JP3770883B2 - 受動部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非平衡入出力を平衡入出力に変換する非平衡−平衡変換部を有する受動部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、IC等の半導体部品の高集積化が進み、半導体部品自体の小型化も急速に進んでいる。これに伴い、半導体部品の周辺に使用されるフィルタ等の受動部品も小型化が進んでいる。また、受動部品の小型化には、誘電体基板を使用した積層型誘電体フィルタが有効である(例えば特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−280805号公報(図1、図9)
【特許文献2】
特開2002−261643号公報(図1、段落[0021])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、数百MHz〜数GHzのマイクロ波帯においてフィルタ等の受動部品を使用する場合、例えば接地電位を基準電位とした非平衡方式での信号の入出力を行う受動部品を使用するようにしている。
【0005】
従って、前記受動部品に平衡入力方式の例えばIC回路などの半導体部品を接続するには、バラン(非平衡−平衡変換器)を使用しなければならず、小型化に限界が生じることになる。
【0006】
そこで、誘電体基板内にフィルタ部と非平衡−平衡変換部とを一体的に形成する方法が考えられるが、非平衡−平衡変換部を誘電体基板内に作りこむには、1/4波長の線路と1/2波長の線路を使用することになる。この場合、1/2波長の線路の存在により、小型化には限界が生じる。
【0007】
また、受動部品の利用形態として、受動部品に接続される半導体部品に別途DC成分を供給するタイプのものがある。
【0008】
通常、このような使用形態では、受動部品と半導体部品との間にDC成分を供給するための専用回路が必要になる。このような場合に、受動部品を通じて半導体部品にDC成分を供給するようにすれば小型化が図れることになる。特に、非平衡−平衡変換部を有する受動部品であれば、DC成分に例えば受信信号成分が重畳された平衡信号が出力されることになるため、上述のような専用回路を接続する必要がなく、受動部品と半導体部品を含むモジュールの小型化を図ることができる。
【0009】
この場合、受動部品に、DC電源からのDC電圧を供給するためのDC端子を具備させる必要があるが、コモンモードノイズの混入が懸念される。そこで、受動部品に別途外付けのコンデンサを接続する必要があり、受動部品と半導体部品を含めたモジュールの実装エリアの縮小化並びにサイズの小型化には限界が生じるおそれがある。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、受動部品自体の小型化を図ることができると共に、該受動部品を含めたモジュールの実装エリアの縮小、並びにサイズの小型化を図ることができる受動部品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る受動部品は、誘電体基板内に少なくとも非平衡−平衡変換部を具備する受動部品において、前記誘電体基板は、第1誘電体層及び第2誘電体層を含む複数の誘電体層が積層されて構成され、前記第1誘電体層に第1内層アース電極が形成され、前記第2誘電体層の主面に第2内層アース電極が形成され、前記非平衡−平衡変換部は、一端に非平衡入出力端子が電気的に接続された第1の線路と、前記第1の線路と共に第1の結合2線路を構成し、かつ、一端に一方の平衡入出力端子が電気的に接続された第2の線路と、前記第1の線路と共に第2の結合2線路を構成し、かつ、一端に他方の平衡入出力端子が電気的に接続された第3の線路とを有し、前記第1の線路は、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層間に積層された第3誘電体層の主面に形成され、前記第2の線路及び前記第3の線路は、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層間に積層された第4誘電体層の主面に形成され、前記第1の線路の他端を前記第1内層アース電極に対して容量結合するための容量電極が、前記第1誘電体層と前記第3誘電体層との間に積層された第5誘電体層の主面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
通常、非平衡−平衡変換部を構成する場合、1/2波長の線路(本発明の第1の線路に対応する線路)の一端に非平衡入出力を接続し、他端を開放とする。しかし、この発明では、第1の線路の他端を容量を介して接地するようにしたので、第1の線路の線路長を短くすることができる。即ち、1/4波長以下まで短くすることができる。これにより、受動部品自体の小型化をより促進させることができる。
【0013】
そして、前記構成において、前記第4誘電体層の主面に、前記第2の線路の前記一端と前記一方の平衡入出力端子との間に第1インダクタンス成分を形成する第1引出し電極が形成され、前記第4誘電体層の主面に、前記第3の線路の前記一端と前記他方の平衡入出力端子との間に第2インダクタンス成分を形成する第2引出し電極が形成され、前記第4誘電体層と前記第2誘電体層の間に積層された第6誘電体層の主面のうち、前記第1引出し電極と対向した位置に、前記一方の平衡出力端子に接続され、かつ、前記第2内層アース電極との間で第1容量成分を形成する第1容量電極が形成され、前記第6誘電体層の主面のうち、前記第2引出し電極と対向した位置に、前記他方の平衡出力端子に接続され、かつ、前記第2内層アース電極との間で第2容量成分を形成する第2容量電極が形成され、前記第1インダクタンス成分、前記第2インダクタンス成分、前記第1容量成分及び前記第2容量成分によりインピーダンスマッチング回路が構成されていてもよい。
また、前記第2の線路の他端と第3の線路の他端は、共通に容量を介して接地するようにしてもよい。この場合、外部電源からのDC電圧が供給されるDC端子を有し、前記第2の線路の他端と第3の線路の他端を共通に前記DC端子に接続すると共に、前記容量を介して接地するようにしてもよい。これにより、第2の線路の他端及び第3の線路の他端とGND(グランド)間に接続された容量は、コモンモードノイズを抑圧する容量として機能することから、コモンモードノイズの抑圧を目的とした外付けコンデンサを接続する必要がなくなり、受動部品と、該受動部品が接続される外部回路(半導体部品等)を含めたモジュールの小型化を促進させることができる。
【0017】
また、前記第2内層アース電極が形成された前記第2誘電体層と前記第2の線路と前記第3の線路が形成された前記第4誘電体層との間に積層された第7誘電体層の主面に形成され、前記第2の線路と前記第3の線路とが共通に接続される容量電極を有するようにしてもよい。これにより、前記第2の線路の他端と第3の線路の他端が共通に容量を介して接地された構成を実現させることができる。
【0018】
また、前記誘電体基板は、その表面の一部に、外部電源からのDC電圧が供給されるDC端子が形成され、前記容量電極は、前記DC端子に接続されていてもよい。この場合、前記第2の線路と前記第3の線路が形成された前記第4誘電体層と前記容量電極が形成された前記第7誘電体層との間に積層された第8誘電体層の主面に第3内層アース電極が形成され、前記第2の線路及び前記第3の線路は、前記第3内層アース電極及び前記第8誘電体層を隔てて前記容量電極に接続されていてもよい。これにより、前記第2の線路の他端と第3の線路の他端が共通に前記DC端子に接続されると共に、前記容量を介して接地された構成を実現させることができる。
【0019】
また、前記誘電体基板内に、更に、1以上の共振器を有する非平衡入出力方式のフィルタ部を構成する複数の電極と、前記フィルタ部の出力段の電極と前記第1の線路とを容量結合する容量電極とが形成されていてもよい。
【0020】
これにより、誘電体基板内に、複数の共振器を有する非平衡入出力方式のフィルタ部と、非平衡−平衡変換部とが一体化されることから、受動部品の小型化を図ることができる。
【0021】
また、一体化することで、フィルタ部と非平衡−平衡変換部間の特性インピーダンスを特定の値(例えば50Ω)に設定する必要がなくなり、両者間の特性インピーダンスを任意に決定することができるため、それぞれの設計の自由度を増すことができる。また、両者間の特性インピーダンスを低く設定することができることから、フィルタ部を形成しやすくなり、非平衡−平衡変換部を構成するストリップラインの線幅を広げることができるため、非平衡−平衡変換部の損失も低減できるという効果がある。
【0022】
また、フィルタ部に対して容量電極を介して非平衡−平衡変換部と接続するようにしているため、前記容量電極にて非平衡−平衡変換部の位相を変え、フィルタ部との不要な整合を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る受動部品の実施の形態例を、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0024】
本実施の形態に係る受動部品10は、図1に示すように、例えば非平衡入力端子12に接続された入力側共振器14と該入力側共振器に結合された出力側共振器16とを有する非平衡入出力方式のフィルタ部18と、2つの結合2線路20及び22を有する非平衡−平衡変換部(以下、単に変換部と記す)24と、変換部24の出力段に接続されたインピーダンスマッチング回路26とを具備する。
【0025】
フィルタ部18の出力段と変換部24の入力段とは、容量Caを介して接続されている。
【0026】
変換部24は、第1の線路28、第2の線路30及び第3の線路32を有する。第1の線路28は、一端が前記容量Caを介してフィルタ部18の出力段に接続され、他端が容量Cbを介して接地されている。第2の線路30は、一端がDC端子34(図示しない外部電源からのDC電圧が供給される端子)に接続されると共に容量Ccを介して接地され、他端がインピーダンスマッチング回路26を介して一方の平衡出力端子36aに接続されている。第3の線路32は、一端が前記DC端子34に接続されると共に容量Ccを介して接地され、他端がインピーダンスマッチング回路26を介して他方の平衡出力端子36bに接続されている。つまり、この変換部24は、第1の線路28と第2の線路30で第1の結合2線路20が形成され、第1の線路28と第3の線路32で第2の結合2線路22が形成されている。
【0027】
インピーダンスマッチング回路26は、第2の線路30の他端と一方の平衡出力端子36aとの間に接続された第1のインダクタンス成分L1と、第2の線路30の他端とGND間に接続された第1の容量成分C1と、第3の線路32の他端と他方の平衡出力端子36bとの間に接続された第2のインダクタンス成分L2と、第3の線路32の他端とGND間に接続された第2の容量成分C2とを有する。
【0028】
通常、変換部24を構成する場合、1/2波長の線路(本実施の形態の第1の線路28に対応する線路)の一端にフィルタ部18の出力段を接続し、他端を開放とする。しかし、この実施の形態では、第1の線路28の他端を容量Cbを介して接地するようにしたので、第1の線路28の線路長を1/4波長以下まで短くすることができる。これにより、受動部品10自体の小型化をより促進させることができる。
【0029】
また、第2の線路30の他端と第3の線路32の他端を共通にDC端子34に接続すると共に、容量Ccを介して接地するようにしたので、該容量Ccは、コモンモードノイズを抑圧する容量として機能することになる。その結果、コモンモードノイズの抑圧を目的とした外付けコンデンサを接続する必要がなくなり、受動部品10と、該受動部品10が接続される外部回路(半導体部品等)を含めたモジュールの小型化を促進させることができる。
【0030】
また、例えばフィルタ部18の出力段と変換部24の入力段とを直接接続すると、フィルタ部18と変換部24とが通過特性上の減衰域で不要な整合を起し、減衰域で不要なピークが形成されることとなる。
【0031】
しかし、本実施の形態では、フィルタ部18を容量Caを介して変換部24と接続するようにしたので、容量Caにて変換部24の位相を変え、フィルタ部18との不要な整合を抑制することができる。
【0032】
次に、上述した本実施の形態に係る受動部品10を1つの誘電体基板40に形成した具体例について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0033】
本具体例に係る受動部品10は、図2に示すように、複数の誘電体層(S1〜S14:図3参照)が積層、焼成一体化されて構成された誘電体基板40を有する。
【0034】
誘電体基板40は、図3に示すように、上から順に、第1〜第14の誘電体層S1〜S14が積み重ねられて構成されている。これら第1〜第14の誘電体層S1〜S14は1枚あるいは複数枚の層にて構成される。
【0035】
誘電体基板40内には、フィルタ部18と変換部24とが形成されている。フィルタ部18は、2つの1/4波長の共振器(入力側共振器14及び出力側共振器16)を有する。入力側共振器14は、第4の誘電体層S4の主面に形成された入力側共振電極44にて構成され、出力側共振器16は、同じく第4の誘電体層S4の主面に形成された出力側共振電極46にて構成される。
【0036】
また、第3の誘電体層S3の主面には、入力側共振電極44の開放端と対向する内層アース電極48と、出力側共振電極46の開放端と対向する内層アース電極50と、入力側共振器14と出力側共振器16間の結合度を調整するための結合調整電極52とが形成されている。
【0037】
この受動部品42は、第2の誘電体層S2、第6の誘電体層S6、第11の誘電体層S11、第13の誘電体層S13の各主面にそれぞれ内層アース電極54、56、58及び60が形成され、第12の誘電体層S12の主面にDC電極62が形成されている。
【0038】
また、この受動部品42は、図2に示すように、誘電体基板40の外周面のうち、第1の側面40aに、それぞれ前記内層アース電極54、56、58、60、48及び50が接続されるアース電極64が形成されている。前記第1の側面40aと反対側の第2の側面40bには、それぞれ前記内層アース電極54、56、58及び60並びに入力側共振電極44及び出力側共振電極46の各一端(短絡端)が接続されるアース電極66が形成されている。
【0039】
誘電体基板40の第3の側面40cには、非平衡入力端子12とDC端子34が形成されている。非平衡入力端子12は、図3に示すように、リード電極68を介して入力側共振電極44に電気的に接続される。DC端子34は、図示しない外部電源からDC電圧が印加される端子であって、リード電極70を介してDC電極62に電気的に接続されている。
【0040】
図2に示すように、第3の側面40cと反対側の第4の側面40dには、平衡出力端子36a及び36bが形成されている。
【0041】
一方、図3に示すように、第5の誘電体層S5の主面には出力容量電極72が形成されている。該出力容量電極72は、第4の誘電体層S4を間に挟んで出力側共振電極46と重なる。
【0042】
第7の誘電体層S7の主面には、後述する変換部24の第1のストリップライン電極78の端部86をGND(この場合、第6の誘電体層S6の主面に形成された内層アース電極56)に対して容量結合するための容量電極74が形成されている。この容量電極74は、第6の誘電体層S6を貫通するビアホール76を通じて内層アース電極56に電気的に接続されている。
【0043】
第8の誘電体層S8の主面には、変換部24の第1の線路28となる第1のストリップライン電極78が形成され、第9の誘電体層S9の主面には、変換部24の第2の線路30となる第2のストリップライン電極80と、第3の線路32となる第3のストリップライン電極82が形成されている。
【0044】
第1のストリップライン電極78は、一端84と他端86とが互いに隣接し、かつ、一端84から他端86に向けてほぼ渦巻状あるいは蛇行状に形成され、ほぼ左右対称の形状を有する。
【0045】
第2のストリップライン電極80は、端部88から一方の平衡出力端子36aに向かって渦巻状あるいは蛇行状に形成された形状を有する。第3のストリップライン電極82は、端部90から他方の平衡出力端子36bに向かって渦巻状あるいは蛇行状に形成された形状を有する。これら第2及び第3のストリップライン電極80及び82は、左右対称に配置されている。
【0046】
また、第2のストリップライン電極80は、その途中から一方の平衡出力端子36aにかけて蛇行した形状(図示の例では、ほぼL字状)の第1の引出し電極92を有する。第3のストリップライン電極82は、その途中から他方の平衡出力端子36bにかけて蛇行した形状(図示の例では、ほぼL字状)の第2の引出し電極94とを有する。
【0047】
第10の誘電体層S10の主面のうち、第1の引出し電極92と対向した位置に、前記一方の平衡出力端子36aに接続され、かつ、下層の内層アース電極58との間で容量を形成する第1の容量電極96が形成されている。また、第2の引出し電極94と対向した位置に、前記他方の平衡出力端子36bに接続され、かつ、内層アース電極58との間で容量を形成する第2の容量電極98が形成されている。
【0048】
第1のストリップライン電極78の一端84は、第5〜第7の誘電体層S5〜S7を貫通するビアホール100を通じて出力容量電極72と電気的に接続されている。第1のストリップライン電極78の他端86は、上述したように、第7の誘電体層S7の主面に形成された容量電極74を介してGND(この場合、内層アース電極56)に容量結合されている。内層アース電極56には、ビアホール100と絶縁をとるための領域、即ち電極膜が形成されていない領域が確保されている。
【0049】
第2のストリップライン電極80の端部88と第3のストリップライン電極82の端部90は、共に第9〜第11の誘電体層S9〜S11を貫通するビアホール102及び104を通じてDC電極62に電気的に接続されている。内層アース電極58には、ビアホール102及び104と絶縁をとるための領域、即ち電極膜が形成されていない領域が確保されている。
【0050】
この具体例に係る受動部品42は、図1の等価回路にも示すように、第7の誘電体層S7の主面に形成された容量電極74によって、変換部24の第1の線路28の他端が容量Cbを介して接地されることとなる。
【0051】
また、第2及び第3のストリップライン電極80及び82の各端部88及び90がそれぞれビアホール102及び104を介してDC電極62に接続されることで、図1に示すように、変換部24を構成する第2及び第3の線路30及び32の各一端がそれぞれ共通にDC端子34に接続されたものとなる。更に、DC電極62の上下に内層アース電極58及び60を配置したことによって、第2及び第3の線路30及び32の共通の一端とGND間に容量Ccが形成されたものとなる。
【0052】
また、結合調整電極52によって入力側共振器14と出力側共振器16間に接続された結合容量Cdが形成され、出力側共振電極46と出力容量電極72とが第4の誘電体層S4を挟んで対向することで容量Caが形成されたものとなる。
【0053】
また、変換部24の出力段に、第1の引出し電極92による第1のインダクタンス成分L1と、第1の容量電極96による第1の容量成分C1と、第2の引出し電極94による第2のインダクタンス成分L2と、第2の容量電極98による第2の容量成分C2とを有するインピーダンスマッチング回路26が接続された形となる。
【0054】
上述した具体例に係る受動部品42においては、誘電体基板40内に、入力側共振器14及び出力側共振器16を有する非平衡入出力方式のフィルタ部18と、第1〜第3のストリップライン電極78、80及び82を有する変換部24とが一体化されることから、受動部品42の小型化を図ることができる。
【0055】
また、一体化することで、フィルタ部18と変換部24間の特性インピーダンスを特定の値(例えば50Ω)に設定する必要がなくなり、両者間の特性インピーダンスを任意に決定することができるため、それぞれの設計の自由度を増すことができる。また、両者間の特性インピーダンスを低く設定することができることから、フィルタ部18を形成しやすくなり、変換部24を構成する第1〜第3のストリップライン電極78、80及び82の線幅を広げることができるため、変換部24の損失も低減できるという効果がある。
【0056】
また、出力容量電極72を出力側共振電極46に対して第4の誘電体層S4を間に挟んで対向させて形成するようにしたので、フィルタ部18の出力側共振器16と変換部24の入力段との間に容量Caを容易に形成することができる。この容量Caによって、不要な整合を防止することができる。
【0057】
また、例えば結合調整電極52を出力容量電極72の近傍に形成すると、浮遊結合が生じ、上述した不要な整合をなくすことができない場合がある。しかし、本具体例では、結合調整電極52を出力容量電極72とは離れた位置、図3の例では、入力側共振電極44及び出力側共振電極46が形成された第4の誘電体層S4を間に挟んだ第3の誘電体層S3に形成するようにしている。これにより、フィルタ部18と変換部24との不要な整合がなくなり、周波数特性が改善する。なお、非平衡入力端子12と入力側共振電極44との接続は、リード電極68による直接接続(タップ結合)であってもよいし、容量を介して接続するようにしてもよい。
【0058】
また、具体例においては、互いの電磁結合により形成される第1のストリップライン電極78、第2のストリップライン電極80及び第3のストリップライン電極82を、螺旋状もしくは蛇行状に引き回した左右対称の線路としたので、位相及び振幅のバランスがとれた特性となる。その結果、減衰特性でみた場合、非平衡入出力型のフィルタよりも良質な特性を有する非平衡入力−平衡出力型のフィルタあるいは平衡入出力型のフィルタを得ることができる。
【0059】
また、変換部24の第2及び第3のストリップライン電極80及び82の各端部88及び90は、それぞれビアホール102及び104を通じてDC電極62に接続され、しかも、このDC電極62は、上層の内層アース電極58及び下層の内層アース電極60と対向して配置されている。つまり、DC端子34とGND間に容量Ccが形成されることとなる。この容量Ccは、コモンモードノイズを抑圧する容量として機能することから、コモンモードノイズの抑圧を目的とした外付けコンデンサを接続する必要がない。
【0060】
また、DC電極62の上下に内層アース電極58及び60を配置することで、外部や内部からの影響を抑圧することができ、アイソレーション特性を改善することができる。これにより、特性をより安定にすることができる。
【0061】
また、周波数特性において、位相及び振幅のバランスを調整する場合、DC電極62の面積を変更したり、変換部24における第2及び第3のストリップライン電極80及び82の各端部88及び90とDC電極62とを電気的に接続するビアホール102及び104の位置を平行移動させることで調整することができる。
【0062】
更に、この具体例では、誘電体基板40内にインピーダンスマッチング回路26を形成するようにしているため、本具体例に係る受動部品42を例えば半導体部品に接続してモジュールを構成する場合に、該受動部品42と半導体部品との間に別途インピーダンスマッチング回路を挿入接続する必要がない。
【0063】
その結果、受動部品42を含むモジュールの実装エリアの縮小を図ることができ、しかも、高周波技術を不要とした設計が可能となる。従って、上述のように半導体部品と接続してモジュールを構成した場合の該モジュールの小型化並びにコストの低減を有効に図ることができる。
【0064】
上述の例では、フィルタ部18を構成する共振器の数を2つとしたが、1つでもよいし、3つ以上であってもかまわない。
【0065】
なお、この発明に係る受動部品は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る受動部品によれば、受動部品自体の小型化を図ることができると共に、該受動部品を含めたモジュールの実装エリアの縮小、並びにサイズの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る受動部品を示す等価回路図である。
【図2】具体例に係る受動部品を示す透視斜視図である。
【図3】具体例に係る受動部品を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10…受動部品 12…非平衡入出力端子
14…入力側共振器 16…出力側共振器
18…フィルタ部 24…変換部
26…インピーダンスマッチング回路 28…第1の線路
30…第2の線路 32…第3の線路
34…DC端子 36a、36b…平衡出力端子
40…誘電体基板 44…入力側共振電極
46…出力側共振電極
48、50、54、56、58、60…内層アース電極
62…DC電極 72…出力容量電極
74…容量電極 Ca〜Cd…容量
Claims (8)
- 誘電体基板内に少なくとも非平衡−平衡変換部を具備する受動部品において、
前記誘電体基板は、第1誘電体層及び第2誘電体層を含む複数の誘電体層が積層されて構成され、
前記第1誘電体層に第1内層アース電極が形成され、前記第2誘電体層の主面に第2内層アース電極が形成され、
前記非平衡−平衡変換部は、
一端に非平衡入出力端子が電気的に接続された第1の線路と、
前記第1の線路と共に第1の結合2線路を構成し、かつ、一端に一方の平衡入出力端子が電気的に接続された第2の線路と、
前記第1の線路と共に第2の結合2線路を構成し、かつ、一端に他方の平衡入出力端子が電気的に接続された第3の線路とを有し、
前記第1の線路は、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層間に積層された第3誘電体層の主面に形成され、
前記第2の線路及び前記第3の線路は、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層間に積層された第4誘電体層の主面に形成され、
前記第1の線路の他端を前記第1内層アース電極に対して容量結合するための容量電極が、前記第1誘電体層と前記第3誘電体層との間に積層された第5誘電体層の主面に形成されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項1記載の受動部品において、
前記第4誘電体層の主面に、前記第2の線路の前記一端と前記一方の平衡入出力端子との間に第1インダクタンス成分を形成する第1引出し電極が形成され、
前記第4誘電体層の主面に、前記第3の線路の前記一端と前記他方の平衡入出力端子との間に第2インダクタンス成分を形成する第2引出し電極が形成され、
前記第4誘電体層と前記第2誘電体層の間に積層された第6誘電体層の主面のうち、前記第1引出し電極と対向した位置に、前記一方の平衡出力端子に接続され、かつ、前記第2内層アース電極との間で第1容量成分を形成する第1容量電極が形成され、
前記第6誘電体層の主面のうち、前記第2引出し電極と対向した位置に、前記他方の平衡出力端子に接続され、かつ、前記第2内層アース電極との間で第2容量成分を形成する第2容量電極が形成され、
前記第1インダクタンス成分、前記第2インダクタンス成分、前記第1容量成分及び前記第2容量成分によりインピーダンスマッチング回路が構成されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項1又は2記載の受動部品において、
前記第2の線路の他端と第3の線路の他端は、共通に容量を介して接地されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項1又は2記載の受動部品において、
外部電源からのDC電圧が供給されるDC端子を有し、
前記第2の線路の他端と第3の線路の他端は、共通に前記DC端子が接続されると共に、容量を介して接地されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の受動部品において、
前記誘電体基板内に、更に、
1以上の共振器を有する非平衡入出力方式のフィルタ部を構成する複数の電極と、
前記フィルタ部の出力段の電極と前記第1の線路とを容量結合する出力容量電極とが形成されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の受動部品において、
前記第2内層アース電極が形成された前記第2誘電体層と前記第2の線路と前記第3の線路が形成された前記第4誘電体層との間に積層された第7誘電体層の主面に形成され、前記第2の線路と前記第3の線路とが共通に接続される容量電極を有することを特徴とする受動部品。 - 請求項6記載の受動部品において、
前記誘電体基板は、その表面の一部に、外部電源からのDC電圧が供給されるDC端子が形成され、
前記容量電極は、前記DC端子に接続されていることを特徴とする受動部品。 - 請求項7記載の受動部品において、
前記第2の線路と前記第3の線路が形成された前記第4誘電体層と前記容量電極が形成された前記第7誘電体層との間に積層された第8誘電体層の主面に第3内層アース電極が形成され、
前記第2の線路及び前記第3の線路は、前記第3内層アース電極及び前記第8誘電体層を隔てて前記容量電極に接続されていることを特徴とする受動部品。
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