JP2002296727A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2002296727A
JP2002296727A JP2001096642A JP2001096642A JP2002296727A JP 2002296727 A JP2002296727 A JP 2002296727A JP 2001096642 A JP2001096642 A JP 2001096642A JP 2001096642 A JP2001096642 A JP 2001096642A JP 2002296727 A JP2002296727 A JP 2002296727A
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JP2001096642A
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Tokuki Oikawa
徳樹 及川
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で、低カブリ、高Dmax(最高濃
度)で、保存時の感度変動の小さい熱現像感光材料を提
供すること。 【解決手段】 支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化
銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およ
びバインダーを含有する熱現像感光材料において、該一
方面上に、下記一般式(1)で表され、融点が70℃以
上である化合物のうち少なくとも1種と、下記一般式
(A)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有す
ることを特徴とする熱現像感光材料。 【化1】 [R1は置換基、mは1〜4の整数を表す。] 【化2】 [Mは水素原子またはk価の陽イオン、R2は置換基、
nは1〜4の整数、kは1以上の整数である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用熱現像感光材料に関し、さらに詳し
くは、カブリが低く、Dmax(最高濃度)が高く、か
つ保存時の感度変動の少ない画像を得ることが可能な写
真製版用熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性の画像形成層を有し、
画像露光することで画像形成を行う感光材料が、数多く
知られている。その中には、環境保全に寄与し画像形成
手段を簡易化できるシステムとして、熱現像により画像
を形成する技術がある。近年、写真製版分野においては
環境保全や省スペースの観点から処理廃液の減量が強く
望まれるようになっている。そこで、レーザー・スキャ
ナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に
露光させることができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有
する鮮明な黒色画像を形成することができる写真製版用
途の熱現像感光材料に関する技術開発が必要とされてい
る。このような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化
学薬品を必要としない、より簡単で環境を損なわない熱
現像処理システムを顧客に対して供給することが可能に
なる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,4
57,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Kl
osterboer)による「熱によって処理される銀システム
(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメージ
ング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imagin
g Processes and Materials)Neblette 第8版、J.ス
タージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、
A.シェップ(Shepp)編集、第9章第279頁、19
89年)に記載されている。このような熱現像感光材料
は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触
媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の
還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した
状態で含有する。感光材料は常温で安定であるが、露光
後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したときに、還
元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間
の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反
応は露光により形成された潜像の触媒作用によって促進
される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生
成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をなすことか
ら画像の形成がなされる。
【0004】従来から知られている熱現像感光材料は、
トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール
などの有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することによ
り画像形成層を形成しているものが多い。有機溶剤を溶
媒として用いることは、製造工程で人体へ悪影響が及ぶ
だけでなく、溶剤の回収その他の工程が必要になるため
コスト上も不利である。
【0005】そこで、水を溶媒とする塗布液を用いて画
像形成層を形成する方法が提案されている。例えば特開
昭49−52626号公報、特開昭53−116144
号公報などには、ゼラチンをバインダーとする画像形成
層が記載されている。また特開昭50−151138号
公報には、ポリビニルアルコールをバインダーとする画
像形成層が記載されている。さらに特開昭60−617
47号公報には、ゼラチンとポリビニルアルコールを併
用した画像形成層が記載されている。これ以外の例とし
て特開昭58−28737号公報には、水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする画像形成層が記載され
ている。このようなバインダーを用いれば、水溶媒の塗
布液を用いて画像形成層を形成することができるため、
環境面およびコスト面のメリットは大きい。
【0006】しかしながら、ポリビニルアルコール、水
溶性ポリアセタールなどのポリマーをバインダーとして
用いると、現像部の銀色調が本来好ましいとされる黒色
からかけ離れた茶色や黄色になるうえ、露光部の黒化濃
度が低くて未露光部の濃度が高い等の問題があり、商品
価値が著しく損なわれたものしか得られなかった。さら
に、上記の熱現像システムでは従来の化学処理感光材料
に比べ、カブリが生じやすく、また、保存時の感度の変
動が大きいという問題があった。このため、前述の水溶
媒の塗布液で用いるバインダーで、高感度で、カブリが
低く、Dmax(最高濃度)が高く、かつ保存時の感度
変動の小さい画像を得ることができ、環境面・コスト面
で有利な熱現像感光材料を提供する技術が望まれてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする第一の課題は、特に写真製版用、特にスキ
ャナー、イメージセッター用として、高感度で、低カブ
リ、高Dmax(最高濃度)で、保存時の感度変動の小
さい熱現像感光材料を提供することにある。さらに、本
発明の解決しようとする第二の課題は環境面・コスト面
で有利な水系塗布可能な熱現像感光材料を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を組み合わせて
使用することによって所期の効果を示す優れた熱現像感
光材料を提供しうることを見出して、本発明に到達し
た。すなわち本発明は、支持体の一方面上に、感光性ハ
ロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元
剤、およびバインダーを含有する熱現像感光材料におい
て、該一方面上に、下記一般式(1)で表され、融点が
70℃以上である化合物のうち少なくとも1種と、下記
一般式(A)で表される化合物のうち少なくとも1種を
含有することを特徴とする熱現像感光材料を提供する。
【化4】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
であっても異なっていてもよい。]
【化5】 [一般式(A)において、Mは水素原子またはk価の陽
イオンを表わし、R2は置換基を表わす。nは1〜4の
整数で、n≧2の場合、複数個あるR2は、同一であっ
ても異なっていてもよい。kは1以上の整数であり、M
が水素原子の時k=1である。]
【0009】また本発明は、支持体の一方面上に、感光
性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための
還元剤、およびバインダーを含有する熱現像感光材料に
おいて、該一方面上に、下記一般式(1)で表され、融
点が70℃以上である化合物のうち少なくとも1種と、
リンを含む化合物を含有することを特徴とする熱現像感
光材料も提供する。
【化6】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
であっても異なっていてもよい。]
【0010】本発明の熱現像感光材料は、非感光性有機
銀塩近傍に現像開始点を形成可能な化学種をイメージワ
イズに生成する化合物;0.01mol/銀molで添
加することにより現像銀粒子密度が200〜5000%
に増加する化合物;および、0.01mol/銀mol
で添加することによりカバリングパワーが120〜10
00%に増加する化合物からなる群から選択される少な
くとも1種を含有することが好ましい。また、本発明の
熱現像感光材料は、画像形成する際に10-6秒以下で露
光して用いることができ、レーザーヘッドを2機以上搭
載したマルチビームで好ましく露光することができ、ラ
インスピードが140cm/min以上で熱現像処理す
ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。なお、本明細書におい
て「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値
および最大値として含む範囲を示す。
【0012】本発明に用いることができる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を
形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオン
源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、
特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)
長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0
〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機または
無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは
画像形成層の約5〜70重量%を構成することができ
る。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有する
有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的には、
脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、
ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイ
ン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸
銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石
酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの
混合物などを挙げることができる。
【0013】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75m
ol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン
酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが
さらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用す
る有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発
明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機
酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いるこ
とができる。
【0014】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩
等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させ
ることにより調製される。これらの調製方法について
は、特開2000−292882号公報の段落番号00
19〜0021に記載の方法を用いることができる。
【0015】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特開200
0−33907号公報に記載されている方法を用いるこ
とができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、硝
酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは
反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。
ここで用いる分散剤の種類および使用量については、特
開2000−305214号公報の段落番号0052に
具体例が記載されている。
【0016】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して重量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0017】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特開2000−29
2882号公報の段落番号0024に記載のものを用い
ることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物
の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散
性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径
で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以
下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30
%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散し
た有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.
05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好まし
い。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0
μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0018】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特開2000−305214号公報に記載
の方法を用いることができる。
【0019】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画
像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実
質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降
下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散
方法については特開2000−292882号公報の段
落番号0027〜0038に記載の方法を用いることが
できる。
【0020】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下で
ある。
【0021】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50重量%であること
が好ましく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30重量%、特に1〜
15重量%の範囲が好ましい。
【0022】本発明で用いる有機銀塩は所望の量で使用
できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、
さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0023】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0024】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形
成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布
直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分
散後、塗布液調製前後である。
【0025】本発明におけるCa、Mg、ZnおよびA
gから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性
有機銀1molあたり10-3〜10-1molが好まし
く、特に5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0026】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ハ
ロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、
臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特
開平11−119374号公報の段落番号0217〜0
224に記載されている方法で粒子形成することができ
るが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲ
ン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、
平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることがで
きるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平
板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など
粒子形状の特徴については、特開平11−119374
号公報の段落番号0225に記載されているものと同じ
である。また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子
の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組
成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的
に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有
するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。
構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは
2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができ
る。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局
在させる技術も好ましく用いることができる。
【0027】本発明に用いるハロゲン化銀粒子の粒子サ
イズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小
さいことが好ましく、具体的には0.12μm以下であ
ることが好ましく、より好ましくは、0.01μm〜
0.10μmである。
【0028】本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分
布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1
〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで単分
散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率
(%)(変動係数)として定義されるものである。なお
ハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合
は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板
状など)は投影面積円相当直径で算出する。
【0029】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属
または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族ある
いは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属とし
て好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニ
ウム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、
(NH43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)C
5、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。これら金
属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の
錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1
molに対し1×10 -9mol〜1×10-3molの範
囲が好ましく、1×10-8mol〜1×10-4molの
範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては
特開平7−225449号公報等に記載された構造の金
属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、添
加方法に関しては、特開平11−119374号公報の
段落番号0227〜0240に記載されている。
【0030】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができるが、本発明においては脱塩し
てもしなくてもよい。
【0031】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀乳剤は
化学増感することが好ましい。化学増感については、特
開平11−119374号公報の段落番号0242〜0
250、米国特許第4,810,626号明細書に記載
されている方法を用いることが好ましい。本発明で用い
るハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,91
7号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物
を添加してもよい。
【0032】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。
【0033】分散媒の濃度は0.05〜20重量%にす
ることができるが、取り扱い上5〜15重量%の濃度域
が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処
理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、
フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることがで
きる。
【0034】本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、1種だけを用いてもよいし、2種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよい。
【0035】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用
量としては有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化
銀0.01mol〜0.5molが好ましく、0.02
mol〜0.3molがより好ましく、0.03mol
〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光
性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件に
ついては、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と
有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロ
イドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法
や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミング
で調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩
を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得ら
れる限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上
の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を
混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法
である。
【0036】本発明に用いることができる増感色素とし
ては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域
でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば、550nm〜750n
mの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10
−186572号公報の一般式(II)で表される色素
が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−1
4、II−15、II−18、II−23、II−25
の色素を好ましい色素として例示することができる。ま
た、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色
素としては、特開平11−119374号公報の一般式
(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(2
5)、(26)、(30)、(32)、(36)、(3
7)、(41)、(49)、(54)の色素を好ましい
色素として例示することができる。さらに、J−ban
dを形成する色素として、米国特許第5,510,23
6号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例
5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭
59−48753号公報に開示されている色素を好まし
い色素として例示することができる。これらの増感色素
は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよ
い。
【0037】これら増感色素の添加については、特開平
11−119374号公報の段落番号0106に記載さ
れている方法で添加することができるが、特に、この方
法に限定されるものではない。本発明における増感色素
の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量に
することができるが、感光層のハロゲン化銀1mol当
たり10-6〜1molが好ましく、さらに好ましくは1
-4〜10-1molである。
【0038】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号公
報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,
873,184号明細書に開示されている化合物、複素
芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジ
ンから選択される化合物などが挙げられる。特に好まし
い強色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示
されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、特開平4−182639号公報の一
般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平
10−111543号公報の一般式(I)で表されるス
チルベン化合物、特開平11−109547号公報の一
般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開
平5−341432号公報のM−1〜M−24の化合
物、特開平4−182639号公報のd−1)〜d−1
4)の化合物、特開平10−111543号公報のSS
−01〜SS−07の化合物、特開平11−10954
7号公報の31、32、37、38、41〜45、51
〜53の化合物である。これらの強色増感剤の添加量
は、乳剤層中にハロゲン化銀1mol当たり10 -4〜1
molの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当たり
0.001〜0.3molの範囲がより好ましい。
【0039】本発明の熱現像感光材料は、下記の一般式
(1)で表される化合物を含有する。
【0040】
【化7】
【0041】一般式(1)において、Rは置換基を表
し、Rで表された置換基としては、アルキル基が好まし
い。Rで表されたアルキル基の好ましい例としては炭素
数1〜8であり、より好ましくは炭素数1〜5である。
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブ
チル基、tert−アミル基、n−オクチル基が挙げら
れる。mは1〜4の整数を表す。m≧2の場合、複数の
Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、これ
らのアルキル基の組み合わせの内で融点が70〜200
℃の化合物が本発明の化合物である。
【0042】以下に一般式(1)で表される化合物で、
融点が70℃以上の化合物の例を挙げるが、本発明で用
いるいことができる化合物はこれらの具体例に限定され
るものではない。
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】一般式(1)で表される化合物は、例え
ば、R.G.ElderField,"Heterocyclic Compounds",John W
iley and Sons,Vol.1〜9,1950-1967やA.R.Katritzky,"
Comprehensive Heterocyclic Chemistry",Pergamon Pre
ss,1984などに記載されている既知の方法によって合成
することができる。一般式(1)で表される化合物は、
支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層或い
はこの層側のどの層に添加してもよいが、画像形成層も
しくはその隣接する層に添加することが好ましい。添加
量としては、銀1molあたり0.1〜50mol含ま
せることが好ましく、0.5〜20%mol含ませるこ
とがさらに好ましい。一般式(1)で表される化合物
は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で
添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段
(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、
コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行
なわれる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用
いてもよい。
【0046】次に本発明に用いられる下記の一般式
(A)で表される化合物について、詳細に説明する。
【0047】
【化10】
【0048】一般式(A)において、Mは水素原子また
はk価の陽イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イ
オンなどの金属イオン、テトラメチルアンモニウムイオ
ン、テトラブチルアンモニウムイオンなどのアンモニウ
ムイオン等)を表わす。kは例示されるイオンが示すよ
うに1以上の整数であり、通常1または2である。ま
た、Mが水素原子の時k=1である。Mは重金属イオン
であることが好ましく、具体的には亜鉛、鉄、マンガ
ン、カドミニウム、クロム、コバルト、ルテニウム、ロ
ジウム、銀などである。
【0049】一般式(A)において、R2は置換基を表
わし、例えば直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に
好ましくは1〜8であり、例えば、メチル基、エチル
基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチ
ル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ter
t−アミル基、シクロヘキシル基などが挙げられ
る。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、
例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペ
ンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に
好ましくは2〜8であり、例えば、プロパルギル基、3
−ペンチニル基などが挙げられる。)、アラルキル基
(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは7〜2
0、特に好ましくは7〜16であり、例えば、ベンジル
基、α−メチルベンジル基、α−エチルベンジル基、ジ
フェニルメチル基、ナフチルメチル基、ナフチルフェニ
ルメチル基などが挙げられる。)、アリール基(好まし
くは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好
ましくは6〜12であり、例えば、フェニル基、p−メ
チルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、ア
ミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0
〜10、さらに好ましくは0〜6であり、例えば、アミ
ノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、ア
ルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられ
る。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜2
0、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12
であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキ
シ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素
数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは
1〜12であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、
ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アル
コキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、
例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基
などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基
(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜1
6、特に好ましくは7〜10であり、例えば、フェノキ
シカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜1
6、特に好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキ
シ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシ
ルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、
アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられ
る。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましく
は2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ
基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルア
ミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7
〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えば、フェ
ニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、
例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニ
ルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基
(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜1
6、特に好ましくは0〜12であり、例えば、スルファ
モイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファ
モイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられ
る。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数0〜20、
より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であ
り、例えば、カルバモイル基、ジエチルカルバモイル
基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、ウ
レイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、ウ
レイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など
が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1
〜12であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基な
どが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素
数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは
6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げら
れる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であ
り、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられ
る。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であ
り、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィ
ニル基などが挙げられる。)、燐酸アミド基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ま
しくは1〜12であり、例えば、ジエチル燐酸アミド、
フェニル燐酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ
基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ス
ルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム基、ス
ルフィノ基、ヒドラジノ基、スルホニルチオ基、チオス
ルホニル基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル基、ピ
リジル基、フリル基、ピペリジル基、モリホリル基など
が挙げられる。)、ジスルフィド基などが挙げられる。
【0050】これらの置換基は、さらに、置換されてい
てもよく、塩形成が可能な基である場合は塩を形成して
いてもよい。また、nは1〜4の整数であるが、置換基
が2つ以上ある場合、即ちn≧の2場合は、同じでも異
なっていてもよい。nは1〜3が好ましく、2が最も好
ましい。
【0051】また、これらの置換基は互いに結合して5
員〜7員環の非芳香族または芳香族の炭素環(例えばベ
ンゼン環)を形成してもよい。さらに、この環は他の置
換基(例えばハロゲン原子、カルボキシ基)で置換され
ていてもよい。
【0052】R2で表わされる置換基として好ましく
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラル
キル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル
アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニル
アミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイ
ド基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、
メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カ
ルボキシ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、さらに好ま
しくは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、ア
ミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ
基、メルカプト基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキ
シ基である。
【0053】さらに、一般式(A)において、水酸基の
オルト位および/またはパラ位にアルキル基(アラルキ
ル基を含む。)が置換することが特に好ましい。
【0054】また、一般式(A)の化合物が一つの炭素
を介して結合したビスフェノール構造もより好ましい。
【0055】次に本発明の一般式(A)の化合物の具体
例を示すが、本発明で用いることができる一般式(A)
の化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】本発明の一般式(A)の化合物は、市販の
ものを用いてもよく、また、例えば、特開平2−251
838号公報に開示されている方法やJ.Med.Chem.,34,3
42(1991)に記載のサリチル酸とカルボニル化合物との酸
触媒縮合反応等によって容易に合成できる。
【0063】本発明の一般式(A)の化合物は、水ある
いは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノー
ル、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコー
ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセル
ソルブなどに溶解して用いることができる。
【0064】また、既によく知られている乳化分散法に
よって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェ
ート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタ
レートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンな
どの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作
製して用いることができる。あるいは固体分散法として
知られている方法によって、粉末を水の中にボールミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントン
ゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によ
って分散し用いることができる。
【0065】本発明の一般式(A)の化合物は、支持体
に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこ
の層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あ
るいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画
像形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層で
あり、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する
感光層であることが好ましい。
【0066】本発明の一般式(A)の化合物の添加量
は、Ag1molに対するmol量(mol/molA
g)で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mo
l/molAg、より好ましくは、5×10−5〜1×
10−1mol/molAg、さらに好ましくは、1×
10-4〜5×10-2mol/molAgである。これら
は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0067】本発明の熱現像感光材料には、リンを含む
化合物を用いることが好ましい。リンを含む化合物の具
体例を以下に示すが、本発明で用いることができるリン
を含む化合物これらの具体例に限定されるものではな
い。これらの化合物およびそのNa塩、K塩、Li塩、
Ca塩、Mg塩、Al塩、ピリジニウム塩、アンモニウ
ム塩、テトラメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】本発明の熱現像感光材料にはリンを含む化
合物として、五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩を併用して用いることが特に好ましい。五酸化二リ
ンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン
酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三
リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸
(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いら
れる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を
挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸
ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムな
どがある。本発明において好ましく用いることができる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量
で所望の効果を発現するという点から画像形成層あるい
はそれに隣接するバインダー層に添加する。リンを含む
化合物および五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度
やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.
1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/
2がより好ましい。
【0077】次に、本発明の熱現像感光材料に用いられ
る、非感光性有機銀塩近傍に現像開始点を形成可能な
化学種をイメージワイズに生成する化合物、0.01
mol/銀molで添加することにより現像銀粒子密度
が200〜5000%に増加する化合物、0.01m
ol/銀molで添加することによりカバリングパワー
が120〜1000%に増加する化合物について説明す
る。先ず、非感光性有機銀塩近傍に現像開始点を形成
可能な化学種をイメージワイズに生成する化合物につい
て説明する。の化合物が感光材料中に存在しない場合
は、露光により潜像が形成したハロゲン化銀上でのみ、
物理現像が進行する。の化合物が感光材料中に存在す
る場合は、露光により潜像が形成したハロゲン化銀上で
起こる物理現像に伴って生成する化学種、例えば現像主
薬酸化体との化合物が反応し、非感光性有機銀塩近傍
に現像開始点を形成可能な化学種が生成する。その化学
種が非感光性銀塩、例えばベヘン酸銀近傍に現像開始点
を形成し、そこから物理現像が起こる。すなわち、の
化合物が感光材料中に存在する場合は、露光により潜像
が形成したハロゲン化銀上、およびイメージワイズに現
像開始点が形成された非感光性有機銀塩近傍の両方で物
理現像が進行する。このような作用を具体的に示したも
のとして、特願2000−395037号明細書の図1
および[0010]の記載を参照することができる。
【0078】次に、0.01mol/銀molで添加
することにより現像銀粒子密度が200〜5000%に
増加する化合物について説明する。現像銀粒子密度の増
加量は、感光材料中の全ての銀イオンが還元されたサン
プルについて写真を撮影し、単位面積当たりの現像銀粒
子の数を数え、その密度を比較することにより得ること
ができる。の化合物が感光材料中に存在する場合は、
の化合物が感光材料中に存在しない場合に比べ、現像
銀粒子密度が200〜5000%に増加する。より好ま
しい化合物の現像銀粒子密度増加率は500〜3000
%である。
【0079】次に、0.01mol/銀molで添加
することによりカバリングパワーが120〜1000%
に増加する化合物について説明する。本明細書において
「カバリングパワー」とは、感光材料中の全ての銀イオ
ンが還元されたサンプルについて、可視濃度を現像銀量
(g/m2)で割った値である。本発明の化合物による
カバリングパワーの増加は、より小さな現像銀粒子が数
多く形成されることによる。より好ましい化合物のカバ
リングパワー増加率は150〜500%である。
【0080】次に、上記〜のいずれかに該当する化
合物の具体例として、特開2000−284399号公
報に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体(具体
的には同公報の表1〜表4に記載のヒドラジン誘導
体)、特開平10−10672号公報、特開平10−1
61270号公報、特開平10−62898号公報、特
開平9−304870号公報、特開平9−304872
号公報、特開平9−304871号公報、特開平10−
31282号公報、米国特許第5,496,695号明
細書、欧州特許公開第741,320号公報に記載のす
べてのヒドラジン誘導体、特開2000−284399
号公報に記載の式(1)〜(3)で表される置換アルケ
ン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特定のア
セタール化合物、さらには同公報に記載の式(A)また
は式(B)で表される環状化合物、具体的には同公報の
化8〜化12に記載の化合物1〜72、特願2000−
76240号明細書に記載の式(2)の化合物、具体的
には同明細書に記載の化合物(II−1)〜(II−11
8)を例示することができる。上記〜のいずれかに
該当する化合物としては、特開平11−149136号
公報に記載の一般式(1)に示す化合物がより好ましく
用いられる。一般式(1)で示される化合物の具体例を
以下に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
【0092】
【表12】
【0093】また、特願2000−313207号公報
に記載の蟻酸プレカーサーも好ましく用いられる。該化
合物の具体例を以下に示す。
【0094】
【化25】
【0095】本発明の化合物は、水または適当な有機溶
媒、例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プ
ロパノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセト
ン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して
用いることができる。また、既によく知られている乳化
分散法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフ
ォスフェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエ
チルフタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散
法として知られている方法によって、本発明の化合物の
粉末を水等の適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミ
ル、あるいは超音波によって分散して用いることもでき
る。
【0096】本発明の化合物は、1種のみ用いても、2
種以上を併用してもよい。本発明の化合物は、支持体に
対して画像形成層側のいずれの層に添加してもよいが、
該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加すること
が好ましい。本発明の化合物の添加量は銀1molに対
し1×10-6〜1molが好ましく、1×10-5〜5×
10-1molがより好ましく、2×10-5〜2×10-1
molが最も好ましい。
【0097】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の化合物とともに硬調化促進剤を併用することができ
る。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に
記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロ
キサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特
許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニト
リル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第
5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297
368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−
1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14な
どを用いることができる。
【0098】本発明の熱現像感光材料は、好ましくは有
機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤
は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましく
は有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよび
カテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒ
ンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像
形成層を有する面の銀1molに対して5〜50mol
%含まれることが好ましく、10〜40mol%で含ま
れることがさらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に
対して画像形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層
以外の層に添加する場合は銀1molに対して10〜5
0mol%と多めに使用することが好ましい。また、還
元剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたい
わゆるプレカーサーであってもよい。
【0099】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6074号公報、同47−1238号公
報、同47−33621号公報、同49−46427号
公報、同49−115540号公報、同50−1433
4号公報、同50−36110号公報、同50−147
711号公報、同51−32632号公報、同51−1
023721号公報、同51−32324号公報、同5
1−51933号公報、同52−84727号公報、同
55−108654号公報、同56−146133号公
報、同57−82828号公報、同57−82829号
公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,67
9,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開第692,732号公報などに開示されている還元
剤を用いることができる。例えば、フェニルアミドオキ
シム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェノキ
シフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例え
ば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒ
ドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキシメ
チル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコ
ルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリール
ヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキ
シベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび
/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノン
と、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペ
リジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチ
ルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロ
キサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およ
びβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;
アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例え
ば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ
−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノ
フェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導
体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、
6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,
1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナ
フチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトー
ル;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベン
ゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノンな
ど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾ
ロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソース
レダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダ
クトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソース
レダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジ
クロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよび
p−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホン
アミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,
3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert−ブ
チル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6
−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジ
ヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビス
フェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−te
rt−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル
−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト
リメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコ
ルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビ
ル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジ
ルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3
−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオ
ン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。
特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマノール
である。
【0100】本発明で用いる還元剤は、水溶液、有機溶
媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいか
なる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微
細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サン
ドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルな
ど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助
剤を用いてもよい。
【0101】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側
の層に銀1molあたりの0.1〜50%molの量含
ませることが好ましく、0.5〜20%mol含ませる
ことがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効
に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。
【0102】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6077号公報、同47−10282号公
報、同49−5019号公報、同49−5020号公
報、同49−91215号公報、同49−91215号
公報、同50−2524号公報、同50−32927号
公報、同50−67132号公報、同50−67641
号公報、同50−114217号公報、同51−322
3号公報、同51−27923号公報、同52−147
88号公報、同52−99813号公報、同53−10
20号公報、同53−76020号公報、同54−15
6524号公報、同54−156525号公報、同61
−183642号公報、特開平4−56848号公報、
特公昭49−10727号公報、同54−20333号
公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第
3,446,648号明細書、同第3,782,941
号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,
510,236号明細書、英国特許第1,380,79
5号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書な
どに開示される色調剤を用いることができる。色調剤の
具体例としては、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフ
タルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、
ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン
−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよ
び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナ
フタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフ
タルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサ
ミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジ
ン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4
−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,
4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−
(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例え
ば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドお
よびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピ
ラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退
色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カ
ルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムト
リフルオロアセテート)および2−(トリブロモメチル
スルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル
−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)
−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサ
ゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体も
しくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノ
ン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタ
ラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジン
ジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフ
トオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその
場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源とし
ても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウ
ム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジ
ウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム
など;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二
硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオ
キサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベン
ズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,
3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオ
キサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−ト
リアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、
2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウ
ラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、
3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4
H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、およ
び1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメル
カプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザ
ペンタレン)などがある。
【0103】色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物
などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は
公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。
【0104】本発明の熱現像感光材料では、アンモニア
などの揮発性の塩基は揮発しやすく、塗布する工程や熱
現像時だけでなく、保存中にも揮発するため、膜内に存
在することは好ましくなく、NH4 +含有量は支持体1m
2当たりの塗布量で、0.06mmol以下であること
が好ましい。より好ましくは、0.03mmol以下で
ある。膜中のNH4 +量の定量は、東ソー社製8000タ
イプイオンクロマト測定装置(電気導電度法)および分
離カラムとして、東ソー社製TSKgel IC−Cat
ion、ガードカラムとして、TSK guard co
lumn IC−Cを用いて測定した。溶離液には、2m
M硝酸水溶液を用い、1.2ml/minの流量で行っ
た。また、カラム恒温槽温度は40℃で行った。感光材
料からのNH4 +の抽出は、抽出液として、酢酸:イオン
交換水=1:148混合溶液を用い、上記抽出液5ml
に感光材料1x3.5cm2の大きさの感光材料を2時間
浸して行い、抽出後、0.45μmのフィルターで濾過
した溶液を測定した。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸や、不揮発性の
塩基を用いることが好ましい。本発明の熱現像感光材料
の熱現像処理前の膜面pHは6.0以下であることが好
ましく、さらに好ましくは5.5以下である。その下限
には特に制限はないが、3程度である。なお、膜面pH
の測定方法は、特開2000−284399号公報の段
落番号0123に記載されている。
【0105】本発明の熱現像感光材料において、ハロゲ
ン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、
安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの
生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度
の低下に対して安定化することができる。単独または組
合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定
剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,03
8号明細書および同第2,694,716号明細書に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号
明細書および同第2,444,605号明細書に記載の
アザインデン、米国特許第2,728,663号明細書
に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細
書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652
号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第62
3,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニト
ロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細
書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839
号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第
2,566,263号明細書および同第2,597,9
15号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米
国特許第4,108,665号明細書および同第4,4
42,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0106】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカ
ブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本
発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい例としては、米国特許第4,784,
939号明細書、同第4,152,160号明細書、特
開平9−329863号公報、同9−329864号公
報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙
げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる層に
添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側の層に
添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加するこ
とがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製の
いかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加す
る場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工
程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。
安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物
などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還
元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加
してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかなる量で
もよいが、銀1mol当たり1×10-6mol〜2mo
lが好ましく、1×10-3mol〜0.5molがさら
に好ましい。
【0107】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加え
ることが有利なことがある。この目的のために好ましい
水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本
発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1
mol当たり好ましくは1×10-9mol〜1×10 -3
mol、さらに好ましくは1×10-8mol〜1×10
-4molの範囲である。
【0108】本発明で特に好ましく用いられるカブリ防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−
119624号公報、同50−120328号公報、同
51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。特開2000−2843
99号公報に記載の式(P)で表される親水性有機ハロ
ゲン化物がカブリ防止剤として好ましく用いられる。具
体的には、同公報に記載の(P−1)〜(P−118)
が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molA
g、より好ましくは5×10-5〜1mol/molA
g、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/
molAgである。これらは1種のみを用いても2種以
上を併用してもよい。
【0109】また、特開2000−284399号公報
に記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がカブリ
防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同公報
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。
【0110】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例え
ば、特開2000−221634号公報に記載の式
(S)で表される化合物およびその例示化合物(S−
1)〜(S−24)が挙げられる。
【0111】本発明に用いるカブリ防止剤は、水あるい
は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、既によく知
られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、
トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテー
トあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチ
ルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライ
ンダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザ
ーあるいは超音波によって分散し用いることもできる。
【0112】本発明に用いるカブリ防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0113】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存
性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0m
olの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mo
l当たり0.001〜0.3molの量である。
【0114】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、
有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像
形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護
層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱
現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バ
ック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好
ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層のバイン
ダーとしてポリマーラテックスが用いられる。これらの
層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能にな
り、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時
にシワの発生がない熱現像感光材料が得られるようにな
る。また、所定の熱処理をした支持体を使用することに
より、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料
が得られる。
【0115】画像形成層側の主バインダーとしては、良
好な写真性能が得られ、かつ水系塗布を可能にするポリ
マーラテックスを用いることが好ましい。
【0116】本発明で用いるバインダーとして以下に述
べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリマー
ラテックスを全バインダーの50重量%以上用いた画像
形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテック
スは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用い
てもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明
の熱現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層
にもポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただ
しここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水
性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散
されたものである。分散状態としてはポリマーが分散媒
中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル
分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親
水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散されたものな
どいずれでもよい。なお本発明で用いるポリマーラテッ
クスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣
寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラ
テックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原
啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成
ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1
970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒
径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000
nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関し
ては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分
散の粒径分布を持つものでもよい。
【0117】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。
【0118】本発明で用いるバインダーに好ましく用い
るポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護
層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異な
る。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡
散を促すため、−30〜40℃であることが好ましい。
保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触す
るために25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。
【0119】本発明で用いるポリマーラテックスの最低
造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましく
は0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコント
ロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤
は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度
を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前
述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行
会発行(1970))」に記載されている。
【0120】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0121】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテッ
クス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5
/50/16.5(重量%)のコポリマーラテックス、
メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=4
7.5/47.5/5(重量%)のコポリマーラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(重
量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。ま
た、このようなポリマーは市販もされていて、例えばア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635,465
83、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、N
ipol LX811、814、821、820、85
7(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3
340、R3360、R3370、4280(以上大日
本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、85
0(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ
ウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、
30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴ
ム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、330
7B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol LX410、430,43
5、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。
【0122】画像形成層には全バインダーの50重量%
以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられ
るが、70重量%以上として上記ポリマーラテックスが
用いられることがさらに好ましい。
【0123】画像形成層には必要に応じて全バインダー
の50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全
バインダーの30重量%以下、さらには15重量%以下
が好ましい。
【0124】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のよ
うなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホル
ムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルム
アミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=90/5/5。(ただし数字は重量%を表
す。)
【0125】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改
良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0126】さらに、保護層用のバインダーとして、特
開2000−267226号公報の段落番号0025〜
0029に記載の有機概念図に基づく無機性値を有機性
値で割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの組み
合わせを好ましく用いることができる。
【0127】本発明においては必要に応じて、特開20
00−267226号公報の段落番号0021〜002
5に記載の可塑剤(例、ベンジルアルコール、2,2,
4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブ
チレートなど)を添加して、造膜温度をコントロールす
ることができる。また、特開2000−267226号
公報の段落番号0027〜0028に記載の如くポリマ
ーバインダー中に親水性ポリマーを、塗布液中に水混和
性の有機溶媒を添加してもよい。
【0128】それぞれの層には、特開2000−196
78号公報の段落番号0023〜0041に記載の官能
基を導入した第一のポリマーラテックスとこの第一のポ
リマーラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤お
よび/または第二のポリマーラテックスを用いることも
できる。上記の官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロール
基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキシ
化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネー
ト化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カル
ボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合
物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれ
る。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物とし
てヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB4
0−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分
散型ポリイソシアネート;アミノ化合物としてスミテッ
クスレジンM−3(住友化学工業(株)製);エポキシ
化合物としてデナコールEX−614B(ナガセ化成工
業(株)製);ハロゲン化合物として2,4ジクロロ−
6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムな
どが挙げられる。
【0129】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は、本発明に
好ましく用いられる膜厚3μm以上を達成する上で必要
な量として、1〜10.0g/m2、より好ましくは2
〜6.0g/m2の範囲が好ましい。本発明に好ましく
用いられる保護層膜厚としては、3μm以上であり、4
μm以上がさらに好ましい。保護層膜厚の上限としては
特に制限はないが、塗布乾燥のことを考慮し、10μ以
下、さらには8μm以下が好ましい。バック層用の全バ
インダー量は0.01〜10.0g/m2、より好まし
くは0.05〜5.0g/m2の範囲が好ましい。
【0130】これらの各層は、2層以上設けられる場合
がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての
層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いること
が好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる
層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いら
れることが好ましい。また、バック層は支持体バック面
の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在す
る場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層のバック
層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0131】本明細書における滑り剤とは、物体表面に
存在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の
摩擦係数を減少させる化合物を意味する。その種類は特
に制限されない。
【0132】本発明に用いる滑り剤としては、特開平1
1−84573号公報の段落番号0061〜0064、
特願平11−106881号明細書の段落番号0049
〜0062に記載の化合物を挙げることができる。好ま
しい滑り剤の具体例としては、セロゾール524(主成
分カルナバワックス)、ポリロンA、393、H−48
1(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロンG−
110(主成分エチレンビスステアリン酸アマイド)、
ハイミクロンG−270(主成分ステアリン酸アマイ
ド)(以上、中京油脂(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50重量%であり、好ましくは0.5〜
30重量%である。
【0133】本発明において、特開2000−1719
35号公報、特願平11−106881号明細書に記載
のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処
理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、
その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現
像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像
感光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面
の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であり、そ
の上限に特に制限はないが30程度である。また、μb
は1.0以下、好ましくは0.05〜0.8である。こ
の値は、下記の式によって求められる。摩擦係数の比=
熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する面との動
摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバック面と
の動摩擦係数(μb)本発明において熱現像処理温度で
の熱現像処理機部材と画像形成層を有する面および/ま
たはその反対面の最表面層の滑り性は、最表面層に滑り
剤を含有させ、その添加量を変えることにより調整する
ことができる。
【0134】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特開2000−39684号公報の段落番号0020〜
0037、特願平11−106881号明細書の段落番
号0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体の
繰り返し単位を70重量%以上含有する塩化ビニリデン
共重合体を含む下塗り層を設けることが好ましい。
【0135】塩化ビニリデン単量体が70重量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、重量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0136】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。
【0137】なお、下塗り層としての塩化ビニリデン共
重合体層は、支持体に直接設層される下塗り層第1層と
して設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ
設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。
2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重
合体量が合計で本発明の範囲となるようにすればよい。
このような層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋
剤やマット剤などを含有させてもよい。
【0138】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下
塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片
面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1層当
たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは0.
05〜1μmである。
【0139】本発明の熱現像感光材料には、種々の支持
体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエス
テル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリ
スチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被
覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸
したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート
(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から
好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚み
で90〜180μmであることが好ましい。
【0140】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体と
しては、特開平10−48772号公報、特開平10−
10676号公報、特開平10−10677号公報、特
開平11−65025号公報、特開平11−13864
8号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内
部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪み
をなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理
を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トが好ましく用いられる。
【0141】このような熱処理後における支持体の12
0℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が
−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜
0.04%であることが好ましい。
【0142】本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の
減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬
送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公
報の段落番号0040〜0051に記載の導電性金属酸
化物および/またはフッ素系界面活性剤を用いて帯電防
止することができる。導電性金属酸化物としては、米国
特許第5,575,957号明細書、特開平11−22
3901号公報の段落番号0012〜0020に記載の
アンチモンでドーピングされた針状導電性酸化錫、特開
平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピン
グされた繊維状酸化錫が好ましく用いられる。
【0143】金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗
率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以
下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な
帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は
特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0144】本発明の熱現像感光材料の画像形成層を有
する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一
方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以下
であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。本
発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)
P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度
試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易
に求めることができる。熱現像感光材料の画像形成層を
有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平
滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号00
52〜0059に記載の如く、前記両面の層に含有させ
るマット剤の粒径および添加量を適宜変化させることに
よってコントロールすることができる。
【0145】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルフィン酸またはその共重合体、ポリ
アクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその
共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエス
テル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸
またはその共重合体など)などである。
【0146】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
【0147】これらでも特に好ましい増粘剤としては、
ゼラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリアクリル酸またはその共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体などである。これらの化合物は、
「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株式会社シーエ
ムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発
行)に詳細に記載されている。
【0148】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30重量%、よ
り好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは
0.1〜10重量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa
・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・s
である。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定し
た値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に
増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望まし
い。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0149】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。
【0150】好ましいノニオン系界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性
親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的
には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコ
ール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エス
テルを挙げることができる。
【0151】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。
【0152】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることが
でき、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩
(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジ
ルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイ
ミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0153】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。
【0154】これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応
用」(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)
に記載されている。本発明においては、好ましい界面活
性剤はその使用量において特に限定されず、目的とする
界面活性特性が得られる量であればよい。なお、フッ素
含有界面活性剤の塗布量は、1m2当り0.01mg〜
250mgが好ましい。
【0155】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、−C64−はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2 :C9H19-C6H4-(OCH2CH2)12OH WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステル ナトリウム塩 WA−8 :C8H17-C6H4-(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウム クロラ
イド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N(+)(CH3)2-CH2COO(-) WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N(+)(C
H3)3-CH3・C6H4-SO3 (-) WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N(+)(CH3)2-C
H2COO(-)
【0156】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特開2000−2
964号公報の図1に示されるスライドビード塗布方式
が特に好ましい。
【0157】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。
【0158】バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0159】本発明における好ましい乾燥方式は、特開
2000−2964号公報に記載されているような第一
乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも恒率
乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥させる
方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれるま
での支持体の搬送は、水平搬送であってもなくてもどち
らでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり角度
は0〜70°の間にあればよい。また、本発明における
水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に対し
て上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬送を
意味するものではない。
【0160】本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が
一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥
過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末期になると種々
の要因(水分移動の材料内部拡散が律速になる、蒸発表
面の後退など)により乾燥速度が低下し、与えられた熱
が液膜温度上昇にも使用される乾燥過程を意味する。恒
率過程から減率過程に移行する限界含水率は200〜3
00%である。恒率乾燥が終了する時には、流動が停止
するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀写真感光材
料の様な乾燥方式も採用することができるが、本発明に
おいては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾー
ンで乾燥させることが好ましい。
【0161】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。
【0162】恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件
で乾燥した場合、乾燥が不十分になりやすい。このため
特に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生
じやすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現
像機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題
が生じやすくなる。
【0163】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安
定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。
【0164】下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐
次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に
上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を
行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と
保護層の塗布液とのpH差が2.5以下であることが好
ましく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH
差が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやす
くなり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障
が発生しやすくなる。
【0165】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜
100mPa・sが好ましく、さらに好ましくは30〜
70mPa・sである。一方、保護層の塗布液粘度は2
5℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましく
は20〜50mPa・sである。これらの粘度はB型粘
度計によって測定される。
【0166】乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対
湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻き
姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側
にしてもよいし、内側にしてもよい。また、加工形態が
ロール品の場合は巻き姿で発生したカールを除去するた
めに加工時に巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にす
ることも好ましい。なお、感光材料の相対湿度は20〜
55%(25℃測定)の範囲で制御されることが好まし
い。
【0167】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。
【0168】本発明において塗布液の脱泡は、塗布液を
塗布される前に減圧脱気し、さらに1.5kg/cm2
以上の加圧状態に保ち、かつ気液界面が生じないように
して連続的に送液しながら超音波振動を与える方式が好
ましい。具体的には、特公昭55−6405号公報(4
頁20行から7頁11行)に記載されている方式が好ま
しい。このような脱泡を行う装置として、特開2000
−98534号公報の実施例と図3に示される装置を好
ましく用いることができる。
【0169】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0170】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号0204〜0208、特願平1
1−106881号明細書の段落番号0240〜024
1に記載の如くハレーション防止などの目的で、染料を
含有させることができる。
【0171】画像形成層には色調改良、イラジエーショ
ン防止の観点から各種染料や顔料を用いることができ
る。画像形成層に用いる染料および顔料はいかなるもの
でもよいが、例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0297に記載されている化合物を用いること
ができる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化
物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態
などいかなる方法でもよい。これらの化合物の使用量は
目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2
たり1×10-6g〜1gの範囲で用いることが好まし
い。
【0172】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0300に記載されている化合物を用いること
ができる。また、ベルギー特許第733,706号明細
書に記載されるように染料による濃度を加熱による消色
で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記
載されるように光照射による消色で濃度を低下させる方
法等を用いることもできる。
【0173】本発明の熱現像感光材料が熱現像後におい
て、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用い
られる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機にお
いてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、
マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定
するための情報を画像情報として担持している。従っ
て、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、
フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取る
ために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザ
ーによって読み取られるため、センサーの波長域のDm
in(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下
である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社
製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器
およびバーコードリーダーとして670nmの波長の光
源を使用している。また、清水製作社製、製版機APM
Lシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光
源を使用している。すなわち670nm付近のDmin
(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に
検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラー
が発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取
るためには670nm付近のDminが低い必要があ
り、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以
下である必要がある。より好ましくは0.25以下であ
る。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度
である。
【0174】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-6秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。露光時間は10-12秒以
上であって、10-6秒以下であることが好ましい。
【0175】本発明における露光は光源の光ビームをオ
ーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走
査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバー
ラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FW
HM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オ
ーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。
本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上である
ことが好ましい。
【0176】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、高出力が得られ、書き込み時間が短くなる
という点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチ
ャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合にはレ
ーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャ
ンネルが好ましく用いられる。
【0177】本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズ
が低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞
の発生防止技術としては、特開平5−113548号公
報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して
斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/3175
4号公報などに開示されているマルチモードレーザーを
利用する方法が知られており、これらの技術を用いるこ
とが好ましい。
【0178】本発明に用いる画像形成方法の加熱現像工
程はいかなる方法であってもよいが、通常イメージワイ
ズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。用
いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光
材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触
させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開
平9−292695号公報、特開平9−297385号
公報および国際公開WO95/30934号に記載の熱
現像機、非接触型のタイプとして特開平7−13294
号公報、国際公開WO97/28489号公報、同97
/28488号公報および同97/28487号公報に
記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては非接
触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80
〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃
である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、5
〜90秒がさらに好ましい。ラインスピードは140〜
1,400cm/min以上、さらには150〜700
cm/min以上が好ましい。
【0179】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上1
15℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用すること
が有効である。
【0180】本発明の熱現像感光材料を熱現像処理する
とき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中
に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解
成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ム
ラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させた
り、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引
起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影響
があることが知られている。これらの影響を除くための
方法として、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現
像機内の空気の流れを最適に調整することが知られてい
る。これらの方法は有効に組み合わせて利用することが
できる。国際公開WO95/30933号公報、同97
/21150号公報、特表平10−500496号公報
には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口
部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカート
リッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に用い
ることが記載されている。また、国際公開WO96/1
2213号公報、特表平10−507403号公報に
は、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィルタ
ーを組み合わせたフィルターを用いることが記載されて
いる。本発明ではこれらを好ましく用いることができ
る。また、米国特許第4,518,845号明細書、特
公平3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を
除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置
と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されて
いる。また、国際公開WO98/27458号公報に
は、フィルムから揮発するカブリを増加させる成分をフ
ィルム表面から取り除くことが記載されている。これら
についても本発明では好ましく用いることができる。
【0181】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラー
はシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製の
ヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平
面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対
12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対1
1から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像さ
れる。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬
送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のロ
ーラー13が設置され、その反対側のバック面が接触す
る側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン
(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14
が設置される。熱現像感光材料10は画像形成層を有す
る面に接触する複数のローラー13の駆動により、バッ
ク面を平滑面14の上に滑らせながら搬送される。ロー
ラー13の上部および平滑面14の下部には、熱現像感
光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター1
5が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒー
ター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのク
リアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光
材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。
好ましくは0〜1mmである。
【0182】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。
【0183】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像
加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予
備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜3
0℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発
させるのに十分な温度および時間に設定することが望ま
しく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度
(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設
定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理部の温
度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.
5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流には
ガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド
板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16
は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像感光材料10
に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行う
のが好ましく、冷却速度としては、0.5〜10℃/秒
が好ましい。
【0184】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0185】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。
【0186】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにフタル化
ゼラチン32gおよび臭化カリウム30mg、4−メチ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温
度40℃にてpHを6.5に合わせた後、硝酸銀18.
6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1mol
/L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6mo
l/LおよびK 3IrCl6を2×10-5mol/Lで含
む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブ
ルジェット法で6分30秒間かけて添加した。その後、
3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、つ
いで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化
カリウムを1mol/LおよびK3IrCl6を2×10
-5mol/Lで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に
保ちながらコントロールダブルジェット法で28分30
秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させ
て脱塩処理をし、pH5.9、pAg8.0に調製し
た。得られた粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投影
面積変動係数12%、(100)面比率92%の立方体
粒子であった。こうして得たハロゲン化銀乳剤を、60
℃に昇温して銀1mol当たりベンゼンチオスルホン酸
ナトリウム76μmolを添加し、3分後にトリエチル
チオ尿素71μmol、6分後に塩化金酸40μmo
l、チオシアン酸カリウム600μmolを添加し、化
合物SSを150μmol添加した後、100分間熟成
し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−
テトラザインデンを5×10-4mol、化合物Aを0.
17g加えた後、40℃に降温させた。その後、40℃
に温度を保ち、ハロゲン化銀1molに対して4.7×
10-2molの臭化カリウム(水溶液として添加)、1
2.8×10-4molの下記増感色素A(エタノール溶
液として添加)、6.4×10-3molの化合物B(メ
タノール溶液として添加)を攪拌しながら添加し、20
分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終
了した。
【0187】
【化26】
【0188】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》
【0189】ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edeno
rC22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5
mol/LのNaOH水溶液49.2L、tert−ブ
チルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪
拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、
硝酸銀40.4kgの水溶液206.2Lを用意し、1
0℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのter
t−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温
し、攪拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と
硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10秒
と60分かけて添加した。この時、硝酸銀水溶液添加開
始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるよう
にし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、
硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリ
ウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応
容器内の温度は30℃とし、液温度が上がらないように
コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添
加系の配管は、スチームトレースにより保温し、添加ノ
ズル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチーム
量をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加系の
配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保
温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水
溶液の添加位置は攪拌軸を中心として対称的な配置と
し、また反応液に接触しないような高さに調節した。ベ
ヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で
20分間攪拌放置し、25℃に降温した。その後、遠心
濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μ
S/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形分
は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。得
られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により
評価したところ、平均投影面積径0.52μm、平均粒
子厚み0.14μm、平均球相当径の変動係数15%の
鱗片状の結晶であった。
【0190】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7、平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、3回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物Aを得た。冷却操作は蛇管式熱交換器を
インタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒
の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。こ
うして得たベヘン酸銀分散物Aに含まれるベヘン酸銀粒
子は体積加重平均直径0.52μm、変動係数15%の
粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern Instrume
nts Ltd.製MasterSizerXにて行った。また電子顕微鏡撮
影により評価すると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚
み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の投影面積の
円相当径と粒子厚みの比)が5.1であった。
【0191】《1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサ
ン:還元剤の固体微粒子分散物の調製》1,1−ビス
(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,
5,5−トリメチルヘキサン10kgと変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgに、サーフィノール104E
(日信化学(株)製)400gと、メタノール640
g、水16kgを添加して、よく混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビー
ズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて3時間
30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウ
ム塩4gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になる
ように調製し、還元剤の固体微粒子分散物を得た。こう
して得た分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.
44μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変
動係数19%であった。得られた分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0192】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A:トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン10kgと、変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639g
と、サーフィノール104E(日信化学(株)製)40
0gと、メタノール640gと水16kgを添加して、
よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフ
ラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)
製、UVM−2)にて5時間分散したのち水を加えて有
機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%になるよう
に調製し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子分散
物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロ
ゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径
2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。
【0193】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B:トリブロモ
メチルナフチルスルホン5kgと変性ポリビニルアルコ
ール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質
量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213gと、
水10kgを添加して、よく混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径
0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビーズミ
ル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて5時間分散
したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2.5
gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃度が2
3.5質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化
合物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物
に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径
0.38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径
の変動係数20%であった。得られた分散物は孔径3.
0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0194】《有機ポリハロゲン化合物C水溶液の調
製》室温で攪拌しながら、水75.0ml、トリプロピ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウム(20%水溶液)
8.6ml、表13に記載のリンを含む化合物(5%水
溶液)6.8ml、および水酸化カリウムの1mol/
L水溶液9.5mlを順次添加し、添加終了後5分間攪
拌混合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハロゲン化
合物C(3−トリブロモメタンスルホニルベンゾイルア
ミノ酢酸)4.0gの粉末を添加し、溶液が透明になる
まで均一に溶解させて水溶液100mlを得た。得られ
た水溶液は、200メッシュのポリエステル製スクリー
ンにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0195】《一般式(A)の化合物の乳化分散物の調
製》表13に記載される種類の一般式(A)の化合物含
有物(一般式(A)の化合物85質量%)10kgとM
IBK11.66kgを混合した後、窒素置換して80
℃で1時間溶解した。この液に水25.52kgとMP
ポリマー(クラレ(株)製、MP−203)の20質量
%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44kg
を添加して、20〜40℃、3600rpmで60分間
乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール104
E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94k
gを添加して減圧蒸留しMIBKを除去したのち、一般
式(A)の化合物の濃度が10質量%になるように調製
した。こうして得た分散物に含まれる一般式(A)の化
合物の粒子はメジアン径0.19μm、最大粒子径1.
5μm以下、粒子径の変動係数17%であった。得られ
た分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィル
ターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。
【0196】《フタラジン系化合物の分散液の調製》室
温で水62.35gを攪拌しながら変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)2.0
gが塊状にならない様に添加し10分間攪拌混合した。
その後加熱し、内温が50℃になるまで昇温した後、内
温50〜60℃の範囲で90分間攪拌し均一に溶解させ
た。内温を40℃以下に降温し、ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、PVA−217、10質量%水溶
液)25.5g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナ
トリウム(20質量%水溶液)3.0gおよび表13に
記載される種類のフタラジン系化合物(70質量%水溶
液)7.15gを添加し、30分攪拌し透明分散液10
0gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物
を除去して収納した。
【0197】《化合物Xの固体微粒子分散物の調製》表
13に記載の化合物X、4kgに対してクラレ(株)製
ポバールPVA−217を1kgと水36kgとを添加
してよく混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコ
ニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて12時間分散したのち、ベン
ゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて化合
物Xの濃度が10質量%になるように調製し、化合物X
の固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含ま
れる化合物Xの粒子はメジアン径0.34μm、最大粒
子径3.0μm以下、粒子径の変動係数19%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。
【0198】《現像促進剤Wの固体微粒子分散物の調
製》現像促進剤W10kgと、変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量
%水溶液10kgと、水20kgを添加して、よく混合
してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポン
プで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを
充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて5時間分散したのち水を加えて現像促進剤
Wの濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤
Wの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含
まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.5
μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係
数18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μm
のポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等
の異物を除去して収納した。
【0199】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤を添加して、
水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱
気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のp
Hは7.7、粘度は25℃で50mPa・sであった。
バインダー;SBRラテックス (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 ガラス転移温度17℃(計算値)、 重合開始剤として、Na228を使用、 pH:NaOHを用いて6.5に調整、 平均粒子径:118nm) 固形分として 397g 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5− ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 149.5g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 36.3g 有機ポリハロゲン化合物C(表13に記載のリン化合物含有) 固形分として 2.34g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.47g ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、 PVA−235) 10.8g 表13に記載のフタラジン系化合物 表13に記載の量 表13に記載の一般式(A)の化合物 固形分として表13に記載の量 表13に記載の化合物X 12.7g 染料A(平均分子量15,000の低分子量 ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0200】
【化27】
【0201】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2
−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=5
8.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポ
リマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46
℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子径
116nm)943gに水を加え、化合物E1.62
g、有機ポリハロゲン化合物C水溶液114.8g、有
機ポリハロゲン化合物Aを固形分として17.0g、表
13に記載のリン化合物を固形分として0.69g、現
像促進剤Wを固形分として11.55g、マット剤(ポ
リスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数
8%)1.58gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−235)29.3gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を0.8質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは5.5、粘度は2
5℃で45mPa・sであった。
【0202】《下層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.
5質量%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造
膜助剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して1
5質量%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃と
した、平均粒子径74nm)625gに水を加え、化合
物Cを0.23g、化合物Eを0.13g、化合物Fを
11.7g、化合物Hを2.7gおよびポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、PVA−235)11.5g
を加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を
0.1質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧
力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは
2.6、粘度は25℃で30mPa・sであった。
【0203】《上層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.
5質量%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造
膜助剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して1
5質量%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃と
した、平均粒子径116nm)649gに水を加え、カ
ルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール52
4、シリコーン含有量として5ppm未満)30質量%
溶液18.4g、化合物Cを0.23g、化合物Eを
1.85g、化合物Gを1.0g、マット剤(ポリスチ
レン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)
3.45gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、PVA−235)26.5gを加え、さらに水を加
えて塗布液(メタノール溶媒を1.1質量%含有)を調
製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60
分間行った。塗布液のpHは5.3、粘度は25℃で2
5mPa・sであった。
【0204】
【化28】
【0205】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0206】(2)下塗り層およびバック層の作製 下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、 平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物−Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0207】下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、 ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20質量%水溶液) 10g 化合物−Bc−A 0.04g メチルセルロース(2質量%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0208】バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30質量%水分散物、 日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、 Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A(783nmの光学濃度として 1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、 スミテックスレジンM−3、8質量%水溶液) 15g SbドープSnO2の針状粒子の水分散物 (石原産業(株)製、FS−10D) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、 平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0209】バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30質量%水分散物、 日本純薬(株)製) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、 スミテックスレジンM−3、8質量%水溶液) 15g セロゾール524(30質量%水溶液、 中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0210】バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、185℃で30秒乾燥した。
【0211】バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート(10質量%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0212】
【化29】
【0213】ラテックス−A: コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタ
イプのラテックス コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチル
メタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93
/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチ
ルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=8
8/3/3/3/3(質量%) 質量平均分子量38,000 ラテックス−B: メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシル
アクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/
アクリル酸=59/9/26/5/1(質量%の共重合
体)
【0214】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0215】《熱現像感光材料の作製》前記下塗り第一
層と下塗り第二層を塗布した側のPET支持体の下塗り
層の上に、特開2000−2964号公報の図1で開示
されているスライドビート塗布方式を用いて、前記の画
像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になるように
塗布した。さらにその上に、前記保護層塗布液をポリマ
ーラテックスの固形分塗布量が1.29g/m2になる
ように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布した。その
後、保護層の上に前記下層オーバーコート層塗布液をポ
リマーラテックスの固形分塗布量が1.97g/m2
よび前記上層オーバーコート層塗布液をポリマーラテッ
クスの固形分塗布量が1.07g/m2になるように下
層オーバーコート塗布液と共に同時重層塗布し、熱現像
感光材料を作製した。塗布時の乾燥は、恒率過程、減率
過程とも、乾球温度70〜75℃、露点14〜25℃、
液膜表面温度35〜40℃の範囲で、塗布液の流動がほ
ぼなくなる乾燥点近傍までは水平乾燥ゾーン(塗布機の
水平方向に対し支持体が1.5°〜3°の角度)で行っ
た。乾燥後の巻取りは温度23±5℃、相対湿度45±
5%の条件下で行われ、巻き姿はその後の加工形態(画
像形成層面側外巻)に合わせ、画像形成層面側を外にし
た。なお、熱現像感光材料の包袋湿度は相対湿度20〜
40%(25℃測定)で、得られた熱現像感光材料の画
像形成側の膜面pHは5.1、ベック平滑度は850秒
であり、反対側の膜面pHは5.9、ベック平滑度は5
60秒であった。
【0216】《写真性能の評価》得られた試料を785
nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウ
ェッジを通して発光時間10-6秒のキセノンフラッシュ
光で露光し、下記熱現像処理を行った。感度は濃度1.
5を与える露光量の逆数をもって表し、S1.5 とした。
熱現像感光材料の試料No.1−1の写真感度を相対的
に100と表わし、値が大きいほど高感度である。
【0217】《実技濃度の評価》得られた熱現像感光材
料を、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)1
2.56μm、レーザー出力50mW、出力波長783
nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面
方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー回転数600
00rpm、露光時間1.2×10-8秒の露光を実施し
た。この時のオーバーラップ係数は0.449にし、熱
現像感光材料面上のレーザーエネルギー密度としては7
5μJ/cm2とした。上記のレーザー露光装置を用い
て、175線/インチで光量を変えながらテストステッ
プを出力し、下記の熱現像処理を行い、中間網点が50
%になるLV値で露光した際のDmax(最高濃度)部
を測定し、実技濃度とした。現像湿度依存性について
は、25℃、相対湿度80%の環境で16時間放置した
熱現像感光材料にその環境下で上記露光で60μmの線
幅露光を行って、熱現像処理した場合それと同一露光条
件で25℃、相対湿度10%環境下で16時間放置した
熱現像感光材料にその環境下で露光、熱現像処理した場
合の線幅の差で評価した。また、25℃、相対湿度10
%環境下での画像のDmin(カブリ)、Dmax(最
高濃度)についても評価し、濃度測定はマクベスTD9
04濃度計(可視濃度)により行った。また、保存性の
評価については熱現像感光材料を60℃、相対湿度40
%に1日保存し、その後で、前記の露光と熱現像処理を
行い、同様の評価を行った。サーモによる感度変動ΔS
1.5は、サーモ前の感度を100%としたときのサーモ
前後での感度変動の割合の値を表し、値が大きいほど、
感度変動が大きいことを表す。
【0218】《熱現像処理》露光済みの熱現像感光材料
を図1に示した熱現像機を用いて、熱現像処理を行っ
た。熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、
平滑面はテフロン不織布にして、搬送のラインスピード
は150cm/minに設定した。予備加熱部12.2
秒(予備加熱部と熱現像処理部の駆動系は独立してお
り、熱現像部との速度差は−0.5%〜−1%に設定、
各予熱部の金属ローラーの温度設定、時間は第1ローラ
ー温度67℃、2.0秒、第2ローラー温度82℃、
2.0秒、第3ローラー温度98℃、2.0秒、第4ロ
ーラー温度温度107℃、2.0秒、第5ローラー温度
115℃、2.0秒、第6ローラー温度120℃、2.
0秒にした)、熱現像処理部120℃(熱現像感光材料
面温度)で17.2秒、徐冷部13.6秒で熱現像処理
を行った。なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であっ
た。各ローラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例え
ば幅61cm)よりも両側それぞれ5cm長くして、そ
の部分にも温度をかけて、温度精度が出るようにした。
なお、各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、
熱現像感光材料の幅よりも5cm長くした部分はローラ
ー中央部よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、
熱現像感光材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度
が均質な仕上がりになるように留意した。各熱現像感光
材料について上記評価を実施した結果を表13に示す。
【0219】
【表13】
【0220】
【化30】
【0221】表13の結果のように、本発明の条件を満
たす熱現像感光材料は、高感度で、長期間の保存による
写真性を予測するための強制サーモ処理においても、感
度変動が小さいことがわかる。
【0222】<実施例2> 《画像形成層塗布液の調製》実施例1で作製したベヘン
酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダ
ー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱気を
圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のpHは
7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50mPa・s
であった。
【0223】 バインダー;SBRラテックス (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 ガラス転移温度:17℃(計算値)、 重合開始剤として、Na2S2O8を使用、 pH:NaOHを用いて6.5に調整、 平均粒子径:118nm) 固形分として 397g 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5− ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 118.2g 有機ポリハロゲン化合物A 固形分として 20.0g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 6.0g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.0g 有機ポリハロゲン化合物D 固形分として 34.4g 現像促進剤W 固形分として 11.5g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.3g ベンゾトリアゾール 1.2g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、 PVA−235) 10.8g 表13に記載のフタラジン系化合物 14.0g 表13に記載の一般式(A)の化合物 固形分として 9.6g 化合物I 0.2g 表13に記載の化合物X 8.9g 染料A(平均分子量15,000の 低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 ( 目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% pH調整剤としては、NaOHを用いた。 (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0224】《有機ポリハロゲン化合物Dの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物Dを6kgと変
性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールM
P203)の10質量%水溶液12kg、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶
液240g、および水0.18kgを添加して、よく混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリ
ノンナトリウム塩2gと水を加えての有機ポリハロゲン
化合物Dの濃度が30質量%になるように調製し、有機
ポリハロゲン化合物Dの固体微粒子分散物を得た。得ら
れた分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子は、
メジアン径が0.40μm、最大粒子径が2.0μm以
下、平均粒子径の変動係数が20%であった。得られた
分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルター
にてろ過を行いゴミ等の異物を除去したうえで、下記の
塗布液の調製に用いた。
【0225】
【化31】
【0226】《下層保護層塗布液の調製》メチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=70/30(質量%
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度30℃、固形分濃度として28.0%、化合物Aを
100ppm含有)900gに水を加え、化合物Eを
0.2g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、P
VA−235)を35.0g加え、さらに水を加えて塗
布液(メタノール溶媒を0.5質量%含有)を調製し
た。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60分間
行った。塗布液のpHは5.2、粘度は25℃で35m
Pa・sであった。
【0227】《上層保護層塗布液の調製》メチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=70/30(質量%
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度30℃、固形分濃度として28.0%、化合物Aを
100ppm含有)900gに、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液を10.0
g、化合物Cを0.3g、化合物Eを1.2g、化合物
Fを25.0g、化合物Hを6.0g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)5.0gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−235)40.0gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは2.4、粘度は2
5℃で35mPa・sであった。
【0228】《熱現像感光材料の作製》実施例1に記載
したように下塗り層を塗布したPET支持体の下塗り層
の上に、特開2000−2964号明細書の図1で開示
されているスライドビード塗布方式を用いて、前記の画
像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる様に、
その上に、前記の保護層下層塗布液をポリマ−ラテック
スの固形分塗布量が1.0g/m2になる様に、さらに
その上に前記の保護層上層塗布液をポリマ−ラテックス
の固形分塗布量が1.3g/m2になる様に、画像形成
層と保護層下層および上層の3層を同時に重層塗布し
た。
【0229】塗布時の乾燥条件は、第一乾燥ゾーン(低
速風乾燥域)が乾球温度70〜75℃、露点9〜23
℃、支持体面上での風速8〜10m/s、液膜表面温度
35〜40℃の範囲で乾燥し、第二乾燥ゾーン(高速風
乾燥域)が、乾球温度65〜70℃、露点20〜23
℃、そして支持体面上での風速が20〜25m/sで乾
燥した。第一乾燥ゾーンの滞在時間は、このゾーンでの
恒率乾燥期の2/3の時間で、第二乾燥ゾーンに移行さ
せ、乾燥した。第一乾燥ゾーンは、水平乾燥ゾ-ン(塗
布機の水平方向に対し支持体が1.5°〜3°の角度)
である。塗布速度は、60m/minで行った。乾燥後
の巻取りは温度25±5℃、相対湿度45±10%の条
件下で行った。巻き姿はその後の加工形態(画像形成層
面側外巻)に合わせ、画像形成層面側を外にした。な
お、感光材料の包袋湿度は相対湿度20〜40%(25
℃測定)で、得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜
面pHは5.0、ベック平滑度は5000秒であり、反
対側の膜面pHは5.9、ベック平滑度は500秒であ
った。
【0230】塗布方法を変更する以外は、実施例1と同
様に試料を作製し評価を実施したところ、実施例1と同
様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0231】<実施例3>実施例1で作製したベヘン酸
銀分散物Aの銀1molに対して、実施例2と同様にし
て、表14に示しているような本発明の化合物を用い
て、画像形成層塗布液とした。この時、本発明の化合物
Xとして化合物X−13を3.5gとした。完成後、減
圧脱気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液
のpHは7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50m
Pa・sであった。
【0232】
【化32】
【0233】さらに、実施例2と同様に、下層保護層塗
布液を調製した。上層保護層塗布液は、一般式(1)の
化合物を18.6gを使用する以外は実施例2とまった
く同様の方法で調製した。そして、実施例1に記載した
ように下塗り層を塗布したPET支持体の下塗り層の上
に、特開2000−2964号の明細書中の図1で開示
されているスライドビード塗布方式を用いて、前記の画
像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる様に、
その上に、前記の保護層下層塗布液をポリマ−ラテック
スの固形分塗布量が1.2g/m2になる様に、さらに
その上に前記の保護層上層塗布液をポリマ−ラテックス
の固形分塗布量が1.4g/m2になる様に、画像形成
層と保護層下層および上層の3層を同時に重層塗布し
た。
【0234】塗布時の乾燥条件、巻き姿は実施例2と同
様とし、その後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合
わせ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感光材
料の包袋湿度は相対湿度20〜40%(25℃測定)
で、得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは
5.2であり、反対側の膜面pHは5.9であった。こ
うして得られた試料3−1〜3−10について、実施例
1と同様の方法で評価を行った。
【0235】
【表14】
【0236】表14の結果のように、実施例1の結果と
同様に、本発明の熱現像感光材料は、高感度で、長期間
の保存による写真性を予測するための強制サーモ処理に
おいても、感度変動が小さいことがわかる。
【0237】<実施例4>実施例1〜3で用いたベース
のかわりに、下記に示すようなベースを用いた以外は、
実施例1〜3と同様に試料を作製し、実施例1と同様に
熱現像したところ本発明の熱現像感光材料は、実施例1
〜3の結果をほぼ再現し、本発明の効果は明らかであっ
た。 《バック/下塗り層のついたポリエチレンテレフタレー
ト(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅1.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0238】(2)下塗り層およびバック層の作製 塗布液S−A〜Cの液を作製し、画像形成層を形成する
側には、支持体からS−C、S−Aの順に13.8ml
/m2、6.2ml/m2を塗布した。さらに、BC側
に、支持体からS−A、S−Bの順に6.2ml/
2、13.8ml/m2を塗布した。乾燥は、125℃
で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒行っ
た。PET支持体の表面には、両面とも0.375kV
・A・分/m2のコロナ放電処理を施した。 塗布液S−A ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、 平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物−Bc−C 0.06g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0239】 塗布液S−C ペスレジンA520(高松油脂(株)製、 30%水分散物) 46g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、 Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A (783nmの光学濃度として1.3の濃度になるように調整) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、 スミテックスレジンM−3、8%水溶液) 15g SbドープSnO2の20%水分散物 (石原産業(株)製、FS−10D) 81.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、 平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0240】 塗布液S−B ケミパールS120(27%水分散物、 三井化学(株)製) 73.1g ペスレジンA615G(25%水分散物、 高松油脂(株)製) 78.9g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.3g 化合物−Bc−D 0.25g デナコールEX521(水溶性エポキシ化合物、 ナガセ化成工業(株)製) 3.4g ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0241】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0242】<実施例5>実施例1〜4のハロゲン化銀
乳剤の調整において、トリエチルチオ尿素のかわりに、
カルボキシメチルトリメチルチオ尿素を等モル添加し、
塩化金酸のかわりに、ビス(1,4,5−トリメチルー
1,2,4−トリアゾリウムー3−チオレート金)
(1)テトラフルオロボレイトを等モル添加し、チオシ
アン酸カリウムを除いた以外は、実施例1〜4と同様に
試料を作製し、実施例1と同様に熱現像したところ本発
明の条件を満たす熱現像感光材料は、実施例1〜4の結
果をほぼ再現し、本発明の効果は明らかであった。
【0243】<実施例6>実施例1〜5で使用したサン
プルの露光を円筒外面方式マルチチャンネル(50mW
半導体レーザーヘッド30機搭載、熱現像感光材料面上
のレーザーエネルギー密度としては75μJ/cm2
で行い、実施例1と同様に熱現像したところ本発明の熱
現像感光材料は、実施例1〜5の結果をほぼ再現し、本
発明の効果は明らかであった。
【0244】<実施例7>実施例1〜5のハロゲン化銀
乳剤の調製において、増感色素Aを増感色素Bと増感色
素Cのモル数で1:1に混合したものを増感色素Aと等
モル(増感色素Bと増感色素のトータル量として)添加
した以外は、実施例1〜4と同様に試料を作製し、78
5nmの干渉フィルターを633nmの干渉フィルター
に、783nmのレーザーを633nmのレーザーにか
えて、実施例1と同様に評価したところ本発明の条件を
満たす熱現像感光材料は、実施例1〜5の結果と同様な
効果を示し、本発明の効果は明らかであった。
【0245】
【化33】
【0246】<実施例8>実施例1〜7で使用したサン
プルを富士フイルム株式会社製ドライフィルムプロセッ
サーFDS-6100Xを用いて熱現像処理を行い同様の評価を
行ったところ、実施例1〜7と同様の結果が得られ、本
発明の効果は明らかであった。
【0247】
【発明の効果】本発明によれば、高感度で、生保存性に
優れた写真製版用途に最適な写真特性を得ることができ
る。また、環境面、コスト面で有利な水系塗布が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用い
られる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月21日(2002.5.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
であっても異なっていてもよい。]
【化2】 [一般式(A)において、Mは水素原子またはk価の陽
イオンを表わし、R2は置換基を表わす。nは1〜4の
整数で、n≧2の場合、複数個あるR2は、同一であっ
ても異なっていてもよい。kは1以上の整数であり、M
が水素原子の時k=1である。]
【化3】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
であっても異なっていてもよい。]

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化
    銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およ
    びバインダーを含有する熱現像感光材料において、該一
    方面上に、下記一般式(1)で表され、融点が70℃以
    上である化合物のうち少なくとも1種と、下記一般式
    (A)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有す
    ることを特徴とする熱現像感光材料。 【化1】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
    整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
    であっても異なっていてもよい。] 【化2】 [一般式(A)において、Mは水素原子またはk価の陽
    イオンを表わし、R2は置換基を表わす。nは1〜4の
    整数で、n≧2の場合、複数個あるR2は、同一であっ
    ても異なっていてもよい。kは1以上の整数であり、M
    が水素原子の時k=1である。]
  2. 【請求項2】 支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化
    銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、およ
    びバインダーを含有する熱現像感光材料において、該一
    方面上に、下記一般式(1)で表され、融点が70℃以
    上である化合物のうち少なくとも1種と、リンを含む化
    合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。 【化3】 [一般式(1)中、R1は置換基を表し、mは1〜4の
    整数を表す。m≧2の場合、複数のR1はそれぞれ同一
    であっても異なっていてもよい。]
  3. 【請求項3】 非感光性有機銀塩近傍に現像開始点を形
    成可能な化学種をイメージワイズに生成する化合物の少
    なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1また
    は2に記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 0.01mol/銀molで添加するこ
    とにより現像銀粒子密度が200〜5000%に増加す
    る化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする
    請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  5. 【請求項5】 0.01mol/銀molで添加するこ
    とによりカバリングパワーが120〜1000%に増加
    する化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とす
    る請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 画像形成する際に10-6秒以下で露光す
    るための請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像感光材
    料。
  7. 【請求項7】 レーザーヘッドを2機以上搭載したマル
    チビームで露光するための請求項1〜6のいずれかに記
    載の熱現像感光材料。
  8. 【請求項8】 ラインスピードが140cm/min以
    上で熱現像処理するための請求項1〜7のいずれかに記
    載の熱現像感光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024190919A1 (ja) * 2023-03-16 2024-09-19 東京応化工業株式会社 レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び酸拡散制御剤

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WO2024190919A1 (ja) * 2023-03-16 2024-09-19 東京応化工業株式会社 レジスト組成物、レジストパターン形成方法、化合物及び酸拡散制御剤

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