JP2001056529A - 熱現像画像記録材料 - Google Patents

熱現像画像記録材料

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JP2001056529A
JP2001056529A JP11234685A JP23468599A JP2001056529A JP 2001056529 A JP2001056529 A JP 2001056529A JP 11234685 A JP11234685 A JP 11234685A JP 23468599 A JP23468599 A JP 23468599A JP 2001056529 A JP2001056529 A JP 2001056529A
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JP11234685A
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English (en)
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Shigeo Hirano
茂夫 平野
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像前の長期保存によるカブリや現像後の保
存時の画像変化が極めて小さい熱現像画像記録材料を提
供すること。 【解決手段】 支持体の少なくとも一方の同一面上に、
(a)還元可能な銀塩と、(b)還元剤と、(c)バイ
ンダーと、(d)画像記録材料中でアンモニアと共有結
合を形成しアンモニアの塩基性を低下させる少なくとも
1種の化合物を有することを特徴とする熱現像画像記録
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像画像記録材料
に関し、詳しくは、現像前の長期保存によるカブリや現
像後の保存時の画像変化が極めて小さい熱現像画像記録
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境の保全や画像形成手段の簡易
化が可能なシステムとして、熱現像により画像を形成す
る技術が利用されている。近年医療分野や写真製版分野
において、環境保全、省スペースの観点から処理廃液の
減量が強く望まれている。そこで、レーザー・スキャナ
ーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に露
光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮
明な黒色画像を形成することができる写真製版用の感光
性熱現像材料に関する技術が必要とされている。これら
感光性熱現像材料では、溶液系処理化学薬品の使用をな
くし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システム
を供給することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3152904号明細書、同3457075号明細書、お
よびD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)
による「熱によって処理される銀システム(Thermally
Processed Silver Systems)A」(イメージング・プロ
セッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processe
s and Materials)Neblette第8版、スタージ(Sturg
e)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ
(Shepp)編集、第2頁、1969年)に記載されている。こ
れらに記載されている感光材料は、還元可能な非感光性
の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例え
ば感光性ハロゲン化銀)、および銀の還元剤を、通常有
機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有して
いる。感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例
えば80℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸
化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応に
よって銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生し
た潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還
元可能な銀塩が反応して生成された銀は黒色画像を提供
し、これは非露光領域と対照をなし、画像が形成され
る。
【0004】熱現像画像記録材料においてはカブリが大
きな問題である。熱写真用ハロゲン化銀感光材料のカブ
リ低減に向け多くの検討がなされており、カブリ防止剤
として、例えば、米国特許第3589903号明細書には水銀
塩が開示されている。その他に、米国特許第4152160号
明細書にはベンゼン酸およびフタル酸等のカルボン酸、
米国特許第4784939号明細書にはベンゾイルベンゼン酸
化合物、米国特許第4569906号明細書にはインダンまた
はテトラリンカルボン酸、米国特許第4820617号明細書
にはジカルボン酸、米国特許第4626500号明細書にはヘ
テロ芳香族カルボン酸が開示されている。米国特許第45
46075号明細書、同4756999号明細書、同4452885号明細
書、同3874946号明細書および同3955982号明細書にはハ
ロゲン化化合物が開示されている。米国特許第5028523
号明細書にはハロゲン分子またはヘテロ原子環と化合し
たハロゲン原子が開示されている。米国特許第4103312
号明細書および独国特許第1502670号明細書にはパラジ
ウム化合物、米国特許第4128428号明細書には鉄類の金
属、米国特許第4123374号明細書、同4129557号明細書お
よび同4125430号明細書には置換トリアゾール類、米国
特許第4213784号明細書、同4245033号明細書および特開
昭51-26019号公報には硫黄化合物、米国特許第4002479
号明細書にはチオウラシル類、特開昭50-123331号公報
にはスルフィン酸、米国特許第4125403号明細書、同415
2160号明細書および同4307187号明細書にはチオスルホ
ン酸の金属塩、特開昭53-20923号公報および同53-19825
号公報にはチオスルホン酸の金属塩とスルフィン酸の併
用、特公昭62-50810号公報、特開平7-209797号公報およ
び同9-43760号公報にはチオスルホン酸エステル類、特
開昭51-42529号公報および特公昭63-37368号公報にはジ
スルフィド化合物が開示されている。特公昭54-165号公
報、欧州特許公開EP605981A1号公報、同EP631176A1
号公報、米国特許第4,546,075号明細書、同4、756、999号
明細書、同4、452、885号明細書、同3、874、946号明細書お
よび同3、955、982号明細書にはポリハロゲン化化合物が
開示されている。しかし、これらの化合物は、カブリ防
止の効果が低かったり、あるいは添加量が多くなるとD
max(最高濃度)が低下したり、処理後の画像保存安定
性が悪化するという欠点があり、これらの問題のないカ
ブリ防止剤の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とし
た。すなわち本発明は、現像前の長期保存によるカブリ
や現像後の保存時の画像変化が極めて小さい熱現像画像
記録材料を提供することを解決すべき課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、特定の化
合物を用いることによって、所期の効果を奏する優れた
熱現像画像記録材料を提供することができることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれ
ば、支持体の少なくとも一方の同一面上に、(a)還元
可能な銀塩と、(b)還元剤と、(c)バインダーと、
(d)画像記録材料中でアンモニアと共有結合を形成し
アンモニアの塩基性を低下させる少なくとも1種の化合
物を有することを特徴とする熱現像画像記録材料が提供
される。好ましくは、(d)画像記録材料中でアンモニ
アと共有結合を形成しアンモニアの塩基性を低下させる
化合物は一般式(1)で表される化合物である。
【化3】 (式中、Rはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オ
キシ基を表し、MはCO、COCOまたはSO2を表
し、Lはアンモニアとの置換反応で脱離する基で、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、電子
求引性基置換アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基また
は環の窒素で結合するヘテロ環基を表す。RまたはLで
表される基は置換されていてもよい)
【0007】好ましくは、本発明の熱現像画像記録材料
は、前記(a)、(b)、(c)および(d)を有する
面上に、さらに(e)感光性ハロゲン化銀を有する。好
ましくは、本発明の熱現像画像記録材料は、前記
(a)、(b)、(c)および(d)を有する面上に、
さらに(f)超硬調化剤を有する。好ましくは、(f)
超硬調化剤は、下記の一般式(2)、(3)または
(4):
【化4】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原
子または置換基を表し、Zは電子吸引性基またはシリル
基を表す。あるいは、R1とZ、R2とR3、R1とR2
およびR3とZは、それぞれ互いに結合して環状構造を
形成してもよい。R 4は、置換基を表す。XおよびY
は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aお
よびBはそれぞれ独立にアルコキシル基、アルキルチオ
基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基
またはヘテロ環アミノ基を表す。あるいは、XとY、お
よびAとBは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成
してもよい)で表される化合物からなる群より選ばれる
少なくとも1種の超硬調化剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像画
像記録材料の実施態様および実施方法について詳細に説
明する。本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の少な
くとも片面上に、(a)還元可能な銀塩、(b)還元
剤、(c)バインダー、および(d)画像記録材料中で
アンモニアと共有結合を形成しアンモニアの塩基性を低
下させる化合物を有する。本発明の熱現像画像記録材料
としては、支持体の片面上にのみ上記素材(a)〜
(d)を有している熱現像画像記録材料でもよいし、支
持体の片面上に上記素材(a)〜(d)を有し、かつそ
の反対面上にも上記素材(a)〜(d)を有している熱
現像画像記録材料でもよい。
【0009】本発明の熱現像画像記録材料は、シート
状、ロール状等の形状であり、支持体は透明であっても
不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
支持体の具体例としては、ポリエステルフィルム、下塗
りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレー
ト)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝
酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、
ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネート
フィルム等の樹脂材料、およびガラス、紙、金属などが
挙げられる。典型的な支持体としては、ポリマーでコー
トした紙支持体が挙げられ、このポリマーとしては、可
撓性基材、特に、部分的アセチル化および/またはバラ
イタ加工したα-オレフィンポリマー、特にポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなど
の炭素数2〜10のα-オレフィンのポリマーが用いら
れる。これらのうち、厚さ75〜200μm程度の2軸
延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)が特に
好ましい。プラスチックフィルムを80℃以上の処理の
熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮する。処
理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、この伸
縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。よって
本発明では、二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪
みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなくす
工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いることが
好ましい。例えば、熱現像用画像形成層塗布液を塗布す
る前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテ
レフタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移点
の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポ
リスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用でき
る。
【0010】本発明の熱現像画像記録材料は、上記支持
体の少なくとも片面上に、(a)還元可能な銀塩を有す
る。還元可能な銀塩としては、有機銀塩が用いられる。
本発明に用いられる有機銀塩は、銀イオンを還元できる
源を含む任意の有機物質であって、光に対して比較的安
定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の
潜像など)および還元剤の存在下で、80℃以上に加熱
された場合に銀画像を形成する。具体的には、カルボキ
シル基を有する有機化合物の銀塩、即ち有機酸の銀塩が
挙げられ、中でも、脂肪族カルボン酸の銀塩が好まし
く、炭素数が10〜30、さらには15〜28の長鎖脂
肪族カルボン酸の銀塩がより好ましい。配位子が4.0
〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機銀塩(無
機銀塩を含んでいてもよい)の錯体も好ましい。具体例
としては、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボ
ン酸の銀塩が挙げられるがこれらに限定されることはな
い。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベ
ヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン
酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、
パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸
銀、リノール酸銀、酪酸銀、樟脳酸銀、およびこれらの
混合物等が挙げられる。銀供給物質は、好ましくは画像
形成層の約5〜70重量%を構成することができる。
【0011】有機銀塩として、メルカプト基またはチオ
ン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用す
ることもできる。これらの化合物の好ましい例として
は、3-メルカプト-4-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀
塩、2-メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2-メルカ
プト-5-アミノチアジアゾールの銀塩、2-(エチルグリ
コールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチ
オグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22で
ある)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢
酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの
銀塩、5-カルボキシル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピ
リジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2-メルカ
プトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274
号明細書に記載の銀塩、例えば3-アミノ-5-ベンジルチ
オ-1,2,4-チアゾールの銀塩などの1,2,4-メルカプトチ
アゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号明細書
に記載の3-(3-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チアゾ
リン-2-チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩が挙げ
られる。さらに、イミノ基を含む化合物も使用すること
ができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベン
ゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメ
チルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの
銀塩、5-クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置
換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号
明細書等に記載の1,2,4-トリアゾールまたは1-H-テトラ
ゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体
の銀塩等が挙げられる。また、米国特許第4,761,361号
明細書および同第4,775,613号明細書等に記載の種々の
銀アセチリド化合物を使用することもできる。
【0012】有機銀塩の形状としては特に制限はない
が、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。本発明に
おいては短軸0.01μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以
上5.0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15μm以
下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより好ましい。有機
銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。
単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短
軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%
以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下
である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分
散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単
分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重
平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均
直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%
以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下
である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀
塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変
化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒
子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができ
る。
【0013】有機銀塩は、好ましくは脱塩をすることが
できる。脱塩を行う方法としては特に制限はなく公知の
方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限
外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過
方法を好ましく用いることができる。本発明では、高S/
Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分
散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含
み、かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速
流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが
好ましい。そして、このような工程を経た後に、感光性
銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製造
する。このような塗布液を用いて熱現像画像記録材料を
作製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像画
像記録材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に変
換して分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カブ
リが上昇し、感度が著しく低下しやすくなる。また、分
散媒として水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが
高くなり、カブリが上昇し、感度が低下しやすくなる。
一方、感光性銀塩水溶液を混合する方法にかえて、分散
液中の有機銀塩の一部を感光性銀塩に変換するコンバー
ジョン法を用いると感度が低下しやすくなる。
【0014】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含有量は非感光性の有機銀塩に対して0.
1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は行わな
いものである。本発明において、上記のような分散法を
実施するのに用いられる固体分散装置およびその技術に
ついては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』
(梶内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、
p357〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人
化学工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p18
5)、等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも
有機銀塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管
内に送入した後、配管内に設けられた細いスリットを通
過させ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせる
ことにより微細な分散を行う方法である。
【0015】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、分散質が狭間隙を高圧、高速で通過
する際に生じる『剪断力』、分散質が高圧下から常圧に
解放される際に生じる『キャビテーション力』等の分散
力によって微細な粒子への分散が行われると考えられて
いる。この種の分散装置としては、古くはゴーリンホモ
ジナイザーが挙げられるが、この装置では高圧で送られ
た被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高速流に変換さ
れ、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その衝撃力で乳化
・分散が行われる。使用圧力は一般には100〜600kg/c
m2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散効率を上げ
るために高流速部を鋸刃状にし衝突回数を増やすなどの
工夫を施したものも考案されている。これに対して、近
年更に高圧、高流速での分散が可能となる装置が開発さ
れてきており、その代表例としてはマイクロフルイダイ
ザー(マイクロフルイデックス・インターナショナル・
コーポレーション社)、ナノマイザー(特殊機化工業
(株))などが挙げられる。
【0016】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、
少なくとも有機銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等で加
圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いス
リットを通過させることにより所望の圧力を印加し、こ
の後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方法で分
散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本発明に
最適な有機銀塩分散物を得ることが可能である。
【0017】本発明における有機銀塩分散においては、
流速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望
の粒子サイズに分散することが可能であるが、写真特性
と粒子サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力
降下時の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流
速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000
kg/cm2の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数
は必要に応じて選択でき、通常は1回〜10回の処理回数
が選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回
数が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にす
ることは、分散性、写真特性の点から好ましくなく、90
℃を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりやす
くなると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、
本発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程もし
くは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工
程に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工
程により5〜90℃の範囲に保たれていることが好まし
く、更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲
に保たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/c
m2範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置するこ
とが有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じ
て、二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したも
の、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択する
ことができる。また、熱交換の効率を上げるために、使
用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なも
のを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量か
ら、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、ま
た必要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒
を使用することもできる。
【0018】本発明における分散操作では、水性溶媒可
溶な分散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散する
ことが好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアク
リル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、
マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロ
パンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、
カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロー
スなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチ
ン酸などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号公報
に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン
性、カチオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼ
ラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択し
て用いることができるが、ポリビニルアルコール類、水
溶性のセルロース誘導体が特に好ましい。
【0019】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしてもよ
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしてもよい。機械的に分散する以外にも、pH
コントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分
散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させてもよ
い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使
用してもよく、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去され
る。調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑え
る目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロイドによ
り粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状
にした状態)で保存したりすることもできる。また、保
存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加す
ることもできる。有機銀塩は所望の量で使用できるが、
熱現像画像記録材料1m2当たりの塗布量で示して、銀量
として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/
m2である。
【0020】本発明の熱現像画像記録材料は、(b)還
元可能な銀塩(有機銀塩)のための還元剤を有する。こ
の還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質で
あり、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイド
ロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有
用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。
還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜
50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれ
ることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層
を有する面のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層
に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに
使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有
効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサ
ーであってもよい。
【0021】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料に
おいては広範囲の還元剤が、特開昭46-6074号公報、同4
7-1238号公報、同47-33621号公報、同49-46427号公報、
同49-115540号公報、同50-14334号公報、同50-36110号
公報、同50-147711号公報、同51-32632号公報、同51-10
23721号公報、同51-32324号公報、同51-51933号公報、
同52-84727号公報、同55-108654号公報、同56-146133号
公報、同57-82828号公報、同57-82829号公報、特開平6-
3793号公報、米国特許3,667,9586号明細書、同3,679,42
6号明細書、同3,751,252号明細書、同3,751,255号明細
書、同3,761,270号明細書、同3,782,949号明細書、同3,
839,048号明細書、同3,928,686号明細書、同5,464,738
号明細書、独国特許2321328号明細書、欧州特許692732
号明細書などに開示されている。例えば、フェニルアミ
ドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノ
キシフェニルアミドオキシム等のアミドオキシム;4-ヒ
ドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジン等の
アジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-
β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せ等
の、脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビ
ン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキ
シルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組
合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチ
ル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダク
トンまたはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組
合せ等);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェ
ニルヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム酸
等のヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノー
ルとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ
-4-ベンゼンスルホンアミドフェノール等);エチル-α
-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α-シア
ノフェニルアセテート等のα-シアノフェニル酢酸誘導
体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロ
モ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2-
ヒドロキシ-1-ナフチル)メタン等のビス-β-ナフトー
ル;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘
導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2',
4'-ジヒドロキシアセトフェノン等)の組合せ;3-メチ
ル-1-フェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジ
メチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒド
ロアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロピ
ペリドンヘキソースレダクトン等のレダクトン;2,6-ジ
クロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノール、p-ベン
ゼンスルホンアミドフェノール等のスルホンアミドフェ
ノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオン等;2,2
-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマン等のクロ
マン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒ
ドロピリジン等の1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノー
ル(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチル
フェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル
フェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチ
ル-6-メチルフェノール)、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,
5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよ
び2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロパン等);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチ
ン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル等);
ベンジルおよびビアセチル等のアルデヒドおよびケト
ン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジオ
ン;クロマノール(トコフェロールなど)などが挙げら
れる。本発明の熱現像画像記録材料に用いられる還元剤
は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で
添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段
(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、
コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等)で行わ
れる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いて
もよい。
【0022】本発明の熱現像画像記録材料は(c)バイ
ンダーを有する。本発明で用いるバインダーとしては、
よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチ
ン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリ
ビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニト
リル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択する
ことができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリ
マーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチ
ラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポ
リマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチ
レンおよびブタジエン-スチレンコポリマーである。必
要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組
合せて使用することができる。そのようなポリマーは、
成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。す
なわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で
使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定する
ことができる。目安として、バインダー対有機銀塩の割
合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好まし
い。
【0023】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
(多層である場合は、少なくともその1層)は、以下に
述べるポリマーラテックスを全バインダーの50重量%
以上含有することが好ましく、70重量%以上含有する
ことがより好ましい。(以降この画像形成層を「本発明
における画像形成層」、バインダーに用いるポリマーラ
テックスを「本発明で用いるポリマーラテックス」と表
す。)ポリマーラテックスは画像形成層だけではなく、
保護層やバック層に用いてもよい。特に、寸法変化が問
題となる印刷用途に本発明の熱現像画像記録材料を用い
る場合には、保護層やバック層にもポリマーラテックス
を用いる必要がある。ただしここで言う「ポリマーラテ
ックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子とし
て水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態と
してはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化
重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリ
マー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が
分子状分散したものなどいずれでもよい。なお本発明で
用いるポリマーラテックスについては「合成樹脂エマル
ジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(199
3))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分
子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散
粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000n
m程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関して
は特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散
の粒径分布を持つものでもよい。
【0024】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックスの他、いわゆ
るコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コア
とシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合があ
る。本発明で用いるポリマーラテックスのポリマーのガ
ラス転移温度(Tg)は、保護層用、バック層用と画像
形成層用とでは好ましい範囲が異なる。画像形成層用の
ポリマーラテックスは、熱現像時に写真有用素材の拡散
を促すため、ポリマーのガラス転移温度が40℃以下のも
のが好ましく、-30〜40℃のものがより好ましい。保護
層やバック層用のポリマーラテックスは、これらの層が
種々の機器と接触するため、ポリマーのガラス転移温度
が25〜70℃のものが好ましい。本発明で用いるポリマー
ラテックスは、最低造膜温度(MFT)が-30℃〜90℃のも
のが好ましく、0℃〜70℃程度のものがより好ましい。
最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加
してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテ
ックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有
機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室
井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されて
いる。
【0025】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマ
ーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーで
も、また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーと
しては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマー
でもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも
ブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は、数
平均分子量で5000〜1000000程度が好ましく、より好ま
しくは10000〜100000程度である。分子量が小さすぎる
ものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎ
るものは製膜性が悪く好ましくない。
【0026】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具
体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
など。また、このようなポリマーは市販もされていて、
以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹
脂の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイ
セル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、82
0、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル
樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大
日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イース
トマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHY
DRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)
製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、
4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipo
l Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)
など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼ
オン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D5
04、D5071(以上三井東圧(株)製)など、オレフィン
樹脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化
学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリ
マーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブ
レンドして用いてもよい。本発明における画像形成層の
全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/
m2の範囲が好ましい。画像形成層には架橋のための架橋
剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよ
い。
【0027】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の
少なくとも片面上に、上記の(a)〜(c)とともに、
(d)画像記録材料中でアンモニアと共有結合を形成し
アンモニアの塩基性を低下させる少なくとも1種の化合
物を有することを特徴とする。このような化合物の化学
構造は特に限定されるものではないが、一般式(1)で
表される化合物が好ましい。
【化5】 (式中、Rはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オ
キシ基を表し、MはCO、COCOまたはSO2を表
し、Lはアンモニアとの置換反応で脱離する基で、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、電子
求引性基置換アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基また
は環の窒素で結合するヘテロ環基を表す。RまたはLで
表される基は置換されていてもよい)
【0028】Rで表されるアルキル基としては炭素数1
〜16、好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、環
状またはこれらの組合せの、置換基を有していてもよい
アルキル基であり、例えばメチル、エチル、イソプロピ
ル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、2−メタンスル
ホンアミドエチル、2−メトキシエチル、シクロペンチ
ル、2−カルボキシルエチルである。Rで表されるアリ
ール基としては炭素数6〜24、好ましくは6〜12の
置換基を有していてもよいアリール基で例えば、フェニ
ル、ナフチル、p−メトキシフェニルである。Rで表さ
れるヘテロ環基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素
原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員
環の飽和または不飽和の単環または縮合環であり、例え
ば、2−ピリジル、2−キノリル、1−イソキノリル、
2−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピリダジニ
ル、1−フタラジニル、2−トリアジニル、2−フリ
ル、2−チエニル、2−ピロリル、2−オキサゾリル、
4−チアゾリル、4−イミダゾリル、2−チアジアゾリ
ル、2−トリアゾリル、5−ベンズイミダゾリルで、ピ
ロリジノ、モルホリノである。Rで表されるヘテロ環基
としては、本明細書中以下においてLの定義として記載
される環の窒素原子で結合するヘテロ環基も含まれる。
【0029】Rで表されるアルキルアミノ基としては炭
素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のアルキルア
ミノ基で例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジ
エチルアミノ、N−(2−フェノキシエチル)アミノで
ある。Rで表されるアリールアミノ基としては炭素数6
〜24、好もしくは6〜12のアリールアミノ基で例え
ばアニリノ、m−メトキシアニリノ、N−メチルアニリ
ノ、ナフチルアミノである。Rで表されるアリールアミ
ノ基の中には、本明細書中以下においてLの定義として
記載される電子吸引性基置換アリールアミノ基が含まれ
る。Rで表されるヘテロ環アミノ基としては炭素数1〜
5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上
含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環ア
ミノ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の
種類は1つでも複数であってもよく例えば、2−オキサ
ゾリルアミノ、2−テトラヒドロピラニルアミノ、4−
ピリジルアミノである。
【0030】RはLと同一の基でも異なる基でもよい。
MがCOまたはCOCOの時、Rとしてはヘテロ環基
(特には、環の窒素で結合するヘテロ環基が含まれ
る)、アルキルアミノ基、電子吸引性基で置換されてい
てもよいアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基およびヘテロ環オキシ基であ
る場合が好ましく、アルキルアミノ基、アリールアミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基がより好ましく、
アルコキシ基が最も好ましい。MがSO2の時、Rとし
てはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基および環の窒
素で結合するヘテロ環基が好ましく、アリール基、ヘテ
ロ環基および環の窒素で結合するヘテロ環基がより好ま
しい。MとしてはCOが好ましい。
【0031】RまたはLで表されるアルコキシ基として
は炭素数1〜24、好ましくは炭素数1〜16の置換基
を有していてもよいアルコキシ基で例えば、メトキシ、
エトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ヘキサデ
シルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、2−メトキシ
エトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、2−メタ
ンスルホニルエトキシである。RまたはLで表されるア
リールオキシ基としては炭素数6〜24、好ましくは2
〜12の置換基を有していてもよいアリールオキシ基で
例えば、フェノキシ、3−メトキシフェノキシ、3−ク
ロロフェノキシ、2,4−ジクロロフェノキシ、3,5
−ジクロロフェノキシ、4−シアノフェノキシ、4−ニ
トロフェノキシ、4−エトキシカルボニルフェノキシで
ある。RまたはLで表されるヘテロ環オキシ基としては
炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子
を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和の
ヘテロ環オキシ基であって環を構成するヘテロ原子の数
及び元素の種類は1つでも複数であってもよく例えば、
1−フェニルテトラゾリル−5−オキシ、2−テトラヒ
ドロピラニルオキシ、2−ピリジルオキシ、2−チアゾ
リルオキシ、3−ピラゾリニルオキシである。
【0032】RまたはLで表される電子求引性基置換ア
リールアミノ基としては、上記のアリールアミノ基のア
リール基がハメットのσm値が0.25以上の電子求引
性基(例えばCl、Br、CF3、CN、アセチル、カ
ルバモイル、ニトロ、メタンスルホニル)で置換された
ものが挙げられる。例えば2,4−ジクロロアニリノ、
3,5−ジクロロアニリノ、4−ニトロアニリノ、4−
シアノアニリノである。RまたはLで表されるヘテロ環
アミノ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、
もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の含
窒素ヘテロ環アミノ基であって、ヘテロ環が2個のヘテ
ロ原子ではさまれた炭素の位置でアミノ基に連結するも
のが好ましく、例えば、2−オキサゾリルアミノ、3−
トリアゾリルアミノ、2−チアジアゾリルアミノ、4−
ピリジルアミノ、2−トリアジニルアミノである。Rま
たはLで表される環の窒素原子で連結するヘテロ環基と
しては、5員の含窒素ヘテロ環であり、例えばピロロ、
イミダゾリノ、ベンズイミダゾリノ、トリアジノ、ベン
ゾトリアジノである。Lとしてはアリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、ヘテロ環アミノ基および環の窒素で結
合するヘテロ環基が好ましく、アリールオキシ基、ヘテ
ロ環オキシ基および環の窒素で結合するヘテロ環基がよ
り好ましい。
【0033】RおよびLは置換基を有していてもよく、
置換基としては一般に知られているどのような置換基で
もよいが、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシル基、ア
リールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル
アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオ
キシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルフ
ァモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル
基、燐酸アミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニ
トロ基、ヒドロキサム酸基、ヘテロ環基である。なお、
塩形成が可能な基は塩を形成してもよい。また、これら
置換基はさらに置換基を有してもよい。RおよびLの置
換基として、拡散性を低下させるために写真用素材で使
用されるバラスト基を有してもよいし、置換基どうしが
結合してビス型やトリス型を形成してもよい。
【0034】本発明の熱現像画像記録材料に用いられる
一般式(1)の化合物の具体例としては、特公平3−3
2058号公報の一般式(1)の具体例として記載され
ているもの(具体的には、同公報中の(I−1)〜(I
−8)、(I−12)〜(I−17)および(I−2
2)〜(I−126)で表される化合物;以下にそれら
の化学構造を具体的に示す)に加え、以下に示すもの
(化合物1−201〜化合物1−263)が挙げられる
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
【化22】
【0052】
【化23】
【0053】
【化24】
【0054】
【化25】
【0055】
【化26】
【0056】
【化27】
【0057】
【化28】
【0058】本発明で用いる一般式(1)で表される化
合物は、通常の合成反応によって容易に製造することが
できる。
【0059】
【化29】
【0060】Rがアルキルアミノ基、アリールアミノ
基、ヘテロ環アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ
基またはヘテロ環オキシ基の場合、H-L(A)とX2-
M-X1(B、X1とX2はハロゲン原子)を塩基(C)存
在下反応させX2-M-L(D)とした後、DとR-Hを塩
基(E)存在下反応させて、目的とする一般式(1)が
合成できる。Rがアルキル基、アリール基またはヘテロ
環基の場合、塩基(G)存在下R-M-X3(F)とAを
反応させて目的とする一般式(1)を合成した。一般式
(1)の化合物の具体的な合成は、特公平3−3205
8号公報に記載の方法の他、炭酸アルキルアリール系
は、G.Barceloら,Tetrahedron,46, 1839 (1990)-6、Mor
el,Bull.Soc.Chim.Fr. 21, 820(1899)、Pacら, Kogyo.
kagaku.Zasshi, 72,224,225,227(1969)を、炭酸ジアリ
ール系は、E.C.Juengeら, J.Org.Chem.29, 226 (196
4)、Melnikowら, J.Prakt.Chem. 128, 233, 236 (193
0)、炭酸ジヘテロアリール(化合物1−233)の合成
は特許(DE1105865号)を、ウレタン系(化合物1−
235)はFujinamiら, Agric.Biol.Chem.35, 1707, 17
09 (1971)を、シュウ酸ジエステルは、化合物1−24
1がW.Schlenk, Justus Liebigs Ann.Chem. 727,1-9 (1
969)を、化合物1−243がW.Adams, J.Amer.Chem.So
c. 38, 2517 (1916)を、スルホンアミド系(化合物1−
262)はStaab, Chem.Ber. 93, 2902, 2909 (1960),
Staab, Angew.Chem. 74, 407, 420 (1962), Sundberg,
J.Heterocycl.Chem. 14, 517 (1977)を参考に合成でき
る。
【0061】一般式(1)の化合物は、1種だけで用い
ても、2種以上を併用してもよい。使用量は、熱現像画
像記録材料1m2当たりの塗布量として、1×10-6〜1
×10-2mol/m2が好ましく、より好ましくは1×10-5
〜5×10-3mol/m2であり、さらに好ましくは2×10
-5〜1×10-3mol/m2である。一般式(1)の化合物
は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなど
に溶解して用いることができる。また、公知の乳化分散
法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフ
ェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフ
タレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノン
などの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を
作製して用いることができる。あるいは固体分散法とし
て知られている方法によって、粉末を水の中にボールミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントン
ゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によ
って分散して用いることができる。一般式(1)で表わ
される化合物は、支持体に対して画像形成層側の層、即
ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加して
もよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加
することが好ましい。
【0062】本発明の熱現像画像記録材料は、上記の素
材(a)〜(d)に加えて、さらに(e)感光性ハロゲ
ン化銀を有することが好ましい。本発明に用いられる感
光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はな
く、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭
化銀を用いることができる。粒子内におけるハロゲン組
成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステッ
プ状に変化したものでもよく、あるいは連続的に変化し
たものでもよい。また、コア/シェル構造を有する感光
性ハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構
造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2
〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在さ
せる技術も好ましく用いることができる。感光性ハロゲ
ン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例え
ば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029
号、および米国特許第3,700,458号明細書に記載されて
いる方法を用いることができる。具体的には、調製され
た有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することによ
り有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する
方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給
化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより
感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方
法を用いることができる。本発明では、好ましくは後者
の方法を用いることができる。
【0063】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好
ましく、好ましくは0.20μm以下、より好ましくは0.01
μm以上0.15μm以下、さらに好ましくは0.02μm以上0.1
2μm以下である。ここでいう粒子サイズとは、感光性ハ
ロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常
晶である場合には感光性ハロゲン化銀粒子の稜の長さを
いう。また、感光性ハロゲン化銀粒子が平板状粒子であ
る場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算した
ときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球
状粒子、棒状粒子等の場合には、感光性ハロゲン化銀粒
子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。感光性
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板
状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙
げることができるが、本発明においては特に立方体状粒
子、平板状粒子が好ましい。平板状感光性ハロゲン化銀
粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:
1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1である。さらに、感
光性ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増
感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に
記載の方法により求めることができる。
【0064】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族(第7族〜
第10族)の金属または金属錯体を含有することが好ま
しい。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属また
は金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニ
ウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムである。こ
れら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種
金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率
は銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-2モルの範
囲が好ましく、1×10-8モル〜1×10-4モルの範囲
がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開
平7-225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用い
ることができる。感光性ハロゲン化銀が含有することが
好ましいロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合
物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム
(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハ
ロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、例えば、
ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコ
ロジウム(III)錯塩、テトラクロロジアコロジウム(I
II)錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサ
アンミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(I
II)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、
水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウ
ム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われ
る方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩
酸、臭酸、フッ化水素酸等)、あるいはハロゲン化アル
カリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法
を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わり
に感光性ハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムを
ドープしてある別の感光性ハロゲン化銀粒子を添加して
溶解させることも可能である。
【0065】これらのロジウム化合物の添加量は、感光
性ハロゲン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10
-6モルの範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8
ル〜1×10-6モルである。これらの化合物の添加は、
感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布
する前の各段階において適宜行うことができるが、特に
乳剤形成時に添加し、感光性ハロゲン化銀粒子中に組み
込まれることが好ましい。感光性ハロゲン化銀が含有す
ることが好ましいレニウム、ルテニウム、オスミウム
は、特開昭63-2042号公報、特開平1-285941号公報、同2-2
0852号公報、同2-20855号公報等に記載された水溶性錯塩
の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式
で示される六配位錯体が挙げられる。 [ML6n- ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子
を表し、nは0、1、2、3または4を表す。この場
合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくは
アルカリ金属イオンが用いられる。好ましい配位子とし
ては、ハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン
酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位
子等が挙げられる。
【0066】以下に本発明に用いられる具体的錯体の例
を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4- これらの化合物の添加量は、感光性ハロゲン化銀1モル
当たり1×10-9モル〜1×10-5モルの範囲が好まし
く、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10 -6モルで
ある。これらの化合物の添加は、感光性ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
感光性ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好まし
い。
【0067】これらの化合物を感光性ハロゲン化銀の粒
子形成中に添加して感光性ハロゲン化銀粒子中に組み込
むには、金属錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶
解した水溶液を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハ
ライド溶液中に添加しておく方法、あるいは銀塩とハラ
イド溶液が同時に混合されるとき第3の溶液として添加
し、3液同時混合の方法で感光性ハロゲン化銀粒子を調
製する方法、あるいは粒子形成中に必要量の金属錯体の
水溶液を反応容器に投入する方法などがある。特に粉末
もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、水溶性
ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添
加するには、粒子形成直後または物理熟成時途中もしく
は終了時または化学熟成時に必要量の金属錯体の水溶液
を反応容器に投入することもできる。
【0068】感光性ハロゲン化銀が含有することが好ま
しいイリジウム化合物としては種々のものを使用できる
が、例えばヘキサクロロイリジウム、ヘキサアンミンイ
リジウム、トリオキザラトイリジウム、ヘキサシアノイ
リジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げ
られる。これらのイリジウム化合物は、水あるいは適当
な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合物の溶
液を安定化させるために一般によく行われる方法、すな
わち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ
酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaC
l、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができ
る。水溶性イリジウムを用いる代わりに感光性ハロゲン
化銀調製時に、あらかじめイリジウムをドープしてある
別の感光性ハロゲン化銀粒子を添加して溶解させること
も可能である。本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
粒子は、さらにコバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラ
ジウム、白金、金、タリウム、銅、鉛等の金属原子を含
有してもよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウ
ムの化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用い
ることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオ
ン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イ
オン、ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテ
ニウム酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。感光性ハロゲン化銀中の金属錯体は均
一に含有させても、コア部に高濃度に含有させてもよ
く、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に
制限はない。
【0069】上記金属の使用量は、感光性ハロゲン化銀
1モル当たり1×10-9〜1×10 -4モルが好ましい。
また、上記金属を含有させるには単塩、複塩、または錯
塩の形の金属塩にして粒子調製時に添加することができ
る。感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレ
ーション法等、当業界で知られている方法の水洗により
脱塩することができるが本発明においては脱塩してもし
なくてもよい。本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法
としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、
貴金属増感法などの公知の方法を用いることができ、単
独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用す
る場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感
法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感
法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法とテルル増感
法と金増感法などが好ましい。
【0070】硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加し
て、40℃以上の高温で感光性ハロゲン化銀乳剤を一定
時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては
公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン
中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例
えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニ
ン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、
チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加
量は、化学熟成時のpH、温度、感光性ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、感光性
ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モルが好まし
く、より好ましくは10-5〜10-3モルである。セレン
増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることがで
きる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安
定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で感光性
ハロゲン化銀乳剤を一定時間攪拌することにより行われ
る。不安定型セレン化合物としては、特公昭44-15748号
公報、同43-13489号公報、特開平4-25832号公報、同4-1092
40号公報、同4-324855号公報等に記載の化合物を用いる
ことができる。特に特開平4-324855号公報中の一般式(V
III)および(IX)で示される化合物を用いることが好
ましい。
【0071】テルル増感剤は、感光性ハロゲン化銀粒子
表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化
銀を生成させる化合物である。感光性ハロゲン化銀乳剤
中のテルル化銀生成速度については、特開平5-313284号
公報に記載の方法で試験することができる。テルル増感
剤としては、例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシ
カルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリ
ド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)
ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=
Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−
オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テ
ルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセター
ル類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合
物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機
テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることがで
きる。具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第
3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第
235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,46
2号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,9
58号明細書、特開平4-204640号公報、特開平4-271341号公
報、同4-333043号公報、同5-303157号公報、ジャーナル
・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュ
ニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(198
0),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル
・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トラン
ザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(198
0)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ
・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カ
ンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and
Tellunium Compounds),Vol.1(1986)、同Vol.2(198
7)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5
-313284号公報中の一般式(II),(III),(IV)で示
される化合物が好ましい。
【0072】セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使
用する感光性ハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によっ
て変わるが、一般に感光性ハロゲン化銀1モル当たり1
×10-8〜1×10-2モル、好ましくは1×10-7〜1
×10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の
条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、
pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、
温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃で
ある。貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、
イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。
金増感剤の具体例としては、塩化金酸、カリウムクロロ
オーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金な
どが挙げられ、感光性ハロゲン化銀1モル当たり1×1
-7〜1×10-2モル程度を用いることができる。本発
明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤には、感光性ハロゲ
ン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミ
ウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させて
もよい。
【0073】本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤には、還
元増感を用いることができる。還元増感法の具体的な化
合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に、
例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン
酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、
ポリアミン化合物等を用いることができる。また、感光
性ハロゲン化銀乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に
保持して熟成することにより還元増感することができ
る。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディショ
ン部分を導入することにより還元増感することができ
る。本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀乳剤には、
欧州特許公開第293,917A1号明細書に示される方法に
より、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明
の熱現像画像記録材料に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子
サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖
の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)を併用し
てもよい。
【0074】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀の
使用量は、有機銀塩1モルに対して0.01〜0.5モ
ルが好ましく、より好ましくは0.02〜0.3モルで
あり、さらに好ましくは0.03〜0.25モルであ
る。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混
合方法および混合条件については、それぞれ調製終了し
た感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモ
ジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調
製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロ
ゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等がある
が、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制
限はない。
【0075】本発明の熱現像画像記録材料は、上記の素
材(a)〜(d)に加えて、さらに(f)超硬調化剤を
有することが好ましい。本発明に用いられる超硬調化剤
としては、下記の一般式(2)、(3)および(4)で
それぞれ表される、置換アルケン誘導体、置換イソオキ
サゾール誘導体、およびアセタール化合物からなる群よ
り選ばれることが好ましい。
【0076】
【化30】
【0077】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基
またはシリル基を表す。あるいは、R1とZ、R2
3、R1とR2、およびR3とZは、それぞれ互いに結合
して環状構造を形成してもよい。R 4は、置換基を表
す。XおよびYは、それぞれ独立に水素原子または置換
基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシル
基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ
基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。あ
るいは、XとY、およびAとBは、それぞれ互いに結合
して環状構造を形成してもよい。)
【0078】以下に一般式(2)で表される化合物につ
いて詳しく説明する。一般式(2)において、R1、R2
およびR3は、それぞれ独立に水素原子または置換基を
表す。R1、R2およびR3が置換基を表す時、置換基の
例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(シク
ロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アラルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ
環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化さ
れた窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基ま
たはその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チ
オカルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカ
ルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバ
ゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、
チオカルバモイル基、ヒドロキシル基またはその塩、ア
ルコキシル基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオ
キシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ
またはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモ
イルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アル
キル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルア
ミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カ
ルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカル
バジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級
のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルま
たはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド
基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカ
プト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ
基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホ
ニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、
スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスル
ファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその
塩、ホスホリル基、リン酸アミドまたはリン酸エステル
構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。
これらの置換基は、これら置換基でさらに置換されてい
てもよい。
【0079】R1、R2およびR3で表される置換基の中
でも、総炭素数が0〜30の基が好ましい。具体的に
は、後述の一般式(2)のZで表される電子求引性基と
同義の基、アルキル基、ヒドロキシル基またはその塩、
メルカプト基またはその塩、アルコキシル基、アリール
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換または無
置換のアリール基等が好ましい。R1は、好ましくは、
水素原子、電子求引性基、アリール基、アルキルチオ
基、アルコキシル基、アシルアミノ基、またはシリル基
である。より好ましくは、電子求引性基またはアリール
基である。
【0080】R1が電子求引性基を表す時、R1は好まし
くは、総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、
ニトロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、
スルファモイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル
基、カルボキシル基またはその塩、または飽和もしくは
不飽和のヘテロ環基であり、さらに好ましくは、シアノ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ
基、スルファモイル基、カルボキシル基またはその塩、
または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基である。特に好
ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシ
カルボニル基、カルバモイル基、または飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基である。
【0081】R1がアリール基を表す時、R1は好ましく
は、総炭素数6〜30の置換または無置換のフェニル基
であり、置換基としては、任意の置換基が挙げられる
が、中でも電子吸引性の置換基が好ましい。一般式
(2)において、R2およびR3が置換基を表す時、R2
およびR3は好ましくは、後述の一般式(2)のZで表
される電子求引性基と同義の基、アルキル基、ヒドロキ
シル基(またはその塩)、メルカプト基またはその塩、
アルコキシル基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ
環アミノ基、アシルアミノ基、置換または無置換のフェ
ニル基等である。R2およびR3は、さらに好ましくは、
どちらか一方が水素原子で、他方が置換基である。その
置換基として、好ましくは、アルキル基、ヒドロキシル
基またはその塩、メルカプト基またはその塩、アルコキ
シル基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ
基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ
基、アシルアミノ基(特にパーフルオロアルカンアミド
基)、スルホンアミド基、置換もしくは無置換のフェニ
ル基、またはヘテロ環基等であり、より好ましくはヒド
ロキシル基またはその塩、メルカプト基またはその塩、
アルコキシル基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくはヒドロ
キシル基またはその塩、アルコキシル基、またはヘテロ
環基である。
【0082】一般式(2)において、Zは電子求引性基
またはシリル基を表す。好ましくは、Zは電子求引性基
である。Zで表される電子吸引性基は、ハメットの置換
基定数σpが正の値を取りうる置換基であり、具体的に
は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニ
トロ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パー
フルオロアルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル
基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシル基または
その塩、スルホ基またはその塩、ヘテロ環基、アルケニ
ル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、
スルホニルオキシ基、またはこれら電子求引性基で置換
されたアリール基等が挙げられる。ヘテロ環基は、飽和
または不飽和のヘテロ環基であり、例えばピリジル基、
キノリル基、キノキサリニル基、ピラジニル基、ベンゾ
トリアゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル
基、ヒダントイン−1−イル基、スクシンイミド基、フ
タルイミド基等が挙げられる。
【0083】Zで表される電子求引性基は、さらに置換
基を有していてもよく、その置換基としては、一般式
(2)のR1,R2,R3が表す置換基が挙げられる。Z
が電子求引性基を表す時、Zは好ましくは、総炭素数0
〜30の以下の基、即ち、シアノ基、アルコキシカルボ
ニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルオキ
シ基、アシルチオ基、または任意の電子求引性基で置換
されたフェニル基等であり、より好ましくは、シアノ
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ
基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル
基、トリフルオロメチル基、または任意の電子求引性基
で置換されたフェニル基等であり、さらに好ましくはシ
アノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、イミノ基またはカルバモイル基である。Zがシリル
基を表すとき、Zは好ましくは、トリメチルシリル基、
t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルジメチルシリル基等である。一般式
(2)において、R1とZ、R2とR3、R1とR2、およ
びR3とZは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成
してもよい。中でも、R1とZ、あるいはまたR2
3、が環状構造を形成することが好ましい。形成され
る環状構造は、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘ
テロ環である。好ましくは、環状構造は、5員〜7員環
で、置換基を含めた総炭素数が1〜40、より好ましく
は3〜30である。
【0084】一般式(2)で表される化合物の中で好ま
しいものは、Zがシアノ基、ホルミル基、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカルバモイル
基を表し、R1が電子求引性基またはアリール基を表
し、R2およびR3はどちらか一方が水素原子で、他方が
ヒドロキシル基またはその塩、メルカプト基またはその
塩、アルコキシル基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキ
シ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、またはヘテロ環基を表す化合物である。一般式
(2)で表される化合物の中でさらに好ましいものは、
ZとR1とが非芳香族の5員〜7員の環状構造を形成
し、R2およびR3はどちらか一方が水素原子で、他方が
ヒドロキシル基またはその塩、メルカプト基またはその
塩、アルコキシル基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキ
シ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、またはヘテロ環基を表す化合物である。この時、R
1と共に非芳香族の環状構造を形成するZとしては、ア
シル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカ
ルボニル基、スルホニル基等が好ましく、またR1とし
ては、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル
基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原
子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチ
オ基等が好ましい。
【0085】次に一般式(3)で表される化合物につい
て説明する。一般式(3)において、R4で表される置
換基は、一般式(2)のR1〜R3の置換基と同様であ
る。好ましくは、R4は電子求引性基またはアリール基
である。R4が電子求引性基を表す時、R4は好ましく
は、総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニ
トロ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、イミ
ノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、
より好ましくは、シアノ基、アシル基、ホルミル基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイ
ル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、シアノ基、ホル
ミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、またはヘテロ環基である。R4がアリール基を
表す時、R4は好ましくは、総炭素数0〜30の置換も
しくは無置換のフェニル基であり、置換基としては、一
般式(2)のR1、R2およびR3が表す置換基が挙げら
れる。R4は、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、または置換
もしくは無置換のフェニル基であり、最も好ましくはシ
アノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボニル基で
ある。
【0086】次に一般式(4)で表される化合物につい
て説明する。一般式(4)において、XおよびYは、そ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表す。あるいは、
XとYは、互いに結合して環状構造を形成してもよい
X、Yで表される置換基としては、一般式(2)の
1、R2およびR3が表す置換基が挙げられる。具体的
には、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロ
ロメチル基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロ
ゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフ
ァモイル基、ホスホリル基、カルボキシル基またはその
塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシル基またはその
塩、メルカプト基またはその塩、アルコキシル基、アリ
ールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルア
ミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル基等が
挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していても
よい。あるいは、XとYは、互いに結合して環状構造を
形成してもよく、形成される環状構造は、非芳香族の炭
素環でも、非芳香族のヘテロ環であってもよい。
【0087】X、Yで表される置換基は、好ましくは総
炭素数が1〜40であり、より好ましくは総炭素数が1
〜30である。具体的には、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボ
ニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミ
ノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、ア
ルキルチオ基、アルコキシル基、またはアリール基等が
挙げられる。X,Yは、より好ましくは、シアノ基、ニ
トロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ア
シル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホ
ニル基、アリールスルホニル基、イミノ基、N原子で置
換したイミノ基、ホスホリル基、トリフルオロメチル
基、ヘテロ環基、または置換されたフェニル基等であ
り、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリール
スルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシルアミノ
基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ基、N原子
で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任意の電子求
引性基で置換されたフェニル基等である。
【0088】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環または非芳香族のヘテロ環を形成する場合もまた好ま
しい。形成される環状構造は、5員〜7員環が好まし
く、置換基を含めた総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。一般式(4)において、AおよびBはそ
れぞれ独立に、アルコキシル基、アルキルチオ基、アル
キルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア
ニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘ
テロ環アミノ基を表す。あるいは、AとBは、互いに結
合して環状構造を形成してもよい。A、Bで表される基
は、好ましくは総炭素数が1〜40であり、より好まし
くは総炭素数が1〜30であり、さらに置換基を有して
いてもよい。A、Bは、より好ましくは、互いに結合し
て環状構造を形成する。形成される環状構造は、好まし
くは5員〜7員環の非芳香族のヘテロ環であり、好まし
くは総炭素数が1〜40であり、さらに好ましくは3〜
30である。A、Bが互いに結合した例(−A−B−)
としては、−O−(CH22−O−,−O−(CH23
−O−,−S−(CH22−S−,−S−(CH23
S−,−S−Ph−S−,−N(CH3)−(CH22
−O−,−N(CH3)−(CH22−S−,−O−
(CH22−S−,−O−(CH23−S−,−N(C
3)−Ph−O−,−N(CH3)−Ph−S−,−N
(Ph)−(CH22−S−等が挙げられる。
【0089】本発明において、超硬調化剤として用いら
れる一般式(2)〜(4)で表される化合物は、感光性
ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれ
ていてもよい。こうした吸着基としては、アルキルチオ
基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メル
カプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,
385,108号明細書、同4,459,347号明細
書、特開昭59−195233号公報、同59−200
231号公報、同59−201045号公報、同59−
201046号公報、同59−201047号公報、同
59−201048号公報、同59−201049号公
報、特開昭61−170733号公報、同61−270
744号公報、同62−948号公報、同63−234
244号公報、同63−234245号公報、同63−
234246号公報に記載された基が挙げられる。また
これら感光性ハロゲン化銀に対する吸着基は、プレカー
サー化されていてもよい。その様なプレカーサーとして
は、特開平2−285344号公報に記載された基が挙
げられる。
【0090】一般式(2)〜(4)で表される化合物
は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において
常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれ
ているものでもよい。特にバラスト基が組み込まれてい
るものは本発明の好ましい例の1つである。バラスト基
は8以上の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活
性な基であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アル
コキシル基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノ
キシ基、アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことが
できる。またポリマーとしては、例えば特開平1−10
0530号公報に記載のものが挙げられる。一般式
(2)〜(4)で表される化合物は、その中にカチオン
性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、また
は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、
エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返
し単位を含む基、(アルキル、アリール、またはヘテロ
環)チオ基、または塩基により解離しうる解離性基(カ
ルボキシル基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カ
ルバモイルスルファモイル基等)が含まれていてもよ
い。特にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
の繰り返し単位を含む基、または(アルキル、アリー
ル、またはヘテロ環)チオ基が含まれているものは、本
発明の好ましい例の1つである。これらの基の具体例と
しては、例えば特開平7−234471号公報、同5−
333466号公報、同6−19032号公報、同6−
19031号公報、同5−45761号公報、米国特許
4994365号明細書、同4988604号明細書、
特開平3−259240号公報、同7−5610号公
報、同7−244348号公報、独国特許400603
2号明細書等に記載の化合物が挙げられる。以下に、本
発明において、超硬調化剤として用いられる一般式
(2)〜(4)で表される化合物の具体例を示す。ただ
し、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0091】
【化31】
【0092】
【化32】
【0093】
【化33】
【0094】
【化34】
【0095】本発明において、超硬調化剤として用いら
れる一般式(2)〜(4)で表される化合物は、公知の
方法により容易に合成することができる。例えば、米国
特許第5545515号明細書、同5635339号明
細書、同5654130号明細書、国際公開WO97/
34196号公報、特願平9−354107号明細書、
同9−309813号明細書、同9−272002号明
細書に記載の方法を参考に合成することができる。本発
明の熱現像画像記録材料において、一般式(2)〜
(4)で表される化合物の使用量は、銀1モルに対し、
好ましくは1×10-6〜1モルであり、より好ましくは
1×10-5〜5×10-1モルであり、さらに好ましくは
2×10-5〜2×10-1モルである。
【0096】一般式(2)〜(4)で表される化合物
は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メ
タノール、エタノール、プロパノール、フッ化アルコー
ルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンな
ど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、公知の乳化分散法によって、ジブチルフタレー
ト、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセ
テートまたはジエチルフタレート等のオイル、酢酸エチ
ルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、一
般式(2)〜(4)で表される化合物の粉末を水等の適
当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音
波によって分散して用いることができる。一般式(2)
〜(4)で表される化合物は、支持体に対して画像形成
層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの
層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接
する層に添加することが好ましい。
【0097】一般式(2)〜(4)で表される化合物
は、1種のみ用いても、2種以上を併用してもよい。ま
た上記のものの他に、米国特許第5545515号明細
書、同5635339号明細書、同5654130号明
細書、国際公開WO97/34196号公報、米国特許
第5686228号明細書、特開平11−119372
号公報、特願平9−228881号明細書、同9−27
3935号明細書、同9−354107号明細書、同9
−309813号明細書、同9−296174号明細
書、同9−282564号明細書、特開平11−953
65号公報、同11−95366号公報、および特願平
9−332388号明細書に記載された化合物を併用し
て用いてもよい。さらに本発明においては、特開平10
−339932号公報、同10−161270号公報に
記載のヒドラジン誘導体を組み合わせて用いることもで
きる。さらには下記のヒドラジン誘導体を組み合わせて
用いることもできる。即ち、特公平6−77138号公
報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同
公報3、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号
公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的
には同公報8〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開
平6−230497号公報に記載の一般式(4)〜
(6)で表される化合物で、具体的には同公報25、2
6頁に記載の化合物4−1〜4−10、28〜36頁に
記載の化合物5−1〜5−42、および39、40頁に
記載の化合物6−1〜6−7。特開平6−289520
号公報に記載の一般式(1)、(2)で表される化合物
で、具体的には同公報5〜7頁に記載の化合物1−1)
〜1−17)および2−1)。特開平6−313936
号公報に記載の(化2)、(化3)で表される化合物
で、具体的には同公報6〜19頁に記載の化合物。特開
平6−313951号公報に記載の(化1)で表される
化合物で、具体的には同公報3〜5頁に記載の化合物。
特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報5〜10頁に記載の化
合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に
記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同
公報10〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。
特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)、
(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8〜1
5頁に記載の化合物H−1〜H−44。欧州特許公開第
713131A1号公報に記載の、ヒドラジン基の近傍
にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水
素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とす
る化合物で、特に一般式(A)〜(F)で表される化合
物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−3
0。欧州特許公開第713131A1号公報に記載の一
般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記
載の化合物D−1〜D−55。1991年3月22日発行の「公
知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25〜34
頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特開昭62−86
354号(6頁〜7頁)の化合物D−2およびD−3
9。
【0098】これらのヒドラジン誘導体の使用量は、銀
1モルに対し、好ましくは1×10 -6〜1モルであり、
より好ましくは1×10-5〜5×10-1モルであり、さ
らに好ましくは2×10-5〜2×10-1モルである。ヒ
ドラジン誘導体は、上述の一般式(2)〜(4)で表さ
れる化合物と同様の方法で分散し用いることができる。
ヒドラジン誘導体は、支持体に対して画像形成層側の
層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添
加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層
に添加することが好ましい。また、本発明において、超
硬調化剤として、米国特許第5,545,515号明細書に記載
のアクリロニトリル類、具体的にはCN-1〜CN-13等
を用いることができる。
【0099】本発明では、超硬調画像形成のために、前
記の超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することが
できる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記載
のアミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,
507号明細書に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはH
A-1〜HA-11、同5,558,983号明細書に記載のヒドラジ
ン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、特開平9−29
7368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA
-1〜A-42、B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いるこ
とができる。前記の超硬調化剤、およびこれらの硬調化
促進剤の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの
前記引用特許に記載されているように行うことができ
る。本発明の熱現像画像記録材料は、上記の(e)感光
性ハロゲン化銀および(f)超硬調化剤を併用すること
も好ましい。
【0100】本発明の熱現像画像記録材料は、上記の素
材(a)〜(f)に加えて、さらに下記の一般式
(5): Q2-Y2CZ122 (5) (式中、Q2はアリール基またはヘテロ環基を表し、Y2
は-SO2-または-CO-を表し、Z1およびZ2はハロゲ
ン原子を表し、X2は水素原子または電子求引性基を表
す。)で表されるポリハロゲン系化合物を有することが
好ましい。一般式(5)において、Q2はアリール基ま
たはヘテロ環基を表す。アリール基としては一般式
(1)のRで表されるアリール基が挙げられる。ヘテロ
環基としては、ヘテロ環が、窒素、酸素および硫黄原子
からなる群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む、5
または7員の、飽和または不飽和の単環または縮合環で
あるものが好ましい。ヘテロ環の例としては、ピリジ
ン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、
ピリダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフ
ェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾ
ール、チアジアゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾ
ール等が挙げられる。Q2は、好ましくは、アリール
基、キノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ト
リアゾリル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナ
フチル基、キノリル基、トリアゾリル基である。Q2
置換基を有してもよく、置換基としては一般式(1)の
Rが有していてもよい置換基が挙げられる。Q2の置換
基として、拡散性を低下させるために写真用素材で使用
されるバラスト基や銀塩への吸着基を有していてもよい
し、置換基どうしが結合してビス型やトリス型を形成し
てもよい。
【0101】一般式(5)において、Y2は−SO2−ま
たは−CO−であり、好ましくは−SO2−である。Z1
およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子(例えば、フ
ッ素、塩素、臭素など)を表すが、Z1およびZ2は両方
とも臭素原子であることが最も好ましい。X2は水素原
子または電子求引性基を表す。X2で表される電子求引
性基は、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる
置換基であり、具体的には、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、ハロゲン原子、アシル基、ヘテロ環基
等が挙げられる。X2は好ましくは水素原子またはハロ
ゲン原子であり、最も好ましくは臭素原子である。
【0102】一般式(5)のポリハロゲン系化合物は、
カブリ防止剤として公知の化合物であり、例えば特開平
9−160164号公報、同10−197988号公
報、同9−244177号公報、同9−244178号
公報、同9−160167号公報、同9−319022
号公報、同9−258367号公報、同9−26515
0号公報、同10−197989号公報、同10−17
1063号公報、同10−181459号公報、同11
−89733号公報に記載されたものが挙げられる。一
般式(5)で表されるポリハロゲン系化合物は、1種の
み用いても2種以上併用してもよい。使用量は、熱現像
画像記録材料1m2当たりの塗布量として、1×10-6
1×10-2mol/m2が好ましく、より好ましくは1×10
-5〜5×10 -3mol/m2であり、さらに好ましくは2×1
-5〜1×10-3mol/m2である。一般式(5)で表され
るポリハロゲン系化合物は、支持体に対して画像形成層
側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側のどの層に添
加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層
に添加することが好ましい。
【0103】一般式(5)で表わされるポリハロゲン系
化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコー
ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素
化アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、公知の乳化
分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフ
ォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエ
チルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散
法として知られている方法によって、粉末を水の中にボ
ールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マ
ントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音
波によって分散して用いることができる。
【0104】本発明の熱現像画像記録材料は、画像を向
上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと光学
濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像
を形成させる上でも有利になることがある。色調剤は画
像形成層を有する面に銀1モル当たり0.1〜5モル%
含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜
20モル%含まれる。また、色調剤は現像時のみ有効に
機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。有機銀塩を利用した熱現像写真材料にお
いては広範囲の色調剤が特開昭46-6077号公報、同47-10
282号公報、同49-5019号公報、同49-5020号公報、同49-
91215号公報、同49-91215号公報、同50-2524号公報、同
50-32927号公報、同50-67132号公報、同50-67641号公
報、同50-114217号公報、同51-3223号公報、同51-27923
号公報、同52-14788号公報、同52-99813号公報、同53-1
020号公報、同53-76020号公報、同54-156524号公報、同
54-156525号公報、同61-183642号公報、特開平4-56848
号公報、特公昭49-10727号公報、同54-20333号公報、米
国特許第3,080,254号明細書、同3,446,648号明細書、同
3,782,941号明細書、同4,123,282号明細書、同4,510,23
6号明細書、英国特許第1380795号明細書、ベルギー特許
第841910号明細書などに開示されている。
【0105】色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒド
ロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-
オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリ
ン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび
2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタル
イミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリ
フルオロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾ
ール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5
-ジフェニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプ
ト-1,3,4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N
-(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例
えば、(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよ
びN,N-(ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカ
ルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イ
ソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例え
ば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジ
メチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス
(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2-
トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチアゾー
ル));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチア
ゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オキ
サゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体
(例えば、4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフ
タラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジ
ヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘導体)もしくは
金属塩;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタ
ル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテト
ラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、
フタラジン誘導体(例えば、4-(1-ナフチル)フタラジ
ン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジン、
6-iso-ブチルフタラジン、6-tert-ブチルフタラジン、
5,7-ジメチルフタラジン、および2,3-ジヒドロフタラジ
ンなどの誘導体)もしくは金属塩;フタラジンおよびそ
の誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4-メチ
ルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水
フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズ
オキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤
としてだけでなくその場で感光性ハロゲン化銀生成のた
めのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯
体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウ
ム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロ
ジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過
硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸
化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル
-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよび6-ニトロ-1,3
-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベンズオキサジン
-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉-トリアジン(例え
ば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-ア
ミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラア
ザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメルカプト-1,4-
ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン、
および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-
1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)などがある。
本発明においては、色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子
分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子
分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、
ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散
する際に分散助剤を用いてもよい。
【0106】本発明の熱現像画像記録材料は、増感色素
を有してもよい。本発明において用いられる増感色素と
しては、感光性ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の
波長領域で感光性ハロゲン化銀粒子を分光増感できるも
のであればいかなるものでもよい。具体的には、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色
素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシ
アニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソ
ノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることがで
きる。本発明に使用される有用な増感色素は、例えばRE
SEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A項(1978年12月p.2
3)、同Item1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは
引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイ
メージャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメ
ラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素
を有利に選択することができる。赤色光への分光増感の
例としては、He-Neレーザー、赤色半導体レーザーやLED
などのいわゆる赤色光源に対しては、特開昭54-18726号
公報に記載のI-1〜I-38の化合物、特開平6-75322号公
報に記載のI-1〜I-35の化合物、特開平7-287338号公
報に記載のI-1〜I-34の化合物、特公昭55-39818号公
報に記載の色素1〜20、特開昭62-284343号公報に記載の
I-1〜I-37の化合物、および特開平7-287338号公報に
記載のI-1〜I-34の化合物などが有利に選択される。
【0107】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許第3,761,279号明
細書、同3,719,495号明細書、同3,877,943号明細書、英
国特許第1,466,201号明細書、同1,469,117号明細書、同
1,422,057号明細書、特公平3-10391号公報、同6-52387
号公報、特開平5-341432号公報、同6-194781号公報、お
よび同6-301141号公報に記載されたような既知の色素か
ら適当に選択してよい。
【0108】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例えば、特開昭62-58239号公報、同3-13
8638号公報、同3-138642号公報、同4-255840号公報、同
5-72659号公報、同5-72661号公報、同6-222491号公報、
同2-230506号公報、同6-258757号公報、同6-317868号公
報、同6-324425号公報、特表平7-500926号公報、米国特
許第5,541,054号明細書に記載された色素)、カルボン
酸基を有する色素(例えば、特開平3-163440号公報、同
6-301141号公報、米国特許第5,441,899号明細書に記載
された色素)、メロシアニン色素、多核メロシアニン色
素や多核シアニン色素(特開昭47-6329号公報、同49-10
5524号公報、同51-127719号公報、同52-80829号公報、
同54-61517号公報、同59-214846号公報、同60-6750号公
報、同63-159841号公報、特開平6-35109号公報、同6-59
381号公報、同7-146537号公報、同7-146537号公報、特
表平55-50111号公報、英国特許第1,467,638号明細書、
米国特許第5,281,515号明細書に記載された色素)が挙
げられる。また、J-bandを形成する色素として、米国特
許第5,510,236号明細書、同3,871,887号明細書の実施例
5記載の色素、特開平2-96131号公報、特開昭59-48753
号公報に記載の色素を、本発明に好ましく用いることが
できる。
【0109】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を用いてもよい。有用な増感色素、強色増感を
示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はResearch
Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVの
J項、特公昭49-25500号公報、同43-4933号公報、特開昭
59-19032号公報、同59-192242号公報等に記載されてい
る。増感色素を感光性ハロゲン化銀乳剤中に添加するに
は、増感色素を直接乳剤中に分散してもよいし、あるい
は水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセト
ン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパ
ノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1
-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ
-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒
の単独または混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよ
い。
【0110】また、米国特許第3,469,987号明細書等に
開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号公
報、同44-27555号公報、同57-22091号公報等に開示され
ているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に
添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳
剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、
同4,006,025号明細書等に開示されているように界面活
性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物とした
ものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733号公
報、同58-105141号公報に開示されているように、親水
性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤
中に添加する方法、特開昭51-74624号公報に開示されて
いるように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を
溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いること
もできる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0111】増感色素を感光性ハロゲン化銀乳剤中に添
加する時期は、これまで有用であることが認められてい
る乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米
国特許第2,735,766号明細書、同3,628,960号明細書、同
4,183,756号明細書、同4,225,666号明細書、特開昭58-1
84142号公報、同60-196749号公報等に開示されているよ
うに、感光性ハロゲン化銀の粒子形成工程または/およ
び脱塩前の時期、脱塩工程中および/または脱塩後から
化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920号公報
等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前ま
たは工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤
が塗布される前ならば、いかなる時期、工程において添
加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細
書、特開昭58-7629号公報等に開示されているように、
同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合
わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または
化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程
中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよ
く、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせ
の種類を変えて添加してもよい。本発明における増感色
素の使用量は、感度やカブリなどの性能に合わせて所望
の量でよいが、感光性ハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1
モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0112】本発明の熱現像画像記録材料には、現像を
抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効
率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるた
めなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオ
ン化合物を含有させることができる。本発明に用いられ
るメルカプト化合物は、いかなる構造のものでもよい
が、Ar-SM0、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式
中、M0は水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは
1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテル
リウム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基であ
る。好ましくは、これらの基中の複素芳香環はベンズイ
ミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、
ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサ
ゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イ
ミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾー
ル、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリ
ミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キ
ノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、
例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ
ル、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上
の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するも
の)、アルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ま
しくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアリー
ル(置換基を有していてもよい)からなる群から選択さ
れる置換基を有してもよい。メルカプト置換複素芳香族
化合物としては、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-
メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチ
アゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾー
ル、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2'-
ジチオビス-ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4-ト
リアゾール、4,5-ジフェニル-2-イミダゾールチオー
ル、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2-メルカプ
トベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メル
カプトプリン、2-メルカプト-4(3H)-キナゾリノン、7
-トリフルオロメチル-4-キノリンチオール、2,3,5,6-テ
トラクロロ-4-ピリジンチオール、4-アミノ-6-ヒドロキ
シ-2-メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-
5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メル
カプト-1,2,4-トリアゾール、4-ヒドキロシ-2-メルカプ
トピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ
-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4-メチルピリ
ミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,
4-トリアゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾー
ル、3-(5-メルカプトテトラゾール)-ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、N-メチル-N'-[3-(5-メルカプトテト
ラゾリル)フェニル]ウレア、2-メルカプト-4-フェニル
オキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限
定されない。これらのメルカプト化合物の使用量は、画
像形成層中の銀1モル当たり0.0001〜1モルの範囲が好
ましく、さらに好ましくは、銀1モル当たり0.001〜0.3
モルである。
【0113】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例え
ば、米国特許第2,960,404号明細書に記載された種類の
グリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号
明細書および同3,121,060号明細書に記載の脂肪酸また
はエステル、英国特許第955,061号明細書に記載のシリ
コーン樹脂などを用いることができる。本発明の熱現像
画像記録材料には、画像形成層の付着防止などの目的で
表面保護層を設けることができる。表面保護層のバイン
ダーとしてはいかなるポリマーでもよいが、カルボン酸
残基を有するポリマーを100mg/m2以上5g/m2以下含むこ
とが好ましい。ここでいうカルボキシル残基を有するポ
リマーとしては天然高分子(ゼラチン、アルギン酸な
ど)、変性天然高分子(カルボキシメチルセルロース、
フタル化ゼラチンなど)、合成高分子(ポリメタクリレ
ート、ポリアクリレート、ポリアルキルメタクリレート
/アクリレート共重合体、ポリスチレン/ポリメタクリレ
ート共重合体など)などが挙げられる。このようなポリ
マーのカルボキシ残基の含有量としてはポリマー100g当
たり10mmol以上1.4mol以下であることが好ましい。ま
た、カルボン酸残基はアルカリ金属イオン、アルカリ土
類金属イオン、有機カチオンなどと塩を形成してもよ
い。
【0114】表面保護層には、いかなる付着防止材料を
使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワック
ス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロック
コポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン、
スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セルロース、セ
ルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネ
ートやこれらの混合物などがある。また、表面保護層に
は架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤
などを添加してもよい。本発明の熱現像画像記録材料の
画像形成層または画像形成層の保護層には、米国特許第
3,253,921号明細書、同2,274,782号明細書、同2,527,58
3号明細書および同2,956,879号明細書に記載されている
ような光吸収物質およびフィルター染料を使用すること
ができる。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書
に記載されているように、染料を媒染することができ
る。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光
度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0115】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
には、色調改良、イラジエーション防止の観点から各種
染料や顔料を用いることができる。染料および顔料はい
かなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載
の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染
料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、
オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染
料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、イ
ンドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有
機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に用いられ
る好ましい染料としては、アントラキノン染料(例えば
特開平5-341441号公報に記載の化合物1〜9、特開平5-16
5147号公報に記載の化合物3-6〜18および3-23〜38な
ど)、アゾメチン染料(特開平5-341441号公報に記載の
化合物17〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開
平5-289227号公報に記載の化合物11〜19、特開平5-3414
41号公報に記載の化合物47、特開平5-165147号公報に記
載の化合物2-10〜11など)、およびアゾ染料(特開平5-
341441号公報に記載の化合物10〜16)が挙げられる。こ
れらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒
子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる
方法でもよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量
によって決められるが、一般的に熱現像画像記録材料1
m2当たり1μg以上1g以下の範囲で用いることが好まし
い。
【0116】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の
一方の側に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤を
含む画像記録層を有し、他方の側にバック層を有する、
いわゆる片面感光材料であることが好ましい。本発明に
おいて、バック層は、所望の範囲での最大吸収が約0.3
以上2.0以下であることが好ましい。所望の範囲が750〜
1400nmである場合には、750〜360nmにおいての光学濃度
が0.005以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ま
しくは0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーショ
ン防止層であることが好ましい。所望の範囲が750nm以
下である場合には、画像形成前の所望範囲の最大吸収が
0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成後の360〜750nm
の光学濃度が0.005以上0.3未満になるようなハレーショ
ン防止層であることが好ましい。画像形成後の光学濃度
を上記の範囲に下げる方法としては特に制限はないが、
例えばベルギー特許第733,706号明細書に記載されたよ
うな染料による濃度を加熱による消色で低下させる方
法、特開昭54-17833号公報に記載の光照射による消色で
濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0117】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、こうした染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、
処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層
の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかな
る化合物でもよい。例えば以下に挙げるものが開示され
ているが本発明はこれに限定されるものではない。単独
の染料としては、特開昭59-56458号公報、特開平2-2161
40号公報、同7-13295号公報、同7-11432号公報、米国特
許第5,380,635号明細書、特開平2-68539号公報第13頁左
下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3-24539号公報
第14頁左下欄から同第16頁右下欄に記載の化合物が挙げ
られる。処理で消色する染料としては、特開昭52-13913
6号公報、同53-132334号公報、同56-501480号公報、同5
7-16060号公報、同57-68831号公報、同57-101835号公
報、同59-182436号公報、特開平7-36145号公報、同7-19
9409号公報、特公昭48-33692号公報、同50-16648号公
報、特公平2-41734号公報、米国特許第4,088,497号明細
書、同4,283,487号明細書、同4,548,896号明細書、同5,
187,049号明細書に記載の染料が挙げられる。
【0118】本発明において、バック層に好適なバイン
ダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポ
リマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フ
ィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセル
ロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デ
ンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル
酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コ
ポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-
アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、
ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ
樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)
類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテー
ト)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類が挙げ
られる。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジ
ョンから被覆形成してもよい。
【0119】本発明の熱現像画像記録材料が片面感光材
料である場合、搬送性改良のために画像形成層の表面保
護層および/またはバック層またはバック層の表面保護
層にマット剤を添加してもよい。マット剤は、一般に水
に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マッ
ト剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第
1,939,213号明細書、同2,701,245号明細書、同2,322,03
7号明細書、同3,262,782号明細書、同3,539,344号明細
書、同3,767,448号明細書等に記載の有機マット剤、米
国特許第1,260,772号明細書、同2,192,241号明細書、同
3,257,206号明細書、同3,370,951号明細書、同3,523,02
2号明細書、同3,769,020号明細書等に記載の無機マット
剤など、当業界でよく知られたものを用いることができ
る。具体的には、マット剤として用いることのできる有
機化合物としては、水分散性ビニル重合体の例としてポ
リメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リアクリロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチ
レン共重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベン
ゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカ
ーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロ
ース誘導体の例としてメチルセルロース、セルロースア
セテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、
澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニト
ロフェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物な
ど、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベ
ート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチン
など好ましく用いることができる。無機化合物の例とし
ては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、
酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公
知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪
藻土などが挙げられる。上記のマット剤は必要に応じて
異なる種類の物質を混合して用いることができる。
【0120】マット剤の大きさ、形状に特に限定はな
く、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の
実施に際しては、0.1μm〜30μmの粒径のものを用いる
のが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広
くてもよい。一方、マット剤は画像記録材料のヘイズ、
表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あ
るいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および
粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。本
発明においてバック層にマット剤を添加するのは好まし
い態様であり、バック層のマット度としてはベック平滑
度が1200秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは
700秒以下50秒以上である。本発明において、マット剤
は、熱現像画像記録材料の最外表面層もしくは最外表面
層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有さ
れるのが好ましく、いわゆる保護層として作用する層に
含有されることが好ましい。画像形成層側の保護層のマ
ット度は星屑故障が生じなければいかようでもよいが、
ベック平滑度が500秒以上10,000秒以下が好ましく、特
に500秒以上2,000秒以下が好ましい。
【0121】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体上
に一またはそれ以上の層を有する。一層の場合の構成
は、還元可能な銀塩(有機銀塩)、還元剤(現像剤)、
バインダー、感光性ハロゲン化銀、および所望により、
色調剤、被覆助剤および他の補助剤などを含まなければ
ならない。二層の場合の構成は、第1層(通常は支持体
に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀
が含まれ、第2層または両層中にいくつかの他の成分が
含まれなければならない。また、第1層が全ての成分を
含み、第2層が保護トップコートを含む構成でもよい。
多色感光性熱現像画像記録材料は、各色についてこれら
の二層の組合せを含んでもよく、また、米国特許第4,70
8,928号明細書に記載されているように、単一層内に全
ての成分を含んでもよい。多染料多色感光性熱現像画像
記録材料の場合、米国特許第4,460,681号明細書に記載
されているように、一般に、各画像形成層(感光性層)
は、間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用す
ることにより、互いに区別されて保持される。米国特許
第4,460,681号明細書および同4,374,921号明細書に示さ
れるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive hea
ting layer)を感光性熱現像写真画像系に使用すること
もできる。本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
(感光性層)、保護層、バック層など各層には、硬膜剤
を用いてもよい。硬膜剤の例としては、米国特許第4,28
1,060号明細書、特開平6-208193号公報等に記載されて
いるポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042号明
細書等に記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-8
9048号公報等に記載されているビニルスルホン系化合物
類などが用いられる。
【0122】本発明の熱現像画像記録材料には、塗布
性、帯電性の改良などを目的として界面活性剤を用いて
もよい。界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン
系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用い
られる。具体的には、特開昭62-170950号公報、米国特
許第5,380,644号明細書等に記載のフッ素系高分子界面
活性剤、特開昭60-244945号公報、同63-188135号公報等
に記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3,885,965号
明細書等に記載のポリシロキサン系界面活性剤、特開平
6-301140号公報等に記載のポリアルキレンオキサイドや
アニオン系界面活性剤などが挙げられる。本発明の熱現
像画像記録材料の画像形成層には、必要に応じて、ゼラ
チン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポ
リマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添
加量は、画像形成層の全バインダーの50重量%以下あ
り、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは15
重量%以下である。
【0123】本発明の熱現像画像記録材料は、帯電防止
のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明細書およ
び同3,206,312号明細書等に記載のイオン性ポリマー、
または米国特許第3,428,451号明細書等に記載の不溶性
無機塩、特開昭60-252349号公報、同57-104931号公報に
記載の酸化スズ微粒子などを含む層を有してもよい。本
発明の熱現像画像記録材料は、追加の層、例えば移動染
料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれ
る場合の不透明化層、保護トップコート層、光熱写真技
術において既知のプライマー層等を含むことができる。
本発明の熱現像画像記録材料は、その材料一枚のみで画
像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必
要な機能性層が別の材料とならないことが好ましい。
【0124】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
は、水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ま
しい。ただし、ここで「水系」とは塗布液の溶媒(分散
媒)の60重量%以上が水であることをいう。塗布液の
水以外の成分としては、メチルアルコール、エチルアル
コール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、
エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル
などの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体
的な溶媒組成の例としては、水のほか、以下のようなも
のがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70
/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=
90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノ
ール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノー
ル/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字は
重量%を表す。) 本発明において、画像形成層等の塗布液は、浸漬コーテ
ィング、エアナイフコーティング、フローコーティン
グ、米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッ
パーを用いる押出コーティング等の、種々のコーティン
グ操作により被覆することができる。所望により、米国
特許第2,761,791号明細書および英国特許第837,095号明
細書に記載の方法により、2層またはそれ以上の層を同
時に被覆することができる。
【0125】本発明の熱現像画像記録材料を用いてカラ
ー画像を得る方法としては、特開平7-13295号公報の10
頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法が挙げられ
る。また、カラー染料画像の安定剤は、英国特許第1,32
6,889号明細書、米国特許第3,432,300号明細書、同3,69
8,909号明細書、同3,574,627号明細書、同3,573,050号
明細書、同3,764,337号明細書および同4,042,394号明細
書に例示されている。本発明の熱現像画像記録材料はい
かなる方法で現像されてもよいが、通常イメージワイズ
に露光した画像記録材料を昇温して現像される。用いら
れる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像画像記録
材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触
させるタイプとして、特公平5-56499号公報、特許公報
第684453号、特開平9-292695号公報、同9-297385号公報
および国際公開WO95/30934号公報に記載の熱現像機、
非接触型のタイプとして、特開平7-13294号公報、国際
公開WO97/28489号公報、同WO97/28488号公報および
同WO97/28487号公報に記載の熱現像機が挙げられる。
特に好ましい態様は非接触型の熱現像機である。現像温
度は80〜250℃が好ましく、さらに好ましくは100〜140
℃である。現像時間は1〜180秒が好ましく、さらに好ま
しくは10〜90秒である。
【0126】本発明の熱現像画像記録材料において、熱
現像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法とし
て、80℃以上115℃未満(好ましくは113℃以下)の温度
で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以
上140℃以下(好ましくは130℃以下)で熱現像して画像
形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効であ
る。本発明の熱現像画像記録材料は、いかなる方法で露
光されてもよいが、露光光源としてはレーザー光が好ま
しい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザ
ー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど
が好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素
子などを用いることもできる。本発明の熱現像画像記録
材料は、露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい
傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開平
5-113548号公報等に開示されているレーザー光を熱現像
画像記録材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公
開WO95/31754号明細書等に開示されているマルチモー
ドレーザーを利用する方法が知られており、これらの技
術を用いることが好ましい。本発明の熱現像画像記録材
料を露光するには、SPIE vol.169 Laser Printing116-1
28頁(1979)、特開平4-51043号公報、国際公開WO95/
31754号公報などに開示されているようにレーザー光が
重なるように露光し、走査線が見えないようにすること
が好ましい。
【0127】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理
に用いられる、熱現像機の構成例を図1に示す。図1は
熱現像機の側面図である。図1の熱現像機は、熱現像画
像記録材料10を平面状に矯正および予備加熱しながら
加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラーが
ヒートローラー)、および熱現像後の熱現像後の熱現像
画像記録材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬
出する搬出ローラー対12を有する。熱現像画像記録材
料10は搬入ローラー対11から搬出ローラー対12へ
と搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱現像
画像記録材料10を搬送する搬送手段は、画像形成層を
有する面が接触する側に複数のローラー13が設置さ
れ、その反対側のバック面が接触する側には不織布(例
えばポリフェニレンサルファイトやテフロンから成る)
等が貼り合わされた平滑面14が設置される。熱現像画
像記録材料10は画像形成層を有する面に接触する複数
のローラー13の駆動により、バック面は平滑面14の
上を滑って搬送される。加熱手段はローラー13の上部
および平滑面14の下部に熱現像画像記録材料10の両
面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置され
る。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げ
られる。ローラー13と平滑面14とのクリアランスは
平滑面の部材により異なるが、熱現像画像記録材料10
が搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましく
は0〜1mmである。
【0128】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像画像記録材料1
0の搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面
の材質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミ
ドまたはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。
加熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱
温度を自由に設定することが好ましい。加熱部は、熱現
像処理部の上流の予備加熱部は、熱現像温度よりも低く
(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像画像記録材料
中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設
定することが望ましく、熱現像画像記録材料10の支持
体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ム
ラが出ないように設定することが好ましい。熱現像処理
部の下流にはガイド板16が設置され、さらに徐冷部C
が設置される。ガイド板は熱伝導率の低い素材が好まし
く、熱現像画像記録材料に変形が起こらないようにする
ために冷却は徐々に行うのが好ましい。
【0129】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7-13294号公報に記載のものな
ど、本発明に用いられる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。以下に実施例を記
載して本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例
に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神か
ら逸脱しない限り適宜変更することができる。したがっ
て、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるもの
ではない。
【0130】
【実施例】<実施例1>実施例1で用いた化合物の構造
を以下に示す。
【0131】
【化35】
【0132】
【化36】
【0133】(1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従っ
て、固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロ
ルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化して130℃で4時間乾燥
し、300℃で溶融後、T型ダイから押し出して急冷
し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚さの未
延伸フィルムを作成した。これを、周速の異なるロ−ル
を用い、3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍
に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110
℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱
固定し、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この
後、テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ
−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚さ17
5μmのロ−ルを得た。
【0134】(2)表面コロナ処理 ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデ
ルを用い、上記(1)で得られた支持体の両面を、室温
下、20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み
取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2
の処理がなされていることがわかった。この時の処理周
波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップク
リアランスは1.6mmであった。
【0135】(3)下塗塗布 上記(2)で得られた表面コロナ処理を施したPET支
持体の片面に、下記(3−1)の下塗り塗布液Aをワイ
ヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2になる様
に塗布して180℃で5分間乾燥した。次いでこの裏面
(バック面)に、下記(3−2)の下塗り塗布液Bをワ
イヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になる
様に塗布して180℃で5分間乾燥し、さらに、下塗り
塗布液Bを塗布した上に、下記(3−3)の下塗り塗布
液Cをワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m
2になる様に塗布し、180℃で6分間乾燥して、下塗
り支持体を作成した。
【0136】 (3−1)下塗り塗布液A 高松油脂(株)製ペスレジンA-515GB(30重量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5)10重量%溶液 21.5g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml (3−2)下塗り塗布液B ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス 158g (固形分40重量%、ブタジエン/スチレン重量比=32/68) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8重量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml (3―3)下塗り塗布液C SnO2/SbO (9/1重量比、平均粒径0.038μm、17重量%分散物) 84g ゼラチン(10%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製メトローズTC-5(2%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子) 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1重量%水溶液 10ml NaOH(1%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0137】(4)バック層の形成 (4−1)塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)
の調製 塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
フォン28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN
10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミ
ル(1/4Gallonサンドグラインダーミル、アイメックス
(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μ
mの塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分散液(a)
を得た。 (4−2)染料固体微粒子分散液の調製 シアニン染料化合物13を9.6gとp−ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム5.8gとを蒸留水305m
lと混合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサンドグ
ラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビー
ズ分散し、平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分散
液を得た。 (4−3)ハレーション防止層塗布液の調製 ゼラチン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記
(4−1)で得られた塩基プレカーサーの固体微粒子分
散液(a)70g、上記(4−2)で得られた染料固体
微粒子分散液56g、ポリメチルメタクリレート微粒子
(平均粒子サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイソチ
アゾリノン0.03g、ポリエチレンスルホン酸ナトリ
ウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、および
水844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を得
た。
【0138】(4−4)バック面保護層塗布液の調製 容器を40℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレン
スルホン酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス
(ビニルスルホンアセトアミド)2.4g、t−オクチ
ルフェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム1
g、ベンゾイソチアゾリノン30mg、N−パーフルオ
ロオクチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウ
ム塩37mg、ポリエチレングリコールモノ(N−パー
フルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミ
ノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度1
5]0.15g、C817SO3K32mg、C817SO
2N(C37)(CH2CH2O)4(CH24−SO3
a64mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体
(共重合重量比5/95)8.8g、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフ
ィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、および水
950ml混合し、バック面保護層塗布液を得た。
【0139】(4−5)バック層の形成 上記(3)で作成した下塗り支持体のバック面に、上記
(4−3)で得たハレーション防止層塗布液を、固体微
粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるよう
に、さらに上記(4−4)で得たバック面保護層塗布液
をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重
層塗布し、乾燥し、ハレーション防止バック層を形成し
た。塗布はスピード160m/分で行い、コーティング
ダイ先端と支持体との間隔を0.14〜0.28mm
に、また、塗布液の吐出スリット幅に対して塗布幅が左
右ともに各0.5mm広がるように調節し、減圧室の圧
力を大気圧に対して392Pa低く設定した。その際、
支持体は帯電しないようにハンドリング及び温湿度を制
御し、更に塗布直前にイオン風で除電した。引き続くチ
リングゾーンでは、乾球温度が18℃、湿球温度が12
℃の風を30秒間吹き当てて、塗布液を冷却した後、つ
るまき式の浮上方式の乾燥ゾーンにて、乾球温度が30
℃、湿球温度が18℃の乾燥風を200秒間吹き当てた
後、70℃の乾燥ゾーンを20秒間通し、90℃の乾燥
ゾーンを10秒間通し、その後25℃に冷却して、塗布
液中の溶剤の揮発を行った。チリングゾーンおよび乾燥
ゾーンでの塗布液膜面に吹き当たる風の平均風速は7m
/秒であった。
【0140】(5)画像形成層塗布液の調製 (5−1)感光性ハロゲン化銀混合乳剤Aの調製 (5−1−1)感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製 蒸留水1421mlに1重量%の5臭化カリウム溶液
8.0mlを加え、さらに1N硝酸8.2mlおよびフ
タル化ゼラチン20gを添加した。得られた混合液をチ
タンコートしたステンレス製反応壺中で攪拌しながら、
液温を37℃に保った。硝酸銀37.04gを蒸留水で
159mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム32.6g
を蒸留水で200mlに希釈した溶液Bを準備し、コン
トロールダブルジェット法でpAgを8.1に維持しな
がら、溶液Aの全量を一定流量で1分間かけて反応壺に
添加した。溶液Bもコントロールドダブルジェット法で
添加した。その後3.5重量%の過酸化水素水溶液を3
0ml添加し、さらにベンツイミダゾールの3重量%水
溶液を36ml添加した。その後、溶液Aを蒸留水で3
17.5mlに希釈した溶液A2と、溶液Bに銀1モル
当たり1×10-4モルになるように6塩化イリジウム酸
3カリウム塩を添加し、液量を蒸留水で400mlに希
釈した溶液B2を調製し、コントロールドダブルジェッ
ト法でpAgを8.1に維持しながら、溶液A2の全量
を一定流量で10分間かけて添加した。溶液B2もコン
トロールドダブルジェット法で添加した。その後、5−
メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールの0.5重
量%メタノール溶液を50ml添加し、さらに硝酸銀で
pAgを7.5に上げ、1N硫酸を用いてpHを3.8
に調整した。攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行い、
脱イオンゼラチン3.5gを加え、1Nの水酸化ナトリ
ウムを添加して、pH6.0、pAg8.2に調整し
て、感光性ハロゲン化銀乳剤を作成した。
【0141】得られた感光性ハロゲン化銀乳剤中の粒子
は、平均球相当径0.053μm、球相当径の変動係数
18%の純臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子
顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この
粒子の[100]面比率は、クベルカムンク法を用いて85
%と求められた。上記の乳剤を38℃に維持し、攪拌し
ながら、ベンゾイソチアゾリノン0.035gを3.5
重量%メタノール溶液を用いて添加した。40分後に、
分光増感色素Aの固体分散物(ゼラチン水溶液)を銀1
モル当たり5×10-3モル加え、その1分後に47℃に
昇温した。その20分後にベンゼンチオスルホン酸ナト
リウムを銀1モルに対して3×10-5モル加え、さらに
2分後に、テルル増感剤Bを銀1モル当たり5×10-5
モル加えて、90分間熟成した。熟成終了間際に、N,
N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.5
重量%メタノール溶液を5mlを加え、温度を31℃に
下げ、フェノキシエタノールの3.5重量%メタノール
溶液5ml、5−メチル−2−メルカプトベンヅイミダ
ゾールを銀1モル当たり7×10-3モル、および1−フ
ェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−
トリアゾールを銀1モルに対して6.4×10-3モル添
加して、感光性ハロゲン化銀乳剤1を調製した。
【0142】(5−1−2)感光性ハロゲン化銀乳剤2
の調製 感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時
の液温37℃を50℃に変更する以外は同様にして平均
球相当径0.08μm、球相当径の変動係数15%の純
臭化銀立方体粒子乳剤を調製した。感光性ハロゲン化銀
乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。さら
に分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり4.5×1
-3モルに変えた以外は感光性ハロゲン化銀乳剤1と同
様にして分光増感、化学増感、および5−メチル−2−
メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−ヘ
プチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの
添加を行い、感光性ハロゲン化銀乳剤2を得た。
【0143】(5−1−3)感光性ハロゲン化銀乳剤3
の調製 感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時
の液温37℃を27℃に変更する以外は同様にして平均
球相当径0.038μm、球相当径の変動係数20%の
純臭化銀立方体粒子乳剤を調製した。感光性ハロゲン化
銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。さ
らに分光増感色素Aの添加量を銀1モル当たり6×10
-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化
学増感、および5−メチル−2−メルカプトベンヅイミ
ダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプ
ト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、感光性ハ
ロゲン化銀乳剤3を得た。 (5−1−4)感光性ハロゲン化銀混合乳剤Aの調製 感光性ハロゲン化銀乳剤1を70重量%、感光性ハロゲ
ン化銀乳剤2を15重量%、および感光性ハロゲン化銀
乳剤3を15重量%の割合で混合し、ベンゾチアゾリウ
ムヨーダイドの1重量%水溶液を銀1モル当たり7×1
-3モル添加し、感光性ハロゲン化銀混合乳剤Aを得
た。
【0144】(5−2)有機酸銀分散物の調製 ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.
6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液49.
2ml、およびtert−ブタノール120mlを混合
し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリ
ウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4gの水溶液20
6.2ml(pH4.0)を用意し、10℃にて保温し
た。蒸留水635mlとtert−ブタノール30ml
を入れた反応容器を30℃に保温し、撹拌しながら、先
のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量
を、流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけて添
加した。このとき、硝酸銀水溶液の添加開始から7分2
0秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、その
あとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶
液の添加終了から9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶
液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内
の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コ
ントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加
系の配管は、スチームトレースにより保温し、添加ノズ
ル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチーム開
度を調整した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、
2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。
ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添
加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反
応液に接触しないような高さに調整した。
【0145】ベヘン酸ナトリウム溶液の添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過
水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こう
して脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させな
いでウエットケーキとして保管した。得られたベヘン酸
銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、
平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.
6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.5
2μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶で
あった。(なお、有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有
機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺
を一番短かい方からa、b、cとした)乾燥固形分10
0g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコー
ル(商品名:PVA-217)7.4gおよび水を添加し、全
体量を385gとしてからホモミキサーにて予備分散し
た。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイク
ロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロフルイ
デックス・インターナショナル・コーポレーション製、
G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を1
750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機酸銀
分散物として、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇
管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各
々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温
度に設定した。
【0146】(5−3)還元剤の25重量%分散物の調
製 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン10kgと変
性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)の20重量%水溶液10kgに、水16kgを添
加し、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイ
メックス(株)製)にて3時間30分分散した。そこに
ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加
えて還元剤の濃度が25重量%になるように調製し、還
元剤の25重量%分散物を得た。この還元剤分散物に含
まれる還元剤粒子は、メジアン径0.42μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は
孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ
過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0147】(5−4)メルカプト化合物の10重量%
分散物の調製 1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,
3,4−トリアゾール5kgと変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製ポバールMP203)の20重量%水溶
液5kgに、水8.3kgを添加し、よく混合してスラ
リーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液
し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した
横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて
6時間分散した。そこに水を加えて、メルカプト化合物
の濃度が10重量%になるように調製し、メルカプト化
合物の10重量%分散物を得た。このメルカプト化合物
分散物に含まれるメルカプト化合物粒子は、メジアン径
0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得
られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0148】(5−5)ポリハロゲン系化合物分散物の
調製 (5−5−1)ポリハロゲン系化合物(化合物5−2)
の分散物の調製 トリブロモメチル−2−ナフチルスルホン(化合物5−
2)5kg、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製ポバールMP203)の20重量%水溶液2.5kg、ト
リイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20
重量%水溶液213g、および水10kgをよく混合し
てスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプ
で送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充
填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)
製)にて5時間分散した。そこにベンゾイソチアゾリノ
ンナトリウム塩0.2gと水を加え、有機ポリハロゲン
化合物の濃度が20重量%になるように調製し、ポリハ
ロゲン系化合物(化合物5−2)の分散物を得た。この
分散物に含まれるポリハロゲン系化合物粒子は、メジア
ン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であっ
た。得られたポリハロゲン系化合物分散物は孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0149】(5−5−2)ポリハロゲン系化合物(化
合物5−3)の分散物の調製 トリブロモメチル−2−ナフチルスルホン(化合物5−
2)5kgの代わりにトリブロモメチル(4−(2,
4,6−トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)ス
ルホン(化合物5−3)5kgを用いた以外は、上記
(5−5−1)と同様に分散操作を行い、このポリハロ
ゲン系化合物(化合物5−3)が25重量%となるよう
に希釈し、ろ過して、ポリハロゲン系化合物(化合物5
−3)の分散物を得た。この分散物に含まれるポリハロ
ゲン系化合物粒子は、メジアン径0.38μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られたポリハロゲン系
化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィ
ルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。
【0150】(5−5−3)ポリハロゲン系化合物(化
合物5−1)の分散物の調製 トリブロモメチル−2−ナフチルスルホン(化合物5−
2)5kgの代わりにトリブロモメチルフェニルスルホ
ン(化合物5−1)5kgを用い、20重量%MP20
3水溶液を5kgとした以外は、上記(5−5−1)と
同様に分散操作を行い、このポリハロゲン系化合物(化
合物5−1)が30重量%となるように希釈し、ろ過し
て、ポリハロゲン系化合物(化合物5−1)の分散物を
得た。この分散物に含まれるポリハロゲン系化合物粒子
は、メジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以
下であった。得られたポリハロゲン系化合物分散物は孔
径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を
行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。収納後、使用
までは10℃以下で保管した。
【0151】(5−6)フタラジン化合物の10重量%
メタノール溶液の調製 6−イソプロピルフタラジン10gをメタノール90g
に溶解し、フタラジン化合物の10重量%メタノール溶
液を調製した。 (5−7)顔料の20重量%分散物の調製 C.I.Pigment Blue 60を64g、花王(株)製デモール
N6.4g、および水250gをよく混合してスラリー
とした。このスラリーと共に、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズ800gをベッセルに入れ、分散機(1/
4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)
で25時間分散し、顔料の20重量%分散物を得た。こ
の分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmで
あった。
【0152】(5−8)SBRラテックス40重量%分
散物の調製 限外濾過(UF)精製したSBRラテックスは以下のよ
うにして得た。下記のSBRラテックスを蒸留水で10
倍に希釈したものを、UF−精製用モジュールFS03-FC-
FUY03A1(ダイセン・メンブレン・システム(株))を
用いてイオン伝導度が1.5mS/cmになるまで希釈
精製し、三洋化成(株)製サンデット-BLを0.22重
量%になるよう添加した。さらにNaOHとNH4OH
を用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:2.3(モ
ル比)になるように添加し、pH8.4に調整した。こ
の時のラテックス濃度は40重量%であった。 (SBRラテックス:-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテ
ックス) (St:スチレン、Bu:ブタジエン、AA:アクリル
酸)平均粒径0.1μm、濃度45%、25℃60%R
Hにおける平衡含水率0.6重量%、イオン伝導度4.
2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業
(株)製伝導度計CM-30S使用しラテックス原液(40
%)を25℃にて測定)、pH8.2。
【0153】(5−9)一般式(1)の化合物の溶液ま
たは分散物の調製 油状の一般式(1)の化合物は(5−6)フタラジン化
合物と同様に溶液を、また固体の一般式(1)の化合物
は(5−5−1)ポリハロゲン化合物の分散物と同様な
処方で分散物を調製した。
【0154】(5−10)画像形成層塗布液の調製 上記(5−7)で得た顔料の20重量%分散物1.1
g、上記(5−2)で得た有機酸銀分散物103g、ポ
リビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の20
重量%水溶液5g、上記(5−3)で得た還元剤の25
重量%分散物25g、上記(5−5)で得たポリハロゲ
ン系化合物分散物(5−5−1)、(5−5−2)およ
び(5−5−3)を重量比5:1:3で総量16.3
g、および一般式(1)で示される化合物を表1に記載
の量、上記(5−4)で得たメルカプト化合物の10重
量%分散物6.2g、上記(5−8)で得たSBRラテ
ックス40重量%分散物106g、および上記(5−
6)で得たフタラジン化合物の10重量%メタノール溶
液16mlを混合し、さらに上記(5−1)で得た感光
性ハロゲン化銀混合乳剤Aを10g混合し、画像形成層
塗布液を調製し、そのままコーティングダイへ70ml
/m2となるように送液した。画像形成層塗布液の粘度
は、東京計器のB型粘度計で測定したところ、40℃
(No.1ローター、60rpm)で85[mPa・s]であ
った。また、レオメトリックスファーイースト株式会社
製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃
での塗布液の粘度は、剪断速度が0.1、1、10、1
00、1000[1/秒]においてそれぞれ1500、2
20、70、40、20[mPa・s]であった。
【0155】(6)画像形成層面中間層塗布液の調製 ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の1
0重量%水溶液772g、上記(5−7)で得た顔料の
20重量%分散物5.3g、およびメチルメタクリレー
ト/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比6
4/9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液2
26gに、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド
社製)の5重量%水溶液を2ml、およびフタル酸二ア
ンモニウム塩の20重量%水溶液10.5mlを加え、
さらに水を加えて総量880gとし、中間層塗布液を得
た。これを10ml/m2になるようにコーティングダ
イへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1
ローター、60rpm)で21[mPa・s]であった。
【0156】(7)画像形成層面保護層塗布液の調製 (7−1)保護層第1層塗布液の調製 イナートゼラチン64g水に溶解し、メチルメタクリレ
ート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチ
ルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比
64/9/20/5/2)ラテックス27.5重量%液
80g、フタル酸の10重量%メタノール溶液64ml、
4−メチルフタル酸の10重量%水溶液74ml、1Nの
硫酸28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナ
ミド社製)の5重量%水溶液5ml、フェノキシエタノ
ール0.5g、およびベンゾイソチアゾリノン0.1g
を加え、さらに水を加えて総量750gとし、保護層第
1層塗布液を得た。塗布直前に4重量%のクロムみょう
ばん26mlをスタチックミキサーで混合し、18.6
ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
この塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、
60rpm)で17[mPa・s]であった。
【0157】(7−2)保護層第2層塗布液の調製 イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエ
チルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量
比64/9/20/5/2)ラテックス27.5重量%
液102g、N−パーフルオロオクチルスルホニル−N
−プロピルアラニンカリウム塩の5重量%溶液3.2m
l、ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオ
クチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)
エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2重量
%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカンサ
イアナミド社製)の5重量%溶液を23ml、ポリメチ
ルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.4μ
m)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸
8.1g、1Nの硫酸44ml、およびベンゾイソチア
ゾリノン10mgを加え、さらに水を加えて総量650
gとした。4重量%のクロムみょうばんと0.67重量
%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前に
スタチックミキサーで混合したものを保護層第2層(表
面保護層)塗布液とし、8.3ml/m2になるように
コーティングダイへ送液した。この塗布液の粘度はB型
粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で9[mP
a・s]であった。
【0158】(8)熱現像画像記録材料の作成 上記(4)で得たバック層を形成した支持体のバック面
と反対の面に、上記(5)で得た画像形成層塗布液(感
光性ハロゲン化銀の塗布銀量0.14g/m2)、上記
(6)で得た中間層塗布液、上記(7)で得た保護層第
1層塗布液および保護層第2層塗布液を、この順番で、
スライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像画
像記録材料を作成した。塗布条件は、上記(4−5)で
バック層を形成したときと同様である。
【0159】(9)評価 (9−1)写真性能の評価 上記(8)で得た熱現像画像記録材料を、下記のレーザ
ー感光計で露光した後、118℃で5秒、続いて122
℃で16秒間処理(熱現像)し、得られた画像を濃度計
によって評価した。 レーザー感光計:35mW出力の660nmダイオード
レーザー2本を合波 シングルモード ガウシアンビームスポット1/e2が100μm 25μmピッチで副走査方向に送り、1画素を4回書き 測定の結果は、Dmax(最高濃度)、カブリ(Dmi
n)、感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光
量の比の逆数)で評価した。感度は表1の熱現像画像記
録材料101の感度を100として、相対値で示した。
【0160】(9−2)光照射画像保存性評価 (9−1)と同様に露光現像した熱現像画像記録材料
を、直射日光のあたるガラス窓の内側に張り付け、1ヶ
月間放置した後の画像の様子を、下記の基準で目視評価
した。 ◎・・・ほとんど変化がない。 ○・・・微かに色調変化があるが気にならない。 △・・・画像部変色があるが実用的に許容される。 ×・・・Dminが変色し濃度が上がり不可。
【0161】(9−3)暗熱画像保存性評価 (9−1)と同様に露光現像した熱現像画像記録材料
を、遮光した条件下40℃で1ヶ月間放置した後の画像
の様子を、下記の基準で目視評価した。 ◎・・・ほとんど変化がない。 ○・・・微かに色調変化があるが気にならない。 △・・・画像部変色があるが実用的に許容される。 ×・・・Dminが変色し濃度が上がり不可。 (9−1)〜(9−3)の評価の結果を表1に示す。
【0162】
【表1】
【0163】表1の結果より、比較例に比べ、本発明の
熱現像画像記録材料は優れた性能を示すことが明らかで
ある。
【0164】<実施例2>実施例2で用いた化合物の構
造を以下に示す。
【0165】
【化37】
【0166】
【化38】
【0167】
【化39】
【0168】(1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従っ
て、固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロ
ルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化して130℃で4時間乾燥
し、300℃で溶融後、T型ダイから押し出して急冷
し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚さの未
延伸フィルムを作成した。これを、周速の異なるロ−ル
を用い、3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍
に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110
℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱
固定し、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この
後、テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ
−ル加工を行い、4.8kg/cm2で巻き取り、幅
2.4m、長さ3500m、厚さ120μmのロ−ル状
のPET支持体を作製した。
【0169】(2)下塗塗布 上記(1)で得られたPET支持体の両面に、下記の組
成の下塗り層(a)と下塗り層(b)を順次塗布し、そ
れぞれ180℃で4分間乾燥した。乾燥後の下塗り層
(a)の厚さは2.0μmであった。 (2−1)下塗り層(a)組成 ポリマーラテックス(ア) 固形分量として 3.0g/m2 (コア部90重量%、シェル部10重量%のコアシェルタイプの ポリマーラテックス コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/ アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(重量%) シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/ アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(重量%) 重量平均分子量38000) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン 23mg/m2 マット剤 1.5mg/m2 (ポリスチレン;平均粒子径2.4μm)
【0170】 (2−2)下塗り層(b)組成 脱イオン処理ゼラチン 50mg/m2 (Ca2+含量0.6ppm;ゼリー強度230g)
【0171】(3)バック層の形成 上記(2)で得られた2層の下塗りを施したPET支持
体の片面に、下記の導電層と保護層を順次塗布し、それ
ぞれ180℃、4分間乾燥して、バック層を形成した。 (3−1)導電層組成 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm)42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量 0.6ppm) 8mg/m2 化合物G 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM−3 18mg/m2 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 染料A 783nmの光学濃度が1.2になる塗布量 SnO2/Sb 160mg/m2 (9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、石原産業(株)製) マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0172】 (3−2)保護層組成 ポリマーラテックス(イ) 固形分量として1000mg/m2 (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM−3 218mg/m2 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
【0173】(4)搬送熱処理 (4−1)熱処理 上記(3)で得られた下塗り及びバック層を施したPE
T支持体を、160℃に設定した全長200mの熱処理
ゾーンに入れ、張力3kg/cm2、搬送速度20m/
分で搬送し、熱処理を施した。 (4−2)後熱処理 上記(4−1)の熱処理に引き続き、40℃のゾーンに
15秒間通して後熱処理を行い、巻き取った。この時の
巻き取り張力は10kg/cm2であった。
【0174】(5)画像形成層塗布液の調製 (5−1)有機酸銀分散物の調製 ヘンケル社製ベヘン酸(製品名EdenorC22-85R)
87.6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液
49.2ml、およびtert−ブチルアルコール120m
lを混合し、75℃で1時間攪拌して反応させ、ベヘン
酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4gを含
む水溶液206.2mlを用意し、10℃に保温した。
蒸留水635mlとtert-ブチルアルコール30mlを
入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベ
ヘン酸ナトリウム溶液および硝酸銀水溶液を流量一定で
それぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この
時、硝酸銀水溶液の添加開始から7分20秒間は硝酸銀
水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加を開始し、硝酸銀水溶液の添加終了
から9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加
されるようにした。この時の反応容器内の温度は30℃
とし、液温度が上がらないようにコントロールした。ま
た、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチー
ムトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温
度が75℃になるようにスチーム量をコントロールし
た。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外
側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪
拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触
しないような高さに調節した。ベヘン酸ナトリウム溶液
を添加終了後、そのままの温度で20分間攪拌放置し、
25℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別
し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで
水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないで
ウエットケーキとして保管した。
【0175】得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕
微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径0.5
2μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の変
動係数15%の鱗片状の結晶であった。乾燥固形分10
0g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコー
ル(商品名:PVA-217、平均重合度:約1700)7.4g
および水を添加し、全体量を385gとしてからホモミ
キサーにて予備分散した。次に予備分散済みの原液を分
散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110S−
EH、マイクロフルイデックス・インターナショナル・
コーポレーション製、G10Zインタラクションチャン
バー使用)の圧力を1750kg/cm2に調節して、
三回処理し、有機酸銀分散物としてベヘン酸銀分散物を
得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチ
ャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節するこ
とで所望の分散温度に設定した。こうして得たベヘン酸
銀分散物に含まれるベヘン酸銀粒子は、体積加重平均直
径0.52μm、変動係数15%であった。粒子サイズ
の測定は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXに
て行った。また電子顕微鏡撮影により評価すると、長辺
と短辺の比が1.5、粒子厚み0.14μm、平均アス
ペクト比(粒子の投影面積の円相当径と粒子厚みの比)
が5.1であった。
【0176】(5−2)感光性ハロゲン化銀乳剤の調製 水700mlに、アルカリ処理ゼラチン(カルシウム含
有量として2700ppm以下)11g、臭化カリウム30m
gおよびベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解し、温度40℃でpHを5.0に調製した後、硝酸
銀18.6gを含む水溶液159mlと、臭化カリウム
を1モル/リットル、(NH42RhCl 5(H2O)を5
×10-6モル/リットルおよびK3IrCl6を2×10
-5モル/リットル含む水溶液とを、pAgを7.7に保
ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間
かけて添加した。続いて、硝酸銀55.5gを含む水溶
液476mlと、臭化カリウムを1モル/リットル及び
3IrCl6を2×10-5モル/リットル含む水溶液と
を、pAgを7.7に保ちながらコントロールダブルジ
ェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pH
を下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.
17g、および平均分子量1万5千の低分子量ゼラチン
(カルシウム含有量として20ppm以下)51.1gを加
え、pH5.9、pAg8.0に調製した。得られた粒
子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9
%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。得ら
れた感光性ハロゲン化銀粒子を60℃に昇温し、ベンゼ
ンチオスルホン酸ナトリウムを銀1モル当たり76μモ
ル添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71μモルを添
加して、100分間熟成した。その後、4−ヒドロキシ
−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを
5×10-4モル加え、40℃に降温した。40℃に温度
を保ち、増感色素Aを感光性ハロゲン化銀1モルに対し
て12.8×10-4モル、化合物Bを感光性ハロゲン化
銀1モルに対して6.4×10-3モルを攪拌しながら添
加し、20分後に30℃に急冷して、感光性ハロゲン化
銀乳剤を調製した。
【0177】(5−3)超硬調化剤の固体微粒子分散物
の調製 超硬調化剤(造核剤)62(10g)に、ポリビニルア
ルコール(クラレ製PVA-217)2.5gおよび水87.
5gを添加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置
した。その後、0.5mmのジルコニアビーズ240g
をスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサン
ドグラインダーミル:アイメックス(株)製)で10時
間分散し、超硬調化剤の固体微粒子分散物を調製した。
粒子径は、粒子の80重量%が0.1〜1.0μmで、
平均粒径は0.5μmであった。
【0178】(5−4)還元剤の固体微粒子分散物の調
製 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン25gに、ク
ラレ(株)製MPポリマーのMP-203の20重量%水溶液
を25g、日信化学(株)製サフィノール104Eを0.1
g、メタノール2gおよび水48mlを添加してよく撹
拌し、スラリーとして3時間放置した。その後、1mm
のジルコニアビーズ360gをスラリーと一緒にベッセ
ルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:ア
イメックス(株)製)で3時間分散し、還元剤の固体微
粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3〜1.0μmであった。
【0179】(5−5)ポリハロゲン系化合物分散物分
散物の調製 ポリハロゲン系化合物−A30gに、クラレ(株)製M
PポリマーのMP-203を4g、化合物Cを0.25gおよ
び水66gを添加してよく撹拌し、スラリーとした。
0.5mmのジルコニアシリケートビーズ200gをス
ラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/16Gサンド
グラインダーミル:アイメックス(株)製)で5時間分
散し、ポリハロゲン系化合物分散物−A分散物を調製し
た。粒子径は、粒子の80重量%が0.3〜1.0μm
であった。ポリハロゲン化合物−Bについてもポリハロ
ゲン化合物−Aと同様に固体微粒子分散物を調製し、同
様な粒子径となった。
【0180】(5−6)亜鉛化合物の固体微粒子分散物
の調製 化合物Z30gに、クラレ(株)製MPポリマーのMP-2
03を3gおよび水87mlを添加してよく攪拌し、スラ
リーとして3時間放置した。その後、上記(5−4)の
還元剤の固体微粒子分散物の調製と同様に操作して、亜
鉛化合物(化合物Z)の固体微粒子分散物を調製した。
粒子径は、粒子の80重量%が0.3〜1.0μmであ
った。
【0181】(5−7)一般式(1)で表される化合物
の分散物の調製 固体の一般式(1)の化合物は(5−5)ポリハロゲン
化合物−Aの分散物と同様な処方で分散物を調製した。
【0182】(5−8)画像形成層塗布液の調製 上記(5−1)で調製した有機酸銀(ベヘン酸銀)分散
物中の銀1モルに対して、以下の成分を添加し、水を加
えて、画像形成層塗布液を調製した。 (5−2)で得た感光性ハロゲン化銀乳剤 Ag量として0.05モル (5−3)で得た造核剤の固体微粒子分散物 固形分として17.1g (5−4)で得た還元剤の固体微粒子分散物 固形分として166g (5−5)で得たポリハロゲン系化合物分散物−A 固形分として0.06モル (5−5)で得たポリハロゲン系化合物分散物−B 固形分として0.02モル (5−6)で得た亜鉛化合物の固体微粒子分散物 固形分として10.5g バインダー:ラックスター3307B 固形分として470g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) エタンチオスルホン酸ナトリウム 2.2ミリモル 5−メチルベンゾトリアゾール 1.36g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA-235) 12.1g 6−イソプロピルフタラジン 16.5g オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量(目安として0.50g) 一般式(1)で示される化合物 表(2)に記載の種類および量
【0183】(6)画像形成面の保護層塗布液の調製 (6−1)画像形成面の保護層(a)塗布液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(重量%)の粒子径120nmのポリマーラテックス溶
液(共重合体でガラス転移温度57℃、固形分濃度2
1.5重量%、造膜助剤として化合物Dをラテックスの
固形分に対して15重量%含有)956gに水を加え、
化合物Eを1.62g、化合物Sを3.15g、マット
剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変
動係数8%)1.98gおよびポリビニルアルコール
(クラレ(株)製,PVA-235)23.6gを加え、さら
に水を加えて、画像形成面の保護層(a)塗布液を調製
した。
【0184】(6−2)画像形成面の保護層(b)塗布
液の調製 メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(重量%)の粒子径70nmのポリマーラテックス溶液
(共重合体でガラス転移温度54℃、固形分濃度21.
5重量%、造膜助剤として(6−1)で示した化合物D
をラテックスの固形分に対して15重量%含有)630
gに水を加え、カルナヴァワックス(中京油脂(株)
製、セロゾール524)30重量%溶液6.30gを加え
た。さらに、上記(6−1)に記載の化合物Eを0.7
2g、化合物Fを7.95g加え、上記化合物Sを0.
90g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μ
m)1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA-235)8.30gを加え、さらに水を加
えて、画像形成面の保護層(b)塗布液を調製した。
【0185】(7)熱現像画像記録材料の作製 上記の(4)で得られた搬送熱処理を施したPET支持
体の、バック層を施した面の反対側、即ち下塗り層
(a)および下塗り層(b)を塗布した上に、上記の
(5)で得られた画像形成層塗布液を、塗布銀量が1.
6g/m2になるように、さらにその上に、上記の(6
−1)で得られた画像形成面の保護層(a)塗布液を、
ポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/m2
になるように、同時重層塗布した。その後で、その上に
上記の(6−2)で得られた画像形成面の保護層(b)
塗布液を、ポリマーラテックスの固形分塗布量が3.0
2g/m 2になるように塗布し、熱現像画像記録材料を
作製した。得られた熱現像画像記録材料の画像形成側の
膜面pHは4.9であり、ベック平滑度は660秒であ
り、反対側の膜面pHは5.9、ベック平滑度は560
秒であった。
【0186】(8)評価 (8−1)露光処理 上記の(7)で得られた熱現像画像記録材料を、ビーム
径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レ
ーザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レー
ザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露
光装置を使用し、ミラーの回転数を変化させることによ
り露光時間を、出力値を変えることにより露光量を調整
し、2×10-8秒間露光した。この時のオーバーラップ
係数は0.449であった。 (8−2)熱現像処理 上記の(8−1)で得られた露光済みの熱現像画像記録
材料に、図1に示した熱現像機を用いて熱現像処理を行
った。即ち、熱現像処理部のローラー表面材質にはシリ
コンゴム、平滑面にはテフロン不織布を用い、搬送の線
速度20mm/秒で、予備加熱部90〜110℃で15
秒(予備加熱部と熱現像処理部の駆動系は独立してお
り、熱現像部との速度差は-0.5%〜-1%に設定)、熱現像
処理部120℃で20秒、徐冷部15秒で熱現像処理を
行った。なお、幅方向の温度精度は±1℃であった。
【0187】(8−3)写真性能の評価 上記(8−2)で得られた画像の評価をマクベスTD904
濃度計(可視濃度)により行った。測定の結果は、Dm
ax(最高濃度)、カブリ(Dmin)、感度(Dmi
nより1.5高い濃度を与える露光量の比の逆数)で評
価した。感度は表1の熱現像画像記録材料101の感度
を100として、相対値で示した。 (8−4)光照射画像保存性評価 上記(8−1)および(8−2)と同様に露光・現像し
た熱現像画像記録材料を、実施例1の(9−2)と同様
に評価した。 (8−5)暗熱画像保存性評価 上記(8−1)および(8−2)と同様に露光・現像し
た熱現像画像記録材料を、実施例1の(9−3)と同様
に評価した。(8−3)〜(8−5)の評価の結果を表
2に示す。
【0188】
【表2】
【0189】表2の結果より、比較例に比べ、本発明の
熱現像画像記録材料は優れた性能を示すことが明らかで
あり、超硬調な熱現像画像記録材料でも実施例1と同様
の優れた結果が得られた。
【0190】
【発明の効果】以上のように、本発明によって、現像前
の長期保存によるカブリや現像後の保存時の画像変化が
極めて小さい熱現像画像記録材料を、環境面・コスト面
で有利に提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる熱現像機の一構成例を示す側面
図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像記録材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の同一面上に、
    (a)還元可能な銀塩と、(b)還元剤と、(c)バイ
    ンダーと、(d)画像記録材料中でアンモニアと共有結
    合を形成しアンモニアの塩基性を低下させる少なくとも
    1種の化合物を有することを特徴とする熱現像画像記録
    材料。
  2. 【請求項2】 (d)画像記録材料中でアンモニアと共
    有結合を形成しアンモニアの塩基性を低下させる化合物
    が一般式(1)で表される化合物であることを特徴とす
    る請求項1に記載の熱現像画像記録材料。 【化1】 (式中、Rはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ア
    ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
    基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロ環オ
    キシ基を表し、MはCO、COCOまたはSO2を表
    し、Lはアンモニアとの置換反応で脱離する基で、アル
    コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、電子
    求引性基置換アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基また
    は環の窒素で結合するヘテロ環基を表す。RまたはLで
    表される基は置換されていてもよい)
  3. 【請求項3】 前記(a)、(b)、(c)および
    (d)を有する面上に、さらに(e)感光性ハロゲン化
    銀を有することを特徴とする、請求項1または2に記載
    の熱現像画像記録材料。
  4. 【請求項4】 前記(a)、(b)、(c)および
    (d)を有する面上に、さらに(f)超硬調化剤を有す
    ることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記
    載の熱現像画像記録材料。
  5. 【請求項5】 前記(f)超硬調化剤が、下記の一般式
    (2)、(3)または(4): 【化2】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原
    子または置換基を表し、Zは電子吸引性基またはシリル
    基を表す。あるいは、R1とZ、R2とR3、R1とR2
    およびR3とZは、それぞれ互いに結合して環状構造を
    形成してもよい。R 4は、置換基を表す。XおよびY
    は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aお
    よびBはそれぞれ独立にアルコキシル基、アルキルチオ
    基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
    オ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基
    またはヘテロ環アミノ基を表す。あるいは、XとY、お
    よびAとBは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成
    してもよい)で表される化合物からなる群より選ばれる
    少なくとも1種の超硬調化剤であることを特徴とする、
    請求項4に記載の熱現像画像記録材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103772376A (zh) * 2012-10-24 2014-05-07 中国医学科学院医药生物技术研究所 取代的苯并-1,3-杂唑类化合物、其制备方法及用途

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