JP2000298325A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2000298325A JP2000033867A JP2000033867A JP2000298325A JP 2000298325 A JP2000298325 A JP 2000298325A JP 2000033867 A JP2000033867 A JP 2000033867A JP 2000033867 A JP2000033867 A JP 2000033867A JP 2000298325 A JP2000298325 A JP 2000298325A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高い
画像を得ることが可能で、塗布面状に優れた熱現像感光
材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀乳剤およびバインダーを有する熱現像感光材料に
おいて、前記感光性ハロゲン化銀乳剤は感光性ハロゲン
化銀と分子量500〜6万の低分子量ゼラチンとを含有
することを特徴とする熱現像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高い画像
を得ることが可能な写真製版用熱現像感光材料に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。
【0003】近年写真製版分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメー
ジセッターにより効率的に露光させることができ、高解
像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成するこ
とができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する技術
が必要とされている。これら熱現像感光材料では、溶液
系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損な
わない熱現像処理システムを顧客に対して供給すること
ができる。
【0004】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,45
7,075号明細書、およびD.モーガン(Morgan)と
B.シェリー(Shely)による「熱によって処理される
銀システム(Thermally Processed Silver Systems)
A」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリ
アルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette
第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワー
ズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2
頁、1969年)に記載されている。このような感光材
料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、
触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀
の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散し
た状態で含有している。感光材料は常温で安定である
が、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合
に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤
との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化
還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進
される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生
成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照
をなし、画像の形成がなされる。
【0005】また、従来から前記熱現像感光材料は知ら
れているが、これらの多くはトルエン、メチルエチルケ
トン(MEK)、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とす
る塗布液を塗布することにより感光性層を形成してい
る。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での
人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その他のためコス
ト上も不利である。
【0006】そこでこのような心配のない水溶媒の塗布
液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49−52626号公報、特開昭53−116144号
公報などにはゼラチンをバインダーとする例が記載され
ている。また特開昭50−151138号公報にはポリ
ビニルアルコールをバインダーとする例が記載されてい
る。
【0007】さらに特開昭60−61747号公報には
ゼラチンとポリビニルアルコールを併用した例が記載さ
れている。これ以外の例として特開昭58−28737
号公報には水溶性ポリビニルアセタールをバインダーと
する感光性層の例が記載されている。
【0008】このようなバインダーを用いると水溶媒の
塗布液を用いて感光性層を形成することができ、感光性
ハロゲン化銀も従来の方法に従い予め形成したものを添
加できるメリットがあった。
【0009】しかしながら、感光性ハロゲン化銀の分散
ゼラチンが分子量10万程度の通常のゼラチンを使用す
ると、有機銀塩を含有する塗布液中での分散状態が悪く
凝集し、露光部の黒化濃度が低く未露光部の濃度が高い
等商品価値の著しく損なわれたものしか得られなかっ
た。
【0010】そこで、カブリが低く、Dmax(最高濃
度)が高く、かつ保存時のカブリの上昇および感度変動
の少ない画像を得ることが可能で、環境面・コスト面で
有利な熱現像感光材料を提供する技術が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする第一の課題は、特に写真製版用、特にスキ
ャナー、イメージセッター用として、カブリが低く、D
max(最高濃度)が高い画像を得ることが可能で、塗
布面状に優れた熱現像感光材料を提供することである。
さらに、本発明の解決しようとする第二の課題は環境面
・コスト面で有利な水系塗布可能な熱現像感光材料を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、支持体上に
非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀乳剤およびバインダ
ーを有する熱現像感光材料において、前記感光性ハロゲ
ン化銀乳剤は感光性ハロゲン化銀と分子量500〜6万
の低分子量ゼラチンとを含有することを特徴とする熱現
像感光材料を提供する本発明により解決された。本発明
の熱現像感光材料の好ましい態様として、前記低分子量
ゼラチンの分子量が1000〜4万である態様;前記乳
剤が、非感光性銀塩とは独立に形成された感光性ハロゲ
ン化銀を含有する態様;前記乳剤が、脱塩処理したハロ
ゲン化銀粒子含有組成物に低分子量ゼラチンを添加する
工程を経て調製された態様;前記乳剤が、分子量6万を
超えるゼラチンの存在下でハロゲン化銀粒子を形成し、
脱塩処理した後に前記低分子量ゼラチンを添加する工程
を経て調製された態様;前記乳剤が、低分子量ゼラチン
の存在下でハロゲン化銀粒子を形成する工程を経て調製
された態様;前記低分子量ゼラチンが、アルカリ処理ゼ
ラチン、酸処理ゼラチンまたはフタル化ゼラチンである
態様;前記低分子量ゼラチンが、アルカリ処理ゼラチン
である態様;感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層
のバインダーの50質量%以上、特に70質量%以上と
してガラス転移温度−30℃〜40℃のポリマーのラテ
ックスが用いられる態様;造核剤を含有する態様を挙げ
ることができる。なお、本明細書において「〜」は、そ
の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値
として含む範囲を示す。
【0013】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。本発明の熱現像感光材
料は、支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀乳
剤およびバインダーを少なくとも有するものである。そ
の特徴は、感光性ハロゲン化銀乳剤は感光性ハロゲン化
銀と分子量500〜6万の低分子量ゼラチンとを含有す
る点にある。ハロゲン化銀乳剤は感光性層(乳剤層)を
構成するものであり、その感光性層は非感光性銀塩とし
て有機銀塩を含有することが好ましい。また、本発明の
熱現像感光材料は、造核剤を含有する硬調感光材料であ
ることが好ましい。これらを始めとする熱現像感光材料
において、ハロゲン化銀乳剤に低分子量ゼラチンを組み
合わせて用いれば、塗布面状に優れ、かつ低カブリ、高
Dmax、高感度であるなど良好な写真性能を有する熱
現像感光材料を得ることができる。また、硬調感光材料
にあっては、硬調性が十分になる。これに対して、分子
量が6万を超えるゼラチンだけを使用した場合は、Dm
axおよび感度が低下し、硬調感光材料においては軟調
化が著しくなる。また、塗布面状も悪化する。
【0014】また、感光性ハロゲン化銀は、良好な写真
性能を得る上で、有機銀塩の一部を感光性銀塩に変換す
るような方法によって調製されたものではなく、後述の
ように、非感光性銀塩とは独立に予め形成されたもので
あることが好ましい。従って、本発明の好ましい態様の
画像形成層においては、後述のように、予め形成された
感光性ハロゲン化銀と、有機銀塩とを混合して画像形成
層を形成することが好ましい。また、感光性ハロゲン化
銀を含有する画像形成層は、良好な写真性能が得られ、
かつ水系塗布が可能になる上で、主バインダーとしてガ
ラス転移温度−30℃〜40℃のポリマーのラテックス
を用いることが好ましい。
【0015】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀を
含むハロゲン化銀乳剤が含有する低分子量ゼラチンの分
子量は500〜6万であり、好ましくは1000〜4万
である。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるい
は脱塩処理後の分散時に使用されても良いが、脱塩処理
後の分散時に使用されることが好ましい。また、粒子形
成時は通常のゼラチン(分子量10万程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用しても良
い。
【0016】本発明で用いられる低分子量ゼラチンは、
通常、次のようにして作ることができる。通常用いられ
る平均分子量10万のゼラチンを水に溶かし、ゼラチン
分解酵素を加えて、ゼラチン分子を酵素分解する。この
方法については、R.J.Cox.Photographic Gelatin II,Ac
ademic Press,London,1976年、P233〜251、
P335〜P346の記載を参考にすることができる。
この場合、酵素が分解する結合位置は決まっているた
め、比較的分子量分布の狭い低分子量ゼラチンが得ら
れ、好ましい。この場合、酵素分解時間を長くする程、
より低分子量化する。その他、低pH(pH1〜3)も
しくは高pH(pH10〜12)雰囲気下で加熱し、加
水分解する方法もある。平均分子量が6万を超えると、
本発明の効果が少なくなる。平均分子量が500未満で
はゼラチンの製造上、難点がある。低分子量ゼラチンは
分散媒の50質量%以上が好ましく、より好ましくは7
0質量%以上である。
【0017】分散媒の濃度は0.05〜20質量%を用
いることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度
域が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ
処理ゼラチンが用いられるが、その他酸処理ゼラチン、
フタル化ゼラチンのような修飾ゼラチンも用いることが
できる。
【0018】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。
また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好
ましく用いることができる。構造としては好ましくは2
〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェ
ル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化
銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用い
ることができる。
【0019】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えばリサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第
3,700,458号明細書に記載されている方法を用
いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他の
ポリマー溶液中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合
物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、
その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。感光性ハロ
ゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑え
る目的のために小さいことが好ましく具体的には0.2
0μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.15μ
m、更に好ましくは0.02μm〜0.12μmがよ
い。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立
方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハ
ロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀
粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同
面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶
でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、
ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径
をいう。
【0020】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:
1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まっ
た粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン
化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特
に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増
感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好
ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65
%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミ
ラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における
[111]面と[100]面との吸着依存性を利用した
T.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法に
より求めることができる。
【0021】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族(第
7〜10族)の金属または金属錯体を含有する。周期律
表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属
錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニウム、
ルテニウム、オスミウム、イリジウムである。これら金
属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の
錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1
モルに対し1×10‐9モル〜1×10‐3モルの範囲が
好ましく、1×10‐8モル〜1×10‐4モルの範囲が
より好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平
7−225449号公報等に記載された構造の金属錯体
を用いることができる。
【0022】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例え
ば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジ
ウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラ
ト等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(II
I)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、
テトラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブ
ロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム
(III)錯塩、トリオキザラトロジウム(III)錯
塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水ある
いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合
物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方
法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭
酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えば
KCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方
法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わ
りにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドー
プしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる
ことも可能である。
【0023】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当たり1×10‐8モル〜5×10‐4モル
の範囲が好ましく、特に好ましくは5×10‐8モル〜
1×10‐5モルである。
【0024】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0025】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63−2042号公報、特開平
1−285941号公報、同2−20852号公報、同
2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で
添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示さ
れる六配位錯体が挙げられる。[ML6n‐ここでMは
Ru、Re、またはOsを表し、Lは配位子を表し、n
は0、1、2、3または4を表す。
【0026】この場合、対イオンは重要性を持たず、ア
ンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。
【0027】また好ましい配位子としてはハロゲン化物
配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニト
ロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0028】 [ReCl6]3‐ [ReBr6]3‐ [ReCl5(NO)]2‐ [Re(NS)Br5]2‐ [Re(NO)(CN)5]2‐ [Re(O)2(CN)4]3‐ [RuCl6]3‐ [RuCl4(H2O)2]‐ [RuCl5(H2O)]2‐ [RuCl5(NO)]2‐ [RuBr5(NS)]2‐ [Ru(CO)3Cl3]2‐ [Ru(CO)Cl5]2‐ [Ru(CO)Br5]2‐ [OsCl6]3‐ [OsCl5(NO)]2‐ [Os(NO)(CN)5]2‐ [Os(NS)Br5]2‐ [Os(O)2(CN)4]4
【0029】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当たり1×10‐9モル〜1×10‐4モルの範囲が
好ましく、特に好ましくは1×10‐8モル〜1×10
5モルである。
【0030】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0031】これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成
中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属
錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した
水溶液を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド
溶液中に添加しておく方法、あるいは銀塩とハライド溶
液が同時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3
液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、
あるいは粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応
容器に投入する方法などがある。特に粉末もしくはNa
Cl、KClと一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライ
ド溶液に添加する方法が好ましい。
【0032】粒子表面に添加するには、粒子形成直後ま
たは物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に
必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入することも
できる。
【0033】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaB
r等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イ
リジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あら
かじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒
子を添加して溶解させることも可能である。
【0034】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させ
ても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシ
ェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0035】上記金属はハロゲン化銀1モル当たり1×
10‐9〜1×10‐4モルが好ましい。また、上記金属
を含有させるには単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩
にして粒子調製時に添加することができる。
【0036】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。
【0037】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金
増感を施す場合に用いられる金増感剤としては、金の酸
化数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通常
用いられる金化合物を用いることができる。代表的な例
としては塩化金酸、カリウムクロロオーレート、オーリ
ックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネー
ト、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリッ
クアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジ
ルトリクロロゴールドなどが挙げられる。
【0038】金増感剤の添加量は種々の条件により異な
るが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10‐7
モル〜10‐3モル、より好ましくは10‐6モル〜5×
10‐4モルである。
【0039】本発明のハロゲン化銀乳剤は金増感と他の
化学増感とを併用することが好ましい。他の化学増感の
方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法、貴金属増感法などの知られている方法を用いること
ができる。金増感法と組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法
とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法
とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0040】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当たり10‐7〜10‐2モルであり、より
好ましくは10‐5〜10‐3モルである。
【0041】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44−15748号公報、同43−13489
号公報、特開平4−25832号公報、同4−1092
40号公報、同4−324855号公報等に記載の化合
物を用いることができる。特に特開平4−324855
号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示され
る化合物を用いることが好ましい。
【0042】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−3
13284号公報に記載の方法で試験することができ
る。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、
ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモ
イル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシ
カルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテ
ルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボ
ン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル
類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール
類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−
Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカ
ルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルル
などを用いることができる。具体的には、米国特許第
1,623,499号明細書、同第3,320,069
号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許
第235,211号明細書、同第1,121,496号
明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,3
96,696号明細書、カナダ特許第800,958号
明細書、特開平4−204640号公報、同3−536
93号公報、同3−131598号公報、同4−129
787号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイア
ティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.C
hem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(19
79)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・
パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Tran
s.)1,2191(1980)、S.ハ゜タイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリ
ー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリ
ウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Sereni
um and Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、同Vo
l.2(1987)に記載の化合物を用いることができ
る。特に特開平5−313284号公報中の一般式(I
I),(III),(IV)で示される化合物が好まし
い。
【0043】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10‐8〜10‐2モル、好ましくは10‐7〜10
3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件
としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pA
gとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度
としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃であ
る。
【0044】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロ
ゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカド
ミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させ
てもよい。
【0045】本発明においては、還元増感を用いること
ができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコ
ルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上また
はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還
元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオン
のシングルアディション部分を導入することにより還元
増感することができる。
【0046】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
欧州特許公開第293,917号公報に示される方法に
より、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0047】本発明に用いられる感光材料中のハロゲン
化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、
平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
併用してもよい。
【0048】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀の
使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン
化銀0.01モル〜0.5モルが好ましく、0.02モ
ル〜0.3モルがより好ましく、0.03モル〜0.2
5モルが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン
化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件については、
それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高
速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振
動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは
有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了し
た感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方
法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおい
ては特に制限はない。
【0049】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像
を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元でき
る源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀
塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28
の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が
4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機ま
たは無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好まし
くは画像形成層の約5〜70質量%を構成することがで
きる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機
化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸
の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに
限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ま
しい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステア
リン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸
銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、
フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟
脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0050】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好
ましく用いることができる。
【0051】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩,K塩,
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。本発明に用いられる有機酸
アルカリ金属塩は、上記有機酸をアルカリ処理すること
によって得られる。本発明に用いられる有機酸銀は任意
の好適な容器中で回分式でまたは連続式で行うことがで
きる。反応容器中の攪拌は粒子の要求される特性によっ
て任意の攪拌方法で攪拌することができる。有機酸銀の
調製法としては、有機酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸
濁液の入った反応容器に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは
急激に添加する方法、硝酸銀水溶液の入った反応容器に
予め調製した有機酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液
を徐々にあるいは急激に添加する方法、予め調製した硝
酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁
液を反応容器中に同時に添加する方法のいずれもが好ま
しく用いることができる。
【0052】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調製する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0〜50容量%が好ましく、0〜25容
量%が特に好ましい。また特開平9−127643号公
報等に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀電
位を制御しながら添加する方法も好ましく用いることが
できる。
【0053】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調製する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。
【0054】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
としては好ましくは総炭素数15以下の物が好ましく、
10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例
としては、tert−ブタノール等が挙げられるが、本
発明はこれに限定されない。
【0055】本発明に用いられる第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでも良い
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、本発明に用いられる第3アルコールの使用量は有機
酸銀調製時の溶媒としてのH2Oに対して重量比で0.
01〜10の範囲で任意に使用することができるが、
0.03〜1の範囲が好ましい。
【0056】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm〜
0.20μm以下、長軸0.10μm〜5.0μmが好
ましく、短軸0.01μm〜0.15μm、長軸0.1
0μm〜4.0μmがより好ましい。有機銀塩の粒子サ
イズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短
軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞ
れで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より
好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下であ
る。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物
の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散
性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径
で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%
以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50
%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した
有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの
時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得ら
れた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることが
できる。
【0057】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。
【0058】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画
像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実
質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降
下させる分散法を用いることが好ましい。
【0059】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて熱現像感光材料を作
製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像感光
材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に変換して
分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上
昇し、感度が著しく低下する。また、分散媒として水で
はなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くなり、カブ
リが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、感光性銀
塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の有機銀塩
の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン法を用い
ると感度が低下する。
【0060】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含有量は非感光性の有機銀塩に対して
0.1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は
行わないものである。
【0061】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、
p357〜p403)、『化学工学の進歩 第24集』
(社団法人 化学工学会東海支部 編、1990、槙書
店、p184〜p185)、等に詳しいが、本発明での
分散法は、少なくとも有機銀塩を含む水分散物を高圧ポ
ンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けら
れた細いスリットを通過させ、この後に分散液に急激な
圧力低下を生じさせることにより微細な分散を行う方法
である。
【0062】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速
で通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧
下から常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には1
00〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の
範囲であり、分散効率を上げるために高流速部を鋸刃状
にして衝突回数を増やすなどの工夫を施したものも考案
されている。これに対して、近年更に高圧、高流速での
分散が可能となる装置が開発されてきており、その代表
例としてはマイクロフルイダイザー(マイクロフルイデ
ックス・インターナショナル・コーポレーション社)、
ナノマイザー(特殊機化工業(株))などが挙げられ
る。
【0063】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。
【0064】これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させる
ことにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力
を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降
下を生じさせることにより本発明に最適な有機銀塩分散
物を得ることが可能である。
【0065】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、
その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化
させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有
機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了
後除去される。
【0066】有機銀塩分散においては、流速、圧力降下
時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズに
分散することが可能であるが、写真特性と粒子サイズの
点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下
時の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ま
しく、流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時
の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲である
ことが更に好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択
でき、通常は1回〜10回の処理回数が選ばれるが、生
産性の点からは1回〜3回程度の処理回数が選ばれる。
高圧下でこのような水分散液を高温にすることは、分散
性、写真特性の点から好ましくなく、90℃を超えるよ
うな高温では粒子サイズが大きくなりやすくなると共
に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本発明では
前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしくは、圧力
降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程に冷却工
程を含み、このような水分散の温度が冷却工程により5
〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、更に好
ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保
たれていることが好ましい。特に、1500〜3000
kg/cm2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程
を設置することが有効である。冷却器は、その所要熱交
換量に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサーを
使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適
宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げる
ために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質な
ど好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、
熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜1
0℃の冷水、また必要に応じて−30℃のエチレングリ
コール/水等の冷媒を使用することもできる。
【0067】分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(分
散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが好まし
い。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アク
リル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体、アクリロメチルプロパンスルホン
酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カルボキシメ
チルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合
成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのア
ニオン性ポリマー、特開平7−350753号公報に記
載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、
カチオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラ
チン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して
用いることができるが、ポリビニルアルコール類、水溶
性のセルロース誘導体が特に好ましい。
【0068】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりp
Hコントロールしても良い。
【0069】機械的に分散する以外にも、pHコントロ
ールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の
存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。この
とき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても
良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0070】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0071】本発明に用いられる有機銀塩固体微粒子分
散物の粒子サイズ(体積加重平均直径)は、例えば液中
に分散した固体微粒子分散物にレーザー光を照射し、そ
の散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求
めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直
径)から求めることができる。平均粒子サイズ0.05
μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ましい。よ
り好ましくは平均粒子サイズ0.1μm以上5.0μm
以下、更に好ましくは平均粒子サイズ0.1μm〜2.
0μmである。
【0072】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。具体的には、体積加重平均直径の標準
偏差を体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係
数)が80%以下、より好ましくは50%以下、更に好
ましくは30%以下である。
【0073】有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀
塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができ
る。
【0074】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であること
が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜
15質量%の範囲が好ましい。
【0075】本発明では有機銀塩水分散液と感光性銀塩
水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であ
るが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて
選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜3
0モル%の範囲が好ましく、更に3〜20モル%、特に
5〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以
上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液
を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用
いられる方法である。
【0076】本発明に用いられる有機銀塩は所望の量で
使用できるが、感光材料1m2当たりの塗布量で示す
と、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに
好ましくは1〜3g/m2である。
【0077】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明では前述のハロゲン化物でな
い、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0078】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、非感光性有機銀塩の粒子形成後の、粒子形成直後、
分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布直前まで
であればいずれの時期でもよく、好ましくは分散後、塗
布液調製前後である。
【0079】本発明におけるCa、Mg、ZnおよびA
gから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性
有機銀1モル当たり10‐3〜10‐1モルが好ましく、
特に5×10‐3〜5×10‐2モルが好ましい。
【0080】本発明に用いられる造核剤としては、置換
アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特
定のアセタール化合物が好ましく用いられる。
【0081】本発明で用いられる式(1)で表される置
換アルケン誘導体、式(2)で表される置換イソオキサ
ゾール誘導体、および式(3)で表される特定のアセタ
ール化合物について説明する。
【0082】
【化1】
【0083】式(1)においてR1、R2、R3は、それ
ぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引
性基またはシリル基を表す。式(1)においてR1
Z、R2とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。式(2)にお
いてR4は、置換基を表す。式(3)においてX、Yは
それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、A、Bは
それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アル
キルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア
ニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、または
ヘテロ環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、あ
るいはAとBは、互いに結合して環状構造を形成してい
てもよい。
【0084】式(1)で表される化合物について詳しく
説明する。式(1)においてR1、R2、R3は、それぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
基またはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、
2とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合
して環状構造を形成していても良い。
【0085】R1、R2、R3が置換基を表す時、置換基
の例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロ
ル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(ア
ラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含
む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテ
ロ環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化
された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコ
キシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしく
はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキ
ル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)ス
ルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル
基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルスルファモイル基または
その塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エ
ステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げら
れる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換され
ていてもよい。
【0086】式(1)においてZで表される電子吸引性
基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる
置換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリール基
等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル基、
ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾリル
基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダント
イン−1―イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基
等がその例として挙げられる。
【0087】式(1)においてZで表される電子吸引性
基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基と
しては、式(1)のR1、R2、R3が置換基を表す時に
有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0088】式(1)においてR1とZ、R2とR3、R1
とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状構造を
形成していてもよいが、この時形成される環状構造と
は、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環であ
る。
【0089】次に式(1)で表される化合物の好ましい
範囲について述べる。式(1)においてZで表されるシ
リル基として好ましくは、具体的にトリメチルシリル
基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシ
リル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル
基、トリメチルシリルジメチルシリル基等である。
【0090】式(1)においてZで表される電子吸引性
基として好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、即
ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニ
トロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル
基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ま
たは任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等であ
り、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル
基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメチル
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカルバ
モイル基である。式(1)においてZで表される基は、
電子吸引性基がより好ましい。
【0091】式(1)においてR1、R2、およびR3
表される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30の
基で、具体的には上述の式(1)のZで表される電子吸
引性基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ基
(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ア
ルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミ
ノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環
アミノ基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミ
ド基、または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げ
られる。
【0092】さらに式(1)においてR1は、好ましく
は電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコ
キシ基、アシルアミノ基、水素原子、またはシリル基で
ある。
【0093】R1が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。
【0094】R1がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、任意の置換基が挙げられるが、
中でも電子吸引性の置換基が好ましい。
【0095】式(1)においてR1は、より好ましく
は、電子吸引性基またはアリール基を表す時である。
【0096】式(1)においてR2およびR3で表される
置換基として好ましくは、具体的に、上述の式(1)の
Zで表される電子吸引性基と同義の基、アルキル基、ヒ
ドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはそ
の塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チ
オ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテ
ロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置換の
フェニル基等である。
【0097】式(1)においてR2およびR3は、さらに
好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が置換基
を表す時である。その置換基として好ましくは、アルキ
ル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリ
ノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフ
ルオロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換も
しくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であ
り、さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、
メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であ
り、特に好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、ア
ルコキシ基、またはヘテロ環基である。
【0098】式(1)においてZとR1、あるいはまた
2とR3とが環状構造を形成する場合もまた好ましい。
この場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素環も
しくは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員〜7
員の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1〜4
0、さらには3〜30が好ましい。
【0099】式(1)で表される化合物の中で、より好
ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカル
バモイル基を表し、R1が電子吸引性基またはアリール
基を表し、R2またはR3のどちらか一方が水素原子で、
他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物であ
る。さらにまた式(1)で表される化合物の中で特に好
ましいものの1つは、ZとR1とが非芳香族の5員〜7
員の環状構造を形成していて、R2またはR3のどちらか
一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(またはその
塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、
アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環
基を表す化合物である。この時、R1と共に非芳香族の
環状構造を形成するZとしては、アシル基、カルバモイ
ル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホ
ニル基等が好ましく、またR1としては、アシル基、カ
ルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル
基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ
基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0100】次に式(2)で表される化合物について説
明する。式(2)においてR4は置換基を表す。R4で表
される置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基に
ついて説明したものと同じものが挙げられる。
【0101】R4で表される置換基は、好ましくは電子
吸引性基またはアリール基である。R4が電子吸引性基
を表す時、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、
即ち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバ
モイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、
ホスホリル基、イミノ基、または飽和もしくは不飽和の
ヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホルミ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、ヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシアノ
基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、またはヘテロ環基である。
【0102】R4がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、式(1)のR1、R2、R3が置
換基を表す時にその置換基として説明したものと同じも
のが挙げられる。
【0103】R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、また
は置換もしくは無置換のフェニル基であり、最も好まし
くはシアノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニ
ル基である。
【0104】次に式(3)で表される化合物について詳
しく説明する。式(3)においてX、Yはそれぞれ独立
に水素原子または置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに結合
して環状構造を形成していてもよい。
【0105】式(3)においてX、Yで表される置換基
としては、式(1)のR1〜R3の置換基について説明し
たものと同じものが挙げられる。具体的には、アルキル
基(パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル基等を
含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シア
ノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル
基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ
基、カルバモイル基、チオカルボニル基、アシルオキシ
基、アシルチオ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ホス
ホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基
(またはその塩)、ヒドロキシ基(またはその塩)、メ
ルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリール
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基等が挙げ
られる。
【0106】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。
【0107】式(3)においてX、Yで表される置換基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボ
ニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミ
ノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、ア
ルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が挙
げられる。
【0108】式(3)においてX、Yは、より好ましく
はシアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カル
バモイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、ア
シルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフ
ルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任
意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0109】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。
【0110】式(3)においてA、Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。式(3)においてA、Bで表される基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、さらに置換基を有していて
もよい。
【0111】式(3)においてA、Bは、これらが互い
に結合して環状構造を形成している場合がより好まし
い。この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香
族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さ
らには3〜30が好ましい。この場合に、A、Bが連結
した例(−A−B−)を挙げれば、例えば−O−(CH
22−O−,−O−(CH23−O−,−S−(C
22−S−,−S−(CH 23−S−,−S−ph−
S−,−N(CH3)−(CH22−O−,−N(C
3)−(CH22−S−,−O−(CH22−S−,
−O−(CH23−S−,−N(CH3)−ph−O
−,−N(CH3)−ph−S−,−N(ph)−(C
22−S−等である。
【0112】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着
性の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基とし
ては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、
チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基な
どの米国特許第4,385,108号明細書、同4,4
59,347号明細書、特開昭59−195233号公
報、同59−200231号公報、同59−20104
5号公報、同59−201046号公報、同59−20
1047号公報、同59−201048号公報、同59
−201049号公報、特開昭61−170733号公
報、同61−270744号公報、同62−948号公
報、同63−234244号公報、同63−23424
5号公報、同63−234246号公報に記載された基
が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、
プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサ
ーとしては、特開平2−285344号公報に記載され
た基が挙げられる。
【0113】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用
添加剤において常用されているバラスト基またはポリマ
ーが組み込まれているものでもよい。特にバラスト基が
組み込まれているものは本発明の好ましい例の1つであ
る。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対
して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラ
ルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニ
ル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中か
ら選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特
開平1−100530号公報に記載のものが挙げられ
る。
【0114】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、その中にカチオン性基(具体的に
は、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された
窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ
基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、
あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ
基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイル
スルファモイル基等)が含まれていてもよい。特にエチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単
位を含む基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘ
テロ環)チオ基が含まれているものは、本発明の好まし
い例の1つである。これらの基の具体例としては、例え
ば特開平7ー234471号公報、特開平5−3334
66号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−
19031号公報、特開平5−45761号公報、米国
特許第4994365号明細書、米国特許第49886
04号明細書、特開平3−259240号公報、特開平
7−5610号公報、特開平7−244348号公報、
独国特許第4006032号明細書等に記載の化合物が
挙げられる。
【0115】次に本発明に用いられる式(1)〜式
(3)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただ
し、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0116】
【化2】
【0117】
【化3】
【0118】
【化4】
【0119】
【化5】
【0120】
【化6】
【0121】
【化7】
【0122】
【化8】
【0123】
【化9】
【0124】
【化10】
【0125】
【化11】
【0126】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばア
ルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、
フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエ
チルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることが
できる。
【0127】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当
な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波
によって分散し用いることができる。
【0128】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、支持体に対して画像形成層側の層、
即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加し
てもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添
加することが好ましい。
【0129】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10‐
6〜1モルが好ましく、1×10‐5〜5×10‐1モル
がより好ましく、2×10‐5〜2×10‐1モルが最も
好ましい。
【0130】式(1)〜式(3)で表される化合物は公
知の方法により容易に合成することができるが、例え
ば、米国特許第5545515号明細書、米国特許第5
635339号明細書、米国特許第5654130号明
細書、国際公開WO97/34196号公報、あるいは
特開平11−133546号公報、特開平11−953
65号公報に記載の方法を参考に合成することができ
る。
【0131】本発明に用いられる式(1)〜式(3)で
表される化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併用
しても良い。また上記のものの他に、米国特許第554
5515号明細書、米国特許第5635339号明細
書、米国特許第5654130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5686228号
明細書に記載の化合物、あるいはまた特開平8−279
962号明細書、特願平9−228881号明細書、特
開平11−119372号公報、特開平11−1335
46号公報、特開平11−119373号公報、特開平
11−109546号公報、特開平11−95365号
公報、特開平11−95366号公報、特開平11−1
49136号公報に記載された化合物を併用して用いて
も良い。
【0132】本発明には上記造核剤とヒドラジン誘導体
を併用して用いても良い。その場合には下記のヒドラジ
ン誘導体が好ましく用いられる。本発明に用いられるヒ
ドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の
方法により、合成することができる。
【0133】特公平6−77138号公報に記載の(化
1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁
に記載の化合物。特公平6−93082号公報に記載の
一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8
頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−23
0497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)お
よび一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公
報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−1
0、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、
および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6
−7。特開平6−289520号公報に記載の一般式
(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的
には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−1
7)および2−1)。特開平6−313936号公報に
記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具
体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6
−313951号公報に記載の(化1)で表される化合
物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特
開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表され
る化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化
合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に
記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には
同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−
102。特開平7−104426号公報に記載の一般式
(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体
的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−
44。特開平9−22082号公報に記載のヒドラジン
基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と
分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを
特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式
(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),
一般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に
記載の化合物N−1〜N−30。特開平9−22082
号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体
的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。
【0134】さらに1991年3月22日発行の「公知
技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁〜
34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特開昭62−
86354号公報(6頁〜7頁)の化合物D−2および
D−39。
【0135】本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、
適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エ
タノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケト
ン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブな
どに溶解して用いることができる。
【0136】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を
水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。
【0137】本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、
支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層ある
いはこの層側の他のバインダー層のどの層に添加しても
よいが、画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー
層に添加することが好ましい。
【0138】本発明に用いられるヒドラジン誘導体の添
加量は、銀1モルに対し1×10‐ 6〜1×10‐2モル
が好ましく、1×10‐5〜5×10‐3モルがより好ま
しく、2×10‐5〜5×10‐3モルが最も好ましい。
【0139】また、本発明は超硬調画像形成のために、
前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することがで
きる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書
に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−
5、同5,545,507号明細書に記載のヒドロキサ
ム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、同5,54
5,507号明細書に記載のアクリロニトリル類、具体
的にはCN−1〜CN−13、同5,558,983号
明細書に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA−1
〜CA−6、特開平9−297368号公報に記載のオ
ニュ−ム塩類、具体的にはA−1〜A−42、B−1〜
B−27、C−1〜C−14などを用いることができ
る。
【0140】これらの硬調化促進剤の合成方法、添加方
法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載されて
いるように行うことができる。
【0141】本発明には五酸化二リンが水和してできる
酸またはその塩を造核剤と併用して用いることが好まし
い。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリ
ン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサ
メタリン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、
具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリ
ン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、
ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
【0142】本発明に好ましく用いることができる五酸
化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所
望の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそ
れに隣接するバインダー層に添加する。
【0143】本発明に用いる五酸化二リンが水和してで
きる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2当たりの
塗布量)としては感度やカブリなどの性能に合わせて所
望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好まし
く、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0144】本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のた
めの還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ま
しくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキ
ノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用で
あるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元
剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜5
0モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で
含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像
形成層を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以
外の層に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モ
ル%と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は
現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆ
るプレカーサーであってもよい。
【0145】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤が特開昭46−6074号公報、同
47−1238号公報、同47−33621号公報、同
49−46427号公報、同49−115540号公
報、同50−14334号公報、同50−36110号
公報、同50−147711号公報、同51−3263
2号公報、同51−1023721号公報、同51−3
2324号公報、同51−51933号公報、同52−
84727号公報、同55−108654号公報、同5
6−146133号公報、同57−82828号公報、
同57−82829号公報、特開平6−3793号公
報、米国特許第3,679,426号明細書、同3,7
51,252号明細書、同3,751,255号明細
書、同3,761,270号明細書、同3,782,9
49号明細書、同3,839,048号明細書、同3,
928,686号明細書、同5,464,738号明細
書、独国特許第2321328号明細書、欧州特許第6
92732号明細書などに開示されている。例えば、フ
ェニルアミドオキシム、2−チエニルアミドオキシムお
よびp−フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミ
ドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキ
シベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビ
ス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒ
ドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カ
ルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合
せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、
レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えば
ハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシ
ルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホル
ミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);
フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒド
ロキサム酸およびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒ
ドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの
組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−
4−ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル
−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル
−α−シアノフェニルアセテートなどのα−シアノフェ
ニル酢酸誘導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−
ビナフチル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロ
キシ−1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキ
シ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β
−ナフトール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒド
ロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセト
フェノンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−
5−ピラゾロンなどの、5−ピラゾロン;ジメチルアミ
ノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘ
キソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリド
ンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクト
ン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフ
ェノールおよびp−ベンゼンスルホンアミドフェノール
などのスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニル
インダン−1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7
−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマ
ン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−
1,4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリ
ジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ
−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロ
パン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6
−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2−ヒドロキ
シ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメ
チルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビ
ン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビル、
ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルお
よびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3−ピ
ラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオン;
クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に
好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノー
ルである。
【0146】本発明に用いられる還元剤は、溶液、粉
末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよ
い。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボー
ルミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、
固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0147】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させる上でも有利になる
ことがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モル
当たりの0.1〜50%(モル)の量含まれることが好
ましく、0.5〜20%(モル)含まれることがさらに
好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つ
ように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよ
い。
【0148】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤が特開昭46−6077号公報、同
47−10282号公報、同49−5019号公報、同
49−5020号公報、同49−91215号公報、同
49−91215号公報、同50−2524号公報、同
50−32927号公報、同50−67132号公報、
同50−67641号公報、同50−114217号公
報、同51−3223号公報、同51−27923号公
報、同52−14788号公報、同52−99813号
公報、同53−1020号公報、同53−76020号
公報、同54−156524号公報、同54−1565
25号公報、同61−183642号公報、特開平4−
56848号公報、特公昭49−10727号公報、同
54−20333号公報、米国特許第3,080,25
4号明細書、同3,446,648号明細書、同3,7
82,941号明細書、同4,123,282号明細
書、同4,510,236号明細書、英国特許第138
0795号明細書、ベルギー特許第841910号明細
書などに開示されている。色調剤の例は、フタルイミド
およびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、
ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フ
ェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラ
ゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオン
のような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒ
ドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体
(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテー
ト);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−
4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに
例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリー
ルジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチル
アミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチル
アミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイ
ミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニ
ウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’
−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジ
メチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタ
ン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)
および2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチ
アゾール));ならびに3−エチル−5[(3−エチル
−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデ
ン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタ
ラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または
4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラ
ジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3
−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;
フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4
−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラク
ロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタ
ラジン誘導体(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジ
ン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラ
ジン、6−イソプロピルフタラジン、6−イソブチルフ
タラジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−
ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジ
ンなどの誘導体)もしくは金属塩、;フタラジンおよび
その誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−
メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロ
ロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、
ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調
調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のた
めのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯
体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニ
ウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロ
ロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物およ
び過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび
過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオ
ン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−
ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−
2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオ
ン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,
4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−ア
ミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラア
ザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−
1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a
−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロ
ロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−
2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)などがあ
る。
【0149】本発明に用いられる色調剤は、溶液、粉
末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよ
い。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボー
ルミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、
固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0150】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の
膜面pHは6以下であることが保存時のカブリを低減さ
せる上で好ましく、特に5.5以下、さらに好ましくは
5.3以下である。その下限には特に制限はないが、3
程度である。
【0151】膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有
機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発
性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという
観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗
布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜
面pHを達成する上で好ましい。
【0152】なお、本発明の熱現像感光材料の膜面pH
を測定する場合には、熱現像処理前の熱現像感光材料
2.5cm×2.5cmを舟形に折り、その画像形成層
側に300μlの蒸留水を滴下し、30分静置した後
に、その滴下液をpH BOY−P2(新電元工業株式
会社製、半導体方式のpH計)にて1分間測定すること
が好ましい。
【0153】本発明に用いられるバインダーとしては以
下に述べるポリマーラテックスを用いることが好まし
い。
【0154】本発明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン
化銀を含有する画像形成層のうち少なくとも1層は以下
に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50質量
%以上として用いた画像形成層であることが好ましい。
(以降この画像形成層を「本発明の画像形成層」、バイ
ンダーに用いるポリマーラテックスを「本発明のポリマ
ーラテックス」と表す。)また、ポリマーラテックスは
画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いても
よく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱
現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層にも
ポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただしこ
こで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポ
リマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散した
ものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳
化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散さ
れたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な
構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれ
でもよい。なお本発明のポリマーラテックスについては
「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子
刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用
(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分
子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化
学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」な
どに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜500
00nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲
が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は
無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を
持つものでもよい。
【0155】本発明のポリマーラテックスとしては通常
の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/
シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェル
はガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0156】本発明のバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのポリマーのガラス転移温度(Tg)は
保護層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異
なる。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の
拡散を促すため、−30〜40℃であることが好まし
い。保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接
触するために25〜70℃のガラス転移温度が好まし
い。
【0157】本発明のポリマーラテックスの最低造膜温
度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃
〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロール
するために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑
剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下
させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の
「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発
行(1970))」に記載されている。
【0158】本発明のポリマーラテックスに用いられる
ポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとし
ては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、ま
た架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては
単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良
いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良
い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロッ
クコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子
量で5000〜1000000、好ましくは10000
〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるも
のは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎる
ものは製膜性が悪く好ましくない。
【0159】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては以下のようなものがある。メチルメタクリレー
ト/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラ
テックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシル
アクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテ
ックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマー
のラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼ
ン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタ
クリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテ
ックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリ
ロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスな
ど。また、このようなポリマーは市販もされていて、以
下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂
の例として、セビアンA−4635,46583、46
01(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol
Lx811、814、821、820、857(以上日
本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、
FINETEX ES650、611、675、850
(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、
WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレ
タン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、3
0、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム
系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307
B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol Lx416、410、438
C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化
ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオ
ン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良
い。
【0160】本発明の画像形成層は全バインダーの50
質量%以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用
いられるが、70質量%以上として上記ポリマーラテッ
クスが用いられることがさらに好ましい。
【0161】本発明の画像形成層には必要に応じて全バ
インダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加
しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形
成層の全バインダーの30質量%以下、さらには15質
量%以下が好ましい。
【0162】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布
後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言
う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以
上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチル
ホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を
用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、
水のほか、以下のようなものがある。水/メタノール=
90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノ
ール=90/10、水/イソプロパノール=90/1
0、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノ
ール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メ
タノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(た
だし数字は質量%を表す。)
【0163】本発明の画像形成層の全バインダー量は
0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2
の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のため
の架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加し
てもよい。
【0164】本発明における増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCHDISCL
OSURE Item17643IV−A項(1978
年12月p.23)、同Item1831X項(197
9年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に
記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキ
ャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特
性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択する
ことができる。
【0165】赤色光への分光増感の例としては、He−
Neレーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわ
ゆる赤色光源に対しては、特開昭54−18726号公
報に記載のI−1〜I−38の化合物、特開平6−75
322号公報に記載のI−1〜I−35の化合物および
特開平7−287338号公報に記載のI−1〜I−3
4の化合物、特公昭55−39818号公報に記載の色
素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載の
I−1〜I−37の化合物および特開平7−28733
8号公報に記載のI−1〜I−34の化合物などが有利
に選択される。
【0166】750〜1400nmの波長領域の半導体
レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、ス
チリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノー
ルおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素によ
り、スペクトル的に有利に増感させることができる。有
用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾ
リン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チ
アゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核など
の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシ
アニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加え
て、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジ
ンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、
チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核
などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニ
ン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有す
るものが特に効果的である。例えば、米国特許第3,7
61,279号明細書、同3,719,495号明細
書、同3,877,943号明細書、英国特許第1,4
66,201号明細書、同1,469,117号明細
書、同1,422,057号明細書、特公平3−103
91号公報、同6−52387号公報、特開平5−34
1432号公報、同6−194781号公報、同6−3
01141号公報に記載されたような既知の色素から適
当に選択してよい。
【0167】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62−58239号公
報、同3−138638号公報、同3−138642号
公報、同4−255840号公報、同5−72659号
公報、同5−72661号公報、同6−222491号
公報、同2−230506号公報、同6−258757
号公報、同6−317868号公報、同6−32442
5号公報、特表平7−500926号公報、米国特許第
5,541,054号明細書に記載された色素)、カル
ボン酸基を有する色素(例としては特開平3−1634
40号公報、6−301141号公報、米国特許第5,
441,899号明細書に記載された色素)、メロシア
ニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47−6329号公報、同49−105524
号公報、同51−127719号公報、同52−808
29号公報、同54−61517号公報、同59−21
4846号公報、同60−6750号公報、同63−1
59841号公報、特開平6−35109号公報、同6
−59381号公報、同7−146537号公報、同7
−146537号公報、特表平55−50111号公
報、英国特許第1,467,638号明細書、米国特許
第5,281,515号明細書に記載された色素)が挙
げられる。
【0168】また、J−bandを形成する色素として
米国特許第5,510,236号明細書、同3,87
1,887号明細書の実施例5記載の色素、特開平2−
96131号公報、特開昭59−48753号公報が開
示されており、本発明に好ましく用いることができる。
【0169】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure 176巻1
7643(1978年12月発行)第23頁IVのJ
項、あるいは特公昭49−25500号公報、同43−
4933号公報、特開昭59−19032号公報、同5
9−192242号公報等に記載されている。
【0170】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフル
オロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−
1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、
N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは
混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0171】また、米国特許第3,469,987号明
細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶
剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分
散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44
−23389号公報、同44−27555号公報、同5
7−22091号公報等に開示されているように、色素
を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸また
は塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方
法、米国特許第3,822,135号明細書、同4,0
06,025号明細書等に開示されているように界面活
性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物とした
ものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−10273
3号公報、同58−105141号公報に開示されてい
るように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その
分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−7462
4号公報に開示されているように、レッドシフトさせる
化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加
する方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を
用いることもできる。
【0172】本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳
剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認め
られている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。
例えば米国特許第2,735,766号明細書、同3,
628,960号明細書、同4,183,756号明細
書、同4,225,666号明細書、特開昭58−18
4142号公報、同60−196749号公報等に開示
されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または
/および脱塩前の時期、脱塩工程中および/または脱塩
後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−11
3920号公報等に開示されているように、化学熟成の
直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期
の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程におい
て添加されてもよい。また、米国特許第4,225,6
66号明細書、特開昭58−7629号公報等に開示さ
れているように、同一化合物を単独で、または異種構造
の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学
熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟
成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割し
て添加してもよく、分割して添加する化合物および化合
物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0173】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10‐6〜1モル
が好ましく、10‐4〜10‐1モルがさらに好ましい。
【0174】本発明は赤外分光増感効率を向上させるた
め、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いら
れる強色増感剤は、欧州特許第587338号明細書、
米国特許第3877943号明細書、同4873184
号明細書に開示されている化合物、複素芳香族あるいは
脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合
物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンから選択され
る化合物などが挙げられる。
【0175】特に好ましい強色増感剤は、特開平5−3
41432号公報に開示されている複素芳香族メルカプ
ト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、特開平10
−73899に開示されているスチルベン化合物、特願
平10−78168号明細書に記載の一般式(I)で表
わされる化合物で具体的には同明細書に記載の化合物1
〜57である。
【0176】これらのメルカプト化合物等の強色増感剤
の添加量としては乳剤層中に銀1モル当たり0.000
1〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、
銀の1モル当たり0.001〜0.3モルの量である。
【0177】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号明細書および同第
2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、
米国特許第2,886,437号明細書および同第2,
444,605号明細書に記載のアザインデン、米国特
許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国
特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国
特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテ
コール、英国特許第623,448号に記載のオキシ
ム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,8
39,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第
3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、
ならびに米国特許第2,566,263号明細書および
同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、
白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細
書および同第4,442,202号明細書に記載のハロ
ゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号
明細書および同第4,137,079号明細書、第4,
138,365号明細書および同第4,459,350
号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,4
11,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0178】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−11
9624号公報、同50−120328号公報、同51
−121332号公報、同54−58022号公報、同
56−70543号公報、同56−99335号公報、
同59−90842号公報、同61−129642号公
報、同62−129845号公報、特開平6−2081
91号公報、同7−5621号公報、同7−2781号
公報、同8−15809号公報、米国特許第5,34
0,712号明細書、同5,369,000号明細書、
同5,464,737号明細書に開示されているような
化合物が挙げられる。
【0179】本発明に用いられるカブリ防止剤は、溶
液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加し
てもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例え
ば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイ
ドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われ
る。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いても
よい。
【0180】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えるこ
とが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(I
I)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使
用する水銀の添加量としては、塗布された銀1モル当た
り好ましくは1×10‐9モル〜1×10‐3モル、さら
に好ましくは1×10‐8モル〜1×10‐4モルの範囲
である。
【0181】本発明における熱現像感光材料は高感度化
やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良
い。安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、
好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,9
39号明細書、同4,152,160号明細書、特開平
9−329865号公報、特開平9−329864号公
報、特開平9−281637号公報などに記載の化合物
が挙げられる。本発明の安息香酸類は感光材料のいかな
る部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を
有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有
層に添加することがさらに好ましい。安息香酸類の添加
時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良
く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時か
ら塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製
後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法として
は粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行って
も良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加
物と混合した溶液として添加しても良い。安息香酸類の
添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり
1×10‐6モル〜2モルが好ましく、1×10‐3モル
〜0.5モルがさらに好ましい。
【0182】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、現像前後の保存性を向上させるため
などにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン
化合物を含有させることができる。
【0183】本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウ
ム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。好
ましくは、これらの基中の複素芳香環はベンズイミダゾ
ール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフト
チアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾー
ル、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、カルバ
ゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、ト
リアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジ
ン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プ
リン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳
香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびC
l)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個以上の
炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するも
の)およびアリール(置換基を有していてもよい)から
なる置換基群から選択されるものを有してもよい。メル
カプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプ
トベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾ
ール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプ
ト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2
−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス
−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−ト
リアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチ
オール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2
−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノ
リン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3
H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キ
ノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−
ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−
メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5
−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミ
ノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−
ヒドキロシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプ
トピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリ
ミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロ
クロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4
−トリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラ
ゾール、3−(5−メルカプトテトラゾール)−ベンゼ
ンスルフォン酸ナトリウム、N−メチル−N’−[3−
(5−メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2
−メルカプト−4−フェニルオキサゾール、N−[3−
(メルカプトアセチルアミノ)プロピル]カルバゾール
などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0184】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モル
の範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当た
り0.001〜0.3モルの量である。
【0185】本発明における画像形成層(好ましくは感
光性層)には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコー
ル(例えば、米国特許第2,960,404号明細書に
記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特
許第2,588,765号明細書および同第3,12
1,060号明細書に記載の脂肪酸またはエステル、英
国特許第955,061号明細書に記載のシリコーン樹
脂などを用いることができる。
【0186】本発明においては、画像形成層上に保護層
を設けることが好ましく、保護層のバインダーとして
は、前述のように、ガラス転移温度が25℃〜70℃の
ポリマーのラテックスを用いることが好ましい。この場
合保護層の全バインダーの50質量%以上、好ましくは
70質量%以上として前述のポリマーラテックスを用い
ることが好ましい。本発明ではこのような保護層を少な
くとも1層設けることが好ましい。このような保護層の
バインダー構成や塗設方法等については画像形成層と同
様である。保護層用のポリマーラテックスとしてはアク
リル系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニ
ル系、塩化ビニリデン系のポリマーラテックスが好まし
く用いられ、具体的にはアクリル樹脂系のVONCOR
T R3370、4280、Nipol Lx857、
メチル(メタ)アクリレート/2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート/スチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー、塩化
ビニル樹脂のNipol G576、塩化ビニリデン樹
脂のアロンD5071が好ましく用いられる。
【0187】本発明に用いられる保護層用の全バインダ
ー量は0.2〜5.0g/m2、より好ましくは0.5
〜4.0g/m2の範囲である。
【0188】表面保護層としては、いかなる付着防止材
料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワッ
クス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロッ
クコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレ
ン、スチレン−イソプレン−スチレン)、酢酸セルロー
ス、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロ
ピオネートやこれらの混合物などがある。また、表面保
護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面
活性剤などを添加してもよい。
【0189】本発明における画像形成層もしくは画像形
成層の保護層には、米国特許第3,253,921号明
細書、同第2,274,782号明細書、同第2,52
7,583号明細書および同第2,956,879号明
細書に記載されているような光吸収物質およびフィルタ
ー染料を使用することができる。また、例えば米国特許
第3,282,699号明細書に記載のように染料を媒
染することができる。フィルター染料の使用量としては
露光波長での吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜
1.5が特に好ましい。
【0190】感光性層には色調改良、イラジエーション
防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。
感光性層に用いる染料および顔料はいかなるものでもよ
いが、例えばカラーインデックス記載の顔料や染料があ
り、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラキノン
染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、
カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタ
ン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、
フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔料など
が挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料として
はアントラキノン染料(例えば特開平5−341441
号公報記載の化合物1〜9、特開平5−165147号
公報記載の化合物3−6〜18および3−23〜38な
ど)、アゾメチン染料(特開平5−341441号公報
記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料
(例えば特開平5−289227号公報記載の化合物1
1〜19、特開平5−341441号公報記載の化合物
47、特開平5−165147号公報記載の化合物2−
10〜11など)およびアゾ染料(特開平5−3414
41号公報記載の化合物10〜16)が挙げられる。こ
れらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒
子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる
方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量
によって決められるが、一般的に感光材料1m2当たり
1×10‐6g以上1g以下の範囲で用いることが好ま
しい。
【0191】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む
感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆ
る片面感光材料であることが好ましい。
【0192】本発明においてバック層は、所望の範囲で
の最大吸収が約0.3〜2.0であることが好ましい。
所望の範囲が750〜1400nmである場合には、7
50〜360nmにおいての光学濃度が0.005以上
0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは
0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーシ
ョン防止層であることが好ましい。所望の範囲が750
nm以下である場合には、画像形成前の所望範囲の最大
吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成後
の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.
3未満になるようなハレーション防止層であることが好
ましい。画像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方
法としては特に制限はないが、例えばベルギー特許第7
33,706号明細書に記載されたように染料による濃
度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54−1
7833号公報に記載の光照射による消色で濃度を低下
させる方法等が挙げられる。
【0193】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、このような染料は所望の範囲で目的の吸収を有
し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バッ
ク層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればい
かなる化合物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示
されているが本発明はこれに限定されるものではない。
単独の染料としては特開昭59−56458号公報、特
開平2−216140号公報、同7−13295号公
報、同7−11432号公報、米国特許第5,380,
635号明細書記載、特開平2−68539号公報公報
第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同
3−24539号公報公報第14頁左下欄から同第16
頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料とし
ては特開昭52−139136号公報、同53−132
334号公報、同56−501480号公報、同57−
16060号公報、同57−68831号公報、同57
−101835号公報、同59−182436号公報、
特開平7−36145号公報、同7−199409号公
報、特公昭48−33692号公報、同50−1664
8号公報、特公平2−41734号公報、米国特許第
4,088,497号明細書、同4,283,487号
明細書、同4,548,896号明細書、同5,18
7,049号明細書がある。
【0194】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フ
ィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセル
ロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デ
ンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル
酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ
ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン
−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、
ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ
樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)
類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテー
ト)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類があ
る。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジョン
から被覆形成してもよい。
【0195】本発明における片面感光材料は、搬送性改
良のために感光性乳剤層の表面保護層および/またはバ
ック層またはバック層の表面保護層にマット剤を添加し
ても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または
無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のも
のを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号
明細書、同2,701,245号明細書、同2,32
2,037号明細書、同3,262,782号明細書、
同3,539,344号明細書、同3,767,448
号明細書等に記載の有機マット剤、同1,260,77
2号明細書、同2,192,241号明細書、同3,2
57,206号明細書、同3,370,951号明細
書、同3,523,022号明細書、同3,769,0
20号明細書等に記載の無機マット剤など当業界で良く
知られたものを用いることができる。例えば具体的には
マット剤として用いることのできる有機化合物の例とし
ては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアク
リレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニ
トリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合
体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネー
ト、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導
体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘
導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェ
ニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、
公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート
硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど
好ましく用いることができる。無機化合物の例としては
二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化
アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の
方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土
などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は
必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることが
できる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任
意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に
際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるの
が好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広く
ても良い。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光
沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは
複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分
布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0196】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好まし
く、さらに好ましくは700秒以下50秒以上である。
【0197】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じな
ければいかようでも良いが、ベック平滑度が500秒〜
10,000秒が好ましく、特に500秒〜2,000
秒が好ましい。
【0198】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、
ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望
による追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機
銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中に
いくつかの他の成分を含まなければならない。しかし、
全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを
含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像
写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せ
を含んでよく、また、米国特許第4,708,928号
明細書に記載されているように単一層内に全ての成分を
含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の
場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,6
81号明細書に記載されているように、各乳剤層(感光
性層)の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使
用することにより、互いに区別されて保持される。
【0199】米国特許第4,460,681号明細書お
よび同第4,374,921号明細書に示されるような
裏面抵抗性加熱層(backside resisti
veheating layer)を感光性熱現像写真
画像系に使用することもできる。
【0200】画像形成層(好ましくは感光性層)、保護
層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜
剤の例としては、米国特許第4,281,060号明細
書、特開平6−208193号公報などに記載されてい
るポリイソシアネート類、米国特許第4,791,04
2号明細書などに記載されているエポキシ化合物類、特
開昭62−89048号公報などに記載されているビニ
ルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0201】本発明には塗布性、帯電改良などを目的と
して界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系な
どいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭
62−170950号公報、米国特許第5,380,6
44号明細書などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、
特開昭60−244945号公報、特開昭63−188
135号公報などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特
許第3,885,965号明細書などに記載のポリシロ
キサン系界面活性剤、特開平6−301140号公報な
どに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面
活性剤などが挙げられる。
【0202】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、バライタおよ
び/または部分的にアセチル化されたα−オレフィンポ
リマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフ
ィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的
に用いられる。このような支持体は透明であっても不透
明であってもよいが、透明であることが好ましい。これ
らのうちでも75〜200μm程度の2軸延伸したポリ
エチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
【0203】一方、プラスチックフィルムを80℃以上
の処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮
する。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場
合、この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題とな
る。よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に残存
する内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪
みをなくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用
いることが好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を塗布
する前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエ
チレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。ガラ
ス転移点の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケ
トン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルス
ルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用
できる。
【0204】本発明における熱現像感光材料は、帯電防
止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明
細書および同第3,206,312号明細書に記載のよ
うなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,4
51号明細書に記載のような不溶性無機塩、特開昭60
−252349号公報、同57−104931号公報に
記載されている酸化スズ微粒子などを含む層を有しても
よい。
【0205】本発明における熱現像感光材料を用いてカ
ラー画像を得る方法としては特開平7−13295号公
報10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方
法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国
特許第1,326,889号明細書、米国特許第3,4
32,300号明細書、同第3,698,909号明細
書、同第3,574,627号明細書、同第3,57
3,050号明細書、同第3,764,337号明細書
および同第4,042,394号明細書に例示されてい
る。
【0206】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号明細書に
記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む
種々のコーティング操作により被覆することができる。
所望により、米国特許第2,761,791号明細書お
よび英国特許第837,095号明細書に記載の方法に
より2層またはそれ以上の層を同時に被覆することがで
きる。
【0207】本発明における熱現像感光材料の中に追加
の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容
層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップ
コート層および光熱写真技術において既知のプライマー
層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感
光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像
層等の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料となら
ないことが好ましい。
【0208】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10‐7秒未満の露光が可能な装置
であればいずれでもよいが、一般的にはLaser D
iode(LD)、Light Emitting D
iode(LED)を光源に使用した露光装置が好まし
く用いられる。特に、LDは高出力、高解像度の点でよ
り好ましい。これらの光源は目的波長範囲の電磁波スペ
クトルの光を発生することができるものであればいずれ
でもよい。例えばLDであれば、色素レーザー、ガスレ
ーザー、固体レーザー、半導体レーザーなどを用いるこ
とができる。
【0209】露光は光源の光ビームをオーバーラップさ
せて露光し、オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビー
ム径より小さいことをいう。オーバーラップとは例え
ば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わ
したときFWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係
数)で定量的に表現することができる。本発明ではこの
オーバラップ係数が0.2以上であることが好ましい。
【0210】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。
【0211】本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズ
が低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞
発生防止技術としては、特開平5−113548号公報
などに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜
めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754
号公報などに開示されているマルチモードレーザーを利
用する方法が知られており、これらの技術を用いること
が好ましい。
【0212】本発明の熱現像感光材料を用いて画像を形
成する際の加熱現像工程はいかなる方法の現像方法であ
っても良いが、通常イメージワイズに露光した感光材料
を昇温して現像される。用いられる熱現像機の好ましい
態様としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒー
トドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5
−56499号公報、特許第684453号公報、特開
平9−292695号公報、特開平9−297385号
公報および国際公開WO95/30934号公報に記載
の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−132
94号公報、国際公開WO97/28489号公報、同
97/28488号公報および同97/28487号公
報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては
非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては
80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜14
0℃である。現像時間としては1〜180秒が好まし
く、10〜90秒がさらに好ましい。
【0213】本発明の熱現像感光材料の熱現像時の寸法
変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上
115℃未満の温度で画像が出ないようにして5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効である。
【0214】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラー
がヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を
平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー
対12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対
11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像
される。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する
搬送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数の
ローラー13が設置され、その反対側のバック面が接触
する側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン
から成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置され
る。熱現像感光材料10は画像形成層を有する面に接触
する複数のローラー13の駆動により、バック面は平滑
面14の上を滑って搬送される。加熱手段はローラー1
3の上部および平滑面14の下部に熱現像感光材料10
の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置さ
れる。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙
げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアランス
は平滑面の部材により異なるが、熱現像感光材料10が
搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは
0〜1mmである。
【0215】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。
【0216】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと加熱ヒーター15を備えた熱現像処
理部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予備
加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30
℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発さ
せるのに十分な温度および時間に設定することが望まし
く、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度(T
g)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定す
ることが好ましい。
【0217】また、熱現像処理部Bの下流にはガイド板
16が設置され、さらに、徐冷部が設置される。ガイド
板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、冷却は徐々に
行うのが好ましい。
【0218】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いられる熱現像機は種々の構成のも
のであってもよい。また、本発明において好ましく用い
られる多段加熱方法の場合は、加熱温度の異なる熱源を
2個以上設置し、連続的に異なる温度で加熱するように
すればよい。
【0219】
【実施例】以下に実施例をもって本発明の効果を説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 <実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤)水700mlに表1に記載のアルカリ処理ゼラ
チン(粒子形成時)11gおよび臭化カリウム30m
g、4−メチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.24
gを溶解して温度40℃にてpHを6.5に合わせた
後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カ
リウムを1モル/リットル、(NH42RhCl5(H2
O)を5×10‐6モル/リットルおよびK3IrCl6
を2×10‐5モル/リットルで含む水溶液をpAg
7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6
分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5g
を含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リッ
トルおよびK3IrCl6を2×10‐5モル/リットル
で含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコ
ントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添
加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理を
し、化合物Aを0.17g、表1に記載の酵素分解によ
り作成したアルカリ処理ゼラチン(分散時)および添加
量(g)を加え、pH5.9、pAg7.9に調整し
た。得られた粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投影
面積変動係数9%、(100)面比率90%の立方体粒
子であった。
【0220】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に
昇温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリ
ウム76μモルを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素
71μモルを添加して、100分熟成し、4−ヒドロキ
シ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
を5×10‐4モル加えた後、40℃に降温させた。
【0221】その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化
銀1モルに対して12.8×10‐ 4モルの下記増感色
素A、6.4×10‐3モルの化合物Bを攪拌しながら
添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤
の調製を終了した。
【0222】
【化12】
【0223】《有機酸銀分散物の調製》 <有機酸銀A>ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Eden
orC22−85R)87.6g、蒸留水423ml、
5N−NaOH水溶液49.2ml、tert−ブチル
アルコール120mlを混合し、75℃にて1時間攪拌
し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝
酸銀40.4gの水溶液206.2mlを用意し、10
℃にて保温した。635mlの蒸留水と30mlのte
rt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保
温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量
と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10
秒と60分かけて添加した。この時、硝酸銀水溶液添加
開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるよ
うにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始
し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナ
トリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、
反応容器内の温度は30℃とし、液温度が上がらないよ
うにコントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液
の添加系の配管は、スチームトレースにより保温し、添
加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチ
ーム量をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加
系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることによ
り保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸
銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心として対称的な配置
とし、また反応液に接触しないような高さに調節した。
【0224】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水
の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうし
て得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキと
して保管した。
【0225】得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕
微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径0.5
2μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の変
動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0226】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作成した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をイ
ンタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の
温度を調節することで所望の分散温度に設定した。
【0227】こうして得たベヘン酸銀分散物に含まれる
ベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径0.52μm、変動
係数15%の粒子であった。粒子サイズの測定は、Ma
lvern Instruments Ltd.製Ma
sterSizerXにて行った。また電子顕微鏡撮影
により評価すると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚み
0.14μm、平均アスペクト比(粒子の投影面積の円
相当径と粒子厚みの比)が5.1であった。
【0228】《1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサ
ン:還元剤固体微粒子分散物の調製》1,1−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサン25gに対してクラレ(株)製
MPポリマーのMP−203の20質量%水溶液を25
g、日信化学(株)製サフィノール104Eを0.1
g、メタノール2gと水48mlを添加してよく撹拌し
て、スラリーとして3時間放置した。その後、1mmの
ジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダー
ミル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し還元剤
固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質
量%が0.3μm〜1.0μmであった。
【0229】《ポリハロゲン化合物の固体微粒子分散物
の調製》ポリハロゲン化合物−Aの30gに対してクラ
レ(株)製MPポリマーのMP−203を4g、化合物
C0.25gと、水66gを添加し良く撹拌し、その後
0.5mmのジルコニアシリケートビーズを200g用
意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/
16Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)
製)にて5時間分散し、固体微粒子分散物を調製した。
粒子径は、粒子の80質量%が0.3μm〜1.0μm
であった。ポリハロゲン化合物−Bについてもポリハロ
ゲン化合物−Aと同様に固体微粒子分散物を調製し、同
様な粒子径となった。
【0230】《造核剤の固体微粒子分散物の調製》造核
剤C−62の10gに対して、ポリビニルアルコール
(クラレ製PVA−217)2.5g、水87.5gを
添加し良く攪拌してスラリーとして3時間放置した。そ
の後、0.5mmのジルコニアビーズを240g用意し
てスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4G
サンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて
10時間分散し、固体微粒子分散物を調製した。粒子径
は、粒子の80質量%が0.1μm〜1.0μmで、平
均粒径0.5μmであった。
【0231】《化合物Zの固体微粒子分散物の調製》化
合物Zの30gに対して、クラレ(株)製MPポリマー
のMP−203を3gと水87ml添加してよく攪拌し
て、スラリーとして3時間放置した。その後、上記還元
剤固体微粒子分散物の調製と同様にして、化合物Zの固
体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量
%が0.3μm〜1.0μmであった。
【0232】《乳剤層塗布液の調製》上記で作成した有
機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバイン
ダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水
を加えて、乳剤層塗布液とした。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト リメチルヘキサン 固形分として 149g ポリハロゲン化合物−A 固形分として 34.8g ポリハロゲン化合物−B 固形分として 9.0g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.30g ベンゾトリアゾール 1.04g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6‐イソプロピルフタラジン 15.0g オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 化合物Z 固形分として 9.7g 造核剤C−62 固形分として 16.7g 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として0.37g) 表1記載のハロゲン化銀乳剤 Ag量として 0.06モル
【0233】
【化13】
【0234】《乳剤面下層保護層塗布液の調製》メチル
メタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリ
レート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリ
ル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量
%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度57℃、固形分濃度として21.5質量%、造膜助
剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して15質
量%含有)956gに水を加え、化合物E 1.62
g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm)
1.98gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA−235)23.6gを加え、さらに水を加
えて、塗布液を調製した。
【0235】《乳剤面上層保護層塗布液の調製》メチル
メタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリ
レート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリ
ル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量
%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度54℃、固形分濃度として21.5質量%、造膜助
剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して15質
量%含有)630gに水を加え、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524)30質量%溶
液6.30g、化合物E 0.72g、化合物F 7.
95g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μ
m)1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)8.30gを加え、さらに
水を加えて、塗布液を調製した。
【0236】
【化14】
【0237】《バック/下塗り層のついたPET支持体
の作製》 (1)支持体 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラ
クロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のP
ETを得た。これをペレット化した後、130℃で4時
間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急
冷し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの
未延伸フイルムを作製した。
【0238】これを周速の異なるロールを用い、3.3
倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施
した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃
であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと
同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターの
チャック部をスリットした後、両端にナール加工を行
い、4.8kg/cm2で巻きとった。このようにし
て、幅2.4m、長さ3500m、厚み120μmのロ
ールを得た。
【0239】 (2)下塗り層(a) ポリマーラテックス−(1)(コア部90質量%、シェル部10質量%のコア シェルタイプのラテックスで、コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/ メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9 /0.1(質量%)、シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチル メタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量 %)から成る重量平均分子量38000のポリマーラテックス) 固形 分量として 3.0g/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 1.5mg/m2
【0240】 (3)下塗り層(b) 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2
【0241】 (4)導電層 ジュリマーET−410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2 化合物A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM−3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18mg/m2 染料A 783nmの光学濃度が1.2になる塗布量 SnO2/Sb (9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0242】 (5)保護層 ポリマーラテックス−(2) (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(質量%の共重合体)) 固形分量として 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM−3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218mg/m2
【0243】(6)バック/下塗り層のついたPET支
持体の作製 支持体(ベース)の両面に下塗り層(a)と下塗り層
(b)を順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥し
た。ついで、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布し
た上の一方の側の面に導電層と保護層を順次塗布し、そ
れぞれ180℃、4分間乾燥して、バック/下塗り層の
ついたPET支持体を作製した。下塗り層(a)の乾燥
厚みは2.0μmであった。
【0244】(7)搬送熱処理 (7−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力3kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送した。 (7−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0245】
【化15】
【0246】《熱現像感光材料(サンプル)の作製》前
記下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した側のPE
T支持体の下塗り層の上に前記の乳剤層塗布液を塗布銀
量1.7g/m2になるように塗布した。さらにその上
に、前記乳剤面下層保護層塗布液をポリマーラテックス
の固形分塗布量が1.31g/m2になるように乳剤塗
布液と共に同時重層塗布した。その後でその上に前記乳
剤面上層保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗
布量が3.02g/m2になるように塗布し、熱現像感
光材料を作製した。得られた熱現像感光材料の画像形成
側の膜面pHは4.9、ベック平滑度が660秒であ
り、反対側の膜面pHは5.9、ベック平滑度は560
であった。
【0247】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラーの回転数を変化させることにより露
光時間を、出力値を変えることにより露光量を調整し、
2×10‐8秒で露光した。この時のオーバーラップ係
数は0.449にした。
【0248】(熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料
を図1の熱現像機を用いて、熱現像処理部のローラー表
面材質はシリコーンゴム、平滑面はテフロン不織布にし
て予備加熱部90〜100℃で5秒、熱現像処理部12
0℃で20秒間熱現像処理を行った。なお、幅方向の温
度精度は±1℃であった。
【0249】(写真性能の評価)得られた画像の評価を
マクベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。
測定の結果は、Dmin、感度(Dminより1.5高
い濃度を与える露光量の比の逆数の相対値で評価し、表
1に記載の熱現像感光材料のサンプル1を100とし
た)、Dmax、γ(コントラスト)で評価した。γは
露光量の対数を横軸として、Dmin部分を差し引いた
濃度0.2と2.5の点を結ぶ直線の傾きで表した。各
熱現像感光材料について上記評価を実施した結果を表1
に示す。
【0250】
【表1】
【0251】本発明のサンプル2〜8はDminが低
く、Dmaxが高くかつコントラストが高く良好な性能
が得られることが分かる。以上より、感光性ハロゲン化
銀の乳剤が低分子量ゼラチンを含有することの効果は明
らかである。
【0252】<実施例2>実施例1の熱現像感光材料の
サンプル1(比較例)と3(本発明)について塗布面状
の評価を行った。比較例のサンプルがA2サイズ当たり
10個の凝集物が発生していたのに対し、本発明のサン
プルは凝集物が発生していなかった。従って、本発明の
熱現像感光材料は製品上商品価値を損なうことのないこ
とは明らかである。
【0253】
【発明の効果】本発明によれば、硬調感光材料としての
性能に優れ、塗布面状が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀乳剤およびバインダーを有する熱現像感光材料に
    おいて、前記感光性ハロゲン化銀乳剤は感光性ハロゲン
    化銀と分子量500〜6万の低分子量ゼラチンとを含有
    することを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 【請求項2】 前記低分子量ゼラチンの分子量が100
    0〜4万である請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 前記乳剤が、非感光性銀塩とは独立に形
    成された感光性ハロゲン化銀を含有する請求項1または
    2に記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 前記乳剤が、脱塩処理したハロゲン化銀
    粒子含有組成物に低分子量ゼラチンを添加する工程を経
    て調製された請求項1〜3のいずれかに記載の熱現像感
    光材料。
  5. 【請求項5】 前記乳剤が、分子量6万を超えるゼラチ
    ンの存在下でハロゲン化銀粒子を形成し、脱塩処理した
    後に前記低分子量ゼラチンを添加する工程を経て調製さ
    れた請求項4に記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 前記乳剤が、低分子量ゼラチンの存在下
    でハロゲン化銀粒子を形成する工程を経て調製された請
    求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  7. 【請求項7】 前記低分子量ゼラチンが、アルカリ処理
    ゼラチン、酸処理ゼラチンまたはフタル化ゼラチンであ
    る請求項1〜6のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  8. 【請求項8】 前記低分子量ゼラチンが、アルカリ処理
    ゼラチンである請求項7に記載の熱現像感光材料。
  9. 【請求項9】 感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
    層のバインダーの50質量%以上としてガラス転移温度
    −30℃〜40℃のポリマーのラテックスが用いられる
    請求項1〜8のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  10. 【請求項10】 感光性ハロゲン化銀を含有する画像形
    成層のバインダーの70質量%以上としてガラス転移温
    度−30℃〜40℃のポリマーのラテックスが用いられ
    る請求項9に記載の熱現像感光材料。
  11. 【請求項11】 造核剤を含有する請求項1〜10のい
    ずれかに記載の熱現像感光材料。
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