JP3765460B2 - 熱現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光により潜像を形成した乾式の感光材料を加熱現像する熱現像装置に関し、特に、現像進行を抑制する抑制剤が含有された熱現像感光材料を用いる熱現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタルラジオグラフィーシステム、CT、MR等の医療用の画像記録装置では、銀塩写真式感光材料に撮影又は記録後、湿式処理して画像を得るウェットシステムが用いられている。これに対し、近年、湿式処理を行わないドライシステムによる熱現像装置が注目されている。
【0003】
この熱現像装置では熱現像感光材料が用いられる。熱現像装置は、この熱現像感光材料に像様露光で潜像を形成し、その後、熱現像部において熱現像感光材料を加熱手段にて熱現像し、画像が形成された熱現像感光材料を装置外に排出する。
【0004】
このようなドライシステムによる熱現像装置は、湿式処理に比べて短時間の内に画像形成ができるばかりでなく、湿式処理における廃液処理の問題を解消することができ、今後その需要の高まることが充分に予想される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のドライシステムによる熱現像装置において、熱現像感光材料の熱現像時における濃度は、熱現像温度の上昇や熱現像時間の増加と共に上昇する。従って、安定した濃度を得るには、熱現像温度と、実質的に現像が開始されて終了するまでの時間(実質熱現像時間)を精密に管理する必要がある。また、実質熱現像時間は、熱現像感光材料の温度立ち上がり時の温度バラツキや、冷却時の温度バラツキ等の影響を受け増減する。これらの要求や、影響回避を可能にする対策として、例えば安定化した非常に大きな蓄熱体を加熱手段として備えた装置構成とすることが考えられる。
しかしながら、このような蓄熱体を備えて熱現像装置を構成すれば、装置全体が大型化すると共に、装置コストが高価となる。一方、熱現像温度や熱現像時間の精密な管理を怠れば、安定した濃度が得られず、画像ムラが生じるといった問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、熱現像温度や熱現像時間を精密に管理しなくとも、安定した濃度が得られる熱現像装置を提供し、装置の大型化や装置コストの増大を招くことなく、画像ムラの抑制を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが熱現像温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|≦0.15となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0007】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像時間一定の時、ある現像温度以上で、温度上昇に従って|ΔD/ΔT|が所定の値(0.15)より小さくなる。この温度範囲でこの熱現像感光材料を熱現像することにより、現像温度を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0008】
請求項2記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが熱現像温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|≦0.1となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0009】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像時間一定の時、ある現像温度以上で、温度上昇に従って|ΔD/ΔT|が所定の値(0.1)以下となる。この温度範囲でこの熱現像感光材料を熱現像することにより、現像温度を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0010】
請求項3記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|=0となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0011】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像時間一定の時、ある現像温度以上で、|ΔD/ΔT|がゼロになる。この現像温度でこの熱現像感光材料を熱現像することにより、所定の濃度以上に現像が進行することがなくなり、現像温度を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0012】
請求項4記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|≦0.1となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0013】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像温度一定の時、ある現像時間以上で、時間増大に従って|ΔD/Δt|が所定の値(0.1)以下となる。この現像時間範囲で熱現像感光材料を熱現像することにより、現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0014】
請求項5記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|≦0.07となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0015】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像温度一定の時、ある現像時間以上で、時間増大に従って|ΔD/Δt|が所定の値(0.07)以下となる。この現像時間範囲で熱現像感光材料を熱現像することにより、現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0016】
請求項6記載の熱現像装置は、像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|=0となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする。
【0017】
この熱現像装置では、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤が熱現像感光材料に含有され、現像温度一定の時、ある現像時間以上で、|ΔD/Δt|がゼロになる。この現像時間で熱現像感光材料を熱現像することにより、所定の濃度以上に現像が進行することがなくなり、現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。
【0018】
請求項7記載の熱現像装置は、請求項1〜6のいずれか1項記載の熱現像装置であって、前記熱現像感光材料を、110〜130℃に10〜30秒程度保持せしめられるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
この熱現像装置では、一般的に必要とされている、熱現像感光材料を110〜130℃の温度に10〜30秒程度保持して、熱現像することができる。
【0020】
請求項8記載の熱現像装置は、請求項1〜7のいずれか1項記載の熱現像装置であって、前記抑制剤は、乳剤中に銀1モルあたり0.001〜1.0モル含有せしめられていることを特徴とする。
【0021】
この熱現像装置では、抑制剤が、乳剤中に銀1モルあたり0.001〜1.0モル含有されている。
【0022】
請求項9記載の熱現像装置は、請求項8記載の熱現像装置であって、前記抑制剤は、乳剤中に銀1モルあたり0.01〜0.3モル含有せしめられていることを特徴とする。
【0023】
この熱現像装置では、抑制剤が、乳剤中に銀1モルあたり0.01〜0.3モル含有されている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱現像装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る熱現像装置の実施形態を示す概略構成図である。
本実施形態による熱現像装置1は、熱現像感光材料(レーザー露光熱現像フィルム等)Aの搬送経路順に、感材供給部Iと、感材位置決め部IIと、画像露光部IIIと、熱処理装置IVとを主たる構成要素として構成される。
【0025】
感材供給部Iは、熱現像感光材料Aを一枚ずつ取り出して、熱現像感光材料Aの搬送方向の下流に位置する感材位置決め部IIに供給する部分であり、装填部3及び5と、この各装填部に配置される供給ローラ対7及び9と、不図示の搬送ローラ対と、搬送ガイドとを有して構成される。
【0026】
装填部3及び5は、熱現像感光材料Aを収納したマガジン11を所定位置に装填する部位である。図示の例では、2つの装填部3及び5を有している。マガジン11には、サイズの異なる例えばCTやMRI用の半切サイズや、FCR(富士コンピューテッドラジオグラフィー)用のB4サイズ等の熱現像感光材料Aが装填される。各装填部3及び5には不図示の感材供給手段が設けられ、感材供給手段は、吸盤によって熱現像感光材料Aを吸着保持し、リンク機構等の公知の移動手段で吸盤を移動することによって熱現像感光材料Aを搬送し、それぞれの装填部3及び5に配置される供給ローラ対7及び9に供給する。
【0027】
熱現像感光材料Aは、少なくとも1本のレーザビームのような光ビームによって画像を記録(露光)し、その後熱現像して発色させるもので、現像進行を抑制する抑制剤を含有している。
熱現像感光材料Aは、シート状に加工され、通常、100枚等の所定単位の積層体(束)とされ、袋体や帯等で包装されてパッケージとされている。
なお、この熱現像感光材料Aに関しては、後段において更に詳細を説明する。
【0028】
供給ローラ対7又は9に供給された装填部3又は5の熱現像感光材料Aは、搬送ガイドに案内されつつ搬送ローラ対によって、それぞれ下流の感材位置決め部IIに搬送される。感材位置決め部IIは、熱現像感光材料Aを、搬送方向と直交する方向(幅方向)に位置合わせすることにより、下流の画像露光部IIIにおける主走査方向の熱現像感光材料Aの位置合わせを行う。
【0029】
画像露光部IIIは、光ビーム走査露光によって熱現像感光材料Aを像様に露光する部位で、光学ユニット13と副走査搬送手段とを有して構成される。
光学ユニット13は、記録画像に応じて変調した光ビームを主走査方向(熱現像感光材料Aの幅方向)に偏向して、所定の記録位置に入射する公知の光ビーム走査装置である。この光学ユニット13には、これ以外にも、光源から射出された光ビームを整形するコリメータレンズやビームエキスパンダ、面倒れ補正光学系、光路調整用ミラー等、公知の光ビーム走査装置に配置される各種の部材が必要に応じて配置されている。ここで、記録画像に応じてパルス幅変調された光ビームは、主走査方向に偏向されているので、熱現像感光材料Aは光ビームによって2次元的に走査露光され、潜像が記録される。
【0030】
本発明では光源を直接変調してパルス幅変調を行う構成であるが、本発明による熱現像装置はこれ以外にも、パルス数変調を行う装置にも利用可能であり、また、パルス変調を行う装置であれば、AOM(音響工学変調器)等の外部変調器を用いた間接変調の装置にも利用可能である。更に、アナログ強度変調により画像記録を行うようにしてもよい。
【0031】
このように画像露光部IIIで潜像が形成された熱現像感光材料Aは、転送部15を経て熱処理装置IVへ搬送される。熱処理装置IVは、4つに分割されたプレートヒータ17a,17b,17c,17dを湾曲して形成している。そして、これらのプレートヒータ17a,17b,17c,17dと、ローラ群18a,18b,18c,18dを一連の円弧状配置としている。
【0032】
更に詳しく述べると、熱処理装置IVは、プレートヒータ17a,17b,17c,17dが湾曲した凹面を有し、ローラ群18a,18b,18c,18dがこの凹面に沿って対向配置されている。ローラ群18a,18b,18c,18dは、伝熱のため熱現像感光材料Aを凹面に接触させつつ移動させる(滑らせる)。これにより、搬送される熱現像感光材料Aの先端がプレートヒータ17a,17b,17c,17dに押しつけられるように搬送され、熱現像感光材料Aの座屈が防止される。
【0033】
熱処理装置IVの下流位置には、冷却部19が備えられている。熱処理装置IVから排出された熱現像感光材料Aは、冷却部19内を通過し、熱現像進行温度以下となり、搬送ローラ対21によりガイドプレート23に案内され、排出ローラ対25からトレイ27に集配される。
【0034】
ところで、一般的に熱現像に用いられる熱現像感光材料Aは、110〜130℃の温度に10〜30秒程度保持して、熱現像することが必要になる。従って、この条件内で、一枚の熱現像感光材料面内における濃度の均一性と、高速連続処理の場合の熱現像感光材料同士の濃度均一性(一定性)とが大きな課題になる。
【0035】
ここで、熱現像感光材料温度の時間変化特性について説明する。
図2は熱現像プロセスにおける典型的な熱現像感光材料温度の時間変化特性を示す。図中、領域aは昇温期間、領域bは一定温度期間、領域cは冷却期間、領域dは実質的な熱現像期間を示す。この図から分かるように、熱現像は熱現像感光材料の昇温期間aの終了前からも開始され、冷却期間cとなった後に僅かな時間経過して終了する。
【0036】
次に、熱現像感光材料の熱現像における温度依存性と時間依存性について説明する。
図3は熱現像感光材料の熱現像温度依存特性を示すグラフ、図4は熱現像感光材料の熱現像時間依存特性を示すグラフである。一般的な熱現像感光材料の現像濃度Dは、熱現像温度Tや熱現像時間tが変わると、図3、図4の破線で示すように直線的に大きく変化するという特性を持っている。従って、上述した実質的な熱現像期間dにおいて、熱現像温度Tや熱現像時間tが変動すると、大きな濃度変化が引き起こされる要因となる。
【0037】
この実施形態による熱現像装置1に用いられる熱現像感光材料Aには、熱現像温度Tや熱現像時間tが増加するほど(即ち、現像が進行するほど)、現像を抑制する効果を有する抑制剤が含有されている。従って、この熱現像感光材料Aには、ある領域で、濃度変動が少なくなる特性を持たせることができる。本実施形態による熱現像装置1は、この熱現像感光材料Aを、このような濃度変動の少ない領域で使用することを特徴としている。
【0038】
図3、図4には、一般的な熱現像感光材料の特性直線(破線)と共に、熱現像感光材料Aの熱現像温度T、熱現像時間tに対する特性曲線が示されている。ここで、熱現像温度Tや熱現像時間tに対する熱現像感光材料Aの濃度変動は、ΔDを濃度変化量、ΔTを温度変化量、Δtを時間変化量としたとき、ΔD/ΔT、ΔD/Δtで表すことができる。ここで、ΔD/ΔT、ΔD/Δtは各特性曲線の微分値として得られ、熱現像感光材料Aにおける濃度変動の少ない領域とは、ΔD/ΔT、ΔD/Δtの絶対値が小さい領域、即ち、各特性曲線の微分値がゼロ、或いはゼロに近い領域となる。
【0039】
このような抑制剤を含有した熱現像感光材料Aは、その特性として、図3に示すように、現像時間一定の時、ある現像温度以上で、温度上昇に従ってΔD/ΔTを小さくできる。更には、ΔD/ΔTがゼロになる(図3中のT1)特性も持たせることができる。
【0040】
また、図4に示すように、温度一定の時、ある現像時間以上で、時間増加に従ってΔD/Δtを小さくできる。更には、ΔD/Δtがゼロになる(図4中のt1)特性も持たせることができる。
【0041】
従って、この熱現像感光材料Aを、ΔD/ΔT、又はΔD/Δtが小さくなる(理想的にはゼロになる)付近の温度、時間で熱現像することにより、現像温度、現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度が得られるようになる。特にΔD/ΔT、又はΔD/Δtをゼロにすることにより、所定の濃度以上に現像が進行することがなくなり、より安定して現像処理を行うことができる。
【0042】
ここで、温度変化に対するΔD/ΔTと、時間変化に対するΔD/Δtの値が具体的にどの程度の範囲であれば良いかという根拠を以下に説明する。
即ち、温度変化は、熱現像感光材料全体で濃度変化が現れないことを条件に、最大でΔD=±0.15程度が許容値となる。一方、現状において熱現像装置1自体が実現可能な温度精度は、ΔT=±1℃である。従って、これらを除した値(±0.15/±1)0.15以下であることを条件とすることができる。即ち、|ΔD/ΔT|≦0.15となる温度で熱現像感光材料Aを熱現像することが好ましい。さらに、ΔD=±0.1以下となることがより好ましく、この場合では、これらを除した値(±0.1/±1)0.1以下であることを条件とすることができ、|ΔD/ΔT|≦0.1となる温度で熱現像感光材料Aを熱現像することになる。
ここで、ΔD/ΔTを絶対値とした理由は、特性曲線の右下りの傾斜部分も含まれることを意味する。更には、|ΔD/ΔT|=0となる温度で熱現像感光材料Aを熱現像することが好ましい。
【0043】
一方、時間変化は、主に熱現像感光材料Aの縦すじムラとして現れる。このムラの許容値は、ΔD=±0.01と厳しい値である。現状において熱現像装置1自体が実現可能な時間精度は、±0.1秒である。従って、これらを除した値(±0.01/±0.1)0.1より小さいことを条件とすることができる。即ち、|ΔD/Δt|≦0.1となる現像時間で熱現像感光材料Aを熱現像することが好ましい。さらに、ΔD=±0.007以下となることがより好ましく、この場合では、これらを除した値(±0.007/±0.1)0.07以下であることを条件とすることができ、|ΔD/Δt|≦0.07となる現像時間で熱現像感光材料Aを熱現像することになる。
ここで、ΔD/Δtを絶対値とした理由は上記同様である。更には、|ΔD/Δt|=0となる現像時間で熱現像感光材料Aを熱現像することが好ましい。
【0044】
具体的には、熱現像感光材料Aには、現像を抑制・制御するため、分光増感効率を向上させるため、或いは現像前後の保存性を向上させるため等に、抑制剤であるメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させている。
【0045】
このようなメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物は、特開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特開平10-186572 号の一般式(I) で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1 号の第20ページ第36〜56行に記載されている。中でも以下のメルカプト置換複素芳香族化合物、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-5- メチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5- メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2- メルカプトベンゾチアゾール、2,2'- ジチオビス-(ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4- トリアゾール、4,5-ジフェニル-2- イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2- メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)- キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4- キノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4- ピリジンチオール、4-アミノ-6- ヒドロキシ-2- メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-5- メルカプト-1,3,4- チアジアゾール、3-アミノ-5- メルカプト-1,2,4- トリアゾール、4-ヒドキロシ-2- メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ-2- メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4- メチルピリミジンヒドロクロリドが好ましく、更に好ましくは、3-メルカプト-5- フェニル-1,2,4- トリアゾール、2-メルカプト-4- フェニルオキサゾール、3-メルカプト-4- フェニル-5- へプチル-1,2,4- トリアゾール等が挙げられる。
【0046】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1 モル当たり0.001 〜1.0 モルの範囲が好ましく、更には、銀の1 モル当たり0.01〜0.3 モルの範囲であることが好ましい。
【0047】
このように、上述の熱現像装置1によれば、熱現像温度や熱現像時間の変動にリニア(図3、図4中の破線部分)に変化する一般的な熱現像感光材料に対して、抑制剤を含有させることにより所望の特性を持たせて現像を抑制・制御可能にした熱現像感光材料Aを用い、更にこの熱現像感光材料Aを、特性曲線の傾きが緩やかな部分、即ち、熱現像温度や熱現像時間の変動に影響されにくい範囲で使用するので、現像温度や現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る熱現像装置によれば、熱現像感光材料を、熱現像温度や熱現像時間の変動に影響されにくい範囲で熱現像がなされるように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有させることにより、現像温度や現像時間を精密に管理しなくとも安定な濃度を得ることができる。この結果、装置を大型化せず、且つ装置コストを増大させずに、画像の濃度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱現像装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 熱現像プロセスにおける典型的な熱現像感光材料温度の時間変化特性を示すグラフである。
【図3】 熱現像感光材料の熱現像温度依存特性を示すグラフである。
【図4】 熱現像感光材料の熱現像時間依存特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱現像装置
A 熱現像感光材料
ΔD 濃度変化量
ΔT 温度変化量
Δt 時間変化量
Claims (9)
- 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが熱現像温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|≦0.15となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが熱現像温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|≦0.1となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、ΔTが温度変化量であるとき、|ΔD/ΔT|=0となる現像温度で前記熱現像感光材料を熱現像するように、熱現像温度の上昇と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|≦0.1となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|≦0.07となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 像様露光で潜像を形成した後の熱現像感光材料を、プレートヒータの面に接触させつつ滑らせて搬送し、前記プレートヒータからの伝熱により加熱して現像する熱現像装置において、
前記熱現像感光材料は、ΔDが濃度変化量、Δtが時間変化量であるとき、|ΔD/Δt|=0となる現像時間で前記熱現像感光材料を熱現像するように、実質熱現像時間の増加と共に現像進行を抑制する抑制剤を含有していることを特徴とする熱現像装置。 - 前記熱現像装置は、前記熱現像感光材料を、110〜130℃に10〜30秒程度保持せしめられるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の熱現像装置。
- 前記抑制剤は、乳剤中に銀1モルあたり0.001〜1.0モル含有せしめられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の熱現像装置。
- 前記抑制剤は、乳剤中に銀1モルあたり0.01〜0.3モル含有せしめられていることを特徴とする請求項8記載の熱現像装置。
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