JP3773365B2 - 圧縮天然ガスエンジン搭載バスの車体構造 - Google Patents

圧縮天然ガスエンジン搭載バスの車体構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮天然ガス(以下、「CNG」と記載する))を燃料とするエンジン(圧縮天然ガスエンジン:CNGエンジン)を搭載したバスの車体構造に関し、特に屋根上に搭載するCNGボンベの搭載機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CNGで運転されるバスは、床下部分にボンベを搭載しており、そのレイアウトには、種々の規制或いは制限がある。
【0003】
一方、公共の乗り物であるバスは、高福祉化の点から低床化が望まれている。しかし、CNGボンベが床下にあると低床化が困難である。
【0004】
ここで、CNGボンベを屋根上に搭載することで、その様な規制や制限からは解放される。例えば、1996年9月30日から10月4日まで、マレーシアのクアラルンプール市のプトラ世界貿易センターで開催された「天然ガスを用いた自動車の96年会議及び博覧会」に、CNGボンベが屋根上に搭載されバスが展示されている。
【0005】
しかし、CNGボンベは重量が大きい(165リットルFRP製のボンベで65Kg、125リットル鋼製のボンベで160Kg)ので、バスの屋根上に搭載することは、強度上の困難さがある。上記した「天然ガスを用いた自動車の96年会議及び博覧会」に展示されたバスに関しては、かかる強度上の問題をクリアし、そして重量物であるCNGボンベをバスの屋根上に搭載するための構成は示されていない。
【0006】
なお、その他の従来技術としては、特開平7−117496号公報にボンベ支持装置が示されており、実開平6−39893号公報にリフト車にボンベを取り付ける技術が示されており、そして、実開平7−21421号公報、実開平7−24622号公報、及び特開平7−223447号公報には車両のフレームより下方にボンベを取り付ける技術が開示されている。しかし、これ等の技術では、強度上無理なくバスの屋根上にボンベを搭載するという上記の要請に応えることが出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記要請に応え、強度上無理なくCNGタンクを屋根上に搭載することができるCNGエンジン搭載バスの車体構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のCNGエンジン搭載バスの車体構造は、CNGを燃料とするエンジンを搭載し屋根上に燃料のCNGボンベを搭載したバスの車体構造において、該CNGボンベを屋根上に搭載するボンベ搭載機構は、バス中心軸直角方向に伸び前記CNGボンベの重量を支持する構造部材として機能する複数の天井垂木を屋根板の室内側に設け、それら天井垂木に直交してその全てに跨ってバス中心軸平行方向に伸びる複数の第1補強部材を前記屋根板を挟んで屋根上に平行に配設し、それらの第1補強部材に直交しその全てに跨がりバス中心軸直角方向に伸びる複数の第2補強部材を平行に配設し、該第2補強部材の第1補強部材との交点には切欠き部を形成して第1補強部材と結合し、さらに第2補強部材にはCNGボンベブラケットを結合するための結合手段の一部を形成しており、そしてバス車体側面にガス充填口が設けられ、該ガス充填口と屋根上のボンベ搭載機構との間には充填配管が連通し、バス客室内の床から天井までの領域に対応する該充填配管の範囲は結露防止材で包囲されている。
【0009】
このように構成された本発明のバスの車体構造によれば、CNGボンベの重量は、ボンベブラケット、第2補強部材、及び第1補強部材を介して、構造部材として十分な強度を有する天井垂木に保持されており、そして、バス車体の側面を構成する構造部材にその荷重が伝えられている。すなわち、バスの屋根上に設置され且つ十分な強度を有する複数の梁状の補強部材がボンベ及びボンベブラケットを支持しているので、強度上無理なくバスの屋根上にボンベを搭載することが可能である。
【0010】
したがって、床面より下方の空間にはボンベを配設する必要性がなくなり、レイアウトの自由度が向上して、設計上のゆとりを生じる。そして、低床化が容易となり、高福祉化の要請に対応することができる。
【0011】
本発明の実施に際して、例えば前記第1補強部材は、リベットによってバスの屋根板及び前記天井垂木に対して固定されており、第2補強部材とCNGボンベブラケットとを結合するのはボルト・ナットであって、第2補強部材に形成された結合手段の一部はボルト挿入用の貫通孔であるのが好ましい。
【0012】
また、上記した通り、本発明によれば十分な強度を有する構造部材によってCNGボンベがバスの屋根上の位置に搭載されるのであるが、より安全性を向上する為に、CNGボンベは鋼製のものよりも強化樹脂(FRP)製の軽量のボンベを採用することが好ましい。
【0013】
なお、バスの屋根上に搭載されたボンベに燃料ガスを供給(充填)する際には、膨脹に伴う温度降下で充填配管外周が結露し、充填作業終了後、滴下してバスの客室空間の床上に漏れ出してしまう恐れがある。
【0014】
これに対して本発明では、車体側面にガス充填口が設けられ、該ガス充填口と屋根上のボンベ搭載機構との間には充填配管が連通しており、バス室内の床から天井までの領域に対応する該充填配管の範囲には結露防止材で包囲して構成している。
【0015】
このように、バスの床上から天井までの(客室に対応する)範囲の充填配管は、結露防止材で包囲されているので、この範囲(客室に対応する範囲)は結露しないので、滴下して床上に漏出してしまうようなことは防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1にはバス車体20の屋根上に構築されたCNGボンベ11の搭載機構10及び保護部材15が示されている。図2をも参照して説明すると、車体20の天井部には、バス中心軸直角方向に伸びる複数(図示例では3本)の天井垂木1が設けられ、屋根上には中心軸平行方向に伸びる複数(図示例では4本)の第1補強材2が、平行にその天井垂木1の全部を跨いで配設されている。そして、その上に、中心軸直角方向に伸びる複数(図示例では2本)の第2補強材3が、平行にその第1補強材2の全部を跨いで配設されている。
【0017】
第2補強材3には、図1には示してないが後記するボンベブラケット6が結合されて、ボンベ11が搭載される。なお、前記保護部材15は、ボンベ11を囲って保護をする事が好ましい。さらに、保護部材15を覆うカバー部材を設けるのが好ましい。
【0018】
図3に示すように、前記天井垂木1は、その両端部は、車体の側面板に連結されており、閉断面で形成されており、構造部材として機能してボンベ11の重量を車体側面に伝えている。図4及び図5をも参照して説明すると、第1補助部材2は、ハット状の断面で形成され、そのフランジ部は、屋根板21を挟んで天井垂木1及び天井垂木間を連結するように設けられた第3補助部材4とリベット5で締結されている。
【0019】
第2補助部材3は、下方を開放したコ字状断面で、第1補助部材2との交点には切欠き部3aが形成されて第1補助部材2に嵌め込まれ、溶接によって結合されている。第2補助部材3の上面には、ボンベブラケット6を結合するボルト8の貫通孔3bが複数個穿孔されている。
【0020】
図6には、ボンベ11の搭載構造が示されている。ボンベ11はバス中心軸に平行に、図示の例では2本、搭載されている。結合手段は、第2補強材3上にボルト8で結合されたボンベブラケット6の枕状部分にボンベ11が載置され、バンド6aで固着されている。
【0021】
また、ボンベ11にCNGを充填する充填配管25は、図1に示すように、車体側面下方に充填口26が設けられ、車体側面メンバーの内側に沿って上昇し、天井部からボンベ搭載機構10に連通されている。そして、充填配管25の客室内の床Fから天井Rまでに対応する部分の外周は、結露防止材27で包囲され、結露の防止が図られている。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されており、以下に列挙する作用効果を奏する。
(1) 強度上無理なくバス屋根上にボンベを搭載することが可能である。
(2) 床面下方にボンベを配置する必要性が無く、レイアウトの自由度が向上して低床化が容易となり、高福祉化の要請に対応できる。
(3) CNG充填の際に、充填配管外周に結露を生じて客室に滴下し、床上に漏出してしまうようなことが防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバス車体の構造の実施形態を示す斜視図。
【図2】ボンベ搭載機構を示す斜視図。
【図3】天井垂木、第1、第2補助部材を示す車体の屋根部断面図。
【図4】第1、第2補助部材を示す平面図。
【図5】図4の側面図。
【図6】ボンベ、ボンベブラケットを示す正面図。
【符号の説明】
1・・・天井垂木
2・・・第1補強部材
3・・・第2補強部材
3a・・・切欠き部
6・・・ボンベブラケット
10・・・ボンベ搭載機構
11・・・ボンベ
20・・・車体
21・・・屋根板
25・・・充填配管
26・・・充填口
27・・・結露防止材

Claims (1)

  1. 圧縮天然ガスを燃料とするエンジンを搭載し屋根上に燃料の圧縮天然ガスボンベ(11)を搭載したバスの車体構造において、該圧縮天然ガスボンベを屋根上に搭載するボンベ搭載機構(10)は、バス中心軸直角方向に伸び前記圧縮天然ガスボンベ(11)の重量を支持する構造部材として機能する複数の天井垂木(1)を屋根板(21)の室内側に設け、それら天井垂木(1)に直交してその全てに跨ってバス中心軸平行方向に伸びる複数の第1補強部材(2)を前記屋根板(21)を挟んで屋根上に平行に配設し、それらの第1補強部材(2)に直交しその全てに跨がりバス中心軸直角方向に伸びる複数の第2補強部材(3)を平行に配設し、該第2補強部材(3)の第1補強部材(2)との交点には切欠き部(3a)を形成して第1補強部材(2)と結合し、さらに第2補強部材(3)には圧縮天然ガスボンベブラケット(6)を結合するための結合手段の一部を形成しており、そしてバス車体側面にガス充填口(26)が設けられ、該ガス充填口(26)と屋根上のボンベ搭載機構(10)との間には充填配管(25)が連通し、バス客室内の床(F)から天井(R)までの領域に対応する該充填配管(25)の範囲は結露防止材(27)で包囲されていることを特徴とする圧縮天然ガスエンジン搭載バスの車体構造。
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