JP4040795B2 - 熱現像画像記録材料の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像画像記録材料の製造方法に関するものである。より具体的には、製造安定性がよく、かつ写真性能安定性に優れた熱現像感光材料及び印刷製版用に適した熱現像超硬調感光材料などの熱現像画像記録材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に画像形成層を有し、画像露光することで画像形成を行う感光材料は、数多く知られている。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技術が注目されている。
【0003】
近年医療分野及び写真製版分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる写真製版用途の感光性熱現像材料に関する技術が必要とされている。これら感光性熱現像材料では、溶液系処理による化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0004】
熱現像により画像を形成する方法は、例えば米国特許第3,152,904号明細書、同3,457,075号明細書、およびD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials) Neblette第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)に記載されている。このような感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している。感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0005】
上記の熱現像感光材料においては、一般に「色調剤」として知られる添加剤が最高濃度の高い画像を得たり、現像された銀の色調を改良したり、現像性を改良する目的で必要により用いられる。有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては、広範囲の色調剤が特開昭46-6077号公報、同47-10282号公報、同49-5019号公報、同49-5020号公報、同49-91215号公報、同49-91215号公報、同50-2524 号公報、同50-32927号公報、同50-67132号公報、同50-67641号公報、同50-114217号公報、同51-3223号公報、同51-27923号公報、同52-14788号公報、同52-99813号公報、同53-1020号公報、同53-76020号公報、同54-156524号公報、同54-156525号公報、同61-183642号公報、特開平4-56848号公報、特公昭49-10727号公報、同54-20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,510,236号明細書、英国特許第1380795号明細書、ベルギー特許第841910号明細書などに開示されている。
【0006】
公知の色調剤の例としては、フタラジノン類(例えば、フタラジノン、4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノン、及び2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなど)、フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸、及びテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ、フタラジン類(例えば、フタラジン、5-メチルフタラジン、6-メチルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジン、6-エチルフタラジン、6-イソプロピルフタラジン、6-イソブチルフタラジン、6-t-ブチルフタラジン、4-(1-ナフチル)フタラジン、6-アセチルフタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジン、及び2,3-ジヒドロフタラジンなど)、フタラジンとフタル酸誘導体との組合せ、環状イミド(例えば、フタルイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、並びにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリン、及び2,4-チアゾリジンジオン、ナフタルイミド、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミドなど)、N-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド(例えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3- ジカルボキシイミドなど)、キナゾリンジオン、ベンゾオキサジン又はナフトオキサジン誘導体、コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテートなど)、メルカプタン類(例えば、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール、及び2,5-ジメルカプト-1,3,4- チアジアゾールなど)、ブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン) ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2-(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾール、3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4- オキサゾリジンジオンなど)、色調調節剤としてだけでなくその場ハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体(例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム、及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど)、無機過酸化物、過硫酸塩(例えば、過酸化二硫化アンモニウムなど)、過酸化水素、ベンズオキサジン-2,4-ジオン類(例えば、1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、及び6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなど)、ピリミジンおよび不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、及び1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などを挙げることができる。
【0007】
これらの色調剤には良好な銀色調を与えることだけではなく、十分な画像濃度、適切な現像温度特性、現像進行性、保存時の安定性など様々な性能が要求される。色調剤の好ましい例としては、フタラジノンとフタル酸誘導体との組み合わせ、フタラジンとフタル酸誘導体との組み合わせが従来選択されてきた。
【0008】
一方、従来、熱現像写真材料の多くはトルエン、メチルエチルケトン、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより画像形成層を形成していた。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その他のためコスト上も不利である場合がある。そこで、このような心配のない水溶媒の塗布液を用いて画像形成層を形成する方法が考えられている。例えば、欧州特許公開第803764A1には、水系溶媒に可溶または分散可能なポリマーラテックスをバインダーとする例が、特開昭49-52626号公報、特開昭53-116144号公報などにはゼラチンをバインダーとする例が、特開昭50-151138号公報にはポリビニルアルコールをバインダーとする例が、また特開昭60-61747号公報にはゼラチンとポリビニルアルコールを併用した例がそれぞれ記載されている。これら以外の例として、特開昭58-28737号公報には水溶性ポリビニルアセタールをバインダーとする画像形成層の例が記載されている。
【0009】
このようなバインダーを用いると水溶媒の塗布液を用いて画像形成層を形成することができ、環境面及びコスト面のメリットは大きい。しかしながら、上述の色調剤の組み合わせを用いる場合、有機溶剤を溶媒とする塗布液により画像形成層を形成した際に比べて、1)塗布液調製時にフタラジン類を水混和性有機溶媒に溶解して添加すると塗布液の濾過性を悪化させたり、塗布膜の面質悪化を引き起こすこと、2)水混和性有機溶媒に色調剤を溶解して添加すると経時的に写真感度の変動などを引き起こすことなどの問題が発生する場合があり、その改善が課題となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、熱現像画像記録材料の画像記録面を形成するにあたり、(1)塗布液調製時の濾過性を悪化させることなく、均一で良好な塗布膜面質の熱現像画像記録材料を製造でき、長時間にわたる画像記録材料の製造においても写真感度などの変動のない色調剤を提供すること、及び(2)良好な塗布膜面質を有し、安定した画像記録性能を有する熱現像画像記録材料を提供することにある。また、(3)画像部と非画像部のデイスクリミュネーションに優れた医療診断用の熱現像画像記録材料、及び超硬調化剤を含有し超硬調な特性を有する印刷製版用の熱現像画像記録材料を提供することも本発明の課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行い、下記の手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
(1)(a)還元可能な銀塩、(b)還元剤、(c)バインダー、及び(d)フタラジン誘導体を支持体の少なくとも一方の同一面上に塗布し、乾燥して得られる熱現像画像記録材料の製造方法であって、前記フタラジン誘導体を、親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として、前記熱現像画像記録材料の画像形成層用塗布液及び/又は非画像形成層用塗布液中に添加して、画像形成層及び/又は非画像形成層を形成することを特徴とする熱現像画像記録材料の製造方法。
(2)熱現像画像記録材料が、さらに、感光性ハロゲン化銀を含有する(1)に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
(3)熱現像画像記録材料が、さらに、超硬調化剤を含有する(1)又は(2)に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
(4)親水性高分子化合物がポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、親水性ポリビニルアセタール、及びセルロース類からなる群から選ばれる親水性高分子化合物である(1)から(3)のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
(5)界面活性剤がアニオン性界面活性剤である(1)から(4)のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
(6)フタラジン誘導体が下記の一般式(1):
【化1】
Figure 0004040795
(式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、及びR 16 はそれぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、及びR 16 が同時に水素原子であることはない)で表わされるフタラジン誘導体である(1から5のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
(7)水性可溶化物は、一般式(1)で表わされる化合物を、その1重量部に対して0.1から0.5重量部の水を含む水性調製物を用いて調整されたものである(6)の熱現像画像記録材料の製造方法。
(8)フタラジン誘導体が6−イソプロピルフタラジンである(1)から(7)のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明熱現像画像記録材料の製造方法は、(a)還元可能な銀塩、(b)還元剤、(c)バインダー、及び(d)フタラジン誘導体を支持体の少なくとも一方の同一面上に塗布し、乾燥して得られる熱現像画像記録材料の製造方法であって、前記フタラジン誘導体を、親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として、前記熱現像画像記録材料の画像形成層用塗布液及び/又は非画像形成層用塗布液中に添加して、画像形成層及び/又は非画像形成層を形成することを特徴としている。このような塗布液を用いることにより、フタラジン誘導体を従来の塗布液として用いた場合の問題点(塗布液の感度が経時的に変化したり、塗布液中で凝集物を作り液の濾過性が悪化し、塗布膜の面質が悪化するなど)を回避し、安定した画像形成能を有する熱現像画像記録材料を提供できる。また、超硬調化剤を含有させることにより、印刷製版用に適した熱現像超硬調画像記録材料を提供できる。フタラジン誘導体としては、従来色調剤として用いられているフタラジン誘導体はいずれも使用可能であるが、上記式(1)で表わされるフタラジン誘導体は本発明における熱現像画像記録材料(以下、「本発明の熱現像画像記録材料」ということがある)に好適に用いられる。
【0015】
一般式(1)において、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16が示す1価の置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、さらに好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜13であり、例えばベンジル基などが挙げられる)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、さらに好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等が挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、さらに好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基、などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(本明細書においてハロゲン原子という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、チエニル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基はさらに1個又は2個以上の置換基を有していてもよい。塩形成可能な置換基は塩を形成していてもよい。R11〜R16が結合して形成する環、好ましくはこれらのうちの隣接する2つの基が結合して形成される環としては、ジオキソレン環又はベンゼン環等が挙げられ、2個以上の環が形成されていてもよい。
【0016】
一般式(1)で表わされる化合物のR11、R12、R13、R14、R15、及びR16として、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシ基である。一般式(1)で表される化合物は、例えば、R.G. Elder Field, "Heterocyclic Compounds", John Wiley and Sons, Vol.1〜9, (1950-1967)やA.R. Katritzky, "Comprehensive Heterocyclic Chemistry", Pergamon Press, (1984)などに記載されている既知の方法によって、当業者であれば容易に合成することができる。
【0017】
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明の熱現像画像記録材料に使用可能なフタラジン誘導体はこれらに限定されるものではない。
【0018】
【化3】
Figure 0004040795
【0019】
【化4】
Figure 0004040795
【0020】
【化5】
Figure 0004040795
【0021】
【化6】
Figure 0004040795
【0022】
【化7】
Figure 0004040795
【0023】
【化8】
Figure 0004040795
【0024】
【化9】
Figure 0004040795
【0025】
一般式(1)で表される化合物は、親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として、前記熱現像画像記録材料の画像形成層用塗布液及び/又は非画像形成層用塗布液中に添加される。一般式(1)で表される化合物は一層中に添加してもよいが、層を分割して添加してもよく、各層毎に配合量を変化させて添加することもできる。また、一般式(1)で表される化合物を2種以上併用して添加してもよい。一般式(1)で表される化合物の添加量は所望の目的により異なるが、銀1モル当たり1×10-4〜1モル、好ましくは5×10-3〜5×10-1モル、さらに好ましくは2×10-3〜2×10-1モル添加することができる。2種以上併用する場合は、それらの総量が上記の範囲の添加量となるように任意の比率で混合して用いることができる。
【0026】
本発明における熱現像画像記録材料では、フタラジン誘導体を親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として塗布液に添加する。本明細書において用いられる「可溶化」という用語は、溶液を形成する場合のほか、ミセル形成などによる均一な分散状態を含めて解釈する必要があり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない
【0027】
親水性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、親水性ポリビニルアセタール、又はセルロース類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系高分子化合物としては、例えば、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体(通常、「ポリビニルアルコール(PVA)」と称される)、分子の末端や分子鎖に置換基を導入した変性ポバール、ビニルアルコールとアクリレート類(例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどやこれらの組み合わせ)の共重合体、ビニルアルコールとアクリルアミド類(例えば、メチルアクリルアミド、ブチルアクリルアミドなど)の共重合体などを用いることが好ましい。
【0028】
ポリビニルアルコール類の品質は、可溶化するフタラジン誘導体の特性に合わせ適宜選択すれことが可能であるが、鹸化度は70%〜90%が好ましい。鹸化度が70%未満になると、ポリビニルアルコールの水への溶解性が低くなり、ポリビニルアルコールを均一に分散できなくなることがある。鹸化度が90%以上になると、分散するフタラジン誘導体との親和性が不足して均一にミセルを形成できない場合がある。
【0029】
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、一般に市販されているものを用いることができる。ポリビニルアルコールの代表的な市販品としては、クラレ社製のPVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−228、PVA−235、PVA−403、PVA−405、PVA−420など、日本合成化学社製のゴーセノールGL−03、GL−05、AL−02、NK−05など、電気化学工業社製のデンカポバールK−02、B−03など、変性ポリビニルアルコールの代表的な市販品としては、クラレ社製のMP−202、MP−203などが挙げられる。
【0030】
親水性ポリビニルアセタール高分子化合物としては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルヘキシラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。これらのアセタール化度の範囲はポリマー毎に異なるが、ポリビニルホルマールでは4〜30モル%、ポリビニルアセタールでは3〜25モル%、ポリビニルブチラールでは2〜20モル%、ポリビニルヘキシラールでは2〜15モル%の範囲が好ましい。セルロース系高分子化合物としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができ、その他にフタラジン誘導体の分散性に合わせ任意の置換基を導入したものが用いられる。
【0031】
フタラジン誘導体の可溶化分散に用いる界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、又はノニオン系の界面活性剤が挙げられる。2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、又は燐酸エステル系などを挙げることができ、分散するフタラジン誘導体の特性に合わせて適宜選択することが可能である。それぞれ、単量体、2量体、3量体、及び多量体分子を形成しているものでもよい。カウンターイオンとしては、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、4級アンモニウム、ピリジニュームなどの陽イオンが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、4級アンモニウム系、ピリジニューム系、ホスホニューム系などを挙げることができ、カウンターアニオンとしては、塩素、臭素,沃素、トルエンスルホン酸、次亜塩素酸などの陰イオンが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系などが挙げられる。
【0032】
水溶性高分子物質の溶解温度及び溶解時間は、使用する高分子物質の種類、調製濃度、調製量、及び攪拌装置形態や速度などにより適宜選択できるが、一般には溶解温度を40〜90℃の範囲、溶解時間を30分〜10時間の範囲から任意に設定可能である。また、塗布液中に含まれるフタラジン誘導体、水溶性高分子物質及び界面活性剤の量は、フタラジン誘導体の分散性、塗布液のろ過性、塗布性、及び画像形成性に支障をきたさない任意の範囲で設定できる。例えば、塗布液中にフタラジン誘導体を1〜30%、水溶性高分子物質を1〜15%、界面活性剤を0.1〜10%の任意の範囲で配合することができるが、必要に応じてこの範囲外の配合比で用いることもできる。なお、フタラジン誘導体の可溶化物調製にあたり、フタラジン誘導体を含む水性調製物を用いることが望ましい。例えば、一般式(1)で表わされる化合物の1重量部に対して0.1から0.5重量部の水を含む水性調製物を用いて可溶化物を調製することが好ましい。フタラジン誘導体を含む水性調製物は、例えば、溶液状態のほか、固体の状態であってもよい。
【0033】
本発明の熱現像画像記録材料には、超硬調化剤として下記一般式(2)から(4)で表される化合物を配合することが好ましい。
【化10】
Figure 0004040795
【0034】
一般式(2)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を示し、Zは電子吸引性基又はシリル基を示す。R1とZ、R2とR3、R1とR2、及び/又はR3とZは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(3)において、R4は一価の置換基を示す。一般式(4)において、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を示し、A及びBはそれぞれ独立にアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環アミノ基を示す。XとY、及び/又はAとBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0035】
1、R2、R3が示す一価の置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基などを含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(環構成窒素原子上に置換基を有する含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコキシ基(エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アルキル置換、アリール置換、又はヘテロ環置換アミノ基など)、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル又はアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、置換チオ基(アルキル置換、アリール置換、又はヘテロ環置換チオ基など)、アシルチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスホリル基、リン酸アミド又はリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタニル基などが挙げられる。これらの置換基は、さらに上記に例示した置換基を1又は2個以上有していてもよい。
【0036】
Zが示す電子吸引性基は、例えば、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことを意味しており、具体的には、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基のほか、これらの電子吸引性基で置換されたアリール基などを挙げることができる。ヘテロ環基としては、飽和又は不飽和のヘテロ環基を用いることができ、例えばピリジル基、キノリル基、キノキサリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基等がその例として挙げられる。上記に例示した電子吸引性基はさらに1又は2個以上の置換基を有していてもよく、その置換基としては、R1、R2、R3について説明した一価の置換基を用いることができる。R1とZ、R2とR3、R1とR2、及び/又はR3とZが互いに結合して形成される環状構造としては、非芳香族の炭素環又は非芳香族のヘテロ環を挙げることができる。好ましくは5員〜7員の環状構造であり、置換基を含めたその総炭素数は1〜40、さらには3〜30が好ましい。R1とZ、又はR2とR3が環状構造を形成する場合がより好ましい。
【0037】
Zが示すシリル基としては、好ましくは、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメチルシリルジメチルシリル基などを挙げることができる。Zが示す電子吸引性基としては、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、すなわち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、又は任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基などを挙げることができ、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメチル基、又は任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基などを挙げることができ、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、又はカルバモイル基を挙げることができる。Zで表される基は、電子吸引性基であることがより好ましい。
【0038】
1、R2、及びR3が示す一価の置換基として、好ましくは、総炭素数0〜30の基で、上記Zにおける電子吸引性基で例示した基のほか、アルキル基、ヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換又は無置換のアリール基などが挙げられる。
【0039】
1は好ましくは電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、水素原子、又はシリル基である。R1が電子吸引性基を示す場合、電子吸引性基として、好ましくは総炭素数0〜30の以下の基、すなわち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、飽和又は不飽和のヘテロ環基などを挙げることができ、より好ましくはシアノ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、スルファモイル基、カルボキシ基(又はその塩)、飽和又は不飽和のヘテロ環基を挙げることができる。特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又は飽和若しくは不飽和のヘテロ環基である。
【0040】
1がアリール基を示す場合、アリール基として、好ましくは総炭素数6〜30の置換又は無置換のフェニル基を挙げることができる。フェニル基上の置換基としては任意の置換基を用いることができるが、電子吸引性の置換基、例えば上記に例示した電子吸引性基が好ましい。R1はより好ましくは電子吸引性基又はアリール基である。
【0041】
2及びR3が示す置換基として、好ましくは、Zが示す電子吸引性基において例示した基のほか、アルキル基、ヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換又は無置換のフェニル基などを挙げることができる。R2及びR3のどちらか一方が水素原子であり、他方が一価の置換基であることがより好ましい。この場合、置換基としては、好ましくは、アルキル基、ヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフルオロアルカンアミド基など)、スルホンアミド基、置換又は無置換のフェニル基、ヘテロ環基などを挙げることができ、さらに好ましくはヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはヒドロキシ基(又はその塩)、アルコキシ基、ヘテロ環基である。
【0042】
一般式(2)で表される化合物の中で、より好ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、又はカルバモイル基であり、R1が電子吸引性基又はアリール基であり、R2又はR3のどちらか一方が水素原子であり、他方がヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環基である化合物である。
【0043】
また、一般式(2)で表される化合物の中で特に好ましいものの1つは、ZとR1とが非芳香族の5員〜7員の環状構造を形成し、R2又はR3のどちらか一方が水素原子であり、他方がヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はヘテロ環基である化合物である。この時、R1と共に非芳香族の環状構造を形成するZとしては、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基などが好ましく、R1としては、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0044】
一般式(3)において、R4で表される置換基としては、一般式(2)のR1〜R3において説明した一価の置換基を用いることができる。R4で表される置換基は、好ましくは電子吸引性基又はアリール基である。R4が電子吸引性基である場合、電子吸引性基としては、好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、すなわち、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、イミノ基、又は飽和若しくは不飽和のヘテロ環基を挙げることができ、さらに好ましくはシアノ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基を挙げることができる。特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はヘテロ環基である。
【0045】
4がアリール基である場合には、好ましくは総炭素数0〜30の置換又は無置換のフェニル基を用いることができる。フェニル基上の置換基としては、一般式(2)のR1、R2、R3について説明した一価の置換基を用いることができる。R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、又は置換若しくは無置換のフェニル基であり、最も好ましくはシアノ基、ヘテロ環基、又はアルコキシカルボニル基である。
【0046】
一般式(4)において、X及びYが示す置換基としては、一般式(2)のR1、R2、R3について説明した一価の置換基を用いることができる。具体的には、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル基などを含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ホスホリル基、カルボキシ基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、ヒドロキシ基(又はその塩)、メルカプト基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基などが挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。形成される環状構造としては、非芳香族の炭素環又は非芳香族のヘテロ環であってもよい。
【0047】
X及びYが示す置換基としては、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総炭素数1〜30の基であり、より具体的には、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、アルコキシ基、又はアリール基などを用いることができる。さらに好ましいX及びYとしては、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフルオロメチル基、ヘテロ環基、又は置換されたフェニル基などを挙げることができ、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、又は任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基などを挙げることができる。
【0048】
XとYが互いに結合して非芳香族の炭素環又は非芳香族のヘテロ環を形成する場合も好ましい。形成される環状構造は5員〜7員環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜30が好ましい。環状構造を形成するX及びYとしては、好ましくは、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、窒素原子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等を挙げることができる。
【0049】
A及びBが示す基は、好ましくは総炭素数1〜40であり、より好ましくは総炭素数1〜30であり、さらに置換基を有していてもよい。A及びBは互いに結合して環状構造を形成している場合がより好ましい。形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜30が好ましい。A及びBが結合した例(−A−B−)としては、例えば、−O−(CH22−O−,−O−(CH23−O−,−S−(CH22−S−,−S−(CH23−S−,−S−ph−S−,−N(CH3)−(CH22−O−,−N(CH3)−(CH22−S−,−O−(CH22−S−,−O−(CH23−S−,−N(CH3)−ph−O−,−N(CH3)−ph−S−,−N(ph)−(CH22−S−などを挙げることができる。
【0050】
上記一般式(2)〜(4)で表される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59-195233号公報、同59-200231号公報、同59-201045号公報、同59-201046号公報、同59-201047号公報、同59-201048号公報、同59-201049号公報、特開昭61-170733号公報、同61-270744号公報、同62-948号公報、同63-234244号公報、同63-234245号公報、同63-234246号公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2-285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0051】
一般式(2)〜一般式(4)で表される化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマーが組み込まれているものでもよい。特にバラスト基が組み込まれているものは好ましい例の1つである。バラスト基は8以上の炭素数を有する画像形成性に関して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば特開平1-100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0052】
一般式(2)〜(4)で表される化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、置換チオ基(アルキル置換、アリール置換、又はヘテロ環置換チオ基など)、又は塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル基など)が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、又は置換チオ基(アルキル置換、アリール置換、又はヘテロ環置換チオ基など)が含まれているものは、好ましい例の1つである。これらの基の具体例としては、例えば特開平7-234471号公報、特開平5-333466号方法、特開平6-19032号公報、特開平6-19031号公報、特開平5-45761号公報、米国特許第4,994,365号明細書、米国特許第4,988,604号明細書、特開平3-259240号公報、特開平7-5610号公報、特開平7-244348号公報、独国特許第4,006,032号明細書などに記載の化合物が挙げられる。
【0053】
一般式(2)〜(4)で表わされる化合物の具体例を以下に示すが、本発明の熱現像画像記録材料に用いられる化合物は下記の具体例に限定されることはない。
【0054】
【化11】
Figure 0004040795
【0055】
【化12】
Figure 0004040795
【0056】
【化13】
Figure 0004040795
【0057】
【化14】
Figure 0004040795
【0058】
一般式(2)〜(4)で表される化合物は、水又は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。好ましくは水に溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート又はジエチルフタレートなどのオイルや、酢酸エチル又はシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、一般式(2)〜(4)で表される化合物の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いてもよい。一般式(2)〜(4)で表される化合物を本発明の熱現像画像記録材料へ添加する方法は特に限定されないが、一般的には乳化分散又は固体分散して用いるのが好ましい。
【0059】
一般式(2)〜(4)で表される化合物は、支持体上の画像形成層側の任意の層、例えば画像形成層及び/又はその他の層に添加してもよいが、画像形成層及び/又はそれに隣接する層に添加することが好ましい。一般式(2)〜(4)で表される化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。一般式(2)〜(4)で表される化合物は公知の方法により容易に合成することができるが、例えば、米国特許第5,5545,515号明細書、米国特許第5,635,339号明細書、米国特許第5,654,130号明細書、国際公開WO97/34196号、特願平9-354107号明細書、特願平9-309813号明細書、特願平9-272002号明細書に記載の方法を参考に合成することができる。
【0060】
一般式(2)〜(4)で表される化合物は単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。また上記のものの他に、米国特許第5,5545,515号明細書、米国特許第5,635,339号明細書、米国特許第5,654,130号明細書、国際公開WO97/34196号、米国特許第5,686,228号に記載の化合物、特願平9-228881号明細書、特願平9-273935号明細書、特願平9-354107号明細書、特願平9-309813号明細書、特願平9-296174号明細書、特願平9-282564号明細書、特願平9-272002号明細書、特願平9-272003号明細書、特願平9-332388号明細書に記載された化合物を併用して用いても良い。
【0061】
さらに本発明の熱現像画像記録材料では、特願平9-166628号明細書、特願平8-279957号明細書、特願平9-240511号明細書に記載のヒドラジン誘導体を組み合わせて用いることもできる。さらに下記のヒドラジン誘導体:特公平6-77128号公報に記載の(化1)で表される化合物(具体的には同公報3頁及び4頁に記載の化合物);特公平6-93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物(具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物);特開平6-230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)、及び一般式(6)で表される化合物(具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、及び39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7);特開平6-289520号公報に記載の一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物(具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)、及び2−1));特開平6-313936号公報に記載の(化2)及び(化3)で表される化合物(具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物);特開平6-313951号に記載の(化1)で表される化合物(具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物);特開平7-5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物(具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38);特開平7-77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物(具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102);特開平7-104426号公報に記載の一般式(H)及び一般式(Ha)で表される化合物(具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44);欧州特許公開713131Aに記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基又はヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物(具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30);欧州特許公開713131Aに記載の一般式(1)で表される化合物(具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55);1991年3月22日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体;特開昭62-86354号公報(6頁〜7頁)の化合物D−2およびD−39などを組み合わせて用いることもできる。
【0062】
上記ヒドラジン誘導体は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート又はジエチルフタレートなどのオイルや、酢酸エチル又はシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。固体分散法として知られている方法によってヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、又は超音波によって分散して用いてもよい。これらヒドラジン誘導体の感材への添加方法としては、乳化分散或いは固体分散して用いるのが好ましい。
【0063】
上記ヒドラジン誘導体は、支持体上の画像形成層側の任意の層、例えば画像形成層及び/又はその他の層側に添加してもよいが、画像形成層及び/又はそれに隣接する層に添加することが好ましい。上記ヒドラジン誘導体の添加量は銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0064】
また、米国特許第5,545,515号明細書に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN-1〜CN-13等を超硬調化剤として用いることができる。また、本発明の熱現像画像記録材料には、超硬調画像形成のために、前記の超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記載のアミン化合物(具体的にはAM-1〜AM-5);同5,545,507号明細書に記載のヒドロキサム酸類(具体的にはHA-1〜HA-11);同5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合物(具体的にはCA-1〜CA-6);特願平8-132836号明細書に記載のオニュ−ム塩類(具体的にはA-1〜A-42、B-1〜B-27、C-1〜C-14)などを用いることができる。前記の超硬調化剤及び硬調化促進剤の合成方法、添加方法、添加量等は特に限定されないが、それぞれの引用文献に記載された方法を参考にすることが望ましい。
【0065】
本発明の熱現像画像記録材料は有機銀塩のための還元剤を含むが、有機銀塩のための還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質を用いることができる。例えば、フェニドン、ハイドロキノン、及びカテコールなどの従来の写真現像剤も有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は、支持体上の画像形成層側の任意の層に配合することができる。画像形成層以外の層に添加する場合には、銀1モルに対して10〜50モル%程度を使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0066】
有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料において利用可能な広範囲の還元剤が、例えば、特開昭46-6074号公報、同47-1238号公報、同47-33621号公報、同49-46427号公報、同49-115540号公報、同50-14334号公報、同50-36110号公報、同50-147711号公報、同51-32632号公報、同51-1023721号公報、同51-32324号公報、同51-51933号公報、同52-84727号公報、同55-108654号公報、同56-146133号公報、同57-82828号公報、同57-82829号公報、特開平6-3793号公報、米国特許第3,667,9586号明細書、同3,679,426号明細書、同3,751,252号明細書、同3,751,255号明細書、同3,761,270号明細書、同3,782,949号明細書、同3,839,048 号明細書、同3,928,686号明細書、同5,464,738号明細書、独国特許2321328号明細書、欧州特許第692732号明細書などに開示されている。
【0067】
還元剤として、例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシム、及びp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトン及び/又はヒドラジンとの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトン、又はホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンとの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、及びβ-アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールとの組み合わせなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、及びビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン又は2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなどの5-ピラゾロン誘導体;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン、及びアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン類;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど;2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール)、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン、及び2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);並びにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒド及びケトン類;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などを挙げることができる。
【0068】
上記還元剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で本発明の熱現像画像形成材料に添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0069】
本発明の熱現像画像記録材料に用いられる感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成は特に制限されず、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また、塩化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0070】
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号明細書に記載されている方法を用いることができる。具体的には、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法などを用いることができる。本発明の熱現像画像記録材料の製造においては、好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、さらに好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他、正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0071】
ハロゲン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明の熱現像画像記録材料の製造には特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。さらに、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT. Tani; J. Imaging Sci., 29, 165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0072】
感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族(第7族〜第10族)の金属または金属錯体を含有することが好ましい。周期律表の第VII族、あるいは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムを用いることができる。これら金属錯体は単独で用いてもよいが、同種金属又は異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し10-9モルから10-2モルの範囲がであり、10-8モルから10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。
【0073】
好適なロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テトラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水又は適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、例えばハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ化水素酸等)、又はハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。ロジウム化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10-6モルの範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×10-6モルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込むことが好ましい。
【0074】
好ましく用いられるレニウム、ルテニウム、オスミウムは、特開昭63-2042号公報、特開平1-285941号公報、同2-20852号公報、同2-20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式:[ML6n -(式中、MはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子を表し、nは0、1、2、3または4を示す)で表わされる六配位錯体が挙げられる。この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属イオンなどが用いられる。好ましい配位子としては、ハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
【0075】
本発明の熱現像画像記録材料の製造用いられる錯体として、例えば、[ReCl6]3 -、[ReBr6]3 -、[ReCl5(NO)]2 -、[Re(NS)Br5]2 -、[Re(NO)(CN)5]2 -、[Re(O)2(CN)4]3 -、[RuCl6]3 -、[RuCl4(H2O)2]-、[RuCl5(H2O)]2 -、[RuCl5(NO)]2 -、[RuBr5(NS)]2 -、[Ru(CO)3Cl3]2 -、[Ru(CO)Cl5]2 -、[Ru(CO)Br5]2 -、[OsCl6]3 -、[OsCl5(NO)]2 -、[Os(NO)(CN)5]2 -、[Os(NS)Br5]2 -、[Os(O)2(CN)4]4 -などを挙げることができるが、利用可能な錯体はこれらに限定されることはない。これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9モル〜1×10-5モルの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-6モルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込むことが好ましい。
【0076】
これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込む方法としては、金属錯体の粉末又はNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、銀塩とハライド溶液を混合するときに第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法などが利用可能である。特に、粉末又はNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加するには、粒子形成直後、物理熟成時途中若しくは終了時、又は化学熟成時に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入すればよい。
【0077】
イリジウム化合物としては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラトイリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウムなどを挙げることができる。上記イリジウム化合物は、水又は適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、例えば、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、又はハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる代わりに、ハロゲン化銀調製時にあらかじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0078】
さらに、本発明の熱現像画像形成材料の製造に用いられるハロゲン化銀粒子は、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有してもよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよい。上記金属の含有量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-4モルが好ましい。また、上記金属は、単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩にしてハロゲン化銀粒子の調製時に添加することができる。
【0079】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法などの当業界で知られている方法に従って、水洗により脱塩することができるが、本発明の熱現像画像形成材料の製造においては脱塩していない感光性ハロゲン化銀粒子を用いてもよい。
【0080】
ハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの公知の方法を用いることができ、これらの方法を単独又は適宜組み合わせて用いることができる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法とテルル増感法と金増感法などの組み合わせが好ましい。
【0081】
硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モルあたり10-7〜10-2モルであり、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
【0082】
セレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。通常、不安定型及び/又は非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては、例えば、特公昭44-15748号公報、同43-13489号公報、特開平4-25832号公報、同4-109240号公報、同4-324855号公報などに記載の化合物を用いることができる。特に特開平4-324855号公報中の一般式(VIII) 及び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0083】
テルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面又は内部に増感核になると推定されるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5-313284号公報に記載の方法で試験することができる。テルル増感剤としては、例えば、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P-Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te-オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4-204640号公報、特願平3-53693号公報、同3-131598号公報、同4-129787号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J. Chem. Soc. Chem. Commun.) 635(1980)、ibid 1102(1979)、ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J. Chem. Soc. Perkin. Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、同 Vol.2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5-313284号公報中の一般式(II)、(III)、及び(IV)で示される化合物が好ましい。
【0084】
セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって適宜選択できるが、一般にハロゲン化銀1モルあたり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いることができる。化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0085】
貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。ハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0086】
増感法として還元増感を用いてもよい。還元増感法に用いる具体的な化合物としては、例えば、アスコルビン酸、二酸化チオ尿素などのほか、例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することもできる。さらに、ハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開293,917号に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0087】
本発明の熱現像画像記録材料中のハロゲン化銀乳剤は一種だけでもよいが、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるものなど)を併用してもよい。感光性ハロゲン化銀の使用量としては、有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件は特に限定されないが、例えば、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法などを採用することができる。
【0088】
還元可能な銀塩として用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する性質を有している。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機又は無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70重量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含んでおり、例えば脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むが、有機化合物の種類はこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、例えば、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。
【0089】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩及びこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、例えば、3-メルカプト-4-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、2-メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2-メルカプト-5-アミノチアジアゾールの銀塩、2-(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5-カルボキシル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2-メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号明細書に記載の銀塩、例えば3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チアゾールの銀塩などの1,2,4-メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号明細書に記載の3-(3-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩などを挙げることができる。さらに、イミノ基を含む化合物も使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩及びそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5-クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号明細書に記載されているような1,2,4-トリアゾール又は1-H-テトラゾールの銀塩、イミダゾール、及びイミダゾール誘導体の銀塩などを挙げることができる。例えば、米国特許第4,761,361号明細書及び同第4,775,613号明細書に記載されているような種々の銀アセチリド化合物をも使用することもできる。
【0090】
有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。例えば、短軸0.01μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは、短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下であることを意味している。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があるが、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)は、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下である。例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)を基にして分散性を求めることができる。有機銀塩は、好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を用いることが好ましい。
【0091】
高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性ハロゲン化銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。そして、このような工程を経た後に、感光性ハロゲン化銀塩水溶液と混合して画像形成層を形成するための塗布液を製造する。このような塗布液を用いて熱現像画像記録材料を作製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像画像記録材料が得られる。これに対し、高圧、高速流下に変換して分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下しやすくなる場合がある。また、分散媒として水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くなり、カブリが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、感光性銀塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の有機銀塩の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン法を用いると感度が低下しやすくなる。高圧、高速下に変換して分散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まず、もし含んだとしてもその含有量は非感光性の有機銀塩に対して0.1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は必要ない。
【0092】
上記のような分散法を実施するために用いられる固体分散装置及びその技術については、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶内俊夫、薄井洋基著、1991、信山社出版(株)、p357〜p403)、『化学工学の進歩 第24集』(社団法人化学工学会東海支部編、1990、槙書店、p184〜p185等に詳しいが、分散法としては、少なくとも有機銀塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせることにより微細な分散を行うことが好ましい。
【0093】
高圧ホモジナイザーについては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧下から常圧に解放される際に生じる『キャビテーション力』等の分散力によって微細な粒子への分散が行われると考えられている。この種の分散装置としては、古くはゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置では高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には100〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数を増やすなどの工夫を施したものも考案されている。これに対して、近年さらに高圧、高流速での分散が可能となる装置が開発されてきており、その代表例としてはマイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー(特殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0094】
好適な分散装置としては、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−110Y(H10Zインターラクションチャンバー付き)、M−140K(G10Zインターラクションチャンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH230Zインターラクションチャンバー付き),HC−8000(E230ZまたはL30Zインターラクションチャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させることにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降下を生じさせることにより最適な有機銀塩分散物を得ることが可能である。
【0095】
有機銀塩分散においては、流速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズに分散することが可能であるが、写真特性と粒子サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲であることがさらに好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択でき、通常は1回〜10回の処理回数が選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にすることは、分散性、画像形成特性の点から好ましくなく、90℃を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすくなると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、前記の高圧、高流速に変換する前の工程、又は圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程において冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程により5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、さらに好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置することが有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また必要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使用することもできる。
【0096】
分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号公報に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いることができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセルロース誘導体が特に好ましい。
【0097】
分散助剤を分散前に有機銀塩の粉末またはウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーとして分散機に送り込むのが一般的な方法であるが、予め有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施して有機銀塩粉末又はウェットケーキとしてもよい。分散前後又は分散中に適当なpH調整剤によりpHコントロールしてもよい。機械的に分散する以外に、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させることもできる。この場合、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用してもよいが、有機溶媒を微粒子化終了後に除去することが好ましい。
【0098】
調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑える目的で撹拌しながら保存するか、あるいは親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用してゼリー状にした状態)で保存することができる。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加することもできる。有機銀塩は所望の量で使用できるが、画像形成材料1m2当たりの塗布量として、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/ m2である。
【0099】
画像を向上させる「色調剤」として、フタラジン誘導体、好ましくは上記の式(1)で表わされるフタラジン誘導体以外にも、当業界で用いられる色調剤を添加してもよい。色調剤を用いることにより光学濃度が高くなることがあり、黒色銀画像を形成させる上でも有利になることがある。フタラジン誘導体以外の色調剤は、分散性、塗布液のろ過性、塗布性、及び画像形成性に支障をきたさないように選択することが必要である。色調剤は、画像形成層を有する面に銀1モル当たり0.1〜50%(モル)の量含まれることが好ましく、0.5〜20%(モル)含まれることがさらに好ましい。2種以上を組み合わせて用いる場合には、総量が上記の範囲となることが望ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。フタラジン誘導体と共に用いる色調剤は、前記の手段により可溶化されている必要がある。
【0100】
有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料において利用可能な広範囲の色調剤が知られている。例えば、特開昭46-6077号公報、同47-10282号公報、同49-5019号公報、同49-5020号公報、同49-91215号公報、同49-91215号公報、同50-2524号公報、同50-32927号公報、同50-67132号公報、同50-67641号公報、同50-114217号公報、同51-3223号公報、同51-27923号公報、同52-14788号公報、同52-99813号公報、同53-1020号公報、同53-76020号公報、同54-156524号公報、同54-156525号公報、同61-183642号公報、特開平4-56848号公報、特公昭49-10727号公報、同54-20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,510,236号明細書、英国特許第1380795号明細書、ベルギー特許第841910号明細書などに開示されている。
【0101】
フタラジン誘導体以外に利用可能な色調剤の例としては、フタルイミド及びN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、並びにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリン、及び2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミドなど);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテートなど);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェニル-1,2,4-トリアゾール、及び2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル) アリールジカルボキシイミド(例えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミドなど);ブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体及びある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾール)など);3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体若しくは金属塩、又は4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノン、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン又はその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジン又はナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム、及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物及び過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウム、及び過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、及び6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジン及び不斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、及び1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがある。
【0102】
画像形成層(感光性層、乳剤層)のバインダーとしては、周知の天然又は合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。バインダーとしてコポリマー又はターポリマーを用いてもよい。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレン、及びブタジエン-スチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種又はそれ以上組合せて使用することができる。バインダーは成分をその中に保持するのに十分な量で使用されるが、効果的な範囲は当業者が適宜決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1 の範囲であることが好ましい。
【0103】
画像形成層のうち少なくとも1層は、以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50wt%以上含有する画像形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像画像記録材料を用いる場合には、保護層やバック層にもポリマーラテックスを用いることが望ましい。「ポリマーラテックス」とは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものを意味しており、分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。ポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50,000 nm、より好ましくは5〜1,000 nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0104】
ポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外に、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。バインダーに用いるポリマーラテックスのポリマーのガラス転移温度(Tg)は、保護層、バック層と画像形成層とでは一般的に好ましい範囲が異なる。画像形成層では、熱現像時に写真有用素材の拡散を促すために40℃以下であり、-30〜40℃が好ましい。保護層やバック層では、種々の機器と接触するために25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。ポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)である。例えば、前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0105】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などを挙げることができる。ポリマーとしては、直鎖のポリマー又は枝分かれしたポリマーのほか、架橋されたポリマーでもよい。また、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよく、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合には、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーのいずれでもよい。ポリマーの分子量は、数平均分子量で5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度が好ましい。分子量が小さすぎると画像形成層の力学強度が不十分になる場合があり、分子量が大きすぎると製膜性が悪くなることがある。
【0106】
熱現像画像記録材料の画像形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては、例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなどを挙げることができる。このようなポリマーは市販されており、容易に入手可能である。
【0107】
例えば、アクリル樹脂の例としては、セビアンA-4635、46583、4601(ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(日本ゼオン(株)製)などを挙げることができ、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(イーストマンケミカル製)などを挙げることができ、ポリウレタン樹脂としては、HYDRAN AP10、20、30、40(大日本インキ化学(株)製)などを挙げることができる。ゴム系樹脂としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)などがあり、塩化ビニル樹脂としては、G351、G576(日本ゼオン(株)製)などがあり、塩化ビニリデン樹脂としては、L502、L513(旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(三井化学(株)製)などがあり、オレフィン樹脂としてはケミパールS120、SA100(三井化学(株)製)などがある。これらのポリマーは単独で用いてもよいが、必要に応じて2種以上をブレンドして用いてもよい。画像形成層には、全バインダーの50重量%以上の割合で上記ポリマーラテックスを用いることが好ましいが、70重量%以上の割合で上記ポリマーラテックスを用いることがより好ましい。
【0108】
画像形成層には、必要に応じて全バインダーの50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30重量%以下、さらには15重量%以下が好ましい。画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0109】
画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。「水系」とは、塗布液の溶媒(分散媒)の70重量%以上が水であることを意味している。塗布液の水以外の溶媒成分としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、水のほか、以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5 (ただし数字は重量%を表す)。より好ましくは、水に対する溶媒の比率が10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0110】
増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるものであればいかなるものを用いてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。熱現像画像記録材料の製造に有用な増感色素は、例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A項(1978年12月、p.23)、同Item1831X項(1979年8月、p.437)に記載されており、又は引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0111】
赤色光への分光増感の例としては、He-Neレーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤色光源に対しては、特開昭54-18726号公報に記載のI-1からI-38 の化合物、特開平6-75322号公報に記載のI-1からI-35の化合物、特開平7-287338号公報に記載のI-1からI-34の化合物、特公昭55-39818号公報に記載の色素1から20、特開昭62-284343号公報に記載のI-1からI-37の化合物、及び特開平7-287338号公報に記載のI-1からI-34の化合物などが有利に選択される。
【0112】
750〜1,400nmの波長領域の半導体レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノール、及びキサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核、及びピラゾロン核などの酸性核も含む。上記のシアニン及びメロシアニン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。例えば、米国特許第3,761,279号明細書、同3,719,495号明細書、同3,877,943号明細書、英国特許1,466,201号明細書、同1,469,117号明細書、同1,422,057号明細書、特公平3-10391号公報、同6-52387号公報、特開平5-341432号公報、同6-194781号公報、同6-301141号公報に記載されたような既知の色素から適宜選択することができる。
【0113】
色素として特に好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有するシアニン色素(例えば、特開昭62-58239号公報、同3-138638号公報、同3-138642号公報、同4-255840号公報、同5-72659号公報、同5-72661号公報、同6-222491号公報、同2-230506号公報、同6-258757号公報、同6-317868号公報、同6-324425号公報、特表平7-500926号公報、米国特許第5,541,054号明細書に記載された色素など)、カルボン酸基を有する色素(例えば、特開平3-163440号公報、同6-301141号公報、米国特許第5,441,899号明細書に記載された色素など)、メロシアニン色素、多核メロシアニン色素、又は多核シアニン色素(特開昭47-6329号公報、同49-105524号公報、同51-127719号公報、同52-80829号公報、同54-61517号公報、同59-214846 号公報、同60-6750号公報、同63-159841号公報、特開平6-35109号公報、同6-59381号公報、同7-146537号公報、同7-146537号公報、特表平55-50111号公報、英国特許1,467,638号明細書、米国特許第5,281,515号明細書に記載された色素など)が挙げられる。また、J-bandを形成する色素として、例えば、米国特許第5,510,236号明細書、同3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2-96131号公報、特開昭59-48753号公報に記載された色素などを好ましく用いることができる。
【0114】
これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素又は可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、例えば、Research Disclosure、176巻、17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、又は特公昭49-25500号公報、同43-4933号公報、特開昭59-19032号公報、同59-192242号公報などに記載されている。
【0115】
増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する方法は特に限定されず、例えば、増感色素を直接乳剤中に分散する方法、又は水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合物などの溶媒に溶解して乳剤に添加する方法のいずれを採用してもよい。また、米国特許第3,469,987号明細書などに開示されているように、色素を揮発性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号公報、同44-27555号公報、同57-22091号公報などに開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加するか、あるいは酸又は塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同4,006,025号明細書などに開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733号公報、同58-105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を採用することもできる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0116】
増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同3,628,960号明細書、同4,183,756号明細書、同4,225,666号明細書、特開昭58-184142号公報、同60-196749号公報などの刊行物に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程及び/又は脱塩前の時期、脱塩工程中及び/又は脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920号公報などに開示されているように、化学熟成の直前又は工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期など、乳剤が塗布される前であればいかなる時期又は工程において増感色素を添加してもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58-7629号公報などの刊行物に開示されているように、同一化合物を単独で、又は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中又は化学熟成完了後とに分け、あるいは化学熟成の前又は工程中と完了後とに分けて分割添加してもよい。分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。感色素の使用量は感度やカブリなどの性能に応じて適宜選択できるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0117】
現像を抑制又は促進するなどの現像制御のため、分光増感効率の向上のため、あるいは現像前後の保存性の向上のために、本発明の熱現像画像記録材料にはメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有することができる。
【0118】
メルカプト化合物の構造は特に限定されないが、例えば、Ar-SM0、Ar-S-S-Ar(式中、M0は水素原子又はアルカリ金属原子を示し、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウム、又はテルリウム原子を有する芳香環基又は縮合芳香環基を示す)で表されるメルカプト化合物が好ましい。Arが示す複素芳香環としては、ベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、又はキナゾリノンなどを挙げることができる。複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、臭素原子又は塩素原子など)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)、及びアリール基(置換基を有していてもよい)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
【0119】
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、例えば、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-[3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2-メルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる。メルカプト化合物の添加量としては乳剤層(画像形成層)中に銀1モル当たり0.0001〜1モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.001〜0.3モルの量である。
【0120】
画像形成層(感光性層)には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,960,404号明細書に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号明細書および同第3,121,060号明細書に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号明細書に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0121】
熱現像画像記録材料には、画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層のバインダーとしてはいかなるポリマーを用いてもよいが、カルボン酸残基を有するポリマーを100mg/m2以上5g/m2以下含むことが好ましい。カルボキシル残基を有するポリマーとしては、天然高分子(ゼラチン、アルギン酸など)、変性天然高分子(カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチンなど)、合成高分子(ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアルキルメタクリレート/アクリレート共重合体、ポリスチレン/ポリメタクリレート共重合体など)などが挙げられる。このようなポリマーのカルボキシ残基の含有量としては、ポリマー100 g当たり10 mmol以上1.4 mol以下であることが好ましい。また、カルボン酸残基はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機カチオンなどと塩を形成してもよい。
【0122】
表面保護層としてはいかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などを挙げることができる。また、表面保護層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0123】
画像形成層又は画像形成層の保護層には、米国特許第3,253,921号明細書、同第2,274,782号明細書、同第2,527,583号明細書、及び同第2,956,879号明細書に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書に記載されたように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0124】
画像形成層には、色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。画像形成層に用いる染料又は顔料はいかなるものでもよいが、例えば、カラーインデックス記載の顔料や染料を用いることができ、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔料などを用いることができる。好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5-341441号公報記載の化合物1〜9、特開平5-165147号公報記載の化合物3-6〜18及び3-23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5-341441号公報記載の化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5-289227号公報記載の化合物11〜19、特開平5-341441号公報記載の化合物47、特開平5-165147号公報記載の化合物2-10〜11など)、及びアゾ染料(特開平5-341441号公報記載の化合物10〜16) が挙げられる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でもよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって適宜決定できるが、一般的に画像形成材料1m2あたり1μg以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0125】
熱現像画像記録材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面画像記録材料であることが好ましい。バック層は、所望の範囲での最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。所望の範囲が750〜1400 nmである場合には、750〜360 nmにおいての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーション防止層であることが好ましい。所望の範囲が750 nm以下である場合には、画像形成前の所望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成後の360〜750 nmの光学濃度が0.005以上0.3 未満になるようなハレーション防止層であることが好ましい。画像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法は特に限定されないが、例えば、ベルギー特許第733,706号明細書に記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54-17833号公報に記載の光照射による消色で濃度を低下させる方法等を採用することができる。
【0126】
ハレーション防止染料を使用する場合、染料としては、所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られるものであれば、いかなる染料を用いてもよい。例えば、単独の染料としては、特開昭59-56458号公報、特開平2-216140号公報、同7-13295号公報、同7-11432号公報、米国特許第5,380,635号明細書、特開平2-68539号公報(第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目)、同3-24539号公報(第14頁左下欄から同第16頁右下欄)に記載の化合物を挙げることができ、処理で消色する染料としては、特開昭52-139136号公報、同53-132334号公報、同56-501480号公報、同57-16060号公報、同57-68831号公報、同57-101835号公報、同59-182436 号公報、特開平7-36145号公報、同7-199409号公報、特公昭48-33692号公報、同50-16648号公報、特公平2-41734号公報、米国特許第4,088,497号明細書、同4,283,487号明細書、同4,548,896号明細書、同5,187,049号明細書などを挙げることができる。
【0127】
バック層に好適に使用されるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色である。例えば、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水、有機溶媒、又はエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0128】
片面画像記録材料は、搬送性改良のために画像形成層(感光性乳剤層)の表面保護層及び/又はバック層、あるいはバック層の表面保護層にマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号明細書、同2,701,245号明細書、同2,322,037号明細書、同3,262,782号明細書、同3,539,344号明細書、同3,767,448号明細書等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号明細書、同2,192,241号明細書、同3,257,206号明細書、同3,370,951号明細書、同3,523,022号明細書、同3,769,020号明細書等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で汎用のものを用いることができる。
【0129】
例えば、マット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチン及びコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなどを挙げることができる。無機化合物の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを挙げることができる。マット剤としては、必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状は特に限定されず、任意の粒径又は形状のものを用いることができる。マット剤としては、0.1μm〜30μm の粒径のものを用いるのが好ましい。マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は、感材のヘイズや表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状、及び粒径分布を適宜選択することが望ましい。
【0130】
バック層にマット剤を添加するのは好ましい態様であり、バック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは700秒以下50秒以上である。また、マット剤は画像記録材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に添加することが好ましく、いわゆる保護層として作用する層に添加することも好ましい。乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じなない範囲で適宜選択できるが、ベック平滑度が500秒以上10,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,000秒以下が好ましい。
【0131】
本発明は、(a)還元可能な銀塩、(b)還元剤、(c)バインダー、及び(d)フタラジン誘導体を支持体の少なくとも一方の同一面上に塗布し、乾燥して得られる熱現像画像記録材料の製造方法であって、前記フタラジン誘導体を、親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として、前記熱現像画像記録材料の画像形成層用塗布液及び/又は非画像形成層用塗布液中に添加して、画像形成層及び/又は非画像形成層を構成する。典型的には、一層の構成は、有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤、及びバインダー、並びにフタラジン誘導体の水性可溶化物からなる色調剤、被覆助剤、及び他の補助剤などの所望による追加の材料を含んでいる。典型的な二層の構成は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩、ハロゲン化銀、還元剤、バインダー、及びフタラジン誘導体の水性可溶化物を含み、第2層又は両層中、又は第1層と第2層に振り分けて他の成分を含んでいる。全ての成分を含む単一乳剤層及び保護トップコートを含んでなる二層の構成としてもよい。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでいてもよく、また、米国特許第4,708,928号明細書に記載されているように、単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合には、各乳剤層は、一般に米国特許第4,460,681号明細書に記載されているように、各乳剤層(画像形成層)の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0132】
画像形成層、保護層、バック層などの各層には硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としては、米国特許第4,281,060号明細書、特開平6-208193号公報などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042号明細書などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号公報などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0133】
画像記録材料には、塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなる種類のものを使用してもよい。具体的には、特開昭62-170950号公報、米国特許第5,380,644号明細書などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号公報、特開昭63-188135号公報などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3,885,965号明細書などに記載のポリシロキサン系界面活性剤、特開平6-301140号公報などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0134】
熱現像画像記録材料は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体としては、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルム及び関連する、又は樹脂状の材料、並びにガラス、紙、金属などを挙げることができる。可撓性基材、特に、バライタ及び/又は部分的にアセチル化されたα-オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα-オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が典型的に用いられる。このような支持体は透明又は不透明のいずれでもよいが、透明であることが好ましい。これらのうちでも75〜200μm程度の2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
【0135】
一方、プラスチックフィルムを80℃以上の処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮する。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる場合がある。二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなくすために、寸法変化の小さいフィルムを用いることが好ましい。例えば、熱現像用画像形成用乳剤を塗布する前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移温度の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用できる。
【0136】
熱現像画像記録材料には、帯電防止の目的で、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明細書及び同第3,206,312号明細書に記載のようなイオン性ポリマー、又は米国特許第3,428,451号明細書に記載のような不溶性無機塩、特開昭60-252349号公報、同57-104931号公報に記載されている酸化スズ微粒子などを含む層を設けてもよい。
【0137】
本発明の熱現像画像記録材料を用いてカラー画像を得る方法としては、特開平7-13295号公報(第10頁左欄43行目から11左欄40行目)に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては、例えば、英国特許第1,326,889号明細書、米国特許第3,432,300号明細書、同第3,698,909号明細書、同第3,574,627号明細書、同第3,573,050号明細書、同第3,764,337号明細書、及び同第4,042,394号明細書に例示されている。
【0138】
本発明の熱現像画像記録材料において支持体上に設けられる層は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791号明細書および英国特許第837,095号明細書に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0139】
本発明の熱現像画像記録材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層、及び光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の熱現像画像記録材料は、その記録材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の材料とならないことが好ましい。
【0140】
本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方法で現像されてもよいが、通常、イメージワイズに露光した画像記録材料を昇温して現像される。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像画像記録材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5-56499号公報、特許公報第684453号、特開平9-292695号公報、特開平9-297385号公報、及び国際公開WO95/30934号に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7-13294号公報、国際公開WO97/28489号、同97/28488号、及び同97/28487号に記載の熱現像機がある。特に好ましいのは非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。熱現像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃未満(好ましくは113℃以下)の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以上(好ましくは130℃以下)で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効である。
【0141】
本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方法で露光されてもよいが、露光光源としてレーザー光が好ましい。レーザー光としては、ガスレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。熱現像画像記録材料の露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい場合には、干渉縞発生防止技術として、特開平5-113548号公報などに開示されているレーザー光を画像記録材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754号などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法を採用することが好ましい。また、画像記録材料を露光するには、SPIE vol.169 Laser Printing 116-128頁(1979)、特開平4-51043号公報、国際公開WO95/31754号などに開示されているようにレーザー光が重なるように露光し、走査線が見えないようにすることが好ましい。
【0142】
本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱現像画像記録材料10を平面状に矯正及び予備加熱しながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラーがヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱現像画像記録材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対12を有する。熱現像画像記録材料10は搬入ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱現像画像記録材料10を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のローラー13が設置され、その反対側のバック面が接触する側には不織布(たとえばポリフェニレンサルファイトやテフロンから成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置される。熱現像画像記録材料10は画像形成層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動により、バック面は平滑面14の上を滑って搬送される。加熱手段はローラー13の上部及び平滑面14の下部に熱現像画像記録材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像画像記録材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは0〜1mmである。
【0143】
ローラー13の表面の材質、及び平滑面14の部材は、高温耐久性があり、熱現像画像記録材料10の搬送に支障がなければいかなるものでもよいが、ローラー表面の材質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミド又はテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度を自由に設定することが好ましい。なお、熱現像処理部の上流の予備加熱部は、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30℃締度低く)、熱現像画像記録材料中の水分を蒸発させるのに十分な温度及び時間に設定することが望ましく、熱現像画像記録材料10の支持体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定することが好ましい。
【0144】
熱現像処理部の下流にはガイド板16が設置され、さらに、徐冷部が設置される。ガイド板は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像画像記録材料に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行うのが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理を行うための熱現像機の一例を説明したが、熱現像機の構成は上記のものに限定されず、例えば特開平7-13294号公報に記載のものなど、種々の構成のものであってもよい。また、多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度で加熱するようにすればよい。
【0145】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0146】
(1)素材の略称
略称 化学名称、(メーカー、市販名称など)
MP-203:変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)
PVA-205:ポリビニルアルコール (クラレ(株)製、ポバールPVA-205)
PVA-405:ポリビニルアルコール (クラレ(株)製、ポバールPVA-405)
GL-05:ポリビニルアルコール (日本合成化学(株)製、ゴーセノールGL-05)
NK-05:ポリビニルアルコール (日本合成化学(株)製、ゴーセノールNK-05)
60SH03:水溶性セルロースエーテル(信越化学(株)製、メトロース60SH03)
TPNSN(20):トリピロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液
DBSN(5):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液
【0147】
(2)フタラジン類のメタノール溶液調製処方及び調製方法(比較例)
比較溶液S−1:フタラジンを20gに対してメタノール80gの割合で両者を混合攪拌し均一溶液とした。
比較溶液S−2:前記例示化合物I−7を20gに対してメタノール80gの割合で両者を混合攪拌し均一溶液とした。
【0148】
(3)フタラジン誘導体の可溶化物M−1の調製処方(完成分散物100g当りの割合)及び調製手順
可溶化物M−1:
純水 89.4 g
MP−203 4.0 g
TPNSN(20) 1.6 g
例示化合物I−7 5.0 g
可溶化物の調製は、下記の工程で行った。
室温(15〜25℃)で純水を攪拌しながらMP−203が塊状にならない様に添加しそのまま10分間攪拌混合した。この液の容器を外から加熱し、内温が65℃になるまで昇温した後、1時間攪拌し均一に溶解した。攪拌したまま内温を40℃以下まで降温した後にTPNSN(20)及び化合物I-7を添加し、さらに1時間攪拌分散し透明な可溶化分散物を得た。得られた可溶化物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0149】
(4)可溶化物M−2〜M−15の調製処方(完成分散物100g当りの割合)
可溶化物の調製工程は、上記M−1の調製方法と同様にして行った。
可溶化分散物M−2:
純水 62.97 g
MP−203 6.0 g
TPNSN(20) 9.6 g
例示化合物I−7(70%水溶液) 21.43 g
【0150】
可溶化分散物M−3:
純水 84.6 g
MP−203 4.0 g
DBSN(5) 6.4 g
例示化合物I−7(70%水溶液) 7.14 g
【0151】
分散物M−4〜M−15は、前記分散物M−1から下記の点を変更した他はM−1と同様な組成物濃度及び工程で調製した。
可溶化分散物M−4:例示化合物I−7をI−5に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−5:例示化合物I−7をI−10に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−6:例示化合物I−7をI−13に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−7:例示化合物I−7をI−42に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−8:例示化合物I−7をI−43に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−9:例示化合物I−7をI−46に等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−10:例示化合物I−7をフタラジンに等モル量に入れ替えた。
可溶化分散物M−11:MP−203をPVA−205に等重量で入れ替えた。
可溶化分散物M−12:MP−203をPVA−405に等重量で入れ替えた。
可溶化分散物M−13:MP−203を60SH03に等重量で入れ替え、TPNSN(20)を2倍に増やした。
可溶化分散物M−14:MP−203をGL−05に等重量で入れ替えた。
可溶化分散物M−15:MP−203をNK−05に等重量で入れ替えた。
【0152】
実施例1
(PET支持体の作成)
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ110℃及び130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0153】
(表面コロナ処理)
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流及び電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0154】
(下塗り支持体の作成)
(1)下塗層塗布液の作成
処方▲1▼(感光層側下塗り層用)
高松油脂(株)製ペスレジンA-515GB (30wt%溶液) 234 g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 10wt%溶液 21.5 g
綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91 g
蒸留水 744 ml
【0155】
処方▲2▼(バック面第1層用)
ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス 158 g
(固形分40wt% 、ブタジエン/スチレン重量比=32/68)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−
トリアジンナトリウム塩 8wt%水溶液 20 g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1wt% 水溶液 10 ml
蒸留水 854 ml
【0156】
処方▲3▼(バック面側第2層用)
SnO2/SbO (9/1重量比、平均粒径0.038μm、17wt%分散物) 84 g
ゼラチン(10%水溶液) 89.2 g
信越化学(株)製 メトローズTC-5(2%水溶液) 8.6 g
綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子) 0.01 g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1wt% 水溶液 10 ml
NaOH(1%) 6 ml
プロキセル(ICI社製) 1 ml
蒸留水 805 ml
【0157】
(下塗り支持体の作成)
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6 ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7 ml/m2になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、さらに裏面(バック面)に下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7 ml/m2になるように塗布して180 ℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作成した。
【0158】
(バック面塗布液の調製)
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64 g、ジフェニルスルフォンを28 gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN 10 gを蒸留水220 mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μmの、塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分散液(a)を得た。
【0159】
(染料固体微粒子分散液の調製)
シアニン染料化合物13を9.6 gおよびP-ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム5.8 gを蒸留水305 mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0160】
(ハレーション防止層塗布液の調製)
ゼラチン17 g、ポリアクリルアミド9.6 g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)70 g、上記染料固体微粒子分散液56 g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ6.5μm)1.5 g、ベンゾイソチアゾリノン0.03 g、ポリエチレンスルフォン酸ナトリウム2.2 g、青色染料化合物14を0.2 g、水を844 ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調製した。
【0161】
(バック面保護層塗布液の調製)
容器を40℃に保温し、ゼラチン50 g、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム0.2 g、N,N-エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド) 2.4 g、t-オクチルフェノキシエトキシエタンスルフォン酸ナトリウム1 g、ベンゾイソチアゾリノン30 mg、N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N-プロピルアラニンカリウム塩37 mg、ポリエチレングリコールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロピル-2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15]0.15 g、C8F17SO3K 32 mg、C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4-SO3Na 64 mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5/95)8.8 g、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)0.6 g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.8 g、水を950 ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0162】
(ハロゲン化銀乳剤1の調製)
蒸留水1421 ccに1wt%臭化カリウム溶液8.0 ccを加え、さらに1N硝酸を8.2 cc、フタル化ゼラチン20 gを添加した液をチタンコートしたステンレス製反応壺中で攪拌しながら、37℃に液温を保ち、硝酸銀37.04 gに蒸留水を加え159 ccに希釈した溶液Aと臭化カリウム32.6 gを蒸留水にて容量200 ccに希釈した溶液Bを準備し、コントロールダブルジェット法でpAgを8.1に維持しながら、溶液Aの全量を一定流量で1分間かけて添加した。溶液Bは、コントロールドダブルジェット法にて添加した。その後3.5wt%の過酸化水素水溶液を30 cc添加し、さらにベンツイミダゾールの3wt%水溶液を36 cc添加した。その後、再び溶液Aを蒸留水で希釈して317.5 ccにした溶液A2と、溶液Bに対して最終的に銀1モル当たり1×10-4モルになるよう6塩化イリジウム酸3カリウム塩を溶解し、液量を溶液Bの2倍の400ccまで蒸留水で希釈した溶液B2を用いて、やはりコントロールドダブルジェット法にて、pAg を8.1に維持しながら、一定流量で溶液A2を10分間かけて全量添加した。溶液B2は、コントロールドダブルジェット法で添加した。その後、5-メチル-2-メルカプトベンズイミダゾールの0.5wt%メタノール溶液を50 cc添加し、さらに硝酸銀でpAgを7.5に上げてから1N硫酸を用いてpHを3.8に調製し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行い、脱イオンゼラチン3.5 gを加えて1Nの水酸化ナトリウムを添加して、pH 6.0、pAg 8.2に調製してハロゲン化銀分散物を作成した。
【0163】
できあがったハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.053μm、球相当径の変動係数18%の純臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて85%と求められた。
【0164】
上記乳剤を38℃に攪拌しながら維持して、ベンゾイソチアゾリノンを0.035 g(3.5wt%メタノール溶液で添加)加え、40分後に分光増感色素Aの固体分散物(ゼラチン水溶液)を銀1モル当たり5×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し、20分後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムを銀1モルに対して3×10-5モル加え、さらに2分後にテルル増感剤Bを銀1モル当たり5×10-5モル加えて90分間熟成した。熟成終了間際に、N,N'-ジヒドロキシ-N"-ジエチルメラミンの0.5wt%メタノール溶液を5 ccを加え、温度を31℃に下げ、フェノキシエタノールの3.5wt%メタノール溶液5 cc、5-メチル-2-メルカプトベンヅイミダゾールを銀1モル当たり7×10-3モル及び1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して6.4×10-3モルを添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0165】
(ハロゲン化銀乳剤2の調製)
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を50℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.08μm、球相当径の変動係数15%の純臭化銀立方体粒子乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり4.5×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5-メチル-2-メルカプトベンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。
【0166】
(ハロゲン化銀乳剤3の調製)
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を27℃に変更する以外は同様にして平均球相当径0.038μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子乳剤の調製した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。さらに分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり6×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5-メチル-2-メルカプトベンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤3を得た。
【0167】
(塗布液用混合乳剤Aの調製)
ハロゲン化銀乳剤1を70重量%、ハロゲン化銀乳剤2を15重量%、ハロゲン化銀乳剤3を15重量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1wt%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。
【0168】
(りん片状脂肪酸銀塩の調製)
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名EdenorC22-85R)87.6 g、蒸留水423 ml、5N-NaOH水溶液49.2 ml、tert-ブタノール120 mlを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4 gの水溶液206.2 ml(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635 mlの蒸留水と30 mlのtert−ブタノールを入れた反応容器を30℃に保温し、撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチームトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチーム開度を調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0169】
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0170】
乾燥固形分100 g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)7.4 gおよび水を添加し、全体量を385 gとしてからホモミキサーにて予備分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を1750 kg/cm2に調節して、3回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0171】
(還元剤の25wt%分散物の調製)
1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン10 kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20wt%水溶液10 kgに、水16 kgを添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2 gと水を加えて還元剤の濃度が25wt%になるように調製し、還元剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0172】
(メルカプト化合物の10wt%分散物の調製)
1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールを5 kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20wt%水溶液5 kgに、水8.3 kgを添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて6時間分散したのち、水を加えてメルカプト化合物の濃度が10wt%になるように調製し、メルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト化合物分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0173】
(有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物−1の調製)
トリブロモメチルナフチルスルホン5 kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20wt%水溶液2.5 kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20wt%水溶液213 gと、水10 kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2 gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が20wt%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0174】
(有機ポリハロゲン化合物の25wt%分散物−2の調製)
有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物−1と同様にして、ただしトリブロモメチルナフチルスルホン5 kgの代わりにトリブロモメチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)スルホン5 kgを用いて分散し、この有機ポリハロゲン化合物が25wt%となるように希釈してろ過を行った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.34μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0175】
(有機ポリハロゲン化合物の30wt%分散物−3の調製)
有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物−1と同様にして、ただしトリブロモメチルナフチルスルホン5 kgの代わりにトリブロモメチルフェニルスルホン5 kgを用い、20wt%MP203水溶液を5 kgとして分散し、この有機ポリハロゲン化合物が30wt%となるように希釈してろ過を行った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。また、収納後、使用までは10℃以下で保管した。
【0176】
(顔料の20wt%分散物の調製)
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4 gに水250 gを添加し、よく混合してスラリーとした。平均直径0.5 mmのジルコニアビーズ800 gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し顔料分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0177】
(SBRラテックス40wt%の調製)
限外濾過(UF)精製したSBRラテックスは以下のように得た。下記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希釈したものをUF-精製用モジュールFS03-FC-FUY03A1(ダイセン・メンブレン・システム(株))を用いてイオン伝導度が1.5mS/cmになるまで希釈精製し、三洋化成(株)製サンデット-BLを0.22wt%になるよう添加した。さらにNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:2.3(モル比)になるように添加し、pH 8.4に調整した。この時のラテックス濃度は40wt%であった。
(SBRラテックス:-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス)
平均粒径0.1μm、濃度45%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6wt%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30Sを使用しラテックス原液(40%)を25℃にて測定)、pH 8.2
【0178】
(乳剤層(画像形成層)塗布液の調製)
上記で得た顔料の20wt%水分散物を1.1 g、有機酸銀分散物103 g、ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の20wt%水溶液5 g、上記25wt%還元剤分散物25 g、有機ポリハロゲン化合物分散物-1,-2,-3を5:1:3(重量比)で総量16.3 g、メルカプト化合物10%分散物6.2 g、限外濾過(UF)精製しpH調整したSBRラテックス40wt%を106 g、フタラジン誘導体のメタノール溶液又は可溶化物(種類と添加量は表1に記載)、ハロゲン化銀混合乳剤Aの10 gを良く混合し、乳剤層塗布液を調製し、そのままコーティングダイへ70ml/m2となるように送液し塗布した。上記乳剤層塗布液の粘度を東京計器のB型粘度計で測定したところ、40℃(No.1ローター、60 rpm)で80〜90[mPa・s]であった。また、レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は、剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ1500、220、70、40、20 [mPa・s]の±10%の範囲であった。
【0179】
(乳剤面中間層塗布液の調製)
ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の10wt%水溶液772g、顔料の20wt%分散物5.3 g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5wt%液 226 gにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5wt%水溶液を2 ml、フタル酸二アンモニウム塩の20wt%水溶液を10.5 ml、総量880 gになるように水を加えて中間層塗布液とし、10 ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60 rpm)で21[mPa・s]であった。
【0180】
(乳剤面保護層第1層塗布液の調製)
イナートゼラチン64 gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5wt%液80 g、フタル酸の10wt%メタノール溶液を64 ml、4-メチルフタル酸の10wt%水溶液74 ml、1Nの硫酸を28 ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5wt%水溶液を5 ml、フェノキシエタノール0.5 g、ベンゾイソチアゾリノン0.1 gを加え、総量750 gになるように水を加えて塗布液とし、4wt%のクロムみょうばん26 mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6 ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60 rpm)で17[mPa・s]であった。
【0181】
(乳剤面保護層第2層塗布液の調製)
イナートゼラチン80 gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5wt%液102 g、N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N-プロピルアラニンカリウム塩の5wt%溶液を3.2 ml、ポリエチレングリコールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロピル-2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2wt%水溶液を32 ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5wt%溶液を23 ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm) 4 g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.4μm) 21 g、4-メチルフタル酸1.6 g、フタル酸8.1 g、1Nの硫酸を44 ml、ベンゾイソチアゾリノン10 mgに総量650 gとなるよう水を添加して、4wt%のクロムみょうばんと0.67wt%のフタル酸を含有する水溶液445 mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3 ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60 rpm)で9[mPa・s]であった。
【0182】
(熱現像画像記録材料の作成)
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固体微粒子染料の固形分塗布量が0.04 g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7 g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、ハレーション防止バック層を作成した。バック面と反対の面に下塗り面から乳剤層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.14 g/m2)、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像画像記録材料の試料を作成した。また、乳剤層側塗布液のロングラン適性を見るため、これらの液を12時間経時させた後に再び塗布して経時前後での性能比較を行った。
【0183】
塗布はスピード160 m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.14〜0.28 mmに、また、塗布液の吐出スリット幅に対して塗布幅が左右ともに各0.5 mm広がるように調節し、減圧室の圧力を大気圧に対して392 Pa低く設定した。その際、支持体は帯電しないようにハンドリング及び温湿度を制御し、さらに塗布直前にイオン風で除電した。引き続くチリングゾーンでは、乾球温度が18℃、湿球温度が12℃の風を30秒間吹き当てて塗布液を冷却した後、つるまき式の浮上方式の乾燥ゾーンにて、乾球温度が30℃、湿球温度が18℃の乾燥風を200 秒間吹き当て、さらに70℃の乾燥ゾーンを20秒間通した後、90℃の乾燥ゾーンを10秒間通し、その後25℃に冷却して、塗布液中の溶剤の揮発を行った。チリングゾーンおよび乾燥ゾーンでの塗布液膜面に吹き当たる風の平均風速は7m/secであった。
【0184】
(写真性能の評価)
レーザー感光計(詳細は下記)で写真材料を露光した後、写真材料を118℃で5秒、続いて122℃で16秒間処理(熱現像)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。性能評価項目は、Dmin:最低濃度、感度(S1.0):最低濃度から1.0高い濃度を与える露光量の逆数の比の相対値、Dmax:最高濃度で評価した。試料No.101の塗布液経時されてない時の感度を100としした。
Figure 0004040795
【0185】
【表1】
Figure 0004040795
【0186】
(評価結果)
比較試料のNo.101及び102では、経時による感度低下が大きかった。一方、本発明の試料では、いずれも経時での感度変化が小さく安定していることが分かる。
【0187】
実施例2
本実施例に用いた化合物を以下に示す。
【0188】
【化15】
Figure 0004040795
【0189】
【化16】
Figure 0004040795
【0190】
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
(乳剤A)
水700 mlにフタル化ゼラチン11 gおよび臭化カリウム30 mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10 mgを溶解して温度55℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6 gを含む水溶液159 mlと臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液をpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5 gを含む水溶液476 mlと臭化カリウムを1モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液をpAg 7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.17 g、脱イオンゼラチン(カルシウム含有量として20 ppm以下)を23.7 g加え、pH 5.9、pAg 8.0に調整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積変動係数8%、(100)面比率93%の立方体粒子であった。
【0191】
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μモルを添加し、3分後にチオ硫酸ナトリウム154μモルを添加して、100分熟成した。その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1モルに対して2.7×10-3モルの増感色素A、8.2×10-3モルの化合物Bを攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0192】
(有機酸銀分散物の調製)
(有機酸銀A)
アラキジン酸6.1 g、ベヘン酸37.6 g、蒸留水700 ml、tert-ブタノール70 ml、1N-NaOH水溶液123 mlを混合し、75℃で1時間撹拌し反応させ、65℃に降温した。次いで、硝酸銀22 gの水溶液112.5 mlを45秒かけて添加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分100 g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)2.0 gおよび水を添加し、全体量を500 gとしてからホモミキサーにて予備分散した。
【0193】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を1750 kg/cm2に調節して、3回処理し、有機酸銀分散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含まれる有機酸銀粒子は平均短径0.04μm、平均長径0.8μm、変動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。こうして、ベヘン酸銀含有率85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0194】
(還元剤の25wt%分散物の調製)
1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20wt%水溶液10 kgに、水16 kgを添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2 gと水を加えて還元剤の濃度が25wt%になるように調製し、還元剤分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.44μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0195】
(有機ポリハロゲン化合物−H1の固体微粒子分散物の調製)
化合物−H1:トリブロモメチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)スルホン10 kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20wt%水溶液10 kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20wt%水溶液639 gと、サーフィノール104E(日信化学(株)製)400 gと、メタノール640 gと水16 kgを添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が25wt%になるように調製し、固体分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0196】
(有機ポリハロゲン化合物−H2の固体微粒子分散物の調製)
化合物−H2:トリブロモメチルナフチルスルホン5 kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20wt%水溶液2.5 kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20wt%水溶液213 gと、水10 kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5 mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2 gと水を加えて化合物−H2の濃度が20wt%になるように調製し、分散物を得た。こうして得た固体微粒子分散物に含まれる粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0197】
(化合物−Zの固体微粒子分散物の調製)
前記化合物−Zを7.5 kgに対してクラレ(株)製MPポリマーのMP-203を 3 kgと水50 kgを添加してよく撹拌した。その後、有機ポリハロゲン化合物−H1の固体微粒子分散物の調製と同様にして分散して化合物−Zの濃度が10wt%になるように希釈し濾過した。こうして得た分散物に含まれる化合物−Zの粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0198】
(硬調化剤の固体微粒子分散物の調製)
例示化合物62を4 kgに対してクラレ(株)製ポバールPVA-217を1 kgと水30 kgとを添加してよく撹拌してスラリーとし、その後、有機ポリハロゲン化合物−H1の固体微粒子分散物の調製と同様にして分散して例示化合物62の濃度が10wt%になるように希釈し濾過した。こうして得た分散物に含まれる例示化合物62の粒子はメジアン径0.31μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0199】
(乳剤層塗布液の調製)
上記で作成した有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバインダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を加えて、乳剤層塗布液とした。
バインダー;ラックスター3307B 固形分として 470 g
(大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃)
還元剤の25wt%分散物 還元剤の固形分として 166 g
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA-235) 12.1 g
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.15 g
6-メチルベンゾトリアゾール 1.36 g
化合物−Zの固体分散物 化合物−Zとして 10.5 g
ポリハロゲン化合物−H1の固体分散物 化合物−H1として 39.5 g
ポリハロゲン化合物−H2の固体分散物 化合物−H2として 12.5 g
燐酸2水素ナトリウム 0.36 g
フタラジン誘導体の可溶化物など 表2に記載の種類と量
染料A 0.50 g
ハロゲン化銀乳剤A Ag量として 0.05 mol
硬調化剤例示化合物62の固体分散物 化合物62として 17.1 g
【0200】
(乳剤面保護層塗布液の調製)
固形分27.5wt%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)109 gにH2O 3.75 gを加え、造膜助剤としてベンジルアルコール4.5 g、化合物Dを0.45 g、化合物Eを0.125 g、4-メチルフタル酸を1.70 g、化合物Fを0.59 gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-235)0.285 gを加え、さらにH2Oを加えて、150 gとし、塗布液とした。
【0201】
<バック/下塗り層のついたPET支持体の作成>
(1)支持体
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従い、IV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて、周速の異なるロールで3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8 kg/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4 m、長さ3500 m、厚み120μmのロールを得た。
【0202】
(2)下塗り層(a)
ポリマーラテックス−▲1▼
スチレン/ブタジエン/ヒドロキシエチルメタクリレート/ジビニルベンゼン
=67/30/2.5/0.5(重量%) 160 mg/m2
2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジン 4 mg/m2
マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 3 mg/m2
【0203】
(3)下塗り層(b)
アルカリ処理ゼラチン
(Ca2+含量30 ppm、ゼリー強度230 g) 50 mg/m2
染料A 780 nmの光学濃度が0.6になる塗布量
【0204】
(4)導電層
ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96 mg/m2
ゼラチン 50 mg/m2
化合物A 0.2 mg/m2
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10 mg/m2
スミテックスレジンM-3 18 mg/m2
(水溶性メラミン化合物 住友化学工業(株)製)
染料A 780nmの光学濃度が0.6になる塗布量
SnO2/Sb(9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30;石原産業(株)製)
120 mg/m2
マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7 mg/m2
【0205】
(5)保護層
ポリマーラテックス−▲2▼
メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/
2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=59/9/26/5/1(重量%の共重合体) 1000 mg/m2
ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6 mg/m2
セロゾール524(中央油脂(株)製) 30 mg/m2
スミテックスレジンM-3 218 mg/m2
(水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
【0206】
支持体の片面に下塗り層(a)と下塗り層(b)を順次塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥した。ついで、下塗り層(a)と下塗り層(b)を塗布した反対側の面に導電層と保護層を順次塗布し、それぞれ180℃、30秒間乾燥してバック/下塗り層のついたPET支持体を作成した。このようにして作成したバック/下塗り層のついたPET支持体を150℃に設定した全長30 mの熱処理ゾーンに入れ、張力14 g/cm2、搬送速度20m/分で自重搬送した。その後、40℃のゾーンに15秒間通し、10 kg/cm2の巻き取り張力で巻き取った。
【0207】
(熱現像画像記録材料の調製)
前記バック/下塗り層のついたPET支持体の下塗り層の上に前記の乳剤層塗布液を塗布銀量1.7 g/m2になるように塗布した。さらにその上に、前記乳剤面保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分の塗布量が2.0 g/m2になるように塗布した。また、乳剤層塗布液のロングラン適性を見るために12時間経時させてから同様にして塗布を行った。
【0208】
(乳剤層塗布液の濾過性評価)
前記で調製した乳剤層塗布液の一部を採取し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターにて濾過(濾過面積:0.79 cm2、送液速度:20 ml/min、濾過総量:500 ml)を行い、フィルター直前の液内圧を測定することで濾過性を評価した。濾過圧の上昇度合いにより5段階評価した。
Figure 0004040795
【0209】
(写真性能の評価)
(露光処理)
得られた熱現像画像記録材料を、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50 mW、出力波長783 nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラーの回転数を変化させることにより露光時間を、出力値を変えることにより露光量を調整し、2×10-8秒で露光した。この時のオーバーラップ係数0.449にした。
【0210】
(熱現像処理)
露光済みの熱現像画像記録材料を図1の熱現像機の予備加熱部Aの金属ローラー/シリコンゴムローラーを3対から6対にした熱現像機を用いて、熱現像処理を行った。熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面はテフロン不織布にして、搬送の線速度20 mm/秒で予備加熱部18秒(予備加熱部と熱現像処理部の駆動系は独立しており、熱現像部との速度差は-0.5%〜-1%に設定、各予熱部の金属ローラーの温度設定、時間は第1ローラー温度65℃、3秒、第2ローラー温度78℃、3秒、第3ローラー温度95℃、3秒、第4ローラー温度温度109℃、3秒、第5ローラー温度115℃、3秒、第6ローラー温度119℃、3秒にした)、熱現像処理部119℃(熱現像画像記録材料面温度)で17秒、徐冷部 20秒(119℃から70℃に連続的に20秒かけて低下させ、冷却速度としては-2.45℃/秒であった)で熱現像処理を行った。なお、幅方向の温度精度は±1℃であった。各ローラー温度の設定は熱現像画像記録材料の幅(例えば幅61cm)よりも両側をそれぞれ5 cm長くして、その部分にも温度をかけて温度精度が出るようにした。なお、各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、ローラー中央部よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、熱現像画像記録材料(例えば幅61 cmの中で)の画像濃度が均質な仕上がりになるように留意した。
【0211】
(写真性能の評価)
得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、Dmax、カブリ(Dmin)、感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光量の逆数の比の相対値であり数値が大きいほど感度が高いことを現す)、γ(コントラスト:露光量の対数を横軸として濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾きで表わした値)で評価した。感度(S1.5)についてはサンプルNo.202の感度を100とした。
【0212】
【表2】
Figure 0004040795
【0213】
(結果)
試料No.201では、乳剤塗布液の濾過性は良好であるが現像が殆ど起こらない。試料No.202及び203では、濾過性が悪く乳剤塗布液経時での感度低下が大きく不安定である。一方、本発明試料No.204から215では、濾過性が良好で乳剤塗布液経時での感度変化も非常に改良されていることが分かる。本発明試料は、いずれも塗布面質が良好であった。
【0214】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布液の製造適性及び画像記録材料製造のロングラン適性に優れ、デイスクリミュネーションが良い医療診断用及び印刷製版用の熱現像画像記録材料を提供することができる。
【0215】
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像記録材料
11 搬入ローラー対
12 搬出ローラー対
13 ローラー
14 平滑面
15 加熱ヒーター
16 ガイド板
A 予備加熱部
B 熱現像処理部
C 徐冷部

Claims (8)

  1. (a)還元可能な銀塩、(b)還元剤、(c)バインダー、及び(d)フタラジン誘導体を支持体の少なくとも一方の同一面上に塗布し、乾燥して得られる熱現像画像記録材料の製造方法であって、前記フタラジン誘導体を、親水性高分子化合物及び界面活性剤と共に水性可溶化物として、前記熱現像画像記録材料の画像形成層用塗布液及び/又は非画像形成層用塗布液中に添加して、画像形成層及び/又は非画像形成層を形成することを特徴とする熱現像画像記録材料の製造方法。
  2. 熱現像画像記録材料が、さらに、感光性ハロゲン化銀を含有する請求項1に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
  3. 熱現像画像記録材料が、さらに、超硬調化剤を含有する請求項1又は2に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
  4. 親水性高分子化合物がポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、親水性ポリビニルアセタール、及びセルロース類からなる群から選ばれる親水性高分子化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
  5. 界面活性剤がアニオン性界面活性剤である請求項1から4のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
  6. フタラジン誘導体が下記の一般式(1):
    Figure 0004040795
    (式中、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16はそれぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16が同時に水素原子であることはない)で表わされるフタラジン誘導体である請求項1から5のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
  7. 水性可溶化物は、一般式(1)で表わされる化合物を、その1重量部に対して0.1から0.5重量部の水を含む水性調製物を用いて調整されたものである請求項6の熱現像画像記録材料の製造方法
  8. フタラジン誘導体が6−イソプロピルフタラジンである請求項1から7のいずれか1項に記載の熱現像画像記録材料の製造方法
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