JP2001281795A - 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法 - Google Patents

高速熱現像感光材料およびその画像形成方法

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JP2001281795A
JP2001281795A JP2000089077A JP2000089077A JP2001281795A JP 2001281795 A JP2001281795 A JP 2001281795A JP 2000089077 A JP2000089077 A JP 2000089077A JP 2000089077 A JP2000089077 A JP 2000089077A JP 2001281795 A JP2001281795 A JP 2001281795A
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Minoru Sakai
稔 酒井
Katsuyuki Watanabe
克之 渡辺
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 文字線幅太りや被りを抑制しつつ迅速な現像
処理を行うことが可能で、良好な感光材料保存性を有す
る高速熱現像感光材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀、造核剤、バインダー、下記一般式(1)で表さ
れる還元剤の少なくとも1種および下記一般式(2)で
表されるポリハロゲン化合物の2種以上を含有する高速
熱現像感光材料。 【化1】 (R1およびR1’はアルキル基で、少なくとも一方が2
級または3級のアルキル基、R2およびR2’は水素原子
またはベンゼン環に置換可能な基、Lは−S−基または
−CHR3−基、R3は水素原子またはアルキル基、Xお
よびX’はベンゼン環に置換可能な基を表す。) 一般式(2) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X (Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基、Yは
2価の連結基、nは0または1、Z1およびZ2はハロゲ
ン原子、Xは水素原子または電子求引性基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高速熱現像感光材料
に関するものであり、特に写真製版用に適したスキャナ
ー、イメージセッター用高速熱現像感光材料に関し、さ
らに詳しくは、文字線幅太りや被りを抑制しつつ迅速な
現像処理が可能で、良好な感光材料保存性を有する高速
熱現像感光材料に関する。また、本発明は良好な画像を
形成することができる高速現像工程を含む画像形成方法
にも関する。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。近年写真製版分野において環境保全、
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれてい
る。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イ
メージセッターにより効率的に露光させることができ、
高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成す
ることができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する
技術が必要とされている。これら熱現像感光材料では、
溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を
損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給する
ことができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,45
7,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Klos
terboer)による「熱によって処理される銀システム(T
hermally Processed SilverSystems)A」(イメージン
グ・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging
Processes and Materials)Neblette 第8版、J.ス
タージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、
A.シェップ(Shepp) 編集、第9章、第279頁、
1989年)に記載されている。このような感光材料
は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触
媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の
還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した
状態で含有している。感光材料は常温で安定であるが、
露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合に、
還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との
間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元
反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進され
る。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成し
た銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をな
し、画像の形成がなされる。また、従来から前記熱現像
感光材料は知られているが、これらの多くはトルエン、
メチルエチルケトン(MEK)、メタノールなどの有機
溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感光性層
を形成している。有機溶剤を溶媒として用いることは、
製造工程での人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その
他のためコスト上も不利である。
【0004】そこで、このような心配のない水溶媒の塗
布液を用いて画像形成層を形成する方法が考えられてい
る。例えば特開昭49−52626号公報、特開昭53
−116144号公報などにはゼラチンをバインダーと
する例が記載されている。また特開昭50−15113
8号公報にはポリビニルアルコールをバインダーとする
例が記載されている。さらに特開昭60−61747号
公報にはゼラチンとポリビニルアルコールを併用した例
が記載されている。これ以外の例として特開昭58−2
8737号公報には水溶性ポリビニルアセタールをバイ
ンダーとする感光層の例が記載されている。このような
バインダーを用いると水溶媒の塗布液を用いて感光性層
を形成することができて環境面、コスト面のメリットは
大きい。
【0005】また、高コントラストな写真特性を得るこ
とができるようにするために、欧州特許公開EP第76
2,196号公報、特開平9−90550号公報等に
は、感光性ハロゲン化銀粒子に第VII族またはVIII族の
金属イオンまたは金属錯体イオンやヒドラジン誘導体を
熱現像感光材料に含有させることが開示されている。
【0006】このように環境面、コスト面、写真特性の
点で熱現像感光材料には種々の改良が加えられてきた
が、熱現像の速度という点ではいまだ改良の余地が残さ
れている。一般に新聞分野などで写真製版用フィルムを
使用する場合は、生産性が追求されるため、フィルムを
迅速に処理することが望まれている。しかしながら、熱
現像感光材料は、従来の化学処理フィルムに比べて文字
線幅(実技感度)の露光量依存性が大きいという問題が
あり、ラインスピードを上げて迅速に熱現像することが
できなかった。このため、文字線幅の露光量依存性が小
さくて安定しており、写真製版用途に最適な高速熱現像
用の熱現像感光材料を提供することが望まれていた。一
方、熱現像感光材料は、製造直後に使用されることは稀
であり、通常は製造後に包装して流通する等ある程度の
期間経過後に使用されることが多い。しかしながら、従
来の熱現像感光材料は、長期保存した後に使用すると画
質が劣り、実用的でないものもあった。このため、熱現
像感光材料は、長期保存後に使用される場合であっても
性能が劣化しないことが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする第一の課題は、文字線幅太りや被りを抑制
しつつ迅速な現像処理を行うことが可能で、良好な感光
材料保存性を有する高速熱現像感光材料、特に写真製版
用、なかでもスキャナー、イメージセッター用高速熱現
像感光材料を提供することにある。さらに、本発明の解
決しようとする第二の課題は、現像時の文字線幅太りや
被りを抑制し、良質な画像を高速で形成する方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を組
み合わせて使用した熱現像感光材料を一定速度以上の速
いラインスピードで熱現像することによって所期の目的
を達成することができることを見出し、本発明を提供す
るに至った。すなわち本発明は、支持体上に非感光性銀
塩、感光性ハロゲン化銀、造核剤、バインダー、下記一
般式(1)で表される還元剤の少なくとも1種および下
記一般式(2)で表されるポリハロゲン化合物の2種以
上を含有する高速熱現像感光材料を提供する。
【化2】 (一般式(1)において、R1およびR1’はアルキル基
を表し、少なくとも一方が2級または3級のアルキル基
である。R2およびR2’は独立に水素原子またはベンゼ
ン環に置換可能な基を表し、Lは−S−基または−CH
3−基を表す。R3は水素原子またはアルキル基を表
す。XおよびX’はベンゼン環に置換可能な基を表
す。) 一般式(2) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X (一般式(2)において、Qは置換基を有していても良
いアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Y
は2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1
よびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電
子求引性基を表す。)
【0009】一般式(1)において、R1およびR1’が
各々独立に2級または3級のアルキル基であり、R2
よびR2’が各々独立にアルキル基であり、R3が水素原
子またはアルキル基であり、XおよびX’がいずれも水
素原子である化合物を少なくとも1種含有することが好
ましく、なかでも、R1およびR1’が3級アルキル基で
あり、R2およびR2’が各々独立にアルキル基であり、
3がアルキル基である化合物を少なくとも1種含有す
ることが好ましい。また、一般式(2)において、Qの
置換基が電子求引性基である化合物を少なくとも1種を
含有することが好ましく、なかでも、Qの置換基が一般
式(3)で表される電子求引性基である化合物を少なく
とも1種を含有することが好ましい。 一般式(3) −(L)n−CON(W1)(W2) (一般式(3)において、Lは連結基を表わし、W1
よびW2は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール
基またはヘテロ環基を表わす。nは0または1を表わ
す。) 本発明の高速熱現像感光材料では、感光性ハロゲン化銀
を含有する画像形成層および該画像形成層に隣接する非
画像形成層が、一般式(2)で表されるポリハロゲン化
合物を含有することが好ましい。また、感光性ハロゲン
化銀を含有する画像形成層に含まれるバインダーの50
重量%以上が、ガラス転位温度が−30℃〜40℃のポ
リマーのラテックスであることが好ましい。
【0010】本発明は、上記の高速熱現像感光材料をラ
インスピード140〜1000cm/分で熱現像するこ
とを特徴とする画像形成方法も提供する。本発明の画像
形成方法では、露光時間が10-7秒以下であることが好
ましく、レーザーヘッドを2機以上搭載したマルチビー
ムで露光することが好ましい。なお、本明細書において
「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値
および最大値として包含する範囲である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の高速熱現
像感光材料およびその画像形成方法について詳細に説明
する。本発明の高速熱現像感光材料は、支持体上に非感
光性銀塩、感光性ハロゲン化銀、造核剤、バインダー、
一般式(1)で表される還元剤の少なくとも1種および
一般式(2)で表されるポリハロゲン化合物の2種以上
を含有するものである。なお、本明細書において「高速
熱現像感光材料」とは、140〜1000cm/分のラ
インスピードで熱現像処理を行うための感光材料をい
う。従来の熱現像感光材料を用いて、このような高速な
ラインスピードで熱現像処理を行うと、文字線幅太りや
被りが大きくて画質が悪かった。しかし、上記の特徴を
有する本発明の高速熱現像感光材料によれば、文字線幅
の変動が小さく、カブリ(Dmin)が小さくて最高濃
度(Dmax)が高い良質な画質を形成することができ
る。
【0012】本発明の高速熱現像感光材料に用いられる
一般式(1)で表される化合物について詳細に説明す
る。
【0013】
【化3】
【0014】一般式(1)において、R1およびR1’は
各々独立にアルキル基を表す。好ましくは、置換または
無置換の炭素数1〜20のアルキル基である。R1およ
びR1’は同一の基でも異なる基でもよいが、少なくと
も一方は2級または3級のアルキル基である。置換基は
特に限定されることはないが、例えばアリール基、ヒド
ロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンア
ミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カル
バモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられ
る。R2およびR2’は水素原子またはベンゼン環に置換
可能な基であり、同一であっても異なっていてもよい。
ベンゼン環に置換可能な基としては、アルキル基、アリ
ール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基
等が挙げられる。Lは−S−基または−CHR3−基を
表す。R3は水素原子またはアルキル基を表し、アルキ
ル基は炭素数1〜20であるものが好ましく、置換基を
有していてもよい。置換基の例としてはR1の置換基と
同じものを挙げることができる。XおよびX’は各々独
立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0015】R1およびR1’として好ましくは2級また
は3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル
基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−
オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1
−メチルシクロヘキシル基、1メチルシクロプロピル基
などが挙げられる。R1およびR1’としてより好ましく
は3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−ア
ミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、
t−ブチル基が最も好ましい。R2およびR2’として好
ましくはアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチル
シクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メ
トキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基である。XおよびX’は、好ましくは水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子
である。Lは好ましくは−CHR3−基である。
【0016】R3は水素原子またはアルキル基で、アル
キル基は無置換でもよいし、他の基で置換されていても
よい。無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル
基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,
4−トリメチルペンチル基などが挙げられる。アルキル
基の置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アル
キルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシ
ルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホ
リル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基などが挙げられる。R3として好ましくは水
素原子またはアルキル基であり、アルキル基としてはメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,
4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R3として
特に好ましいのは水素原子、メチル基またはプロピル基
である。R3が水素原子である場合、R2およびR2’は
好ましくは炭素数2以上のアルキル基であり、エチル
基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好まし
い。R2およびR2’がメチル基である場合にR3は好ま
しくは1級または2級のアルキル基であり、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好まし
く、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示す
が、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定
されるものではない。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】一般式(1)で表される還元剤は、画像形
成層を有する面の銀1molに対して5〜50mol%
含まれることが好ましく、10〜40mol%で含まれ
ることがさらに好ましい。一般式(1)で表される還元
剤は単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
また一般式(1)以外の還元剤と併用してもよい。一般
式(1)の還元剤と併用できる還元剤は、特開平11−
65021号公報の段落番号[0043]〜[004
5]や、欧州特許公開EP第0803764A1号公報
の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載さ
れている。本発明においては、特にビスフェノール類還
元剤(例えば、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサ
ン)の併用が好ましい。一般式(1)の化合物は、有機
銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましい
が、隣接する非画像形成層に含有させてもよい。
【0025】一般式(1)で表される還元剤は溶液形
態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかな
る方法で塗布液に含有せしめ、本発明の高速熱現像感光
材料に含有させてもよい。よく知られている乳化分散法
としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフ
ェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフ
タレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノン
などの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を
作製する方法が挙げられる。また、固体微粒子分散法と
しては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミ
ル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散
し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。なお、そ
の際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコー
ル)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位
置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性
剤)、消泡剤(例えばサーフィノール104E)を用い
てもよい。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩)を含有させることができる。一
般式(1)で表される還元剤は、支持体に対して画像形
成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側のどの層
に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接す
る層に添加することが好ましい。
【0026】次に本発明に用いられる一般式(2)で表
される化合物について詳細に説明する。 一般式(2) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X 一般式(2)において、Qは置換基を有していても良い
アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは
2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およ
びZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子
求引性基を表す。
【0027】一般式(2)のQで表わされるアルキル基
とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に
好ましくは1〜6である。例えば、メチル、エチル、ア
リル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、
イソブチル、t−ブチル、sec−ペンチル、イソペン
チル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチルシクロ
ヘキシル等が挙げられる。好ましくは3級のアルキル基
である。一般式(2)のQで表わされるアルキル基は置
換基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪
影響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わ
ないが、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原
子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N−
置換の含窒素ヘテロ環基を含む、例えばモルホリノ
基)、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換した
イミノ基、チオカルボニル基、カルバゾイル基、シアノ
基、チオカルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキ
シもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、スル
ホニルオキシ基、アシルアミド基、スルホンアミド基、
ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ
もしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルフ
ァモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバ
ジド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレ
イド基、ニトロ基、(アルキルまたはアリール)スルホ
ニル基、スルファモイル基、リン酸アミドもしくはリン
酸エステル構造を含む基、シリル基、カルボキシル基ま
たはその塩、スルホ基またはその塩、リン酸基、ヒドロ
キシ基、4級アンモニウム基等が挙げられる。これら置
換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0028】一般式(2)のQで表わされるアリール基
は単環または縮合環のアリール基であり、好ましくは炭
素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましく
は6〜10であり、フェニル基またはナフチル基が好ま
しい。一般式(2)のQで表わされるアリール基は置換
基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪影
響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わな
いが、例えば前述のアルキル基の置換基と同様の基が挙
げられる。一般式(2)のQで表わされるヘテロ環基と
しては、ヘテロ環が窒素、酸素および硫黄原子からなる
群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む5または7員
の飽和または不飽和の単環または縮合環であるものが好
ましい。ヘテロ環の例としては、好ましくはピリジン、
キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリ
ダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェ
ン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チ
アゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイ
ミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げら
れ、さらに好ましくはピリジン、キノリン、ピリミジ
ン、チアジアゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好
ましくは、ピリジン、キノリン、ピリミジンである。一
般式(2)のQで表わされるヘテロ環基は置換基を有し
てもよく、例えば式1のQで表わされるアルキル基の置
換基と同様の基が挙げられる。
【0029】一般式(2)のQは、好ましくは、フェニ
ル基、ナフチル基、キノリル基、ピリジル基、ピリミジ
ル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、
特に好ましくは、フェニル基、ナフチル基、キノリル
基、ピリジル基、ピリミジル基である。一般式(2)の
Qの置換基として、拡散性を低下させるために写真用素
材で使用されるバラスト基や銀塩への吸着基や水溶性を
付与する基を有していてもよいし、互いに重合してポリ
マーを形成してもよいし、置換基どうしが結合してビス
型、トリス型、テトラキス型を形成してもよい。
【0030】一般式(2)において、Yは2価の連結基
を表わすが好ましくは−SO2−、−SO−、−CO−
であり、特に好ましくは−SO2−である。一般式
(2)において、nは0または1を表わすが、好ましく
は1である。Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原
子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素など)を表す
が、Z1およびZ2は両方とも臭素原子であることが最も
好ましい。一般式(2)において、Xは水素原子または
電子求引性基を表す。Xで表される電子求引性基は、ハ
メットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基であ
り、具体的には、シアノ基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニ
ル基、ハロゲン原子、アシル基、ヘテロ環基等が挙げら
れる。Xは好ましくは水素原子またはハロゲン原子であ
り、最も好ましくは臭素原子である。
【0031】本発明では、2種以上の一般式(2)の化
合物を用いるが、少なくとも1種は、一般式(2)のQ
の置換基が電子求引性基であることが好ましい。電子求
引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取り
うる置換基のことであり、具体的には、シアノ基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カ
ルバモイル基、イミノ基、N原子、で置換したイミノ
基、チオカルボニル基、スルファモイル基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲ
ン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカ
ンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル
基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、ス
ルホ基(またはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、
アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホ
ニルオキシ基、またはこれら電子求引性基で置換された
アリール基等である。ここでヘテロ環とは、飽和もしく
は不飽和のヘテロ環基で、例えば、ピリジル基、キノリ
ル基、キノキザリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリア
ゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒ
ダントイン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイ
ミド基等が挙げられる。これらの電子求引性基は、更に
置換基を有していてもよく、その置換基としては、例え
ば式1のQで表わされるアルキル基の置換基と同様の基
が挙げられる。
【0032】一般式(2)のQの置換基が、電子求引性
基である場合、一般式(3)の構造を有する化合物であ
ることが好ましい。 一般式(3) −(L)n−CON(W1)(W2) 一般式(2)のQに一般式(3)の構造の置換基を有す
る場合、一般式(2)のQは、好ましくはアリーレン基
であり、特に好ましくはフェニレン基である。Qがフェ
ニレン基を表わすとき、−(Y)n−C(Z1)(Z2
Xと一般式(3)は互いにメタ位に結合している事が好
ましい。一般式(3)において、Lは連結基を表わし、
1およびW2は水素原子、アルキル基、アリール基また
はヘテロ環基を表わす。nは0または1を表わす。一般
式(3)のLは二価の連結基を表わし、例えばアルキレ
ン基(好ましくは炭素数1〜30であり、さらに好まし
くは炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数1〜
10である。)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜
30であり、さらに好ましくは炭素数6〜20であり、
特に好ましくは炭素数6〜10である。)、アルケニレ
ン基(好ましくは炭素数2〜30であり、さらに好まし
くは炭素数2〜20であり、特に好ましくは炭素数2〜
10である。)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2
〜30であり、さらに好ましくは炭素数2〜20であ
り、特に好ましくは炭素数2〜10である。)、2価の
複素環基(好ましくは炭素数1〜30であり、さらに好
ましくは炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数
1〜10である。)、−O−基、−NR−基、−CO−
基、−S−基、−SO−基、−SO2−基、リン原子を
含む基や、これらを組み合わせることによって形成され
る基等が挙げられる(ここでRで表わされる基は水素原
子または置換基を有しても良いアルキル基または置換基
を有しても良いアリール基である)。一般式(3)のL
で表わされる連結基は置換基を有していても良く、例え
ば、Qで表わされるアリーレン基の置換基と同様のもの
が挙げられる。一般式(3)のLで表わされる連結基
は、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、−O−
基、−NRCO−基、−SO2NR−基およびこれらを
組み合わせることによって形成される基である。一般式
(3)のnは0または1であり、好ましくは0である。
【0033】一般式(3)においてW1およびW2はそれ
ぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘ
テロ環基を表わす。一般式(3)のW1およびW2で表わ
されるアルキル基とは、直鎖、分岐または環状のアルキ
ル基であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は1〜12、特に好ましくは1〜6である。例えば、メ
チル、エチル、アリル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチ
ル、sec−ペンチル、イソペンチル、3−ペンチル、
n−ヘキシル、n−オクチル、n−ドデシル、シクロヘ
キシル等が挙げられる。一般式(3)のW1およびW2
表わされるアルキル基は置換基を有していても良く、例
えば、Qで表わされるアリーレン基の置換基と同様のも
のが挙げられる。W1およびW2で表わされるアルキル基
の置換基は好ましくはハロゲン原子、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホンアミド
基、(アルキルまたはアリール)チオ基、(アルキルま
たはアリール)スルホニル基、スルホ基またはその塩、
カルボキシル基またはその塩、リン酸基またはその塩、
水酸基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、カルバモイル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルまた
はアリール)チオ基、スルホ基またはその塩、カルボキ
シル基またはその塩、水酸基であり、特に好ましくはハ
ロゲン原子、アルケニル基、カルバモイル基、アルコキ
シ基、アルキルチオ基、スルホ基の塩、カルボキシル基
またはその塩、水酸基である。
【0034】一般式(3)のW1およびW2で表わされる
アリール基は単環または縮合環のアリール基であり、好
ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特
に好ましくは6〜10であり、例えば、フェニル基、ナ
フチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。W1
よびW2で表わされるアリール基は置換基を有していて
も良く、例えば、W1およびW2で表わされるアルキル基
の置換基と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様
である。一般式(3)のW1およびW2で表わされるヘテ
ロ環は、N、OまたはSの原子を少なくとも1つ含む5
ないし7員の飽和または不飽和のヘテロ環であり、これ
らは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成
していてもよい。例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリ
ミジニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリ
ル、ベンツイミダゾリル、チアジアゾリル、キノリル、
イソキノリル、トリアゾリル等が挙げられる。これらは
置換基を有していても良く、例えば、W1およびW2で表
わされるアルキル基の置換基と同様のものが挙げられ、
好ましい範囲も同様である。一般式(3)のW1および
2はそれぞれ同じでも異なっていても良く、互いに結
合して環状構造になっていても良い。一般式(3)のW
1およびW2は、好ましくは水素原子またはアルキル基ま
たはアリール基であり、特に好ましくは水素原子または
アルキル基である。
【0035】一般式(2)で表わされる化合物の具体例
として、例えば米国特許第3,874,946号明細
書、米国特許第4,756,999号明細書、米国特許
第5,340,712号明細書、米国特許第5,36
9,000号明細書、米国特許第5,464,737号
明細書、特開昭50−137126号公報、同50−8
9020号公報、同50−119624号公報、同59
−57234号公報、特開平7−2781号公報、同7
−5621号公報、同9−160164号公報、同10
−197988号公報、同9−244177号公報、同
9−244178号公報、同9−160167号公報、
同9−319022号公報、同9−258367号公
報、同9−265150号公報、同9−319022号
公報、同10−197989号公報、同11−2423
04号公報、特願平10−181459号明細書、同1
0−292864号明細書、同11−90095号明細
書、同11−89773号明細書、同11−20533
0号明細書等に記載される化合物が挙げられる。ただ
し、本発明で用いることができる化合物はこれらの具体
例に限定されるものではない。一般式(2)で表される
ポリハロゲン化合物の使用量は、高速熱現像感光材料1
2当たりの塗布量として、1×10-6〜1×10-2
ol/m2が好ましく、より好ましくは1×10-5〜5
×10-3mol/m2であり、さらに好ましくは2×1
-5〜1×10-3mol/m2である。
【0036】一般式(2)で表されるポリハロゲン化合
物は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成
層あるいはこの層側のどの層に添加してもよいが、画像
形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ま
しい。より好ましくは、画像形成層及びそれに隣接する
層に添加する。一般式(2)で表わされるポリハロゲン
化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコー
ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素
化アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、公知の乳化
分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフ
ォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエ
チルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散
法として知られている方法によって、粉末を水の中にボ
ールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マ
ントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音
波によって分散して用いることができる。
【0037】本発明の高速熱現像感光材料には、非感光
性銀塩を用いる。非感光性銀塩としては有機銀塩を使用
することが好ましい。本発明に用いることができる有機
銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光
触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の
存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀
画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀
イオン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の
銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜2
8の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が
4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機
または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ま
しくは画像形成層の約5〜70重量%を構成することが
できる。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有
する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的に
は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の
銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例として
は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オ
レイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン
酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒
石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これら
の混合物などを挙げることができる。
【0038】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75m
ol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン
酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが
さらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用す
る有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発
明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機
酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いるこ
とができる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩
等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させ
ることにより調製される。これらの調製方法について
は、特願平11−104187号明細書の段落番号[0
019]〜[0021]に記載の方法を用いることがで
きる。本発明においては、液体を混合するための密閉手
段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液
を添加することにより有機酸銀を調製する方法を好まし
く用いることができる。具体的には、特願平11−20
3413号明細書に記載されている方法を用いることが
できる。本発明においては有機酸銀の調製時に、硝酸銀
水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは反応
液には水に可溶な分散剤を添加することができる。ここ
で用いる分散剤の種類および使用量については、特願平
11−115457号明細書の段落番号[0052]に
具体例が記載されている。
【0039】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して重量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0040】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特願平11−104
187号明細書の段落番号[0024]に記載のものを
用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分
散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単
分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重
平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均
直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80
%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは
30%以下である。測定方法としては、例えば液中に分
散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆ
らぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることによ
り得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求める
ことができる。この測定法での平均粒子サイズとしては
0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ま
しい。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.
0μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0041】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特願平11−115457号明細書に記載
の方法を用いることができる。本発明では、高S/N
で、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散
物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、
かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に
変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ま
しい。これらの分散方法については特願平11−104
187号明細書の段落番号[0027]〜[0038]
に記載の方法を用いることができる。
【0042】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下で
ある。本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少
なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機銀塩と
水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩
の全体に占める割合は5〜50重量%であることが好ま
しく、特に10〜30重量%の範囲が好ましい。前述の
分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小
にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、
有機銀塩に対して0.5〜30重量%、特に1〜15重
量%の範囲が好ましい。本発明で用いる有機銀塩は所望
の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2
好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0043】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。本発明に
好ましく用いるCa、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの添加時期としては、該非感光性有機銀塩
の粒子形成後であって、粒子形成直後、分散前、分散後
および塗布液調製前後など塗布直前までであればいずれ
の時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後で
ある。本発明におけるCa、Mg、ZnおよびAgから
選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀
1molあたり10-3〜10-1molが好ましく、特に
5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0044】本発明の高速熱現像感光材料には、感光性
ハロゲン化銀を用いる。本発明に用いる感光性ハロゲン
化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、
塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いる
ことができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成につ
いては、特開平11−119374号公報の段落番号
[0217]〜[0224]に記載されている方法で粒
子形成することができるが、特にこの方法に限定される
ものではない。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方
体、八面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイ
モ状等を挙げることができるが、本発明においては特に
立方体状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のア
スペクト比、面指数など粒子形状の特徴については、特
開平11−119374号公報の段落番号[0225]
に記載されているものと同じである。また、ハロゲン組
成の分布はハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一
であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化した
ものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。
また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好
ましく用いることができる。構造としては好ましくは2
〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェ
ル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化
銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用い
ることができる。本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒
径分布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましく
は1〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで
単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百
分率(%)(変動係数)として定義されるものである。
なおハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の
場合は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、
平板状など)は投影面積円相当直径で算出する。
【0045】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または
金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VII
I族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは
ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジ
ウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh
(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrC
6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種
類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を2種以
上併用してもよい。好ましい含有率は銀1molに対し
1×10-9mol〜1×10-3molの範囲が好まし
く、1×10-8mol〜1×10-4molの範囲がより
好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−
225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用
いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関
しては、特開平11−119374号公報の段落番号
[0227]〜[0240]に記載されている。感光性
ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法
等、当業界で知られている水洗法により脱塩することが
できるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよ
い。本発明で用いる感光性ハロゲン化銀乳剤は化学増感
することが好ましい。化学増感については、特開平11
−119374号公報の段落番号[0242]〜[02
50]に記載されている方法を用いることが好ましい。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開E
P第293,917号公報に示される方法により、チオ
スルホン酸化合物を添加してもよい。
【0046】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。分散媒の濃度は0.05〜20重量%にすることが
できるが、取り扱い上5〜15重量%の濃度域が好まし
い。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処理ゼラチ
ンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、フタル化
ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
【0047】本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、一種だけを用いてもよいし、二種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン
化銀の使用量としては有機銀塩1molに対して感光性
ハロゲン化銀0.01mol〜0.5molが好まし
く、0.02mol〜0.3molがより好ましく、
0.03mol〜0.25molが特に好ましい。別々
に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法お
よび混合条件については、それぞれ調製を終了したハロ
ゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等
で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれ
かのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混
合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効
果が十分に得られる限り特に制限はない。また、混合す
る際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性
銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のため
に好ましい方法である。
【0048】本発明に用いることができる増感色素とし
ては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域
でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば、550nm〜750n
mの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10
−186572号公報の一般式(II)で表される色素が
挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II−
15、II−18、II−23、II−25の色素を好ましい
色素として例示することができる。また、750〜14
00nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開
平11−119374号公報の一般式(I)で表される
色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、(3
0)、(32)、(36)、(37)、(41)、(4
9)、(54)の色素を好ましい色素として例示するこ
とができる。さらに、J−bandを形成する色素とし
て、米国特許第5,510,236号明細書、同第3,
871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開
平2−96131号公報、特開昭59−48753号公
報に開示されている色素を好ましい色素として例示する
ことができる。これらの増感色素は単独で用いてもよ
く、2種以上組合せて用いてもよい。これら増感色素の
添加については、特開平11−119374号公報の段
落番号[0106]に記載されている方法で添加するこ
とができるが、特に、この方法に限定されるものではな
い。本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリ
の性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像
形成層のハロゲン化銀1mol当たり10-6〜1mol
が好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1molで
ある。
【0049】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開EP第587,338号
公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第
4,873,184号明細書に開示されている化合物、
複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香
族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリ
アジンから選択される化合物などが挙げられる。特に好
ましい強色増感剤は、特開平5−341432号公報に
開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香
族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号公報
の一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開
平10−111543号公報の一般式(I)で表される
スチルベン化合物、特開平11−109547号公報の
一般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特
開平5−341432号公報のM−1〜M−24の化合
物、特開平4−182639号公報のd−1)〜d−1
4)の化合物、特開平10−111543号公報のSS
−01〜SS−07の化合物、特開平11−10954
7号公報の31、32、37、38、41〜45、51
〜53の化合物である。これらの強色増感剤の添加量
は、画像形成層中にハロゲン化銀1mol当たり10-4
〜1molの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1mol当
たり0.001〜0.3molの範囲がより好ましい。
【0050】次に本発明に用いる造核剤について説明す
る。本発明で用いる造核剤の種類は特に限定されない
が、好ましい造核剤として、特願平11−87297号
明細書に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体
(具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジン
誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平10
−161270号公報、特開平10−62898号公
報、特開平9−304870号公報、特開平9−304
872号公報、特開平9−304871号公報、特開平
10−31282号公報、米国特許第5,496,69
5号明細書、欧州特許公開EP第741,320号公報
に記載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げることができ
る。また、特願平11−87297号明細書に記載の式
(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イ
ソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物、
さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)または式
(B)で表される環状化合物、具体的には同明細書の化
8〜化12に記載の化合物1〜72も用いることができ
る。さらに、これら造核剤を複数併用してもよい。
【0051】上記造核剤は、水または適当な有機溶媒、
例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパ
ノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用い
ることができる。また、既によく知られている乳化分散
法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフォス
フェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエチル
フタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、造核剤の粉末を水等の
適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超
音波によって分散して用いることもできる。造核剤は、
支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加しても
よいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加
することが好ましい。造核剤の添加量は銀1molに対
し1×10-6〜1molが好ましく、1×10-5〜5×
10-1molがより好ましく、2×10-5〜2×10-1
molが最も好ましい。
【0052】また上記の化合物の他に、米国特許第5,
545,515号明細書、同第5,635,339号明
細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5,686,22
8号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−1
19372号公報、特願平9−309813号明細書、
特開平11−119373号公報、特願平9−2825
64号明細書、特開平11−95365号公報、特開平
11−95366号公報、特願平9−332388号明
細書に記載の化合物を用いてもよい。
【0053】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができ
る。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に
記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロ
キサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特
許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニト
リル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第
5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297
368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−
1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14な
どを用いることができる。非感光性銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀およびバインダーを有する熱現像感光材料におい
て、蟻酸あるいは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本
発明では、高速熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を
含有する画像形成層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の
含有量が銀1mol当たり5mmol以下、さらには1
mmol以下であることが好ましい。
【0054】本発明の高速熱現像感光材料には五酸化二
リンが水和してできる酸またはその塩を造核剤と併用し
て用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリ
ン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四
リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げるこ
とができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸
(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができ
る。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オル
トリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明
において好ましく用いることができる五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発
現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接する
バインダー層に添加する。五酸化二リンが水和してでき
る酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗
布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量で
よいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5
〜100mg/m2がより好ましい。
【0055】本発明の高速熱現像感光材料は、一般式
(1)で表される還元剤の他に下記の様な還元剤を必要
により併用しても良い。また、還元剤は現像時のみ有効
に機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーで
あってもよい。併用しても良い還元剤としては、例え
ば、特開昭46−6074号公報、同47−1238号
公報、同47−33621号公報、同49−46427
号公報、同49−115540号公報、同50−143
34号公報、同50−36110号公報、同50−14
7711号公報、同51−32632号公報、同51−
1023721号公報、同51−32324号公報、同
51−51933号公報、同52−84727号公報、
同55−108654号公報、同56−146133号
公報、同57−82828号公報、同57−82829
号公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,6
79,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開EP第692,732号公報などに開示されている
還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミド
オキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェ
ノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;
例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキ
シメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとア
スコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリ
ールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒド
ロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンお
よび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノ
ンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピ
ペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メ
チルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒド
ロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸お
よびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム
酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例
えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼ
ンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シア
ノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シア
ノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチ
ル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−
1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1
−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフ
トール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシ
ベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノ
ンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピ
ラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソ
ースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソース
レダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソ
ースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6
−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールお
よびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスル
ホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−
1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert
−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;
2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,
4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジ
ン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−
3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−
ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);
アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アス
コルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびに
ベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケト
ン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3
−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などが
ある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマ
ノールである。本発明で還元剤を用いる場合、それは、
水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化
分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子
分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、
ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散
する際に分散助剤を用いてもよい。
【0056】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側
の層に銀1molあたり0.1〜50molの量含ませ
ることが好ましく、0.5〜20molの量含ませるこ
とがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に
機能するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであ
ってもよい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6077号公報、同47−10282号公
報、同49−5019号公報、同49−5020号公
報、同49−91215号公報、同49−91215号
公報、同50−2524号公報、同50−32927号
公報、同50−67132号公報、同50−67641
号公報、同50−114217号公報、同51−322
3号公報、同51−27923号公報、同52−147
88号公報、同52−99813号公報、同53−10
20号公報、同53−76020号公報、同54−15
6524号公報、同54−156525号公報、同61
−183642号公報、特開平4−56848号公報、
特公昭49−10727号公報、同54−20333号
公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第
3,446,648号明細書、同第3,782,941
号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,
510,236号明細書、英国特許第1,380,79
5号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書な
どに開示される色調剤を用いることができる。色調剤の
具体例としては、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフ
タルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、
ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン
−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよ
び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナ
フタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフ
タルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサ
ミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジ
ン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4
−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,
4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−
(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例え
ば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドお
よびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピ
ラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退
色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カ
ルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムト
リフルオロアセテート)および2−(トリブロモメチル
スルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル
−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)
−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサ
ゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体も
しくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノ
ン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタ
ラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジン
ジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4−
(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、
5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラ
ジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメ
チルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジンな
どの誘導体)もしくは金属塩;フタラジンおよびその誘
導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチル
フタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水
フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズ
オキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤
としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハ
ライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例え
ばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化
ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム
(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸
塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水
素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−
メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンお
よび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−
ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリ
ミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒ
ドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリ
ミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタ
レン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−
ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラ
アザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニ
ル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0057】本発明では色調剤として、特願平10−2
13487号明細書に記載の一般式(F)で表されるフ
タラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同明
細書に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる色
調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方
法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手
段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミ
ル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)
で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を
用いてもよい。
【0058】本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理
前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さら
に好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限
はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘
導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニ
アなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減
させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発
しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できる
ことから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜
面pHの測定方法は、特願平11−87297号明細書
の段落番号[0123]に記載されている。
【0059】本発明の高速熱現像感光材料において、ハ
ロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、かぶり防止
剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶ
りの生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における
感度の低下に対して安定化することができる。単独また
は組合せて使用することができる適当なかぶり防止剤、
安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,
038号明細書および同第2,694,716号明細書
に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,43
7号明細書および同第2,444,605号明細書に記
載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明
細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号
明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,6
52号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第6
23,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニ
トロインダゾール、米国特許第2,839,405号明
細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,83
9号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許
第2,566,263号明細書および同第2,597,
915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、
米国特許第4,108,665号明細書および同第4,
442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0060】本発明の高速熱現像感光材料は、高感度化
やかぶり防止を目的として安息香酸類を含有してもよ
い。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導
体でもよいが、好ましい例としては、米国特許第4,7
84,939号明細書、同第4,152,160号明細
書、特開平9−329863号公報、同9−32986
4号公報、同9−281637号公報などに記載の化合
物が挙げられる。安息香酸類は高速熱現像感光材料のい
かなる層に添加してもよいが、支持体に対して画像形成
層側の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に
添加することがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗
布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有
層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時の
いかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が
好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微
粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増
感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液
として添加してもよい。安息香酸類の添加量としてはい
かなる量でもよいが、銀1mol当たり1×10-6mo
l〜2molが好ましく、1×10-3mol〜0.5m
olがさらに好ましい。本発明を実施するために必須で
はないが、画像形成層にかぶり防止剤として水銀(II)
塩を加えることが有利なことがある。この目的のために
好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀であ
る。本発明に使用する水銀の添加量としては、塗布され
た銀1mol当たり好ましくは1×10-9mol〜1×
10-3mol、さらに好ましくは1×10-8mol〜1
×10-4molの範囲である。
【0061】本発明で特に好ましく用いられるかぶり防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−
119624号公報、同50−120328号公報、同
51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。特願平11−87297
号明細書に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲ
ン化物がかぶり防止剤として好ましく用いられる。具体
的には、同明細書に記載の(P−1)〜(P−118)
が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molA
g、より好ましくは5×10-5〜1mol/molA
g、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/
molAgである。これらは1種のみを用いても2種以
上を併用してもよい。
【0062】また、特願平11−87297号明細書に
記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。本発明に好ましく
用いられるかぶり防止剤として、ホルマリンスカベンジ
ャーが有効であり、例えば、特願平11−23995号
明細書に記載の式(S)で表される化合物およびその例
示化合物(S−1)〜(S−24)が挙げられる。
【0063】本発明に用いるかぶり防止剤は、水あるい
は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、既によく知
られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、
トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテー
トあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチ
ルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライ
ンダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザ
ーあるいは超音波によって分散し用いることもできる。
【0064】本発明に用いるかぶり防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0065】本発明の高速熱現像感光材料には現像を抑
制あるいは促進させ現像を制御することや、現像前後の
保存性を向上させることなどを目的としてメルカプト化
合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させる
ことができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0m
olの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mo
l当たり0.001〜0.3molの量である。
【0066】本発明の高速熱現像感光材料は、支持体上
に、有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む
画像形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の
保護層が設けられていることが好ましい。また、本発明
の高速熱現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反
対側(バック面)に少なくとも1層のバック層を有する
ことが好ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層
のバインダーとしてポリマーラテックスが用いられる。
これらの層にポリマーラテックスを用いることによっ
て、水を主成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布
が可能になり、環境面、コスト面で有利になるととも
に、熱現像時にシワの発生がない高速熱現像感光材料が
得られるようになる。また、所定の熱処理をした支持体
を使用することにより、熱現像の前後で寸法変化の少な
い高速熱現像感光材料が得られる。
【0067】本発明で用いるバインダーとして以下に述
べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明の高速熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有す
る画像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリ
マーラテックスを全バインダーの50重量%以上用いた
画像形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテ
ックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に
用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本
発明の高速熱現像感光材料を用いる場合には、保護層や
バック層にもポリマーラテックスを用いることが好まし
い。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不
溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒
中に分散されたものである。分散状態としてはポリマー
が分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたも
の、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に
部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散さ
れたものなどいずれでもよい。なお本発明で用いるポリ
マーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥
田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」などに記載されてい
る。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好
ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散
粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分
布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよ
い。
【0068】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。本発明で用いるバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バ
ック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像
形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促す
ため、−30〜40℃であることが好ましい。保護層や
バック層に用いる場合には種々の機器と接触するために
25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。本発明で用
いるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−
30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好
ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助
剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリ
マーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物
(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの
化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
に記載されている。
【0069】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0070】本発明の高速熱現像感光材料の画像形成層
のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具
体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレ
ート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメ
タクリレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラ
テックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリ
マーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチル
ヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コ
ポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニ
ルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メ
チルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート
/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クスなどが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタ
クリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=3
3.5/50/16.5(重量%)のコポリマーラテッ
クス、メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸
=47.5/47.5/5(重量%)のコポリマーラテ
ックス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5
(重量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。
また、このようなポリマーは市販もされていて、例えば
アクリル樹脂の例として、セビアンA−4635,46
583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、
Nipol LX811、814、821、820、8
57(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R
3340、R3360、R3370、4280(以上大
日本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂とし
ては、FINETEX ES650、611、675、
850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−si
ze、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポ
リウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、2
0、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)な
ど、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、
3307B、4700H、7132C(以上大日本イン
キ化学(株)製)、Nipol LX410、430,
435、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩
化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼ
オン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL5
02、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD
7020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。画像形成層には全バインダーの50重量%以上とし
て上記ポリマーラテックスが好ましく用いられるが、7
0重量%以上として上記ポリマーラテックスが用いられ
ることがさらに好ましい。
【0071】画像形成層には必要に応じて全バインダー
の50重量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全
バインダーの30重量%以下、さらには15重量%以下
が好ましい。
【0072】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のよ
うなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホル
ムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルム
アミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=90/5/5。(ただし数字は重量%を表
す。)画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/
2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好まし
い。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良の
ための界面活性剤などを添加してもよい。さらに、保護
層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細
書の段落番号[0025]〜[0029]に記載の有機
概念図に基づく無機性値を有機性値で割ったI/O値の
異なるポリマーラテックスの組み合わせを好ましく用い
ることができる。
【0073】本発明においては必要に応じて、特願平1
1−143058号明細書の段落番号[0021]〜
[0025]に記載の可塑剤(例、ベンジルアルコー
ル、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3
−モノイソブチレートなど)を添加して、造膜温度をコ
ントロールすることができる。また、特願平11−68
72号明細書の段落番号[0027]〜[0028]に
記載の如くポリマーバインダー中に親水性ポリマーを、
塗布液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよい。それ
ぞれの層には、特願平10−199626号明細書の段
落番号[0023]〜[0041]に記載の官能基を導
入した第一のポリマーラテックスとこの第一のポリマー
ラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤および/
または第二のポリマーラテックスを用いることもでき
る。上記の官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロール
基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキシ
化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネー
ト化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カル
ボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合
物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれ
る。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物とし
てヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB4
0−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分
散型ポリイソシアネート;アミノ化合物としてスミテッ
クスレジンM−3(住友化学工業(株)製);エポキシ
化合物としてデナコールEX−614B(ナガセ化成工
業(株)製);ハロゲン化合物として2,4ジクロロ−
6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムな
どが挙げられる。
【0074】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は0.2〜1
0.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2
の範囲が好ましい。バック層用の全バインダー量は0.
01〜10.0g/m2、より好ましくは0.05〜
5.0g/m2の範囲が好ましい。これらの各層は、2
層以上設けられる場合がある。画像形成層が2層以上で
ある場合は、すべての層のバインダーとしてポリマーラ
テックスを用いることが好ましい。また、保護層は画像
形成層上に設けられる層であり2層以上存在する場合も
あるが、少なくとも1層、特に最外層の保護層にポリマ
ーラテックスが用いられることが好ましい。また、バッ
ク層は支持体バック面の下塗り層の上部に設けられる層
であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層のバック層にポリマーラテックスを用い
ることが好ましい。
【0075】本発明の高速熱現像感光材料には、滑り剤
を用いてもよい。滑り剤とは、物体表面に存在させた時
に、存在させない場合に比べて物体表面の摩擦係数を減
少させる化合物を意味する。その種類は特に制限されな
い。本発明に用いる滑り剤としては、特開平11−84
573号公報の段落番号[0061]〜[0064]、
特願平11−106881号明細書の段落番号[004
9]〜[0062]に記載の化合物を挙げることができ
る。好ましい滑り剤の具体例としては、セロゾール52
4(主成分カルナバワックス)、ポリロンA,393,
H−481(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミク
ロンG−110(主成分エチレンビスステアリン酸アマ
イド)、ハイミクロンG−270(主成分ステアリン酸
アマイド)(以上、中京油脂(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50重量%であり、好ましくは0.5〜
30重量%である。
【0076】本発明において、特願平10−34656
1号明細書、特願平11−106881号明細書に記載
のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処
理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、
その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現
像処理装置を用いる場合、現像処理温度における高速熱
現像感光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバッ
ク面の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であ
り、その上限に特に制限はないが30程度である。ま
た、μbは1.0以下、好ましくは0.05〜0.8で
ある。この値は、下記の式によって求められる。 摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を
有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部
材とバック面との動摩擦係数(μb) 本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と
画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表
面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添
加量を変えることにより調整することができる。
【0077】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特願平10−221039号明細書の段落番号[002
0]〜[0037]、特願平11−106881号明細
書の段落番号[0063]〜[0080]に記載の塩化
ビニリデン単量体の繰り返し単位を70重量%以上含有
する塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り層を設けるこ
とが好ましい。
【0078】塩化ビニリデン単量体が70重量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、重量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0079】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。なお、下
塗り層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に
直接設層される下塗り層第1層として設けることが好ま
しく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合に
よっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成と
するときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明
の範囲となるようにすればよい。このような層には塩化
ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含
有させてもよい。支持体は必要に応じて塩化ビニリデン
共重合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等
をバインダーとする下塗り層を塗布してもよい。これら
の下塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対し
て片面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1
層当たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは
0.05〜1μmである。
【0080】本発明の高速熱現像感光材料には、種々の
支持体を用いることができる。典型的な支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロー
スエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチッ
クポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレ
ンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二
軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレ
ート(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点
から好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース
厚みで90〜180μmであることが好ましい。本発明
の高速熱現像感光材料に用いる支持体としては、特開平
10−48772号公報、特開平10−10676号公
報、特開平10−10677号公報、特開平11−65
025号公報、特願平9−308898号明細書に記載
の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和さ
せ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすため
に、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリ
エステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく
用いられる。このような熱処理後における支持体の12
0℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が
−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜
0.04%であることが好ましい。
【0081】本発明の高速熱現像感光材料には、ゴミ付
着の減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程で
の搬送不良防止などの目的で、特開平11−84573
号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の
導電性金属酸化物および/またはフッ素系界面活性剤を
用いて帯電防止することができる。導電性金属酸化物と
しては、米国特許第5,575,957号明細書、特願
平10−041302号明細書の段落番号[0012]
〜[0020]に記載のアンチモンでドーピングされた
針状導電性酸化錫、特開平4−29134号公報に記載
のアンチモンでドーピングされた繊維状酸化錫が好まし
く用いられる。金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵
抗率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω
以下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好
な帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限
は特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0082】本発明の高速熱現像感光材料の画像形成層
を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも
一方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以
下であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。
本発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JI
S)P8119「紙および板紙のベック試験器による平
滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により
容易に求めることができる。高速熱現像感光材料の画像
形成層を有する面の最外層およびその反対面の最外層の
ベック平滑度は、特開平11−84573号公報の段落
番号[0052]〜[0059]に記載の如く、前記両
面の層に含有させるマット剤の粒径および添加量を適宜
変化させることによってコントロールすることができ
る。
【0083】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルファン酸またはその共重合体、ポリ
アクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその
共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエス
テル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸
またはその共重合体など)などである。
【0084】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
これらでも特に好ましい増粘剤としては、ゼラチン、デ
キストラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリスチレンスルホン酸またはその共重合体、ポリアク
リル酸またはその共重合体、マレイン酸モノエステル共
重合体などである。これらの化合物は、「新・水溶性ポ
リマーの応用と市場」(株式会社シーエムシー発行、長
友新治編集、1988年11月4日発行)に詳細に記載
されている。
【0085】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30重量%、よ
り好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは
0.1〜10重量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa
・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・s
である。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定し
た値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に
増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望まし
い。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0086】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。好ましいノニオン系界面活性
剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレ
ン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタン
をノニオン性親水性基とする界面活性剤を挙げることが
でき、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコー
ル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエ
チレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン
脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0087】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。カチオン系界面活性剤としてはアミ
ン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げる
ことができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニ
ウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキル
ベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アル
キルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0088】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。これらの
界面活性剤は、「界面活性剤の応用」(幸書房、刈米孝
夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されている。本
発明においては、好ましい界面活性剤はその使用量にお
いて特に限定されず、目的とする界面活性特性が得られ
る量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤の塗布
量は、1m2当り0.01mg〜250mgが好まし
い。
【0089】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、‐C64‐はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2 :C9H19‐C6H4‐(OCH2CH2)12OH WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステルナトリウム塩 WA−8 :C8H17‐C6H4‐(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N+(CH3)2‐CH2COO- WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N+(CH3)3
‐CH3‐C6H4‐SO3 - WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N+(CH3)2‐CH
2COO- 本発明の好ましい態様においては、画像形成層および保
護層に加えて、必要に応じて中間層を設けてもよい。生
産性の向上などを目的として、これらの複数の層は水系
において同時重層塗布することが好ましい。塗布方式は
エクストルージョン塗布、スライドビード塗布、カーテ
ン塗布などがあるが、特願平10−292849号明細
書の図1に示されるスライドビード塗布方式が特に好ま
しい。
【0090】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0091】本発明における好ましい乾燥方式は、特願
平10−292849号明細書に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度は0〜70°の間にあればよい。また、本発明にお
ける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に
対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬
送を意味するものではない。本発明における恒率乾燥と
は、液膜温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に
使用される乾燥過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末
期になると種々の要因(水分移動の材料内部拡散が律速
になる、蒸発表面の後退など)により乾燥速度が低下
し、与えられた熱が液膜温度上昇にも使用される乾燥過
程を意味する。恒率過程から減率過程に移行する限界含
水率は200〜300%である。恒率乾燥が終了する時
には、流動が停止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲ
ン化銀写真感光材料の様な乾燥方式も採用することがで
きるが、本発明においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点
まで水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好ましい。
【0092】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。恒率乾
燥時の液膜表面温度が低くなる条件で乾燥した場合、乾
燥が不十分になりやすい。このため特に保護層の造膜性
が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じやすくなる。ま
た、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像機での搬送中に
傷がつきやすくなるなどの重大な問題が生じやすくな
る。一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥した場合
は、主としてポリマーラテックスから構成される保護層
は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像形成層な
どの下層は流動性が停止していないので、表面に凹凸が
発生しやすくなる。また、支持体(ベース)にTgより
も高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安定性、耐
巻き癖性も悪くなる傾向にある。
【0093】下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐
次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に
上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を
行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と
保護層の塗布液とのpH差が2.5以下であることが好
ましく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH
差が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやす
くなり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障
が発生しやすくなる。画像形成層の塗布液粘度は25℃
で15〜100mPa・sが好ましく、さらに好ましく
は30〜70mPa・sである。一方、保護層の塗布液
粘度は25℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに
好ましくは20〜50mPa・sである。これらの粘度
はB型粘度計によって測定される。乾燥後の巻取りは温
度20〜30℃、相対湿度45±20%の条件下で行う
ことが好ましく、巻き姿はその後の加工形態に合わせ画
像形成層側の面を外側にしてもよいし、内側にしてもよ
い。また、加工形態がロール品の場合は巻き姿で発生し
たカールを除去するために加工時に巻き姿とは反対側に
巻いたロール形態にすることも好ましい。なお、感光材
料の相対湿度は20〜55%(25℃測定)の範囲で制
御されることが好ましい。
【0094】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。本発明に
おいて塗布液の脱泡は、塗布液を塗布される前に減圧脱
気し、さらに1.5kg/cm2以上の加圧状態に保
ち、かつ気液界面が生じないようにして連続的に送液し
ながら超音波振動を与える方式が好ましい。具体的に
は、特公昭55−6405号公報(4頁20行〜7頁1
1行)に記載されている方式が好ましい。このような脱
泡を行う装置として、特願平10−290003号明細
書の実施例と図3に示される装置を好ましく用いること
ができる。
【0095】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0096】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号[0204]〜[0208]、
特願平11−106881号明細書の段落番号[024
0]〜[0241]に記載の如くハレーション防止など
の目的で、染料を含有させることができる。画像形成層
には色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染
料や顔料を用いることができる。画像形成層に用いる染
料および顔料はいかなるものでもよいが、例えば特開平
11−119374号公報の段落番号[0297]に記
載されている化合物を用いることができる。これらの染
料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散
物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法で
もよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によっ
て決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g〜
1gの範囲で用いることが好ましい。本発明でハレーシ
ョン防止染料を使用する場合、該染料は所望の範囲で目
的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少な
く、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が
得られればいかなる化合物でもよい。例えば特開平11
−119374号公報の段落番号[0300]に記載さ
れている化合物を用いることができる。また、ベルギー
特許第733,706号明細書に記載されるように染料
による濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭
54−17833号公報に記載されるように光照射によ
る消色で濃度を低下させる方法等を用いることもでき
る。
【0097】本発明の高速熱現像感光材料が熱現像後に
おいて、PS版により刷版を作製する際にマスクとして
用いられる場合、熱現像後の高速熱現像感光材料は、製
版機においてPS版に対する露光条件を設定するための
情報や、マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条
件を設定するための情報を画像情報として担持してい
る。従って、前記のイラジエーション染料、ハレーショ
ン染料、フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを
読み取るために制限される。これら情報はLEDあるい
はレーザーによって読み取られるため、センサーの波長
域のDmin(最低濃度)が低い必要があり吸光度が
0.3以下である必要がある。例えば、富士写真フイル
ム(株)社製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のた
めの検出器およびバーコードリーダーとして670nm
の波長の光源を使用している。また、清水製作社製、製
版機APMLシリーズのバーコードリーダーとして67
0nmの光源を使用している。すなわち670nm付近
のDmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情
報が正確に検出できず搬送不良、露光不良など製版機で
作業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情
報を読み取るためには670nm付近のDminが低い
必要があり、熱現像後の660〜680nmの吸光度が
0.3以下である必要がある。より好ましくは0.25
以下である。その下限に特に制限はないが、通常は0.
10程度である。
【0098】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。本発明における露光は光
源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバ
ーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいこと
をいう。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強
度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副
走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現す
ることができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が
0.2以上であることが好ましい。
【0099】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。本発明の高速熱現像感光材料は
露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にあ
る。この干渉縞の発生防止技術としては、特開平5−1
13548号公報などに開示されているレーザー光を感
光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO
95/31754号公報などに開示されているマルチモ
ードレーザーを利用する方法が知られており、これらの
技術を用いることが好ましい。
【0100】本発明に用いる画像形成方法の加熱現像工
程はいかなる方法であってもよいが、通常イメージワイ
ズに露光した高速熱現像感光材料を昇温して現像され
る。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、高速
熱現像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの
熱源に接触させるタイプとして特公平5−56499号
公報、特開平9−292695号公報、特開平9−29
7385号公報および国際公開WO95/30934号
に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−
13294号公報、国際公開WO97/28489号公
報、同97/28488号公報および同97/2848
7号公報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様と
しては非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度と
しては80〜250℃であり、さらに好ましくは100
〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好
ましく、5〜90秒がさらに好ましい。ラインスピード
は140〜1000cm/分に設定する。
【0101】熱現像時における高速熱現像感光材料の寸
法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃〜
115℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以
上加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形
成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用するこ
とが有効である。本発明の高速熱現像感光材料を熱現像
処理するとき、110℃以上の高温にさらされるため、
該材料中に含まれている成分の一部、あるいは熱現像に
よる分解成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分
は現像ムラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐
食させたり、温度の低い場所で析出し異物として画面の
変形を引起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の
悪い影響があることが知られている。これらの影響を除
くための方法として、熱現像機にフィルターを設置し、
また熱現像機内の空気の流れを最適に調整することが知
られている。これらの方法は有効に組み合わせて利用す
ることができる。国際公開WO95/30933号公
報、同97/21150号公報、特表平10−5004
96号公報には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する
第一の開口部と排出する第二の開口部とを有するフィル
ターカートリッジを、フィルムと接触して加熱する加熱
装置に用いることが記載されている。また、国際公開W
O96/12213号公報、特表平10−507403
号公報には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子
フィルターを組み合わせたフィルターを用いることが記
載されている。本発明ではこれらを好ましく用いること
ができる。また、米国特許第4,518,845号明細
書、特公平3−54331号公報には、フィルムからの
蒸気を除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加
圧装置と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載
されている。また、国際公開WO98/27458号に
は、フィルムから揮発するかぶりを増加させる成分をフ
ィルム表面から取り除くことが記載されている。これら
についても本発明では好ましく用いることができる。
【0102】本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理
に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は
熱現像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機
は高速熱現像感光材料10を平面状に矯正および予備加
熱しながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部
ローラーはシリコンゴムローラーで、下部ローラーがア
ルミ製のヒートローラー)と熱現像後の高速熱現像感光
材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬
出ローラー対12を有する。高速熱現像感光材料10は
搬入ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送さ
れる間に熱現像される。この熱現像中の高速熱現像感光
材料10を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が
接触する側に複数のローラー13が設置され、その反対
側のバック面が接触する側には不織布(例えば芳香族ポ
リアミドやテフロンから成る)等が貼り合わされた平滑
面14が設置される。高速熱現像感光材料10は画像形
成層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動に
より、バック面を平滑面14の上に滑らせながら搬送さ
れる。ローラー13の上部および平滑面14の下部に
は、高速熱現像感光材料10の両面から加熱されるよう
に加熱ヒーター15が設置される。この場合の加熱手段
としては板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と
平滑面14とのクリアランスは平滑面の部材により異な
るが、高速熱現像感光材料10が搬送できるクリアラン
スに適宜調整される。好ましくは0〜1mmである。ロ
ーラー13の表面の材質および平滑面14の部材は、高
温耐久性があり、高速熱現像感光材料10の搬送に支障
がなければ何でもよいが、ローラー表面の材質はシリコ
ンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドまたはテフロ
ン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱手段として
は複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度を自由に設
定することが好ましい。
【0103】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像
加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予
備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜3
0℃程度低く)、高速熱現像感光材料10中の水分量を
蒸発させるのに十分な温度および時間に設定することが
望ましく、高速熱現像感光材料10の支持体のガラス転
移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないよ
うに設定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理
部の温度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには
±0.5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下
流にはガイド板16が設置され、搬出ローラー対12と
ガイド板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド
板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、高速熱現像感
光材料10に変形が起こらないようにするために冷却は
徐々に行うのが好ましく、冷却速度としては、0.5〜
10℃/秒が好ましい。
【0104】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0105】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更するこ
とができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具
体例に制限されるものではない。
【0106】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ
処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm
以下)11gおよび臭化カリウム30mg、4−メチル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温度
40℃にてpHを6.5に合わせた後、硝酸銀18.6
gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1mol/
L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6mol
/L及びK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含む水
溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジ
ェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸
銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを
1mol/L及びK3IrCl6を2×10-5mol/L
で含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコ
ントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添
加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理を
し、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン(カル
シウム含有量として20ppm以下)51.1g加え、
pH5.9、pAg8.0に調製した。得られた粒子は
平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、
(100)面比率90%の立方体粒子であった。こうし
て得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1mol
当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μmol
を添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71μmolを
添加した後、100分間熟成し、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを5×1
-4mol、化合物Aを0.17g加えた後、40℃に
降温させた。その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化
銀1molに対して4.7×10-2molの臭化カリウ
ム(水溶液として添加)、12.8×10-4molの増
感色素A(エタノール溶液として添加)、6.4×10
-3molの化合物B(メタノール溶液として添加)を攪
拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲ
ン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0107】
【化11】
【0108】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸
(ヘンケル社製、製品名EdenorC22−85R)
87.6kg、蒸留水423リットル、5mol/Lの
NaOH水溶液49.2リットル、tert−ブチルア
ルコール120リットルを混合し、75℃にて1時間攪
拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、
硝酸銀40.4kgの水溶液206.2リットルを用意
し、10℃にて保温した。635リットルの蒸留水と3
0リットルのtert−ブチルアルコールを入れた反応
容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナト
リウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそ
れぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この時、
硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液の
みが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム
溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒
間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにし
た。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度
が上がらないようにコントロールした。また、ベヘン酸
ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチームトレースに
より保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃に
なるようにスチーム量をコントロールした。また、硝酸
銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環
させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の
添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心とし
て対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高
さに調節した。ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、
そのままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水
の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうし
て得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキと
して保管した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子
顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径0.
52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の
変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0109】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:
マイクロフルイダイザーM−110S−EH、マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物Aを得た。冷却操作は蛇管式熱交換器を
インタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒
の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。こ
うして得たベヘン酸銀分散物Aに含まれるベヘン酸銀粒
子は体積加重平均直径0.52μm、変動係数15%の
粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern
Instruments Ltd.製MasterSi
zerXにて行った。また電子顕微鏡撮影により評価す
ると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚み0.14μ
m、平均アスペクト比(粒子の投影面積の円相当径と粒
子厚みの比)が5.1であった。
【0110】《還元剤化合物−Aの固体微粒子分散物の
調製》還元剤化合物A[1,1−ビス(2−ヒドロキシ
−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチ
ルヘキサン]10kgと変性ポリビニルアルコール(ク
ラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶
液10kgに、サーフィノール104E(日信化学
(株)製)400gと、メタノール640g、水16k
gを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラ
リーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5m
mのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UV
M−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散
したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと
水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整
し、還元剤の固体微粒子分散物を得た。こうして得た分
散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.44μm、
最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数19
%であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプ
ロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を
除去して収納した。
【0111】《一般式(1)の還元剤固体微粒子分散物
の調製》上記還元剤の固体微粒子分散物の調製方法の還
元剤を一般式(1)の還元剤(種類は表1に記載される
とおり)と同重量で入れ替えた他は、上記還元剤の固体
微粒子分散物の調製方法と同様にして調製した。
【0112】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639g
と、サーフィノール104E(日信化学(株)製)40
0gと、メタノール640gと水16kgを添加して、
良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフ
ラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメ
ックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて有
機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%になるよう
に調整し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子分散
物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロ
ゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径
2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。
【0113】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質
量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213gと、
水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径
0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2.
5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃度が
20質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン化合
物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に
含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.
38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変
動係数20%であった。得られた分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0114】《有機ポリハロゲン化合物Cの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物C[N−ブチル
−3−トリブトモメタンスルホニルベンズアミド]10
kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質
量%水溶液400gと、水13kgを添加して、良く混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて7時間分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩4.0gと水を加えての有機ポリハ
ロゲン化合物Cの濃度が25質量%になるように調整
し、有機ポリハロゲン化合物Cの固体微粒子分散物を得
た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径2.0
μm以下、平均粒子径の変動係数20%であった。得ら
れた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィル
ターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。上記の他に下記のポリハロゲン化合物D、化合物
E、化合物Fを有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製方法と同様(有機ポリハロゲン化合物Aと
等重量で入れ替えた)にして調製した。
【0115】
【化12】
【0116】《有機ポリハロゲン化合物G水溶液の調
製》室温で攪拌しながら、水81.8ml、トリプロピ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液8.
6g、オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物0.3
4g、水酸化カリウムの1mol/L水溶液9.7ml
を順次添加し、添加完了後5分間攪拌混合した。さら
に、攪拌しながら有機ポリハロゲン化合物G(3−トリ
ブロモメタンスルフォニルベンゾイルアミノ酢酸)4.
0gの粉末を添加し、溶液が透明になるまで均一に溶解
させて水溶液100mlを得た。得られた水溶液は、2
00メッシュのポリエステル製スクリーンにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0117】《化合物Zの乳化分散物の調製》化合物Z
を85質量%含有する三光(株)製R−054を10k
gとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換し
て80℃1時間溶解した。この液に水25.52kgと
クラレ(株)製MPポリマーのMP−203の20質量
%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44kg
を添加して、20〜40℃、3600rpmで60分間
乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール104
E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94k
gを添加して減圧蒸留しMIBKを除去したのち、化合
物Zの濃度が10質量%になるように調整した。こうし
て得た分散物に含まれる化合物Zの粒子はメジアン径
0.19μm、最大粒子径1.5μm以下、粒子径の変
動係数17%であった。得られた分散物は、孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0118】《6−イソプロピルフタラジン化合物の分
散液の調製》室温で水62.35gを攪拌しながら変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)2.0gが塊状にならない様に添加し10分間
攪拌混合した。その後加熱し、内温が65℃になるまで
昇温した後、90分間攪拌し均一に溶解させた。内温を
40℃以下に降温し、ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−217)の10%水溶液25.5
g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの2
0%水溶液3.0g、6−イソプロピルフタラジン(7
0%水溶液)7.15gを添加し、30分攪拌し透明分
散液100gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0119】《造核剤Yの固体微粒子分散物の調製》造
核剤Y4kgに対してクラレ(株)製ポバールPVA−
217を1kgと水36kgとを添加して良く混合して
スラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで
送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填
した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)
製)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノ
ンナトリウム塩4gと水を加えて造核剤濃度が10質量
%になるように調製し、造核剤の固体微粒子分散物を得
た。こうして得た分散物に含まれる造核剤の粒子はメジ
アン径0.34μm、最大粒子径3.0μm以下、粒子
径の変動係数19%であった。得られた分散物は、孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0120】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加し
て、水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減
圧脱気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液
のpHは7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50m
Pa・sであった。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製; SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 還元剤:化合物−Aまたは一般式(1)の化合物(表1に記載の種類と量) 有機ポリハロゲン化合物 (表1に記載の種類と量) ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 17g 化合物Z 固形分として 9.7g 造核剤Y 15.3g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.15になる塗布量(目安として0.19g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm(塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0121】
【化13】
【0122】《下層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物
Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合
物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有させ
塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子経1
16nm)943gに水を加え、化合物E1.62g、
有機ポリハロゲン化合物(表1に記載の種類と量)、マ
ット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径
の変動係数8%)1.58gおよびポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製,PVA−235)29.4gを加
え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を2質量
%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47
atmで60分間行った。塗布液のpHは5.4、粘度
は25℃で45mPa・sであった。
【0123】《上層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物
Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合
物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子
経72nm)649gに水を加え、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液6.30g、
化合物C0.23g、化合物E0.93g、化合物F
7.95g、化合物H1.8g、マット剤(ポリスチレ
ン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)
1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA−235)12.1gを加え、さらに水を加
えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含有)を調
製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60
分間行った。塗布液のpHは2.8、粘度は25℃で3
0mPa・sであった。
【0124】
【化14】
【0125】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フイルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0126】(2)下塗り層及びバック層の作成 (2−1)下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0127】(2−2)下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物‐Bc−A 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 25g エマレックス710(日本エマルジョン(株)製) 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0128】(2−3)バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物‐Bc−A 0.02g 染料−Bc−A (783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) FS−10D(SbドープSnO2の針状粒子の水分散物、 石原産業(株)製) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0129】(2−4)バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0130】(2−5)バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、185℃で30秒乾燥した。
【0131】(2−6)バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート (10%水分散物、平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0132】
【化15】
【0133】ラテックス−A: コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタ
イプのラテックスコア部 塩化ビニリデン/メチルアク
リレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/
アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチ
ルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=8
8/3/3/3/3(質量%) 質量平均分子量38000 ラテックス−B:メチルメタクリレート/スチレン/2
−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1
(質量%)の共重合体
【0134】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 上で作製したバック/下塗り層のついたPET支持体を
160℃設定した全長200m熱処理ゾーンに入れ、張
力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0135】《熱現像感光材料の作製》前記下塗り第一
層と下塗り第二層を塗布した側のPET支持体下塗り層
の上に、特願平10−292849号明細書中の図1で
開示されているスライドビート塗布方式を用いて、前記
の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になるよ
うに塗布した。さらにその上に、前記下層保護層塗布液
をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/m
2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布し
た。その後でその上に前記上層保護層塗布液をポリマー
ラテックスの固形分塗布量が3.11g/m2になるよ
うに塗布し、熱現像感光材料を作製した。塗布時の乾燥
は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70〜75℃、露
点8〜25℃、液膜表面温度35〜40℃の範囲で、水
平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支持体が1.5
°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温度25
±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行われ、巻き
姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わ
せ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感光材料
の包袋内湿度は相対湿度20〜40%(25℃測定)
で、得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは
5.0、ベック平滑度は850秒であり、反対側の膜面
pHは5.9、ベック平滑度は560秒であった。
【0136】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラー回転数、露光時間は表8に示したよ
うに露光を実施した。この時のオーバーラップ係数0.
449にした。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を図1に示し
た熱現像機を用いて、熱現像処理を行った。熱現像処理
部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面はテフロ
ン(登録商標)不織布にして、搬送のラインスピードは
表8に示しているが、例えば、150cm/分の場合は
予備加熱部12.2秒(予備加熱部と熱現像処理部の駆
動系は独立しており、熱現像部との速度差は−0.5%
〜−1%に設定、各予熱部の金属ローラーの温度設定、
時間は第1ローラー温度67℃、2.0秒、第2ローラ
ー温度82℃、2.0秒、第3ローラー温度98℃、
2.0秒、第4ローラー温度温度107℃、2.0秒、
第5ローラー温度115℃、2.0秒、第6ローラー温
度120℃、2.0秒にした)、熱現像処理部120℃
(熱現像感光材料面温度)で17.2秒、徐冷部13.
6秒で熱現像処理を行うことになる。ここでの処理時間
はラインスピードに応じて変化する。なお、幅方向の温
度精度は±0.5℃であった。各ローラー温度の設定は
熱現像感光材料の幅(例えば幅61cm)よりも両側そ
れぞれ5cm長くして、その部分にも温度をかけて、温
度精度が出るようにした。なお、各ローラーの両端部分
は温度低下が激しいので、熱現像感光材料の幅よりも5
cm長くした部分はローラー中央部よりも1〜3℃温度
が高くなるように設定し、熱現像感光材料(例えば幅6
1cmの中で)の画像濃度が均質な仕上がりになるよう
に留意した。 (写真性能の評価)得られた画像の評価をマクベスTD
904濃度計(可視濃度)により行った。測定の結果
は、Dmin(カブリ)、Dmax(最高濃度)および
感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光量の比
の逆数の相対感度(ΔlogE)で評価し、表1に記載
の試料No.1の感度を基準とした相対感度(数値が大
きいほど感度が高いことを意味する)で示した。また、
線幅感度の露光量依存性については、標準露光の2倍の
露光量での線幅の変化で評価した。 (保存後性能の評価)上記で作成した感光材料を25℃
40%の条件下で3時間放置した後に熱現像感光材料の
画像形成層側とバック側を重ねあわせ密封し、40℃で
7日間保存した後、上記の熱現像処理と同様に現像処理
した。その後、写真性能評価を上記と同様に行った。各
熱現像感光材料について上記評価を実施した結果を表1
に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】表1より、比較例の試料No.1、3及び
5〜8では線幅変動が大きく、試料No.5〜8では保
存前及び保存後のDminが高い。また、試料No.
2、4及び9では感度が低く、Dmaxも低くなってい
る。本発明の試料No.10〜28では、感度低下な
く、十分なDmaxを保ち、かつ、線幅変動を小さく抑
えられる。中でも試料No.13〜28では、線幅変動
を非常に小さく抑えられより好ましい性能が得られてい
る。以上の結果から本発明の効果は明らかである。
【0140】<実施例2> 《熱現像感光材料の作製》実施例1の画像形成層塗布液
および下層保護層塗布液を実施例1と同様にして同時重
層塗布した。その後で、その上に下記の2種類の保護層
塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が、中間層
保護層が1.97g/m2、最上層保護層が1.07g
/m2になるように中間層保護層塗布液と最上層保護層
塗布液を同時重層塗布し、熱現像感光材料を作製した。
【0141】《中間層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子
経72nm)625gに水を加え、化合物C0.23
g、化合物E0.13g、化合物F12.1g、化合物
H2.75gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)11.5gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を0.5質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは2.6、粘度は2
5℃で50mPa・sであった。
【0142】《最上層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子経
116nm)649gに水を加え、化合物C0.23
g、化合物E1.85g、化合物G1.0g、カルナヴ
ァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール524:シ
リコーン含有量として5ppm未満)30質量%溶液1
8.4g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μ
m、平均粒径の変動係数8%)3.45gおよびポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−235)2
6.5gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール
溶媒を3質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を
圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは
5.2、粘度は25℃で24mPa・sであった。得ら
れた各熱現像材料に対して実施例1と同様の評価を実施
した結果、実施例1の結果を再現し、本発明の熱現像感
光材料をラインスピード140cm/分以上で処理した
とき、カブリ(Dmin)が低く十分な画像濃度(Dm
ax)を維持したまま、線幅変動が小さく保存後性能も
良好であった。
【0143】<実施例3>実施例1で使用したサンプル
の露光を円筒外面方式マルチチャンネル(50mW半導
体レーザーヘッド30機搭載)で行い、実施例1と同様
に熱現像したところ本発明のサンプルは、カブリ(Dm
in)が低く十分な画像濃度(Dmax)を維持したま
ま、線幅変動が小さく保存後性能も良好であった。
【0144】
【発明の効果】本発明によれば、被りが低く、最高濃度
が高く、露光条件の変動による線幅変動が小さく、ま
た、長期保存性に優れた写真製版用途に最適な写真特性
を有する高速熱現像感光材料が提供される。また、本発
明の高速熱現像感光材料は、環境面、コスト面で有利な
水系塗布により調製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理に
用いられる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 高速熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB28 AB29 BA00 BA14 BA41 BB00 BB02 BB20 BB27 BB31 BB39 CA00 CA05 CA22 CB00 CB03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀、造核剤、バインダー、下記一般式(1)で表さ
    れる還元剤の少なくとも1種および下記一般式(2)で
    表されるポリハロゲン化合物の2種以上を含有する高速
    熱現像感光材料。 【化1】 (一般式(1)において、R1およびR1’はアルキル基
    を表し、少なくとも一方が2級または3級のアルキル基
    である。R2およびR2’は独立に水素原子またはベンゼ
    ン環に置換可能な基を表し、Lは−S−基または−CH
    3−基を表す。R3は水素原子またはアルキル基を表
    す。XおよびX’はベンゼン環に置換可能な基を表
    す。) 一般式(2) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X (一般式(2)において、Qは置換基を有していても良
    いアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Y
    は2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1
    よびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電
    子求引性基を表す。)
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)において、R1および
    1’が各々独立に2級または3級のアルキル基であ
    り、R2およびR2’が各々独立にアルキル基であり、R
    3が水素原子またはアルキル基であり、XおよびX’が
    いずれも水素原子である化合物を少なくとも1種含有す
    ることを特徴とする請求項1の高速熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)において、R1および
    1’が3級アルキル基であり、R2およびR2’が各々
    独立にアルキル基であり、R3がアルキル基である化合
    物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2
    の高速熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 前記一般式(2)において、Qの置換基
    が電子求引性基である化合物を少なくとも1種を含有す
    ることを特徴とする請求項1の高速熱現像感光材料。
  5. 【請求項5】 前記一般式(2)において、Qの置換基
    が一般式(3)で表される電子求引性基である化合物を
    少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項4の
    高速熱現像感光材料。 一般式(3) −(L)n−CON(W1)(W2) (一般式(3)において、Lは連結基を表わし、W1
    よびW2は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール
    基またはヘテロ環基を表わす。nは0または1を表わ
    す。)
  6. 【請求項6】 前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像
    形成層および該画像形成層に隣接する非画像形成層が、
    前記一般式(2)で表されるポリハロゲン化合物を含有
    することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの高速熱
    現像感光材料。
  7. 【請求項7】 前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像
    形成層に含まれるバインダーの50重量%以上が、ガラ
    ス転位温度が−30℃〜40℃のポリマーのラテックス
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの高速
    熱現像感光材料。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの高速熱現像感
    光材料をラインスピード140〜1000cm/分で熱
    現像することを特徴とする画像形成方法。
  9. 【請求項9】 露光時間が10-7秒以下であることを特
    徴とする請求項8の画像形成方法。
  10. 【請求項10】 レーザーヘッドを2機以上搭載したマ
    ルチビームで露光することを特徴とする請求項8または
    9の画像形成方法。
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