JP2001264929A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

Info

Publication number
JP2001264929A
JP2001264929A JP2000076240A JP2000076240A JP2001264929A JP 2001264929 A JP2001264929 A JP 2001264929A JP 2000076240 A JP2000076240 A JP 2000076240A JP 2000076240 A JP2000076240 A JP 2000076240A JP 2001264929 A JP2001264929 A JP 2001264929A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
silver
general formula
substituent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000076240A
Other languages
English (en)
Inventor
Toyohisa Oya
豊尚 大屋
Kazunobu Kato
和信 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000076240A priority Critical patent/JP2001264929A/ja
Priority to US09/809,318 priority patent/US6645714B2/en
Publication of JP2001264929A publication Critical patent/JP2001264929A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49827Reducing agents
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49836Additives
    • G03C1/49845Active additives, e.g. toners, stabilisers, sensitisers
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/061Hydrazine compounds
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/166Toner containing

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 感度およびDmaxが高く、カブリが低い写
真製版用途に最適な画像が得られる熱現像感光材料を提
供する。 【解決手段】 支持体の同一面上に、少なくとも(a)
感光性ハロゲン化銀、(b)還元可能な銀塩、(c)下
記一般式(1)で表される還元剤、(d)バインダー、
および(e)下記一般式(2)で表されるフェノール化
合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。 (一般式(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または置換基を表す。X1〜X3はそれぞれ独
立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1〜X3
表される置換基はヒドロキシ基であることはなく、X1
〜X3で表される置換基が窒素原子でフェノール環に連
結しているとき、X1〜X3は含窒素複素環基または−N
H−C(=O)−R4で表される基を表し、R4は炭素数
8〜40の置換基を表す。R1、R2およびX1〜X3で表
される置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に写真製版用に適したスキャナー、
イメージセッター用の熱現像感光材料に関し、さらに詳
しくは、感度およびDmax(最高濃度)が高く、カブ
リが低い写真製版用途に最適な画像を得ることが可能な
写真製版用の熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料が、数多く知られてい
る。その中には、環境保全に寄与し画像形成手段を簡易
化できるシステムとして、熱現像により画像を形成する
技術がある。近年、写真製版分野においては環境保全や
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれるよ
うになっている。そこで、レーザー・スキャナーまたは
レーザー・イメージセッターにより効率的に露光させる
ことができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な
黒色画像を形成することができる写真製版用途の熱現像
感光材料に関する技術開発が必要とされている。このよ
うな熱現像感光材料によれば、溶液系処理化学薬品を必
要としない、より簡単で環境を損なわない熱現像処理シ
ステムを顧客に対して供給することが可能になる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,4
57,075号明細書、およびD.クロスタボーア(K
losterboer)著「熱によって処理される銀シ
ステム(ThermallyProcessed Si
lver Systems)A」(イメージング・プロ
セッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging
Processesand Materials)Ne
blette 第8版、J.スタージ(Sturg
e)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.
シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1
989年)に記載されている。このような熱現像感光材
料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、
触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀
の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散し
た状態で含有する。感光材料は常温で安定であるが、露
光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したときに、
還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との
間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元
反応は露光により形成された潜像の触媒作用によって促
進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって
生成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をなすこと
から画像の形成がなされる。
【0004】欧州特許公開EP762,196号公報お
よび特開平9−90550号公報等には、熱現像感光材
料に用いる感光性ハロゲン化銀粒子に第VII族または
VIII族の金属イオンまたは金属錯体イオンを含有さ
せること、および感光材料中にヒドラジン誘導体を含有
せしめて高コントラストな写真特性を得ることができる
ことが開示されている。また、米国特許第5,545,
515号明細書には、ヒンダードフェノールを還元剤と
して用いて、アクリロニトリル化合物を超硬調化剤とし
て用いることが記載されている。
【0005】また、還元剤として電子吸引性基で置換さ
れたアミノ基を置換基として持つフェノール化合物(例
えば、スルホンアミドフェノール化合物)を用いる例に
ついても報告されている。例えば、特開昭49−803
86号公報、特開平5−257227号公報および同1
0−221806号公報に記載されているように、2,
6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール
およびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどを還
元剤として単独で用いる方法が知られている。しかし、
これらの化合物を用いても、感度を向上させたり、感光
材料の保存時の写真性能の変化の問題(特にカブリ)を
解決することはできなかった。このため、感度およびD
max(最高濃度)が高く、カブリが低い写真製版用途
に最適な画像を得ることが可能な写真製版用の熱現像感
光材料を提供することが望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。
即ち、本発明が解決しようとする第一の課題は、特に写
真製版用、特にスキャナー、イメージセッター用とし
て、感度およびDmax(最高濃度)が高く、カブリが
低い写真製版用途に最適な画像を得ることが可能な熱現
像感光材料を提供することである。さらに、本発明が解
決しようとする第二の課題は環境面・コスト面で有利な
水系塗布可能な熱現像感光材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討した結果、画像形成層側に特定
のビスフェノール化合物および特定のフェノール化合物
を含有させることによって、所望の効果を奏する優れた
熱現像感光材料を提供しうることを見出し、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明によれば、支持体の同一
面上に、少なくとも(a)感光性ハロゲン化銀、(b)
還元可能な銀塩、(c)下記一般式(1)で表される還
元剤、(d)バインダー、および(e)下記一般式
(2)で表されるフェノール化合物を含有することを特
徴とする熱現像感光材料が提供される。
【化4】 (一般式(1)において、V1〜V8はそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表し、Lは−CH(V9)−また
は−S−なる連結基を表し、V9は水素原子または置換
基を表す。)
【化5】 (一般式(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立
に水素原子または置換基を表す。X1〜X3はそれぞれ独
立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1〜X3
表される置換基はヒドロキシ基であることはなく、X1
〜X3で表される置換基が窒素原子でフェノール環に連
結しているとき、X1〜X3は含窒素複素環基または−N
H−C(=O)−R4で表される基を表し、R4は炭素数
8〜40の置換基を表す。R1、R2およびX1〜X3で表
される置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0008】好ましくは、本発明の熱現像感光材料は、
さらに(f)下記一般式(3)で表されるフタラジン化
合物を含有する。
【化6】 (一般式(3)において、Yは水素原子または一価の置
換基を表し、mは1から6の整数を表す。(Y)mはフ
タラジン環上に1〜6個のYがそれぞれ独立に存在する
ことを示し、mが2以上の場合、隣接する2つのYが脂
肪環、芳香環またはヘテロ環を形成してもよい。)
【0009】好ましくは、一般式(2)において、X1
〜X3の少なくとも一つは、ハロゲン原子、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、または
窒素原子でフェノール環に連結する含窒素複素環基であ
る。好ましくは、本発明の熱現像感光材料は、さらに超
硬調化剤を含有する。なお、本明細書において、「〜」
はその前後に記載される数値を最小値および最大値とし
て含む範囲である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の熱現像感光材料
について詳細に説明する。本発明の熱現像感光材料は、
支持体の同一面上に、還元可能な銀塩である有機銀塩お
よびバインダーを含有する画像形成層、ならびに感光性
ハロゲン化銀を含有する感光性ハロゲン化銀乳剤層(感
光性層)を有する。好ましくは、画像形成層は感光性ハ
ロゲン化銀を含有し、感光性層を兼ねる。加えて、画像
形成層側に、特定のビスフェノール化合物およびフェノ
ール化合物を有することによって、感度およびDmax
(最高濃度)が高く、カブリが低い写真製版用途に最適
な画像を得ることが可能な写真製版用の熱現像感光材料
を得ることができる。
【0011】本発明の熱現像感光材料は、支持体上、感
光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面に、
上記一般式(1)で表される還元剤を有する。一般式
(1)において、V1〜V8はそれぞれ独立に水素原子ま
たは置換基を表す。V1〜V8で表される置換基は同一で
も異なっていてもよく、好ましい例として、ハロゲン原
子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子)、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さ
らに好ましくは炭素数1〜13であり、例えば、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブ
チル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−ア
ミル、tert−アミル、n−ドデシル、n−トリデシ
ル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに
好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、ビニル、ア
リル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基
(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6
〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例え
ば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、ア
ルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12で
あり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブト
キシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜3
0、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは
炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−
ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好
ましくは炭素数2〜12であり、例えば、アセトキシ、
ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好まし
くは炭素数1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基
等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2
〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイ
ルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1
〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミ
ノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、
ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カ
ルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12
であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニル
オキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバ
モイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモ
イル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバ
モイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好
ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカル
ボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル
等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ま
しくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜1
2であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、
ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さら
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メシル、
トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜
20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましく
は炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メ
チルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニ
ルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、メルカプ
ト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数
1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ
等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好
ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜
12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、ピロリ
ジル等)などが挙げられる。これらの置換基はさらに他
の置換基で置換されていてもよい。
【0012】V1〜V8で表される置換基として特に好ま
しいものは、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert
−ブチル、tert−オクチル、n−アミル、tert
−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキ
シル等)である。
【0013】一般式(1)において、Lは−CH
(V9)−または−S−なる連結基を表し、V9は水素原
子または置換基を表す。V9で表される置換基の好まし
い例として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐または環状
のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜13
であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ter
t−オクチル、n−アミル、tert−アミル、n−ド
デシル、n−トリデシル、シクロヘキシル、2,4,4
−トリメチルペンチル等)、アルケニル基(好ましくは
炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さら
に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、ビニル、
アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール
基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数
6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例
えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12
であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブ
トキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜
30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましく
は炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2
−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに
好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、アセトキ
シ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素
数0〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好
ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ
基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数
2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノ
イルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例
えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミ
ノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、
ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カ
ルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12
であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニル
オキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバ
モイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモ
イル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバ
モイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好
ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカル
ボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル
等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ま
しくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜1
2であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、
ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さら
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メシル、
トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜
20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましく
は炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メ
チルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニ
ルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキ
シル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに
好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチ
オ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2
〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好まし
くは炭素数2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダ
ゾイル、ピロリジル等)などが挙げられる。これらの置
換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0014】V9で表される置換基の特に好ましい例と
しては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、tert−オクチル、n−アミル、n−オクチ
ル、tert−アミル、n−ドデシル、n−トリデシ
ル、シクロヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル
等)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブ
テニル、3−ペンテニル等)、アリール基(例えば、フ
ェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、ヒドロキ
シル基、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチ
ルチオ、ブチルチオ等)などが挙げられる。以下に一般
式(1)で表される還元剤の具体例を挙げるが、本発明
に用いられる還元剤はこれらに限定されるものではな
い。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】一般式(1)で表されるビスフェノール化
合物の使用量は、好ましくは感光材料1m2当たり0.
01〜4.0gであり、より好ましくは0.2〜2.0
gであり、さらに好ましくは0.5〜2.0gである。
また、画像形成層を有する面の銀1モルに対しては、2
〜40モル%含まれることが好ましく、5〜30モル%
含まれることがさらに好ましい。一般式(1)で表され
るビスフェノール化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分
散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分
散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロ
ーラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散す
る際に分散助剤を用いてもよい。一般式(1)で表され
るビスフェノール化合物は、支持体上、上記の感光性ハ
ロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面であればい
ずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層ま
たはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0022】本発明の熱現像感光材料は、支持体上、感
光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面に、
上記一般式(2)で表されるフェノール化合物を有す
る。一般式(2)で表されるフェノール化合物として、
写真業界で公知のフェノールカプラーまたはナフトール
カプラーを使用することもできる。
【0023】一般式(2)において、R1およびR2はそ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R1および
2で表される置換基は同一でも異なっていてもよく、
具体例としては、一般式(1)のV1〜V8の例として挙
げた置換基が挙げられる。これらの置換基はさらに他の
置換基で置換されていてもよい。
【0024】R1およびR2で表される置換基として好ま
しいものは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
ニリノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カル
ボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、ス
ルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、ヘテロ環基である。
【0025】一般式(2)において、X1〜X3はそれぞ
れ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1
3で表される置換基はヒドロキシ基であることはな
く、X1〜X3で表される置換基が窒素原子でフェノール
環に連結しているとき、X1〜X3は含窒素複素環基また
は−NH−C(=O)−R4で表される基を表し、R4
炭素数8〜40の置換基を表す。R1、R2およびX1
3で表される置換基は互いに結合して環を形成しても
よい。X1〜X3で表される置換基は同一でも異なってい
てもよく、具体例としては、式(1)のV1〜V8の例と
して挙げた置換基が挙げられる。X1〜X3で表される置
換基が−NH−C(=O)−R4で表される基を表すと
き、この基は公知のフェノールカプラーにおいてバラス
ト基と呼ばれる置換基であることが好ましい。
【0026】X1〜X3で表される置換基は、好ましくは
1〜X3の少なくとも一つが、ハロゲン原子、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ア
ルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、また
は窒素原子でフェノール環に連結する含窒素複素環基で
ある。好ましい例としては、ハロゲン原子(例えば、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコ
キシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭
素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8であり、
例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、アリール
オキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは
炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12であ
り、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ
等)、ヘテロアリールオキシ基(例えば、2−ピリジル
オキシ基、2−チオフェニルオキシ基等)、アルキルチ
オ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、
例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、ア
リールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好まし
くは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12で
あり、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、ヘテ
ロ環チオ基(例えば、テトラゾリルチオ基、トリアゾリ
ルチオ基等)または窒素原子でフェノール環に連結する
含窒素複素環基で表される基(例えば、ベンゾトリアゾ
リル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダ
ゾリル基、テトラゾリル基、トリアゾリル基等)が挙げ
られる。また、一般にカラー写真感光材料に用いられる
カプラー化合物において脱離基と呼ばれる置換基も好ま
しく用いることができる。これらの置換基はさらに他の
置換基で置換されていてもよく、この置換基としては、
写真性能を悪化させないものであれば一般に知られてい
るどのような置換基でもよい。
【0027】R1、R2およびX1〜X3で表される置換基
が互いに結合して環を形成する場合、好ましい例として
はベンゾ縮環、ナフト縮環が挙げられる。R1、R2およ
びX 1〜X3で表される置換基が互いに結合して形成され
る環は、さらに置換基を有していてもよい。以下に一般
式(2)で表されるフェノール化合物の具体例を挙げる
が、本発明に用いられるフェノール化合物はこれらに限
定されるものではない。
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
【化21】
【0037】
【化22】
【0038】
【化23】
【0039】
【化24】
【0040】一般式(2)で表されるフェノール化合物
は写真業界で公知の方法によって容易に合成することが
できる。一般式(2)で表されるフェノール化合物の使
用量は、好ましくは感光材料1m2当たり0.001〜
4.0gであり、より好ましくは0.01〜2.0gで
あり、さらに好ましくは0.1〜2.0gである。ま
た、一般式(1)で表される還元剤に対しては、好まし
くは0.1〜1000モル%であり、より好ましくは1
〜100%であり、さらに好ましくは5〜50%であ
る。一般式(2)で表されるフェノール化合物は1種の
みを用いても2種以上を併用してもよい。
【0041】一般式(2)で表されるフェノール化合物
は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メ
タノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコ
ール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン
等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
あるいは、既によく知られている乳化分散法によって、
ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グ
リセリルトリアセテートまたはジエチルフタレートなど
のオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶
媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用い
ることができる。または、固体分散法として知られてい
る方法によって、ボールミル、コロイドミル、サンドグ
ラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダ
イザーまたは超音波で、一般式(2)で表されるフェノ
ール化合物の粉末を水の中に分散して用いることもでき
る。
【0042】一般式(2)で表されるフェノール化合物
は、支持体上、上記の感光性ハロゲン化銀および還元可
能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよ
いが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に
添加することが好ましい。
【0043】本発明の熱現像感光材料においては、「色
調剤」と呼ばれる化合物が、銀画像の像密度(画像濃
度)、銀の色調および熱現像性を改良する目的で、必要
により添加される。
【0044】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の色調剤が開示されている。例えば、特開昭
46−6077号公報、同47−10282号公報、同
49−5019号公報、同49−5020号公報、同4
9−91215号公報、同49−91215号公報、同
50−2524号公報、同50−32927号公報、同
50−67132号公報、同50−67641号公報、
同50−114217号公報、同51−3223号公
報、同51−27923号公報、同52−14788号
公報、同52−99813号公報、同53−1020号
公報、同53−76020号公報、同54−15652
4号公報、同54−156525号公報、同61−18
3642号公報、特開平4−56848号公報、特公昭
49−10727号公報、同54−20333号公報、
米国特許第3,080,254号明細書、同第3,44
6,648号明細書、同第3,782,941号明細
書、同第4,123,282号明細書、同第4,51
0,236号明細書、英国特許第1,380,795号
明細書、ベルギー特許第841,910号明細書、特公
平1−25050号公報などが挙げられる。
【0045】色調剤の具体例としては、フタルイミドお
よびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピ
ラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェ
ニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾ
ール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンの
ような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒド
ロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例
えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−
ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジ
フェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジ
メルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示される
メルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボ
キシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチ
ル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチ
ル)ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);なら
びにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体お
よびある種の光退色剤(例えば、N,N−ヘキサメチレ
ンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾー
ル)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソ
チウロニウムトリフルオロアセテート)および2−(ト
リブロモメチルスルホニル)−ベンゾチアゾール);な
らびに3−エチル−5[(3−エチル−2−ベンゾチア
ゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−
2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラ
ジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチ
ル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−
ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,
4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフ
タル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル
酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル
酸、ホモフタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタ
ラジン誘導体(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジ
ン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラ
ジン、6−イソプロピルフタラジン、6−イソブチルフ
タラジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−
ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジ
ンなどの誘導体)もしくは金属塩、;フタラジンおよび
その誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−
メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロ
ロ無水フタル酸、ホモフタル酸など)との組合せ;キナ
ゾリンジオン、ベンゾオキサジンまたはナフトオキサジ
ン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲ
ン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能す
るロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)
酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘ
キサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸
化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウ
ムおよび過酸化水素;1,3−ベンゾオキサジン−2,
4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−
2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンゾオキ
サジン−2,4−ジオンなどのベンゾオキサジン−2,
4−ジオン;ピリミジンおよび不斉トリアジン(例え
ば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ
−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、および
テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメル
カプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ
(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1
H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレ
ン)などがある。
【0046】色調剤は、求められる性能(像密度、銀色
調、熱現像改良)、感光材料外への揮発性、昇華性など
の特性、被り防止剤などの他の添加剤と組み合わせたと
きの感光材料の特性などの観点から探索が進められ、多
数の色調剤が報告されている。なかでも上記一般式
(3)で表されるフタラジン化合物とフタル酸誘導体と
の組み合わせが優れていることが知られている。本発明
の熱現像感光材料は、画像を向上させる「色調剤」とし
て知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなることがあ
る。また、色調剤は黒色銀画像を形成させる上でも有利
になることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀
1モル当たり0.1〜50モル%含ませることが好まし
く、0.5〜20モル%含ませることがさらに好まし
い。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように
誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0047】本発明の熱現像感光材料は、好ましくは一
般式(3)で表されるフタラジン化合物を含有する。一
般式(3)において、Yは水素原子または一価の置換基
を表し、mは1から6の整数を表す。すなわち、(Y)
mはフタラジン環上に1〜6個のYがそれぞれ独立に存
在することを示し、mが2以上の場合、隣接する2つの
Yは脂肪環、芳香環またはヘテロ環を形成してもよい。
【0048】Yで表される置換基としては、例えばアル
キル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭
素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8であり、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、
n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロ
プロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アル
ケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは
炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8であ
り、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテ
ニル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8であ
り、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等)、アリー
ル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素
数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、
例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、
アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好まし
くは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜1
2、特に好ましくは炭素数7〜8であり、例えばベンジ
ル、α−メチルベンジル、2−フェニルエチル、ナフチ
ルメチル、(4−メチルフェニル)メチル等)、アミノ
基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数
0〜10、さらに好ましくは炭素数0〜6であり、例え
ばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルア
ミノ、ジベンジルアミノ等)、アルコキシ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特
に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エ
トキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは
炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さら
に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオ
キシ、2−ナフチルオキシ等)、アシル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さら
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、
ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、アルコキシカ
ルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましく
は炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12で
あり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニ
等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数
7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ま
しくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカ
ルボニル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましく
は炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイ
ルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましく
は炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベン
ゾイルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメ
トキシカルボニルアミノ等)、アリールオキシカルボニ
ルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましく
は炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12で
あり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等)、ス
ルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼン
スルホニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは
炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、さら
に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモ
イル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイ
ル、フェニルスルファモイル等)、カルバモイル基(好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカ
ルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイ
ル、フェニルカルバモイル等)、アルキルチオ基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメ
チルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(好ましく
は炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さ
らに好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル
チオ等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素
数1〜12であり、例えばメシル、トシル等)、スルフ
ィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル
等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニ
ルウレイド等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好まし
くは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミ
ド、フェニルリン酸アミド等)、ヒドロキシ基、メルカ
プト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボ
キシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ
基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、
ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等)などが
挙げられる。これらの置換基はさらに置換されていても
よい。
【0049】Yとして好ましくは、水素原子、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラル
キル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ
基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカ
ルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイ
ル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル
基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、よ
り好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、アシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、
シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子であ
り、特に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール
基、アラルキル基である。
【0050】mは1から6の整数を表す。mはより好ま
しくは3以下であり、さらに好ましくは2以下である。
mが2以上の場合、隣接する2つのYは、脂肪環(好ま
しくは3〜8員、より好ましくは5〜6員)、芳香環族
(好ましくはベンゼンあるいはナフタレン)、またはヘ
テロ環(好ましくは5〜6員環)を形成してもよい。
【0051】一般式(3)で表されるフタラジン化合物
の製造方法としては、例えば、R.G.ElderFi
eld、“Heterocyclic Compoun
ds”、John Wiley and Sons、V
ol.1〜9、1950−1967 や、A.R.Ka
tritzky、“Comprehensive He
terocyclic Chemistry”、Per
gamon Press、1984などに記載されてい
る様に、対応するフタル酸誘導体(フタルアルデヒド、
フタル酸無水物、フタル酸エステル等)をヒドラジンと
縮合してフタラジン骨格を形成する方法、α,α,
α’,α’−テトラクロロ−o−キシレンをヒドラジン
と縮合してフタラジンを合成する方法や、Tetrah
edronLetters、22巻、345頁(198
1年)に記載されている様に、アリールアルダジン誘導
体を塩化アルミニウムと臭化アルミニウムの混合物と共
に溶融条件下に反応させ、環化生成させる方法、特開平
11−180961号公報記載の、アルダジン化合物を
有機溶媒中で塩化アルミニウム触媒により環化させて合
成する方法などが挙げられる。以下に、一般式(3)で
表されるフタラジン化合物の具体例を挙げるが、本発明
に用いるフタラジン化合物はこれらに限定されるもので
はない。
【0052】
【化25】
【0053】
【化26】
【0054】
【化27】
【0055】
【化28】
【0056】
【化29】
【0057】
【化30】
【0058】
【化31】
【0059】
【化32】
【0060】一般式(3)で表されるフタラジン化合物
の使用量は、Ag1モルあたりの添加量で示して、10
-4〜1モル/Agであることが好ましく、より好ましく
は10-3〜0.3モル/Agであり、さらに好ましくは
10-3〜0.1モル/Agである。一般式(3)で表さ
れるフタラジン化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散
物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散
は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボール
ミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する
際に分散助剤を用いてもよい。一般式(3)で表される
フタラジン化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀お
よび還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添
加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣
接する層に添加することが好ましい。
【0061】本発明に用いることができる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を
形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオン
源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、
特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)
長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0
〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機または
無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは
画像形成層の約5〜70質量%を構成することができ
る。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有する
有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的には、
脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、
ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイ
ン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸
銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石
酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの
混合物などを挙げることができる。
【0062】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75モ
ル%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸
銀含有率85モル%以上の有機酸銀を用いることがさら
に好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有
機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に
用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀
としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることが
できる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、上記
の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が
挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させるこ
とにより調製される。これらの調製方法については、特
願平11−104187号明細書の段落番号0019〜
0021に記載の方法を用いることができる。
【0063】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特願平11
−203413号明細書に記載されている方法を用いる
ことができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、
硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるい
は反応液には水に可溶な分散剤を添加することができ
る。ここで用いる分散剤の種類および使用量について
は、特願平11−115457号明細書の段落番号00
52に具体例が記載されている。
【0064】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0065】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特願平11−104
187号明細書の段落番号0024に記載のものを用い
ることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物
の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散
性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径
で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以
下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30
%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散し
た有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.
05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好まし
い。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0
μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0066】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特願平11−115457号明細書に記載
の方法を用いることができる。本発明では、高S/N
で、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散
物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、
かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に
変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ま
しい。これらの分散方法については特願平11−104
187号明細書の段落番号0027〜0038に記載の
方法を用いることができる。
【0067】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下で
ある。本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少
なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機銀塩と
水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩
の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ま
しく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。前述の
分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小
にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、
有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜15質
量%の範囲が好ましい。本発明で用いる有機銀塩は所望
の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2
好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0068】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0069】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形
成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布
直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分
散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、M
g、ZnおよびAgから選ばれる金属イオンの添加量と
しては、非感光性有機銀1モルあたり10-3〜10-1
ルが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モルが好ま
しい。
【0070】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ハ
ロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、
臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特
開平11−119374号公報の段落番号0217〜0
224に記載されている方法で粒子形成することができ
るが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲ
ン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、
平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることがで
きるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平
板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など
粒子形状の特徴については、特開平11−119374
号公報の段落番号0225に記載されているものと同じ
である。また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子
の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組
成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的
に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有
するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。
構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは
2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができ
る。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局
在させる技術も好ましく用いることができる。
【0071】本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分
布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1
〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで単分
散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率
(%)(変動係数)として定義されるものである。なお
ハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合
は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板
状など)は投影面積円相当直径で算出する。本発明で用
いる感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族
あるいは第VIII族の金属または金属錯体を含有す
る。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属
または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、
レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムであ
る。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh(H
2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrCl6、K
4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種類でもよ
いし、同種金属および異種金属の錯体を2種以上併用し
てもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10 -9
モル〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8
ル〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な金
属錯体の構造としては特開平7−225449号公報等
に記載された構造の金属錯体を用いることができる。こ
れら重金属の種類、添加方法に関しては、特開平11−
119374号公報の段落番号0227〜0240に記
載されている。
【0072】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができるが、本発明においては脱塩し
てもしなくてもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化
銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感につい
ては、特開平11−119374号公報の段落番号02
42〜0250に記載されている方法を用いることが好
ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特
許公開第293,917号公報に示される方法により、
チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0073】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。
【0074】分散媒の濃度は0.05〜20質量%にす
ることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域
が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処
理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、
フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることがで
きる。本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀乳剤
は、一種だけを用いてもよいし、二種以上(例えば、平
均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるも
の、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)
を併用してもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化銀
の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲ
ン化銀0.01モル〜0.5モルが好ましく、0.02
モル〜0.3モルがより好ましく、0.03モル〜0.
25モルが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲ
ン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件について
は、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と有機銀
塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミ
ル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あ
るいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製
終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製
する方法等があるが、本発明の効果が十分に得られる限
り特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機
銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合す
ることは、写真特性の調節のために好ましい方法であ
る。
【0075】本発明に用いることができる増感色素とし
ては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域
でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば、550nm〜750n
mの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10
−186572号公報の一般式(II)で表される色素
が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II
−15、II−18、II−23、II−25の色素を好まし
い色素として例示することができる。また、750〜1
400nmの波長領域を分光増感する色素としては、特
開平11−119374号公報の一般式(I)で表され
る色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、
(30)、(32)、(36)、(37)、(41)、
(49)、(54)の色素を好ましい色素として例示す
ることができる。さらに、J−bandを形成する色素
として、米国特許第5,510,236号明細書、同第
3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、
特開平2−96131号公報、特開昭59−48753
号公報に開示されている色素を好ましい色素として例示
することができる。これらの増感色素は単独で用いても
よく、2種以上組合せて用いてもよい。
【0076】これら増感色素の添加については、特開平
11−119374号公報の段落番号0106に記載さ
れている方法で添加することができるが、特に、この方
法に限定されるものではない。本発明における増感色素
の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量に
することができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当
たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10
-4〜10-1モルである。
【0077】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号公
報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,
873,184号明細書に開示されている化合物、複素
芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジ
ンから選択される化合物などが挙げられる。特に好まし
い強色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示
されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、特開平4−182639号公報の一
般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平1
0−111543号公報の一般式(I)で表されるスチ
ルベン化合物、特開平11−109547号公報の一般
式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平
5−341432号公報のM−1〜M−24の化合物、
特開平4−182639号公報のd−1)〜d−14)
の化合物、特開平10−111543号公報のSS−0
1〜SS−07の化合物、特開平11−109547号
公報の31、32、37、38、41〜45、51〜5
3の化合物である。これらの強色増感剤の添加量は、乳
剤層中にハロゲン化銀1モル当たり10-4〜1モルの範
囲が好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり0.001〜
0.3モルの範囲がより好ましい。
【0078】本発明の熱現像感光材料は、超硬調化剤を
含有することが好ましい。本発明で用いる超硬調化剤の
種類は特に限定されないが、好ましい超硬調化剤とし
て、特願平11−87297号明細書に記載の式(H)
で表されるヒドラジン誘導体(具体的には同明細書の表
1〜表4に記載のヒドラジン誘導体)、特開平10−1
0672号公報、特開平10−161270号公報、特
開平10−62898号公報、特開平9−304870
号公報、特開平9−304872号公報、特開平9−3
04871号公報、特開平10−31282号公報、米
国特許第5,496,695号明細書、欧州特許公開第
741,320号公報に記載のすべてのヒドラジン誘導
体を挙げることができる。また、特願平11−8729
7号明細書に記載の式(1)〜(3)で表される置換ア
ルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特定
のアセタール化合物、さらに好ましくは同明細書に記載
の式(A)または式(B)で表される環状化合物、具体
的には同明細書の化8〜化12に記載の化合物1〜72
も用いることができる。さらに、これら超硬調化剤を複
数併用してもよい。
【0079】上記超硬調化剤は、水または適当な有機溶
媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プ
ロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセト
ン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して
用いることができる。また、既によく知られている乳化
分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフ
ォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエ
チルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキ
サノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分
散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散
法として知られている方法によって、超硬調化剤の粉末
を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、あ
るいは超音波によって分散して用いることもできる。超
硬調化剤は、支持体に対して画像形成層側のいずれの層
に添加してもよいが、該画像形成層あるいはそれに隣接
する層に添加することが好ましい。超硬調化剤の添加量
は銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×
10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5
2×10-1モルが最も好ましい。
【0080】また上記の化合物の他に、米国特許第5,
545,515号明細書、同第5,635,339号明
細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5,686,22
8号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−1
19372号公報、特願平9−309813号明細書、
特開平11−119373号公報、特願平9−2825
64号明細書、特開平11−95365号公報、特開平
11−95366号公報、特願平9−332388号明
細書に記載の化合物を用いてもよい。
【0081】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することがで
きる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書
に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−
5、米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒ
ドロキサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米
国特許第5,545,507号明細書に記載のアクリロ
ニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特
許第5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化
合物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−29
7368号公報に記載のオニューム塩類、具体的にはA
−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14
などを用いることができる。
【0082】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀および
バインダーを有する熱現像感光材料において、蟻酸ある
いは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱
現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル
当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下である
ことが好ましい。本発明の熱現像感光材料には五酸化二
リンが水和してできる酸またはその塩を超硬調化剤と併
用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピ
ロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸
(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)など
を挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オル
トリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げること
ができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウ
ム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸
ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがあ
る。本発明において好ましく用いることができる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所望
の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれ
に隣接するバインダー層に添加する。五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2
あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて
所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好まし
く、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0083】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の
膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さらに好
ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はな
いが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体
などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアな
どの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させ
るという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しや
すく、塗布する工程や熱現像される前に除去できること
から低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面p
Hの測定方法は、特願平11−87297号明細書の段
落番号0123に記載されている。
【0084】本発明の熱現像感光材料において、ハロゲ
ン化銀乳剤および/または有機銀塩は、かぶり防止剤、
安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの
生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度
の低下に対して安定化することができる。単独または組
合せて使用することができる適当なかぶり防止剤、安定
剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,03
8号明細書および同第2,694,716号明細書に記
載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号
明細書および同第2,444,605号明細書に記載の
アザインデン、米国特許第2,728,663号明細書
に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細
書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652
号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第62
3,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニト
ロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細
書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839
号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第
2,566,263号明細書および同第2,597,9
15号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米
国特許第4,108,665号明細書および同第4,4
42,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0085】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やか
ぶり防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本
発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でも
よいが、好ましい例としては、米国特許第4,784,
939号明細書、同第4,152,160号明細書、特
開平9−329863号公報、同9−329864号公
報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙
げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる層に
添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側の層に
添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加するこ
とがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製の
いかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加す
る場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工
程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。
安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物
などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還
元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加
してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかなる量で
もよいが、銀1モル当たり1×10-6モル〜2モルが好
ましく、1×10-3モル〜0.5モルがさらに好まし
い。
【0086】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にかぶり防止剤として水銀(II)塩を加え
ることが有利なことがある。この目的のために好ましい
水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本
発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1
モル当たり好ましくは1×10-9モル〜1×10-3
ル、さらに好ましくは1×10-8モル〜1×10-4モル
の範囲である。本発明で特に好ましく用いられるかぶり
防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50
−119624号公報、同50−120328号公報、
同51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。
【0087】特願平11−87297号明細書に記載の
式(P)で表される親水性有機ハロゲン化物がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(P−1)〜(P−118)が好ましく用いら
れる。有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1molに対
するmol量(mol/molAg)で示して、好まし
くは1×10-5〜2mol/molAg、より好ましく
は5×10-5〜1mol/molAg、さらに好ましく
は1×10-4〜5×10-1mol/molAgである。
これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよ
い。
【0088】また、特願平11−87297号明細書に
記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。本発明に好ましく
用いられるかぶり防止剤として、ホルマリンスカベンジ
ャーが有効であり、例えば、特願平11−23995号
明細書に記載の式(S)で表される化合物およびその例
示化合物(S−1)〜(S−24)が挙げられる。
【0089】本発明に用いるかぶり防止剤は、水あるい
は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ
などに溶解して用いることができる。また、既によく知
られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、
トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテー
トあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチ
ルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あ
るいは固体分散法として知られている方法によって、粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライ
ンダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザ
ーあるいは超音波によって分散し用いることもできる。
【0090】本発明に用いるかぶり防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0091】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存
性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モル
の範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀1モル当たり
0.001〜0.3モルである。
【0092】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、
有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像
形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護
層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱
現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バ
ック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好
ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層のバイン
ダーとしてポリマーラテックスが用いられる。これらの
層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能にな
り、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時
にシワの発生がない熱現像感光材料が得られるようにな
る。また、所定の熱処理をした支持体を使用することに
より、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像感光材料
が得られる。
【0093】本発明で用いるバインダーとして以下に述
べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリマー
ラテックスを全バインダーの50質量%以上用いた画像
形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテック
スは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用い
てもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明
の熱現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層
にもポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただ
しここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水
性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散
されたものである。分散状態としてはポリマーが分散媒
中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル
分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親
水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散されたものな
どいずれでもよい。なお本発明で用いるポリマーラテッ
クスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣
寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラ
テックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原
啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成
ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1
970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒
径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000
nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関し
ては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分
散の粒径分布を持つものでもよい。
【0094】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。本発明で用いるバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バ
ック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像
形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促す
ため、−30〜40℃であることが好ましい。保護層や
バック層に用いる場合には種々の機器と接触するために
25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。
【0095】本発明で用いるポリマーラテックスの最低
造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましく
は0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコント
ロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤
は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度
を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前
述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行
会発行(1970))」に記載されている。
【0096】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0097】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテッ
クス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5
/50/16.5(質量%)のコポリマーラテックス、
メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=4
7.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(質
量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。ま
た、このようなポリマーは市販もされていて、例えばア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635,465
83、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、N
ipol LX811、814、821、820、85
7(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3
340、R3360、R3370、4280(以上大日
本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、8
50(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ
ウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、
30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴ
ム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、330
7B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol LX410、430,43
5、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。
【0098】画像形成層には全バインダーの50質量%
以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられ
るが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスが
用いられることがさらに好ましい。画像形成層には必要
に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性
ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの
添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、
さらには15質量%以下が好ましい。
【0099】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のよ
うなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホル
ムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルム
アミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%を表
す。) 画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2
より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。画
像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための
界面活性剤などを添加してもよい。
【0100】さらに、保護層用のバインダーとして、特
願平11−6872号明細書の段落番号0025〜00
29に記載の有機概念図に基づく無機性値を有機性値で
割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの組み合わ
せを好ましく用いることができる。本発明においては必
要に応じて、特願平11−143058号明細書の段落
番号0021〜0025に記載の可塑剤(例、ベンジル
アルコール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール
−1,3−モノイソブチレートなど)を添加して、造膜
温度をコントロールすることが出来る。また、特願平1
1−6872号明細書の段落番号0027〜0028に
記載の如くポリマーバインダー中に親水性ポリマーを、
塗布液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよい。
【0101】それぞれの層には、特願平10−1996
26号明細書の段落番号0023〜0041に記載の官
能基を導入した第一のポリマーラテックスとこの第一の
ポリマーラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤
および/または第二のポリマーラテックスを用いること
もできる。上記の官能基は、カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロー
ル基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキ
シ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネ
ート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カ
ルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合
物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれ
る。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物とし
てヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB4
0−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分
散型ポリイソシアネート;アミノ化合物としてスミテッ
クスレジンM−3(住友化学工業(株)製);エポキシ
化合物としてデナコールEX−614B(ナガセ化成工
業(株)製);ハロゲン化合物として2,4−ジクロロ
−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム
などが挙げられる。
【0102】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は0.2〜1
0.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2
の範囲が好ましい。バック層用の全バインダー量は0.
01〜10.0g/m2、より好ましくは0.05〜
5.0g/m2の範囲が好ましい。
【0103】これらの各層は、2層以上設けられる場合
がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての
層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いること
が好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる
層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いら
れることが好ましい。また、バック層は支持体バック面
の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在す
る場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層のバック
層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0104】本明細書で言う滑り剤とは、物体表面に存
在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の摩
擦係数を減少させる化合物を意味する。その種類は特に
制限されない。本発明に用いる滑り剤としては、特開平
11−84573号公報の段落番号0061〜006
4、特願平11−106881号明細書の段落番号00
49〜0062に記載の化合物を挙げることができる。
好ましい滑り剤の具体例としては、セロゾール524
(主成分カルナバワックス)、ポリロンA,393,H
−481(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロ
ンG−110(主成分エチレンビスステアリン酸アマイ
ド)、ハイミクロンG−270(主成分ステアリン酸ア
マイド)(以上、中京油脂(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜
30質量%である。
【0105】本発明において、特願平10−34656
1号明細書、特願平11−106881号明細書に記載
のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処
理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、
その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現
像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像
画像記録材料の画像形成層を有する側の最表面層とバッ
ク面の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であ
り、その上限に特に制限はないが30程度である。ま
た、μbは1.0以下、好ましくは0.05〜0.8で
ある。この値は、下記の式によって求められる。摩擦係
数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する
面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバ
ック面との動摩擦係数(μb)本発明において熱現像処
理温度での熱現像処理機部材と画像形成層を有する面お
よび/またはその反対面の最表面層の滑り性は、最表面
層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることにより
調整することができる。
【0106】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特願平10−221039号明細書の段落番号0020
〜0037、特願平11−106881号明細書の段落
番号0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体
の繰り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデ
ン共重合体を含む下塗り層を設けることが好ましい。
【0107】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、質量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0108】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。なお、下
塗り層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に
直接設層される下塗り層第1層として設けることが好ま
しく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合に
よっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成と
するときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明
の範囲となるようにすればよい。このような層には塩化
ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含
有させてもよい。
【0109】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下
塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片
面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1層当
たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは0.
05〜1μmである。本発明の熱現像感光材料には、種
々の支持体を用いることができる。典型的な支持体とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロ
ースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチ
ックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチ
レンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち
二軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタ
レート(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの
点から好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベー
ス厚みで90〜180μmであることが好ましい。
【0110】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体と
しては、特開平10−48772号公報、特開平10−
10676号公報、特開平10−10677号公報、特
開平11−65025号公報、特願平9−308898
号明細書に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内
部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪み
をなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理
を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トが好ましく用いられる。このような熱処理後における
支持体の120℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方
向(MD)が−0.03%〜+0.01%、横方向(T
D)が0〜0.04%であることが好ましい。
【0111】本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の
減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬
送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公
報の段落番号0040〜0051に記載の導電性金属酸
化物および/またはフッ素系界面活性剤を用いて帯電防
止することができる。導電性金属酸化物としては、米国
特許第5,575,957号明細書、特願平10−04
1302号明細書の段落番号0012〜0020に記載
のアンチモンでドーピングされた針状導電性酸化錫、特
開平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピ
ングされた繊維状酸化錫が好ましく用いられる。
【0112】金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗
率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以
下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な
帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は
特に制限されないが、通常107Ω程度である。本発明
の熱現像感光材料の画像形成層を有する面およびその反
対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方の
ベック平滑度は、2000秒以下であり、より好ましく
は10秒〜2000秒である。
【0113】本発明におけるベック平滑度は、日本工業
規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験
器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T4
79により容易に求めることができる。熱現像感光材料
の画像形成層を有する面の最外層およびその反対面の最
外層のベック平滑度は、特開平11−84573号公報
の段落番号0052〜0059に記載の如く、前記両面
の層に含有させるマット剤の粒径および添加量を適宜変
化させることによってコントロールすることができる。
【0114】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルホン酸またはその共重合体、ポリア
クリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその共
重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステ
ル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸ま
たはその共重合体など)などである。
【0115】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
【0116】これらでも特に好ましい増粘剤としては、
ゼラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリアクリル酸またはその共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体などである。これらの化合物は、
「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株式会社シーエ
ムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発
行)に詳細に記載されている。
【0117】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30質量%、よ
り好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは
0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200cpが
好ましく、より好ましくは5〜100cpである。な
お、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定した値を示
す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に増粘剤は
できるだけ希薄溶液で添加することが望ましい。また添
加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0118】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。
【0119】好ましいノニオン系界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性
親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的
には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコ
ール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エス
テルを挙げることができる。
【0120】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。カチオン系界面活性剤としてはアミ
ン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げる
ことができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニ
ウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキル
ベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アル
キルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0121】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。これらの
界面活性剤は、「界面活性剤の応用」(幸書房、刈米孝
夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されている。本
発明においては、好ましい界面活性剤はその使用量にお
いて特に限定されず、目的とする界面活性特性が得られ
る量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤の塗布
量は、1m2当たり0.01mg〜250mgが好まし
い。
【0122】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、‐C64‐はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1:C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2:C9H19-C6H4-(OCH2CH2)12OH WA−3:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4:トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−5:トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸ナ
トリウム WA−6:ドデシル硫酸ナトリウム WA−7:α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキシ
ル)エステルナトリウム塩 WA−8:C8H17-C6H4-(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウム クロラ
イド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N(+)(CH3)2-CH2COO(-) WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N(+)(C
H3)3-CH3・C6H4-SO3 (-) WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N(+)(CH3)2-C
H2COO(-)
【0123】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特願平10−29
2849号明細書の図1に示されるスライドビード塗布
方式が特に好ましい。
【0124】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0125】本発明における好ましい乾燥方式は、特願
平10−292849号明細書に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度は0〜70°の間にあればよい。また、本発明にお
ける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に
対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬
送を意味するものではない。
【0126】本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が
一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥
過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末期になると種々
の要因(水分移動の材料内部拡散が律速になる、蒸発表
面の後退など)により乾燥速度が低下し、与えられた熱
が液膜温度上昇にも使用される乾燥過程を意味する。恒
率過程から減率過程に移行する限界含水率は200〜3
00%である。恒率乾燥が終了する時には、流動が停止
するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀写真感光材
料の様な乾燥方式も採用することができるが、本発明に
おいては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾー
ンで乾燥させることが好ましい。
【0127】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。恒率乾
燥時の液膜表面温度が低くなる条件で乾燥した場合、乾
燥が不十分になりやすい。このため特に保護層の造膜性
が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じやすくなる。ま
た、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像機での搬送中に
傷がつきやすくなるなどの重大な問題が生じやすくな
る。
【0128】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安
定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。下層を塗布乾
燥してから上層を塗布する逐次塗布においても同様であ
るが、特に、下層の乾燥前に上層を塗布して、両層を同
時に乾燥する同時重層塗布を行うための塗布液物性とし
ては、画像形成層の塗布液と保護層の塗布液とのpH差
が2.5以下であることが好ましく、このpH差は小さ
い程好ましい。塗布液のpH差が大きくなると塗布液界
面でミクロな凝集が生じやすくなり、長尺連続塗布時に
塗布筋などの重大な面状故障が発生しやすくなる。
【0129】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜
100cpが好ましく、さらに好ましくは30〜70c
pである。一方、保護層の塗布液粘度は25℃で5〜7
5cpが好ましく、さらに好ましくは20〜50cpで
ある。これらの粘度はB型粘度計によって測定される。
乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対湿度45±2
0%の条件下で行うことが好ましく、巻き姿はその後の
加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側にしてもよい
し、内側にしてもよい。また、加工形態がロール品の場
合は巻き姿で発生したカールを除去するために加工時に
巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にすることも好ま
しい。なお、感光材料の相対湿度は20〜55%(25
℃測定)の範囲で制御されることが好ましい。
【0130】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。本発明に
おいて塗布液の脱泡は、塗布液を塗布される前に減圧脱
気し、さらに1.5kg/cm2以上の加圧状態に保
ち、かつ気液界面が生じないようにして連続的に送液し
ながら超音波振動を与える方式が好ましい。具体的に
は、特公昭55−6405号公報(4頁20行から7頁
11行)に記載されている方式が好ましい。このような
脱泡を行う装置として、特願平10−290003号明
細書の実施例と図3に示される装置を好ましく用いるこ
とができる。
【0131】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0132】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号0204〜0208、特願平1
1−106881号明細書の段落番号0240〜024
1に記載の如くハレーション防止などの目的で、染料を
含有させることができる。
【0133】画像形成層には色調改良、イラジエーショ
ン防止の観点から各種染料や顔料を用いることができ
る。画像形成層に用いる染料および顔料はいかなるもの
でもよいが、例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0297に記載されている化合物を用いること
ができる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化
物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態
などいかなる方法でもよい。これらの化合物の使用量は
目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2
たり1×10-6g〜1gの範囲で用いることが好まし
い。
【0134】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0300に記載されている化合物を用いること
ができる。また、ベルギー特許第733,706号明細
書に記載されるように染料による濃度を加熱による消色
で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記
載されるように光照射による消色で濃度を低下させる方
法等を用いることもできる。
【0135】本発明の熱現像感光材料が熱現像後におい
て、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用い
られる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機にお
いてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、
マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定
するための情報を画像情報として担持している。従っ
て、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、
フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取る
ために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザ
ーによって読み取られるため、センサーの波長域のDm
in(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下
である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社
製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器
およびバーコードリーダーとして670nmの波長の光
源を使用している。また、清水製作社製、製版機APM
Lシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光
源を使用している。すなわち670nm付近のDmin
(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に
検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラー
が発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取
るためには670nm付近のDminが低い必要があ
り、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以
下である必要がある。より好ましくは0.25以下であ
る。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度
である。
【0136】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。本発明における露光は光
源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバ
ーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいこと
をいう。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強
度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走
査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現する
ことができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が
0.2以上であることが好ましい。
【0137】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネル
が好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料は露光
時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。
この干渉縞の発生防止技術としては、特開平5−113
548号公報などに開示されているレーザー光を感光材
料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95
/31754号公報などに開示されているマルチモード
レーザーを利用する方法が知られており、これらの技術
を用いることが好ましい。
【0138】本発明に用いる画像形成方法の加熱現像工
程はいかなる方法であってもよいが、通常イメージワイ
ズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。用
いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光
材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触
させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開
平9−292695号公報、特開平9−297385号
公報および国際公開WO95/30934号公報に記載
の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−132
94号公報、国際公開WO97/28489号公報、同
97/28488号公報および同97/28487号公
報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては
非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては
80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜14
0℃である。現像時間としては1〜180秒が好まし
く、10〜90秒がさらに好ましい。
【0139】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上1
15℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用すること
が有効である。本発明の熱現像感光材料を熱現像処理す
るとき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料
中に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分
解成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像
ムラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させ
たり、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を
引起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影
響があることが知られている。これらの影響を除くため
の方法として、熱現像機にフィルターを設置し、また熱
現像機内の空気の流れを最適に調整することが知られて
いる。これらの方法は有効に組み合わせて利用すること
ができる。
【0140】国際公開WO95/30933号公報、同
97/21150号公報、特表平10−500496号
公報には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の
開口部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカ
ートリッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に
用いることが記載されている。また、国際公開WO96
/12213号公報、特表平10−507403号公報
には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィル
ターを組み合わせたフィルターを用いることが記載され
ている。本発明ではこれらを好ましく用いることができ
る。また、米国特許第4,518,845号明細書、特
公平3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を
除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置
と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されて
いる。また、国際公開WO98/27458号には、フ
ィルムから揮発するかぶりを増加させる成分をフィルム
表面から取り除くことが記載されている。これらについ
ても本発明では好ましく用いることができる。
【0141】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラー
はシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製の
ヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平
面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対
12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対1
1から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像さ
れる。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬
送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のロ
ーラー13が設置され、その反対側のバック面が接触す
る側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン
(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14
が設置される。熱現像感光材料10は画像形成層を有す
る面に接触する複数のローラー13の駆動により、バッ
ク面を平滑面14の上に滑らせながら搬送される。ロー
ラー13の上部および平滑面14の下部には、熱現像感
光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター1
5が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒー
ター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのク
リアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光
材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。
好ましくは0〜1mmである。
【0142】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。なお、加熱部は、搬
入ローラー対11を有する予備加熱部Aと、加熱ヒータ
ー15を備えた熱現像加熱部Bとで構成されるが、熱現
像処理部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温度よりも
低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料
10中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間
に設定することが望ましく、熱現像感光材料10の支持
体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ム
ラが出ないように設定することが好ましい。予備加熱部
と熱現像処理部の温度分布としては±1℃以下が好まし
く、さらには±0.5℃以下が好ましい。また、熱現像
処理部Bの下流にはガイド板16が設置され、搬出ロー
ラー対12とガイド板16とを有する徐冷部Cが設置さ
れる。ガイド板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、
熱現像感光材料10に変形が起こらないようにするため
に冷却は徐々に行うのが好ましく、冷却速度としては、
0.5〜10℃/秒が好ましい。
【0143】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0144】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。 <実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlに、アルカ
リ処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700pp
m以下)11g、臭化カリウム30mg、および4−メ
チルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解し
て、40℃にてpHを6.5に調整した。この水溶液
に、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと、臭化
カリウムを1モル/リットル、(NH42RhCl
5(H2O)を5×10-6モル/リットル、およびK3
rCl6を2×10-5モル/リットル含む水溶液とを、
pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット
法で6分30秒かけて添加した。ついで、硝酸銀55.
5gを含む水溶液476mlと、臭化カリウムを1モル
/リットルおよびK3IrCl6を2×10-5モル/リッ
トル含むハロゲン塩水溶液を、pAg7.7に保ちなが
らコントロールダブルジェット法で28分30秒かけて
添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理
をし、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン(カ
ルシウム含有量として20ppm以下)51.1gを加
え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒
子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9
%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。
【0145】こうして得られたハロゲン化銀粒子を60
℃に昇温して、銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸
ナトリウム76μモルを添加し、3分後にトリエチルチ
オ尿素71μモルを添加した後、100分間熟成し、4
−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラ
ザインデンを5×10-4モル、化合物Aを0.17g加
えた後、40℃に降温させた。その後、温度を40℃に
保ち、ハロゲン化銀1モルに対して4.7×10-2モル
の臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×10
-4モルの下記増感色素A(エタノール溶液として添
加)、6.4×10-3モルの化合物B(メタノール溶液
として添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30℃
に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0146】
【化33】
【0147】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸
(ヘンケル社製、EdenorC22−85R)87.
6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液49.
2ml、およびtert−ブチルアルコール120ml
を混合し、75℃で1時間攪拌して反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。これとは別に、硝酸銀40.4
gの水溶液206.2mlを用意し、10℃に保温し
た。蒸留水635mlとtert−ブチルアルコール3
0mlを入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しなが
ら前記ベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の
全量を、それぞれ62分10秒と60分かけて一定の速
度で添加した。この時、硝酸銀水溶液添加開始後7分2
0秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、7分
20秒経過後にベヘン酸ナトリウム溶液を添加し始め、
硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリ
ウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応
容器内の温度は30℃とし、液温が上がらないようにコ
ントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加
系の配管は、スチームトレースにより保温し、添加ノズ
ル先端の出口の液温が75℃になるようにスチーム量を
コントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管
は、二重管の外側に冷水を循環させることにより保温し
た。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液
の添加位置は攪拌軸を中心として対称に配置し、また反
応液に接触しないような高さに調節した。
【0148】ベヘン酸ナトリウム溶液の添加終了後、そ
のままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過により固形分を濾別し、固形分を
濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こ
うして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケー
キとして保管した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を
電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径
0.52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当
径の変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0149】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1,700)7.4gおよび水を添
加し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予
備分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン製、商品名:マイクロフルイダイザーM−110S
−EH、G10Zインタラクションチャンバー使用)の
圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、
ベヘン酸銀分散物Aを得た。冷却手段として蛇管式熱交
換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着
し、冷媒の温度を調節することによって所望の分散温度
に設定した。こうして得られたベヘン酸銀分散物Aに含
まれるベヘン酸銀粒子は、体積加重平均直径0.52μ
m、変動係数15%の粒子であった。粒子サイズの測定
は、Malvern Instruments Lt
d.製MasterSizerXにて行った。また電子
顕微鏡撮影により評価すると、長辺と短辺の比が1.
5、粒子厚み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の
投影面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であっ
た。
【0150】《一般式(1)で表される還元剤の固体微
粒子分散物の調製》一般式(1)で表される還元剤(表
1に記載の種類)10kgと変性ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%
水溶液10kgに、水16kgを添加して、よく混合し
てスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプ
で送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充
填した横型サンドミル(アイメックス(株)製、UVM
−2)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチア
ゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて一般式(1)で
表される還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、一般式(1)で表される還元剤の固体微粒子分散物
を得た。こうして得られた分散物に含まれる一般式
(1)で表される還元剤の粒子はメジアン径0.44μ
m、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数
19%であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。
【0151】《一般式(2)で表されるフェノール化合
物の固体微粒子分散物の調製》一般式(2)で表される
フェノール化合物(表1に記載の種類)10kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを
添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmの
ジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(アイメッ
クス(株)製、UVM−2)にて3時間30分分散した
のち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を
加えて一般式(2)で表されるフェノール化合物の濃度
が25質量%になるように調製し、一般式(2)で表さ
れるフェノール化合物の固体微粒子分散物を得た。こう
して得られた分散物に含まれる一般式(2)で表される
フェノール化合物の粒子はメジアン径0.44μm、最
大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数19%
であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプロ
ピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除
去して収納した。
【0152】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kg、変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kg、トリイソプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639g、
サーフィノール104E(日信化学(株)製)400
g、メタノール640g、および水16kgを添加し
て、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコ
ニアビーズを充填した横型サンドミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて5時間分散したのち、水を
加えて有機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%に
なるように調整し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微
粒子分散物を得た。こうして得られた分散物に含まれる
有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μ
m、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数
18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmの
ポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の
異物を除去して収納した。
【0153】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kg、変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20
質量%水溶液2.5kg、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213g、お
よび水10kgを添加して、よく混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて5時
間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩
2.5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃
度が20質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン
化合物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得られた
分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジア
ン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒
子径の変動係数20%であった。得られた分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0154】《化合物Zの固体微粒子分散物の調製》化
合物Zを85質量%含有する三光(株)製R−054を
3.5kgに対して、変性ポリビニルアルコール(クラ
レ(株)製、ポバールMP203)1kgと水15kg
とを添加してよく混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mm
のジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(アイメ
ックス(株)製、UVM−2)にて7時間分散したの
ち、水を加えて化合物−Zの濃度が10質量%になるよ
うに調製し、化合物−Zの固体微粒子分散物を得た。こ
うして得られた分散物に含まれる化合物Zの粒子はメジ
アン径0.45μm、最大粒子径4.0μm以下、粒子
径の変動係数17%であった。得られた分散物は、孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0155】《一般式(3)で表されるフタラジン化合
物の分散液の調製》室温で水87.9gを攪拌しなが
ら、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバ
ールMP203)2.0gが塊状にならない様に添加し
て10分間攪拌混合した。その後加熱し、内温が50℃
になるまで昇温した後、1時間攪拌し均一に溶解した。
内温を40℃以下に降温して、トリプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20%水溶液3.0g、および
一般式(3)で表されるフタラジン化合物として6−イ
ソプロピルフタラジン(70%水溶液)7.14gを添
加し、30分攪拌して透明分散液を得た。得られた分散
物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して6−イソプロピ
ルフタラジン化合物の分散液として収納した。
【0156】《超硬調化剤の固体微粒子分散物の調製》
超硬調化剤(化合物AA)4kgに対して、変性ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールPVA−2
17)1kgと水36kgとを添加して、よく混合して
スラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで
送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填
した横型サンドミル(アイメックス(株)製、UVM−
2)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノ
ンナトリウム塩4gと水を加えて超硬調化剤濃度が10
質量%になるように調整し、超硬調化剤の固体微粒子分
散物を得た。こうして得られた分散物に含まれる超硬調
化剤の粒子はメジアン径0.34μm、最大粒子径3.
0μm以下、粒子径の変動係数19%であった。得られ
た分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィル
ターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。
【0157】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1モルに対して、以下のバイ
ンダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、
水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱
気を−350mmHgで60分間行った。塗布液のpH
は7.7、粘度は25℃で45cpであった。
【0158】 バインダー 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製、ラックスター3307B、SBRラテックス でガラス転移温度17℃) 一般式(1)の還元剤 固形分として 404ミリモル 一般式(2)のフェノール化合物 固形分として 80ミリモル 有機ポリハロゲン化合物A 固形分として 43.5g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 13.5g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.30g ベンゾトリアゾール 1.04g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 固形分として 12.8g オルトリン酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 化合物Z 固形分として 9.7g 超硬調化剤(化合物AA) 固形分として 0.03モル 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量(目安として0.37g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として 0.06モル 化合物C 2.0g 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノール 塗布液中総溶媒量として 2質量% エタノール 塗布液中総溶媒量として 1質量% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0159】
【化34】
【0160】《下層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度21.5%、化合物Aを1
00ppm含有、造膜助剤として化合物Dをラテックス
の固形分に対して15質量%含有、塗布液のガラス転移
温度24℃)943gに水を加え、化合物Eを1.62
g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平
均粒径の変動係数8%)1.98gおよびポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製、PVA−235)29.4
gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を
2質量%含有)を調製した。塗布液を調製後、減圧脱気
を−400mmHgで60分間行った。塗布液のpHは
5.5、粘度は25℃で40cpであった。
【0161】《上層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度21.5%、化合物Aを1
00ppm含有、造膜助剤として化合物Dをラテックス
の固形分に対して15質量%含有、塗布液のガラス転移
温度24℃)649gに水を加え、カルナウバワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液6.30g、
化合物Cを0.23g、化合物Fを7.95g、化合物
Gを0.93g、化合物Hを1.8g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−235)12.1gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含
有)を調製した。塗布液調製後、減圧脱気を−400m
mHgで60分間行った。塗布液のpHは2.8、粘度
は25℃で30cpであった。
【0162】
【化35】
【0163】《バック/下塗り層を有するポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度0.66(フェノール/テトラクロルエタ
ン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレン
テレフタレートを得た。これをペレット化した後、13
0℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T型ダイか
ら押し出した後に急冷し、熱固定後の膜厚が120μm
になるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを
周速の異なるロールを用いて110℃で3.3倍に縦延
伸し、ついでテンターを用いて130℃で4.5倍に横
延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後、同じ
温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャ
ック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、
4.8kg/cm2で巻きとった。このようにして、幅
2.4m、長さ3,500m、厚み120μmのロール
状のPET支持体を得た。
【0164】(2)下塗り層およびバック層の形成 (2−1)下塗り第一層 以下に示す組成の塗布液を6.2ml/m2となる様に
支持体上に塗布し、125℃で30秒、150℃で30
秒、185℃で30秒乾燥した。 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 蒸留水 合計1,000gとなる量
【0165】(2−2)下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物‐Bc−A 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 合計1,000gとなる量
【0166】(2−3)バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A(783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整 ) 目安として 0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、スミテックスレジンM−3(8 %水溶液)) 15g SbドープSnO2の針状粒子の水分散物 (石原産業(株)製、FS−10D) 24g ポリスチレン微粒子 (平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計1,000gとなる量
【0167】(2−4)バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製)57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(住友化学工業(株)製、スミテックスレジンM−3(8 %水溶液)) 15g セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計1,000gとなる量
【0168】(2−5)バック第三層 下塗り第一層の塗布液と同じ組成を有する塗布液を6.
2ml/m2となる様にバック第二層上に塗布し、12
5℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾
燥した。
【0169】(2−6)バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート (10%水分散物、平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%)7.7g 蒸留水 合計1,000gとなる量
【0170】
【化36】
【0171】ラテックス−A:コア部90質量%、シェ
ル部10質量%のコアシェルタイプのラテックス コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチル
メタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93
/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチ
ルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=8
8/3/3/3/3(質量%) 質量平均分子量38000 ラテックス−B:メチルメタクリレート/スチレン/2
−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1
(質量%の共重合体)
【0172】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 作製したバック/下塗り層を有するPET支持体を、1
60℃に設定した全長200m熱処理ゾーンに入れ、張
力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0173】《熱現像感光材料の作製》PET支持体の
下塗り第二層の上に、特願平10−292849号明細
書の図1に示されるスライドビート塗布方式を用いて、
前記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2にな
るように塗布した。さらにその上に、前記下層保護層塗
布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g
/m2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗
布した。その後、下層保護層の上に前記上層保護層塗布
液をポリマーラテックスの固形分塗布量が3.02g/
2になるように塗布し、熱現像感光材料を作製した。
塗布時の乾燥は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70
〜75℃、露点8〜25℃、液膜表面温度35〜40℃
の範囲で、水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支
持体が1.5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取
りは25±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行
い、巻き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)
に合わせ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感
光材料の相対湿度は20〜40%(25℃測定)で、得
られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは5.
0、ベック平滑度は850秒であり、反対側の膜面pH
は5.9、ベック平滑度は560秒であった。
【0174】《露光処理》得られた熱現像感光材料を、
ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56
μm、レーザー出力50mW、出力波長783nmの半
導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレ
ーザー露光装置を使用し、ミラーの回転数を変化させる
ことにより露光時間を調整し、出力値を変えることによ
り露光量を調整して、2×10-8秒で露光した。この時
のオーバーラップ係数は0.449にした。
【0175】《熱現像処理》露光済みの熱現像感光材料
に対して、図1に示す熱現像機を用いて熱現像処理を行
った。熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴ
ム、平滑面はテフロン不織布とし、搬送の線速度21.
2mm/秒で予備加熱部14.4秒(予備加熱部と熱現
像処理部の駆動系は独立しており、熱現像部との速度差
は−0.5%〜−1%に設定、各予熱部の金属ローラー
の設定温度と時間は第1ローラーが67℃で2.4秒、
第2ローラーが82℃で2.4秒、第3ローラーが98
℃で2.4秒、第4ローラーが107℃で2.4秒、第
5ローラーが115℃で2.4秒、第6ローラーが12
0℃で2.4秒にした)、熱現像処理部は120℃(熱
現像感光材料面温度)で20.3秒、徐冷部は16秒
(120℃から60℃に連続的に16秒かけて低下さ
せ、冷却速度は−3.75℃/秒)で熱現像処理を行っ
た。なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であった。各
ローラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例えば幅6
1cm)よりも両側それぞれ5cm長くして、その部分
にも温度をかけて、温度精度が出るようにした。なお、
各ローラーの両端部分は温度低下が激しいので、熱現像
感光材料の両端部から幅5cmの部分はローラー中央部
よりも1〜3℃温度が高くなるように設定し、熱現像感
光材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度が均質な
仕上がりになるように留意した。
【0176】《写真性能の評価》得られた画像を、マク
ベスTD904濃度計(可視濃度)を用いて評価した。
評価は、Dmin(カブリ)、Dmax(最高濃度)お
よび感度(Dminより0.3高い濃度を与える露光量
の比の逆数で評価し、表1に記載の熱現像感光材料10
1を基準0として下記の式で表した。正に大きいほど、
高感度であることを示している。)について行った。 △S0.3=S0.3(評価感材試料)-S0.3(感材試料101) 本発明の試料は、感度およびDmax(最高濃度)が高
く、カブリが低い、良好な写真特性を備えている。
【0177】
【表1】
【0178】<実施例2>実施例1に記載の熱現像感光
材料について、化合物AAで表される超硬調化剤を含ま
ない熱現像感光材料を作製し、実施例1と同様に評価し
た。結果を表2に記載した。実施例2についても、本発
明の試料は、感度およびDmax(最高濃度)が高く、
カブリが低い、良好な写真特性を備えている。
【0179】
【表2】
【0180】
【発明の効果】本発明の熱現像感光材料は、感度および
Dmax(最高濃度)が高く、カブリが低くて写真製版
用途に最適な写真特性を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用いら
れる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の同一面上に、少なくとも(a)
    感光性ハロゲン化銀、(b)還元可能な銀塩、(c)下
    記一般式(1)で表される還元剤、(d)バインダー、
    および(e)下記一般式(2)で表されるフェノール化
    合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。 【化1】 (一般式(1)において、V1〜V8はそれぞれ独立に水
    素原子または置換基を表し、Lは−CH(V9)−また
    は−S−なる連結基を表し、V9は水素原子または置換
    基を表す。) 【化2】 (一般式(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立
    に水素原子または置換基を表す。X1〜X3はそれぞれ独
    立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1〜X3
    表される置換基はヒドロキシ基であることはなく、X1
    〜X3で表される置換基が窒素原子でフェノール環に連
    結しているとき、X1〜X3は含窒素複素環基または−N
    H−C(=O)−R4で表される基を表し、R4は炭素数
    8〜40の置換基を表す。R1、R2およびX1〜X3で表
    される置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 【請求項2】 さらに(f)下記一般式(3)で表され
    るフタラジン化合物を含有することを特徴とする請求項
    1に記載の熱現像感光材料。 【化3】 (一般式(3)において、Yは水素原子または一価の置
    換基を表し、mは1から6の整数を表す。(Y)mはフ
    タラジン環上に1〜6個のYがそれぞれ独立に存在する
    ことを示し、mが2以上の場合、隣接する2つのYが脂
    肪環、芳香環またはヘテロ環を形成してもよい。)
  3. 【請求項3】 一般式(2)において、X1〜X3の少な
    くとも一つが、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール
    オキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、
    アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、または窒素原子でフ
    ェノール環に連結する含窒素複素環基であることを特徴
    とする、請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 さらに超硬調化剤を含有することを特徴
    とする、請求項1から3のいずれかに記載の熱現像感光
    材料。
JP2000076240A 2000-03-17 2000-03-17 熱現像感光材料 Pending JP2001264929A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000076240A JP2001264929A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 熱現像感光材料
US09/809,318 US6645714B2 (en) 2000-03-17 2001-03-16 Photothermographic material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000076240A JP2001264929A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 熱現像感光材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001264929A true JP2001264929A (ja) 2001-09-28

Family

ID=18594011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000076240A Pending JP2001264929A (ja) 2000-03-17 2000-03-17 熱現像感光材料

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6645714B2 (ja)
JP (1) JP2001264929A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6800430B2 (en) 2001-03-29 2004-10-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photothermographic material
EP1582919A1 (en) 2004-03-23 2005-10-05 Fuji Photo Film Co. Ltd. Silver halide photosensitive material and photothermographic material
EP1635216A1 (en) 2004-09-14 2006-03-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photothermographic material
JP2006195064A (ja) * 2005-01-12 2006-07-27 Konica Minolta Photo Imaging Inc 撮影光学系および撮像装置

Families Citing this family (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070134603A9 (en) * 2000-10-26 2007-06-14 Yasuhiro Yoshioka Photothermographic material
US7148000B2 (en) * 2001-04-23 2006-12-12 Fuji Photo Film Co., Ltd. Heat-developable photosensitive material and image-forming process
US20030143500A1 (en) * 2001-06-28 2003-07-31 Fuji Photo Film Co., Ltd. Heat-developable photosensitive material
US20070224554A1 (en) * 2001-06-28 2007-09-27 Fujifilm Corporation Photothermographic material
JP3930290B2 (ja) * 2001-09-12 2007-06-13 富士フイルム株式会社 熱現像感光材料及びそれを用いた熱現像方法
US20050147931A1 (en) * 2002-04-17 2005-07-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Process for manufacturing a photothermographic material
US7083908B2 (en) * 2002-04-17 2006-08-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photothermographic material
US20040018458A1 (en) * 2002-05-17 2004-01-29 Hajime Nakagawa Photothermographic material
US7235352B2 (en) * 2002-06-28 2007-06-26 Fujifilm Corporation Photothermographic material
JP4031310B2 (ja) * 2002-07-23 2008-01-09 富士フイルム株式会社 熱現像感光材料、およびそれに用いられる感光性ハロゲン化銀の製造方法
JP4113398B2 (ja) * 2002-09-06 2008-07-09 富士フイルム株式会社 熱現像感光材料、および画像形成方法
JP2004102021A (ja) * 2002-09-11 2004-04-02 Konica Minolta Holdings Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料と、それを用いた画像記録方法及び画像形成方法
US6605418B1 (en) * 2002-10-28 2003-08-12 Eastman Kodak Company Thermally developable emulsions and materials containing phthalazine compounds
US7332267B2 (en) * 2002-12-17 2008-02-19 Fujifilm Corporation Photothermographic material
US7157217B2 (en) * 2002-12-17 2007-01-02 Fujifilm Corporation Photothermographic material
JP4092213B2 (ja) * 2003-01-06 2008-05-28 富士フイルム株式会社 熱現像感光材料
JP2004271569A (ja) * 2003-03-05 2004-09-30 Fuji Photo Film Co Ltd 熱現像感光材料、及びその画像形成方法
JP2004309948A (ja) * 2003-04-10 2004-11-04 Fuji Photo Film Co Ltd 熱現像感光材料
US7442495B2 (en) * 2005-01-20 2008-10-28 Fujifilm Corporation Photothermographic material
US7241561B1 (en) 2006-02-10 2007-07-10 Carestream Health, Inc. Photothermographic reducing agents with bicyclic or tricyclic substitution
US20080057450A1 (en) * 2006-08-21 2008-03-06 Eastman Kodak Company Thermally developable materials containing reducing agent combinations
US7258967B1 (en) 2006-10-18 2007-08-21 Carestream Health, Inc. Photothermographic materials containing print stabilizers
US7482113B2 (en) * 2006-12-18 2009-01-27 Carestream Health, Inc. Photothermographic materials containing co-developers with phosphonium cation
US20080145801A1 (en) * 2006-12-18 2008-06-19 Chaofeng Zou Photothermographic materials containing developer and co-developer
US20140367620A1 (en) 2013-06-17 2014-12-18 Ronald Anthony Gogle Method for improving patterned silver conductivity
US9791269B2 (en) 2014-08-29 2017-10-17 Jutta Krebber Dent mirror
WO2017123444A1 (en) 2016-01-15 2017-07-20 Carestream Health, Inc. Method of preparing silver carboxylate soaps

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3349608B2 (ja) 1994-11-17 2002-11-25 富士写真フイルム株式会社 熱現像カラー感光材料
DE69604881T2 (de) 1995-08-15 2000-03-30 Fuji Photo Film Co., Ltd. Lichtempfindliches, wärmeentwickelbares Material
EP0803764B2 (en) * 1996-04-26 2005-03-30 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for preparing a photothermographic material
JP3821403B2 (ja) 1997-02-04 2006-09-13 富士写真フイルム株式会社 熱現像記録材料
US6146822A (en) * 1997-06-06 2000-11-14 Fuji Photo Film Co., Ltd. Thermographic or photothermographic image recording elements
US6146813A (en) 1999-01-13 2000-11-14 Applied Kinetics Inc. Method and shunting and deshunting an electrical component and a shuntable/shunted electrical component

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6800430B2 (en) 2001-03-29 2004-10-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photothermographic material
EP1582919A1 (en) 2004-03-23 2005-10-05 Fuji Photo Film Co. Ltd. Silver halide photosensitive material and photothermographic material
EP1635216A1 (en) 2004-09-14 2006-03-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photothermographic material
JP2006195064A (ja) * 2005-01-12 2006-07-27 Konica Minolta Photo Imaging Inc 撮影光学系および撮像装置

Also Published As

Publication number Publication date
US6645714B2 (en) 2003-11-11
US20010051319A1 (en) 2001-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6645714B2 (en) Photothermographic material
JP2001249425A (ja) 熱現像感光材料および画像形成方法
JP2002296728A (ja) 熱現像感光材料
JP2002365757A (ja) 熱現像感光材料
JP2002296729A (ja) 熱現像感光材料
JP2001154309A (ja) 熱現像感光材料の画像形成方法
JP2001075228A (ja) 熱現像感光材料
JP2002055409A (ja) 熱現像感光材料
JP2002323733A (ja) 熱現像画像記録材料
JP2001083657A (ja) 熱現像感光材料およびその製造方法
JP2002296727A (ja) 熱現像感光材料
JP2001305692A (ja) 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法
JP2001337414A (ja) 熱現像感光材料
JP2002090942A (ja) 熱現像感光材料
JP2002250985A (ja) 熱現像画像記録材料
JP2002107871A (ja) 熱現像画像記録材料
JP2002049126A (ja) 熱現像感光材料
JP2001281795A (ja) 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法
JP2002148753A (ja) 熱現像画像記録材料
JP2001272742A (ja) 熱現像感光材料
JP2002122957A (ja) 熱現像感光材料
JP2001264925A (ja) 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法
JP2001264924A (ja) 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法
JP2002062613A (ja) 熱現像感光材料
JP2002296724A (ja) 熱現像感光材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050920

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080527

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080930