JP2000002964A - 感光性熱現像画像形成材料 - Google Patents

感光性熱現像画像形成材料

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JP2000002964A
JP2000002964A JP29284998A JP29284998A JP2000002964A JP 2000002964 A JP2000002964 A JP 2000002964A JP 29284998 A JP29284998 A JP 29284998A JP 29284998 A JP29284998 A JP 29284998A JP 2000002964 A JP2000002964 A JP 2000002964A
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Makoto Ishihara
信 石原
Kazuo Kubo
和郎 久保
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真製版用、特にスキャナー、イメージセッ
ター用として必要な膜強度を有し、塗布面状が良く、写
真性能に優れ、製造コストが低い感光性熱現像画像形成
材料を提供する。 【解決手段】 本発明の感光性熱現像画像形成材料は、
前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のバイン
ダーの50重量%以上としてガラス転移温度が−30℃
以上40℃以下のポリマーラテックスを用いており、前
記画像形成層および/または隣接層が造核剤を含有し、
前記画像形成層に用いるポリマーラテックスの固形分に
対する前記非感光性銀塩の1m2当たりの塗布重量比が
0.5〜1.5の範囲にあることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性熱現像画像形
成材料に関するものであり、特に写真製版用に用いられ
る感光性熱現像画像形成材料に関し、さらに詳しくスキ
ャナー、イメージセッター用感光材料に関し、さらに詳
しくは、種々の取り扱いにおいて十分な膜強度を有し、
塗布面状の良好な感光性熱現像画像形成材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。
【0003】近年写真製版分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメー
ジセッターにより効率的に露光させることができ、高解
像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成するこ
とができる写真製版用途の感光性熱現像材料に関する技
術が必要とされている。これら感光性熱現像材料では、
溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を
損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給する
ことができる。
【0004】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号、およびD.
モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
「熱によって処理される銀システム(Thermally Proces
sed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシ
ーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and M
aterials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.
ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)
編集、第2頁、1969年)に記載されている。このような
感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有している。感光材料は常温で安定で
あるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場
合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって
生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対
照をなし、画像の形成がなされる。
【0005】従来からこのタイプの感光性熱現像画像形
成材料は知られているが、これらの感材の多くはトルエ
ン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノールなどの
有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感光
性層を形成している。有機溶剤を溶媒として用いること
は、製造工程での人体への悪影響、地球温暖化の原因と
なる有機系ガスの排出などの環境問題の要因となり、あ
るいは溶剤を回収するためのコストが非常に高くつき、
さらには多層同時重層塗布などによる製造の効率化がし
にくくコスト上も不利である。
【0006】そこでこのような心配のない水溶媒の塗布
液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49-52626号、特開昭53-116144号などにはゼラチンをバ
インダーとする例が記載されている。また特開昭50-151
138号にはポリビニルアルコールをバインダーとする例
が記載されている。
【0007】さらに特開昭60-61747号にはゼラチンとポ
リビニルアルコールを併用した例が記載されている。こ
れ以外の例として特開昭58-28737号には水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする感光性層の例が記載さ
れている。
【0008】確かにこのようなバインダーを用いると水
溶媒の塗布液を用いて感光層を形成することができて環
境面、コスト面のメリットは大きい。
【0009】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、熱現像時にバインダーの脱水収縮
と熱膨張が同時に起こり、支持体の熱膨張挙動と異なる
ために、フイルムに皺が発生し、重ね合わせて使用する
カラー印刷には不適切なフイルムしか得られない。
【0010】この問題は、ポリマーラテックスを用いる
ことで解決できる。例えばWO97−4355号、特開
平8−137045号などにバインダーとしてポリマー
ラテックスを用いて水系塗布により熱現像画像形成材料
を作成する方法が記載されている。しかしながら、コス
ト的に有利と考えられる同時重層塗布に関する記載はな
く、環境面、コスト面で優れた水系感光材料で、塗布面
状の良い感光性熱現像画像形成材料を提供する技術が望
まれていた。また、グラフィックアーツ用の感材で必要
な膜強度のさらなる改良が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、写真製版用、特にスキャナー、イメージセッター用
として必要な膜強度を有し、塗布面状が良く、写真性能
に優れ、製造コストが低い感光性熱現像画像形成材料を
提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題は下記手段によ
って達成された。 (1) 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀
およびバインダーを有する感光性熱現像画像形成材料に
おいて、前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層
のバインダーの50重量%以上としてガラス転移温度が
−30℃以上40℃以下のポリマーラテックスを用い、
前記画像形成層および/または隣接層が造核剤を含有
し、前記画像形成層に用いるポリマーラテックスの固形
分に対する前記非感光性銀塩の1m2当たりの塗布重量
比が0.5〜1.5の範囲にあることを特徴とする感光
性熱現像画像形成材料。 (2) 支持体に対して画像形成層と同じ側に少なくと
も1層の保護層を有し、前記保護層のバインダーの50
重量%以上としてガラス転移温度が15℃以上70℃以
下であるポリマーラテックスを用いる上記(1)に記載
の感光性熱現像画像形成材料。 (3) 画像形成層および保護層を同時重層塗布にて形
成する上記(2)に記載の感光性熱現像画像形成材料。 (4) 画像形成層の塗布液と保護層の塗布液のpH差
が2.5以下である上記(2)または(3)に記載の感
光性熱現像画像形成材料。 (5) 画像形成層および/または保護層を形成する時
の乾燥条件が、恒率乾燥時の液膜表面温度が25℃以上
40℃以下で、かつ乾球温度が50℃以上で支持体のガ
ラス転移温度以下である上記(1)〜(4)に記載の感
光性熱現像画像形成材料。 (6) 画像形成層および保護層を形成する時の乾燥条
件が、恒率乾燥時の液膜表面温度が25℃以上40℃以
下で、かつ乾球温度が50℃以上で支持体のガラス転移
温度以下であり、かつ保護層が架橋剤によって架橋され
ている上記(5)に記載の感光性熱現像画像形成材料。 (7) 支持体に対して画像形成層と同じ側にある塗布
膜形成時の乾燥条件において、少なくとも恒率乾燥が終
了するまでの間を水平乾燥ゾーンで乾燥させる上記
(6)に記載の感光性熱現像画像形成材料。 (8) 支持体に対して画像形成層と反対側に少なくと
も1層のバック層を有し、前記バック層のバインダーと
してポリマーラテックスを用いる上記(1)〜(7)に
記載の感光性熱現像画像形成材料。 (9) バック層表面のベック平滑度が1200秒以下
である上記(8)に記載の感光性熱現像画像形成材料。 (10) 造核剤が下記一般式(1)で表される置換アル
ケン誘導体,一般式(2)で表される置換イソオキサゾー
ル誘導体、および一般式(3)で表される特定のアセター
ル化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物である上
記(1)〜(9)に記載の感光性熱現像画像形成材料。 <一般式>
【0013】
【化2】
【0014】一般式(1)においてR1、R2およびR
3は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z
は電子吸引性基またはシリル基を表す。一般式(1)にお
いてR1とZ、R2とR3、R1とR2、あるいはR3とZ
は、それぞれ互いに結合して環状構造を形成していても
よい。一般式(2)においてR4は置換基を表す。一般式
(3)において、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子
または置換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアル
コキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリー
ルオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オ
キシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表
す。一般式(3)においてXとY、およびAとBは、そ
れぞれ互いに結合して環状構造を形成していてもよい。 (11) 造核剤がヒドラジン誘導体である上記(1)
〜(9)に記載の感光性熱現像画像形成材料。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性熱現像画像形成材料は、支持体上に非感
光性銀塩、感光性ハロゲン化銀およびバインダーを有
し、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のバイン
ダーとして環境面、コスト面で有利な水系塗布を可能に
するポリマーラテックスを用いたものである。このよう
な画像形成層において、ポリマーラテックスの固形分に
対する非感光性銀塩の1m2当たりの塗布重量を0.5〜
1.5に規制することによって、造核剤を含有する硬調
画像形成材料としての写真性能を低下させることなく、
十分な膜強度と良好な塗布面状を持つ画像形成材料を得
ることができる。さらに詳述する。
【0016】本発明の画像形成層のうち少なくとも1層
は以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50
重量%以上として用いた画像形成層である。(以降この画
像形成層を「本発明の画像形成層」、バインダーに用い
るポリマーラテックスを「本発明のポリマーラテック
ス」と表す。)また、ポリマーラテックスは画像形成層
だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、特に
寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の感光性熱現像
画像形成材料を用いる場合には、保護層やバック層にも
ポリマーラテックスを用いる必要がある。ただしここで
言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマ
ーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもの
である。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化さ
れているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散された
もの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造
を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでも
よい。なお本発明のポリマーラテックスについては「合
成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行
会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、
片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行
(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分
子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒
子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm
程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては
特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の
粒径分布を持つものでもよい。
【0017】本発明のポリマーラテックスとしては通常
の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/
シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェル
はガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0018】本発明のバインダーに用いるポリマーラテ
ックスのポリマーのガラス転移温度(Tg)は保護層、
バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画
像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促
すため、-30〜40℃である。保護層やバック層に用いる
場合には種々の機器と接触するために15〜70℃のガラス
転移温度が好ましい。
【0019】本発明のポリマーラテックスの最低造膜温
度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度
が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ
ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化
合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックス
の化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載
されている。
【0020】本発明のポリマーラテックスに用いられる
ポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとし
ては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、ま
た架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては
単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良
いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良
い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロッ
クコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子
量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好
ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強
度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ま
しくない。
【0021】本発明の感光性熱現像画像形成材料の画像
形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテック
スの具体例としては以下のようなものがある。メチルメ
タクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート/ブタジエ
ン/イタコン酸コポリマーのラテックス、エチルアクリ
レート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチ
ルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/ス
チレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン
/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、ス
チレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸
コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化
ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニ
リデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタ
クリル酸コポリマーのラテックスなど。さらに具体的に
は、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタ
クリル酸=33.5重量%/50重量%/16.5重量
%のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/
ブタジエン/イタコン酸=47.5重量%/47.5重
量%/5重量%のコポリマーのラテックス、エチルアク
リレート/メタクリル酸=95重量%/5重量%のコポ
リマーのラテックスなどが挙げられる。また、このよう
なポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマー
が利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビア
ンA-4635,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)
製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオ
ン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX
ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)
製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)な
ど、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、4
0(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂と
してはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日
本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx410、430、435、438
C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂とし
てはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成工業
(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以上三井東圧
(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げること
ができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、
必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。
【0022】本発明の画像形成層は全バインダーの50重
量%以上として上記ポリマーラテックスを用いるが、70
重量%以上として上記ポリマーラテックスを用いること
が好ましい。
【0023】本発明の画像形成層には必要に応じて全バ
インダーの50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニル
アルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加し
ても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成
層の全バインダーの30重量%以下、さらには15重量%以下
が好ましい。
【0024】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布
後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言
う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が
水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用
いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、水
のほか、以下のようなものがある。水/メタノール=90
/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/1
0、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルム
アミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド
=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=9
0/5/5。(ただし数字は重量%を表す。)
【0025】本発明の画像形成層の全バインダー量は0.
2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好まし
い。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0026】本発明に非感光性銀塩として用いることの
できる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露
光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)およ
び還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱され
た場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イ
オンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよ
い。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは1
5〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子
が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機または
無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは
画像形成層の約5〜70重量%を構成することができる。好
ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の
銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩お
よび芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定され
ることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例と
しては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸
銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリ
スチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸
銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、
これらの混合物などを含む。
【0027】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好
ましく用いることができる。
【0028】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩,K塩,
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。本発明の有機酸アルカリ金
属塩は、上記有機酸をアルカリ処理することによって得
られる。本発明の有機酸銀は任意の好適な容器中で回分
式でまたは連続式で行うことができる。反応容器中の撹
拌は粒子の要求される特性によって任意の撹拌方法で撹
拌することができる。有機酸銀の調製法としては、有機
酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器
に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、
硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機酸ア
ルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激
に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時
に添加する方法のいずれもが好ましく用いることができ
る。
【0029】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調製する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0から50体積%が好ましく、0から2
5体積%が特に好ましい。また特開平9-127643号公報等
に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀電位を
制御しながら添加する方法も好ましく用いることができ
る。
【0030】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調整する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。
【0031】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は第
3アルコールの存在下で調製されることが好ましい。第
3アルコールとしては好ましくは総炭素数15以下のも
のが好ましく、10以下が特に好ましい。好ましい第3
アルコールの例としては、tert-ブタノール等が挙げら
れるが、本発明はこれに限定されない。
【0032】本発明に用いられる第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでも良い
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時
の溶媒としてのH2Oに対して重量比で0.01〜10の範囲で
任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ま
しい。
【0033】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以上0.2
0μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短
軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以
下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散
であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれ
の長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百
分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定
方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より
求めることができる。単分散性を測定する別の方法とし
て、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方
法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動
係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例え
ば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その
散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求め
ることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)か
ら求めることができる。
【0034】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。
【0035】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。
【0036】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて感光性熱現像画像形
成材料を作製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の
感光性熱現像画像形成材料が得られる。これに対し、高
圧、高速流に変換して分散する時に、感光性銀塩を共存
させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下しやすく
なる。また、分散媒として水ではなく、有機溶剤を用い
ると、ヘイズが高くなり、カブリが上昇し、感度が低下
しやすくなる。一方、感光性銀塩水溶液を混合する方法
にかえて、分散液中の有機銀塩の一部を感光性銀塩に変
換するコンバージョン法を用いると感度が低下しやすく
なる。
【0037】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含有量は非感光性の有機銀塩に対して0.
1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は行わな
いものである。
【0038】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、
等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも有機銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。
【0039】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で
通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧下か
ら常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散
効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数を
増やすなどの工夫を施したものも考案されている。これ
に対して、近年更に高圧、高流速での分散が可能となる
装置が開発されてきており、その代表例としてはマイク
ロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インター
ナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー(特
殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0040】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。
【0041】これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させる
ことにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力
を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降
下を生じさせることにより本発明に最適な有機銀塩分散
物を得ることが可能である。
【0042】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させ
ても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶
媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除
去される。
【0043】本発明の有機銀塩分散においては、流速、
圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子
サイズに分散することが可能であるが、写真特性と粒子
サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時
の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300
m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2
の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は必要
に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回数が
選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数
が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にする
ことは、分散性、写真特性の点から好ましくなく、90℃
を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすく
なると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本
発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしく
は、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程
に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程
により5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、
更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保
たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm2
範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置すること
が有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、
二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したもの、
多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択すること
ができる。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧
力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを
選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、
20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また必
要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使
用することもできる。
【0044】本発明の分散操作では、水性溶媒可溶な分
散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが
好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル
酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレ
イン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパン
スルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カル
ボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースな
どの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸
などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラチン等
の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いる
ことができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセ
ルロース誘導体が特に好ましい。
【0045】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしても良い。
【0046】機械的に分散する以外にも、pHコントロー
ルすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存
在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このと
き、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良
く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0047】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0048】本発明の有機銀塩固体微粒子分散物の粒子
サイズ(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固
体微粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆ
らぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることによ
り得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めるこ
とができる。平均粒子サイズ0.05μm以上10.0μm以下
の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒
子サイズ0.1μm以上5.0μm以下、更に好ましくは平均
粒子サイズ0.1μm以上2.0μm以下である。
【0049】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。具体的には、体積加重平均直径の標準
偏差を体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)
が80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30
%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機
銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができ
る。
【0050】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して1〜30重量%、特に3〜15
重量%の範囲が好ましい。
【0051】本発明では有機銀塩水分散液と感光性銀塩
水分散液を混合して画像形成材料を製造することが可能
であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応
じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1
〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜20モル%、特
に5〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種
以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散
液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく
用いられる方法である。
【0052】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、画像形成材料1m2当たりの塗布量で示した場合、銀
量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3
g/m2である。
【0053】本発明で用いられる非感光性銀塩の画像形
成層に用いられるポリマーラテックスの固形分に対する
1m2当たりの塗布重量比は、0.5〜1.5の範囲に
ある。
【0054】この比が0.5未満であると、画像形成材
料としての膜強度は強くなるが、熱現像時の画像形成素
材の拡散が妨げられるためか、カブリが高くならない熱
現像条件では印刷分野で必要な画像濃度(Dmax)を
得ることができなくなる。
【0055】一方、この比が1.5を越えると、非感光
性銀塩以外の素材も画像形成層に添加されることもあ
り、バインダーとしての機能を事実上果たさなくなり、
膜強度が著しく低下して印刷分野での通常のハンドリン
グに耐えられなくなる。また、塗布面状も悪化する。
【0056】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。
また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好
ましく用いることができる。構造としては好ましくは2
〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェ
ル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化
銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用い
ることができる。
【0057】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えばリサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458
号に記載されている方法を用いることができるが、具体
的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化
合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感
光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合す
る方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、
画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいこと
が好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.
01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.
12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲ
ン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶で
ある場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。ま
た、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表
面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をい
う。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒
子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を
考えたときの直径をいう。
【0058】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増
感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記
載の方法により求めることができる。
【0059】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表の第VII族あるいは第VIII族(第7族〜第10族)
の金属または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族
あるいは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属とし
て好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミ
ウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でも
よいし、同種金属および異種金属の錯体を2種以上併用
してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10
-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10
-8モルから1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体
的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載
された構造の金属錯体を用いることができる。
【0060】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例え
ば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウ
ム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト
等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)
錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テトラ
クロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジ
ウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶
解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化さ
せるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲ
ン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、ある
いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr
等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジ
ウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじ
めロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添
加して溶解させることも可能である。
【0061】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10-6モルの
範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×
10-6モルである。
【0062】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0063】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63-2042号、特開平1-285941号、
同2-20852号、同2-20855号等に記載された水溶性錯塩の
形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で
示される六配位錯体が挙げられる。 [ML6n- ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子
を表し、nは0、1、2、3または4を表す。
【0064】この場合、対イオンは重要性を持たず、ア
ンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。
【0065】また好ましい配位子としてはハロゲン化物
配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニト
ロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0066】 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0067】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当たり1×10-9モル〜1×10-5モルの範囲が好
ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-6
ルである。
【0068】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0069】これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成
中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属
錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液
を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中
に添加しておく方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同
時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3液同時
混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるい
は粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に
投入する方法などがある。特に粉末もしくはNaCl、KCl
と一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加
する方法が好ましい。
【0070】粒子表面に添加するには、粒子形成直後ま
たは物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に
必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入することも
できる。
【0071】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加す
る方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用い
る代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウ
ムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶
解させることも可能である。
【0072】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させ
ても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシ
ェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0073】上記金属はハロゲン化銀1モル当たり1×
10-9〜1×10-4モルが好ましい。また、上記金属を
含有させるには単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩に
して粒子調製時に添加することができる。
【0074】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。
【0075】本発明のハロゲン化銀乳剤に金増感を施す
場合に用いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1価
でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化
合物を用いることができる。代表的な例としては塩化金
酸、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロラ
イド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨ
ードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アン
モニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴ
ールドなどが挙げられる。
【0076】金増感剤の添加量は種々の条件により異な
るが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7
ル以上10-3モル以下、より好ましくは10-6モル以上
5×10-4以下である。
【0077】本発明のハロゲン化銀乳剤は金増感と他の
化学増感とを併用することが好ましい。他の化学増感の
方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法、貴金属増感法などの知られている方法を用いること
ができる。金増感法と組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法
とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法
とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0078】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間撹拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当り10-7〜10-2モルであり、より好ま
しくは10-5〜10-3モルである。
【0079】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号、同43-13489号、特開平4-25832号、同
4-109240号、同3-121798号等に記載の化合物を用いるこ
とができる。特に特開平4-324855号中の一般式(VIII)
および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0080】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5-3132
84号に記載の方法で試験することができる。テルル増感
剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカ
ルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド
類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテ
ルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合
を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガ
ニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド
類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、
テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含T
eヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化
合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。具
体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同
第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、
同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,9
58号、特開平4-204640号、特願平3-53693号、同3-131598
号、同4-129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
イアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.S
oc.Chem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 6
45(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ
ー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.
Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケ
ミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド
・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organ
ic Serenium and Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、
同 Vol.2(1987)に記載の化合物を用いることができる。
特に特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV) で
示される化合物が好ましい。
【0081】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0082】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロ
ゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカド
ミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させ
てもよい。
【0083】本発明においては、還元増感を用いること
ができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコ
ルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはp
Agを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感す
ることができる。また、粒子形成中に銀イオンのシング
ルアディション部分を導入することにより還元増感する
ことができる。
【0084】本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特
許293,917号に示される方法により、チオスルホン酸化
合物を添加してもよい。
【0085】本発明に用いられる感光性熱現像画像形成
材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二
種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲ
ン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条
件の異なるもの)併用してもよい。
【0086】本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量とし
ては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モ
ル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以
下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好
ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩
の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終
了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジ
ナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製
中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲ
ン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、
本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限は
ない。
【0087】本発明においては、画像形成上に保護層を
設けることが好ましく、保護層のバインダーとしては、
前述のように、ガラス転移温度が15℃以上70℃以下のポ
リマーのラテックスを用いることが好ましい。この場合
保護層の全バインダーの50重量%以上、好ましくは70重
量%以上として前述のポリマーラテックスを用いること
が好ましい。本発明ではこのような保護層を少なくとも
1層設けることが好ましい。このような保護層のバイン
ダー構成や塗設方法等については画像形成層と同様であ
る。保護層用のポリマーラテックスとしてはアクリル
系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル
系、塩化ビニリデン系のポリマーラテックスが好ましく
用いられ、具体的にはアクリル樹脂系のVONCORT R337
0、4280、Nipol Lx857、メチル(メタ)アクリレート
/2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート/ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)ア
クリル酸コポリマー、塩化ビニル樹脂のNipol G576、
塩化ビニリデン樹脂のアロンD5071が好ましく用いられ
る。
【0088】本発明に用いられる保護層用の全バインダ
ー量は0.2〜5.0g/m2、より好ましくは0.5〜4.0g/m2
の範囲である。
【0089】本発明の表面保護層としては、いかなる付
着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例として
は、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー
性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-
スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セル
ロース、セルロースアセテートブチレート、セルロース
プロピオネートやこれらの混合物などがある。また、表
面保護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための
界面活性剤などを添加してもよい。架橋剤、界面活性剤
としては公知のものを用いることができる。架橋剤の添
加量としては、保護層のバインダーに対して0.05〜
50重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ま
しく、0.5〜15重量%が特に好ましい。また、界面
活性剤の添加量としては、保護層のバインダーに対し
て、5重量%が好ましく、2重量%以下が特に好まし
い。
【0090】本発明における画像形成層または画像形成
層の保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,274,7
82号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記載さ
れているような光吸収物質およびフィルター染料を使用
することができる。また、例えば米国特許第3,282,699
号に記載のように染料を媒染することができる。フィル
ター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜3
が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0091】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
ても良いが、生産性の向上等を目的として、これらの複
数の層を水系において同時重層塗布する。塗布方式はエ
クストルージョン塗布、スライドビード塗布、カーテン
塗布などがあるが、スライドビード塗布方式が特に好ま
しい。
【0092】図1には、スライドビード塗布方式の塗布
装置の一構成例が示されている。図1の塗布装置は、塗
布に供せられる支持体21を図示矢印方向に連続走行さ
せるための塗布バックアップロール22とコーティング
ダイ23とを有する。コーティングダイ23からは塗布
液24が流出されるが、さらに、この時の塗布液ビード
を安定化するための減圧室25が設けられている。
【0093】図1の構成のおいて、支持体21が、塗布
バックアップロール22に巻きかけられて連続走行して
いる。スライドビード塗布方式のコーティングダイ23
から流出する塗布液24を支持体21上に付与するに当
たり、形成される塗布液ビードは、減圧室25により安
定化される。
【0094】塗布液24が付与された支持体21は、コ
ーティングダイ23の下流に設けられた第一乾燥ゾーン
(図示せず)に導かれ、塗布液の予備乾燥による増粘に
よりその流動が停止された後、さらに第二乾燥ゾーン
(図示せず)に導かれ、塗布液中の溶媒が揮発される。
【0095】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合では、上記第一乾燥ゾーン
で急冷され、その結果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗
布膜は冷却固化される。冷却固化されて流動の止まった
塗布膜は上記第二乾燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥
ゾーンで塗布液中の溶媒が揮発され、成膜される。第二
乾燥ゾーン以降の乾燥方式としては、U字型のダクトか
らローラー指示された支持体に噴流を吹き付けるエアー
ループ方式や円筒状のダクトに支持体をつるまき状に巻
き付けて搬送、乾燥するつるまき方式(エアーフローテ
ィング方式)などが挙げられる。
【0096】バインダーの主成分がポリマーラテックス
である本発明の塗布液では、急冷では塗布液の流動を停
止させることができないため、第一乾燥ゾーンのみでは
予備乾燥が不十分である場合もある。この場合は、ハロ
ゲン化銀写真感光材料の様な乾燥方式では流れムラや乾
燥ムラが生じ、塗布面状に重大な欠陥を生じやすい。
【0097】本発明における好ましい乾燥方式は、上記
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度としては0〜70°の間にあればよい。また、本発
明のおける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平
方向に対して上下に±15°以内に搬送されればよく、
水平搬送を意味するものではない。
【0098】本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が
一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥
過程を意味する。恒率乾燥が終了する時には、流動が停
止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀写真感光
材料の様な乾燥方式も採用することができるが、本発明
においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾ
ーンで乾燥させることが好ましい。
【0099】さらに詳細な乾燥条件を以下に説明する。
【0100】本発明における好ましい乾燥条件は、恒率
乾燥時の液膜表面温度が25℃以上40℃以下で、かつ
乾球温度が50℃以上使用支持体のガラス転移温度以下
である。本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が一定
で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥過程
を意味する。また、液膜表面温度とは、支持体に塗布さ
れた塗布液膜の恒率乾燥時の溶媒液膜表面温度を言い、
乾球温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。
【0101】恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件
で乾燥した場合、乾燥が不十分となりやすい。このため
特に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生
じやすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現
像機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題
が生じやすくなる。
【0102】一方、高い液膜表面温度となる条件で乾燥
した場合、主としてポリマーラテックスから構成される
保護層が速やかに皮膜を形成し、一方画像形成層などの
下層は流動性が停止していないので、レチキュレーショ
ンと呼ばれる表面の凹凸が発生しやすくなる。また、支
持体(ベース)にガラス転移温度よりも高い過剰の熱が
かかると、支持体(ベース)の平面性、耐巻き癖性も悪
くなる傾向にあるため、ガラス転移温度以下の乾球温度
での乾燥が実用上不可欠である。
【0103】下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐
次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に
上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を
行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と
保護層の塗布液のpH差が2.5以下であることが好ま
しく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH差
が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやすく
なり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障が
発生しやすくなる。
【0104】上記のような好ましい塗布方式において
は、特に保護層に架橋剤を添加することが好ましく、こ
れにより膜強度をさらに良化できる。その好ましい添加
量はバインダーの0.5〜15重量%程度である。
【0105】画像形成層の塗布液粘度は30℃で15〜
100cpが好ましく、さらに好ましくは30〜70c
pである。一方、保護層の塗布液粘度は25℃で5〜7
5cpが好ましく、さらに好ましくは20〜50cpで
ある。これらの粘度はB型粘度計によって測定される。
【0106】本発明の熱現像画像形成材料には有機銀塩
のための還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のため
の還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、
好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイド
ロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有
用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。
還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜
50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれ
ることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層
を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層
に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに
使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有
効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサ
ーであってもよい。
【0107】有機銀塩を利用した感光性熱現像画像形成
材料においては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同4
7-1238号、同47-33621号、同49-46427号、同49-115540
号、同50-14334号、同50-36110号、同50-147711号、同5
1-32632号、同51-1023721号、同51-32324号、同51-5193
3号、同52-84727号、同55-108654号、同56-146133号、
同57-82828号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特
許3,667,9586号、同3,679,426号、同3,751,252号、同3,
751,255号、同3,761,270号、同3,782,949号、同3,839,0
48号、同3,928,686号、同5,464,738号、独国特許232132
8号、欧州特許692732号などに開示されている。例え
ば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシ
ムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのア
ミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベ
ンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロ
キシメチル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとア
スコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリ
ールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒド
ロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンお
よび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノ
ンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペ
リジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4-メチル
フェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキ
サム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ
-アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジ
ンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フ
ェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミ
ドフェノールなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニ
ルアセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテートな
どのα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ
-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-
1,1'-ビナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)
メタンに例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-
β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例え
ば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2',4'-ジヒ
ドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-フ
ェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチル
アミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミ
ノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペ
リドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダク
トン;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノ
ールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどの
スルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン
-1,3-ジオンなど; 2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロ
キシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジ
カルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒ
ドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒドロ
キシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス
(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エチ
リデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール) 、1,1,-
ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリ
メチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体
(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸
アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチ
ルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよ
びある種のインダン-1,3-ジオン;クロマノール(トコフ
ェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤として
は、ビスフェノール、クロマノールである。
【0108】本発明の還元剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0109】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させる上でも有利になる
ことがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モル
当たりの0.1〜50%(モル)の量含まれることが好まし
く、0.5〜20%(モル)含まれることがさらに好ましい。
また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導
化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0110】有機銀塩を利用した感光性熱現像画像形成
材料においては広範囲の色調剤が特開昭46-6077号、同4
7-10282号、同49-5019号、同49-5020号、同49-91215
号、同49-91215号、同50-2524号、同50-32927号、同50-
67132号、同50-67641号、同50-114217号、同51-3223
号、同51-27923号、同52-14788号、同52-99813号、同53
-1020号、同53-76020号、同54-156524号、同54-156525
号、同61-183642号、特開平4-56848号、特公昭49-10727
号、同54-20333号、米国特許3,080,254号、同3,446,648
号、同3,782,941号、同4,123,282号、同4,510,236号、
英国特許1380795号、ベルギー特許841910号などに開示
されている。色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒド
ロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-
オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリ
ン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび
2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタル
イミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);
コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオ
ロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,
4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェ
ニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,
4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミ
ノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N
-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメ
チルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミ
ド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウ
ム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサ
メチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾー
ル)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルス
ルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5
[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチ
リデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジ
ノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1
-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-
ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタ
ラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘
導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(例えば、4-(1-ナ
フチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメト
キシフタラジン、6-iso-ブチルフタラジン、6-tert-ブ
チルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジン、および2,3-
ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩、;
フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体(例え
ば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸お
よびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナ
ゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジ
ン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲ
ン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能す
るロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸
アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキ
サクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物
および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムお
よび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、
8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよび6-
ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズ
オキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉-トリア
ジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロ
キシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、および
テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプ
ト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタ
レン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカ
プト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがあ
る。
【0111】本発明の色調剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0112】本発明の感光性熱現像画像形成材料は、硬
調な画像を得るために画像形成層および/またはその隣
接層中に造核剤を含有する。本発明に用いられる造核剤
としては、一般式(1)で表される置換アルケン誘導
体、一般式(2)で表される置換イソオキサゾール誘導
体、一般式(3)で表される特定のアセタール化合物、
およびヒドラジン誘導体が好ましい。
【0113】本発明で用いられる一般式(1)で表され
る置換アルケン誘導体、一般式(2)で表される置換イ
ソオキサゾール誘導体、および一般式(3)で表される
特定のアセタール化合物について説明する。
【0114】
【化3】
【0115】一般式(1)においてR1,R2,R3は、そ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸
引性基またはシリル基を表す。 一般式(1)においてR1
とZ、R2とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互い
に結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(2)
においてR4は、置換基を表す。一般式(3)において
X,Yはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、
A,Bはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ
基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ
基、またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式(3)におい
てXとY、あるいはAとBは、互いに結合して環状構造
を形成していてもよい。
【0116】一般式(1)で表される化合物について詳し
く説明する。一般式(1)においてR1,R2,R3は、そ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸
引性基またはシリル基を表す。一般式(1)においてR1
とZ、R2とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互い
に結合して環状構造を形成していても良い。
【0117】R1,R2,R3が置換基を表す時、置換基
の例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロ
ル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(ア
ラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含
む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテ
ロ環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化
された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコ
キシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしく
はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキ
ル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)ス
ルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル
基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルスルファモイル基または
その塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エ
ステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げら
れる。
【0118】これら置換基は、これら置換基でさらに置
換されていてもよい。
【0119】一般式(1)においてZで表される電子吸引
性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りう
る置換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カル
バモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チ
オカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原
子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンア
ミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホ
スホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基
(またはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオ
キシ基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリー
ル基等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル
基、ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾ
リル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダ
ントイン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミ
ド基等がその例として挙げられる。
【0120】一般式(1)においてZで表される電子吸引
性基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基
としては、一般式(1)のR1,R2,R3が置換基を表す
時に有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0121】一般式(1)においてR1とZ、R2とR3
1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状構
造を形成していてもよいが、この時形成される環状構造
とは、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環で
ある。
【0122】次に一般式(1)で表される化合物の好まし
い範囲について述べる。
【0123】一般式(1)においてZで表されるシリル基
として好ましくは、具体的にトリメチルシリル基、t−
ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、
トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ
メチルシリルジメチルシリル基等である。
【0124】一般式(1)においてZで表される電子吸引
性基として好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、
即ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモ
イル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホ
ルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイ
ル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメ
チル基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカ
ルバモイル基である。
【0125】一般式(1)においてZで表される基は、電
子吸引性基がより好ましい。
【0126】一般式(1)においてR1,R2,およびR3
で表される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30
の基で、具体的には上述の一般式(1)のZで表される電
子吸引性基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ
基(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ
基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環ア
ミノ基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド
基、または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げら
れる。
【0127】さらに一般式(1)においてR1は、好まし
くは電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、アル
コキシ基、アシルアミノ基、水素原子またはシリル基で
ある。
【0128】R1が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。
【0129】R1がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、任意の置換基が挙げられるが、
中でも電子吸引性の置換基が好ましい。
【0130】一般式(1)においてR1は、より好ましく
は、電子吸引性基またはアリール基を表す時である。
【0131】一般式(1)においてR2およびR3で表され
る置換基として好ましくは、具体的に、上述の一般式
(1)のZで表される電子吸引性基と同義の基、アルキル
基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(また
はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、
ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置
換のフェニル基等である。
【0132】一般式(1)においてR2およびR3は、さら
に好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が置換
基を表す時である。その置換基として好ましくは、アル
キル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ
基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフル
オロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換もし
くは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であり、
さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メルカ
プト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特に好
ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ基、
またはヘテロ環基である。
【0133】一般式(1)においてZとR1、あるいはま
たR2とR3とが環状構造を形成する場合もまた好まし
い。この場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素
環もしくは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員
〜7員の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1
〜40、さらには3〜30が好ましい。
【0134】一般式(1)で表される化合物の中で、より
好ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、ア
シル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカ
ルバモイル基を表し、R1が電子吸引性基またはアリー
ル基を表し、R2またはR3のどちらか一方が水素原子
で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。
さらにまた一般式(1)で表される化合物の中で特に好ま
しいものの1つは、ZとR1とが非芳香族の5員〜7員
の環状構造を形成していて、R2またはR3のどちらか一
方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、
メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリール
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化
合物である。この時、R1と共に非芳香族の環状構造を
形成するZとしては、アシル基、カルバモイル基、オキ
シカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基等が
好ましく、またR1としては、アシル基、カルバモイル
基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニ
ル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アシルア
ミノ基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0135】次に一般式(2)で表される化合物について
説明する。一般式(2)においてR4は置換基を表す。R4
で表される置換基としては、一般式(1)のR1〜R3の置
換基について説明したものと同じものが挙げられる。
【0136】R4で表される置換基は、好ましくは電子
吸引性基またはアリール基である。R4が電子吸引性基
を表す時、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、
即ち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバ
モイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、
ホスホリル基、イミノ基、または飽和もしくは不飽和の
ヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホルミ
ル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、ヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシアノ
基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、またはヘテロ環基である。
【0137】R4がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、一般式(1)のR1,R2,R3
置換基を表す時にその置換基として説明したものと同じ
ものが挙げられる。
【0138】R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、また
は置換もしくは無置換のフェニル基であり、最も好まし
くはシアノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニ
ル基である。
【0139】次に一般式(3)で表される化合物について
詳しく説明する。一般式(3)においてX,Yはそれぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、A,Bはそれぞれ
独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミ
ノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ
基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ
環アミノ基を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。
【0140】一般式(3)においてX,Yで表される置換
基としては、一般式(1)のR1〜R3の置換基について説
明したものと同じものが挙げられる。具体的には、アル
キル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル基
等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、
シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、ア
シル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル基、アシルオ
キシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、
ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ
基(またはその塩)、ヒドロキシ基(またはその塩)、
メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミ
ノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基等が挙
げられる。
【0141】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。
【0142】一般式(3)においてX,Yで表される置換
基は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは
総炭素数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイ
ル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカル
ボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキ
ル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルア
ミノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、
アルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が
挙げられる。
【0143】一般式(3)においてX,Yは、より好まし
くはシアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カ
ルバモイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、
アシルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、ト
リフルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフ
ェニル基等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、
アシルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または
任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0144】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。
【0145】一般式(3)においてA,Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。一般式(3)においてA,Bで表される
基は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは
総炭素数1〜30の基であり、さらに置換基を有してい
てもよい。
【0146】一般式(3)においてA,Bは、これらが互
いに結合して環状構造を形成している場合がより好まし
い。この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香
族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さ
らには3〜30が好ましい。この場合に、A,Bが連結
した例(−A−B−)を挙げれば、例えば-O-(CH2)2-O-,
-O-(CH2)3-O-,-S-(CH2)2-S-,-S-(CH2)3-S-,-S-ph-S
-,-N(CH3)-(CH2)2-O-,-N(CH3)-(CH2)2-S-,-O-(CH2)2
-S-,-O-(CH2)3-S-,-N(CH3)-ph-O-,-N(CH3)-ph-S-,-
N(ph)-(CH2)2-S-等である。
【0147】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基
が組み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、
アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオア
ミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米
国特許第4,385,108号、同4,459,347
号、特開昭59−195233号、同59−20023
1号、同59−201045号、同59−201046
号、同59−201047号、同59−201048
号、同59−201049号、特開昭61−17073
3号、同61−270744号、同62−948号、同
63−234244号、同63−234245号、同6
3−234246号に記載された基が挙げられる。また
これらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化され
ていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平
2−285344号に記載された基が挙げられる。
【0148】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤
において常用されているバラスト基またはポリマーが組
み込まれているものでもよい。特にバラスト基が組み込
まれているものは本発明の好ましい例の1つである。バ
ラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比
較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル
基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、
フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶ
ことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1
−100530号に記載のものが挙げられる。
【0149】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級
のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子
を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしく
はプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アル
キル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩
基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ
基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモ
イル基等)が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ
基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基が含まれているものは、本発明の好ましい例の1
つである。これらの基の具体例としては、例えば特開平
7ー234471号、特開平5−333466号、特開
平6−19032号、特開平6−19031号、特開平
5−45761号、米国特許4994365号、米国特
許4988604号、特開平3−259240号、特開
平7−5610号、特開平7−244348号、独国特
許4006032号等に記載の化合物が挙げられる。
【0150】次に本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は
以下の化合物に限定されるものではない。
【0151】
【化4】
【0152】
【化5】
【0153】
【化6】
【0154】
【化7】
【0155】
【化8】
【0156】
【化9】
【0157】
【化10】
【0158】
【化11】
【0159】
【化12】
【0160】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコー
ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素
化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケ
トン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができ
る。
【0161】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当
な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波
によって分散し用いることができる。
【0162】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画
像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加してもよ
いが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加する
ことが好ましい。本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6
1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより
好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好まし
い。
【0163】一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物
は公知の方法により容易に合成することができるが、例
えば、米国特許5545515号、米国特許56353
39号、米国特許5654130号、国際特許WO−9
7/34196号、あるいは特願平9−354107
号、特願平9−309813号、特願平9−27200
2号に記載の方法を参考に合成することができる。
【0164】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表され
る化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併用しても
良い。また上記のものの他に、米国特許5545515
号、米国特許5635339号、米国特許565413
0号、国際特許WO−97/34196号、米国特許5
686228号に記載の化合物、あるいはまた特願平8
−279962号、特願平9−228881号、特願平
9−273935号、特願平9−354107号、特願
平9−309813号、特願平9−296174号、特
願平9−282564号、特願平9−272002号、
特願平9−272003号、特願平9−332388号
に記載された化合物を併用して用いても良い。
【0165】本発明に造核剤として用いられるヒドラジ
ン誘導体は、下記一般式(H)によって表わされる化合
物が好ましい。
【0166】
【化13】
【0167】式中、R12は脂肪族基、芳香族基、または
ヘテロ環基を表し、R11は水素原子またはブロック基を
表し、G1は-CO-,-COCO-,-C(=S)-,-SO2-,-SO-,-PO
(R13)-基(R13はR11に定義した基と同じ範囲内より選
ばれ、R11と異なっていてもよい。)、またはイミノメ
チレン基を表す。A1、A2はともに水素原子、あるいは一
方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルス
ルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスル
ホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表
す。m1は0または1であり、m1が0の時、R11は脂肪族
基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。
【0168】一般式(H)において、R12で表わされる脂
肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換
の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基である。
【0169】一般式(H)において、R12で表わされる芳
香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばフ
ェニル基、ナフチル基が挙げられる。R12で表わされる
ヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしく
は不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、こ
れらの基中のヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、
ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリ
ン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾ
ール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジ
ン環、モルホリノ環、ピペリジン環、ピペラジン環等が
挙げられる。
【0170】R12として好ましいものはアリール基もし
くはアルキル基である。
【0171】R12は置換されていてもよく、代表的な置
換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル
原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラ
ルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含
む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素
環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば
ピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボ
キシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシ
ルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カ
ルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ
基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基
(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を
繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ
基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリ
ール,またはヘテロ環)アミノ基、N-置換の含窒素ヘテ
ロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド
基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくは
アリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイル
アミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、
ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミ
ノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイ
ド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ
基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,
またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)
スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニ
ル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシ
ルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基また
はその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を
含む基、等が挙げられる。
【0172】これら置換基は、これら置換基でさらに置
換されていてもよい。
【0173】R12が有していてもよい置換基として好ま
しいものは、R12が芳香族基またはヘテロ環基を表す場
合、アルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル
基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スル
ホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、
イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキ
シ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その
塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ
る。
【0174】またR12が脂肪族基を表す場合は、アルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイル
アミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド
基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボ
キシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,また
はヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スル
ファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が
好ましい。
【0175】一般式(H)において、R11は水素原子ま
たはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、脂
肪族基(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール
基)、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0176】R11で表わされるアルキル基として好まし
くは、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基
であり、例えばメチル基、エチル基、トリフルオロメチ
ル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフル
オロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキ
シメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3-ヒドロ
キシプロピル基、3-メタンスルホンアミドプロピル基、
フェニルスルホニルメチル基、o-ヒドロキシベンジル
基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、4-エチル
フェノキシメチル基、フェニルチオメチル基、t-ブチル
基、ジシアノメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェ
ニルメチル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル
基、シアノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニル
メチル基などが挙げられる。アルケニル基として好まし
くは炭素数1〜10のアルケニル基であり、例えばビニル
基、2-エトキシカルボニルビニル基、2-トリフルオロ-2
-メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキ
ニル基として好ましくは炭素数1〜10のアルキニル基で
あり、例えばエチニル基、2-メトキシカルボニルエチニ
ル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは
縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むもの
が特に好ましい。例えばフェニル基、パーフルオロフェ
ニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-メタンスルホン
アミドフェニル基、2-カルバモイルフェニル基、4,5-
ジシアノフェニル基、2-ヒドロキシメチルフェニル基、
2、6-ジクロロ-4-シアノフェニル基、2-クロロ-5-オク
チルスルファモイルフェニル基などが挙げられる。
【0177】ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも
1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽
和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基
で、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N-置換)、イミ
ダゾリル基、インダゾリル基(4-ニトロインダゾリル基
等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾ
リル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基
(N-メチル-3-ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノ
リル基などがある。
【0178】アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコ
キシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2-ヒドロキシエ
トキシ基、ベンジルオキシ基、t-ブトキシ基等が挙げら
れる。アリールオキシ基としては置換もしくは無置換の
フェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミ
ノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリー
ルアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミ
ノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ
基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、
6、6-テトラメチルピペリジン-4-イルアミノ基、プロピ
ルアミノ基、2-ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ
基,o-ヒドロキシアニリノ基、5-ベンゾトリアゾリル
アミノ基、N-ベンジル-3-ピリジニオアミノ基等が挙げ
られる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒ
ドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒド
ラジノ基(4-ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジ
ノ基など)が特に好ましい。
【0179】R11で表される基は置換されていても良
く、その置換基の例としては、R12の置換基として例示
したものがあてはまる。
【0180】一般式(H)においてR11はG1-R11の部分
を残余分子から分裂させ、-G1-R11部分の原子を含む環
式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであ
ってもよく、その例としては、例えば特開昭63-29751号
などに記載のものが挙げられる。
【0181】一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体
は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込
まれていてもよい。こうした吸着基としては、アルキル
チオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、
メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第
4,385,108号、同4,459,347号、特開昭59-195233
号、同59-200231号、同59-201045号、同59-201046号、
同59-201047号、同59-201048号、同59-201049号、特開
昭61-170733号、同61-270744号、同62-948号、同63-234
244号、同63-234245号、同63-234246号に記載された基
が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、
プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサ
ーとしては、特開平2-285344号に記載された基が挙げら
れる。
【0182】一般式(H)のR11またはR12はその中に
カプラー等の不動性写真用添加剤において常用されてい
るバラスト基またはポリマーが組み込まれているもので
もよい。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性
に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、
アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフ
ェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの
中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例え
ば特開平1-100530号に記載のものが挙げられる。
【0183】一般式(H)のR11またはR12は、置換基
としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時
一般式(H)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関し
ての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64-86134
号、特開平4-16938号、特開平5-197091号、WO95-32452
号、WO95-32453号、特願平7-351132号、特願平7-351269
号、特願平7-351168号、特願平7-351287号、特願平7-35
1279号等に記載された化合物が挙げられる。
【0184】一般式(H)のR11またはR12は、その中
にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含
む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ
環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ
基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,ま
たはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる
解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモ
イル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれて
いてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば
特開平7-234471号、特開平5-333466号、特開平6-19032
号、特開平6-19031号、特開平5-45761号、米国特許4,99
4,365号、米国特許4,988,604号、特開平3-259240号、特
開平7-5610号、特開平7-244348号、独国特許4,006,032
号等に記載の化合物が挙げられる。
【0185】一般式(H)においてA1、A2は水素原子、
炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基
(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの
置換基定数の和が-0.5以上となるように置換されたフ
ェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ま
しくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和
が-0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あ
るいは直鎖、分岐、もしくは環状の置換または無置換の
脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲ
ン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミ
ド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げ
られる))である。A1 、A2 としては水素原子が最も好
ましい。
【0186】次に本発明において、特に好ましいヒドラ
ジン誘導体について述べる。
【0187】R12はフェニル基または炭素数1〜3の置換
アルキル基が好ましい。
【0188】R12がフェニル基を表す時、その好ましい
置換基としては、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル
基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基、
チオウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基、
カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(またはその
塩)、アルコキシカルボニル基、またはクロル原子が挙
げられる。
【0189】R12が置換フェニル基を表す時、その置換
基に、直接または連結基を介して、バラスト基、ハロゲ
ン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化
された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキ
シ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,
またはヘテロ環)チオ基、ニトロ基、アルコキシ基、ア
シルアミノ基、スルホンアミド基、解離性基(カルボキ
シ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイ
ルスルファモイル基等)、もしくは多量体を形成しうる
ヒドラジノ基(-NHNH-G1-R11で表される基)の少なく
とも1つが置換されていることがより好ましい。
【0190】R12が炭素数1〜3の置換アルキル基を表す
時、R12はより好ましくは置換メチル基であり、さらに
は、二置換メチル基もしくは三置換メチル基が好まし
く、その置換基としては具体的に、メチル基、フェニル
基、シアノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ
環)チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、クロル
原子、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基、アミノ基、アシルアミノ基、またはスルホンアミド
基が好ましく、特に置換もしくは無置換のフェニル基が
好ましい。
【0191】R12が置換メチル基を表す時、より好まし
い具体例としては、t-ブチル基、ジシアノメチル基、ジ
シアノフェニルメチル基、トリフェニルメチル基(トリ
チル基)、ジフェニルメチル基、メトキシカルボニルジ
フェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メチル
チオジフェニルメチル基、シクロプロピルジフェニルメ
チル基などが挙げられるが、中でもトリチル基が最も好
ましい。
【0192】一般式(H)においてR12は、最も好ましくは
置換フェニル基である。
【0193】一般式(H)においてm1は1または0を表す
が、m1が0の時、R11は脂肪族基、芳香族基、またはヘ
テロ環基を表す。m1が0の時、R11は特に好ましくはフ
ェニル基または炭素数1〜3の置換アルキル基であり、こ
れは先に説明したR12の好ましい範囲と同じである。m1
は好ましくは1である。
【0194】R11で表わされる基のうち好ましいもの
は、R12がフェニル基を表し、かつG1が-CO-基の場合に
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ま
しくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、最も
好ましくは水素原子またはアルキル基である。ここでR
11がアルキル基を表す時、その置換基としてはハロゲン
原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、カルボキシ基が特に好ましい。
【0195】R12が置換メチル基を表し、かつG1 が-CO-
基の場合には、R11は好ましくは水素原子、アルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基
(無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ
基、ヘテロ環アミノ基)であり、さらに好ましくは水素
原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキ
シ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環
アミノ基である。 G1が-COCO-基の場合には、R12に関
わらず、R11はアルコキシ基、アリールオキシ基、アミ
ノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキル
アミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽
和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
【0196】またG1が-SO2-基の場合には、R12に関わら
ず、R11はアルキル基、アリール基または置換アミノ基
が好ましい。
【0197】一般式(H)においてG1は好ましくは-CO-
基または-COCO-基であり、特に好ましくは-CO-基であ
る。
【0198】次に一般式(H)で示される化合物の具体
例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定
されるものではない。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
【表6】
【0205】
【表7】
【0206】
【表8】
【0207】
【表9】
【0208】
【表10】
【0209】
【表11】
【0210】
【表12】
【0211】
【表13】
【0212】
【表14】
【0213】
【表15】
【0214】
【表16】
【0215】
【表17】
【0216】
【表18】
【0217】
【表19】
【0218】
【表20】
【0219】
【表21】
【0220】
【表22】
【0221】本発明に用いられるヒドラジン誘導体とし
ては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好
ましく用いられる。(場合によっては組み合わせて用い
ることもできる。)本発明に用いられるヒドラジン誘導
体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、
合成することができる。
【0222】特公平6-77138号に記載の(化1)で表され
る化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合
物。特公平6-93082号に記載の一般式(I)で表される
化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の
化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般
式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的
には同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1〜化合物4-1
0、28頁〜36頁に記載の化合物5-1〜5-42、および39頁、
40頁に記載の化合物6-1〜化合物6-7。特開平6-289520号
に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合
物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1-1)
〜1-17)および2-1)。特開平6-313936号に記載の(化
2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公
報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載
の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜
5頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式
(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10
頁に記載の化合物I-1〜I-38。特開平7-77783号に記載
の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報
10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-1044
26号に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化
合物H-1〜H-44。特願平7-191007号に記載の,ヒドラ
ジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原
子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有するこ
とを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式
(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一
般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に記
載の化合物N-1〜N-30。特願平7-191007号に記載の一般
式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載
の化合物D-1〜D-55。
【0223】さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜
207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々
のヒドラジン誘導体。特開昭62-86354号(6頁〜7頁)の
化合物D-2およびD-39。
【0224】本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な有
機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに
溶解して用いることができる。また、既によく知られて
いる乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリク
レジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートある
いはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシ
クロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的
に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは
固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジ
ン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、
あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0225】本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対
して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層
側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるい
はそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0226】本発明のヒドラジン造核剤の添加量は、銀
1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ましく、1×10-5
〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5〜5×10-3モル
が最も好ましい。
【0227】また、本発明は超硬調画像形成のために、
前記の造核剤(超硬調化剤)とともに硬調化促進剤を併
用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号
に記載のアミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同
5,545,507に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-
1〜HA-11、同5,545,507に記載のアクリロニトリル
類、具体的にはCN-1〜CN-13、同5,558,983に記載の
ヒドラジン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、特願平
8-132836に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A
-42、B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いることがで
きる。
【0228】前記造核剤(超硬調化剤)の合成方法、添
加方法、添加量等は、それぞれの前記引用特許に記載さ
れているように行うことができる。
【0229】本発明では五酸化二リンが水和してできる
酸またはその塩を用いることができ、その具体例は、メ
タリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸
(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタ
リン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる五酸
化二リンが水和してできる酸またはその塩としてはオル
トリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、具体
的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸
二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキ
サメタリン酸アンモニウムなどがある。
【0230】本発明の五酸化二リンが水和してできる酸
またはその塩は、少量で所望の効果を発現するという点
から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に
添加することが好ましい。
【0231】本発明の五酸化二リンが水和してできる酸
またはその塩の使用量(画像形成材料1m2当たりの塗布
量)としては感度やカブリなどの性能に合わせて所望の
量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100m
g/m2がより好ましい。
【0232】本発明における増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17
643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメ
ージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することができ
る。
【0233】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI
-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-35の
化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の
化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、特開
昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物および特開
平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物などが有利
に選択される。
【0234】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同
3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、
同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号、同6
-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、同6-3011
41号に記載されたような既知の色素から適当に選択して
よい。
【0235】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素) 、カルボン酸
基を有する色素(例としては特開平3-163440号、同6-301
141号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロ
シアニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色
素(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、
同52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-67
50号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381
号、同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、
英国特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載され
た色素)が挙げられる。
【0236】また、J-bandを形成する色素として米国特
許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5記載の色素、
特開平2-96131号、特開昭59-48753号が開示されてお
り、本発明に好ましく用いることができる。
【0237】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933号、
特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載されてい
る。
【0238】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロ
パノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ
-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキ
シ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶
媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加しても
よい。
【0239】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、
同44-27555号、同57-22091号等に開示されているよう
に、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添
加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細
書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水
溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加
する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示さ
れているように親水性コロイド中に色素を直接分散さ
せ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-746
24号に開示されているように、レッドシフトさせる化合
物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する
方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用い
ることもできる。
【0240】本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲ
ン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であるこ
とが認められている乳剤調製のいかなる工程中であって
もよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58-184142号、
同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハ
ロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時
期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開
始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示
されているように、化学熟成の直前または工程中の時
期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前
ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。
また、米国特許4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細
書に開示されているように、同一化合物を単独で、また
は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工
程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けた
り、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなど
して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物
および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよ
い。
【0241】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
画像形成層(感光性層)のハロゲン化銀1モル当たり10
-6〜1モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好まし
い。
【0242】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同
第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,72
8,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載
のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、
ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号お
よび同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および
金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に
記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557
号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,41
1,985号に記載のリン化合物などがある。
【0243】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5,340,712号、同
5,369,000号、同5,464,737号に開示されているような化
合物が挙げられる。
【0244】本発明のカブリ防止剤として下記一般式
(4)で表される化合物を少なくとも1種を含有するこ
とが好ましい。
【0245】
【化14】
【0246】一般式(4)において、Mは水素原子また
はk価の陽イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イ
オン等の金属イオン、テトラメチルアンモニウムイオ
ン、テトラブチルアンモニウムイオン等のアンモニウム
イオン等)を表わす。kは例示されるイオンが示すよう
に1以上の整数であり、通常1または2である。また、
Mが水素原子の時k=1である。
【0247】一般式(4)において、Rは置換基を表わ
し、例えば直鎖、分岐または環状のアルキル基(好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好まし
くは1〜8であり、例えば、メチル、エチル、iso−
プロピル、t−ブチル、n−オクチル、1,1,3,3-テトラ
メチルブチル、t−アミル、シクロヘキシルなどが挙げ
られる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例
えば、ビニル、アリル、2-ブテニル、3-ペンテニルなど
が挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であ
り、例えば、プロパルギル、3-ペンチニルなどが挙げら
れる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、よ
り好ましくは7〜20、特に好ましくは7〜16であ
り、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α−エチ
ルベンジル、ジフェニルメチル、ナフチルメチル、ナフ
チルフェニルメチルなどが挙げられる)、アリール基
(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特
に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p-メチ
ルフェニル、ナフチルなどが挙げられる)、アミノ基
(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、更
に好ましくは0〜6であり、例えば、アミノ、メチルア
ミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルア
ミノなどが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1
〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシな
どが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭
素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6
〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2-ナフチルオキ
シなどが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12で
あり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバ
ロイルなどが挙げられる)、アルコキシカルボニル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特
に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニルなどが挙げられる)、アリール
オキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好
ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例え
ば、フェノキシカルボニルなどが挙げられる)、アシル
オキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2
〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキ
シ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる)、アシルアミ
ノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜1
6、特に好ましくは2〜10であり、例えば、アセチルア
ミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる)、アルコキ
シカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例え
ば、メトキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、ア
リールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7
〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12で
あり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノなどが
挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12
であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンス
ルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル
基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、
特に好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイ
ル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、
フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバ
モイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0
〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えば、カルバモ
イル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルな
どが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であ
り、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレ
イなどが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1
〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオなどが挙
げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜
20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であ
り、例えば、フェニルチオなどが挙げられる)、スルホ
ニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜
16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、ト
シルなどが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは
1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼン
スルフィニルなどが挙げられる)、燐酸アミド基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ま
しくは1〜12であり、例えば、ジエチル燐酸アミド、フ
ェニル燐酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、
メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ
基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム基、スルフ
ィノ基、ヒドラジノ基、スルホニルチオ基、チオスルホ
ニル基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピリジ
ル、フリル、ピペリジル、モリホリルなどが挙げられ
る)、ジスルフィド基などが挙げられる。
【0248】これらの置換基は、更に、置換されていて
も良く、塩形成が可能な基である場合は塩を形成してい
ても良い。また、nは1〜4の整数であるが、置換基が
2つ以上ある場合、即ちn≧の2場合は、同じでも異な
っていても良い。nは1〜3が好ましく、2が最も好ま
しい。
【0249】また、これらの置換基は互いに結合して5
員ないし7員環の非芳香族または芳香族の炭素環(例え
ばベンゼン環)を形成しても良い。さらに、この環は他
の置換基(例えばハロゲン原子、カルボキシ基)で置換
されていても良い。
【0250】Rで表わされる置換基として好ましくは、
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル
基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミ
ノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミ
ノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド
基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、メ
ルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カル
ボキシ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、さらに好まし
くは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アミ
ノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、
メルカプト基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシ基
である。
【0251】さらに、一般式(4)において、水酸基の
オルト位および/またはパラ位にアルキル基が置換する
ことが特に好ましい。
【0252】また、一般式(4)の化合物が一つの炭素
を介して結合したビスフェノール構造もより好ましい。
【0253】次に一般式(4)のカブリ防止剤の具体例
を示すが、これに限定されるものではない。
【0254】
【化15】
【0255】
【化16】
【0256】
【化17】
【0257】
【化18】
【0258】
【化19】
【0259】
【化20】
【0260】本発明の一般式(4)のカブリ防止剤は、
市販のものを用いても良く、また、例えば、特開平2-25
1838号に開示されている方法やJ.Med.Chem.,34,342(199
1)に記載のサリチル酸とカルボニル化合物との酸触媒縮
合反応等によって容易に合成できる。
【0261】本発明のカブリ防止剤は、水あるいは適当
な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノ
ール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶
解して用いることができる。
【0262】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、粉末を水の中にボールミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントン
ゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によ
って分散し用いることができる。
【0263】本発明のカブリ防止剤は、支持体に対して
画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の
他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそ
れに隣接する層に添加することが好ましい。画像形成層
は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であり、好
ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する感光性層
であることが好ましい。
【0264】本発明のカブリ防止剤の添加量は、Ag
1molに対するmol量 (mol/molAg)で示して、好ましく
は1×10-5〜5×10-1mol/molAg、より 好ましく
は、5×10-5〜1×10-1mol/molAg、更に好ましく
は、1×10-4〜5×10-2mol/molAgである。これらは
1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。
【0265】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが
有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、
酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀
の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましく
は1×10-9モル〜1×10-3モル、さらに好ましくは1×10
-8モル〜1×10-4モルの範囲である。
【0266】本発明における熱現像画像形成材料は高感
度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても
良い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体で
もよいが、好ましい構造の例としては、米国特許4,784,
939号、同4,152,160号、特願平8-151242号、同8-151241
号、同8-98051号などに記載の化合物が挙げられる。本
発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層(画像形成層)を有
する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層
に添加することがさらに好ましい。本発明の安息香酸類
の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行って
も良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製
時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩
調製後から塗布直前が好ましい。本発明の安息香酸類の
添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる
方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤
など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明の安息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良
いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ま
しく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0267】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。
【0268】本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM 、Ar-S-S-A
rで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子または
アルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオ
ウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する
芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、これ
らの基中の複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4
個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)
からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカ
プトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾ
ール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5
-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプト
ベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾー
ル、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニ
ル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾー
ル、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メ
ルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト
-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリ
ンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオー
ル、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモ
ノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジア
ゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、
4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト
ピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2
-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メ
ルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル
-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾ
ール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-
{3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル}ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる
が、本発明はこれらに限定されない。
【0269】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層(画像形成層)中に銀1モル当たり0.0001〜1.0
モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル
当たり0.001〜0.3モルの量である。
【0270】本発明における画像形成層には、可塑剤お
よび潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第
2,960,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオ
ール)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号
に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号
に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0271】本発明の画像形成層としての感光性層には
色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や
顔料を用いることができる。本発明の感光性層に用いる
染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラ
ーインデックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピ
ラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、
アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染
料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドア
ニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンを
はじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。本
発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン
染料(例えば特開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開
平5-165147号記載の化合物3-6〜18および3-23〜38な
ど)、アゾメチン染料(特開平5-341441号記載の化合物17
〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5-289227
号記載の化合物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物
47、特開平5-165147号記載の化合物2-10〜11など)およ
びアゾ染料(特開平5-341441号記載の化合物10〜16)が挙
げられる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化
物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態
などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は
目的の吸収量によって決められるが、一般的に画像形成
材料1m2当たり1×10-6g以上1g以下の範囲で用いること
が好ましい。
【0272】本発明における熱現像画像形成材料は、支
持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を
含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、
いわゆる片面画像形成材料であることが好ましい。
【0273】本発明においてバック層は、所望の範囲で
の最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。
所望の範囲が750〜1400nmである場合には、750〜360nm
においての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好
ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度
を有するハレーション防止層であることが好ましい。所
望の範囲が750nm以下である場合には、画像形成前の所
望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像
形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満にな
るようなハレーション防止層であることが好ましい。画
像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては
特に制限はないが、例えばベルギー特許第733,706号に
記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低
下させる方法、特開昭54-17833号に記載の光照射による
消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0274】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、このような染料は所望の範囲で目的の吸収を有
し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バッ
ク層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればい
かなる化合物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示
されているが本発明はこれに限定されるものではない。
単独の染料としては特開昭59-56458号、特開平2-216140
号、同7-13295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号
記載、特開平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第
14頁左下欄9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同
第16頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料
としては特開昭52-139136号、同53-132334号、同56-501
480号、同57-16060号、同57-68831号、同57-101835号、
同59-182436号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公
昭48-33692号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国
特許4,088,497号、同4,283,487号、同4,548,896号、同
5,187,049号がある。
【0275】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィ
ルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロ
ース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブ
チレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポ
リ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレ
ン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリ
ル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセ
タール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ
(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ
(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニル
アセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類
がある。バインダーは水または有機溶媒または前述のポ
リマーラテックス等のエマルジョンから被覆形成しても
よい。特に、ポリマーラテックスを用いることは好まし
い。
【0276】本発明における片面画像形成材料は、搬送
性改良のために画像形成層(感光性乳剤層)の表面保護
層および/またはバック層またはバック層の表面保護層
にマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に
不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット
剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,
939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,7
82号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記
載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同
3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,76
9,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界
で良く知られたものを用いることができる。例えば具体
的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の
例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチ
ルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアク
リロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共
重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共
重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネ
ート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘
導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテ
ート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉
誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフ
ェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、
公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート
硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど
好ましく用いることができる。無機化合物の例としては
二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、、酸
化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知
の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻
土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤
は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いること
ができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、
任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施
に際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好
ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても
良い。一方、マット剤は塗膜のヘイズ、表面光沢に大き
く影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマ
ット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要
に応じた状態にすることが好ましい。
【0277】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さ
らに好ましくは700秒以下50秒以上である。
【0278】本発明において、マット剤は画像形成材料
の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あ
るいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、また
いわゆる保護層として作用する層に含有されることが好
ましい。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生
じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が500秒
以上10,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,000秒以
下が好ましい。
【0279】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層を構成する。一層の構成は
有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、な
らびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望に
よる追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀
塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にい
くつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全
ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含
んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写
真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを
含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載され
ているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよ
い。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層
は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されている
ように、各乳剤層(感光性層)の間に官能性もしくは非
官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別
されて保持される。
【0280】米国特許第4,460,681号および同第4,374,9
21号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resi
stive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用
することもできる。
【0281】本発明の画像形成層、保護層、バック層な
ど各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例として
は、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などに記
載されているポリイソシアネート類、米国特許4,791,04
2号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-
89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物
類などが用いられる。
【0282】本発明には塗布性、帯電改良などを目的と
して界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系な
どいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭
62-170950号、米国特許5,380,644号などに記載のフッ素
系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号、特開昭63-18
8135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,88
5,965号などに記載のポリシロキサン系界面活性剤、特
開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイド
やアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0283】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、バライタおよ
び/または部分的にアセチル化されたα-オレフィンポ
リマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα-オレフィン
のポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用
いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよ
いが、透明であることが好ましい。これらのうちでも75
〜200μm程度の2軸延伸したポリエチレンテレフタレー
ト(PET)が特に好ましい。
【0284】一方、プラスチックフィルムを80℃以上の
処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮す
る。処理後の画像形成材料を印刷製版用途として使用す
る場合、この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題
となる。よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に
残存する内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収
縮歪みをなくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルム
を用いることが好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を
塗布する前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチ
レンテレフタレートなどが好ましく用いられる。ガラス
転移温度の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケ
トン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルス
ルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用
できる。
【0285】本発明における熱現像画像形成材料は、帯
電防止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸
塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同
第3,206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは
米国特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩、
特開昭60-252349号、同57-104931号に記載されている酸
化スズ微粒子などを含む層を有してもよい。
【0286】本発明における熱現像画像形成材料を用い
てカラー画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁
左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。ま
た、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,
889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同
第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号お
よび同第4,042,394号に例示されている。
【0287】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。
【0288】本発明における熱現像画像形成材料の中に
追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受
容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トッ
プコート層および光熱写真技術において既知のプライマ
ー層などを含むことができる。本発明の画像形成材料は
その画像形成材料一枚のみで画像形成できることが好ま
しく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の材料
とならないことが好ましい。
【0289】本発明の熱現像画像形成材料はいかなる方
法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光し
た画像形成材料を昇温して現像される。用いられる熱現
像機の好ましい態様としては、熱現像画像形成材料をヒ
ートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタ
イプとして特公平5-56499号、特許公報第684453号、特
開平9-292695号、特開平9-297385号および国際特許WO
95/30934号に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして
特開平7-13294号、国際特許WO97/28489号、同97/2848
8号および同97/28487号に記載の熱現像機がある。特に
好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好ま
しい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好まし
くは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好
ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0290】本発明の熱現像画像形成材料の前述の熱現
像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、
80℃以上115℃未満(好ましくは113℃以下)の温度で画
像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以上
(好ましくは130℃以下)で熱現像して画像形成させる
方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効である。
【0291】本発明の画像形成材料はいかなる方法で露
光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好まし
い。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、
YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好
ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子な
どを用いることもできる。
【0292】本発明の画像形成材料は露光時のヘイズが
低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発
生防止技術としては、特開平5-113548号などに開示され
ているレーザー光を画像形成材料に対して斜めに入光さ
せる技術や、WO95/31754号などに開示されているマルチ
モードレーザーを利用する方法が知られており、これら
の技術を用いることが好ましい。
【0293】本発明の画像形成材料を露光するにはSPIE
vol.169 Laser Printing 116-128頁(1979)、特開平4-5
1043号、WO95/31754号などに開示されているようにレー
ザー光が重なるように露光し、走査線が見えないように
することが好ましい。
【0294】本発明の熱現像画像形成材料の熱現像処理
に用いられる熱現像機の一構成例を図2に示す。図2は
熱現像機の側面図を示したものである。内部に加熱手段
の熱源として、ハロゲンランプ1を収納した円筒状のヒ
ートドラム2の周面に複数個の送りローラー3に懸架さ
れた搬送用のエンドレスベルト4が圧接され、エンドレ
スベルト4とヒートドラム2との間に熱現像画像形成材
料5が挟まれて搬送される。搬送される間に熱現像画像
形成材料5は、現像温度まで加熱され、熱現像が行われ
る。この場合、ランプの配向は最適化され、幅方向の温
度制御が精度良く行われる。
【0295】ヒートドラム2とエンドレスベルト4の間
から熱現像画像形成材料5が送り出される出口6付近
に、ヒートドラム2の周面の湾曲から開放された熱現像
形成材料5を平面状に矯正する矯正ガイド板7が設けら
れている。この矯正ガイド板7付近において、熱現像画
像形成材料5の温度が所定の温度以下にならないように
雰囲気温度を調整してある。
【0296】出口6の下流には熱現像画像形成材料5を
送る1対の送りローラー8が設置され、その下流にはロ
ーラー対8に隣接して、熱現像画像形成材料5を平面状
に維持した状態で案内する1対の平面ガイド板9が設置
され、さらにその下流には平面ガイド板9に隣接しても
う1対の送りローラー10が設置されている。この平面
ガイド板9は熱現像画像形成材料5がその間を搬送され
ている間に熱現像画像形成材料5が冷却されるだけの長
さを有している。すなわち、その間に熱現像画像形成材
料5の温度が30℃以下になるまで冷却される。この冷
却手段として、冷却ファン11が設置されている。
【0297】以上、図示に従って説明したが、これに限
らず、例えば特開平7−13294号に記載のものな
ど、本発明に用いられる熱現像機は種々の構成のもので
あってよい。また、本発明において、好ましく用いられ
る多段階加熱方法の場合は、上述のような装置におい
て、加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に
異なる温度で加熱するようにすればよい。
【0298】
【実施例】以下に実施例をもって本発明の効果を説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 <実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤A)水700mlにフタル化ゼラチン11gおよび臭化カ
リウム30mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解して温度55℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.
6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットル
で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブル
ジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸
銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リッ
トルで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコン
トロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加し
た。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化
合物Aを0.17g、脱イオンゼラチン(カルシウム含有量
として20ppm以下)23.7g加え、pH5.9、pAg8.0に調整し
た。得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積
変動係数8%、(100)面比率93%の立方体粒子であった。
【0299】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇
温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ム76μモルを添加し、3分後にチオ硫酸ナトリウム154μ
モルを添加して、100分熟成した。
【0300】その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀
1モルに対して12.8×10-4モルの増感色素A、6.4×10-3
モルの化合物Bを撹拌しながら添加し、20分後に30℃に
急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0301】
【化21】
【0302】《有機酸銀分散物の調製》 <有機酸銀A>アラキン酸6.1g、ベヘン酸37.6g、蒸留
水700ml、tert-ブタノール70ml、1N-NaOH水溶液123mlを
混合し、75℃で1時間攪拌し反応させ、65℃に降温し
た。次いで、硝酸銀22gの水溶液112.5ml を45秒かけて
添加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。その
後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度
が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形
分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、
乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリビ
ニルアルコール(商品名:PVA-205)5gおよび水を添加
し、全体量を500gとしてからホモミキサーにて予備分
散した。
【0303】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)
の圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機
酸銀分散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含
まれる有機酸銀粒子は平均短径0.04μm、平均長径0.8μ
m、変動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定
は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行っ
た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャ
ンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節すること
で所望の分散温度に設定した。こうして、ベヘン酸銀含
有率85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0304】《1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンの固体微粒子分散物
の調製》1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニ
ル)-3,5,5-トリメチルヘキサン20gに対してクラレ(株)
製MPポリマーのMP-203を3.0gと水77mlを添加してよく
攪拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5
mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し還元剤固体
微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0305】《トリブロモメチルフェニルスルホンの固
体微粒子分散物の調製》トリブロモメチルフェニルスル
ホン30gに対してヒドロキシプロピルメチルセルロース
0.5g、化合物C0.5gと、水88.5gを添加し良く攪拌して
スラリーとして3時間放置した。その後、還元剤固体微
粒子分散物の調製と同様にしてカブリ防止剤の固体微粒
子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μ
m以上1.0μm以下であった。
【0306】《画像形成層塗布液の調製》上記で作成し
た有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えた後、1N硫酸と1N水酸化ナトリウムを
用いて表23に記載の通りpHを調整して画像形成層塗
布液とした。pH調整には、東亜電波工業(株)製pH
メーターHM−60Sを用いた。なお、pH未調整画像
形成層塗布液はpH8.2であった。
【0307】 バインダー;ラックスター3307B 固形分量は表23に記載 (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 110g 化合物D 5.0g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 25g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP-203) 46g 6-iso-ブチルフタラジン 0.12モル 表23に記載の本発明の造核剤 1.8g 染料A 0.62g ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル
【0308】
【化22】
【0309】《画像形成層面保護層塗布液の調製》固形
分27.5wt%のポリマーラテックス(メチルメタクリレー
ト/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒド
ロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/26
/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)109gにH2O
3.75gを加え、造膜助剤としてベンジルアルコール4.5
g、化合物E 0.45g、化合物F 0.125g、化合物G 0.
0125モル、およびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA-217)0.225gを加え、さらにH2Oを加えた後、1
N水酸化ナトリウムを用いて表23に記載の通りにpH
を調整し、トータルで150gとして塗布液とした。pH調
整は、画像形成層の時と同様にして行った。なお、pH
未調整画像形成層面保護層塗布液はpH2.8であっ
た。
【0310】
【化23】
【0311】《バック/下塗り層のついたPET支持体の
作成》 (1)支持体 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロル
エタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得
た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、3
00℃で溶融後T型ダイから押し出し、その後急冷し、熱
固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フイ
ルムを作成した。
【0312】これを周速の異なるロールを用い、3.3倍
に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施し
た。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であっ
た。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部を
スリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2
で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、
厚み120μmのロールを得た。
【0313】 (2)下塗り層(a) ポリマーラテックス− (スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタクリレート /ジビニルベンゼン=67/30/2.5/0.5(重量%)) 160mg/m2 2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジン 4mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 3mg/m2
【0314】 (3)下塗り層(b) 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2
【0315】 (4)導電層 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm ) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2 化合物A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18mg/m2 染料A 780nmの光学濃度が1.0になる塗布量 SnO2/Sb(9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、 石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0316】 (5)保護層 ポリマーラテックス− (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218 mg/m2
【0317】支持体の片側に下塗り層(a)と下塗り層(b)
を順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥した。つい
で、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した反対側の面に
導電層と保護層を順次塗布し、それぞれ180℃、30秒乾
燥してバック/下塗り層のついたPET支持体を作成し
た。
【0318】このようにして作成したバック/下塗り層
のついたPET支持体を160℃設定した全長30m熱処理ゾー
ンに入れ、張力14g/cm2、搬送速度20m/分で自重搬送し
た。その後、40℃のゾーンに15秒間通し、10kg/cm2の巻
き取り張力で巻き取った。
【0319】《熱現像画像形成材料の調製》前記下塗り
層(a)と下塗り層(b)を塗布した側のPET支持体の下塗り
層の上に前記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.6g/m2
なるように塗布した。さらにその上に、前記画像形成層
面保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分の塗布量
が2.0g/m2になるように、表23に記載の塗布方式およ
び乾燥条件で塗布し熱現像画像形成材料のサンプルを得
た。
【0320】《膜強度の評価》サンプルを25℃60%
RHで1時間調湿後、半径0.1mmのサファイヤ針で
サンプル膜面に圧着し、10mm/秒の速さで移動しな
がら、針の荷重を連続的に変化させて膜が破壊するとき
の荷重(g)を測定した。
【0321】《塗布面状の評価》サンプルの表面を目視
観察して、塗布面状を以下のランクに分類した。このう
ち実用上許容されるものは、AおよびBランクのもので
ある。 Aランク:面状良好。 Bランク:中央部の面状は良好だが、塗布部の両端に乱
れがある。 Cランク:全面に若干の面状故障(塗布筋、凝集物の発
生、亀裂など)がある。 Dランク:全面に著しい面状故障(塗布筋、凝集物の発
生、亀裂など)がある。
【0322】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた塗布サンプルを780nmにピークを有
する干渉フィルターおよびステップウェッジを介して、
発光時間10-6秒のキセノンフラッシュ光で露光した。
【0323】(熱現像処理)露光済みのサンプルを図2の
熱現像機にて117℃で20秒間熱現像処理を行った。な
お、図2のドラム式熱現像機は、ランプの配光を最適化
し、幅方向の温度精度を±1℃で行った。また、矯正ガ
イド板7付近において熱現像画像形成材料の温度が90
℃以下にならないように雰囲気温度を調整した。
【0324】(最高画像濃度の評価)得られた画像の最高
画像濃度(Dmax)の評価をマクベスTD904濃度計(可
視濃度)により行った。各サンプルについて上記評価を
実施した結果を表23に示す。
【0325】
【表23】
【0326】本発明のサンプルで、十分な膜強度を有
し、塗布面状が良好な熱現像画像形成材料が得られるこ
とがわかる。
【0327】<実施例2>実施例1の画像形成層塗布液
および画像形成層面保護層塗布液を、下記の組成に変え
てサンプルを作成し、実施例1と同様に評価を行った。
【0328】《画像形成層塗布液の調製》上記で作成し
た有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えた後、1N硫酸を用いて表24に記載の通
りpHを調整して画像形成層塗布液とした。pH調整
は、実施例1と同様して行った。なお、pH未調整画像
形成層塗布液はpH8.0であった。
【0329】 バインダー;ラックスター3307B 固形分量は表24に記載 (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 110g 化合物D 5.0g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 25g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP-203) 46g 6-iso-ブチルフタラジン 0.12モル 表24に記載の本発明の造核剤 1.8g 染料A 0.62g ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル 化合物Gを1N水酸化ナトリウムで中和した二ナトリウム塩 化合物F0.06モル
【0330】《画像形成層面保護層塗布液の調製》固形
分27.5wt%のポリマーラテックス(メチルメタクリレー
ト/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒド
ロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/26
/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)109gにH2O
3.75gを加え、造膜助剤としてベンジルアルコール4.5
g、化合物E 0.45g、化合物F 0.125gおよびポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製,PVA-217)0.225gを加
え、さらにH2Oを加えて、1N水酸化ナトリウムでpH
を調整し、トータルで150gとして塗布液とした。pH調
整は、画像形成層の時と同様にして行った。なお、pH
未調整画像形成層面保護層塗布液はpH6.0であっ
た。
【0331】各サンプルについて評価結果を表24に示
す。
【0332】
【表24】
【0333】本発明のサンプルで、十分な膜強度を有
し、塗布面状が良好な熱現像画像形成材料が得られるこ
とがわかる。
【0334】<実施例3>架橋剤sumidur N3500(住友
バイエルウレタン社製ポリイソシアネート)を酢酸エチ
ルに溶解し、化合物Dの10%水溶液で水分散して、実
施例2の画像形成層面保護層塗布液の各々に、ポリマー
ラテックスの固形分に対して10wt%を添加して塗布
液を調製し、実施例2と同様のサンプルを作成し、同様
の評価を行ったところ、実用上許容な塗布面状で膜強度
のさらなる改良が達成できることがわかった。
【0335】<実施例4>実施例1〜3で用いた熱現像
機を、特開平7−13294号の図3に記載の熱現像機
と同様の構造で、熱源を2種類並べた構造のものを作成
して、連続して2段階の加熱ができるようにした。この
熱現像機を用いて以下の熱現像処理を行ったところ、本
発明のサンプルにおいて良好な結果を得た。
【0336】(1)処理(a);90℃10秒処理(画像
が出ない条件)後、117℃30秒処理 (2)処理(c);105℃10秒処理(画像が出ない条
件)後、117℃30秒処理
【0337】<実施例5>実施例2の画像形成層塗布液
および画像形成層面保護層塗布液を、下記の組成に変え
てサンプルを作成し、実施例1と同様に評価を行った。
また、サンプル作成は下記の乾燥方式で行った。 乾燥点まで水平乾燥ゾーンで乾燥して成膜(実施例1
〜3の乾燥方式) 恒率乾燥の終了まで水平乾燥ゾーンで乾燥させた後、
非水平乾燥ゾーンで乾燥・成膜 恒率乾燥の途中まで水平乾燥ゾーンで乾燥させた後、
非水平乾燥ゾーンで乾燥・成膜
【0338】《画像形成層塗布液の調製》上記で作成し
た有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えた後、1N硫酸を用いて表25に記載の通
りpHを調整して画像形成層塗布液とした。pH調整
は、実施例1と同様して行った。なお、pH未調整画像
形成層塗布液はpH8.2であった。
【0339】 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 470g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) (有機酸銀塩/ポリマーラテックス固形分重量比=0.95) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 137g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 30g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.5g 3−メチルベンゼントリアゾール 1.2g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP-203) 46g 6-iso-プロピルフタラジン 0.12モル 表25に記載の造核剤 表25に記載の重量 カブリ防止剤A-26 11g 染料A 0.62g ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル 化合物Gを1N水酸化ナトリウムで中和した二ナトリウム塩 0.07モル
【0340】《画像形成層面保護層塗布液の調製》造膜
助剤として化合物Hをラテックス固形分比10wt%含有す
るポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチレ
ン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチ
ルメタクリレート/アクリル酸=59/9/25/5/2の共
重合体でガラス転移温度34℃)水分散物(固形分濃度35
wt%)571gに、化合物F 0.835g、カルナヴァワックス
(中共油脂(株)製、セロゾール524)30%溶液 8.4g、
およびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-23
5)1.8gを加え、さらにH2Oを加えて、1N水酸化ナトリ
ウムでpHを調整し、トータルで1000gとして塗布液と
した。pH調整は、画像形成層の時と同様にして行っ
た。なお、pH未調整画像形成層面保護層塗布液はpH
6.0であった。
【0341】各サンプルについて評価結果を表25に示
す。
【0342】
【表25】
【0343】乾燥方式がまたはであれば、十分な膜
強度を有し、塗布面状が良好な熱現像画像形成材料が得
られることがわかる。
【0344】
【発明の効果】本発明によれば、写真性能を低下させる
ことなく、十分な膜強度と良好な塗布面状を有する感光
性熱現像画像形成材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる塗布装置の概略構成図である。
【図2】本発明に用いる熱現像機の一構成例を示す側面
図である。
【符号の説明】
1 ハロゲンランプ 2 ヒートドラム 3 送りローラ 4 エンドレスベルト 5 熱現像画像形成材料 6 出口 7 ガイド板 8 送りローラ対 9 平面ガイド板 10 送りローラ対 11 冷却ファン 21 支持体 22 塗布バックアップロール 23 コーティングダイ 24 塗布液 25 減圧室

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀およびバインダーを有する感光性熱現像画像形成
    材料において、前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像
    形成層のバインダーの50重量%以上としてガラス転移
    温度が−30℃以上40℃以下のポリマーラテックスを
    用い、前記画像形成層および/または隣接層が造核剤を
    含有し、前記画像形成層に用いるポリマーラテックスの
    固形分に対する前記非感光性銀塩の1m2当たりの塗布
    重量比が0.5〜1.5の範囲にあることを特徴とする
    感光性熱現像画像形成材料。
  2. 【請求項2】 支持体に対して画像形成層と同じ側に少
    なくとも1層の保護層を有し、前記保護層のバインダー
    の50重量%以上としてガラス転移温度が15℃以上7
    0℃以下であるポリマーラテックスを用いる請求項1に
    記載の感光性熱現像画像形成材料。
  3. 【請求項3】 画像形成層および保護層を同時重層塗布
    にて形成する請求項2に記載の感光性熱現像画像形成材
    料。
  4. 【請求項4】 画像形成層の塗布液と保護層の塗布液の
    pH差が2.5以下である請求項2または3に記載の感
    光性熱現像画像形成材料。
  5. 【請求項5】 画像形成層および/または保護層を形成
    する時の乾燥条件が、恒率乾燥時の液膜表面温度が25
    ℃以上40℃以下で、かつ乾球温度が50℃以上で支持
    体のガラス転移温度以下である請求項1〜4に記載の感
    光性熱現像画像形成材料。
  6. 【請求項6】 画像形成層および保護層を形成する時の
    乾燥条件が、恒率乾燥時の液膜表面温度が25℃以上4
    0℃以下で、かつ乾球温度が50℃以上で支持体のガラ
    ス転移温度以下であり、かつ保護層が架橋剤によって架
    橋されている請求項5に記載の感光性熱現像画像形成材
    料。
  7. 【請求項7】 支持体に対して画像形成層と同じ側にあ
    る塗布膜形成時の乾燥条件において、少なくとも恒率乾
    燥が終了するまでの間を水平乾燥ゾーンで乾燥させる請
    求項6に記載の感光性熱現像画像形成材料。
  8. 【請求項8】 支持体に対して画像形成層と反対側に少
    なくとも1層のバック層を有し、前記バック層のバイン
    ダーとしてポリマーラテックスを用いる請求項1〜7に
    記載の感光性熱現像画像形成材料。
  9. 【請求項9】 バック層表面のベック平滑度が1200
    秒以下である請求項8に記載の感光性熱現像画像形成材
    料。
  10. 【請求項10】 造核剤が下記一般式(1)で表される置
    換アルケン誘導体,一般式(2)で表される置換イソオキ
    サゾール誘導体、および一般式(3)で表される特定のア
    セタール化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物で
    ある請求項1〜9に記載の感光性熱現像画像形成材料。 <一般式> 【化1】 一般式(1)においてR1、R2およびR3は、それぞれ独
    立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
    たはシリル基を表す。一般式(1)においてR1とZ、R2
    とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、それぞれ互いに
    結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(2)に
    おいてR4は置換基を表す。一般式(3)において、Xお
    よびYは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表
    し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシ基、アルキ
    ルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリ
    ールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環
    チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式(3)に
    おいてXとY、およびAとBは、それぞれ互いに結合し
    て環状構造を形成していてもよい。
  11. 【請求項11】 造核剤がヒドラジン誘導体である請求
    項1〜9に記載の感光性熱現像画像形成材料。
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