JP3765763B2 - 水中油型乳化食品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、卵黄を含有し、コレステロール含有量を低減したマヨネーズ、タルタルソース、ドレッシング等の水中油型乳化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コレステロール含有量を低減した食品が求められているが、卵黄を原料に用いたマヨネーズ、タルタルソース、ドレッシング等の水中油型乳化食品は、コレステロールが卵黄自体に約1.2%含まれており、また植物油にも若干量含まれている場合があるため、どうしても最終製品中に一定量以上のコレステロールが残存してしまうことになる。
従来より、卵黄を使用しないことでコレステロール含有量を低減したマヨネーズ様食品(特開平7−39341号等)が提案されているが、卵黄の有する優れた乳化作用が働かないために、別途乳化剤や澱粉等を添加する必要があり、また、卵黄が持つ特有の風味、コク(旨味)がないため、食味の点で満足できる製品は得られていない。
【0003】
また、本出願人は以前に、卵黄を通常のマヨネーズと同等量使用しつつコレステロール含有量を低減した水中油型乳化食品を提案した。例えば、特開平8−23918号に示すコレステロールを低減した卵黄を使用して水中油型乳化食品を製する方法は、卵黄を食用油と混合した後食用油を分離除去し、コレステロールを40〜90%注出除去して得た低コレステロール卵黄を、5〜25%使用して水中油型乳化食品を製する技術であり、最終製品の水中油型乳化食品中には、少なくとも6×10−3%以上のコレステロールが残存している。
また、同じく本出願人の出願に係る特開平11−137209号においては、超臨界二酸化炭素処理によりコレステロール含量を60〜95%低減した低コレステロール卵黄と、酵素処理卵黄を併用して水中油型乳化食品を製する技術を提案した。しかしこの方法は、コレステロールを除去していない酵素処理卵黄を0.5%以上使用するため、最終製品の水中油型乳化食品中には、少なくとも6×10−3%を超える量のコレステロールが残存している。
以上のように、従来の技術では、卵黄の配合量を減らすことなくコレステロール含有量を6×10−3%未満にまで低減した水中油型乳化食品は得られていなかった。
【0004】
そこで、本出願人は、酵素処理した後に超臨界二酸化炭素処理して得られる低コレステロール乾燥卵黄を利用することにより、卵黄の含有量が通常のマヨネーズと同程度と多いにも拘わらず、コレステロール含有量を6×10−3%未満に低減してある水中油型乳化食品を製する技術を完成し、平成13年4月20日に別途特許出願を行った(特願2001−122030)。
この特願2001−122030に係る技術は、卵黄を酵素処理した後超臨界二酸化炭素処理するに際し、超臨界二酸化炭素処理の強さの程度を制御し、卵黄中のコレステロール含有量が特定値を下回らないように調整することにより、乳化安定性が高く保存中に分離し難く、かつ優れた風味を有する水中油型乳化食品を製することができるという極めて有用なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らがさらに研究を進めた結果、上記特願2001−122030に係る水中油型乳化食品は、10℃程度の低温下で保存した場合には性状が安定したまま長期保存に耐えるが、20℃であれば3〜4ヵ月程度は性状が安定しているものの、5ヵ月以上保存した場合には、部分的に乳化が壊れて分離してしまうという問題があることがわかった。
以上より、本発明は、卵黄を多く含有するにも拘わらず、コレステロール含有量が極めて低減され、しかも20℃において5ヵ月以上保存しても水相と油相が分離することなく乳化安定性に優れるとともに、卵黄が持つ特有の風味とコク(旨味)を有する水中油型乳化食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上、卵白の含有量が生卵白換算で6%以上であり、卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%以上、かつ総コレステロール含有量が6×10−3%未満である水中油型乳化食品、
(2)リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上、キサンタンガムの含有量が0.03%以上であり、卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%以上、かつ総コレステロール含有量が6×10−3%未満である水中油型乳化食品、
(3)リゾ化率10%以上のリゾ化卵黄を含有する(1)または(2)に記載の水中油型乳化食品、
を提供するものである。さらに、
(4)卵黄液を酵素処理してその含有リン脂質をリゾ化し、次いで含有コレステロールが0.1%以上残存するように脱コレステロール処理して得られたリゾ化乾燥卵黄を、全原料に対し0.7%以上配合するとともに、卵白を生卵白換算で6%以上またはキサンタンガムを0.03%以上配合することを特徴とする水中油型乳化食品の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本発明において「%」は全て「質量%」を意味する。
本発明の水中油型乳化食品は、水相原料と油相原料とが水中油型に乳化されてなる乳化物である。すなわち、水相中に油滴が分散された状態にある乳化物であり、具体的には、マヨネーズ、タルタルソース、乳化タイプのドレッシング等が挙げられる。この際水相原料と油相原料との配合割合は、前者10〜90%に対して後者90〜10%程度でよいが、通常は前者20〜70%に対して後者80〜30%が一般的である。
【0008】
本発明の水中油型乳化食品は、リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上としてある。ここでリゾ化卵黄とは、リン脂質分解酵素であるホスホリパーゼA等を作用させて卵黄蛋白質と結合しているリン脂質をリゾ化した卵黄をいう。
リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上必要であるのは、2.8%未満であると、水中油型乳化食品の乳化安定性が悪く保存中に分離が生じ易く、また、卵黄の風味とコクがほとんど感じられないからである。さらに、リゾ化卵黄の含有量を4.8%以上にしておけば、通常のマヨネーズと遜色のない風味とコクの強い製品が得られるのでより好ましい。但し、30%を越えると風味が通常のマヨネーズとは大きく異なるものとなるので、あまり好ましくない。
【0009】
また、本発明の水中油型乳化食品は、卵白の含有量が生卵白換算で6%以上としてある。ここで卵白とは、全卵から工業的に卵黄を分離した卵液をいい、生卵白、殺菌卵白、凍結卵白を解凍したもの、乾燥卵白を水戻ししたものを用いればよい。
卵白の含有量が生卵白換算で6%以上必要であるのは、6%未満であると、水中油型乳化食品を常温で長期保存(20℃で5ヵ月以上)したとき部分的な分離が生じ易く、乳化製品としてはふさわしくないからである。さらに、卵白の含有量を7%以上としておけば、通常のマヨネーズと同等の耐分離性のある製品が得られるのでより好ましい。但し、20%を超えると風味が通常のマヨネーズとは大きく異なるものとなるので、あまり好ましくない。
【0010】
さらに、本発明の水中油型乳化食品は、卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%以上であり、卵黄を含む全ての原料由来のコレステロール含有量(本発明において「総コレステロール含有量」という。)が6×10−3%未満としてある。卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%未満であれば、水中油型乳化食品の乳化安定性が悪く保存中に部分的な分離が生じ易く、総コレステロール含有量が6×10−3%以上の場合は、上記特開平8−23918号等の従来技術によって既に実現可能となっている範囲だからである。
尚、本発明におけるコレステロール含有量の測定方法は、科学技術庁資源調査会食品成分部会「日本食品標準成分表分析マニュアル」(平成9年1月発行)に記載の「コレステロール定量法A」に準拠したものである。
【0011】
以上述べた水中油型乳化食品において、卵白の代わりにキサンタンガムを0.03%以上含有させた製品であっても、本発明の目的を達成することができる。キサンタンガムの含有量が0.03%以上必要であるのは、0.03%未満であると、水中油型乳化食品を常温で長期保存(20℃で5ヵ月以上)したとき部分的な分離が生じやすく、乳化製品としてふさわしくないからである。さらに、キサンタンガムの含有量を0.05%以上としておけば、通常のマヨネーズと同等の耐分離性のある製品が得られる。但し、0.3%以上になると耐分離性効果がピークとなるので、これ以上含有させるのは実用的でない。
尚、卵白とキサンタンガムを上記含有量の範囲で併用した本発明の水中油型乳化食品は、さらに耐分離性のある製品が得られる。
【0012】
次に、本発明の水中油型乳化食品の製造方法について説明する。
まず、生卵黄、あるいは乾燥卵黄粉を水戻しする等により得られる卵黄液を、酵素処理してその含有リン脂質をリゾ化する。酵素処理に使用する酵素としては、ホスホリパーゼAを用いるのが一般的である。卵黄をホスホリパーゼAで処理すると、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質(卵黄リン脂質等の卵黄脂質と卵黄蛋白の複合体)の構成リン脂質にホスホリパーゼAが作用し、リン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基が加水分解されてリゾリン脂質となる。酵素処理条件は、例えば、上記酵素を1×10−4〜2×10−2%程度の濃度で、温度45〜55℃、pH6〜8の条件下で2〜12時間程度反応させればよい。
【0013】
本発明においては、酵素処理後におけるリゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計質量に対するリゾホスファチジルコリンの質量割合(以下「リゾ化率」という。)が、イヤトロスキャン法(TLC−FID法)で分析した場合に好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上である。10%未満であると、製した水中油型乳化食品の長期保存中に亀裂が生じたり分離し易くなり、また、独特のムレ臭が生じる傾向があるからである。尚、リゾ化率が90%を超えると苦味を呈する傾向があり、あまり好ましくない。
【0014】
次に、得られたリゾ化卵黄液を超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理する。その際、脱コレステロール処理に先立ってリゾ化卵黄液を乾燥しておくと、超臨界二酸化炭素での脱コレステロール処理をより効率的に行なうことができるので好ましい。この際の乾燥手段は特に限定されず、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法で、リゾ化乾燥卵黄の水分含量を1〜6%程度にすればよい。この乾燥処理によりリゾ化乾燥卵黄中のコレステロールも濃縮されて、含有量が2〜3%程度になる。
【0015】
次に、超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理を行なうが、ここで用いる超臨界二酸化炭素とは、31.0℃の臨界温度あるいはそれ以上の温度、および7.14MPaの臨界圧あるいはそれ以上の圧力の条件下にある二酸化炭素を意味する。特に、35〜45℃の温度および13〜35MPaの条件下にある超臨界二酸化炭素が好適である。
このような超臨界二酸化炭素を用いた脱コレステロール処理は、従来法に準じて行なえばよいが、処理後のリゾ化乾燥卵黄中のコレステロール含有量が0.1%以上、より好ましくは0.15%以上になるように制御する必要がある。コレステロール含有量を0.1%未満にまで低減してしまうと、理由は定かではないが、水中油型乳化食品を製した際に乳化が安定せず、保存中に分離し易いからである。
【0016】
以上で得られた脱コレステロール処理済みのリゾ化乾燥卵黄と、別に用意した卵白(又はキサンタンガム)を用いて水中油型乳化食品を製する方法は、一般のマヨネーズの製法と変るところがなく、上記リゾ化乾燥卵黄、卵白(又はキサンタンガム)、清水、食酢、その他の調味料をよく攪拌・混合した後、食用油を加えて更に攪拌して乳化させればよい。
その際のリゾ化乾燥卵黄の添加量は、全原料に対し0.7%以上必要である。0.7%未満であると、水中油型乳化食品に卵黄の風味とコクを付与することができないからである。尚、当該リゾ化乾燥卵黄の0.7%以上は、生卵黄換算で約2.8%以上に相当する。
また、卵白の添加量は、全原料に対し生卵白換算で6%以上(キサンタンガムの場合は0.05%以上)必要である。これは、20℃に5ヵ月以上保存しても分離し難い製品を得るためである。
【0017】
また、本発明の水中油型乳化食品の原料としては、上記のものの他、製する食品の種類に応じて様々な原料を用いることができる。例えばマヨネーズであれば食塩、砂糖等の調味料、グルタミン酸ソーダ等の呈味料、辛子粉、オイルマスタード等の香辛料等が挙げられ、タルタルソースであれば、細断したピクルス、オニオン等の具材を加えればよい。また、食用油の使用量を減らした低カロリーのマヨネーズタイプの食品であれば、大豆蛋白質、澱粉、デキストリン、セルロース等を配合すればよい。
【0018】
【実施例】
実施例1
下記の配合割合の水相原料と油相原料とを用い、予め充分に混合しておいた水相原料中に攪拌しながら油相原料を添加し、常法に準じて乳化させてマヨネーズタイプの水中油型乳化食品を製造した。
尚、下記配合中のリゾ化乾燥卵黄は、卵黄液をホスホリパーゼA2で処理してリゾ化し、次いで乾燥後に超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理したものであり、リゾ化率は60%、コレステロール含有量は0.2%である。
得られた水中油型乳化食品の総コレステロール含有量を測定したところ、4.3×10−3%であった。この総コレステロール含有量のうち約3.6×10−3%分は加工乾燥卵黄由来であり、約0.7×10−3%分は植物油由来と考えられる。
【0019】
実施例2
下記の配合割合の水相原料と油相原料とを用い、実施例1と同様の工程にてマヨネーズタイプの水中油型乳化食品を製造した。
尚、下記配合中のリゾ化乾燥卵黄は、卵黄液をホスホリパーゼA2で処理してリゾ化し、次いで乾燥後に超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理したものであり、リゾ化率は40%、コレステロール含有量は0.4%である。
得られた水中油型乳化食品の総コレステロール含有量を測定したところ、5.5×10−3%であった。この総コレステロール含有量のうち約4.8×10−3%分は加工乾燥卵黄由来であり、約0.7×10−3%分は植物油由来と考えられる。
【0020】
実施例3
下記の配合割合の水相原料と油相原料とを用い、実施例1及び2と略同様の工程にてマヨネーズタイプの水中油型乳化食品を製造した。但し、キサンタンガムは予め植物油中に分散させて使用した。
また、下記配合中のリゾ化乾燥卵黄は、卵黄液をホスホリパーゼA2で処理してリゾ化し、次いで乾燥後に超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理したものであり、リゾ化率は60%、コレステロール含有量は0.3%である。
得られた水中油型乳化食品の総コレステロール含有量を測定したところ、5.2×10−3%であった。この総コレステロール含有量のうち約4.5×10−3%分は加工乾燥卵黄由来であり、約0.7×10−3%分は植物油由来と考えられる。
【0021】
【試験例】
試験例1
本発明の水中油型乳化食品と先願発明の水中油型乳化食品の性状について試験するために、次の4種類のサンプルを用意した。
テスト品1:実施例1で製造した水中油型乳化食品
テスト品2:実施例2で製造した水中油型乳化食品
テスト品3:実施例3で製造した水中油型乳化食品
比較品:特願2001−122030の実施例2で製造した水中油型乳化食品
【0022】
すなわち、比較品の水中油型乳化食品は、下記の配合割合の水相原料と油相原料とを用い、本発明の実施例1と同様の工程にて製造したものである。
尚、下記配合中のリゾ化乾燥卵黄は、卵黄液をホスホリパーゼA2で処理してリゾ化し、次いで乾燥後に超臨界二酸化炭素で脱コレステロール処理したものであり、リゾ化率は40%、コレステロール含有量は0.4%である。
各サンプルを、夫々ポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観と風味の評価試験を行った。試験結果は表1に示すとおりである。
尚、表1中の「卵黄由来コレステロールの含有量」とは、各サンプルに含まれる卵黄由来のコレステロールの量(コレステロール含有量、質量%)であり、リゾ化乾燥卵黄に含まれるコレステロール量とリゾ化乾燥卵黄の配合量から計算により求めた数値である。
【0023】
【表1】
【0024】
表1より、卵白の配合量を多くするか、またはキサンタンガムを一定量配合すると、20℃で5ヵ月間保存しても分離が生ずることなく、かつ卵黄特有のコク味を有する低コレステロールの水中油型乳化食品が得られることが理解できる。
【0025】
試験例2
リゾ化乾燥卵黄の配合量の変更が、水中油型乳化食品の性状に与える影響について試験した。
表2に示すように、リゾ化乾燥卵黄およびデキストリンの配合量を各々変更し、その他は実施例2と同様の配合及び工程にて水中油型乳化食品のサンプルaからdを製した。そして、各サンプルをポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観および風味の評価試験を行った。
尚、表2中の「卵黄由来コレステロールの含有量」とは、各サンプルの水中油型乳化食品中に含まれる、卵黄由来のコレステロール量(質量%)であり、リゾ化乾燥卵黄に含まれるコレステロール量(0.4%)とリゾ化乾燥卵黄の配合量から計算により求めた数値である。
【0026】
【表2】
【0027】
試験結果は表2に示すとおりであり、リゾ化乾燥卵黄の配合量が1.2%以上のサンプルc、dが最も望ましく、0.7%のサンプルbも製品として許容し得るものであった。しかし、リゾ化乾燥卵黄の配合量が0.2%のサンプルaは、外観・風味共に好ましいものではなかった。
【0028】
試験例3
リゾ化乾燥卵黄中のコレステロール含有量の変更が、水中油型乳化食品の性状に与える影響について試験した。
表3に示すように、各々コレステロール含有量を変更したリゾ化乾燥卵黄(リゾ化率60%)を使用し、その他は実施例2と同様の配合及び工程にて水中油型乳化食品のサンプル3−aから3−eを製した。そして、各サンプルをポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観および風味の評価試験を行った。
尚、表3中の「水中油型乳化食品の卵黄由来コレステロール含有量」とは、各サンプルの水中油型乳化食品中に含まれる、卵黄由来のコレステロール量(質量%)であり、リゾ化乾燥卵黄のコレステロール含有量とリゾ化乾燥卵黄の配合量(1.2%)から計算により求めた数値である。
【0029】
【表3】
【0030】
試験結果は表3に示すとおりであり、コレステロール含有量が0.15%以上のリゾ化乾燥卵黄を使用して製したサンプル3−c、3−d、3−eが最も望ましく、コレステロール含有量0.1%のリゾ化乾燥卵黄を使用したサンプル3−bは多少の欠点はあるが製品として許容し得るものであった。しかし、コレステロール含有量0.05%のリゾ化乾燥卵黄を使用したサンプル3−aは、分離が生じており製品として採用し得るものではなかった。
【0031】
試験例4
リゾ化乾燥卵黄のリゾ化率の変更が、水中油型乳化食品の性状に与える影響について試験した。
表4に示すように、各々リゾ化率を変更した加工乾燥卵黄(コレステロール含有量0.3%)を使用し、その他は実施例1と同様の配合及び工程にて水中油型乳化食品のサンプル4−aから4−fを製した。そして、各サンプルをポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観および風味の評価試験を行った。
【0032】
【表4】
【0033】
試験結果は表4に示すとおりであり、リゾ化率30%以上80%以下のリゾ化乾燥卵黄を使用して製したサンプル4−c、4−d、4−eが最も望ましく、リゾ化率10%および90%のサンプル4−b、4−fは多少の欠点はあるが製品として許容し得るものであった。しかし、全く酵素処理していない加工乾燥卵黄を使用したサンプル4−aは、外観・風味共に好ましいものではなかった。
尚、実施例3のキサンタンガムを用いた水中油型乳化食品についても同様の試験をしてみたが、表4と略同じ結果が得られた。
【0034】
試験例5
卵白の配合量の変更が、水中油型乳化食品の性状に与える影響について試験した。
表5に示すように、乾燥卵白およびデキストリンの配合量を各々変更し、その他は実施例2と同様の配合及び工程にて水中油型乳化食品のサンプル5−aから5−eを製した。そして、各サンプルをポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観および風味の評価試験を行った。
【0035】
【表5】
【0036】
試験結果は表5に示すとおりであり、乾燥卵白の配合量が0.6%(生卵白換算で6.0%)以上であれば分離は生じないが、2.0%(生卵白換算で20%)を超えると、風味が薄くなり通常のマヨネーズとは異なった風味となる。
【0037】
試験例6
キサンタンガムの配合量の変更が、水中油型乳化食品の性状に与える影響について試験した。
表6に示すように、キサンタンガムおよびデキストリンの配合量を各々変更し、その他は実施例3と同様の配合及び工程にて水中油型乳化食品のサンプル6−aから6−dを製した。そして、各サンプルをポリエチレン製のボトル型可撓性チューブ容器に300gづつ充填・密封し、20℃で5ヵ月間保存した後、外観および風味の評価試験を行った。
【0038】
【表6】
【0039】
試験結果は表6に示すとおりであり、キサンタンガムの配合量が0.05%以上であれば分離が生ずることなく望ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の水中油型乳化食品は、リゾ化卵黄を生卵黄換算で2.8%以上含有し、卵白を生卵白換算で6%以上またはキサンタンガムを0.03%以上含有しているので、乳化安定性に優れ、20℃で5ヵ月以上保存しても分離が生じ難く、卵黄特有の風味とコクを十分に有しているものである。
また、卵黄由来のコレステロールを7×10−4%以上含有するが、コレステロールの総量としては6×10−3未満しか含有していないため、通常のマヨネーズやドレッシングと同様に使用しながら、体内へのコレステロール摂取量を極めて低減することができる。
さらに、本発明の水中油型乳化食品の製造方法によれば、卵黄の含有量が多く風味が良好で、乳化安定性に優れ20℃に5ヵ月以上保存しても分離が生じ難く、かつコレステロール含有量を極めて低減した水中油型乳化食品を効率的に大量生産することができる。
Claims (4)
- リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上、卵白の含有量が生卵白換算で6%以上であり、卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%以上、かつ総コレステロール含有量が6×10−3%未満である水中油型乳化食品。
- リゾ化卵黄の含有量が生卵黄換算で2.8%以上、キサンタンガムの含有量が0.03%以上であり、卵黄由来のコレステロール含有量が7×10−4%以上、かつ総コレステロール含有量が6×10−3%未満である水中油型乳化食品。
- リゾ化率10%以上のリゾ化卵黄を含有する請求項1または2に記載の水中油型乳化食品。
- 卵黄液を酵素処理してその含有リン脂質をリゾ化し、次いで含有コレステロールが0.1%以上残存するように脱コレステロール処理して得られたリゾ化乾燥卵黄を、全原料に対し0.7%以上配合するとともに、卵白を生卵白換算で6%以上またはキサンタンガムを0.03%以上配合することを特徴とする水中油型乳化食品の製造方法。
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