JP2002023300A - 熱現像感光材料およびその画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料およびその画像形成方法

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JP2002023300A
JP2002023300A JP2000209816A JP2000209816A JP2002023300A JP 2002023300 A JP2002023300 A JP 2002023300A JP 2000209816 A JP2000209816 A JP 2000209816A JP 2000209816 A JP2000209816 A JP 2000209816A JP 2002023300 A JP2002023300 A JP 2002023300A
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organic silver
acid
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Takeshi Sanpei
武司 三瓶
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、保存安定性に優れ、現像後
のカブリ上昇が抑制され、かつ黒ポツ発生が少ない熱現
像感光材料およびその画像形成方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
特性曲線における光学濃度0.35と3.2の点を結ぶ
直線の傾き(γ1)が10以上であることを特徴とする
熱現像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱現像処理により
画像形成する熱現像感光材料およびその画像形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷製版や医療の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題と
なっており、近年では環境保全、省スペースの観点から
も処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザ
ー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより
効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形
成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関す
る技術が必要とされている。
【0003】この技術として、例えば米国特許第3,1
52,904号、同第3,487,075号及びD.モ
ーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材
料(Dry Silver Photographic
Materials)」(Handbook of
Imaging Materials,MarcelD
ekker,Inc.48,1991)等に記載されて
いるように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀
粒子、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料
(以降、単に感光材料ともいう)が知られている。
【0004】上記の熱現像感光材料においては、感光材
料中に還元剤が含有されているため、未露光状態での長
期保存性、特に高温下での保存安定性に問題を有してい
た。また、熱現像処理後に定着処理を行わないため、長
期保存下でのカブリ上昇という問題があった。また、印
刷製版に用いられる熱現像感光材料は、硬調であること
が必要な要件であり、これらの硬調な感光材料は、特に
未露光部分や画像濃度の低い部分に微小な砂状の黒化し
た点、いわゆる黒ポツと呼ばれる故障が発生しやすいと
いう重大な課題があった。
【0005】以上のような現状を踏まえ、より高画質
で、かつ保存安定性に優れた熱現像感光材料の出現が切
望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたものであり、その目的は、保存安定性に優
れ、現像処理後のカブリ上昇が抑制され、かつ黒ポツ発
生が少ない熱現像感光材料およびその画像形成方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の構成により達成された。
【0008】1.支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及
び還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度1
22℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像
の特性曲線における光学濃度0.35と3.2の点を結
ぶ直線の傾き(γ1)が10以上であることを特徴とす
る熱現像感光材料。
【0009】2.支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及
び還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度1
22℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像
の特性曲線における光学濃度1.0と3.2の点を結ぶ
直線の傾き(γ2)が15以上であることを特徴とする
熱現像感光材料。
【0010】3.支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及
び還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度1
22℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像
の特性曲線における光学濃度0.35と3.2の点を結
ぶ直線の傾き(γ1)が10以上であり、かつ光学濃度
1.0と3.2の点を結ぶ直線の傾き(γ2)が15以
上であることを特徴とする熱現像感光材料。
【0011】4.支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及
び還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度1
22℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像
の最高濃度Dmaxを銀量G(g/m2)で割った値
(カバーリングパワー値)が2.8以上であり、かつ最
低濃度Dminが0.25以下であることを特徴とする
熱現像感光材料。
【0012】5.支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及
び還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度1
22℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像
の光学濃度1.0を得るのに必要な露光量から露光量の
対数で+0.5の露光を与えた時に得られる画像濃度が
4.0以上であることを特徴とする熱現像感光材料。
【0013】6.有機銀塩を有する面側の構成層の少な
くとも1層が、硬調化剤を含有することを特徴とする前
記1〜5項のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0014】7.有機銀塩を有する面側の構成層の少な
くとも1層が、フタラジンおよびその誘導体、およびフ
タラジノンおよびその誘導体から選ばれた少なくとも1
種の化合物を含有することを特徴とする前記1〜6項の
いずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0015】8.有機銀塩を有する面側の構成層の少な
くとも1層が、フタル酸およびその誘導体から選ばれた
少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする前
記1〜7項のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0016】9.有機銀塩を有する面側の構成層の少な
くとも1層が、前記一般式(1)または一般式(2)で
表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜8
項のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0017】10.有機銀塩を有する面側の構成層の少
なくとも1層が、前記一般式(3)または一般式(4)
で表される化合物の少なくとも1種含有することを特徴
とする前記1〜9項のいずれか1項記載の熱現像感光材
料。
【0018】11.有機銀塩を有する面側の構成層の少
なくとも1層が、酸無水物を含有することを特徴とする
前記1〜10項のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0019】12.前記1〜11項のいずれか1項記載
の熱現像感光材料を露光後、熱現像処理して画像を形成
せしめることを特徴とする熱現像感光材料の画像形成方
法。
【0020】以下に本発明を更に詳しく説明する。本発
明でいう現像温度および現像時間とは、オーブンを所定
温度に加熱した状態で、本発明の熱現像感光材料を所定
温度で所定時間加熱したものをいう。
【0021】本発明において、熱現像感光材料を現像温
度122℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる
画像の特性曲線は、下記に記載の方法により得ることが
できる。
【0022】熱現像感光材料の画像形成面側に、波長7
80nmの半導体レーザーを用いて、特開昭59−13
0494号記載の高周波重畳法により、縦マルチモード
にした露光源を有する露光機で、レーザー操作によるウ
ェッジを介して露光を行った後、感光材料をオーブン
で、122℃で18秒間熱現像処理する。得られた試料
を光学濃度計で420nm以上の光をカットするフィル
ターを介して測定し、横軸が露光量(対数)、縦軸が光
学濃度からなる特性曲線を作製する。得られた特性曲線
において、光学濃度0.35と3.2の点を結ぶ直線の
傾きをγ1とし、光学濃度1.0と3.2の点を結ぶ直
線の傾きをγ2と定義する。また、最高濃度Dmaxお
よび最低濃度Dminを求める。ここでいう濃度とは、
熱現像処理後に光学濃度計で測定した光学濃度のことで
あり、支持体および構成層の濃度全てを含んだ値で表示
する。
【0023】また、銀量G(g/m2)は、1m2当たり
の有機銀塩およびハロゲン化銀の全て含めた銀含有量で
あり、銀量は公知の方法で測定し、求めることができ
る。
【0024】本発明に係る関係を満たすためには、下記
のような手段を適宜組み合わせることにより達成するこ
とができる。
【0025】(1)有機銀塩の平均粒径が2μm以下で
あり、かつ単分散平板状粒子を含むこと (2)ハロゲン化銀粒子が0.01μm未満のハロゲン
化銀粒子を含むこと (3)請求項6に係る発明である、有機銀塩を有する面
側の構成層の少なくとも1層に、硬調化剤を含有させる
こと (4)請求項7に係る発明である、有機銀塩を有する面
側の構成層の少なくとも1層に、フタラジンおよびその
誘導体またはフタラジノンおよびその誘導体から選ばれ
た少なくとも1種の化合物を含有させること (5)請求項8に係る発明である、有機銀塩を有する面
側の構成層の少なくとも1層に、フタル酸およびその誘
導体から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有させる
こと (6)請求項9に係る発明である、有機銀塩を有する面
側の構成層の少なくとも1層に、前記一般式(1)また
は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種含有
させること (7)請求項10に係る発明である、有機銀塩を有する
面側の構成層の少なくとも1層に、前記一般式(3)ま
たは一般式(4)で表される化合物を少なくとも1種含
有させること (8)請求項11に係る発明である、有機銀塩を有する
面側の構成層の少なくとも1層に、酸無水物を含有させ
ること (9)感光材料が、122℃、18秒で熱現像処理した
ときの寸法変化率が0.05%以内であること。
【0026】前記達成手段の(2)に係る粒子サイズ
0.01μm未満のハロゲン化銀粒子を作製する方法と
しては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散
液、または有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形
成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン
化銀に変換することが好ましく用いられる。このように
して形成されたハロゲン化銀は、有機銀塩と有効に接触
しており好ましい作用を呈する。本発明でいうハロゲン
化銀形成成分とは、有機銀塩と反応して感光性ハロゲン
化銀を生成しうる化合物であり、どのような化合物がこ
れに該当し有効であるかは次のごとき簡単な試験で判別
することができる。すなわち、有機銀塩と試験されるべ
き化合物を混合し、必要ならば加熱した後に、X線回折
法によりハロゲン化銀に特有のピークがあるかを調べる
ものである。かかる試験によって有効であることが確か
められたハロゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン
化物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N
−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、
その具体例については米国特許第4,009,039
号、同第3,457,075号、同第4,003,74
9号、英国特許第1,498,956号及び特開昭53
−27027号、同53−25420号に詳説されるが
以下にその一例を示す。
【0027】(1)無機ハロゲン化物:例えば、MXn
で表されるハロゲン化物(ここでMはH、NH4及び金
属原子を表し、nはMがH及びNH4の時は1を、Mが
金属原子の時はその原子価を表す。金属原子としては、
リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、
カドミウム、水銀、錫、アンチモン、クロム、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、セリウム等が
ある。Xはハロゲン原子を表す)。また、臭素水などの
ハロゲン分子も有効である。
【0028】(2)オニウムハライド類:例えば、トリ
メチルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチル
ジメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジル
アンモニウムブロマイドの様な第4級アンモニウムハラ
イド、テトラエチルフォスフォニウムブロマイドの様な
第4級フォスフォニウムハライド、トリメチルスルフォ
ニウムアイオダイドの様な第3級スルフォニウムハライ
ドがある。
【0029】(3)ハロゲン化炭化水素類:例えば、ヨ
ードフォルム、ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロ
ム−2−メチルプロパン等。
【0030】(4)N−ハロゲン化合物:例えば、N−
クロロ琥珀酸イミド、N−ブロム琥珀酸イミド、N−ブ
ロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド、N−ヨー
ド琥珀酸イミド、N−ブロムフタラゾン、N−ブロムオ
キサゾリノン、N−クロロフタラゾン、N−ブロモアセ
トアニリド、N,N−ジブロモベンゼンスルホンアミ
ド、N−ブロモ−N−メチルベンゼンスルホンアミド、
1,3−ジブロモ−4,4−ジメチルヒダントイン、N
−ブロモウラゾール等がある。
【0031】(5)その他のハロゲン含有化合物:例え
ば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチ
ル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロ
ベンゾフェノン等がある。
【0032】また、粒子サイズが0.01μm〜0.1
μmのハロゲン化銀粒子を作製するには、有機銀粒子と
は別に予めシングルジェットもしくはダブルジェット法
などの写真技術の分野で公知の任意の方法、例えば、ア
ンモニア法、中性法、酸性法等のいずれかの方法でもハ
ロゲン化銀粒子を調製できる。この様に予め調製し、次
いで、本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成
物中に導入することができる。この場合、感光性ハロゲ
ン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例え
ば、感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマー
として米国特許第3,706,564号、同第3,70
6,565号、同第3,713,833号、同第3,7
48,143号、英国特許第1,362,970号に記
載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外の
ポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,18
6号に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤の
ゼラチンを酵素分解する手段、または米国特許第4,0
76,539号に記載されているように感光性ハロゲン
化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによっ
て、保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適
用することができる。粒子サイズが0.01μm〜0.
1μmのハロゲン化銀粒子は、感光性を有し、光センサ
ーとしての役目を有していることが好ましい。また、ハ
ロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八
面体のいわゆる正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板
状等の粒子がある。ハロゲン化銀組成としても特に制限
はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭
化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0033】粒子サイズ0.01μm未満のハロゲン化
銀粒子の量は、全ハロゲン化銀粒子の量に対して1%以
上含有することが好ましく、更に5%以上70%以下が
粒子サイズ0.01μm未満のハロゲン化銀粒子である
ことが特に好ましい。
【0034】本発明の熱現像感光材料に使用される感光
性ハロゲン化銀は、また、英国特許第1,447,45
4号に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハ
ライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共
存させこれに銀イオンを注入することで有機銀塩の生成
とほぼ同時に生成させることができる。
【0035】これらのハロゲン化銀形成成分は、有機銀
塩に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その
範囲は有機銀塩1モルに対し、0.001〜0.7モ
ル、好ましくは0.03〜0.5モルである。ハロゲン
化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されてもよ
い。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一
部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時
間、反応圧力等の諸条件は、作製の目的にあわせ適宜設
定することができるが、通常、反応温度は20〜70
℃、その反応時間は0.1秒〜72時間であり、その反
応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。この反応は
また、後述する結合剤として使用されるポリマーの存在
下に行われることが好ましい。この際のポリマーの使用
量は、有機銀塩1質量部当たり0.01〜100質量
部、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0036】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は
化学増感されてもよい。好ましい化学増感法としては、
当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増
感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イ
リジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いる
ことができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法に好ましく用いられる化合物としては、公知の化合物
を用いることができるが、特開平7−128768号等
に記載の化合物を使用することができる。貴金属増感法
に好ましく用いられる化合物としては、例えば、塩化金
酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシ
アネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第
2,448,060号、英国特許第618,061号な
どに記載されている化合物を好ましく用いることができ
る。還元増感法の具体的な化合物としては、アスコルビ
ン酸、二酸化チオ尿素の他に、例えば、塩化第一スズ、
アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、
ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用
いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはp
Agを8.3以下に保持して熟成することにより還元増
感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシ
ングルアディション部分を導入することにより還元増感
することができる。この化学増感の方法及び手順につい
ては、例えば、米国特許第4,036,650号、英国
特許第1,518,850号、特開昭51−22430
号、同51−78319号、同51−81124号に記
載されている。また、ハロゲン化銀形成成分により有機
銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国
特許第3,980,482号に記載されているように、
増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存さ
せてもよい。
【0037】また、これらの感光性ハロゲン化銀には、
照度不軌や、階調調整の為に元素周期律表の6族から1
0族に属する金属、例えば、Rh、Ru、Re、Ir、
Os、Fe等のイオン、その錯体または錯イオンを含有
させることが好ましい。特に錯イオンとして添加するの
が好ましく、例えば、照度不軌のために〔IrCl6
2-等のIr錯イオンを添加することが好ましい。
【0038】本発明において、有機銀塩は還元可能な銀
源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及び
ヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましく
は15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含
窒素複素環が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の
銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の
銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Resea
rch Disclosure(以下、RDとする)第
17029及び29963に記載されており、次のもの
がある。有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベ
ヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、
ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素
塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿
素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチ
ルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カ
ルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、ア
ルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブ
チルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サ
リチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、
5,5−チオジサリチル酸))、チオン類の銀塩または
錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒ
ドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオン、及び
3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオ
ン))、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,
2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミ
ノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及び
ベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体
または塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシ
ム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。こ
れらのうち、好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸
銀及び/またはステアリン酸銀である。
【0039】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
錯形成する化合物とを混合することにより得られるが、
正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−1276
43号に記載されている様なコントロールドダブルジェ
ット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアル
カリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例え
ば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムな
ど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットに
より、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結
晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させて
もよい。
【0040】本発明において、有機銀塩は平均粒径が2
μm以下で、かつ単分散であることが好ましい。ここで
いう単分散とは、下記式で求められる分散度が50%以
下をいう。更に好ましくは40%以下であり、特に好ま
しくは0.1%以上、35%以下となる粒子である。
【0041】分散度(%)=(粒径の標準偏差)/(粒
径の平均値)×100 有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が、例えば、
球状、棒状、あるいは平板状の粒子の場合には、有機銀
塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平
均粒径は、好ましくは0.05〜1.5μm、特に0.
05〜1.0μmが好ましい。また、本発明の有機銀塩
においては、全有機銀塩の60%以上が平板状粒子であ
ることが好ましい。本発明でいう平板状粒子とは、平均
粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト
比(以降、ARと略す)が3以上のものをいう。
【0042】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm) 有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀塩
結晶をバインダーや界面活性剤などと共に、ボールミル
などで分散粉砕することで得られる。この範囲のAR値
にすることで、濃度が高く、かつ画像保存性に優れた感
光材料が得られる。
【0043】本発明においては、熱現像感光材料の失透
を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量が銀
量に換算して、1m2当たり0.5g以上、2.2g以
下であることが好ましい。
【0044】請求項6に係る発明では、本発明の効果を
より発現させるため、熱現像感光材料の有機銀塩を有す
る面側の構成層の少なくとも1層に、硬調化剤が含有さ
れることが特徴の一つである。硬調化剤としては、特に
制限はないが、ヒドラジン誘導体、ビニル化合物、4級
オニウム化合物の少なくとも1種を含有することが好ま
しい。
【0045】ヒドラジン誘導体としては、下記一般式
〔H〕で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【化2】
【0047】式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよ
い脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、
0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル
基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−
基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11
−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1
1)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−
基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族
基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1
が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよ
い。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、
アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル
チオ基又はアリールチオ基を表す。好ましいD0として
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等
が挙げられる。
【0048】一般式〔H〕において、A0で表される脂
肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特
に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が
好ましく、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル
基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げ
られ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド
基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基
等)で置換されていてもよい。
【0049】一般式〔H〕において、A0で表される芳
香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例
えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表
される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫
黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子
を含む複素環が好ましく、例えば、ピロリジン環、イミ
ダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピ
リジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、
ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げら
れる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置
換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいも
のはアリール基及び−G0−D0基である。
【0050】又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散
基又はハロゲン化銀吸着基を少なくとも一つ含むことが
好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真
用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラス
ト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置
換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好まし
い。
【0051】一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着
促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプ
ト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミ
ド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−9
0439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0052】一般式〔H〕において、B0はブロッキン
グ基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−
CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG
11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)
(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−
基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表し、好
ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル
基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スル
ホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0053】次に一般式〔H〕で表される化合物の具体
例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0054】
【化3】
【0055】
【化4】
【0056】更に好ましいヒドラジン誘導体は、下記一
般式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)
で表される。
【0057】
【化5】
【0058】一般式(H−1)において、R11、R12
びR13はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール
基またはヘテロアリール基を表すが、アリール基として
具体的には、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、
ナフチルなどが挙げられる。ヘテロアリール基として、
具体的にはトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリ
ジン残基、フラン残基、チオフェン残基などが挙げられ
る。また、R11、R12及びR13はそれぞれ任意の連結基
を介して結合してもよい。R11、R12及びR13が置換基
を有する場合、その置換基としては、例えば、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環
基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ヒドロキ
シル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロ
ピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリー
ルオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイ
ル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ
基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド
基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニウム基、(アルキル、アリール、またはヘ
テロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキルまたはアリ
ール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スル
フィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスル
ファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニ
ルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニ
ルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ
基、リン酸アミド基などが挙げられる。R11、R12及び
13として、好ましくはいずれもが置換もしくは無置換
のフェニル基であり、より好ましくはR11、R12及びR
13のいずれもが無置換のフェニル基である。
【0059】R14はヘテロアリールオキシ基又はヘテロ
アリールチオ基を表すが、ヘテロアリールオキシ基とし
て、具体的には、ピリジルオキシ基、ピリミジルオキシ
基、インドリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、
ベンズイミダゾリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニ
ルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ
基等が挙げられる。ヘテロアリールチオ基として、具体
的には、ピリジルチオ基、ピリミジルチオ基、インドリ
ルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンズイミダゾリ
ルチオ基、フリルチオ基、チエニルチオ基、ピラゾリル
チオ基、イミダゾリルチオ基等が挙げられる。R14とし
て、好ましくはピリジルオキシ基又はチエニルオキシ基
である。
【0060】A1、A2はともに水素原子、又は一方が水
素原子で他方はアシル基(アセチル、トリフルオロアセ
チル、ベンゾイル等)、スルホニル基(メタンスルホニ
ル、トルエンスルホニル等)又はオキザリル基(エトキ
ザリル等)を表す。好ましくはA1、A2ともに水素原子
の場合である。
【0061】一般式(H−2)において、R21は置換も
しくは無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロア
リール基を表すが、アルキル基として、具体的には、メ
チル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シ
クロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が
挙げられる。アリール基及びヘテロアリール基として、
具体的にはR11、R12及びR13と同様のものが挙げられ
る。また、R21が置換基を有する場合の置換基の具体的
な例としては、R11、R12及びR13の置換基と同様のも
のが挙げられる。R21として好ましくはアリール基また
はヘテロアリール基であり、特に好ましくは置換もしく
は無置換のフェニル基である。
【0062】R22は水素、アルキルアミノ基、アリール
アミノ基、ヘテロアリールアミノ基を表すが、アルキル
アミノ基として、具体的にはメチルアミノ基、エチルア
ミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等
が挙げられる。アリールアミノ基としてはアニリノ基、
ヘテロアリール基としてはチアゾリルアミノ基、ベンズ
イミダゾリルアミノ基、ベンズチアゾリルアミノ基等が
挙げられる。R22として、好ましくはジメチルアミノ基
またはジエチルアミノ基である。A1、A2は一般式(H
−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0063】一般式(H−3)において、R31、R32
各々水素原子または一価の置換基を表すが、一価の置換
基としては、R11、R12及びR13の置換基として挙げら
れた基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール
基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基が挙げ
られる。更に好ましくはアリール基またはアルコキシ基
である。特に好ましいのは、R31とR32の少なくとも一
つがtert−ブトキシ基であるものであり、別の好ま
しい構造は、R31がフェニル基のとき、R32がtert
−ブトキシ基である。
【0064】G31、G32は各々−CO−基、−COCO
−基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、
−P(=O)R33−基又はイミノメチレン基を表し、R
33はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニル
オキシ基、アリールオキシ基又はアミノ基を表す。但
し、G31がスルホニル基のとき、G32はカルボニル基で
はない。G31、G32として、好ましくは−CO−基、−
COCO−基、スルホニル基または−CS−であり、よ
り好ましくは互いに−CO−基または互いにスルホニル
基である。A1、A2は、各々一般式(H−1)で記載し
たA1、A2と同様である。
【0065】一般式(H−4)において、R41、R42
よびR43は、各々一般式(H−1)におけるR11、R12
およびR13と同義である。R41、R42およびR43として
好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基
であり、より好ましくはR41、R42及びR43のいずれも
が無置換のフェニル基である。R44、R45は各々無置換
または置換アルキル基を表すが、具体的な例としてはメ
チル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シ
クロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が
挙げられる。R44、R45として好ましくは互いにエチル
基である。A1、A2は、各々一般式(H−1)で記載し
たA1、A2と同様である。
【0066】以下に、本発明の一般式(H−1)〜(H
−4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0067】
【化6】
【0068】
【化7】
【0069】
【化8】
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】これら本発明の一般式(H−1)〜(H−
4)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成
することができる。例えば、米国特許第5,464,7
38号、同5,496,695号を参考にして合成する
ことができる。
【0073】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラ
ム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特
許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合
物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の
方法で合成することができる。
【0074】次に、本発明で好ましく用いることのでき
るビニル化合物及び4級オニウム化合物について説明す
る。本発明においては、ビニル化合物としては下記一般
式(G)で、4級オニウム化合物としては下記一般式
(P)で表される化合物が好ましい。
【0075】
【化11】
【0076】一般式(G)において、XとRはシスの形
で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式
(G)に含まれる。このことは具体的化合物の構造表示
においても同様である。
【0077】一般式(G)において、Xは電子吸引性基
を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、
アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサ
リル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカ
ルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオ
カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキ
シスルホニル基、チオスルホニル基、スルファモイル
基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スル
フィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、
N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジ
シアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、
ホスホニウム基、ピリリウム基又はインモニウム基を表
す。
【0078】Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アル
ケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカル
ボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル
基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキル
アミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、ア
シルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基
(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリ
ル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル
基等)、ウレイド基又はスルホンアミド基を表す。Xと
W、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成
してもよい。XとWが形成する環としては、例えば、ピ
ラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β
−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
【0079】一般式(G)について更に説明すると、X
の表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をと
りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル
基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シ
アノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフ
ルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、
置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換の
ヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾ
リル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチ
ル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチ
ル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基
(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキ
サリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル
等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキ
シカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシ
ル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、
カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、
スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホ
ニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル
等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メト
キシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチ
オスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル
基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N
−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−
メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、ア
ンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリ
リウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウ
ム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム
基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp
値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0080】Wとして表されるアルキル基としては、例
えば、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アル
ケニル基としては、例えば、ビニル、ハロゲン置換ビニ
ル、シアノビニル等が、アルキニル基としては、例え
ば、アセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール
基としては、例えば、ニトロフェニル、シアノフェニ
ル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基として
は、例えば、ピリジル、ピリミジル、トリアジニル、ス
クシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾ
リル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしては
σp値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が
0.30以上のものが好ましい。
【0081】上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキ
シル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ
基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の
有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好まし
くはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又
はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げ
られ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基
又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
【0082】また上記X及びWの置換基の内、置換基中
にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0083】次に一般式(G)で表される化合物の具体
例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】
【化17】
【0090】
【化18】
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
【化22】
【0095】
【化23】
【0096】
【化24】
【0097】
【化25】
【0098】
【化26】
【0099】
【化27】
【0100】
【化28】
【0101】
【化29】
【0102】
【化30】
【0103】
【化31】
【0104】一般式(P)において、Qは窒素原子又は
燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子
又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R
4は互いに連結して環を形成してもよい。
【0105】R1〜R4で表される置換基としては、アル
キル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ア
リル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパルギル
基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチ
ル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニル
基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル
基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、
スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0106】R1〜R4が互いに連結して形成しうる環と
しては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、
キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾー
ル環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられ
る。
【0107】R1〜R4で表される基は各々ヒドロキシル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル
基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有
してもよい。R1、R2、R3及びR4としては、各々水素
原子及びアルキル基が好ましい。
【0108】X-が表すアニオンとしては、ハロゲンイ
オン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トル
エンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙
げられる。
【0109】更に好ましくは、下記一般式(Pa)、
(Pb)又は(Pc)で表される化合物、及び下記一般
式〔T〕で表される化合物である。
【0110】
【化32】
【0111】式中、A1、A2、A3、A4及びA5は、各
々含窒素複素環を完成させるための非金属原子群を表
し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでもよく、ベ
ンゼン環が縮合しても構わない。A1、A2、A3、A4
びA5で構成される複素環は、各々置換基を有してもよ
く、それぞれ同一でも異なっていてもよい。置換基とし
ては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アシル基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ス
ルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アミド基、スルファモイル基、
カルバモイル基、ウレイド基、アミノ基、スルホンアミ
ド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト
基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。A1
2、A3、A4及びA5の好ましい例としては、5〜6員
環(ピリジン、イミダゾール、チオゾール、オキサゾー
ル、ピラジン、ピリミジン等の各環)を挙げることがで
き、更に好ましい例として、ピリジン環が挙げられる。
【0112】BPは2価の連結基を表し、mは0又は1
を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリー
レン基、アルケニレン基、−SO2−、−SO−、−O
−、−S−、−CO−、−N(R6)−(R6はアルキル
基、アリール基、水素原子を表す)を単独又は組み合わ
せて構成されるものを表す。Bpとして好ましくは、ア
ルキレン基、アルケニレン基を挙げることができる。
【0113】R1、R2及びR5は、各々炭素数1〜20
のアルキル基を表す。又、R1及びR 2は同一でも異って
いてもよい。アルキル基とは、置換或いは無置換のアル
キル基を表し、置換基としては、A1、A2、A3、A4
びA5の置換基として挙げた置換基と同様である。
【0114】R1、R2及びR5の好ましい例としては、
各々炭素数4〜10のアルキル基である。更に好ましい
例としては、置換或いは無置換のアリール置換アルキル
基が挙げられる。
【0115】Xp -は分子全体の電荷を均衡させるのに必
要な対イオンを表し、例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−トルエ
ンスルホナート、オキザラート等を表す。npは分子全
体の電荷を均衡させるのに必要な対イオンの数を表し、
分子内塩の場合にはnpは0である。
【0116】
【化33】
【0117】上記一般式〔T〕で表されるトリフェニル
テトラゾリウム化合物のフェニル基の置換基R5、R6
7は、各々水素原子もしくは電子吸引性度を示すハメ
ットのシグマ値(σp)が負のものが好ましい。
【0118】フェニル基におけるハメットのシグマ値は
多くの文献、例えばジャーナル・オブ・メディカルケミ
ストリー(Journal of Medical C
hemistry)20巻、304頁、1977年に記
載のC.ハンシュ(C.Hansch)等の報文等に見
ることが出来、特に好ましい負のシグマ値を有する基と
しては、例えばメチル基(σp=−0.17、以下何れ
もσp値)、エチル基(−0.15)、シクロプロピル
基(−0.21)、n−プロピル基(−0.13)、i
so−プロピル基(−0.15)、シクロブチル基(−
0.15)、n−ブチル基(−0.16)、iso−ブ
チル基(−0.20)、n−ペンチル基(−0.1
5)、シクロヘキシル基(−0.22)、アミノ基(−
0.66)、アセチルアミノ基(−0.15)、ヒドロ
キシ基(−0.37)、メトキシ基(−0.27)、エ
トキシ基(−0.24)、プロポキシ基(−0.2
5)、ブトキシ基(−0.32)、ペントキシ基(−
0.34)等が挙げられ、これらは何れも一般式〔T〕
の化合物の置換基として有用である。
【0119】nは1或いは2を表し、XT n-で表される
アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、硝酸、硫酸、
過塩素酸等の無機酸の酸根、スルホン酸、カルボン酸等
の有機酸の酸根、アニオン系の活性剤、具体的にはp−
トルエンスルホン酸アニオン等の低級アルキルベンゼン
スルホン酸アニオン、p−ドデシルベンゼンスルホン酸
アニオン等の高級アルキルベンゼンスルホン酸アニオ
ン、ラウリルスルフェートアニオン等の高級アルキル硫
酸エステルアニオン、テトラフェニルボロン等の硼酸系
アニオン、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネート
アニオン等のジアルキルスルホサクシネートアニオン、
セチルポリエテノキシサルフェートアニオン等の高級脂
肪酸アニオン、ポリアクリル酸アニオン等のポリマーに
酸根のついたもの等を挙げることができる。
【0120】以下、4級オニウム化合物の具体例を下記
に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
【化34】
【0122】
【化35】
【0123】
【化36】
【0124】上記4級オニウム化合物は公知の方法に従
って容易に合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物
はChemical Reviews vol.55
p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上記
硬調化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モ
ル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
【0125】請求項7に係る発明では、有機銀塩を有す
る面側の構成層の少なくとも1層に、フタラジン、フタ
ラジン誘導体もしくはその金属塩、またはフタラジノ
ン、フタラジノン誘導体もしくはその金属塩から選ばれ
た少なくとも1種の化合物を含有させることが特徴の一
つである。
【0126】好ましい化合物の例としては、フタラジ
ン、4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタ
ラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−
ジヒドロフタラジン、フタラジノン、4−(1−ナフチ
ル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−
ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,
4−フタラジンジオンなどの誘導体などがあげられる。
この中でも特にはフタラジンおよびその誘導体が好まし
い。
【0127】これらの化合物は、有機銀塩を含む面側で
あればいずれの層にも添加することができるが、好まし
くは、表面保護層または有機銀塩含有層である。添加量
は銀1g当たり0.05〜3g、より好ましくは、0.
5〜1.5gである。
【0128】これらの化合物は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は、公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振
動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。また、添加は、
いかなる時期でもよいが、塗布直前の塗布液に添加する
ことが好ましい。
【0129】請求項8に係る発明では、有機銀塩を有す
る面側の構成層の少なくとも1層が、フタル酸およびそ
の誘導体から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有す
ることが特徴の一つである。好ましい化合物の例として
は、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル
酸、テトラクロロ無水フタル酸、2,3−ジカルボキシ
ナフタレン等やこれらの金属塩;金属塩の金属として、
好ましくはNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等の
アルカリ土類金属、Fe、Ni等の遷移金属等が挙げら
れる。これらの化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散
物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散
は、公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロ
ーラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散す
る際に分散助剤を用いてもよい。
【0130】これらの化合物は、有機銀塩を含む面側で
あればいずれの層にも添加することができるが、好まし
くは、表面保護層または有機銀塩含有層である。添加量
は、銀に対して0.1〜50モル%の量含まれることが
好ましく、0.5〜20モル%含まれることがさらに好
ましい。フタル酸類の量が少なくなると、画像形成が困
難となり、また多くなりすぎると、色調が赤変しやすく
なり、好ましくない。
【0131】また、フタル酸類の添加は、いかなる時期
でもよいが、塗布直前の塗布液に添加することが好まし
い。
【0132】請求項9に係る発明では、有機銀塩を有す
る面側の構成層の少なくとも1層が、前記一般式(1)
または一般式(2)で表される化合物の少なくとも1種
含有することが特徴の一つである。
【0133】一般式(1)及び(2)において、T1
表される脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基として
は、直鎖、分岐または環状のアルキレン基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好まし
くは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜1
2)又はアルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であ
り、置換基を有していてもよい。
【0134】J1で表される酸素原子、硫黄原子または
窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例え
ば、以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わ
せであってもよい。
【0135】
【化37】
【0136】式中、Re、Rfは各々、前述したRa〜
Rdに定義した内容に同義である。Arで表される芳香
族炭化水素基としては、好ましくは炭素数6〜30、よ
り好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリー
ル基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げ
られるが、特に好ましく用いられるのはフェニル基であ
る。
【0137】Arで表される芳香族複素環基としては、
N、OおよびSのうちの少なくとも一つの原子を含む5
ないし10員の不飽和の複素環基であり、これらの基中
の複素環は単環であってもよいし、更に他の環と縮合環
を形成してもよい。このような複素環基中の複素環とし
て好ましくは、5ないし6員の芳香族複素環及びそのベ
ンゾ縮合環であり、より好ましくは窒素原子を含む5な
いし6員の芳香族複素環およびそのベンゾ縮合環であ
り、更に好ましくは窒素原子を1ないし2原子含む5な
いし6員の芳香族複素環およびそのベンゾ縮合環であ
る。
【0138】芳香族複素環基の具体例としては、例え
ば、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピ
ラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾ
ール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリ
ン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フ
タラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、
シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリ
ン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾ
ール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベン
ゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾー
ル、テトラザインデン、カルバゾール、等から誘導され
る基が挙げられる。
【0139】上記記載の中でも、イミダゾール、ピラゾ
ール、ピリジン、ピラジン、インドール、インダゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フ
ェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テト
ラザインデン、カルバゾールからなる基が好ましく、更
に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、キ
ノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、ベン
ゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾー
ル、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、カルバゾ
ールから誘導される基が挙げられる。
【0140】Arで表される芳香族炭化水素基並びに芳
香族複素環基は置換基を有していても良く、置換基とし
ては、例えば、T1の置換基として挙げた基と同様のも
のを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。こ
れらの置換基は更に置換されてもよく、また、置換基が
二つ以上ある場合には各々、同じでも異なってもよい。
更に、Arで表される基として、好ましく用いられるの
は、芳香族複素環基である。
【0141】Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfで
各々表される脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐ま
たは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であ
る)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であ
る)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12である)
であり、アリール基としては、炭素数6〜20の単環ま
たは縮環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル等
が挙げられ、好ましくはフェニル)であり、複素環基と
しては、3〜10員の飽和、不飽和の複素環基(例え
ば、2−チアゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジ
ル、3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、2−ベ
ンズイミダゾリル、カルバゾリル等)であり、これらの
基中の複素環は単環であっても、他の環と縮合環を形成
してもよい。
【0142】Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfで
各々表されるアシル基としては、炭素数1〜12の脂肪
族或いは芳香族の基であり、具体的にはアセチル、ベン
ゾイル、ホルミル、ピバロイル等の基が挙げられる。
【0143】RaとRb、RcとRd、RaとRc或い
はRbとRdの間で結合して形成する含窒素複素環基と
しては、3ないし10員の飽和、不飽和の複素環基(例
えば、ピペリジン環、ピペラジン環、アクリジン環、ピ
ロリジン環、ピロール環、モルフォリン環等の環基)が
挙げられる。
【0144】M1で表される分子内の電荷を中和するに
必要なイオンとして用いられる酸アニオンの具体例とし
ては、例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭
素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イ
オン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イ
オン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンス
ルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン
等が挙げられる。
【0145】以下に一般式(1)及び(2)で表される
化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定され
ない。
【0146】
【化38】
【0147】
【化39】
【0148】
【化40】
【0149】
【化41】
【0150】
【化42】
【0151】本発明に係る一般式(1)及び(2)で表
される化合物は、市販のものを用いても良いし、あるい
は既知の方法を参考にして、合成できる。例えば、日本
化学会編、新実験化学講座14巻(III)1739〜1
741頁(1978)等に記載の方法で合成することが
できる。
【0152】本発明に係る一般式(1)及び(2)で表
される化合物は、本発明の熱現像写真感光材料におい
て、画像形成層でも非画像形成層でも添加することがで
きるが、添加層として好ましくは感光層である画像形成
層である。
【0153】本発明に係る一般式(1)及び(2)で表
される化合物は所望の目的により異なるが、Ag1モル
当たりの添加量で示して10-4〜1モル/Ag、好まし
くは10-3〜0.3モル/Ag、更に好ましくは10-3
〜0.1モル/Ag添加することが好ましい。
【0154】また、一般式(1)及び(2)の化合物は
各々、一種のみを用いても二種以上を併用してもよい。
一般式(1)及び(2)の化合物は、水或いは適当な有
機溶媒、例えば、アルコール類(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、フッ素化アルコール等)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなど
に溶解して用いることができる。また、既によく知られ
ている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリ
クレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあ
るいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルや
シクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械
的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるい
は固体分散法として知られている方法によって、粉末を
水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグラインダ
ーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあ
るいは超音波によって分散し用いることができる。ま
た、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0155】請求項10に係る発明では、有機銀塩を有
する面側の構成層の少なくとも1層が、前記一般式
(3)または一般式(4)で表される化合物の少なくと
も1種含有することが特徴の一つである。
【0156】一般式(3)において、Mは水素原子また
はアルカリ金属原子である。Rは2価の連結基を表し、
好ましくはアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン
基、−SO2−、−SO−、−O−、−S−、−CO−
又は−N(R6)−(R6はアルキル基、アリール基、ま
たは水素原子を表す)を単独または組み合わせて構成さ
れるものを表す。nは0または1を表す。Arは芳香族
環または1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウムまた
はテルリウム原子を有する複素芳香環であり、それぞれ
置換基を有してもよい。好ましくは、ベンゼン、ナフ
ト、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、
ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテト
ラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、
トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、
ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリ
ンである。
【0157】一般式(4)におけるAr、R、nは一般
式(3)のそれぞれと同義である。上記の芳香族環およ
び複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、C
l、Br、I)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキ
シル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好
ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコ
キシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜
4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる
置換基を有しうる。
【0158】好ましい例を以下に列挙するが、本発明は
これらに限定されるものではない。 M−1 2−メルカプトベンズイミダゾール M−2 2−メルカプトベンズオキサゾール M−3 2−メルカプトベンゾチアゾール M−4 5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル M−5 6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾー
ル M−6 2,2′−ジチオビス(ベンゾチアゾール) M−7 3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール M−8 4,5−ジフェニル−2−メルカプトイミダゾ
ール M−9 2−メルカプトイミダゾール M−10 1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾ
ール M−11 2−メルカプトキノリン M−12 8−メルカプトプリン M−13 2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン M−14 7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオ
ール M−15 2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジ
ンチオール M−16 4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプ
トピリミジンモノヒドレート M−17 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−
チアジアゾール M−18 3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール M−19 4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン M−20 2−メルカプトピリミジン M−21 4,6−ジアミノ−メルカプトピリミジン M−22 2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒド
ロクロリド M−23 3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4
−トリアゾール M−24 2−メルカプト−4−フェニルオキサゾール これらの化合物は、有機銀塩を含有する面側の構成層中
に含まれることが好ましいが、有機銀塩を含む画像形成
層中に、銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲
で用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当た
り0.01〜0.5モルの範囲の量が好ましい。
【0159】請求項11に係る発明では、有機銀塩を有
する面側の構成層の少なくとも1層が、酸無水物を含有
することが特徴の一つである。
【0160】本発明に使用できる酸無水物は、モノカル
ボン酸が2分子脱水縮合してA−CO−O−CO−B構
造を分子内に有するものを含み、式中A及びBは直鎖状
の分子構造を有する置換基でも、又A及びBの一部が結
合した環状の構造を有する置換基でも良い。直鎖状のも
のは2分子の脂肪族モノカルボン酸が脱水して形成され
るもので、例えば、無水酢酸、無水プロパン酸、無水ブ
タン酸、無水アミル酸、無水カプロン酸、無水ラウリル
酸、無水ステアリン酸、無水セバシン酸、無水アラキジ
ン酸、無水ベヘン酸等が挙げられ、脂肪族カルボン酸の
炭素数は1〜30までが好ましい。又環状の構造のもの
としては芳香属カルボン酸、例えば、無水安息香酸、ピ
リジンカルボン酸無水物、或いはこれらの誘導体等が含
まれる下記一般式(5)で示される酸無水物が挙げられ
る。本発明においては、環状構造を有する酸無水物とし
て、下記一般式(5)で示される酸無水物が好ましい。
【0161】
【化43】
【0162】式中、Z1及びZ2は、各々酸無水物母核を
構成する原子群を表し、R11及びR 12は、各々水素原
子、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子等)、ニトリ
ル基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、ブトキシ基等)又は置換基を有してもよい脂肪族
基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、n及びmは各々0、
1〜4の整数を表し、nが2以上のとき隣接する置換基
が縮合環を形成しても良い。L11はZ1とZ2の環を結合
する2価の連結基を表す。
【0163】Z1及びZ2における酸無水物母核を構成す
る原子群としては、炭素原子を4〜12個有する飽和又
は不飽和環或いはヘテロ環で、該環上のカルボン酸基が
隣接して縮合したものであり、飽和環としてヘキシル環
及びベンゼン環を、不飽和環としてベンゼン環及びナフ
タレン環を、ヘテロ感としてピリジン環、イミダゾール
環、ピリミジン環、オキサゾール環、トリアゾール環等
を表す。
【0164】R11及びR12における置換基を有してもよ
い脂肪族基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等
のアルキル基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、オクテン基等のアルケニル基、アセチレン基やビア
セチン基等のアルキン基、エチル、スルホンアミド基、
オクチルスルホンアミド基、エチルカルバミド基、ブチ
ルカルバミド基等が挙げられ、又同芳香族基としてはフ
ェニル基、ナフチル基で該環上に更にアルキル基(メチ
ル基、エチル基、ブチル基、オクチル基等)、アルケニ
ル基(エチレン基、ブチレン基、オクテン基等)、ハロ
ゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、ニト
リル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、
水酸基、アミノ基を有したものが挙げられ、又同ヘテロ
環基としてはピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール
環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、
フラン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0165】Z1及びZ2上の置換基R11及びR12は、各
々nが2以上の場合、隣接する置換基が環を形成しても
よい。
【0166】R11及びR12に置換してもよい置換基とし
て、それぞれ置換されてもよいアルコキシ基(メトキシ
基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、オク
トキシ基、ドデカノキシ基、ドコサノキシ基、2−エチ
ルヘキサノキシ基)、ハロゲン化アルコキシ基(トリフ
ロロメトキシ基、パーフロロオクタノキシ基)、シクロ
アルコキシ基(シクロヘキサノキシ基、シクロオクタノ
キシ基、シクロペンタノキシ基等)、芳香族基(フェノ
キシ基、ナフテノキシ基等)、ヘテロ環基(ピリジル
基、フリル基、チオフェニル基、ピペラジル基、イミダ
ゾリル基、トリアゾール基、テトラゾール基等)、アル
キルアミノ基(メチルアミノ基、プロピルアミノ基、オ
クチルアミノ基、テトラデシル基)、ジアルキルアミノ
基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジオクチル
アミノ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチ
オ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基)が挙げられ、ア
ルキル基部分は炭素数1〜25が好ましい。隣接する置
換基R11とR12が環を形成する場合、環としてはベンゼ
ン環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール
環、ピリジン環、フリル環、チオフェン環、ピペラジン
環を挙げることができる。L11は−SO2−基、−SO
−基、-S−SO2−、−S−、−O−、−CONH−、
−SO2NH-、−CONH−基又はこれらと脂肪族基、
芳香属基、ヘテロ環基等の組み合わせを挙げることがで
きる。
【0167】一般式(5)で示される酸無水物の好まし
い化合物例を下記に示す。
【0168】
【化44】
【0169】
【化45】
【0170】
【化46】
【0171】酸無水物は、カルボン酸基のある化合物を
通常の脱水縮合によって合成することや市販品を入手す
ることができる。又、熱現像材料中に添加する場合は、
公知の添加方法に従って添加することができる。メタノ
ールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケト
ンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドや
ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加す
ることができる。又、サンドミル分散やジェットミル分
散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下
の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することも
できる。微粒子分散技術については多くの技術が開示さ
れているが、これらに準じて平均粒子径が0.05〜1
0μmの微粒子分散体を添加することができる。
【0172】本発明においては、画像形成層に隣接する
構成層中に上記一般式(5)で表される酸無水物を含有
することが好ましい。
【0173】本発明において、特性曲線で規定した関係
を達成するための手段の一つとしては、熱現像感光材料
の122℃、18秒での加熱現像による熱寸法変化率を
0.05%に設定することが好ましい。より好ましくは
0.001%〜0.04%である。
【0174】本発明において、熱現像処理前後の熱寸法
変化率は、下記の方法で測定する。試料を12cm×1
5cmに断裁し、25℃、60%RHで4時間以上調湿
する。その後、10cm間隔の一対の孔をあけ、この間
隔をピンゲージで測長する(L1)。次に、122℃で
18秒間加熱処理した試料を、再び25℃、60%RH
で4時間以上調湿した後、同様にピンゲージで測長し
(L2)、寸法変化率(100×(L2−L1)/L1
%)を求める。
【0175】上記の寸法変化率の範囲に設定するために
は、以下に記載する技術手段を適宜組み合わせることに
より得ることができる。
【0176】1)使用する支持体の熱処理時の搬送張力
を9.8×103〜4.9×105Pa、好ましくは4.
9×104〜2.9×105Pa、熱処理温度を140〜
200℃、好ましくは150〜180℃で行なう。
【0177】2)使用する支持体の長手方向(MD)の
ヤング率をX(kg/mm2)、幅方向(TD)のヤン
グ率をY(kg/mm2)とするとき、0.9≦(X/
Y)≦1.1、0≦|X−Y|≦50を満足する支持体
を用いる。支持体を形成するポリマー素材としては、T
gの高いもの、例えば、ポリエステル系ポリマー、ポリ
カーボネート系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、
ポリエーテルイミド系ポリマー、ポリサルホン系ポリマ
ー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、シンジオタクチ
ックポリスチレン系ポリマー等が挙げられ、これらの中
でもポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリ
マー、ポリアリレート系ポリマーが好ましく、特にポリ
エステル系ポリマーが好ましい。
【0178】また、好ましい支持体としては、ポリエチ
レンテレフタレート(以下、PETと略す)及びシンジ
オタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラ
スチックの支持体が挙げられる。支持体の厚さは、厚い
ほど熱容量が大きくなり、寸法変化を抑える点では好ま
しいが、厚すぎると搬送トラブルが起きやすくなり、ま
た支持体に熱が奪われ画像形成層が充分加熱されなくな
ってしまい写真性能の劣化を引き起こしてしまう。ま
た、薄すぎると加熱されすぎて寸法変化が大きくなって
しまったり、搬送トラブルが発生することから、支持体
の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70
〜180μmである。また、熱処理したプラスチック支
持体を用いることができる。採用できるプラスチックと
しては、上記プラスチックが挙げられる。支持体の熱処
理とは、これらの支持体を製膜後、画像形成層が塗布さ
れるまでの間に、支持体のガラス転移点おり30℃以上
高い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、さらに
好ましくは40℃以上高い温度で加熱することである。
【0179】3)感光材料の残留溶剤量を1mg/m2
以上、50mg/m2以下、好ましくは5mg/m2
上、30mg/m2以下となるように、溶剤組成、乾燥
条件等をコントロールする。
【0180】4)熱現像感光材料の平衡含水率が2質量
%以内であること。熱現像感光材料の平衡含水率(D)
とは、25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある
熱現像感光材料の質量Wと該熱現像感光材料の水分含量
wを用いて以下の式で表される。
【0181】D(質量%)=(w/W)×100 本発明では、熱現像感光材料の25℃、60%RHでの
平衡含水率を、2質量%以下にすることが好ましいが、
より好ましくは0.005質量%以上、2質量%以下、
さらに好ましくは0.01質量%以上、1質量%以下で
ある。平衡含水率2質量%以下は、水の溶解度が2質量
%以下の有機溶媒を用いて塗布することで達成される。
有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル、ハイドロフルオロエーテル、
塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が
挙げられる。なお、水の溶解度が2質量%以下の有機溶
媒は単独でも、複数種用いてもよい。更に、塗布液の水
分量が2質量%以下の条件を満たす範囲で、以下に説明
する水混和性の溶媒と併用して用いてもよい。別な方法
としては、水混和性の溶媒を用いて後述のようなポリマ
ーラテックスの25℃、60%RHでの平衡含水率が、
0.01質量%以上、2質量%以下、更に好ましくは
0.01質量%以上、1質量%以下のものを用いること
で達成できる。平衡含水率の定義と測定法については、
例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分
子学会編、地人書館)」などを参考にすることができ
る。更に他の方法として、熱現像感光材料を塗布乾燥し
た後に、水分を除く乾燥剤を内封した、水を透過しない
包装材料で覆った包装形態で保管することである。水分
を除く乾燥剤としては、接触させることにより水分が除
かれるものであれば特に制限はないが、シリカゲル、モ
レキュラーシーブズ、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸
ナトリウム、純鉄、鉄化合物等が挙げられるが、より好
ましくはシリカゲルである。
【0182】平衡含水率の実際の測定は、以下の方法で
行う。熱現像感光材料を25℃、60%RHの環境下で
24時間調湿した後、同雰囲気下でフィルム面積として
46.3cm2を切り出し、質量を測定した後、これを
5mm程度に細かく刻んで専用バイアル瓶に収納し、セ
プタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・
パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694
型にセットする。ヘッドスペースサンプラーを120
℃、20分加熱し、蒸発した水分をカールフィッシャー
法にて定量を行う。
【0183】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少
なくとも一層の画像形成層を有している。支持体上に画
像形成層のみを形成してもよいが、画像形成層の上に少
なくとも1層の非画像形成層を形成することが好まし
い。画像形成層に通過する光の量または波長分布を制御
するために、画像形成層と同じ側にフィルター染料層及
び/または反対側にアンチハレーション染料層、いわゆ
るバッキング層を形成してもよいし、画像形成層に染料
または顔料を含ませてもよい。用いられる染料として
は、所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであれば
いかなる化合物でもよいが、例えば特開昭59−648
1号、同59−182436号、米国特許第4,27
1,263号、同第4,594,312号、欧州特許公
開533,008号、欧州特許公開652,473号、
特開平2−216140号、同4−348339号、同
7−191432号、同7−301890号などに記載
の化合物が好ましく用いられる。
【0184】また、これらの非画像形成層には、バイン
ダーやマット剤を含有することが好ましく、更にポリシ
ロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのようなス
ベリ剤を含有してもよい。画像形成層は、複数層にして
も良く、また階調の調節のため画像形成層を高感度層/
低感度層または低感度層/高感度層にしてもよい。
【0185】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理に
て写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀
塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀
の色調を抑制する色調剤を、通常(有機)バインダーマ
トリックス中に分散した状態で含有している熱現像感光
材料であることが好ましい。本発明の熱現像感光材料
は、常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80〜
140℃)に加熱することで現像される。加熱すること
で有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の
酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応
は、露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によ
って促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって
生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対
照をなし画像の形成がなされる。この反応過程は、外部
から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0186】本発明の熱現像感光材料には、還元剤を内
蔵させている。好適な還元剤の例は、米国特許第3,7
70,448号、同第3,773,512号、同第3,
593,863号及びRD17029及び29963に
記載されており、以下のものが挙げられる。アミノヒド
ロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキ
シピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆
体としてアミノリダクトン類(reductones)
エステル(例えば、ピペリジノヘキソースリダクトンモ
ノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、
N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アル
デヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセ
ンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミド
フェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒド
ロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル
−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,
5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スル
フヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキ
サム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−
(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラ
ゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−
(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノ
ン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,
3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム
類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒド
ラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒド
ロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リ
ダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;ア
ジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α
−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと
1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5
−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2
−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;
1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメト
キシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピ
リジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒド
ロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタ
ン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(m
esitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス
(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線
感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類
等。中でも特に好ましい還元剤は、ヒンダードフェノー
ル類である。ヒンダードフェノール類としては、下記一
般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0187】
【化47】
【0188】式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜
10のアルキル基(例えば、−C49、2,4,4−ト
リメチルペンチル)を表し、R′及びR″は各々炭素原
子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t
−ブチル)を表す。
【0189】一般式(A)で表される化合物の具体例を
以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定さ
れるものではない。
【0190】
【化48】
【0191】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×
10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルであ
る。
【0192】本発明の熱現像感光材料において、上述し
た各成分と共に色調剤、色調付与剤若しくは付活剤トー
ナーと称せられる添加剤(以下色調剤と呼ぶ)が使用さ
れる事が望ましい。色調剤は有機銀塩と還元剤の酸化還
元反応に関与して、生ずる銀画像を濃色、特に黒色にす
る機能を有する。本発明に用いられる好適な色調剤の例
は、RD17029号に開示されており、次のものが挙
げられる。
【0193】イミド類(例えば、フタルイミド);環状
イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン
(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド
類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミント
リフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3
−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(ア
ミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、
N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロッ
クされたピラゾール類、イソチウロニウム(isoth
iuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み
合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カル
バモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチ
ルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロ
シアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリ
デン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4
−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノ
ン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−
(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノ
ン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3
−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノ
ンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−ク
ロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又
は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリ
ウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジ
ン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、
及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo
−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル
酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテト
ラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1
つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベン
ズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジ
ン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサ
ジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリ
アジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジ
ン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,
6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−
2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。これら
の内、好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジ
ンである。
【0194】本発明の熱現像感光材料には、例えば、特
開昭63−159841号、同60−140335号、
同63−231437号、同63−259651号、同
63−304242号、同63−15245号、米国特
許第4,639,414号、同第4,740,455
号、同第4,741,966号、同第4,751,17
5号、同第4,835,096号に記載された増感色素
が使用できる。また、例えば、RD17643IV−A項
(1978年12月p.23)、同Item1831X
項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用さ
れた文献に記載されている増感色素も有用である。特
に、各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を
有する増感色素を有利に選択することができ、例えば、
特開平9−34078号、同9−54409号、同9−
80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0195】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色
素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素ある
いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増
感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色
素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す
物質は、RD17643(1978年12月発行)第2
3頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同4
3−4933号、特開昭59−19032号、同59−
192242号、特開平5−341432号等に記載さ
れている。
【0196】本発明の熱現像感光材料中には、カブリ防
止剤が含まれてよい。有効なカブリ防止剤として、例え
ば、米国特許第3,589,903号などで知られてい
る水銀化合物は環境的に好ましくない。そのため非水銀
カブリ防止剤の検討が古くから行われてきた。非水銀カ
ブリ防止剤としては、例えば米国特許第4,546,0
75号及び同第4,452,885号及び特開昭59−
57234号に開示されている様なカブリ防止剤が好ま
しい。
【0197】本発明において、長期保存での濃度変動を
更に向上するには、熱現像処理後のカブリを低減する酸
化剤を用いることである。このような酸化剤として好ま
しくは、例えば特開昭50−119624号、同50−
120328号、同51−121332号、同54−5
8022号、同56−70543号、同56−9933
5号、同59−90842号、同61−129642
号、同62−129845号、特開平6−208191
号、同7−5621号、同7−2781号、同8−15
809号、米国特許第5,340,712号、同第5,
369,000号、同第5,464,737号、同第
3,874,946号、同第4,756,999号、同
第5,340,712号、欧州特許第605,981A
1号、同第622,666A1号、同第631,176
A1号、特公昭54−165号、特開平7−2781
号、米国特許第4,180,665号及び同第4,44
2,202号に記載されている化合物等を用いることが
できるが、好ましくは下記一般式(I)で表されるポリ
ハロゲン化合物である。
【0198】
【化49】
【0199】式中、Aは脂肪族基、芳香族基または複素
環基を表し、X1、X2、X3はそれぞれ水素原子、また
は電子吸引性基を表し、同一でも異なっていてもよい。
Yは2価の連結基を表す。nは0又は1を表す。
【0200】X1、X2、X3で表される電子吸引性基と
して、好ましくはσp値が0.01以上の置換基であ
り、より好ましくは0.1以上の置換基である。ハメッ
トの置換基定数に関しては、Journal of M
edicinal Chemistry,1973,V
ol.16,No.11,1207〜1216等を参考
にすることができる。
【0201】電子吸引性基としては、例えばハロゲン原
子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp
値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ
素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(ト
リブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチ
ル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp
値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニ
トロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしく
は複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σ
p値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環
アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベ
ンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例え
ば、C33(σp値:0.09))、脂肪族・アリール
もしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシ
カルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニ
ル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:
0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)な
どが挙げられる。
【0202】X1、X2、X3は好ましくは電子吸引性基
であり、より好ましくはハロゲン原子(フッ素原子(σ
p値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭
素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:
0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル
(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:
0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.5
4))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σ
p値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環ス
ルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.
72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基
(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル
(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C3
3(σp値:0.09))、脂肪族・アリールもしく
は複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボ
ニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σ
p値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.3
6)、スルファモイル基(σp値:0.57)などであ
る。特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子
の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特
に好ましくは臭素原子である。
【0203】Yは2価の連結基を表し、具体的には−S
2−、−SO−、−CO−、−N(R101)−SO
2−、−N(R101)−CO−、−N(R101)−COO
−、−COCO−、−COO−、−OCO−、−OCO
O−、−SCO−、−SCOO−、−C(Z11
(Z12)−、アルキレン、アリーレン、2価のヘテロ環
およびこれらの任意の組み合わせで形成される2価の連
結基を表す。R101は水素原子またはアルキル基を表す
が、好ましくは水素原子である。Z11およびZ12は水素
原子もしくは電子吸引性基を表すが、同時に水素原子で
あることはない。電子吸引性基として好ましくは、ハメ
ットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であ
り、より好ましくは0.1以上の置換基である。Z11
よびZ12の電子吸引性基として好ましいものは、前記X
1、X2、X3と同じである。
【0204】Z11およびZ12として好ましくは、ハロゲ
ン原子、シアノ基、ニトロ基である。ハロゲン原子の中
でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であ
り、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好
ましくは臭素原子である。Yとして好ましくは、−SO
2−、−SO−又は−CO−を表し、より好ましくは−
SO2−を表す。nは好ましくは1である。
【0205】Aで表される脂肪族基は、直鎖、分岐又は
環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好
ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12であり、例
えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブ
チル、n−オクチル、n−デシル、シクロプロピル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる)、アル
ケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは
2〜20、更に好ましくは2〜12であり、例えば、ビ
ニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げ
られる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、
より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12であ
り、例えばプロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられ
る)であり、置換基を有していてもよい。置換基として
は、例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、
スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル
基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがあ
る。脂肪族炭化水素基として、好ましくはアルキル基で
あり、より好ましくは鎖状アルキル基である。Aで表さ
れる芳香族基として、好ましくはアリール基であり、ア
リール基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環ま
たは二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)
であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基、
更に好ましくは6〜12のフェニル基である。アリール
基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、
カルボキシル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニ
ルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキ
シカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。Aで
表されるヘテロ環基は、N、O又はS原子の少なくとも
一つを含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の
環と縮合環を形成してもよい。
【0206】Aで表されるヘテロ環基として、好ましく
は5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好まし
くは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基で
あり、更に好ましくは窒素原子を1ないし2原子含む5
ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体
例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラ
ジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、
イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリ
ダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、イン
ダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾー
ル、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリ
ン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジ
ン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チ
アゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズ
オキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンなどが
挙げられる。ヘテロ環として好ましくは、チオフェン、
フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジ
ン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジ
ン、インドール、インダゾール、キノリン、チアジアゾ
ール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフ
チリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プ
テリジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチア
ゾール、インドレニンであり、より好ましくはピリジ
ン、トリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチ
アゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましくは、
ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾー
ルである。
【0207】上記ポリハロゲン化合物のうち、一般式
(I−a)で表される化合物がより好ましく用いられ
る。
【0208】
【化50】
【0209】一般式(I−a)中、A、X1、X2
3、nは一般式(I)におけるものと同義であり、好
ましい範囲も同様である。
【0210】以下に、本発明に用いられるポリハロゲン
化合物の具体例を挙げるが、もちろんこれらに限定され
るものではない。
【0211】
【化51】
【0212】
【化52】
【0213】
【化53】
【0214】本発明において酸化剤は、10mg/m2
〜3g/m2含有することが好ましく、50mg/m2
1g/m2がより好ましい。
【0215】本発明において酸化剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよく、特
に画像形成層に、固体微粒子分散されていることが好ま
しい。分散の際に分散助剤を用いてもよい。また、増感
色素、還元剤、色調剤など他の添加剤と混合した溶液と
して添加してもよい。
【0216】また、上記の酸化剤以外の好適なカブリ防
止剤としては、米国特許第3,874,946号及び同
第4,756,999号に開示されているような化合
物、特開平9−288328号段落番号〔0030〕〜
〔0036〕に記載されている化合物、特開平9−90
550号段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載さ
れている化合物、米国特許第5,028,523号及び
欧州特許第600,587号、同第631,176号、
同第605,981号に開示されている化合物などが好
ましく用いられる。
【0217】本発明の熱現像感光材料に好適なバインダ
ーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィル
ムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、
ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル
酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ
ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン
−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポ
リ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹
脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、
ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、
セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水
性でも疎水性でもよいが、本発明においては、熱現像処
理後のカブリを低減させるために、疎水性透明バインダ
ーを使用することが好ましい。好ましいバインダーとし
ては、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、
セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタンなどがあ
げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロー
スアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ
エステルは特に好ましく用いられる。
【0218】また、他の好ましいバインダーとしては、
以下に述べるポリマーラテックスである。ポリマーラテ
ックスは、画像形成層に含有することが好ましい。ポリ
マーラテックスは全バインダーの50質量%以上含有す
ることが好ましい。本発明において「ポリマーラテック
ス」とは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として
水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態とし
てはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重
合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマ
ー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分
子状分散したものなどいずれでもよい。
【0219】なお、本発明におけるポリマーラテックス
については、「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛
編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテ
ックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓
司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラ
テックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(19
70))」などに記載されている。
【0220】分散粒子の平均粒径は1〜50,000n
m、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲が好
ましい。分散粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無
く、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を
持つものでもよい。ポリマーラテックスとしては、通常
の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/
シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェ
ルは、ガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
本発明のにおけるポリマーラテックスの最低造膜温度
(MFT)は−30〜90℃、より好ましくは0〜70
℃である。最低造膜温度をコントロールするために、造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよば
れ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有
機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテ
ックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(197
0))」に記載されている。
【0221】ポリマーラテックスに用いられるポリマー
種としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、また
はこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては、直
鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋
されたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一の
モノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、
2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コ
ポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコ
ポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で
5,000〜1,000,000、好ましくは10,0
00〜100,000程度が好ましい。分子量が小さす
ぎるものは、画像形成層の力学強度が不十分であり、大
きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0222】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン
/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタ
ジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン
/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリ
マーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル
/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン
/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル
酸コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
【0223】また、このようなポリマーは市販もされて
いて、以下のようなポリマーが利用できる。例えば、ア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635、465
83、4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、
Nipol Lx811、814、821、820、8
57(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル
樹脂としては、FINETEX ES650、611、
675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、
WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル
製)など、ポリウレタン樹脂としては、HYDRAN
AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学
(株)製)など、ゴム系樹脂としては、LACSTAR
7310K、3307B、4700H、7132C
(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol L
x416、410、438C、2507、(以上、日本
ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としては、G3
51、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、塩
化ビニリデン樹脂としては、L502、L513(以
上、旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂として
は、ケミパールS120、SA100(以上、三井石油
化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポ
リマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上
ブレンドして用いてもよい。
【0224】ポリマーラテックスのポリマー種として
は、アクリレートまたはメタクリレート成分のごときカ
ルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが
好ましい。ポリマーラテックスを画像形成層に用いると
きには、画像形成層は全バインダーの50質量%以上が
上記ポリマーラテックスであることが好ましく、70質
量%以上が上記ポリマーラテックスであることがより好
ましい。その場合、画像形成層には、必要に応じて全バ
インダーの50質量%以下の範囲で、ゼラチン、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添
加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は、画
像形成層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0225】画像形成層にポリマーラテックスを用いる
場合は、画像形成層は水系の塗布液を塗布後、乾燥して
調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」
とは、塗布液の溶媒(分散媒)の50質量%以上が水で
あることをいい、好ましくは溶媒の65質量%以上が水
である。塗布液の水以外の成分は、メチルアルコール、
エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセ
ルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、
酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることがで
きる。具体的な溶媒組成の例としては、以下のようなも
のがある。水/メタノール=90/10、水/メタノー
ル=70/30、水/エタノール=90/10、水/イ
ソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミ
ド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド
=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムア
ミド=90/5/5(ただし数字は質量%を表す)。
【0226】画像形成層には、架橋のための架橋剤、塗
布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。画
像形成層にポリマーラテックスを含有する場合、熱画像
形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であるこ
とが好ましい。チキソトロピー性とは剪断速度の増加に
伴い、粘度が低下する性質を言う。粘度測定には、いか
なる装置を使用してもよいが、レオメトリックスファー
イースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーター
が好ましく用いられ、25℃で測定される。本発明にお
ける有機銀塩含有塗布液もしくは熱画像形成層塗布液
は、剪断速度0.1S-1における粘度が400mPa・
s以上、100,000mPa・s以下が好ましく、さ
らに好ましくは500mPa・s以上、20,000m
Pa・s以下である。また、剪断速度1000S-1にお
いては、1mPa・s以上、200mPa・s以下が好
ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上、80mP
a・s以下である。
【0227】チキソトロピー性を発現する系は、各種知
られており高分子刊行会編「講座・レオロジー」、室
井、森野共著「高分子ラテックス」(高分子刊行会発
行)などに記載されている。流体がチキソトロピー性を
発現させるには、固体微粒子を多く含有することが必要
である。また、チキソトロピー性を強くするには、増粘
線形高分子を含有させること、含有する固体微粒子の異
方形でアスペクト比が大きくすること、アルカリ増粘、
界面活性剤の使用などが有効である。
【0228】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲であ
る。
【0229】また、熱現像感光材料の表面を保護したり
擦り傷を防止するために、画像形成層の外側に非画像形
成層を有することができる。これらの非画像形成層に用
いられるバインダーは、画像形成層に用いられるバイン
ダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。
【0230】本発明においては、熱現像の速度を速める
ために画像形成層のバインダー量が0.5〜30g/m
2であることが好ましい。さらに好ましくは1〜15g
/m2である。0.5g/m2未満では、未露光部の濃度
が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0231】本発明においては、画像形成層側にマット
剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき
防止のためには、熱現像感光材料の表面にマット剤を配
することが好ましく、そのマット剤を画像形成層側の全
バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有するこ
とが好ましい。また、支持体をはさみ画像形成層の反対
側に非画像形成層を設ける場合は、非画像形成層側の少
なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好
ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。
【0232】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に画
像形成層のみを形成してもよいが、画像形成層の上に少
なくとも1層の非画像形成層を形成することが好まし
い。画像形成層に通過する光の量又は波長分布を制御す
るために、画像形成層と同じ側にフィルター染料層およ
び/又は反対側にアンチハレーション染料層、いわゆる
バッキング層を形成してもよいし、画像形成層に染料又
は顔料を含ませてもよい。
【0233】またこれらの非画像形成層には、前記のバ
インダーやマット剤を含有することが好ましく、さらに
ポリシロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのよ
うなスベリ剤を含有してもよい。
【0234】また、本発明の熱現像感光材料には、塗布
助剤として各種の界面活性剤を用いることができる。そ
の中でもフッ素系界面活性剤が、帯電特性を改良した
り、斑点状の塗布故障を防ぐために好ましく用いられ
る。
【0235】本発明においては、アンチハレーション層
を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることがで
きる。アンチハレーション層は所望の波長範囲での最大
吸収が0.1以上、2以下であることが好ましく、さら
に好ましくは0.2以上、1.5以下の露光波長の吸収
であり、かつ処理後の可視領域においての吸収が0.0
01以上、0.2未満であることが好ましく、さらに好
ましくは0.001以上、0.15未満の光学濃度を有
する層であることが好ましい。また印刷製版用に用いる
場合は、400nmでの吸収が0.001以上、0.2
未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.00
1以上、0.15未満の光学濃度を有する層であること
が特に好ましい。
【0236】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、こうした染料は波長範囲で目的の吸収を有し、処
理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記アンチハレ
ーション層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られ
ればいかなる化合物でもよい。例えば、以下に挙げるも
のが開示されているが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。単独の染料としては、特開昭59−5645
8号、特開平2−216140号、同7−13295
号、同7−11432号、米国特許第5,380,63
5号、特開平2−68539号第13頁左下欄1行目か
ら同第14頁左下欄9行目、同3−24539号第14
頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物があり、処
理で消色する染料としては、特開昭52−139136
号、同53−132334号、同56−501480
号、同57−16060号、同57−68831号、同
57−101835号、同59−182436号、特開
平7−36145号、同7−199409号、特公昭4
8−33692号、同50−16648号、特公平2−
41734号、米国特許第4,088,497号、同第
4,283,487号、同第4,548,896号、同
第5,187,049号などに記載されている。
【0237】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層の画像形成層を有し、他方
の側にバック層を有する、いわゆる片面記録材料である
ことが好ましい。
【0238】本発明においてバック層は、所望の波長範
囲での最大吸収が0.3以上、2以下であることが好ま
しく、さらに好ましくは0.5以上、2以下の吸収であ
り、かつ処理後の可視領域においての吸収が、0.00
1以上、0.5未満であることが好ましく、さらに好ま
しくは0.001以上、0.3未満の光学濃度を有する
層であることが好ましい。また印刷製版用に用いる場合
は、400nmでの吸収が0.001以上、0.2未満
であることが好ましく、さらに好ましくは0.001以
上、0.15未満の光学濃度を有する層であることが特
に好ましい。バック層に用いるハレーション防止染料の
例としては、前述のアンチハレーション層と同じであ
る。
【0239】各種の添加剤は、画像形成層、非画像形成
層、又はその他の形成層のいずれに添加してもよい。本
発明の熱現像感光材料には、例えば、界面活性剤、酸化
防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等
を用いてもよい。これらの添加剤及び上述したその他の
添加剤は、RD17029(1978年6月p.9〜1
5)に記載されている化合物を好ましく用いることがで
きる。
【0240】本発明で用いる支持体の製膜方法及び下引
製造方法は、公知の方法を用いることができるが、好ま
しくは、特開平9−50094号の段落〔0030〕〜
〔0070〕に記載された方法を用いることである。
【0241】本発明の熱現像感光材料は、いかなる方法
で現像されてもよいが、通常イメージワイズに露光した
熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温
度としては、105〜145℃であり、さらに好ましく
は107〜140℃である。現像時間としては1〜18
0秒であり、7〜50秒がさらに好ましく、8〜25秒
が特に好ましい。
【0242】本発明の熱現像感光材料は、熱現像機で熱
現像されることが特徴であるが、熱現像感光材料は熱現
像部の温度バラツキの影響を受けやすく、現像ムラが出
やすい。そのため特開平9−297384号、同9−2
97385号、同9−297386号に開示されている
ようにヒートドラム方式の自動熱現像機や、WO98/
27458号に開示されているような平面搬送型の自動
熱現像機が用いられる。特に印刷製版用の用途に用いる
熱現像感光材料は、寸法安定性を良好にするために平面
搬送型の自動熱現像機で処理されることが好ましい。ま
た熱現像部の前にプレヒート部を有しており、プレヒー
トの温度は80〜120℃である自動熱現像機が好まし
く用いられる。プレヒートにより現像が進み、濃度ムラ
が少なくなるので走査ムラにも効果的である。さらに特
開平11−133572号に記載されているような固定
された加熱体に感光材料の一方の面に接触し、感光材料
の他方の面を複数のローラーで加熱体に押さえつけなが
ら感光材料を搬送する装置を用いて熱現像処理すること
も好ましい。
【0243】本発明の熱現像感光材料は、いかなる方法
で露光されてもよいが、露光光源としてレーザー光が好
ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザ
ー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーな
どが好ましい。その中でも干渉縞や網点の露光ムラを防
止するために、縦マルチ露光や斜めに露光することが好
ましい。
【0244】本発明における縦マルチ露光とは、縦マル
チである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を
用いて行われる。縦マルチ化するには、合波による、戻
り光を利用する、高周波重畳をかけるなどの方法がよ
い。具体的には、特開昭59−10964号に記載の方
法が好ましく用いられる。なお、縦マルチとは、露光波
長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5
nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光
波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm
程度である。斜め露光とは、熱現像感光材料の露光面と
走査レーザー光のなす角が、実質的に垂直になることが
ないレーザー走査露光機を用いて露光をすることであ
る。具体的には、特開平5−113548号に記載の方
法が好ましく用いられる。ここで、「実質的に垂直にな
ることがない」とは、レーザー走査中に最も垂直に近い
角度として、好ましくは55度以上、88度以下、より
好ましくは60度以上、86度以下、更に好ましくは6
5度以上、84度以下、最も好ましくは70度以上、8
2度以下であることをいう。
【0245】レーザー光が、熱現像感光材料に走査され
るときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好
ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以
下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入
射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好まし
い。なお、ビームスポット直径の下限は5μmである。
このようなレーザー走査露光を行うことにより、干渉縞
様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じ
ることが出来る。
【0246】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0247】実施例1 《熱現像感光材料の作製》 (下引済み写真用支持体の作製)市販の2軸延伸熱固定
済みの厚さ125μmのPETフィルムの両面に8W/
2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引
塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し
乾燥させて下引層A−1とし、又反対側の面に下記帯電
防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmに
なるように塗設し、乾燥させて帯電防止加工下引層B−
1とした。
【0248】 〔下引塗布液a−1〕 ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%) 、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート (25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g 水で1Lに仕上げる。
【0249】 〔下引塗布液b−1〕 SnO2/Sb(9/1の質量比、平均粒径0.18μm) 200mg/m2になる量 ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジル アクリレート(40質量%)、の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1Lに仕上げる。
【0250】引き続き、下引層A−1及び下引層B−1
の表面上に8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層
A−1の上には下記下引上層塗布液a−2を、乾燥膜厚
0.1μmになる様に下引上層A−2として塗設し、又
下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥
膜厚0.8μmになる様に、帯電防止機能を持つ下引上
層B−2として塗設した。
【0251】 〔下引上層塗布液a−2〕 ゼラチン 0.4g/m2になる質量 (C−1) 0.2g (C−2) 0.2g (C−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1Lに仕上げる。
【0252】 〔下引上層塗布液b−2〕 (C−4) 60g (C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g (C−6) 12g ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g 水で1Lに仕上げる。
【0253】
【化54】
【0254】
【化55】
【0255】〈支持体の熱処理〉上記の下引済み支持体
の下引乾燥工程に於いて、支持体を140℃で加熱し、
その後徐々に冷却した。その際、1×105Paの張力
で搬送した。
【0256】(感光性乳剤Aの調製) 〈ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉水900ml中に、イナ
ートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解
して、温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀
74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比
の臭化カリウムと沃化カリウムを硝酸銀に対し等モル、
〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6
モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6
ル含む水溶液370mlを、10分間かけて等速でダブ
ルジェット法にて添加した。その後、4−ヒドロキシ−
6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添
加し、NaOHでpHを5.0に調整して平均粒子サイ
ズ0.06μm、分散度45%の〔100〕面比率87
%の非単分散立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼ
ラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ、脱塩処理後、フェ
ノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg
7.5に調整した。更に、塩化金酸、無機硫黄、二酸化
チオ尿素及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェ
ニルジフェニルフォスフィンセレニドで化学増感を行
い、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0257】〈ベヘン酸ナトリウム溶液の調製〉945
mlの純水に、ベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.
9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に
高速で攪拌しながら、1.5モル/Lの水酸化ナトリウ
ム水溶液98mlを添加した。次に、濃硝酸0.93m
lを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘ
ン酸ナトリウム溶液を得た。
【0258】〈プレフォーム乳剤Aの調製〉上記調製し
たベヘン酸ナトリウム溶液に、前記ハロゲン化銀乳剤A
を15.1g添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH8.
1に調整した後に、1モル/Lの硝酸銀溶液147ml
を1分間かけて加え、更に15分攪拌し、限外濾過によ
り水溶性塩類を除去した。作製したベヘン酸銀は、長辺
平均サイズ0.8μmの針状粒子であった。分散物のフ
ロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の
除去を行った後、乾燥させプレフォーム乳剤Aを調製し
た。
【0259】〈有機銀塩Aを含有する感光性乳剤Aの調
製〉得られたプレフォーム乳剤Aに、ポリビニルブチラ
ール(平均分子量3,000)のメチルエチルケトン溶
液(17質量%)544gとトルエン107gを、徐々
に添加、混合した後、4000psiで分散させた。分
散後、電子顕微鏡写真で有機銀塩粒子を観察した結果、
平均粒径は0.7μmで、分散度60%の非単分散有機
銀塩であった。また、塗布乾燥後も同様に有機銀塩粒子
を観察したところ、同じ粒子が確認できた。この乳剤2
40gに対して、臭化カルシウムの0.01%メタノー
ル溶液を4.7ml添加して感光性乳剤Aを得た。この
中のハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡で観察したところ、
0.01μm以下のハロゲン化銀粒子は認められなかっ
た。
【0260】(感光性乳剤Bの調製) 〈ハロゲン化銀乳剤Bの調製〉水900ml中に、イナ
ートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解
して、温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀
74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比
の臭化カリウムと沃化カリウムを硝酸銀に対し等モル、
〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6
モル及び塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6
ル含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながら
コントロールドダブルジェット法で添加した。その後4
−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラ
ザインデンを添加しNaOHでpHを5に調整して平均
粒子サイズ0.06μm、分散度12%の〔100〕面
比率49%の単分散立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳
剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ、脱塩処理後
フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、p
Ag7.5に調整した。更に塩化金酸、無機硫黄、二酸
化チオ尿素及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロフ
ェニルジフェニルフォスフィンセレニドで化学増感を行
い、ハロゲン化銀乳剤Bを得た。
【0261】〈ベヘン酸ナトリウム溶液の調製〉945
mlの純水に、ベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.
9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に
高速で攪拌しながら、1.5モル/Lの水酸化ナトリウ
ム水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93ml
を加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン
酸ナトリウム溶液を得た。
【0262】〈プレフォーム乳剤Bの調製〉上記調製し
たベヘン酸ナトリウム溶液に、前記ハロゲン化銀乳剤B
を15.1g添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH8.
1に調整した後、1モル/Lの硝酸銀溶液147mlを
7分間かけて加え、更に20分攪拌し限外濾過により水
溶性塩類を除去した。調製したベヘン酸銀は、長辺平均
サイズ0.8μmの針状粒子であった。分散物のフロッ
クを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去
を行った後、乾燥させてプレフォーム乳剤Bを調製し
た。
【0263】〈有機銀塩Bを含有する感光性乳剤Bの調
製〉得られたプレフォーム乳剤Bに、ポリビニルブチラ
ール(平均分子量3000)のメチルエチルケトン溶液
(17質量%)544gとトルエン107gを、徐々に
添加して混合した後、4000psiで分散させた。分
散後、電子顕微鏡写真で有機銀塩粒子を観察した。30
0個の有機銀塩粒子の粒径と厚みを測定した結果、20
5個がAR3以上で、分散度25%の単分散平板状有機
銀塩であった。尚、平均粒径は0.7μmであった。又
塗布乾燥後も同様に有機銀塩粒子を観察したところ、同
じ粒子が確認できた。この乳剤240gに対して、ピリ
ジニウムプロミドペルブロミドの6%メタノール溶液を
3ml、臭化カルシウムの0.1%メタノール溶液を
1.7ml添加して感光性乳剤Bを得た。この中のハロ
ゲン化銀を電子顕微鏡で観察したところ、0.01μm
未満のハロゲン化銀粒子が観察された。また、500個
のハロゲン化銀粒子の粒径を測定したところ、0.01
μm未満の粒子は全体のハロゲン化銀粒子の45個数%
であった。
【0264】(バック層面側塗布)以下の組成のバック
層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前
に準絶対濾過精度20μmのフィルタを用いて濾過した
後、押し出しコーターで前記作製した支持体の帯電防止
加工した下引層B−2面上に、合計ウェット膜厚が30
μmになるよう、毎分120mの速度で塗布し、60℃
で4分間乾燥を行った。
【0265】 〔バック層塗布液1〕 セルロースアセテートブチレート(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2 染料−A 7mg/m2 染料−B 7mg/m2
【0266】
【化56】
【0267】 〔バック保護層塗布液1〕 セルロースアセテートブチレート(10%メチルエチルケトン溶液) 5ml/m2 マット剤(単分散度15%、平均粒子サイズ8μmの単分散シリカ) 15mg/m2 (CH33SiO−〔(CH32SiO〕20−〔CH3SiO{CH2CH2 CH2O(CH2CH2O)10(CH2CH2CH2O)15CH3}〕30−Si (CH33 10mg/m2 フッ素系界面活性剤:C917(CH2CH2O)22917 10mg/m2 (画像形成層面側塗布)以下の組成の画像形成層塗布液
とその上に保護層塗布液を、準絶対濾過精度20μmの
フィルタを用いて濾過したのち、表1の組合せで、押し
出しコーターで前記支持体の下引上層A−2面上に、毎
分100mの速度で重層塗布した。その際、塗布銀量が
1.5g/m2になる様に調整して塗布した。その後、
試料101は65℃、1分乾燥を行い、試料102は5
5℃、10分で乾燥を行った。その際、試料101には
表面保護層塗布液1を、試料102には表面保護層塗布
液2を用いた。
【0268】 〔画像形成層塗布液A〕 感光性乳剤A 240g 増感色素(0.1%メタノール溶液) 1.7ml 2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸(12%メタノール溶液) 9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml 例示化合物O−25 0.4g 例示化合物A−2(20%メタノール溶液) 29.5ml フタラジン 0.2g 4−メチルフタル酸 0.25g テトラクロロフタル酸 0.2g ヘキサメチレンジイソシアネート(10%メタノール溶液) 1.2ml 〔画像形成層塗布液B〕 感光性乳剤B 240g 増感色素(0.1%メタノール溶液) 1.7ml 2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸(12%メタノール溶液) 9.2ml 例示化合物M−1:2−メルカプトベンズイミダゾール (1%メタノール溶液) 11ml ビニル化合物:例示化合物72−12 0.5g ヒドラジン誘導体:例示化合物H−3−10 0.5g 4級オニウム化合物:例示化合物P−17 0.1g 一般式(1)又は(2)で表される化合物:例示化合物12 0.5g 酸無水物:例示化合物5−4 0.5g 例示化合物O−25 0.4g 例示化合物A−1(20%メタノール溶液) 29.5ml フタラジン 0.2g 4−メチルフタル酸 0.25g テトラクロロフタル酸 0.2g ポリエステルポリウレタン化合物(東洋紡社製 UR8300 平均分子量 39000) 20g アルコキシシラン化合物:Ph−NH−(CH2)−Si−(OCH33 1g 〔表面保護層塗布液1〕 アセトン 5ml/m2 メチルエチルケトン 21ml/m2 セルロースアセテートブチレート 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 マット剤:平均粒径5.5μmのシリカ 10mg/m2 ビニルスルホン化合物:VS−1 35mg/m2 フッ素系界面活性剤:C1225(CH2CH2O)101225 10mg/m2 〔表面保護層塗布液2〕 アセトン 5ml/m2 メチルエチルケトン 21ml/m2 セルロースアセテートブチレート 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 コロイダルシリカ 50mg/m2 マット剤:平均粒径3.5μmの単分散シリカ 10mg/m2 ビニルスルホン化合物:VS−1 35mg/m2 フッ素系界面活性剤:C817(CH2CH2O)22817 10mg/m2817−SO3Li 8mg/m2
【0269】
【化57】
【0270】以上のようにして表1に記載の構成よりな
る熱現像感光材料101及び102を作製した。なお、
作製した試料中に残存する溶媒メチルエチルケトン(M
EK)の量、は70mg/m2であった。また、試料1
02の画像形成層側の表面のビッカース硬度は100で
あった。また、得られた試料を25℃、60%RHの環
境下で24時間調湿した後、同雰囲気下でフィルム面積
として46.3cm2を切り出し、質量を測定した後、
これを5mm程度に細かく刻んで専用バイアル瓶に収納
し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレ
ット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7
694型にセットし、ヘッドスペースサンプラーを12
0℃、20分加熱し、蒸発した水分をカールフィッシャ
ー法にて試料の平衡含水率を定量したところ、試料10
1は6%、試料102は0.7%であった。
【0271】《各試料の露光及び熱現像処理》上記作製
した各熱現像感光材料に、特開昭59−130494号
に記載の高周波重畳法を用いて縦マルチモードにした波
長780nmの半導体レーザーを露光源とする露光機に
より、ウェッジを介した露光を画像形成層面側より行っ
た後、オーブンで122℃、18秒間の熱現像処理を行
い、各熱現像済感光材料を作製した。
【0272】《各特性値の算出と諸性能の評価》 〔直線の傾きγ1の算出〕作製した各現像済み試料を、
光学濃度計(コニカ社製PD−6)で420nm以上の
光をカットするフィルターを介して測定し、横軸−露光
量(LogE)、縦軸−光学濃度(D)からなる特性曲
線を作製した。得られた特性曲線における光学濃度0.
35と3.2の点を結ぶ直線の傾きγ1を算出した。
【0273】〔直線の傾きγ2の算出〕上記作製した特
性曲線において、光学濃度1.0と3.2の点を結ぶ直
線の傾きγ2を算出した。
【0274】〔カバーリングパワー値(CP値)と最低
濃度の算出〕上記作製した特性曲線における最高濃度D
maxを銀量G(g/m2)で割った値を算出し、これ
をカバーリングパワー値(CP値と略す)とした。なお
銀量Gは、有機銀塩およびハロゲン化銀を全て含めた値
である。また、同時に特性曲線における最低濃度Dmi
nも測定した。
【0275】〔過露光時の光学濃度の算出〕上記特性曲
線において、光学濃度1.0の露光点から露光量(Lo
gE)で+0.5の露光点における画像濃度を測定し
た。
【0276】なお、以上記載した各光学濃度は、熱現像
処理後に光学濃度計で測定した光学濃度のことであり、
支持体および構成層の濃度全てを含んだ値である。
【0277】〔生試料の保存安定性評価〕上記作製した
各熱現像感光材料を2分割し、一方を23℃、50%R
Hで3日間保存した。他方を55℃、80%RH雰囲気
下で3日間保存し、強制劣化処理を施した。その後、上
記と同様の方法で画像形成面側より露光を行った。
【0278】露光済み試料を、コダックポリクロームグ
ラフィックス社製の印刷製版ドライフィルム用熱現像機
であるドライビュープロセッサー2771で、121
℃、20秒で熱現像処理した。なお、このドライフィル
ム用自動現像機は、約110℃のプレヒート部を有する
平面搬送タイプの熱現像機であり、試料先端が熱現像機
に入ってから先端が出るまでの全所要時間は、48秒で
あった。得られた試料の光学濃度を測定し、上記と同様
の方法にて特性曲線を作製し、感度を算出した。感度
は、濃度2.5を与える露光量の逆数で表した。保存安
定性は、23℃、50%RHで3日間保存した試料感度
をSa、55℃、80%RHで3日間処理した試料の感
度をSbとしたときに、log(Sa/Sb)を算出
し、これを尺度とした。この値は0が最も安定性が良好
で、0から大きく離れると保存安定性が悪いことを表
す。
【0279】〔現像済み試料の画像保存性評価〕上記生
試料の保存性評価と同様の方法にて露光、熱現像処理を
施し、特性曲線を作製した後、現像済み熱現像感光材料
を、画像保存性評価として光を当てながら40℃、60
%の恒温恒湿器に5日間投入したのち、再度濃度測定を
行った。具体的には、恒温恒湿器への投入前の濃度点
3.5と、恒温恒湿機による光照射後の同濃度点の濃度
値を測定し、(処理前の濃度3.5−処理後の濃度)を
算出し、これを画像保存性の尺度とした。
【0280】〔黒ポツの評価〕上記作製した熱現像処理
済みの各試料の未露光部分を100倍のルーペで目視観
察して、黒ポツの評価を1〜5のランク評価を行った。
全く黒ポツが見られないものを5ランクとし、黒ポツの
量と大きさが増すにつれ4、3、2、1と評価を下げて
いった。ランク3未満は実用に耐えないと判断した。
【0281】以上により得られた各結果を表1に示す。
【0282】
【表1】
【0283】表1より明らかなように、本発明に係る特
性曲線で表される各特性値を有し、かつ本発明に係る各
化合物を含有する試料102は、比較試料101に対
し、生、処理後の保存安定性及び黒ポツ耐性に優れてい
ることが判る。
【0284】実施例2 《熱現像感光材料の作製》 (ハロゲン化銀粒子Cの調製)水700mlに、フタル
化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを、溶解
して温度を40℃、pHを5.0に合わせた後、硝酸銀
18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを含
む水溶液159mlを、等速添加によるダブルジェット
法で10分間かけて添加した。次いで、硝酸銀55.4
gを含む水溶液476mlとK3〔IrCl63-を8×
10-6モル/リットル及び臭化カリウムを1モル/リッ
トル含む水溶液とを、等速添加によるダブルジェット法
で15分かけて添加した。その後、pH5.9、pAg
8.0に調整した。得られた粒子は、平均粒子サイズ
0.08μm、分散度45%、(100)面積率40%
の非単分散立方体ハロゲン化銀粒子であった。このハロ
ゲン化銀粒子Cを、温度60℃に昇温して銀1モル当た
り8.5×10-5モルのチオ硫酸ナトリウム、1.1×
10-5モルの2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェ
ニルジフェニルフォスフィンセレニド、1×10-6モル
のテルル化合物−1、3.3×10-6モルの塩化金酸、
2.3×10-4モルのチオシアン酸を添加して熟成し
た。その後、温度を50℃にして8×10-4モルの増感
色素Cを攪拌しながら添加し、更に、3.5×10-2
ルの沃化カリウムを添加して30分間攪拌し、30℃に
急冷してハロゲン化銀粒子Cの調製を完了した。
【0285】
【化58】
【0286】(有機銀塩C微結晶分散物の調製)ベヘン
酸40g、ステアリン酸7.3g、蒸留水500ml
を、90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1モ
ル/LのNaOH水溶液187mlを15分かけて添加
し、1モル/Lの硝酸水溶液61mlを添加して50℃
に降温した。次に、1モル/Lの硝酸銀水溶液124m
lを添加して、そのまま5分間攪拌した。その後、吸引
濾過で固形分を濾過し、濾水の伝導度が30μS/cm
になるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分
は、乾燥させないでウェットケーキとして取り扱い、乾
燥固形分34.8g相当のウェットケーキに対して、ポ
リビニルアルコール12gおよび水150mlを添加
し、よく混合してスラリーとした。平均直径0.5mm
のジルコニアビーズ840gを用意して、スラリーと一
緒にベッセルに入れ、分散機(1/4G−サンドグライ
ンダーミル:アイメックス(株)社製)にて30分間分
散し、体積加重平均1.6μmで分散度55%の非単分
散の有機銀塩C微結晶分散物を得た。粒子サイズの測定
は、Malvern Instruments Lt
d.製 Master SaizerXにて行った。
【0287】(ハロゲン化銀粒子Dの調製)水700m
lに、フタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30
mgを、溶解して温度40℃にてpHを5.0に合わせ
た後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化
カリウムを含む水溶液を、pAg7.7に保ちながらコ
ントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加し
た。ついで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476ml
とK3〔IrCl63-を8×10-6モル/リットル及び
臭化カリウムを1モル/リットル含む水溶液とを、pA
g7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法
で30分かけて添加した。その後pH5.9、pAg
8.0に調整した。得られた粒子は、平均粒子サイズ
0.07μm、分散度15%の(100)面比率85%
の単分散立方体ハロゲン化銀粒子であった。
【0288】このハロゲン化銀粒子Dを、温度60℃に
昇温して銀1モル当たり8.5×10-5モルのチオ硫酸
ナトリウム、1.1×10-5モルの2,3,4,5,6
−ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレ
ニド、2×10-6モルのテルル化合物−1、3.3×1
-6モルの塩化金酸、2.3×10-4モルのチオシアン
酸を添加して、120分間熟成した。その後、温度を5
0℃にして8×10-4モルの増感色素Cを攪拌しながら
添加し、更に、3.5×10-2モルの沃化カリウムを添
加して30分間攪拌し、30℃に急冷してハロゲン化銀
粒子Dの調製を完了した。
【0289】(有機銀塩D微結晶分散物の調製)ベヘン
酸40g、ステアリン酸7.3g、蒸留水500ml
を、90℃で15分間混合し、激しく攪拌しながら1モ
ル/LのNaOH水溶液187mlを15分かけて添加
し、1モル/Lの硝酸水溶液61mlを添加して50℃
に降温した。次に、1モル/Lの硝酸銀水溶液124m
lを添加してそのまま30分間攪拌した。その後、吸引
濾過で固形分を濾過し、濾水の伝導度が30μS/cm
になるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分
は、乾燥させないでウェットケーキとして取り扱い、乾
燥固形分34.8g相当のウェットケーキに対して、ポ
リビニルアルコール12gおよび水150mlを添加
し、よく混合してスラリーとした。平均直径0.5mm
のジルコニアビーズ840gを用意してスラリーと一緒
にベッセルに入れ、分散機(1/4G−サンドグライン
ダーミル:アイメックス(株)社製)にて4時間分散
し、体積加重平均1.2μmで分散度20%の単分散の
有機銀塩D微結晶分散物を得た。粒子サイズの測定は、
Malvern Instruments Ltd.製
Master SaizerXにて行った。この分散
物に、フェニルプロミドペルブロミドの6%メタノール
溶液を3ml添加した。分散物中のハロゲン化銀を電子
顕微鏡で観察したところ、0.01μm未満のハロゲン
化銀粒子が観察できた。
【0290】(各素材の固体微粒子分散物の調製)テト
ラクロロフタル酸、4−メチルフタル酸、1,1−ビス
(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,
5,5−トリメチルヘキサン、フタラジン、トリブロモ
メチルスルフォニルベンゼンについて、下記の方法にて
各固体微粒子分散物を調製した。
【0291】テトラクロロフタル酸5.4gに対して、
ヒドロキシプロピルセルロース0.81gと水94.2
mlとを添加し、よく攪拌してスラリーとして10時間
放置した。その後、平均直径0.5mmのジルコニアビ
ーズを、100mlとスラリーとを一緒にベッセルに入
れて、有機銀塩微結晶分散物の調製に用いたものと同じ
型の分散機で、5時間分散してテトラクロロフタル酸の
固体微結晶分散物を得た。固体微粒子の粒子サイズは、
70質量%が1.0μm以下であった。その他の素材に
ついても、所望の平均粒径を得るために、適宜分散剤の
使用量および分散時間を変更して、各固体微粒子分散物
を得た。
【0292】(各塗布液の調製) 〔画像形成層塗布液C〕上記調製した有機銀塩C微結晶
分散物に対して、下記の各組成物を添加して画像形成層
塗布液Cを調製した。
【0293】 有機銀塩C微結晶分散物 1モル ハロゲン化銀粒子C 0.05モル バインダー:SBRラテックス(LACSTAR 3307B 大日本インキ化学工業社製) 430g テトラクロロフタル酸 5g 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5− トリメチルヘキサン 98g フタラジン 9.0g トリブロモメチルフェニルスルホン 12g 4−メチルフタル酸 7g ビニル化合物:例示化合物8−3 8g ヒドラジン誘導体:例示化合物H−6 5g なお、LACSTAR 3307Bは、スチレン−ブタ
ジエン系コポリマーのラテックスであり、分散粒子の平
均粒径は0.1〜0.15μm、ポリマーの25℃、6
0%RHにおける平衡含水率は0.6%であった。
【0294】〔画像形成層塗布液D〕上記調製した有機
銀塩D微結晶分散物に対して、下記の各組成物を添加し
て画像形成層塗布液Dを調製した。
【0295】 有機銀塩D微結晶分散物 1モル ハロゲン化銀粒子D 0.05モル バインダー:SBRラテックス(LACSTAR 3307B 大日本インキ化学工業社製) 430g テトラクロロフタル酸 5g 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5− トリメチルヘキサン 98g フタラジン 9.0g トリブロモメチルフェニルスルホン 12g 4−メチルフタル酸 7g ビニル化合物:例示化合物8−3 8g ヒドラジン誘導体:例示化合物H−6 5g 〔表面保護層塗布液3〕下記の各組成物を添加して表面
保護層塗布液3を調製した。
【0296】 イナートゼラチン 10g 界面活性剤A 0.26g 界面活性剤B 0.09g シリカ微粒子(平均粒径2.5μm) 0.1g 1,2−(ビスビニルスルホンアセトアミド)エタン 0.1g 水 65g 〔表面保護層塗布液4〕下記の各組成物を添加して表面
保護層塗布液4を調製した。
【0297】 イナートゼラチン 10g 界面活性剤A 0.26g 界面活性剤B 0.09g シリカ微粒子(平均粒径2.5μm) 0.9g コロイダルシリカ 0.5g 1,2−(ビスビニルスルホンアセトアミド)エタン 0.5g 水 64g 〔バック層塗布液2〕下記の各組成物を添加してバック
層塗布液2を調製した。
【0298】 ポリビニルアルコール 30g 染料−C 5g 水 250g シルデックスH121(洞海化学(株)製真球状シリカ平均サイズ12μm) 1.8g
【0299】
【化59】
【0300】(熱現像感光材料の作製)上記のように調
製した画像形成層塗布液C、Dを、それぞれ準絶対濾過
精度20μmのフィルタを用いて濾過したのち、実施例
1で作製したと同様の下引加工済みのPET支持体上の
下引上層A−2面上に、銀塗布量として1.6g/m2
になるように塗布を行い、試料201、202を作製し
た。次いで、その上に試料201では、準絶対濾過精度
20μmのフィルタを用いて濾過した表面保護層塗布液
3を、また、試料202では準絶対濾過精度20μmの
フィルタを用いて濾過した表面保護層塗布液4を、それ
ぞれゼラチンの塗布量が1.8g/m2になるように塗
布した。ついで、試料201は55℃、1分乾燥を行
い、試料202は65℃、20分で乾燥を行った。乾燥
後、画像形成層と反対側の下引上層B−2面上に、上記
調製したバック層塗布液2を、780nmにおける光学
濃度が0.7になるように塗布し、表2に記載の構成に
よる熱現像感光材料試料201及び202を作製した。
なお、試料202の画像形成層側表面のビッカース硬度
は110であった。
【0301】塗布乾燥後、電子顕微鏡写真にてそれぞれ
の感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子を観察した。5
00個のハロゲン化銀粒子の粒径を測定したところ、試
料201は0.01μm未満のハロゲン化銀粒子はほと
んど観察できなかったが、試料202は0.01μm未
満の粒子は、全体のハロゲン化銀粒子の50個数%であ
った。
【0302】《各試料の露光、熱現像処理、各特性値の
算出及び諸性能の評価》以上により作製した熱現像感光
材料である試料201、202を用いて、実施例1と同
様の方法にて、露光、熱現像を施し、各特性値の算出及
び保存安定性、黒ポツ耐性の評価を行い、得られた結果
を表2に示す。
【0303】
【表2】
【0304】表2より明らかなように、実施例1と同様
に本発明に係る特性曲線で表される各特性値を有し、か
つ本発明に係る各化合物を含有する試料202は、比較
試料201に対し、生、処理後の保存安定性及び黒ポツ
耐性に優れていることが判る。
【0305】実施例3 《熱現像感光材料の作製》下引済み支持体及び表面保護
層を以下に記載のものに変更した以外は、実施例2で作
製した試料201及び202と同様にして、試料301
及び302を作製した。
【0306】(下引き加工処理をしたPET支持体の作
製) 〔支持体の作製〕テレフタル酸とエチレングリコールを
用い、常法に従いIV(固有粘度)が0.66(フェノ
ール/テトラクロルエタン=6/4質量比中、25℃で
測定)のPETを得た。これをペレット化した後、13
0℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押
し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が120μmになる
ように未延伸フィルムを作製した。これを周速の異なる
ロールを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.
5倍に横延伸を実施した。この時の温度は、それぞれ1
10℃、130℃であった。ついで、240℃で20秒
間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。
その後、テンターのチャック部をスリットした後、両端
にナール加工を行い、47N/cm2で巻き取った。こ
のようにして、幅2.4m、長さ3500m、厚み12
0μmの支持体を作製した。
【0307】〔下引き加工処理〕上記作製した支持体の
両面に、下記下引層aと下引層bを順次塗布し、それぞ
れ180℃、4分間乾燥した。次いで、下引層aと下引
層bを塗布した上の一方の面に下記導電層と保護層を順
次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥して下引層を
有するPET支持体を作製した。このようにして作製し
た下引層を有するPET支持体を、200℃に設定した
全長200mの熱処理ゾーンに入れ、張力30N/cm
2、搬送速度20m/分で搬送した。その後で、40℃
のゾーンに15秒間通し、100N/cm2の巻き取り
張力で巻き取った。
【0308】 〈下引層a〉 ポリマーラテックス:スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタ クリレート/ジビニルベンゼン=67/30/2.5/0.5(質量%) 160mg/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 4mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 3mg/m2 〈下引層b〉 アルカリ処理ゼラチン(Ca2+含量30ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2 化合物C 780nmの光学濃度が0.7となる塗布量
【0309】
【化60】
【0310】 〈導電層〉 ジュリマーET−410(日本純薬(株)製) 38mg/m2 SnO2/Sb(9/1質量比、平均粒子径0.25μm) 120mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2 メラミン 13mg/m2 〈保護層〉 ケミパールS−120(三井石油化学(株)製) 500mg/m2 スノーテックス−C(日産化学(株)製) 40mg/m2 デナコールEX−614B(長瀬化成工業(株)製) 30mg/m2 (熱現像感光材料の作製)上記作製した下引層を有する
PET支持体の下引層の上に、実施例2で調製したのと
同様の画像形成層塗布液C、Dを、それぞれ塗布銀量が
1.6g/m2になるように塗布して試料301、30
2を作製した。ついで、試料301では画像形成層Cの
上に下記表面保護層塗布液5を、また、試料302では
画像形成層Dの上に下記表面保護層塗布液6を、それぞ
れポリマーラテックスの塗布量が2.0g/m2になる
ように塗布して、表3に示す構成からなる熱現像感光材
料である試料301及び302を作製した。
【0311】〈表面保護層塗布液5〉40%のポリマー
ラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2−エ
チルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート/メタアクリル酸:59/9/26/5/1
の質量比の共重合体)500gに、水262gを加え、
造膜助剤としてベンジルアルコール14g、化合物Dを
2.5g、セロゾール524(中京油脂社製)2.5
g、化合物Eを12g、化合物Fを1g、化合物Gを2
g、化合物Hを7.5g、マット剤として平均粒径3μ
mのポリメチルメタクリレート微粒子0.5gを順次加
えて、さらに水を加えて1000gとし、25℃におけ
る粘度が5cp、pHが4.5の表面保護層塗布液5を
調製した。
【0312】
【化61】
【0313】〈表面保護層塗布液6〉40%のポリマー
ラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2−エ
チルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート/メタアクリル酸:59/9/26/5/1
の質量比の共重合体)500gに、水262gを加え、
造膜助剤としてベンジルアルコール14g、化合物Dを
2.5g、セロゾール524(中京油脂社製)3.6
g、化合物Eを12g、化合物Fを1g、化合物Gを2
g、化合物Hを7.5g、マット剤として平均粒径3μ
mのポリメチルメタクリレート微粒子3.4g及びコロ
イダルシリカ1gを順次加えて、さらに水を加えて10
00gとし、25℃における粘度が5cp、pHが3.
4の表面保護層塗布液6を調製した。
【0314】《各試料の露光、熱現像処理、各特性値の
算出及び諸性能の評価》以上により作製した熱現像感光
材料である試料301、302を用いて、実施例1と同
様の方法にて、露光、熱現像を施し、各特性値の算出及
び保存安定性、黒ポツ耐性の評価を行い、得られた結果
を表3に示す。
【0315】
【表3】
【0316】表3より明らかなように、実施例1と同様
に本発明に係る特性曲線で表される各特性値を有し、か
つ本発明に係る各化合物を含有する試料302は、比較
試料301に対し、生、処理後の保存安定性及び黒ポツ
耐性に優れていることが判る。
【0317】実施例4 《各試料の露光、熱現像処理》実施例1で作製した試料
101と102を用いて、図1に示す構造の自動熱現像
機を用いた以外は実施例1と同様にして、露光、熱現像
処理を行った。
【0318】図1は、感光材料シートAを処理するのに
必要な温度に加熱された加熱体である植毛鋼板からなる
プレートヒータ120と、感光材料シートAをプレート
ヒータ120の表面に接触させつつ、プレートヒータ1
20に対して相対的に移動させる(滑らせる)供給ロー
ラ対126と、プレートヒータ120からシートAへの
伝熱のため、感光材料シートAのプレートヒータ120
との接触面の裏側を押圧する手段である押さえローラ1
22とを備える。プレートヒータ120は平板プレート
としている。このプレートヒータ120は、その内部に
ニクロム線の発熱体を平面状に敷設して収容した板状の
加熱部材であり、感光材料の現像温度に維持される。感
光材料は露光後、駆動装置により駆動される供給ローラ
対126を介して自動熱現像機18に案内される。そし
て、供給ローラ対126の駆動移送により、シリコンゴ
ムからなる押さえローラ122とプレートヒータ120
との間を通過し、熱処理が施される。熱処理を終えた感
光材料は排出ローラ対128を介して排出される。擦り
傷などをなるべく避けるために、感光材料のバック層側
がプレートヒータ120に接する。押さえローラ122
は、プレートヒータ120の一方の面に接して、または
感光材料の厚み以下の間隔をもってプレートヒータ12
0の搬送方向全長に亘り、所定のピッチで配設され、そ
れらの押さえローラ122とプレートヒータ120とに
よってシート搬送路124を形成している。シート搬送
路124の両端には、感光材料の移送手段である供給ロ
ーラ対126と排出ローラ対128とが配設されてい
る。
【0319】《各特性値の算出及び諸性能の評価》以上
の熱現像自動現像機を用いて熱現像処理した熱現像感光
材料試料401、402について、実施例1と同様の方
法で、各特性値の算出及び保存安定性、黒ポツ耐性の評
価を行い、得られた結果を表4に示す。
【0320】
【表4】
【0321】表4より明らかなように、実施例1と同様
に本発明に係る特性曲線で表される各特性値を有し、か
つ本発明に係る各化合物を含有する試料402は、比較
試料401に対し、生、処理後の保存安定性及び黒ポツ
耐性に優れていることが判る。
【0322】
【発明の効果】本発明により、保存安定性に優れ、現像
後のカブリ上昇が抑制され、かつ黒ポツ発生が少ない熱
現像感光材料およびその画像形成方法を提供することが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動熱現像機の概略図である。
【符号の説明】
A 感光材料シート 120 プレートヒータ 122 押さえローラ 122a 最上流押さえローラ 122b 最下流押さえローラ 124 シート搬送路 125 保温カバー 126 供給ローラ対 128 排出ローラ対

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
    還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
    2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
    特性曲線における光学濃度0.35と3.2の点を結ぶ
    直線の傾き(γ1)が10以上であることを特徴とする
    熱現像感光材料。
  2. 【請求項2】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
    還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
    2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
    特性曲線における光学濃度1.0と3.2の点を結ぶ直
    線の傾き(γ 2)が15以上であることを特徴とする熱
    現像感光材料。
  3. 【請求項3】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
    還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
    2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
    特性曲線における光学濃度0.35と3.2の点を結ぶ
    直線の傾き(γ1)が10以上であり、かつ光学濃度
    1.0と3.2の点を結ぶ直線の傾き(γ2)が15以
    上であることを特徴とする熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
    還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
    2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
    最高濃度Dmaxを銀量G(g/m2)で割った値(カ
    バーリングパワー値)が2.8以上であり、かつ最低濃
    度Dminが0.25以下であることを特徴とする熱現
    像感光材料。
  5. 【請求項5】 支持体上にハロゲン化銀、有機銀塩及び
    還元剤を有する熱現像感光材料において、現像温度12
    2℃、現像時間18秒で熱現像処理して得られる画像の
    光学濃度1.0を得るのに必要な露光量から露光量の対
    数で+0.5の露光を与えた時に得られる画像濃度が
    4.0以上であることを特徴とする熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 有機銀塩を有する面側の構成層の少なく
    とも1層が、硬調化剤を含有することを特徴とする請求
    項1〜5のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
  7. 【請求項7】 有機銀塩を有する面側の構成層の少なく
    とも1層が、フタラジンおよびその誘導体、およびフタ
    ラジノンおよびその誘導体から選ばれた少なくとも1種
    の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項記載の熱現像感光材料。
  8. 【請求項8】 有機銀塩を有する面側の構成層の少なく
    とも1層が、フタル酸およびその誘導体から選ばれた少
    なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
  9. 【請求項9】 有機銀塩を有する面側の構成層の少なく
    とも1層が、下記一般式(1)または一般式(2)で表
    される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8
    のいずれか1項記載の熱現像感光材料。 【化1】 〔式中、Arは芳香族炭化水素基または芳香族複素環基
    を表し、T1は脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基
    または連結基を表し、J1は酸素原子、硫黄原子または
    窒素原子を一つ以上含む2価の連結基または連結基を表
    す。Ra、Rb、Rc及びRdは各々、水素原子、アシ
    ル基、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を
    表し、更に、一般式(1)において、RaとRb、Rc
    とRd、RaとRcあるいはRbとRdの間で結合し、
    一般式(2)において、RaとRb、RaとRcあるい
    はRbとRcの間で結合し、含窒素複素環基を形成する
    ことができる。M1は分子内の電荷を中和するに必要な
    イオンを表す。〕
  10. 【請求項10】 有機銀塩を有する面側の構成層の少な
    くとも1層が、下記一般式(3)または一般式(4)で
    表される化合物の少なくとも1種含有することを特徴と
    する請求項1〜9のいずれか1項記載の熱現像感光材
    料。 一般式(3) Ar−(R)n−SM 〔式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子である。
    Rは2価の連結基を表し、nは0または1を表す。Ar
    は芳香族環または1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニ
    ウムまたはテルリウム原子を有する複素芳香環であり、
    それぞれ置換基を有してもよい。〕 一般式(4) Ar−(R)n−S−S−(R)n−Ar 〔式中のAr、R、nは上記一般式(3)のそれぞれと
    同義である。〕
  11. 【請求項11】 有機銀塩を有する面側の構成層の少な
    くとも1層が、酸無水物を含有することを特徴とする請
    求項1〜10のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項記載の
    熱現像感光材料を露光後、熱現像処理して画像を形成せ
    しめることを特徴とする熱現像感光材料の画像形成方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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