JP2001066731A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2001066731A JP22037899A JP22037899A JP2001066731A JP 2001066731 A JP2001066731 A JP 2001066731A JP 22037899 A JP22037899 A JP 22037899A JP 22037899 A JP22037899 A JP 22037899A JP 2001066731 A JP2001066731 A JP 2001066731A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 特にスキャナー、イメージセッター等の写真
製版に適し、Dmax(最高濃度)が高く、カブリが低
く、塗布面状が良好で、ハジキや塗布スジといった面状
欠陥が少ない、写真製版として最適な画像を得ることが
可能な熱現像感光材料を、環境面・コスト面で有利に提
供すること。 【解決手段】 支持体上に、非感光性銀塩、感光性ハロ
ゲン化銀、造核剤およびバインダーを有する熱現像感光
材料において、画像形成層より外側に少なくとも一種の
下記一般式(1): で表される有機酸化合物および少なくとも一種の下記一
般式(2): で表される化合物を含有する層を有する熱現像感光材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
し、特にスキャナー、イメージセッター等の写真製版に
適した熱現像感光材料に関する。より具体的には、Dm
ax(最高濃度)が高く、カブリが低く、塗布面状が良
好で、ハジキや塗布スジといった面状欠陥が少ない、写
真製版として最適な画像を得ることが可能な熱現像感光
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも画像形成手段が簡易化できるシステ
ムとして、熱現像により画像を形成する技術が利用され
ている。近年写真製版分野において、環境保全、省スペ
ースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そ
こで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメージ
セッターにより効率的に露光させることができ、高解像
度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成すること
ができる写真製版用の熱現像感光材料に関する技術が必
要とされている。これら熱現像感光材料では、溶液系処
理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわな
い熱現像処理システムを供給することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,457,075号明細
書、およびD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Sh
ely)による「熱によって処理される銀システム(Therm
ally Processed Silver Systems)A」(イメージング・
プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Proce
sses and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Stur
ge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ
(Shepp)編集、第2頁、1969年)に記載されている。こ
れらに記載されている感光材料は、還元可能な非感光性
の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例え
ばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バイン
ダーマトリックス中に分散した状態で含有している。感
光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80
℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤と
して機能する)と還元剤との間の酸化還元反応によって
銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像
の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能
な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、
これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされ
る。
【0004】従来の熱現像感光材料の多くは、トルエ
ン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノールなどの
有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感光
層を形成している。溶媒として有機溶剤を用いること
は、製造工程で人体に悪影響が及ぼされるだけでなく、
有機溶剤の回収等のためのコストも増える。そこでこの
ような心配のない水溶媒の塗布液を用いて感光層を形成
する方法が検討されている。例えば特開昭49-52626号公
報、特開昭53-116144号公報等にはゼラチンをバインダ
ーとする例が記載されている。また特開昭50-151138号
公報にはポリビニルアルコールをバインダーとする例が
記載されている。さらに特開昭60-61747号公報にはゼラ
チンとポリビニルアルコールを併用した例が記載されて
いる。また、特開昭58-28737号公報には水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする感光層の例が記載され
ている。
【0005】このようなバインダーを用いた場合、水溶
媒の塗布液を用いて感光層を形成することができるの
で、環境面、コスト面のメリットは大きい。しかしなが
ら、ゼラチン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリアセ
タールなどのポリマーをバインダーとして用いると、現
像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色からかけ離れ
た茶色や黄色になったり、露光部の黒化濃度が低く、未
露光部の濃度が高いなど、商品価値が著しく損なわれた
ものしか得られないばかりでなく、有機銀塩との相溶性
が悪く、塗布面の品質上実用に耐える感光層が得られな
かった。
【0006】欧州特許762,196号明細書、特開平9-90550
号公報等には、熱現像感光材料に用いる感光性ハロゲン
化銀粒子に第VII族または第VIII族の金属イオンまたは
金属錯体イオンを含有させること、および感光材料中に
ヒドラジン誘導体を含有させることによって、写真特性
としてコントラストの大きいものが得られることが開示
されている。上記の水溶媒の塗布液に用いるバインダー
とヒドラジンのような造核剤とを併用すると、高コント
ラストの画像を得ることができるが、カブリが生じやす
い問題があった。一方、画像形成層側の最外層表面のp
Hを低くすることで、このカブリをある程度低減させる
ことが可能であるが、塗布時にハジキや塗布スジといっ
た面状欠陥が発生し、特に写真製版のような大画面を必
要とする用途に対しては実用に耐えるものではなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、これ
らの従来技術の問題点を解決することを課題とした。す
なわち本発明は、特にスキャナー、イメージセッター等
の写真製版に適し、Dmax(最高濃度)が高く、カブ
リが低く、塗布面状が良好で、ハジキや塗布スジといっ
た面状欠陥が少ない、写真製版として最適な画像を得る
ことが可能な熱現像感光材料を、環境面・コスト面で有
利に提供することを解決すべき課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、画像形成
層の外側に特定の化合物を含有する層を設けることによ
って、所期の効果を奏する優れた熱現像感光材料を提供
することができることを見出し、本発明を解決するに至
った。すなわち本発明は、支持体上に、非感光性銀塩、
感光性ハロゲン化銀、造核剤およびバインダーを有する
熱現像感光材料において、画像形成層より外側に少なく
とも一種の下記一般式(1):
【0009】
【化6】
【0010】(式中、Tは1価の置換基を表し、k1
0以上4以下の整数を表す。k1≧2の場合、複数のT
はそれぞれ同一でも異なってもよく、互いに結合して環
を形成してもよい。L1およびL2はそれぞれ2価の連結
基を表し、n1およびn2はそれぞれ独立に0以上30以
下の整数を表す。)で表される有機酸化合物および少な
くとも一種の下記一般式(2):
【0011】
【化7】
【0012】(式中、Rは炭素数6〜30の、置換また
は無置換の、アルキル基、アルケニル基またはアリール
基を表し、Aは2価の連結基を表し、nは0から50の
整数を表す。Yは−SO3Mまたは−OSO3Mを表す。
Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原
子、アンモニウム基または低級アルキルアミン基を表
す。)で表される化合物を含有する層を有することを特
徴とする熱現像感光材料を提供するものである。本発明
の熱現像感光材料において、前記画像形成層が、バイン
ダーとして、ガラス転移温度が−30〜40℃のポリマ
ーラテックスを全バインダーの50重量%以上含有する
ことが好ましい。さらには、本発明の熱現像感光材料に
おいて、前記造核剤が下記一般式(3):
【0013】
【化8】
【0014】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基
またはシリル基を表す。R1とZ、R2とR3、R1
2、および/またはR3とZは、互いに結合して環を形
成してもよい。)で表される置換アルケン誘導体、下記
一般式(4):
【0015】
【化9】
【0016】(式中、R4は置換基を表す。)で表され
る置換イソオキサゾール誘導体、および下記一般式
(5):
【0017】
【化10】
【0018】(式中、XおよびYはそれぞれ独立に水素
原子または置換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立に
アルコキシル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、
アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテ
ロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、およびAとBは、それぞれ互いに結合
して環を形成してもよい。)で表されるアセタール化合
物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であ
ることが好ましい。加えて、本発明の熱現像感光材料に
おいて、画像形成層側の最外層表面のpHが6以下であ
ることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。本発明の熱現像感光材
料は、支持体上に、非感光性銀塩、感光性ハロゲン化
銀、造核剤およびバインダーを有する。
【0020】本発明の熱現像感光材料は、シート状、ロ
ール状等の形状であり、支持体は透明であっても不透明
であってもよいが、透明であることが好ましい。支持体
の具体例としては、ポリエステルフィルム、下塗りポリ
エステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フ
ィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セル
ロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ
(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィ
ルム等の樹脂材料、およびガラス、紙、金属などが挙げ
られる。典型的な支持体としては、ポリマーでコートし
た紙支持体が挙げられ、このポリマーとしては、可撓性
基材、特に、部分的アセチル化および/またはバライタ
加工したα-オレフィンポリマー、特にポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭
素数2〜10のα-オレフィンのポリマーが用いられ
る。これらのうち、厚さ75〜200μm程度の2軸延
伸したポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0021】プラスチックフィルムを80℃以上の処理
の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮する。
処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、この
伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。よっ
て本発明では、二軸延伸時にフィルム中に残存する内部
歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなく
す工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いること
が好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を塗布する前に
100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレフタ
レートなどが好ましく用いられる。ガラス転移点の高い
ものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリスチ
レン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリ
アリレート、ポリカーボネート等が使用できる。
【0022】本発明の熱現像感光材料は、支持体の少な
くとも一方の面上に、非感光性銀塩、感光性ハロゲン化
銀、造核剤およびバインダーを含む画像形成層(即ち感
光性層)を有することが好ましい。非感光性銀塩として
は有機銀塩が用いられる。本発明に用いられる有機銀塩
は、銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であ
って、光に対して比較的安定であるが、露光された光触
媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存
在下で、80℃以上に加熱された場合に銀画像を形成す
る。具体的には、有機酸の銀塩、配位子が4.0〜1
0.0の錯安定度定数を有する有機銀塩の錯体が挙げら
れる。好ましい有機銀塩としては、カルボキシル基を有
する有機化合物の銀塩が挙げられ、具体的には、脂肪族
カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩が挙げ
られる。中でも、脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましく、
炭素数が10〜30、さらには15〜28の長鎖脂肪族
カルボン酸の銀塩がより好ましい。具体例としては、ベ
ヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン
酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、
パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸
銀、リノール酸銀、酪酸銀、樟脳酸銀、およびこれらの
混合物等が挙げられる。銀供給物質は、好ましくは画像
形成層の約5〜70重量%を構成することができる。
【0023】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率75モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、85モル%以上がさらに好ましい。ここでベヘン酸
銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀の
モル分率を表す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれる
ベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好
ましく用いることができる。
【0024】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩,K塩,
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。本発明の有機酸アルカリ金
属塩は、上記有機酸をアルカリ処理することによって得
られる。本発明の有機酸銀は任意の好適な容器中で回分
式でまたは連続式で行うことができる。反応容器中の攪
拌は粒子の要求される特性によって任意の攪拌方法で攪
拌することができる。有機酸銀の調製法としては、有機
酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器
に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、
硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機酸ア
ルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激
に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機
酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時
に添加する方法のいずれもが好ましく用いることができ
る。
【0025】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調整する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0から50vol%が好ましく、0から2
5vol%が特に好ましい。また特開平9-127643号公報等
に記載のように反応中の反応液のpHないしは銀電位を
制御しながら添加する方法も好ましく用いることができ
る。
【0026】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調整する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。
【0027】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製されることが好ましい。第3アルコール
としては好ましくは総炭素数15以下の物が好ましく、
10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例
としては、tert-ブタノール等が挙げられるが、本発明
はこれに限定されない。本発明に用いられる第3アルコ
ールの添加時期は有機酸銀調整時のいずれのタイミング
でもよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加し
て、有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ま
しい。また、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸
銀調製時の溶媒としての水に対して重量比で0.01〜10の
範囲で任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲
が好ましい。
【0028】本発明に用いることができる非感光性銀塩
の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する
針状結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以
上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好まし
く、短軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0
μm以下がより好ましい。非感光性銀塩の形状の測定方
法としては非感光性銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像よ
り求めることができる。本発明の非感光性銀塩固体微粒
子分散物の粒子サイズ(体積荷重平均直径)は、例えば液
中に分散した固体微粒子分散物にレーザー光を照射し、
その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を
求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直
径)から求めることができる。平均粒子サイズ0.05μm
以上10.0μm以下の固体微粒子分散物が好ましい。より
好ましくは平均粒子サイズ0.1μm以上5.0μm以下、更
に好ましくは平均粒子サイズ0.1μm以上2.0μm以下で
ある。
【0029】非感光性銀塩の粒子サイズ分布は単分散で
あることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの
長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100
分率が好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更
に好ましくは30%以下である。単分散性を測定する別の
方法として、非感光性銀塩の体積加重平均直径の標準偏
差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の
百分率(変動係数)が好ましくは80%以下、より好ましく
は50%以下、更に好ましくは30%以下である。体積加重平
均直径は、上記の方法で測定される。
【0030】本発明に用いることのできる非感光性銀塩
は、好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方
法としては特に制限はなく公知の方法を用いることがで
きるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法による
フロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いる
ことができる。本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない非感光性銀塩固体分散物を得る目的
で、画像形成媒体である非感光性銀塩を含み、かつ感光
性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した
後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。
【0031】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて熱現像感光材料を作
製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像感光
材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に変換して
分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上
昇し、感度が著しく低下する。また、分散媒として水で
はなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くなり、カブ
リが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、感光性銀
塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の非感光性
銀塩の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン法を
用いると感度が低下する。
【0032】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含水量は非感光性銀塩に対して0.1モル%
以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は行わないもの
である。本発明において、上記のような分散法を実施す
るのに用いられる固体分散装置およびその技術について
は、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶内俊
夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357〜p4
03)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学工学
会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、等に
詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも非感光性銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。
【0033】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で
通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧下か
ら常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散
効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数を
増やすなどの工夫を施したものも考案されている。これ
に対して、近年更に高圧、高流速での分散が可能となる
装置が開発されてきており、その代表例としてはマイク
ロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インター
ナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー(特
殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0034】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、
少なくとも非感光性銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等
で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細
いスリットを通過させることにより所望の圧力を印加
し、この後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方
法で分散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本
発明に最適な非感光性銀塩分散物を得ることが可能であ
る。
【0035】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させ
てもよい。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶
媒を使用してもよく、通常有機溶媒は微粒子化終了後除
去される。
【0036】本発明の非感光性銀塩分散においては、流
速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の
粒子サイズに分散することが可能であるが、写真特性と
粒子サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降
下時の差圧が900〜3000kg/cm 2の範囲が好ましく、流速
が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg
/cm2の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は
必要に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回
数が選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理
回数が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温に
することは、分散性、写真特性の点から好ましくなく、
90℃を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりや
すくなると共に、カブリが高くなる傾向がある。従っ
て、本発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程
または、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両
工程に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却
工程により5〜90℃の範囲に保たれていることが好まし
く、更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲
に保たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/c
m2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置する
ことが有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じ
て、二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したも
の、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択する
ことができる。また、熱交換の効率を上げるために、使
用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なも
のを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量か
ら、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、ま
た必要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒
を使用することもできる。
【0037】本発明の分散操作では、水性溶媒可溶な分
散剤(分散助剤)の存在下で非感光性銀塩を分散するこ
とが好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリ
ル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マ
レイン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパ
ンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カ
ルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース
などの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン
酸などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号に記載
の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カ
チオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等
の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いる
ことができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセ
ルロース誘導体が特に好ましい。
【0038】分散助剤は、分散前に非感光性銀塩の粉末
またはウェットケーキ状態の非感光性銀塩と混合し、ス
ラリーとして分散機に送り込むのは一般的な方法である
が、予め非感光性銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶
媒による処理を施して非感光性銀塩粉末またはウェット
ケーキとしてもよい。分散前後または分散中に適当なpH
調整剤によりpHコントロールしてもよい。機械的に分散
する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分
散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒
子化させてもよい。このとき、粗分散に用いる溶媒とし
て有機溶媒を使用してもよく、通常有機溶媒は微粒子化
終了後除去される。
【0039】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。画像形成層を調製する際に用
いる非感光性銀塩固体分散物は、少なくとも非感光性銀
塩と水から成るものである。非感光性銀塩と水との割合
は特に限定されるものではないが、非感光性銀塩の全体
に占める割合は5〜50重量%であることが好ましく、
特に10〜30重量%の範囲が好ましい。前述の分散助
剤を用いることは好ましいが、粒子サイス゛を最小にするの
に適した範囲で最少量使用するのが好ましく、非感光性
銀塩に対して0.5〜30重量%、特に1〜15重量%
の範囲が好ましい。
【0040】本発明では非感光性銀塩水分散液と感光性
銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能
であるが、非感光性銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的
に応じて選べるが、非感光性銀塩に対する感光性銀塩の
割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜20モル
%、特に5〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2
種以上の非感光性銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩
水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好
ましく用いられる方法である。本発明の熱現像感光材料
において、非感光性銀塩は所望の量で使用できるが、銀
量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3
g/m2である。
【0041】非感光性銀塩にはCa、Mg、Znおよび
Agから選ばれる金属イオンを添加することが好まし
い。添加量は、非感光性銀1モルあたり10-3〜10-1モル
が好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モルが好ましい。こ
れらの金属イオンは、ハロゲン化物でない、水溶性の金
属塩の形で添加することが好ましく、具体的には硝酸塩
や硫酸塩などの形で添加することが好ましい。ハロゲン
化物での添加は処理後の感光材料の光(室内光や太陽光
など)による画像保存性、いわゆるプリントアウト性を
悪化させるので好ましくない。これらの金属イオンの添
加時期は、非感光性銀塩の粒子形成直後、分散前、分散
後および画像形成層の塗布液調整前後など、非感光性銀
塩の粒子形成後から塗布直前までであればいずれの時期
でもよく、好ましくは分散後、塗布液調整前後である。
【0042】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層が含有する感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成と
して特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ
臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができる。粒子内に
おけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロ
ゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは
連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構
造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることがで
きる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ま
しくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることが
できる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀
を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0043】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており例えば、リサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458
号に記載されている方法を用いることができるが、具体
的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化
合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感
光性ハロゲン化銀を調製し、その後で非感光性銀塩と混
合する方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズ
は、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さい
ことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましく
は0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以
上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハ
ロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常
晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。
また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主
表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径を
いう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒子、棒
状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な
球を考えたときの直径をいう。
【0044】感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては、
立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジ
ャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明にお
いては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板
状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は
好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよ
い。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子
も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒
子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限
はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率
が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。そ
の割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ま
しく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比
率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着
依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985
年)に記載の方法により求めることができる。
【0045】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、周期律表の第VII族または第VIII族の金属または
金属化合物を含有していてもよい。特に、ロジウム、レ
ニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、および
それらの金属化合物が好ましい。これら金属または金属
化合物は1種類でもよいし、同種金属および異種金属、
およびそれらの化合物を2種以上併用してもよい。これ
らの金属の含有率は、銀1モルに対し1×10-9モルか
ら1×10-3モルの範囲が好ましく、より好ましくは1
×10-8モルから1×10-4モルの範囲である。金属化
合物の具体例としては、特開平7-225449号公報等に記載
の金属錯体が挙げられる。
【0046】上記のロジウム化合物としては、水溶性ロ
ジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン
化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位
子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの
が挙げられる。具体的には、ヘキサクロロロジウム(II
I)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テト
ラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロ
ジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリオキザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハ
ロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸
等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaC
l、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができ
る。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製
時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲ
ン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0047】これらのロジウム化合物の添加量は感光性
ハロゲン化銀1モル当たり1×10 -8モル〜5×10-4
モルの範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル
〜1×10-5モルである。これらの化合物の添加は、感
光性ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布す
る前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳
剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれる
ことが好ましい。
【0048】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63-2042号公報、特開平1-285941
号公報、同2-20852号公報、同2-20855号公報等に記載され
た水溶性錯塩の形で添加されるのが好ましい。特に好ま
しいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げ
られる。 [ML6n- 式中、MはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子
を表し、nは0、1、2、3または4を表す。この場
合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムまたはア
ルカリ金属イオンが用いられる。
【0049】好ましい配位子としては、ハロゲン化物配
位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロ
シル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以
下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0050】これらの化合物の添加量は感光性ハロゲン
化銀1モル当たり1×10-9モル〜1×10-4モルの範
囲が好ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×1
-5モルである。これらの化合物の添加は、感光性ハロ
ゲン化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各
段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時
に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好
ましい。
【0051】これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成
中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属
錯体の粉末またはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液
を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中
に添加しておく方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同
時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3液同時
混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるい
は粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に
投入する方法などがある。特に粉末またはNaCl、KClと
一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加す
る方法が好ましい。粒子表面に添加するには、粒子形成
直後、物理熟成時途中または終了時、もしくは化学熟成
時に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入するこ
ともできる。
【0052】本発明に用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶
液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン
化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加す
る方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用い
る代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウ
ムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶
解させることも可能である。
【0053】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、さらに、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラ
ジウム、白金、金、タリウム、銅、鉛等の金属原子を含
有していてもよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテ
ニウムの化合物については六シアノ金属錯体を好ましく
用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸
イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト
酸イオン、ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノ
ルテニウム酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有
相は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あ
るいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限は
ない。
【0054】上記金属の添加量は、感光性ハロゲン化銀
1モル当たり1×10-9〜1×10 -4モルが好ましい。
また、上記金属を含有させるには、単塩、複塩、または
錯塩の形の金属塩にして粒子調製時に添加することがで
きる。感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュ
レーション法等、当業界で知られている方法の水洗によ
り脱塩することができるが、本発明においては脱塩して
もしなくてもよい。
【0055】本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は金増感
を施してもよく、その場合に用いられる金増感剤として
は、金の酸化数が+1価のものでも+3価のものでもよ
く、金増感剤として通常用いられる金化合物を用いるこ
とができる。代表的な例としては、塩化金酸、カリウム
クロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウ
ムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレー
ト、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオー
ロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが
あげられる。金増感剤の添加量は種々の条件により異な
るが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7
ル以上10-3モル以下が好ましく、より好ましくは10
-6モル以上5×10-4以下である。
【0056】本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、金増
感と他の化学増感とを併用することが好ましい。他の化
学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テ
ルル増感法、貴金属増感法などの公知の方法を用いるこ
とができる。金増感法と組み合わせて使用する場合に
は、例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金
増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増
感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増
感法とテルル増感法と金増感法などの組合せが好まし
い。
【0057】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当たり10-7〜10-2モルが好ましく、よ
り好ましくは10-5〜10-3モルである。
【0058】セレン増感剤としては、公知のセレン化合
物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型お
よび/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃
以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われ
る。不安定型セレン化合物としては特公昭44-15748号公
報、同43-13489号公報、特開平4-25832号公報、同4-109240
号公報、同3-121798号公報等に記載の化合物を用いるこ
とができる。特に特開平4-324855号公報中の一般式(VII
I)および(IX)で示される化合物を用いることが好まし
い。
【0059】テルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面ま
たは内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生
成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化
銀生成速度については特開平5-313284号公報に記載の方
法で試験することができる。テルル増感剤としては、例
えば、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テ
ルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテ
ルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス
(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合
物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカ
ルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド
類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホ
ナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環
類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロ
イド状テルルなどを用いることができる。具体的には、
米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、
同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同
第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,39
6,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4
-204640号公報、同3-53693号公報、同3-131598号公報、同4
-129787号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイ
アティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.So
c.Chem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 64
5(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ
ー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.
Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケ
ミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド
・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organ
ic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、
同 Vol2(1987)に記載の化合物を用いることができる。
特に特開平5-313284号公報中の一般式(II)、(III)、(I
V)で示される化合物が好ましい。
【0060】本発明において、セレンおよびテルル増感
剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条
件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当た
り10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル
程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては
特に制限はないが、pHは5〜8が好ましく、pAgは
6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、
温度は40〜95℃が好ましく、より好ましくは45〜
85℃である。
【0061】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
は、ハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程にお
いて、カドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩など
を共存させてもよい。本発明においては、還元増感を用
いることができる。還元増感に用いる化合物の具体例と
しては、アスコルビン酸、二酸化チオ尿素、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
が挙げられる。また、乳剤のpHを7以上またはpAg
を8.3以下に保持して熟成することにより還元増感す
ることができる。また、粒子形成中に銀イオンのシング
ルアディション部分を導入することにより還元増感する
ことができる。
【0062】本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特293,
917号に示される方法により、チオスルホン酸化合物を
添加してもよい。本発明の熱現像感光材料中のハロゲン
化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、
平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
併用してもよい。
【0063】本発明において、感光性ハロゲン化銀の使
用量は、非感光性銀塩1モルに対して0.01モル以上0.5
モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより
好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と非感光性銀塩の混
合方法および混合条件については、それぞれ調製終了し
たハロゲン化銀粒子と非感光性銀塩を高速撹拌機やボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジ
ナイザー等で混合する方法や、あるいは非感光性銀塩の
調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハ
ロゲン化銀を混合して非感光性銀塩を調製する方法等が
あるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特
に制限はない。
【0064】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層は造核剤を含有する。造核剤としては、置換アルケ
ン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体およびアセター
ル化合物が好ましく用いられる。特により硬調な画像を
得る上で好ましくは、下記一般式(3):
【0065】
【化11】
【0066】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基
またはシリル基を表す。R1とZ、R2とR3、R1
2、および/またはR3とZは、互いに結合して環を形
成してもよい。)で表される置換アルケン誘導体、下記
一般式(4):
【0067】
【化12】
【0068】(式中、R4は置換基を表す。)で表され
る置換イソオキサゾール誘導体、および下記一般式
(5):
【0069】
【化13】
【0070】(式中、XおよびYはそれぞれ独立に水素
原子または置換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立に
アルコキシル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、
アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテ
ロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、およびAとBは、それぞれ互いに結合
して環を形成してもよい。)で表されるアセタール化合
物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が用
いられる。先ず、一般式(3)で表される置換アルケン誘
導体について詳しく説明する。一般式(3)において、R
1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または置
換基を表し、Zは電子吸引性基またはシリル基を表す。
1とZ、R2とR3、R1とR2、および/またはR3とZ
は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0071】R1、R2およびR3が置換基を表す場合、
置換基の例としては、フッ素原子、クロル原子、臭素原
子、沃素原子等のハロゲン原子、アルキル基(アラルキ
ル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、ア
ルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基
(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、ピリジニオ基
等の、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、カルボキシ基およびその塩、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル
基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル
基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、
オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバ
モイル基、ヒドロキシル基およびその塩、アルコキシ基
(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰
り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アシルオキシ基、アルコキシまたはアリールオ
キシ基で置換されていてもよいカルボニルオキシ基、カ
ルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、
チオウレイド基、イミド基、アルコキシまたはアリール
オキシ基で置換されていてもよいカルボニルアミノ基、
スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミ
カルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オ
キサモイルアミノ基、アルキルまたはアリール基で置換
されていてもよいスルホニルウレイド基、アシルウレイ
ド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メル
カプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
チオ基、アシルチオ基、アルキルまたはアリール基で置
換されていてもよいスルホニル基、アルキルまたはアリ
ール基で置換されていてもよいスルフィニル基、スルホ
基およびその塩、スルファモイル基、アシルスルファモ
イル基、スルホニルスルファモイル基およびその塩、ホ
スホリル基、リン酸アミドまたはリン酸エステル構造を
含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら
の置換基は、同様の置換基でさらに置換されていてもよ
い。
【0072】R1、R2、およびR3が置換基を表す場
合、好ましいものは、総炭素数0〜30の基であり、具
体例としては、後述の一般式(3)のZで表される電子吸
引性基、およびアルキル基、ヒドロキシル基およびその
塩、メルカプト基およびその塩、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミ
ノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換または無
置換のアリール基等が挙げられる。
【0073】R1は、より好ましくは、電子吸引性基、
アリール基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシルア
ミノ基、水素原子、またはシリル基である。R1が電子
吸引性基を表す場合、好ましいものは、総炭素数0〜3
0の以下の基であり、具体例としては、シアノ基、ニト
ロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホ
ニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スル
ファモイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、
カルボキシ基およびその塩、および飽和および不飽和の
ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、シアノ基、アシ
ル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルフ
ァモイル基、カルボキシ基およびその塩、および飽和ま
たは不飽和のヘテロ環基が挙げられる。特に好ましく
は、R1は、シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、または飽和または
不飽和のヘテロ環基である。
【0074】R1において、好ましいアリール基は総炭
素数6〜30の置換または無置換のフェニル基であり、
置換基としては任意の置換基が挙げられるが、中でも電
子吸引性の置換基が好ましい。 特に好ましくは、R1
は電子吸引性基またはアリール基である。
【0075】一般式(3)においてR2およびR3が置換基
を表す場合、好ましいものは、後述の式(3)のZで表さ
れる電子吸引性基、アルキル基、ヒドロキシル基および
その塩、メルカプト基およびその塩、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキル
アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミ
ノ基、置換または無置換のフェニル基等である。
【0076】さらに好ましくは、R2およびR3は、どち
らか一方が水素原子で、他方が置換基を表す。その置換
基は、好ましくは、アルキル基、ヒドロキシル基または
その塩、メルカプト基またはその塩、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキル
アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミ
ノ基(特にパーフルオロアルカンアミド基)、スルホンア
ミド基、置換または無置換のフェニル基、またはヘテロ
環基等であり、さらに好ましくは、ヒドロキシル基また
はその塩、メルカプト基またはその塩、アルコキシ基、
アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環
基であり、特に好ましくはヒドロキシル基またはその
塩、アルコキシ基、またはヘテロ環基である。
【0077】一般式(3)において、Zは電子吸引性基ま
たはシリル基を表すが、電子吸引性基がより好ましい。
Zで表される電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σ
pが正の値を取りうる置換基であり、具体例としては、
シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換
したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ
基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフル
オロアルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、
ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ基またはその
塩、スルホ基およびその塩、ヘテロ環基、アルケニル
基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ス
ルホニルオキシ基、これら電子吸引性基で置換されたア
リール基等が挙げられる。ここでヘテロ環基は、飽和ま
たは不飽和のヘテロ環基であり、具体例としては、ピリ
ジル基、キノリル基、ピラジニル基、キノキサリニル
基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイ
ミダゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、スクシンイ
ミド基、フタルイミド基等が挙げられる。上記の電子吸
引性基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基
としては、式(3)のR1、R2およびR3が表す置換基が
挙げられる。
【0078】Zが電子吸引性基を表す場合、好ましいも
のは、総炭素数0〜30の以下の基であり、具体例とし
ては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモ
イル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホ
ルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ
基、任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙
げられる。さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイ
ル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメ
チル基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、または
カルバモイル基である。
【0079】一般式(3)においてZで表されるシリル基
としては、好ましくは、トリメチルシリル基、t−ブチ
ルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、トリ
エチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメチ
ルシリルジメチルシリル基等が挙げられる。一般式(3)
において、R1とZ、R2とR3、R1とR2、および/ま
たはR3とZは、互いに結合して環を形成してもよい
が、好ましくは、ZとR1、またはR2とR3とが環を形
成する。この時形成される環は、非芳香族の炭素環また
は非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5〜7員環
で、置換基を含めた環の総炭素数は1〜40、好ましく
は3〜30である。
【0080】一般式(3)で表される化合物の中で、より
好ましいものの例は、Zがシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカル
バモイル基を表し、R1が電子吸引性基またはアリール
基を表し、R2およびR3のどちらか一方が水素原子で、
他方がヒドロキシル基またはその塩、メルカプト基また
はその塩、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。
【0081】一般式(3)で表される化合物の中で、特に
好ましいものの例は、ZとR1が非芳香族の5〜7員環
を形成し、R2およびR3のどちらか一方が水素原子で、
他方がヒドロキシル基またはその塩、メルカプト基また
はその塩、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。この
時、R1と共に非芳香族の環状構造を形成するZとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基等が好ましく、またR
1としては、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボ
ニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、
N原子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニ
ルチオ基等が好ましい。
【0082】次に、一般式(4)で表される置換イソオキ
サゾール誘導体について説明する。一般式(4)におい
て、R4は置換基を表す。R4で表される置換基として
は、一般式(3)のR1〜R3が表す置換基が挙げられる。
4で表される置換基は、好ましくは電子吸引性基また
はアリール基である。R4が電子吸引性基を表す場合、
好ましくは総炭素数0〜30の以下の基であり、具体的
には、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバ
モイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、
ホスホリル基、イミノ基、または飽和または不飽和のヘ
テロ環基であり、さらに好ましくは、シアノ基、アシル
基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイ
ル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、ヘテロ環基であり、特に好ましく
は、シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカル
ボニル基、カルバモイル基、またはヘテロ環基である。
【0083】R4がアリール基を表す場合、好ましくは
総炭素数0〜30の、置換または無置換のフェニル基で
ある。置換基としては、一般式(3)のR1〜R3が置換基
を表す場合にその置換基として説明したものが挙げられ
る。R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカル
ボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、または置換ま
たは無置換のフェニル基であり、最も好ましくはシアノ
基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニル基であ
る。
【0084】次に、一般式(5)で表されるアセタール化
合物について詳細に説明する。一般式(5)において、X
およびYはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表
し、AおよびBはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アル
キルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、ア
リールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環
オキシ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。XとY、お
よびAとBは、それぞれ互いに結合して環を形成しても
よい。
【0085】一般式(5)において、XおよびYで表され
る置換基としては、一般式(3)のR 1〜R3の置換基が挙
げられる。具体的には、アルキル基(パーフルオロアル
キル基、トリクロロメチル基等を含む)、アリール基、
ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アル
ケニル基、アルキニル基、アシル基、ホルミル基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルバモイル基、
チオカルボニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ア
シルアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、スルファモイル基、ホスホリル基、カルボキシ
基およびその塩、スルホ基およびその塩、ヒドロキシル
基およびその塩、メルカプト基およびその塩、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シ
リル基等が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有
していてもよい。またXとYは、互いに結合して環状を
形成していてもよく、この場合に形成される環は、非芳
香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環でもよい。
【0086】XおよびYがそれぞれ置換基を表す場合、
置換基は好ましくは総炭素数1〜40、より好ましくは
総炭素数1〜30の基であり、具体例としては、シアノ
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキ
ルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パ
ーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アシルチオ
基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリ
ール基等が挙げられる。
【0087】XおよびYは、より好ましくは、それぞれ
シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバ
モイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、ア
ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフ
ルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくは、それぞれシアノ基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルチ
オ基、アシルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等である。
【0088】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成する場合もまた好
ましい。この時、形成される環は5〜7員環が好まし
く、その総炭素数は1〜40であることが好ましく、さ
らに好ましくは3〜30である。環を形成するXおよび
Yとしては、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボ
ニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、
N原子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニ
ルチオ基等が好ましい。
【0089】AおよびBはそれぞれ独立に、アルコキシ
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環チオ基、
ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基を表し、こ
れらは互いに結合して環を形成してもよい。AおよびB
で表される基は、好ましくは、それぞれ総炭素数1〜4
0、より好ましくはそれぞれ総炭素数1〜30の基であ
り、さらに置換基を有していてもよい。
【0090】AとBは、互いに結合して環を形成する場
合がより好ましい。この時形成される環としては5〜7
員環の非芳香族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は
1〜40、さらには3〜30が好ましい。この場合に、
AとBが連結した例(−A−B−)としては、-O-(CH2)
2-O-、-O-(CH2)3-O-、-S-(CH2)2-S-、-S-(CH2)3-S-、-S
-Ph-S-、-N(CH3)-(CH2)2-O-、-N(CH3)-(CH2)2-S-、-O-
(CH2)2-S-、-O-(CH2)3-S-、-N(CH3)-Ph-O-、-N(CH3)-Ph
-S-、-N(ph)-(CH2)2-S-等が挙げられる。
【0091】本発明において、好ましい造核剤として用
いられる一般式(3)〜(5)で表される化合物は、ハロゲ
ン化銀に吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよ
い。この吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環
基、トリアゾール基などの、米国特許第4,385,1
08号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭
59−195233号公報、同59−200231号公
報、同59−201045号公報、同59−20104
6号公報、同59−201047号公報、同59−20
1048号公報、同59−201049号公報、特開昭
61−170733号公報、同61−270744号公
報、同62−948号公報、同63−234244号公
報、同63−234245号公報、および同63−23
4246号公報に記載された基が挙げられる。またこれ
らの吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その
様なプレカーサーとしては、特開平2ー285344号
公報に記載された基が挙げられる。
【0092】一般式(3)〜(5)で表される化合物は、そ
の中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用さ
れているバラスト基またはポリマーが組み込まれている
ものでもよい。特にバラスト基が組み込まれているもの
は本発明の好ましい例の1つである。バラスト基は8以
上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基
であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ
基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、
アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。
またポリマーとしては、例えば特開平1−100530
号公報に記載のものが挙げられる。
【0093】一般式(3)〜(5)で表される化合物は、そ
の中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基
を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘ
テロ環基等)、エチレンオキシ基またはプロピレンオキ
シ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル、アリールま
たはヘテロ環)チオ基、または塩基により解離しうる解
離性基(カルボキシル基、スルホ基、アシルスルファモ
イル基、カルバモイルスルファモイル基等)が含まれて
いてもよい。特に好ましい例の1つとして、エチレンオ
キシ基またはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、または(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ
基が含まれているものが挙げられる。これらの基の具体
例としては、特開平7ー234471号公報、同5−3
33466号公報、同6−19032号公報、同6−1
9031号公報、同5−45761号公報、米国特許4
994365号明細書、同4988604号明細書、特
開平3−259240号公報、同7−5610号公報、
同7−244348号公報、独国特許4006032号
明細書等に記載の化合物が挙げられる。
【0094】以下に、本発明において好ましい造核剤と
して用いられる一般式(3)〜(5)で表される化合物の具
体例を示す。ただし、本発明は以下の化合物に限定され
るものではない。
【0095】
【化14】
【0096】
【化15】
【0097】
【化16】
【0098】
【化17】
【0099】
【化18】
【0100】
【化19】
【0101】
【化20】
【0102】
【化21】
【0103】
【化22】
【0104】本発明において好ましい造核剤として用い
られる一般式(3)〜(5)で表される化合物は、公知の方
法により容易に合成することができるが、例えば、米国
特許5545515号明細書、同5635339号明細
書、同5654130号明細書、国際特許WO−97/
34196号公報、特願平9―309813号公報、ま
たは同9―272002号公報に記載の方法を参考に合
成することができる。
【0105】一般式(3)〜(5)で表される化合物は、1
種のみ用いても、2種以上を併用してもよい。また上記
のものの他に、米国特許5545515号明細書、同5
635339号明細書、同5654130号明細書、国
際特許WO−97/34196号公報、米国特許568
6228号明細書、特願平8―279962号公報、同
9―228881号公報、同9―273935号公報、
同9―309813号公報、同9―296174号公
報、同9―282564号公報、同9―272002号
公報、同9−272003号公報、同9―332388
号公報に記載された化合物を併用して用いてもよい。
【0106】一般式(3)〜(5)で表される化合物の添加
量は、銀1モルに対して1×10-6〜1モルが好まし
く、より好ましくは1×10-5〜5×10-1モルであ
り、特に好ましくは2×10-5〜2×10-1モルであ
る。一般式(3)〜(5)で表される化合物は、水または適
当な有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロ
パノール、フッ素化アルコール等のアルコール類;アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホル
ムアミド;ジメチルスルホキシド;メチルセルソルブな
どに溶解して用いることができる。
【0107】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテート、ジエチルフタレート
等のオイル、酢酸エチル、シクロヘキサノンなどの補助
溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を調製して用
いることができる。あるいは固体分散法として知られて
いる方法によって、化合物の粉末を水等の適当な溶媒中
に、ボールミル、コロイドミル、または超音波によって
分散して用いることができる。一般式(3)〜(5)で表さ
れる化合物は、支持体に対して画像記録層側の層であれ
ばどの層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれ
に隣接する層に添加することが好ましい。
【0108】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層に含有される造核剤として、ヒドラジン誘導体を用
いてもよく、さらには上記の一般式(3)〜(5)で表され
る造核剤とヒドラジン誘導体を併用して用いてもよい。
その場合には下記のヒドラジン誘導体が好ましく用いら
れる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体は、下記の
特許に記載された種々の方法により、合成することがで
きる。
【0109】特公平6-77138号公報に記載の(化1)で表
される化合物で、具体的には同公報3、4頁に記載の化合
物。特公平6-93082号公報に記載の一般式(I)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報8〜18頁に記載の1〜38
の化合物。特開平6-230497号公報に記載の一般式(4)
〜(6)で表される化合物で、具体的には同公報25、26
頁に記載の化合物4-1〜化合物4-10、28〜36頁に記載の
化合物5-1〜5-42、および39、40頁に記載の化合物6-1〜
化合物6-7。特開平6-289520号公報に記載の一般式(1)
および(2)で表される化合物で、具体的には同公報5〜
7頁に記載の化合物1-1)〜1-17)および2-1)。特開平6
-313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表され
る化合物で、具体的には同公報6〜19頁に記載の化合
物。特開平6-313951号公報に記載の(化1)で表される
化合物で、具体的には同公報3〜5頁に記載の化合物。特
開平7-5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合
物で、具体的には同公報5〜10頁に記載の化合物I-1〜
I-38。特開平7-77783号公報に記載の一般式(II)で表
される化合物で、具体的には同公報10〜27頁に記載の化
合物II-1〜II-102。特開平7-104426号公報に記載の一般
式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具
体的には同公報8〜15頁に記載の化合物H-1〜H-44。特
願平7-191007号公報に記載の、ヒドラジン基の近傍にア
ニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結
合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化
合物で、特に一般式(A)〜(F)で表される化合物
で、具体的には同公報に記載の化合物N-1〜N-30。特願
平7-191007号公報に記載の一般式(1)で表される化合
物で、具体的には同公報に記載の化合物D-1〜D-55。1
991年3月22日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック
社刊)の25〜34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特
開昭62-86354号公報(6、7頁)の化合物D-2およびD-3
9。
【0110】本発明において造核剤として用いられるヒ
ドラジン誘導体の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1
×10-2モルが好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好
ましく、2×10-5〜5×10-3モルが最も好ましい。ヒドラ
ジン誘導体は、適当な有機溶媒、例えばメタノール、エ
タノール、プロパノール、フッ素化アルコール等のアル
コール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;メ
チルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0111】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を
水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。ヒドラジン誘導体
は、画像形成層または支持体に対して画像記録層側の層
のバインダー層であればどの層に添加してもよいが、画
像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加す
ることが好ましい。
【0112】本発明においては、超硬調画像形成のため
に、前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用すること
ができる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記
載のアミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,54
5,507号明細書に記載のヒドロキサム酸類、具体的には
HA-1〜HA-11、同5,545,507号明細書に記載のアクリ
ロニトリル類、具体的にはCN-1〜CN-13、同5,558,9
83号明細書に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA
-1〜CA-6、特願平8-132836号公報に記載のオニュ−ム
塩類、具体的にはA-1〜A-42、B-1〜B-27、C-1〜C
-14などを用いることができる。これらの硬調化促進剤
の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの引用特
許に記載の方法、量等を用いることができる。
【0113】本発明の熱現像感光材料において、前記の
造核剤は、五酸化二リンが水和してできる酸またはその
塩と併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸
(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リ
ン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)
等が挙げられる。好ましくは、オルトリン酸(塩)、ヘ
キサメタリン酸(塩)であり、具体例としては、オルト
リン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘ
キサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニ
ウムなどが挙げられる。
【0114】上記の五酸化二リンが水和してできる酸ま
たはその塩の使用量は、感度やカブリなどの性能に合わ
せて所望の量でよいが、熱現像感光材料1m2当たりの塗
布量として0.1〜500mg/m2が好ましく、より好ましくは
0.5〜100mg/m2である。上記の五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発現する
という点から、画像形成層あるいはそれに隣接するバイ
ンダー層に添加することが好ましい。
【0115】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層はバインダーを含有する。本発明で使用されるバイ
ンダーとしては、以下に述べるポリマーラテックスを用
いることが好ましい。本発明において、バインダーとし
て使用されるポリマーラテックスのポリマー種として
は、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、
塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれ
らの共重合体などが挙げられる。ポリマーとしては直鎖
のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋さ
れたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモ
ノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2
種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポ
リマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリ
マーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000
〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。
分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十
分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、好ましくな
い。
【0116】ポリマーラテックスの具体例としては以下
のようなものがある。メチルメタクリレート/エチルア
クリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メ
チルメタクリレート/2エチルヘキシルアクリレート/
スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレ
ン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、
スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル
酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩
化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビ
ニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メ
タクリル酸コポリマーのラテックス等。このようなポリ
マーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用
できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA-46
35,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipo
l Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)
製)等、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、61
1、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)等、ポリウレタン
樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本イン
キ化学(株)製)等、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310
K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)
製)、 Nipol Lx416、410、438C、2507、(以上日本ゼオ
ン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576
(以上日本ゼオン(株)製)等、塩化ビニリデン樹脂とし
てはL502、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD702
0、D504、D5071(以上三井東圧(株)製)等、オレフィン樹
脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化学
(株)製)等を挙げることができる。これらのポリマー
は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレン
ドして用いてもよい。
【0117】本発明において、画像形成層に用いるバイ
ンダーは、上記のポリマーラテックスが全バインダーの
50重量%以上を占めるものが好ましく、70重量%以
上のものがさらに好ましい。画像形成層が2層以上の層
からなる場合は、複数の画像形成層のうち少なくとも1
層は、上記のポリマーラテックスが全バインダーの50
重量%以上を占めるものが好ましい。また、ポリマーラ
テックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層
に用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に
本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、保護層やバ
ック層にもポリマーラテックスを用いることが好まし
い。画像形成層側の主バインダーとしては、良好な写真
性能が得られ、かつ水系塗布を可能にするポリマーラテ
ックスを用いることが好ましい。
【0118】ここで言う「ポリマーラテックス」とは水
不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散
媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマー
が分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたも
の、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に
部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散し
たものなどいずれでもよい。なお本発明のポリマーラテ
ックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲
垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテッ
クスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司
編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックス
の化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに
記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、よ
り好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒
子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布
を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0119】本発明において、バインダーとして用いる
ポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマー
ラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックス
でもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変
えると好ましい場合がある。本発明において、バインダ
ーに好ましく用いるポリマーラテックスは、保護層用、
バック層用のものと画像形成層用のものとでは、好まし
いガラス転移温度(Tg)の範囲が異なる。画像形成層
にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促すため、
ガラス転移温度が-30〜40℃であるものが好ましい。保
護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触する
ためにガラス転移温度が25〜70℃であるものが好まし
い。本発明の熱現像感光材料において、画像形成層のバ
インダーとして、ガラス転移温度が−30〜40℃のポ
リマーラテックスを全バインダーの50重量%以上含有
するものが好ましい。
【0120】ポリマーラテックスは、最低造膜温度(MF
T)が-30℃〜90℃のものが好ましく、0℃〜70℃程度のも
のがより好ましい。最低造膜温度をコントロールするた
めに造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤とも
よばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる
有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテ
ックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
に記載されている。
【0121】本発明の画像形成層には必要に応じて全バ
インダーの50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加
してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形
成層の全バインダーの30重量%以下、さらには15重
量%以下が好ましい。本発明の画像形成層の全バインダ
ー量は0.2〜30g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは
1〜15g/m2の範囲である。
【0122】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布
後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言
う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が
水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用
いることができる。具体的な溶媒組成の例としては以下
のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプ
ロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/
5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/
5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。
(ただし数字は重量%を表す。)
【0123】本発明の熱現像感光材料は、画像形成層よ
り外側、即ち画像形成層について、支持体と反対側に、
少なくとも一種の下記一般式(1):
【0124】
【化23】
【0125】(式中、Tは1価の置換基を表し、k1
0以上4以下の整数を表す。k1≧2の場合、複数のT
はそれぞれ同一でも異なってもよく、互いに結合して環
を形成してもよい。L1およびL2はそれぞれ2価の連結
基を表し、n1およびn2はそれぞれ独立に0以上30以
下の整数を表す。)で表される有機酸化合物および少な
くとも一種の下記一般式(2):
【0126】
【化24】
【0127】(式中、Rは炭素数6〜30の、置換また
は無置換の、アルキル基、アルケニル基またはアリル基
を表し、Aは2価の連結基を表し、nは0から50の整
数を表す。Yは−SO3Mまたは−OSO3Mを表す。M
は水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原
子、アンモニウム基または低級アルキルアミン基を表
す。)で表される化合物を含有する層を有する。この層
を有することで、Dmax(最高濃度)が高く、カブリ
が低く、かつハジキや塗布スジといった面状欠陥が少な
い熱現像感光材料が得られる。
【0128】Tで表される1価の置換基としては、例え
ば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8で
あり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−
プロピル、n一ブチル、iso−ブチル、tert−ブ
チル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、
シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が
挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは
炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテ
ニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル
基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜1
2、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギ
ル、3−ベンチニル等が挙げられる。)、アリール基
(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6
〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば
フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられ
る。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好
ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6
であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられ
る。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1
〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基
(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6
〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば
フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられ
る。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜1
2であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピ
バロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2
〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、テトラデシ
ルオキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキ
シカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ま
しくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10
であり、例えばフェニルオキシカルボニル等が挙げられ
る。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数
2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ
等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ま
しくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、
プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられ
る。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好
ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボ
ニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好まし
くは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12で
あり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げ
られる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミ
ノ、オクタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルア
ミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましく
は炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特
に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモ
イル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイ
ル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カル
バモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチ
ルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられ
る。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙
げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜
20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは
炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げら
れる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられ
る。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼン
スルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、
特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイ
ド、メチルウレイド、フェニルウレイドな等が挙げられ
る。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニ
ルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシル基、
カルポキシル基、スルホ基、スルフィノ基(スルフィン
酸基)、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニ
トロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基
(例えばイミダゾリル、ピリジル、フリル、ピぺリジ
ル、モルホリノ等が挙げられる。)などが挙げられる。
【0129】複数のTが互いに結合して環を形成する例
としては、既知のいかなる縮環フタル酸を用いることも
できるが、好ましい例としては[3,4]ベンゾ、
[4,5]ベンゾ、[4,5]ナフト、[3,4]メチ
レンジオキシ(すなわちジオキソロ)、[4,5]メチ
レンジオキシ等を挙げることができる。またアルカリ金
属などとの塩形成が可能な置換基は塩を形成していても
よい。これらの置換基或いは縮環は更に置換されていて
もよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも
異なっていてもよい。複数のTが互いに環を形成しない
ときk1は0、1または2が好ましく、0または1が特
に好ましい。
【0130】Tで表される置換基は、好ましくは、アル
キル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキ
シカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニ
ルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スル
ホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、
ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシル基、カルポ
キシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルホニル基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、へテロ環基、[3,
4]ベンゾ、[4,5]ベンゾ、[4,5]ナフト、
〔3,4]メチレンジオキシ、[4,5]メチレンジオ
キシであり、さらに好ましくは、アルキル基、アリール
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシ
ルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、
カルバモイル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ハロ
ゲン原子、シアノ基、[3,4]ベンゾ、[4,5]ベ
ンゾ、[3,4〕メチレンジオキシ、[4,5]メチレ
ンジオキシであり、特に好ましくは、アルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、[4,5]ベンゾ、[4,5]
メチレンジオキシである。
【0131】L1およびL2はそれぞれ2価の連結基を表
し、好ましくは1〜4原子分の長さの二価の連結基であ
り、さらに置換基を有してもよい。好ましい例として
は、−CH2−、−CH2CH2−、−C(=O)−、−
CONH−、−SO2NH−が挙げられる。n1およびn
2はそれぞれ0以上30以下の整数を表す。L1、L2
1、n2の好ましい組み合わせとしては、L1およびL2
がそれぞれ0〜2原子の長さの連結基を表すときは、n
1およびn2はそれぞれ0〜10、さらに好ましくは0〜
6であり、L1およびL2がそれぞれ3〜4原子の長さの
連結基を表すときは、n1およびn2はそれぞれ0〜6で
ある。さらに好ましい組合せとしては、L1およびL2
それぞれ−CH2−、−CH2CH2−、−C(=O)
−、−CONH−、−SO2NH−を表し、n1およびn
2はそれぞれ0〜2を表す。
【0132】一般式(1)で表される有機酸化合物は、
例えば、新実験化学講座(丸善)14−III、5章−
1、Organic Fanctional Grou
p Preparetions(Academic P
ress New Yorkand London)I
−9章、Tetrahedron、31巻(20),2
607−19ページ(1975年)、Angewant
e Chem.86巻(9),349ページ(1974
年)およびこれらに引用された文献等に記載の方法に準
じて合成できる。また、市販の化合物を用いてもよい。
【0133】以下に一般式(1)で表される有機酸化合
物の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0134】
【化25】
【0135】
【化26】
【0136】
【化27】
【0137】一般式(1)で表される有機酸化合物の添
加量は、銀1モル当たり10-4モル〜10モルが好まし
く、さらに好ましくは10-3モル〜1モルである。また
一般式(1)で表される有機酸化合物は1種のみを用い
ても2種以上を併用してもよい。一般式(1)で表わさ
れる有機酸化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散物な
どいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公
知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。一般式(1)で表される有
機酸化合物の添加層は、熱現像感光材料の画像形成層よ
り外側の層(画像形成層について、支持体と反対側の
層)である。具体的には、表面保護層や画像形成層と表
面保護層の中間層でもよく、また表面保護層の上にさら
にオーバーコートして用いることもできる。
【0138】次に、一般式(2)で表わされる化合物に
ついて詳細に説明する。Rは炭素数6〜30の、置換ま
たは無置換の、アルキル基、アルケニル基またはアリー
ル基を表す。具体例としては、炭素数6〜30の置換、
無置換のアルキル基としては、ヘキシル、シクロヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニ
ル、イソノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テト
ラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、
ドコシル、トリアコンタシル、パーフルオロヘキシル、
ペーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフ
ルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロドデ
シル、ペーフルオロヘキサデシル等が挙げられる。
【0139】炭素数6〜30のアルケニル基としては、
3−ヘキセニル、11−ドデセニル、オレイル、エルカ
シル、パーフルオロイソヘキセニル、パーフルオロイソ
ノテニル、パーフルオロドデセニルが挙げられる。また
アリール基としてはフェニル、ナフチル、置換フェニル
または置換ナフチルが好ましく、置換基としては、(モ
ノ、ジ、トリ、テトラ)アルキル基(例えばメチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、
ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、イソオクチル、ノ
ニル、イソノニル、t−ノニル、ドデシル、テトラデシ
ル、ヘキサデシル、オクタデシルなど)、ハロゲン基
(クロロ、ブロモ、フロロなど)、置換または無置換ア
ルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキ
ルカルボニルオキシ基などが好ましい。ここで置換基と
しては前述の置換基と同様である。
【0140】Aは2価の連結基であれば特に限定されな
いが、好ましくは、置換、無置換のアルキレン基、アリ
レン基、アラルレン基であり、さらに好ましくは、(C
2)l、(CH2CH2O)m、(CH(CH3)CH2
p、(CH2CH(OH)CH2)q、フェニレン、ナフ
チレン、キシレリン、O、COO、CON(R11)、S
O、SO2、SO2N(R12)、を表わす。ここで、
11、R12は、水素原子、炭素数1〜20の置換、無置
換のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ブチ
ル、ペンチル、オクシル、ノニル、デシル、ドデシル、
ヘキサデシル、オクタデシル等)、アルケニル基(エチ
レン、アリール、クロチル等)を表し、l、m、p、q
は0〜20の整数を表わす。
【0141】nは0から50の整数を表す。Yは−SO
3Mまたは−OSO3Mを表す。Mは水素原子、アルカリ
金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基また
は低級アルキルアミン基を表す。好ましくは水素原子、
アルカリ金属原子(Li、K、Na、Rb)、アルカリ
土類金属原子(Be、Mg、Ca、Sr、Zn、B
a)、アンモニウム基または炭素数1〜10の(モノ、
ジ、トリ)低級アルキル(例えばメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル
等)アミン基を表わす。以下に一般式(2)で表される
化合物の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0142】
【化28】
【0143】
【化29】
【0144】
【化30】
【0145】
【化31】
【0146】一般式(2)で表される化合物の使用量
は、熱現像感光材料1m2当たり0.0001〜1gが
好ましく、より好ましくは0.0002〜0.25g、
特に好ましくは0.0003〜0.1gである。また、
一般式(2)で表される化合物は、1種のみを用いても
2種以上を併用してもよい。一般式(2)で表される化
合物の添加層は、熱現像感光材料の画像形成層よりも外
側の層(画像形成層について、支持体と反対側の層)で
あり、一般式(1)の有機酸化合物の添加層と同一の層
である。具体的には、表面保護層や画像形成層と表面保
護層の中間層でもよく、また表面保護層の上にさらにオ
ーバーコートして用いることもできる。
【0147】本発明の熱現像感光材料は、画像形成層側
の最外層表面のpHが6以下であることが、保存時のカ
ブリを低減させる上で好ましく、さらに好ましくは5.
5以下、特に好ましくは5.3以下である。下限には特
に制限はないが、3程度である。画像形成層側の最外層
表面のpHの測定方法としては、熱現像処理前の熱現像
感光材料2.5cm×2.5cmを舟形に折り、その画
像形成層側に300μlの蒸留水を滴下し、30分静置
した後に、その滴下液をpH BOY−P2(新電元工
業株式会社製、半導体方式のpH計)によって1分間測
定する。画像形成層側の最外層表面のpHの調節には、
前記の一般式(1)で表される有機酸化合物や硫酸など
の不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用い
ることが好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗
布する工程や熱現像される前に除去できることから、p
Hを低下させる際には、好ましく用いられる。
【0148】本発明の熱画像形成材料は、非感光性銀塩
のための還元剤を含むことが好ましい。この還元剤は、
銀イオンを金属銀に還元する任意の物質であり、好まし
くは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよ
びカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、
ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。また、還元剤
は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわ
ゆるプレカーサーであってもよい。
【0149】非感光性銀塩を利用した熱現像感光材料に
おいては広範囲の還元剤が、特開昭46-6074号、同47-12
38号、同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、
同50-14334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32
632号、同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933
号、同52-84727号、同55-108654号、同56-146133号、同
57-82828号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許
3,679,426号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,76
1,270号、同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686
号、同5,464,738号、独国特許2321328号、欧州特許6927
32号などに開示されている。
【0150】還元剤の例としては、フェニルアミドオキ
シム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフ
ェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-
ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンな
どのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニ
ル-β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せ
のような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコ
ルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒド
ロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジン
の組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチ
ル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダク
トンまたはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組
合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフ
ェニルヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム
酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェ
ノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジク
ロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチ
ル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α
-シアノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢
酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-
ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビ
ス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるよう
なビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒ
ドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベ
ンゾフェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノン
など)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンな
どの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダク
トン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン
およびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダク
トンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-
ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンス
ルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノー
ル還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど; 2,2-
ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロ
マン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒ
ドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノ
ール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチル
フェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフ
ェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-
メチルフェノール) 、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ
メチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンな
ど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-ア
スコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならび
にベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケ
トン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジ
オン;クロマノール(トコフェロールなど)などが挙げら
れる。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0151】還元剤の添加量は、画像形成層を有する面
の銀1モル当たり5〜50モル%であることが好まし
く、さらに好ましくは10〜40モル%である。還元剤
は、画像形成層を有する面のいずれの層に添加してもよ
い。画像形成層以外の層に添加する場合は、銀1モル当
たり10〜50モル%と多めに使用することが好まし
い。還元剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいか
なる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微
細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サン
ドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルな
ど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助
剤を用いてもよい。
【0152】本発明の熱画像形成材料には、画像を向上
させる「色調剤」として知られる添加剤を添加してもよ
い。色調剤を添加すると光学濃度が高くなることがあ
り、黒色銀画像を形成させる場合でも有利になることが
ある。非感光性銀塩を利用した熱現像感光材料において
は、広範囲の色調剤が、特開昭46-6077号、同47-10282
号、同49-5019号、同49-5020号、同49-91215号、同49-9
1215号、同50-2524号、同50-32927号、同50-67132号、
同50-67641号、同50-114217号、同51-3223号、同51-279
23号、同52-14788号、同52-99813号、同53-1020号、同5
3-76020号、同54-156524号、同54-156525号、同61-1836
42号、特開平4-56848号、特公昭49-10727号、同54-2033
3号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,9
41号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許138079
5号、ベルギー特許841910号などに開示されている。
【0153】色調剤の例としては、フタルイミドおよび
N-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリ
ン-5-オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラ
ゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンお
よび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフ
タルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフ
ルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾー
ル、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--
ジフェニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプ
ト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N
-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例え
ば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,
N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキ
シイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウ
ロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-
ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラ
ゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニ
ウムトリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチ
ルスルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチ
ル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチル
エチリデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタ
ラジノン、フタラジノン誘導体または金属塩、または4-
(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,
7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フ
タラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸
誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニト
ロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との
組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4-
(1-ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジ
メトキシフタラジン、6-iso-ブチルフタラジン、6-tert
-ブチルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジン、および
2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体)または金属
塩、;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタ
ル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合
せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフト
オキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場
でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源として
も機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム
(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムお
よびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機
過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモ
ニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-
ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン
および6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなど
のベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不
斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、
2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシ
ル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-
ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラ
アザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6
-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレ
ン)などが挙げられる。また、色調剤は、現像時のみ有
効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサ
ーであってもよい。
【0154】色調剤の添加量は、画像形成層を有する面
の銀1モル当たり0.1〜50%モルであることが好ましく、
さらに好ましくは0.5〜20%モルである。色調剤は、溶
液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加し
てもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例え
ば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイ
ドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われ
る。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いても
よい。
【0155】本発明の熱現像感光材料には、増感色素を
添加してもよい。増感色素としてはハロゲン化銀粒子に
吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光
増感できるものであればいかなるものでもよい。具体的
には、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレック
スシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホ
ロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン
色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用
いることができる。本発明に使用される有用な増感色素
は、例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643 IV-A項(19
78年12月p.23)、同Item1831 X項(1979年8月p.437)に記
載または引用された文献に記載されている。特に各種レ
ーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや
製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する
増感色素を有利に選択することができる。
【0156】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI
-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-35の
化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の
化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、特開
昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物および特開
平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物などが有利
に選択される。
【0157】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同
3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、
同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号、同6
-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、同6-3011
41号に記載されたような既知の色素から適当に選択して
よい。
【0158】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素) 、カルボン酸
基を有する色素(例としては特開平3-163440号、6-30114
1号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシ
アニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、同
52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-6750
号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381号、
同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国
特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色
素)が挙げられる。
【0159】また、J-bandを形成する色素として、米国
特許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5に記載の色
素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されて
いる色素があり、これらの色素を本発明に好ましく用い
ることができる。これらの増感色素は単独に用いてもよ
く、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色
素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素ある
いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増
感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色
素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す
物質はResearch Disclosure176巻17643(1978年12月発
行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4
933号、特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載され
ている。増感色素の使用量は、感度やカブリなどの性能
に合わせて所望の量でよいが、感光性層のハロゲン化銀
1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは
10-4〜10-1モルである。
【0160】増感色素は、感光性ハロゲン化銀の乳剤中
に添加することが好ましく、添加方法としては、増感色
素を直接乳剤中に分散してもよいし、水、メタノール、
エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソル
ブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリ
フルオロエタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、3-
メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、
N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独または混合溶
媒に溶解して乳剤に添加してもよい。また、米国特許3,
469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮
発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コ
ロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方
法、特公昭44-23389号、同44-27555号、同57-22091号等
に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液
を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶
液として乳剤中へ添加する方法、米国特許3,822,135
号、同4,006,025号明細書等に開示されているように界
面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物と
したものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733
号、同58-105141号に開示されているように親水性コロ
イド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添
加する方法、特開昭51-74624号に開示されているよう
に、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、
この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもでき
る。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0161】本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲ
ン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であるこ
とが認められている乳剤調製のいかなる工程中であって
もよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58-184142号、
同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハ
ロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時
期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開
始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示
されているように、化学熟成の直前または工程中の時
期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前
ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。
また、米国特許4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細
書に開示されているように、同一化合物を単独で、また
は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工
程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けた
り、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなど
して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物
および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよ
い。
【0162】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および非感光性銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安
定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更
に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安
定化することができる。単独または組合せて使用するこ
とができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前
駆体は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号
に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号およ
び同第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第
2,728,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に
記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のス
ルホカテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシ
ム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,
405号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記
載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号
および同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金およ
び金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号
に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,55
7号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第
4,459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,4
11,985号に記載のリン化合物などがある。
【0163】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ポリハロゲンであり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5,340,712号、同
5,369,000号、同5,464,737号に開示されている化合物お
よび特願平11-87972号に記載の式(P)で表わされる化
合物およびその例示化合物(P-1)〜(P-118)が挙げられ
る。
【0164】本発明に好ましく用いられる別のカブリ防
止剤として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、
例えば、特願平11-23995号に記載の式(S)で表される
化合物およびその例示化合物(S-1)〜(S-24)が挙げられ
る。カブリ防止剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物な
どいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公
知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。
【0165】本発明を実施するために必要ではないが、
画像形成層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えるこ
とが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩
は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明において、
水銀(II)塩の添加量は、塗布された銀1モル当たり1×1
0-9モル〜1×10-3モルであることが好ましく、さらに好
ましくは1×10-8モル〜1×10-4モルである。
【0166】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカ
ブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本
発明に使用される安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体
でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許4,78
4,939号、同4,152,160号、特願平8-151242号、同8-1512
41号、同8-98051号などに記載の化合物が挙げられる。
安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加してもよい
が、画像形成層を有する面の層に添加することが好まし
く、非感光性銀塩含有層に添加することがさらに好まし
い。本発明の安息香酸類の添加時期としては塗布液調製
のいかなる工程で行ってもよく、非感光性銀塩含有層に
添加する場合は非感光性銀塩調製時から塗布液調製時の
いかなる工程でもよいが、非感光性銀塩調製後から塗布
直前が好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶
液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。ま
た、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合し
た溶液として添加してもよい。安息香酸類の添加量は、
いかなる量でもよいが、銀1モル当たり1×10-6モル以上
2モル以下が好ましく、さらに好ましくは1×10-3モル以
上0.5モル以下である。
【0167】本発明の熱現像感光材料には、現像を抑制
あるいは促進させて現像を制御するため、分光増感効率
を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるため
などにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン
化合物を含有させることができる。本発明にメルカプト
化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよい
が、Ar-SM、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式
中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは
1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテル
リウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好
ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4
個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)
からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカ
プトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾ
ール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5
-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプト
ベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾー
ル、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニ
ル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾー
ル、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メ
ルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト
-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリ
ンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオー
ル、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモ
ノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジア
ゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、
4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト
ピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2
-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メ
ルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル
-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾ
ール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-
[3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾール、N-[3-(5-メルカプ
トアセチルアミノ)プロピル]カルバゾールなどが挙げら
れるが、本発明はこれらに限定されない。
【0168】これらのメルカプト化合物の添加量は、画
像形成中、銀1モル当たり0.0001〜1.0モルであること
が好ましく、さらに好ましくは、0.001〜0.3モルであ
る。本発明の熱現像感光材料において、画像形成層やそ
の隣接層には、可塑剤および潤滑剤として、多価アルコ
ール(例えば、米国特許第2,960,404号に記載された種類
のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号
および同第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステ
ル、英国特許第955,061号に記載のシリコーン樹脂など
を用いることができる。
【0169】本発明の熱現像感光材料においては、画像
形成層の上に、少なくとも1層、保護層を設けることが
好ましい。保護層のバインダーとしては、前述のよう
に、ガラス転移温度が25℃以上70℃以下のポリマーのラ
テックスを用いることが好ましい。この場合保護層の全
バインダーの50重量%以上、好ましくは70重量%以上と
して前述のポリマーラテックスを用いることが好まし
い。保護層用のポリマーラテックスとしてはアクリル
系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル
系、塩化ビニリデン系のポリマーラテックスが好ましく
用いられ、具体的にはアクリル樹脂系のVONCORT R337
0、4280、Nipol Lx857、メチルアクリレート/2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート/ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸
コポリマー、塩化ビニル樹脂のNipol G576、塩化ビニリ
デン樹脂のアロンD5071が好ましく用いられる。
【0170】保護層の全バインダー量は、0.2〜5.0g/
m2であることが好ましく、より好ましくは0.5〜4.0g/
m2である。保護層のバインダー構成や塗設方法等につい
ては画像形成層と同様である。保護層には、いかなる付
着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例として
は、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー
性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-
スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セル
ロース、セルロースアセテートブチレート、セルロース
プロピオネートやこれらの混合物などが挙げられる。ま
た、保護層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のた
めの界面活性剤などを添加してもよい。
【0171】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層または画像形成層の保護層には、米国特許第3,253,
921号、同第2,274,782号、同第2,527,583号および同第
2,956,879号に記載されているような、光吸収物質およ
びフィルター染料を使用することができる。また、例え
ば米国特許第3,282,699号に記載のように染料を媒染す
ることができる。フィルター染料の使用量は、露光波長
での吸光度が0.1〜3となる量が好ましく、さらに好まし
くは0.2〜1.5である。
【0172】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層には色調改良、イラジエーション防止の観点から各
種染料や顔料を用いることができる。画像形成層に用い
る染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカ
ラーインデックス記載の顔料や染料があり、具体的には
ピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染
料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニ
ン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、イン
ドアニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニ
ンをはじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられ
る。本発明に用いられる好ましい染料は、アントラキノ
ン染料(例えば特開平5-341441号記載の化合物1〜9、特
開平5-165147号記載の化合物3-6〜18および3-23〜38な
ど)、アゾメチン染料(特開平5-341441号記載の化合物17
〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5-289227
号記載の化合物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物
47、特開平5-165147号記載の化合物2-10〜11など)、お
よびアゾ染料(特開平5-341441号記載の化合物10〜16)が
挙げられる。これらの化合物の使用量は目的の吸収量に
よって決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g以上1
g以下の範囲で用いることが好ましい。染料の添加法と
しては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染
剤に媒染された状態など、いかなる方法でもよい。
【0173】本発明における熱現像写真感光性材料は、
支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有す
る、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。本発
明において、バック層は、所望の波長範囲での最大吸収
が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。波長範囲が
750〜1400nmである場合には、バック層は、750〜360nm
においての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好
ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度
を有するハレーション防止層であることが好ましい。波
長範囲が750nm以下である場合には、バック層は、画像
形成前の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像
形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満にな
るようなハレーション防止層であることが好ましい。画
像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては
特に制限はないが、例えばベルギー特許第733,706号に
記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低
下させる方法、特開昭54-17833号に記載の光照射による
消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0174】本発明の熱現像感光材料に置いて、ハレー
ション防止染料を使用する場合、こうした染料は所望の
波長範囲に目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸
収が充分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペク
トルの形状が得られれば、いかなる化合物でもよい。例
えば以下に挙げるものが開示されているが、本発明はこ
れに限定されるものではない。単独の染料としては特開
昭59-56458号、特開平2-216140号、同7-13295号、同7-1
1432号、米国特許5,380,635号記載、特開平2-68539号公
報第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3-24
539号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合
物があり、処理で消色する染料としては特開昭52-13913
6号、同53-132334号、同56-501480号、同57-16060号、
同57-68831号、同57-101835号、同59-182436号、特開平
7-36145号、同7-199409号、特公昭48-33692号、同50-16
648号、特公平2-41734号、米国特許4,088,497号、同4,2
83,487号、同4,548,896号、同5,187,049号がある。
【0175】本発明の熱現像感光材料において、バック
層に好ましく用いられるバインダーは透明または半透明
で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマ
ーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体が
使用される。例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ
(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セ
ルロースアセテート、セルロースアセテートブチレー
ト、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポ
リ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩
化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン-無
水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、
コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセター
ル)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビ
ニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)
類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エ
ポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセ
テート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類が挙
げられる。バインダーは、水、有機溶媒またはエマルシ
ョンから被覆形成してもよい。
【0176】本発明の熱現像感光材料においては、搬送
性改良のため、画像形成層側の保護層および/またはバ
ック層またはバック層側の保護層にマット剤を添加して
もよい。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無
機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のもの
が使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,2
45号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344
号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット
剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、
同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各
明細書に記載の無機マット剤など当業界でよく知られた
ものを用いることができる。具体例としては、水分散性
ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリ
メチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリ
ロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポリスチレ
ン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニル
アセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフ
ルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメ
チルセルロース、セルロースアセテート、セルロースア
セテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカ
ルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素-
ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬
化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプ
セル中空粒体とした硬化ゼラチンなどが挙げられる。無
機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭
化銀、ガラス、珪藻土などが挙げられる。上記のマット
剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いるこ
とができる。
【0177】マット剤の大きさ、形状には特に限定はな
く、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の
実施に際しては0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるの
が好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広く
てもよい。一方、マット剤は感材のヘイズ、表面光沢に
大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数
のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を
必要に応じた状態にすることが好ましい。本発明におい
て、バック層にマット剤を添加するのは好ましい態様で
あり、バック層のマット度としてはベック平滑度が1200
秒以下50秒以上が好ましく、さらに好ましくは700秒以
下100秒以上である。
【0178】本発明において、マット剤は熱現像感光材
料の最外表面層または最外表面層として機能する層、あ
るいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、また
いわゆる保護層として作用する層に含有されることが好
ましい。また、画像形成層側の保護層のマット度は星屑
故障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度
が300秒以上5,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,0
00秒以下が好ましい。ある。
【0179】本発明の熱現像感光材料において、画像形
成層は一層またはそれ以上の層で構成される。画像形成
層が一層である場合は、一層中に非感光性銀塩、ハロゲ
ン化銀、現像剤およびバインダー、ならびに色調剤、被
覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を
含まなければならない。画像形成層が二層からなる場合
は、第1層である乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中
に非感光性銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層また
は両層中にいくつかの他の成分を含まなければならな
い。しかし、全ての成分を含む単一乳剤層および保護ト
ップコートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色
感光性熱現像感光材料の構成は、各色についてこれらの
二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,92
8号に記載されているように単一層内に全ての成分を含
んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像感光材料の場
合、各画像形成層は、一般に、米国特許第4,460,681号
に記載されているように、各画像形成層の間に官能性ま
たは非官能性のバリアー層を使用することにより、互い
に区別されて保持される。
【0180】米国特許第4,460,681号および同第4,374,9
21号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resi
stive heating layer)を本発明に使用することもでき
る。本発明の熱現像感光材料において、画像形成層、保
護層、バック層など各層には硬膜剤を用いてもよい。硬
膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開平6-208
193号などに記載されているポリイソシアネート類、米
国特許4,791,042号などに記載されているエポキシ化合
物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルス
ルホン系化合物類などが用いられる。
【0181】本発明の熱現像感光材料には、塗布性、帯
電改良などを目的として、式(2)で表される界面活性
剤と別の界面活性剤を併用してもよい。そららの界面活
性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン
系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体
的には、特開昭62-170950号、米国特許5,380,644号など
に記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945
号、特開昭63-188135号などに記載のフッ素系界面活性
剤、米国特許3,885,965号などに記載のポリシロキサン
系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアル
キレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げら
れる。
【0182】本発明における熱現像感光材料は、帯電防
止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号および同第3,
206,312号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国
特許第3,428,451号に記載のような不溶性無機塩、特開
昭60-252349号、同57-104931号に記載されている酸化ス
ズ微粒子などを含む層を有してもよい。本発明における
熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては
特開平7-13295号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記
載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤として
は英国特許第1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同
第3,698,909号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、
同第3,764,337号および同第4,042,394号に例示されてい
る。
【0183】本発明において、画像形成層およびその他
の層は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、
フローコーティングまたは、米国特許第2,681,294号に
記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む
種々のコーティング操作により被覆することができる。
所望により、米国特許第2,761,791号および英国特許第8
37,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を
同時に被覆することができる。本発明の熱現像感光材料
は、追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染
料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護
トップコート層および光熱写真技術において既知のプラ
イマー層などを含むことができる。本発明の熱現像感光
材料は、その感光材料一枚のみで画像形成できることが
好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の
感光材料とならないことが好ましい。
【0184】本発明の熱現像感光材料を像様露光する露
光装置は、露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置
であればいずれでもよいが、一般的にはLaser Diode
(LD)、Light Emitting Diode(LED)を光源に
使用した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは
高出力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は
目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することが
できるものであればいずれでもよい。例えばLDであれ
ば、色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導
体レーザーなどを用いることができる。
【0185】本発明の熱現像感光材料を使用する場合、
露光は光源の光ビームをオーバーラップさせる。オーバ
ーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいこと
をいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム
強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/
副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現
することができる。本発明においては、このオーバラッ
プ係数が0.2以上であることが好ましい。
【0186】本発明の熱現像感光材料に使用する露光装
置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方
式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いること
ができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでも
マルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合には
マルチチャンネルが好ましく用いられる。本発明の熱現
像感光材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しや
すい傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特
開平5-113548号などに開示されているレーザー光を感光
材料に対して斜めに入光させる技術や、国際特許WO95
/31754号などに開示されているマルチモードレーザーを
利用する方法が知られており、これらの技術を用いるこ
とが好ましい。
【0187】本発明の熱現像感光材料を用いて画像形成
する場合、加熱現像工程はいかなる方法であってもよい
が、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇
温して現像される。用いられる熱現像機の好ましい態様
としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒートド
ラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5-5649
9号、特許公報第684453号、特開平9-292695号、特開平9
-297385号および国際特許WO95/30934号に記載の熱現
像機、非接触型のタイプとして特開平7-13294号、国際
特許WO97/28489号、同97/28488号および同97/28487号
に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては非
接触型の熱現像機である。特に好ましい態様としては非
接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80
〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。
現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさら
に好ましい。
【0188】本発明の熱現像感光材料を用いる場合、熱
現像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法とし
て、80℃以上115℃未満の温度で画像が出ないようにし
て5秒以上加熱した後、110℃以上140℃以下で熱現像し
て画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有
効である。本発明の熱現像感光材料を熱現像処理する際
には、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中
に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解
成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ム
ラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させた
り、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引
起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影響
があることが知られている。これらの影響を除くため
に、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現像機内の
空気の流れを最適に調整することが知られている。これ
らを有効に組合わせて利用することができる。
【0189】例えば、WO95/30933号、同97
/21150号、特表平10―500496号には、結
合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口部と排出
する第二の開口部とを有するフィルターカートリッジ
を、フィルムと接触して加熱する加熱装置に用いること
が記載されている。WO96/12213号、特表平1
0―507403号には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス
吸収性微粒子フィルターを組合わせたフィルターが記載
されている。また、米国特許4518845号、特公平
3―54331号には、フィルムからの蒸気を除去する
装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置と伝熱部
材を加熱する装置とを有する構成が記載されている。W
O98/27458号には、フィルムから揮発するカブ
リを増加させる成分をフィルム表面から取り除くことが
記載されている。
【0190】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる、熱現像機の構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図である。図1の熱現像機は、熱現像感光材
料10を平面状に矯正および予備加熱しながら加熱部に
搬入する搬入ローラー対11(上部ローラーはシリコン
ゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製のヒートロー
ラー)、および熱現像後の熱現像後の熱現像感光材料1
0を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ロー
ラー対12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラ
ー対11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱
現像される。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送
する搬送手段は、画像形成層を有する面が接触する側に
複数のローラー13が設置され、その反対側のバック面
が接触する側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテ
フロンから成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置
される。熱現像感光材料10は画像形成層を有する面に
接触する複数のローラー13の駆動により、バック面は
平滑面14の上を滑って搬送される。加熱手段はローラ
ー13の上部および平滑面14の下部に熱現像感光材料
10の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設
置される。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等
が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアラ
ンスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光材料1
0が搬送できるクリアランスに適宜調整される。好まし
くは0〜1mmである。
【0191】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。加熱部は、搬入ロー
ラー対11を有する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15
を備えた熱現像加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理
部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く
(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料10
中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設
定することが望ましく、熱現像感光材料10の支持体の
ガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが
出ないように設定することが好ましい。
【0192】熱現像処理部Bの下流にはガイド板16が
設置され、搬出ローラー対12とガイド板16とを有す
る徐冷部Cが設置される。ガイド板16は熱伝導率の低
い素材が好ましく、熱現像感光材料10に変形が起こら
ないようにするために冷却は徐々に行うのが好ましい。
以上、図示例に従って説明したが、これに限らず、例え
ば特開平7-13294号に記載のものなど、本発明に用いら
れる熱現像機は種々の構成のものであってもよい。ま
た、本発明において好ましく用いられる多段加熱方法の
場合は、上述のような装置において、加熱温度の異なる
熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度で加熱する
ようにすればよい。
【0193】
【実施例】以下に実施例を記載して本発明をさらに具体
的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割
合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変
更することができる。したがって、本発明の範囲は以下
に示す具体例に制限されるものではない。
【0194】<実施例1>(1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従っ
て、固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロ
ルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化して130℃で4時間乾燥
し、300℃で溶融後、T型ダイから押し出して急冷
し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚さの未
延伸フィルムを作成した。
【0195】これを、周速の異なるロ−ルを用い、3.
3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実
施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃
であった。この後、240℃で20秒間熱固定し、これ
と同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンタ−
のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行
い、4.8kg/cm2で巻き取り、幅2.4m、長さ
3500m、厚さ120μmのロ−ル状のPET支持体
を作製した。
【0196】(2)下塗塗布 上記(1)で得られたPET支持体の両面に、下記の組
成の下塗り層(a)と下塗り層(b)を順次塗布し、そ
れぞれ180℃で4分間乾燥した。乾燥後の下塗り層
(a)の厚さは2.0μmであった。 (2−1)下塗り層(a)組成 ポリマーラテックス(ア) 固形分量として 3.0g/m2 (コア部90重量%、シェル部10重量%のコアシェルタイプの ポリマーラテックス コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/ アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(重量%) シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/ アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(重量%) 重量平均分子量38000) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン 23mg/m2 マット剤 1.5mg/m2 (ポリスチレン;平均粒子径2.4μm;平均粒径の変動係数7%)
【0197】 (2−2)下塗り層(b)組成 脱イオン処理ゼラチン 50mg/m2 (Ca2+含量0.6ppm;ゼリー強度230g)
【0198】(3)バック層の形成 上記(2)で得られた2層の下塗りを施したPET支持
体の片面に、下記の導電層と保護層を順次塗布し、それ
ぞれ180℃、4分間乾燥して、バック層を形成した。 (3−1)導電層組成 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量 0.6ppm) 8mg/m2 下記構造式
【0199】
【化32】
【0200】 で示される化合物A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM−3 18mg/m2 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 下記構造式
【0201】
【化33】
【0202】 で示される染料A 783nmの光学濃度が1.2になる塗布量 SnO2/Sb 160mg/m2 (9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、石原産業(株)製) マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0203】 (3−2)保護層組成 ポリマーラテックス(イ) 固形分量として1000mg/m2 (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM−3 218mg/m2 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
【0204】(4)搬送熱処理 (4−1)熱処理 上記(3)で得られた下塗り及びバック層を施したPE
T支持体を、160℃に設定した全長200mの熱処理
ゾーンに入れ、張力3kg/cm2、搬送速度20m/
分で搬送し、熱処理を施した。 (4−2)後熱処理 上記(4−1)の熱処理に引き続き、40℃のゾーンに
15秒間通して後熱処理を行い、巻き取った。この時の
巻き取り張力は10kg/cm2であった。
【0205】(5)画像形成層塗布液の調製 (5−1)非感光性銀塩(ベヘン酸銀)分散物の調製 ヘンケル社製ベヘン酸(製品名EdenorC22-85R)
87.6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液
49.2ml、およびtert−ブチルアルコール120m
lを混合し、75℃で1時間攪拌して反応させ、ベヘン
酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4gを含
む水溶液206.2mlを用意し、10℃に保温した。
蒸留水635mlとtert-ブチルアルコール30mlを
入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベ
ヘン酸ナトリウム溶液および硝酸銀水溶液を流量一定で
それぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この
時、硝酸銀水溶液の添加開始から7分20秒間は硝酸銀
水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加を開始し、硝酸銀水溶液の添加終了
から9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加
されるようにした。この時の反応容器内の温度は30℃
とし、液温度が上がらないようにコントロールした。ま
た、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチー
ムトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温
度が75℃になるようにスチーム量をコントロールし
た。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外
側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪
拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触
しないような高さに調節した。
【0206】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水
の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうし
て得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキと
して保管した。 得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電
子顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径
0.52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当
径の変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0207】乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217、平
均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加し、全体量
を385gとしてからホモミキサーにて予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフ
ルイダイザーM−110S−EH、マイクロフルイデッ
クス・インターナショナル・コーポレーション製、G1
0Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を175
0kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分
散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクシ
ョンチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節
することで所望の分散温度に設定した。
【0208】こうして得たベヘン酸銀分散物に含まれる
ベヘン酸銀粒子は、体積加重平均直径0.52μm、変
動係数15%であった。粒子サイズの測定は、Malvern
Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。また電子
顕微鏡撮影により評価すると、長辺と短辺の比が1.
5、粒子厚み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の
投影面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であっ
た。
【0209】(5−2)感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調
製 水700mlに、アルカリ処理ゼラチン(カルシウム含
有量として2700ppm以下)11g、臭化カリウム30m
gおよびベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解し、温度40℃でpHを5.0に調製した後、硝酸
銀18.6gを含む水溶液159mlと、臭化カリウム
を1モル/リットル、(NH42RhCl 5(H2O)を5
×10-6モル/リットルおよびK3IrCl6を2×10
-5モル/リットル含む水溶液とを、pAgを7.7に保
ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間
かけて添加した。続いて、硝酸銀55.5gを含む水溶
液476mlと、臭化カリウムを1モル/リットル及び
3IrCl6を2×10-5モル/リットル含む水溶液と
を、pAgを7.7に保ちながらコントロールダブルジ
ェット法で28分30秒間かけて添加した。
【0210】その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処
理をし、(3−1)で示した化合物Aを0.17g、お
よび平均分子量1万5千の低分子量ゼラチン(カルシウ
ム含有量として20ppm以下)51.1gを加え、pH
5.9、pAg8.0に調製した。得られた粒子は平均
粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(10
0)面比率90%の立方体粒子であった。得られたハロゲ
ン化銀粒子を60℃に昇温し、ベンゼンチオスルホン酸
ナトリウムを銀1モル当たり76μモル添加し、3分後
にトリエチルチオ尿素71μモルを添加して、100分
間熟成した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラザインデンを5×10-4モル
加え、40℃に降温した。40℃に温度を保ち、下記構
造式
【0211】
【化34】
【0212】で示される増感色素A(エタノール溶液に
して添加)をハロゲン化銀1モルに対して12.8×1
-4モル、および下記構造式
【0213】
【化35】
【0214】で示される化合物Bをハロゲン化銀1モル
に対して6.4×10-3モルを攪拌しながら添加し、2
0分後に30℃に急冷して、感光性ハロゲン化銀乳剤A
を調製した。
【0215】(5−3)造核剤の固体微粒子分散物の調
製 表1に記載の造核剤10gに、ポリビニルアルコール
(クラレ製PVA-217)2.5gおよび水87.5gを添
加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置した。そ
の後、0.5mmのジルコニアビーズ240gをスラリ
ーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグライ
ンダーミル:アイメックス(株)製)で10時間分散
し、造核剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、
粒子の80重量%が0.1〜1.0μmで、平均粒径は
0.5μmであった。
【0216】(5−4)還元剤の固体微粒子分散物の調
製 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン25gに、ク
ラレ(株)製MPポリマーのMP-203の20重量%水溶液を
25g、日信化学(株)製サフィノール104Eを0.1
g、メタノール2gおよび水48mlを添加してよく撹
拌し、スラリーとして3時間放置した。その後、1mm
のジルコニアビーズ360gをスラリーと一緒にベッセ
ルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:ア
イメックス(株)製)で3時間分散し、還元剤の固体微粒
子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3〜1.0μmであった。
【0217】(5−5)ポリハロゲン化合物の固体微粒
子分散物の調製 下記の構造式
【0218】
【化36】
【0219】で示されるポリハロゲン化合物−Aの30
gに、クラレ(株)製MPポリマーのMP-203を4g、下
記の構造式
【0220】
【化37】
【0221】で示される化合物Cを0.25gおよび水
66gを添加してよく撹拌し、スラリーとした。0.5
mmのジルコニアシリケートビーズ200gをスラリー
と一緒にベッセルに入れ、分散機(1/16Gサンドグライ
ンダーミル:アイメックス(株)製)で5時間分散し、
ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子分散物を調製した。
粒子径は、粒子の80重量%が0.3〜1.0μmであ
った。下記の構造式
【0222】
【化38】
【0223】で示されるポリハロゲン化合物−Bについ
てもポリハロゲン化合物−Aと同様に操作して、ポリハ
ロゲン化合物−Bの固体微粒子分散物を調製した。粒子
径はポリハロゲン化合物−Aと同様であった。
【0224】(5−6)亜鉛化合物の固体微粒子分散物
の調製 下記の構造式
【0225】
【化39】
【0226】で示される化合物Z30gに、クラレ
(株)製MPポリマーのMP-203を3gおよび水87ml
を添加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置し
た。その後、上記(5−4)の還元剤の固体微粒子分散
物の調製と同様に操作して、亜鉛化合物(化合物Z)の
固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重
量%が0.3〜1.0μmであった。
【0227】(5−7)画像形成層塗布液の調製 上記(5−1)で調製した非感光性銀塩(ベヘン酸銀)
分散物中の銀1モルに対して、以下の成分を添加し、水
を加えて、画像形成層塗布液を調製した。 (5−2)で得たハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06 モル (5−3)で得た造核剤の固体微粒子分散物 表1に記載の種類および量( モル) (5−4)で得た還元剤の固体微粒子分散物 固形分として149g (5−5)で得たポリハロゲン化合物−Aの固体微粒子分散物 固形分として0.06 モル (5−5)で得たポリハロゲン化合物−Bの固体微粒子分散物 固形分として0.02 モル (5−6)亜鉛化合物の固体微粒子分散物 固形分として9.7g
【0228】 バインダー:ラックスター3307B 固形分として397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.30g ベンゾトリアゾール 1.04g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA-235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 15.0g オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 下記構造式
【0229】
【化40】
【0230】で示される染料A(平均分子量15,00
0の低分子量ゼラチンとの混合溶液として添加)783nm
の光学濃度が0.3になる塗布量(目安として固形分0.37
g)
【0231】(6)画像形成面の保護層塗布液の調製 (6−1)画像形成面の保護層(a)塗布液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(重量%)の粒子径120nmのポリマーラテックス溶
液(共重合体でガラス転移温度57℃、固形分濃度2
1.5重量%、造膜助剤として下記の構造式
【0232】
【化41】
【0233】で示される化合物Dをラテックスの固形分
に対して15重量%含有)956gに水を加え、下記の
構造式
【0234】
【化42】
【0235】で示される化合物Eを1.62g、マット
剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変
動係数8%)1.98gおよびポリビニルアルコール
(クラレ(株)製,PVA-235)23.6gを加え、さらに
水を加えて、画像形成面の保護層(a)塗布液を調製し
た。
【0236】(6−2)画像形成面の保護層(b)塗布
液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(重量%)の粒子径70nmのポリマーラテックス溶液
(共重合体でガラス転移温度54℃、固形分濃度21.
5重量%、造膜助剤として(6−1)で示した化合物D
をラテックスの固形分に対して15重量%含有)630
gに水を加え、カルナヴァワックス(中京油脂(株)
製、セロゾール524:シリコーン含有量5ppm未満)
30重量%溶液6.30gを加えた。さらに、表1に記
載の式(1)で示される化合物および式(2)で示され
る化合物を表1に記載の量加え、下記の構造式
【0237】
【化43】
【0238】で示される化合物Gを0.01モル、マッ
ト剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の
変動係数8%)1.18gおよびポリビニルアルコール
(クラレ(株)製,PVA-235)8.30gを加え、さらに
水およびNH4OHを加え、熱現像感光材料の膜面pH
が表1に記載の値となるような画像形成面の保護層
(b)塗布液を調製した。
【0239】(7)熱現像感光材料の作製 上記の(4)で得られた搬送熱処理を施したPET支持
体の、バック層を施した面の反対側、即ち下塗り層
(a)および下塗り層(b)を塗布した上に、上記の
(5)で得られた画像形成層塗布液を、塗布銀量が1.
6g/m2になるように、さらにその上に、上記の(6
−1)で得られた画像形成面の保護層(a)塗布液を、
ポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/m2
になるように、同時重層塗布した。その後で、その上に
上記の(6−2)で得られた画像形成面の保護層(b)
塗布液を、ポリマーラテックスの固形分塗布量が3.0
2g/m 2になるように塗布し、熱現像感光材料を作製
した。得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pH
は表1に記載の値であり、ベック平滑度は850秒であ
り、反対側の膜面pHは5.9、ベック平滑度は560
秒であった。
【0240】(8)写真性能の評価 (8−1)露光処理 上記の(7)で得られた熱現像感光材料を、ビーム径
(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レー
ザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザ
ーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光
装置を使用し、ミラーの回転数を変化させることにより
露光時間を、出力値を変えることにより露光量を調整
し、2×10-8秒間露光した。この時のオーバーラップ
係数は0.449であった。
【0241】(8−2)熱現像処理 上記の(8−1)で得られた露光済みの熱現像感光材料
を図1に示した熱現像機を用いて、熱現像処理を行っ
た。熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、
平滑面はテフロン不織布にして、搬送の線速度21.2
mm/秒で予備加熱部14.4秒(予備加熱部と熱現像
処理部の駆動系は独立しており、熱現像部との速度差は
-0.5%〜-1%に設定、各予熱部の金属ローラーの温度設
定、時間は第1ローラー温度67℃、2.4秒、第2ロ
ーラー温度82℃、2.4秒、第3ローラー温度98
℃、2.4秒、第4ローラー温度107℃、2.4秒、
第5ローラー温度115℃、2.4秒、第6ローラー温
度120℃、2.4秒にした)、熱現像処理部120℃
(熱現像感光材料面温度)で20.3秒、徐冷部16秒
(120℃から60℃に連続的に16秒かけて低下さ
せ、冷却速度としては−3.75℃/秒であった)で熱
現像処理を行った。なお、幅方向の温度精度は±0.5
℃であった。各ローラー温度の設定は熱現像感光材料の
幅(例えば幅61cm)よりも両側をそれぞれ5cm長
くして、その部分にも温度をかけて、温度精度が出るよ
うにした。なお、各ローラーの両端部分は温度低下が激
しいので、熱現像感光材料の幅よりも5cm長くした部
分はローラー中央部よりも1〜3℃温度が高くなるよう
に設定し、熱現像感光材料(例えば幅61cmの中で)の画
像濃度が均質な仕上がりになるように留意した。
【0242】(8−3)写真性能の評価 上記(8−1)および(8−2)の露光および熱現像処
理を25℃、30%RHの環境下で行った。なお、熱現
像感光材料はこの環境下に16時間以上保持し、熱現像
感光材料の含水量を一定にした後、上記露光と熱現像処
理を行った。得られた画像の評価をマクベスTD904濃度
計(可視濃度)により行った。測定の結果は、Dmin
(カブリ)、Dmax(最高濃度)、γ(コントラス
ト:露光量の対数を横軸として濃度0.2と2.5の点
を結ぶ直線の傾きで表わした値)で評価した。 (8−4)画像形成層側の塗布面状の評価 熱現像感光材料の塗布面状について、塗布面1m2を評
価し、この時のハジキの個数を計測した。熱現像感光材
料について上記評価を実施した結果を表1に示す。
【0243】
【表1】
【0244】表1より、本発明の熱現像感光材料は、D
min(カブリ)が低く、Dmax(最高濃度)が高
く、かつ塗布面状(ハジキ個数)が良好であることがわ
かる。一方、式(1)で示される化合物および造核剤を
添加しなかった場合、写真製版用途に必要な高いDma
xが得られないことも明らかである。なお、画像形成面
の保護層(b)塗布液に化合物Eまたは式(2)で示さ
れる化合物を添加しなかった場合には、塗布面状がスジ
状となり、写真性能が評価できなかった。
【0245】
【発明の効果】以上のように、本発明によって、特にス
キャナー、イメージセッター等の写真製版に適し、Dm
ax(最高濃度)が高く、カブリが低く、塗布面状が良
好で、ハジキや塗布スジといった面状欠陥が少ない、写
真製版として最適な画像を得ることが可能な熱現像感光
材料を、環境面・コスト面で有利に提供できるようにな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱現像機の構成例の側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、非感光性銀塩、感光性ハロ
    ゲン化銀、造核剤およびバインダーを有する熱現像感光
    材料において、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
    層より外側に少なくとも一種の下記一般式(1): 【化1】 (式中、Tは1価の置換基を表し、k1は0以上4以下
    の整数を表す。k1≧2の場合、複数のTはそれぞれ同
    一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成しても
    よい。L1およびL2はそれぞれ2価の連結基を表し、n
    1およびn2はそれぞれ独立に0以上30以下の整数を表
    す。)で表される有機酸化合物および少なくとも一種の
    下記一般式(2): 【化2】 (式中、Rは炭素数6〜30の、置換または無置換の、
    アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、A
    は2価の連結基を表し、nは0から50の整数を表す。
    Yは−SO3Mまたは−OSO3Mを表す。Mは水素原
    子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモ
    ニウム基または低級アルキルアミン基を表す。)で表さ
    れる化合物を含有する層を有することを特徴とする熱現
    像感光材料。
  2. 【請求項2】 前記画像形成層が、バインダーとして、
    ガラス転移温度が−30〜40℃のポリマーラテックス
    を全バインダーの50重量%以上含有することを特徴と
    する、請求項1の熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 前記造核剤が下記一般式(3): 【化3】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原
    子または置換基を表し、Zは電子吸引性基またはシリル
    基を表す。R1とZ、R2とR3、R1とR2、および/ま
    たはR3とZは、互いに結合して環を形成してもよ
    い。)で表される置換アルケン誘導体、下記一般式
    (4): 【化4】 (式中、R4は置換基を表す。)で表される置換イソオ
    キサゾール誘導体、および下記一般式(5): 【化5】 (式中、XおよびYはそれぞれ独立に水素原子または置
    換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシル
    基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
    シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ
    基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。X
    とY、およびAとBは、それぞれ互いに結合して環を形
    成してもよい。)で表されるアセタール化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特
    徴とする、請求項1または2の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 画像形成層側の最外層表面のpHが6以
    下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの
    熱現像感光材料。
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