JPH11282128A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JPH11282128A
JPH11282128A JP10079994A JP7999498A JPH11282128A JP H11282128 A JPH11282128 A JP H11282128A JP 10079994 A JP10079994 A JP 10079994A JP 7999498 A JP7999498 A JP 7999498A JP H11282128 A JPH11282128 A JP H11282128A
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Takahiro Goto
孝浩 後藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】写真製版用、特にスキャナー、イメージセッタ
ー用として、硬調かつカブリが低く保存性の良好な写真
特性の熱現像感光材料を提供することにある。 【解決手段】支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲン
化銀およびバインダーを有する熱現像感光材料におい
て、前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のバ
インダーの50重量%以上で、−30℃以上40℃以下
のポリマーのラテックスが用いられ、該感光性ハロゲン
化銀が750〜1400nmの範囲に分光増感されてお
り、かつ下記一般式(I)で表わされる化合物を少なく
とも1種及び造核剤を画像形成層あるいは他の隣接層中
に含有することを特徴とする。 一般式(I) 【化1】 一般式(I)においてRは水素原子、炭素数1〜4のア
ルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、ニト
ロ基、置換または無置換のカルボン酸基またはその塩、
スルホン酸基またはその塩を表わす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に用いられる熱現像感
光材料に関し、さらに詳しくスキャナー、イメージセッ
ター用感光材料に関し、さらに詳しくは、カブリが少な
く保存性の良い、かつ硬調性を有する熱現像感光材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。近年写真製版分野において環境保全、
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれてい
る。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イ
メージセッターにより効率的に露光させることができ、
高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成す
ることができる写真製版用途の感光性熱現像材料に関す
る技術が必要とされている。これら感光性熱現像材料で
は、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環
境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給
することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904 号、同3,457,075号、および
D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely )によ
る「熱によって処理される銀システム(Thermally Proc
essed Silver Systems)A 」(イメージング・プロセッ
シーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and
Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、
V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shep
p )編集、第2頁、1969年)に記載されている。このよ
うな感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有
機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化
銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリッ
クス中に分散した状態で含有している。感光材料は常温
で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加
熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能す
る)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成す
る。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用
によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反
応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露
光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0004】従来からこのタイプの熱現像感材は知られ
ているが、これらの感材の多くはトルエン、メチルエチ
ルケトン(MEK)、メタノールなどの有機溶剤を溶媒
とする塗布液を塗布することにより感光層を形成してい
る。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での
人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その他のためコス
ト上も不利である。
【0005】そこでこのような心配のない水溶媒の塗布
液を用いて感光層(以降「水系感光層」ともいう。)を
形成する方法が考えられている。例えば特開昭49-52626
号、特開昭53-116144号などにはゼラチンをバインダー
とする例が記載されている。また特開昭50-151138号に
はポリビニルアルコールをバインダーとする例が記載さ
れている。
【0006】さらに特開昭60-61747号にはゼラチンとポ
リビニルアルコールを併用した例が記載されている。こ
れ以外の例として特開昭58-28737号には水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする感光層の例が記載され
ている。
【0007】確かにこのようなバインダーを用いると水
溶媒の塗布液を用いて感光層を形成することができて環
境面、コスト面のメリットは大きい。
【0008】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、有機銀塩との相溶性が悪く、塗布
面質上実用に耐える塗布物が得られないばかりでなく、
現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色からかけ離
れた茶色や黄色になったり、露光部の黒化濃度が低く未
露光部の濃度が高い等商品価値の著しく損なわれたもの
しか得られなかった。
【0009】欧州特許762,196号、特開平9-90550号公報
等に熱現像感光材料に用いる感光性ハロゲン化銀粒子に
第VII族またはVIII族の金属イオンまたは金属錯体イオ
ンを含有させること、および感光材料中にヒドラジン誘
導体を含有せしめて高コントラストな写真特性を得るこ
とができることが開示されている。しかし、前述の水溶
媒の塗布液で用いるバインダーとヒドラジンのような造
核剤を併用すると、高コントラストな画像を得ることが
できるが、同時にカブリが生じやすくなるという問題が
あった。さらには自然経時とともにカブリが上昇すると
いう問題があった。
【0010】一方、近年急激に進歩している半導体レー
ザーの技術は医療用画像出力装置の小型化を可能として
きた。当然、半導体レーザーを光源として利用できる感
赤外線性光熱ハロゲン化銀写真材料の技術も開発され、
分光増感技術については特公平3-10391 号、特公平6-52
387 号、特開平5-341432号、特開平6-194781号、特開平
6-301141号等に開示されており、更にハレーション防止
技術については特開平7-13295 号、米国特許第5380635
号に開示されている。赤外線露光を前提とした感光材料
では増感色素、ハレーション防止染料の可視吸収を大幅
に少なくすることができ、実質的に色のない感光材料を
容易に作ることができる。
【0011】しかし、赤外線を吸収し分光増感する色素
は一般的にHOMOが高いため強い還元能を有し、感光
材料中の銀イオンを還元し、感光材料のカブリを悪化さ
せる傾向にある。特に、高温、高湿といった条件での保
存や、長期の保存では著しい性能変化が伴う場合があ
る。また保存性の劣化を防ぐためにHOMOの低い色素
を用いると、相対的にLUMOも低くなり分光増感効率
が低下し、感度が低くなる。このような感度、保存性、
性能変動に対する問題は、湿式写真感光材料だけでな
く、熱現像感光材料においては更に顕著となる。
【0012】そこで、環境面、コスト面で優れた水系感
光材料で、塗布面質が良く、現像時に良好な銀色調であ
り、かつ硬調かつカブリが低く保存性の良好な写真性能
を有する熱現像感光材料を提供する技術が望まれてい
た。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする課題は、写真製版用、特にスキャナー、イ
メージセッター用として、硬調かつカブリが低く保存性
の良好な写真特性の熱現像感光材料を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】この課題は下記手段によ
って達成された。すなわち、 (1)支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀お
よびバインダーを有する熱現像感光材料において、前記
感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のバインダー
の50重量%以上で、−30℃以上40℃以下のポリマ
ーのラテックスが用いられ、該感光性ハロゲン化銀が7
50〜1400nmの範囲に分光増感されており、かつ
下記一般式(I)で表わされる化合物を少なくとも1種
及び造核剤を画像形成層あるいは他の隣接層中に含有す
ることを特徴とする熱現像感光材料。 一般式(I)
【0015】
【化3】
【0016】一般式(I)においてRは水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ア
ミノ基、ニトロ基、置換または無置換のカルボン酸基ま
たはその塩、スルホン酸基またはその塩を表わす。 (2)造核剤が下記一般式(1)で表される置換アルケ
ン誘導体,一般式(2)で表される置換イソオキサゾー
ル誘導体,あるいは一般式(3)で表される特定のアセ
タール化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であ
ることを特徴とする(1)に記載の熱現像感光材料。
【0017】
【化4】
【0018】一般式(1)に於いてR1 、R2 、R
3 は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z
は電子吸引性基またはシリル基を表す。一般式(1)に
於いてR 1 とZ、R2 とR3 、R1 とR2 、或いはR3
とZは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。一般式(2)に於いてR4 は、置換基を表す。一般
式(3)に於いてX、Yはそれぞれ独立に水素原子また
は置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立に、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。
一般式(3)に於いてXとY、あるいはAとBは、互い
に結合して環状構造を形成していてもよい。一般式
(2)に於いてR4 は置換基を表す。R4 で表される置
換基としては、一般式(1)のR1 〜R3 の置換基につ
いて説明したものと同じものが挙げられる。一般式
(3)に於いてX、Yはそれぞれ独立に水素原子または
置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立に、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環チオ基、
ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。X
とY、あるいはAとBは、互いに結合して環状構造を形
成していてもよい。X、Yで表される置換基としては、
一般式(1)のR1 〜R3 の置換基について説明したも
のと同じものが挙げられる。 (3)造核剤がヒドラジン化合物であることを特徴とす
る(1)に記載の熱現像感光材料。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】まず、本発明の一般式(I)で表わされる
化合物について詳細に説明する。一般式(I)の化合物
はベンゾトリアゾール類であり、Rは水素原子、炭素数
1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミ
ノ基、ニトロ基、置換または無置換のカルボン酸基また
はその塩、スルホン酸基またはその塩を表わす。Rで表
わされるうちの炭素数1〜4のアルキル基として、例え
ばメチル、エチル、ブチル基などが挙げられ、アリール
基としては、例えばフェニル基など、クロル、ブロム原
子などが挙げられる。カルボン酸基又はスルホン酸基の
塩としては、アルカリ金属塩で例えばナトリウム塩、カ
リウム塩などが挙げられる。
【0021】以下、本発明の一般式(I)で表わされる
化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
は、画像形成層である感光層あるいはその他の非感光性
層に添加することができるが、好ましくは画像形成層に
添加することである。
【0025】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
の添加量は全銀量1モル当たり10 -4〜1モル、好まし
くは10-4〜0.3モルである。またこの化合物は1種
のみを使用しても2種以上併用してもよい。
【0026】本発明の750 〜1400nmの波長領域を分光増
感する色素としては、シアニン、メロシアニン、スチリ
ル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールお
よびキサンテン色素を含む種々の既知の色素が挙げられ
る。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オ
キサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール
核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール
核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用な
メロシアニン色素で好ましいものは、上記の塩基性核に
加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾ
リジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸
核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロ
ン核などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシ
アニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を
有するものが特に効果的である。例えば、米国特許3,76
1,279 号、同3,719,495 号、同3,877,943 号、英国特許
1,466,201 号、同1,469,117 号、同1,422,057 号、特公
平3-10391 号、同6-52387号、特開平5-341432号、同6-1
94781号、同6-301141号に記載されたような既知の色素
から適当に選択してよい。特に好ましい色素の構造とし
てはチオエーテル結合を有するシアニン色素であり、そ
の例としては特開昭62-58239号、特開平3-138638号、同
3-138642号、同4-255840号、同5-72659 号、同5-72661
号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757号、同6-
317868号、同6-324425号、特表平7-500926号に記載され
たシアニン色素が挙げられる。
【0027】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はRe
search Disclosure 176巻17643(1978年12月発行) 第23
頁IVのJ 項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933
号、特開昭59-19032号、同59-192242 号等に記載されて
いる。
【0028】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロ
パノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ
-1- プロパノール、3-メトキシ-1- ブタノール、1-メト
キシ-2- プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の
溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加して
もよい。また、米国特許3,469,987 号明細書等に開示さ
れているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、こ
の溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散
物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、同44-2
7555号、同57-22091号等に開示されているように、色素
を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸また
は塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方
法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細書等に開
示されているように界面活性剤を共存させて水溶液ある
いはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方
法、特開昭53-102733 号、同58-105141 号に開示されて
いるように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、そ
の分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号に
開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用
いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を
用いることもできる。また、溶解に超音波を用いること
もできる。本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン
化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であること
が認められている乳剤調製のいかなる工程中であっても
よい。例えば米国特許2,735,766 号、同3,628,960 号、
同4,183,756 号、同4,225,666 号、特開昭58-184142
号、同60-196749 号等の明細書に開示されているよう
に、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前
の時期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成
の開始前までの時期、特開昭58-113920 号等の明細書に
開示されているように、化学熟成の直前または工程中の
時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される
前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよ
い。また、米国特許4,225,666 号、特開昭58-7629 号等
の明細書に開示されているように、同一化合物を単独
で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒
子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後と
に分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分
けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加す
る化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加
してもよい。
【0029】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好
ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0030】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、
80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成す
る銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含
む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に
(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カル
ボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の
錯安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好まし
い。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70重
量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカル
ボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの
例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸
の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族
カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、
アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウ
リン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン
酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール
酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを含
む。
【0031】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好
ましく用いることができる。
【0032】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。本発明の有機酸アルカリ金
属塩は、上記有機酸をアルカリ処理することによって得
られる。本発明の有機酸銀は任意の好適な容器中で回文
式でまたは連続式で行うことができる。反応容器中の攪
拌は粒子の要求される特性によって任意の攪拌方法で攪
拌することができる。有機酸銀の調製法としては、有機
酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器
に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、
硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機酸ア
ルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激
に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時
に添加する方法のいずれもが好ましく用いることができ
る。硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液また
は懸濁液は調整する有機酸銀の粒子サイズの制御のため
に任意の濃度の物を用いることができ、また任意の添加
速度で添加することができる。硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法として
は、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関数によ
る加速添加法あるいは減速添加法にて添加することがで
きる。また反応液に対し、液面に添加してもよく、また
液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水溶液およ
び有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中
に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶液あるい
は有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のいずれかを
先行させて添加することもできるが、硝酸銀水溶液を先
行させて添加することが好ましい。先行度としては総添
加量の0から50%が好ましく、0から25%が特に好
ましい。また特開平9-127643号公報等に記載のように反
応中の反応液のpHないしは銀電位を制御しながら添加
する方法も好ましく用いることができる。添加される硝
酸銀水溶液や有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は
粒子の要求される特性によりpHを調整することができ
る。pH調整のために任意の酸やアルカリを添加するこ
とができる。また、粒子の要求される特性により、例え
ば調整する有機酸銀の粒子サイズの制御のため反応容器
中の温度を任意に設定することができるが、添加される
硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液
も任意の温度に調整することができる。有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は液の流動性を確保するため
に、50℃以上に加熱保温することが好ましい。
【0033】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
としては好ましくは総炭素数15以下の物が好ましく、
10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例
としては、tert- ブタノール等が挙げられるが、本発明
はこれに限定されない。
【0034】本発明に用いられる第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調整時のいずれのタイミングでも良い
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時
の溶媒としてのH2O に対して重量比で0.01〜10の範囲で
任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ま
しい。
【0035】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm 以上0.
20μm 以下、長軸0.10μm 以上5.0 μm 以下が好まし
く、短軸0.01μm 以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.
0 μm 以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布
は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸
それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割っ
た値の100 分率が好ましくは100%以下、より好ましくは
80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。有機銀塩の
形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕
微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別
の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差
を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百
分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましく
は80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。測定方法
としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を
照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相
関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加
重平均直径)から求めることができる。
【0036】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。
【0037】本発明では、高S/N で、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。
【0038】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて熱現像感光材料を作
製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像感光
材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に変換して
分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上
昇し、感度が著しく低下する。また、分散媒として水で
はなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くなり、カブ
リが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、感光性銀
塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の有機銀塩
の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン法を用い
ると感度が低下する。上記において、高圧、高速化に変
換して分散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含
まないものであり、その含水量は非感光性の有機銀塩に
対して0.1 モル% 以下であり、積極的な感光性銀塩の添
加は行わないものである。
【0039】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、
等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも有機銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。
【0040】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a) 分散質が狭間隙を高圧、高速で
通過する際に生じる『剪断力』、(b) 分散質が高圧下か
ら常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0 〜600kg/cm2 、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分
散効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数
を増やすなどの工夫を施したものも考案されている。こ
れに対して、近年更に高圧、高流速での分散が可能とな
る装置が開発されてきており、その代表例としてはマイ
クロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インタ
ーナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー
(特殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0041】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き)、HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。
【0042】これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させる
ことにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力
を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降
下を生じさせることにより本発明に最適な有機銀塩分散
物を得ることが可能である。
【0043】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させ
ても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶
媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除
去される。
【0044】本発明の有機銀塩分散においては、流速、
圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子
サイズに分散することが可能であるが、写真特性と粒子
サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下
時の差圧が900 〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が
300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg
/cm2の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は
必要に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回
数が選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処
理回数が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温
にすることは、分散性、写真特性の点から好ましくな
く、90℃を越えるような高温では粒子サイズが大きくな
りやすくなると共に、カブリが高くなる傾向がある。従
って、本発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工
程もしくは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれら
の両工程に冷却工程を含み、このような水分散の温度が
冷却工程により5〜90℃の範囲に保たれていることが好
ましく、更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃
の範囲に保たれていることが好ましい。特に、1500〜30
00kg/cm2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設
置することが有効である。冷却器は、その所要熱交換量
に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサーを使用
したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選
択することができる。また、熱交換の効率を上げるため
に、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好
適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交
換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷
水、また必要に応じて-30 ℃のエチレングリコール/水
等の冷媒を使用することもできる。
【0045】本発明の分散操作では、水性溶媒可溶な分
散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが
好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル
酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレ
イン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパン
スルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カル
ボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースな
どの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸
などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の
自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いるこ
とができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセル
ロース誘導体が特に好ましい。
【0046】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしても良い。
【0047】機械的に分散する以外にも、pHコントロー
ルすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存
在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このと
き、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良
く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0048】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0049】本発明の有機銀塩固体微粒子分散物の粒子
サイズ(体積荷重平均直径)は、例えば液中に分散した
固体微粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光の
ゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることに
より得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)から求め
ることができる。平均粒子サイズ0.05μm以上10.0μm
以下の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平
均粒子サイズ0.1 μm以上5.0 μm以下、更に好ましく
は平均粒子サイズ0.1 μm以上2.0 μm以下である。
【0050】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準
偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係
数)が80%以下、より好ましくは50% 以下、更に好まし
くは30% 以下である。有機銀塩の形状の測定方法として
は有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めること
ができる。
【0051】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して1〜30重量%、特に3〜15
重量%の範囲が好ましい。本発明では有機銀塩水分散液
と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造するこ
とが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は
目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の
割合は1〜30モル% の範囲が好ましく、更に3〜20モル
% 、特に5〜15モル% の範囲が好ましい。混合する際に
2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水
分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ま
しく用いられる方法である。
【0052】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、銀量として0.1 〜5g/m2 が好ましく、さらに好まし
くは1〜3g/m2 である。
【0053】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造としては好ましくは2〜
5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル
粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀
粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いる
ことができる。
【0054】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており例えば、リサーチディスクロージャ
ー1978年6 月の第17029 号、および米国特許第3,700,45
8 号に記載されている方法を用いることができるが、具
体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給
化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感
光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合す
る方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、
画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいこと
が好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.
01μm 以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上
0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロ
ゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶
である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。ま
た、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表
面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をい
う。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒状
粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球
を考えたときの直径をいう。
【0055】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1 、より好ましくは50:1〜3:1 がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
{100 }面の占める割合が高いことが好ましい。その割
合としては50%以上が好ましく、65% 以上がより好まし
く、80% 以上が更に好ましい。ミラー指数{100 }面の
比率は増感色素の吸着における{111 }面と{100 }面
との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、
165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0056】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表の第VII 族あるいは第VIII族の金属または金属錯体
を含有する。周期律表の第VII 族あるいは第VIII族の金
属または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウ
ム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムで
ある。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及
び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい
含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3
モルの範囲が好ましく、1×10-8モルから1×10-4
モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造と
しては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体
を用いることができる。
【0057】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たと
えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウ
ム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト
等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(III)
錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テトラク
ロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジウム
(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯塩、トリ
ザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロ
ジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用い
られるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために
一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水
溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロ
ゲン化アルカリ(たとえばKCl 、NaCl、KBr 、NaBr等)
を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウム
を用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロ
ジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加し
て溶解させることも可能である。
【0058】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当り1×10-8モル〜5×10-6モルの範
囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×1
-6モルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン化
銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階に
おいて適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加
し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好まし
い。
【0059】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63-2042号、特開平1-285941
号、同2-20852 号、同2-20855 号等に記載された水溶性
錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下
の式で示される六配位錯体が挙げられる。 〔ML6 n- ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子
を表し、nは0、1、2、3または4を表す。この場
合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくは
アルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子
としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シア
ン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配
位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的
錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0060】 〔ReCl6 3- 〔ReBr6 3- 〔ReCl5(NO) 〕2- 〔Re(NS)Br5 2- 〔Re(NO)(CN)5 2- 〔Re(O)2(CN)43- 〔RuCl6 3- 〔RuCl4(H2O)2- 〔RuCl5(H2O)〕2- 〔RuCl5(NO) 〕2- 〔RuBr5(NS) 〕2- 〔Ru(CO)3Cl32- 〔Ru(CO)Cl5 2- 〔Ru(CO)Br5 2- 〔OsCl6 3- 〔OsCl5(NO) 〕2- 〔Os(NO)(CN)5 2- 〔Os(NS)Br5 2- 〔Os(O)2(CN)44-
【0061】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-9モル〜1×10 -5モルの範囲が好ま
しく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-6モル
である。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒
子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適
宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロ
ゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。これら
の化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲ
ン化銀粒子中に組み込むには、金属錯体の粉末もしくは
NaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水
溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方
法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合されると
き第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロ
ゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成中に必
要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法など
がある。特に粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した
水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が好まし
い。粒子表面に添加するには、粒子形成直後または物理
熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の
金属錯体の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0062】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl 、NaCl、KBr 、NaBr等)を添加
する方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用
いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジ
ウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して
溶解させることも可能である。
【0063】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一で
も、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェ
ル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。上記
金属はハロゲン化銀1モルあたり1×10-9〜1×10
-4モルが好ましい。また、上記金属を含有せしめるには
単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩にして粒子調製時
に添加することができる。
【0064】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。
【0065】本発明のハロゲン化銀乳剤に金増感を施す
場合に用いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1価
でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化
合物を用いることができる。代表的な例としては塩化金
酸、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロラ
イド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨ
ードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アン
モニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴ
ールドなどがあげられる。金増感剤の添加量は種々の条
件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当
り10-7モル以上10-3モル以下、より好ましくは10
-6モル以上5×10-4以下である。
【0066】本発明のハロゲン化銀乳剤は金増感と他の
化学増感とを併用することが好ましい。他の化学増感の
方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法、貴金属増感法などの知られている方法を用いること
ができる。金増感法と組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法
とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法
とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0067】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当り10-7〜10-2モルであり、より好ま
しくは10-5〜10-3モルである。
【0068】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号、同43-13489号、特開平4-25832
号、同4-109240号、同3-121798号等に記載の化合物を用
いることができる。特に特開平4-324855号中の一般式
(VIII) および(IX)で示される化合物を用いることが好
ましい。
【0069】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5-3132
84号に記載の方法で試験することができる。テルル増感
剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカ
ルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド
類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジ
テルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te
結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オ
ルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テル
リド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール
類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、
含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テル
ル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができ
る。具体的には、米国特許第1,623,499 号、同第3,320,
069号、同第3,772,031 号、英国特許第235,211 号、同
第1,121,496 号、同第1,295,462 号、同第1,396,696
号、カナダ特許第800,958号、特開平4-204640号、同3-5
3693 号、同3-131598号、同4-129787号、ジャーナル・
オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニ
ケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.) 635(1980),ibi
d 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケ
ミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション
(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ
(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック
・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(Th
e Chemistry of Organic Sereniumand Tellunium Compo
unds),Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を
用いることができる。特に特開平5-313284号中の一般式
(II)、(III) 、(IV)で示される化合物が好ましい。
【0070】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。本発
明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形
成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸
塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。本発明
においては、還元増感を用いることができる。還元増感
法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チ
オ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタ
ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シ
ラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができ
る。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持
して熟成することにより還元増感することができる。ま
た、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分
を導入することにより還元増感することができる。本発
明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特293,917号に示される
方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、
一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイ
ズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異
なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよ
い。
【0071】本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量とし
ては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モ
ル以上0.5 モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3 モル
以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に
好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀
塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終
了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジ
ナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製
中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲ
ン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、
本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限は
ない。
【0072】本発明の熱画像形成材料には有機銀塩のた
めの還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ま
しくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキ
ノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用で
あるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元
剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50
モル% 含まれることが好ましく、10〜40モル% で含まれ
ることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層
を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層
に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モル% と多め
に使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ
有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカー
サーであってもよい。
【0073】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同47-1238号、
同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、同50-14
334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32632号、
同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同52-8
4727号、同55-108654号、同56-146133号、同57-82828
号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許3,667,95
86号、同3,679,426号、同3,751,252号、同3,751,255
号、同3,761,270号、同3,782,949号、同3,839,048号、
同3,928,686号、同5,464,738号、独国特許2321328号、
欧州特許692732号などに開示されている。例えば、フェ
ニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよび
p-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキ
シム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメ
チル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとアスコル
ビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒ
ドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシ
ベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/
またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、
ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジ
ノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4-メチルフェ
ニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム
酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ-ア
リニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンと
スルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノ
チアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフ
ェノールなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニル
アセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテートなど
のα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-
1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-
1,1'-ビナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)
メタンに例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-
β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例
えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2',4'-ジ
ヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-
フェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチ
ルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロア
ミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピ
ペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダ
クトン;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェ
ノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなど
のスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダ
ン-1,3-ジオンなど; 2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒド
ロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-
ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジ
ヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒド
ロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビ
ス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エ
チリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール) 、1,
1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-
トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘
導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリ
ン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビア
セチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドン
およびある種のインダン-1,3-ジオン;クロマノール
(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元
剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0074】本発明の還元剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0075】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利にな
ることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モ
ルあたりの0.1〜50%モルの量含まれることが好ましく、
0.5〜20%モル含まれることがさらに好ましい。また、色
調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化された
いわゆるプレカーサーであってもよい。
【0076】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤が特開昭46-6077号、同47-10282
号、同49-5019号、同49-5020号、同49-91215号、同49-9
1215号、同50-2524号、同50-32927号、同50-67132号、
同50-67641号、同50-114217号、同51-3223号、同51-279
23号、同52-14788号、同52-99813号、同53-1020号、同5
3-76020号、同54-156524号、同54-156525号、同61-1836
42号、特開平4-56848号、特公昭49-10727号、同54-2033
3号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,9
41号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許138079
5号、ベルギー特許841910号などに開示されている。色
調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイ
ミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、ならびに
キナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジン
ジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N
-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);コバルト錯体(例え
ば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-
メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピ
リミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェニル-1,2,4-トリ
アゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾー
ルに例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリー
ルジカルボキシイミド、(例えば、(N,N-ジメチルアミノ
メチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチ
ル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミド);ならびにブ
ロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびあ
る種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-
カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジ
アザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセ
テート)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾ
チアゾール));ならびに3-エチル-5〔(3- エチル-2-ベ
ンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン〕-2- チオ
-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジ
ノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタ
ラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタ
ラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンな
どの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、
フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸および
テトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジ
ン、フタラジン誘導体(たとえば、4-(1-ナフチル)フタ
ラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジ
ン、6-iso-ブチルフタラジン、6-tert-ブチルフタラジ
ン、5,7-ジメチルフタラジン、および2,3-ジヒドロフタ
ラジンなどの誘導体)もしくは金属塩、;フタラジンお
よびその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、
4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロ
ロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、
ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調
調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のた
めのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯
体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウ
ム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロ
ジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫
酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化
水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-
1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3-
ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン-
2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例え
ば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-ア
ミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラア
ザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジ
フェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、お
よび1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4
H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがある。
【0077】本発明の色調剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0078】本発明の画像形成層のうち少なくとも1層
は以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50
重量%以上として用いた画像形成層である。(以降この画
像形成層を「本発明の画像形成層」、バインダーに用い
るポリマーラテックスを「本発明のポリマーラテック
ス」と表す。)また、ポリマーラテックスは画像形成層
だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、特に
寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材
料を用いる場合には、保護層やバック層にもポリマーラ
テックスを用いる必要がある。ただしここで言う「ポリ
マーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な
粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分
散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているも
の、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、ある
いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子
鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なお
本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマ
ルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(199
3))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子
刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子
の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm
程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては
特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の
粒径分布を持つものでもよい。本発明のポリマーラテッ
クスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以
外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。こ
の場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好まし
い場合がある。本発明のバインダーに用いるポリマーラ
テックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バック層
と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像形成層
にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促すため、
-30〜40℃である。保護層やバック層に用いる場合には
種々の機器と接触するために25〜70℃のガラス転移温度
が好ましい。本発明のポリマーラテックスの最低造膜温
度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度
が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ
ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化
合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテック
スの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に
記載されている。本発明のポリマーラテックスに用いら
れるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマ
ーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーで
も、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーと
しては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマー
でも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマー
でも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも
ブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平
均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程
度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の
力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪
く好ましくない。本発明の熱現像感光材料の画像形成層
のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具
体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2エチルヘキシ
ルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラ
テックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベン
ゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメ
タクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラ
テックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アク
リロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスな
ど。また、このようなポリマーは市販もされていて、以
下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂
の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイセ
ル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、8
57(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂と
しては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本イ
ンキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケ
ミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP1
0、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、
ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、713
2C(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、41
0、438C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化
ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)
製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以
上旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以
上三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケ
ミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)など
を挙げることができる。これらのポリマーは単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いて
も良い。
【0079】本発明の画像形成層は全バインダーの50重
量%以上 100重量% 以下として上記ポリマーラテックス
が用いられるが、70重量%以上として上記ポリマーラテ
ックスが用いられることが好ましい。本発明の画像形成
層には必要に応じて全バインダーの50重量%以下、好ま
しくは10重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアル
コール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても
良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の
全バインダーの30重量%以下、さらには5重量%以下が好
ましい。
【0080】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布
後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言
う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上
が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用
いることができる。具体的な溶媒組成の例としては以下
のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプ
ロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/
5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/
5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/
5。(ただし数字は重量%を表す。)
【0081】本発明の画像形成層は全バインダー量は0.
2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好まし
い。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0082】本発明の感光性熱現像画像形成材料は、硬
調な画像を得るために感光層あるいは他の隣接層中に造
核剤を含有する。本発明に用いられる造核剤としては、
置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体、特
定のアセタール化合物、およびヒドラジン誘導体が好ま
しく用いられる。
【0083】本発明で用いられる置換アルケン誘導体、
置換イソオキサゾール誘導体、および特定のアセタール
化合物について説明する。 一般式(1)、一般式(2)、および一般式(3)
【0084】
【化7】
【0085】一般式(1)に於いてR1 、R2 、R
3 は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Z
は電子吸引性基またはシリル基を表す。一般式(1)に
於いてR 1 とZ、R2 とR3 、R1 とR2 、或いはR3
とZは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。一般式(2)に於いてR4 は、置換基を表す。一般
式(3)に於いてX、Yはそれぞれ独立に水素原子また
は置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立に、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。
一般式(3)に於いてXとY、あるいはAとBは、互い
に結合して環状構造を形成していてもよい。
【0086】一般式(1)で表される化合物について詳
しく説明する。一般式(1)に於いてR1 、R2 、R3
は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは
電子吸引性基またはシリル基を表す。一般式(1)に於
いてR 1 とZ、R2 とR3 、R1 とR2 、或いはR3
Zは、互いに結合して環状構造を形成していても良い。
1 、R2 、R3 が置換基を表す時、置換基の例として
は、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭
素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル
基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N
ー置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化された窒素
原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル
基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル
基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、
オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバ
モイル基、ヒドロキシ基(またはその対塩)、アルコキ
シ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単
位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテ
ロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくは
アリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオ
キシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,
アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ
基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、
イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カル
ボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバ
ジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級の
アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもし
くはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド
基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカ
プト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ
基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホ
ニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、
スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスル
ファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその
塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステ
ル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられ
る。
【0087】これら置換基は、これら置換基でさらに置
換されていてもよい。
【0088】一般式(1)に於いてZで表される電子吸
引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取り
うる置換基のことであり、具体的には、シアノ基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カ
ルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、
チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホ
ニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原
子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンア
ミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホ
スホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基
(またはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオ
キシ基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリー
ル基等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル
基、ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾ
リル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダ
ントイン−1―イル基、スクシンイミド基、フタルイミ
ド基等がその例として挙げられる。一般式(1)に於い
てZで表される電子吸引性基は、さらに置換基を有して
いてもよく、その置換基としては、一般式(1)の
1 、R2 、R3 が置換基を表す時に有していてもよい
置換基と同じものが挙げられる。
【0089】一般式(1)に於いてR1 とZ、R2 とR
3 、R1 とR2 、或いはR3 とZは、互いに結合して環
状構造を形成していてもよいが、この時形成される環状
構造とは、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ
環である。
【0090】次に一般式(1)で表される化合物の好ま
しい範囲について述べる。
【0091】一般式(1)に於いてZで表されるシリル
基として好ましくは、具体的にトリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルジメチルシリル基等である。
【0092】一般式(1)に於いてZで表される電子吸
引性基として好ましくは、総炭素数0から30の以下の
基、即ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニ
ル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファ
モイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホ
ルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイ
ル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメ
チル基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカ
ルバモイル基である。
【0093】一般式(1)に於いてZで表される基は、
電子吸引性基がより好ましい。
【0094】一般式(1)に於いてR1 、R2 、および
3 で表される置換基として好ましくは、総炭素数0か
ら30の基で、具体的には上述の一般式(1)のZで表
される電子吸引性基と同義の基、およびアルキル基、ヒ
ドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはそ
の塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チ
オ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ
基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、アシルアミノ基、
スルホンアミド基、または置換もしくは無置換のアリー
ル基等が挙げられる。
【0095】さらに一般式(1)に於いてR1 は、好ま
しくは電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、ア
ルコキシ基、またはアシルアミノ基、水素原子、または
シリル基である。R1 が電子吸引性基を表す時、好まし
くは総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニ
トロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホ
ニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、
カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、
ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモ
イル基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和も
しくは不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくは
シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘ
テロ環基である。R1 がアリール基を表す時、好ましく
は総炭素数6から30の、置換もしくは無置換のフェニ
ル基であり、置換基としては、任意の置換基が挙げられ
るが、中でも電子吸引性の置換基が好ましい。
【0096】一般式(1)に於いてR1 は、より好まし
くは、電子吸引性基またはアリール基を表す時である。
【0097】一般式(1)に於いてR2 およびR3 で表
される置換基として好ましくは、具体的に、上述の一般
式(1)のZで表される電子吸引性基と同義の基、アル
キル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ
基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは
無置換のフェニル基等である。
【0098】一般式(1)に於いてR2 およびR3 は、
さらに好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が
置換基を表す時である。その置換基として好ましくは、
アルキル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプ
ト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ア
ニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパ
ーフルオロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置
換もしくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等で
あり、さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその
塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、
アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環
基であり、特に好ましくはヒドロキシ基(またはその
塩)、アルコキシ基、またはヘテロ環基である。
【0099】一般式(1)に於いてZとR1 、或いはま
たR2 とR3 とが環状構造を形成する場合もまた好まし
い。この場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素
環もしくは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員
〜7員の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1
〜40、さらには3〜30が好ましい。
【0100】一般式(1)で表される化合物の中で、よ
り好ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、または
カルバモイル基を表し、R1 が電子吸引性基またはアリ
ール基を表し、R2 またはR 3 のどちらか一方が水素原
子で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプ
ト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物で
ある。さらにまた一般式(1)で表される化合物の中で
特に好ましいものの1つは、ZとR1 とが非芳香族の5
員〜7員の環状構造を形成していて、R 2 またはR3
どちらか一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテ
ロ環基を表す化合物である。この時、R1 と共に非芳香
族の環状構造を形成するZとしては、アシル基、カルバ
モイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、ス
ルホニル基等が好ましく、またR1 としては、アシル
基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボ
ニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好まし
い。
【0101】次に一般式(2)で表される化合物につい
て説明する。一般式(2)に於いてR4 は置換基を表
す。R4 で表される置換基としては、一般式(1)のR
1 〜R3 の置換基について説明したものと同じものが挙
げられる。R4 で表される置換基は、好ましくは電子吸
引性基またはアリール基である。R4 が電子吸引性基を
表す時、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、即
ち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ア
ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモ
イル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、ホ
スホリル基、イミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘ
テロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホルミル
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニ
ル基、ヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシアノ
基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、またはヘテロ環基である。R4 がアリ
ール基を表す時、好ましくは総炭素数0〜30の、置換
もしくは無置換のフェニル基であり、置換基としては、
一般式(1)のR1 、R2 、R3 が置換基を表す時にそ
の置換基として説明したものと同じものが挙げられる。
4 は、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、または置換もしく
は無置換のフェニル基であり、最も好ましくはシアノ
基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニル基であ
る。
【0102】次に一般式(3)で表される化合物につい
て詳しく説明する。一般式(3)に於いてX、Yはそれ
ぞれ独立に水素原子または置換基を表し、A、Bはそれ
ぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル
アミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリ
ノ基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテ
ロ環アミノ基を表す。XとY、あるいはAとBは、互い
に結合して環状構造を形成していてもよい。
【0103】一般式(3)に於いてX、Yで表される置
換基としては、一般式(1)のR1〜R3 の置換基につ
いて説明したものと同じものが挙げられる。具体的に
は、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロ
メチル基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲ
ン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフ
ァモイル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその
塩)、スルホ基(またはその塩)、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シ
リル基等が挙げられる。
【0104】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。
【0105】一般式(3)に於いてX、Yで表される置
換基は、好ましくは総炭素数1から40の、より好まし
くは総炭素数1から30の基であり、シアノ基、アルコ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カル
バモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チ
オカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロ
アルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、ア
シルアミノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ
環基、アルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール
基等が挙げられる。一般式(3)に於いてX、Yは、よ
り好ましくはシアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、アシル基、ホルミル基、アシル
チオ基、アシルアミノ基、チオカルボニル基、スルファ
モイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル
基、トリフルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換さ
れたフェニル基等であり、特に好ましくはシアノ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルチ
オ基、アシルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等である。
【0106】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。
【0107】一般式(3)に於いてA、Bはそれぞれ独
立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。一般式(3)に於いてA、Bで表され
る基は、好ましくは総炭素数1から40の、より好まし
くは総炭素数1から30の基であり、さらに置換基を有
していてもよい。
【0108】一般式(3)に於いてA、Bは、これらが
互いに結合して環状構造を形成している場合がより好ま
しい。この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳
香族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、
さらには3〜30が好ましい。この場合に、A、Bが連
結した例(−A−B−)を挙げれば、例えば-O-(CH2) 2-
O-,-O-(CH2)3-O-,-S-(CH2)2-S-,-S-(CH2)3-S-,-S-p
h-S-,-N(CH3)-(CH2)2-O- ,-N(CH3)-(CH2)2-S- ,-O-
(CH2)2-S-,-O-(CH2)3-S-,-N(CH3)-ph-O- ,-N(CH3)-p
h-S- ,-N(ph)-(CH2)2-S-等である。
【0109】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性
の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基として
は、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チ
オアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基など
の米国特許第4,385,108号、同4,459,3
47号、特開昭59−195233号、同59−200
231号、同59−201045号、同59−2010
46号、同59−201047号、同59−20104
8号、同59−201049号、特開昭61−1707
33号、同61−270744号、同62−948号、
同63−234244号、同63−234245号、同
63−234246号に記載された基があげられる。ま
たこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化さ
れていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開
平2−285344号に記載された基が挙げられる。
【0110】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添
加剤において常用されているバラスト基またはポリマー
が組み込まれているものでもよい。特にバラスト基が組
み込まれているものは本発明の好ましい例の1つであ
る。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対
して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラ
ルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニ
ル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中か
ら選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特
開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0111】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、
4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素
原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基も
しくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、
(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、ある
いは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、ス
ルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルフ
ァモイル基等)が含まれていてもよい。特にエチレンオ
キシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含
む基、あるいは(アルキル、アリール、またはヘテロ
環)チオ基が含まれているものは、本発明の好ましい例
の1つである。これらの基の具体例としては、例えば特
開平7−234471号、特開平5−333466号、
特開平6−19032号、特開平6−19031号、特
開平5−45761号、米国特許4994365号、米
国特許4988604号、特開平3−259240号、
特開平7−5610号、特開平7−244348号、独
国特許4006032号等に記載の化合物が挙げられ
る。
【0112】次に本発明の一般式(1)〜一般式(3)
で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発
明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0113】
【化8】
【0114】
【化9】
【0115】
【化10】
【0116】
【化11】
【0117】
【化12】
【0118】
【化13】
【0119】
【化14】
【0120】
【化15】
【0121】
【化16】
【0122】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばアル
コール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フ
ッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチ
ルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることがで
きる。また、既によく知られている乳化分散法によっ
て、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレ
ートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなど
の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製
して用いることができる。あるいは固体分散法として知
られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当な
溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。
【0123】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、支持体に対して画像記録層側の層、即
ち画像形成層あるいは他のどの層に添加してもよいが、
画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが
好ましい。本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表さ
れる化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1
モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好
ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0124】一般式(1)〜一般式(3)で表される化
合物は公知の方法により容易に合成することができる
が、例えば、米国特許5545515号、米国特許56
35339号、米国特許5654130号、国際特許W
O−97/34196号、或いは特願平9−30981
3号、特願平9−272002号に記載の方法を参考に
合成することができる。
【0125】本発明の一般式(1)〜一般式(3)で表
される化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併用し
ても良い。また上記のものの他に、米国特許55455
15号、米国特許5635339号、米国特許5654
130号、国際特許WO−97/34196号、米国特
許5686228号に記載の化合物、或いはまた特願平
8−279962号、特願平9−228881号、特願
平9−273935号、特願平9−309813号、特
願平9−296174号、特願平9−282564号、
特願平9−272002号、特願平9−272003
号、特願平9−332388号に記載された化合物を併
用して用いても良い。
【0126】さらに本発明に於いては、下記に挙げるヒ
ドラジン誘導体を組み合わせて用いることもできる。
【0127】本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、
下記一般式(H)によって表わされる化合物が好まし
い。 一般式(H)
【0128】
【化17】
【0129】式中、R2は脂肪族基、芳香族基、またはヘ
テロ環基を表し、R1は水素原子またはブロック基を表
し、G1は-CO-,-COCO-,-C=S-,-SO2- ,-SO-,-PO
(R3)-基(R3はR1に定義した基と同じ範囲内より選ば
れ、R1と異なっていてもよい。)、チオカルボニル基、
またはイミノメチレン基を表す。A1、A2はともに水素原
子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置
換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換
のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換の
アシル基を表す。m1は0または1であり、m1が0の時、
R1は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表す。
【0130】一般式(H)において、R2で表わされる脂
肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換
の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基である。一般式(H)において、R2
表わされる芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基
で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R2
で表わされるヘテロ環基としては、単環または縮合環
の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘ
テロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミ
ダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン
環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチア
ゾール環、ピペリジン環、トリアジン環、モルホリノ
環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
【0131】R2として好ましいものはアリール基もしく
はアルキル基である。
【0132】R2は置換されていてもよく、代表的な置換
基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原
子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラル
キル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、
アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、
4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジ
ニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基
またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返
し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ
基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオ
キシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ス
ルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、
またはヘテロ環)アミノ基、N-置換の含窒素ヘテロ環
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、
チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミ
ノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒド
ラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ
基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド
基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ
基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、
またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)
スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニ
ル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシ
ルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基また
はその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を
含む基、等が挙げられる。
【0133】これら置換基は、これら置換基でさらに置
換されていてもよい。
【0134】R2が有していてもよい置換基として好まし
いものは、R2が芳香族基またはヘテロ環基を表す場合、
アルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、
ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホン
アミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミ
ド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その
塩を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ
る。またR2が脂肪族基を表す場合は、アルキル基、アリ
ール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、スル
ホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、
イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキ
シ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その
塩を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が好ましい。
【0135】一般式(H)において、R1は水素原子また
はブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、脂肪
族基(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール
基)、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アミノ基またはヒドラジノ基を表す。R1で表わされるア
ルキル基として好ましくは、炭素数1〜10の置換もしく
は無置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル
基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−
カルボキシテトラフルオロエチル基、ピリジニオメチル
基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキ
シメチル基、3-ヒドロキシプロピル基、3-メタンスルホ
ンアミドプロピル基、フェニルスルホニルメチル基、o
−ヒドロキシベンジル基、メトキシメチル基、フェノキ
シメチル基、4-エチルフェノキシメチル基、フェニルチ
オメチル基、t-ブチル基、ジシアノメチル基、ジフェニ
ルメチル基、トリフェニルメチル基、メトキシカルボニ
ルジフェニルメチル基、シアノジフェニルメチル基、メ
チルチオジフェニルメチル基などが挙げられる。アルケ
ニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基
であり、例えばビニル基、2-エトキシカルボニルビニル
基、2-トリフルオロ-2-メトキシカルボニルビニル基等
が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1
から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2-メ
トキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール
基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好まし
く、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェ
ニル基、パーフルオロフェニル基、3,5-ジクロロフェニ
ル基、2-メタンスルホンアミドフェニル基、2-カルバモ
イルフェニル基、4,5-ジシアノフェニル基、2-ヒドロキ
シメチルフェニル基、2,6-ジクロロ-4- シアノフェニル
基、2-クロロ-5- オクチルスルファモイルフェニル基な
どが挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、少なく
とも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員
の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテ
ロ環基で、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N-置
換)、イミダゾリル基、インダゾリル基(4-ニトロイン
ダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベン
ゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリ
ジニオ基(N-メチル-3-ピリジニオ基等)、キノリニオ
基、キノリル基などがある。アルコキシ基としては炭素
数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ
基、2-ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、t-ブ
トキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては置
換もしくは無置換のフェノキシ基が好ましく、アミノ基
としては無置換アミノ基、及び炭素数1〜10のアルキル
アミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽
和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒
素ヘテロ環アミノ基を含む)が好ましい。アミノ基の例
としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルア
ミノ基、プロピルアミノ基、2-ヒドロキシエチルアミノ
基、アニリノ基,o-ヒドロキシアニリノ基、5-ベンゾ
トリアゾリルアミノ基、N-ベンジル-3-ピリジニオアミ
ノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしく
は無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換の
フェニルヒドラジノ基(4-ベンゼンスルホンアミドフェ
ニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0136】R1で表される基は置換されていても良く、
その置換基の例としては、R2の置換基として例示したも
のがあてはまる。
【0137】一般式(H)に於いてR1はG1-R1 の部分を
残余分子から分裂させ、-G1-R1部分の原子を含む環式構
造を生成させる環化反応を生起するようなものであって
もよく、その例としては、例えば特開昭63-29751号など
に記載のものが挙げられる。
【0138】一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体
は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込
まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メ
ルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,
385,108 号、同4,459,347 号、特開昭59-195233 号、同
59-200231号、同59-201045号、同59-201046号、同59-20
1047号、同59-201048号、同59-201049号、特開昭61-170
733号、同61-270744号、同62-948号、同63-234244号、
同63-234245号、同63-234246号に記載された基があげら
れる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカー
サー化されていてもよい。その様なプレカーサーとして
は、特開平2-285344号に記載された基が挙げられる。
【0139】一般式(H)のR1またはR2はその中にカプ
ラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバ
ラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよ
い。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に対
して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラ
ルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニ
ル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中か
ら選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特
開平1-100530号に記載のものが挙げられる。
【0140】一般式(H)のR1またはR2は、置換基とし
てヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般
式(H)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての
多量体を表し、具体的には例えば特開昭64-86134号、特
開平4-16938号、特開平5-197091号、WO95-32452号、WO9
5-32453号、特願平7-351132号、特願平7-351269号、特
願平7-351168号、特願平7-351287号、特開平9-179229号
等に記載された化合物が挙げられる。
【0141】一般式(H)のR1またはR2は、その中にカ
チオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む
基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環
基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
の繰り返し単位を含む基、(アルキル、アリール、また
はヘテロ環)チオ基、あるいは塩基により解離しうる解
離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイ
ル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれてい
てもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特
開平7-234471号、特開平5-333466号、特開平6-19032
号、特開平6-19031号、特開平5-45761号、米国特許4,99
4,365号、米国特許4,988,604号、特開平3-259240号、特
開平7-5610号、特開平7-244348号、独特許4,006,032号
等に記載の化合物が挙げられる。
【0142】一般式(H)に於いてA1、A2は水素原子、
炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基
(好ましくはフェニルスルホニル基、又はハメットの置
換基定数の和が-0.5以上となるように置換されたフェニ
ルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましく
はベンゾイル基、又はハメットの置換基定数の和が-0.
5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは
直鎖、分岐、又は環状の置換もしくは無置換の脂肪族ア
シル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、
エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒ
ドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられ
る))である。A1、A2としては水素原子が最も好まし
い。
【0143】次に本発明において、特に好ましいヒドラ
ジン誘導体について述べる。
【0144】R2はフェニル基または炭素数1〜3の置換ア
ルキル基が好ましい。R2がフェニル基を表す時、その好
ましい置換基としては、ニトロ基、アルコキシ基、アル
キル基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド
基、チオウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(または
その塩)、アルコキシカルボニル基、またはクロル原子
が挙げられる。R2が置換フェニル基を表す時、その置換
基に、直接または連結基を介して、バラスト基、ハロゲ
ン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級
化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオ
キシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル、アリー
ル、またはヘテロ環)チオ基、ニトロ基、アルコキシ
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、解離性基(カ
ルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カル
バモイルスルファモイル基等)、もしくは多量体を形成
しうるヒドラジノ基(-NHNH-G1-R1 で表される基)の少
なくとも1つが置換されていることがより好ましい。R2
が炭素数1〜3の置換アルキル基を表す時、R2はより好
ましくは置換メチル基であり、さらには、二置換メチル
基もしくは三置換メチル基が好ましく、その置換基とし
ては具体的に、メチル基、フェニル基、シアノ基、(ア
ルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、クロル原子、ヘテロ環基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、アシル
アミノ基、またはスルホンアミド基が好ましく、特に置
換もしくは無置換のフェニル基が好ましい。R2が置換メ
チル基を表す時、より好ましい具体例としては、t-ブチ
ル基、ジシアノメチル基、ジシアノフェニルメチル基、
トリフェニルメチル基(トリチル基)、ジフェニルメチ
ル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノ
ジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基、
シクロプロピルジフェニルメチル基などが挙げられる
が、中でもトリチル基が最も好ましい。一般式(1) に於
いてR2は、最も好ましくは置換フェニル基である。
【0145】一般式(H)に於いてm1は1または0を表
すが、m1が0の時、R1は脂肪族基、芳香族基、またはヘ
テロ環基を表す。m1が0の時、R1は特に好ましくはフェ
ニル基または炭素数1〜3の置換アルキル基であり、こ
れは先に説明したR2の好ましい範囲と同じである。m1
好ましくは1である。
【0146】R1で表わされる基のうち好ましいものは、
R2がフェニル基を表し、かつG1が-CO-基の場合には、水
素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
リール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは
水素原子、アルキル基、アリール基であり、最も好まし
くは水素原子またはアルキル基である。ここでR1がアル
キル基を表す時、その置換基としてはハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、カルボキシ基が特に好ましい。R2が置換メ
チル基を表し、かつG1が-CO-基の場合には、R1は好まし
くは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
アルコキシ基、アミノ基(無置換アミノ基、アルキルア
ミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基)であ
り、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール
基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ア
リールアミノ基、ヘテロ環アミノ基である。G1が-COCO-
基の場合には、R2に関わらず、R1はアルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ
基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ま
たは飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好まし
い。またG1が-SO2 -基の場合には、R2に関わらず、R1
アルキル基、アリール基または置換アミノ基が好まし
い。
【0147】一般式(H)に於いてG1は好ましくは-CO-
基または-COCO-基であり、特に好ましくは-CO-基であ
る。
【0148】次に一般式(H)で示される化合物の具体
例を以下に示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定
されるものではない。
【0149】本発明に用いられるヒドラジン誘導体とし
ては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好
ましく用いられる。(場合によっては組み合わせて用い
ることもできる。)本発明に用いられるヒドラジン誘導
体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、
合成することができる。
【0150】特公平6-77138号に記載の(化1)で表され
る化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合
物。特公平6-93082号に記載の一般式(I)で表される
化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の
化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般式
(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には
同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1〜化合物4-10、28
頁〜36頁に記載の化合物5-1〜5-42、および39頁、40頁
に記載の化合物6-1〜化合物6-7。特開平6-289520号に記
載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、
具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1-1)〜1-1
7)および2-1)。特開平6-313936号に記載の(化2)およ
び(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜1
9頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載の(化1)
で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載
の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式(I)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化
合物I-1〜I-38。特開平7-77783号に記載の一般式(I
I)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁
に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号に記載
の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物
で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H-1〜
H-44。特開平9-22082 号に記載の、ヒドラジン基の近
傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内
水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴と
する化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般
式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)
で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物
N-1〜N-30。特願平7-191007号に記載の一般式(1)で表
される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D-1
〜D-55。さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜20
7頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々
のヒドラジン誘導体。特開昭62-86354号(6頁〜7頁)の
化合物D-2およびD-39。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
【表8】
【0159】
【表9】
【0160】
【表10】
【0161】
【表11】
【0162】
【表12】
【0163】
【表13】
【0164】
【表14】
【0165】
【表15】
【0166】
【表16】
【0167】
【表17】
【0168】
【表18】
【0169】
【表19】
【0170】
【表20】
【0171】
【表21】
【0172】
【表22】
【0173】
【表23】
【0174】本発明のヒドラジン系造核剤は、適当な有
機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに
溶解して用いることができる。また、既によく知られて
いる乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリク
レジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートある
いはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシ
クロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的
に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは
固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジ
ン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、
あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0175】本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対
して画像形成層側の該画像形成層あるいは他のバインダ
ー層のどの層に添加してもよいが、該画像形成層あるい
はそれに隣接するバインダー層に添加することが好まし
い。本発明の造核剤添加量は、銀1モルに対し1×10-6
〜1×10-2モルが好ましく、1×10-5〜5×10-3モルが
より好ましく、2×10-5〜5×10-3モルが最も好まし
い。
【0176】また、本発明は超硬調画像形成のために、
前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することがで
きる。例えば、米国特許第5,545,505号に記載のアミン
化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,507に記
載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-1〜HA-11、
同5,545,507に記載のアクリロニトリル類、具体的には
CN-1〜CN-13、同5,558,983に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA-1〜CA-6、特願平8-132836に記載
のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A-42、B-1〜B-
27、C-1〜C-14などを用いることができる。これらの
硬調化促進剤の合成方法、添加方法、添加量等は、それ
ぞれの前記引用特許に記載されているように行うことが
できる。
【0177】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同
第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,72
8,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載
のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、
ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号お
よび同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および
金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に
記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557
号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,41
1,985号に記載のリン化合物などがある。
【0178】本発明に好ましく用いられるかぶり防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5,340,712号、同
5,369,000号、同5,464,737号に開示されているような化
合物が挙げられる。
【0179】本発明のカブリ防止剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0180】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが
有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、
酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀
の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましく
は1×10-9モル〜1×10-3モル、さらに好ましくは1×
10-8モル〜1×10-4モルの範囲である。
【0181】本発明における熱現像感光材料は高感度化
やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良
い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい構造の例としては、米国特許4,784,93
9号、同4,152,160号、特願平8-151242号、同8-151241
号、同8-98051号などに記載の化合物が挙げられる。本
発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添
加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加すること
がさらに好ましい。本発明の安息香酸類の添加時期とし
ては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀
塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調
製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布
直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添加法としては
粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても
良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物
と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安息香
酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル
当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10
-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0182】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM 、Ar-S-S-A
rで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子または
アルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオ
ウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳
香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環
はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチ
アゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナ
フスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラ
ゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、ト
リアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジ
ン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プ
リン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳
香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒ
ドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1
個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)、アルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、
好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびア
リール(置換基を有していてもよい)からなる置換基群
から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複
素芳香族化合物をとしては、2-メルカプトベンズイミダ
ゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプ
トベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイ
ミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾー
ル、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾール、3-メルカプ
ト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾー
ルチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-
メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリ
ン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾ
リノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、
2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-
6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレー
ト、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-
アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロ
シ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジ
ン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカ
プト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプ
ト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-5-メ
ルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾール)
-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-{3-
(5- メルカプトテトラゾリル)フェニル}ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる
が、本発明はこれらに限定されない。
【0183】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モルの範囲が好
ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.001〜0.
3モルの量である。
【0184】本発明における感光性層には、可塑剤およ
び潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,
960,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオー
ル)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号に
記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号に
記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0185】本発明においては、画像形成上に保護層を
設けることが好ましく、保護層のバインダーとしては、
ガラス転移温度が25℃以上70℃以下のポリマーのラテッ
クスを用いることが好ましい。この場合保護層の全バイ
ンダーの50重量%以上、好ましくは70重量%以上として
前述のポリマーラテックスを用いることが好ましい。本
発明ではこのような保護層を少なくとも1層設けること
が好ましい。このような保護層のバインダー構成や塗設
方法等については画像形成層と同様である。保護層用の
ポリマーラテックスとしてはアクリル系、スチレン系、
アクリル/スチレン系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン
系のポリマーラテックスが好ましく用いられ、具体的に
はアクリル樹脂系のVONCORT R3370、4280、Nipol Lx8
57、メチルアクリレート/2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
/スチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー、塩化ビニ
ル樹脂のNipol G576、塩化ビニリデン樹脂のアロンD50
71が好ましく用いられる。
【0186】本発明に用いられる保護層用の全バインダ
ー量は0.2〜5.0g/m2、より好ましくは0.5〜4.0g/m2
の範囲である。
【0187】本発明の表面保護層としては、いかなる付
着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例として
は、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー
性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-
スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セル
ロース、セルロースアセテートブチレート、セルロース
プロピオネートやこれらの混合物などがある。また、表
面保護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための
界面活性剤などを添加してもよい。
【0188】本発明における画像形成層もしくは画像形
成層の保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,27
4,782号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記
載されているような光吸収物質およびフィルター染料を
含む写真要素において使用することができる。また、例
えば米国特許第3,282,699号に記載のように染料を媒染
することができる。フィルター染料の使用量としては露
光波長での吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に
好ましい。
【0189】本発明の感光性層には色調改良、イラジエ
ーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることが
できる。本発明の感光性層に用いる染料および顔料はい
かなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載
の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染
料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、
オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染
料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、イ
ンドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有
機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に用いられ
る好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特
開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開平5-165147号記
載の化合物3-6〜18および3-23〜38など)、アゾメチン
染料(特開平5-341441号記載の化合物17〜47など)、イ
ンドアニリン染料(例えば特開平5-289227号記載の化合
物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物47、特開平5-
165147号記載の化合物2-10〜11など)およびアゾ染料
(特開平5-341441号記載の化合物10〜16)が挙げられ
る。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固
体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などい
かなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の
吸収量によって決められるが、一般的に1m2当たり1×1
0-6g以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0190】本発明における熱現像写真感光性材料は、
支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、
いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0191】本発明においてバック層は、所望の範囲で
の最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。
所望の範囲が750〜1400nmである場合には、750〜360nm
においての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好
ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度
を有するハレーション防止層であることが好ましい。所
望の範囲が750nm以下である場合には、画像形成前の所
望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像
形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満にな
るようなハレーション防止層であることが好ましい。画
像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては
特に制限はないが、例えばベルギー特許第733,706号に
記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低
下させる方法、特開昭54-17833号に記載の光照射による
消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0192】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示されている
が本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料
としては特開昭59-56458号、特開平2-216140号、同7-13
295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号記載、特開
平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄
9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下
欄記載の化合物があり、処理で消色する染料としては特
開昭52-139136号、同53-132334号、同56-501480号、同5
7-16060号、同57-68831号、同57-101835号、同59-18243
6号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公昭48-33692
号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国特許4,088,4
97号、同4,283,487号、同4,548,896号、同5,187,049号
がある。
【0193】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマ
ー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルム
を形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポ
リ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロー
ス、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル
酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ
ポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-
アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ
(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹
脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、
ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、
セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バイ
ンダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形
成してもよい。
【0194】本発明における片面感光材料は、搬送性改
良のために感光性乳剤層の表面保護層及び/またはバッ
ク層またはバック層の表面保護層にマット剤を添加して
も良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無
機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のもの
を使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,2
45号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344
号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット
剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、
同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各
明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られた
ものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤
として用いることのできる有機化合物の例としては、水
分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリ
ル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポ
リスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポ
リビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリ
テトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例と
してはメチルセルロース、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例
としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱
粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬
化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して
微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく
用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪
素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニ
ウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減
感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好
ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応
じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。
マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径
のものを用いることができる。本発明の実施に際しては
0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。ま
た、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一
方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響す
ることから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の
混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた
状態にすることが好ましい。
【0195】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さ
らに好ましくは700秒以下50秒以上である。
【0196】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じな
ければいかようでも良いが、ベック平滑度が500秒以上1
0,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,000秒以下が
好ましい。ある。
【0197】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、
ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望
による追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は基材に隣接した層)中に有機銀塩
およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にいく
つかの他の成分を含まなければならない。しかし、全て
の成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含ん
でなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写真
材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含
んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されて
いるように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、
一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているよう
に、各感光層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー
層を使用することにより、互いに区別されて保持され
る。
【0198】米国特許第4,460,681号および同第4,374,9
21号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resi
stive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用
することもできる。
【0199】本発明の感光性層、保護層、バック層など
各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、
米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などに記載さ
れているポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号
などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-890
48号などに記載されているビニルスルホン系化合物類な
どが用いられる。
【0200】本発明には塗布性、帯電改良などを目的と
して界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系な
どいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭
62-170950号、米国特許5,380,644号などに記載のフッ素
系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号、特開昭63-18
8135号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許3,88
5,965号などに記載のポリシロキサン系界面活性剤、特
開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイド
やアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0201】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセ
チル化された、もしくはバライタおよび/またはα-オ
レフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10の
α-オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体
が、典型的に用いられる。該支持体は透明であっても不
透明であってもよいが、透明であることが好ましい。こ
れらのうちでも75〜200μm程度の2軸延伸したポリエチ
レンテレフタレートが特に好ましい。一方、プラスチッ
クフィルムを80℃以上の処理の熱現像機に通すと一般に
フィルムの寸法が伸縮する。処理後の材料を印刷製版用
途として使用する場合、この伸縮は精密多色印刷を行う
時に重大な問題となる。よって、本発明では二軸延伸時
にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像中
に発生する熱収縮歪みをなくす工夫をした、寸法変化の
小さいフィルムを用いることが好ましい。例えば、熱現
像用写真乳剤を塗布する前に100℃〜210℃の範囲で熱処
理したポリエチレンテレフタレートなどが好ましく用い
られる。ガラス転移点の高いものも好ましく、ポリエー
テルエチルケトン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポ
リエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネ
ート等が使用できる。
【0202】本発明における熱現像感光材料は、帯電防
止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,
206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国
特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩、特開
昭60-252349号、同57-104931号に記載されている酸化ス
ズ微粒子などを含む層を有してもよい。
【0203】本発明における熱現像感材を用いてカラー
画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁左欄43行
目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー
染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号、米
国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同第3,574,62
7号、同第3,573,050号、同第3,764,337号および同第4,0
42,394号に例示されている。
【0204】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。
【0205】本発明における熱現像写真材料の中に追加
の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容
層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップ
コート層および光熱写真技術において既知のプライマー
層などを含むことができる。本発明の感材はその感材一
枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画
像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが好
ましい。
【0206】本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で
現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した感
光材料を昇温して現像される。用いられる熱現像機の好
ましい態様としては、熱現像感光材料をヒートローラー
やヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特
公平5-56499号、特許公報第684453号、特開平9-292695
号、特開平9-297385号および国際特許WO95/30934号に
記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7-1329
4号、国際特許WO97/28489号、同97/28488号および同9
7/28487号に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様
としては非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度
としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140
℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜
90秒がさらに好ましい。本発明の熱現像感光材料の前述
の熱現像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法と
して、80℃以上115℃未満の温度で画像が出ないように
して5秒以上加熱した後、110℃以上で熱現像して画像形
成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効であ
る。
【0207】本発明の感光材料はいかなる方法で露光さ
れても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。
本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、YAG
レーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好まし
い。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを
用いることもできる。本発明の感光材料は露光時のヘイ
ズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉
縞発生防止技術としては、特開平5-113548などに開示さ
れているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させ
る技術や、WO95/31754などに開示されているマルチモー
ドレーザーを利用する方法が知られており、これらの技
術を用いることが好ましい。本発明の感光材料を露光す
るにはSPIE vol.169 Laser Printing 116-128頁(197
9)、特開平4-51043、WO95/31754などに開示されている
ようにレーザー光が重なるように露光し、走査線が見え
ないようにすることが好ましい。
【0208】以下に実施例をもって本発明の効果を説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0209】
【実施例】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤A)水700mlにフタル化ゼラチン11gおよび臭化カ
リウム30mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解して温度55℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.
6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットル
で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブル
ジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸
銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リッ
トルで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコン
トロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加し
た。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化
合物Aを0.17g、脱イオンゼラチン(カルシウム含有量
として20ppm以下)23.7g加え、pH5.9、pAg8.0に調製し
た。得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積
変動係数8%、(100)面比率93%の立方体粒子であった。こ
うして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル
当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μモルを添
加し、3分後にチオ硫酸ナトリウム154μモルを添加し
て、100分熟成した。その後、40℃に温度を保ち、ハロ
ゲン化銀1モルに対して12.8×10-4モルの下記増感色素
A、6.4×10-3モルの化合物Bを攪拌しながら添加し、2
0分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終
了した。
【0210】
【化18】
【0211】《有機酸銀分散物の調製》 <有機酸銀A>アラキン酸6.1g、ベヘン酸37.6g、蒸留
水700ml、tert-ブタノール70ml、1N-NaOH水溶液123mlを
混合し、75℃で1時間攪拌し反応させ、65℃に降温し
た。次いで、硝酸銀19.2gの水溶液112.5ml を45秒かけ
て添加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。そ
の後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導
度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固
形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱
い、乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポ
リビニルアルコール(商品名:PVA-205)5gおよび水を
添加し、全体量を500gとしてからホモミキサーにて予
備分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)
の圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機
酸銀分散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含
まれる有機酸銀粒子は平均短径0.04μm、平均長径0.8μ
m、変動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定
は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行っ
た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャ
ンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節すること
で所望の分散温度に設定した。こうして、ベヘン酸銀含
有率85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0212】《1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンの固体微粒子分散物
の調製》1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニ
ル)-3,5,5-トリメチルヘキサン20gに対してクラレ
(株)製MPポリマーのMP-203を3.0gと水77ml添加して
よく攪拌して、スラリーとして3時間放置した。その
後、0.5mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリー
と一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラ
インダーミル:アイメックス(株)製)にて3時間分散
し還元剤固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子
の80重量%が0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0213】《トリブロモメチルフェニルスルホンの固
体微粒子分散物の調製》トリブロモメチルフェニルスル
ホン30gに対してヒドロキシプロピルメチルセルロース
0.5g、化合物C0.5gと、水88.5gを添加し良く攪拌して
スラリーとして3時間放置した。その後、還元剤固体微
粒子分散物の調製と同様にして被り防止剤の固体微粒子
分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μm
以上1.0μm以下であった。
【0214】《乳剤層塗布液の調製》上記で作成した有
機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバイン
ダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水
を加えて、乳剤層塗布液とした。
【0215】 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 470g (大日本インキ化学工業(株)製;SBR ラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2- ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 110g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 25g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP-203) 46g 6-iso-ブチルフタラジン 0.12モル 染料A 0.62g 造核剤 表24に記載の種類及び添加量 ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル
【0216】
【化19】
【0217】《乳剤面保護層塗布液の調製》固形分27.5
% のポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチ
レン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエ
チルメタクリレートメタアクリル酸=59/9 /26/5 /
1 の共重合体でガラス転移温度55℃)109gにH2O 3.75g
を加え、造膜助剤としてベンジルアルコール4.5g、化合
物D 0.45g、化合物E 0.125g、化合物F 0.0125モ
ル、およびポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PV
A-217 )2.25g を加え、さらにH2O を加えて、150gと
し、塗布液とした。
【0218】
【化20】
【0219】《バック/下塗り層のついたPET 支持体の
作成》 (1) 支持体 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV( 固有粘度) =0.66(フェノール/テトラクロ
ルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを
得た。これをペレット化した後、130 ℃で4時間乾燥し
た後、300 ℃で溶融後T型ダイから押し出した後急冷
し、熱固定後の膜厚が120 μmになるような厚みの未延
伸フイルムを作成した。これを周速の異なるロールを用
い、3.3 倍に縦延伸、ついでテンターで4.5 倍に横延伸
を実施した。このときの温度はそれぞれ、110 ℃、130
℃であった。この後、240 ℃で20秒間熱固定後これと同
じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャ
ック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.
8kg/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3
500m 、厚み120μmのロールを得た。 (3) 下塗り層(a) ポリマーラテックス− (スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタクリレート /ジビニルベンゼン=67/30/2.5 /0.5 (重量% )) 160mg/m2 2,4-ジクロロ-6- ヒドロキシ-s- トリアジン 4mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4 μm) 3mg/m2 (3) 下塗り層(b) 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2 (4) 導電層 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000 、 Ca2+ 含量30ppm ) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2 化合物- A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18mg/m2 染料A 780nm の光学濃度が1.0 になる塗布量 SnO2/Sb(9/1 重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、 石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5 μm) 7mg/m2 (5) 保護層 ポリマーラテックス− (メチルメタクリレート/スチレン/2 −エチルヘキシルアクリレート/ 2 −ヒドロキシエチルメタクリレート/メタアクリル酸 =59/9 /26/5 /1 (重量% の共重合体)) 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524 (中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218mg/m2 支持体の片側に下塗り層(a) と下塗り層(b) を順次塗布
し、それぞれ180 ℃、4分間乾燥した。ついで、下塗り
層(a) と下塗り層(b) を塗布した反対側の面に導電層と
保護層を順次塗布し、それぞれ180 ℃、30秒乾燥してバ
ック/下塗り層のついたPET 支持体を作製した。このよ
うにして作製したバック/下塗り層のついたPET 支持体
を160 ℃設定した全長30m 熱処理ゾーンに入れ、張力14
g/cm2 、搬送速度20m /分で自動搬送した。その後、40
℃のゾーンに15秒間通し、10kg/cm2の巻き取り張力で巻
き取った。
【0220】
【化21】
【0221】《熱現像感光材料の調製》前記バック/下
塗り層のついたPET支持体の下塗り層の上に前期の乳剤
層塗布液を塗布銀量1.6g/m2になるように塗布した。さ
らにその上に、前記乳剤面保護層塗布液をポリマーラテ
ックスの塗布量が2.0g/m2になるように乳剤塗布液と共
に同時重層塗布した。
【0222】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた塗布サンプルを780nmにピークを
有する干渉フィルターおよびステップウェッジを介し
て、発光時間10-6秒のキセノンフラッシュ光で露光し
た。 (熱現像処理)露光済みのサンプルを図1の熱現像機に
て115 ℃で20秒間熱現像処理を行った。 (写真性能の評価)得られた画像の評価をマクベスTD90
4 濃度計(可視濃度) により行った。測定の結果は、Dm
in、感度(Dmin より1.0 高い濃度を与える露光量の比の
逆数)、コントラストで評価した。感度については写真
材料1 の感度を100 とした。コントラストは露光量の対
数を横軸として、濃度0.3 と3.0 の点を結ぶ直線の傾き
で表した。更に塗布後50℃75%RHの環境に3日間
経時した後のサンプルを熱現像し、Dminを評価した。
【0223】各感材について上記評価を実施した結果を
表24に示す。
【0224】
【表24】
【0225】
【化22】
【0226】本発明のサンプルは、低カブリで高コント
ラスト、かつ高感度の性能が得られることがわかる。
【0227】<実施例2>実施例1で用いた熱現像機
を、特開平7−13294号の図3に記載の熱現像機と
同様の構造で、熱源を2種類並べた構造のものを作成し
て、連続して2段階の加熱ができるようにした。この熱
現像機を用いて以下の熱現像処理を行ったところ、本発
明の試料において良好な結果を得た。 (1)処理(a);90℃10秒処理後(画像が出ない条
件、115℃30秒処理 (2)処理(c);105℃10秒処理(画像が出ない条
件)後、115℃30秒処理
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる熱現像機の一構成例を示す側面
図である。
【符号の説明】
1 ハロゲンランプ 2 ヒートドラム 3 送りローラ 4 エンドレスベルト 5 熱現像感光材料 6 出口 7 ガイド板 8 送りローラ対 9 平面ガイド板 10 送りローラ対 11 冷却ファン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀およびバインダーを有する熱現像感光材料におい
    て、前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のバ
    インダーの50重量%以上で、−30℃以上40℃以下
    のポリマーのラテックスが用いられ、該感光性ハロゲン
    化銀が750〜1400nmの範囲に分光増感されてお
    り、かつ下記一般式(I)で表わされる化合物を少なく
    とも1種及び造核剤を画像形成層あるいは他の隣接層中
    に含有することを特徴とする熱現像感光材料。 一般式(I) 【化1】 一般式(I)においてRは水素原子、炭素数1〜4のア
    ルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、ニト
    ロ基、置換または無置換のカルボン酸基またはその塩、
    スルホン酸基またはその塩を表わす。
  2. 【請求項2】 造核剤が下記一般式(1)で表される置
    換アルケン誘導体、一般式(2)で表される置換イソオ
    キサゾール誘導体、あるいは一般式(3)で表される特
    定のアセタール化合物から選ばれる少なくとも一種の化
    合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感
    光材料。 【化2】 一般式(1)に於いてR1 、R2 、R3 は、それぞれ独
    立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
    たはシリル基を表す。一般式(1)に於いてR 1 とZ、
    2 とR3 、R1 とR2 、或いはR3 とZは、互いに結
    合して環状構造を形成していてもよい。一般式(2)に
    於いてR4 は、置換基を表す。一般式(3)に於いて
    X、Yはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、
    A、Bはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ
    基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
    オ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ
    基、またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式(3)に於
    いてXとY、あるいはAとBは、互いに結合して環状構
    造を形成していてもよい。一般式(2)に於いてR4
    置換基を表す。R4 で表される置換基としては、一般式
    (1)のR1 〜R3 の置換基について説明したものと同
    じものが挙げられる。一般式(3)に於いてX、Yはそ
    れぞれ独立に水素原子または置換基を表し、A、Bはそ
    れぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキ
    ルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニ
    リノ基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘ
    テロ環アミノ基を表す。XとY、あるいはAとBは、互
    いに結合して環状構造を形成していてもよい。X、Yで
    表される置換基としては、一般式(1)のR1 〜R3
    置換基について説明したものと同じものが挙げられる。
  3. 【請求項3】 造核剤がヒドラジン化合物であることを
    特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
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