JP3860043B2 - 熱現像感光材料の包装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料、その包装材料及びその包装方法に関し、詳しくは熱現像感光材料の装置内のハンドリング性が良好で保存性が優れて熱現像後の画像保存性の良好な熱現像感光材料を提供できる包装材料及び包装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用フィルムおよび写真製版用フィルムとして熱現像感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱現像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要とせず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般の画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、特に医療診断用画像は微細な描画が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書およびD.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials) Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。
特に熱現像感光材料は、一般に、接触活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後に、高温(例えば80℃以上)に加熱し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示されている。
【0005】
前記熱現像感光材料の取り扱い性が良好で保存性が優れていて熱現像後の画像保存性が良好であり、環境負荷の小さい熱現像感光材料、その包装材料とその包装方法のさらなる開発が望まれているのが現状である。
【0006】
また、有機銀塩を用いた熱現像感光材料は、有機銀塩等の定着を行わないため、熱により銀画像を形成した後も、光/熱等により銀像が現れる可能性をもっている。通常の使用範囲では、もちろんその様なことは起こらないが、例えば、処理されたフィルムが運搬等の目的で、夏場の車の中に置かれた場合等、熱現像感光材料にとって非常に過酷な条件で保存された場合、フィルム全体の変色やフィルムが保存された袋の文字がフィルム上に転写される等のトラブル、すなわちカブリが発生するという問題がある。
これらの熱現像感光材料をシートフィルムに加工して包装体として保存した後に現像すると、包装材料の影響を受けて、現像濃度に変化を生じることがある。この加工品形態での経時変化を抑制するために、ポリプロプレンやポリエチレンのシートを用いる包装材料が提案されているが、これらの合成樹脂シートは帯電性が高いために空気中の塵を吸着して、これが熱現像感光材料に付着して白スポット(WS)故障の原因になる不都合がある。又別の包装体としてアルミ箔を積層した包装材料が提案されているが、この包装材料は古紙としてリサイクルできず、又焼却してもアルミ箔が完全に燃焼せず焼却炉内に堆積してしまうので、環境保護の観点から好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
熱現像後の画像保存性の良好な熱現像感光材料の包装形態で保存中での濃度変化を防止することと装置内のハンドリング性が良好でリサイクル性の良好な包装材料及び包装方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で達成されることを見出した。
(1)熱現像感光材料の包装方法において、支持体上の一方面上に感光性ハロゲン化銀、還元剤、バインダー及びベヘン酸銀含有率が53モル%以上85モル%以下の非感光性有機銀塩を含む熱現像感光材料の少なくとも一部が直接接触した状態で包装材料を折り曲げることにより包装される包装方法であって、該包装材料が紙であることを特徴とする熱現像感光材料の包装方法。
(2)該紙が再生紙ではなくバージンパルプを用いた紙であることを特徴とする上記(1)に記載の熱現像感光材料の包装方法。
(3)該紙の少なくとも一方の表面に紙以外の材料で形成された積層膜が設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の熱現像感光材料の包装方法。
(4)前記包装材料の少なくとも一部に紙が用いられ、前記包装材料が該熱現像感光材料と接触する面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜が形成されていることを特徴とする上記(1)、(2)又は(3)に記載の熱現像感光材料の包装方法。
(5)該バインダーの組成がポリビニルブチラールを50質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱現像感光材料の包装方法。
(6)該バインダーのガラス転移温度Tgが40℃以上90℃以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱現像感光材料の包装方法。
(7)(1)〜(6)の包装材料により包装された熱現像感光材料包装体。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施方法及び実施態様について詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は有機銀塩を含む。本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよいが、ベヘン酸銀を53モル%以上含むことが特徴で、60モル%以上98モル%以下含むことが特に好ましい。それ以外の有機酸の銀塩としては、特に、炭素数が10〜30、好ましくは15〜28長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18べージ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、前述したベヘン酸銀以外には、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。銀供給物質としての有機銀塩は、好ましくは画像形成層の約5〜30質量%を構成することができる。
【0010】
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、立方体、直方体、棒状、針状、平板状、りん片状でよいが、中でも立方体、直方体、棒状、針状のものが比較的好ましい。立方体、直方体、棒状、針状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺の一番短い方からa、b、cとする(a≦b≦c)。
立方体とは0.9≦a/c≦1.0の範囲にある粒子を言う。直方体粒子とは0.2≦a/c<0.9かつ0.2≦b/c<1.0の範囲の粒子を言う。棒状粒子とは0.1≦a/c<0.2かつ0.1≦b/c<0.3の範囲にある粒子を言う。針状粒子とはa/c<0.1かつb/c<0.1の粒子を言う。本発明でより好ましい有機銀塩の形状は針状もしくは棒状の粒子で針状粒子が最も好ましい。
【0011】
本発明に用いる事のできる有機銀塩は、水溶媒で粒子形成され、その後、乾燥、MEK等の溶媒への分散をする事により調製される。乾燥は気流式フラッシュジェットドライヤーにおいて酸素分圧15vol%以下0.01vol%以上で行う事が好ましく、更には10vol%以下0.01vol%以上で行う事が好ましい。
【0012】
有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀塗布量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0013】
本発明の熱現像感光材料は感光性ハロゲン化銀を含む。本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャ1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号明細書に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.0001μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.10μm以下がよい。ハロゲン化銀粒子サイズが小さすぎると感度が不足し、大きすぎると感光材料のヘイズが増す問題を生じる場合がある。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0014】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT. Tani; J. Imaging Sci., 29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであってもよいが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、0.1モル%以上20モル%以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0015】
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルト、水銀または鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1ナノモル(nmol)から10ミリモル(mmol)の範囲が好ましく、10ナノモル(nmol)から100マイクロモル(μmol)の範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0016】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0017】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号公報等に記載の化合物を使用することができる。
【0018】
本発明における感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0019】
本発明で用いるハロゲン化銀の調製法としては、有機銀塩の一部の銀を有機または無機のハロゲン化物でハロゲン化するいわゆるハライデーション法も好ましく用いられる。ここで用いる有機ハロゲン化物としては有機銀塩と反応し、ハロゲン化銀を生成する化合物で有ればいかなるものでもよいが、N−ハロゲノイミド(N−ブロモスクシンイミドなど)、ハロゲン化4級窒素化合物(臭化テトラブチルアンモニウムなど)、ハロゲン化4級窒素塩とハロゲン分子の会合体(過臭化ピリジニウム)などが挙げられる。無機ハロゲン化合物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有ればいかなるものでもよいが、ハロゲン化アルカリ金属またはアンモニウム(塩化ナトリウム、臭化リチウム、ヨウ化カリウム、臭化アンモニウムなど)、ハロゲン化アルカリ土類金属(臭化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、ハロゲン化遷移金属(塩化第2鉄、臭化第2銅など)、ハロゲン配位子を有する金属錯体(臭化イリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸アンモニウムなど)、ハロゲン分子(臭素、塩素、ヨウ素)などがある。また、所望の有機無機ハロゲン化物を併用しても良い。ハライデーションする際のハロゲン化物の添加量としては有機銀塩1モル当たりハロゲン原子として1ミリモル〜500ミリモルが好ましく、10ミリモル〜250ミリモルがさらに好ましい。
【0020】
本発明に適用できる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号公報の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号公報一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号公報の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特詐第5,510,236号明細書、同第5,541,054号、同第3,871,887号明細書実施例5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭59−48753号公報に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号公報の第19頁第38行〜第20頁第35行、特願2000−86865号明細書、特願2000−102560号明細書等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
本発明にける増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
増感色素の組合せは、特に、強色増感の目的でしばしば用いられる増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、Research Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号公報、同43-4933号公報、特開昭59-19032号公報、同59-192242号公報等に記載されている。
【0021】
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−035631(特願平10−213487号)に記載されており、特にフタラジノン類、フタラジン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩:例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モルあたりの0.1〜50%モルの量含まれることが好ましく、0.5〜20%モル含まれることがさらに好ましい。
【0022】
本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはヒンダードフェノール類還元剤、ビスフェノール類還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
【0023】
【化1】
Figure 0003860043
【0024】
(一般式(R)において、R11およびR11'は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは、−S−基または、CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0025】
一般式(R)について詳細に説明する。
11およびR11'は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があげられる。
【0026】
12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1'も各々独立に水素原子またはベンセン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0027】
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0028】
11およびR11'として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などが挙げられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0029】
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0030】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
【0031】
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12およびR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
【0032】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化2】
Figure 0003860043
【0034】
【化3】
Figure 0003860043
【0035】
【化4】
Figure 0003860043
【0036】
本発明において還元剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1〜3.0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0037】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0038】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることができる。
【0039】
次に本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特願2001−074278号明細書に記載の一般式(I)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929(特願2000−76240号)明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特願2001−074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929(特願2000−76240号)明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化5】
Figure 0003860043
【0041】
本発明の熱現像感光材料における感光性層のバインダーは、天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、およびブタジエン−スチレンコポリマーなどから任意のものを使用することができる。好ましくはポリビニルブチラールを50質量%以上使用することである。当然のことながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。ポリビニルブチラールのバインダーとして好ましい量は50質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下である。感光性層中のバインダーのガラス転移温度Tgは40℃〜90℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは50℃〜80℃である。
本発明における感光性層のバインダー総量は、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は質量比で15:1〜1:3、特に8:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0042】
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤または/および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書および同第2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細書および同第2,444,605号明細書に記載のアザインデン、特開平9−329865号および米国特許第6,083,681号明細書に記載の化合物、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、米国特許第2,566,263号明細書および同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細書および同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書、同第4,137,079号明細書、第4,138,365号明細書および同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0043】
本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、中でもポリハロメチル化合物、特にトリハロメチルスルホン化合物が好ましい。有機ハロゲン化物は例えば、特開昭50−119624号公報、同50−120328号公報、同51−121332号公報、同54−58022号公報、同56−70543号公報、同56−99335号公報、同59−90842号公報、同61−129642号公報、同62−129845号公報、特開平6−208191号公報、同7−5621号公報、同7−2781号公報、同8―15809号公報、同9−160167号公報、同9−244177号公報、同9−244178号公報、同9−258367号公報、同9−265150号公報、同9−319022号公報、同10−171063号公報、同11−212211号公報、同11−231460号公報、同11−242304号公報、米国特許第5340712号明細書、同第5369000号明細書、同第5464737号明細書に開示されているような化合物が挙げられ、具体的には、2−(トリブロモメチルスルホン)キノリン、2−(トリブロモメチルスルホン)ピリジン、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリブロモメチルナフチルスルホンなどが挙げられる。
【0044】
本発明を実施するために必要ではないが、感光性層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましくは1ナノモル(nmol)〜1ミリモル(mmol)、さらに好ましくは10ナノモル(nmol)〜100マイクロモル(μmol)の範囲である。
【0045】
本発明の熱現像感光材料は高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,939号明細書、同第4,152,160号明細書、特開平9−281637号公報、同9−329864号公報、同9−329865号公報などに記載の化合物が挙げられる。本発明で用いる安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。安息香酸類の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。安息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1マイクロモル(μmol)以上2モル(mol)以下が好ましく、1ミリモル(mmol)以上0.5モル(mol)以下がさらに好ましい。
【0046】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミタゾール、6−エトキシ−2−メルカプトペンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらのメルカプト化合物の添加量としては感光性層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0047】
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117、超硬調画像形成のための超硬調化剤やその添加方法や量については、同号段落番号0118、特開平11−223898号段落番号0136〜0193、特開2000−284399(特願平11−87297号)の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号段藩番号0102、特開平11−223898号段落番号0194〜0195に記載されている。
【0048】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子含有層は露光波長での吸収が0.1以上0.6以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下であることがさらに好ましい。吸収が大きいとDminが上昇し画像が判別しにくくなり、吸収が少ないと鮮鋭性が損なわれる。本発明における感光性ハロゲン化銀層に吸収をつけるにはいかなる方法でも良いが染料を用いることが好ましい。染料としては先述の吸収条件を満たすものであればいかなるものでもよく、例えばピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、スクアリリウム染料などが挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5−341441号公報記載の化合物1〜9、特開平5−165147号公報記載の化合物3−6〜18および3−23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5−341441号公報記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5−289227号公報記載の化合物11〜19、特開平5−341441号公報記載の化合物47、特開平5−165147号公報記載の化合物2−10〜11など)、アゾ染料(特開平5−341441号公報記載の化合物10〜16)およびスクアリリウム染料(特開平10−104779号公報記載の化合物1〜20、米国特許5,380,635号明細書記載の化合物1a〜3d)である。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2当たり1μg以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0049】
本発明では、感光性ハロゲン化銀粒子含有層以外の部分いずれかが露光波長での吸収で0.1以上3.0以下であることが好ましく、0.3以上2.0以下であることがハレーション防止の点においてさらに好ましい。該露光波長での吸収を有する部分としては感光性ハロゲン化銀粒子含有層の支持体を挟んで反対の面の層(バック層、バック面下塗りもしくは下引き層、バック層の保護層)あるいは感光性ハロゲン化銀粒子含有層と支持体の間(下塗りもしくは下引き層)が好ましい。
感光性ハロゲン化銀粒子が赤外領域に分光増感されている場合には、感光性ハロゲン化銀粒子含有層以外の部分に吸収を持たせるにはいかなる方法でもよいが、可視領域での吸収極大が0.3以下となることが好ましい。着色に使用する染料としては、感光性ハロゲン化銀層に吸収をつけるのに使用できる染料と同様のものを使用でき、該感光性ハロゲン化銀層に用いた染料とは同一でも異なってもよい。
【0050】
感光性ハロゲン化銀粒子が可視領域に分光増感されている場合には、感光性ハロゲン化銀粒子含有層以外の部分に吸収を持たせるにはいかなる方法でもよいが、加熱処理で消色する染料もしくは加熱処理で消色させる化合物および消色される染料の組合せを用いることが好ましい。消色する着色層の例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限られるものではない。特開昭52−139136号公報、同53−132334号公報、同56−501480号公報、同57−16060号公報、同57−68831号公報、同57−101835号公報、同59−182436号公報、特開平7−36145号公報、同7−199409号公報、特公昭48−33692号公報、同50−16648号公報、特公平2−41734号公報、米国特許第4,088,497号明細書、同第4,283,487号明細書、同第4,548,896号明細書、同第5,187,049号明細書が開示されている。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2当たり1μg以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0051】
本発明における感光材料は感光層(画像形成層)の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層のバインダーとしては、いかなるポリマーを使用してもよい。該バインダーの例としては、ポリエステル、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などがあるが、セルロース誘導体が好ましい。該セルロース誘導体の例を以下に挙げるがこれらに限られるわけではない。例えば、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどやこれらの混合物がある。
本発明における表面保護層の厚さとしては0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
【0052】
表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、流動パラフィン、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0053】
本発明における感光性層もしくは感光性層の保護層には、米国特許第3,253,921号明細書、同第2,274,782号明細書、同第2,527,583号明細書および同第2,956,879号明細書に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素において使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書に記載のように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度として0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
本発明における感光性層もしくは感光性層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2,992,101号明細書および同第2,701,245号明細書に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度として200秒以上10000秒以下が好ましく、特に300秒以上10000秒以下が好ましい。
【0054】
本発明の熱現像感光材料において感光性層は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成は有機銀塩、ハロゲン化銀、還元剤およびバインダー、ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含まなければならない。二層の構成は、第1感光性層(通常は基材に隣接した層)中に有機銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にバインダー、還元剤及びいくつかの他の成分を含まなければならない。全ての成分を含む単−感光性層および保護トップコートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号明細書に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各感光性層は、一般に、米国特許第4,460,681号明細書に記載されているように、各感光層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0055】
本発明における熱現像感光性材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤等を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料が好ましい。
【0056】
本発明の熱現像感光材料は、搬送性改良のために、マット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号明細書、同2,701,245号明細書、同2,322,037号明細書、同3,262,782号明細書、同3,539,344号明細書、同3,767,448号明細書等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号明細書、同2,192,241号明細書、同3,257,206号明細書、同3,370,951号明細書、同3,523,022号明細書、同3,769,020号明細書等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0057】
本発明において、マット剤を含有しうる層としては、感光性層面及びバック面の最外層(感光性層、バック層であることあり)もしくは保護層、下塗り層などが挙げられ、最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
本発明においてバック面のマット度はベック平滑度として250秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180秒以下50秒以上である。
【0058】
本発明においてバック層の好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
【0059】
米国特許第4,460,681号明細書および同第4,374,921号明細書に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0060】
本発明における感光性層、保護層、バック層などの各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許第4,281,060号明細書、特開平6−208193号公報などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042号明細書などに記載されているエポキシ化合物、特開昭62−89048号公報などに記載されているビニルスルホン系化合物などが用いられる。
【0061】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62−170950号公報、米国特許第5,380,644号明細書などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60−244945号公報、特開昭63−188135号公報などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3,885,965号明細書などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6−301140号公報などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0062】
本発明に用いられる溶剤の例としては新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)などに挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明で使用する溶剤の沸点としては40℃以上180℃以下のものが好ましい。
本発明で用いる溶剤の例としてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,1,1−トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、チオフェン、トリフルオロエタノール、パーフルオロペンタン、キシレン、n−ブタノール、フェノール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、クロロベンゼン、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、モルホリン、プロパンスルトン、パーフルオロトリブチルアミン、水などが挙げられる。
【0063】
本発明における感光性層は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタおよび/またはα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィン、ポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。該支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0064】
本発明の熱現像感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明細書および同第3,206,312号明細書に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451号明細書に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0065】
本発明の熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7−13295号公報第10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号明細書、米国特許第3,432,300号明細書、同第3,698,909号明細書、同第3,574,627号明細書、同第3,573,050号明細書、同第3,764,337号明細書および同第4,042,394号明細書に例示されているものを使用できる。
【0066】
本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791号明細書および英国特許第837,095号明細書に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0067】
本発明における熱現像感光材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料とならないことが好ましい。
【0068】
本発明の感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。現像方法としても、ヒートドラムを用いた現像を行う事が好ましい。
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーやYAGレーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
【0069】
次に本発明の熱現像感光材料は、所定のサイズ、例えば半切、B4、A4サイズのシートに裁断され、複数枚重ねられ、本発明の包装材料で包装される。
【0070】
本発明の包装材料は、感光材料の少なくとも一部と直接接触する。この包装材料は紙であるが、この明細書では「紙」とは、少なくとも一部に紙が用いられたものを意味し、基体として紙板(ベースボード)が使用されていることが好ましく、その坪量としては250〜400g/m2が好ましく、270〜350g/m2が特に好ましい。紙板の使用パルプとしては、バージンパルプが好ましく、BKPが好ましく用いられ、その例としてはマツのパルプ、カバのパルプないしカバとマツの混合パルプが挙げられるが、特に中性で溶解され、ECF方式で漂白された木材パルプが好ましく使用される。上記の紙板は、通常のサイジング剤を使用して、紙粉やケバの発生を抑制する方が好ましい。サイズ剤としてはアルカリケテンダイマー(AKD)が好ましく使用される。
さらに紙の少なくとも一方の表面(好ましくは両側表面)を他の材料で形成された積層膜を設けてなる紙が用いられており、上記積層膜の材料のうち膜厚の5%以上好ましくは10%以上さらに好ましくは50%以上100%以下が金属を含む材料層からなる紙を使用しうる。このような包装体材料は、包装体の熱現像感光材料の画像記録層側の面(即ち画像記録層面)との接触面に用いることが好ましく、一方の表面が積層されている場合は、上記積層面が画像記録層面に接触するようにして包装する。このように、本発明の包装体材料は、少なくとも画像記録層面に接触する包装体部分に用いればよいが、通常は、包装体全体に本発明の包装体材料を用いることが好ましい。本発明では、熱現像感光材料に接触するような包装体ないし包装体部分を当てボールということもある。
【0071】
上述のような当てボール材料を用いることによって、熱現像感光材料を加工品として包装して出荷しても、経時による性能変化が抑えられ、安定した性能が得られる。また、形態が整った状態に保持されるので、処理装置における搬送トラブルが生じることがなく操作性が良好である。
【0072】
本発明において、上記積層膜の材料としては、膜厚の5%以上100%以下の、バリアー性、形状記憶性、耐傷性優れるものを用いることが好ましい。
【0073】
材料としては種々のものが可能で、東レリサーチセンター発行の「機能性包装材料の新展開」P33およびP118〜122に記載の材料から選択することができる。好ましくはポリプロピレン、(例えば東レ(株)製の2軸延伸ポリプロピレン(トレファンYM−11)、二村化学(株)製2軸延伸ポリプロピレン(OPA))、ポリエチレン(高密度ポリエチレンがより好ましい。)が挙げられる。
【0074】
積層膜の全膜厚は5μm 以上100μ以下が好ましく、5μm 以上50μm 以下がさらに好ましい。
【0075】
また、積層膜を貼り付ける前の紙自身の厚さは250μm 〜450μm が好ましく、300〜400μm が更に好ましい。
【0076】
本発明の紫外線硬化性樹脂は、紫外線や電子線を代表とする活性エネルギー線により硬化する樹脂をいう。このような紫外線硬化性樹脂は、1分子中に2以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する付加重合性の不飽和化合物を主成分として含む。通常紫外線硬化性樹脂は、通常、光重合開始剤を少量併用して使用される。重合開始剤には、ラジカル重合性開始剤及び/又はカチオン重合性の開始剤が好ましい。
本発明の包装材料に保護膜を形成するには、紫外線硬化性樹脂に、必要に応じて、非反応性の樹脂、界面活性剤等を混合した紫外線硬化性インキを調製し、この紫外線硬化性インキを本発明の包装材料に適当な印刷方法により印刷し、次いで、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより当該インキを硬化させて保護膜を形成する。
本発明に使用する紫外線硬化性インキとしては、特開昭54−8007号、同56−93776号、同56−116763号、特開平3−252472号及び特開平8−173898号に記載された多官能モノマー、光重合開始剤、非反応性の固形樹脂、を適宜混合して調製することができる。上記紫外線硬化性インキには、上記の多官能モノマーの他に、必要に応じて、プレポリマー、無機顔料、重合禁止剤、ワックス、を併用しても良い。
【0077】
本発明の包装材料は、基材である紙板にOP(Over Print)ニスを印刷してこれを硬化することにより保護膜を形成することが好ましい。本発明においては、紫外線(UV)、電子線等の活性エネルギー線により硬化するOPニスが好ましく使用される。UV硬化性OPニスとは、紫外線を照射することにより速やかに反応硬化するニスをいう。UV硬化性OPニスには、紫外線照射により硬化するモノマーとして多官能のエチレン性不飽和結合を含むことが好ましい。多官能のエチレン性不飽和化合物には、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル等が含まれる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール、ペンチット等の5価アルコール、及びジペンタエリスリトール、ソルビット等の6価アルコールが挙げられる。モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましく使用される。モノマーの分子量は400〜500が好ましく、分子量が小さいほうが本発明の感光材料用包装材料においては、折り曲げ適性において良好な結果が得られる。
市販品として、ダイキュアインラインオフセットOPニス(大日本インキ工業(株)製)、ダイキュアRX OPニス T−6(大日本インキ工業(株)製)等がある。
【0078】
上記モノマーの他に、通常、UV硬化性OPニスには、無機顔料、光重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、ワックス等を始めとする種々の機能を有する添加剤がその目的に応じて含有されている。
【0079】
UV硬化性ニスは、インク転写防止のためのコーンスターチ等のパウダーを散布する必要がなく、WS(白スポット)故障を嫌う熱現像写真フイルム用の包装材料には特に好適である。また、代表的なOPニスは透明であるため、古紙として再生時に脱墨工程を省くことが可能である。OPニスに薄く着色した場合には、打抜き時にニス抜き部分の視認が容易となる。さらに、墨インクとOPニスは1パスで別印刷が可能であり、打抜き位置決め用のトンボ、製品種別やロット識別用のコード印刷等に応用することができる。
【0080】
保護膜形成の方法としては、基材である紙板に通常のPS版、ゴム版及び樹脂版等を使用したオフセット印刷等が挙げられる。OPニスの塗布量は、好ましくは1〜5g/m2であり、特に好ましくは1.5〜2.5g/m2である。OPニスを塗布、硬化後のOPニス塗布面の摩擦係数は、SUS磨き板に対して、μ=0.25以下が好ましく、μ=0.19以下が特に好ましい。
本発明のOPニスを硬化させるためには、一般のUV印刷機のUVランプを全部点灯して使用すれば良い。
【0081】
OPニスによる保護膜は、紙板が感光材料と接触する側(内側)にのみ形成しても良いが、紙板の両面に形成する方が好ましい。
本発明において、OPニス抜きとは、感光材料を包装する包装材料の折り曲げ個所の少なくとも片側を、折り曲げ線を中心として幅0.5〜2.0mmにわたりOPニスの保護膜が形成されない部分を設けることをいう。
包装材料のOPニス抜きが包装材料の片面のみで足りるか、又は両面ともに必要かは、折り曲げ線部の加工方式に依存する。折り曲げ線部の外側にハーフカットの折り曲げ加工を施す場合には、内側のみをニス抜きすれば足りる。これに対して、折り曲げ線部を筋押し加工する場合には、包装材料の良好な折り曲げ適性を得るため、折り曲げ線部の近傍において包装材料の内側及び外側にOPニス抜き部を設けることが好ましい。また、ニス抜き部分はフイルム端から1mm以下であるため、保護膜全体のバリア性を低下させる懸念もない。
このOPニス抜きは、包装材料における折り曲げ線のすべてに行っても良いが、特に折り曲げ適性の劣る個所にのみ行っても良い。
また、このOPニス抜きは、包装材料を製造後に個別に製品種別、ロット識別用のコード、食料品においては賞味期限等を印刷する場合やノート等に氏名を記入する欄を設ける場合にも応用できる。具体的には前記の情報をインクジェットプリンターやホットスタンプ等の公知の方法で印字したい部分、または水性ペンや鉛筆を用いて文字を記入したい部分を予めOPニス抜きしておけば良い。このような場合、一般的にニス抜き部は当てボールの外側の天面4、底面2、接続部3、フラップ6a、6b等に設けることができる。
【0082】
本発明の包装材料の加工方法を詳しく述べると、原紙からトムソン刃タイプで平打ち抜きするか、又はロータリー打ち抜きが好ましい。紙粉除去は、除電、真空クリーナー、クリーンエアー吹きつけ、ブラシ除去等により実施することが好ましい。印刷パターンと打抜きパターンとの位置合わせは公知の方法を使用することができる。本発明の包装材料をメタルダイで打ち抜いた後、打ち抜き断面にラッカー等を塗布することにより新たな紙粉発生を防ぐことが特に好ましい。
【0083】
又、本発明の包装材料で複数枚重ねられたシート状感光材料を包装しやすくするため、また機器に装填して適合しやすくするため、折り曲げ線部を加工することが好ましい。これには外側ハーフカット加工、常温筋押しや加熱筋押しなどの罫線加工、ミシン目加工等を適宜組み合わせて実施できる。本発明においては、外側ハーフカットが好ましい。この加工は平打ち抜きと同時に加工しても、あるいは別個に加工しても差し支えない。
【0084】
本発明の熱現像感光材料用包装材料を用いた包装体の好ましい実施態様を概念図により説明する。
図1(a)に示すように、熱現像感光材料10が所定の大きさに裁断されて一定枚数積層されフイルム積層体11とされる。図1(b)に示すように、このフイルム積層体11は、本発明による当てボール1で包まれる。当てボール1の両面にはUV硬化性OPニス17が塗布されている。さらに、図1(c)に示すように、当てボール1で包まれたフイルム積層体11は、遮光防湿性の内装袋12に密封されている。当てボール1は図2に示すように、底面2、接続部3、天面4が一体となり、ハーフカット5から自由に折り曲げ可能に構成されている。当てボール1はフイルム積層体11の底面と天面および周囲2面を保護すると共に、天面から熱現像感光材料10を1枚ずつ取り出せるように開放された形状を有している。当てボール1の底面2はフイルム積層体11の全面を保護するためにその大きさに略等しく、天面4は熱現像機のフイルム供給用吸着パッドに干渉しないような切り欠きを有している。
【0085】
熱現像感光材料10を使用する際には、図3に示すように、まず明室で内装袋12ごと熱現像機13のカセット14に装填した状態で内装袋12の一端を切り取る。次いでカセット14を熱現像機13に収納して遮光状態にしてから内装袋12を機外に引き出すと装填が完了する。内装袋12を引き抜く際にフイルム積層体11が一体として保持さればらけないよう、当てボール1の底面2と天面4から相互にフラップ6a、6bを設けることが好ましい。両フラップが嵌合するように底面側フラップ6aに切り欠きを設けることも好ましい。また、底面2とフラップ6a、及び、天面4とフラップ6bの折り曲げ個所は特に折り曲げ適性が劣るため、折り曲げ線にOPニス抜き部16を設けることが好ましい。
【0086】
また、当てボール1の底面2において、熱現像機13の吸着パッドが作用する位置に穴、切り欠き、凹凸など真空吸着をリークさせる手段を設けて、熱現像機13が残存する熱現像感光材料10の有無を検出できるようにすることが好ましい。長U字形の切り欠き7が特に好ましい。
【0087】
製品を防湿性の内装袋12で包装する際には、袋内の湿度を調整してから封緘することが好ましい。
【0088】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
《感光性ハロゲン化銀乳剤の調整》
水5429mlに、フェニルカルバモイルゼラチン88.3g、PAO化合物(HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)m−H;m+n=5〜7)の10%メタノール水溶液10ml、臭化カリウム0.32gを添加溶解し45℃に保った中へ、0.67mol/lの硝酸銀水溶液659mlと1リットルあたり0.703molのKBrおよび0.013molのKIを溶解した液とを特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用い、pAg8.09に制御しながら同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後、0.63Nの水酸化カリウム溶液20mlを添加した。6分経過後、0.67mol/lの硝酸銀水溶液1976mlと1リットルあたり0.657molのKBr、0.013molの沃化カリウムおよび30μmolの六塩化イリジウム酸二カリウムを溶解した液とを、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温した。
これに、56%酢酸水溶液18mlを添加してハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2リットルを残して上澄み液を取り除き、水10リットルを加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。さらに、沈降部分1.5リットルを残し、上澄み液を取り除き、更に10リットルを加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1.5リットルを残し、上澄み液を取り除いた後、水151mlに無水炭酸ナトリウム1.72g溶解した液を加え、60℃に昇温した。さらに120分攪拌した。最後にpHが5.0になるように調整し、銀量1mol当たり1161gになるように水を加えた。
この乳剤は、平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、[100]面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0089】
《粉末有機銀塩A〜Fの調整》
4720mlの純水に表1記載の比率で、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸を、トータル0.7552モル添加し、80℃で溶解した後、1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記ハロゲン化銀乳剤45.3gと純水450mlを添加し、IKA JAPAN社製ホモジナイザー(ULTRA-TURRAXT-25)により13200rpm(機械振動周波数として21.1KHz)にて5分間撹拌した。次に、1mol/lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し、有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、40℃にて質量減がなくなるまで10%の酸素分圧の温風で循環乾燥機にて乾燥を行い、粉末有機銀塩を得た。
【0090】
【表1】
Figure 0003860043
【0091】
《感光性乳剤分散液の調整》
ポリビニルブチラール粉末(Monsant社Butvar B-79)14.57gをメチルエチルケトン(MEK)1457gに溶解し、VMA-GETZMANN社製ディゾルバーDISPERMAT CA-40M型にて撹拌しながら粉末有機銀塩500gを徐々に添加して十分に混合しスラリー状とした。上記スラリーをエスエムテー社製GH−2型圧力式ホモジナイザーで、2パス分散することにより感光性乳剤分散液を調整した。この際、1パス時の処理圧は2746×104Pa(280kg/cm2)であり、2パス時の処理圧は5492×104Pa(560kg/cm2)とした。バインダーのTgは68℃であった。
【0092】
《感光層塗布液A〜Fの調整》
前記感光性乳剤分散液(50g)にMEK15.1gを加え、ディゾルバー型ホモジナイザーで1000rpmにて撹拌しながら21℃に保温し、N,N−ジメチルアセトアミド2分子/臭酸1分子/臭素1分子の会合体の10質量%メタノール溶液390μlを加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウムの10質量%メタノール溶液494μlを添加して20分間撹拌した。続いて、15.9質量%のジベンゾ−18−クラウン−6と4.9質量%の酢酸カリウムとを含むメタノール溶液167mgを添加して10分間撹拌した後、0.24質量%の色素A、18.3質量%の2−クロロ安息香酸、34.2質量%のサリチル酸−p−トルエンスルホネートおよび4.5質量%の5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールのMEK溶液2.6gを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分間撹拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsant社 Butvar B-79)13.31gを添加して30分間撹拌した後、9.4質量%のテトラクロロフタル酸溶液1.08gを添加して15分間撹拌した。撹拌を続けながら、20質量%の表2に記載の還元剤を表2の添加量、1.1質量%の4−メチルフタル酸および染料AのMEK溶液12.4gを添加し、10質量%のDesmodur N3300(モーベイ社 脂肪族イソシアネート)1.5gを続けて添加し、さらに7.4質量%のトリブロモメチル−2−アザフェニルスルフォンと7.2質量%のフタラジンのMEK溶液4.27gを添加することにより感光層塗布液を得た。
【0093】
《表面保護層塗布液の調整》
MEK865gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15)96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)4.5g、1,3−ジ(ビニルスルフォニル)−2−プロパノール1.5g、ベンゾトリアゾール1.0g、フッ素系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)1.0gを添加し溶解した後、13.6質量%のセルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15)と9質量%の炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super-pflex200)をMEKにディゾルバー型ホモジナイザーにて8000rpmで30分間分散したもの30gを添加して攪拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0094】
《支持体の作製》
濃度0.170(マクベス製濃度計TD−904で測定した)に青色着色した、厚み175μmのPETフィルムの両面に8W/m2・minのコロナ放電処理を施した。
【0095】
《バック面側塗布》
830gのMEKを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman chemical社、CAB381−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社、Vitel PE2200B)4.5gを添加し溶解した。この溶解した液に、染料Bを0.30g添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したフッ素系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH4Q)4.5gとフッ素系活性剤(大日本インク社、メガフアックF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に撹拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度のディゾルバー型ホモジナイザーにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)75gを添加、撹拌し、バック面の塗布液を調製した。
このように調整したバック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布乾燥を行った。乾燥温度100℃、露天温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0096】
《熱現像感光材料の調製》
前記感光層塗布液A〜Fと表面保護層塗布液を押し出しコーターで、バック面を塗布した支持体上に同時重層塗布することにより、熱現像感光材料A〜Fを作製した。塗布は、感光層は塗布銀量1.9g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになるようにして行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥した。
こうして得た熱現像感光材料を下記の条件で求めたMEKとメタノール含量の和を溶剤含有量とした。フィルム面積として46.3cm2を切り出し、これを5mm程度に細かく刻んで専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密封した後、ヒューレット・パッカード社製ガスクロマトグラフィー(GC)5971型のヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットした。なお、GCの検出器は水素炎イオン化検出器(FID)、カラムはJ&W社製DB−624を使用した。主な測定条件として、ヘッドスペースサンプラー加熱条件は120℃、20分であり、GC導入温度は150℃、8℃/分で45℃3分から100℃へ昇温した。検量線は前記各溶剤のブタノール希釈液を一定量を専用バイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作成した。感光材料の溶剤含有量は40mg/m2であった。
感光材料100cm2を切り出し、感光層をMEK中で剥離した。プロラボ社製マイクロダイジェストA300型マイクロウェーブ式湿式分解装置にて硫硝酸分解し、VGエレメンタル社製PQ−Ω型ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)にて検量線法により分析を行ったところ、感光材料中のZr含有量はAg1mg当たり10μg以下であった。
【0097】
【表2】
Figure 0003860043
【0098】
【化6】
Figure 0003860043
【0099】
このようにして作製した熱現像記録材料A〜FそれぞれをB4サイズに裁断し、図1に示すように、B4サイズの熱現像感光材料10を150枚重ね、25℃60%RH(相対湿度)条件下で画像記録層面側に下記に示すような材質の当てボール1が直接接触する(図1において熱現像感光材料10の下面が画像記録層側)ようにして包み、その外側をポリプロピレンでコートした内装袋12で遮光防湿包装した。下記に示すような当てボールなしと当てボール▲1▼〜▲4▼と熱現像記録材料A〜Fの表3のような組合せについてテストした。
【0100】
当てボール
▲1▼:425μm厚のBKPを用い、ECF方式で漂白された紙パルプ製紙板、▲2▼:425μm厚のBKPを用いた紙パルプ製紙板にコロナ処理を施し、両面にPP(20μm相当量)を溶融ラミネートしたラミネート紙、
▲3▼:425μm厚のBKPを用い、ECF方式で漂白された紙パルプ製紙板にコロナ処理を施し、外面にHDPE(20μm相当量)を、内面にLDPE(20μm相当量)を溶融ラミネートしたラミネート紙、
▲4▼:425μm厚のBKPを用い、ECF方式で漂白された紙パルプ製紙板の外面にUV硬化性OPニス(ダイキュアインラインオフセットOPニス、2μm相当量)を、内面に折り曲げ線部分をニス抜きした状態でUV硬化性OPニス(ダイキュアインラインオフセットOPニス、2μm相当量)をPS版オフセット印刷によって塗布し、紫外線を照射することにより保護膜を形成した紙板。
【0101】
(露光及び現像処理)
高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザーを光源とした露光機を試作し、上記のように作製した熱現像感光材料の乳剤面側から、この露光機によりレーザー走査による露光を与えた。この際に、熱現像感光材料の露光面への走査レーザー光の入射角度を75度とした画像を記録した。その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて熱現像感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、124℃で15秒熱現像し、得られた画像の評価を濃度計で行った。その際、露光及び現像した部屋は23℃、50%RHであった。なお、通常の走査レーザー光を用いて感光材料の露光面への走査レーザー光の入射角度を90度として画像記録した場合に比べ、画像に干渉ムラに起因する画質劣化が少なく、かつ予想外に鮮鋭性、コントラストが良好な画像が得られた。
<評価>
(画像保存性)
上記の方法により、熱現像感光材料を露光・熱現像したのち、光を十分に当て、70%RHで3時間調湿したのち、遮光できる袋に封入し、60℃の環境で72時間放置した。このときのDminの増加分を表3に示した。この値は小さい程画像保存性が良い。
(光学濃度の変化量)
前記の様に各熱現像感光材料A〜Fを当てボールなしと当てボール1〜4を組合せて150枚重ね包装状態にして40℃10日間保存した時、当てボールに接触した熱現像感光材料について、上記と同様にレーザー露光を行い、熱現像を行った。保存前に黒化濃度1.0を与える露光量での保存後の黒化濃度を測定して光学濃度を測定して光学濃度の変化量を測定した。光学濃度の変化は小さい程好ましい。
(装置内ハンドリング性)
熱現像感光材料を各包装材料(当てボールなしと当てボール1〜4)に包装したものをトレイ中に明室充填し、開封した後シート(B4サイズ)150枚の搬送性を評価した。結果は表3に示す。
:問題なく良好である。
×:10%以上搬送トラブルが発生し、不可である。
<古紙リサイクル性>
各包装材料をリサイクルする際、脱墨工程なしでリサイクル可能なものを◎、脱墨を行えばリサイクル可能なものを○、PE樹脂などの微細片を除去する専用設備があればリサイクル可能なものを△とした。
【0102】
【表3】
Figure 0003860043
【0103】
表3の結果が示すように熱現像感光材料C、D、E、Fと包装材料1、2、3、4との組合せによって画像保存性が良好で光学濃度の変化が少なく、かつ装置内ハンドリング性の良好な結果が得られた。特にベヘン酸銀含有率が53モル%以上の熱現像感光材料C、D、E、Fに予想外に画像保存性と光学濃度の変化量で良好な結果を得ることができる
【0167】
【発明の効果】
本発明の熱現像感光材料は優れた画像保存性を示し、感光材料を包装体として保存しても現像濃度の変化が小さい効果を有する。更に感光材料用包装材料は、専用処理施設を用いなくとも、容易にリサイクルすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は熱現像感光材料用包装材料を当てボールとして使用した本発明の1実施態様の模式的概念図である。熱現像感光材料は裁断シート積層体とされ、これを当てボールにより包み、さらに防湿性の内装袋により包装されている。
【図2】図2は、包装材料により形成された当てボールの1実施態様を示す斜視図である。ハーフカット5は裏面からの加工により入れられている。
【図3】図3は包装材料を当てボールとする熱現像記録材料積層体を収納する内装袋を熱現像機のカセットに装填する状態を示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
1 当てボール
2 底面
3 接続部
4 天面
5 ハーフカット(折り曲げ線)
6a,6b フラップ
7 切り欠き
10 熱現像記録材料
11 熱現像記録材料(フイルム)積層体
12 内装袋
13 熱現像機
14 カセット
15 ヒートシール
16 OPニス抜き部
17 UV硬化性OPニス

Claims (7)

  1. 熱現像感光材料の包装方法において、支持体上の一方面上に感光性ハロゲン化銀、還元剤、バインダー及びベヘン酸銀含有率が53モル%以上85モル%以下の非感光性有機銀塩を含む熱現像感光材料の少なくとも一部が直接接触した状態で包装材料を折り曲げることにより包装される包装方法であって、該包装材料が紙であることを特徴とする熱現像感光材料の包装方法。
  2. 該紙が再生紙ではなくバージンパルプを用いた紙であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料の包装方法。
  3. 該紙の少なくとも一方の表面に紙以外の材料で形成された積層膜が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像感光材料の包装方法。
  4. 前記包装材料の少なくとも一部に紙が用いられ、前記包装材料が該熱現像感光材料と接触する面に紫外線硬化樹脂からなる保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の熱現像感光材料の包装方法。
  5. 該バインダーの組成がポリビニルブチラールを50質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料の包装方法。
  6. 該バインダーのガラス転移温度Tgが40℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像感光材料の包装方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の包装材料により包装された熱現像感光材料包装体。
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