JP2000298326A - 熱現像画像記録材料 - Google Patents

熱現像画像記録材料

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JP2000298326A
JP2000298326A JP11042563A JP4256399A JP2000298326A JP 2000298326 A JP2000298326 A JP 2000298326A JP 11042563 A JP11042563 A JP 11042563A JP 4256399 A JP4256399 A JP 4256399A JP 2000298326 A JP2000298326 A JP 2000298326A
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silver
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English (en)
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Yutaka Tamura
裕 田村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた写真性能が得られ、熱現像処理適性が
良好な熱現像画像記録材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
銀および還元剤を含む少なくとも1層の画像形成層と、
該画像形成層上に設けられた少なくとも1層の保護層と
を有する熱現像画像記録材料において、比重が0.9〜
1.1のマット剤を含有することを特徴とする熱現像画
像記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱現像画像記録材
料に関し、特に写真製版用に用いられ、さらに詳しく
は、高コントラストの写真特性を有し、熱現像処理適性
あるいは熱現像処理後の取扱い性が良好である熱現像画
像記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が注目されている。近年写真製版分野において環境保
全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれ
ている。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー
・イメージセッターにより効率的に露光させることがで
き、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形
成することができる写真製版用途の感光性熱現像材料が
必要とされている。このような感光性熱現像材料を用い
れば、溶液系処理化学薬品を使用せずに、より簡単で環
境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給
することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号、およびD.
モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
「熱によって処理される銀システム(Thermally Proces
sed Silver Systems)A」(イメージング・プロセッシ
ーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and M
aterials) Neblette第8版、スタージ(Sturge)、V.
ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)
編集、第2頁、1969年)に記載されている。これらに記
載される感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例え
ば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化
銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリッ
クス中に分散した状態で含有するものである。感光材料
は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以
上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として
機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を
生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触
媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀
塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これ
は非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0004】従来からこの種の熱現像感光材料は多数知
られているが、その多くはトルエン、メチルエチルケト
ン、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗
布することにより熱現像画像形成層を形成したものであ
る。有機溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での
人体への悪影響、地球温暖化の原因となる有機系ガスの
排出の問題があり、さらに溶剤回収、防爆施設の必要な
どコストの面でも不利である。
【0005】このような問題は塗布溶媒に水を用いるこ
とで解決できる(以降塗布溶媒に水を用いた塗布方式を
「水系塗布」と表す)。例えば特開昭49-52626号、特開
昭53-116144号などにゼラチンバインダーを用いた例が
記載されている。また、特開昭50-151138号にはポリビ
ニルアルコールをバインダーとする例が記載されてい
る。しかし、このような水溶性バインダーを用いると、
熱現像時にバインダーの脱水収縮と熱膨張が同時に起こ
る。このときの熱膨張率が支持体と異なるために、フィ
ルムにシワが発生し、重ね合わせて使用するカラー印刷
には不適切なフィルムしか得られない。
【0006】この問題は、ポリマーラテックスを用いる
ことで解決できる。例えばWO97-4355号、特開平8-13704
5号などにバインダーとしてポリマーラテックスを用い
て水系塗布により熱現像画像形成材料を作成する方法が
記載されている。しかしながら、写真性能を損なわずに
均一に画像形成層および保護層を形成するためには、M
FT(最低造膜温度)の低いポリマーラテックスの塗布
液を用いる必要がある。そのためには、Tg(ガラス転
移温度)の低いポリマーラテックスおよび/または造膜
助剤を用いて、最適なMFTで塗布膜を形成させること
を行っている。しかし、MFTを下げることは塗布乾燥
後の塗膜を軟膜化し、熱現像処理時に熱現像機部材
(例、搬送ローラー、ガイド板など)と接着して搬送不
良を起こしたり、擦り傷がつき易いなどの問題を起こし
易い。また、このようなポリマーラテックスを使用した
塗布液及び有機溶剤を使用した塗布液は、通常粘度が低
いレベルにあり、マット剤等の分散粒子を混合した場合
に沈降が起こり易くなる。分散粒子の沈降が著しい場合
には画質の低下及び搬送不良等の取扱い性を損なうこと
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来技術の問題を解決することを課題とした。すなわち本
発明は、写真製版用、特にスキャナー、イメージセッタ
ー用として、高コントラストで、カブリが低い写真特性
が得られ、かつ熱現像処理適性、熱現像後の搬送特性に
優れた熱現像画像記録材料を提供することを解決すべき
課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決することを目的として、特に熱現像画像記録材料に
おいて使用するマット剤につき詳細に検討した結果、特
定のマット剤を使用することによって上記課題が解決さ
れることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明によれば、支持体上に有機銀
塩、感光性ハロゲン化銀および還元剤を含む少なくとも
1層の画像形成層と、この画像形成層上に設けられた少
なくとも1層の保護層とを有する熱現像画像記録材料に
おいて、(1)比重が0.9〜1.1のマット剤、
(2)架橋された化合物からなるマット剤、(3)高分
子分散剤で分散されているマット剤の少なくとも1種を
含有することを特徴とする熱現像画像記録材料が提供さ
れる。本発明の熱現像画像記録材料に使用しうるマット
剤としては、ポリマー粒子からなるものを好ましく使用
することができる。また、画像形成層か保護層の少なく
とも一方にはポリマーラテックスが含まれているのが好
ましい。
【0010】また、本発明の熱現像画像記録材料の画像
形成層には、下記一般式(1)〜(3)で表される化合
物およびヒドラジン誘導体からなる群から選択される少
なくとも1種の造核剤が含まれているのが好ましい。
【化2】 [一般式(1)において、R1、R2およびR3は、それぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
基またはシリル基を表す。一般式(1)においてR 1
Z、R2とR3、R1とR2、およびR3とZは、それぞれ
互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式
(2)においてR4は、置換基を表す。一般式(3)におい
て、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子または置換
基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシ基、
アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ
基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、
ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式
(3)においてXとY、およびAとBは、それぞれ互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。]
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の特徴の一つは、(1)比重が0.9〜1.1の
マット剤、(2)架橋された化合物からなるマット剤、
(3)高分子分散剤で分散されているマット剤の少なく
とも1種を使用することにある。これらのマット剤を使
用すれば、水溶液中の沈降安定性が著しく改良され、熱
現像画像記録材料製造時の製造安定性が改善すると同時
に熱現像画像記録材料の取扱い性も向上する。 本発明
の一つの態様においては、比重が0.9〜1.1のマッ
ト剤を使用する。マット剤の比重は好ましくは0.91
〜1.09であり、更に好ましくは0.92〜1.08
である。本発明の一つの態様ににおいては、架橋された
化合物からなるマット剤が使用される。架橋された化合
物からなるマット剤を使用することによって熱現像画像
記録材料を取扱う時のランニング適性が向上する。架橋
基を含むモノマー単位は1〜50%であることが好まし
く、より好ましくは3〜40%であり、更にに好ましく
は5〜30%である。
【0012】本発明の一つの態様においては、マット剤
は高分子分散剤に分散してから使用してもよい。本発明
で使用される高分子分散剤の種類は特に限定されない
が、好ましくは水溶性高分子である。高分子分散剤の具
体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポ
リビニルアルコール、末端変性ポリビニルアルコール、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリ
ドン、ポリアクリルアミド、セルロース、ヒドロキシメ
チルセルロース、デキストラン、カラギーナン、ゼラチ
ン等を挙げることができる。この中でポリビニルアルコ
ール、変性ポリビニルアルコール、末端変性ポリビニル
アルコールが好ましく、ポリビニルアルコールが更に好
ましい。
【0013】本発明で使用されるマット剤は、一般に水
に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マッ
ト剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第
1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,26
2,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書
に記載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241
号、同3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、
同3,769,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など
当業界で良く知られたものを用いることができる。
【0014】マット剤として用いることができる有機化
合物としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメ
チルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリア
クリロニトリル、アクリロニトリル-α-メチルスチレン
共重合体、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン
共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボ
ネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース
誘導体の例としてメチルセルロース、セルロースアセテ
ート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉
誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフ
ェニル澱粉、尿素-ホルムアルデヒド-澱粉反応物など、
公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート
硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど
を好ましく用いることができる。
【0015】無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸
化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫
酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩
化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用
いることができる。上記のマット剤には必要に応じて異
なる種類の物質を混合して用いることができる。マット
剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のもの
を用いることができる。本発明の実施に際しては0.1μm
〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。より好ま
しくは0.3μm〜20μm、更に好ましくは0.5〜10μmであ
る。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良
い。一方、マット剤は塗膜のヘイズ、表面光沢に大きく
影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマッ
ト剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に
応じた状態にすることが好ましい。
【0016】以下に本発明において好ましく使用される
マット剤の例を示すが、本発明は以下の化合物に限定さ
れるものではない。 M−1 ポリエチレン粒子 比重0.90(フロービーズ
LE−1080 住友精化(株)製) M−2 ポリエチレン粒子 比重0.93(フロービーズ
EAー209 住友精化(株)製) M−3 ポリエチレン粒子 比重0.96(フロービーズ
HE−3040 住友精化(株)製) M−4 シリコーン粒子 比重0.97 M−5 シリコーン粒子 比重1.00(E701 東レ
ダウシリコーン(株)製) M−6 シリコーン粒子 比重1.03 M−7 ポリスチレン粒子 比重1.05(SB−6 積
水化成品工業(株)製) M−8 ポリ(St/MAA=97/3)共重合体粒子
比重1.05 M−9 ポリ(St/MAA=90/10)共重合体粒子
比重1.06 M−10 ポリ(St/MMA/MAA=50/40/10)共重
合体粒子 比重1.09 M−11 架橋ポリエチレン粒子 比重0.92 M−12 架橋ポリエチレン粒子 比重0.95 M−13 架橋ポリエチレン粒子 比重0.98 M−14 架橋シリコーン粒子 比重0.99 M−15 架橋シリコーン粒子 比重1.02 M−16 架橋シリコーン粒子 比重1.04 M−17 ポリ(St/DVB=90/10)粒子 比重1.06
(SX−713 綜研化学(株)製) M−18 ポリ(St/DVB=80/20)粒子 比重1.06
(SX−713 綜研化学(株)製) M−19 ポリ(St/DVB=70/30)粒子 比重1.07
(SX−713 綜研化学(株)製) M−20 ポリ(St/MAA/DVB=87/3/10)共重
合体粒子 比重1.06(SX−713α 綜研化学(株)
製) M−21 ポリ(St/MAA/DVB=80/10/10)共
重合体粒子 比重1.07(SX−713α 綜研化学
(株)製) M−22 ポリ(St/MMA/MAA/DVB=40/40
/10/10)共重合体粒子比重1.10
【0017】MB−1〜MB−22 M−1〜M−22
を各々ポリビニルアルコール6wt添加して水分散した粒
子 MB−23〜MB−44 M−1〜M−22を各々部分
鹸化(鹸化度90%)ポリビニルアルコール6wt添加し
て水分散した粒子 MB−45〜MB−66 M−1〜M−22を各々末端
変性ポリビニルアルコール6wt添加して水分散した粒子 MB−67 M−18をカラギーナン1wt添加して水分
散した粒子 MB−68 M−18をポリビニルアルコール6wtとア
ニオン系界面活性剤0.1wt%添加して水分散した粒子 MB−69 M−18をポリビニルアルコール6wtと含
フッ素アニオン系界面活性剤0.1wt%添加して水分散した
粒子 MB−70 M−18をポリビニルアルコール6wtとカ
ラギーナン5wt%と含フッ素アニオン系界面活性剤0.1wt%
添加して水分散した粒子
【0018】本発明の熱現像画像記録材料には、上記
(1)〜(3)のいずれかのマット剤が含まれているこ
とが必要であるが、マット剤が含まれている層は特に制
限されない。例えば、画像形成層、該画像形成層の上に
形成される保護層、バック層、該バック層の上に形成さ
れる保護層などに好ましくマット剤を含有させることが
できる。好ましいのは、最外表面層、最外表面層として
機能する層、外表面に近い層または保護層にマット剤を
含有させる場合である。マット剤を含有させる層は、1
層であってもよいし、複数層であってもよい。
【0019】マット剤の含有量は、本発明の所期の効果
を奏し、マット剤が含まれる層の本来の機能を過度に阻
害しない範囲内にする。画像形成層の保護層にマット剤
を含有させるときは、マット剤の含有量を星屑故障が生
じない程度にするのが一般的であり、好ましくはベック
平滑度が500秒以上10,000秒以下になる程度とし、さら
に好ましくは500秒以上2,000秒以下になる程度にする。
バック層にマット剤を含有させるときは、ベック平滑度
が2000秒以下10秒以上になる程度にするのが好ましく、
1500秒以下50秒以上になる程度にするのがさらに好まし
い。なお、本明細書におけるベック平滑度は、JIS P811
9およびTAPPI T479より求められる。
【0020】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体上
に少なくとも(a)(非感光性)有機銀塩、(b)感光
性ハロゲン化銀、(c)還元剤、および所望により
(d)造核剤を含有する画像形成層(即ち感光性層)を
有し、この画像形成層上に少なくとも1層の保護層を有
するものである。
【0021】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像
を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元でき
る源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀
塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28
の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が
4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機ま
たは無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好まし
くは画像形成層の約5〜70重量%を構成することがで
きる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機
化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸
の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに
限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ま
しい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステア
リン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸
銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マイレン酸銀、
フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟
脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0022】本発明においては、上記に挙げられる有機
酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含
有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが好まし
く、95モル%以上の有機酸塩がさらに好ましい。ここ
でベヘン酸銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベ
ヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中
に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙
げた物を好ましく用いることができる。
【0023】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、
Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反
応させることで調製される。有機酸アルカリ金属塩は、
上記有機酸をアルカリ処理することによって得られる。
有機酸銀は任意の好適な容器中で回分式でまたは連続式
で行うことができる。反応容器中の撹拌は粒子の要求さ
れる特性によって任意の撹拌方法で撹拌することができ
る。有機酸銀の調製法としては、有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液の入った反応容器に硝酸銀水溶液を徐
々にまたは急激に添加する方法、硝酸銀水溶液の入った
反応容器に予め調製した有機酸アルカリ金属塩溶液また
は懸濁液を徐々にまたは急激に添加する方法、予め調製
した硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液また
は懸濁液を反応容器中に同時に添加する方法のいずれも
が好ましく用いることができる。
【0024】硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩
溶液または懸濁液は調製する有機酸銀の粒子サイズの制
御のために任意の濃度の物を用いることができ、また任
意の添加速度で添加することができる。硝酸銀水溶液お
よび有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液の添加方法
としては、添加速度一定で添加する方法、任意の時間関
数による加速添加法あるいは減速添加法にて添加するこ
とができる。また反応液に対し、液面に添加してもよ
く、また液中に添加してもよい。予め調製した硝酸銀水
溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反
応容器中に同時に添加する方法の場合には、硝酸銀水溶
液あるいは有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液のい
ずれかを先行させて添加することもできるが、硝酸銀水
溶液を先行させて添加することが好ましい。先行度とし
ては総添加量の0から50vol%が好ましく、0から
25vol%が特に好ましい。また特開平9−1276
43号公報等に記載のように反応中の反応液のpHない
しは銀電位を制御しながら添加する方法も好ましく用い
ることができる。
【0025】添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカリ
金属塩溶液または懸濁液は粒子の要求される特性により
pHを調整することができる。pH調整のために任意の
酸やアルカリを添加することができる。また、粒子の要
求される特性により、例えば調製する有機酸銀の粒子サ
イズの制御のため反応容器中の温度を任意に設定するこ
とができるが、添加される硝酸銀水溶液や有機酸アルカ
リ金属塩溶液または懸濁液も任意の温度に調整すること
ができる。有機酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液は液
の流動性を確保するために、50℃以上に加熱保温する
ことが好ましい。本発明に用いる有機酸銀は第3アルコ
ールの存在下で調製されることが好ましい。第3アルコ
ールとしては好ましくは総炭素数15以下の物が好まし
く、10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコール
の例としては、tert−ブタノール等が挙げられる
が、本発明はこれに限定されない。
【0026】本発明に用いられる第3アルコールの添加
時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでも良い
が、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸
アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。ま
た、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時
の溶媒としてのH2Oに対して重量比で0.01〜10
の範囲で任意に使用することができるが、0.03〜1
の範囲が好ましい。本発明に用いることができる有機銀
塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有す
る針状結晶が好ましい。本発明においては短軸0.01
μm以上0.20μm以下、長軸0.10μm以上5.
0μm以下が好ましく、短軸0.01μm以上0.15
μm以下、長軸0.10μm以上4.0μm以下がより
好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であるこ
とが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの
標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好
ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更
に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定
方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より
求めることができる。単分散性を測定する別の方法とし
て、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方
法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動
係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80
%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法と
しては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照
射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関
関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重
平均直径)から求めることができる。
【0027】本発明に用いることのできる有機銀塩は、
好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法と
しては特に制限はなく公知の方法を用いることができる
が、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロ
ック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いること
ができる。本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さ
く、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像
形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質
的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下
させる分散法を用いることが好ましい。そして、このよ
うな工程を経た後に、感光性銀塩水溶液と混合して感光
性画像形成媒体塗布液を製造する。このような塗布液を
用いて熱現像画像記録材料を作製するとヘイズが低く、
低カブリで高感度の熱現像画像記録材料が得られる。こ
れに対し、高圧、高速流に変換して分散する時に、感光
性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく
低下する。また、分散媒として水ではなく、有機溶剤を
用いると、ヘイズが高くなり、カブリが上昇し、感度が
低下しやすくなる。一方、感光性銀塩水溶液を混合する
方法にかえて、分散液中の有機銀塩の一部を感光性銀塩
に変換するコンバージョン法を用いると感度が低下す
る。
【0028】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含水量は非感光性の有機銀塩に対して
0.1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は
行わないものである。本発明において、上記のような分
散法を実施するのに用いられる固体分散装置およびその
技術については、例えば「分散系レオロジーと分散化技
術」(梶内俊夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版
(株)、p357〜p403)、「化学工学の進歩 第
24集」(社団法人 化学工学会東海支部 編、199
0、槇書店、p184〜p185)、等に詳しいが、本
発明での分散法は、少なくとも有機銀塩を含む水分散物
を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内
に設けられた細いスリットを濾過させ、この後に分散液
に急激な圧力低下を生じさせることにより微細な分散を
行う方法である。
【0029】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速
で通過する際に生じる「剪断力」、(b)分散質が高圧
下から常圧に解放される際に生じる「キャビテーション
力」、等の分散力によって微細な粒子への分散が行われ
ると考えられている。この種の分散装置としては、古く
はゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置で
は高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高
速流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その
襲撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には1
00〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の
範囲であり、分散効率を上げるために高流速部を鋸刃状
にして衝突回数を増やすなどの工夫を施したものも考案
されている。これに対して、近年更に高圧、高流速での
分散が可能となる装置が開発されてきており、その代表
例としてはマイクロフルイダイザー(マイクロフルイデ
ックス・インターナショナル・コーポレーション社)、
ナノマイザー(特殊機化工業(株))などが挙げられ
る。
【0030】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き)、HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、
少なくとも有機銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等で加
圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いス
リットを通過させることにより所望の圧力を印加し、こ
の後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方法で分
散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本発明に
最適な有機銀塩分散物を得ることが可能である。
【0031】分散操作に先だって、原料液を予備分散す
ることが好ましい。予備分散する手段としては公知の分
散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速
衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダ
ー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ア
トライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、
ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストー
ンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外
にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、
その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化
させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有
機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了
後除去される。
【0032】有機銀塩分散においては、流速、圧力降下
時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズに
分散することが可能であるが、写真特性と粒子サイズの
点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下
時の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好ま
しく、流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時
の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲である
ことが更に好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択
できるが、通常は1回〜10回の処理回数が選ばれる。
生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数が選ばれ
る。高圧下でこのような水分散液を高温にすることは、
分散性、写真特性の点から好ましくなく、90℃を越え
るような高温では粒子サイズが大きくなりやすくなると
共に、カブリが高くなる傾向がある。従って、本発明で
は前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしくは、圧
力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程に冷却
工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程により
5〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、更に
好ましくは5〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に
保たれていることが好ましい。特に、1500〜300
0kg/cm2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工
程を設置することが有効である。冷却器は、その所要熱
交換量に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサー
を使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を
適宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げ
るために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質
など好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒
は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5
〜10℃の冷水、また必要に応じて−30℃のエチレン
グリコール/水等の冷媒を使用することもできる。
【0033】分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(分
散助剤)の存在下で有機銀塩を分散することが好まし
い。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アク
リル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体、アクリロメチルプロパンスルホン
酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カルボキシメ
チルデンプン、カルボキシエチルセルロースなどの半合
成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのア
ニオン性ポリマー、特開平7−350753号に記載の
化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチ
オン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラチン等
の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いる
ことができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセ
ルロース誘導体が特に好ましい。
【0034】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしても良
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりp
Hコントロールしても良い。機械的に分散する以外に
も、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化さ
せても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機
溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後
除去される。調製された分散物は、保存時の微粒子の沈
降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロ
イドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用し
ゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。
また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤
を添加することもできる。
【0035】有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ
(体積加重平均直径)は、例えば液中に分散した固体微
粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。平均粒子サイズ0.05μm以上10.0μ
m以下の固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは
平均粒子サイズ0.1μm以上5.0μm以下、更に好
ましくは平均粒子サイズ0.1μm以上2.0μm以下
である。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であること
が好ましい。具体的には、体積加重平均直径の標準偏差
を体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が
80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましく
は30%以下である。有機銀塩の形状の測定方法として
は有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めること
ができる。
【0036】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して1〜30重量%、特に3〜15
重量%の範囲が好ましい。本発明では有機銀塩水分散液
と感光性銀塩水分散液を混合して熱現像画像記録材料を
製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の
混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感
光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更
に3〜20モル%、特に5〜15モル%の範囲が好まし
い。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以
上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の
調節のために好ましく用いられる方法である。
【0037】本発明では有機銀塩は所望の量で使用でき
るが、感材1m2当たりの塗布量で示して、銀量として
0.1〜5g/m2が好ましく、更に好ましくは1〜3
g/m2である。本発明にはCa、Mg、ZnおよびA
gから選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加す
ることが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選
ばれる金属イオンの非感光性有機銀塩への添加について
は、ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加す
ることが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形
で添加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処
理後の熱現像画像記録材料の光(室内光や太陽光など)
による画像保存性、いわゆるプリントアウト性を悪化さ
せるので好ましくない。このため、本発明では前述のハ
ロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加すること
が好ましい。
【0038】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、非感光性有機銀塩の粒子形成後の、粒子形成直後、
分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布直前まで
であればいずれの時期でもよく、好ましくは分散後、塗
布液調製前後である。 本発明におけるCa、Mg、Z
nおよびAgから選ばれる金属イオンの添加量として
は、非感光性有機銀1モル当たり10-3モル〜10-1
ルが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モルが好ま
しい。
【0039】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。
また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好
ましく用いることができる。構造としては好ましくは2
〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェ
ル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化
銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用い
ることができる。
【0040】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えばリサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第
3,700,458号に記載されている方法を用いるこ
とができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマ
ー溶液中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添
加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後
で有機銀塩と混合する方法を用いる。感光性ハロゲン化
銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的
のために小さいことが好ましく、具体的には0.20μ
m以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm
以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以
下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒
子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合
にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲ
ン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面
積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他
正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合
には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたとき
の直径をいう。
【0041】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:
1がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まっ
た粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン
化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特
に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増
感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好
ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65
%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミ
ラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における
{111}面と{100}面との吸着依存性を利用した
T.Tani;J.Imaging Sci.,29,
165(1985年)に記載の方法により求めることが
できる。
【0042】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒
子は、周期率表の第VII族あるいは第VIII族(第7族〜
第10族)の金属または金属錯体を含有しうる。周期律
表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体の
中心金属として好ましくはロジウム、レニウム、ルテニ
ウム、オスミウム、イリジウムである。これら金属錯体
は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を
2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに
対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好まし
く、1×10-8モルから1×10-4モルの範囲がより好
ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−2
25449号等に記載された構造の金属錯体を用いるこ
とができる。
【0043】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例え
ば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウ
ム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト
等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)
錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テトラ
クロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロジ
ウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリオキザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、即ち、ハロゲ
ン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、ある
いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、K
Br、NaBr等)を添加する方法を用いることができ
る。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製
時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲ
ン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0044】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当たり1×10-8モル〜5×10-4モルの
範囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×
10 -5モルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン
化銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階
において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添
加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好まし
い。
【0045】本発明に用いられるレニウム、ルテニウ
ム、オスミウムは特開昭63−2042号、特開平1−
285941号、同2−20852号、同2−2085
5号等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に
好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が
挙げられる。 [ML6n- ここでMはRu、ReまたはOsを表し、Lは配位子を
表し、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、
対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアル
カリ金属イオンが用いられる。
【0046】また好ましい配位子としてはハロゲン化物
配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニト
ロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。
以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本
発明はこれに限定されるものではない。 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- [Re(NO)(CN)5]2- [Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]− [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0047】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当たり1×10-9モル〜1×10-4モルの範囲が好
ましく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-5
ルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤
粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において
適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハ
ロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。これ
らの化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロ
ゲン化銀粒子中に組み込むには、金属錯体の粉末もしく
はNaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形
成中の水溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加して
おく方法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合さ
れるとき第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法
でハロゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成
中に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方
法などがある。特に粉末もしくはNaCl、KClと一
緒に溶解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する
方法が好ましい。粒子表面に添加するには、粒子形成直
後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成
時に必要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入するこ
ともできる。
【0048】本発明で用いられるイリジウム化合物とし
ては種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイ
リジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラト
イリジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニ
トロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウ
ム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられ
るが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一
般によく行われる方法、即ち、ハロゲン化水素水溶液
(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化
アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr
等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリ
ジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらか
じめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子
を添加して溶解させることも可能である。
【0049】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、
白金、金、タリウム、銅、鉛、等の金属原子を含有して
もよい。コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化
合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いること
ができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フ
ェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、
ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム
酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させ
ても、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシ
ェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。上
記金属はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×1
-4モルが好ましい。また、上記金属を含有せしめるに
は単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩にして粒子調製
時に添加することができる。感光性ハロゲン化銀粒子は
ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られ
ている方法の水洗により脱塩することができるが本発明
においては脱塩してもしなくてもよい。
【0050】ハロゲン化銀乳剤に金増感を施す場合に用
いられる金増感剤としては、金の酸化数が+1価でも+
3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化合物
を用いることができる。代表的な例としては塩化金酸、
カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライ
ド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨー
ドオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモ
ニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴー
ルドなどが挙げられる。金増感剤の添加量は種々の条件
により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当た
り10-7モル以上10-3モル以下、より好ましくは10
-6モル以上5×10-4モル以下である。
【0051】本発明で用いられるハロゲン化銀乳剤は金
増感と他の化学増感とを併用することが好ましい。他の
化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、
テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を
用いることができるが、金増感法と組み合わせて使用す
る場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増
感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法
とセレン増感法とテルル増感法と金増感法などが好まし
い。
【0052】本発明に好ましく用いられる硫黄増感は、
通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤
を一定時間撹拌することにより行われる。硫黄増感剤と
しては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ロ
ーダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合
物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤
の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒
子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲ
ン化銀1モル当たり10-7〜10-2モルであり、より好
ましくは10-5〜10-3モルである。
【0053】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。即ち、
通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物
を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌する
ことにより行われる。不安定型セレン化合物としては特
公昭44−15748号、同43−13489号、特開
平4−25832号、同4−109240号、同4−3
24855号等に記載の化合物を用いることができる。
特に特開平4−324855号中の一般式(VIII)およ
び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0054】本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−3
13284号に記載の方法で試験することができる。テ
ルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス
(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイ
ル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカ
ルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテル
リド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン
酸塩類、Te−オルガニルチルロカルボン酸エステル
類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール
類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−
Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカ
ルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルル
などを用いることができる。具体的には、米国特許第
1,623,499号、同第3,320,069号、同
第3,772,031号、英国特許第235,211
号、同第1,121,496号、同第1,295,46
2号、同第1,396,696号、カナダ特許第80
0,958号、特開平4−204640号、特願平3−
53693号、同3−131598号、同4−1297
87号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー
・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.So
c.Chem.Commun.)635(1980),
ibid 1102(1979),ibid 645
(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイア
ティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.
Soc.Perkin,Trans.)1,2191
(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・
ケミストリー・オブ・ガーニック・セレニウム・アンド
・テルリウム・カンパウンズ(The Chemist
ry ofOrgaic Serenium and
Tellunium Compounds),Vol.
1(1986)、同Vol.2(1987)に記載の化
合物を用いることができる。特に特開平5−31328
4号中の一般式(II)、(III)、(IV)で示される化
合物が好ましい。
【0055】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。本発
明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形
成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸
塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0056】本発明においては、還元増感を用いること
ができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコ
ルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一ス
ズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導
体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等
を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上また
はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還
元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオン
のシングルアディション部分を導入することにより還元
増感することができる。本発明のハロゲン化銀乳剤は、
欧州特許公開EP293,917号に示される方法によ
り、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0057】本発明に用いられる熱現像画像記録材料中
のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上
(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成
の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異
なるもの)を併用してもよい。本発明の感光性ハロゲン
化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハ
ロゲン化銀0.01モル以上0.5モル以下が好まし
く、0.02モル以上0.3モル以下がより好ましく、
0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別
々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法
および混合条件については、それぞれ調製終了したハロ
ゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等
で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれ
かのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混
合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効
果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0058】本発明の熱現像画像記録材料は加熱現像工
程後のγ(露光量の対数を横軸とした時の濃度0.2と
濃度2.5を結ぶ時の直線の傾き)が5以上15以下で
ある必要がある。これを達成するための方法の一つとし
て感光性層あるいは他の隣接層中に造核剤を含有する方
法がある。本発明に用いられる造核剤としては、置換ア
ルケン誘導体,置換イソオキサゾール誘導体,特定のア
セタール化合物,およびヒドラジン誘導体が好ましく用
いられる。
【0059】本発明で好ましく用いられる式(1)で表
される置換アルケン誘導体、式(2)で表される置換イ
ソオキサゾール誘導体、および式(3)で表される特定
のアセタール化合物について説明する。
【化3】
【0060】式(1)においてR1,R2,R3は、それぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
基またはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2
とR 3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して
環状構造を形成していてもよい。式(2)においてR
4は、置換基を表す。式(3)においてX,Yはそれぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、A,Bはそれぞれ
独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミ
ノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ
基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ
環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、あるいはA
とBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。
【0061】式(1)で表される化合物について詳しく説
明する。式(1)においてR1,R2,R3は、それぞれ独
立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
たはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2とR
3、R1と、あるいはR3とZは、互いに結合して環状構
造を形成していても良い。R1,R2,R3が置換基を表
す時、置換基の例としては、例えばハロゲン原子(フッ
素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、ア
ルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチ
ン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基(Nー置換の含窒素ヘテロ環基を含
む)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば
ピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボ
キシ基またはその塩、イミノ基、N原子で置換したイミ
ノ基、チオカルボニル基、スルホニルカルバモイル基、
アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル
基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、
シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基(または
その塩)、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプ
ロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリ
ールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、
(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキ
シ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、ア
ミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミ
ノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド
基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくは
アリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイル
アミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、
ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミ
ノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイ
ド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ
基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,
またはヘテロ環)チオ基、アシルチオ基、(アルキルま
たはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリー
ル)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファ
モイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルフ
ァモイル基またはその塩、ホスホリル基、リン酸アミド
もしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタ
ニル基等が挙げられる。これらの置換基は、これらの置
換基でさらに置換されていてもよい。
【0062】式(1)においてZで表される電子吸引性基
とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置
換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカ
ルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリール基
等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル基、
ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾリル
基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダント
イン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基
等がその例として挙げられる。式(1)においてZで表さ
れる電子吸引性基は、さらに置換基を有していてもよ
く、その置換基としては、式(1)のR1,R2,R3が置
換基を表す時に有していてもよい置換基と同じものが挙
げられる。式(1)においてR1とZ、R2とR3、R1とR
2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状構造を形成
していてもよいが、この時形成される環状構造とは、非
芳香族の炭素環もしくは非芳香族のヘテロ環である。
【0063】次に式(1)で表される化合物の好ましい範
囲について述べる。式(1)においてZで表されるシリル
基として好ましくは、具体的にトリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル
基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、
トリメチルシリルジメチルシリル基等である。式(1)に
おいてZで表される電子吸引性基として好ましくは、総
炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換
したイミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロア
ルキル基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシ
ルオキシ基、アシルチオ基、または任意の電子吸引性基
で置換されたフェニル基等であり、さらに好ましくは、
シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、
イミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、トリフルオロメチル基、または任意の電子吸引
性基で置換されたフェニル基等であり、特に好ましくは
シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、イミノ基またはカルバモイル基である。式(1)に
おいてZで表される基は、電子吸引性基がより好まし
い。
【0064】式(1)においてR1,R2,およびR3で表
される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30の基
で、具体的には上述の式(1)のZで表される電子吸引性
基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、
または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられ
る。さらに式(1)においてR1は、好ましくは電子吸引
性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシ基、ま
たはアシルアミノ基、水素原子、またはシリル基であ
る。
【0065】R1が電子吸引性基を表す時、好ましくは
総炭素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ
基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミ
ノ基、N原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和
のヘテロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホル
ミル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イ
ミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、カルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシア
ノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基である。
【0066】R1がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、任意の置換基が挙げられるが、
中でも電子吸引性の置換基が好ましい。式(1)において
1は、より好ましくは、電子吸引性基またはアリール
基を表す時である。式(1)においてR2およびR3で表さ
れる置換基として好ましくは、具体的に、上述の式(1)
のZで表される電子吸引性基と同義の基、アルキル基、
ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはそ
の塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チ
オ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテ
ロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置換の
フェニル基等である。
【0067】式(1)においてR2およびR3は、さらに好
ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が置換基を
表す時である。その置換基として好ましくは、アルキル
基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(また
はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、
ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフルオロ
アルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換もしくは
無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であり、さら
に好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト
基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特に好まし
くはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ基、また
はヘテロ環基である。
【0068】式(1)においてZとR1、あるいはまたR2
とR3とが環状構造を形成する場合もまた好ましい。こ
の場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素環もし
くは非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員〜7員
の環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1〜4
0、さらには3〜30が好ましい。式(1)で表される化
合物の中で、より好ましいものの1つは、Zがシアノ
基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
イミノ基、またはカルバモイル基を表し、R1が電子吸
引性基またはアリール基を表し、R2またはR3のどちら
か一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(またはその
塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を
表す化合物である。さらにまた式(1)で表される化合物
の中で特に好ましいものの1つは、ZとR1とが非芳香
族の5員〜7員の環状構造を形成していて、R2または
3のどちらか一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基
(またはその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘ
テロ環基を表す化合物である。この時、R1と共に非芳
香族の環状構造を形成するZとしては、アシル基、カル
バモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、
スルホニル基等が好ましく、またR1としては、アシル
基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボ
ニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好まし
い。
【0069】次に式(2)で表される化合物について説明
する。式(2)においてR4は置換基を表す。R4で表され
る置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基について
説明したものと同じものが挙げられる。R4で表される
置換基は、好ましくは電子吸引性基またはアリール基で
ある。R4が電子吸引性基を表す時、好ましくは、総炭
素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ基、
アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリ
ールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、イミノ基、
または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、さらに
シアノ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ま
しい。特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または
ヘテロ環基である。
【0070】R4がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、式(1)のR1,R2,R3が置換
基を表す時にその置換基として説明したものと同じもの
が挙げられる。R4は、特に好ましくはシアノ基、アル
コキシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、ま
たは置換もしくは無置換のフェニル基であり、最も好ま
しくはシアノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボ
ニル基である。
【0071】次に式(3)で表される化合物について詳し
く説明する。式(3)においてX,Yはそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表し、A,Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。式(3)においてX,Yで
表される置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基に
ついて説明したものと同じものが挙げられる。具体的に
は、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロ
メチル基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲ
ン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフ
ァモイル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその
塩)、スルホ基(またはその塩)、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シ
リル基等が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有
していてもよい。またXとYは、互いに結合して環状構
造を形成していてもよく、この場合に形成される環状構
造としては、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ
環であってもよい。
【0072】式(3)においてX,Yで表される置換基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル
基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボ
ニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル
基、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミ
ノ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、ア
ルキルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が挙
げられる。式(3)においてX,Yは、より好ましくはシ
アノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシル
アミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ基、
N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフルオ
ロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニル基
等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシルア
ミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ基、N
原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任意の電
子吸引性基で置換されたフェニル基等である。
【0073】XとYが、互いに結合して非芳香族の炭素
環、または非芳香族のヘテロ環を形成している場合もま
た好ましい。この時、形成される環状構造は5員〜7員
環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜
30が好ましい。環状構造を形成するXおよびYとして
は、アシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、
チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基
等が好ましい。式(3)においてA,Bはそれぞれ独立
に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、
ヘテロ環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環ア
ミノ基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成
していてもよい。式(3)においてA,Bで表される基
は、好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総
炭素数1〜30の基であり、さらに置換基を有していて
もよい。
【0074】式(3)においてA,Bは、これらが互いに
結合して環状構造を形成している場合がより好ましい。
この時形成される環状構造は5員〜7員環の非芳香族の
ヘテロ環が好ましく、その総炭素数は1〜40、さらに
は3〜30が好ましい。この場合に、A,Bが連結した
例(−A−B−)を挙げれば、例えば-O-(CH2)2-O-,-O-
(CH2)3-O-,-S-(CH2)2-S-,-S-(CH2)3-S-,-S-Ph-S-,-
N(CH3)-(CH2)2-O-,-N(CH3)-(CH2)2-S-,-O-(CH2)2-S
-,,-O-(CH2)3-S-,-N(CH3)-Ph-O-,-N(CH3)-Ph-S-,-
N(Ph)-(CH2)2-S-等である。
【0075】本発明で用いられる式(1)〜式(3)で表さ
れる化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の
基が組み込まれていてもよい。こうした吸着基として
は、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チ
オアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基など
の米国特許第4,385,108号、同4,459,3
47号、特開昭59−195233号、同59−200
231号、同59−201045号、同59−2010
46号、同59−201047号、同59−20104
8号、同59−201049号、特開昭61−1707
33号、同61−270744号、同62−948号、
同63−234244号、同63−234245号、同
63−234246号に記載された基が挙げられる。ま
たこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化さ
れていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開
平2ー285344号に記載された基が挙げられる。
【0076】式(1)〜式(3)で表される化合物は、その
中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用され
ているバラスト基またはポリマーが組み込まれているも
のでもよい。特にバラスト基が組み込まれているものは
本発明の好ましい例の1つである。バラスト基は8以上
の炭素数を有する、写真性に対して比較的不活性な基で
あり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ
基、フェニル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、
アルキルフェノキシ基などの中から選ぶことができる。
またポリマーとしては、例えば特開平1−100530
号に記載のものが挙げられる。式(1)〜式(3)で表され
る化合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級
のアンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子
を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしく
はプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アル
キル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩
基により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ
基、アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモ
イル基等)が含まれていてもよい。特にエチレンオキシ
基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基が含まれているものは、本発明の好ましい例の1
つである。これらの基の具体例としては、例えば特開平
7ー234471号、特開平5−333466号、特開
平6−19032号、特開平6−19031号、特開平
5−45761号、米国特許4994365号、米国特
許4988604号、特開平3−259240号、特開
平7−5610号、特開平7−244348号、独国特
許4006032号等に記載の化合物が挙げられる。
【0077】次に式(1)〜式(3)で表される化合物の具
体例を以下に示す。ただし、本発明で使用し得る造核剤
は以下の化合物に限定されるものではない。
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
【化6】
【0081】
【化7】
【0082】式(1)〜式(3)で表される化合物は、水ま
たは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノー
ル、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコー
ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセ
ルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既
によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタ
レート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリ
アセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、
酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて
溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることがで
きる。あるいは固体分散法として知られている方法によ
って、化合物の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミ
ル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用い
ることができる。
【0083】式(1)〜式(3)で表される化合物は、画像
形成層に添加するか、画像形成層以外の層に添加して画
像形成層に拡散させてもよい。式(1)〜式(3)で表され
る化合物の添加量は、銀1モルに対し1×10-6〜1モ
ルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ま
しく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。式
(1)〜式(3)で表される化合物は公知の方法により容易
に合成することができるが、例えば、米国特許5545
515号、米国特許5635339号、米国特許565
4130号、国際特許WO−97/34196号、或い
は特願平9−309813号、特願平9−272002
号に記載の方法を参考に合成することができる。
【0084】式(1)〜式(3)で表される化合物は、1種
のみ用いても、2種以上を併用しても良い。また上記の
ものの他に、米国特許5545515号、米国特許56
35339号、米国特許5654130号、国際特許W
O−97/34196号、米国特許5686228号に
記載の化合物、或いはまた特願平8−279962号、
特願平9−228881号、特願平9−273935
号、特願平9−309813号、特願平9−29617
4号、特願平9−282564号、特願平9−2720
02号、特願平9−272003号、特願平9−332
388号に記載された化合物を併用して用いても良い。
本発明において造核剤として用いうるヒドラジン誘導体
は、下記式(H)によって表わされる化合物が好まし
い。
【0085】
【化8】
【0086】式中、R20は脂肪族基、芳香族基、または
ヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を
表し、G1は−CO−、−COCO−、−C(=S)
−、−SO2、−SO−、−PO(R30)−基(R30
10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異な
っていてもよい。)、またはイミノメチレン基を表す。
1、A2はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で
他方が置換もしくは無置換の、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、またはアシル基を表す。m1
0または1であり、m1が0の時、R10は脂肪族基、芳
香族基、またはヘテロ環基を表す。
【0087】次に下記式(H)によって表わされるヒド
ラジン誘導体について説明する。式(H)においてR20
で表される脂肪族基とは、好ましくは炭素数1〜30の
置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基である。R20で表さ
れる芳香族基とは単環もしくは縮合環のアリール基で、
例えばベンゼン環、ナフタレン環から誘導されるフェニ
ル基、ナフチル基が挙げられる。R 20で表されるヘテロ
環基とは、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和
の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、これらの基
中のヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジ
ン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イ
ソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、
ベンゾチアゾール環、チオフェン環、トリアジン環、モ
ルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ベンゾ
[1,3]ジオキソール環等が挙げられる。R20は任意
の置換基で置換されていてもよい。
【0088】R20として好ましいものはアリール基、ア
ルキル基、または芳香族ヘテロ環基であり、さらに好ま
しくは、置換もしくは無置換のフェニル基、炭素数1〜
3の置換アルキル基、または芳香族ヘテロ環基である。
20が炭素数1〜3の置換アルキル基を表すとき、R20
はより好ましくは置換メチル基であり、さらには二置換
メチル基もしくは三置換メチル基が好ましい。R20が置
換メチル基を表すとき、好ましい具体例としては、t−
ブチル基、ジシアノメチル基、ジシアノフェニルメチル
基、トリフェニルメチル基(トリチル基)、ジフェニル
メチル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シ
アノジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル
基、シクロプロピルジフェニルメチル基などが挙げられ
るが、中でもトリチル基が最も好ましい。R20が芳香族
ヘテロ環基を表すとき、好ましいヘテロ環としてピリジ
ン環、キノリン環、ピリミジン環、トリアジン環、ベン
ゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、チオフェン環
等が挙げられる。式(H)においてR20は、最も好まし
くは置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0089】式(H)においてR10は水素原子またはブ
ロック基を表すが、ブロック基とは具体的に脂肪族基
(具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基)、芳香族基(単環もしくは縮合環のアリール基)、
ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換も
しくは無置換のアミノ基またはヒドラジノ基を表す。R
10として好ましくは、アルキル基(炭素数1〜10の置
換もしくは無置換のアルキル基で、例えばメチル基、エ
チル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,
2−カルボキシテトラフルオロエチル基、ピリジニオメ
チル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカル
ボキシメチル基、ヒドロキシメチル基、メタンスルホン
アミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ト
リフルオロスルホンアミドメチル基、トリフルオロアセ
チルメチル基、ジメチルアミノメチル基、フェニルスル
ホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基、メトキシ
メチル基、フェノキシメチル基、4−エチルフェノキシ
メチル基、フェニルチオメチル基、t−ブチル基、ジシ
アノメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチ
ル基、メトキシカルボニルジフェニルメチル基、シアノ
ジフェニルメチル基、メチルチオジフェニルメチル基
等)、アルケニル基(炭素数1〜10のアルケニル基
で、例えばビニル基、2−エトキシカルボニルビニル
基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル
基、2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ−2−メト
キシカルボニルビニル基、2−シアノ−2−エトキシカ
ルボニルビニル基等)、アリール基(単環もしくは縮合
環のアリール基で、ベンゼン環を含むものが特に好まし
く、例えばフェニル基、パーフルオロフェニル基、3,
5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフ
ェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4,5−ジシ
アノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、
2,6−ジクロロ−4−シアノフェニル基、2−クロロ
−5−オクチルスルファモイルフェニル基)、ヘテロ環
基(少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含
む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮
合環のヘテロ環基で、例えばモルホリノ基、ピベリジノ
基(N−置換)、イミダソリル基、インダゾリル基(4
−ニトロインダゾリル基)、ピラゾリル基、トリアゾリ
ル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジ
ル基、ピリジニオ基、キノリニオ基、キノリル基、ヒダ
ントイル基、イミダゾリジニル基等)、アルコキシ基
(炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメト
キシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ
基、t−ブトキシ基等)、アミノ基(無置換アミノ基、
および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールア
ミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基
(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環アミノ基
を含む)が好ましく、例えば2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ
基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基、o−
ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ
基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等)であ
る。R10で表される基は任意の置換基で置換されていて
もよい。
【0090】R10で表わされる基のうち好ましいもの
は、R20がフェニル基ないしは芳香族へテロ環基を表
し、かつG1が−CO−基の場合には、水素原子、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ま
たはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、ア
ルキル基、アリール基であり、最も好ましくは水素原子
またはアルキル基である。ここでR10がアルキル基を表
す時、その置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヒドロキシ基、スルホンアミド基、アミノ基、アシ
ルアミノ基、カルボキシ基が特に好ましい。R20が置換
メチル基を表し、かつG1が−CO−基の場合には、R
10は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘ
テロ環基、アルコキシ基、アミノ基(無置換アミノ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基)であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基
アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルアミ
ノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基である。G
1が−COCO−基の場合には、R20に関わらず、R10
はアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好まし
く、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、ア
リールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環
アミノの基が好ましい。
【0091】またG1が−SO2−基の場合には、R20
関わらず、R10はアルキル基、アリール基または置換ア
ミノ基が好ましい。式(H)においてG1は好ましくは
−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましく
は−CO−基である。式(H)においてA1、A2は水素
原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホ
ニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメ
ットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換
されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシ
ル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換
基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベン
ゾイル基、あるいは直鎖、分岐、もしくは環状の置換ま
たは無置換の脂肪族アシル基である。A1、A2としては
水素原子が最も好ましい。
【0092】式(H)においてm1は1または0を表す
が、m1が0の時、R10は脂肪族基、芳香族基、または
ヘテロ環基を表す。m1が0の時、R10は特に好ましく
はフェニル基、炭素数1〜3の置換アルキル基、または
アルケニル基であり、これらのうちフェニル基および炭
素数1〜3の置換アルキル基については、その好ましい
範囲は先に説明したR20の好ましい範囲と同じである。
10がアルケニル基の時、好ましくはR10はビニル基で
あり、以下の置換基、即ち、シアノ基、アシル基、アル
コキシカルボニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル
基、カルバモイル基等から選ばれる置換基を、1つない
しは2つ有するビニル基が特に好ましい。具体的には、
2,2−ジシアノビニル基、2−シアノ基−2−メトキ
シカルボニルビニル基、2−シアノ−2−エトキシカル
ボニルビニル基、2−アセチル−2−エトキンカルボニ
ルビニル基等が挙げられる。m1は好ましくは1であ
る。
【0093】式(H)においてR10はG1−R10の部分
を残余分子から分裂させ、−G1−R 10部分の原子を含
む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなもの
であってもよく、また式(H)で表されるヒドラジン誘
導体には、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が
組み込まれていてもよい。式(H)のR10またはR20
はその中に、カプラー等の不動性写真用添加剤において
常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれ
ているものでもよく、また式(H)のR10またはR
20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいても
よく、この時式(H)で表される化合物は、ヒドラジノ
基に関しての多量体を表す。さらに式(H)のR10また
はR20は、その中にカチオン性基(具体的には、4級の
アンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を
含む含窒素へテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくは
プロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキ
ル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基
により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、
アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル
基等)が含まれていてもよい。これらの例としては、例
えば特開昭63−29751号、米国特許第43851
08号、同4459347号、特開昭59−19523
3号、同59−200231号、同59−201045
号、同59−201046号、同59−201047
号、同59−201048号、同59−201049
号、特開昭61−170733号、同61−27074
4号、同62−948号、同63−234244号、同
63−234245号、同63−234246号、特開
平2−285344号 特開平1−100530号、特
開昭64−86134号、特開平4−16938号、特
開平5−197091号、WO95−32452号、W
O95−32453号、特開平9−235264号、特
開平9−235265号、開平9−235266号、特
開平9−235267号、特開平9−179229号、
特開平7−234471号、特開平5−333466
号、特開平6−19032号、特開平6−19031
号、特開平5−45761号、米国特許第499436
5号、米国特許第4988604号、特開平3−259
240号、特開平7−5610号、特開平7−2443
48号、独国特許第4006032号等に記載の化合物
が挙げられる。
【0094】次に式(H)で示される化合物の具体例を
以下に示す。ただし、本発明で使用しうるヒドラジン誘
導体は以下の化合物に限定されるものではない。
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】本発明ではヒドラジン誘導体を1種のみ用
いても、2種以上を併用しても良い。また上記のものの
他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられ、場
合によっては組み合わせて用いることもできる。本発明
に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記
載された種々の方法により、合成することができる。即
ち、特開平10−10672号、特開平10−1612
70号、特開平10−62898号、特開平9−304
870号、特開平9−304872号、特開平9−30
4871号、特開平10−31282号、米国特許第5
496695号、欧州特許741320A号に記載のす
べてのヒドラジン誘導体とその合成方法を利用すること
ができる。本発明のヒドラジン系造核剤は、水または適
当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタ
ノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなど
に溶解して用いることができる。
【0099】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を
水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、ある
いは超音波によって分散し用いることができる。ヒドラ
ジン系造核剤は、画像形成層に添加するか、画像形成層
以外の層に添加して、画像形成層に拡散させてもよい。
造核剤の添加量は銀1モルに対して1×10-6〜1モル
が好ましく、1×10 -5×10-1モルがより好ましく、
2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0100】また、本発明では超硬調画像形成のため
に、前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用すること
ができる。例えば、米国特許第5,545,505号に記載のア
ミン化合物、具体的にはAM-1〜AM-5、同5,545,507
号に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA-1〜HA
-11、同5,545,507号に記載のアクリロニトリル類、具体
的にはCN-1〜CN-13、同5,558,983号に記載のヒドラ
ジン化合物、具体的にはCA-1〜CA-6、特願平8-1328
36号に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA-1〜A-4
2、B-1〜B-27、C-1〜C-14などを用いることができ
る。これらの硬調化促進剤の合成方法、添加方法、添加
量等は、それぞれの前記引用特許に記載されているよう
に行うことができる。
【0101】本発明には五酸化二リンが水和してできる
酸またはその塩を造核剤と併用して用いることが好まし
い。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリ
ン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサ
メタリン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、
具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリ
ン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、
ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明に好
ましく用いることができる五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩は、少量で所望の効果を発現するとい
う点から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー
層に添加する。本発明に用いる五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩の使用量(熱現像画像記録材料1
m2あたりの塗布量)としては感度やカブリなどの性能に
合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好まし
く、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0102】本発明の熱現像画像記録材料には有機銀塩
のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀
イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機
物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよび
カテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒ
ンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像
形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50モル%含まれ
ることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさら
に好ましい。還元剤は画像形成層に添加するか、画像形
成層以外の層に添加して画像形成層に拡散させてもよ
い。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1モルに対
して10〜50モル%と多めに使用することが好ましい。ま
た、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化
されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0103】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料に
おいては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号、同47-1238
号、同47-33621号、同49-46427号、同49-115540号、同5
0-14334号、同50-36110号、同50-147711号、同51-32632
号、同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同
52-84727号、同55-108654号、同56-146133号、同57-828
28号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許3,679,
426号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,761,270
号、同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686号、
同5,464,738号、独国特許2321328号、欧州特許692732号
などに開示されている。例えば、フェニルアミドオキシ
ム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェ
ニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒ
ドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドアジンなど
のアジン;2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル-
β-フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せの
ような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコル
ビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロ
キシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの
組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチ
ル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダク
トンまたはホルミル-4-メチルフェニルヒドラジンの組
合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフ
ェニルヒドロキサム酸およびβ-アリニンヒドロキサム
酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェ
ノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6-ジク
ロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチ
ル-α-シアノ-2-メチルフェニルアセテート、エチル-α
-シアノフェニルアセテートなどのα-シアノフェニル酢
酸誘導体;2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-
ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビ
ス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタンに例示されるよう
なビス-β-ナフトール;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒ
ドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベ
ンゾフェノンまたは2',4'-ジヒドロキシアセトフェノン
など)の組合せ;3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンな
どの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダク
トン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン
およびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダク
トンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-
ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンス
ルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノー
ル還元剤;2-フェニルインダン-1,3-ジオンなど;2,2-
ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロ
マン;2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒ
ドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノ
ール(例えば、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチル
フェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフ
ェニル)プロパン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-
メチルフェノール)、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメ
チルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンな
ど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-ア
スコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならび
にベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケ
トン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジ
オン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。
特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0104】還元剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物
などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は
公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。画像を向上させる「色調
剤」として知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなる
ことがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させる上
でも有利になることがある。色調剤は画像形成層を有す
る面に銀1モル当たりの0.1〜50%モルの量含まれること
が好ましく、0.5〜20%モル含まれることがさらに好まし
い。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように
誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0105】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料に
おいては広範囲の色調剤が特開昭46-6077号、同47-1028
2号、同49-5019号、同49-5020号、同49-91215号、同49-
91215号、同50-2524号、同50-32927号、同50-67132号、
同50-67641号、同50-114217号、同51-3223号、同51-279
23号、同52-14788号、同52-99813号、同53-1020号、同5
3-76020号、同54-156524号、同54-156525号、同61-1836
42号、特開平4-56848号、特公昭49-10727号、同54-2033
3号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,9
41号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許138079
5号、ベルギー特許841910号などに開示されている。色
調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイ
ミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5-オン、ならびに
キナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジン
ジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N
-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);コバルト錯体(例え
ば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3-
メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピ
リミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリア
ゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール
に例示されるメルカプタン;N-(アミノメチル)アリール
ジカルボキシイミド、(例えば、(N,N-ジメチルアミノメ
チル)フタルイミドおよびN,N-(ジメチルアミノメチル)-
ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミド);ならびにブロッ
ク化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種
の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1-カル
バモイル-3,5-ジメチルピラゾール)、1,8-(3,6-ジアザ
オクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテー
ト)および2-トリブロモメチルスルホニル)-(ベンゾチア
ゾール));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2-ベンゾチ
アゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4-オ
キサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導
体もしくは金属塩、または4-(1-ナフチル)フタラジノ
ン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノ
ンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンなどの誘
導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル
酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラ
クロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フ
タラジン誘導体(例えば、4-(1-ナフチル)フタラジン、6
-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジン、iso-
プロピルフタラジン、6-iso-ブチルフタラジン、6-tert
-ブチルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジン、および
2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属
塩、;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタ
ル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合
せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフト
オキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場
でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源として
も機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム
(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムお
よびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機
過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモ
ニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-
ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン
および6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなど
のベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不
斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、
2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシ
ル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-
ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラ
アザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6
-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレ
ン)などがある。
【0106】本発明の熱現像画像記録材料には色調剤
を、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で
添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段
(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、
コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行
われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用い
てもよい。本発明に用い得る増感色素としてはハロゲン
化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀
粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良
い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。本発明に使用され
る有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17
643IV-A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1979年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。特に各種レーザーイメージャー、スキャナー、イメ
ージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することができ
る。
【0107】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号に記載のI-1から
I-38の化合物、特開平6-75322号に記載のI-1からI-3
5の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-
34の化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1から20、
特開昭62-284343号に記載のI-1からI-37の化合物およ
び特開平7-287338号に記載のI-1からI-34の化合物な
どが有利に選択される。750〜1400nmの波長領域の半導
体レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、
スチリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノ
ールおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素によ
り、スペクトル的に有利に増感させることができる。有
用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾ
リン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チ
アゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核など
の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシ
アニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加え
て、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジ
ンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、
チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核
などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニ
ン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有す
るものが特に効果的である。例えば、米国特許3,761,27
9号、同3,719,495号、同3,877,943号、英国特許1,466,2
01号、同1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391
号、同6-52387号、特開平5-341432号、同6-194781号、
同6-301141号に記載されたような既知の色素から適当に
選択してよい。
【0108】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号、同3-13863
8号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659号、同5-
72661号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757
号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、
米国特許5,541,054号に記載された色素)、カルボン酸基
を有する色素(例としては特開平3-163440号、同6-30114
1号、米国特許5,441,899号に記載された色素)、メロシ
アニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47-6329号、同49-105524号、同51-127719号、同
52-80829号、同54-61517号、同59-214846号、同60-6750
号、同63-159841号、特開平6-35109号、同6-59381号、
同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国
特許1,467,638号、米国特許5,281,515号に記載された色
素)が挙げられる。また、J-bandを形成する色素として
米国特許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5記載の
色素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号が開示され
ており、本発明に好ましく用いることができる。
【0109】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933号、
特開昭59-19032号、同59-192242号等に記載されてい
る。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、
それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、
メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メ
チルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノー
ル、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1-プ
ロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-
プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単
独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0110】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、
同44-27555号、同57-22091号等に開示されているよう
に、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加した
り、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添
加する方法、米国特許3,822,135号、同4,006,025号明細
書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水
溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加
する方法、特開昭53-102733号、同58-105141号に開示さ
れているように親水性コロイド中に色素を直接分散さ
せ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-746
24号に開示されているように、レッドシフトさせる化合
物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する
方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用い
ることもできる。
【0111】本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲ
ン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であるこ
とが認められている乳剤調製のいかなる工程中であって
もよい。例えば米国特許2,735,766号、同3,628,960号、
同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58-184142号、
同60-196749号等の明細書に開示されているように、ハ
ロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時
期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開
始前までの時期、特開昭58-113920号等の明細書に開示
されているように、化学熟成の直前または工程中の時
期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前
ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。
また、米国特許4,225,666号、特開昭58-7629号等の明細
書に開示されているように、同一化合物を単独で、また
は異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工
程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けた
り、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなど
して分割して添加してもよく、分割して添加する化合物
および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよ
い。
【0112】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
画像形成層(感光性層)のハロゲン化銀1モル当たり10
-6〜1モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好まし
い。ハロゲン化銀乳剤または/および有機銀塩は、カブ
リ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的
なカブリの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中にお
ける感度の低下に対して安定化することができる。単独
または組合せて使用することができる適当なカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,03
8号および同第2,694,716号に記載のチアゾニウム塩、米
国特許第2,886,437号および同第2,444,605号に記載のア
ザインデン、米国特許第2,728,663号に記載の水銀塩、
米国特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国特許
第3,235,652号に記載のスルホカテコール、英国特許第6
23,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾ
ール、米国特許第2,839,405号に記載の多価金属塩、米
国特許第3,220,839号に記載のチウロニウム塩、ならび
に米国特許第2,566,263号および同第2,597,915号に記載
のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665
号および同第4,442,202号に記載のハロゲン置換有機化
合物、米国特許第4,128,557号および同第4,137,079号、
第4,138,365号および同第4,459,350号に記載のトリアジ
ンならびに米国特許第4,411,985号に記載のリン化合物
などがある。
【0113】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624
号、同50-120328号、同51-121332号、同54-58022号、同
56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-12964
2号、同62-129845号、特開平6-208191号、同7-5621号、
同7-2781号、同8-15809号、特願平10-292863号、米国特
許第5,340,712号、同5,369,000号、同5,464,737号に開
示されているような化合物が挙げられる。カブリ防止剤
は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で
添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段
(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、
コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行
われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用い
てもよい。
【0114】本発明を実施するために必要ではないが、
画像形成層(乳剤層)にカブリ防止剤として水銀(II)塩
を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい
水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明
に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1モル
当たり好ましくは1×10-9モル〜1×10-3モル、さらに好
ましくは1×10-8モル〜1×10-4モルの範囲である。本発
明の熱現像画像記録材料は高感度化やカブリ防止を目的
として安息香酸類を含有しても良い。安息香酸類はいか
なる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例とし
ては、米国特許4,784,939号、同4,152,160号、特願平8-
151242号、同8-151241号、同8-98051号などに記載の化
合物が挙げられる。安息香酸類は熱現像画像記録材料の
いかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光
性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀
塩含有層に添加することがさらに好ましい。安息香酸類
の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行って
も良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製
時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩
調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法と
しては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行
っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の
添加物と混合した溶液として添加しても良い。安息香酸
類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当
たり1×10 -6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3
ル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0115】本発明には現像を抑制あるいは促進させ現
像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現
像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM、Ar-S-S-Ar
で表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子または
アルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオ
ウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する
芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、これ
らの基中の複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4
個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有す
るもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)
からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカ
プトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾ
ール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5
-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカプト
ベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチアゾー
ル、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフェニ
ル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾー
ル、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メ
ルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト
-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キノリ
ンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチオー
ル、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジンモ
ノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジア
ゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、
4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカプト
ピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジン、2
-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メ
ルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-フェニル
-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプトテトラゾ
ール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メチル-N'-
[3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2-メ
ルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げられる
が、本発明で使用し得るものはこれらに限定されない。
これらのメルカプト化合物の添加量としては画像形成層
(乳剤層)中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モルの範囲が
好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当たり0.001〜
0.3モルの量である。
【0116】本発明における画像形成層(感光性層)に
は、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例え
ば、米国特許第2,960,404号に記載された種類のグリセ
リンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号および同
第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特
許第955,061号に記載のシリコーン樹脂などを用いるこ
とができる。本発明における画像形成層もしくは画像形
成層の保護層には、米国特許第3,253,921号、同第2,27
4,782号、同第2,527,583号および同第2,956,879号に記
載されているような光吸収物質およびフィルター染料を
使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,
699号に記載のように染料を媒染することができる。フ
ィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.
1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0117】本発明の画像形成層である感光性層には色
調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔
料を用いることができる。本発明の感光性層に用いる染
料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラー
インデックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピラ
ゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、ア
ゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染
料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドア
ニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンを
はじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。本
発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン
染料(例えば特開平5-341441号記載の化合物1〜9、特開
平5-165147号記載の化合物3-6〜18および3-23〜38な
ど)、アゾメチン染料(特開平5-341441号記載の化合物17
〜47など)、インドアニリン染料(例えば特開平5-289227
号記載の化合物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物
47、特開平5-165147号記載の化合物2-10〜11など)およ
びアゾ染料(特開平5-341441号記載の化合物10〜16)が挙
げられる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化
物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態
などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は
目的の吸収量によって決められるが、一般的に感材1m2
当たり1×10-6g以上1g以下の範囲で用いることが好まし
い。本発明における熱現像画像記録材料は、支持体の一
方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像
形成層としての感光性層を有し、他方の側にバック層を
有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0118】本発明においてバック層は、所望の範囲で
の最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。
所望の範囲が750〜1400nmである場合には、750〜360nm
においての光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好
ましく、さらに好ましくは0.001以上0.3未満の光学濃度
を有するハレーション防止層であることが好ましい。所
望の範囲が750nm以下である場合には、画像形成前の所
望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像
形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満にな
るようなハレーション防止層であることが好ましい。画
像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては
特に制限はないが、例えばベルギー特許第733,706号に
記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低
下させる方法、特開昭54-17833号に記載の光照射による
消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0119】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、このような染料は所望の範囲で目的の吸収を有
し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バッ
ク層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればい
かなる化合物でも良い。例えば以下に挙げるものが開示
されているが本発明はこれに限定されるものではない。
単独の染料としては特開昭59-56458号、特開平2-216140
号、同7-13295号、同7-11432号、米国特許5,380,635号
記載、特開平2-68539号公報第13頁左下欄1行目から同第
14頁左下欄9行目、同3-24539号公報第14頁左下欄から同
第16頁右下欄記載の化合物があり、処理で消色する染料
としては特開昭52-139136号、同53-132334号、同56-501
480号、同57-16060号、同57-68831号、同57-101835号、
同59-182436号、特開平7-36145号、同7-199409号、特公
昭48-33692号、同50-16648号、特公平2-41734号、米国
特許4,088,497号、同4,283,487号、同4,548,896号、同
5,187,049号がある。
【0120】本発明においてバック層の好適なバインダ
ーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリ
マー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィ
ルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロ
ース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブ
チレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプ
ン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポ
リ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレ
ン-無水マレイン酸)、コポリ(スチレン-アクリロニトリ
ル)、コポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ビニルアセ
タール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ
(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ
(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニル
アセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類
がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジ
ョンから被覆形成してもよい。
【0121】本発明に用いる熱現像写真用乳剤は、支持
体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成
は有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、
ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望
による追加の材料を含まなければならない。二層の構成
は、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀
塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にい
くつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全
ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含
んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写
真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを
含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載され
ているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよ
い。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層
は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されている
ように、各乳剤層(感光性層)の間に官能性もしくは非
官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別
されて保持される。米国特許第4,460,681号および同第
4,374,921号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backsi
de resistive heating layer)を感光性熱現像写真画像
系に使用することもできる。
【0122】本発明の熱現像画像記録材料の感光性層、
保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。
硬膜剤の例としては、米国特許4,281,060号、特開平6-2
08193号などに記載されているポリイソシアネート類、
米国特許4,791,042号などに記載されているエポキシ化
合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニル
スルホン系化合物類などが用いられる。本発明の熱現像
画像記録材料においてバインダーとして用いうるポリマ
ーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子と
して水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態
としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳
化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポ
リマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身
が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマ
ーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田
平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成
ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠
原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテ
ックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
および特開昭64-538号などに記載されている。分散粒子
の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程
度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特
に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒
径分布を持つものでもよい。
【0123】ポリマーラテックスとしては通常の均一構
造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型
のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス
転移温度を変えると好ましい場合がある。バインダーに
用いるポリマーラテックスのポリマーのガラス転移温度
(Tg)は保護層、バック層と画像形成層とでは好まし
い温度範囲が異なる。保護層、バック層は種々の機器と
接触するために膜強度、接着故障防止の観点から25℃
〜100℃のガラス転移温度が特に好ましく、画像形成
層は熱現像時に写真有用素材の拡散を促し、高Dmax、低
カブリなど良好な写真性を得るために−30℃〜40℃
のガラス転移温度が好ましく、特に好ましくはガラス転
移温度が0℃〜40℃である。また、画像形成層に用い
るポリマーラテックスのポリマーのゲル分率は、同様の
理由で30wt%〜90wt%であることが好ましい。この場
合のゲル分率は、ポリマーラテックスを用いて乾燥温度
70℃で造膜した膜サンプルを25℃のテトラヒドロフ
ラン(THF)に24時間浸漬し、不溶解物を定量し、
下記式に従って求めたものである。
【数1】ゲル分率(wt%)=[不溶解物の重量(g)/
ポリマーラテックスを用いた膜の重量(g)]×100
【0124】ポリマーラテックスに用いられるポリマー
種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、または
これらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖の
ポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋され
たポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノ
マーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、二種
以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリ
マーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマ
ーでも良い。ポリマーの分子量は重量平均分子量で50
00〜1000000、好ましくは10000〜100
000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものはバイ
ンダーとしての力学強度が不十分であり、大きすぎるも
のは造膜性が悪く好ましくない。
【0125】本発明の熱現像画像記録材料のバインダー
として用いられるポリマーラテックスの具体例としては
以下のようなものがある。メチルメタクリレート/エチ
ルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、メチルメ
タクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ヒド
ロキシエチルメタクリレート/スチレン/アクリル酸コ
ポリマー、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマ
ー、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタク
リル酸コポリマー、メチルメタクリレート/塩化ビニル
/アクリル酸コポリマー、塩化ビニリデン/エチルアク
リレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマー
など。またこのようなポリマーは市販もされていて、以
下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂
の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイセ
ル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、8
57、857x2(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT R3340、
R3360、R3370、4280、2830、2210(以上大日本インキ化
学(株)製)、ジュリマーET-410、530、SEK101-SEK30
1、FC30、FC35(以上日本純薬(株)製)、ポリゾールF
410、AM200、AP50(以上昭和高分子(株)製)など、ポ
リエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、8
50(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以
上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂と
してはHYDRAN AP10、20、30、40、VONDIC 1320NS(以上
大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはL
ACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C、LQ-618-1(以上大
日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、430、43
5、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹
脂としてはNipol G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)
など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭
化成工業(株)製)、アロンD7020、D5040、D5071(以上
東亜合成(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミ
パールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを
挙げることができる。これらポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて二種以上ブレンドして用いても良
い。
【0126】これらポリマーラテックスのうち保護層用
のバインダーとしてはアクリル系、スチレン系、アクリ
ル/スチレン系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系のポ
リマーラテックスが好ましく用いられ、具体的にはアク
リル樹脂系のVONCORT R3370、4280、Nipol Lx857、メチ
ルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/
ヒドロキシエチルメタクリレート/スチレン/アクリル
酸コポリマー、塩化ビニル樹脂のNipol G576、塩化ビニ
リデン樹脂のアロンD5071が好ましく用いられる。また
画像形成層用のバインダーとしてはスチレン/ブタジエ
ン系のポリマーラテックスが好ましく用いられ、具体的
にはゴム系樹脂のLACSTAR3307B、Nipol Lx430、435が好
ましく用いられる。バック層用のバインダーとしては、
アクリル系、オレフィン系、塩化ビニリデン系のポリマ
ーラテックスが用いられ、具体的にはアクリル樹脂系の
ジュリマーET-410、セビアンA-4635、ポリゾールF410な
ど、オレフィン樹脂系のケミパールS120、塩化ビニリデ
ン系のL502、アロンD7020などが好ましい。
【0127】本発明では写真構成層を水系の塗布液を塗
布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで
言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60wt%以上
が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としては
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメ
チルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコー
ル、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフ
ェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いること
ができる。本発明の保護層用の全バインダー量は0.2
〜6.0g/m2、より好ましくは0.5〜4.0g/m2
範囲が好ましい。本発明の画像形成層用の全バインダー
量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1.0〜15g
/m2の範囲が好ましい。本発明のバック層用の全バイン
ダー量は0.01〜3g/m2、より好ましくは0.05
〜1.5g/m2の範囲が好ましい。
【0128】それぞれの層には架橋のための架橋剤、塗
布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。こ
れらの各層は、2層以上設けられる場合がある。画像形
成層が2層以上である場合は、すべての層のバインダー
としてポリマーラテックスを用いることが好ましい。ま
た、保護層は画像形成層上に設けられる層であり2層以
上存在する場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層
の保護層にポリマーラテックスが用いられることが好ま
しい。また、バック層は支持体のバック面の下塗り層の
上部に設けられる層であり2層以上存在する場合もある
が、少なくとも1層、特に最外層のバック層にポリマー
ラテックスを用いることが好ましい。
【0129】ポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)
は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度
が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造
膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は一時可塑剤ともよ
ばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有
機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテッ
クスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に
記載されている。好ましい造膜助剤は以下の化合物であ
るが、本発明で用い得る化合物は以下の具体例に限定さ
れるものではない。 Z−1:ベンジルアルコール Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−
1,3−モノイソブチレート Z−3:2−ジメチルアミノエタノール Z−4:ジエチレングルコール
【0130】特に、保護層を形成する場合に造膜助剤を
添加することが好ましく、その添加量は保護層用の塗布
液中のポリマーラテックスの固形分に対し、1〜30重
量%であることが好ましく、さらには5〜20重量%で
あることが好ましい。本発明の画像形成層および保護層
に含まれる分散安定剤の親水性ポリマーには、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースなどが好ましく用いられる。
特に好ましいのは、ポリビニルアルコールである。
【0131】以下に本発明の画像形成層および保護層で
用いられる親水性ポリマーの具体例を示すが、本発明は
以下の化合物に限定されるものではない。
【化9】
【0132】これらの親水性ポリマーの添加量は画像形
成層のポリマーラテックスに由来するポリマーラテック
スバインダーの1〜30wt%であり、さらに5〜20wt%が好
ましい。また、保護層の親水性ポリマーの添加量は、保
護層のポリマーラテックスに由来するポリマーラテック
スバインダーの0.2〜20wt%が好ましく、さらに0.5〜10w
t%が好ましい。本発明の支持体の両面には塩化ビニリデ
ン共重合体を含む下塗り層が設けられている。このとき
の塩化ビニリデン共重合体は塩化ビニリデン単量体の繰
り返し単位(以下「塩化ビニリデン単量体」ともい
う。)を70重量%以上含むものである。塩化ビニリデ
ン単量体が70重量%未満の場合は、十分な防湿性が得
られず、熱現像後の時間経過における寸法変化が大きく
なってしまう。また、塩化ビニリデン共重合体は、塩化
ビニリデン単量体のほかの構成繰り返し単位としてカル
ボキシル基含有ビニル単量体の繰り返し単位(以下「カ
ルボキシル基含有ビニル単量体」ともいう。)を含むこ
とが好ましい。このような構成繰り返し単位を含ませる
のは、塩化ビニル単量体のみでは、重合体(ポリマー)
が結晶化してしまい、防湿層を塗設する際に均一な膜を
作り難くなり、また重合体(ポリマー)の安定化のため
にはカルボキシル基含有ビニル単量体が不可欠であるか
らである。
【0133】塩化ビニリデン共重合体は、70〜99.
9重量%、より好ましくは85〜99重量%の塩化ビニ
リデン単量体と0.1〜5重量%、より好ましくは0.
2〜3重量%のカルボキシル基含有ビニル単量体を含有
する共重合体である。塩化ビニリデン共重合体に用いら
れるカルボキシル基含有ビニル単量体とは分子内に1つ
以上のカルボキシル基を有するビニル単量体で、具体例
としてアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸などを挙げることができる。塩化ビニリデン共重
合体には塩化ビニリデン単量体、カルボキシル基含有単
量体以外にこれらと共重合可能な単量体の繰り返し単位
を含有させてもよい。これら単量体の具体例として、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、グ
リシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、スチレ
ン等を挙げることができる。 これらの単量体は単独で
用いても2種以上併用してもよい。
【0134】塩化ビニリデン共重合体の分子量は、重量
平均分子量で45000以下、さらには10000以上45000以下
が好ましい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重
合体層とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化し
てしまう。塩化ビニリデン共重合体は有機溶媒に溶かし
た形態でも、ラテックスの水分散物の形態でもどちらで
も良いが、ラテックスの水分散物の形態の方が好まし
い。この場合、均一構造のポリマー粒子のラテックスで
あってもコア部とシェル部で組成の異なったいわゆるコ
ア−シェル構造のポリマー粒子のラテックスでもよい。
ラテックス中のポリマー粒子の粒径等については、後述
の画像形成層や保護層のバインダーに用いられるものと
同様である。塩化ビニリデン共重合体の単量体単位の配
列については限定されず、周期、ランダム、ブロック等
のいずれであってもよい。
【0135】塩化ビニリデン共重合体の具体例として以
下のものを挙げることができる。ただし( )内の数字
は重量比を表す。また平均分子量は重量平均分子量を表
す。 V−1 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル
酸(90:9:1)のラテックス(平均分子量42000) V−2 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:メチルメ
タクリレート:アクリロニトリル:メタクリル酸(87:
4:4:4:1)のラテックス(平均分子量40000) V−3 塩化ビニリデン:メチルメタクリレート:グリシ
ジルメタクリレート:メタクリル酸(90:6:2:2)の
ラテックス(平均分子量38000) V−4 塩化ビニリデン:エチルメタクリレート:2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート:アクリル酸(90:8:
1.5:0.5)のラテックス(平均分子量44000) V−5 コアシェルタイプのラテックス(コア部90重量
%、シェル部10重量%) コア部 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:メチル
メタクリレート:アクリロニトリル:アクリル酸(93:
3:3:0.9:0.1) シェル部 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:メチ
ルメタクリレート:アクリロニトリル:アクリル酸(8
8:3:3:3:3)(平均分子量38000) V−6 コアシェルタイプのラテックス(コア部70重量
%、シェル部30重量%) コア部 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:メチル
メタクリレート:アクリロニトリル:メタクリル酸(9
2.5:3:3:1:0.5) シェル部 塩化ビニリデン:メチルアクリレート:メチ
ルメタクリレート:アクリロニトリル:メタクリル酸
(90:3:3:1:3)(平均分子量20000) 塩化ビニリデン共重合体は単独で用いても2種以上併用
してもよい。塩化ビニリデン共重合体の含有量は、塩化
ビニリデン共重合体を含有する下塗り層の片面当たりの
合計膜厚として0.3μm以上であり、好ましくは0.
3μm以上4μm以下の範囲である。
【0136】なお、下塗り層としての塩化ビニリデン共
重合体層は、支持体に直接設層される下塗り層第1層と
して設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ
設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。
2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重
合体量が合計で本発明の範囲となるようにすればよい。
上述のように、塩化ビニリデン共重合体層は、通常単層
構成とされるので、その厚さは、塗布面状を良好のもの
とするために、好ましくは0.3μm以上4μm以下、よ
り好ましくは0.6μm以上3μm以下、更に好ましくは
1.0μm以上2μm以下の範囲である。このような層に
は塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤な
どを含有させてもよい。
【0137】本発明の熱現像画像記録材料には、種々の
支持体を用いることができる。典型的な支持体は、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
などのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエス
テル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネートなどを
含む。このうち二軸延伸したポリエステル、特にポリエ
チレンテレフタレート(PET)は強度、寸法安定性、
耐薬品性などの点から好ましい。支持体の厚みは下塗り
層を除いたベース厚みで90〜180μmであることが
好ましい。本発明の熱現像画像記録材料に用いる支持体
は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和さ
せ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなくすために、1
30〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステ
ル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いら
れる。このような熱緩和処理は温度範囲内の一定温度で
実施してもよく、昇温しながら実施してもよい。
【0138】支持体の熱処理はロール状で実施してもよ
く、ウエッブ状で搬送しながら実施してもよい。ウエッ
ブ状で搬送しながら実施する場合、熱処理時の支持体の
搬送張力は比較的低い方が好ましく、具体的には7kg/
cm2以下、特に4.2kg/cm2以下にすることが好まし
い。このときの搬送張力の下限には特に制限はないが
0.5kg/cm2程度である。このような熱処理は、支持
体に対する画像形成層やバック層の接着性を向上させる
ための処理、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り
層の設層等を施した後に行うことが好ましい。このよう
な熱処理後における支持体の120℃30秒加熱による
熱収縮率は縦方向(MD)が−0.03%〜+0.01
%、横方向(TD)が0〜0.04%であることが好ま
しい。
【0139】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下
塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片
面または両面に設けてもよく、これら下塗り層の少なく
とも一層を導電層とすることができる。下塗り層の一般
的厚み(1層当たり)は0.01〜5μm、より好まし
くは0.05〜1μmであってよく、導電層とするとき
の厚みは0.01〜1μm、より好ましくは0.03〜
0.8μmである。本発明の熱現像画像記録材料の支持
体に隣接するバック層、または下塗り層中には、ゴミ付
着を減少させるために金属酸化物が含有されていること
が好ましく、バック層および下塗り層(支持体の両面に
設けられるもの)のうちの少なくとも1層を導電層とす
ることが好ましい。ただし、導電層は最外層のバック層
でない方が好ましい。
【0140】ここで、用いられる金属酸化物は特開昭61
-20033号、同56-82504号公報に記載されているものが特
に好ましい。導電性金属酸化物の使用量は、熱現像画像
記録材料1m2当たり0.05〜20gが好ましく、特に
0.1〜10gが好ましい。金属酸化物含有層の表面抵
抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1012Ω以下で、
好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な帯電
防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は特に
制限されないが、通常107Ω程度である。
【0141】本発明においては、上記金属酸化物の他
に、さらに含フッ素界面活性剤を併用することによって
さらに良好な帯電防止性を得ることができる。本発明に
用いられる好ましい含フッ素界面活性剤としては、炭素
数4以上(通常15以下)のフルオロアルキル基、フル
オロアルケニル基、またはフルオロアリール基を有し、
イオン性基としてアニオン基(スルホン酸(塩)、硫酸
(塩)、カルボン酸(塩)、リン酸(塩))、カチオン
基(アミン塩、アンモニウム塩、芳香族アミン塩、スル
ホニウム塩、ホスホニウム塩)、ベタイン基(カルボキ
シアミン塩、カルボキシアンモニウム塩、スルホアミン
塩、スルホアンモニウム塩、ホスホアンモニウム塩、)
またはノニオン基(置換、無置換のポリオキシアルキレ
ン基、ポリグリセリル基またはソルビタン残基)を有す
る界面活性剤が挙げられる。これらの含フッ素界面活性
剤は特開昭49-10722号、英国特許第1,330,356号、米国
特許第4,335,201号、同4,347,308号、英国特許第1,417,
915号、特開昭55-149938号、同58-196544号、英国特許
第1,439,402号などに記載されている。
【0142】これらの具体例のいくつかを以下に記す。
【化10】
【0143】含フッ素界面活性剤を添加する層は熱現像
画像記録材料の少なくとも1層であれば特に限定され
ず、例えば保護層、画像形成層、中間層、下塗り層、バ
ック層などを挙げることができる。その中でも好ましい
添加場所としては保護層であり、画像形成層側もしくは
バック層側のどちらか一方でもよいが、少なくとも画像
形成層側の保護層に添加した場合はさらに好ましい。保
護層が2層以上から成る場合はそのいずれの層でもよ
く、また保護層の上にさらにオーバーコートして用いる
こともできる。含フッ素界面活性剤の使用量は熱現像画
像記録材料の1m2当たり0.0001〜1gであればよ
いが、より好ましくは0.0002〜0.25g、特に
好ましいのは0.0003〜0.1gである。また、含
フッ素界面活性剤は、2種以上混合してもよい。
【0144】本発明においては画像形成層を有する面お
よび/またはその反対面の最表面層に滑り剤を含有させ
ることが好ましい。本発明における滑り剤とは、特に制
限はなく物体表面に存在させた時に、存在させない場合
に比べて物体表面の摩擦係数を減少させる化合物であれ
ばいずれでもよい。本発明に用いられる滑り剤の代表的
なものとしては例えば米国特許第3,042,522号、英国特
許第955,061号、米国特許第3,080,317号、同第4,004,92
7号、同第4,047,958号、同第3,489,567号、英国特許第
1,143,118号等に記載のシリコーン系滑り剤、米国特許
第2,454,043号、同第2,732,305号、同第2,976,148号、
同第3,206,311号、独国特許第1,284,295号、同第1,284,
294号等に記載の高級脂肪酸系、アルコール系、酸アミ
ド系滑り剤、英国特許第1,263,722号、米国特許第3,93
3,516号等に記載の金属石けん、米国特許第2,588,765
号、同第3,121,060号、英国特許第1,198,387号等に記載
のエステル系、エーテル系滑り剤、米国特許第3,502,47
3号、同第3,042,222号に記載のタウリン系滑り剤等があ
る。
【0145】好ましく用いられる滑り剤の具体例として
は、セロゾール524(主成分カルナバワックス)、ポ
リロンA,393,H−481(主成分ポリエチレンワ
ックス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレンビ
スステアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270
(主成分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂
(株)製)などがある。滑り剤の使用量は添加層のバイ
ンダー量の0.1〜50重量%であり、好ましくは0.
5〜30重量%である。本発明における熱現像画像記録
材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-13
295号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法が
ある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許
第1,326,889号、米国特許第3,432,300号、同第3,698,90
9号、同第3,574,627号、同第3,573,050号、同第3,764,3
37号および同第4,042,394号に例示されている。
【0146】本発明における熱現像写真乳剤は、浸漬コ
ーティング、エアナイフコーティング、フローコーティ
ングまたは、米国特許第2,681,294号に記載の種類のホ
ッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティ
ング操作により被覆することができる。所望により、米
国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載
の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する
ことができる。本発明における熱現像画像記録材料の中
に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料
受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護ト
ップコート層および光熱写真技術において既知のプライ
マー層などを含むことができる。本発明の感材はその感
材一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等
の画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないこと
が好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の像様露光に
用いる露光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能
な装置であればいずれでもよいが、一般的にはLD(La
serDiode)、LED(Light Emitting Diode)を光源
に使用した露光装置が好ましく用いられる。特に、LD
は高出力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源
は目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生すること
ができるものであればいずれでもよい。例えばLDであ
れば、色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半
導体レーザーなどを用いることができる。
【0147】本発明の熱現像画像記録材料に対する露光
は光源の光ビームをオーバーラップさせて露光し、オー
バーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいこ
とをいう。オーバーラップとは例えば、ビーム径をビー
ム強度の半値幅(FWHM)で表わしたときFWHM/
副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現
することができる。本発明ではこのオーバラップ係数が
0.2以上0.5以下であり、高生産性の観点からは値
が低い方が望ましい。本発明に使用する露光装置の光源
の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒
内面走査方式、平面走査方式などを用いることができ
る。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチ
チャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチ
チャンネルが好ましく用いられる。本発明の熱現像画像
記録材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやす
い傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開
平5-113548号などに開示されているレーザー光を熱現像
画像記録材料に対して斜めに入光させる技術や、国際特
許WO95/31754号などに開示されているマルチモードレ
ーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を
用いることが好ましい。
【0148】本発明の熱現像画像記録材料に対し画像形
成を行う加熱現像工程はいかなるものであっても良く、
いかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイ
ズに露光した熱現像画像記録材料を昇温して現像され
る。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現
像画像記録材料をヒートローラーやヒートドラムなどの
熱源に接触させるタイプとして特公平5-56499号、特許
公報第684453号、特開平9-292695号、特開平9-297385号
および国際特許WO95/30934号に記載の熱現像機、非接
触型のタイプとして特開平7-13294号、国際特許WO97/
28489号、同97/28488号および同97/28487号に記載の熱
現像機がある。特に好ましい態様としては非接触型の熱
現像機である。好ましい現像温度としては80〜250℃で
あり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間と
しては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好まし
い。本発明の熱現像画像記録材料の熱現像時の寸法変化
による処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃
未満(好ましくは113℃以下)の温度で画像が出ないよ
うにして5秒以上加熱した後、110℃以上140℃以下で熱
現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方
法)が有効である。
【0149】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理
に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は
熱現像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機
は熱現像画像記録材料10を平面状に矯正および予備加
熱しながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部
ローラーがヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱
現像画像記録材料10を平面状に矯正しながら加熱部か
ら搬出する搬出ローラー対12を有する。熱現像画像記
録材料10は搬入ローラー対11から搬出ローラー対1
2へと搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱
現像画像記録材料10を搬送する搬送手段は画像形成層
を有する面が接触する側に複数のローラー13が設置さ
れ、その反対側のバック面が接触する側には不織布(例
えば芳香族ポリアミドやテフロンから成る)等が貼り合
わされた平滑面14が設置される。熱現像画像記録材料
10は画像形成層を有する面に接触する複数のローラー
13の駆動により、バック面は平滑面14の上を滑って
搬送される。加熱手段はローラー13の上部および平滑
面14の下部に熱現像画像記録材料10の両面から加熱
されるように加熱ヒーター15が設置される。この場合
の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げられる。ロー
ラー13と平滑面14とのクリアランスは平滑面の部材
により異なるが、熱現像画像記録材料10が搬送できる
クリアランスに適宜調整される。好ましくは0〜1mm
である。
【0150】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像画像記録材料1
0の搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面
の材質はシリコーンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリア
ミドまたはテフロン(PTFE)製の不織布が好まし
い。加熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ
加熱温度を自由に設定することが好ましい。なお、加熱
部は、搬入ローラー対11を有する予備加熱部Aと加熱
ヒーター15を備えた熱現像処理部Bとで構成される
が、熱現像処理部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温
度よりも低く(例えば10〜50℃程度低く)、熱現像
画像記録材料10の支持体のガラス転移温度(Tg)よ
りも高い温度で、現像ムラが出ないように設定すること
が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流にはガイド板
16が設置され、搬出ローラー対12とガイド板16と
を有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16は熱伝導
率の低い素材が好ましく、冷却は徐々に行うのが好まし
い。以上、図示例に従って説明したが、これに限らず、
例えば特開平7-13294号、特願平10-177610号、特願平10
-249940号に記載のものなど、本発明に用いられる熱現
像機は種々の構成のものであってもよい。また、本発明
において好ましく用いられる多段加熱方法の場合は、加
熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる
温度で加熱するようにすればよい。
【0151】
【実施例】以下に実施例を記載して、本発明をさらに具
体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作
等は、本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具
体例に制限されるものではない。
【0152】(実施例1) (1)ベースの作成 テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い
IV(固有粘度)=0.66(フェノ−ル/テトラクロ
ルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを
得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥
し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、
熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸
フィルムを作成した。これを周速の異なるロ−ルを用い
3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸
を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、13
0℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後こ
れと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−
のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行
い、4.8kg/cm2で巻き取った。このようにして、幅
2.4m、長さ3500m、厚み120μmのロ−ルを
得た。
【0153】(2)下塗り層(a)の形成 ベースの両面に、下記の各成分を含有する塗布液を塗布
し、180℃で4分間乾燥することによって、下記の各
成分濃度を有する下塗り層(a)を形成した。下塗り層
(a)の乾燥厚み(片面)は2.0μmであった。 ポリマーラテックスV−5 (コア部90重量%、シェル部10重量%のコアシェルタイプのラテックスで、 コア部が塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリ ロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(重量%)からなり、 シェル部が塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アク リロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(重量%)からなる重量平均 分子量38000のラテックス) 固形分量3.0g/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23mg/m2 マット剤(ポリスチレン,平均粒径2.4μm) 1.5mg/m2
【0154】(3)下塗り層(b)の形成 ベースの両面に形成した下塗り層(a)の上に、下記の
各成分を含有する塗布液を両面に塗布し、180℃で4
分間乾燥することによって、下記の各成分濃度を有する
下塗り層(b)を形成した。 アルカリ処理ゼラチン (Ca2+含量30ppm、ゼリー強度230g) 50mg/m2
【0155】(4)導電層の形成 下塗り層(b)の上に、下記の各成分を含有する塗布液
を片面だけ塗布し、180℃で4分間乾燥することによ
って、下記の各成分濃度を有する導電層を形成した。 ジュリマーET-410(日本純薬(株)製) 96mg/m2 アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 42mg/m2 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 8mg/m2 化合物A 0.2mg/m2 ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 18mg/m2 染料A 783nmの光学濃度が1.0になる塗布量 SnO2/Sb(9/1重量比、針状微粒子、長軸/短軸=20〜30、 石原産業(株)製) 160mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート、平均粒子径5μm) 7mg/m2
【0156】
【化11】
【0157】(5)保護層の形成 片面に形成した導電層の上に、下記の各成分を含有する
塗布液を塗布し、180℃で4分間乾燥することによっ
て、下記の各成分濃度を有する保護層を形成した。 ポリマーラテックス (メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/ 2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸 =59/9/26/5/1(重量%の共重合体)) 1000mg/m2 ポリスチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 2.6mg/m2 セロゾール524(中京油脂(株)) 25mg/m2 スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) 218mg/m2
【0158】(6)搬送熱処理 得られた支持体を160℃に設定した全長200mの熱
処理ゾーンに入れ、張力3kg/cm2、搬送速度20m/
分で搬送することによって熱処理した。引き続き、40
℃のゾーンに15秒間通して後熱処理を行い巻き取っ
た。この時の巻き取り張力は10kg/cm2であった。
【0159】(7)画像形成層および保護層の形成 《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤A)水700mlにフタル化ゼラチン11gおよび臭化カ
リウム30mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを
溶解して温度40℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.
6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットル
(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6モル/リット
ルおよびK3IrCl6を2×10-5モル/リットルで含む
水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェッ
ト法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5g
を含む水溶液476mlと臭化カリウムを1モル/リットルお
よびK3IrCl6を2×10-5モル/リットルで含むハロ
ゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブル
ジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下
げて凝集沈降させて脱塩処理をし、化合物Aを0.17g、
脱イオンゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以
下)23.7g加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒
子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(10
0)面比率90%の立方体粒子であった。こうして得たハロ
ゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりベンゼン
チオスルホン酸ナトリウム76μモルを添加し、3分後に
チオ硫酸ナトリウム154μモルを添加して、100分熟成
し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−
テトラザインデンを5×10-4モル加えた後、40℃に降温
させた。その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1モ
ルに対して12.8×10-4モルの下記増感色素A、6.4×10
-3モルの化合物Bを撹拌しながら添加し、20分後に30℃
に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0160】
【化12】
【0161】《有機酸銀分散物の調製》 <有機酸銀A>アラキン酸6.1g、ベヘン酸37.6g、蒸留
水700ml、tert-ブタノール70ml、1N-NaOH水溶液123mlを
混合し、75℃で1時間攪拌し反応させ、65℃に降温し
た。次いで、硝酸銀22gの水溶液112.5mlを45秒かけて添
加し、そのまま5分間放置し、30℃に降温した。その
後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度
が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形
分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、
乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリビ
ニルアルコール(商品名:PVA-217)7.5gおよび水を添加
し、全体量を500gとしてからホモミキサーにて予備分
散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マ
イクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロフ
ルイデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力
を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、有機酸銀分
散物Aを得た。こうして得た有機酸銀分散物に含まれる
有機酸銀粒子は平均短径0.04μm、平均長径0.8μm、変
動係数30%の針状粒子であった。粒子サイズの測定は、M
alvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。
冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバ
ーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所
望の分散温度に設定した。こうして、ベヘン酸銀含有率
85モル%の有機酸銀Aを調製した。
【0162】《1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンの固体微粒子分散物
の調製》1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニ
ル)-3,5,5-トリメチルヘキサン20gに対してクラレ(株)
製MPポリマーのMP-203を3.0gと水を77ml添加してよく
攪拌して、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5
mmのジルコニアビーズを360g用意してスラリーと一緒に
ベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて3時間分散し還元剤固体
微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が
0.3μm以上1.0μm以下であった。 《トリブロモメチルフェニルスルホンの固体微粒子分散
物の調製》トリブロモメチルフェニルスルホン30gに対
してヒドロキシプロピルメチルセルロース0.5g、化合物
C0.5gと、水88.5gを添加し良く攪拌してスラリーとし
て3時間放置した。その後、還元剤固体微粒子分散物の
調製と同様にして被り防止剤の固体微粒子分散物を調製
した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μm以上1.0μm以
下であった。
【0163】《ポリハロゲン化合物の固体微粒子分散物
Aの調製》下記カブリ防止剤A30gに対してクラレ(株)
製MPポリマーのMP-203を4g、化合物C0.25gと、水66g
を添加し良く攪拌し、その後、0.5mmのジルコニアビー
ズを200g用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分
散機(1/16Gサンドグラインダーミル:アイメックス
(株)製)にて5時間分散し固体微粒子分散物を調製し
た。粒子径は、粒子の80重量%が0.3μm以上1.0μm以下
であった。
【化13】
【0164】《画像形成層塗布液の調製》上記で作成し
た有機酸銀微結晶分散物の銀1モルに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えて、画像形成層塗布液とした。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 406g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として 119g トリブロモメチルフェニルスルホン 固形分として 11.6g ポリハロゲン化合物の固体微粒子分散物A 10.0g ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 0.44g ベンゾトリアゾール 1.25g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA-235) 1.04g iso-プロピルフタラジン 0.10モル オルトりん酸二水素ナトリウム 0.13g 現像抑制剤A 9.38g 造核剤(本発明の化合物C-62) 0.03モル 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.05モル
【0165】
【化14】
【0166】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒ
ドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=59/9/2
6/5/1(wt%)のポリマーラテックス(共重合体のTg=54
℃、造膜助剤として化合物Dを共重合体固形分に対し、
15wt%、固形分濃度44wt%)102gに、化合物Eを0.125g、
およびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-23
5)2.3g、さらに表5および表6のマット剤0.2gを加え
て保護層塗布液を調製した。保護層塗布液のpHは、5.8
〜6.4であった。 《画像形成層および保護層の形成》PET支持体の下塗
り層(a)および下塗り層(b)を形成した側に、画像形成層
塗布液とその上に保護層塗布液を、画像形成層の塗布銀
量1.6g/m2、保護層のポリマーラテックスの固形分の塗
布量1.3g/m2になるように同時に重層塗布し、乾燥温度6
5℃3分で乾燥した。
【0167】(8)オーバーコート層の形成 メチルメタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルア
クリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アク
リル酸=59/9/26/5/1(wt%)のポリマーラテックス
(共重合体のTg=54℃、造膜助剤として化合物Dを共重
合体固形分に対し、15wt%、固形分濃度44wt%)102gに、
化合物Fを2.4g、化合物Eを0.125g、カルナヴァワック
ス(中共油脂(株)製、セロゾール524)30wt%溶液2.5gおよ
びポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-235)2.3
g、さらに表5および表6のマット剤0.3gを加えてオー
バーコート層塗布液を調製した。このオーバーコート層
塗布液のpHは、5.8〜6.4であった。上で形成した保護層
上にオーバーコート層塗布液を、オーバーコート層のポ
リマーラテックスの固形分の塗布量4.3g/m2になるよう
に塗布し、乾燥温度65℃3分で乾燥することによって、
熱現像画像記録材料を製造した。
【0168】
【化15】
【0169】(9)評価 得られた試料について、下記に示す評価法に従って、写
真性、熱現像処理適性を評価した。 《写真性能の評価》得られた各熱現像画像記録材料をあ
らかじめ、25℃、20%RHまたは70%RHに調湿した後、ビー
ム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載し
た単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用
し、ミラーの回転数を変化させることにより露光時間
を、出力値を変えることにより露光量を調整し、2×10
-8秒で露光した。この時のオーバーラップ係数(FWH
M/副走査のピッチ幅)は0.5である。露光済みの熱現像
画像記録材料を図1の熱現像機を用いて、熱現像処理部
のローラー表面材質はシリコーンゴム、平滑面は芳香族
ポリアミド不織布にして予備加熱部90〜100℃で5秒、熱
現像処理部120℃で20秒間熱現像処理を行った。なお、
幅方向の温度精度は±1℃であった。得られた画像の評
価をマクベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。測
定の結果は、Dmin、コントラスト、感度(Dminより1.0高
い濃度を与える露光量の比の逆数)で評価した。コント
ラストは露光量の対数を横軸として、濃度0.3と3.0の点
を結ぶ直線の傾きで表した。
【0170】《熱現像処理適性》図1の熱現像機を用い
て、画像形成層を有する面がヒートドラム側になるよう
に試料を通して、ヒートドラムからの試料の剥離のし易
さを評価した。◎、○、△が実用上許容されるレベルで
ある。 ◎:環境条件を様々に変えても自然に剥離する。 ○:自然に剥離する。 △:剥離のキッカケを与えるとその後は自然に剥離す
る。 ×:強制的に剥がす必要がある。 ××:強制的に剥がす必要あり、ドラムから取れないこ
ともある。 その結果を表5および表6に示す。表5および表6に示
すように本発明の試料は、写真性を損なうことなく、製
造条件に関わらず熱現像処理適性に優れることがわか
る。
【0171】
【表5】
【0172】
【表6】
【0173】(実施例2)実施例1において造核剤とし
て使用したC−62の代わりに、C−1、C−8、C−
42、表1に記載の1a、3aをそれぞれ用いて本発明
の熱現像画像記録材料を製造した。製造した熱現像画像
記録材料も、写真性能と熱現像処理適性がともに優れて
いた。
【0174】
【発明の効果】本発明によれば、写真性能に優れ、熱現
像処理適性あるいは熱現像処理後の取扱い性が良好な熱
現像画像記録材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像記録材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀および還元剤を含む少なくとも1層の画像形成層と、
    該画像形成層上に設けられた少なくとも1層の保護層と
    を有する熱現像画像記録材料において、比重が0.9〜
    1.1のマット剤を含有することを特徴とする熱現像画
    像記録材料。
  2. 【請求項2】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀および還元剤を含む少なくとも1層の画像形成層と、
    該画像形成層上に設けられた少なくとも1層の保護層と
    を有する熱現像画像記録材料において、架橋された化合
    物からなるマット剤を含有することを特徴とする熱現像
    画像記録材料。
  3. 【請求項3】 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化
    銀および還元剤を含む少なくとも1層の画像形成層と、
    該画像形成層上に設けられた少なくとも1層の保護層と
    を有する熱現像画像記録材料において、高分子分散剤で
    分散されたマット剤を含有することを特徴とする熱現像
    画像記録材料。
  4. 【請求項4】 前記マット剤がポリマー粒子である請求
    項1〜3のいずれかに記載の熱現像画像記録材料。
  5. 【請求項5】 ポリマーラテックスが前記画像形成層か
    前記保護層の少なくとも一方に含まれている請求項1〜
    4のいずれかに記載の熱現像画像記録材料。
  6. 【請求項6】 前記画像形成層が、下記一般式(1)〜
    (3)で表される化合物およびヒドラジン誘導体からな
    る群から選択される少なくとも1種の造核剤を含有する
    請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像画像記録材料。 【化1】 [一般式(1)において、R1、R2およびR3は、それぞ
    れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
    基またはシリル基を表す。一般式(1)においてR 1
    Z、R2とR3、R1とR2、およびR3とZは、それぞれ
    互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式
    (2)においてR4は、置換基を表す。一般式(3)におい
    て、XおよびYは、それぞれ独立に水素原子または置換
    基を表し、AおよびBはそれぞれ独立にアルコキシ基、
    アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールオキシ
    基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環オキシ基、
    ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を表す。一般式
    (3)においてXとY、およびAとBは、それぞれ互いに
    結合して環状構造を形成していてもよい。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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