空間C、D内の空気圧を負圧となるように保持させる。この空気の排出において、空間Cでは外カバー体13と内隔離体14によって区切られ、下方(図5では壁面Bの表面に密着した側)の開口はクッションリング26、27により気密性を持って壁面Bと密着しているため、外部からは空気の流動が無い閉鎖されたドーナッツ状の空間となる。このように、空間Cは外部とは気密に閉鎖され、しかも、空気が吸気口35より排出されているため、大気圧は外カバー体13の外面を押さえつけ、外カバー体13(すなわち、集塵器具11全体でもある)を壁面Bから落下しないように固定することになる。このため、集塵器具11全体は壁面Bに保持されたまま、最初に設定した位置に止められて落下することがない。この真空吸引機56を作動させ、吸気口35から空間Cの内圧を負圧に維持している限りは、集塵器具11は壁面Bに吸着させられ続けることになる。
【0033】
このように集塵器具11を壁面Bに吸着させたままの状態で、電動ハンマー61に取り付けたビット62の先端をシャッターシート16の中央に挿入する(このビット62は超硬質合金で形成されたもので、電動ハンマー61を駆動させることにより強力に前後進して、コンクリートの壁面Bに穴を穿つことができるものである)。このビット62をシャッターシート16の中央に挿入すると、切れ目47で仕切られたそれぞれの弾性三角片49はその弾性で曲げられ、ビット62の進入を妨げることがない。このため、ビット62の先端は図2で示す、内隔離体14の内部に位置した壁面Bの面に接触することができる。このビット62を挿入した後では、それぞれの弾性三角片49がビット62の側面にその弾性で密着し、空気が外部から空間Dに流入して圧力が高くならないように抑制している。このようにビット62を挿入したなら、電動ハンマー61を駆動させるとビット62は壁面Bに強い衝撃力で衝突し、壁面Bに所定の径の穴を穿つことができる。そして、このビット62が壁面Bに衝突してコンクリートを穿つと、コンクリートの破片や粉塵が剥離し、空間Dの内部に充満することになる。この時には真空吸引機56が作動していて空間D内の空気を吸気口44を介して吸引し、空間Dを負圧に維持していることから、剥離した破片や粉塵は吸気口44、分岐パイプ22、吸気パイプ21、連通ホース58、接続パイプ57の順に空気と共に真空吸引機56の内部に吸引される。なお、空間D内の空気が吸引されることにより不足した空気は、切れ目47より適度の流量で流入し、吸引する空気の不足を補っている。
【0034】
この真空吸引機56には紙又は布による塵埃回収袋を収納してあり、接続パイプ57より吸引した空気をこの塵埃回収袋に通過させ、塵埃回収袋で空気だけを外部に放出させ、コンクリートの破片や塵埃は塵埃回収袋の表面で捕獲する。このため、ビット62で壁面Bを穿つことによりコンクリートの破片や塵埃が発生するが、破片や塵埃は外部から閉鎖されて負圧となった内隔離体14の内部で発生し、集塵器具11の外部に飛散させることがなくなる。そして、発生した破片や塵埃は真空吸引機56により吸引され、その塵埃回収袋で分離させられ、清浄な空気だけが真空吸引機56より排出されるので、外部に飛散させることがない。このように、破片や塵埃の発生から捕獲までを外部から閉鎖された空間内で処理するので、壁面Bを破砕している作業現場の周囲には破片や塵埃を飛散させることなく、清潔に維持したままで作業を進めることができる。
【0035】
こうして、真空吸引機56を駆動させながら、ビット62により壁面Bを穿っていると、切れ目47による隙間から空気が空間Dに流入することがあっても、シャッターシート16の内側の空気と破片や塵埃は外部に流出せず、これらは吸気口44より真空吸引機56の方向に流動して回収される。そして、破砕作業を継続することでビット62がコンクリートの壁面Bに穴を穿ったり、開口を貫通させたならば、電動ハンマー61とビット62を図5において手前に引くとビット62はシャッターシート16より抜き出される。ビット62をシャッターシート16から抜き出すと、切れ目47によって区分けされた各弾性三角片49はその弾性力で元の位置に戻り、平坦な形状に復帰し、外部の空気が空間Dに流入することを防ぐことがでる。この後、真空吸引機56の動作を停止させると、吸気口35より空間C内の空気の吸引が停止され、空間Cで発生していた負圧がなくなり、大気圧による集塵器具11を押さえる圧力が解除される。すると、集塵器具11が壁面Bに吸着していた力が解消されるので、集塵器具11は壁面Bより離れることができ、次に破砕作業する位置に集塵器具11を移動させることができる。
【0036】
次に、図6、図7、図8、図9により本発明の第二の実施の態様を説明する。ここで、図6は第二の実施の態様である集塵器具71を上面から見た平面図、図7は図6中におけるEーEを矢視した断面図、図8は集塵器具71を構成する各部材を分解して示しす分解斜視図、図9はこの集塵器具71に用いるエゼクター136の構造を示す断面図である。
【0037】
この第二の実施の態様は前述した第一の実施の態様と異なり、集塵器具71の主要な部材である塵埃捕獲体としてのカバー体72は二重構造でなく、単一の空間を持った構造である。図6、図7で示すように、カバー体72はその外観が金ダライを逆さにして形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。このカバー体72の円形の上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート74を密着してあり、このシャッターシート74の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環75を密着して固定してある。このカバー体72の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ77を連結してあり、吸気パイプ77の中心軸はカバー体72の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ77の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント78が固着してある。こうして、カバー体72の側面には吸気パイプ21が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0038】
そして、止め環75の上面における等間隔に離れた三箇所には金属製の結合手段としての吸着脚81、82、83の一端がそれぞれ固着してあり、各吸着脚81、82、83は図6で示すように外方に向かって放射状に配置されている。これらの吸着脚81、82、83は帯状をした薄肉の金属片を材料としており、それらの他端はそれぞれカバー体72の開口方向に向けられており、吸着脚81の他端には吸着手段としての吸着キャップ84が固着してあり、吸着脚82の他端には吸着キャップ85が固着してあり、吸着脚83の他端には吸着キャップ86が固着してある。この吸着キャップ84には吸気手段としての吸気ホース87の一端を接続し、吸着キャップ85には吸気ホース88の一端を接続し、吸着キャップ86には吸気ホース89の一端を接続してある。各吸気ホース87、88、89はそれぞれ空気を流動できるように内部が中空のチューブ状をしており、各吸気ホース87、88、89の他端はまとめられて合流器90に接続してあり、合流器90には蛇腹状のホース(後述する)に接続するためのジョイント91を接続してある。
【0039】
次に、図7は集塵器具71の内部構造を示すために、図6中でEーEで上下に切断して矢視したものである。前述したカバー体72は図7で示すように、金ダライを伏せたような形状をしている。このカバー体72の上面であって金ダライの底に相当する部分(図7で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の穴が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、カバー体72の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図7で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング79を固着してあり、このクッションリング79の下面が図7で示すように壁面Gと接触することができる。このクッションリング79が壁面Gに接触した状態では、カバー体72の内部には外部から隔離された空間Fが形成されることになる。
【0040】
さらに、カバー体72の側面であってその厚みの半分程度の高さ位置には、このカバー体72の内外を連通するための吸気口100が開口してあり、この吸気口100には吸気パイプ77の一端を挿入し、接着剤などを注入することにより両者を気密に連結してある。この吸気口100は楕円形に開口してあり、断面円形の吸気パイプ77の一端を挿入し、カバー体72の周面に軸線を斜めにして吸気パイプ77を配置することができる。こうして、吸気パイプ77はカバー体72内の空間Fと連通することになる。この吸気パイプ77は真空吸引器に連通して空気を流動させることができるように中空の形状をしており、吸気パイプ77の他端には蛇腹等のホース(後述する)を接続するためのジョイント78が連結してある。
【0041】
前述したカバー体72の金ダライを伏せた底の部分はその中心に作業口73を開口した平坦なリング状をした平面であり、この平面には円盤形をしたシャッターシート74を密着してあり、このシャッターシート74の上面の周囲にはリング状をした止め環75が密着させてある。この止め環75は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成したものである。この止め環75の上面の三方には吸着脚81、82、83の一端の下面が接触してある(なお、図7では吸着脚83は手前側にあるため図示されない)。そして、それぞれの吸着脚81、82、83の上面より、止め環75、シャッターシート74、カバー体72にボルト113、114、115を挿入し、それぞれの下端にナット116、117、118をネジ込んで締め付けることによりシャッターシート74を上下から挟んでカバー体72に固定することができる。こうすると、シャッターシート74の上下面は止め環75とリング部96によって挟み込まれて固定されたことになり、しかも、シャッターシート74の中央部分は止め環75の中央に形成した開口で開放されていて、外部に露出していることになる。
【0042】
次に、このシャッターシート74は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目105を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート74の切れ目105の中心は作業口73の中心線と一致させてある。これらの切れ目105によってシャッターシート74の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目105の中心からドリルやビットを作業口73の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目105によって細分化されたシャッターシート74の部材が密着して遮断し、空間Fから空気が逃げるのを防止することができる。
【0043】
各吸着脚81、82、83は帯状をした細長い薄肉の金属片より形成されており、図7で示すように、各吸着脚81、82、83は側面より見てZ字形を引き伸ばしたような形状に二箇所で交互に折り曲げられている。各吸着脚81、82、83の一端の下面は止め環75の上面に密着させてあり、他端は放射状に拡大して配置してある。そして、伸ばしたZ字形の吸着脚81、82、83の他端はカバー体72の開口方向(図7で下方)に向けて配置してあり、吸着脚81の他端の下面には吸着キャップ84を固着し、吸着脚82の他端の下面には吸着キャップ85を固着し、吸着脚83の他端の下面には吸着キャップ86を固着してある。各吸着キャップ84、85、86は何れもゴムなどの柔軟な材料で形成され、お碗を伏せたような形状となっていて、下方に向けて大きく開口を持ち、お碗の底の部分をそれぞれ吸着脚81、82、83に固定してある。このため、吸着キャップ84、85、86は吸盤のような断面形状となっており、壁面Gの側面に吸着することができる。なお、各吸着キャップ84、85、86のそれぞれの開口端の位置は、図7で示すようにクッションリング79の平面と同じ位置になるように設定してある。
【0044】
そして、吸着キャップ84には吸気ホース87の一端を接続し、吸着キャップ85には吸気ホース88の一端を接続し、吸着キャップ86には吸気ホース89の一端を接続してある。各吸気ホース87、88、89は内部が中空のチューブ状をしたものであり、各吸気ホース87、88、89の他端はまとめられて合流器90に接続してある。この合流器90は、内部が空洞であり、それぞれの吸気ホース87、88、89と均一に空気の流動を許容することができるように、その内部空間と吸気ホース87、88、89の終端開口とを連通してある。また、合流器90には蛇腹などのホース(後述する)と接続するためのジョイント91が接続してある。
【0045】
次に、図8によって集塵器具71を構成する各部材の構造をより具体的に説明する。
【0046】
この集塵器具71の主要な部分であるカバー体72は金ダライを伏せたような形状をしており、FRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。カバー体72の金ダライの底に相当する上面は平坦なリング部96となっており、このリング部96の外周はは円形をしていて、その中央には作業口73が貫通開口してある。この作業口73の内径はリング部96の外径の半分程度に設定してあり、リング部96は平坦な環状形をしていることになる。そして、リング部96の周囲には等間隔にネジ穴97が開口してある。この平坦なリング部96の外周からは下方に向かって膨らんでカーブを描いた外形をした胴部98が接続してあり、胴部98は金ダライの外周面に対応している。この胴部98は下方に向かうにつれて径大となるように膨らみ、その下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部99が連結してあり、圧着部99は金ダライの縁部に対応している。なお、胴部98の側面には楕円形をした吸気口100が貫通開口してある。これらのリング部96、胴部98、圧着部99は射出成形等によって一体となるように形成されている。
【0047】
このよう形状の外カバー体72の側面に開口した吸気口100には吸気パイプ21の先端を嵌め合わせてあり、吸気口100の内周と吸気パイプ21の先端外周の間に接着剤を注入し、吸気パイプ21を吸気口100に気密に接着する。また、圧着部99の円環形となった下面には、リング状のクッションリング79が密着して固定してある。このクッションリング79はスポンジや発泡性ゴム等の弾性力を持つ材料で形成され、その内外径は圧着部99の内外径とほぼ同一となるように設定してある。
【0048】
次に、シャッターシート74は前述した図4で示すシャッターシート16と同じ形状であり、厚いビニール板やゴム板などの弾性力のある材料で形成されている。シャッターシート74は円盤形をしており、中心よりその外周方向に向けて複数の切れ目105が放射状に切り込まれ、三角形をした複数の小片に分離してある。そして、シャッターシート74の周囲にはネジ穴106が複数箇所に開口してある。止め環75は薄肉の金属製板を打ち抜いて形成してあり、内径が大きいリング状の形状をしており、止め環75の外径はシャッターシート74の外径とほぼ同一となるように設定してある。この止め環75の周囲には等間隔でネジ穴107を複数開口してある。
【0049】
このカバー体72の上部の周囲に固定される吸着脚81、82、83はそれぞれ同一の形状であり、金属製の細長い帯状をした板を交互に折り曲げることによって形成してある。すなわち、吸着脚81、82、83はそれぞれ帯状の細長い金属板をその前側と後側から1/3程度の長さの位置で逆の方向に交互に折り曲げ、引き伸ばしたような変形のZ字形に形成してある。この吸着脚81の一端にはネジ穴108を開口し、他端には挿通穴125を開口してある。また、吸着脚82の一端にはネジ穴109を開口し、他端には挿通穴126を開口してある。さらに吸着脚83の一端にはネジ穴110を開口し、他端には挿通穴127を開口してある。
【0050】
これらのシャッターシート74、止め環75、吸着脚81、82、83をカバー体72に固定するには、シャッターシート74の下面をリング部96の上面に密着させ、シャッターシート74の上面外周に止め環75の下面を密着させ、止め環75の上面に吸着脚81、82、83のそれぞれの一端の下面を密着させる。この後、カバー体72の上方より、ボルト113をネジ穴108、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト113の先端にナット116をネジ込んで締め付ける。また、ボルト114をネジ穴109、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト114の先端にナット117をネジ込んで締め付ける。さらに、ボルト115をネジ穴110、107、106、97に挿通し、カバー体72の裏面に突出したボルト115の先端にナット118をネジ込んで締め付ける。このようにして、ボルト113、114、115とナット116、117、118を締め付けることにより、シャッターシート74、止め環75、吸着脚81、82、83は何れもカバー体72の上面に固定され、各吸着脚81、82、83はリング部96の中心より放射状に三方向に拡大して配置することができる。
【0051】
次に、前述した吸着キャップ84、85、86はそれぞれゴム等の柔軟性のある材料で形成されており、下方が大きく開口したお碗型をしており、いわゆる吸盤の形状である。この吸盤型をした吸着キャップ84のお碗の底に対応する頂部には、内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ128が突起してあり、吸着キャップ85のお碗の底に対応する頂部には内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ129が突起してあり、吸着キャップ86のお碗の底に対応する頂部には内部空間と連通して空気の流動を行うことができる中空の取付けパイプ130が突起してある。この吸着キャップ84を吸着脚81に固定するには、取付けパイプ128を挿通穴125に挿入し、突出した取付けパイプ128の先端より固定ナット131をネジ込むことで行うことができる。また、吸着キャップ85を吸着脚82に固定するには、取付けパイプ129を挿通穴126に挿入し、突出した取付けパイプ129の先端より固定ナット132をネジ込むことで行うことができる。さらに、吸着キャップ86を吸着脚83に固定するには、取付けパイプ130を挿通穴127に挿入し、突出した取付けパイプ130の先端より固定ナット133をネジ込むことで行うことができる。
【0052】
このように各吸着脚81、82、83にそれぞれ吸着キャップ84、85、86をそれぞれ固着すると、各吸着脚81、82、83の他端の上面には取付けパイプ128、129、130が突起することになる。この取付けパイプ128には吸気ホース87の一端を結合し、取付けパイプ129には吸気ホース88の一端を結合し、取付けパイプ130には吸気ホース89の一端を結合させる。そし、これらの吸気ホース87、88、89のそれぞれの他端を取りまとめ、合流器90に連通させる。この合流器90は、その内部が空洞となっていて、各吸気ホース87、88、89の終端開口と空洞が連通することにより、吸気ホース87、88、89から流動してきた空気はこの合流器90で混合される。前述したカバー体72における胴部98の側面には吸気口100が貫通開口してあり、この吸気口100に吸気パイプ77の先端を挿入して、吸気口100の内周面と吸気パイプ77の先端外周の間に接着剤を注入して、吸気パイプ77を胴部98に気密に固着することができる。
【0053】
次に、図9は本実施の態様において、ジョイント91及び合流器90から空気を吸引するために負圧を発生させるエゼクター136の内部構造を示したものである。
【0054】
このエゼクター136では、その主要部は本体パイプ137であり、この本体パイプ137は両端が開口してその内部が中空のパイプ状であり、本体パイプ137の一端(図9中右側)には蛇腹などと接続するための接続パイプ138を連結してある。この本体パイプ137の内部の中央には、その内径を狭くした開口を形成した絞り体139と140が間隔を置いて固定してあり、この絞り体139と140の間に負圧を発生させるための空間Gを形成してある。そして、この本体パイプ137の側面であって絞り体139と140の間の位置には、直角方向に横パイプ141が接続してあり、横パイプ141の他端にはL字形に折り曲げられた接続パイプ142が接続してある。このため、接続パイプ142の終端開口より本体パイプ137の空間Gとは空気が流動できるように連通されていることになる。
【0055】
次に、この実施の態様における集塵器具71を用いて、破砕作業で使用する場合を図10と共に説明する。
【0056】
コンクリート製の壁面Gであって、これからこの壁面Gに穴を開口しようとする位置に集塵器具71を設置する。この設置では、集塵器具71にあるシャッターシート74の中心(切れ目105の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。すると、図7で示すようにカバー体72のクッションリング79の平面は壁面Gに密着させられ、同時に、各吸着キャップ84、85、86のそれぞれの開口も壁面Gに密着させられる。前述のジョイント78には蛇腹状の空気を流通させる連通ホース148の一端を接続し、連通ホース148の他端はエゼクター136における接続パイプ138に接続する。そして、ジョイント91には蛇腹状の空気を流通させる吸引ホース149の一端を接続させ、吸引ホース149の他端はエゼクター136における接続パイプ142に接続する。さらに、エゼクター136の他方の開口は、真空吸引機146に突出させて外部から真空吸引機146に向けて空気を吸引する接続パイプ147と接続してある。この真空吸引機146は従来から一般に清掃の作業に用いるものであり、内蔵したモーターを作動させることにより接続パイプ147より内部に空気を吸引することができるものである。真空吸引機146の内部には、布又は紙製の塵埃回収袋を収納しており、接続パイプ147から吸引した空気から塵埃を捕獲する作用を持っている。
【0057】
この真空吸引機146に電源を投入して作動させ、接続パイプ147から内部に向けて空気を吸引すると、エゼクター136、連通ホース148、ジョイント78、吸気パイプ77を通じてカバー体72内の空間Fにある空気は吸い込まれる。そして、この空気がエゼクター136内で流動すると、図9で示すように、エゼクター136の内部に設けた絞り体139と140の径の細い部分では空気は高速で通過することになる。すると、この高速で空気が流動することにより空間Hでは周囲の空気が巻き込まれて吸引され、空間Hの内圧を負圧にさせる。空間Hが負圧となることから、周囲の空気はエゼクター136の中心を高速で流動している空気に巻き込まれるようにして吸引され、横パイプ141、接続パイプ142から空気を吸引する作用を発生する。
【0058】
すると、接続パイプ142に接続した吸引ホース149を介してジョイント91、合流器92より順に空気を吸引し、合流器92に接続した各吸気ホース87、88、89からそれぞれ空気を吸引することになる。この吸気ホース87の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ128を介して吸着キャップ84の内部空間の空気を排出し、吸気ホース88の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ129を介して吸着キャップ85の内部空間の空気を排出し、吸気ホース89の一端から空気を吸引すると、他端に接続してある取付けパイプ130を介して吸着キャップ86の内部空間の空気を排出することになる。各吸着キャップ84、85、86は図7で示すようにそれぞれ吸盤状をしていて、しかも、柔軟なゴムで形成してあるため、それらの内部空間が負圧となると吸着キャップ84、85、86は外部の大気圧より押されて変形し、それぞれの開口を壁面Gの平坦な面と強力に吸着して離れなくなる。このため、吸着キャップ84、85、86による吸引力は吸着脚81、83、83を介してカバー体72全体が壁面Gより落下しないように保持することにになり、穿孔しようとする壁面Gの位置にカバー体72を固定することができる。
【0059】
このように、真空吸引機146を作動させると、カバー体72をその作業位置の壁面Gに保持することができ、この後、電動ハンマーのビット(図10では省略しているが、図5において図示している)をシャッターシート74の切れ目105の中心に挿入する。シャッターシート74では、その平面が切れ目105によって複数の三角形の小片に分離されているため、ビットは三角形の小片を弾性をもって押し広げて自由に挿入することができる。このビットの先端を壁面Gの表面に接触させ、電動ハンマーを駆動すると、ビットは強力に壁面Gに振動を与え、コンクリートの表面に穴を穿つ作用をする。
【0060】
こうして、ビットにより壁面Gに穴を穿ったり、開口を貫通させる作業をすると、ビットの振動により壁面Gからはコンクリートの破片や粉塵が発生することになる。しかし、真空吸引機146が作動されていて、カバー体72内の空間Fにある空気が常時吸引されているため、発生したコンクリートの破片や粉塵は空気と共に吸気パイプ77の方向に流動され、ジョイント78、連通ホース148、接続パイプ138、接続パイプ147を通過し、真空吸引機146にまで吸引される。この真空吸引機146の内部には塵埃回収袋が収納してあり、この塵埃回収袋は空気は通すが粉塵はその膜面で捕獲して回収するため、カバー体72内の空間Fより吸引した空気よりコンクリートの破片や粉塵を捕獲して、外部には分散させることがない。こうして、外部からは閉鎖されたカバー体72内の空間Fと真空吸引機146により、壁面Gを穿ったことにより発生した破片や塵埃は外部に流出することなく、清浄になった空気だけを排気するので、作業現場に塵埃の煙を流出することなく、衛生的に作業を行うことができる。なお、カバー体72内の空間Fにある空気を排出していると、その排出した空気に見合う量の空気はシャッターシート74の切れ目105より流入して補充している。
【0061】
そして、真空吸引機146を作動させている限りは、吸着キャップ84、85、86の内部の空間は負圧となり、カバー体72が壁面Gより落下しないように保持している。だが、集塵器具71を壁面Gから取り外すには、真空吸引機146の動作を停止させ、吸着キャップ84、85、86の吸盤となった内部空間で負圧を発生しないように解除すると、各吸着キャップ84、85、86は壁面Gとの吸引力が解消され、集塵器具71は壁面Gから容易に取り外すことができる。この第二の実施の態様では、第一の実施例のように、カバー体72内が二重にならず、カバー体72の内部空間Fを広く使用することができる。また、吸着キャップ84、85、86による吸引力でカバー体72を壁面Gに保持することができるので、カバー体72を強力に固定することができる。
【0062】
次に、図11乃至図15は本発明の第三の実施の態様を示すものであり、各図面を参照しながら第三の実施の態様について説明する。図11はこの実施の態様における集塵器具161を上方から見た平面図であり、図12は図11中においてJーJを矢視した断面図であり、図13は集塵器具161を組み立てる前の各部品の構成を示す分解斜視図である。図11は組み立てられた状態の集塵器具161を示し、図12は組み立てられた状態の集塵器具161を壁面Kに吸着させた状態を示している。
【0063】
図11で示すように、この集塵器具161の主要な部材である吸着体162は、その外観が金ダライを逆さに伏せたような形状であり、金ダライの底に相当する部分である上面は円形をした平面となっている。この吸着体162の底に対応する上面には円形の空気閉鎖手段としてのシャッターシート167、168を密着してあり、このシャッターシート167、168の上面の周囲にはリング状をした薄肉金属製の止め環169を密着して固定してある。この吸着体162の外周には内部が中空の排気手段としての吸気パイプ171を連結してあり、吸気パイプ171の中心軸は吸着体162の中心を外すように斜めに向けてある。また、吸気パイプ171の終端には蛇腹状をしたチューブ(後述する)の先端を接合するためのジョイント173が固着してある。こうして、吸着体162の側面には吸気パイプ171が串刺しのように連結され、フライパンの柄を斜めに取り付けたような外観形状となっている。
【0064】
次に、図12は吸着体162の内部構造を示すために、図11中のJーJで示す線で上下で切断したものである。この吸着体162は図12で示すように、その内部は二重の断面構造となっており、吸着体162は負圧発生体としての外カバー体163と塵埃捕獲体としての内隔離体164とで構成されている。この外カバー体163は金ダライを伏せたような形状をしており、内隔離体164はお碗を伏せたような形状をしている。この外カバー体163の内部空間は内隔離体164の外径よりも大きく、外カバー体163に内隔離体164を収納しても両者の間には適度な隙間が形成できるような寸法となっている。外カバー体163の上面であって金ダライの底に相当する部分(図12で上部)は平坦な円形をしていて、その中央には底の直径の半分程度の作業口165が開口してあり、リング状の形状となっている。さらに、外カバー体163の周囲は太鼓の胴のように円弧を帯びた曲面に形成され、その下端(図12で下方)は水平方向に広がったリング状の平面となっている。この下端の平面には、スポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング176を固着してあり、このクッションリング176の下面が図12で示すように壁面Kと接触することができる。
【0065】
また、内隔離体164はお碗を伏せたような形状をしており、下方に大きく開口していて、上部のお碗の底に対応する位置には作業口166が開口してあり、リング状の形状となっている。この内隔離体164の外周は半球形をしていて、その下端は水平方向に広がったリング状の平面となっていて、この平面の下面にはスポンジのような弾力性のある材料でリング状に形成された密閉手段としてのクッションリング177が固着してあり、このクッションリング177の下面が図12で示すように壁面Kと接触することができる。
【0066】
そして、外カバー体163の下端にある水平方向に広がったリング状の平面と、内隔離体164の下端にある水平方向に広がったリング状の平面とは、同じ高さ位置に設定してある。このため、両クッションリング176、177の平面は同じ平面位置にあり、図12で示すように、壁面Kに密着させた際には各クッションリング176、177が同時に壁面Kと接触することができる。また、外カバー体163の内部に内隔離体164を収納してあるため、外カバー体163の内部空間は二重に区切られ、クッションリング176、177が壁面Kと接触すると外カバー体163の内部は、外カバー体163の内側と内隔離体164の外側により形成された空間Lと、内隔離体164の内部に形成された空間Mに区分されることになる。
【0067】
前述した外カバー体163の金ダライを伏せた底の部分は平坦なリング状をした平面であり、この平面の上部には円盤形をしたシャッターシート167、168が上下に密着してあり、このシャッターシート168の上面の周囲にはリング状をした止め環169を密着してある。この止め環169は、薄肉の金属板の中心を大きく円形に切断して開口を形成してあり、止め環169と外カバー体163の上面をネジによって締め付けることによりシャッターシート167、168を上下から挟んで固定している。これらのシャッターシート167、168は弾力性のあるやや厚肉のビニールやゴムを素材としており、円盤形をした中心から周囲に向かって複数の切れ目197、199を放射状に切込んで加工してある。このシャッターシート167、168の切れ目197、199の中心は前述した外カバー体163の作業口165の中心線と一致させてある。これらの切れ目197、199によってシャッターシート167、168の中央は弾性を持たせて開閉でき、この切れ目197、199の中心からドリルやビットを作業口165、166の内部に挿入することができる。挿入したドリルやビットの周囲には切れ目197、199によって細分化されたシャッターシート167、168の部材が密着して遮断し、空間Mから空気が逃げるのを防止することができる。
【0068】
そして、前述の外カバー体163の太鼓状となった側面には吸気パイプ171の先端が連通してあり、この吸気パイプ171の先端の開口は外カバー体163の側面に開口した吸気口185と連通してあり、吸気パイプ171と外カバー体163の内部の空間Lとが連通している。また、内隔離体164の側面には内外壁を貫通するように導通手段としての吸気口194が開口してあり、この吸気口194によって内隔離体164の空間Mと外カバー体163の内部の空間Lとを連通させている。
【0069】
次に、図13により、集塵器具161を構成する各部材を分解し、それぞれの部材の構成を詳しく説明する。
【0070】
前述した外カバー体163の全体は金ダライを伏せたような形状をしており、この外カバー体163における金ダライの底に相当する上面はリング部181となっており、このリング部181の外周は円形をしていてその中央には作業口165が貫通開口してある。この作業口165の内径はリング部181の外径の半分程度に設定してあり、リング部181は平坦な環状形をしている。そして、リング部181の周囲には等間隔にネジ穴187が開口してある。平坦なリング部181の外周には下方に向かって膨らんだやや円筒形の胴部183が接続してあり、胴部183は金ダライの周面部に対応するものとなっている。この胴部183は図13で示すように、下方に向かって外径が拡大してカーブを描いており、胴部183の下端周縁には水平方向に広がったリング状の圧着部184が連結してあり、圧着部184は金ダライの縁部に対応するものとなっている。なお、胴部183の側面には円形をした吸気口185が貫通開口してあり、胴部183の側面であって吸気口185の周囲には複数のネジ穴188を開口してある。
【0071】
前述した内隔離体164は外カバー体163の内部空間に収納されるものであり、この内隔離体164の外形はお碗を伏せたような形状となっている。この内隔離体164のお碗の底に対応する上面はリング部191となっていて、このリング部191の外周は円形をしていてその中央には作業口166を開口してある。この作業口166は、前述した外カバー体163の作業口165と同じ内径で貫通開口してあり、リング部191の周囲には等間隔でネジ穴195が開口してある。そして、リング部191の外周には下方に向かって拡大したスカート部192が連続して接続してあり、スカート部192はお碗の外周部に対応する形状となり、下方に向かって円弧形となるようなカーブを描いている。スカート部192の広がった下端の円形となった周縁には圧着部193が連結してあり、この圧着部193は水平方向に広がったリング形をしている。なお、スカート部192の側面には吸気口194を開口してある。
【0072】
次に、前述したシャッターシート167、168の構成を図14と共に説明する。それぞれのシャッターシート167、168はやや肉厚のビニール板やゴム板等の弾性力をもつ材料を素材とした円盤形をしており、それらの外径はリング部181の外径とほぼ同一となるように設定してある。このシャッターシート167の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目197が直線状に切り込んであり、各切れ目197の終端はシャッターシート167の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート167の中心より放射状に切れ目197を切り込むことにより、シャッターシート167の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片201が分離されたことになる。同様に、このシャッターシート168の中心から周囲に向けては放射状に複数の切れ目199が直線状に切り込んであり、各切れ目199の終端はシャッターシート168の周縁の少し手前で止めてあり、輪切りになったレモンのような形状となっている。このようにシャッターシート168の中心より放射状に切れ目199を切り込むことにより、シャッターシート168の中心には二等辺三角形をした複数の閉鎖小片としての弾性三角片202が分離されたことになる。
【0073】
これらのシャッターシート167、168の素材は弾性力のあるビニール板やゴム板を素材としているので、分離された各弾性三角片201、202は上側や下側に対して反復力を持って曲げることができる(図14のように、上側に曲げた状態を参照のこと)。このように、各弾性三角片201、202がその三角形の底辺を周囲に結合したままで、弾性力をもって曲げることができるため、切れ目197、199の中心線にドリルやビットを挿入すると、各弾性三角片201、202はそれぞれ挿入方向に曲げられるため、ドリルやビットの挿入に対して抵抗を生じなく進入させることを許容する。しかも、各弾性三角片201、202は復元力があるため、挿入されたドリルやビットの周囲に密着し、空気が漏れないように遮蔽している。なお、シャッターシート167、168の周囲には、等間隔に複数のネジ穴198、200が上下に貫通開口してあり、シャッターシート167のネジ穴198とシャッターシート168のネジ穴200とは周方向にずらして位置させてある。すなわち、図15で示すように、両ネジ穴198、200を一致させてシャッターシート167、168を重ね合わせたときに、各切れ目197は一対の切れ目199の間に位置するように設定しておく。この場合、両切れ目197、199の中心は一致させた状態で、直線状となった切れ目197と切れ目199が重ならないように配置させておく。
【0074】
次に、止め環169は薄肉の金属材料を素材とし、その外径はシャッターシート167、168の外径(同時にリング部181の外径)とほぼ同一に設定してあり、その中心にはやや径の大きい開口を貫通してある。このため、止め環169は幅の狭い大径のリング形状をしており、この止め環169の周囲には、等間隔に複数のネジ穴204を上下に貫通開口してある。
【0075】
また、胴部183の側面に固着する吸気パイプ171はその内部が中空のパイプ状をしており、その後端には蛇腹形をしたホース(後述する)に接続するジョイント173が連結してある。この吸気パイプ171の先端の周囲は外部に拡散した取り付け片172が固着してあり、吸気パイプ171と取り付け片172は一体になるように成形してある。この取り付け片172の内面(図13で右側の面)は曲面となるように形成してあり、この曲面は胴部183の外周が持つ曲面と同じ曲率に設定してあり、取り付け片172の内面を胴部183の外周に接触させると両者を隙間無く密着させることができる。そして、取り付け片172の周囲にはネジ穴174を開口させてある。
【0076】
これらの外カバー体163と内隔離体164と吸気パイプ171は、それぞれ図13で示す形状に形成してあり、それぞれはFRPや強化プラスチック、或いは薄肉のアルミニュームなどを材料として成形されている。
【0077】
次に、これらの部材を使用して集塵器具161を組み立てる手順を説明する。前述の外カバー体163の内部空間に内隔離体164を挿入し、リング部191の上面をリング部181の下面に密着させる。そして、リング部181の上面の平坦な面にシャッターシート167、168を上下に重ねて載置し、シャッターシート168の上面に止め環169を載置する。そして、それぞれのネジ穴204、200、187、195の位置を合わせ、上方からボルト211を各ネジ穴204、200、187、195に貫通するように挿入する。リング部191の下面に突出した各ボルト211の下端よりナット214をネジ込み、締め付けることでこれらの部材を固定する。こうして、リング部191はリング部181に連結されたことになり、外カバー体163の内部に内隔離体164が収納して固定されたことになる。このため、外カバー体163の内部には図12で示すような二重の空間が区分されたことになる。このように外カバー体163と内隔離体164を組み立てた状態において、圧着部184の下面と圧着部193の下面とが同じ平面となるように設定しておく。また、一対のシャッターシート167、168はその上下面をリング部181と止め環169によって挟まれ、その中央を止め環169の開口で露出した状態で固定されたことになる。
【0078】
このように組み立てられた外カバー体163の側面にある吸気口185には吸気パイプ171の先端の開口を位置合わせし、取り付け片172の内面を外カバー体163の外周面に密着させる。そして、ネジ穴174と188の位置を合わせ、ネジ穴174、188にボルト213を挿入し、外カバー体163の内面に突出したボルト213の先端にナット214をネジ込んで締めつける。こうして、取り付け片172は外カバー体163の胴部183に固定され、吸気パイプ171の軸線が外カバー体163の中心より偏位するように設定することができる。なお、胴部183の外周と取り付け片172の内面との間に接着剤を注入することにより、両者をより気密に結合することができる。
【0079】
前述したクッションリング176、177はスポンジや発泡性ゴムを素材としており、弾性があり、かつ、原型に反復できる能力を持ったいる。このクッションリング176はその外径を圧着部184の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング176は圧着部184の下面に接着剤などで気密に固定してある。同様に、クッションリング177はその外径を圧着部193の外径とほぼ同一としたリング状をしており、クッションリング177は圧着部193の下面に接着剤などで気密に固定してある。各クッションリング176、177は弾性があるため、図12で示すように、圧着部184、193を壁面Kに向けて押し当てると、クッションリング176、177が壁面Kと密着し、その弾性によって壁面Kの表面形状に沿って変形し、空気が外カバー体163、内隔離体164の内部空間より漏れ出さないように防いでいる。
【0080】
このように組み立てられた集塵器具161を使用し、コンクリートの壁面Kを破砕する作業に用いることができる。この作業では、コンクリート製の壁面K(例えば、完成したビルの屋内や躯体など)であって、これからこの壁面Kに穴を開口しようとする位置に集塵器具161を設置する。この設置では、集塵器具161にあるシャッターシート167、168の中心(切れ目197、199の中央のこと)を開口しようとする穴の位置に合わせる。そして、外カバー体163におけるクッションリング176と内隔離体164におけるクッションリング177をそれぞれ壁面Kの表面に密着させる。そして、ジョイント173の開口に連通ホース(図示しないが、図5における連通ホース58と同一である)の一端を接続し、連通ホースの他端は真空吸引機(図示せず)に連結する。この真空吸引機を作動させると、ジョイント173を介して吸気パイプ171の空気が吸引され、吸気口185より外カバー体163内の空間Lに存在する空気は外部に排出され、空間L内の圧力は大気圧より負圧となる。
【0081】
この空間Lは外カバー体163と内隔離体164によって区切られ、下方(図12では壁面Kの表面に密着した側)の開口はクッションリング176、177により気密性を持って壁面Kと密着しているため、外部から空気が流入しない閉鎖されたドーナッツ状の空間となる。このように、空間Lは外部とは気密に閉鎖され、しかも、空気が吸気口185より排出されているため、大気圧は外カバー体163の外面を押さえつけ、外カバー体163(すなわち、集塵器具161全体でもある)を壁面Kから落下しないように固定することになる。このため、集塵器具161全体は壁面Kに保持されたまま、最初に設定した位置に止められて落下することがない。この集塵器具161の保持作用は、真空吸引機を作動させ、吸気口185から空間L内を負圧に維持している限りは、集塵器具161は壁面Kに吸着させられ続けることになる。
【0082】
このように空間L内の空気を排出していると、スカート部192の側面には吸気口194が開口してあるため空間Lと空間Mは連通しており、空気はこの吸気口194を通過して流動することになる。このため、内隔離体164の内部にある空間Mから空気が吸引され、空間Lに流入することになる。しかし、内隔離体164の作業口166は外カバー体163の作業口165と共にシャッターシート167、168によって閉鎖されているので、外カバー体163の外部から空気が進入するのを防ぎ、空間Lでの負圧を維持させることができる。また、シャッターシート167、168の切れ目197、199より内隔離体164の内部に空気が流入するが、吸気パイプ171より吸引している空気量に比べると少ないために空間Lの圧力は集塵器具161は壁面Kに吸着させることができる負圧に維持できる。また、空間Mより空間Lに空気が流動しても、吸気口194の開口が絞りの役目を行うため、空間Lの圧力は空間Mの圧力よりも負圧となっており、急激に空間Lの圧力が上昇することはない。
【0083】
このように集塵器具161を壁面Kに吸着させたままの状態で、電動ハンマーに取り付けたビットの先端をシャッターシート167、168の中央に挿入する(この電動ハンマーとビットは図5で示したものと同一である)。このビットをシャッターシート167、168の中央に挿入すると、切れ目197、199で仕切られたそれぞれの弾性三角片201、202はその弾性で曲げられ、ビットの進入を妨げることがない。このため、ビットの先端は図12で示す、内隔離体164の内部に位置した壁面Kの面に接触することができる。このビットをシャッターシート167、168に挿入した後では、それぞれの弾性三角片201、202がビットの側面にその弾性で密着し、空気が外部から空間Mに流入して圧力が高くならないように抑制している。また、シャッターシート167、168は図15で示すように、それぞれの切れ目197、199が重ならないようにずらして組み合わせてある。このため、切れ目197の隙間と切れ目199の隙間は相互に相手側の弾性三角片201、202で遮蔽され、空気が各切れ目197、199より流動しないように極力防いでいる。そして、ビットを切れ目197、199に挿入した際には、各弾性三角片201、202は図12において下方に撓み、それぞれの切れ目197、199の間隔が拡大されるが、切れ目197の隙間は弾性三角片202の中央で閉鎖され、切れ目199の隙間は弾性三角片201の中央で閉鎖され、空気が流入するのを防いでいる。また、上下に重ねられた弾性三角片201、202の先端がビットの周囲に接触することから、その重ね合わされた接触面は多くなり、各切れ目197、199の中央に開口が形成されるのを極力防止している。
【0084】
このようにビットを内隔離体164の内部に挿入したなら、電動ハンマーを駆動させるとビットは壁面Kに強い衝撃力で衝突し、壁面Kに所定の径の穴を穿つことができる。そして、このビットが壁面Kに衝突してコンクリートを穿つと、コンクリートの破片や粉塵が剥離し、空間Mの内部に充満することになる。この時には真空吸引機がすでに作動していて空間M内の空気を吸気口194を介して吸引していることから、剥離した破片や粉塵は吸気口194、185、吸気パイプ171を通じて連通ホースより真空吸引機の内部に吸引される。なお、空間M内の空気が吸引されることにより不足した空気は、切れ目197、199より適度の流量で流入し、吸引する空気の不足を補っている。
【0085】
この真空吸引機には紙又は布による塵埃回収袋を収納してあり、吸気パイプ171から吸引した空気をこの塵埃回収袋に通過させ、塵埃回収袋で空気だけを外部に放出させ、コンクリートの破片や塵埃は塵埃回収袋の表面で捕獲する。このため、ビットで壁面Kを穿つことによりコンクリートの破片や塵埃が発生するが、破片や塵埃は外部から閉鎖されて負圧となった内隔離体164の内部で発生し、集塵器具161の外部に飛散させることがなくなる。そして、発生した破片や塵埃は真空吸引機により吸引され、その塵埃回収袋で分離させられ、清浄な空気だけが真空吸引機より排出されるので、外部に飛散させることがない。このように、破片や塵埃の発生から捕獲までを外部から閉鎖された空間内で処理するので、壁面Kを破砕している作業現場の周囲には破片や塵埃を飛散させることなく、清潔に維持したままで作業を進めることができる。
【0086】
そして、破砕作業を継続することでビットがコンクリートの壁面Kに穴を穿ったり、開口を貫通させたならば、ビットを図12において上方に引くとビットはシャッターシート167、168より抜き出される。ビットをシャッターシート167、168から抜き出すと、切れ目197、199によって区分けされた各弾性三角片201、202はその弾性力で元の位置に戻り、平坦な形状に復帰し、外部の空気が空間Mに流入することを防ぐことがでる。この後、真空吸引機の動作を停止させると、吸気口185より空間L内の空気の吸引が停止され、空間Lで発生していた負圧がなくなり、大気圧による集塵器具161を押さえる圧力が解除される。すると、集塵器具161が壁面Kに吸着していた力が解消されるので、集塵器具161は壁面Kより離れることができ、次に破砕作業する位置に集塵器具161を移動させることができる。
【0087】
【発明の効果】
以上のように本発明にによれば、破砕の作業を行う面にお碗型の塵埃捕獲体を向け、密閉手段により作業を行う面と気密に密着させるため、塵埃捕獲体の内部空間は外部から閉鎖された空間を形成することができる。そして、排気手段で塵埃捕獲体内の空気を吸引することで負圧を発生させ、塵埃捕獲体をその負圧で作業を行う面に固定することができる。この状態で空気閉鎖手段よりドリルやビットなどの破砕工具を塵埃捕獲体内に挿入し、破砕工具で破砕の作業を行う面に衝撃を与えると塵埃が発生するが、塵埃捕獲体が密閉されているため、塵埃は外部は飛散することがない。そして、発生した塵埃は排気手段により塵埃捕獲体の外部に流動させることができ、環境を清潔にして衛生状態を向上させることができる。また、塵埃が作業現場に飛散しないので、作業員がこの塵埃を吸引することがなくなり、ジン肺などの障害が発生するのを防止することができる(請求項1に記載の発明)。
【0088】
また、お碗型の塵埃捕獲体には結合手段を介して吸盤型をした吸着手段を連結してあり、この吸着手段は吸気手段によりその内部の空気が排出されて負圧となり、破砕の作業を行う面に強固に吸い着くことになる。このため、塵埃捕獲体は吸着手段により作業を行う面の位置に保持され、落下したり、位置がずれることがなくなる(請求項2に記載の発明)。
【0089】
そして、お碗型の塵埃捕獲体の外周にはお碗型をした負圧発生体を配置し、両者で一方が大きく開口した二重の周壁を形成することができる。この塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間には空気を吸引する排気手段を接続し、塵埃捕獲体の周囲にはその内外周を連通する導通手段を開口してある。このため、排気手段で塵埃捕獲体と負圧発生体の間に形成されたドーナツ状の空間の空気を吸引すると、負圧発生体はその開口を破砕の作業を行う面に強力に吸着して固定することができる。そして、塵埃捕獲体の内部空間で発生した塵埃は、導通手段を通過して塵埃捕獲体と負圧発生体の間の空間に流動し、次いで排気手段により外部に排出される。この構成では、導通手段が絞りの役目をして、塵埃捕獲体と負圧発生体の間の空間と、塵埃捕獲体の内部の圧力を調整し、塵埃捕獲体と負圧発生体を破砕の作業を行う面に吸着させる負圧を常時発生させることができる。また、構成が簡易なため、製造が容易となる(請求項3に記載の発明)。
【0090】
さらに、お碗型の塵埃捕獲体の外周にはお碗型をした負圧発生体を配置し、両者で一方が大きく開口した二重の周壁を形成してあり、負圧発生体には排気手段を接続し、塵埃捕獲体には塵埃排出手段を接続してある。このため、排気手段は負圧発生体の内部から空気を排出し、塵埃排出手段は塵埃捕獲体の内部から空気を排出することができ、それぞれが独立した機能を発揮することができる。このため、負圧発生体には単独で排気手段が接続して、その内部空間を負圧に維持することができ、確実に塵埃捕獲体と負圧発生体を破砕の作業を行う面に固定することができる。また、塵埃捕獲体内で発生した塵埃は塵埃排出手段により空気と共に外部に排出されるので、塵埃の捕獲が確実となる(請求項4に記載の発明)。
【0091】
次に、この集塵器具では、ドリルやビットなどの破砕工具を塵埃捕獲体内に挿入させるために空気閉鎖手段を設けてある。この空気閉鎖手段では、弾力性のある平板に放射状に切れ目を加工してあり、この切れ目の中心で分離された小片を押し除けて破砕工具を塵埃捕獲体内に挿通することができる。この構成では、弾力性のある平板は常時は平坦な面を維持していて、空気が塵埃捕獲体に進入するのを阻止しており、破砕工具を挿通する際には切れ目によって分離された小片が弾力をもって曲がり、破砕工具が進入するのを妨げない。そして、各小片はその弾力で破砕工具に密着するため、空気が外部から塵埃捕獲体に侵入するのを極力防いでおり、塵埃捕獲体の内部が負圧になるの維持することができる(請求項5に記載の発明)。
【0092】
また、この空気閉鎖手段は平板状をしたものを複数枚用い、それらの平板を上下に重ね合わせて使用することができる。このため、各平板の切れ目によって形成された小片の数が多くなり、破砕工具に密着する小片の数と接触面積が増加する。このため、塵埃捕獲体に挿入した破砕工具の側面に密着する面積が多くなり、空気の侵入をより効果的に妨げることができる(請求項6に記載の発明)。
さらに、上下に複数枚積み重ねた平板状の空気閉鎖手段は、その切れ目が重ならないようにずらして配置してあるので、切れ目から塵埃捕獲体に侵入しようとする空気は他の空気閉鎖手段の小片に阻止され、塵埃捕獲体の内部に流入することが少なくなり、塵埃捕獲体内の負圧を効果的に保持することができる(請求項7に記載の発明)。
【0093】
そして、請求項2記載の発明による集塵器具では、排気手段にエゼクターを接続してあり、エゼクターの吸引側に吸気手段を接続してある。このため、排気手段からエゼクターに空気が通過すると、その通過する空気の速度によりその内部で負圧が発生し、吸気手段から空気を吸引することができる。このため、空気を排出するための機構を排気手段と吸気手段のそれぞれに独立して接続することがなく、単一の排出機構をエゼクターに接続すれば排気手段と吸気手段から同時に空気を吸引することができ、機構が簡易となる(請求項8に記載の発明)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図2】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図1におけるAーA矢視した断面図である。
【図3】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるシャッターシートを示す斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施の態様である工事現場の集塵器具を用い、壁面に電動ハンマーで穴を穿つ作業を示す説明図である。
【図6】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図7】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図6におけるEーE矢視した断面図である。
【図8】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図9】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるエゼクターの構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第二の実施の態様である工事現場の集塵器具を用い、壁面に穴を穿つ作業を示す説明図である。
【図11】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具を示す平面図である。
【図12】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具を壁面に吸着した状態を示す、図11におけるJーJ矢視した断面図である。
【図13】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具の主要な部材を分解して示した分解斜視図である。
【図14】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いるシャッターシートを示す斜視図である。
【図15】本発明の第三の実施の態様である工事現場の集塵器具に用いる二枚のシャッターシートを組み合わせた状態を示す説明図である。
11 集塵器具
13 負圧発生体としての外カバー体
14 塵埃捕獲体としての内隔離体
15 作業口
16 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
21 排気手段としての吸気パイプ
22 塵埃排出手段としての分岐パイプ
26 密閉手段としてのクッションリング
27 密閉手段としてのクッションリング
47 切れ目
49 閉鎖小片としての弾性三角片
72 塵埃捕獲体としてのカバー体
73 作業口
74 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
79 密閉手段としてのクッションリング
77 排気手段としての吸気パイプ
84 吸着手段としての吸着キャップ
81 結合手段としての吸着脚
82 結合手段としての吸着脚
83 結合手段としての吸着脚
87 吸気手段としての吸気ホース
88 吸気手段としての吸気ホース
89 吸気手段としての吸気ホース
136 エゼクター
161 集塵器具
164 塵埃捕獲体としての内隔離体
163 負圧発生体としての外カバー体
165 作業口
166 作業口
167 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
168 空気閉鎖手段としてのシャッターシート
176 密閉手段としてのクッションリング
177 密閉手段としてのクッションリング
171 排気手段としての吸気パイプ
194 導通手段としての吸気口
197 切れ目
199 切れ目
201 閉鎖小片としての弾性三角片
202 閉鎖小片としての弾性三角片
Claims (8)
- 一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、塵埃捕獲体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具。
- 一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体の開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、塵埃捕獲体に連通され、その内部の空気を吸引する排気手段と、柔軟な材料で形成され、一方を大きく開口して破砕の作業をする面と接触する吸盤型をした吸着手段と、吸着手段と塵埃捕獲体を連結する結合手段と、吸着手段の内部の空気を吸引して負圧とする吸気手段とから構成され、塵埃捕獲体の開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、吸気手段により吸着手段の内部空間を負圧として吸着手段を作業をする面で固定することで塵埃捕獲体をその位置に保持させ、排気手段より塵埃捕獲体と作業をする面で形成された空間より空気を吸引することにより、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具。
- 一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体の側面の内外面を連通して空気の流動を行わせる導通手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を導通手段を通過させて排気手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具。
- 一方を大きく開口したお碗型の塵埃捕獲体と、塵埃捕獲体をその内部に収納して二重の周壁を形成した、一方を大きく開口したお碗型をした負圧発生体と、塵埃捕獲体の底の中心に開口されて破砕工具を出没させる作業口と、作業口に固定され、破砕工具は進入させるが空気の流動を阻止する空気閉鎖手段と、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口の周囲に固定され、柔軟な材料で形成され破砕の作業をする面に接触する密閉手段と、負圧発生体に連通され、塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引する排気手段と、塵埃捕獲体に連通され、塵埃捕獲体の内部の空気を吸引する塵埃排出手段とから構成され、塵埃捕獲体と負圧発生体のそれぞれの開口を破砕の作業をする面に向けて密閉手段を介して密着させ、排気手段より塵埃捕獲体と負圧発生体の間にある空間の空気を吸引することにより、塵埃捕獲体と負圧発生体を作業をする面に固定し、空気閉鎖手段より破砕工具を挿通して作業をする面を破砕する際に発生した塵埃を塵埃排出手段より排出させることを特徴とする工事現場の集塵器具。
- 前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具。
- 前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ねたことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具。
- 前述の空気閉鎖手段は、弾性力のある平板をその中心から放射状に切れ目を入れ、切れ目によって弾性のある閉鎖小片を形成し、この切れ目を入れた平板を複数枚上下に積み重ね、切れ目が上下方向で重ならないように配置したことを特徴とする請求項1乃至4記載の工事現場の集塵器具。
- 前述の排気手段にエゼクターを接続し、エゼクターの吸引側に吸気手段を接続し、吸気手段によりエゼクターを通過させた空気流で排気手段から空気を吸引させることを特徴とする請求項2記載の工事現場の集塵器具。
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