JP4344492B2 - 熱現像感光材料および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料およびその画像形成法に関するものである。特に濃度ムラ発生がなく、製版機適性を有していて、写真製版用に適したスキャナー、イメージセッター用熱現像感光材料とその画像形成法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に感光性層を有し、像様露光することで画像形成を行う感光材料が、数多く知られている。その中には、環境保全に寄与し画像形成手段を簡易化できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技術がある。
近年、写真製版分野においては環境保全や省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれるようになっている。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率よく露光させることができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する技術開発が必要とされている。このような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化学薬品を必要としない、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することが可能になる。
【0003】
熱現像により画像を形成する方法は、例えば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,457,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Klosterboer)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。このような熱現像感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有する。熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したときに、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光により形成された潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をなすことから画像の形成がなされる。
【0004】
欧州特許公開EP762,196A号公報、特開平9−90550号公報等には、熱現像感光材料に用いる感光性ハロゲン化銀粒子に第VII族またはVIII族の金属イオンまたは金属錯体イオンを含有させること、および熱現像感光材料中にヒドラジン誘導体を含有せしめて高コントラストな写真特性を得ることができることが開示されている。
【0005】
一方で、レーザー記録においては、記録材料を内面ドラム、外面ドラム、定盤等に固定し、レーザー光で走査記録する事が一般的である。その際、内面ドラム、外面ドラム、定盤等の表面には、微細な穴や溝を刻み、これらの刻みから吸引することにより、該記録材料を固定する方法がとられている。
【0006】
ところが、透明支持体に感光性層を設けたフィルム状の記録材料に、この方法を用いて画像記録をすると、内面ドラム、外面ドラム、定盤等の反射により、濃度ムラを起こす。特に、硬調な熱現像感光材料においては、濃度ムラが顕著に現れるという問題点があった。この問題点を回避するために、感光性層と支持体の間、あるいは支持体を挟んで感光性層塗設面の反対側、またはその双方に、反射光を吸収する染料含有層を設ける手段がとられることがある。
【0007】
一方、製版用感光材料は、印刷工程の中では中間材料として用いられ刷版を作製するためのマスクとして使用されている。近年、印刷工程全般においてデジタル化、作業の自動化が浸透してきており刷版作製工程では製版機の導入によりPS版への露光および現像が自動化されている。製版機は、自動搬送あるいは自動露光などのために必要な情報(バーコードあるいはトンボ)が書き込まれた感光材料を、製版機のセンサーが読み込むことにより作動するシステムとなっている。これらセンサーには670nm付近のレーザーダイオードが使用されている。すなわち感光材料に書き込まれた情報が670nmで読み取れることが必須であり、感光材料としては670nm付近(650nm〜700nm)のDmin(最低濃度)が低いこと、特に可視吸収の小さいハレーション防止染料を使用することが好ましい。
【0008】
近年汎用性が高い780nm付近に発光波長をもつ近赤外線レーザーに対応するための熱現像感光材料は、緑色または青色に着色し、記録後の画像を目視にて判別し難くなり、かつ670nm付近のDminが高いという問題がある。また、逆に露光波長で十分に反射光を吸収しきれない場合は、濃度ムラが発生してしまうという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の解決しようとする課題は、写真製版用、特にスキャナー、イメージセッター用として、濃度ムラが発生せず、製版機でのセンサー適性のある熱現像感光材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、熱現像前の露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度を制御することによって優れた熱現像感光材料を提供しうることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の構成である。
[1] プロッター;予備加熱部、熱現像部、徐冷部および脱臭装置を備えた熱現像機;およびプロッターと熱現像機を結び、プロッターから熱現像機へ熱現像感光材料を自動搬送するオートキャリアからなるオンラインシステムで露光および熱現像を行うための熱現像感光材料であって、該熱現像感光材料が、支持体上の一方の面に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有する感光性層を有し、該感光性層または非感光性層に下記一般式(T)で表される化合物を含有し、支持体上の他方の面にハレーション防止染料を含有するバック層を有し、熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度(A exp )が0.5以上で、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.3以下で、かつ熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度の比(A exp /A 700nm )が2.36〜4.21であることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(T)
【化1】
[式中、R 1 は水素原子、−OM 2 、ヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基で少なくとも1つ置換されたアルキル基、またはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル基、りん酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基、またはヘテロ環基を表す。Lは連結基を表し、M 1 およびM 2 は水素原子またはカチオンを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。但し、mが0の場合、およびmが1でかつR 1 が−OHの場合はLはハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、りん酸エステル基、ヘテロ環基から選ばれる1〜3個の基で置換された連結基を表す。]
[2] 前記バック層が、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.001〜0.3の光学濃度を有するアンチハレーション防止層であることを特徴とする[1]に記載の熱現像感光材料。
[3] 前記支持体が、透明支持体であって、該透明支持体が熱処理されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の熱現像感光材料。
[4] 前記露光波長が、780nm〜800nmであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
[5] 前記予備加熱部における加熱が、熱現像部の温度より10〜30℃低いことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
[6] 硬調化剤を含有していることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
[7] プロッター;予備加熱部、熱現像部、徐冷部および脱臭装置を備えた熱現像機;およびプロッターと熱現像機を結び、プロッターから熱現像機へ熱現像感光材料を自動搬送するオートキャリアからなるオンラインシステムによって、該熱現像感光材料を露光および現像することを特徴とする画像形成方法であって、該熱現像感光材料が、支持体上の一方の面に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有する感光性層を有し、該感光性層または非感光性層に下記一般式(T)で表される化合物を含有し、支持体上の他方の面にハレーション防止染料を含有するバック層を有し、熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度(A exp )が0.5以上で、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.3以下で、かつ熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度の比(A exp /A 700nm )が2.36〜4.21であることを特徴とする画像形成方法。
一般式(T)
【化1】
[式中、R 1 は水素原子、−OM 2 、ヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基で少なくとも1つ置換されたアルキル基、またはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル基、りん酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基、またはヘテロ環基を表す。Lは連結基を表し、M 1 およびM 2 は水素原子またはカチオンを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。但し、mが0の場合、およびmが1でかつR 1 が−OHの場合はLはハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、りん酸エステル基、ヘテロ環基から選ばれる1〜3個の基で置換された連結基を表す。]
[8] 前記バック層が、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.001〜0.3の光学濃度を有するアンチハレーション防止層であることを特徴とする[7]に記載の画像形成方法。
[9] 前記熱現像感光材料の支持体が、透明支持体であって、該透明支持体が熱処理されていることを特徴とする[7]または[8]に記載の画像形成方法。
[10] 前記予備加熱部における加熱が、熱現像部の温度より10〜30℃低いことを特徴とする[7]〜[9]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[11] 前記熱現像感光材料が硬調化剤を含有していることを特徴とする[7]〜[10]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[12] 前記オートキャリアの処理速度(t 1 )、前記熱現像機の予備加熱部の処理速度(t 2 )および前記熱現像機の熱現像部の処理速度(t 3 )が以下の関係を満たすことを特徴とする[7]〜[11]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
t 3 > t 2 ≧ t 1
[13] 前記熱現像機の熱現像部の処理速度が21mm/秒〜100mm/秒であることを特徴とする[7]〜[12]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[14] 前記熱現像機の熱現像部の処理速度が27mm/秒〜50mm/秒であることを特徴とする[7]〜[13]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[15] 前記プロッター露光の光源が波長780〜800nmのレーザーであることを特徴とする[7]〜[14]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[16] 前記プロッター露光の熱現像感光材料面上での主走査速度が500m/秒〜1500m/秒であることを特徴とする[15]に記載の画像形成方法。
[17] 前記プロッター露光の熱現像感光材料面上での主走査速度が1100m/秒〜1500m/秒であることを特徴とする[15]に記載の画像形成方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の熱現像感光材料およびその画像形成方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む意味で用いる。
【0015】
本発明の熱現像感光材料は、支持体上の一方の面に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有する感光性層を有し、該感光性層または非感光性層に後述する一般式(T)で表される化合物を含有し、支持体上の他方の面にハレーション防止染料を含有するバック層を有し、熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度(Aexp)が0.5以上で、熱現像後の700nmでの吸光度(A700nm)が0.3以下で、かつ熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度の比(Aex p/A700nm)が2.36〜4.21であることを特徴とする。
そこでまず、本発明における熱現像後の吸光度について説明する。本発明の熱現像感光材料は、好ましくは透明支持体を有するものであるが、この場合の吸光度は感光材料全体の吸光度をいう。なお、不透明な支持体を有する感光材料の場合は、トンボやバーコードが書き込まれた側の支持体を除いた全層の吸光度をいう。吸光度は例えば日立製作所社製の分光光度計U3500を使用し、乳剤面を光源側に向けて積分球の前の位置で測定する。
【0016】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層(好ましくは画像形成層)を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料である。
製版機のセンサーには670nm付近のレーザーダイオードのものがあり、例えば、富士写真フイルム(株)社製の製版機S−FNRIIIは、トンボ検出のための検出器およびバーコードリーダーとして670nmの波長の光源を使用している。また、清水製作社製の製版機APMLシリーズは、バーコードリーダーとして670nmの光源を使用している。すなわち670nm付近のDmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取るためには670nm付近(650nm〜700nm)のDminが低い必要があり、熱現像後の700nmの吸光度が0.45以下である必要があり、本発明においては、0.3以下である。その下限に特に制限はないが、通常0.1程度である。
【0017】
本発明の熱現像感光材料は、露光波長(750〜800nm)での熱現像前の吸光度(光学濃度)が約0.5〜2.0であることが好ましく、700nmの吸光度が0.005〜0.45であることが好ましい。さらに好ましくは0.001〜0.3の光学濃度を有するハレーション防止層を有することが好ましい。また、熱現像前の750〜800nmの露光波長での吸光度と処理後の700nmでの吸光度の比(Aex p/A700nm)は2.36〜4.21である。画像形成後(熱現像後)の光学濃度を上記の範囲に下げる方法は特に制限されないが、例えばベルギー特許第733,706号明細書に記載されるように染料による濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記載されるように光照射による消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0018】
本発明でハレーション防止染料を使用する場合、使用するハレーション防止染料の種類は、所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られるものであればいかなる化合物でも良い。例えば以下に挙げるものを例示することができるが、本発明で用いることができるハレーション防止染料はこれらに限定されるものではない。単独の染料としては特開昭59−56458号公報、特開平2−216140号公報、同7−13295号公報、同7−11432号公報、米国特許5,380,635号明細書記載、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目〜同第14頁左下欄9行目、同3−24539号公報第14頁左下欄〜同第16頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料としては特開昭52−139136号公報、同53−132334号公報、同56−501480号公報、同57−16060号公報、同57−68831号公報、同57−101835号公報、同59−182436号公報、特開平7−36145号公報、同7−199409号公報、特公昭48−33692号公報、同50−16648号公報、特公平2−41734号公報、米国特許4,088,497号明細書、同4,283,487号明細書、同4,548,896号明細書、同5,187,049号明細書がある。
なお、本発明においては、ハレーション防止染料を含有するバック層を有する。
【0019】
本発明における画像形成層もしくは画像形成層の保護層には、米国特許第3,253,921号明細書、同第2,274,782号明細書、同第2,527,583号明細書および同第2,956,879号明細書に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書に記載のように染料を媒染することができる。
【0020】
本発明の熱現像感光材料を構成する感光性層には、色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。感光性層に用いる染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料としては、アントラキノン染料(例えば特開平5−341441号公報記載の化合物1〜9、特開平5−165147号公報記載の化合物3−6〜18および3−23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5−341441号公報記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5−289227号公報記載の化合物11〜19、特開平5−341441号公報記載の化合物47、特開平5−165147号公報記載の化合物2−10〜11など)およびアゾ染料(特開平5−341441号公報記載の化合物10〜16)が挙げられる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に感光材料1m2当たり1×10-6g〜1gの範囲で用いることが好ましい。
【0021】
イラジエーション防止染料、ハレーション防止染料、フィルター染料としては、それぞれ下記一般式(D−1a)、(D−2)、(D−3)で表されるものを使用することが好ましい。
【0022】
【化3】
【0023】
〔式中、Z1およびZ2はそれぞれ独立に縮合環を形成してもよい5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、Lは5、7または9個のメチン基が共役二重結合により連結されて生じる連結基を表し、aおよびbはそれぞれ独立に0または1を表し、X-はアニオンを表す。〕
【0024】
【化4】
【0025】
〔式中、Z5およびZ6はそれぞれ独立に含窒素6員環または7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R14〜R21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R14とR15、R16とR17、R18とR19、R20とR21、R15とR16、R19とR20は互いに結合して5または6員環を形成してもよい。〕
【0026】
【化5】
【0027】
〔式中、R22およびR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または互いに連結して環を構成する基を表す。R24は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基を表す。R25およびR26はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、X-はアニオンを表す。〕
【0028】
一般式(D−1a)で表される化合物において、好ましい構造は一般式(D−1b)で表される。
【0029】
【化6】
【0030】
〔式中、Y1は硫黄原子または−CR3R4−(R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す)を表し、Z3およびZ4はそれぞれ独立にベンゾまたはナフト縮合環を形成するのに必要な原子群を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはお互いに連結して5または6員環を形成するのに必要な原子群を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、NR1 2R13、SR14またはOR14(R12、R13、R14はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R10とR11は互いに連結して5または6員環を形成してもよい)を表す。〕
さらに好ましくは一般式(D−1c)で表される。
【0031】
【化7】
【0032】
〔式中、R15およびR16はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、他は一般式(D−1b)と同義である。〕
以下に、一般式(D−1a)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
これらの他に、特開平8−278595号公報に記載の化合物群(化合物1〜54)も好ましく使用することができる。
【0036】
一般式(D−2)で表される化合物として好ましいものは、特表平9−509503号公報に記載の化合物群の他、下記の化合物が挙げられる。
【0037】
【化10】
【0038】
一般式(D−3)で表される好ましい化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0039】
【化11】
【0040】
本発明で用いる有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸およびヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸および含窒素複素環が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下、RDとする)第17029および29963に記載されており、次のものがある。
【0041】
有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸))、チオン類の銀塩または錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオン)、および3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾールおよび1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾールおよびベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;およびメルカプチド類の銀塩。これらの内、好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸および/またはステアリン酸である。
【0042】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製することができる。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0043】
本発明において有機銀塩は平均粒径が2μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは後述するハロゲン化銀と同じ式で求められるものであり、有機銀においては単分散とはハロゲン化銀の場合と同義であり、有機銀の場合は分散度50%以下をいう。さらに好ましくは40%以下であり、特に好ましくは0.1%〜30%となる粒子である。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05〜1.5μm、特に0.05〜1.0μmが好ましい。また、本発明の有機銀塩においては、全有機銀塩の60%以上が平板状粒子であることが好ましい。本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0044】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などと共にボールミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度が高く、かつ画像保存性に優れた感光材料が得られる。
【0045】
本発明においては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀および有機銀塩の総量が銀量に換算して1m2当たり0.5g〜2.2gであることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また、銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、さらに好ましくは0.1〜15%の間である。
【0046】
本発明の熱現像感光材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調製できる。この様に予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号明細書、同第3,706,565号明細書、同第3,713,833号明細書、同第3,748,143号明細書、英国特許第1,362,970号明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、または米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0047】
ハロゲン化銀は、光センサーとして機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑えるため、また、良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。ハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる分散度が40%以下をいう。さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1%〜25%となる粒子である。
【0048】
分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0049】
また、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。また、ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0050】
ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀および前述の有機銀塩の総量に対し50%以下、好ましくは25%〜0.1%、さらに好ましくは15%〜0.1%の間である。
【0051】
本発明の熱現像感光材料に使用される感光性ハロゲン化銀はまた、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入する事で有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることができる。
【0052】
さらに他の方法としては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、または有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有効に接触しており好ましい作用を呈する。ハロゲン化銀形成成分とは有機銀塩と反応して感光性ハロゲン化銀を生成しうる化合物であり、どのような化合物がこれに該当し有効であるかは次のごとき簡単な試験で判別する事ができる。即ち、有機銀塩と試験されるべき化合物を混入し必要ならば加熱した後にX線回折法によりハロゲン化銀に特有のピークがあるかを調べるものである。かかる試験によって有効であることが確かめられたハロゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン化物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例については米国特許第4,009,039号明細書、同第3,457,075号明細書、同第4,003,749号明細書、英国特許第1,498,956号明細書および特開昭53−27027号公報、同53−25420号公報に詳説されている。
【0053】
これらのハロゲン化銀形成成分は有機銀塩に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範囲は有機銀塩1molに対し0.001mol〜0.7mol、好ましくは0.03mol〜0.5molである。ハロゲン化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されてもよい。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定する事ができるが、通常、反応温度は20℃〜70℃、その反応時間は0.1秒〜72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。この反応はまた、後述する結合剤として使用されるポリマーの存在下に行われることが好ましい。この際のポリマーの使用量は有機銀塩1質量部当たり0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0054】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物またはこれらの組み合わせによって化学増感する事ができる。この化学増感の方法および手順については、例えば米国特許第4,036,650号明細書、英国特許第1,518,850号明細書、特開昭51−22430号公報、同51−78319号公報、同51−81124号公報に記載されている。また、ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0055】
また、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整の為に元素周期律表の6族〜11族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体または錯イオンを含有させることができる。特に錯イオンとして添加するのが好ましく、例えば照度不軌のために〔IrCl6〕2-等のIr錯イオンを添加してもよい。
【0056】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子の化学増感法としては当業界でよく知られているようにカルコゲンにて化学増感されていることが好ましい。即ち、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0057】
熱現像感光材料がカルコゲン化合物で化学増感されていることが好ましい。特開平9−297370号公報や特開平11−65020号公報でカルコゲン化合物や金化合物による化学増感が開示されている。しかし効果は高感度や高Dmaxでありランニング安定性やアミ%バラツキの安定については記載がなく、本発明の課題および効果との関連性は認識されていない。本発明では有機銀塩と混合する前にハロゲン化銀粒子にカルコゲン化合物による化学増感を施すことが好ましい。
【0058】
本発明で用いることのできる硫黄増感剤としては、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。具体例は米国特許第1,574,944号明細書、同第2,278,947号明細書、同第2,410,689号明細書、同第2,728,668号明細書、同第3,501,313号明細書、同第3,656,955号明細書に記載されたものである。
【0059】
本発明で用いることのできるセレン増感剤としては、従来公知の特許に開示されているセレン化合物を用いることができる。即ち通常、不安定型セレン化合物および/または非不安定型セレン化合物を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間撹拌することにより用いられる。不安定型セレン化合物としては特公昭41−15748号公報、特公昭43−13489号公報、特開平4−25832号公報、特開平4−109240号公報などに記載の化合物を用いることが好ましい。具体的な不安定セレン増感剤としては、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレノシアネート類)、セレノ尿素類、セレノケトン類、セレノアミド類、セレノカルボン酸類(例えば、2−セレノプコピオン酸、2−セレン酪酸)、セレノエステル類、ジアシルセレニド類(例えば、ビス(3−クロロ−2,6−ジメトキシベンゾイル)セレニド)、セレノホスフェート類、ホスフィンセレニド類、コロイド状金属セレンなどが挙げられる。
【0060】
本発明で用いられる非不安定型セレン化合物としては特公昭46−4553号公報、特公昭52−34492号公報および特公昭52−34491号公報に記載の化合物が用いられる。非不安定型セレン化合物としては例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾール類、セレナゾール類の四級塩、ジアリールセレニド、ジアリールジセレニド、ジアルキルセレニド、ジアルキルジセレニド、2−セレナゾリジンジオン、2−セレノオキサゾリジンチオンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
【0061】
本発明で用いられるテルル増感剤としては、例えば、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、同6−027573号公報、同6−175258号公報、同6−180478号公報、同6−208186号公報、同6−208184号公報、同6−317867号公報、同7−092599号公報、同7−098483号公報、同7−104415号公報、同7−140579号公報、およびジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オルガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・コンパウンズ(The Chemistryof Organic Selenium Telluriumcompounds)、Vol.1(1986)、同Vol.2(1987)などに記載の化合物を用いることができる。
【0062】
本発明において、好ましくはセレン増感およびテルル増感の少なくとも一方による化学増感が好ましい。特に、テルル増感が好ましい。 また、本発明においては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感をそれぞれ単独で用いてもよく、任意の組み合わせで用いてもよいが、好ましい態様としてはいずれかの2種類或いは3種類の組み合わせが好ましい。
【0063】
本発明におけるカルコゲン増感剤の使用量は本発明の効果が発現する限りにおいては特に制限はないが、ハロゲン化銀1mol当たり1×10-8〜1×10-1molが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-2molが好ましい。
【0064】
本発明に用いることができる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば、550nm〜750nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10−186572号公報の一般式(II)で表される色素が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II−15、II−18、II−23、II−25の色素を好ましい色素として例示することができる。また、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平11−119374号公報の一般式(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、(30)、(32)、(36)、(37)、(41)、(49)、(54)の色素を好ましい色素として例示することができる。さらに、J−bandを形成する色素として、米国特許第5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭59−48753号公報に開示されている色素を好ましい色素として例示することができる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0065】
これらの増感色素のうち、好ましくは以下の一般式(S−1)〜(S−4)で表される化合物が挙げられる。
【0066】
【化12】
【0067】
一般式(S−1)および(S−2)において、Y1、Y2およびY11は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、セレン原子または−CH=CH−基を表し、L1〜L9、L11〜L15はそれぞれ独立にメチン基を表す。R1、R2、R11およびR12はそれぞれ独立に、脂肪族基を表し、R3、R4、R13およびR14はそれぞれ独立に、アルケニル基、環状アルキル基または複素環基を表す。W1、W2、W3、W4、W11、W12、W13およびW14はそれぞれ独立に水素原子、置換基、或いはW1とW2、W3とW4、W11とW12、W13とW14の間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X1およびX11はそれぞれ独立に分子内の電荷を中和するに必要なイオンを表し、k1およびk11はそれぞれ独立に分子内の電荷を中和するに必要なイオンの数を表す。m1は0または1を表し、n1、n11およびn12はそれぞれ独立に0、1または2を表す。但し、n11とn12は同時に0とはならない。
【0068】
一般式(S−1)、(S−2)で表される増感色素においてR1、R2、R11、R12で各々表される脂肪族基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、i−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭素原子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げられる。上述した基は、さらに、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル、2−ピロリジノン−1−イル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ基、2−イミダゾリルチオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等の基、あるいは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスフォノ基、スルファート基、ヒドロキシル基、メルカプト基、スルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメチレンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチレンアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の親水性の基で置換されていても良い。
【0069】
これら親水性の基を置換した脂肪族基の具体的例としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、3−スルファートブチル基、3−スルホプロピル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、5−スルホペンチル基、3−スルホペンチル基、3−スルフィノブチル基、3−ホスフォノプロピル基、ヒドロキシエチル基、N−メタンスルホニルカルバモイルメチル基、2−カルボキシ−2−プロペニル基、o−スルホベンジル基、p−スルホフェネチル基、p−カルボキシベンジル基等の各基が挙げられる。
【0070】
R3、R4、R13およびR14で各々表されるアルケニル基としては例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等が挙げられ、環状アルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、複素環基としては例えば、2−チエニル基、3−チエニル基、1−メチル−2−イミダゾリル基等が挙げられ、これらの各基には低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、低級アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基等)、メルカプト基、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)等が置換できる。
【0071】
W1〜W4、W11〜W14で各々表される置換基は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、i−ブチル基等)、アリール基(単環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ピロリル基、インドリル基、テトラヒドロフルフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ヒドロキシル基、スチリル基等が挙げられる。
【0072】
これらの基にはR1等で示される脂肪族基の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、2−カルバモイルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、3−メタンスルホニルアミノプロピル基、ベンジル基、フェネチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、アリル基、2−フリルエチル基等の各基が挙げられ、置換されたアリール基の具体例としては、例えば、p−カルボキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基、p−モルフォリノフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基等の各基が挙げられ、置換された複素環基の具体例としては、例えば、5−クロロ−2−ピリジル基、5−エトキシカルボニル−2−ピリジル基、5−カルバモイル−2−ピリジル基等の各基が挙げられる。W1とW2、W3とW4、W11とW12、W13とW14が各々互いに連結して形成することができる縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和または不飽和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上には任意の位置に置換することができ、これら置換される基としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した基が挙げられる。
【0073】
一般式(S−1)、(S−2)において、L1〜L9、L11〜L15で示されるメチン基はそれぞれ独立にメチン基を表す。置換される基の具体例としては、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ベンジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、o−カルボキシフェニル基等)、−N(V1)(V2)、−SRまたは複素環基(例えば、2−チエニル基、2−フリル基、N,N’−ビス(メトキシエチル)バルビツール酸基等)を表す。ここでRは前述したような低級アルキル基、アリール基または複素環基を表し、V1とV2はそれぞれ独立に、低級アルキル基またはアリール基を表し、V1とV2とは互いに連結して5員または6員の含窒素複素環を形成することもできる。また、メチン基は互いに隣接するメチン基同士、或いは一つ隔たったメチン基と互いに連結して5員または6員環を形成することができる。
【0074】
一般式(S−1)、(S−2)で示される化合物において、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基が置換されている場合には各々、分子内の電荷が中和するように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形成される。例えば、X1、X11で各々表される分子内の電荷を中和するに必要なイオンにおいてカチオンの具体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0075】
以下に、上記一般式(S−1)または(S−2)で表される増感色素の代表的なものを示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されない。なお、p−Ts-はパラトルエンスルホン酸イオンを表す。
【0076】
【化13】
【0077】
【化14】
【0078】
【化15】
【0079】
【化16】
【0080】
【化17】
【0081】
【化18】
【0082】
さらに、一般式(S−3)、(S−4)で表される化合物について以下に置換基を説明する。
一般式(S−3)および(S−4)において、Y21、Y22およびY31は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(Ra)(Rb)−基または−CH=CH−基を表し、R21、R22、R31およびR32はそれぞれ独立に脂肪族基であり、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立に、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表わす。W21、W22、W23、W24、W31、W32、W33およびW34はそれぞれ独立に、水素原子、置換基、或いはW21はW22と、W23はW24と、W31はW32と、W33はW34との間で結合して縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。V21〜V29、V31〜V33はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アリール基、アリールオキシ基または複素環基を表し、或いはV21はV23と、V22はV24と、V23はV25と、V24はV26と、V25はV27と、V26はV28と、V27はV29と、V31はV33との間で結合して5員〜7員の環を形成するに必要な非金属原子群を表し、X21およびX31はそれぞれ独立に分子内の電荷を中和するに必要なイオンを表し、l21およびl31はそれぞれ独立に分子内の電荷を中和するに必要なイオンの数を表す。k21およびk22はそれぞれ独立に0または1を表す。n21、n22、n31およびn32はそれぞれ独立に0〜2の整数を表わし、n21とn22およびn31とn32が同時に0になることはない。
【0083】
R21、R22、R31、R32で示される脂肪族基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭素原子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げられる。
【0084】
上述した基は、さらに、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ基、2−イミダゾリルチオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等、あるいは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスフォノ基、スルファート基、ヒドロキシル基、メルカプト基、スルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメチレンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチレンアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の親水性の基で置換されていても良い。
【0085】
これら親水性の基を置換した脂肪族基の具体的例としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、3−スルファートブチル基、3−スルホプロピル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、5−スルホペンチル基、3−スルホペンチル基、3−スルフィノブチル基、3−ホスフォノプロピル基、ヒドロキシエチル基、N−メタンスルホニルカルバモイルメチル基、2−カルボキシ−2−プロペニル基、o−スルホベンジル基、p−スルホフェネチル基、p−カルボキシベンジル基等の各基が挙げられる。
【0086】
Ra、Rbで表される低級アルキル基としては、炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、低級アルコキシル基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等が挙げられ、これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシル基等が置換できる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0087】
Rc、Rdで表される低級アルキル基としては炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等が挙げられる。
【0088】
これらの基にはさらに前述の説明であげたフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシル基等の基が置換できる。
【0089】
W21〜W24、W31〜W34で表される置換基は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基等)、アリール基(単環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基、p−トリル基、p−ブチルフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ピロリル基、インドリル基等の各基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、トリフルオロメチル基、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ヒドロキシル基、スチリル基等が挙げられる。
【0090】
これらの基にはR21等で示される脂肪族基の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、2−カルバモイルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、3−メタンスルホニルアミノプロピル基、ベンジル基、フェネチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、アリル基、2−フリルエチル基等の各基が挙げられ、置換されたアリール基の具体例としては、例えば、p−カルボキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基、p−モルフォリノフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基等の各基が挙げられ、置換された複素環基の具体例としては、例えば、5−クロロ−2−ピリジル基、5−エトキシカルボニル−2−ピリジル基、5−カルバモイル−2−ピリジル等の各基が挙げられる。
【0091】
W21とW22、W23とW24、W31とW32、W33とW34が各々、互いに連結して形成することができる縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和または不飽和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上には任意の位置に置換基を有することができ、これらの置換基としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した基が挙げられる。
【0092】
V21〜V29、V31〜V33で各々表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、アミノ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチル−フェニルアミノ基等が挙げられ、アルキルチオ基としては例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニルチオ基、m−フルオロフェニルチオ基等が挙げられ、低級アルキル基としては炭素数5以下の直鎖、分岐の基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。低級アルコキシル基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、置換、非置換のものを含み、具体的にはフェノキシ基、p−トリルオキシ基、m−カルボキシフェニルオキシ基等が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等が挙げられる。
【0093】
これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシル基等の基が置換できる。
【0094】
また、V21とV23、V22とV24、V23とV25、V24とV26、V25とV27、V26とV28、V27とV29およびV31とV33の間で結合して形成される5員〜7員の環としては、例えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、デカリン環等が挙げられ、これらの環にはRで挙げた低級アルキル基、低級アルコキシル基、アリール基が置換できる。
【0095】
一般式(S−3)、(S−4)で示される化合物において、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基が置換されている場合には各々、分子内の電荷が中和するように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形成される。例えば、X21、X31で各々表される分子内の電荷を中和するに必要なイオンにおいてカチオンの具体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ピリジニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロりん酸イオン等が挙げられる。
【0096】
以下に、一般式(S−3)または(S−4)で表される感光色素或いは分光増感色素の代表的な化合物例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されない。
【0097】
【化19】
【0098】
【化20】
【0099】
【化21】
【0100】
【化22】
【0101】
【化23】
【0102】
【化24】
【0103】
上記の赤外感光色素或いは分光増感色素は、例えばエフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocylic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)、特開平3−138638号公報、同10−73900号公報、特表平9−510022号公報、米国特許第2,734,900号明細書、英国特許第774,779号明細書に記載の方法によって容易に合成することができる。具体的には特開2000−95958号公報等に製造方法が記載されている。
【0104】
これら増感色素の添加については、特開平11−119374号公報の段落番号0106に記載されている方法で添加することができるが、特にこの方法に限定されるものではない。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1mol当たり10-6〜1molが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1molである。
【0105】
本発明の熱現像感光材料には、分光増感効率を向上させるために強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開EP587,338A号公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,873,184号明細書に開示されている化合物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。
特に好ましい強色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号公報の一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平10−111543号公報の一般式(I)で表されるスチルベン化合物、特開平11−109547号公報の一般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平5−341432号公報のM−1〜M−24の化合物、特開平4−182639号公報のd−1)〜d−14)の化合物、特開平10−111543号公報のSS−01〜SS−07の化合物、特開平11−109547号公報の31、32、37、38、41〜45、51〜53の化合物である。
これらの強色増感剤の添加量は、画像形成層(乳剤層)中にハロゲン化銀1mol当たり10-4〜1molの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当たり0.001〜0.3molの範囲がより好ましい。
【0106】
本発明の熱現像感光材料は、下記一般式(T)で示される化合物を含有する。
【0107】
一般式(T)
【化25】
【0108】
式中、R1は水素原子、−OM2、ヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基で少なくとも1つ置換されたアルキル基、またはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル基、りん酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基、またはヘテロ環基を表すが、R1が−OM2の場合、M1およびM2で表されるカチオンの具体例としては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1,2−エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホスホニウムなど)などが挙げられる。M1およびM2として好ましくは水素原子、アルカリ金属イオンであり、より好ましくは水素原子である。
【0109】
またR1がヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基で置換されたアルキル基である場合、ヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基の具体例としては、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基などが挙げられる)などが挙げられる。
【0110】
R1がヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基で置換されたアルキル基である場合、そのアルキル基は好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0111】
R1がアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル基、りん酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基である場合、置換基の具体例としてはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばエトキシカルボニルオキシ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルオキシ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、トリメチルシリル基などが挙げられる)、りん酸エステル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸エステル基、フェニルリン酸エステル基などが挙げられる)、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基などが挙げられる)、ハロゲノアルキル基(例えばクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる)などが挙げられる。
【0112】
R1がアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル基、りん酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基である場合、置換されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0113】
R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリール基であることが好ましい。
【0114】
R1がヘテロ環基である場合、好ましくはイミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基などが挙げられる。
【0115】
Lは連結基を表すが、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環の各基であり、より好ましくはアリーレン基であり、アリーレン基のなかで特に好ましいのはオルトフェニレン基である。
【0116】
mは0〜5の整数を表し、中でもmは0または1が好ましい。より好ましくはmは0である。nは1〜3の整数を表し、中でもnは1が好ましい。mが0の場合、およびmが1でかつR1が−OHの場合はLはハロゲン原子、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、りん酸エステル基、ヘテロ環基から選ばれる1〜3個の基で置換された連結基を表すが、前述の置換基の具体例は上述のR1がアリール基の場合の置換基と同様である。
【0117】
mおよびnが1の場合、Lはオルトフェニレン基または炭素数6〜20のアルキレン基であることが好ましい。
【0118】
mが0でnが1の場合、Lは好ましくはハロゲン原子、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルオキシ基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、またはスルホニルオキシで1つ置換されたフェニレン基である。
【0119】
また、R1が−OM2である場合、Lはアルキレン基、フェニレン基、ヘテロ基であることが好ましい。
【0120】
以下に一般式(T)で示される化合物の具体例を列挙するが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0121】
【化26】
【0122】
【化27】
【0123】
【化28】
【0124】
【化29】
【0125】
【化30】
【0126】
【化31】
【0127】
【化32】
【0128】
【化33】
【0129】
【化34】
【0130】
【化35】
【0131】
本発明の一般式(T)で示される化合物としては、市販の化合物を用いることができ、また例えばChem.Pharm. Bulletin, 31(8), 2632(1983)、J. Chem. Soc. ,Section B Physical Organic Chemistry, Part1. pp.145-148(1971)、J. Amer. Chem. Soc. 77, 1909(1955), Org. Prep. Proced.Int. 28(5),609 (1996), Chem. Ber. 44, 1236 (1911), J. Amer. Chem. Soc. 60, 2502 (1938), Bull.Soc.Khim.Fr. 25(3) 173(1901)、Chem. Abstr. 9861 (1960), DE 297018, Justus LiebigsAnn. Chem. 300 299 (1898)等に記載の方法に準じて合成することもできる。
【0132】
本発明の一般式(T)で示される化合物の添加量には、特に制限はないが、10-4mol〜1mol/Agmolが好ましく、特に10-3mol〜0.3mol/Agmolが好ましい。
【0133】
本発明の一般式(T)で示される化合物は、感光性層でも非感光性層でも添加することができ、好ましくは感光性層である。代表的な態様としては、支持体上に少なくとも1層の感光性層とこれに隣接する層を有する熱現像感光材料において、(1)感光性層に感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、バインダーを含有し、さらに一般式(T)で示される化合物の少なくとも1種を含有する態様、(2)感光性層に感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、バインダーを含有し、隣接層に一般式(T)で示される化合物の少なくとも1種を含有する態様が挙げられる。本発明において好ましいのは、(1)の態様である。
【0134】
また、本発明の一般式(T)で示される化合物は、有機溶剤に溶かして添加することが好ましい。
【0135】
次に本発明に用いることができる硬調化剤について説明する。
本発明で用いる硬調化剤の種類は特に限定されないが、よく知られている硬調化剤として、特開2000−284399号公報に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体(具体的には同公報の表1〜表4に記載のヒドラジン誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平10−161270号公報、特開平10−62898号公報、特開平9−304870号公報、特開平9−304872号公報、特開平9−304871号公報、特開平10−31282号公報、米国特許第5,496,695号明細書、欧州特許公開EP741,320A号公報に記載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げることができる。また、特開2000−284399号公報に記載の式(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物であり、さらには同公報に記載の式(A)または式(B)で表される環状化合物、具体的には同公報の化8〜化12に記載の化合物1〜72。特開2001−133924号公報に記載の一般式(H)、(G)、(P)で表される化合物、具体的には同公報の[化3]〜[化9]、[化11]〜[化53]が挙げることができる。これら硬調化剤は複数を併用してもよい。
【0136】
本発明においては、下記一般式(N−1)〜(N−6)で表される化合物が硬調化剤として好ましく用いることができる。
【0137】
【化36】
【0138】
式中、R11はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R12はヘテロ環基、アルケニル基またはアミノ基を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表し、A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0139】
【化37】
【0140】
式中、R21は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R22は水素原子、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表す。A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0141】
【化38】
【0142】
式中、G31、G32は−(CO)p−基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R33−基またはイミノメチレン基を表し、pは1または2の整数を表し、R33はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基またはアミノ基を表す。R31、R32はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環チオ基を表す。但し、G31がスルホニル基のとき、G32はカルボニル基ではない。A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0143】
【化39】
【0144】
式中、R41は水素原子または一価の置換基を表し、A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0145】
【化40】
【0146】
式中、R51、R52およびR53はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリール基を表す。R54およびR55は無置換または置換アルキル基を表す。A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0147】
【化41】
【0148】
式中、Xはシアノ基を除く電子求引性基を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、−S−オキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、−S−カルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、−S−スルホニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、−S−スルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基またはインモニウム基を表す。Rはハロゲン原子、オキシ基、チオ基、アミノ基またはヘテロ環基を表すが、但し、アルコキシ基およびアルキルチオ基を除く。また、Rがヒドロキシ基またはヒドロキシ基の塩を表すとき、XとWは何れもホルミル基を表すことはない。また、XとWの組み合わせにおいて、一方が無置換アルコキシカルボニル基を表すとき、他方が無置換アルコキシカルボニル基および無置換アルキルスルホニル基を表すことはない。また、XとWは互いに結合して環状構造を形成することはない。また、X、W、Rは何れも耐拡散性基を含まないものとする。また、X、W、Rは何れも連結基を介してチオアミド基、脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基、ヘテロ環メルカプト基およびベンゾトリアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環およびトリアジン環から選ばれる5〜6員の含窒素ヘテロ環で表される銀塩への吸着促進基を含まないものとする。なお、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形を含む。
【0149】
一般式(N−1)で表される化合物について詳細に説明する。R11はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表すが、アルキル基として具体的には、例えばメチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。アリール基として具体的には、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。ヘテロ環基として具体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、インドール残基、ベンゾチアゾール残基、ベンズイミダゾール残基、フラン残基、チオフェン残基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基などが挙げられる。R12はヘテロ環基、アルケニル基、アミノ基を表すが、ヘテロ環基として具体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、インドール残基、ベンゾチアゾール残基、ベンズイミダゾール残基、フラン残基、チオフェン残基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基などが挙げられる。アルケニル基として具体的には、エテニル基、プロぺニル基等が挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基などが挙げられる。Xは酸素原子または硫黄原子を表し、A1、A2は、ともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、またはオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0150】
一般式(N−1)で表される化合物の中でも、特に下記一般式(N−1A)で表される化合物がより好ましく用いられる。
【0151】
【化42】
【0152】
式中、R111、R112およびR113はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリール基を表す。X、R12、A1およびA2は一般式(N−1)と同義である。
【0153】
一般式(N−1A)で表される化合物について詳細に説明する。
R111、R112およびR113はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリール基を表すが、アリール基として具体的には、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。ヘテロアリール基として具体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、インドール残基、ベンゾチアゾール残基、ベンズイミダゾール残基、フラン残基、チオフェン残基などが挙げられる。
【0154】
また、R111、R112およびR113はそれぞれ任意の連結基を介して結合しても良い。R111、R112およびR113が置換基を有する場合、その置換基としては例えばアルキル基(R11で表されるアルキル基と同義である)、アルケニル基(R12で表されるアルケニル基と同義である)、アルキニル基(例えばエチニル基、プロパギル基等を表す)、アリール基(R11で表されるアリ−ル基と同じものを表す)、ヘテロ環基(R11で表されるヘテロ環基と同義である)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等を表し、これらの基の他、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、アシル基(A1で表されるアシル基と同じものを表す)、アルコキシカルボニル基(例えばアセチルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチルオキシカルボニル基、プロピオニルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−メチルフェノキカルボニルシ基、ナフチルオキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、メトキシフェニルカルバモイル基等)、カルバモイルオキシ基(例えばウレタン基、メチルカルバモイルオキシ基、ジエチルカルバモイルオキシ基、ジブチルカルバモイルオキシ基、フェニルカルバモイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルバモイルオキシ基、p−シアノフェニルカルバモイルオキシ基等)、カルボキシル基、イミド基、アミノ基(R12で表されるアミノ基と同じものを表す)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド基、プロピオンアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ベンズアミド基、p−メトキシベンズアミド基、p−クロロベンズアミド基等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、トリフルオロメタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、p−トルエンスルホンアミド基、p−クロロベンゼンスルホンアミド基等)、ウレイド基(例えばウレイド基、メチルウレイド基、ジエチルウレイド基、ジブチルウレイド基、フェニルウレイド基、p−メトキシフェニルウレイド基、p−シアノフェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えばチオウレイド基、メチルチオウレイド基、ジエチルチオウレイド基、ジブチルチオウレイド基、フェニルチオウレイド基、p−メトキシフェニルチオウレイド基、p−シアノフェニルチオウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(例えばスルファモイルアミノ基、メチルスルファモイルアミノ基、エチルスルファモイルアミノ基、ブチルスルファモイルアミノ基、ジエチルスルファモイルアミノ基、ジブチルスルファモイルアミノ基、フェニルスルファモイルアミノ基、p−メトキシフェニルチオウレイド基、p−シアノフェニルチオウレイド基等)、セミカルバジド基(メチルセミカルバジド基、エチルセミカルバジド基、フェニルセミカルバジド基等)、チオセミカルバジド基(メチルチオセミカルバジド基、エチルチオセミカルバジド基、フェニルチオセミカルバジド基等)、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基(トリメチルアンモニオ基、ピリジニオ基等)、(アルキル基、アリール基、またはヘテロ環)チオ基(これらも以下のアルキル基、アリール基についてはR11におけるアルキル基とアリール基と同義である)、メルカプト基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルファモイル基、その他、アシルスルファモイル基(アセチルスルファモイル基、プロピオニルスルファモイル基、ベンゾイルスルファモイル基等)、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。R111、R112およびR113として好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR111、R112およびR113のいずれもが無置換のフェニル基である。X、R12、A1およびA2は一般式(N−1)と同義である。R12として好ましくはピリジルオキシ基、チエニルオキシ基である。
A1、A2として、好ましくはA1、A2ともに水素原子の場合である。
【0155】
次に一般式(N−2)で表される化合物について詳細に説明する。
R21は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表すが、アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。アリール基およびヘテロアリール基として具体的には、R111、R112およびR113と同様のものが挙げられる。また、R21が置換基を有する場合の置換基の具体的な例としては、R111、R112およびR113の置換基と同様のものが挙げられる。R21として好ましくはアリール基またはヘテロアリール基であり、特に好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0156】
R22は水素、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を表すが、アルキルアミノ基として具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられる。アリールアミノ基としてはアニリノ基、ヘテロ環アミノ基としてはチアゾリルアミノ基、ベンズイミダゾリルアミノ基、ベンズチアゾリルアミノ基等が挙げられる。R22として好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
A1、A2は一般式(N−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0157】
次に一般式(N−3)で表される化合物について詳細に説明する。
R31、R32はアルキル基(R12で表されるアルキル基と同義である)、アルケニル基(R12で表されるアルケニル基と同義である)、アリール基(R12で表されるアリール基と同義である)、ヘテロアリール基(R111で表されるヘテロアリール基と同義である)、アルコキシ基(R111の置換基として挙げられたアルコキシ基と同義である)、アルケニルオキシ基(アルケニルとしてはR12で表されるものと同義である)、アリールオキシ基(R111の置換基として挙げられたアリールオキシ基と同義である)、ヘテロ環オキシ基(ここにおけるヘテロ環基としてはR11の置換基として挙げられたヘテロ環基と同義である)、アルキルチオ基(ここにおけるアルキル基としてはR11の置換基として挙げられたアルキル基と同義である)、アルケニルチオ基(ここにおけるアルケニル基としてはR12の置換基として挙げられたアルケニル基と同義である)、アリールチオ基(ここにおけるアリール基としてはR11の置換基として挙げられたアリール基と同義である)、ヘテロ環チオ基(ここにおけるヘテロ環基としてはR11の置換基として挙げられたヘテロ環基と同義である)を表す。好ましくはアリール基またはアルコキシ基である。特に好ましいのは、R31とR32の少なくとも一つがtert−ブトキシ基であるものであり、別の好ましい構造は、R31が置換もしくは無置換のフェニル基のとき、R32がtert−ブトキシ基である。
【0158】
G31、G32は−(CO)p−基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R33−基またはイミノメチレン基を表し、pは1または2の整数を表し、R33はアルキル基(ここにおけるアルキル基としてはR11の置換基として挙げられたアルキル基と同義である)、アルケニル基(ここにおけるアルケニル基としてはR12の置換基として挙げられたアルケニル基と同義である)、アルキニル基(ここにおけるアルキニル基としてはR111の置換基として挙げられたアルキニル基と同義である)、アリール基(ここにおけるアリール基としてはR11の置換基として挙げられたアリール基と同義である)、アルコキシ基(ここにおけるアルコキシ基としてはR111の置換基として挙げられたアルコキシ基と同義である)、アルケニルオキシ基(ここにおけるアルケニル基としてはR12の置換基として挙げられたアルケニル基と同義である)、アルキニルオキシ基(ここにおけるアルキニル基としてはR111の置換基として挙げられたアルキニル基と同義である)、アリールオキシ基(ここにおけるアリールオキシ基としてはR111の置換基として挙げられたアリールオキシ基と同義である)、アミノ基(R12の置換基として挙げられたアニノ基と同義である)を表す。但し、G31がスルホニル基のとき、G32はカルボニル基ではない。G31、G32として好ましくは−CO−基、−COCO−基、スルホニル基または−CS−であり、より好ましくは互いに−CO−基または互いにスルホニル基である。
A1、A2は一般式(N−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0159】
次に一般式(N−4)で表される化合物について詳細に説明する。
R41は水素原子または一価の置換基を表すが、一価の置換基としては、R111、R112およびR113の置換基として挙げられた基が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基が挙げられる。より好ましくは、R41がアリール基、ヘテロアリール基の時である。A1、A2は一般式(N−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0160】
次に一般式(N−5)で表される化合物について詳細に説明する。
R51、R52およびR53は一般式(1A)におけるR111、R112およびR113と同義である。R51、R52およびR53として好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR51、R52およびR53のいずれもが無置換のフェニル基である。R54、R55は無置換または置換アルキル基を表すが、具体的な例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。R54、R55として好ましくは互いにエチル基である。
A1、A2は一般式(N−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0161】
以下に本発明の一般式(N−1)〜(N−5)、および一般式(N−1A)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0162】
【化43】
【0163】
【化44】
【0164】
【化45】
【0165】
【化46】
【0166】
【化47】
【0167】
【化48】
【0168】
【化49】
【0169】
【化50】
【0170】
【化51】
【0171】
【化52】
【0172】
【化53】
【0173】
本発明の一般式(N−1)〜(N−5)、および一般式(N−1A)で表される化合物は種々の方法により合成することができるが、例えば米国特許第5,464,738号明細書または米国特許第5,496,695号明細書を参考にして合成することができる。
【0174】
次に、一般式(N−6)で表される化合物について詳細に説明する。
Xの表す電子求引基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことであるが、但しシアノ基は除くものとする。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換、無置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル基、シアノアセチレニル基、ホルミルアセチレニル基等)、置換アリール基(シアノフェニル基等)、置換、無置換のヘテロ環基(ピリジル基、トリアジニル基、ベンゾオキサゾリル基等)、ハロゲン原子、アシル基、(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ホルミル基等)、チオアシル基(チオホルミル基、チオアセチル基等)、オキサリル基(メチルオキサリル基等)、オキシオキサリル基(エトキサリル基等)、−S−オキサリル基(エチルチオオキサリル基等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル基等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル基、カルボキシル基等)、−S−カルボニル基(エチルチオカルボニル基等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル基等)、−S−スルホニル基(エチルチオスルホニル基等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル基等)、−S−スルフィニル基(メチルチオスルフィニル基等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基(イミノ基、N−メチルイミノ基、N−フェニルイミノ基、N−ピリジルイミノ基、N−シアノイミノ基、N−ニトロイミノ基等)、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ基、N−エトキシカルボニルイミノ基、N−エトキサリルイミノ基、N−ホルミルイミノ基、N−トリフルオロアセチルイミノ基、N−カルバモイルイミノ基等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ基、N−トリフルオロメタンスルホニルイミノ基、N−メトキシスルホニルイミノ基、N−スルファモイルイミノ基等)、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.2以上のものが好ましく0.3以上のものがさらに好ましい。
【0175】
Wとしては水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)アルケニル基(ビニル基、ハロゲン置換ビニル基、シアノビニル基等)、アルキニル基(アセチレニル基、シアノアセチレニル基等)、アリール基(フェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、キノキサリニル基、トリアジニル基、スクシンイミド基、テトラゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)の他上記Xで説明したようなハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、−S−オキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、−S−カルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、−S−スルホニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、−S−スルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられる。
【0176】
Wとしてはハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる電子求引基の他、上記したようなアリール基およびヘテロ環基も好ましい。但し、本発明において、XとWの組み合わせにおいて、一方が無置換アルコキシカルボニル基を表すとき、他方が無置換アルコキシカルボニル基および無置換アルキルスルホニル基を表すことはない。
【0177】
また、XとWは互いに結合して環状構造を形成することはない。Rとしては、ハロゲン原子、オキシ基(ヒドロキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基等)、チオ基(メルカプト基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基等)およびヒドロキシ基、メルカプト基の有機または無機の塩、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基等)、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環基)等が挙げられる。
【0178】
ヘテロ環基としては5〜6員の含窒素ヘテロ環であり、好ましくは5〜6員の含窒素ヘテロ芳香環で、環内の窒素原子を通して結合するものがさらに好ましく、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等で表されるものであり、具体的にはイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環等が好ましい。オキシ基としてはアルコキシ基を含まないものとし、チオ基としてはアルキルチオ基を含まないものとする。また、Rがヒドロキシ基またはヒドロキシ基の塩を表すとき、XとWはいずれもホルミル基を表すことはない。
【0179】
Rとして好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、ヒドロキシまたはメルカプトの有機または無機塩、ヘテロ残基等が挙げられる。Rとしてさらに好ましくはヒドロキシ基、ヒドロキシの有機または無機塩、ヘテロ残基が挙げられ、特にヒドロキシ基、ヒドロキシの有機または無機塩が好ましい。
【0180】
また、本発明においては、X、W、Rは何れも耐拡散性基を含まないものである。耐拡散性基とは写真用のカプラーなどにおけるバラスト基と呼ばれるもので、添加された化合物が感光材料の被膜中を移動しないような嵩高い分子量とするものである。
【0181】
また、本発明においては、X、W、Rは何れも−O−、−S−、−N(R1)−(R1は水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−CO−、−CS−、−SO2−、−SO−、−P(O)−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基等の単独またはこれらの基の組み合わせからなる連結基を介して、チオアミド基、脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基、ヘテロ環メルカプト基およびベンゾトリアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環から選ばれる5〜6員の含窒素ヘテロ環で表される銀塩への吸着促進基を含まないものである。
【0182】
本発明において、X、Wで表される置換基中にチオエーテル基(−S−)を含む化合物は好ましい。
【0183】
また、XおよびWのうち少なくとも一方が次のようなアルケン基を有するものは好ましい。
【0184】
−C(R2)=C(Y)(Z)
R2は水素原子および置換基を表し、Y、Zは水素原子および置換基を表すが、Y、Zのうち少なくとも一方は電子求引性基を表す。
【0185】
Y、Zの表す置換基のうち電子求引性基の例としてはシアノ基、ホルミル基の他、先述したXおよびWの電子求引性基として挙げたものが挙げられる。
【0186】
上記一般式で表されるXおよびWとしては、例えば次の様な基が挙げられる。
【0187】
【化54】
【0188】
【化55】
【0189】
また、XおよびWのうち少なくとも一方が次の様なアルキン基を有するものも好ましい。
【0190】
【化56】
【0191】
R3は水素原子および置換基を表し、置換基としては先述したXおよびWの中で挙げたような電子求引性基が好ましい。上記一般式で表されるXおよびWとしては例えば次のような基が挙げられる。
【0192】
【化57】
【0193】
また、XおよびWのうち少なくとも一方が置換アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基から選ばれるアシル基を有するものも好ましく、XおよびWとしては例えば次のような基が挙げられる。
【0194】
【化58】
【0195】
【化59】
【0196】
また、XおよびWのうち少なくとも一方がオキサリル基を有するものも好ましく、XおよびWとしては例えば、−COCOCH3、−COCOOC2H5、−COCONHCH3、−COCOSC2H5、−COCOOC2H4SCH3、−COCONHC2H4SCH3が挙げられる。また、XおよびWのうち少なくとも一方が電子求引性基の置換したアリール基または含窒素ヘテロ環基を有するものも好ましく、XおよびWとしては例えば次のような基が挙げられる。
【0197】
【化60】
【0198】
本発明において、一般式(N−6)で表されるアルケン化合物は、X、W、RおよびHが置換する二重結合に関して異性体構造を取りうる時は総ての異性体を含むものとし、またケト−エノールのような互変異性構造を取りうるときも総ての異性体を含むものとする。
【0199】
以下に、一般式(N−6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0200】
【化61】
【0201】
【化62】
【0202】
【化63】
【0203】
【化64】
【0204】
【化65】
【0205】
【化66】
【0206】
【化67】
【0207】
【化68】
【0208】
【化69】
【0209】
【化70】
【0210】
【化71】
【0211】
【化72】
【0212】
【化73】
【0213】
【化74】
【0214】
【化75】
【0215】
【化76】
【0216】
【化77】
【0217】
【化78】
【0218】
【化79】
【0219】
【化80】
【0220】
【化81】
【0221】
【化82】
【0222】
【化83】
【0223】
【化84】
【0224】
【化85】
【0225】
【化86】
【0226】
【化87】
【0227】
【化88】
【0228】
【化89】
【0229】
【化90】
【0230】
【化91】
【0231】
【化92】
【0232】
【化93】
【0233】
【化94】
【0234】
【化95】
【0235】
【化96】
【0236】
【化97】
【0237】
【化98】
【0238】
【化99】
【0239】
【化100】
【0240】
【化101】
【0241】
【化102】
【0242】
【化103】
【0243】
【化104】
【0244】
【化105】
【0245】
【化106】
【0246】
一般式(N−6)で表される化合物は種々の方法により合成することができるが、例えば米国特許第5,545,515号明細書、同第5,635,339号明細書、特開平11−119373号公報等に記載の合成法を参考にして合成することができる。
【0247】
硬調化剤は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフォスフェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエチルフタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、硬調化剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いることもできる。
【0248】
硬調化剤は、支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加してもよいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。添加量はハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、化学増感の程度、抑制剤の種類等により最適量が違い、一様ではないが、銀1mol当たり10-6〜1mol程度、特に10-5〜10-1molの範囲が好ましい。
【0249】
本発明の熱現像感光材料は、好ましくは有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤が有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が特に好ましい。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1molに対して5〜50mol含まれることが好ましく、10〜40mol含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に対して画像形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層に添加する場合は、銀1molに対して10〜50molと多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0250】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、特開昭46−6074号公報、同47−1238号公報、同47−33621号公報、同49−46427号公報、同49−115540号公報、同50−14334号公報、同50−36110号公報、同50−147711号公報、同51−32632号公報、同51−1023721号公報、同51−32324号公報、同51−51933号公報、同52−84727号公報、同55−108654号公報、同56−146133号公報、同57−82828号公報、同57−82829号公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,679,426号明細書、同第3,751,252号明細書、同第3,751,255号明細書、同第3,761,270号明細書、同第3,782,949号明細書、同第3,839,048号明細書、同第3,928,686号明細書、同第5,464,738号明細書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許公開EP692,732A号公報などに開示されている還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマノールである。
【0251】
本発明において還元剤は、水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0252】
画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側の層に銀1molあたり0.1〜50mol含ませることが好ましく、0.5〜20mol含ませることがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、特開昭46−6077号公報、同47−10282号公報、同49−5019号公報、同49−5020号公報、同49−91215号公報、同50−2524号公報、同50−32927号公報、同50−67132号公報、同50−67641号公報、同50−114217号公報、同51−3223号公報、同51−27923号公報、同52−14788号公報、同52−99813号公報、同53−1020号公報、同53−76020号公報、同54−156524号公報、同54−156525号公報、同61−183642号公報、特開平4−56848号公報、特公昭49−10727号公報、同54−20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,510,236号明細書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書などに開示される色調剤を用いることができる。色調剤の具体例としては、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2−(トリブロモメチルスルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0253】
本発明では色調剤として、特開2000−35631号公報に記載の一般式(F)で表されるフタラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同公報に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる。
【0254】
色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0255】
本発明の熱現像感光材料において、ハロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書および同第2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細書および同第2,444,605号明細書に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号明細書および同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細書および同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書および同第4,137,079号明細書、同第4,138,365号明細書および同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0256】
本発明で特に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、米国特許第3,874,946号明細書、同第4,756,999号明細書、同第5,340,712号明細書、同第5,369,000号明細書、同第5,464,737号明細書 、特開昭50−120328号公報、特開昭50−137126号公報、同50−89020号公報、同50−119624号公報、同59−57234号公報、特開平7−2781号公報、同7−5621号公報、同9−160164号公報、同9−160167号公報、同10−197988号公報、同9−244177号公報、同9−244178号公報、同9−160167号公報、同9−319022号公報、同9−258367号公報、同9−265150号公報、同9−319022号公報、同10−197989号公報、同11−242304号公報、特開2000−2963号公報、特開2000−112070号公報、特開2000−284412号公報、特開2000−284399号公報、特開2000−284410号公報、特開2001−33911号公報、特開2001−5144号公報等に記載された化合物が挙げられる。これらの中で、特に好ましい有機ハロゲン化物は、特開平7−2781号公報に記載の2−トリブロモメチルスルホニルキノリン、特開2001−5144号公報に記載の2−トリブロモメチルスルホニルピリジン、特開2000−112070号公報に記載のP−1〜P−31の化合物、特開2000−284410号公報に記載のP−1〜P−73の化合物、特開2001−33911号公報に記載のP−1〜P−25、P’−1〜P’−27の化合物、特開2000−284399号公報に記載のP−1〜P−118の化合物、フェニルトリブロモメチルスルホン、2−ナフチルトリブロモメチルスルホンである。
有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molAg、より好ましくは5×10-5〜1mol/molAg、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/molAgである。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0257】
本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例えば、特開2000−221634号公報に記載の式(S)で表される化合物およびその例示化合物(S−1)〜(S−24)が挙げられる。
【0258】
本発明に用いるカブリ防止剤は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用いることもできる。
【0259】
本発明に用いるカブリ防止剤は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であり、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層であることが好ましい。
【0260】
本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール環、ナフスイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンズオキサゾール環、ナフスオキサゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾテルラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、テトラゾール環、トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、プリン環、キノリン環またはキナゾリノン環である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアリール基(置換基を有していてもよい)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプトテトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されない。
これらのメルカプト化合物の添加量としては画像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0molの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mol当たり0.001〜0.3molの量である。
【0261】
本発明において、現像後のカブリを低減する酸化剤を用いることができる。このような酸化剤として好ましくは、例えば特開昭50−119624号公報、同50−120328号公報、同51−121332号公報、同54−58022号公報、同56−70543号公報、同56−99335号公報、同59−90842号公報、同61−129642号公報、同62−129845号公報、特開平6−208191号公報、同7−5621号公報、同7−2781号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,340,712号明細書、同5,369,000号明細書、同5,464,737号明細書、同3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、同5,340,712号明細書、欧州特許公開EP605,981A1号公報、同622,666A1号公報、同631,176A1号公報、特公昭54−165号公報、特開平7−2781号公報、米国特許第4,180,665号明細書および同4,442,202号明細書に記載されている化合物等を用いることができる。
【0262】
本発明において酸化剤は、10mg/m2〜3g/m2含有することが好ましく、50mg/m2〜1g/m2がより好ましい。
【0263】
本発明において酸化剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよく、特に画像形成層に、固体微粒子分散されていることが好ましい。分散の際に分散助剤を用いてもよい。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加剤と混合した溶液として添加してもよい。
【0264】
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好ましい。また、所定の熱処理をした支持体を使用することにより、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料が得られる。
【0265】
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも疎水性でもよいが、本発明においては、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダーとしては、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタンなどが挙げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステルは特に好ましく用いられる。
【0266】
また他の好ましいバインダーとしては、以下に述べるポリマーラテックスである。ポリマーラテックスは、画像形成層に含有することが好ましい。ポリマーラテックスは全バインダーの50質量%以上含有することが好ましい。本発明において「ポリマーラテックス」とは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
【0267】
なお本発明におけるポリマーラテックスについては、「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。
【0268】
分散粒子の平均粒径は1〜50,000nm、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を持つものでもよい。ポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルは、ガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明のポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃、より好ましくは0〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために、造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0269】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0270】
本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
【0271】
また、このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。例えば、アクリル樹脂の例として、セビアンA−4635、46583、4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507、(以上、日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂としては、ケミパールS120、SA100(以上、三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。
【0272】
ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分のごときカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。ポリマーラテックスを画像形成層に用いるときには、画像形成層は全バインダーの50質量%以上が上記ポリマーラテックスであることが好ましく、70質量%以上が上記ポリマーラテックスであることがより好ましい。その場合、画像形成層には、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲で、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は、画像形成層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0273】
画像形成層にポリマーラテックスを用いる場合は、画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは、塗布液の溶媒(分散媒)の50質量%以上が水であることをいい、好ましくは溶媒の65質量%以上が水である。塗布液の水以外の成分は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5(ただし数字は質量%を表す)。
【0274】
画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。
【0275】
また熱現像感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止するために、画像形成層の外側に非画像形成層を有することができる。これらの非画像形成層に用いられるバインダーは、画像形成層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。
【0276】
本発明においては、熱現像の速度を速めるために画像形成層のバインダー量が0.5〜30g/m2であることが好ましい。さらに好ましくは1〜15g/m2である。0.5g/m2未満では、未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0277】
本明細書における滑り剤とは、物体表面に存在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の摩擦係数を減少させる化合物を意味する。その種類は特に制限されない。
【0278】
本発明に用いる滑り剤としては、特開平11−84573号公報の段落番号0061〜0064、特開2000−47083号公報の段落番号0049〜0062に記載の化合物を挙げることができる。
好ましい滑り剤の具体例としては、セロゾール524(主成分カルナバワックス)、ポリロンA,393,H−481(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレンビスステアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270(主成分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂(株)製)、
W−1 C16H33−O−SO3Na
W−2 C18H37−O−SO3Na
などが挙げられる。
滑り剤の使用量は添加層のバインダー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%である。
【0279】
本発明において、特開2000−171935号公報、特開2000−47083号公報に記載のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像感光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であり、その上限に特に制限はないが30程度である。また、μbは1.0以下、好ましくは0.05〜0.8である。この値は、下記の式によって求められる。
摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb)
本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることにより調整することができる。
【0280】
支持体の両面には、特開昭64−20544号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−209443号公報、特開平1−285939号公報、特開平1−296243号公報、特開平2−24649号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−184844号公報、特開平3−109545号公報、特開平3−137637号公報、特開平3−141346号公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96055号公報、米国特許第4,645,731号明細書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、特開2000−39684号公報の段落番号0020〜0037、特開2000−47083号公報の段落番号0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体の繰り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り層を設けることが好ましい。
【0281】
塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量体が不可欠であるからである。
本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の分子量は、重量平均分子量で45,000以下、さらには10,000〜45,000が好ましい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしまう傾向がある。
【0282】
本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。
【0283】
なお、下塗り層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に直接設層される下塗り層第1層として設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明の範囲となるようにすればよい。
このような層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含有させてもよい。
【0284】
支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバインダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1層当たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜1μmである。
【0285】
本発明の熱現像感光材料には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚みで90〜180μmであることが好ましい。
【0286】
本発明の熱現像感光材料に用いる支持体としては、特開平10−48772号公報、特開平10−10676号公報、特開平10−10677号公報、特開平11−65025号公報、特開平11−138648号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0287】
このような熱処理後における支持体の120℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜0.04%であることが好ましい。
【0288】
本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公報の段落番号0040〜0051に記載の導電性金属酸化物および/またはフッ素系界面活性剤を用いて帯電防止することができる。導電性金属酸化物としては、米国特許第5,575,957号明細書、特開平11−223901号公報の段落番号0012〜0020に記載のアンチモンでドーピングされた針状導電性酸化錫、特開平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピングされた繊維状酸化錫が好ましく用いられる。
【0289】
金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0290】
本発明の熱現像感光材料の画像形成層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以下であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。
本発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
熱現像感光材料の画像形成層を有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号0052〜0059に記載の如く、前記両面の層に含有させるマット剤の粒径および添加量を適宜変化させることによってコントロールすることができる。
【0291】
本発明で用いる界面活性剤について以下に述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によって、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタイン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。
【0292】
好ましいノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0293】
アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙げることができる。
【0294】
カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0295】
ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタインなどを挙げることができる。
【0296】
これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応用」(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されている。本発明においては、好ましい界面活性剤はその使用量において特に限定されず、目的とする界面活性特性が得られる量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤の塗布量は、1m2当り0.01mg〜250mgが好ましい。
【0297】
以下に界面活性剤の具体例を記すが、これに限定されるものではない(ここで、‐C6H4‐はフェニレン基を表わす)。
WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH
WA−2 :C9H19-C6H4-(OCH2CH2)12OH
WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン酸ナトリウム
WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸ナトリウム
WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム
WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル ナトリウム塩
WA−8 :C8H17-C6H4-(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K
WA−10 :セチルトリメチルアンモニウム クロライド
WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N(+)(CH3)2-CH2COO(-)
WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H
WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK
WA−14 :C8F17SO3K
WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na
WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N(+)(CH3)3-CH3・C6H4-SO3 (-)
WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N(+)(CH3)2-CH2COO(-)
【0298】
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法において、前記熱現像感光材料は、まず、750〜800nmの波長の光で露光される。露光に用いられるプロッターは露光時間が10-7秒以下の露光が可能なレーザーダイオード(LD)を光源に使用したプロッターが用いられる。これらの光源は目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるものであればいずれでもよい。例えば、色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザーなどを用いることができるが、半導体レーザーは省スペース、省コストの観点で特に好ましく用いられる。
【0299】
本発明の画像形成方法において、光源の光ビームをオーバーラップさせて、前記熱現像感光材料を露光するのが好ましい。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上であることが好ましい。
【0300】
本発明に使用するプロッターの光源の走査方式は特に限定されず、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、高出力が得られ、書き込み時間が短くなるという点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合にはレーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャンネルが好ましく用いられる。
【0301】
露光の対象となる熱現像感光材料が、露光時のヘイズが低い場合は、干渉縞が発生しやすい傾向にあるので、これを防止することが好ましい。干渉縞の発生を防止する技術としては、特開平5−113548号公報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754号公報などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0302】
本発明に好ましく使用されるプロッターの光源の走査方式はインナードラム方式(円筒内面走査方式)である。露光は、レーザーダイオードから発生するレーザー光がポリゴンミラー(プリズム)を介して、インナードラム部に搬送された熱現像感光材料面上に走査されて行われる。主走査方向の露光時間は、ポリゴンミラーの回転数とドラムの内径によって決定される。本発明の熱現像感光材料面上での主走査速度は500m/秒〜1500m/秒であることが好ましい。より好ましい主走査速度は1100m/秒〜1500m/秒である。
【0303】
露光の対象となる熱現像感光材料が、露光時のヘイズが低い場合は、干渉縞が発生しやすい傾向にあるので、これを防止することが好ましい。干渉縞の発生を防止する技術としては、特開平5−113548号公報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754号公報などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0304】
本発明の画像形成方法において、熱現像感光材料は露光され、潜像が形成された後、予備加熱部、熱現像部および徐冷部を備えた熱現像機で現像処理される。熱現像機による現像温度は、80〜250℃であるのが好ましく、100〜140℃であるのが好ましい。前記熱現像機によるトータルの現像時間は1〜180秒であるのが好ましく、5〜90秒であるのがさらに好ましい。また、前記熱現像機による熱現像部の処理速度は、21〜100mm/秒であるのが好ましく、27〜50mm/秒であるのがより好ましい。
【0305】
露光された熱現像感光材料は、まず、予備加熱部で加熱される。予備加熱部は、熱現像時における熱現像感光材料の寸法変化による処理ムラを防止する目的で設けられる。予備加熱部における加熱は、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料中に残存する溶媒を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定することが望ましく、熱現像感光材料の支持体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定することが好ましい。一般的には、80℃以上115℃未満で、5秒以上加熱するのが好ましい。
【0306】
予備加熱部で加熱された熱現像感光性材料は、引き続き熱現像部にて加熱される。本発明の画像形成方法では、前記熱現像部は、搬送される熱現像感光材料に対して、画像形成層側およびバック層側に加熱部材を備えるとともに、画像形成層側のみに搬送ローラを備える。例えば、熱現像感光材料が画像形成層を上側にして搬送される場合、熱現像感光材料の搬送方向に対し下側(熱現像感光材料のバック層側)は搬送ローラがなく、上側(熱現像感光材料の画像形成層側)のみに搬送ローラがある構成である。本発明においては、熱現像部を前記構成とすることにより、濃度ムラの発生および物理的な変形を防止している。
【0307】
熱現像部において、熱現像感光材料は加熱ヒータ等の加熱部材によって加熱される。熱現像部における加熱温度は、熱現像に充分な温度であり、一般的には110℃〜140℃である。熱現像感光材料は、熱現像部において、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解成分の一部が揮発する場合がある。これらの揮発成分は現像ムラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させたり、温度の低い場所で析出し、異物として画面の変形を引起こしたり、画面に付着した汚れとなったり、等の種々の悪い影響を及ぼすことが知られている。これらの影響を除くための方法として、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現像機内の空気の流れを最適に調整する方法が知られている。これらの方法は有効に組み合わせて利用することができる。例えば、国際公開WO95/30933号公報、同97/21150号公報、特表平10−500496号公報には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカートリッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に用いることが記載されている。また、国際公開WO96/12213号公報、特表平10−507403号公報には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィルターを組合せたフィルターを用いることが記載されている。本発明ではこれらを好ましく用いることができる。また、米国特許第4,518,845号明細書、特公平3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されている。また、国際公開WO98/27458号公報には、フィルムから揮発するカブリを増加させる成分をフィルム表面から取り除くことが記載されている。これらについても本発明では好ましく用いることができる。
【0308】
予備加熱部および熱現像部における加熱の温度分布は、各々、±1℃以下であるのが好ましく、±0.5℃以下であるのがより好ましい。
【0309】
熱現像部で加熱された熱現像感光材料は、次に、徐冷部で冷却される。冷却は、熱現像感光材料が物理的に変形しないように、徐々に行うのが好ましく、冷却速度としては0.5〜10℃/秒が好ましい。
【0310】
本発明の画像形成方法に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。
図1は熱現像機の概略側面図を示したものである。図1に示す熱現像機は、熱現像感光材料10を予備加熱するための予備加熱部A、熱現像処理するための熱現像部Bおよび熱現像感光材料を冷却する徐冷部Cとから構成される。予備加熱部Aは、搬入ローラ対11(上部ローラはシリコンゴムローラで、下部ローラがアルミ製のヒートローラ)を備える。熱現像部Bは、熱現像感光材料10の画像形成層が形成された側の面10aと接触する側に、複数のローラ13を備え、その反対側の熱現像感光材料10のバック層側の面10bと接触する側には、不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14を備える。ローラ13と平滑面14とのクリアランスは、熱現像感光材料10が搬送可能なクリアランスに適宜調整される。一般的には、クリアランスは0〜1mm程度である。さらに、熱現像部Bは、ローラ13の上部および平滑面14の下部に、熱現像感光材料10を画像形成層側およびバック層側から加熱するための加熱ヒータ15(板状ヒータ等)を備える。徐冷部Cは、熱現像部Bから熱現像感光材料10を搬出するための搬出ローラ対12とガイド板16とを備える。
【0311】
熱現像感光材料10は搬入ローラ対11から搬出ローラ対12へと搬送される間に熱現像される。
熱現像感光材料10は露光された後、予備加熱部Bに搬入される。予備加熱部Bにおいて、熱現像感光材料10は、複数の搬入ローラ対12によって平面状に矯正され且つ予備加熱されて、熱現像部Bに搬入される。熱現像部Bに搬入された熱現像感光材料10は、複数のローラ13と平滑面14とのクリアランスに挿入され、熱現像感光材料10の表面に接触するローラ13の駆動により、バック層側の面を平滑面14上に滑らせながら搬送される。搬送されている間、熱現像感光材料10は、画像形成層側およびバック層側の双方から、加熱ヒータ15によって熱現像に充分な温度まで加熱され、露光によって形成された潜像が現像される。その後、熱現像感光材料10は、徐冷部Cへ搬送され、搬出ローラ対12によって平面状に矯正されて、熱現像機20から搬出される。
【0312】
熱現像部Bのローラ13の表面の材質および平滑面14の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の搬送に支障がなければ特に制限はないが、ローラ13の表面の材質はシリコンゴムであるのが好ましく、平滑面14の部材は芳香族ポリアミドまたはテフロン(PTFE)製の不織布であるのが好ましい。加熱ヒータ15は、熱現像感光材料10を熱現像するのに十分な温度まで加熱するものであれば、その形状および数については特に制限されないが、それぞれの加熱温度が自由に設定可能な構成であるのが好ましい。
【0313】
なお、熱現像感光材料10は、搬入ローラ対11を備える予備加熱部Aと、加熱ヒータ15を備える熱現像部Bで加熱されるが、予備加熱部Aにおける加熱は、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料10中の溶媒量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定することが望ましく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定することが好ましい。予備加熱部と熱現像部の温度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.5℃以下が好ましい。
【0314】
徐冷部Cにおいて、熱現像感光材料10が急激に冷却され、変形してしまわないためには、ガイド板16は熱伝導率の低い素材を用いて構成するのが好ましい。
【0315】
本発明の画像形成方法は、プロッター、オートキャリア、熱現像機のオンラインシステムで露光、熱現像する。オートキャリアは露光済みの熱現像感光材料を熱現像機に自動で搬送するものであり、搬送機構はベルトコンベア、ローラー搬送などいずれの方式でも良いが、ローラー搬送が好ましい。また、オートキャリアは熱現像機側からプロッター側へ熱が入り込まないような機構を設けることが好ましく、例えばオートキャリア中心下部よりプロッターおよび熱現像機に風を送り込む方式などがある。
【0316】
予備加熱部と熱現像部との線速比率が95.0%〜99.9%となる条件で現像処理することが好ましく、オートキャリアと予備加熱部との線速比率が90.0%〜100%となる条件で、現像処理することが好ましい。予備加熱部と熱現像部との線速比率が95.0%未満、および/または、オートキャリアと予備加熱部との線速比率が90.0%未満であると擦り傷の発生やジャミングの発生などが起き搬送性が悪くなり、かつ濃度ムラが発生しやすくなり好ましくない。
【0317】
前記熱現像感光材料は、例えば、幅550〜650mmおよび長さ1〜65mのシート状のものが用いられ、その一部または全部を円筒形状のコア部材に画像形成層を外側として巻き取られた形態で、熱現像システムに組み込まれる。
【0318】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0319】
<実施例1>
1)下引済み支持体の作製
ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)下引済み支持体の作製を以下の通り行った。
市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ130μmのPETフィルムの両面に8w/m2分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また、反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて帯電防止加工下引層B−1とした。
【0320】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)、tert−ブチルアクリ
レート(20質量%)、スチレン(25質量%)、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテッ
クス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水 総量が1Lになる量
【0321】
《下引塗布液b−1》
【0322】
上記下引層A−1および下引層B−1の表面上に8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引層A−2として塗設し、また、下引層B−1の上には下記下引層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に帯電防止機能を持つ下引層B−2として塗設した。
【0323】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
(C−1) 0.2g
(C−2) 0.2g
(C−3) 0.1g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水 総量が1Lになる量
【0324】
《下引上層塗布液b−2》
(C−4) 60g
(C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g
硫酸アンモニウム 0.5g
(C−6) 12g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水 総量が1Lになる量
【0325】
【化107】
【0326】
【化108】
【0327】
《支持体の熱処理》
上記の下引済み支持体を、160℃に設定した全長200mの熱処理ゾーンに入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。その後で、40℃のゾーンに15秒間通し、10kg/cm2の巻き取り張力で巻き取った。
【0328】
2)乳剤および溶液の調製
《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5gおよび臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(60/38/2)のmol比の塩化ナトリウムと臭化カリウムと沃化カリウムおよび〔Ir(NO)Cl 5〕塩を銀1mol当たり1×10-6mol、塩化イリジウム塩を銀1mol当たり1×10-5molおよび塩化ロジウム塩を銀1mol当たり1×10-6mol含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しNaOHでpHを8、pAg6.5に調整することで還元増感を行い平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率79%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。
【0329】
《ベヘン酸ナトリウム溶液の調製》
945mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸ナトリウム溶液を得た。
【0330】
《ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤のプレフォーム乳剤の調製》
上記のベヘン酸ナトリウム溶液に、前記ハロゲン化銀乳剤を添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に、1mol/Lの硝酸銀溶液147mlを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し限外濾過により水溶性塩類を除去した。生成したベヘン酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、さらに6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させた。
【0331】
《感光性乳剤の調製》
前記プレフォーム乳剤を分割し、それにポリビニルブチラール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)544gとトルエン107gを徐々に添加して混合した後に、0.5mmサイズZrO2のビーズミルを用いたメディア分散機で4000psiで30℃、10分間の分散を行った。分散後、電子顕微鏡写真で有機銀粒子を観察した。300個の有機銀粒子の粒径と厚みを測定した結果、205個がAR3以上で分散度25%の単分散平板状有機銀であった。尚、平均粒径は0.7μmであった。また、塗布乾燥後も同様に有機銀粒子を観察したところ、同じ粒子が確認できた。
【0332】
3)バック面側塗布
以下の組成のバック層塗布液を、押し出しコーターで上記支持体の帯電防止加工した下引層B−2の層上にウェット膜厚30μmになるように塗布し、60℃、15分で乾燥した。
【0333】
【0334】
4)感光性層面側塗布
以下の組成の画像形成層塗布液とその上に保護層塗布液を、押し出しコーターで上記支持体の下引層A−2の層上に毎分20mの速度で重層塗布した。その際、塗布銀量が1.5g/m2になる様に調整して塗布した。その後、60℃、15分で乾燥を行った。
【0335】
【0336】
【0337】
【化109】
【0338】
5)露光および濃度ムラの評価
得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50mW、出力波長780nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザープロッターを使用し、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×10-8秒の露光(主走査速度1047m/秒)を実施した。この時のオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。上記のレーザープロッターを用いて、175線/インチで光量を変えながらテストステップを出力し、下記の熱現像処理を行い、濃度が1.0になるLV値で露光熱現像し、目視にて濃度ムラを評価した。全くムラがないものを5とし、ムラが出るに従ってランクを落としていった。3ランク未満は実用に耐えない。
【0339】
6)熱現像処理
熱現像感光材料は、オンラインで、上記プロッターからオートキャリアを経て、図1に示した熱現像機で、熱現像処理を行った。熱現像部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面はテフロン不織布にして、熱現像部での搬送のラインスピードは25mm/秒に設定した。予備加熱部12.2秒(予備加熱部と熱現像部の駆動系は独立しており、熱現像部との速度差は−0.5%〜−1%に設定、オートキャリアの予備加熱部との速度差は0%〜−1.0%に設定、各予熱部の金属ローラーの温度設定、時間は第1ローラー温度67℃、2.0秒、第2ローラー温度82℃、2.0秒、第3ローラー温度98℃、2.0秒、第4ローラー温度温度107℃、2.0秒、第5ローラー温度115℃、2.0秒、第6ローラー温度120℃、2.0秒にした)、熱現像部120℃(熱現像感光材料面温度)で17.2秒、徐冷部13.6秒で熱現像処理を行った。なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であった。各ローラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例えば幅61cm)よりも両側それぞれ5cm長くして、その部分にも温度をかけて、温度精度が出るようにした。なお、各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、熱現像感光材料の幅よりも5cm長くした部分はローラー中央部よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、熱現像感光材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度が均質な仕上がりになるように留意した。
また、比較のため、予備加熱部の温度をコントロールせず、成り行きで昇温させた熱現像処理後、冷却部を5秒で通過するように改造した熱現像機(予備加熱と徐冷なし)でも同時にテストを行なった。
【0340】
7)評価
《製版機によるトンボ検出の評価》
富士写真フイルム社製の製版機S−FNRIII(トンボ検出器、バーコードリーダーの光源波長670nm)を用いフィルムのトンボ検出が正しく行えるかどうかのテストを50回行い、評価(正しく検出できた回数)を行った。45回以下の回数では、実際の使用に際して、問題のあるレベルである。
【0341】
《検版性の評価》
製版フィルム材料試料を25cm×30cmに切断して23℃、相対湿度50%の条件で12時間調湿した後、その後、上記レーザープロッターで網点画像を露光した。現像は下記の条件で行い、得られた製版フィルムを、ライトテーブル上に置き、画像の見やすさを以下の3段階で評価した。
○ 着色が無いか少なく、検版性に悪影響が無い
△ 着色により検版性に若干の影響があるものの問題なく検版できる
× 着色が大きく検版ができないかまたは支障が出る
【0342】
《吸光度の測定》
熱現像前と熱現像後における試料の600nm〜900nmの吸光度を日立製作所社製の分光光度計U3500により測定した。熱現像前の測定結果から露光波長における吸光度を求め、熱現像後の測定結果から700nmでの吸光度を求めた。なお、熱現像後の測定はDmin部について行った。
【0343】
8)結果
試料1〜18の各熱現像感光材料について上記評価を実施した結果を表1に示す。
【0344】
【表1】
【0345】
表1の結果のように、本発明の条件を満たす熱現像感光材料は、露光および現像ムラが発生せず、製版機でのセンサー適性および検版性が良好であることがわかる。
【0346】
<実施例2>
実施例1の処方において、ハロゲン化銀に化学増感を行った。化学増感の方法は、ハロゲン化銀乳剤を60℃に昇温して二酸化チオ尿素、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルフォスフィンセレニドおよび塩化金酸をそれぞれ、5×10-5mol/Agmol、1×10-5mol/Agmol、8×10-6mol/Agmol添加して50分間熟成した後、35℃に急冷して化学増感を終了し、ハロゲン化銀乳剤を作製した。評価は実施例1と同様に行ったところ、実施例1と同様の結果が得られ、本発明の効果が明らかであった。
【0347】
<実施例3>
実施例1、2で使用したサンプルを日本電気製のA2サイズプロッターFT−286R、富士フイルム株式会社製のドライフィルムプロセサーFDS−6100XおよびドライシステムオートキャリアFDS−C1000を用いて、露光、熱現像処理を行い、同様の評価を行なったところ、実施例1、2と同様な結果が得られ、本発明の効果が明らかであった。
【0348】
<実施例4>
実施例3において、日本電気製のA2サイズプロッターFT−286R、および富士フイルム株式会社製のドライシステムオートキャリアFDS−C1000のかわりに日本電気製のA1/A2サイズプロッターFT−296R、おとび富士フイルム株式会社製のドライシステムオートキャリアFDS−C1100を用いて、露光、熱現像処理を行い、同様の評価を行なった。その結果、実施例1、2と同様な結果が得られ、本発明の効果が明らかであった。
【0349】
<実施例5>
実施例1〜4において、熱現像部の処理速度を25mm/秒から30mm/秒に変更して、同様の評価を行なったところ、実施例1〜4と同様な結果が得られ、本発明の効果が明らかであった。
【0350】
<実施例6>
実施例1〜5において、プロッターでの熱現像感光材料面上での主走査速度を1047m/秒から1410m/秒に変更して、同様の評価を行なったところ、実施例1〜5と同様な結果が得られ、本発明の効果が明らかであった。
【0351】
【発明の効果】
本発明によれば、露光および現像ムラが発生せず、製版機でのセンサー適性および検版性が良好である写真製版用途に最適な熱現像感光材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用いられる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像形成材料
11 搬入ローラー対
12 搬出ローラー対
13 ローラー
14 平滑面
15 加熱ヒーター
16 ガイド板
A 予備加熱部
B 熱現像部
C 徐冷部
Claims (17)
- プロッター;予備加熱部、熱現像部、徐冷部および脱臭装置を備えた熱現像機;およびプロッターと熱現像機を結び、プロッターから熱現像機へ熱現像感光材料を自動搬送するオートキャリアからなるオンラインシステムで露光および熱現像を行うための熱現像感光材料であって、該熱現像感光材料が、支持体上の一方の面に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有する感光性層を有し、該感光性層または非感光性層に下記一般式(T)で表される化合物を含有し、支持体上の他方の面にハレーション防止染料を含有するバック層を有し、熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度(Aexp)が0.5以上で、熱現像後の700nmでの吸光度(A700nm)が0.3以下で、かつ熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度の比(Aexp/A700nm)が2.36〜4.21であることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(T)
- 前記バック層が、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.001〜0.3の光学濃度を有するアンチハレーション防止層であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
- 前記支持体が、透明支持体であって、該透明支持体が熱処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
- 前記露光波長が、780nm〜800nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記予備加熱部における加熱が、熱現像部の温度より10〜30℃低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 硬調化剤を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- プロッター;予備加熱部、熱現像部、徐冷部および脱臭装置を備えた熱現像機;およびプロッターと熱現像機を結び、プロッターから熱現像機へ熱現像感光材料を自動搬送するオートキャリアからなるオンラインシステムによって、該熱現像感光材料を露光および現像することを特徴とする画像形成方法であって、該熱現像感光材料が、支持体上の一方の面に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤を含有する感光性層を有し、該感光性層または非感光性層に下記一般式(T)で表される化合物を含有し、支持体上の他方の面にハレーション防止染料を含有するバック層を有し、熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度(A exp )が0.5以上で、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.3以下で、かつ熱現像前の750nm〜800nmの露光波長での吸光度と熱現像後の700nmでの吸光度の比(A exp /A 700nm )が2.36〜4.21であることを特徴とする画像形成方法。
一般式(T)
- 前記バック層が、熱現像後の700nmでの吸光度(A 700nm )が0.001〜0.3の光学濃度を有するアンチハレーション防止層であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記熱現像感光材料の支持体が、透明支持体であって、該透明支持体が熱処理されていることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成方法。
- 前記予備加熱部における加熱が、熱現像部の温度より10〜30℃低いことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記熱現像感光材料が硬調化剤を含有していることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記オートキャリアの処理速度(t1)、前記熱現像機の予備加熱部の処理速度(t2)および前記熱現像機の熱現像部の処理速度(t3)が以下の関係を満たすことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
t3 > t2 ≧ t1 - 前記熱現像機の熱現像部の処理速度が21mm/秒〜100mm/秒であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記熱現像機の熱現像部の処理速度が27mm/秒〜50mm/秒であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記プロッター露光の光源が波長780〜800nmのレーザーであることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記プロッター露光の熱現像感光材料面上での主走査速度が500m/秒〜1500m/秒であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
- 前記プロッター露光の熱現像感光材料面上での主走査速度が1100m/秒〜1500m/秒であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
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