JPH11223898A - 熱現像写真感光材料 - Google Patents

熱現像写真感光材料

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JPH11223898A
JPH11223898A JP10041300A JP4130098A JPH11223898A JP H11223898 A JPH11223898 A JP H11223898A JP 10041300 A JP10041300 A JP 10041300A JP 4130098 A JP4130098 A JP 4130098A JP H11223898 A JPH11223898 A JP H11223898A
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    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高Dmaxで、超硬調で解像性が良好であり、処
理後の残色の少ない熱現像写真感光材料を提供する。 【解決手段】 支持体のバック面の最外層となるバック
層のバインダーの50重量%以上としてポリマーラテッ
クスを用い、バック層に、一般式(I)で表され、その
層中でのλmax(nm)が、 λmax>[λmax(DMF)+20×n] (nは一般式(I)におけるものと同じ)の関係を満足
する染料を含有させた熱現像写真感光材料とする。 【化29】 [一般式(I)式中、 R1、R2、R3およびR4は、各
々水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表
し、 X1およびX2は、各々酸素原子または硫黄原子を
表す。L1,L2およびL3は各々メチン基を表す。 nは
0、1、2または3である。M+は、水素原子または無
機もしくは有機のカチオンを表す。ただし、R1、R2
3、R4、L1,L2およびL3はイオン化し得るプロト
ンを有する基またはその塩をもたないものとする。ま
た、n=2の場合、L1、L2およびL3のうち少なくと
も1つは置換基を有する。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像写真感光材料
に関するものであり、特に写真製版用に適した熱現像写
真感光材料に関し、さらに詳しくスキャナー、イメージ
セッター用感光材料に関し、更に詳しくは、Dmax
(最高濃度)の高い画像が得ることが可能な写真製版用
熱現像写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料の露光方法の一つに、原図
を走査し、その画像信号に基づいてハロゲン化銀写真感
光材料上に露光を行い、原図の画像に対応するネガ画像
またはポジ画像を形成するいわゆるスキャナー方式によ
る画像形成方法が知られている。
【0003】さらにスキャナーからフイルムに出力した
後、返し工程を経ずに直接刷版に焼き付けるケースやソ
フトなビームプロファイルを有するスキャナー光源に対
しては超硬調な特性を有するスキャナー感材が求められ
ている。
【0004】支持体上に感光性層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。
【0005】近年写真製版分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イメー
ジセッターにより効率的に露光させることができ、高解
像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成するこ
とができる写真製版用途の感光性熱現像材料に関する技
術が必要とされている。これら感光性熱現像材料では、
溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を
損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給する
ことができる。
【0006】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号、およびD.
モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely) による「熱
によって処理される銀システム(Thermally Processed
Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシーズ
・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Mater
ials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォ
ールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp) 編集、
第2頁、1969年)に記載されている。このような感光材
料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、
触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀
の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散し
た状態で含有している。感光材料は常温で安定である
が、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合
に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤
との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化
還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進
される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生
成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照
をなし、画像の形成がなされる。
【0007】従来からこのタイプの熱現像写真感光材料
は知られているが、これらの感材の多くはトルエン、メ
チルエチルケトン(MEK)、メタノールなどの有機溶
剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感光層を形
成している。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造
工程での人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その他の
ためコスト上も不利である。
【0008】そこでこのような心配のない水溶媒の塗布
液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49-52626号、特開昭53-116144号などにはゼラチンをバ
インダーとする例が記載されている。また特開昭50-151
138号にはポリビニルアルコールをバインダーとする例
が記載されている。
【0009】さらに特開昭60-61747号にはゼラチンとポ
リビニルアルコールを併用した例が記載されている。こ
れ以外の例として特開昭58-28737号には水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする感光性層の例が記載さ
れている。
【0010】確かにこのようなバインダーを用いると水
溶媒の塗布液を用いて感光性層を形成することができて
環境面、コスト面のメリットは大きい。
【0011】しかしながら、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、水溶性ポリアセタールなどのポリマーをバイン
ダーとして用いると、有機銀塩との相溶性が悪く、塗布
面質上実用に耐える塗布物が得られないばかりでなく、
現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色からかけ離
れた茶色や黄色になったり、露光部の黒化濃度が低く未
露光部の濃度が高い等商品価値の著しく損なわれたもの
しか得られなかった。
【0012】そこで、環境面、コスト面で優れた水系感
光材料で、塗布面質が良く、現像時に良好な銀色調であ
り、かつ充分な写真性能(特に高Dmax)を有する熱
現像写真感光材料を提供する技術が望まれていた。
【0013】さらに、熱現像処理を行うと熱現像写真感
光材料の寸法が変化するため、処理後の材料を写真製版
用途として使用する場合、特に精密多色印刷を行う時の
重大な問題となる。また、この寸法変化は画像の濃度ム
ラを発生させ、特に写真製版用網点などの微細な画像に
おいてはその影響を大きく受ける。これまで熱現像時の
これらの問題に対しての改善が望まれていた。
【0014】熱現像写真感光材料において、露光に忠実
な解像性の良い画像を得ることは、汎用の湿式系ハロゲ
ン化銀写真感光材料同様に、イラジエーション防止染料
の添加あるいはアンチハレーション層により解決され
る。イラジエーション防止染料の添加は主に感光性層
に、アンチハレーション層は支持体と感光性層の間に置
かれるか、支持体に対し感光性層の反対側に置かれる。
例えば、近赤外レーザーの出力を記録する場合には赤外
領域に吸収のある染料が必要である。赤外染料の例とし
て、特開平4−182640号記載のインドレニンシア
ニン染料、およびUS5380635号記載のスクアリ
ック酸がジヒドロペリミジン核のパラ位で結合したジヒ
ドロペリミジンスクアリリウム染料が知られている。
【0015】US5545515号には、特定構造のヒ
ドラジン誘導体を含有する熱現像写真感光材料が記載さ
れており、アンチハレーション層(バック層)に、イン
ドレニンシアニン染料を添加する方法が開示されてい
る。しかしながら、感光性層内部のイラジエーション防
止、あるいは感光性層と支持体間でのハレーション防止
ができる染料は、未だに得られていない。より露光に忠
実な超硬調な画像を得るためには、感光性層中での画像
形成に悪影響のないイラジエーション防止あるいはアン
チハレーション染料を必要としていた。また、バック面
側のアンチハレーション層であっても染料によっては残
色が生じたり、解像度が低下したりする問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高Dm
axで、超硬調で解像性が良好であり、処理後の残色の少
ない熱現像写真感光材料を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
事項により達成される。 (1) 支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀および還
元剤を含有する感光性層を有する熱現像写真感光材料に
おいて、前記支持体の前記感光性層が設けられた面とは
反対の面に、少なくとも1層のバック層を設け、前記バ
ック層の最外層のバインダーの50重量%以上としてポ
リマーラテックスを用いており、前記バック層が、下記
一般式(I)で表され、かつ層中での最大吸収波長λma
x(nm)が下記式(II)の関係を満足する染料を含有する
ことを特徴とする熱現像写真感光材料。
【0018】
【化2】
【0019】[一般式(I)式中、 R1、R2、R3およ
びR4は、各々水素原子、脂肪族基、芳香族基または複
素環基を表し、 X1およびX2は、各々酸素原子または
硫黄原子を表す。L1,L2およびL3は各々メチン基を
表す。 nは0、1、2または3である。M+は水素原子
または無機もしくは有機のカチオンを表す。ただし、R
1、R2、R3、R4、L1,L2およびL3はイオン化し得
るプロトンを有する基またはその塩をもたないものとす
る。また、n=2の場合、L1、L2およびL3のうち少
なくとも1つは置換基を有する。] 式(II) λmax>[λmax(DMF)+20×(n+1)] [式(II)中、λmax(DMF)は、ジメチルホルム
アミド溶液中における染料の最大吸収波長(nm)を示
し、nは一般式(I)で定義したnと同義である。] (2) 前記バック層の最外層のバインダーの70重量
%以上としてポリマーラテックスを用いている上記
(1)に記載の熱現像写真感光材料。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱現像写真感光材
料について詳細に述べる。熱現像処理法を用いて写真画
像を形成する熱現像写真感光材料は、例えば米国特許第
3152904号、3457075号およびD.モーガン
(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって
処理される銀システム(Thermally Processed Silver S
ystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・
マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neb
lette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース
(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2項、19
69年に開示されている。
【0021】本発明の熱現像写真感光材料は、熱現像処
理を用いて写真画像を形成するものであり、後述する還
元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量のハロゲン化銀
および還元剤を含有し、必要に応じて銀の色調を調整す
る色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分
散した状態で含有する熱現像写真感光材料である。本発
明の熱現像写真感光材料は、常温では安定であるが、露
光後高温(例えば、80℃以上)に加熱することで現像
される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能す
る)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成す
る。この酸化還元反応は、露光でハロゲン化銀に発生し
た潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有
機銀塩の反応によって生成した銀は、黒色画像を提供
し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなさ
れる。この反応過程は、外部から水等の供給することな
しで進行するため、廃液のない環境に対して好ましいも
のである。
【0022】このような本発明の熱現像写真感光材料に
おいて、支持体の感光性層側と反対側の面(バック面)
にバック層を有し、バック層の最外層には主バインダー
としてポリマーラテックスが用いられている。これによ
り、環境面、コスト面で有利な水溶媒を用いた塗布が可
能になり、耐傷性が向上する。また、バック面のいずれ
かの層に、一般式(I)で表され、その層中での最大吸
収波長(λmax)が式(II)の関係を満足する染料を含
有させているが、このような染料を含有させることによ
って、残色がなく、解像性に優れた画像が得られる。そ
して、感光性層にイラジエーション防止染料を含有させ
た場合、さらに解像性が向上する。これに対し、バック
層に一般式(I)とは異なるインドレニンシアニン染料
などを用いると、残色が生じ、解像性などの画質の低下
が起こりやすくなる。
【0023】以下に本発明に使用される染料を説明す
る。本発明で使用される染料は、一般式(I)で表され
る染料である。
【0024】
【化3】
【0025】式中、 R1、R2、R3およびR4は、各々
水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、
1およびX2は、各々酸素原子または硫黄原子を表
す。L1,L2およびL3は各々メチン基を表す。 nは、
0,1,2または3である。M+は、水素原子または無
機もしくは有機のカチオンを表す。ただし、R1、R2
3、R4、L1,L2およびL3はイオン化し得るプロト
ンを有する基、または、その塩をもたないものとする。
また、L1,L2およびL3のうち少なくとも1つは、置
換基を有する。
【0026】一般式(I)の染料の感材中(層中)での
最大吸収波長λmax(nm)は、式(II)を満足する。 式(II)λmax>[λmax(DMF)+20×(n+1)] 式中、λmax(DMF)は、ジメチルホルムアミド溶
液中における染料の最大吸収波長(nm)を示し、nは一
般式(I)で定義したnと同義である。なお、感材中の
λmaxは、感材と同条件で支持体上に設層した染料層
の塗布サンプルを用いて測定することができる。
【0027】次に一般式(I)の染料について詳細に説
明する。 R1、R2、R3およびR4で表される脂肪族基
としては、炭素数1〜10の直鎖、分岐、または環状ア
ルキル基、アラルキル基、アルケニル基が好ましく、例
えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec
−ブチル、t−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n
−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、シクロヘキ
シル、2−エチルヘキシル、3−メチルブチル、シクロ
ペンチル、2−エチルブチル、ビニル基、アリル基、1
−プロペニル基等の基が挙げられ、置換基[(ニトロ
基、炭素数0〜6のアミノ基(例えば、無置換のアミノ
基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基)、炭素数6
〜10のアリール基(例えば、フェニル基、2−クロロ
フェニル基)、炭素数1〜8のアルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ基、エチルチオ基)、炭素数2〜8のカ
ルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオ
ニルアミノ基)、炭素数2〜8のオキシカルボニルアミ
ノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、n−ブト
キシカルボニルアミノ基)、炭素数2〜8のカルバモイ
ル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカル
バモイル基)、炭素数2〜8のアシル基(例えば、アセ
チル基、プロピオニル基)]を有していても良い。
【0028】R1、R2、R3およびR4で表される芳香族
基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が好まし
く、より好ましくは、フェニル基であり、置換[例え
ば、前記のR1、R2、R3およびR4で表わされるアルキ
ル基が有していても良い置換基として挙げた基のほか、
炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル、エチル、
n−プロピル、t−ブチル)、ハロゲン原子(例えば、
F、Cl、Br)、シアノ基、炭素数1〜8のアルコキ
シ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、フェノキシ基)、炭素数2〜8のエステル基(例え
ば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、
炭素数1〜8のアルキルスルホニル基(例えば、メタン
スルホニル基、エタンスルホニル基)]を有していても
よい。
【0029】R1、R2、R3およびR4で表される複素環
基としては、例えば、窒素、酸素、硫黄をヘテロ原子と
して含む5ないし6員環の複素環が好ましく、ピリジル
基、ピラジニル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニ
ル基、ピロール基、インドリル基、モルホリル基、ピロ
リジル基、テトラゾリル基などが挙げられる。また、こ
の複素環基は前記のR1、R2、R3およびR4で表される
芳香族基が有していても良い置換基を有していてもよ
い。
【0030】M+は、好ましくはH、Li、Na、K、Ca、
トリエチルアンモニウムまたはピリジニウムである。
【0031】n=0または1の場合、 L1,L2および
3で表されるはメチン基は無置換でも、置換基(例え
ば、メチル、エチル、ベンジル、フェニル、クロル、ア
ミノ、ピペリジノ、モルホリノなど)を有していても良
い。n=2の場合、 L1,L2およびL3で表されるはメ
チン基のうち少なくとも1つは、置換基(例えば、メチ
ル、エチル、ベンジル、フェニル、フェノキシ、ベンゾ
イル、クロル、アミノ、ピペリジノ、モルホリノ、ヒド
ロキシ、ジメチルカルバモイルなど)を有しており、メ
チン基同士で連結して5または6員環(例えば、シクロ
ペンテン環、シクロヘキセン環、1−クロロシクロペン
テン環、1−クロロシクロヘキセン環、1−ジメチルア
ミノシクロペンテン環、1−モルホリノシクロペンテン
環など)を、形成しても良い。
【0032】nは0、1、2が好ましく、特に2が好ま
しい。X1、X2は酸素原子が好ましい。一般式(I)の
染料の好ましい構造は一般式(Ia)である。
【0033】
【化4】
【0034】式中、R1からR4およびM+は、一般式
(I)と同義である。 R5は一般式(I)のL1,L2
よびL3で表されるはメチン基上の置換基と同義であ
る。
【0035】本発明の好ましい一般式(I)の染料の具
体例を、以下に示す。ただし、本発明で使用される一般
式(I)の染料は、必ずしもこれらに限定されるもので
はない。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】本発明の染料は、以下の合成例を参考にし
て合成できる。本発明における一般式(I)で表される
染料は、当業者によって知られた方法(例えば、該当す
る適切に置換されたバルビツール酸類化合物と、メチン
染料にメチン基またはポリメチン鎖を導入するためのメ
チン源との縮合反応)によって合成することができる。
この種の化合物についての詳細は、英国特許第1133
986号、米国特許第3247127号、同40423
97号等を参照することができる。具体的には、モノメ
チン基の導入には、オルトギ酸エチル、オルト酢酸エチ
ルまたはN,N−ジフェニルホルムアミジン塩酸塩等を
使用でき、トリメチン鎖の導入には、トリメトキシプロ
ペン、テトラメトキシプロペンまたは、マロンアルデヒ
ドジアニル塩酸塩等を使用でき、ペンタメチン鎖の導入
には、4−メチルグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩
または、1−(2,4−ジニトロベンゼン)−4−メチ
ルピリジニウムクロリド等を使用できる。
【0043】合成例1(染料1の合成) N−フェニルバルビツール酸5.0g 、4−メチルグル
タコンアルデヒドジアニル塩酸塩3.5g 、ジメチルホ
ルムアミド25mlの混合懸濁液を水冷後、これにトリエ
チルアミン5.0mlを滴下した。同温度で1時間撹拌
後、さらに室温で1時間撹拌した。この反応液に、2規
定の塩酸水溶液25mlとメタノール25mlの混合液を徐
々に添加し、析出した結晶を濾取し、MeOHで洗浄
し、乾燥することにより染料1を7.0g 得た。 λmax(DMF)=618nm、εmax=1.57×
105
【0044】合成例2(染料3の合成) 合成例1においてN−フェニルバルビツール酸の代わり
に1−メチル−3−フェニルバルビツール酸5.2g を
用いた他は、合成例1と同様にして染料3を7.1g 得
た。 λmax(DMF)=620nm、εmax=1.73×
105
【0045】合成例3(染料22の合成) 1−p−メトキシフェニルバルビツール酸5.0g 、マ
ロンアルデヒドジアニル塩酸塩2.7g 、ジメチルホル
ムアミド25mlの混合懸濁液に室温にてトリエチルアミ
ン4.4mlを滴下し溶解した。同温度で2時間撹拌した
後、この反応液に、2規定の塩酸水溶液25mlとメタノ
ール25mlの混合液を徐々に添加し、析出している結晶
を濾取した。MeOHで洗浄後、乾燥することにより染
料22を6.0g 得た。 λmax(DMF)=492nm、εmax=1.12×
105
【0046】合成例4(染料25の合成) 合成例3において、1−p−メトキシフェニルバルビツ
ール酸の代わりに1,3−ジヘキシルバルビツール酸
6.3g を用いた他は、合成例3と同様にして染料25
を6.8g 得た。 λmax(DMF)=502nm、εmax=8.62×
104
【0047】合成例5(染料28の合成) 1−メチル−3−p−トリルバルビツール酸5.0g 、
オルトギ酸エチル2.1g 、酢酸25mlの混合物を蒸気
浴上で3時間加熱撹拌した(内温80〜85℃)。反応
液を室温まで冷却後、冷メタノール100mlに添加し、
析出している結晶を濾取し、メタノールで洗浄した。結
晶を乾燥することにより染料28を3.8g 得た。 λmax(DMF)=386nm、εmax=3.50×
104
【0048】本発明に用いられる染料の原料である一般
式(IV)で表されるバルビツール酸類は、常法に従い一
般式(III)で表される尿素誘導体を無水酢酸の存在下
にマロン酸と、あるいは塩基性条件下、マロン酸エステ
ルと反応させることにより合成できる。これら化合物の
合成法の詳細については、「新実験化学講座」(14
巻)(丸善)、J.Am.Chem.Soc.,78,6185頁(1956)等を参
照することができる。一般式(III)、(IV)中のR1
は一般式(I)のものと同義である。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】一般式(I)で表される染料で、かつ、感
光材料中の吸収波長が式(II)の範囲に含まれる化合物
は、(1)染料の固体分散物を調製する方法か、(2)
染料溶液を調製して塗布・乾燥するいずれかの方法によ
り調製することができる。
【0052】染料の固体分散物の調製方法では、特開昭
52−92716号、国際公開88/04794号に記
載のようにボールミル、サンドミル、コロイドミルなど
の分散機や振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェット
ミル、ロールミル、マントンガウリン、マクロフルイダ
イザー、ディスクインペラーミルのような分散機等を任
意に選ぶことができるが、縦型あるいは横型の媒体分散
機が好ましい。いずれの場合も溶媒(例えば水)を用い
ることが好ましく、更に分散用界面活性剤を用いること
がより好ましい。分散用界面活性剤としては、特開昭5
2−92716号、国際公開88/04794号などに
記載のようにアニオン性界面活性剤を使用したり、特願
平3−121749号のようにアニオン性ポリマーを使
用することもでき、必要に応じてノニオン性あるいはカ
チオン性界面活性剤を使用することができるが、アニオ
ン性ポリマーか、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0053】また、本発明の染料を適当な溶媒中で溶解
させた後、本発明の染料の貧溶媒を添加して微結晶を析
出させてもよく、この場合にも前記の分散用界面活性剤
を用いてもよい。あるいは、溶媒中でpHをコントロー
ルさせることによってまず溶解させ、その後、pHを変
化させて微結晶化させてもよい。分散体中の本発明の染
料は、平均粒径が0.005μm から10μm 、好まし
くは0.01μm から1μm 、更に好ましくは0.01
μm から0.5μm であり、場合によっては0.01μ
m から0.1μm であることが好ましい。また、染料の
微粒子は単分散されていることが好ましい。
【0054】一般式(I)の染料の分散の際には、染料
固体に何の前処理も施さず、そのまま分散してもよい。
このとき好ましくは、染料の合成過程において得られる
湿潤状態にある染料固体を分散に用いるのがよい。ま
た、必要に応じて、分散前および/または分散後に加熱
処理を行ってもよく、より有効に加熱処理を行うには、
少なくとも分散後に加熱処理を行うことが好ましい。加
熱方法は染料固体に熱が加われば特に制限はなく、温度
は40℃以上が好ましく、上限は染料が分解しない範囲
であれば何度でもよく、好ましくは250℃以下であ
る。さらに好ましくは50℃〜150℃である。加熱時
間は染料が分解しない範囲であれば特に制限はなく、1
5分〜1週間、好ましくは1時間〜4日である。有効に
加熱処理を行うために、溶媒中で行うことが好ましく、
溶媒の種類としては、一般式(I)の染料を実質的に溶
解しないものであれば制限はなく、例えば、水、アルコ
ール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、オ
クタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、エチルセロソルブ)、ケトン類(例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン)、エステル類(例えば、酢酸
エチル、酢酸ブチル)、アルキルカルボン酸類(例え
ば、酢酸、プロピオン酸)、ニトリル類(例えば、アセ
トニトリル)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタ
ン、ジオキサン、テトラヒドロフラン)等を挙げること
ができる。
【0055】加熱処理時に有機カルボン酸類を共存させ
ることができる。有機カルボン酸としては、アルキルカ
ルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸)、カルボキ
シメチルセルロース類(CMC)、アリールカルボン酸
類(例えば、安息香酸、サリチル酸)等を挙げることが
できる。有機カルボン酸類の量は、溶媒として用いる場
合には一般式(I)の染料の重量の0.5〜100倍量
を用いることができる。有機カルボン酸類以外の溶媒を
用いて有機カルボン酸を添加して用いる場合には、一般
式(I)の染料に対して0.05〜100%の重量比で
用いることができる。
【0056】また、染料の固体分散物を調製する工程に
要する設備や経費を削減するために、染料の溶液を調製
して塗布・乾燥することにより調製することもできる。
染料の溶液の調製は、一般式(I)のM+がプロトン以
外の塩の場合はそのまま染料の水溶液を調製することが
出来るし、一般式(I)のM+がプロトンの場合には、
適当な塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウムやトリ
エチルアミンなど)を併用して溶液を調製することもで
きる。一般式(I)のM+はプロトン以外の塩であるこ
とが好ましい。染料の溶液には、通常感光材料の製造方
法で行われるように、親水性コロイド(例えば、ゼラチ
ン)を共存させた溶液で塗布に供することができるし、
溶液を直接塗布に供することも可能である。
【0057】本発明の染料は、感光材料中、支持体に対
して、感光性層が設けられた側とは反対側に設けられた
層(バック層)中に含まれる。感光層が設けられた側に
も、例えば、ハレーション防止の目的で、乳剤層の下ま
たは支持体の裏面の層に添加しても良いし、イラジエー
ション防止などの目的でハロゲン化銀乳剤層に添加して
も良いし、フィルター染料として中間層(例えば異なる
感色性乳剤層に挟まれた中間層や実質的に同一の感色性
乳剤層に挟まれた中間層)や保護層に添加しても構わな
い。
【0058】こうした染料の溶液中での好ましい添加量
は、溶液の全重量に対して0.1〜20重量%である。
【0059】また、染料は感光材料に対して感材1m2
たりの塗布量で示して0.1〜1000mg/m2、好ま
しくは1〜200mg/m2となるよう添加すると良い。
【0060】バインダーを使用するときは、バインダー
に対し0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜50
重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
【0061】赤外半導体レーザー(780,830n
m)用には750nm〜1500nmの範囲で露光波長
に少なくとも0.2を超え、好ましくは0.6以上(通
常2.0以下)の吸収となるように染料を添加する。さ
らに、染料は、1種でも数種を組み合わせて使用しても
良い。また、このような染料は、熱現像処理後の可視領
域(300nm〜700nm)においての吸収が0.5
未満であることが好ましく、さらに0.1以下であるこ
とがより好ましい。
【0062】次に、本発明のバック層を説明する。本発
明の感光性層と支持体を挟んで反対側の層(以降、この
層を「バック層」と表す)のうちの1層である最外層は
以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50wt
%以上として用いた層である。ただしここで言う「ポリ
マーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な
粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分
散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているも
の、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、ある
いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子
鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なお
本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマ
ルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、
鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(199
3))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊
行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の
平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度
の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に
制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径
分布を持つものでもよい。
【0063】本発明のポリマーラテックスとしては通常
の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/
シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェル
はガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
【0064】本発明のポリマーラテックスの最低造膜温
度(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度
が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれ
ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化
合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックス
の化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載
されている。
【0065】本発明のポリマーラテックスに用いられる
ポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとし
ては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、ま
た架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては
単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良
いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良
い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロッ
クコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子
量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好
ましい。分子量が小さすぎるものは層の力学強度が不十
分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくな
い。
【0066】本発明の熱現像写真感光材料の最外層のバ
ック層のバインダーとして用いられるポリマーラテック
スの具体例としては以下のようなものがある。メチルメ
タクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート/2エチル
ヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コ
ポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニ
ルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メ
チルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート
/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クスなど。また、このようなポリマーは市販もされてい
て、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリ
ル樹脂の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上
ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、
820、857(以上日本ゼオン(株)製)、ジュリマーET410
(以上、日本純薬(株)製)など、ポリエステル樹脂と
しては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本イ
ンキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケ
ミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP1
0、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、
ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、713
2C(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、41
0、438C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化
ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)
製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上
旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケ
ミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)など
を挙げることができる。これらのポリマーは単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いて
も良い。
【0067】本発明のバック層は、多層構成であって
も、単層構成であってもよいが、帯電防止層、マット剤
層など多機能を持たせるために、多層構成が好ましい。
多層構成の場合、最外層は、上記ポリマーラテックスに
由来する疎水性ポリマーにより形成されている層であ
り、更に好ましくは最外層が、全バインダーの70重量%
以上として上記ポリマーラテックスを用いている層であ
る。なお、疎水性ポリマーとしては、上記ポリマーラテ
ックスの他に、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロ
リド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、
ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリカーボネートなどを併用することもできる。
【0068】本発明の最外層のバック層には必要に応じ
て全バインダーの50重量%以下、さらには30重量%
以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。
【0069】本発明の最外層のバック層は水系の塗布液
を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、こ
こで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の30wt%以
上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチル
ホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を
用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、
水のほか、以下のようなものがある。水/メタノール=9
0/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/1
0、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルム
アミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド
=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=9
0/5/5。(ただし数字はwt%を表す。)
【0070】本発明のバック層またはバック層の表面保
護層には、搬送性改良のためにマット剤を含有しても良
い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化
合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使
用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245
号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、
同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同
1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、同3,37
0,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各明細書
に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを
用いることができる。例えば具体的にはマット剤として
用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性
ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリ
メチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリ
ロニトリル-α-メチルスチレン共重合体、ポリスチレ
ン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニル
アセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフ
ルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメ
チルセルロース、セルロースアセテート、セルロースア
セテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカ
ルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素-
ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬
化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプ
セル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いるこ
とができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸
化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫
酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩
化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用
いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異な
る種類の物質を混合して用いることができる。マット剤
の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを
用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm〜
30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マッ
ト剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット
剤は感材のヘイズ、表面光沢に大きく影響することか
ら、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合によ
り、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にす
ることが好ましい。
【0071】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が1秒以上2000秒以下が好ましく、さら
に好ましくは10秒以上1000秒以下である。
【0072】本発明において、マット剤はバック層の最
外層以外の層に添加することが好ましい。その際、最外
層は、膜厚が0.05μm以上であることが好ましく、より
好ましくは0.2μm以上であることが好ましい。その上限
に特に制限はないが、10μm程度である。
【0073】本発明のバック層は全バインダー量は0.2
〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好まし
い。
【0074】本発明のバック層には架橋のための架橋
剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよ
い。
【0075】架橋剤の例としては、ジメチロールメラミ
ン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミ
ン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラ
ミン、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロール
メラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラ
ミン樹脂等のメラミン化合物とその誘導体、ムコクロル
酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェ
ノキシブロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、
モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−
1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチ
ル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−
ジメトキシテトラヒドロフランおよびグルタルアルデヒ
ド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニル
スルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニル
アセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−
2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセ
チル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−ト
リアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒド
ロ−s−トリアジンおよび1,3,5−トリビニルスル
ホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニ
ル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−
トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4
−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、
2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−
s−トリアジンおよびN,N’−ビス(2−クロロエチ
ルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;
ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアン
モニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス
(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,
3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジ
クリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエ
ーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、
ジグリセロールポリグルシジルエーテル、1,3,5−
トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ
ート、グリセロールポリグリセロールエーテル類および
トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類等の
エポキシ化合物;2,4,6−トリエチレン−s−トリ
アジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチ
レン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエ
ーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタ
ンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホ
ンオキシ)ブタンおよび1,5−ジ(メタンスルホンオ
キシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合
物;ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1−ジシク
ロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カ
ルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5
−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化
合物;クロム明ばんおよび酢酸クロム等の無機系化合
物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2
−ジヒドロキノリンおよびN−(1−モルホリノカルボ
キシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型
ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシ
ンイミドおよびN,N’−テレフタロイルジオキシジサ
クシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−
2,4−ジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレ
ンジイソシアネート等のイソシアネート類;およびポリ
アミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエ
ピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、こ
れに限定されるものではない。
【0076】これらの化合物の添加量は、バインダーの
1〜100重量%、好ましくは5〜80重量%である。
【0077】界面活性剤の例としては、ノニオン系、ア
ニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適
宜用いられる。具体的には、特開昭62-170950号、米国
特許5,380,644号などに記載のフッ素系高分子界面活性
剤、特開昭60-244945号、特開昭63-188135号などに記載
のフッ素系界面活性剤、米国特許3,885,965号などに記
載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6-301140号など
に記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活
性剤などが挙げられる。
【0078】本発明のバック層には、帯電防止が施され
ていることが好ましい。帯電防止には、導電性ポリマ
ー、イオン性あるいは非イオン性の界面活性剤、コロイ
ダルシリカ、金属酸化物あるいはその複合酸化物などを
含有する帯電防止層を設けることが有効である。中で
も、帯電防止剤としては、特に金属酸化物またはその複
合酸化物、あるいはそれらに異種原子を少量含む微粒子
が好ましく、例えば特公平1-20736号公報、特開昭61-20
033号公報および特開平4-39651号公報にこれらの粒子を
含む帯電防止層が記載されている。また、本発明では特
に、透明性を高める観点で針状粒子であり、その短軸に
対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にある
ものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10
〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の
短軸は、0.001〜0.1μm の範囲にあることが好
ましく、特に0.01〜0.02μm の範囲にあること
が好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μm の範
囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μm の範
囲にあることが好ましい。
【0079】上記導電性金属酸化物粒子の材料として
は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23
MgO、BaOおよびMoO3およびこれらの複合酸化
物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む
金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物として
は、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23
およびMgOが好ましく、さらに、SnO2、ZnO、
In23およびTiO2が好ましく、SnO2が特に好ま
しい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対して
AlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはT
a、In23に対してSn、およびSnO2に対してS
b、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.0
1〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドー
プしたものを挙げることができる。異種元素の添加量
が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化
物に充分な導電性を付与することができず、30モル%
を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむた
め感材用としては適さない。従って、本発明では導電性
金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合
金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。
また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
【0080】上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物
微粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2
子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%
ドープされたSnO2粒子が好ましい。
【0081】従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法
を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子
を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電
防止層を形成するのに有利である。
【0082】前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属
酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO2)を使用す
ることにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止
層を有利に形成できる理由については、次のように考え
られる。
【0083】上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層
内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸
びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占
めているにすぎない。このような針状の金属酸化物粒子
は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒
子に比べて、互いに接触しやすく、少ない量でも高い導
電性が得られる。従って、透明性を損なうことなく、表
面電気抵抗を低下させることができる。
【0084】また、上記針状の金属酸化物粒子では、短
軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ
同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出し
てもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設け
られる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。従
って、感材作製用の支持体の搬送中、撮影、現像のため
の感材搬送中に、層より突出部分の脱離である粉落ちの
発生がほとんどないとの優位性も得られる。
【0085】次に、本発明の熱現像写真感光材料に使用
される、有機銀塩、ハロゲン化銀、還元剤について順に
説明する。
【0086】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形
成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源
を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特
に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カル
ボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の
錯安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ま
しい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層(感光性
層)の約5〜70重量%を構成することができる。好ましい
有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を
含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳
香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されること
はない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例として
は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オ
レイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン
酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒
石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これら
の混合物などを含む。
【0087】メルカプト基またはチオン基を含む化合物
の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。
これらの化合物の好ましい例としては、3-メルカプト-4
-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、2-メルカプトベ
ンズイミダゾールの銀塩、2-メルカプト-5-アミノチア
ジアゾールの銀塩、2-(エチルグリコールアミド)ベン
ゾチアゾールの銀塩、S-アルキルチオグリコール酸(こ
こでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などの
チオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチ
オカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5-カルボキシ
ル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メル
カプトトリアジンの銀塩、2-メルカプトベンズオキサゾ
ールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例
えば3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チアゾールの銀塩
などの1,2,4-メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国
特許第3,301,678号に記載の3-(3-カルボキシエチル)-4-
メチル-4-チアゾリン-2-チオンの銀塩などのチオン化合
物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物も使用
することができる。これらの化合物の好ましい例として
は、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、
例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリア
ゾールの銀塩、5-クロロベンゾトリアゾール銀などのハ
ロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,22
0,709号に記載のような1,2,4-トリアゾールまたは1-H-
テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール
誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4,761,36
1号および同第4,775,613号に記載のような種々の銀アセ
チリド化合物をも使用することもできる。
【0088】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状
結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01μm以上0.2
0μm以下、長軸0.10μm以上5.0μm以下が好ましく、短
軸0.01μm以上0.15μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以
下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散
であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれ
の長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百
分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定
方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より
求めることができる。単分散性を測定する別の方法とし
て、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方
法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動
係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、
更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例え
ば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その
散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求め
ることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)か
ら求めることができる。
【0089】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。
【0090】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。
【0091】そして、このような工程を経た後に、感光
性銀塩水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液を製
造する。このような塗布液を用いて熱現像写真感光材料
を作製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱現像
写真感光材料が得られる。これに対し、高圧、高速流に
変換して分散する時に、感光性銀塩を共存させると、カ
ブリが上昇し、感度が著しく低下する。また、分散媒と
して水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘイズが高くな
り、カブリが上昇し、感度が低下しやすくなる。一方、
感光性銀塩水溶液を混合する方法にかえて、分散液中の
有機銀塩の一部を感光性銀塩に変換するコンバージョン
法を用いると感度が低下する。
【0092】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含有量は非感光性の有機銀塩に対して0.
1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は行わな
いものである。
【0093】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる固体分散装置およびその技術につ
いては、例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶
内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜p403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人 化学
工学会東海支部 編、1990、槙書店、p184〜p185)、
等に詳しいが、本発明での分散法は、少なくとも有機銀
塩を含む水分散物を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送
入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過さ
せ、この後に分散液に急激な圧力低下を生じさせること
により微細な分散を行う方法である。
【0094】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で
通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧下か
ら常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
衝撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分散
効率を上げるために高流速部を鋸刃状にして衝突回数を
増やすなどの工夫を施したものも考案されている。これ
に対して、近年更に高圧、高流速での分散が可能となる
装置が開発されてきており、その代表例としてはマイク
ロフルイダイザー(マイクロフルイデックス・インター
ナショナル・コーポレーション社)、ナノマイザー(特
殊機化工業(株))などが挙げられる。
【0095】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。
【0096】これらの装置を用い、少なくとも有機銀塩
を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入
した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させる
ことにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力
を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降
下を生じさせることにより本発明に最適な有機銀塩分散
物を得ることが可能である。
【0097】本発明の有機銀塩分散においては、流速、
圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子
サイズに分散することが可能であるが、写真特性と粒子
サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時
の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300
m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2
の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は必要
に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回数が
選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数
が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にする
ことは、分散性、写真特性の点から好ましくなく、90℃
を超えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすく
なると共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本
発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしく
は、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程
に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程
により5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、
更に好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保
たれていることが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm2
範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置すること
が有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、
二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したもの、
多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択すること
ができる。また、熱交換の効率を上げるために、使用圧
力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを
選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、
20℃の井水や冷凍機で処理した5〜10℃の冷水、また必
要に応じて-30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使
用することもできる。
【0098】本発明の分散操作では、水性溶媒可溶な分
散剤(分散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが
好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル
酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレ
イン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパン
スルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カル
ボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースな
どの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸
などのアニオン性ポリマー、特開平7-350753号に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の
自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いるこ
とができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセル
ロース誘導体が特に好ましい。
【0099】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコ
ントロールしても良い。
【0100】機械的に分散する以外にも、pHコントロー
ルすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存
在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このと
き、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良
く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
【0101】調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0102】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましく
は1〜3g/m2である。
【0103】次に本発明に用いられる感光性ハロゲン化
銀について詳細に説明する。本発明に用いられる感光性
ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、
塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀
を用いることができる。粒子内におけるハロゲン組成の
分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状
に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したもの
でもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化
銀粒子を好ましく用いることができる。構造としては好
ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造の
コア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀ま
たは塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好
ましく用いることができる。
【0104】本発明における感光性ハロゲン化銀の形成
方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチデ
ィスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特
許第3,700,458号に記載されている方法を用いることが
できる。本発明で用いることのできる具体的な方法とし
ては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添
加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン
化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶
液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加
することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀
塩と混合する方法を用いることができる。本発明におい
て好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性
ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く
抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.
20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、
更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここ
でいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体ある
いは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化
銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平
板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円
像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場
合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン
化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0105】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増
感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記
載の方法により求めることができる。
【0106】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族(第7族〜
第10族)の金属または金属錯体を含有することが好ま
しい。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属また
は金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニ
ウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムである。こ
れら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種
金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率
は銀1モルに対し10-9モルから10-2モルの範囲が好
ましく、10-8モルから10-4モルの範囲がより好まし
い。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号
等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。
【0107】本発明に好ましく用いられるロジウム化合
物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができ
る。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、また
はロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オ
キザラト等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム
(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、
テトラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロ
モロジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(II
I)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハ
ロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、
あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、
NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性
ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あら
かじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子
を添加して溶解させることも可能である。
【0108】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10-6モルの
範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×
10-6モルである。
【0109】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0110】本発明に好ましく用いられるレニウム、ル
テニウム、オスミウムは特開昭63-2042号、特開平1-2859
41号、同2-20852号、同2-20855号等に記載された水溶性錯
塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の
式で示される六配位錯体が挙げられる。 [ML6n- ここでMはRu、Re、またはOsを表し、 Lは、配
位子を表し、nは0、1、2、3または4を表す。
【0111】この場合、対イオンは重要性を持たず、ア
ンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。
【0112】また好ましい配位子としてはハロゲン化物
配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニト
ロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0113】 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)43- [RuCl63- [RuCl4(H2O)2- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl32- [Ru(CO)Cl52- [Ru(CO)Br52- [OsCl63- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)52- [Os(NS)Br52- [Os(O)2(CN)44-
【0114】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当たり1×10-9モル〜1×10-5モルの範囲が好
ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-6
ルである。
【0115】これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳
剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階におい
て適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
【0116】これらの化合物をハロゲン化銀の粒子形成
中に添加してハロゲン化銀粒子中に組み込むには、金属
錯体の粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液
を、粒子形成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中
に添加しておく方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同
時に混合されるとき第3の溶液として添加し、3液同時
混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるい
は粒子形成中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に
投入する方法などがある。特に粉末もしくはNaCl、KCl
と一緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加
する方法が好ましい。
【0117】粒子表面に添加するには、粒子形成直後ま
たは物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に
必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入することも
できる。
【0118】本発明に好ましく用いられるイリジウム化
合物としては種々のものを使用できるが、例えばヘキサ
クロロイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオ
キザラトイリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタ
クロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。これらの
イリジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して
用いられるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させる
ために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化
水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいは
ハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)
を添加する方法を用いることができる。水溶性イリジウ
ムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめ
イリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添
加して溶解させることも可能である。
【0119】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させ
ても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシ
ェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0120】上記金属はハロゲン化銀1モル当たり1×
10-9〜1×10-4モルが好ましい。また、上記金属を
含有させるには単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩に
して粒子調製時に添加することができる。
【0121】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。
【0122】本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感され
ることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感
法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの
知られている方法を用いることができ、単独または組み
合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増
感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法とテルル増感法と金増感
法などが好ましい。
【0123】本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫
黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時
間撹拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公
知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中
に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例え
ばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン
類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チ
オ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量
は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大き
さなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1
モル当たり10-7〜10-2モルであり、より好ましくは
10-5〜10-3モルである。
【0124】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号、同43-13489号、特開平4-25832号、同
4-109240号、同3-121798号等に記載の化合物を用いるこ
とができる。特に特開平4-324855号中の一般式(VIII)
および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0125】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン
化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5-31
3284号に記載の方法で試験することができる。テルル増
感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシ
カルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド
類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテ
ルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合
を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガ
ニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド
類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、
テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含T
eヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化
合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。具
体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同
第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、
同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,9
58号、特開平4-204640号、特願平3-53693号、同3-131598
号、同4-129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
イアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.S
oc.Chem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 6
45(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ
ー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.
Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケ
ミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド
・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organ
ic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、
同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。
特に特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV)で
示される化合物が好ましい。
【0126】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
【0127】本発明に用いられる貴金属増感剤として
は、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられる
が、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感
剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオー
レート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが
挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2
ル程度を用いることができる。
【0128】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロ
ゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカド
ミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させ
てもよい。
【0129】本発明においては、還元増感を用いること
ができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコ
ルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはp
Agを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感す
ることができる。また、粒子形成中に銀イオンのシング
ルアディション部分を導入することにより還元増感する
ことができる。
【0130】本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特
許EP293,917号に示される方法により、チオスルホン酸
化合物を添加してもよい。
【0131】本発明に用いられる感光材料中のハロゲン
化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、
平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
併用してもよい。
【0132】本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量とし
ては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モ
ル以上0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以
下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好
ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩
の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終
了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジ
ナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製
中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲ
ン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、
本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限は
ない。
【0133】本発明の熱現像写真感光材料には有機銀塩
のための還元剤を含むことが好ましい。有機銀塩のため
の還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、
好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイド
ロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有
用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。
還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜
50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれ
ることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層
を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層
に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに
使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有
効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサ
ーであってもよい。
【0134】有機銀塩を利用した熱現像写真感光材料に
おいては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同47-1238
号、同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、同5
0-14334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32632
号、同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同
52-84727号、同55-108654号、同56-146133号、同57-828
28号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許3,667,
9586号、同3,679,426号、同3,751,252号、同3,751,255
号、同3,761,270号、同3,782,949号、同3,839,048号、
同3,928,686号、同5,464,738号、独国特許2321328号、
欧州特許692732号などに開示されている。例えば、フェ
ニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよび
p-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキ
シム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチ
ル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジンとアスコルビ
ン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒド
ラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベ
ンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/ま
たはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビ
ス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘ
キソースレダクトンまたはホルミル-4-メチルフェニル
ヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p
-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ-アリニン
ヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホ
ンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジ
ンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノー
ルなど);エチル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテー
ト、エチル-α-シアノフェニルアセテートなどのα-シ
アノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビ
ナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビ
ナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタン
に例示されるようなビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフ
トールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4
-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2',4'-ジヒドロキ
シアセトフェノンなど)の組合せ;3-メチル-1-フェニル
-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノ
ヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキ
ソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドン
ヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;
2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールお
よびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホ
ンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3-
ジオンなど; 2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシ
クロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカル
ボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロ
ピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ
-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒ
ドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-エチリデン
-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール) 、1,1,-ビス(2
-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチル
ヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例え
ば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコ
ルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなど
のアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよびある
種のインダン-1,3-ジオン;クロマノール(トコフェロー
ルなど)などがある。特に好ましい還元剤としては、ビ
スフェノール、クロマノールである。
【0135】本発明の還元剤は、溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0136】以下、本発明の熱現像写真感光材料に使用
できる、各種添加薬品等について、順次説明する。本発
明の熱現像写真感光材料には硬調化剤として、下記一般
式(3)〜一般式(5)で表される置換アルケン誘導体,置換
イソオキサゾール誘導体,および特定のアセタール化合
物を含有することが好ましい。一般式(3),一般式(4),
および一般式(5)について説明する。
【0137】
【化13】
【0138】一般式(3)においてR11,R12,R13は、
それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子
吸引性基またはシリル基を表す。 一般式(3)においてR
11とZ、R12とR13、R11とR12、あるいはR13とZ
は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一
般式(4)においてR14は、置換基を表す。一般式(5)にお
いてX,Yはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表
し、A,Bはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アルキル
チオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリー
ルチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チ
オ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式(5)にお
いてXとY、あるいはAとBは、互いに結合して環状構
造を形成していてもよい。
【0139】一般式(3)で表される化合物について詳し
く説明する。一般式(3)においてR11,R12,R13は、
それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子
吸引性基またはシリル基を表す。一般式(3)においてR
11とZ、R12とR13、R11とR12、あるいはR13とZ
は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0140】R11,R12,R13が置換基を表す時、置換
基の例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、ク
ロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基
(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を
含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘ
テロ環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級
化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコ
キシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしく
はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキ
ル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)ス
ルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル
基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルスルファモイル基または
その塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エ
ステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げら
れる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換され
ていてもよい。
【0141】一般式(3)においてZで表される電子吸引
性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りう
る置換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カル
バモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チ
オカルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原
子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンア
ミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホ
スホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基
(またはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオ
キシ基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリー
ル基等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル
基、ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾ
リル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダ
ントイン−1―イル基、スクシンイミド基、フタルイミ
ド基等がその例として挙げられる。
【0142】一般式(3)においてZで表される電子吸引
性基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基
としては、一般式(3)のR11,R12,R13が置換基を表
す時に有していてもよい置換基と同じものが挙げられ
る。
【0143】一般式(3)においてR11とZ、R12
13、R11とR12、あるいはR13とZは、互いに結合し
て環状構造を形成していてもよいが、この時形成される
環状構造とは、非芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘ
テロ環である。
【0144】次に一般式(3)で表される化合物の好まし
い範囲について述べる。一般式(3)においてZで表され
るシリル基として好ましくは、具体的にトリメチルシリ
ル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチル
シリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリ
ル基、トリメチルシリルジメチルシリル基等である。
【0145】一般式(3)においてZで表される電子吸引
性基として好ましくは、総炭素数0から30の以下の
基、即ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニ
ル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファ
モイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホ
ルミル基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイ
ル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメ
チル基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカ
ルバモイル基である。一般式(3)においてZで表される
基は、電子吸引性基がより好ましい。
【0146】一般式(3)においてR11,R12,およびR
13で表される置換基として好ましくは、総炭素数0から
30の基で、具体的には上述の一般式(3)のZで表され
る電子吸引性基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロ
キシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、
アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ア
ミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ
環アミノ基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンア
ミド基、または置換もしくは無置換のアリール基等が挙
げられる。
【0147】さらに一般式(3)においてR11は、好まし
くは電子吸引性基、アリール基、アルキルチオ基、アル
コキシ基、アシルアミノ基、水素原子、またはシリル基
である。
【0148】R11が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。
【0149】R11がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6から30の、置換もしくは無置換のフェニル基
であり、置換基としては、任意の置換基が挙げられる
が、中でも電子吸引性の置換基が好ましい。
【0150】一般式(3)においてR11は、より好ましく
は、電子吸引性基またはアリール基を表す時である。
【0151】一般式(3)においてR12およびR13で表さ
れる置換基として好ましくは、具体的に、上述の一般式
(3)のZで表される電子吸引性基と同義の基、アルキル
基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(また
はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、
ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置
換のフェニル基等である。
【0152】一般式(3)においてR12およびR13は、さ
らに好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が置
換基を表す時である。その置換基として好ましくは、ア
ルキル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ
基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフル
オロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換もし
くは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であり、
さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メルカ
プト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特に好
ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ基、
またはヘテロ環基である。
【0153】一般式(3)においてZとR11、あるいはま
たR12とR13とが環状構造を形成する場合もまた好まし
い。この場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素
環もしくは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員
〜7員の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1
〜40、さらには3〜30が好ましい。
【0154】一般式(3)で表される化合物の中で、より
好ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホルミル基、ア
シル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基、またはカ
ルバモイル基を表し、R11が電子吸引性基またはアリー
ル基を表し、R12またはR13のどちらか一方が水素原子
で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基
(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合物である。
【0155】さらにまた一般式(3)で表される化合物の
中で特に好ましいものの1つは、ZとR11とが非芳香族
の5員〜7員の環状構造を形成していて、R12またはR
13のどちらか一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基
(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘ
テロ環基を表す化合物である。この時、R11と共に非芳
香族の環状構造を形成するZとしては、アシル基、カル
バモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、
スルホニル基等が好ましく、またR11としては、アシル
基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボ
ニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好まし
い。
【0156】次に一般式(4)で表される化合物について
説明する。一般式(4)においてR14は置換基を表す。一
般式(4)においてR14で表される置換基としては、一般
式(3)のR11〜R13の置換基について説明したものと同
じものが挙げられる。
【0157】一般式(4)においてR14で表される置換基
は、好ましくは電子吸引性基またはアリール基である。
14が電子吸引性基を表す時、好ましくは、総炭素数0
〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ基、アシル
基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールス
ルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、トリ
フルオロメチル基、ホスホリル基、イミノ基、または飽
和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、さらにシアノ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ましい。
特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル基、アル
コキシカルボニル基、カルバモイル基、またはヘテロ環
基である。
【0158】R14がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、一般式(3)のR11,R12,R13
が置換基を表す時にその置換基として説明したものと同
じものが挙げられる。
【0159】一般式(4)においてR14は、特に好ましく
はシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、ヘテロ環基、または置換もしくは無置換のフェニル
基であり、最も好ましくはシアノ基、ヘテロ環基、また
はアルコキシカルボニル基である。
【0160】次に一般式(5)で表される化合物について
詳しく説明する。一般式(5)においてX,Yはそれぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、A,Bはそれぞれ
独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミ
ノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ
基、ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ
環アミノ基を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。
【0161】一般式(5)においてX,Yで表される置換
基としては、一般式(3)のR11〜R13の置換基について
説明したものと同じものが挙げられる。具体的には、ア
ルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル
基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原
子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で置換
したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル基、ア
シルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、アルキ
ルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイ
ル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、
スルホ基(またはその塩)、ヒドロキシ基(またはその
塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、
アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アル
キルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シリル
基等が挙げられる。
【0162】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。
【0163】一般式(5)においてX,Yで表される置換
基は、好ましくは総炭素数1から40の、より好ましく
は総炭素数1から30の基であり、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロア
ルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシ
ルアミノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環
基、アルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基
等が挙げられる。
【0164】一般式(5)においてX,Yは、より好まし
くはシアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カ
ルバモイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、
アシルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、ト
リフルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフ
ェニル基等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、
アシルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または
任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0165】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。
【0166】一般式(5)においてA,Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。
【0167】一般式(5)においてA,Bで表される基
は、好ましくは総炭素数1から40の、より好ましくは
総炭素数1から30の基であり、さらに置換基を有して
いてもよい。
【0168】一般式(5)においてA,Bは、これらが互
いに結合して環状構造を形成している場合がより好まし
い。この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香
族のヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さ
らには3〜30が好ましい。この場合に、A,Bが連結
した例(−A−B−)を挙げれば、例えば−O−(C
22−O−,−O−(CH23−O−,−S−(CH
22−S−,−S−(CH23−S−,−S−ph−S
−,−N(CH3)−(CH22−O−,−N(CH3
−(CH22−S−,−O−(CH22−S−,−O−
(CH23−S−,−N(CH3)−ph−O−,−N
(CH3)−ph−S−,−N(ph)−(CH22
S−等である。
【0169】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸
着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基とし
ては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、
チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基な
どの米国特許第4,385,108号、同4,459,
347号、特開昭59−195233号、同59−20
0231号、同59−201045号、同59−201
046号、同59−201047号、同59−2010
48号、同59−201049号、特開昭61−170
733号、同61−270744号、同62−948
号、同63−234244号、同63−234245
号、同63−234246号に記載された基が挙げられ
る。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサ
ー化されていてもよい。その様なプレカーサーとして
は、特開平2−285344号に記載された基が挙げら
れる。
【0170】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、その中にカプラー等の不動性写真
用添加剤において常用されているバラスト基またはポリ
マーが組み込まれているものでもよい。特にバラスト基
が組み込まれているものは本発明の好ましい例の1つで
ある。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真性に
対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル基、ア
ラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルフェ
ニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基などの中
から選ぶことができる。またポリマーとしては、例えば
特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
【0171】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、その中にカチオン性基(具体的に
は、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された
窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ
基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、
あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ
基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイル
スルファモイル基等)が含まれていてもよい。特にエチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単
位を含む基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘ
テロ環)チオ基が含まれているものは、本発明の好まし
い例の1つである。これらの基の具体例としては、例え
ば特開平7ー234471号、特開平5−333466
号、特開平6−19032号、特開平6−19031
号、特開平5−45761号、米国特許4994365
号、米国特許4988604号、特開平3−25924
0号、特開平7−5610号、特開平7−244348
号、独国特許4006032号等に記載の化合物が挙げ
られる。
【0172】次に本発明に用いられる一般式(3)〜一般
式(5)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただ
し、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0173】
【化14】
【0174】
【化15】
【0175】
【化16】
【0176】
【化17】
【0177】
【化18】
【0178】
【化19】
【0179】
【化20】
【0180】
【化21】
【0181】
【化22】
【0182】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えば
アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノー
ル、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチ
ルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いるこ
とができる。
【0183】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、本発明の一般式(3)〜一
般式(5)で表される化合物の粉末を水等の適当な溶媒中
にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって
分散し用いることができる。
【0184】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、支持体に対して感光性層側の層、
即ち感光性層あるいは他のどの層に添加してもよいが、
感光性層あるいはそれに隣接する層に添加することが好
ましい。
【0185】本発明の一般式(3)〜一般式(5)で表される
化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モル
が好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好まし
く、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0186】一般式(3)〜一般式(5)で表される化合物は
公知の方法により容易に合成することができるが、例え
ば、米国特許5545515号、米国特許563533
9号、米国特許5654130号、国際特許WO−97
/34196号、あるいは特願平9−354107号、
特願平9―309813号、特願平9―272002号
に記載の方法を参考に合成することができる。
【0187】本発明に用いられる一般式(3)〜一般式(5)
で表される化合物は、1種のみ用いても、2種以上を併
用しても良い。また上記のものの他に、米国特許554
5515号、米国特許5635339号、米国特許56
54130号、国際特許WO−97/34196号、米
国特許5686228号に記載の化合物、あるいはまた
特願平8―279962号、特願平9―228881
号、特願平9―273935号、特願平9−35410
7号、特願平9―309813号、特願平9―2961
74号、特願平9―282564号、特願平9―272
002号、特願平9―272003号、特願平9―33
2388号に記載された化合物を併用して用いても良
い。
【0188】さらに本発明においては、特願平9―16
6628号、特願平8―279957号、特願平9―2
40511号に記載のヒドラジン誘導体を組み合わせて
用いることもできる。さらには下記のヒドラジン誘導体
を組み合わせて用いることもできる。即ち、特公平6−
77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具
体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−
93082号に記載の一般式(I)で表される化合物
で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の
化合物。特開平6−230497号に記載の一般式
(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化
合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合
物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化
合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の
化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520
号に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される
化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物
1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−31
3936号に記載の(化2)および(化3)で表される
化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合
物。特開平6−313951号に記載の(化1)で表さ
れる化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化
合物。特開平7−5610号に記載の一般式(I)で表
される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載
の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号に
記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同
公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−10
2。特開平7−104426号に記載の一般式(H)お
よび一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同
公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。欧
州特許713131A号に記載の、ヒドラジン基の近傍
にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水
素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とす
る化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式
(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で
表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N
−1〜N−30。欧州特許713131A号に記載の一
般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記
載の化合物D−1〜D−55。
【0189】さらに1991年3月22日発行の「公知技術(1〜
207頁)」(アズテック社刊)の25頁から34頁に記載の
種々のヒドラジン誘導体。特開昭62−86354号
(6頁〜7頁)の化合物D−2およびD−39。
【0190】これらヒドラジン誘導体は、水または適当
な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノ
ール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに
溶解して用いることができる。
【0191】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を
水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。
【0192】これらヒドラジン誘導体は、支持体に対し
て感光性層側の層、即ち感光性層あるいは他のどの層に
添加してもよいが、感光性層あるいはそれに隣接する層
に添加することが好ましい。
【0193】これらヒドラジン誘導体の添加量は銀1モ
ルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5
5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10
-1モルが最も好ましい。
【0194】また、本発明は硬調画像形成のために、前
記の硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することがで
きる。例えば、米国特許第5,545,505号に記載のアミン
化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,507に記
載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-1〜HA-11、
同5,545,507に記載のアクリロニトリル類、具体的には
CN-1〜CN-13、同5,558,983に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA-1〜CA-6、日本特許特願平8-1328
36に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A-42、
B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いることができる。
【0195】前記の硬調化剤、およびこれらの硬調化促
進剤の合成方法、添加方法、添加量等は、それぞれの前
記引用特許に記載されているように行うことができる。
【0196】本発明における増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17
643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメ
ージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することができ
る。
【0197】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI
-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-35の
化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の
化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、特開
昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物および特開
平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物などが有利
に選択される。
【0198】750〜1400nmの波長領域の半導体レーザー
光源に対しては、シアニン、メロシアニン、スチリル、
ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノールおよび
キサンテン色素を含む種々の既知の色素により、スペク
トル的に有利に増感させることができる。有用なシアニ
ン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピ
ロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性
核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染
料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒ
ダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン
核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリ
ノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸
性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニン色素に
おいて、イミノ基またはカルボキシル基を有するものが
特に効果的である。例えば、米国特許3,761,279号、同
3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,201号、
同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号、同6
-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、同6-3011
41号に記載されたような既知の色素から適当に選択して
よい。
【0199】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素) 、カルボン酸
基を有する色素(例としては特開平3-163440号、6-30114
1号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシ
アニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、同
52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-6750
号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381号、
同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国
特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色
素)が挙げられる。
【0200】また、J-bandを形成する色素として米国特
許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5記載の色素、
特開平2-96131号、特開昭59-48753号が開示されてお
り、本発明に好ましく用いることができる。
【0201】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933号、
特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載されてい
る。
【0202】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセロソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロ
パノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ
-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキ
シ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶
媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加しても
よい。
【0203】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、
同44-27555号、同57-22091号等に開示されているよう
に、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添
加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細
書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水
溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加
する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示さ
れているように親水性コロイド中に色素を直接分散さ
せ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-746
24号に開示されているように、レッドシフトさせる化合
物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する
方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用い
ることもできる。
【0204】本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲ
ン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であるこ
とが認められている乳剤調製のいかなる工程中であって
もよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58-184142号、
同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハ
ロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時
期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開
始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示
されているように、化学熟成の直前または工程中の時
期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前
ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。
また、米国特許4,225,666号、特開昭58-7629号等の明
細書に開示されているように、同一化合物を単独で、ま
たは異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成
工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分け
たり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるな
どして分割して添加してもよく、分割して添加する化合
物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加しても
よい。
【0205】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ま
しく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0206】前述の成分に加えて、画像を向上させる
「色調剤」として知られる添加剤を含むと有利になるこ
とがある。例えば、色調剤材料は全銀保持成分の0.1〜1
0重量%の量で存在してよい。色調剤は、米国特許第3,08
0,254号、同第3,847,612号および同第4,123,282号に示
されるように、写真技術において周知の材料である。
【0207】色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒド
ロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-
オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリ
ン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび
2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタル
イミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);
コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオ
ロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,
4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5--ジフェ
ニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,
4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミ
ノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N
-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメ
チルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミ
ド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウ
ム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサ
メチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾー
ル)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルス
ルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5
[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチ
リデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジ
ノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1
-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-
ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタ
ラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘
導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、
または4-(1-ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジ
ン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタ
ラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体(例
えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸
およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キ
ナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサ
ジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロ
ゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能
するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)
酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘ
キサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化
物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウム
および過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオ
ン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンおよ
び6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなどのベ
ンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不斉-ト
リアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒ
ドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシル、お
よびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-ジメル
カプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペ
ンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6-ジメ
ルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン)など
がある。
【0208】本発明におけるハロゲン化銀乳剤または/
および有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保
護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化
することができる。単独または組合せて使用することが
できる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体
は、米国特許第2,131,038号および同第2,694,716号に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同
第2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,72
8,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載
のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホ
カテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、
ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号お
よび同第2,597,915号に記載のパラジウム、白金および
金塩、米国特許第4,108,665号および同第4,442,202号に
記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557
号および同第4,137,079号、第4,138,365号および同第4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,41
1,985号に記載のリン化合物などがある。
【0209】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、米国特許第5340712号、同53
69000号、同5464737号に開示されているような化合物が
挙げられる。
【0210】本発明のカブリ防止剤は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0211】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが
有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、
酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀
の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましく
は10-9モル〜10-3モル、さらに好ましくは10-8
ル〜10-4モルの範囲である。
【0212】本発明における熱現像写真感光材料は高感
度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても
良い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体で
もよいが、好ましい構造の例としては、米国特許4,784,
939号、同4,152,160号、特願平8-151242号、同8-151241
号、同8-98051号などに記載の化合物が挙げられる。本
発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加して
も良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添
加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加すること
がさらに好ましい。本発明の安息香酸類の添加時期とし
ては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀
塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調
製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布
直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添加法としては
粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても
良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物
と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安息香
酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル
当たり10-6モル以上2モル以下が好ましく、10-3
ル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0213】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。
【0214】本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM0、Ar-S-S-A
rで表されるものが好ましい。式中、M0は水素原子また
はアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオ
ウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する
芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、これ
らの基中の複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4
個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)
からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカ
プトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾ
ール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5
-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプト
ベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-ベンゾチアゾー
ル、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニ
ル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾー
ル、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メ
ルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト
-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリ
ンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオー
ル、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモ
ノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジア
ゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、
4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト
ピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2
-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メ
ルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル
-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾ
ール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-
{3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル}ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる
が、本発明はこれらに限定されない。
【0215】これらのメルカプト化合物の添加量として
は乳剤層(感光性層)中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モ
ルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当
たり0.001〜0.3モルの量である。
【0216】本発明における感光性層には、可塑剤およ
び潤滑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,9
60,404号に記載された種類のグリセリンおよびジオー
ル)、米国特許第2,588,765号および同第3,121,060号に
記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号に
記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0217】本発明における感光性層のバインダーとし
ては、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、
ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリ
ド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポ
リオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアク
リロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを
選択することができる。当然ながら、コポリマーおよび
ターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビ
ニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレ
ートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、
ポリスチレンおよびブタジエン-スチレンコポリマーで
ある。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそ
れ以上組合せて使用することができる。そのようなポリ
マーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用さ
れる。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的
な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に
決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する
場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、1
5:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0218】また、本発明の感光性層のうち少なくとも
1層は前述のポリマーラテックスを全バインダーの50wt
%以上として用いた感光性層であっても良い。
【0219】本発明の熱現像写真感光材料は感光性層の
付着防止などの目的で表面保護層を設けることができ
る。
【0220】本発明の表面保護層のバインダーとしては
いかなるポリマーでもよいが、カルボン酸残基を有する
ポリマーを100mg/m2以上5g/m2以下含むことが好まし
い。ここでいうカルボキシル残基を有するポリマーとし
ては天然高分子(ゼラチン、アルギン酸など)、変性天然
高分子(カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチ
ンなど)、合成高分子(ポリメタクリレート、ポリアクリ
レート、ポリアルキルメタクリレート/アクリレート共
重合体、ポリスチレン/ポリメタクリレート共重合体な
ど)などが挙げられる。こうしたポリマーのカルボキシ
残基の含有量としてはポリマー100g当たり10mmol以上1.
4mol以下であることが好ましい。また、カルボン酸残基
はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機
カチオンなどと塩を形成してもよい。
【0221】本発明の表面保護層としては、いかなる付
着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例として
は、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー
性ブロックコポリマー(例えば、スチレン-ブタジエン-
スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン)、酢酸セル
ロース、セルロースアセテートブチレート、セルロース
プロピオネートやこれらの混合物などがある。また、表
面保護層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための
界面活性剤などを添加してもよい。
【0222】本発明における感光性層または感光性層の
保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,274,782
号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記載され
ているような光吸収物質およびフィルター染料を使用す
ることができる。また、例えば米国特許第3,282,699号
に記載のように染料を媒染することができる。フィルタ
ー染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜3が
好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0223】本発明の感光性層には色調改良、イラジエ
ーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることが
できる。本発明の感光性層に用いる染料および顔料はい
かなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載
の顔料や染料があり、具体的にはピラゾロアゾール染
料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、
オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染
料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、イ
ンドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有
機顔料、無機顔料などが挙げられる。本発明に用いられ
る好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特
開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開平5-165147号記
載の化合物3-6〜18および3-23〜38など)、アゾメチン染
料(特開平5-341441号記載の化合物17〜47など)、インド
アニリン染料(例えば特開平5-289227号記載の化合物11
〜19、特開平5-341441号記載の化合物47、特開平5-1651
47号記載の化合物2-10〜11など)およびアゾ染料(特開平
5-341441号記載の化合物10〜16)が挙げられる。これら
の染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分
散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法
でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によ
って決められるが、一般的に1・当たり1μg以上1g以下
の範囲で用いることが好ましい。
【0224】本発明における熱現像写真感光材料は、支
持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を
含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、い
わゆる片面熱現像写真感光材料である。
【0225】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、こうした染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、
処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層
の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかな
る化合物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示され
ているが本発明はこれに限定されるものではない。単独
の染料としては特開昭59-56458号、特開平2-216140号、
同7-13295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号記
載、特開平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第14
頁左下欄9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同第
16頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料と
しては特開昭52-139136号、同53-132334号、同56-50148
0号、同57-16060号、同57-68831号、同57-101835号、同
59-182436号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公昭
48-33692号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国特
許4,088,497号、同4,283,487号、同4,548,896号、同5,1
87,049号がある。
【0226】本発明において最外層以外のバック層の好
適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であ
り、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマ
ー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチ
ン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキ
シエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロー
スアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カ
ゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメ
タクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル
酸)、コポリ(スチレン-無水マレイン酸)、コポリ(スチ
レン-アクリロニトリル)、コポリ(スチレン-ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニル
ホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エ
ステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ
(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボ
ネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエス
テル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水または
有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0227】本発明における片面熱現像写真感光材料
は、搬送性改良のために感光性乳剤層側、例えば表面保
護層にマット剤を添加しても良く、前述したバック層ま
たはバック層の表面保護層に添加できるマット剤と同様
のものが使用できる。
【0228】本発明においてバック層にマット剤を添加
するのは好ましい態様であり、バック層のマット度とし
てはベック平滑度が1秒以上2000秒以下が好ましく、さ
らに好ましくは10秒以上1000秒以下である。
【0229】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じな
ければいかようでも良いが、ベック平滑度が500秒以上1
0,000秒以下が好ましく、特に500秒以上2,000秒以下が
好ましい。
【0230】本発明の熱現像用写真乳剤は、支持体上に
一またはそれ以上の層の構成成分となる。一層の構成は
有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、な
らびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望に
よる追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀
塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にい
くつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全
ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含
んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写
真感光材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合
せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載
されているように単一層内に全ての成分を含んでいても
よい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤
層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されてい
るように、各乳剤層(感光性層)の間に官能性もしくは
非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区
別されて保持される。
【0231】米国特許第4,460,681号および同第4,374,9
21号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resi
stive heating layer)を本発明のような感光性熱現像写
真画像系に使用することもできる。
【0232】本発明の感光性層、保護層、バック層など
各層には、一部前記したが、硬膜剤を用いても良い。硬
膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開平6-208
193号などに記載されているポリイソシアネート類、米
国特許4,791,042号などに記載されているエポキシ化合
物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルス
ルホン系化合物類などが用いられる。
【0233】本発明には、一部前記したが、塗布性、帯
電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界
面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチ
オン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。
具体的には、特開昭62-170950号、米国特許5,380,644号
などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244
945号、特開昭63-188135号などに記載のフッ素系界面活
性剤、米国特許3,885,965号などに記載のポリシロキ酸
系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアル
キレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げら
れる。
【0234】本発明における熱現像用写真乳剤は、一般
的には種々の支持体上に被覆させることができる。典型
的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエス
テルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィル
ム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロー
スフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニ
ルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムお
よび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、
紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、バライタおよ
び/または部分的にアセチル化されたα-オレフィンポ
リマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα-オレフィン
のポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用
いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよ
いが、透明であることが好ましい。これらのうちでも75
〜200μm程度の2軸延伸したポリエチレンテレフタレー
ト(PET)が特に好ましい。
【0235】一方、プラスチックフィルムを80℃以上の
処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮す
る。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、
この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。
よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に残存する
内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みを
なくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いる
ことが好ましい。例えば、熱現像用写真乳剤を塗布する
前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレ
フタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移点の
高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリ
スチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、
ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用できる。
【0236】本発明における熱現像写真感光材料は、一
部前記したが、帯電防止のため、例えば、可溶性塩(例
えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,8
61,056号および同第3,206,312号に記載のようなイオン
性ポリマーまたは米国特許第3,428,451号に記載のよう
な不溶性無機塩、特開昭60-252349号、同57-104931号に
記載されている酸化スズ微粒子などを含む層を有しても
よい。
【0237】本発明における熱現像写真感光材料を用い
てカラー画像を得る方法としては特開平7-13295号10頁
左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。ま
た、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,
889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,909号、同
第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,337号お
よび同第4,042,394号に例示されている。
【0238】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。
【0239】本発明における熱現像写真感光材料の中に
追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受
容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トッ
プコート層および光熱写真技術において既知のプライマ
ー層などを含むことができる。本発明の感材はその感材
一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の
画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが
好ましい。
【0240】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。まず、実施
例に使用した支持体について記す。
【0241】(支持体の作製) バック面塗布サンプル(BC−A)の作製 塗布液−Aの調製 水分散ラテックスに対して下記の各組成物を添加して塗
布液−Aを調製した。 スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 158g (スチレン:ブタジエン=67:30 固形分40wt% ) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン ナトリウム塩 0.26g 蒸留水 841.7g 上記塗布液−Aを厚さ120μm のポリエチレンテレフ
タレートフィルムの片面に塗布し、180℃で30秒乾
燥して、0.3μm の第一層を形成した。
【0242】塗布液−Bの調製 ゼラチン 15g 化合物C 0.4g 酢酸(20%) 10g 染料A 1.23g メチルセルロース(2%水溶液) 23.3g 蒸留水 950g 上記塗布液−Bを上記第一層上に染料濃度が780nmで
0.8になるように塗布し、170℃で30秒乾燥し
て、第二層を形成した。
【0243】 塗布液−Cの調製 ジュリマーET410(20%水分散物) 19.1g (アクリル樹脂水分散液、日本純薬(株)製) FS-10D(17%水分散物) 90.7g SbドープSnO2水分散物(針状微粒子、長軸/短軸:20〜30、長軸:0.2〜2.0μ m 、短軸:0.01〜0.02μm 、石原産業(株)製) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 22.3g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 蒸留水 866.9g 上記塗布液−Cを上記第二層上に塗布し、180℃で3
0秒乾燥して、0.03μm の第三層を形成した。
【0244】 塗布液−Dの調製 ケミパールS−120(27%水分散物) 30g (ポリオレフィン水分散物、三井石油化学(株)製) スノーテックスC(30%水分散物) 20g (コロイダルシリカ水分散物、日産化学(株)製) ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 1g デナコールEX614B(1%水溶液) 30g (エポキシ化合物、ナガセ化成工業(株)製) 蒸留水 919g 上記塗布液−Dを上記第三層上に塗布し、170℃で3
0秒乾燥して、0.03μm の第四層を形成し、バック
塗布面サンプル(BC−A)を作製した。
【0245】 バック面塗布サンプル(BC−B)の作製 塗布液−Eの調製 ジュリマーET410(30%水分散物) 32.9g ゼラチン 6.3g 化合物C 0.02g FS-10D(17%水分散物) 181.4g SbドープSnO2水分散物(針状微粒子、長軸/短軸:20〜30、長軸:0.2〜2.0μ m 、短軸:0.01〜0.02μm 、石原産業(株)製) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 22g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 染料A 2.1g マット剤:平均粒子径4〜5μm のポリメチルメタクリレート 0.73g 蒸留水 735.6g 上記塗布液−Eを厚さ120μm のポリエチレンテレフ
タレートフィルムの片面に780nmでの吸光度が0.8
になるように塗布し、180℃で30秒乾燥して、第一
層を形成した。
【0246】 塗布液−Fの調製 ケミパールS-120(27%水分散物) 90g (ポリオレフィン水分散物、三井石油化学(株)製) スノーテックスC(30%水分散物) 60g (コロイダルシリカ水分散物、日産化学(株)製) ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 3g デナコールEX614B(1%水溶液) 90g (エポキシ化合物、ナガセ化成工業(株)製) 蒸留水 757g 上記塗布液−Fを上記第一層上に塗布し、170℃で3
0秒乾燥して、0.20μm の第二層を形成し、バック
面塗布サンプル(BC−B)を作製した。
【0247】 乳剤層側下塗り層の作製 塗布液−Gの調製 スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 152g (スチレン:ブタジエン=67:30 固形分40wt% ) ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm ) 0.1g 蒸留水 847.9g 上記塗布液−Gをバック面塗布サンプル(BC−Aもし
くはBC−B)の塗布面と反対側に塗布し、180℃で
30秒乾燥して、0.3μm の下塗り第一層を形成し
た。
【0248】 塗布液−Hの調製 ゼラチン 15g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物C 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 23.3g 蒸留水 951.3g 上記塗布液−Hを上記下塗り第一層上に塗布し、170
℃で30秒乾燥して、0.15μm の下塗り第二層を形
成したサンプル(Base-A:BC-Aから作製、Base-A:BC-Bか
ら作製)を作製した。
【0249】また、バック面塗布サンプル(BC−B)
と同様な方法で染料添加量のみ半分にして、780nmで
の吸光度が0.4になるように塗布したバック面塗布サ
ンプル(BC−C)を作製し、塗布面と反対側に塗布液
−Gを塗布し、180°で30秒乾燥して、0.3μm
の下塗り第一層を形成した。
【0250】さらに、下塗り第二層として、塗布液−B
の染料添加量のみ半分にして、780nmでの吸光度が単
独で0.4になるように塗布し、180℃で30秒乾燥
して、下塗り第二層を形成したサンプル(Base-C)(全染
料濃度0.8)を作製した。
【0251】このように作製したバック面、下塗り面を
塗布したサンプル(Base-A、Base-B、Base-C)を、20
0℃に設定した全長200mの熱処理ゾーンに入れ、張
力3kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。その後で、
40℃のゾーンに15秒間通し、10kg/cm2の巻き取り
張力で巻き取り、サンプル(Base-HA、Base-HB、Base-H
C)とした。
【0252】比較のためサンプル(Base-HA、Base-HB、
Base-HC)の作製に使用した、染料Aに代えて、水溶性
染料Bを60mg/m2の量で使用した以外は、同様の手順
で、サンプル(Base-JA、Base-JB、Base-JC)をそれぞ
れ作製した。また、サンプル(Base-HA)の作製に使用し
た、染料Aに代えて、本発明の染料3、4、57a、5
5aおよび比較染料E、Fを使用した以外は、同様の手
順で、サンプル(Base-HD、HE、HF、JE、JF)をそれぞ
れ作製した。なお、塩になっていない染料は、等モルの
トリエチルアミンを使用して溶液にしてサンプル作製に
供した。
【0253】両面が塩化ビニリデンを含む防湿下塗りか
らなるポリエチレンテレフタレートフィルム上の片面
に、下記のバック面塗布液を湿潤厚さ80μm となるよ
うに塗布しBase-JDとした。
【0254】 (比較サンプルバック面塗布液の調製) (バック層) ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4000-2) 7.5g CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製、酢酸酪酸セルロース イソプロピルアルコール 150ml 染料D 塗布量として80mg/m2 (2%のアセトン溶液で添加した。場合によってジメチルホルムアミド併用)
【0255】
【化23】
【0256】
【化24】
【0257】
【化25】
【0258】(λmaxの評価方法) (1)膜吸収の測定 前述の表1記載の各支持体を1cm巾に裁断し、分光光度
計(U-3410、日立製作所製)にて、1100nm〜350
nmの範囲で測定を行いλmaxを求めた。
【0259】(2)DMF溶液吸収の測定 前述の表1記載の各支持体に使用した染料を、5mg/lの
濃度のDMF溶液にし、石英セルにて1100nm〜35
0nmの範囲で測定を行いλmax(DMF)を求めた。
得られた結果を、表1に示す。
【0260】
【表1】
【0261】実施例1 (ハロゲン化銀粒子Aの調製)水650mlにフタル化ゼ
ラチン11g、臭化カリウム30mgおよびベンゼンチオ
スルホン酸ナトリウム10mgを溶解して、温度55℃に
てpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む
水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットルで含
む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダ
ブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。次い
で、硝酸銀55.5g を含む水溶液476mlと臭化カリ
ウムを1モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液をpA
g7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法
で28分30秒かけて添加した。その後pHを下げて凝
集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.17g 、脱
イオンゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以
下)23.7g を加え、pH5.9、pAg8.0に調
整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm 、
投影面積変動係数8%、(100)面比率93%の立方
体粒子であった。
【0262】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に
昇温して、銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナト
リウム76μモルを添加し、3分後にチオ硫酸ナトリウ
ム154μモルを添加して、100分熟成した。
【0263】その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化
銀1モルに対して6.4×10-4モルの増感色素A、
6.4×10-3モルの化合物Bを撹拌しながら添加し、
20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製
を終了した。
【0264】
【化26】
【0265】(有機酸銀分散物の調製) <有機酸銀A>アラキン酸4.4g 、ベヘン酸39.4
g 、蒸留水770mlを85℃で攪拌しながら、1N−N
aOH水溶液103mlを60分かけて添加して240分
反応させ、75℃に降温した。次いで、硝酸銀19.2
g の水溶液112.5mlを45秒かけて添加し、そのま
ま20分間放置し、30℃に降温した。その後、吸引濾
過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS
/cmになるまで水洗した。
【0266】こうして得られた固形分は、乾燥させない
でウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分100g
相当のウェットケーキに対し、ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製;PVA−205)5g および水を添
加し、全体量を500g としてからホモミキサーにて予
備分散した。
【0267】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−11OS−EH、マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)
の圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機
酸銀分散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含
まれる有機酸銀粒子は平均短径0.04μm 、平均長径
0.8μm 、変動係数30%の針状粒子であった。粒子
サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製Master S
izer Xにて行った。冷却操作は、蛇管式熱交換器をイン
タラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温
度を調節することで所望の分散温度に設定した。
【0268】(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサ
ンの固体微粒子分散物の調製)1,1−ビス(2−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト
リメチルヘキサン20g に対してクラレ(株)製MPポ
リマーのMP−203を3.0g と水77ml添加して良
く撹拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、
0.5 mmのジルコニアビーズを360gを用意してスラリ
ーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグ
ラインダーミル:アイメックス(株)製)にて3時間分
散し、還元剤固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、
粒子の80wt% が0.3μm 以上1.0μm 以下であっ
た。
【0269】(トリブロモメチルフェニルスルホンの固
体微粒子分散物の調製)トリブロモメチルフェニルスル
ホン30g に対してヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス0.5g、化合物C0.5g と水88.5gを添加して
良く攪拌してスラリーとして3時間放置した。その後、
還元剤固体微粒子分散物の調製と同様にしてカブリ防止
剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は粒子の80
wt% が0.3μm 以上1.0μm 以下であった。
【0270】(乳剤層塗布液の調製)上記で調製した有
機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバイン
ダー、素材およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、乳剤層塗布液とした。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 470g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト リメチルヘキサン 固形分として 110g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 25g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製MP−203) 46g 6−iso−ブチルフタラジン 0.12モル N−(2−メトキシフェニル)−N’−ホルミルヒドラジン 1.85g ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル
【0271】(乳剤面保護層塗布液の調製)固形分2
7.5%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート
/スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートメタアクリル酸=59/
9/26/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)
109g にH2O3.75g を加え、造膜助剤としてベ
ンジルアルコール4.5g 、化合物D0.45g 、化合
物E0.125g 、化合物F0.0125モル、および
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−21
7)2.25g を加え、さらにH20を加えて、150g
とし、塗布液とした。
【0272】
【化27】
【0273】(熱現像写真感光材料の作製)前述した、
バック面、下塗り面を塗布したサンプル(Base-HA、Bas
e-HB、Base-HC)を、それぞれ支持体にして、乳剤層塗
布液Aを塗布銀量が1.6g/m2になるように塗布した。
さらにその上に、乳剤面保護層塗布液Aを、ポリマーラ
テックスの固形分の塗布量が2.0g/m2になるように塗
布して、熱現像写真感光材料の試料No.101〜103
を作製した。また、(支持体の作製)で使用した塗布液
−Bを染料Aの塗布量が7.5g/m2となるよう乳剤層塗
布液に混合した以外は、熱現像写真感光材料の試料No.
101〜103と同様にして、熱現像写真感光材料の試
料No.107〜109を作製し、乳剤層のイラジエーシ
ョン防止のための染色を施した試料とした。
【0274】ただし、比較のための試料No.104〜1
06、110、111は、サンプル(Base-JA、Base-J
B、Base-JC、Base-JE、Base-JF)をそれぞれ支持体に使
用した。
【0275】
【表2】
【0276】(写真性能の評価)上記の試料を780nm
にピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッ
ジを通して発光時間10-6sec のキセノンフラッシュ光
で露光し後、サンプルをヒートドラムを使用して115℃
で25秒間処理(現像)し、得られた画像の露光量に対す
る濃度を濃度計により測定した。測定の結果は、Dmax、
階調γ(特性曲線で濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾
き)で評価した。結果を表3に示す。
【0277】(網点のキレ(画質)の評価)上記の試料
を780nmのレーザー光を使用して、100線にて50%の
平網を塗布感材に出力し、前記の処理条件で現像処理を
行い、100倍のルーペで網点のキレを目視評価した。
評価は、画質(良)5〜1(悪)の5点法で行った。実
用的には3点以上が必要である。結果を表3に示す。
【0278】(最低濃度部の残色の評価)画像が得られ
た試料の最低濃度部を、3枚重ねて、目視により評価し
た。実用上問題ないものをものを「可」と評価した。そ
れ以外のもの、例えば青みや緑みを帯びた最低濃度部
は、「不可」と評価した。結果を表3に示す。
【0279】
【表3】
【0280】(結果)本発明の染料をバック層に使用し
た試料は、残色が少なく、優れた画質の熱現像写真感光
材料であることがわかる。特に乳剤層側も染色した試料
No.107〜109は、画質の点で非常に優れる。ま
た、Dmaxも十分高いものであった。
【0281】一方、比較のため水溶性染料を支持体に含
有した試料No.104〜106は、残色の点で劣る。ま
た、支持体の乳剤層側が染色されたBase-JCを使用した
試料No.106は、軟調で画質が悪く、残色も優れない
ことが判る。また、露光波長にλmaxを有しないBase
-JE、Base-JFを使用した試料は、ハレーション防止効果
が全くなく、残色も優れないことが判る。
【0282】実施例−2 (ハロゲン化銀粒子Bの調製)水900mlにイナートゼラチ
ン7.5gおよび臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃にて
pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと
臭化カリウムと沃化カリウムとを94:6のモル比で含みK4
〔Fe(CN)6〕を含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコント
ロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。〔Fe
(CN)64-は銀1モルに対して3×10-5モルになるように
添加した。その後4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テ
トラザインデン0.3gを添加し、NaOHでpHを5に調整して
平均サイズ0.06μm投影面積変動係数8%、{100}面比率
87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン
凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタ
ノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整した。
【0283】(有機酸銀乳剤Bの調製)ベヘン酸10.6g、
蒸留水300mlを90℃で15分間混合し、激しく攪拌しなが
ら1N-NaOH水溶液31.1mlを15分かけて添加し、そのまま
1時間放置した後、30℃に降温した。次に、1N-リン酸
水溶液7mlを添加し、より激しく攪拌しながらN-ブロモ
スクシンイミド0.13gを添加した後、あらかじめ調製し
たハロゲン化銀粒子Bをハロゲン化銀量が2.5mモルとな
るように添加した。さらに、1N-硝酸銀水溶液25mlを2分
かけて連続添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。この
水系混合物にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶
液37gを添加して分散物のフロックを形成後、水を取り
除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、ポリビニ
ルブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール
#3000-K)の2.5wt%の酢酸ブチルと2−ブタノン1:2
混合溶液20gを攪拌しながら加えた後、こうして得られ
たゲル状の有機酸、ハロゲン化銀の混合物にポリビニル
ブチラール(電気化学工業(株)製デンカブチラール#4
000-2)7.8g、2−ブタノン57gを添加しホモジナイザー
で分散し、ベヘン酸銀塩乳剤(平均短径0.04μm、平均
長径1μm、変動係数30%の針状粒子)を得た。
【0284】(乳剤層塗布液Bの調製)上記で得た有機
酸銀乳剤Bに銀1モル当たり以下の量となるように25℃
で各薬品を攪拌しながら添加した。 フェニルチオスルホン酸ナトリウム 10mg 増感色素−1 5.5mg 2-メルカプト-5-メチルベンゾイミダゾール 2g 2-メルカプト-5-メチルベンゾチアゾール 1g 4-クロロベンゾフェノン-2-カルボン酸 21.5g 2-ブタノン 580g ジメチルホルムアミド 220g 3時間放置したのち、以下の各薬品を攪拌しながらさら
に添加した。
【0285】 4,6-ジトリクロロメチル-2-フェニルトリアジン 4.5g ジスルフィド化合物A 2g 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル) -3,5,5-トリメチルヘキサン 160g フタラジン 15g テトラクロロフタル酸 5g N-(2-メトキシフェニル)-N'-ホルミルヒドラジン 1.1g メガファックスF-176P (大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)1.1g 2-ブタノン 590g メチルイソブチルケトン 10g 染料C 1.5g (2%のジメチルホルムアミド溶液で添加した。)
【0286】
【化28】
【0287】(乳剤面保護層塗布液Bの調製)以下の各
薬品を常温で溶解・混合したものを調製し、乳剤面保護
層塗布液Bとした。 CAB171-15S(イーストマンケミカル(株)製、酢酸酪酸セルロース)75g 4-メチルフタル酸 5.7g テトラクロロフタル酸無水物 1.5g 2-トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール 10g フタラゾン 2g メガファックスF-176P 0.3g シルデックスH31(洞海化学社製真球状シリカ平均サイズ3μm) 2g sumidur N3500(住友バイエルウレタン社製ポリイソシアネート) 5g 2-ブタノン 3070g 酢酸エチル 30g
【0288】上記のように調製した表4記載の各支持体
上に、乳剤層塗布液を銀が2g/m2となるように塗布した
後、乳剤面上に乳剤面保護層塗布液を乾燥厚さ5μm と
なるように塗布し、試料No.201〜207を得た。
【0289】
【表4】
【0290】(写真性能の評価)(網点のキレの評価)
(最低濃度部の残色の評価) 実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0291】
【表5】
【0292】(結果)本発明の染料をバック層に使用し
た試料は、残色が少なく、優れた画質の熱現像写真感光
材料であることが判る。また、Dmaxも十分高いもの
であった。
【0293】一方、比較のため水溶性染料を支持体に使
用した試料No.204〜206は、残色の点で劣る。ま
た、油溶性のインドレニン染料を支持体に使用した試料
No.207も、残色の点で劣ることが判る。
【0294】実施例−3 実施例−1で使用した硬調化剤N−(2−メトキシフェ
ニル)−N’−ホルミルヒドラジン1.85g に代え
て、本発明の化合物C−42を5.25g 使用した以外
は、実施例1と同様に熱現像写真感光材料を作製し評価
した。
【0295】(結果)本発明の染料をバック層に使用し
た試料は、実施例1同様、残色が少なく、優れた画質の
熱現像写真感光材料であった。
【0296】一方、比較のため水溶性染料を支持体に含
有した試料は、残色の点で劣る。また、支持体の乳剤層
側が染色されたBase-JCを使用した試料は、軟調で画質
が悪く、残色も優れなかった。
【0297】実施例−4 実施例−2で使用した硬調化剤N−(2−メトキシフェ
ニル)−N’−ホルミルヒドラジン1.1g に代えて、
本発明の化合物C−42を3.1g 使用した以外は、実
施例2と同様に熱現像写真感光材料を作製し評価した。
【0298】(結果)本発明の染料をバック層に使用し
た試料は、実施例2同様、残色が少なく、優れた画質の
熱現像写真感光材料であった。
【0299】一方、比較のため水溶性染料を支持体に使
用した試料、および、油溶性のインドレニン染料を支持
体に使用した試料は、残色の点で劣ることがわかった。
【0300】
【発明の効果】本発明によれば、残色が少なく、解像性
に優れた画像が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀お
    よび還元剤を含有する感光性層を有する熱現像写真感光
    材料において、 前記支持体の前記感光性層が設けられた面とは反対の面
    に、少なくとも1層のバック層を設け、 前記バック層の最外層のバインダーの50重量%以上と
    してポリマーラテックスを用いており、 前記バック層が、下記一般式(I)で表され、かつ層中
    での最大吸収波長λmax(nm)が下記式(II)の関係を満
    足する染料を含有することを特徴とする熱現像写真感光
    材料。 【化1】 [一般式(I)式中、 R1、R2、R3およびR4は、各
    々水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表
    し、 X1およびX2は、各々酸素原子または硫黄原子を
    表す。L1,L2およびL3は各々メチン基を表す。 nは
    0、1、2または3である。M+は水素原子または無機
    もしくは有機のカチオンを表す。ただし、R1、R2、R
    3、R4、L1,L2およびL3はイオン化し得るプロトン
    を有する基またはその塩をもたないものとする。また、
    n=2の場合、L1、L2およびL3のうち少なくとも1
    つは置換基を有する。] 式(II) λmax>[λmax(DMF)+20×(n+1)] [式(II)中、λmax(DMF)は、ジメチルホルム
    アミド溶液中における染料の最大吸収波長(nm)を示
    し、nは一般式(I)で定義したnと同義である。]
  2. 【請求項2】 前記バック層の最外層のバインダーの7
    0重量%以上としてポリマーラテックスを用いている請
    求項1に記載の熱現像写真感光材料。
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