JP2002258438A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2002258438A
JP2002258438A JP2001391590A JP2001391590A JP2002258438A JP 2002258438 A JP2002258438 A JP 2002258438A JP 2001391590 A JP2001391590 A JP 2001391590A JP 2001391590 A JP2001391590 A JP 2001391590A JP 2002258438 A JP2002258438 A JP 2002258438A
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JP2001391590A
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Toshihide Ezoe
利秀 江副
Takahiro Goto
孝浩 後藤
Katsuyuki Watanabe
克之 渡辺
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高
く、かつ感光材料を長期間保管したり、高温で短期間保
管したりしてもカブリの上昇が少なく、さらに処理後の
感光材料を長期間保管してもカブリの上昇が少ない熱現
像感光材料を提供すること。 【解決手段】 支持体の一方面上に、非感光性有機銀
塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、お
よびバインダーを有する熱現像感光材料において、非感
光性有機銀塩上および近傍に現像開始点を形成可能な化
学種をイメージワイズに生成する化合物の少なくとも1
種を含有し、該感光性ハロゲン化銀が750〜1400
nmの範囲で分光増感されていることを特徴とする熱現
像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高く、か
つ、感光材料を長期間保管した場合や高温で短期間保管
した場合のカブリの上昇が少なく、さらに処理後の感光
材料を長期間保管することができる熱現像感光材料に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性の画像形成層を有し、
画像露光することで画像形成を行う感光材料が、数多く
知られている。その中には、環境保全に寄与し画像形成
手段を簡易化できるシステムとして、熱現像により画像
を形成する技術がある。近年、写真製版分野においては
環境保全や省スペースの観点から処理廃液の減量が強く
望まれるようになっている。そこで、レーザー・スキャ
ナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に
露光させることができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有
する鮮明な黒色画像を形成することができる写真製版用
途の熱現像感光材料に関する技術開発が必要とされてい
る。このような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化
学薬品を必要としない、より簡単で環境を損なわない熱
現像処理システムを顧客に対して供給することが可能に
なる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,4
57,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Kl
osterboer)による「熱によって処理される銀システム
(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメー
ジング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imag
ing Processes and Materials)Neblette 第8版、
J.スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walwor
th)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章第279
頁、1989年)に記載されている。このような熱現像
感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有する。感光材料は常温で安定である
が、露光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したと
きに、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光により形成された潜像の触媒作用によ
って促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応に
よって生成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をな
すことから画像の形成がなされる。
【0004】従来から知られている熱現像感光材料は、
トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール
などの有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することによ
り画像形成層を形成しているものが多い。有機溶剤を溶
媒として用いることは、製造工程で人体へ悪影響が及ぶ
だけでなく、溶剤の回収その他の工程が必要になるため
コスト上も不利である。そこで、水を溶媒とする塗布液
を用いて画像形成層を形成する方法が提案されている。
例えば特開昭49−52626号公報、特開昭53−1
16144号公報などには、ゼラチンをバインダーとす
る画像形成層が記載されている。また特開昭50−15
1138号公報には、ポリビニルアルコールをバインダ
ーとする画像形成層が記載されている。さらに特開昭6
0−61747号公報には、ゼラチンとポリビニルアル
コールを併用した画像形成層が記載されている。これ以
外の例として特開昭58−28737号公報には、水溶
性ポリビニルアセタールをバインダーとする画像形成層
が記載されている。このようなバインダーを用いれば、
水溶媒の塗布液を用いて画像形成層を形成することがで
きるため、環境面およびコスト面のメリットは大きい。
【0005】しかしながら、ポリビニルアルコール、水
溶性ポリアセタールなどのポリマーをバインダーとして
用いると、現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色
からかけ離れた茶色や黄色になるうえ、露光部の黒化濃
度が低くて未露光部の濃度が高い等の問題があり、商品
価値が著しく損なわれたものしか得られなかった。さら
に、上記の熱現像システムでは従来の化学処理システム
に比べ、感光材料を長期間保存するとカブリが上昇す
る、あるいは、高温の場所に一時的に保管した場合に短
時間でカブリが上昇してしまうという問題があった。加
えて、上記の熱現像システムでは従来の化学処理感光材
料に比べ、熱現像処理後の感光材料を長期間保管するこ
とによりカブリが上昇しやすいという問題があった。こ
のため、前述の水溶媒の塗布液で用いるバインダーで、
カブリが低くDmax(最高濃度)が高く、高コントラ
ストな画像を得ることができ、かつ感光材料を長期間保
管したり、高温で短期間保管した場合にもカブリの上昇
が少なく、さらに処理後の感光材料を長期間保管しても
カブリの上昇が少ない熱現像感光材料を提供することが
望まれていた。
【0006】一方、製版用感光材料は、印刷工程の中で
は中間材料として用いられ刷版を作製するためのマスク
として使用されている。近年、印刷工程全般においてデ
ジタル化、作業の自動化が浸透してきており刷版作製工
程では製版機の導入によりPS版への露光及び現像が自
動化されている。製版機は、自動搬送あるいは自動露光
などのために必要な情報(バーコードあるいはトンボ)
が書き込まれた感光材料を、製版機のセンサーが読み込
むことにより作動するシステムとなっている。これらセ
ンサーには670nm付近のレーザーダイオードが使用
されている。すなわち感光材料に書き込まれた情報が6
70nmで読み取れることが必須であり、感光材料とし
ては670nm付近のDmin(最低濃度)の低いこ
と、特に可視吸収の小さいハレーション防止染料を使用
することが好ましいことになる。
【0007】赤外線露光を前提とした感光材料では増感
色素、ハレーション防止染料の可視吸収を大幅に少なく
することができ、実質的に色のない感光材料を容易に作
ることができる。
【0008】しかし、赤外線を吸収し分光増感する色素
は一般的にHOMOが高いため強い還元能を有し、感光
材料中の銀イオンを還元し、感光材料のカブリを悪化さ
せる傾向にある。特に、高温、高湿といった条件での保
存や、長期の保存では著しい性能変化が伴う場合があ
る。また保存性の劣化を防ぐためにHOMOの低い色素
を用いると、相対的にLUMOも低くなり分光増感効率
が低下し、感度が低くなる。このような感度、保存性、
性能変動に対する問題は、湿式写真感光材料だけでな
く、熱現像感光材料においては更に顕著となる。
【0009】そこで、カブリが低く、かつ露光前保存時
のカブリの上昇および感度変動の少ない画像を得ること
が可能で、環境面・コスト面で有利な熱現像感光材料、
さらにはDmax(最高濃度)が高い写真製版用途に最
適な熱現像感光材料を提供する技術が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する第一の課題は、特に写真製版用、中でもスキャナ
ー、イメージセッター用熱現像感光材料において、カブ
リが低く、Dmax(最高濃度)が高く、かつ感光材料
を長期間保管したり、高温で短期間保管したりしてもカ
ブリの上昇が少なく、さらに処理後の感光材料を長期間
保管してもカブリの上昇が少ない熱現像感光材料を提供
することにある。さらに、本発明の解決しようとする第
二の課題は環境面、コスト面で有利な水系塗布可能な熱
現像感光材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、支持体の一方面上に、非感光性有機銀塩、
感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、および
バインダーを有する熱現像感光材料において、非感光性
有機銀塩上および近傍に現像開始点を形成可能な化学種
をイメージワイズに生成する化合物の少なくとも1種を
含有し、該感光性ハロゲン化銀が750〜1400nm
の範囲で分光増感されていることを特徴とする本発明の
熱現像感光材料によれば、課題を解決しうることを見出
した。
【0012】本発明の熱現像感光材料においては、非感
光性有機銀塩上および近傍に現像開始点を形成可能な化
学種をイメージワイズに生成する化合物の代わりに、
0.01mol/銀molで添加することにより現像銀
粒子密度が200〜5000%に増加する化合物、また
は、0.01mol/銀molで添加することによりカ
バリングパワーが120〜1000%に増加する化合物
を用いることによっても、課題を解決することができ
る。
【0013】本発明の熱現像感光材料は、少なくとも1
種の下記一般式(T)で表される化合物を含有すること
が好ましい。
【化2】 (式中、R1は水素原子、−OM2、ヘテロ原子を少なく
とも1つ含有する基で少なくとも1つ置換されたアルキ
ル基、またはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカ
ルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ
基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカ
ルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイ
ル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホ
ニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、
ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル
基、リン酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル
基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリー
ル基、またはヘテロ環基を表す。Lは連結基を表し、M
1およびM2は水素原子またはカチオンを表す。mは0〜
5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。但し、mが
0の場合、およびmが1でかつR1が−OHの場合はL
はハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、アリ
ールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル
オキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ
基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ
基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ
基、スルホ基、リン酸エステル基、ヘテロ環基から選ば
れる1〜3個の基で置換された連結基を表す。)
【0014】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。なお、本明細書におい
て「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値
および最大値として含む範囲を示す。まず、本発明の熱
現像感光材料に用いられる、非感光性有機銀塩上およ
び近傍に現像開始点を形成可能な化学種をイメージワイ
ズに生成する化合物、0.01mol/銀molで添
加することにより現像銀粒子密度が200〜5000%
に増加する化合物、0.01mol/銀molで添加
することによりカバリングパワーが120〜1000%
に増加する化合物について説明する。なお、本明細書で
は、これら〜のいずれかに該当する化合物を「本発
明の化合物」という。
【0015】先ず、非感光性有機銀塩上および近傍に
現像開始点を形成可能な化学種をイメージワイズに生成
する化合物について説明する。の化合物が感光材料中
に存在しない場合は、露光により潜像が形成したハロゲ
ン化銀上でのみ、物理現像が進行する。の化合物が感
光材料中に存在する場合は、露光により潜像が形成した
ハロゲン化銀上で起こる物理現像に伴って生成する化学
種、例えば現像主薬酸化体との化合物が反応し、非感
光性有機銀塩上および近傍に現像開始点を形成可能な化
学種が生成する。その化学種が非感光性銀塩、例えばベ
ヘン酸銀上および近傍に現像開始点を形成し、そこから
物理現像が起こる。すなわち、の化合物が感光材料中
に存在する場合は、露光により潜像が形成したハロゲン
化銀上、およびイメージワイズに現像開始点が形成され
た非感光性有機銀塩上および近傍の両方で物理現像が進
行する。
【0016】図1は、の化合物が0.01mol/銀
molで感光材料中に存在する場合(A)、および存在
しない場合(B)の両方について、現像後の感光材料を
厚さ2μmに切削し、その薄片の電子顕微鏡写真を撮影
した結果である。撮影対象となった熱現像感光材料は、
特願2000−393931号明細書の実施例1におけ
る実験No.1の熱現像感光材料(特願2001−39
0779号明細書の実施例1における実験No.1の熱
現像感光材料と同一)であり、現像処理は当該実施例1
に記載される通りに行った。本発明の化合物を添加する
ことによりが現像銀粒子の数が、大幅に増加しているこ
とが図1より明らかである。
【0017】次に、0.01mol/銀molで添加
することにより現像銀粒子密度が200〜5000%に
増加する化合物について説明する。現像銀粒子密度の増
加量は、感光材料中の全ての銀イオンが還元されたサン
プルについて、前記図1に示すような写真を撮影し、単
位面積当たりの現像銀粒子の数を数え、その密度を比較
することにより得ることができる。本発明の化合物が感
光材料中に存在する場合は、該化合物が感光材料中に存
在しない場合に比べ、現像銀粒子密度が200〜500
0%に増加する。より好ましい化合物の現像銀粒子密度
増加率は500〜3000%である。
【0018】次に、0.01mol/銀molで添加
することによりカバリングパワーが120〜1000%
に増加する化合物について説明する。本明細書において
「カバリングパワー」とは、感光材料中の全ての銀イオ
ンが還元されたサンプルについて、可視濃度を現像銀量
(g/m2)で割った値である。本発明の化合物による
カバリングパワーの増加は、前記図1の(A)と(B)
の比較からわかるように、より小さな現像銀粒子が数多
く形成されることによる。より好ましい化合物のカバリ
ングパワー増加率は150〜500%である。
【0019】次に,上記〜のいずれかに該当する本
発明の化合物の具体例として、特開2000−2843
99号公報に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導
体(具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジ
ン誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平1
0−161270号公報、特開平10−62898号公
報、特開平9−304870号公報、特開平9−304
872号公報、特開平9−304871号公報、特開平
10−31282号公報、米国特許第5,496,69
5号明細書、欧州特許公開EP741,320A号公報
に記載のすべてのヒドラジン誘導体、特開2000−2
84399号公報に記載の式(1)〜(3)で表される
置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体およ
び特定のアセタール化合物、さらには同明細書に記載の
式(A)または式(B)で表される環状化合物、具体的
には同明細書の化8〜化12に記載の化合物1〜72を
挙げることができる。
【0020】本発明の化合物としては、特開平11−1
49136号公報に記載の一般式(1)に示す化合物が
より好ましく用いられる。一般式(1)で示される化合
物の具体例を以下に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】
【表9】
【0030】
【表10】
【0031】
【表11】
【0032】
【表12】
【0033】また、特願2000−313207号明細
書に記載の蟻酸プレカーサーも好ましく用いられる。該
化合物の具体例を以下に示す。
【0034】
【化3】
【0035】本発明の化合物としては下記一般式(N
1)、(N2)、(N3)、(N4)、(N5)、(N
6)、(M1)、(M2)で表される化合物が好ましく
用いられる。
【0036】一般式(N1)で表される化合物について
説明する。
【0037】
【化4】
【0038】式中、Xはシアノ基を除く電子求引性基を
表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ア
シル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリ
ル基、−S−オキサリル基、オキサモイル基、オキシカ
ルボニル基、−S−カルボニル基、カルバモイル基、チ
オカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オ
キシスルホニル基、−S−スルホニル基、スルファモイ
ル基、オキシスルフィニル基、−S−スルフィニル基、
スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ
基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ
基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム
基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。Rはハロゲ
ン原子、オキシ基、チオ基、アミノ基、ヘテロ環基を表
すが、但し、アルコキシ基およびアルキルチオ基を除
く。また、Rがヒドロキシ基またはヒドロキシ基の塩を
表すとき、XとWは何れもホルミル基を表すことはな
い。また、XとWの組み合わせにおいて、一方が無置換
アルコキシカルボニル基を表すとき、他方が無置換アル
コキシカルボニル基および無置換アルキルスルホニル基
を表すことはない。また、XとWは互いに結合して環状
構造を形成することはない。また、X、W、Rは何れも
耐拡散性基を含まないものとする。また、X、W、Rは
何れも連結基を介してチオアミド基、脂肪族メルカプト
基、芳香族メルカプト基、ヘテロ環メルカプト基および
ベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、テトラゾール
基、インダゾール基、ベンズイミダゾール基、イミダゾ
ール基、ベンゾチアゾール基、チアゾール基、ベンゾオ
キサゾール基、オキサゾール基、チアジアゾール基、オ
キサジアゾール基、トリアジン基から選ばれる5〜6員
の含窒素ヘテロ環で表される銀塩への吸着促進基を含ま
ないものとする。尚、XとRはシスの形で表示してある
が、XとRがトランスの形を含む。
【0039】Xの表す電子求引基とは、ハメットの置換
基定数σpが正の値を取りうる置換基のことであるが、
但しシアノ基は除くものとする。具体的には、置換アル
キル基(ハロゲン置換アルキル基等)、置換アルケニル
基(シアノビニル基等)、置換、無置換のアルキニル基
(トリフルオロメチルアセチレニル基、シアノアセチレ
ニル基、ホルミルアセチレニル基等)、置換アリール基
(シアノフェニル基等)、置換、無置換のヘテロ環基
(ピリジル基、トリアジニル基、ベンゾオキサゾリル基
等)、ハロゲン原子、アシル基、(アセチル基、トリフ
ルオロアセチル基、ホルミル基等)、チオアシル基(チ
オホルミル基、チオアセチル基等)、オキサリル基(メ
チルオキサリル基等)、オキシオキサリル基(エトキサ
リル基等)、−S−オキサリル基(エチルチオオキサリ
ル基等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル基
等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル基、カ
ルボキシル基等)、−S−カルボニル基(エチルチオカ
ルボニル基等)、カルバモイル基、チオカルバモイル
基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル
基(エトキシスルホニル基等)、−S−スルホニル基
(エチルチオスルホニル基等)、スルファモイル基、オ
キシスルフィニル基(メトキシスルフィニル基等)、−
S−スルフィニル基(メチルチオスルフィニル基等)、
スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ
基(イミノ基、N−メチルイミノ基、N−フェニルイミ
ノ基、N−ピリジルイミノ基、N−シアノイミノ基、N
−ニトロイミノ基等)、N−カルボニルイミノ基(N−
アセチルイミノ基、N−エトキシカルボニルイミノ基、
N−エトキサリルイミノ基、N−ホルミルイミノ基、N
−トリフルオロアセチルイミノ基、N−カルバモイルイ
ミノ基等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスル
ホニルイミノ基、N−トリフルオロメタンスルホニルイ
ミノ基、N−メトキシスルホニルイミノ基、N−スルフ
ァモイルイミノ基等)、アンモニウム基、スルホニウム
基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等
が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホ
スホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ
環状のものも含まれる。σp値として0.2以上のもの
が好ましく0.3以上のものがさらに好ましい。
【0040】Wとしては水素原子、アルキル基(メチル
基、エチル基、トリフルオロメチル基等)アルケニル基
(ビニル基、ハロゲン置換ビニル基、シアノビニル基
等)、アルキニル基(アセチレニル基、シアノアセチレ
ニル基等)、アリール基(フェニル基、クロロフェニル
基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ペンタフル
オロフェニル基等)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピリミ
ジル基、ピラジニル基、キノキサリニル基、トリアジニ
ル基、スクシンイミド基、テトラゾリル基、トリアゾリ
ル基、イミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)の他
上記Xで説明したようなハロゲン原子、アシル基、チオ
アシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、−S−
オキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、
−S−カルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイ
ル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニ
ル基、−S−スルホニル基、スルファモイル基、オキシ
スルフィニル基、−S−スルフィニル基、スルフィナモ
イル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カル
ボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、アンモニウ
ム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム
基、インモニウム基等が挙げられる。
【0041】Wとしてはハメットの置換基定数σpが正
の値を取りうる電子求引基の他、上記したようなアリー
ル基およびヘテロ環基も好ましい。但し、本発明におい
て、XとWの組み合わせにおいて、一方が無置換アルコ
キシカルボニル基を表すとき、他方が無置換アルコキシ
カルボニル基および無置換アルキルスルホニル基を表す
ことはない。
【0042】また、XとWは互いに結合して環状構造を
形成することはない。Rとしては、ハロゲン原子、オキ
シ基(ヒドロキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキ
シ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニ
ルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカ
ルボニルオキシ基等)、チオ基(メルカプト基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アルキ
ニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ
基、アミノカルボニルチオ基等)およびヒドロキシ基、
メルカプト基の有機または無機の塩、アミノ基(アミノ
基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミ
ノ基、オキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、スルホ
ンアミド基等)、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ
環基)等が挙げられる。
【0043】ヘテロ環基としては5〜6員の含窒素ヘテ
ロ環であり、好ましくは5〜6員の含窒素ヘテロ芳香環
で、環内の窒素原子を通して結合するものがさらに好ま
しく、ピロール環基、ジアゾール環基、トリアゾール環
基、テトラゾール環基等で表されるものであり、具体的
にはイミダゾール環基、ベンゾトリアゾール環基等が好
ましい。オキシ基としてはアルコキシ基を含まないもの
とし、チオ基としてはアルキルチオ基を含まないものと
する。また、Rがヒドロキシ基またはヒドロキシ基の塩
を表すとき、XとWはいずれもホルミル基を表すことは
ない。
【0044】Rとして好ましくはヒドロキシ基、メルカ
プト基、ハロゲン原子、ヒドロキシまたはメルカプトの
有機または無機塩、ヘテロ残基等が挙げられる。Rとし
てさらに好ましくはヒドロキシ基、ヒドロキシの有機ま
たは無機塩、ヘテロ残基が挙げられ、特にヒドロキシ
基、ヒドロキシの有機または無機塩が好ましい。
【0045】また、本発明においては、X、W、Rは何
れも耐拡散性基を含まないものである。耐拡散性基とは
写真用のカプラーなどにおけるバラスト基と呼ばれるも
ので、添加された化合物が感光材料の被膜中を移動しな
いような嵩高い分子量とするものである。
【0046】また、本発明においては、X、W、Rは何
れも−O−、−S−、−N(R1)−(R1は水素原子、
アルキル基、アリール基を表す)、−CO−、−CS
−、−SO2−、−SO−、−P(O)−、アルキレン
基、アリーレン基、ヘテロ環基等の単独またはこれらの
基の組み合わせからなる連結基を介して、チオアミド
基、脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基、ヘテロ
環メルカプト基およびベンゾトリアゾール、トリアゾー
ル、テトラゾール、インダゾール、ベンズイミダゾー
ル、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベ
ンゾオキサゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オ
キサジアゾール、トリアジンから選ばれる5〜6員の含
窒素ヘテロ環で表される銀塩への吸着促進基を含まない
ものである。
【0047】本発明において、X、Wで表される置換基
中にチオエーテル基(−S−)を含む化合物が好まし
い。また、XおよびWのうち少くとも一方が次のような
アルケン基を有するものが好ましい。 −C(R2)=C(Y)(Z) R2は水素原子および置換基を表し、Y、Zは水素原子
および置換基を表すが、Y、Zのうち少くとも一方は電
子求引性基を表す。Y、Zの表す置換基のうち電子求引
性基の例としてはシアノ基、ホルミル基の他、先述した
XおよびWの電子求引性基として挙げたものが挙げられ
る。上記一般式で表されるXおよびWとしては、例えば
次の様な基が挙げられる。
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】また、XおよびWのうち少くとも一方が次
の様なアルキン基を有するものも好ましい。
【0051】
【化7】
【0052】R3は水素原子および置換基を表し、置換
基としては先述したXおよびWの中で挙げたような電子
求引性基が好ましい。上記一般式で表されるXおよびW
としては例えば次のような基が挙げられる。
【0053】
【化8】
【0054】また、XおよびWのうち少くとも一方が置
換アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、ア
ルキニルカルボニル基から選ばれるアシル基を有するも
のも好ましく、XおよびWとしては例えば次のような基
が挙げられる。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】また、XおよびWのうち少なくとも一方が
オキサリル基を有するものも好ましく、XおよびWとし
ては例えば次のような基が挙げられる。
【0058】−COCOCH3、−COCOOC25
−COCONHCH3、−COCOSC25、−COC
OOC24SCH3、−COCONHC24SCH3
た、XおよびWのうち少なくとも一方が電子求引性基の
置換したアリール基または含窒素ヘテロ環基を有するも
のも好ましく、XおよびWとしては例えば次のような基
が挙げられる。
【0059】
【化11】
【0060】本発明において、一般式(N1)で表され
るアルケン化合物は、X、W、RおよびHが置換する二
重結合に関して異性体構造を取りうる時は総ての異性体
を含むものとし、またケト−エノールのような互変異性
構造を取りうるときも総ての異性体を含むものとする。
【0061】一般式(N1)で表される化合物の具体例
としては、以下の化合物が挙げられる。
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
【化19】
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】
【化22】
【0073】
【化23】
【0074】
【化24】
【0075】
【化25】
【0076】
【化26】
【0077】
【化27】
【0078】
【化28】
【0079】
【化29】
【0080】
【化30】
【0081】
【化31】
【0082】
【化32】
【0083】
【化33】
【0084】
【化34】
【0085】
【化35】
【0086】
【化36】
【0087】
【化37】
【0088】
【化38】
【0089】
【化39】
【0090】
【化40】
【0091】
【化41】
【0092】
【化42】
【0093】
【化43】
【0094】
【化44】
【0095】
【化45】
【0096】
【化46】
【0097】
【化47】
【0098】
【化48】
【0099】
【化49】
【0100】
【化50】
【0101】
【化51】
【0102】
【化52】
【0103】
【化53】
【0104】
【化54】
【0105】
【化55】
【0106】
【化56】
【0107】
【化57】
【0108】次に、一般式(N2)で表される化合物に
ついて説明する。
【0109】
【化58】
【0110】式中、R11はアルキル基、アリール基また
はヘテロ環基を表す。R12はヘテロ環基、アルケニル基
またはアミノ基を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を
表し、A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原子
で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基またはア
シル基を表す。
【0111】R11はアルキル基、アリール基またはヘテ
ロ環基を表すが、アルキル基として具体的には、例えば
メチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−オクチ
ル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチ
ル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。アリール
基として具体的には、例えばフェニル、p−メチルフェ
ニル、ナフチルなどが挙げられる。ヘテロ環基として具
体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾール残
基、ピリジン残基、ピリミジン残基、インドール残基、
ベンゾチアゾール残基、ベンズイミダゾール残基、フラ
ン残基、チオフェン残基、ピペリジノ基、ピロリジノ
基、モルホリノ基などが挙げられる。R12はヘテロ環
基、アルケニル基、アミノ基を表すが、ヘテロ環基とし
て具体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾール
残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、インドール残
基、ベンゾチアゾール残基、ベンズイミダゾール残基、
フラン残基、チオフェン残基、ピペリジノ基、ピロリジ
ノ基、モルホリノ基などが挙げられる。アルケニル基と
して具体的には、エテニル基、プロぺニル基等が挙げら
れる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基などが挙げら
れる。Xは酸素原子または硫黄原子を表し、A1、A
2は、ともに水素原子、または一方が水素原子で他方は
アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイ
ル等)、スルホニル基(メタンスルホニル、トルエンス
ルホニル等)、またはオキザリル基(エトキザリル等)
を表す。
【0112】一般式(N2)で表される化合物の中で
も、特に下記一般式(N2A)で表される化合物がより
好ましく用いられる。
【0113】
【化59】
【0114】式中、R111、R112およびR113はそれぞ
れ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロ
アリール基を表す。X、R12、A1およびA2は一般式
(N2)と同義である。
【0115】R111、R112およびR113はそれぞれ独立
に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリー
ル基を表すが、アリール基として具体的には、例えばフ
ェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられ
る。ヘテロアリール基として具体的には、例えばトリア
ゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミ
ジン残基、インドール残基、ベンゾチアゾール残基、ベ
ンズイミダゾール残基、フラン残基、チオフェン残基な
どが挙げられる。
【0116】また、R111、R112およびR113はそれぞ
れ任意の連結基を介して結合しても良い。R111、R112
およびR113が置換基を有する場合、その置換基として
は例えばアルキル基(R11で表されるアルキル基と同義
である)、アルケニル基(R 12で表されるアルケニル基
と同義である)、アルキニル基(例えばエチニル基、プ
ロパギル基等を表す)、アリール基(R11で表されるア
リ−ル基と同じものを表す)、ヘテロ環基(R11で表さ
れるヘテロ環基と同義である)、4級化された窒素原子
を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、ヒドロキシ
基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブ
トキシ基等の基を表し、これらの基の他、エチレンオキ
シ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基
を含む)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p
−メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基等の基)、ア
シルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロ
アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の基)、ア
シル基(A1で表されるアシル基と同じものを表す)、
アルコキシカルボニル基(例えばアセチルオキシカルボ
ニル基、トリフルオロアセチルオキシカルボニル基、プ
ロピオニルオキシカルボニル基等の基)、アリールオキ
シカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−
メチルフェノキカルボニルシ基、ナフチルオキシカルボ
ニル基等の基)、カルバモイル基(例えばカルバモイル
基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ブ
チルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、メトキ
シフェニルカルバモイル基等の基)、カルバモイルオキ
シ基(例えばウレタン基、メチルカルバモイルオキシ
基、ジエチルカルバモイルオキシ基、ジブチルカルバモ
イルオキシ基、フェニルカルバモイルオキシ基、p−メ
トキシフェニルカルバモイルオキシ基、p−シアノフェ
ニルカルバモイルオキシ基等の基)、カルボキシル基、
イミド基、アミノ基(R12で表されるアミノ基と同じも
のを表す)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド
基、プロピオンアミド基、トリフルオロアセトアミド
基、ベンズアミド基、p−メトキシベンズアミド基、p
−クロロベンズアミド基等の基)、スルホンアミド基
(例えばメタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミ
ド基、トリフルオロメタンスルホンアミド基、ベンゼン
スルホンアミド基、p−トルエンスルホンアミド基、p
−クロロベンゼンスルホンアミド基等の基)、ウレイド
基(例えばウレイド基、メチルウレイド基、ジエチルウ
レイド基、ジブチルウレイド基、フェニルウレイド基、
p−メトキシフェニルウレイド基、p−シアノフェニル
ウレイド基等の基)、チオウレイド基(例えばチオウレ
イド基、メチルチオウレイド基、ジエチルチオウレイド
基、ジブチルチオウレイド基、フェニルチオウレイド
基、p−メトキシフェニルチオウレイド基、p−シアノ
フェニルチオウレイド基等の基)、スルファモイルアミ
ノ基(例えばスルファモイルアミノ基、メチルスルファ
モイルアミノ基、エチルスルファモイルアミノ基、ブチ
ルスルファモイルアミノ基、ジエチルスルファモイルア
ミノ基、ジブチルスルファモイルアミノ基、フェニルス
ルファモイルアミノ基、p−メトキシフェニルチオウレ
イド基、p−シアノフェニルチオウレイド基等の基)、
セミカルバジド基(メチルセミカルバジド基、エチルセ
ミカルバジド基、フェニルセミカルバジド基等の基)、
チオセミカルバジド基(メチルチオセミカルバジド基、
エチルチオセミカルバジド基、フェニルチオセミカルバ
ジド基等の基)、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基
(トリメチルアンモニオ基、ピリジニオ基等の基)、
(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基(これ
らのまた以下のアルキル、アリールについてはR11にお
けるアルキル基とアリール基と同義である)、メルカプ
ト基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(ア
ルキルまたはアリール)スルフィニル基、(アルキルも
しくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルも
しくはアリール)スルホニルカルバモイル基、(アルキ
ルもしくはアリール)スルファモイル基、その他、アシ
ルスルファモイル基(アセチルスルファモイル基、プロ
ピオニルスルファモイル基、ベンゾイルスルファモイル
基等の基)、スルホ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニト
ロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。R111、R112
およびR113として好ましくはいずれもが置換もしくは
無置換のフェニル基であり、より好ましくはR111、R
112およびR113のいずれもが無置換のフェニル基であ
る。X、R12、A1およびA2は一般式(N2)と同義で
ある。R12として好ましくはピリジルオキシ基、チエニ
ルオキシ基である。A1、A2として、好ましくはA1
2ともに水素原子の場合である。
【0117】次に、一般式(N3)で表される化合物に
ついて説明する。
【0118】
【化60】
【0119】式中、R21は置換もしくは無置換のアルキ
ル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R22
は水素原子、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘ
テロ環アミノ基を表す。A1、A2はともに水素原子或い
は一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、オキ
ザリル基またはアシル基を表す。
【0120】R21は置換もしくは無置換のアルキル基、
アリール基またはヘテロアリール基を表すが、アルキル
基として具体的には、メチル基、エチル基、tert−
ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。アリール基
およびヘテロアリール基として具体的には、R111、R
112およびR113と同様のものが挙げられる。また、R21
が置換基を有する場合の置換基の具体的な例としては、
111、R112およびR113の置換基と同様のものが挙げ
られる。R21として好ましくはアリール基またはヘテロ
アリール基であり、特に好ましくは置換もしくは無置換
のフェニル基である。
【0121】R22は水素、アルキルアミノ基、アリール
アミノ基、ヘテロ環アミノ基を表すが、アルキルアミノ
基として具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ
基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙
げられる。アリールアミノ基としてはアニリノ基、ヘテ
ロ環アミノ基としてはチアゾリルアミノ基、ベンズイミ
ダゾリルアミノ基、ベンズチアゾリルアミノ基等が挙げ
られる。R22として好ましくはジメチルアミノ基または
ジエチルアミノ基である。A1、A2は一般式(N2)で
記載したA1、A2と同様である。
【0122】次に、一般式(N4)で表される化合物に
ついて説明する。
【0123】
【化61】
【0124】式中、G31、G32は−(CO)p−基、−
C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=
O)R33−基またはイミノメチレン基を表し、pは1ま
たは2の整数を表し、R33はアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケ
ニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ
基、アミノ基を表す。R31、R32はアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ
基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基を表す。但し、G31がスルホ
ニル基のとき、G32はカルボニル基ではない。A1、A2
はともに水素原子或いは一方が水素原子で他方がアルキ
ルスルホニル基、オキザリル基またはアシル基を表す。
【0125】R31、R32はアルキル基(R12で表される
アルキル基と同義である)、アルケニル基(R12で表さ
れるアルケニル基と同義である)、アリール基(R12
表されるアリール基と同義である)、ヘテロアリール基
(R111で表されるヘテロアリール基と同義である)、
アルコキシ基(R111の置換基として挙げられたアルコ
キシ基と同義である)、アルケニルオキシ基(アルケニ
ルとしてはR12で表されるものと同義である)、アリー
ルオキシ基(R111の置換基として挙げられたアリール
オキシ基と同義である)、ヘテロ環オキシ基(ここにお
けるヘテロ環基としてはR11の置換基として挙げられた
ヘテロ環基と同義である)、アルキルチオ基(ここにお
けるアルキル基としてはR11の置換基として挙げられた
アルキル基と同義である)、アルケニルチオ基(ここに
おけるアルケニル基としてはR12の置換基として挙げら
れたアルケニル基と同義である)、アリールチオ基(こ
こにおけるアリール基としてはR11の置換基として挙げ
られたアリール基と同義である)、ヘテロ環チオ基(こ
こにおけるヘテロ環基としてはR11の置換基として挙げ
られたヘテロ環基と同義である)を表す。好ましくはア
リール基またはアルコキシ基である。特に好ましいの
は、R31とR32の少なくとも一つがtert−ブトキシ
基であるものであり、別の好ましい構造は、R31が置換
もしくは無置換のフェニル基のとき、R32がtert−
ブトキシ基である。
【0126】G31、G32は−(CO)p−基、−C(=
S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R
33−基またはイミノメチレン基を表し、pは1または2
の整数を表し、R33はアルキル基(ここにおけるアルキ
ル基としてはR11の置換基として挙げられたアルキル基
と同義である)、アルケニル基(ここにおけるアルケニ
ル基としてはR12の置換基として挙げられたアルケニル
基と同義である)、アルキニル基(ここにおけるアルキ
ニル基としてはR111の置換基として挙げられたアルキ
ニル基と同義である)、アリール基(ここにおけるアリ
ール基としてはR11の置換基として挙げられたアリール
基と同義である)、アルコキシ基(ここにおけるアルコ
キシ基としてはR111の置換基として挙げられたアルコ
キシ基と同義である)、アルケニルオキシ基(ここにお
けるアルケニル基としてはR12の置換基として挙げられ
たアルケニル基と同義である)、アルキニルオキシ基
(ここにおけるアルキニル基としてはR111の置換基と
して挙げられたアルキニル基と同義である)、アリール
オキシ基(ここにおけるアリールオキシ基としてはR
111の置換基として挙げられたアリールオキシ基と同義
である)、アミノ基(R1 2の置換基として挙げられたア
ニノ基と同義である)を表す。但し、G31がスルホニル
基のとき、G32はカルボニル基ではない。G31、G32
して好ましくは−CO−基、−COCO−基、スルホニ
ル基または−CS−であり、より好ましくは互いに−C
O−基または互いにスルホニル基である。A1、A2は一
般式(N2)で記載したA1、A2と同様である。
【0127】次に、一般式(N5)で表される化合物に
ついて説明する。
【0128】
【化62】
【0129】式中、R41は水素原子または一価の置換基
を表し、A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素原
子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基または
アシル基を表す。
【0130】R41は水素原子または一価の置換基を表す
が、一価の置換基としては、R111、R112およびR113
の置換基として挙げられた基が挙げられるが、好ましく
は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アル
コキシ基、アミノ基が挙げられる。より好ましくは、R
41がアリール基、ヘテロアリール基の時である。A1
2は一般式(N2)で記載したA1、A2と同様であ
る。
【0131】次に、一般式(N6)で表される化合物に
ついて説明する。
【0132】
【化63】
【0133】式中、R51、R52およびR53はそれぞれ独
立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリ
ール基を表す。R54、R55は無置換または置換アルキル
基を表す。A1、A2はともに水素原子或いは一方が水素
原子で他方がアルキルスルホニル基、オキザリル基また
はアシル基を表す。
【0134】R51、R52およびR53は一般式(N2A)
におけるR111、R112およびR113と同義である。
51、R52およびR53として好ましくはいずれもが置換
もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR
51、R52およびR53のいずれもが無置換のフェニル基で
ある。R54、R55は無置換または置換アルキル基を表す
が、具体的な例としては、メチル基、エチル基、ter
t−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。R 54
55として好ましくは互いにエチル基である。A1、A2
は一般式(N2)で記載したA1、A2と同様である。
【0135】一般式(N2)、(N3)、(N4)、
(N5)、(N6)で表される化合物の具体例として
は、以下の化合物が挙げられる。
【0136】
【化64】
【0137】
【化65】
【0138】
【化66】
【0139】
【化67】
【0140】
【化68】
【0141】
【化69】
【0142】
【化70】
【0143】
【化71】
【0144】
【化72】
【0145】
【化73】
【0146】
【化74】
【0147】さらに、本発明の化合物としては下記一般
式(M1)、(M2)で表される化合物が好ましく用い
られる。
【0148】一般式(M1)で表される化合物について
説明する。
【0149】
【化75】
【0150】一般式(M1)中、Zはアルキル基[直
鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表
す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30
のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オク
チル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シア
ノエチル基、2―エチルヘキシル基、トリクロロメチル
基、トリフルオロメチル基)、シクロアルキル基(好ま
しくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロア
ルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル
基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロア
ルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは
無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30
のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価
の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン
−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−
イル基)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包
含するものである。]、アリール基(好ましくは炭素数
6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフ
ェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェ
ニル基、oまたはmまたはp−メタンスルホニルフェニ
ル基、3,5−ビストリフルオロメチル基、o−ヘキサ
デカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましく
は5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしく
は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り
除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜
30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例
えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニ
ル基、2−ベンゾチアゾリル基)を表す。
【0151】Zは好ましくは、アルキル基またはアリー
ル基であり、特に好ましくはアリール基である。
【0152】Zはさらに他の置換基で置換されていても
良く、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基(シク
ロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニ
ル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含
む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ
基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、
アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボ
ニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルア
ミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ス
ルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホ
ニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ
基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキル
およびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイ
ル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホス
フィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホ
スフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
特に好ましい置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ア
ルキルアミノ基である。
【0153】一般式(M1)中、Wはアリール基または
電子求引性基で置換されたアルキル基を表す。
【0154】Wで表されるアリール基は上記のZで説明
したアリール基と同義である。該アリール基は、さらに
他の置換基で置換されていても良く、この置換基とはZ
の置換基と同義である。Wで表されるアリール基には電
子求引性基が少なくとも一つ置換していることが好まし
い。電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正
の値を取りうる置換基のことであり、具体的には、シア
ノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換した
イミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、
ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロ
アルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホル
ミル基、ホスホリル基、カルボキシ基、スルホ基(また
はその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子求引性基で置換されたアリール基
等である。
【0155】Wで表されるアルキル基は上記のZで説明
したアルキル基と同義であるが、少なくとも一つ以上の
電子求引性基が置換していなければならない。電子求引
性基の定義は前述の通りである。
【0156】Wは好ましくは、電子求引性基で置換され
たアルキル基であり、さらに好ましくは、フッ素原子で
置換されたアルキル基であり、特に好ましくはトリフル
オロメチル基である。WはZと互いに結合して環状構造
を形成しても良い。
【0157】一般式(M1)において、Mは陽イオンを
表わす。例えば水素イオン、金属イオン(例えば、L
i、Na、K、Lb、Cs、Ca、Mg、Zn、Ag
等)、アンモニウムイオン(例えばNH4、テトラメチ
ルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジル
トリメチルアンモニウム等)などが挙げられる。好まし
くは、金属イオン、アンモニウムイオンである。
【0158】次に、一般式(M2)で表される化合物に
ついて説明する。
【0159】
【化76】
【0160】一般式(M2)中、X、YおよびZはそれ
ぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X、Yおよび
Zで表される置換基としては、写真性能に悪影響のない
基であればどのようなものでもかまわないが、好ましい
置換基はアルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは
無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好
ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、te
rt−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−
クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキ
シル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜
30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、
シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシ
ルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましく
は、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロア
ルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカン
から水素原子を一個取り去った一価の基である。例え
ば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビ
シクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、さらに
環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものであ
る。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばア
ルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキ
ル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置
換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、ア
ルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無
置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プ
レニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニ
ル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置
換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシ
クロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基であ
る。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シ
クロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基
(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好まし
くは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロ
アルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアル
ケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例え
ば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イ
ル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−
イル基)を包含するものである。]、アルキニル基(好
ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキ
ニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメ
チルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素
数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば
フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフ
ェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、
ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無
置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から
一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好
ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族の
ヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニ
ル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル
基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基
(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の
アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソ
プロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオ
キシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基
(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換の
アリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチル
フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3
−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフ
ェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3
〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオ
キシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、
ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換
もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテト
ラゾールー5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオ
キシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1
〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素
数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例え
ば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ア
ニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ
基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルホニル基
(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のア
ルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のア
リールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エ
チルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチル
フェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミ
ル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカ
ルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のア
リールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無
置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環
カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2
−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、
p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピ
リジルカルボニル基、2―フリルカルボニル基)、カル
バモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしく
は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、
N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモ
イル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N
−(メチルスルホニル)カルバモイル基)を表わす。一
般式(M2)のXおよびYはさらに好ましくは、アルキ
ル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基またはアミノ基であり、特に好ましくはア
ルキル基である。一般式(M2)のZはさらに好ましく
は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基であり、
特に好ましくはアリール基である。
【0161】一般式(M2)においてX、YおよびZの
好ましい組み合わせは、XおよびYがアルキル基であ
り、かつZがアリール基である。
【0162】X、YおよびZはさらに他の置換基で置換
されていても良く、置換基としては写真性能に悪影響を
及ぼさないものであればどのような置換基でもかまわな
い。例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキ
ル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シ
クロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒド
ロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキ
シ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコ
キシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオ
キシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ
基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル
アミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルフ
ァモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニル
アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、
アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよ
びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフ
ィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホス
フィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。置
換基Zには電子求引性基が置換していることが好まし
い。電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正
の値を取りうる置換基のことであり、Chem.Re
v.1991,91,165−195に具体例が記載さ
れている。
【0163】X、YおよびZは互いに同じでも異なって
いても良く、また、互いに結合して環構造を形成しても
良い。
【0164】一般式(M2)において、Mは一般式
(1)のMと同義である。
【0165】本発明で用いられる一般式(M1)、一般
式(M2)で表される化合物は、その部分構造のエノー
レートアニオン部の共役酸のpKa値が3.0〜4.0
であることが好ましく、さらには3.2〜3.7である
ことが特に好ましい。ここでいうpKa値はTHF/水
=3/2の混合溶媒系において常法で測定した値であ
る。
【0166】本発明で用いられる一般式(M1)、一般
式(M2)で表される化合物には、さらに以下に記載さ
れる基が組み込まれていても良い。これらの基は、一般
式(M1)、一般式(M2)で表される化合物の置換可
能な部位のいずれかに組み込まれていても良いし、ある
いはX、Y、ZおよびWの一部として組み込まれていて
も良い。
【0167】本発明で用いられる一般式(M1)、一般
式(M2)で表される化合物は、ハロゲン化銀に対して
吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる
吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チ
オ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリア
ゾール基などの米国特許第4,385,108号明細
書、同4,459,347号明細書、特開昭59−19
5233号公報、同59−200231号公報、同59
−201045号公報、同59−201046号公報、
同59−201047号公報、同59−201048号
公報、同59−201049号公報、特開昭61−17
0733号公報、同61−270744号公報、同62
−948号公報、同63−234244号公報、同63
−234245号公報、同63−234246号公報に
記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀へ
の吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様
なプレカーサーとしては、特開平2ー285344号公
報に記載された基が挙げられる。
【0168】本発明で用いられる一般式(M1)、一般
式(M2)で表される化合物は、その中にカプラー等の
不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基
またはポリマーが組み込まれているものでもよい。特に
バラスト基が組み込まれているものは本発明の好ましい
例の1つである。バラスト基は8以上の炭素数を有す
る、写真性に対して比較的不活性な基であり、例えばア
ルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、
アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキ
シ基などの中から選ぶことができる。またポリマーとし
ては、例えば特開平1−100530号公報に記載のも
のが挙げられる。
【0169】本発明で用いられる一般式(M1)、一般
式(M2)で表される化合物は、その中にカチオン性基
(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、または4
級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単
位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)
チオ基、あるいは塩基により解離しうる解離性基(カル
ボキシ基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバ
モイルスルファモイル基等)が含まれていてもよい。特
にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り
返し単位を含む基、あるいは(アルキル,アリール,ま
たはヘテロ環)チオ基が含まれているものは、本発明の
好ましい例の1つである。これらの基の具体例として
は、例えば特開平7ー234471号公報、特開平5−
333466号公報、特開平6−19032号公報、特
開平6−19031号公報、特開平5−45761号公
報、米国特許4994365号明細書、米国特許498
8604号明細書、特開平73−259240号公報、
特開平7−5610号公報、特開平7−244348号
公報、独特許4006032号明細書等に記載の化合物
が挙げられる。
【0170】本発明の一般式(M1)、一般式(M2)
で表される化合物の分子量は、好ましくは50〜100
00であり、さらに好ましくは100〜2000であ
り、特に好ましくは300〜1000である。
【0171】一般式(M1)で表される化合物の具体例
としては、以下の化合物が挙げられる。
【0172】
【化77】
【0173】一般式(M2)で表される化合物の具体例
としては、以下の化合物が挙げられる。
【0174】
【化78】
【0175】
【化79】
【0176】
【化80】
【0177】本発明の化合物は、水または適当な有機溶
媒、例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プ
ロパノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセト
ン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して
用いることができる。また、既によく知られている乳化
分散法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフ
ォスフェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエ
チルフタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散
法として知られている方法によって、本発明の化合物の
粉末を水等の適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミ
ル、あるいは超音波によって分散して用いることもでき
る。
【0178】本発明の化合物は、1種のみ用いても、2
種以上を併用してもよい。本発明の化合物は、支持体に
対して画像形成層側のいずれの層に添加してもよいが、
該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加すること
が好ましい。本発明の化合物の添加量は銀1molに対
し1×10-6〜1molが好ましく、1×10-5〜5×
10-1molがより好ましく、2×10-5〜2×10-1
molが最も好ましい。
【0179】本発明で用いられる一般式(T)で表され
る化合物について詳細に説明する。式中、R1は水素原
子、−OM2、ヘテロ原子を少なくとも1つ含有する基
で少なくとも1つ置換されたアルキル基、またはアルコ
キシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカル
ボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ
基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、
アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボ
ニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ス
ルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、スル
ホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ基、ウレ
イド基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニト
ロソ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸エステル
基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル基から選ばれる少な
くとも1つの基で置換されたアリール基、またはヘテロ
環基を表すが、R1が−OM2の場合、M1およびM2で表
されるカチオンの具体例としては、例えばアルカリ金属
イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウム
イオン、セシウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオ
ン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、ア
ンモニウム(アンモニウム、トリメチルアンモニウム、
トリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウ
ム、1,2−エタンジアンモニウムなど)、ピリジニウ
ム、イミダゾリウム、ホスホニウム(テトラブチルホス
ホニウムなど)などが挙げられる。M1およびM2として
好ましくは水素原子、アルカリ金属イオンであり、より
好ましくは水素原子である。
【0180】またR1がヘテロ原子を少なくとも1つ含
有する基で置換されたアルキル基である場合、ヘテロ原
子を少なくとも1つ含有する基の具体例としては、アミ
ノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素
数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例え
ばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられ
る)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜
8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基
などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭
素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好
ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ
基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル
基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げら
れる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素
数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ま
しくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカ
ルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセ
トキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、ア
シルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10で
あり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基な
どが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメト
キシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリール
オキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜2
0、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭
素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル
アミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタ
ンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基な
どが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素
数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ま
しくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル
基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル
基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カ
ルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12で
あり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、
ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など
が挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチル
チオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましく
は炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特
に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチ
オ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好
ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシ
ル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に
好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフ
ィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられ
る)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜1
2であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェ
ニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1
〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば
ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基など
が挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲ
ン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニト
ロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ
基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピリジル基、
フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基などが挙げられ
る)などが挙げられる。
【0181】R1がヘテロ原子を少なくとも1つ含有す
る基で置換されたアルキル基である場合、そのアルキル
基は好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば
メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチ
ル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシ
ル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基などが挙げられる。
【0182】R1がアルコキシ基、アリールオキシ基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコ
キシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルア
ミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキ
シカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファ
モイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、ス
ルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト
基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシ
ル基、リン酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキ
ル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリ
ール基である場合、置換基の具体例としてはアルコキシ
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられ
る)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、
より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数
6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチ
ルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に
好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、
ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げら
れる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2
〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましく
は炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリー
ルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、よ
り好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7
〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など
が挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2
〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましく
は炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾ
イルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセ
チルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられ
る)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ま
しくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニ
ルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好まし
くは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12で
あり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが
挙げられる)、アルコキシカルボニルオキシ基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、
特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばエトキシ
カルボニルオキシ基などが挙げられる)、アリールオキ
シカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜20、よ
り好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7
〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルオキシ
基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスル
ホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙
げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜
20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは
炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチ
ルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェ
ニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイ
ル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例
えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチル
カルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げら
れる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基な
どが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数
6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好まし
くは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基など
が挙げられる)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜2
0、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭
素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミ
ノ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に
好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、ト
シル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスル
フィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられ
る)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばメシルオキシ基、トシルオ
キシ基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好
ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メ
チルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられ
る)、シリル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12
であり、トリメチルシリル基などが挙げられる)、りん
酸エステル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12で
あり、例えばジエチルリン酸エステル基、フェニルリン
酸エステル基などが挙げられる)、ヘテロ環基(例えば
イミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル
基、モルホリノ基などが挙げられる)、ハロゲノアルキ
ル基(例えばクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリ
フルオロメチル基などが挙げられる)などが挙げられ
る。
【0183】R1がアルコキシ基、アリールオキシ基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコ
キシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルア
ミノ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキ
シカルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファ
モイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、ス
ルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト
基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシ
ル基、リン酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキ
ル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリ
ール基である場合、置換されるアリール基として好まし
くは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、
特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル
基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ
る。
【0184】R1はアルコキシ基、アリールオキシ基、
アシル基、アシルアミノ基、スルホニル基から選ばれる
少なくとも1つの基で置換されたアリール基であること
が好ましい。R1がヘテロ環基である場合、好ましくは
イミダゾリル基、ピリジル基、フリル基、ピペリジル
基、モルホリノ基などが挙げられる。
【0185】Lは連結基を表すが、好ましくはアルキレ
ン基、アリーレン基、ヘテロ環基であり、より好ましく
はアリーレン基であり、アリーレン基のなかで特に好ま
しいのはオルトフェニレン基である。
【0186】mは0〜5の整数を表し、中でもmは0ま
たは1が好ましい。より好ましくはmは0である。nは
1〜3の整数を表し、中でもnは1が好ましい。mが0
の場合、およびmが1でかつR1が−OHの場合はLは
ハロゲン原子、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホ
ルミル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコ
キシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオ
キシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カル
バモイル基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル
基、スルホニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メル
カプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、リン
酸エステル基、ヘテロ環基から選ばれる1〜3個の基で
置換された連結基を表すが、前述の置換基の具体例は上
述のR1がアリール基の場合の置換基と同様である。
【0187】mおよびnが1の場合、Lはオルトフェニ
レン基または炭素数6〜20のアルキレン基であること
が好ましい。mが0でnが1の場合、Lは好ましくはハ
ロゲン原子、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニ
ルアミノ基、アリールオキシカルボニルオキシ基であ
り、さらに好ましくはハロゲン原子、またはスルホニル
オキシで1つ置換されたフェニレン基である。
【0188】また、R1が−OM2である場合、Lはアル
キレン基、フェニレン基、ヘテロ基であることが好まし
い。
【0189】一般式(T)で表される化合物の具体例と
して以下の化合物を挙げることができるが、本発明で用
いることができる化合物はこれらに限定されるものでは
ない。
【0190】
【化81】
【0191】
【化82】
【0192】
【化83】
【0193】
【化84】
【0194】
【化85】
【0195】
【化86】
【0196】
【化87】
【0197】
【化88】
【0198】
【化89】
【0199】
【化90】
【0200】本発明の一般式(T)で示される化合物と
しては、市販の化合物を用いることができ、また例えば
Chem.Pharm. Bulletin, 31(8), 2632(1983)、J. Chem. S
oc.,Section B Physical Organic Chemistry, Part1. p
p.145-148(1971), J. Amer.Chem. Soc. 77, 1909(195
5), Org. Prep. Proced.Int. 28(5),609 (1996), Chem.
Ber. 44, 1236 (1911), J. Amer. Chem. Soc. 60, 250
2 (1938), Bull.Soc.Khim.Fr. 25(3) 173(1901), Chem.
Abstr. 9861 (1960), DE 297018, Justus LiebigsAnn.
Chem. 300 299 (1898)等に記載の方法に準じて合成す
ることもできる。
【0201】本発明の一般式(T)で示される化合物の
添加量には、特に制限はないが、10-4mol〜1mo
l/Agmolが好ましく、特に10-3mol〜0.3
mol/Agmolが好ましい。
【0202】本発明の一般式(T)で示される化合物
は、感光層でも非感光層でも添加することができ、好ま
しくは感光層である。代表的な態様としては、支持体上
に少なくとも1層の感光層とこれに隣接する層を有する
熱現像感光材料において、感光層に感光性ハロゲン化
銀、有機銀塩、バインダーを含有し、さらに一般式
(T)で示される化合物の少なくとも1種を含有する態
様、感光層に感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、バイン
ダーを含有し、隣接層に一般式(T)で示される化合物
の少なくとも1種を含有する態様、感光層に感光性ハ
ロゲン化銀、バインダーを含有し、さらに一般式(T)
で示される化合物の少なくとも1種を含有し、隣接層に
有機銀塩を含有する態様、感光層に感光性ハロゲン化
銀、バインダーを含有し、隣接層に有機銀塩を含有し、
さらに一般式(T)で示される化合物の少なくとも1種
を含有する態様が挙げられる。本発明において好ましい
のは、の態様である。
【0203】本発明は感光性ハロゲン化銀を750〜1
400nmの範囲で分光増感している。分光増感として
は、シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニ
ン、オキソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン
色素を含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有
利に増感させることができる。有用なシアニン色素は、
例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、
ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾ
ール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシ
アニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましい
ものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン
核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリ
ンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロ
ノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。
上記のシアニンおよびメロシアニン色素において、イミ
ノ基またはカルボキシル基を有するものが特に効果的で
ある。例えば、米国特許第3,761,279号明細
書、同3,719,495号明細書、同3,877,9
43号明細書、英国特許1,466,201号明細書、
同1,469,117号明細書、同1,422,057
号明細書、特公平3−10391号公報、同6−523
87号公報、特開平5−341432号公報、同6−1
94781号公報、同6−301141号公報に記載さ
れたような既知の色素から適当に選択してよい。
【0204】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62−58239号公
報、同3−138638号公報、同3−138642号
公報、同4−255840号公報、同5−72659号
公報、同5−72661号公報、同6−222491号
公報、同2−230506号公報、同6−258757
号公報、同6−317868号公報、同6−32442
5号公報、特表平7−500926号公報、米国特許第
5,541,054号明細書に記載された色素)、カル
ボン酸基を有する色素(例としては特開平3−1634
40号公報、6−301141号公報、米国特許第5,
441,899号明細書に記載された色素)、メロシア
ニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素
(特開昭47−6329号公報、同49−105524
号公報、同51−127719号公報、同52−808
29号公報、同54−61517号公報、同59−21
4846号公報、同60−6750号公報、同63−1
59841号公報、特開平6−35109号公報、同6
−59381号公報、同7−146537号公報、同7
−146537号公報、特表平55−50111号公
報、英国特許1,467,638号明細書、米国特許
5,281,515号明細書に記載された色素)が挙げ
られる。
【0205】また、J−bandを形成する色素とし
て、米国特許第5,510,236号明細書、同3,8
71,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平
2−96131号公報、特開昭59−48753号公報
に開示されている色素があり、これらの色素を本発明に
好ましく用いることができる。
【0206】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はRe
search Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁
IVのJ項、あるいは特公昭49−25500号公報、同
43−4933号公報、特開昭59−19032号公
報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0207】これら増感色素の添加については、特開平
11−119374号公報の段落番号0106に記載さ
れている方法で添加することができるが、特に、この方
法に限定されるものではない。本発明における増感色素
の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量に
することができるが、感光性層のハロゲン化銀1mol
当たり10-6〜1molが好ましく、さらに好ましくは
10-4〜10-1molである。
【0208】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開EP第587,338A
号公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第
4,873,184号明細書に開示されている化合物、
複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香
族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリ
アジンから選択される化合物などが挙げられる。特に好
ましい強色増感剤は、特開平5−341432号公報に
開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香
族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号公報
の一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開
平10−111543号公報の一般式(I)で表される
スチルベン化合物、特開平11−109547号公報の
一般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特
開平5−341432号公報のM−1〜M−24の化合
物、特開平4−182639号公報のd−1)〜d−1
4)の化合物、特開平10−111543号公報のSS
−01〜SS−07の化合物、特開平11−10954
7号公報の31、32、37、38、41〜45、51
〜53の化合物である。これらの強色増感剤の添加量
は、乳剤層中にハロゲン化銀1mol当たり10 -4〜1
molの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当たり
0.001〜0.3molの範囲がより好ましい。
【0209】本発明の熱現像感光材料には五酸化二リン
が水和してできる酸またはその塩を本発明の化合物と併
用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピ
ロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸
(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)など
を挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オル
トリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げること
ができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウ
ム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸
ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがあ
る。本発明において好ましく用いることができる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所望
の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれ
に隣接するバインダー層に添加する。五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2
あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて
所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好まし
く、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0210】本発明に用いることができる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像
を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオ
ン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀
塩、特に長鎖脂肪カルボン酸の銀塩(炭素数は好ましく
は10〜30、より好ましくは15〜28)が好まし
い。また、配位子が4.0〜10.0の範囲の錯体安定
度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。
銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量
%を構成することができる。好ましい有機銀塩として、
カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を挙げること
ができる。具体的には、脂肪族カルボン酸の銀塩および
芳香族カルボン酸の銀塩を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩
の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、
ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロ
ン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸
銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀およ
び樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができ
る。
【0211】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75m
ol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン
酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが
さらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用す
る有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発
明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機
酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いるこ
とができる。
【0212】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩
等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させ
ることにより調製される。これらの調製方法について
は、特開2000−292882号公報の段落番号00
19〜0021に記載の方法を用いることができる。
【0213】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特開200
1−33907号公報に記載されている方法を用いるこ
とができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、硝
酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは
反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。
ここで用いる分散剤の種類および使用量については、特
開2000−305214号公報の段落番号0052に
具体例が記載されている。
【0214】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、総炭素数15以下の化合物が好ましく、10以
下の化合物が特に好ましい。好ましい第3アルコールの
例としては、tert−ブタノール等が挙げられるが、
本発明で使用することができる第3アルコールはこれに
限定されない。本発明に用いる第3アルコールの添加時
期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでもよいが、
有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸アル
カリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。また、本
発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀調製時の溶媒
としての水に対して重量比で0.01〜10の範囲で使
用することができるが、0.03〜1の範囲で使用する
ことが好ましい。
【0215】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特開2000−29
2882号公報の段落番号0024に記載のものを用い
ることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物
の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散
性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径
で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以
下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30
%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散し
た有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.
05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好まし
い。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0
μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0216】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心ろ過、吸引ろ過、
限外ろ過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知のろ
過方法を好ましく用いることができる。限外ろ過の方法
については、特開2000−305214号公報に記載
の方法を用いることができる。
【0217】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画
像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実
質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降
下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散
方法については特開2000−292882号公報の段
落番号0027〜0038に記載の方法を用いることが
できる。
【0218】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下である
ことが好ましく、50%以下であることがより好まし
く、30%以下であることがさらに好ましい。
【0219】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であること
が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜
15質量%の範囲が好ましい。
【0220】本発明で用いる有機銀塩は所望の量で使用
できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、
さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0221】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0222】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形
成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布
直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分
散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、M
g、ZnおよびAgから選ばれる金属イオンの添加量と
しては、非感光性有機銀1molあたり10-3〜10-1
molが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2mol
が好ましい。
【0223】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ハ
ロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、
臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特
開平11−119374号公報の段落番号0217〜0
224に記載されている方法で粒子形成することができ
るが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲ
ン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、
平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることがで
きるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平
板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など
粒子形状の特徴については、特開平11−119374
号公報の段落番号0225に記載されているものと同じ
である。また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子
の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組
成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的
に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有
するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。
構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは
2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができ
る。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局
在させる技術も好ましく用いることができる。
【0224】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀のハロ
ゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制限されず、0.1
2μm以下が好ましく、さらに0.01〜0.10μm
が好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分
布は、単分散度の値が30%以下であることが好まし
く、1〜20%であることがより好ましく、5〜15%
であることがさらに好ましい。ここで単分散度は、粒径
の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率(%)(変動
係数)として定義されるものである。なおハロゲン化銀
粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合は稜長で表
し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板状など)は
投影面積円相当直径で算出する。
【0225】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属また
は金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第
VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好まし
いのは、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウ
ム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、(N
43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K
3IrCl6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体
は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を
2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1mol
に対し1×10-9mol〜1×10-3molの範囲が好
ましく、1×10-8mol〜1×10-4molの範囲が
より好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平
7−225449号公報等に記載された構造の金属錯体
を用いることができる。これら重金属の種類、添加方法
に関しては、特開平11−119374号公報の段落番
号0227〜0240に記載されている。
【0226】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができるが、本発明においては脱塩し
てもしなくてもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化
銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感につい
ては、特開平11−119374号公報の段落番号02
42〜0250に記載されている方法を用いることが好
ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特
許公開EP293,917A号公報に示される方法によ
り、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0227】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。
【0228】分散媒の濃度は0.05〜20質量%にす
ることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域
が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処
理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、
フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることがで
きる。
【0229】本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、1種だけを用いてもよいし、2種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよい。
【0230】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用
量としては有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化
銀0.01mol〜0.5molが好ましく、0.02
mol〜0.3molがより好ましく、0.03mol
〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光
性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件に
ついては、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と
有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロ
イドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法
や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミング
で調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩
を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得ら
れる限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上
の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を
混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法
である。
【0231】本発明の熱現像感光材料は、有機銀塩のた
めの還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオ
ンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質
である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコール
などの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフ
ェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有
する面の銀1molに対して5〜50mol%含まれる
ことが好ましく、10〜40mol%で含まれることが
さらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に対して画像
形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層に
添加する場合は銀1molに対して10〜50mol%
と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像
時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレ
カーサーであってもよい。
【0232】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6074号公報、同47−1238号公
報、同47−33621号公報、同49−46427号
公報、同49−115540号公報、同50−1433
4号公報、同50−36110号公報、同50−147
711号公報、同51−32632号公報、同51−1
023721号公報、同51−32324号公報、同5
1−51933号公報、同52−84727号公報、同
55−108654号公報、同56−146133号公
報、同57−82828号公報、同57−82829号
公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,67
9,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開EP692,732A号公報などに開示されている
還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミド
オキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェ
ノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;
例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキ
シメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとア
スコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリ
ールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒド
ロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンお
よび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノ
ンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピ
ペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メ
チルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒド
ロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸お
よびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム
酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例
えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼ
ンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シア
ノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シア
ノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチ
ル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−
1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1
−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフ
トール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシ
ベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノ
ンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピ
ラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソ
ースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソース
レダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソ
ースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6
−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールお
よびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスル
ホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−
1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert
−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;
2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,
4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジ
ン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−
3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−
ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);
アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アス
コルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびに
ベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケト
ン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3
−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などが
ある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0233】本発明において還元剤は、水溶液、有機溶
媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいか
なる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微
細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サン
ドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルな
ど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助
剤を用いてもよい。
【0234】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側
の層に銀1molあたりの0.1〜50%molの量含
ませることが好ましく、0.5〜20%mol含ませる
ことがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効
に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料にお
いては広範囲の色調剤を使用することができる。例え
ば、特開昭46−6077号公報、同47−10282
号公報、同49−5019号公報、同49−5020号
公報、同49−91215号公報、同50−2524号
公報、同50−32927号公報、同50−67132
号公報、同50−67641号公報、同50−1142
17号公報、同51−3223号公報、同51−279
23号公報、同52−14788号公報、同52−99
813号公報、同53−1020号公報、同53−76
020号公報、同54−156524号公報、同54−
156525号公報、同61−183642号公報、特
開平4−56848号公報、特公昭49−10727号
公報、同54−20333号公報、米国特許第3,08
0,254号明細書、同第3,446,648号明細
書、同第3,782,941号明細書、同第4,12
3,282号明細書、同第4,510,236号明細
書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー
特許第841,910号明細書などに開示される色調剤
を用いることができる。色調剤の具体例としては、フタ
ルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシン
イミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノ
ン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリ
ジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例え
ば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバ
ルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロア
セテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾー
ル、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト
−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよ
び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
に例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリ
ールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチ
ルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチ
ルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシ
イミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロ
ニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,
N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5
−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオ
クタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテー
ト)および2−(トリブロモメチルスルホニル)−ベン
ゾチアゾール;ならびに3−エチル−5−[(3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリ
デン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フ
タラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、また
は4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタ
ラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,
3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導
体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル
酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテ
トラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジ
ン、フタラジン誘導体(たとえば、4−(1−ナフチ
ル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメ
トキシフタラジン、6−イソブチルフタラジン、6−t
ert−ブチルフタラジン、5,7−ジメチルフタラジ
ン、および2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体)
もしくは金属塩;フタラジンおよびその誘導体とフタル
酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4
−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸な
ど)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジン
またはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけ
でなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオ
ンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサク
ロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、
硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カ
リウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過
酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベ
ンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3
−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ
−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベ
ンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不
斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミ
ジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、
アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例
えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1
H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレ
ン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6
−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テ
トラアザペンタレン)などがある。
【0235】本発明では色調剤として、特開2000−
35631号公報に記載の一般式(F)で表されるフタ
ラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同公報
に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる。
【0236】色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物
などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は
公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。
【0237】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の
膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さらに好
ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はな
いが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアな
どの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させ
るという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しや
すく、塗布する工程や熱現像される前に除去できること
から低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面p
Hの測定方法は、特開2000−284399号公報の
段落番号0123に記載されている。
【0238】本発明の熱現像感光材料において、ハロゲ
ン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、
安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの
生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度
の低下に対して安定化することができる。単独または組
合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定
剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,03
8号明細書および同第2,694,716号明細書に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号
明細書および同第2,444,605号明細書に記載の
アザインデン、米国特許第2,728,663号明細書
に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細
書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652
号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第62
3,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニト
ロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細
書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839
号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第
2,566,263号明細書および同第2,597,9
15号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米
国特許第4,108,665号明細書および同第4,4
42,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0239】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカ
ブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本
発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい例としては、米国特許第4,784,
939号明細書、同第4,152,160号明細書、特
開平9−329863号公報、同9−329864号公
報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙
げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる層に
添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側の層に
添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加するこ
とがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製の
いかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加す
る場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工
程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。
安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物
などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還
元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加
してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかなる量で
もよいが、銀1mol当たり1×10-6mol〜2mo
lが好ましく、1×10-3mol〜0.5molがさら
に好ましい。
【0240】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加える
ことが有利なことがある。この目的のために好ましい水
銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明
に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1mo
l当たり好ましくは1×10-9mol〜1×10-3mo
l、さらに好ましくは1×10-8mol〜1×10-4
olの範囲である。
【0241】本発明で特に好ましく用いられるカブリ防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−
119624号公報、同50−120328号公報、同
51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。特開2000−2843
99号公報に記載の式(P)で表される親水性有機ハロ
ゲン化物がカブリ防止剤として好ましく用いられる。具
体的には、同明細書に記載の(P−1)〜(P−11
8)が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量
は、Ag1molに対するmol量(mol/molA
g)で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/mo
lAg、より好ましくは5×10-5〜1mol/mol
Ag、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol
/molAgである。これらは1種のみを用いても2種
以上を併用してもよい。
【0242】また、特開2000−284399号公報
に記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がカブリ
防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細
書に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いら
れる。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量
は、Ag1molに対するmol量(mol/molA
g)で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mo
l/molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10
-1mol/molAg、さらに好ましくは1×10-4
5×10-2mol/molAgである。これらは1種の
みを用いても2種以上を併用してもよい。
【0243】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例え
ば、特開2000−221634号公報に記載の式
(S)で表される化合物およびその例示化合物(S−
1)〜(S−24)が挙げられる。
【0244】本発明に用いるカブリ防止剤は、水あるい
は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、既によく知
られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、
トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテー
トあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチ
ルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライ
ンダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザ
ーあるいは超音波によって分散し用いることもできる。
【0245】本発明に用いるカブリ防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0246】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存
性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0m
olの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mo
l当たり0.001〜0.3molの量である。
【0247】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、
有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像
形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護
層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱
現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バ
ック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好
ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層のバイン
ダーとしてポリマーラテックスが用いられる。これらの
層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能にな
り、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時
にシワの発生がない熱現像感光材料が得られるようにな
る。また、所定の熱処理をした支持体を使用することに
より、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料
が得られる。
【0248】本発明においては、良好な写真性能が得ら
れ、かつ水系塗布を可能にするバインダーを用いること
が好ましい。画像形成層側の主バインダーとしては、具
体的にはポリマーラテックスもしくはゼラチンを用いる
ことが好ましく、以下に述べるポリマーラテックスを用
いることが特に好ましい。さらに、感光性ハロゲン化銀
を含有する画像形成層のうち少なくとも1層は以下に述
べるポリマーラテックスを全バインダーの50質量%以
上、さらに好ましくは70重量%以上含有する画像形成
層であることが好ましい。また、ポリマーラテックスは
画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いても
よく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱
現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層にも
ポリマーラテックスを用いることが好ましい。これらの
層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能にな
り、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時
にシワの発生がない熱現像感光材料が得られる。また、
所定の熱処理をした支持体を使用することにより、熱現
像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料が得られ
る。
【0249】本明細書でいう「ポリマーラテックス」と
は水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の
分散媒中に分散されたものである。分散状態としてはポ
リマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合され
たもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子
中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分
散されたものなどいずれでもよい。なお本発明で用いる
ポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン
(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」などに記載されてい
る。分散粒子の平均粒径は1〜50000nmが好まし
く、5〜1000nmがより好ましい。分散粒子の粒径
分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つも
のでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0250】本発明で用いるポリマーラテックスは、通
常の均一構造のポリマーラテックスであってもよいし、
いわゆるコア/シェル型のラテックスであってもよい。
コア/シェル型の場合、コアとシェルのガラス転移温度
は異なっている方が好ましい場合がある。特に、コアの
TgがシェルのTgより高いコア/シェル型ラテックス
は、良好な造膜性が得られる。
【0251】本発明で用いるバインダーに好ましく用い
るポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護
層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異な
る。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡
散を促すため、−30〜40℃であることが好ましい。
保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触す
るために25〜100℃であることが好ましい。ポリマ
ーのTgは、例えば「J.Brandrup,E.H.Immergut共著Pol
ymer Handbook,2nd Edition, III-139〜III-192(197
5)」に記載の方法で求められる。
【0252】本発明で用いるポリマーラテックスの最低
造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃であることが好
ましく、0℃〜70℃程度であることがより好ましい。
最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加
してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテ
ックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有
機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室
井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載さ
れている。
【0253】本発明の画像形成層、保護層およびバック
層のポリマーラテックスに用いられるポリマー種として
はアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの
共重合体などが挙げられる。ポリマーとしては直鎖のポ
リマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋された
ポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノマ
ーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以
上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマ
ーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマー
でもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で5,00
0〜1,000,000、好ましくは10,000〜1
00,000程度が好ましい。分子量が小さすぎるもの
は画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるも
のは成膜性が悪く、好ましくない。
【0254】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテッ
クス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5
/50/16.5(質量%)のコポリマーラテックス、
メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=4
7.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(質
量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。ま
た、このようなポリマーは市販もされていて、例えばア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635,465
83、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、N
ipol LX811、814、821、820、85
7(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3
340、R3360、R3370、4280(以上大日
本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、8
50(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ
ウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、
30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴ
ム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、330
7B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol LX410、430,43
5、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。
【0255】画像形成層には必要に応じて全バインダー
の50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全
バインダーの30質量%以下であることが好ましく、1
5質量%以下であることがより好ましい。
【0256】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、本明細書で言う
「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上
が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用
いることができる。具体的な溶媒組成の例としては以下
のようなものがある。水/メタノール=90/10、水
/メタノール=70/30、水/エタノール=90/1
0、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチル
ホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチ
ルホルムアミド=90/5/5(ただし数字は質量%を
表す。)
【0257】さらに、保護層用のバインダーとして、特
開2000−267226号公報の段落番号0025〜
0029に記載の有機概念図に基づく無機性値を有機性
値で割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの組み
合わせを好ましく用いることができる。
【0258】本発明においては必要に応じて、特開20
00−267226号公報の段落番号0021〜002
5に記載の可塑剤(例えば、ベンジルアルコール、2,
2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイ
ソブチレートなど)を添加して、造膜温度をコントロー
ルすることができる。また、特開2000−26722
6号公報の段落番号0027〜0028に記載されるよ
うに、ポリマーバインダー中に親水性ポリマーを、塗布
液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよい。
【0259】それぞれの層には、特開2000−196
78号公報の段落番号0023〜0041に記載の官能
基を導入した第一のポリマーラテックスとこの第一のポ
リマーラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤お
よび/または第二のポリマーラテックスを用いることも
できる。上記の官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロール
基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキシ
化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネー
ト化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カル
ボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合
物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれ
る。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物とし
てヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB4
0−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分
散型ポリイソシアネート;アミノ化合物としてスミテッ
クスレジンM−3(住友化学工業(株)製);エポキシ
化合物としてデナコールEX−614B(ナガセ化成工
業(株)製);ハロゲン化合物として2,4−ジクロロ
−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム
などが挙げられる。
【0260】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2が好ましく、1.0〜15g/m2がより好
ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改
良のための界面活性剤などを添加してもよい。保護層用
の全バインダー量は、保護層の膜厚を3μm以上にする
ことができる量であることが好ましく、具体的には1〜
10.0g/m2が好ましく、2〜6.0g/m2がより
好ましい。本発明では、保護層の膜厚は3μm以上であ
ることが好ましく、4μm以上であることがさらに好ま
しい。保護層膜厚の上限としては特に制限はないが、塗
布乾燥のことを考慮し、10μm以下であることが好ま
しく、8μm以下であることがより好ましい。バック層
用の全バインダー量は0.01〜10.0g/m2が好
ましく、0.05〜5.0g/m2がより好ましい。
【0261】本発明では、これらの各層は2層以上設け
られる場合がある。画像形成層が2層以上である場合
は、すべての層のバインダーとしてポリマーラテックス
を用いることが好ましい。また、保護層は画像形成層上
に設けられる層であり2層以上存在する場合もあるが、
少なくとも1層、特に最外層の保護層にポリマーラテッ
クスが用いられることが好ましい。また、バック層は支
持体バック面の下塗り層の上部に設けられる層であり2
層以上存在する場合もあるが、少なくとも1層、特に最
外層のバック層にポリマーラテックスを用いることが好
ましい。
【0262】本発明では滑り剤を用いることができる。
本明細書における「滑り剤」とは、物体表面に存在させ
た時に、存在させない場合に比べて物体表面の摩擦係数
を減少させることができる化合物を意味する。その種類
は特に制限されない。
【0263】本発明に用いる滑り剤としては、特開平1
1−84573号公報の段落番号0061〜0064、
特開2001−83679号公報の段落番号0049〜
0062に記載の化合物を挙げることができる。好まし
い滑り剤の具体例としては、セロゾール524(主成分
カルナバワックス)、ポリロンA,393,H−481
(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロンG−1
10(主成分エチレンビスステアリン酸アマイド)、ハ
イミクロンG−270(主成分ステアリン酸アマイド)
(以上、中京油脂(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜
30質量%である。
【0264】本発明の熱現像感光材料を熱現像する際
に、特開2000−171935号公報、特開2001
−83679号公報に記載のように予備加熱部を対向ロ
ーラーで搬送し、熱現像処理部は画像形成層を有する側
をローラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑
面に滑らせて搬送する熱現像機を用いる場合、熱現像感
光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面の
最表面層との熱現像処理温度における摩擦係数の比は
1.5以上であることが好ましい。その摩擦係数の比の
上限は特に制限されないが、30程度であることが好ま
しい。摩擦係数の比は以下の式により求めることができ
る。 摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を
有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部
材とバック面との動摩擦係数(μb) μbは1.0以下であることが好ましく、0.05〜
0.8であることがより好ましい。本発明において熱現
像処理温度での熱現像処理機部材と画像形成層を有する
面および/またはその反対面の最表面層の滑り性は、最
表面層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることに
より調整することができる。
【0265】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特開2000−39684号公報の段落番号0020〜
0037、特開2001−83679号公報の段落番号
0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体の繰
り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデン共
重合体を含む下塗り層を設けることが好ましい。
【0266】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう傾向がある。ま
た、塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体
のほかの構成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビ
ニル単量体の繰り返し単位を含むことが好ましい。この
ような繰り返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体
のみでは、重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防
湿層を塗設する際に均一な膜を作り難くなり、また重合
体(ポリマー)の安定化のためにはカルボキシル基含有
ビニル単量体が不可欠であるからである。本発明で用い
る塩化ビニリデン共重合体の重量平均分子量は45,0
00以下であることが好ましく、10,000〜45,
000であることがより好ましい。分子量が大きくなる
と塩化ビニリデン共重合体層とポリエステル等の支持体
層との接着性が悪化してしまう傾向がある。
【0267】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当りの合計膜厚として0.3μm以上であること
が好ましく、0.3μm〜4μmであることがより好ま
しい。
【0268】なお、下塗り層としての塩化ビニリデン共
重合体層は、支持体に直接設層される下塗り層第1層と
して設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ
設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。
2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重
合体量が合計で上記の範囲であることがより好ましい。
これらの層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋剤
やマット剤などを含有させてもよい。
【0269】支持体には必要に応じて塩化ビニリデン共
重合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等を
バインダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの
下塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して
片面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1層
当たり)は一般に0.01〜5μmであり、より好まし
くは0.05〜1μmである。
【0270】本発明の熱現像感光材料には、種々の支持
体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セル
ロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタク
チックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエ
チレンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このう
ち二軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレートが強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好
ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚みで
90〜180μmであることが好ましい。
【0271】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体と
しては、特開平10−48772号公報、特開平10−
10676号公報、特開平10−10677号公報、特
開平11−65025号公報、特開平11−13864
8号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内
部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪み
をなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理
を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トが好ましく用いられる。
【0272】このような熱処理後における支持体の12
0℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が
−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜
0.04%であることが好ましい。
【0273】本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の
減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬
送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公
報の段落番号0040〜0051に記載の導電性金属酸
化物および/またはフッ素系界面活性剤を用いて帯電防
止することができる。導電性金属酸化物としては、米国
特許第5,575,957号明細書、特開平11−22
3901号公報の段落番号0012〜0020に記載の
アンチモンでドーピングされた針状導電性酸化錫、特開
平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピン
グされた繊維状酸化錫が好ましく用いられる。
【0274】金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗
率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以
下であることが好ましく、1011Ω以下であることがよ
り好ましい。これにより良好な帯電防止性が得られる。
このときの表面抵抗率の下限は特に制限されないが、通
常107Ω程度である。
【0275】本発明の熱現像感光材料の画像形成層を有
する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一
方、好ましくは両方のベック平滑度は、5000秒以下
であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。本
発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)
P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度
試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易
に求めることができる。熱現像感光材料の画像形成層を
有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平
滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号00
52〜0059に記載されるように、前記両面の層に含
有させるマット剤の粒径および添加量を適宜変化させる
ことによってコントロールすることができる。
【0276】本発明では、塗布性付与のための増粘剤と
して水溶性ポリマーを好ましく用いることができる。本
発明で用いる水溶性ポリマーは、天然物でも合成ポリマ
ーでもよく、その種類は特に限定されない。具体的に
は、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、デン
プンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などが挙げられ
る。また、半合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デ
ンプン、カルボキシルデンプン、デキストランなど)、
セルロース類(ビスコース、メチルセルロース、エチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースなど)も用いること
ができる。さらに合成ポリマーとして、ポリビニルアル
コール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリビニルスルフィ
ン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸またはその共
重合体、アクリル酸またはその共重合体等、マレイン酸
共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロ
イルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合体など
を挙げることができる。
【0277】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などである。これらは、特に増粘剤として好ましく利
用される。
【0278】これらの中でも特に好ましい増粘剤は、ゼ
ラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ
ビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピ
ロリドン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリアクリル酸またはその共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体などである。これらの化合物は、
「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株式会社シーエ
ムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発
行)に詳細に記載されている。
【0279】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は好ましくは0.01〜30
質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、特に好
ましくは0.1〜10重量%である。これらによって得
られる粘度は、初期の粘度からの上昇分として1〜20
0mPa・sが好ましく、より好ましくは5〜100m
Pa・sである。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃
で測定した値を示す。塗布液などへの添加に当たって
は、一般に増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加すること
が望ましい。また添加時には十分な攪拌を行うことが好
ましい。
【0280】本発明で用いる界面活性剤について以下に
説明する。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的に
よって、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性
コントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面
活性剤を、適宜選択して使用することによってそれらの
目的は達成することができる。本発明では、ノニオン
性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタイン)のいず
れの界面活性剤も使用することができる。さらにフッ素
系界面活性剤も好ましく用いられる。
【0281】好ましいノニオン系界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性
親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的
には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコ
ール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エス
テルを挙げることができる。
【0282】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。
【0283】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることが
でき、より具体的には第1〜第3級脂肪アミン塩、第4
級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、ト
リアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウ
ム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることが
できる。
【0284】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。
【0285】これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応
用」(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)
に記載されている。本発明における好ましい界面活性剤
の使用量は特に限定されず、目的とする界面活性特性が
得られる量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤
の塗布量は、1m2当り0.01mg〜250mgが好
ましい。
【0286】以下に界面活性剤の具体例を記すが、本発
明で用いることができる界面活性剤はこれらに限定され
るものではない(ここで、−C64−はフェニレン基を
表わす)。 WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2 :C9H19-C6H4-(OCH2CH2)12OH WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステル ナトリウム塩 WA−8 :C8H17-C6H4-(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウム クロラ
イド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N(+)(CH3)2-CH2COO(-) WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N(+)(C
H3)3-CH3・C6H4-SO3 (-) WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N(+)(CH3)2-C
H2COO(-)
【0287】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特開2000−2
964号公報の図1に示されるスライドビード塗布方式
が特に好ましい。
【0288】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。
【0289】バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0290】本発明における好ましい乾燥方式は、特開
2000−2964号公報に記載されているような第一
乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも恒率
乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥させる
方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれるま
での支持体の搬送は、水平搬送であってもなくてもどち
らでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり角度
は0〜70°の間にあればよい。また、本発明における
水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に対し
て上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬送を
意味するものではない。
【0291】本明細書において「恒率乾燥」とは、液膜
温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用され
る乾燥過程を意味する。また、本明細書において「減率
乾燥」とは、乾燥末期における種々の要因(水分移動の
材料内部拡散が律速になる、蒸発表面の後退など)によ
り乾燥速度が低下し、与えられた熱が液膜温度上昇にも
使用される乾燥過程を意味する。恒率過程から減率過程
に移行する限界含水率は200〜300%である。恒率
乾燥が終了する時には、流動が停止するまで十分に乾燥
が進むため、ハロゲン化銀写真感光材料の様な乾燥方式
も採用することができるが、本発明においては恒率乾燥
後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾーンで乾燥させるこ
とが好ましい。
【0292】画像形成層および/または保護層を形成す
る際、恒率乾燥時の液膜表面温度はポリマーラテックス
の最低造膜温度(MTF;通常ポリマーのガラス転移温
度Tgより3〜5℃高い)以上にすることが好ましい。
通常は製造設備の制限より25℃〜40℃にすることが
多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持体のTg未満
の温度(PETの場合通常80℃以下)であることが好
ましい。本明細書における「液膜表面温度」とは、支持
体に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、
「乾球温度」とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味す
る。
【0293】恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件
で乾燥した場合、乾燥が不十分になりやすい。このため
特に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生
じやすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現
像機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題
が生じやすくなる。
【0294】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安
定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。
【0295】下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐
次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に
上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を
行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と
保護層の塗布液とのpH差が2.5以下であることが好
ましく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH
差が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやす
くなり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障
が発生しやすくなる。
【0296】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜
100mPa・sが好ましく、さらに好ましくは40〜
70mPa・sである。一方、保護層の塗布液粘度は2
5℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましく
は30〜60mPa・sである。これらの粘度はB型粘
度計によって測定される。
【0297】乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対
湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻き
姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側
にしてもよいし、内側にしてもよい。また、加工形態が
ロール品の場合は巻き姿で発生したカールを除去するた
めに加工時に巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にす
ることも好ましい。なお、熱現像感光材料の相対湿度は
20〜55%(25℃測定)の範囲で制御されることが
好ましい。
【0298】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。
【0299】本発明における塗布液の脱泡は、塗布液を
塗布される前に減圧脱気し、さらに1.5kg/cm2
以上の加圧状態に保ち、かつ気液界面が生じないように
して連続的に送液しながら超音波振動を与える方式が好
ましい。具体的には、特公昭55−6405号公報4頁
20行〜7頁11行に記載されている方式が好ましい。
このような脱泡を行う装置として、特開2000−98
534号公報の実施例と図2に示される装置を好ましく
用いることができる。
【0300】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は好ましくは3
0分以上、より好ましくは45分以上であり、その上限
は特に制限されない。
【0301】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号0204〜0208、特開20
01−83679号公報の段落番号0240〜0241
に記載されるようにハレーション防止などの目的で、染
料を含有させることができる。
【0302】画像形成層には色調改良、イラジエーショ
ン防止の観点から各種染料や顔料を用いることができ
る。画像形成層に用いる染料および顔料はいかなるもの
でもよいが、例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0297に記載されている化合物を用いること
ができる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化
物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態
などいかなる方法でもよい。これらの化合物の使用量は
目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2
たり1×10-6g〜1gの範囲で用いることが好まし
い。
【0303】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0300に記載されている化合物を用いること
ができる。また、ベルギー特許第733,706号明細
書に記載されるように染料による濃度を加熱による消色
で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記
載されるように光照射による消色で濃度を低下させる方
法等を用いることもできる。
【0304】本発明の熱現像感光材料が熱現像後におい
て、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用い
られる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機にお
いてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、
マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定
するための情報を画像情報として担持している。従っ
て、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、
フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取る
ために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザ
ーによって読み取られるため、センサーの波長域のDm
in(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下
である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社
製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器
およびバーコードリーダーとして670nmの波長の光
源を使用している。また、清水製作社製、製版機APM
Lシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光
源を使用している。すなわち670nm付近のDmin
(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に
検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラー
が発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取
るためには670nm付近のDminが低い必要があ
り、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以
下である必要がある。より好ましくは0.25以下であ
る。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度
である。
【0305】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザーダイオー
ド(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用し
た露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出
力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的
波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができ
るものであればいずれでもよい。例えばLDであれば、
色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レ
ーザーなどを用いることができる。
【0306】本発明の熱現像感光材料は、光源の光ビー
ムをオーバーラップさせて露光する。オーバーラップと
は副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オ
ーバーラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅
(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ
幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することがで
きる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上
であることが好ましい。
【0307】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定されず、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、高出力が得られ、書き込み時間が短くなる
という点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチ
ャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合にはレ
ーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャ
ンネルが好ましく用いられる。
【0308】本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズ
が低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞
の発生防止技術としては、特開平5−113548号公
報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して
斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/3175
4号公報などに開示されているマルチモードレーザーを
利用する方法が知られており、これらの技術を用いるこ
とが好ましい。
【0309】本発明の熱現像感光材料に画像形成する際
の加熱現像工程はいかなる方法によるものであってもよ
いが、通常はイメージワイズに露光した熱現像感光材料
を昇温して現像する。用いられる熱現像機の好ましい態
様としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒート
ドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5−
56499号公報、特開平9−292695号公報、特
開平9−297385号公報および国際公開WO95/
30934号公報に記載の熱現像機、非接触型のタイプ
として特開平7−13294号公報、国際公開WO97
/28489号公報、同97/28488号公報および
同97/28487号公報に記載の熱現像機がある。特
に好ましいのは非接触型の熱現像機である。好ましい現
像温度は80〜250℃であり、さらに好ましくは10
0〜140℃である。現像時間は1〜180秒が好まし
く、5〜90秒がさらに好ましい。ラインスピードは1
40cm/min以上、さらには150cm/min以
上が好ましい。
【0310】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上1
15℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用すること
が有効である。
【0311】本発明の熱現像感光材料を熱現像処理する
とき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中
に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解
成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ム
ラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させた
り、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引
起こしたり、画面に付着して汚れとなったりする等の種
々の悪い影響を及ぼすことが知られている。これらの影
響を除くための方法として、熱現像機にフィルターを設
置し、また熱現像機内の空気の流れを最適に調整するこ
とが知られている。これらの方法は有効に組み合わせて
利用することができる。例えば、国際公開WO95/3
0933号公報、同97/21150号公報、特表平1
0−500496号公報には、結合吸収粒子を有し揮発
分を導入する第一の開口部と排出する第二の開口部とを
有するフィルターカートリッジを、フィルムと接触して
加熱する加熱装置に用いることが記載されている。ま
た、国際公開WO96/12213号公報、特表平10
−507403号公報には、熱伝導性の凝縮捕集器とガ
ス吸収性微粒子フィルターを組合せたフィルターを用い
ることが記載されている。本発明ではこれらを好ましく
用いることができる。また、米国特許第4,518,8
45号明細書、特公平3−54331号公報には、フィ
ルムからの蒸気を除去する装置とフィルムを伝熱部材へ
押圧する加圧装置と伝熱部材を加熱する装置とを有する
構成が記載されている。また、国際公開WO98/27
458号には、フィルムから揮発するカブリを増加させ
る成分をフィルム表面から取り除くことが記載されてい
る。これらについても本発明では好ましく用いることが
できる。
【0312】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図2に示す。図2は熱現
像機の側面図を示したものである。図2の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラー
はシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製の
ヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平
面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対
12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対1
1から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像さ
れる。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬
送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のロ
ーラー13が設置され、その反対側のバック面が接触す
る側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン
(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14
が設置される。熱現像感光材料10は画像形成層を有す
る面に接触する複数のローラー13の駆動により、バッ
ク面を平滑面14の上に滑らせながら搬送される。ロー
ラー13の上部および平滑面14の下部には、熱現像感
光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター1
5が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒー
ター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのク
リアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光
材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。
好ましくは0〜1mmである。
【0313】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。
【0314】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像
加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予
備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜3
0℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発
させるのに十分な温度および時間に設定することが望ま
しく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度
(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設
定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理部の温
度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.
5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流には
ガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド
板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16
は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像感光材料10
に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行う
のが好ましく、冷却速度としては、0.5〜10℃/秒
が好ましい。
【0315】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0316】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限
り適宜変更することができる。したがって、本発明の範
囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきも
のではない。
【0317】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ
処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm
以下)11g、臭化カリウム30mg、および4−メチ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して、
45℃にてpHを6.5に調整した。その後、硝酸銀1
8.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1m
ol/L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6
mol/LおよびK3IrCl6を2×10-5mol/L
で含む水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロー
ルダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。つ
いで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化
カリウムを1mol/LおよびK3IrCl6を2×10
-5mol/Lで含むハロゲン塩水溶液を、pAg7.7
に保ちながらコントロールダブルジェット法で28分3
0秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降さ
せて脱塩処理をし、平均分子量15,000の低分子量
ゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以下)5
1.1g加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。
得られた粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積
変動係数9%、(100)面比率90%の立方体粒子で
あった。得られたハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して
銀1mol当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム7
6μmolを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71
μmolを添加した後、100分間熟成し、4−ヒドロ
キシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデ
ンを5×10-4mol、化合物Aを0.17g加えた
後、40℃に降温させた。その後、温度を40℃に保
ち、ハロゲン化銀1molに対して4.7×10-2mo
lの臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×1
-4molの下記増感色素A、BあるいはC(エタノー
ル溶液として添加;種類は表13に記載のとおり)、
6.4×10-3molの化合物B(メタノール溶液とし
て添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急
冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。調製した
ハロゲン化銀乳剤Aは、下記の塗布液の調製に用いた。
【0318】
【化91】
【0319】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸
(ヘンケル社製、EdenorC22−85R)87.
6kg、蒸留水423L、5mol/LのNaOH水溶
液49.2L、tert−ブチルアルコール120Lを
混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナ
トリウム溶液を得た。これとは別に、硝酸銀40.4k
gの水溶液206.2Lを用意し、10℃にて保温し
た。635Lの蒸留水と30Lのtert−ブチルアル
コールを入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しなが
ら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の
全量を流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけて
添加した。この時、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒
間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあと
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液添
加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが
添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は
30℃とし、液温度が上がらないようにコントロールし
た。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、
スチームトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口
の液温度が75℃になるようにスチーム量をコントロー
ルした。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管
の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン
酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置
は攪拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に
接触しないような高さに調節した。ベヘン酸ナトリウム
溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間攪拌放置
し、25℃に降温した。その後、遠心ろ過で固形分を濾
別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるま
で水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させない
でウエットケーキとして保管した。得られたベヘン酸銀
の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、
平均投影面積径0.52μm、平均粒子厚み0.14μ
m、平均球相当径の変動係数15%の鱗片状の結晶であ
った。
【0320】次に、以下の方法でベヘン酸銀の分散物を
作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキに
対し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−
217,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を
添加し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて
予備分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(マイ
クロフルイデックス・インターナショナル・コーポレー
ション製、マイクロフルイダイザーM−110S−E
H、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力
を1750kg/cm2に調節して、3回処理し、ベヘ
ン酸銀分散物Aを得た。このとき、蛇管式熱交換器をイ
ンタラクションチャンバーの前後に各々装着して冷媒の
温度を調節することにより、所望の分散温度に設定し
た。得られたベヘン酸銀分散物Aに含まれるベヘン酸銀
粒子は、体積加重平均直径0.52μm、変動係数15
%の粒子であった。粒子サイズの測定は、MalvernInstr
uments Ltd.製MasterSizerXにて行った。また電子顕微
鏡撮影により評価したところ、長辺と短辺の比は1.
5、粒子厚みは0.14μm、平均アスペクト比(粒子
の投影面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であっ
た。得られたベヘン酸銀分散物Aは、下記の塗布液の調
製に用いた。
【0321】《還元剤の固体微粒子分散物の調製》還元
剤[1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン]10k
gと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液10kgに、サー
フィノール104E(日信化学(株)製)400g、メ
タノール640g、および水16kgを添加して、よく
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、U
VM−2)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソ
チアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて還元剤の濃
度が25質量%になるように調整し、還元剤の固体微粒
子分散物を得た。こうして得られた分散物に含まれる還
元剤粒子は、メジアン径が0.44μm、最大粒子径が
2.0μm以下、平均粒子径の変動係数が19%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行いゴミ等の異物を除去した
うえで、下記の塗布液の調製に用いた。
【0322】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)
の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639
g、サーフィノール104E(日信化学(株)製)40
0g、メタノール640g、および水16kgを添加し
て、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコ
ニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて5時間分散したのち水を加え
て有機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%になる
ように調製し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物を得た。こうして得られた分散物に含まれる有機
ポリハロゲン化合物粒子は、メジアン径が0.36μ
m、最大粒子径が2.0μm以下、平均粒子径の変動係
数が18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行いゴミ等
の異物を除去したうえで、下記の塗布液の調製に用い
た。
【0323】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20
質量%水溶液2.5kg、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213g、お
よび水10kgを添加して、よく混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビー
ズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて5時間
分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩
2.5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃
度が23.5質量%になるように調製し、有機ポリハロ
ゲン化合物Bの固体微粒子分散物を得た。得られた分散
物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子は、メジアン
径が0.38μm、最大粒子径が2.0μm以下、平均
粒子径の変動係数が20%であった。得られた分散物は
孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過
を行いゴミ等の異物を除去したうえで、下記の塗布液の
調製に用いた。
【0324】《有機ポリハロゲン化合物C水溶液の調
製》室温で攪拌しながら、水75.0ml、トリプロピ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウム(20%水溶液)
8.6ml、オルトリン酸二水素ナトリウム・2水和物
(5%水溶液)6.8ml、および水酸化カリウムの1
mol/L水溶液9.5mlを順次添加し、添加終了後
5分間攪拌混合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハ
ロゲン化合物C(3−トリブロモメタンスルホニルベン
ゾイルアミノ酢酸)4.0gの粉末を添加し、溶液が透
明になるまで均一に溶解して水溶液100mlを得た。
得られた水溶液は、200メッシュのポリエステル製ス
クリーンにてろ過を行いゴミ等の異物を除去したうえ
で、下記の塗布液の調製に用いた。
【0325】《化合物Zの乳化分散物の調製》化合物Z
を85質量%含有する三光(株)製R−054を10k
gとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換し
て80℃1時間溶解した。この液に水25.52kgと
クラレ(株)製MPポリマー(クラレ(株)製、MP−2
03)の20質量%水溶液12.76kgとトリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水
溶液0.44kgを添加して、20〜40℃、3600
rpmで60分間乳化分散した。さらに、この液にサー
フィノール104E(日信化学(株)製)0.08kg
と水47.94kgを添加して減圧蒸留しMIBKを除
去したのち、化合物Zの濃度が10質量%になるように
調製した。こうして得た分散物に含まれる化合物Zの粒
子はメジアン径0.19μm、最大粒子径1.5μm以
下、粒子径の変動係数17%であった。得られた分散物
は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて
ろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0326】《6−イソプロピルフタラジン化合物の分
散液の調製》室温で水62.35gを攪拌しながら変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)2.0gが塊状にならない様に添加し10分間
攪拌混合した。その後加熱し、内温が50℃になるまで
昇温した後、内温50〜60℃の範囲で90分間攪拌し
均一に溶解させた。内温を40℃以下に降温し、ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−217、1
0質量%水溶液)25.5g、トリプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム(20質量%水溶液)3.0g、
および6−イソプロピルフタラジン(70質量%水溶
液)7.15gを添加し、30分攪拌し透明分散液10
0gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過を行いゴミ等の異物を
除去したうえで、下記の塗布液の調製に用いた。
【0327】《本発明の化合物の固体微粒子分散物の調
製》表13に記載される本発明の化合物4kgに対し
て、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバール
PVA−217)1kgと水36kgを添加し、よく混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩0.04gと水を加えて本発明の化
合物の濃度が10質量%になるように調整し、本発明の
化合物の固体微粒子分散物を得た。得られた分散物に含
まれる本発明の化合物の粒子は、メジアン径が0.34
μm、最大粒子径が3.0μm以下、粒子径の変動係数
が19%であった。得られた分散物は、孔径3.0μm
のポリプロピレン製フィルターにてろ過を行いゴミ等の
異物を除去したうえで、下記の塗布液の調製に用いた。
【0328】《現像促進剤Wの固体微粒子分散物の調
製》現像促進剤W10kg、変性ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%
水溶液10kg、および水20kgを添加して、よく混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて5時間分散したのち水を加えて現像促進剤
Wの濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤
Wの固体微粒子分散物を得た。得られた分散物に含まれ
る有機ポリハロゲン化合物粒子は、メジアン径が0.5
μm、最大粒子径が2.0μm以下、平均粒子径の変動
係数が18%であった。得られた分散物は、孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行いゴミ
等の異物を除去したうえで、下記の塗布液の調製に用い
た。
【0329】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えて、画像形成層塗布液とした。調製後、圧
力0.54atmで減圧脱気を45分間行った。塗布液
のpHは7.7、粘度は25℃で50mPa・sであっ
た。
【0330】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 397g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 重合開始剤としてNa228を使用) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5- トリメチルヘキサン 固形分として 149.5g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 36.3g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.34g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.47g ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 15.0g 化合物Z 固形分として 9.7g 本発明の化合物XあるいはNo.55 7.7g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% pH調整剤として、NaOHを用いて調整した。 (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0331】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2
−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=5
8.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポ
リマーラテックス溶液(共重合体のガラス転移温度46
℃(計算値)、固形分濃度21.5質量%、化合物Aを
100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合物D
をラテックスの固形分に対して15質量%含有させ塗布
液のガラス転移温度を24℃として溶液とした;平均粒
子径116nm)943gに水を加え、有機ポリハロゲ
ン化合物C水溶液を114.8g、有機ポリハロゲン化
合物Aを固形分として17.0g、オルトリン酸二水素
ナトリウム・二水和物を固形分として0.69g、現像
促進剤Wを固形分として11.55g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)1.58gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−235)29.3g、化合物Eを
1.62g加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール
溶媒を0.8質量%含有)を調製した。調製後、圧力
0.47atmで減圧脱気を60分間行った。得られた
保護層塗布液のpHは5.5、粘度は25℃で45mP
a・sであった。
【0332】
【化92】
【0333】《下層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体のガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度21.5質量
%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤
として化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量
%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃として容
器とした;平均粒子径74nm)625gに水を加え、
化合物Cを0.23g、化合物Eを0.13g、化合物
Fを11.7g、化合物Hを2.7gおよびポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、PVA−235)11.
5gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒
を0.1質量%含有)を調製した。調製後、圧力0.4
7atmで減圧脱気を60分間行った。塗布液のpHは
2.6、粘度は25℃で30mPa・sであった。
【0334】《上層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体のガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度21.5質量
%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤
として化合物Dをラテックスの固形分に対して15質量
%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃として溶
液とした;平均粒子径116nm)649gに水を加
え、カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾー
ル524、シリコーン含有量5ppm未満)の30質量
%溶液18.4g、化合物Cを0.23g、化合物Eを
1.85g、化合物Gを1.0g、マット剤(ポリスチ
レン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)
3.45gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、PVA−235)を26.5g加え、さらに水を加
えて塗布液(メタノール溶媒を1.1質量%含有)を調
製した。調製後、圧力0.47atmで減圧脱気を60
分間行った。塗布液のpHは5.3、粘度は25℃で2
5mPa・sであった。
【0335】
【化93】
【0336】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化して、130℃で4時間乾燥
した後、300℃で溶融後T型ダイから押し出した。そ
の後急冷し、熱固定後の膜厚が120μmになるような
厚みの未延伸フィルムを作製した。これを周速の異なる
ロールを用い、110℃で3.3倍に縦延伸し、ついで
テンターを用いて130℃で4.5倍に横延伸した。こ
の後、240℃で20秒間熱固定した後、同じ温度で横
方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部を
スリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg
/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4m、
長さ3500m、厚み120μmのロール状のPET支
持体を得た。
【0337】(2)下塗り層およびバック層の作製 下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、次いで150℃で30秒、さらに185℃
で30秒乾燥した。
【0338】 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物−Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0339】下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、次いで
150℃で30秒、さらに170℃で30秒乾燥した。
【0340】 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20質量%水溶液) 10g 化合物−Bc−A 0.04g メチルセルロース(2質量%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0341】バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、次いで150℃で30秒、さら
に185℃で30秒乾燥した。
【0342】 ジュリマーET410(30質量%水分散物、日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、 Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A (783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、 スミテックスレジンM−3、8質量%水溶液) 15g SbドープSnO2の針状粒子の水分散物 (石原産業(株)製、FS−10D) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0343】バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、次いで1
50℃で30秒、さらに170℃で30秒乾燥した。
【0344】 ジュリマーET410(30質量%水分散物、日本純薬(株)製) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、 スミテックスレジンM−3、8質量%水溶液) 15g セロゾール524(30質量%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0345】バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、次いで
150℃で30秒、さらに185℃で30秒乾燥した。
【0346】バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、次いで
150℃で30秒、さらに170℃で30秒乾燥した。
【0347】 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート(10質量%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0348】
【化94】
【0349】ラテックス−A: コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタ
イプのラテックス コア部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチル
メタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93
/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチ
ルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=8
8/3/3/3/3(質量%) 質量平均分子量38,000 ラテックス−B: メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=59/9/26/5/1(質量%)の共重
合体
【0350】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を、160℃に設定した全長200m熱処理ゾ
ーンに入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分
で搬送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0351】《熱現像感光材料の作製》PET支持体の
下塗り第二層の上に、特開2000−2964号公報の
図1に示されているスライドビート塗布方式を用いて、
前記の画像形成層塗布液を表13のように、塗布銀量
1.5g/m2になるように塗布した。さらにその上
に、前記保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗
布量が1.29g/m2になるように画像形成層塗布液
と共に同時重層塗布した。その後、保護層の上に前記下
層オーバーコート層塗布液をポリマーラテックスの固形
分塗布量が1.97g/m2および前記上層オーバーコ
ート層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が
1.07g/m2になるように下層オーバーコート塗布
液と共に同時重層塗布し、熱現像感光材料を作製した。
塗布時の乾燥は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70
〜75℃、露点8〜25℃、液膜表面温度35〜60℃
の範囲で、塗布液の流動がほぼなくなる乾燥点近傍まで
は水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支持体が
1.5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温
度25±5℃、相対湿度45±5%の条件下で行い、巻
き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わ
せ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感光材料
の包袋相対湿度は20〜40%(25℃測定)で、得ら
れた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは5.0、
ベック平滑度は750秒であり、反対側の膜面pHは
5.9、ベック平滑度は600秒であった。
【0352】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラー回転数60000rpm、露光時間
1.2×10-8秒の露光を実施した。この時のオーバー
ラップ係数は0.449にし、熱現像感光材料面上のレ
ーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料に対して、図
2に示した熱現像機を用いて熱現像処理を行った。熱現
像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面は
テフロン不織布とし、搬送のラインスピードは150c
m/minに設定した。熱現像処理は、予備加熱部で1
2.2秒(予備加熱部と熱現像処理部の駆動系は独立し
ており、熱現像部との速度差は−0.5%〜−1%に設
定、各予熱部の金属ローラーの温度設定、時間は第1ロ
ーラー温度67℃、2.0秒、第2ローラー温度82
℃、2.0秒、第3ローラー温度98℃、2.0秒、第
4ローラー温度温度107℃、2.0秒、第5ローラー
温度115℃、2.0秒、第6ローラー温度120℃、
2.0秒にした)、熱現像処理部(熱現像感光材料面温
度120℃)で17.2秒、徐冷部で13.6秒行っ
た。なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であった。各
ローラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例えば幅6
1cm)よりも両側それぞれ5cm長くして、その部分
にも温度をかけて、温度精度が出るようにした。なお、
各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、熱現像
感光材料の幅よりも5cm長くした部分はローラー中央
部よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、熱現像
感光材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度が均質
な仕上がりになるように留意した。
【0353】(写真性能の評価)画像のDmin(カブ
リ)、Dmax(最高濃度)については、マクベスTD
904濃度計(可視濃度)により測定を行った。感光材
料を保存した際のカブリ変化に対するシミュレーション
テストとしては、25℃相対湿度40%の雰囲気下で1
6時間調湿後、同条件でヒートシールを行い、40℃で
30日間、および、60℃で1日間放置したサンプルに
ついて、Dmin(カブリ)を測定した(現像前の保存
性)。処理後の感光材料を保管した際のカブリの変化に
ついては、処理後の感光材料を遮光した状態で60℃相
対湿度50%の条件下で5日間放置した後でカブリ濃度
を測定することにより行った(暗熱保存性)。現像銀粒
子密度は、発明の実施の形態中に記載した方法と同様
に、写真を撮影し、単位面積当たりの現像銀粒子の数を
数え、その密度を比較した。カバリングパワーについて
も、発明の実施の形態中に記載した方法と同様に、感材
中の全ての銀イオンが還元されたサンプルについて、可
視濃度を現像銀量(g/m2)で割った値で比較した。
上記評価を実施した結果を表13に示す。表13より明
らかなように、本発明の構成の試料が、現像銀粒子密
度、カバーリングパワーが高く、カブリ、Dmaxの点
ですぐれており、さらに、感光材料を保存した場合のカ
ブリの上昇が小さく、加えて、処理後保管によるカブリ
の上昇が少なく、良好な性能を示していることがわか
る。
【0354】
【表13】
【0355】<実施例2> 《画像形成層塗布液の調製》実施例1で作製したベヘン
酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダ
ー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、画像形成層塗布液とした。調製後、圧力0.5
4atmで減圧脱気を45分間行った。塗布液のpHは
7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50mPa・s
であった。
【0356】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 397g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 重合開始剤としてNa228を使用) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5- トリメチルヘキサン 固形分として 148.0g 有機ポリハロゲン化合物A 固形分として 40.0g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 12.0g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.0g 現像促進剤W 固形分として 5.5g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.3g ベンゾトリアゾール 1.2g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 13.0g 化合物Z 固形分として 9.6g 化合物C 0.2g 本発明の化合物 8.5g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% pH調整剤としては、NaOHを用いた。 (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0357】《下層保護層塗布液の調製》メチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=70/30(質量
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体のガラス転移
温度30℃、固形分濃度28.0%、化合物Aを100
ppm含有)900gに水を加え、化合物Eを0.2
g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−
235)を35.0g加え、さらに水を加えて塗布液
(メタノール溶媒を0.5質量%含有)を調製した。調
製後、圧力0.47atmで減圧脱気を60分間行っ
た。塗布液のpHは5.2、粘度は25℃で35mPa
・sであった。
【0358】《上層保護層塗布液の調製》メチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=70/30(質量
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度30℃、固形分濃度として28.0%、化合物Aを
100ppm含有)900gに、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524、シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液を10.0
g、化合物Cを0.3g、化合物Eを1.2g、化合物
Fを25.0g、化合物Hを6.0g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)5.0gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−235)40.0gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含
有)を調製した。調製後、圧力0.47atmで60分
間行った。塗布液のpHは2.4、粘度は25℃で35
mPa・sであった。
【0359】《熱現像感光材料の作製》実施例1に記載
したように下塗り層を塗布したPET支持体の下塗り層
の上に、特開2000−2964号公報の図1に示され
ているスライドビ-ド塗布方式を用いて、前記の画像形
成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる様に、その
上に、前記の保護層下層塗布液をポリマーラテックスの
固形分塗布量が1.0g/m2になる様に、さらにその
上に前記の保護層上層塗布液をポリマーラテックスの固
形分塗布量が1.3g/m2になる様に、画像形成層と
保護層下層および上層の3層を同時に重層塗布した。塗
布時の乾燥条件は、第一乾燥ゾーン(低速風乾燥域)が
乾球温度70〜75℃、露点9〜23℃、支持体面上で
の風速8〜10m/s、液膜表面温度35〜40℃の範
囲で乾燥し、第二乾燥ゾーン(高速風乾燥域)が、乾球
温度65〜70℃、露点20〜23℃、そして支持体面
上での風速20〜25m/sで乾燥した。第一乾燥ゾー
ンの滞在時間は、このゾーンでの恒率乾燥期の2/3の
時間で、第二乾燥ゾーンに移行させ、乾燥した。第一乾
燥ゾーンは、水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し
支持体が1.5°〜3°の角度)である。塗布速度は、
60m/minで行った。乾燥後の巻取りは温度25±
5℃、相対湿度45±10%の条件下で行った。巻き姿
はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わせ、
画像形成層面側を外にした。なお、感光材料の包袋湿度
は相対湿度20〜40%(25℃測定)で、得られた熱
現像感光材料の画像形成側の膜面pHは5.0、ベック
平滑度は5000秒であり、反対側の膜面pHは5.
9、ベック平滑度は500秒であった。
【0360】塗布方法を変更し、本発明の化合物として
P−3を使用する以外は、実施例1と同様にハロゲン化
銀乳剤、本発明の化合物を使用して試料を作製し評価を
実施したところ、実施例1と同様に本発明の条件を満た
す試料が良好な性能を示した。
【0361】<実施例3>実施例2の保護層下層および
上層のポリマーラテックスを、MA/MMA=30/7
0(質量%比、平均粒径110nm、質量平均分子量8
00,000)ポリマーラテックスに換えて、さらに実
施例2と同様の粘度になるようにポリビニルアルコール
(クラレ(株)製,PVA−235)水溶液の添加量を
変えて塗布液を調製し、実施例2と同様に評価を行っ
た。その結果、実施例1、2と同様に本発明の条件を満
たす試料が良好な性能を示していることがわかった。
【0362】<実施例4>実施例1〜3の試料を富士写
真フイルム(株)製の熱現像機:DRY SYSTEM
PROCESSOR FDS−6100Xを使用して
A2出力時のコンベア入り口からフィルム排出完了まで
85秒の時間で処理を実施した。これらのサンプルを実
施例1と同様に評価を行った。その結果、実施例1、2
と同様に本発明の条件を満たす試料が良好な性能を示し
ていることがわかった。
【0363】<実施例5>実施例1のバック/下塗り層
のついたポリエチレンテレフタレ−ト(PET)支持体
の作製方法を以下の手順に変更して、実施例1と同様の
熱現像感光材料を製造した。 《バック/下塗り層のついたポリエチレンテレフタレ−
ト(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 実施例1と同じ手順により幅2.4m、長さ3500
m、厚み120μmのロ−ル状のPET支持体を得た。
PET支持体の表面には、両面とも0.375kV・A
・分/m2のコロナ放電処理を施した。
【0364】(2)下塗り層及びバック層の作成 下記の塗布液S−A、S−B、S−Cを調製した。支持
体の画像形成層を形成する側に、S−Bを13.8ml
/m2塗布し、さらにその上にS−Aを6.2ml/m2
塗布した。次に、支持体のバック面に、S−Aを6.2
ml/m2塗布し、さらにその上にS−Cを13.8m
l/m2塗布した。乾燥は、125℃で30秒、次いで
150℃で30秒、さらに185℃で30秒行った。 塗布液S−A ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物−Bc−C 0.06g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0365】 塗布液S−B ケミパールS120(27%水分散物、三井化学(株)製) 73.1g ペスレジンA615G(25%水分散物、高松油脂(株)製) 78.9g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.3g 化合物−Bc−D 0.25g 水溶性エポキシ化合物 (ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX521) 3.4g ポリメチルメタクリレ−ト(10%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0366】 塗布液S−C ペスレジンA520(30%水分散物、高松油脂(株)製) 46g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A (783nmの光学濃度として1.3の濃度になるように調整) ポリオキシエチレンフェニルエ−テル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) FS−10D(SbドープSnO2 20%水分散物,石原産業(株)製) 81.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm, 平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 計量が1000gとなる量
【0367】(3)搬送熱処理 実施例1と同じ方法で熱処理と後熱処理を施して、バッ
ク/下塗り層のついたポリエチレンテレフタレ−ト(P
ET)支持体とした。この支持体を用いて、実施例1と
同じ熱現像感光材料の試料を調製した。実施例1と同じ
試験を行ったところ、本発明の条件を満たす試料が、同
様に優れた効果を示すことが確認された。
【0368】<実施例6>実施例1と同様の方法で、本
発明の化合物として化合物2−2、化合物10−2、化
合物18−1、化合物218−2、化合物H−1−1
5、化合物H−2−2、化合物H−2−2、化合物H−
3−1、化合物H−4−1、化合物H−5−1、化合物
A’−6、化合物A−3をそれぞれ用いて12種類の熱
現像感光材料を作製した。これらの熱現像感光材料を、
実施例1と同じ方法で評価した。その結果、実施例1と
同様の効果を得ることができた。
【0369】<実施例7> 1)下引済み支持体の作製 《PET支持体の作製》PETペレットを130℃で4
時間乾燥した後、300℃で溶融後T型ダイから押し出
した後急冷し、未延伸のフィルムを作製した。これを周
速の異なるロールを用い3.0倍に縦延伸、ついでテン
ターで4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそ
れぞれ110℃、130℃であった。この後、240℃
で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和
した。この後200℃のゾーンを巻き取り張力3.5k
g/cm2で20m/minの速度で10分間熱処理し
た。
【0370】この後テンターのチャック部をスリッター
した後、両端にナール加工を行い、40Nの力で巻き取
った。このようにして巾2.4m、長さ800m、厚み
125μmのPETフィルムのロールを得た。ガラス転
移点は79℃であった。
【0371】上記のようにして作製した2軸延伸熱固定
済みの厚さ125μmの厚みをもったPETフィルム支
持体の両面にそれぞれ8W/m2・分のコロナ放電処理
を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚
0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1
とし、また反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布
液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥
させて帯電防止加工下引層B−1とした。
【0372】 《下引塗布液a−1》 ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート (20質量%)、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエ チルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテックス液 (固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g 水 総量が1000mlになる量
【0373】 《下引塗布液b−1》 SnO2/Sb(9/1質量比、平均粒径0.18μm) 200mg/m2になる量 ブチルアクリレート(30質量%)、スチレン(20質量%) グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテッ クス液(固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水 総量が1000mlになる量
【0374】上記下引層A−1および下引層B−1の上
表面に、8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A
−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚
0.1μmになる様に塗布して下引上層A−2とし、下
引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜
厚0.8μmになる様に塗布して帯電防止機能をもつ下
引上層B−2とした。
【0375】 《下引上層塗布液a−2》 ゼラチン 0.4g/m2になる質量 (C−1) 0.2g (C−2) 0.2g (C−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水 総量が1000mlになる量
【0376】 《下引上層塗布液b−2》 (C−4) 60g (C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g (C−6) 12g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水 総量が1000mlになる量
【0377】
【化95】
【0378】
【化96】
【0379】《支持体の熱処理》上記の下引済み支持体
を、160℃に設定した全長200mの熱処理ゾーンに
入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送
した。その後で、40℃のゾーンに15秒間通し、10
kg/cm2の巻き取り張力で巻き取った。
【0380】2)乳剤および溶液の調製 《ハロゲン化銀乳剤の調製》水900ml中にイナート
ゼラチン7.5gおよび臭化カリウム10mgを溶解し
て温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74
gを含む水溶液370mlと(60/38/2)のmo
l比の塩化ナトリウムと臭化カリウムと沃化カリウムお
よび〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1mol当たり1×
10-6molおよび塩化ロジウム塩を銀1mol当たり
1×10-6mol含む水溶液370mlを、pAg7.
7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加
した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3
a,7−テトラザインデンを添加しNaOHでpHを
8、pAg6.5に調整することで還元増感を行い平均
粒子サイズ0.06μm、単分散度10%の投影直径面
積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃
臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて
凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1g
を加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲ
ン化銀乳剤を得た。
【0381】《ベヘン酸ナトリウム溶液の調製》945
mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9
g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高
速で攪拌しながら1.5mol/Lの水酸化ナトリウム
水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを
加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。
【0382】《ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤のプレフ
ォーム乳剤の調製》上記のベヘン酸ナトリウム溶液に、
前記ハロゲン化銀乳剤を添加し、水酸化ナトリウム溶液
でpH8.1に調整した後に、1mol/Lの硝酸銀溶
液147mlを7分間かけて加え、さらに20分攪拌し
限外濾過により水溶性塩類を除去した。生成したベヘン
酸銀は平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子
であった。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、
更に6回の水洗と水の除去を行った後乾燥させた。
【0383】《感光性乳剤の調製》前記プレフォーム乳
剤を分割し、それにポリビニルブチラール(平均分子量
3000)のメチルエチルケトン溶液(17質量%)5
44gとトルエン107gを徐々に添加して混合した後
に、0.5mmサイズZrO2のビーズミルを用いたメ
ディア分散機で4000psiで30℃、10分間の分
散を行った。
【0384】前記の支持体上にそれぞれ以下の各層を両
面同時塗布し、試料を作製した。なお、乾燥は60℃、
15分間で行った。
【0385】3)バック面側塗布 支持体の下引層B−2の上に、以下の組成のバック層塗
布液を塗布してバック層を形成した。 《バック層塗布液》 セルロースアセテートブチレート(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2 染料−A 60mg/m2 マット剤:単分散度15%平均粒子サイズ8μm単分散シリカ 90mg/m2817(CH2CH2O)12817 50mg/m2919−C64−SO3Na 10mg/m2
【0386】
【化97】
【0387】4)画像形成層面側塗布 支持体の下引層A−2の上に、以下の組成を有する画像
形成層塗布液を塗布銀量が1.5g/m2になる様に塗
布した。 《画像形成層塗布液》 前記感光性乳剤 240g 増感色素(0.1%メタノール溶液) 1.7ml ピリジニウムプロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3ml 臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml 酸化剤(10%メタノール溶液) 1.2ml 化合物(T−44) 9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml 化合物P(5%メタノール溶液) 17ml 化合物2−1 5x10-3mol/Ag−mol フタラジン 0.6g 4−メチルフタル酸 0.25g テトラクロロフタル酸 0.2g 平均粒径3μmの炭酸カルシウム 0.1g 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル) −2−メチルプロパン(20%メタノール溶液) 5.5ml 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル) −3,5,5−トリメチルヘキサン(20%メタノール溶液) 15.0ml イソシアネート化合物(モーベイ社製、 Desmodur N3300) 0.5g
【0388】
【化98】
【0389】
【化99】
【0390】以下の組成を有する表面保護層塗布液を、
画像形成層の上になるように画像形成層塗布液と同時塗
布した。このとき、表面保護層の厚さが2.5μmにな
るように、セルロースアセテートブチレートの添加量を
制御した。 《表面保護層塗布液》 アセトン 5ml/m2 メチルエチルケトン 21ml/m2 セルロースアセテートブチレート 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 マット剤:単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ 5mg/m2 CH2=CHSO2CH2CONHCH2CH2NHCOCH2SO2CH=CH2 35mg/m2 フッ素系界面活性剤 C1225(CH2CH2O)101225 10mg/m2817−C64−SO3Na 10mg/m2 塗膜形成した後の試料を用い、バインダーを除去した後
に、レプリカ法で電子顕微鏡観察して測定したところ、
有機銀塩粒子は長軸径0.5±0.05μm、短軸径
0.4±0.05μm、厚み0.01μmの平板状粒子
が全有機銀塩粒子の90%である単分散度5%の粒子で
あった。
【0391】5)露光処理 得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビーム強度の1
/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50m
W、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単
チャンネル円筒内面方式のレーザープロッターを使用
し、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×
10-8秒の露光を実施した。この時のオーバーラップ係
数は0.449にし、熱現像感光材料面上のレーザーエ
ネルギー密度は75μJ/cm2とした。
【0392】6)熱現像処理 熱現像感光材料は、オンラインで、上記プロッターから
オートキャリアを経て、図2に示した熱現像機で、熱現
像処理を行った。熱現像部のローラー表面材質はシリコ
ンゴム、平滑面はテフロン不織布にして、熱現像部での
搬送のラインスピードは25mm/秒に設定した。予備
加熱部12.2秒(予備加熱部と熱現像部の駆動系は独
立しており、熱現像部との速度差は−0.5%〜−1%
に設定、オートキャリアの予備加熱部との速度差は0%
〜−1.0%に設定、各予熱部の金属ローラーの温度設
定、時間は第1ローラー温度67℃、2.0秒、第2ロ
ーラー温度82℃、2.0秒、第3ローラー温度98
℃、2.0秒、第4ローラー温度温度107℃、2.0
秒、第5ローラー温度115℃、2.0秒、第6ローラ
ー温度120℃、2.0秒にした)、熱現像部120℃
(熱現像感光材料面温度)で17.2秒、徐冷部13.
6秒で熱現像処理を行った。なお、幅方向の温度精度は
±0.5℃であった。各ローラー温度の設定は熱現像感
光材料の幅(例えば幅61cm)よりも両側それぞれ5
cm長くして、その部分にも温度をかけて、温度精度が
出るようにした。なお、各ローラーの両端部分は温度低
下が激しいので、熱現像感光材料の幅よりも5cm長く
した部分はローラー中央部よりも1〜3℃温度が高くな
るように設定し、熱現像感光材料(例えば幅61cmの
中で)の画像濃度が均質な仕上がりになるように留意し
た。
【0393】7)評価 実施例1と同じ評価を行ったところ、実施例1と同様に
優れた効果が確認された。
【0394】画像形成層塗布液に用いた化合物2−1の
代わりに、化合物2−2、化合物10−2、化合物18
−1、化合物218−2、化合物H−1−15、化合物
H−2−2、化合物H−2−2、化合物H−3−1、化
合物H−4−1、化合物H−5−1、化合物A’−6、
化合物A−3をそれぞれ用いてさらに12種類の熱現像
感光材料を作製した。これらの熱現像感光材料を、上記
方法により評価したところ、同様に優れた効果が確認さ
れた。
【0395】
【発明の効果】本発明によれば、カブリが低く、Dma
x(最高濃度)が高く、処理後の感光材料を長期間保管
してもカブリの上昇の少ない写真製版用途に適した写真
特性を得ることができる熱現像感光材料を得ることがで
きる。また、環境面、コスト面で有利な水系塗布が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物が熱現像感光材料に存在する
場合(A)と存在しない場合(B)の断面電子顕微鏡写
真である。
【図2】 本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用い
られる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像形成材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 克之 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB01 AB03 AB23 AB25 BA00 BA14 BB00 BB27 BB39 CB00 CB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方面上に、非感光性有機銀
    塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、お
    よびバインダーを有する熱現像感光材料において、非感
    光性有機銀塩上および近傍に現像開始点を形成可能な化
    学種をイメージワイズに生成する化合物の少なくとも1
    種を含有し、該感光性ハロゲン化銀が750〜1400
    nmの範囲で分光増感されていることを特徴とする熱現
    像感光材料。
  2. 【請求項2】 支持体の一方面上に、非感光性有機銀
    塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、お
    よびバインダーを有する熱現像感光材料において、0.
    01mol/銀molで添加することにより現像銀粒子
    密度が200〜5000%に増加する化合物の少なくと
    も1種を含有し、該感光性ハロゲン化銀が750〜14
    00nmの範囲で分光増感されていることを特徴とする
    熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 支持体の一方面上に、非感光性有機銀
    塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンのための還元剤、お
    よびバインダーを有する熱現像感光材料において、0.
    01mol/銀molで添加することによりカバリング
    パワーが120〜1000%に増加する化合物の少なく
    とも1種を含有し、該感光性ハロゲン化銀が750〜1
    400nmの範囲で分光増感されていることを特徴とす
    る熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の下記一般式(T)で表
    される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の熱現像感光材料。 【化1】 (式中、R1は水素原子、−OM2、ヘテロ原子を少なく
    とも1つ含有する基で少なくとも1つ置換されたアルキ
    ル基、またはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル
    基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
    ル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカ
    ルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ
    基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカ
    ルボニルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイ
    ル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ
    基、アミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホ
    ニルオキシ基、ウレイド基、シリル基、メルカプト基、
    ヒドロキシ基、ニトロソ基、スルホ基、カルボキシル
    基、リン酸エステル基、ヘテロ環基、ハロゲノアルキル
    基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアリー
    ル基、またはヘテロ環基を表す。Lは連結基を表し、M
    1およびM2は水素原子またはカチオンを表す。mは0〜
    5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。但し、mが
    0の場合、およびmが1でかつR1が−OHの場合はL
    はハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
    ル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、アリ
    ールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル
    オキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ
    基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルオキシ
    基、シリル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロソ
    基、スルホ基、リン酸エステル基、ヘテロ環基から選ば
    れる1〜3個の基で置換された連結基を表す。)
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