JP3768747B2 - 遊星ローラ式摩擦伝動装置及びリングローラの製造方法 - Google Patents

遊星ローラ式摩擦伝動装置及びリングローラの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽ローラ、遊星ローラ、リングローラの三者の摩擦回転により動力を伝達する遊星ローラ式摩擦伝動装置(トラクションドライブ:略称=T/D)及び同装置に使用するリングローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、特開平6−174027号公報に記載された従来のこの種の遊星ローラ式摩擦伝動装置の一例を示す。この装置は、入力軸1の一部に一体形成された太陽ローラ3と、太陽ローラ3に外接する複数の遊星ローラ4と、遊星ローラ4が内接するリングローラ5と、これらローラ3、4、5の軸方向一方側に配されるキャリア6とを備えている。キャリア6は、入力軸1と同軸上に配された出力軸2に連結されている。各遊星ローラ4には、キャリア6に片持支持された支持ピン7が嵌入され、各遊星ローラ4の内周と支持ピン7の外周との間には、遊星ローラ4の回転を促進するベアリング8が介在されている。
【0003】
前記太陽ローラ3、遊星ローラ4、リングローラ5、キャリア6は、ケーシング11、12の内部に収容されており、リングローラ5は、ケーシング11、12の内周に隙間嵌めされた状態で、ケーシング11、12にボルト10で固定されている。この場合、リングローラ5の遊星ローラ4との接触面の両側には薄肉部を確保するための環状溝5a、5aが形成されており、リングローラ5は、それら環状溝5a、5aの外側部分5bにおいてケーシング11、12にボルト10で固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の遊星ローラ式摩擦伝動装置では、リングローラ5の内周面に対して遊星ローラ4の外周接触面4aが幅方向全域に亘って接触するようになっているので、特に、遊星ローラ4の外周円筒面4aの軸方向両端4b、4b(以下、「外周エッジ」という)が当たる部分の圧接力が局部的に大きくなってしまい、圧接力が遊星ローラ4とリングローラ5の接触面の幅方向に均一に分布せず、良好な圧接状態を維持できないという問題があった。
【0005】
なお、上述した従来例では、リングローラ5の内周面に環状溝5a、5aを切ってあるが、これら環状溝5a、5aは、リングローラ5に弾性を付与するためのものであって、遊星ローラ4との接触面を外れた位置に存在するので、上記の問題の解消には役だっていない。
【0006】
又、上述の従来の遊星ローラ式摩擦伝動装置では、リングローラ5をケーシング11、12に隙間嵌めした状態で、単にボルト10で止めているだけであるから、芯合わせの精度が出しづらく、その点でもリングローラ5と遊星ローラ4の圧接状態を良好に保ち難いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮し、リングローラとケーシングをインロー嵌合することで、精度の良い組み付けが簡単にでき、しかも、そのインロー嵌合部の加工容易性を確保しながら、リングローラと遊星ローラの圧接状態を良好に保つことができる遊星ローラ式摩擦伝動装置と、その遊星ローラ式摩擦伝動装置に利用されるリングローラの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、太陽ローラと、該太陽ローラに外接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、前記リングローラを保持するケーシングとを備えた遊星ローラ式摩擦伝動装置において、前記リングローラの内周面を軸方向に沿って面一に形成し、その面一に形成した内周面の軸方向両端部をインロー部として該リングローラを前記ケーシングのインロー部に嵌合固定すると共に、該リングローラの面一に形成した内周面のうち、前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向端部と干渉する個所に逃げ溝を形成したことにより、上記課題を解決したものである。
【0009】
この発明では、リングローラをケーシングに対してインロー部で嵌合固定しているので、芯合わせ精度を高めることができる。又、リングローラの内周面のうち、遊星ローラの外周接触面の軸方向端部(ここでは簡単に「外周エッジ」という)と干渉する個所に逃げ溝を設けているので、リングローラが遊星ローラの外周エッジと当たることによる局部的な圧接力の増大を緩和することができる。したがって、これらの構成から圧接力の分布を、リングローラと遊星ローラの接触面の幅方向に均一化することができ、良好な圧接状態を維持することができるようになる。
【0010】
又、逃げ溝の大きさによって遊星ローラとリングローラ間の接触面積の調整ができるので、接触面の面圧を平均的に高めることで接触面間の摩擦力の増大を図り、特にリングローラと遊星ローラ間の滑りを防止して伝達トルクの増大を図ることができる。
【0011】
又、この発明では、リングローラの内周面を、ケーシングに対するインロー部を含めて軸方向に面一に形成しているので、加工を非常に簡素化できる。したがって、工程の単純化により、加工コストの低減と加工時間の短縮が図れる。
【0012】
なお、前記の逃げ溝は、遊星ローラの外周接触面の軸方向両端部と干渉する個所に一対設けるのが理想であるが、片方だけ設けてもそれなりの効果は得られる。
【0013】
又、逃げ溝の断面形状は何でもよく、矩形、V形、半円等の任意の断面形状に設定してよい。特に請求項2(あるいは6)のように、逃げ溝の内壁と軸線との交差角を鈍角に設定し、例えば、V形断面のような溝にした場合は、汎用のバイトのみでリングローラ内面と逃げ溝の切削とを行うことができる。このように、逃げ溝の内壁と軸線との交差角を鈍角にしたり、交差部を滑らかな曲面状に形成すると、遊星ローラの外周接触面に対する当たりのエッジ効果を和らげることもできる。
【0014】
ところで、リングローラと遊星ローラの接触面と、遊星ローラと太陽ローラの接触面に働く力について比較検討してみると、リングローラと遊星ローラ間の圧接力と、太陽ローラと遊星ローラ間の圧接力とは、作用と反作用の関係で同じになる。しかし、リングローラと遊星ローラの接触は、凹周面と凸周面の接触である上に、半径が大きい周面での接触であるから、接触面積が大きくなるが、遊星ローラと太陽ローラの接触は、凸周面と凸周面の接触である上に、半径が小さい周面での接触であるから、接触面積が小さくなる(図5を用いて後述する)。したがって、同じ圧接力が接触面に働いているものの、接触面積が異なるから、単位面積当たりの接触面圧はリングローラと遊星ローラ間の接触面の方が小さくなる。
【0015】
そこで、請求項3の発明は、前記逃げ溝を前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向両端部に対応して一対設ける場合に、それら一対の逃げ溝の間に確保された遊星ローラとの接触面の軸方向幅を、太陽ローラと遊星ローラの接触面の面圧と、遊星ローラとリングローラの接触面の面圧とが等しくなるような値に設定したことにより、上記課題を解決するようにしている。
【0016】
こうすることで、リングローラと遊星ローラとの接触面圧の減少による滑りの発生をなくすことができ、伝達トルクの増大が図れる。
【0017】
又、請求項4の発明は、前記逃げ溝を前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向両端部に対応して一対設ける場合に、それら一対の逃げ溝の間に確保された遊星ローラとの接触面の軸方向幅を、当該接触面における面圧分布が軸方向に一定となるような値に設定したことにより、上記課題を解決したものである。
【0018】
前述したように、逃げ溝を設けないでリングローラの内周面と遊星ローラの外周面を接触させた場合、接触面圧が接触部の端部(遊星ローラの外周接触面の軸方向端部が干渉する部分)ほど大きくなるが(図6を用いて後述する)、請求項3の発明では、遊星ローラの幅方向の中央と両端で同じ面圧になるように、リングローラ側の接触面の幅を調節している。したがって、接触面圧の均一化により、良好な圧接状態が確保され、一層滑りが発生しにくくなって安定したトルク伝達が可能になる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の遊星ローラ式摩擦伝動装置における前記リングローラの製造方法であって、前記リングローラを、内周面のうち前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向端部と干渉する個所逃げ溝を含めて、単一のバイトにて軸方向に沿って旋削加工することを特徴としている。
【0020】
即ち、この製造方法によれば、同一の旋削加工バイトにより、逃げ溝と逃げ溝以外の部分を同時に加工できるため、工程の単純化により、加工コストの低減と加工時間の短縮が図れる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
この第1実施形態は、モータMの先端部に遊星ローラ式摩擦伝動装置T/D(以下、単に符号「T/D」で略する)を一体に組み付けたもので、図1はその全体構成を示す断面図、図2はそのトラクションドライブ部分の拡大図、図3は図2の要部拡大図である。
【0023】
T/Dのケーシング31は、軸線方向の前部に配された前部ケーシング31Aと、中央に配された円筒状の中央ケーシング31Bと、モータM側の継ケーシング31Cとからなる。継ケーシング31Cは、モータMの前部ケーシングを兼用しており、モータMのケーシングは、この継ケーシング31Cと、固定子等を内装した円筒ケーシング41と、後面カバー42とからなる。
【0024】
モータ軸45は、後端が、後面カバー42に嵌合された軸受43により支持され、前端側が、継ケーシング31Cの貫通孔33に嵌合された軸受34により支持されている。そして、軸受34より突出したモータ軸45の前端が、T/Dの中心軸線に芯合わせされた状態でT/Dの内部に挿入され、T/Dの入力軸21となっている。
【0025】
T/Dは、ケーシング31の中心部に配されたホロータイプの太陽ローラ23と、太陽ローラ23に外接する複数(本例では4個)の遊星ローラ24と、遊星ローラ24が内接するリングローラ25と、これらローラ23、24、25の軸方向一方側(モータMの取付側と反対側)に配されるキャリア26とを備えている。太陽ローラ23は、入力軸21(モータ軸45の前端)の外周に隙間嵌めされた状態でキー50で結合されている。
【0026】
又、キャリア26は、入力軸21と同軸上に配された出力軸22の基端部にフランジ状に一体的に形成されている。入力軸21は、太陽ローラ23が嵌合された位置よりも先端側で、キャリア26の端面凹所35に嵌合した軸受36により支持されており、曲げ力のかかる太陽ローラ23の両側で、軸受34、36により両端支持されている。なお、太陽ローラ23と軸受34との間には、太陽ローラ23の軸方向位置決めを行うスペーサ39が挿入されている。
【0027】
又、キャリア26と一体化された出力軸22は、先端が前部ケーシング31Aを貫通して外部に突出しており、前部ケーシング31Aの内周に嵌合した2つの軸受37、38により支持されている。
【0028】
ここでは、リングローラ25が固定要素、太陽ローラ23が入力要素、遊星ローラ24及びキャリア26が出力要素となっており、リングローラ25が円筒状の中央ケーシング31Bに一体的に形成されている。そして、モータMの前部ケーシングを兼用する継ケーシング31Cと、リングローラ25を一体に有する中央ケーシング31Bと、出力軸22の貫通した前部ケーシング31Cとを互いに嵌合して、貫通ボルト32で結合することにより、T/DとモータMとが一体化されている。
【0029】
この場合、図3に拡大して示すように、リングローラ25を一体に形成した中央ケーシング31Bの両端のインロー部25d、25dと、前部ケーシング31A及び継ケーシング31Cのインロー部31d、31dとをそれぞれ密に嵌合することにより、出力軸22、リングローラ25、入力軸21をそれぞれ備えた3つのケーシング31A、31B、31Cが芯合わせされている。
【0030】
又、中央ケーシング31Bに一体的に形成されたリングローラ25の内周面は、遊星ローラ24に対する接触面25cから両端のインロー部25dに至るまで軸方向に沿って面一に形成されている。
【0031】
そして、その面一に形成された内周面のうち、遊星ローラ24の外周円筒面の軸方向両端部(外周エッジ)24a、24aと干渉する個所には、断面矩形の逃げ溝25aが形成されている。
【0032】
図1、図2に戻って、各遊星ローラ24には、キャリア26に片持支持された支持ピン27が挿入されており、各遊星ローラ24の内周と支持ピン27の外周との間には、遊星ローラ24の回転を促進する全体が円筒形状の回転促進リング28が介在されている。回転促進リング28としては、揺動内接噛合遊星歯車構造等で使用されている純円筒形の内ローラや多数の細かいころ(ニードル)を備えたニードルベアリングを採用することができる。内ローラはニードルベアリングよりも安価で且つ耐久性があり、ラジアル方向の外乱にも強い。ニードルベアリングは内ローラよりも定常時の回転性能が高い。
【0033】
又、前記のローラ23、24、25の軸方向他方側(キャリア26反対側)には、回転促進リング28及び遊星ローラ24の端面に対向することで、回転促進リング28及び遊星ローラ24の軸方向移動を規制する(ケーシング31Cへの当たりを防止する)押さえリング29が、リングローラ25と同心状に配設されている。又、遊星ローラ24とキャリア26の端面間には遊星ローラ24の軸方向位置決めのためのスペーサ30が挟まれている。又、このT/Dの内部空間には、グリース等の潤滑油が過不足なく封入されている。
【0034】
次に作用を説明する。
【0035】
モータMにより太陽ローラ23を回転させると、リングローラ25に内接する遊星ローラ24が自転しながら公転し、遊星ローラ24の公転が、支持ピン27→キャリア26→出力軸22の経路で減速出力として取り出される。この点は従来の遊星ローラ式摩擦伝動装置と同じである。
【0036】
上記の動作の際に、図3に示すように、リングローラ25には逃げ溝25a、25aがあり、遊星ローラ24の外周エッジ24a、24aがリングローラ25の内周面に当たらないようになっているので、外周エッジ24a、24aと当たることによる局部的な圧接力の増大が緩和され、圧接力の分布が接触面25cの幅方向に均一化される。
【0037】
又、逃げ溝25a、25aの大きさによって、遊星ローラ24とリングローラ25間の接触幅Hが調整できるので、遊星ローラ24とリングローラ25間の接触面積を変えることができ、接触面25cの面圧を加減することができる。例えば、面圧を平均的に高めることで、接触面間の摩擦力の増大を図り、リングローラ25と遊星ローラ24間の滑りを防止して、伝達トルクの増大を図ることができる。
【0038】
又、この遊星ローラ式摩擦伝動装置では、リングローラ25とケーシング31A、31Cをインロー部25d、25d、31d、31dで密に嵌合しているので、芯合わせ精度が向上し、それによっても圧接状態が良好に維持されることになる。
【0039】
又、リングローラ25の内周面が、遊星ローラ24に対する接触面25cからケーシング31A、31Bに対するインロー部25d、25dに至るまで軸方向に面一に形成されているので、加工工程を簡略化できる。
【0040】
なお、逃げ溝25a、25aの断面形状は、矩形に限らず、任意に設定することができる。図4の実施形態では、V形断面の逃げ溝125a、125aを形成したリングローラ125を使用している。この場合も、遊星ローラ24との接触面125cから両端のインロー部125d、125dに至るまで、リングローラ125の内周面は軸方向に沿って面一に形成されている。そして、インロー部125d、125dを、前部ケーシング31A及び継ケーシング31Cのインロー部31d、31dに密に嵌合することで、リングローラ125を備えた中央ケーシング31Bが両側のケーシング31A、31Cに対して芯出しされている。
【0041】
このように逃げ溝125a、125aをV形断面にした場合は、接触面25cの両端角部に面取り効果が出るので、遊星ローラ24の外周接触面に対する当たりが和らぐ。
【0042】
次にローラ間の面圧の適正化について述べる。
【0043】
前述の各実施形態におけるリングローラ25、125と遊星ローラ24間の接触と、遊星ローラ24と太陽ローラ23間の接触について比較検討してみると、図5に示すように、リングローラ25、125と遊星ローラ24の接触面P1間に作用する圧接力と、太陽ローラ23と遊星ローラ24の接触面P2間に作用する圧接力P2とは、作用と反作用の関係で同じになる。
【0044】
しかし、リングローラ25、125と遊星ローラ24の接触は、凹周面と凸周面の接触である上に、半径R2が大きい周面での接触であるから、接触面積が大きくなるが、遊星ローラ24と太陽ローラ23の接触は、凸周面と凸周面の接触である上に、半径R1が小さい周面での接触であるから、接触面積が小さくなる。したがって、同じ圧接力が接触面P1、P2に働いているものの、接触面積の違いにより、単位面積当たりの接触面圧は、リングローラ25、125と遊星ローラ24間の接触面P1の方が小さくなる。
【0045】
なお、「滑りが発生するか否か」は圧接力のほか、接触面圧にも依存することが知られている。
【0046】
そこで、図3に示すように、逃げ溝25a(125a)、25a(125a)の間に確保された遊星ローラ24との接触面25cの軸方向幅Hを、太陽ローラ23と遊星ローラ24の接触面の面圧と、遊星ローラ24とリングローラ25(125)の接触面の面圧とが略等しくなるような値に設定する。こうすることで、リングローラ25(125)と遊星ローラ24の接触面圧を高めることができ、滑りの発生がなくなり、伝達トルクの増大が図れる。
【0047】
又、図6(a)のように、逃げ溝を設けないでリングローラ225の内周面と遊星ローラ24の外周面を接触させた場合、圧接力が接触部の端部(遊星ローラ24の外周接触面の軸方向端部24a、24aが干渉する部分)ほど局部的に大きくなる。そこで、図6(b)のように、逃げ溝25a、25a、125a、125aの間に確保された遊星ローラ24との接触面25c、125cの軸方向幅Hを、当該接触面25c、125cにおける圧接力分布が軸方向に略一定となるような値に設定する。こうすることにより、遊星ローラ24の幅方向の中央と両端で同じ接触面圧になるようにすることができる。したがって、接触面圧の均一化により、良好な圧接状態を確保することができて、一層滑りの発生を防止し、安定したトルク伝達が可能になる。
【0048】
次に図7を用いて、上記の遊星ローラ式摩擦伝動装置に用いるリングローラ25、125の製造方法について説明する。
【0049】
これらのリングローラ25、125を製作する場合は、図7(a)、(b)に示すように、まず、円筒状のリングローラ25の素材を鋳造等によって形成し、その内周面を旋削加工する。次いで遊星ローラの外周接触面の軸方向端部と干渉する個所に逃げ溝25a、25a、125a、125aを旋削加工する。なお、図8(a)に拡大して示すように、逃げ溝125a、125aについては、その形状に垂直面がないため(逃げ溝の内壁と軸線との交差角θ1が鈍角であるため)に1個の汎用の旋削バイトで内周面の旋削加工と同時に加工することができる。又、図8(b)のような形状でも軸線と逃げ溝225aの内壁との交差角θ2が鈍角であるため、1個の汎用の旋削バイトで一度に加工できる。なお、図7(a)のような軸線と垂直な内壁を有する逃げ溝25a、25aについては、別途専用バイトで加工することとなる。
【0050】
次いで、これを熱処理し、熱処理後のリングローラ25、125の面一の内周面を研削加工により仕上げる。この場合、逃げ溝25a、25a、125a、125a間の接触面25c、125cも、両端のインロー部25d、25d、125d、125dも、同じ径D1なので同一面を1回の研削で仕上げることができる。
【0051】
因みに、図7(c)に示すように、内周面を面一にしないリングローラ225の場合は、両端のインロー部225d、225dの径D2と、遊星ローラに対する接触面225cの径D3が異なるので、3面を2回の研削加工で行わなければならず、工程が増える。
【0052】
したがって、図7(a)、(b)に示すように内周面を面一にすることで、図7(c)の場合に比べて、加工工程の単純化が図れて、加工コストや加工時間の短縮が図れ、なお且つ実質的なリングローラの幅Wを逃げ溝の存在によって任意に設定できることになる。
【0053】
なお、上述のような遊星ローラ式摩擦伝動装置(T/D)を組み込んだ装置では、太陽ローラ23、遊星ローラ24、リングローラ25、125の径を変えることにより、簡単に減速比を変えることができる上、ローラの径を歯車と違って連続的に変えることができるので、無段階的に減速比を変えることができる。
【0054】
又、T/D付きモータT/D・Mは、摩擦ローラの摩擦回転によってトルクを伝えるので、高トルク伝達にはそのままでは向かないが、T/Dを前段の減速機とし、T/Dの出力側にさらに揺動内接噛合遊星歯車機構等の後段減速機を結合することにより、高トルク伝達に使えるようにすることが簡単にできる。その場合は、T/Dを減速機ばかりでなく、モータと歯車減速機間の振動伝達を吸収する緩衝手段として機能させることもできる。つまり、歯車伝動の場合は、回転方向の振動がそのまま入出力軸間で伝達してしまうが、摩擦ローラを利用した伝動の場合は、回転方向の振動ばかりでなく軸方向の振動も摩擦接触面で逃がすことができるので、振動吸収作用を発揮することができる。したがって、その作用により、モータと歯車減速機間の共振現象を防止して、全体の低振動・低騒音化を図るようにすることもできる。
【0055】
又、上記の実施形態では、太陽ローラ23を入力要素、遊星ローラ24及びキャリア26を出力要素とした場合を示したが、逆に設定することもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リングローラとケーシングをインロー嵌合しているので、芯合わせ精度の良い組み付けが簡単にできる。又、リングローラの内周面のうち、遊星ローラの外周エッジと干渉する部分に逃げ溝を設けているので、外周エッジの干渉による局部的な圧接力の増大を緩和することができる。したがって、圧接力の分布をリングローラと遊星ローラの接触面の幅方向に均一化することができ、良好な圧接状態を維持することができる。又、逃げ溝の大きさによって遊星ローラとリングローラ間の接触面積の調整ができるので、接触面の面圧を平均的に高めることで、接触面間の摩擦力の増大により、リングローラと遊星ローラ間の滑りを防止して伝達トルクの増大を図ることができる。
【0057】
又、リングローラの内周面を、ケーシングに対するインロー部を含めて軸方向に面一に形成しているので、1回の旋削及び1回の研削でリングローラを加工することができ、工程の単純化により、加工コストの低減と加工時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態として示すトラクションドライブ(遊星ローラ式摩擦伝動装置)付きモータの断面図
【図2】図1のトラクションドライブ部分の拡大図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】本発明の他の実施形態の断面図
【図5】本発明におけるローラ間の面圧調整の原理を説明するための図
【図6】本発明における遊星ローラとリングローラ間の接触面の圧接力の調整原理を説明するための図で、(a)は逃げ溝がない場合、(b)は逃げ溝がある場合の図
【図7】本発明のリングローラの製造方法の工程説明図で、(a)、(b)は本発明のリングローラの場合、(c)は比較として示すリングローラの場合の図
【図8】逃げ溝の形状の例を示す拡大断面図
【図9】従来の遊星ローラ式摩擦伝動装置の断面図
【符号の説明】
21…入力軸
23…太陽ローラ
24…遊星ローラ
24a…外周接触面の軸方向端部(外周エッジ)
25,125…リングローラ
25a,125a…逃げ溝
25c,125c…接触面
25d,125d…インロー部
26…キャリア
31A…前部ケーシング
31B…継ケーシング
31d…インロー部
T/D…遊星ローラ式摩擦伝動装置

Claims (6)

  1. 太陽ローラと、該太陽ローラに外接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、前記リングローラを保持するケーシングとを備えた遊星ローラ式摩擦伝動装置において、
    前記リングローラの内周面を軸方向に沿って面一に形成し、その面一に形成した内周面の軸方向両端部をインロー部として該リングローラを前記ケーシングのインロー部に嵌合固定すると共に、該リングローラの面一に形成した内周面のうち、前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向端部と干渉する個所に逃げ溝を形成したことを特徴とする遊星ローラ式摩擦伝動装置。
  2. 請求項1において、
    前記逃げ溝の内壁と軸線との交差角が鈍角に設定されていることを特徴とする遊星ローラ式摩擦伝動装置。
  3. 請求項1において、
    前記逃げ溝を前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向両端部に対応して一対設ける場合に、それら一対の逃げ溝の間に確保された遊星ローラとの接触面の軸方向幅を、太陽ローラと遊星ローラの接触面の面圧と、遊星ローラとリングローラの接触面の面圧とが等しくなるような値に設定したことを特徴とする遊星ローラ式摩擦伝動装置。
  4. 請求項1において、
    前記逃げ溝を前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向両端部に対応して一対設ける場合に、それら一対の逃げ溝の間に確保された遊星ローラとの接触面の軸方向幅を、当該接触面における面圧分布が軸方向に一定となるような値に設定したことを特徴とする遊星ローラ式摩擦伝動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の遊星ローラ式摩擦伝動装置における前記リングローラの製造方法であって、
    前記リングローラの内周面を、前記遊星ローラの外周円筒面の軸方向端部と干渉する個所逃げ溝を含めて、単一のバイトにて軸方向に沿って旋削加工する
    ことを特徴とするリングローラの製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記逃げ溝の内壁と軸線との交差角が鈍角に設定されていることを特徴とするリングローラの製造方法。
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