JP2000112072A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2000112072A
JP2000112072A JP10292857A JP29285798A JP2000112072A JP 2000112072 A JP2000112072 A JP 2000112072A JP 10292857 A JP10292857 A JP 10292857A JP 29285798 A JP29285798 A JP 29285798A JP 2000112072 A JP2000112072 A JP 2000112072A
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Tadashi Ito
忠 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬調感材としての性能に優れ、保存性が良好
な熱現像感光材料を提供する。 【解決手段】 非感光性銀塩および感光性ハロゲン化銀
を含有する画像形成層の主バインダーとして、ガラス転
移温度−30℃以上40℃以下のポリマーのラテックス
が用いられ、支持体に対して画像形成層側の層に特定構
造のフタル酸誘導体と造核剤とを含有させ、画像形成層
側の膜面pHを6以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高く、か
つ保存時のカブリの上昇の少ない画像を得ることが可能
な写真製版用熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。
【0003】近年写真製版分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメー
ジセッターにより効率的に露光させることができ、高解
像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成するこ
とができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する技術
が必要とされている。これら熱現像感光材料では、溶液
系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損な
わない熱現像処理システムを顧客に対して供給すること
ができる。
【0004】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号、およびD.
モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
「熱によって処理される銀システム(Thermally Proces
sed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシ
ーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and M
aterials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.
ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)
編集、第2頁、1969年)に記載されている。このような
感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有している。感光材料は常温で安定で
あるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場
合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって
生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対
照をなし、画像の形成がなされる。
【0005】また、従来から前記熱現像感光材料は知ら
れているが、これらの多くはトルエン、メチルエチルケ
トン(MEK)、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とす
る塗布液を塗布することにより感光性層を形成してい
る。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での
人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その他のためコス
ト上も不利である。
【0006】そこでこのような心配のない水溶媒の塗布
液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49-52626号、特開昭53-116144号などにはゼラチンをバ
インダーとする例が記載されている。また特開昭50-151
138号にはポリビニルアルコールをバインダーとする例
が記載されている。
【0007】さらに特開昭60-61747号にはゼラチンとポ
リビニルアルコールを併用した例が記載されている。こ
れ以外の例として特開昭58-28737号には水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする感光性層の例が記載さ
れている。
【0008】確かにこのようなバインダーを用いると水
溶媒の塗布液を用いて感光層を形成することができて環
境面、コスト面のメリットは大きい。
【0009】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、有機銀塩との相溶性が悪く、塗布
面質上実用に耐える塗布物が得られないばかりでなく、
現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色からかけ離
れた茶色や黄色になったり、露光部の黒化濃度が低く未
露光部の濃度が高い等商品価値の著しく損なわれたもの
しか得られなかった。
【0010】欧州特許762,196号、特開平9-90550号公報
等に熱現像感光材料に用いる感光性ハロゲン化銀粒子に
第VII族またはVIII族(7〜10族)の金属イオンまた
は金属錯体イオンを含有させること、および感光材料中
にヒドラジン誘導体を含有させて高コントラストな写真
特性を得ることができることが開示されている。しか
し、前述の水溶媒の塗布液で用いるバインダーとヒドラ
ジンのような造核剤を併用すると、高コントラストな画
像を得ることができるが、同時にカブリが生じやすく、
特に保存時のカブリの上昇が大きいという問題があっ
た。
【0011】そこで、カブリが低く、Dmax(最高濃
度)が高く、かつ保存時のカブリの上昇の少ない画像を
得ることが可能で、環境面・コスト面で有利な熱現像感
光材料を提供する技術が望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする第一の課題は、特に写真製版用、特にスキ
ャナー、イメージセッター用として、カブリが低く、D
max(最高濃度)が高く、かつ保存時のカブリの上昇
の少ない画像を得ることが可能な熱現像感光材料を提供
することにある。さらに、本発明の解決しようとする第
二の課題は環境面・コスト面で有利な水系塗布可能な熱
現像感光材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この課題は下記手段によ
って達成された。 (1) 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀
およびバインダーを有する熱現像感光材料において、非
感光性銀塩および感光性ハロゲン化銀を含有する画像形
成層のバインダーの50重量%以上としてガラス転移温
度−30℃以上40℃以下のポリマーのラテックスが用
いられ、かつ画像形成層を有する側に下記式(A)で表
される有機酸化合物を少なくとも一種および造核剤を有
し、画像形成層側の膜面pHが6以下であることを特徴
とする熱現像感光材料。
【0014】
【化4】
【0015】[式(A)中、Tは1価の置換基を表し、
1は0以上4以下の整数を表す。k1=0はすべて水素
原子であることを表し、k1≧2の場合、複数のTはそ
れぞれ同一であっても異なっていてもよく、互いに結合
して環を形成していてもよい。L1およびL2は連結基を
表す。n1およびn2は0以上30以下の整数を表す。] (2) 画像形成層を有する側に、さらに下記式(B)
で表される化合物を少なくとも一種有する上記(1)の
熱現像感光材料。
【0016】
【化5】
【0017】[式(B)中、Mは水素原子またはk価の
陽イオンを表し、kは1以上の整数を表す。Rは置換基
を表し、nは1〜4の整数であり、n≧2の場合複数の
Rは同一であっても異なっていてもよく、互いに結合し
て環を形成していてもよい。] (3) 膜面pHの調節に少なくともアンモニアを用い
る上記(1)または(2)の熱現像感光材料。 (4) 造核剤が下記式(1)で表される置換アルケン誘
導体,下記式(2)で表される置換イソオキサゾール誘導
体,および下記式(3)で表される特定のアセタール化合
物から選ばれる少なくとも一種の化合物である上記
(1)〜(3)のいずれかの熱現像感光材料。
【0018】
【化6】
【0019】[式(1)において、R1、R2およびR
3は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z
は電子吸引性基またはシリル基を表す。式(1)において
1とZ、R2とR3、R1とR2、およびR3とZは、それ
ぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。式
(2)においてR4は、置換基を表す。式(3)において、
XおよびYは、それぞれ独立に水素原子または置換基を
表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシ基、アル
キルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、ア
リールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ
環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。式(3)におい
てXとY、およびAとBは、それぞれ互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。]
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、非感光性銀塩および感光性
ハロゲン化銀を含有する画像形成層の主バインダーとし
て環境面・コスト面で有利な水系塗布が可能で、かつ良
好な写真性能を可能にするガラス転移温度−30℃以上
40℃以下のポリマーのラテックスが用いられたもので
ある。このような感光材料において、式(A)で表され
る有機酸化合物と造核剤とを含有させ、かつ画像形成層
側の膜面pHを6.0以下とすることによって、硬調感
材としての性能が良好になり、かつ保存による性能の変
化が防止できる。このような効果は、さらに、式(B)
で表される化合物を併用し、膜面pHの調節用のアルカ
リ剤としてアンモニアを用いることによって向上する。
【0021】本発明に非感光性銀塩として用いることの
できる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露
光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)およ
び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された
場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオ
ンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。
有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜2
8の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.
0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機または無機
銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像
形成層の約5〜70重量%を構成することができる。好まし
い有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩
を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および
芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されるこ
とはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例として
は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オ
レイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン
酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒
石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これら
の混合物などを含む。
【0022】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好
ましく用いることができる。
【0023】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩,K塩,
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。本発明の有機酸アルカリ金
属塩は、上記有機酸をアルカリ処理することによって得
られる。本発明の有機酸銀は任意の好適な容器中で回文
式でまたは連続式で行うことができる。反応容器中の撹
拌は粒子の要求される特性によって任意の撹拌方法で撹
拌することができる。有機酸銀の調製法としては、有機
酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器
に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、
硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機酸ア
ルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激
に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時
に添加する方法のいずれもが好ましく用いることができ
る。
【0024】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調製する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0から50vol%が好ましく、0から2
5vol%が特に好ましい。また特開平9-127643号公報等
に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀電位を
制御しながら添加する方法も好ましく用いることができ
る。
【0025】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調整する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。
【0026】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
としては好ましくは総炭素数15以下の物が好ましく、
10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例
としては、tert-ブタノール等が挙げられるが、本発明
はこれに限定されない。
【0027】本発明に用いられる第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調整時のいずれのタイミングでも良い
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時
の溶媒としてのH2Oに対して重量比で0.01〜10の範囲
で任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好
ましい。
【0028】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以上0.2
0μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短
軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以
下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散
であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれ
の長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の10
0分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定
方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より
求めることができる。単分散性を測定する別の方法とし
て、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方
法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動
係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例え
ば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その
散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求め
ることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)か
ら求めることができる。
【0029】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。
【0030】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。
【0031】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて熱現像感光材料を作
製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像感光
材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に変換して
分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上
昇し、感度が著しく低下する。また、分散媒として水で
はなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くなり、カブ
リが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、感光性銀
塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の有機銀塩
の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン法を用い
ると感度が低下する。
【0032】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含有量は非感光性の有機銀塩に対して0.
1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は行わな
いものである。
【0033】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、
等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも有機銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。
【0034】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で
通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧下か
ら常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散
効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数を
増やすなどの工夫を施したものも考案されている。これ
に対して、近年更に高圧、高流速での分散が可能となる
装置が開発されてきており、その代表例としてはマイク
ロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インター
ナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー(特
殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0035】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。
【0036】これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させる
ことにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力
を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降
下を生じさせることにより本発明に最適な有機銀塩分散
物を得ることが可能である。
【0037】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させ
ても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶
媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除
去される。
【0038】本発明の有機銀塩分散においては、流速、
圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子
サイズに分散することが可能であるが、写真特性と粒子
サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時
の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300
m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2
の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は必要
に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回数が
選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数
が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にする
ことは、分散性、写真特性の点から好ましくなく、90℃
を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすく
なると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本
発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしく
は、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程
に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程
により5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、
更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保
たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm2
範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置すること
が有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、
二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したもの、
多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択すること
ができる。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧
力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを
選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、
20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また必
要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使
用することもできる。
【0039】本発明の分散操作では、水性溶媒可溶な分
散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが
好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル
酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレ
イン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパン
スルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カル
ボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースな
どの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸
などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の
自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いるこ
とができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセル
ロース誘導体が特に好ましい。
【0040】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしても良い。
【0041】機械的に分散する以外にも、pHコントロー
ルすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存
在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このと
き、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良
く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0042】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0043】本発明の有機銀塩固体微粒子分散物の粒子
サイズ(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固
体微粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆ
らぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることによ
り得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めるこ
とができる。平均粒子サイズ0.05μm以上10.0μm以下
の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒
子サイズ0.1μm以上5.0μm以下、更に好ましくは平均
粒子サイズ0.1μm以上2.0μm以下である。
【0044】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準
偏差を体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)
が80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30
%以下である。
【0045】有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀
塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができ
る。
【0046】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して1〜30重量%、特に3〜15
重量%の範囲が好ましい。
【0047】本発明では有機銀塩水分散液と感光性銀塩
水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であ
るが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて
選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜3
0モル%の範囲が好ましく、更に3〜20モル%、特に5〜1
5モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機
銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合す
ることは、写真特性の調節のために好ましく用いられる
方法である。
【0048】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましく
は1〜3g/m2である。
【0049】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明では前述のハロゲン化物でな
い、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0050】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後の、粒子形成直
後、分散前、分散後および塗布液調整前後など塗布直前
までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分散
後、塗布液調整前後である。
【0051】本発明におけるCa、Mg、ZnおよびA
gから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性
有機銀1モル当たり10-3〜10-1モルが好ましく、特に5×
10-3〜5×10-2モルが好ましい。
【0052】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造としては好ましくは2〜
5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル
粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀
粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いる
ことができる。
【0053】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており例えば、リサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458
号に記載されている方法を用いることができるが、具体
的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化
合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感
光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合す
る方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、
画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいこと
が好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.
01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.
12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲ
ン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶で
ある場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。ま
た、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表
面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をい
う。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒
子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を
考えたときの直径をいう。
【0054】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増
感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記
載の方法により求めることができる。
【0055】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表の第VII族あるいは第VIII族(7〜10族)の金属
または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるい
は第VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ま
しくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、
イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよい
し、同種金属および異種金属の錯体を2種以上併用して
もよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9
ルから1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8
ルから1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な
金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載され
た構造の金属錯体を用いることができる。
【0056】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例え
ば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウ
ム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト
等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)
錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テトラ
クロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジ
ウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリオキザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハ
ロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、
あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、
NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性
ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あら
かじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子
を添加して溶解させることも可能である。
【0057】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10-4モルの
範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×
10-5モルである。
【0058】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0059】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63-2042号、特開平1-285941号、
同2-20852号、同2-20855号等に記載された水溶性錯塩の
形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で
示される六配位錯体が挙げられる。 [ML6n- ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子
を表し、nは0、1、2、3または4を表す。
【0060】この場合、対イオンは重要性を持たず、ア
ンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。
【0061】また好ましい配位子としてはハロゲン化物
配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニト
ロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0062】 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0063】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当たり1×10-9モル〜1×10-4モルの範囲が好
ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-5
ルである。
【0064】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0065】これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成
中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属
錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液
を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中
に添加しておく方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同
時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3液同時
混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるい
は粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に
投入する方法などがある。特に粉末もしくはNaCl、KCl
と一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加
する方法が好ましい。
【0066】粒子表面に添加するには、粒子形成直後ま
たは物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に
必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入することも
できる。
【0067】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加す
る方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用い
る代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウ
ムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶
解させることも可能である。
【0068】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させ
ても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシ
ェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0069】上記金属はハロゲン化銀1モル当たり1×
10-9〜1×10-4モルが好ましい。また、上記金属を
含有せしめるには単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩
にして粒子調製時に添加することができる。
【0070】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。
【0071】本発明のハロゲン化銀乳剤に金増感を施す
場合に用いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1価
でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化
合物を用いることができる。代表的な例としては塩化金
酸、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロラ
イド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨ
ードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アン
モニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴ
ールドなどが挙げられる。
【0072】金増感剤の添加量は種々の条件により異な
るが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7
ル以上10-3モル以下、より好ましくは10-6モル以上
5×10-4以下である。
【0073】本発明のハロゲン化銀乳剤は金増感と他の
化学増感とを併用することが好ましい。他の化学増感の
方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法、貴金属増感法などの知られている方法を用いること
ができる。金増感法と組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法
とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法
とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0074】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間撹拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当たり10-7〜10-2モルであり、より好
ましくは10-5〜10-3モルである。
【0075】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号、同43-13489号、特開平4-25832号、同
4-109240号、同4-324855号等に記載の化合物を用いるこ
とができる。特に特開平4-324855号中の一般式(VIII)
および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0076】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5-3132
84号に記載の方法で試験することができる。テルル増感
剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカ
ルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド
類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテ
ルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合
を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガ
ニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド
類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、
テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含T
eヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化
合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。具
体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同
第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、
同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,9
58号、特開平4-204640号、特願平3-53693号、同3-131598
号、同4-129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
イアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.S
oc.Chem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 6
45(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ
ー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.
Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケ
ミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド
・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organ
ic Serenium and Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、
同 Vol.2(1987)に記載の化合物を用いることができる。
特に特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV) で
示される化合物が好ましい。
【0077】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0078】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロ
ゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカド
ミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させ
てもよい。
【0079】本発明においては、還元増感を用いること
ができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコ
ルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはp
Agを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感す
ることができる。また、粒子形成中に銀イオンのシング
ルアディション部分を導入することにより還元増感する
ことができる。
【0080】本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特
許EP293,917号に示される方法により、チオスルホン
酸化合物を添加してもよい。
【0081】本発明に用いられる感光材料中のハロゲン
化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、
平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
併用してもよい。
【0082】本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量とし
ては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モ
ル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以
下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好
ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩
の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終
了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジ
ナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製
中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲ
ン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、
本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限は
ない。
【0083】本発明の熱現像感光材料は、画像形成層を
有する側の層に下記式(A)で表される有機酸化合物を
少なくとも一種含有する。
【0084】
【化7】
【0085】式(A)中、Tは1価の置換基を表し、k
1は0以上4以下の整数を表す。k1=0はすべて水素原
子であることを表し、k1≧2の場合、複数のTはそれ
ぞれ同一であっても異なっていてもよく、互いに結合し
て環を形成していてもよい。複数のTが互いに環を形成
していないときk1は0、1または2が好ましく、0ま
たは1が特に好ましい。
【0086】Tで表される1価の置換基としては、例え
ばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であ
り、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プ
ロピル、n一ブチル、iso−ブチル、tert−ブチ
ル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シ
クロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが
挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは
炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテ
ニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニ
ル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜
12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギ
ル、3−ベンチニル等が挙げられる。)、アリール基
(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6
〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば
フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げら
れる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より
好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜
6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられ
る。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1
〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基
(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6
〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば
フェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられ
る。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜1
2であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピ
バロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2
〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、テトラデシ
ルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオ
キシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好
ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜1
0であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げ
られる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜2
0、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭
素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオ
キシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましく
は炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特
に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルア
ミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙
げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、
特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシ
カルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキ
シカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、よ
り好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7
〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ
などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスル
ホニルアミノ、オクタンスルホニルアミノ、ベンゼンス
ルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル
基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数
0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例え
ばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルス
ルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられ
る。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモ
イル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルな
どが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素
数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ま
しくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチ
ルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好まし
くは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、
特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル
チオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に
好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシ
ル、などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスル
フィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられ
る。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニ
ルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエ
チルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げら
れる。)、ヒドロキシ基、カルポキシル基、スルホ基、
スルフィノ基(スルフィン酸基)、メルカプト基、ハロ
ゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、
ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ピリ
ジル、フリル、ピぺリジル、モルホリノなどが挙げられ
る。)などが挙げられる。また、複数のTが互いに結合
して環を形成している例としては、既知のいかなる縮環
フタル酸を用いることもできるが、好ましい例としては
[3,4]ベンゾ、[4,5]ベンゾ、[4,5]ナフ
ト、[3,4]メチレンジオキシ(すなわちジオキソ
ロ)、[4,5]メチレンジオキシなどを挙げることが
できる。またアルカリ金属などとの塩形成が可能な置換
基は塩を形成していても良い。これらの置換基或いは縮
環は更に置換されていてもよい。また、置換基が二つ以
上ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
【0087】Tで表される置換基として好ましくはアル
キル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキ
シカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニ
ルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スル
ホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、
ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、カルポキ
シル基、スルホ基、スルフィノ基、スルホニル基、ハロ
ゲン原子、シアノ基、ニトロ基、へテロ環基、[3,
4]ベンゾ、[4,5]ベンゾ、[4,5]ナフト、
〔3,4]メチレンジオキシ、[4,5]メチレンジオ
キシであり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルア
ミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カル
バモイル基、ヒドロキシ基、スルホニル基、ハロゲン原
子、シアノ基であり、[3,4]ベンゾ、[4,5]ベ
ンゾ、[3,4〕メチレンジオキシ、[4,5]メチレ
ンジオキシ、特に好ましくは、アルキル基、アリール
基、アルコキシ基、[4,5]ベンゾ、[4,5]メチ
レンジオキシである。
【0088】L1およびL2は連結基を表す。L1および
2で表される連結基は、好ましくは1ないし4原子分
の長さの二価の連結基であり、更に置換基を有していて
もよい。好ましい例としては−CH2−、−CH2CH2
−、−C(=O)−、−CONH−、−SO2NH−を
挙げることができる。
【0089】n1およびn2は0以上30以下の整数を表
す。L1、L2およびn1、n2として好ましい組み合わせ
は、L1およびL2が0ないし2原子の長さの連結基を表
すときは、n1およびn2として0ないし10であること
が好ましく、L1およびL2が3ないし4原子の長さの連
結基を表すときは、n1およびn2として0ないし6であ
ることが好ましい。L1、L2およびn1、n2の組み合わ
せとしては、L1およびL2が0ないし2原子の長さの連
結基を表し、n1およびn2としては0ないし6であるこ
とが更に好ましい。L1、L2およびn1、n2の組み合わ
せとしては、L1およびL2が−CH2−、−CH2CH2
−、−C(=O)−、−CONH−、−SO2NH−を
表し、n1およびn2が0ないし2を表すことが特に好ま
しい。
【0090】本発明の式(A)で表される化合物は、例
えば、新実験化学講座(丸善)14−III、5章−1、
Organic Fanctional Group
Preparetions(Academic Pre
ss New York and London)I−
9章、Tetrahedron、31巻(20),26
07−19ページ(1975年)、Angewante
Chem.86巻(9),349ページ(1974
年)およびこれらに引用された文献等に記載の方法に準
じて合成できる。また、市販の化合物を用いてもよい。
【0091】以下に式(A)で表される有機酸化合物の
例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0092】
【化8】
【0093】
【化9】
【0094】
【化10】
【0095】式(A)で表わされる化合物の添加量はAg
1モル当たり10-4モル〜10モルが好ましく、さらに
10-3モル〜1モルが好ましい。また式(A)で表され
る化合物は一種のみを用いても二種以上を併用してもよ
い。
【0096】本発明の式(A)で表わされる化合物は、
溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加
してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例え
ば 、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロ
イドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われ
る。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いても
よい。
【0097】本発明の式(A)で表わされる化合物は感
光材料の画像形成層側の層、例えば画像形成層となりう
る感光性層、この層側の非感光性層に添加することがで
きる。
【0098】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の
膜面pHは6以下であり、好ましくは5.5以下、さら
に好ましくは5.3以下である。その下限には特に制限
はないが、3程度である。
【0099】膜面pHの調節は前記の式(A)で表され
る有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの
揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させると
いう観点から好ましい。
【0100】特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する
工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pH
を達成する上で好ましい。
【0101】なお、本発明の膜面pHの測定は熱現像処
理前の熱現像感光材料2.5cm×2.5cmを舟形に折
り、その画像形成層側に300μl の蒸留水を滴下し、
30分静置した後に、その滴下液をpH BOY−P2
(新電元工業株式会社製、半導体方式のpH計)にて1
分間測定することで行った。
【0102】本発明の熱現像感光材料は、画像形成層を
有する側の層に下記式(B)で表される化合物を少なく
とも一種含有することが本発明の目的である熱現像感光
材料の保存時のカブリを低減させる上で好ましい。
【0103】
【化11】
【0104】式(B)において、Mは水素原子またはk
価の陽イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイ
オン、カルシウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン
等の金属イオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラブチルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオン
等)を表わす。kは例示されるイオンが示すように1以
上の整数であり、通常1または2である。また、Mが水
素原子の時k=1である。
【0105】式(B)において、Rは置換基を表わし、
例えば直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは
1〜8であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロ
ピル、t−ブチル、n−オクチル、1,1,3,3−テ
トラメチルブチル、t−アミル、シクロヘキシルなどが
挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であ
り、例えば、ビニル、アリル、2-ブテニル、3-ペンテニ
ルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2
〜8であり、例えば、プロパルギル、3-ペンチニルなど
が挙げられる。)、アラルキル基(好ましくは炭素数7
〜30、より好ましくは7〜20、特に好ましくは7〜
16であり、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、
α−エチルベンジル、ジフェニルメチル、ナフチルメチ
ル、ナフチルフェニルメチルなどが挙げられる。)、ア
リール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6
〜20、 特に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニ
ル、p-メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられ
る。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ま
しくは0〜10、更に好ましくは0〜6であり、例えば、
アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキ
シ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
2、特に好ましくは1〜8であり、例えば、メトキシ、
エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオ
キシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜
16、特に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオ
キシ、2-ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、
特に好ましくは1〜12であり、例えば、アセチル、ベン
ゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例
えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが
挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好まし
くは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好まし
くは7〜10であり、例えば、フェノキシカルボニルなど
が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10
であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシなどが
挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10で
あり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど
が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好
ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルア
ミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル
アミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7
〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えば、フェニル
オキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホ
ニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メタ
ンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが
挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数
0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12
であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイ
ル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル
などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭
素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0
〜12であり、例えば、カルバモイル、ジエチルカルバモ
イル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、ウ
レイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1
〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイ
ド、メチルウレイド、フェニルウレイなどが挙げられ
る。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例
えば、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好まし
くは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えば、フ
ェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ま
しくは1〜12であり、例えば、メシル、トシルなどが挙
げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であ
り、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニ
ルなどが挙げられる。)、燐酸アミド基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1
〜12であり、例えば、ジエチル燐酸アミド、フェニル燐
酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカ
プト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カ
ルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム基、スルフィノ
基、ヒドラジノ基、スルホニルチオ基、チオスルホニル
基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピリジル、フ
リル、ピペリジル、モリホリルなどが挙げられる。)、
ジスルフィド基などが挙げられる。
【0106】これらの置換基は、更に、置換されていて
も良く、塩形成が可能な基である場合は塩を形成してい
ても良い。また、nは1〜4の整数であるが、置換基が
2つ以上ある場合、即ちn≧の2場合は、同じでも異な
っていても良い。nは1〜3が好ましく、2が最も好ま
しい。
【0107】また、これらの置換基は互いに結合して5
員ないし7員環の非芳香族または芳香族の炭素環(例え
ばベンゼン環)を形成しても良い。さらに、この環は他
の置換基(例えばハロゲン原子、カルボキシ基)で置換
されていても良い。
【0108】Rで表わされる置換基として好ましくは、
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル
基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミ
ノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミ
ノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド
基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、メ
ルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カル
ボキシ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、さらに好まし
くは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アミ
ノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、
メルカプト基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシ基
である。
【0109】さらに、式(B)において、水酸基のオル
ト位および/またはパラ位にアルキル基(アラルキル基
も含む。)が置換することが特に好ましい。
【0110】また、式(B)の化合物が一つの炭素を介
して結合したビスフェノール構造もより好ましい。
【0111】次に式(B)の化合物の具体例を示すが、
これに限定されるものではない。
【0112】
【化12】
【0113】
【化13】
【0114】
【化14】
【0115】
【化15】
【0116】
【化16】
【0117】
【化17】
【0118】本発明の式(B)の化合物は、市販のもの
を用いても良く、また、例えば、特開平2-251838号に開
示されている方法やJ.Med.Chem.,34,342(1991)に記載の
サリチル酸とカルボニル化合物との酸触媒縮合反応等に
よって容易に合成できる。
【0119】本発明の式(B)の化合物は、水あるいは
適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エ
タノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケト
ン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなど
に溶解して用いることができる。
【0120】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、粉末を水の中にボールミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントン
ゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によ
って分散し用いることができる。
【0121】本発明の式(B)の化合物は、支持体に対
して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層
側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるい
はそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像形
成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する感
光性層であることが好ましい。
【0122】本発明の式(B)の化合物の添加量は、A
g 1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好まし
くは1×10-5〜5×10-1mol/molAg、より好ましく
は、5×10-5〜1×10-1mol/molAg、更に好ましく
は、1×10-4〜5×10-2mol/molAgである。これらは
1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。
【0123】本発明の熱現像感光材料は、硬調な画像を
得るために画像形成層あるいはその隣接層、あるいはこ
れら両層中に造核剤を含有する。本発明に用いられる造
核剤としては、式(1)で表される置換アルケン誘導
体、式(2)で表される置換イソオキサゾール誘導体、
式(3)で表される特定のアセタール化合物、およびヒ
ドラジン誘導体が好ましく用いられる。
【0124】本発明で用いられる式(1)で表される置
換アルケン誘導体、式(2)で表される置換イソオキサ
ゾール誘導体、および式(3)で表される特定のアセタ
ール化合物について説明する。
【0125】
【化18】
【0126】式(1)においてR1、R2、R3は、それぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
基またはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2
とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して
環状構造を形成していてもよい。式(2)においてR
4は、置換基を表す。式(3)においてX、Yはそれぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、A、Bはそれぞれ
独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミ
ノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ
基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ
環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、あるいはA
とBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。
【0127】式(1)で表される化合物について詳しく説
明する。式(1)においてR1、R2、R3は、それぞれ独
立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
たはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2とR
3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状
構造を形成していても良い。
【0128】R1、R2、R3が置換基を表す時、置換基
の例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロ
ル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(ア
ラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含
む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテ
ロ環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化
された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコ
キシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしく
はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキ
ル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)ス
ルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル
基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルスルファモイル基または
その塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エ
ステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げら
れる。
【0129】これら置換基は、これら置換基でさらに置
換されていてもよい。
【0130】式(1)においてZで表される電子吸引性基
とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置
換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカ
ルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリール基
等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル基、
ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾリル
基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダント
イン−1―イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基
等がその例として挙げられる。
【0131】式(1)においてZで表される電子吸引性基
は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基とし
ては、式(1)のR1、R2、R3が置換基を表す時に有し
ていてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0132】式(1)においてR1とZ、R2とR3、R1
2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状構造を形
成していてもよいが、この時形成される環状構造とは、
非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環である。
【0133】次に式(1)で表される化合物の好ましい範
囲について述べる。式(1)においてZで表されるシリル
基として好ましくは、具体的にトリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルジメチルシリル基等である。
【0134】式(1)においてZで表される電子吸引性基
として好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、即
ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニ
トロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル
基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ま
たは任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等であ
り、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル
基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメチル
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカルバ
モイル基である。
【0135】式(1)においてZで表される基は、電子吸
引性基がより好ましい。
【0136】式(1)においてR1、R2、およびR3で表
される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30の基
で、具体的には上述の式(1)のZで表される電子吸引性
基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、
または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられ
る。
【0137】さらに式(1)においてR1は、好ましくは
電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキ
シ基、またはアシルアミノ基、水素原子、またはシリル
基である。
【0138】R1が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。
【0139】R1がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、任意の置換基が挙げられるが、
中でも電子吸引性の置換基が好ましい。
【0140】式(1)においてR1は、より好ましくは、
電子吸引性基またはアリール基を表す時である。
【0141】式(1)においてR2およびR3で表される置
換基として好ましくは、具体的に、上述の式(1)のZで
表される電子吸引性基と同義の基、アルキル基、ヒドロ
キシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、
アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ア
ミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミ
ノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置換のフェニル
基等である。
【0142】式(1)においてR2およびR3は、さらに好
ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が置換基を
表す時である。その置換基として好ましくは、アルキル
基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(また
はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、
ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフルオロ
アルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換もしくは
無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であり、さら
に好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト
基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特に好まし
くはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ基、また
はヘテロ環基である。
【0143】式(1)においてZとR1、あるいはまたR2
とR3とが環状構造を形成する場合もまた好ましい。こ
の場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素環もし
くは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員〜7員
の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1〜4
0、さらには3〜30が好ましい。
【0144】式(1)で表される化合物の中で、より好ま
しいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカルバ
モイル基を表し、R1が電子吸引性基またはアリール基
を表し、R2またはR3のどちらか一方が水素原子で、他
方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(また
はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。さら
にまた式(1)で表される化合物の中で特に好ましいもの
の1つは、ZとR1とが非芳香族の5員〜7員の環状構
造を形成していて、R2またはR3のどちらか一方が水素
原子で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプ
ト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物で
ある。この時、R1と共に非芳香族の環状構造を形成す
るZとしては、アシル基、カルバモイル基、オキシカル
ボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基等が好まし
く、またR1としては、アシル基、カルバモイル基、オ
キシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アシルアミノ
基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0145】次に式(2)で表される化合物について説明
する。式(2)においてR4は置換基を表す。R4で表され
る置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基について
説明したものと同じものが挙げられる。
【0146】R4で表される置換基は、好ましくは電子
吸引性基またはアリール基である。R4が電子吸引性基
を表す時、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、
即ち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバ
モイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、
ホスホリル基、イミノ基、または飽和もしくは不飽和の
ヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホルミ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、ヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシアノ
基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、またはヘテロ環基である。
【0147】R4がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、式(1)のR1、R2、R3が置換
基を表す時にその置換基として説明したものと同じもの
が挙げられる。
【0148】R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、また
は置換もしくは無置換のフェニル基であり、最も好まし
くはシアノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニ
ル基である。
【0149】次に式(3)で表される化合物について詳し
く説明する。式(3)においてX、Yはそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。
【0150】式(3)においてX、Yで表される置換基と
しては、式(1)のR1〜R3の置換基について説明したも
のと同じものが挙げられる。具体的には、アルキル基
(パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル基等を含
む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ
基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル
基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ
基、カルバモイル基、チオカルボニル基、アシルオキシ
基、アシルチオ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ホス
ホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基
(またはその塩)、ヒドロキシ基(またはその塩)、メ
ルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリール
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基等が挙げ
られる。
【0151】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。
【0152】式(3)においてX、Yで表される置換基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボ
ニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミ
ノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、ア
ルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が挙
げられる。
【0153】式(3)においてX、Yは、より好ましくは
シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバ
モイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、ア
ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフ
ルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任
意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0154】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。
【0155】式(3)においてA、Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成してい
てもよい。式(3)においてA、Bで表される基は、好ま
しくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総炭素数1
〜30の基であり、さらに置換基を有していてもよい。
【0156】式(3)においてA、Bは、これらが互いに
結合して環状構造を形成している場合がより好ましい。
この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香族の
ヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらに
は3〜30が好ましい。この場合に、A、Bが連結した
例(−A−B−)を挙げれば、例えば−O−(CH22
O−,−O−(CH23−O−,−S−(CH22−S
−,−S−(CH23−S−,−S−ph−S−,−N
(CH3)−(CH22−O−,−N(CH3)−(CH
22−S−,−O−(CH22−S−,−O−(C
23−S−,−N(CH3)−ph−O−,−N(C
3)−ph−S−,−N(ph)−(CH22−S−
等である。
【0157】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込
まれていてもよい。こうした吸着基としては、アルキル
チオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、
メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第
4,385,108号、同4,459,347号、特開
昭59−195233号、同59−200231号、同
59−201045号、同59−201046号、同5
9−201047号、同59−201048号、同59
−201049号、特開昭61−170733号、同6
1−270744号、同62−948号、同63−23
4244号、同63−234245号、同63−234
246号に記載された基が挙げられる。またこれらハロ
ゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよ
い。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285
344号に記載された基が挙げられる。
【0158】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において
常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれ
ているものでもよい。特にバラスト基が組み込まれてい
るものは本発明の好ましい例の1つである。バラスト基
は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活
性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アル
コキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキ
シ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことがで
きる。またポリマーとしては、例えば特開平1−100
530号に記載のものが挙げられる。
【0159】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモ
ニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含む含
窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピ
レンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,ア
リール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により
解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシル
スルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基等)
が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ基もしくは
プロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、あるいは
(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基が含ま
れているものは、本発明の好ましい例の1つである。こ
れらの基の具体例としては、例えば特開平7−2344
71号、特開平5−333466号、特開平6−190
32号、特開平6−19031号、特開平5−4576
1号、米国特許4994365号、米国特許49886
04号、特開平3−259240号、特開平7−561
0号、特開平7−244348号、独国特許40060
32号等に記載の化合物が挙げられる。
【0160】次に本発明の式(1)〜式(3)で表される化
合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化
合物に限定されるものではない。
【0161】
【化19】
【0162】
【化20】
【0163】
【化21】
【0164】
【化22】
【0165】
【化23】
【0166】
【化24】
【0167】
【化25】
【0168】
【化26】
【0169】
【化27】
【0170】
【化28】
【0171】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メ
タノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコ
ール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチル
セルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0172】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当
な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波
によって分散し用いることができる。
【0173】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、支持体に対して画像形成層側のバインダー層、即ち
画像形成層あるいはこの層側の他のバインダー層のどの
層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接
するバインダー層に添加することが好ましい。
【0174】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ま
しく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2
×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0175】式(1)〜式(3)で表される化合物は公知の
方法により容易に合成することができるが、例えば、米
国特許5545515号、米国特許5635339号、
米国特許5654130号、国際特許WO−97/34
196号、あるいは特願平9−354107号、特願平
9−309813号、特願平9−272002号に記載
の方法を参考に合成することができる。
【0176】本発明の式(1)〜式(3)で表される化合物
は、1種のみ用いても、2種以上を併用しても良い。ま
た上記のものの他に、米国特許5545515号、米国
特許5635339号、米国特許5654130号、国
際特許WO−97/34196号、米国特許56862
28号に記載の化合物、あるいはまた特願平8−279
962号、特願平9−228881号、特願平9−27
3935号、特願平9−354107号、特願平9−3
09813号、特願平9−296174号、特願平9−
282564号、特願平9−272002号、特願平9
−272003号、特願平9−332388号に記載さ
れた化合物を併用して用いても良い。
【0177】本発明に用いられるヒドラジン系造核剤と
しては、下記のヒドラジン誘導体が好ましく用いられ
る。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記
の特許に記載された種々の方法により、合成することが
できる。
【0178】特公平6-77138号に記載の(化1)で表され
る化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合
物。特公平6-93082号に記載の一般式(I)で表される
化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の
化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般
式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的
には同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1〜化合物4-1
0、28頁〜36頁に記載の化合物5-1〜5-42、および39頁、
40頁に記載の化合物6-1〜化合物6-7。特開平6-289520号
に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合
物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1-1)
〜1-17)および2-1)。特開平6-313936号に記載の(化
2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公
報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載
の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜
5頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式
(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10
頁に記載の化合物I-1〜I-38。特開平7-77783号に記載
の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報
10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-1044
26号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化
合物H-1〜H-44。特願平7-191007号に記載の,ヒドラ
ジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原
子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有するこ
とを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式
(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一
般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に記
載の化合物N-1〜N-30。特願平7-191007号に記載の一般
式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載
の化合物D-1〜D-55。
【0179】さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜
207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々
のヒドラジン誘導体。特開昭62-86354号(6頁〜7頁)の
化合物D-2およびD-39。
【0180】本発明に用いられるヒドラジン系造核剤
は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノー
ル、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコー
ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセ
ルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0181】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を
水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。
【0182】本発明に好ましく用いられるヒドラジン系
造核剤は、支持体に対して画像形成層側の層、すなわち
画像形成層あるいはこの層側の他のバインダー層のどの
層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接
するバインダー層に添加することが好ましい。
【0183】本発明に用いられるヒドラジン系造核剤の
添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ま
しく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5
〜5×10-3モルが最も好ましい。
【0184】また、本発明は超硬調画像形成のために、
前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することがで
きる。例えば、米国特許第5,545,505号に記載のアミン
化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,507号に
記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-1〜HA-1
1、同5,545,507号に記載のアクリロニトリル類、具体的
にはCN-1〜CN-13、同5,558,983号に記載のヒドラジ
ン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、特願平8-132836
号に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A-42、
B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いることができる。
【0185】これらの硬調化促進剤の合成方法、添加方
法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載されて
いるように行うことができる。
【0186】本発明には五酸化二リンが水和してできる
酸またはその塩を造核剤と併用して用いることが好まし
い。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリ
ン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサ
メタリン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、
具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリ
ン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、
ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
【0187】本発明に好ましく用いることができる五酸
化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所
望の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそ
れに隣接するバインダー層に添加する。
【0188】本発明に用いる五酸化二リンが水和してで
きる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2当たりの塗
布量)としては感度やカブリなどの性能に合わせて所望
の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100
mg/m2がより好ましい。
【0189】本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のた
めの還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ま
しくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキ
ノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用で
あるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元
剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50モ
ル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれるこ
とがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有
する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層に添
加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに使用
することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に
機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。
【0190】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同47-1238号、
同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、同50-14
334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32632号、
同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同52-8
4727号、同55-108654号、同56-146133号、同57-82828
号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許3,679,42
6号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,761,270号、
同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686号、同5,4
64,738号、独国特許2321328号、欧州特許692732号など
に開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、
2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニル
アミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロ
キシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのア
ジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-β-
フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのよう
な脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン
酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシ
ルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合
せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒ
ドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンま
たはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組合せな
ど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニル
ヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム酸など
のヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノール
との組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-
ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル-α-
シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シア
ノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブ
ロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2
-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるようなビ
ス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロ
キシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンな
ど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなど
の、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクト
ン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンお
よびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクト
ンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-ベ
ンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスル
ホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール
還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど; 2,2-ジ
メチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマ
ン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒド
ロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノー
ル(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフ
ェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェ
ニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メ
チルフェノール) 、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメ
チルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンな
ど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-ア
スコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならび
にベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケ
トン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジ
オン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。
特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0191】本発明の還元剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0192】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利にな
ることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モ
ル当たりの0.1〜50%(モル)の量含まれることが好まし
く、0.5〜20%(モル)含まれることがさらに好ましい。
また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導
化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0193】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤が特開昭46-6077号、同47-10282
号、同49-5019号、同49-5020号、同49-91215号、同49-9
1215号、同50-2524号、同50-32927号、同50-67132号、
同50-67641号、同50-114217号、同51-3223号、同51-279
23号、同52-14788号、同52-99813号、同53-1020号、同5
3-76020号、同54-156524号、同54-156525号、同61-1836
42号、特開平4-56848号、特公昭49-10727号、同54-2033
3号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,9
41号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許138079
5号、ベルギー特許841910号などに開示されている。色
調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイ
ミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、ならびに
キナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジン
ジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N
-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);コバルト錯体(例え
ば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-
メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピ
リミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリア
ゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール
に例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリール
ジカルボキシイミド、(例えば、(N,N-ジメチルアミノメ
チル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチル)-
ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミド);ならびにブロッ
ク化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種
の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カル
バモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザ
オクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテー
ト)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチア
ゾール));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチ
アゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オ
キサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導
体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジノ
ン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノ
ンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘
導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル
酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラ
クロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フ
タラジン誘導体(例えば、4-(1-ナフチル)フタラジン、6
-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジン、6-iso
-ブチルフタラジン、6-tert-ブチルフタラジン、5,7-ジ
メチルフタラジン、および2,3-ジヒドロフタラジンなど
の誘導体)もしくは金属塩、;フタラジンおよびその誘
導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフ
タル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタ
ル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキ
サジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤とし
てだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライ
ドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘ
キサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウ
ム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸
カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、
過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベン
ズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキ
サジン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジ
ン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピ
リミジンおよび不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロ
キシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンな
ど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導
体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-
2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、および1,4-ジ(o-ク
ロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テ
トラアザペンタレン)などがある。
【0194】本発明の色調剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0195】本発明のバインダーとしては以下に述べる
ポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0196】本発明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン
化銀を含有する画像形成層(感光性層)のうち少なくと
も1層は以下に述べるポリマーラテックスを全バインダ
ーの50重量%以上として用いた画像形成層である。(以降
この画像形成層を「本発明の画像形成層」、バインダー
に用いるポリマーラテックスを「本発明のポリマーラテ
ックス」と表す。)また、ポリマーラテックスは画像形
成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感
光材料を用いる場合には、保護層やバック層にもポリマ
ーラテックスを用いることが好ましい。ただしここで言
う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマー
が微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもので
ある。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化され
ているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたも
の、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を
持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよ
い。なお本発明のポリマーラテックスについては「合成
樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会
発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片
岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1
993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子
刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子
の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程
度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特
に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒
径分布を持つものでもよい。
【0197】本発明のポリマーラテックスとしては通常
の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/
シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェル
はガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0198】本発明のバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バ
ック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像
形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促す
ため、-30〜40℃であることが好ましい。保護層やバッ
ク層に用いる場合には種々の機器と接触するために25〜
70℃のガラス転移温度が好ましい。
【0199】本発明のポリマーラテックスの最低造膜温
度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度
が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ
ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化
合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックス
の化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載
されている。
【0200】本発明のポリマーラテックスに用いられる
ポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとし
ては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、ま
た架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては
単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良
いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良
い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロッ
クコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子
量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好
ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強
度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ま
しくない。
【0201】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては以下のようなものがある。メチルメタクリレー
ト/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラ
テックス、メチルメタクリレート/2エチルヘキシルア
クリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテッ
クス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテッ
クス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロ
ニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。
また、このようなポリマーは市販もされていて、以下の
ようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂の例
として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイセル化
学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857
(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂とし
ては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本イン
キ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミ
カル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、
20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム
系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C
(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、41
0、438C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化
ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)
製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上
旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以上
三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパ
ールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良
い。
【0202】本発明の画像形成層は全バインダーの50重
量%以上として上記ポリマーラテックスが用いられる
が、70重量%以上として上記ポリマーラテックスが用い
られることが好ましい。
【0203】本発明の画像形成層には必要に応じて全バ
インダーの50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加し
ても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成
層の全バインダーの30重量%以下、さらには15重量%以下
が好ましい。
【0204】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布
後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言
う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が
水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用
いることができる。具体的な溶媒組成の例としては水の
ほか、以下のようなものがある。水/メタノール=90/1
0、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムア
ミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=8
0/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90
/5/5。(ただし数字は重量%を表す。)
【0205】本発明の画像形成層は全バインダー量は0.
2〜30g/m2、より好ましくは1〜15m2の範囲が好まし
い。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0206】本発明における増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17
643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメ
ージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することができ
る。
【0207】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1から
I-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-3
5の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-
34の化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、
特開昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物およ
び特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物な
どが有利に選択される。
【0208】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同
3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、
同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号、同6
-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、同6-3011
41号に記載されたような既知の色素から適当に選択して
よい。
【0209】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素) 、カルボン酸
基を有する色素(例としては特開平3-163440号、6-30114
1号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシ
アニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、同
52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-6750
号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381号、
同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国
特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色
素)が挙げられる。
【0210】また、J-bandを形成する色素として米国特
許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5記載の色素、
特開平2-96131号、特開昭59-48753号が開示されてお
り、本発明に好ましく用いることができる。
【0211】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933号、
特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載されてい
る。
【0212】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロ
パノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ
-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキ
シ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶
媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加しても
よい。
【0213】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、
同44-27555号、同57-22091号等に開示されているよう
に、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添
加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細
書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水
溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加
する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示さ
れているように親水性コロイド中に色素を直接分散さ
せ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-746
24号に開示されているように、レッドシフトさせる化合
物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する
方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用い
ることもできる。
【0214】本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲ
ン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であるこ
とが認められている乳剤調製のいかなる工程中であって
もよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58-184142号、
同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハ
ロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時
期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開
始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示
されているように、化学熟成の直前または工程中の時
期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前
ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。
また、米国特許4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細
書に開示されているように、同一化合物を単独で、また
は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工
程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けた
り、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなど
して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物
および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよ
い。
【0215】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ま
しく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0216】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同
第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,72
8,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載
のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、
ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号お
よび同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および
金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に
記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557
号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,41
1,985号に記載のリン化合物などがある。
【0217】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5,340,712号、同
5,369,000号、同5,464,737号に開示されているような化
合物が挙げられる。
【0218】本発明のカブリ防止剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0219】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが
有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、
酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀
の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましく
は1×10-9モル〜1×10-3モル、さらに好ましくは1×10
-8モル〜1×10-4モルの範囲である。
【0220】本発明における熱現像感光材料は高感度化
やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良
い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい構造の例としては、米国特許4,784,93
9号、同4,152,160号、特願平8-151242号、同8-151241
号、同8-98051号などに記載の化合物が挙げられる。本
発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添
加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加すること
がさらに好ましい。本発明の安息香酸類の添加時期とし
ては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀
塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調
製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布
直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添加法としては
粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても
良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物
と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安息香
酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル
当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3
モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0221】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。
【0222】本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM' 、Ar-S-S-
Arで表されるものが好ましい。式中、M'は水素原子また
はアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオ
ウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳
香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環
はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチ
アゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナ
フスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラ
ゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、ト
リアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジ
ン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プ
リン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳
香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒド
ロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以
上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するも
の)、アルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好まし
くは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアリール
(置換基を有していてもよい)からなる置換基群から選
択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香
族化合物をとしては、2-メルカプトベンズイミダゾー
ル、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベ
ンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダ
ゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール、
2,2'-ジチオビス-ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,
2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾールチ
オール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-メル
カプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-
メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリノ
ン、7-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、2,3,
5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-6-ヒ
ドロキシ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-
アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ
-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロシ-2-
メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-
ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4-メ
チルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5-フェ
ニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-5-メルカプトテ
トラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾール)-ベンゼン
スルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-{3-(5-メルカプ
トテトラゾリル)フェニル}ウレア、2-メルカプト-4-フ
ェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれ
らに限定されない。
【0223】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モルの範囲が好
ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.001〜0.
3モルの量である。
【0224】本発明における感光性層には、可塑剤およ
び潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,9
60,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオー
ル)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号に
記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号に
記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0225】本発明においては、画像形成層上に保護層
を設けることが好ましく、保護層のバインダーとして
は、前述のように、ガラス転移温度が25℃以上70℃以下
のポリマーのラテックスを用いることが好ましい。この
場合保護層の全バインダーの50重量%以上、好ましくは
70重量%以上として前述のポリマーラテックスを用いる
ことが好ましい。本発明ではこのような保護層を少なく
とも1層設けることが好ましい。このような保護層のバ
インダー構成や塗設方法等については画像形成層と同様
である。保護層用のポリマーラテックスとしてはアクリ
ル系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル
系、塩化ビニリデン系のポリマーラテックスが好ましく
用いられ、具体的にはアクリル樹脂系のVONCORT R337
0、4280、Nipol Lx857、メチル(メタ)アクリレート
/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート/ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)ア
クリル酸コポリマー、塩化ビニル樹脂のNipol G576、塩
化ビニリデン樹脂のアロンD5071が好ましく用いられ
る。
【0226】本発明に用いられる保護層用の全バインダ
ー量は0.2〜5.0g/m2、より好ましくは0.5〜4.0g/m2
の範囲である。
【0227】本発明の表面保護層としては、いかなる付
着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例として
は、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー
性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-
スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セル
ロース、セルロースアセテートブチレート、セルロース
プロピオネートやこれらの混合物などがある。また、表
面保護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための
界面活性剤などを添加してもよい。
【0228】本発明における画像形成層もしくは画像形
成層の保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,27
4,782号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記
載されているような光吸収物質およびフィルター染料を
使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,
699号に記載のように染料を媒染することができる。フ
ィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.
1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0229】本発明の感光性層には色調改良、イラジエ
ーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることが
できる。本発明の感光性層に用いる染料および顔料はい
かなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載
の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染
料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、
オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染
料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、イ
ンドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有
機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に用いられ
る好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特
開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開平5-165147号記
載の化合物3-6〜18および3-23〜38など)、アゾメチン染
料(特開平5-341441号記載の化合物17〜47など)、インド
アニリン染料(例えば特開平5-289227号記載の化合物11
〜19、特開平5-341441号記載の化合物47、特開平5-1651
47号記載の化合物2-10〜11など)およびアゾ染料(特開平
5-341441号記載の化合物10〜16)が挙げられる。これら
の染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分
散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法
でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によ
って決められるが、一般的に感材1m2当たり1×10-6g以
上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0230】本発明における熱現像写真感光性材料は、
支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、
いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0231】本発明においてバック層は、所望の範囲で
の最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。
所望の範囲が750〜1400nmである場合には、750〜360nm
においての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好
ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度
を有するハレーション防止層であることが好ましい。所
望の範囲が750nm以下である場合には、画像形成前の所
望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像
形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満にな
るようなハレーション防止層であることが好ましい。画
像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては
特に制限はないが、例えばベルギー特許第733,706号に
記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低
下させる方法、特開昭54-17833号に記載の光照射による
消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0232】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示されている
が本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料
としては特開昭59-56458号、特開平2-216140号、同7-13
295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号記載、特開
平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄
9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下
欄記載の化合物があり、処理で消色する染料としては特
開昭52-139136号、同53-132334号、同56-501480号、同5
7-16060号、同57-68831号、同57-101835号、同59-18243
6号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公昭48-33692
号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国特許4,088,4
97号、同4,283,487号、同4,548,896号、同5,187,049号
がある。
【0233】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィ
ルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロ
ース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブ
チレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポ
リ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレ
ン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリ
ル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセ
タール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ
(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ
(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニル
アセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類
がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジ
ョンから被覆形成してもよい。
【0234】本発明における片面感光材料は、搬送性改
良のために感光性乳剤層の表面保護層および/またはバ
ック層またはバック層の表面保護層にマット剤を添加し
ても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または
無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のも
のを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,70
1,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344
号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット
剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、
同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各
明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られた
ものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤
として用いることのできる有機化合物の例としては、水
分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリ
ル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポ
リスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポ
リビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリ
テトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例と
してはメチルセルロース、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例
としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱
粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬
化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して
微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく
用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪
素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニ
ウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減
感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好
ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応
じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。
マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径
のものを用いることができる。本発明の実施に際しては
0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。ま
た、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一
方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響す
ることから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の
混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた
状態にすることが好ましい。
【0235】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さ
らに好ましくは700秒以下50秒以上である。
【0236】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じな
ければいかようでも良いが、ベック平滑度が500秒以上1
0,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,000秒以下が
好ましい。
【0237】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、
ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望
による追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀
塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にい
くつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全
ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含
んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写
真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを
含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載され
ているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよ
い。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層
は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されている
ように、各乳剤層(感光性層)の間に官能性もしくは非
官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別
されて保持される。
【0238】米国特許第4,460,681号および同第4,374,9
21号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resi
stive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用
することもできる。
【0239】本発明の感光性層、保護層、バック層など
各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、
米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などに記載さ
れているポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号
などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-890
48号などに記載されているビニルスルホン系化合物類な
どが用いられる。
【0240】本発明には塗布性、帯電改良などを目的と
して界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系な
どいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭
62-170950号、米国特許5,380,644号などに記載のフッ素
系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号、特開昭63-18
8135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,88
5,965号などに記載のポリシロキサン系界面活性剤、特
開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイド
やアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0241】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、バライタおよ
び/または部分的にアセチル化されたα-オレフィンポ
リマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα-オレフィン
のポリマーによりコートされた支持体が、典型的に用い
られる。該支持体は透明であっても不透明であってもよ
いが、透明であることが好ましい。これらのうちでも75
〜200μm程度の2軸延伸したポリエチレンテレフタレー
ト(PET)が特に好ましい。
【0242】一方、プラスチックフィルムを80℃以上の
処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮す
る。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、
この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。
よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に残存する
内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みを
なくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いる
ことが好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を塗布する
前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレ
フタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移温度
の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポ
リスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用でき
る。
【0243】本発明における熱現像感光材料は、帯電防
止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,
206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国
特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩、特開
昭60-252349号、同57-104931号に記載されている酸化ス
ズ微粒子などを含む層を有してもよい。
【0244】本発明における熱現像感光材料を用いてカ
ラー画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁左欄4
3行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カ
ラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889
号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同第3,
574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号および
同第4,042,394号に例示されている。
【0245】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。
【0246】本発明における熱現像感光材料の中に追加
の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容
層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップ
コート層および光熱写真技術において既知のプライマー
層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感
材一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等
の画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないこと
が好ましい。
【0247】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザーダイオー
ド Laser Diode(LD)、発光ダイオード Light Emi
tting Diode(LED)を光源に使用した露光装置が好
ましく用いられる。特に、LDは高出力、高解像度の点
でより好ましい。これらの光源は目的波長範囲の電磁波
スペクトルの光を発生することができるものであればい
ずれでもよい。例えばLDであれば、色素レーザー、ガ
スレーザー、固体レーザー、半導体レーザーなどを用い
ることができる。
【0248】本発明の露光は光源の光ビームをオーバー
ラップさせて露光し、オーバーラップとは副走査ピッチ
幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップと
は例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)
で表わしたときFWHM/副走査ピッチ幅 (オーバー
ラップ係数)で定量的に表現することができる。
【0249】本発明ではこのオーバラップ係数が0.2
以上(好ましくは1以下)であることが好ましい。
【0250】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。
【0251】本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズ
が低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞
発生防止技術としては、特開平5-113548号などに開示さ
れているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させ
る技術や、国際特許WO95/31754号などに開示されてい
るマルチモードレーザーを利用する方法が知られてお
り、これらの技術を用いることが好ましい。
【0252】本発明の画像形成方法の加熱現像工程はい
かなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズ
に露光した感光材料を昇温して現像される。用いられる
熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光材料をヒ
ートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタ
イプとして特公平5-56499号、特許公報第684453号、特
開平9-292695号、特開平9-297385号および国際特許WO
95/30934号に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして
特開平7-13294号、国際特許WO97/28489号、同97/2848
8号および同97/28487号に記載の熱現像機がある。特に
好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好ま
しい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好まし
くは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好
ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0253】本発明の熱現像感光材料の熱現像時の寸法
変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上11
5℃未満(好ましくは113℃以下)の温度で画像が出
ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以上140℃以
下で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加
熱方法)が有効である。
【0254】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラー
がヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱現像感光
材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬
出ローラー対12を有する。熱現像感光材料10は搬入
ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送される
間に熱現像される。この熱現像中の熱現像感光材料10
を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が接触する
側に複数のローラー13が設置され、その反対側のバッ
ク面が接触する側には不織布(例えばポリフェニレンサ
ルファイトやテフロンから成る)等が貼り合わされた平
滑面14が設置される。熱現像感光材料10は画像形成
層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動によ
り、バック面は平滑面14の上を滑って搬送される。加
熱手段はローラー13の上部および平滑面14の下部に
熱現像感光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒ
ーター15が設置される。この場合の加熱手段としては
板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と平滑面1
4とのクリアランスは平滑面の部材により異なるが、熱
現像感光材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整
される。好ましくは0〜1mmである。
【0255】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面の材
質はシリコーンゴム、平滑面の部材はポリフェニレンサ
ルファイト(PPS)またはテフロン(PTFE)製の
不織布が好ましい。加熱手段としては複数のヒーターを
用い、それぞれ加熱温度を自由に設定することが好まし
い。
【0256】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと加熱ヒーター15を備えた熱現像処
理部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予備
加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30
℃程度低く)、熱現像感光材料10の支持体のガラス転
移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないよ
うに設定することが好ましい。
【0257】また、熱現像処理部Bの下流にはガイド板
16が設置され、搬出ローラー対12とガイド板16と
を有する徐冷部Cが設置される。ガイド板は熱伝導率の
低い素材が好ましく、冷却は徐々に行うのが好ましい。
【0258】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7-13294号に記載のものなど、本
発明に用いられる熱現像機は種々の構成のものであって
もよい。また、本発明において好ましく用いられる多段
加熱方法の場合は、上述のような装置において、加熱温
度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度
で加熱するようにすればよい。
【0259】
【実施例】以下に実施例をもって本発明の効果を説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 <実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤A)水700mlにフタル化ゼラチン11gおよび臭化カ
リウム30mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解して温度40℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.
6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットル
(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6モル/リット
ルおよびK3IrCl6を2×10-5モル/リットルで含む
水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェッ
ト法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5g
を含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リットルお
よびK3IrCl6を2×10-5モル/リットルで含むハロ
ゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブル
ジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下
げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.17g、
脱イオンゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以
下)23.7g加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒
子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(10
0)面比率90%の立方体粒子であった。
【0260】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇
温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ム76μモルを添加し、3分後にチオ硫酸ナトリウム154μ
モルを添加して、100分熟成し、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを5×10
-4モル加えた後、40℃に降温させた。
【0261】その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀
1モルに対して12.8×10-4モルの下記増感色素A、6.4×
10-3モルの化合物Bを撹拌しながら添加し、20分後に30
℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0262】
【化29】
【0263】《有機酸銀分散物の調製》 <有機酸銀A>アラキン酸6.1g、ベヘン酸37.6g、蒸留
水700ml、tert-ブタノール70ml、1N-NaOH水溶液123mlを
混合し、75℃で1時間攪拌し反応させ、65℃に降温し
た。次いで、硝酸銀22gの水溶液112.5ml を45秒かけて
添加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。その
後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度
が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形
分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、
乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリビ
ニルアルコール(商品名:PVA-217)7.5gおよび水を添加
し、全体量を500gとしてからホモミキサーにて予備分
散した。
【0264】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)
の圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機
酸銀分散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含
まれる有機酸銀粒子は平均短径0.04μm、平均長径0.8μ
m、変動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定
は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行っ
た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャ
ンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節すること
で所望の分散温度に設定した。こうして、ベヘン酸銀含
有率85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0265】《1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンの固体微粒子分散物
の調製》1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニ
ル)-3,5,5-トリメチルヘキサン20gに対してクラレ(株)
製MPポリマーのMP-203を3.0gと水77mlを添加してよく
攪拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5
mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し還元剤固体
微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0266】《トリブロモメチルフェニルスルホンの固
体微粒子分散物の調製》トリブロモメチルフェニルスル
ホン30gに対してヒドロキシプロピルメチルセルロース
0.5g、化合物C0.5gと、水88.5gを添加し良く攪拌して
スラリーとして3時間放置した。その後、還元剤固体微
粒子分散物の調製と同様にして被り防止剤の固体微粒子
分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μm
以上1.0μm以下であった。
【0267】《乳剤層塗布液の調製》上記で作成した有
機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバイン
ダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水
を加えて、乳剤層塗布液とした。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 406g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 119g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 21.6g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.44g ベンゾトリアゾール 1.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP-203) 20g 6-iso-ブチルフタラジン 0.10モル オルトりん酸二水素ナトリウム 0.13g 式(B)の化合物 表1に記載の種類および量(モル) 造核剤 表1に記載の種類および量(モル) 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル pH調節剤 表1に記載の種類
【0268】
【化30】
【0269】《乳剤面保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート
/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59
/9/26/5/1(wt%)のポリマーラテックス(共重合
体でガラス転移温度54℃、固形分濃度として44wt%、造
膜助剤として化合物Dを15wt%)102gにH2Oを加え、カ
ルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール52
4)30wt%溶液1.89g、化合物E 0.188g、式(A)の有
機酸化合物(表1に記載の種類および量)、マット剤
(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm)0.56gおよびポリ
ビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-235)0.4gを加
え、さらにH2Oを加えて、塗布液を調製とした。
【0270】
【化31】
【0271】《バック/下塗り層のついたPET支持体の
作成》 (1)支持体 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロル
エタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得
た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、3
00℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後
の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フイルムを
作成した。
【0272】これを周速の異なるロールを用い、3.3倍
に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施し
た。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であっ
た。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部を
スリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2
で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、
厚み120μmのロールを得た。
【0273】 (2)下塗り層(a) ポリマーラテックス− (スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタクリレート /ジビニルベンゼン=67/30/2.5/0.5(重量%)) 160mg/m2 2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジン 4mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 3mg/m2
【0274】 (3)下塗り層(b) 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2
【0275】 (4)導電層 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm ) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8 mg/m2 化合物A 0.2 mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10 mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18 mg/m2 染料A 783nmの光学濃度が1.2になる塗布量 SnO2/Sb(9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、 石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0276】 (5)保護層 ポリマーラテックス− (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218 mg/m2
【0277】支持体の片側に下塗り層(a)と下塗り層(b)
を順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥した。つい
で、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した反対側の面に
導電層と保護層を順次塗布し、それぞれ180℃、30秒乾
燥してバック/下塗り層のついたPET支持体を作成し
た。
【0278】このようにして作成したバック/下塗り層
のついたPET支持体を150℃設定した全長30m熱処理ゾー
ンに入れ、張力14g/cm2、搬送速度20m/分で自重搬送し
た。その後、40℃のゾーンに15秒間通し、10kg/cm2の巻
き取り張力で巻き取った。
【0279】
【化32】
【0280】《熱現像感光材料の調製》前記下塗り層
(a)と下塗り層(b)を塗布した側のPET支持体の下塗り層
の上に前記の乳剤層塗布液を塗布銀量1.7g/m2になるよ
うに塗布した。さらにその上に、前記乳剤面保護層塗布
液をポリマーラテックスの固形分の塗布量が3.0g/m2
なるように乳剤塗布液と共に同時重層塗布した。
【0281】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビー
ム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50m
W、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャン
ネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー
の回転数を変化させることにより露光時間を、出力値を
変えることにより露光量を調整し、2×10-8秒で露光し
た。この時のオーバーラップ係数0.449にした。
【0282】(熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を
図1の熱現像機を用いて、熱現像処理部のローラー表面
材質はシリコンゴム、平滑面はPPS不織布にして予備
加熱部90〜100℃で5秒、熱現像処理部120℃で20秒間熱
現像処理を行った。なお、幅方向の温度精度は±1℃で
あった。
【0283】(写真性能の評価)得られた画像の評価をマ
クベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。測定の結
果は、Dmin、Dmax、γ(コントラスト)および網%の変
化で評価した。γは露光量の対数を横軸として、濃度0.
2と2.5の点を結ぶ直線の傾きで表した。また、保存性の
評価については熱現像感光材料を50℃、湿度75%R
Hに3日保存し、その後で前記の露光と熱現像処理を行
い、Dmin、Dmaxを評価した。
【0284】各熱現像感光材料について上記評価を実施
した結果を表1に示す。
【0285】
【表1】
【0286】本発明の熱現像感光材料で、Dmin(カ
ブリ)が低く、Dmaxが高くかつ保存性の良い性能が
得られることがわかる。特に、式(B)の化合物を併用
した場合やアンモニアをpH調節剤に使用した場合がさ
らに良好な結果をもたらすことがわかる。以上より、本
発明の効果は明らかである。
【0287】
【発明の効果】本発明によれば、硬調感材としての性能
に優れ、保存性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀およびバインダーを有する熱現像感光材料におい
    て、 非感光性銀塩および感光性ハロゲン化銀を含有する画像
    形成層のバインダーの50重量%以上としてガラス転移
    温度−30℃以上40℃以下のポリマーのラテックスが
    用いられ、かつ画像形成層を有する側に下記式(A)で
    表される有機酸化合物を少なくとも一種および造核剤を
    有し、画像形成層側の膜面pHが6以下であることを特
    徴とする熱現像感光材料。 【化1】 [式(A)中、Tは1価の置換基を表し、k1は0以上
    4以下の整数を表す。k1=0はすべて水素原子である
    ことを表し、k1≧2の場合、複数のTはそれぞれ同一
    であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形
    成していてもよい。L1およびL2は連結基を表す。n1
    およびn2は0以上30以下の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 画像形成層を有する側に、さらに下記式
    (B)で表される化合物を少なくとも一種有する請求項
    1の熱現像感光材料。 【化2】 [式(B)中、Mは水素原子またはk価の陽イオンを表
    し、kは1以上の整数を表す。Rは置換基を表し、nは
    1〜4の整数であり、n≧2の場合複数のRは同一であ
    っても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成し
    ていてもよい。]
  3. 【請求項3】 膜面pHの調節に少なくともアンモニア
    を用いる請求項1または2の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 造核剤が下記式(1)で表される置換アル
    ケン誘導体,下記式(2)で表される置換イソオキサゾー
    ル誘導体,および下記式(3)で表される特定のアセター
    ル化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物である請
    求項1〜3のいずれかの熱現像感光材料。 【化3】 [式(1)において、R1、R2およびR3は、それぞれ独
    立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
    たはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2とR
    3、R1とR2、およびR3とZは、それぞれ互いに結合し
    て環状構造を形成していてもよい。式(2)においてR4
    は、置換基を表す。式(3)において、XおよびYは、そ
    れぞれ独立に水素原子または置換基を表し、AおよびB
    はそれぞれ独立にアルコキシ基、アルキルチオ基、アル
    キルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア
    ニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘ
    テロ環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、および
    AとBは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成して
    いてもよい。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7402380B2 (en) * 2005-01-28 2008-07-22 Fujifilm Corporation Photothermographic material

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