JP2001264925A - 高速熱現像感光材料およびその画像形成方法 - Google Patents

高速熱現像感光材料およびその画像形成方法

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 文字線幅太りや被りを抑制しつつ迅速な現像
処理を行うことが可能で、良好な感光材料保存性を有す
る高速熱現像感光材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀、造核剤、バインダー、下記式(A)で表される
化合物、および下記式(1)で表される化合物の2種以
上を含有する高速熱現像感光材料。 【化1】 [式(A)において、R1、R2、R3、X1、X2は水素
原子、ハロゲン原子、または炭素原子等でベンゼン環に
結合する置換基を表わす。] 【化2】 Q−(Y)n−CZ12X 式(1) [式(1)において、Qはアルキル基、アリール基、ヘ
テロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0また
は1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは
水素原子または電子求引性基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高速熱現像感光材料
に関するものであり、特に写真製版用に適したスキャナ
ー、イメージセッター用高速熱現像感光材料に関し、さ
らに詳しくは、文字線幅太りや被りを抑制しつつ迅速な
現像処理が可能で、良好な感光材料保存性を有する高速
熱現像感光材料に関する。また、本発明は良好な画像を
形成することができる高速現像工程を含む画像形成方法
にも関する。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性層を有し、画像露光す
ることで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。近年写真製版分野において環境保全、
省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれてい
る。そこで、レーザー・スキャナーまたはレーザー・イ
メージセッターにより効率的に露光させることができ、
高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成す
ることができる写真製版用途の熱現像感光材料に関する
技術が必要とされている。これら熱現像感光材料では、
溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を
損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給する
ことができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,45
7,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Klos
terboer)による「熱によって処理される銀システム(T
hermally Processed SilverSystems)A」(イメージン
グ・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging
Processes and Materials)Neblette 第8版、J.ス
タージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、
A.シェップ(Shepp) 編集、第9章、第279頁、
1989年)に記載されている。このような感光材料
は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触
媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の
還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した
状態で含有している。感光材料は常温で安定であるが、
露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合に、
還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との
間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元
反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進され
る。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成し
た銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をな
し、画像の形成がなされる。また、従来から前記熱現像
感光材料は知られているが、これらの多くはトルエン、
メチルエチルケトン(MEK)、メタノールなどの有機
溶剤を溶媒とする塗布液を塗布することにより感光性層
を形成している。有機溶剤を溶媒として用いることは、
製造工程での人体への悪影響だけでなく溶剤の回収その
他のためコスト上も不利である。
【0004】そこで、このような心配のない水溶媒の塗
布液を用いて感光性層(以降「水系感光性層」ともい
う。)を形成する方法が考えられている。例えば特開昭
49−52626号公報、特開昭53−116144号
公報などにはゼラチンをバインダーとする例が記載され
ている。また特開昭50−151138号公報にはポリ
ビニルアルコールをバインダーとする例が記載されてい
る。さらに特開昭60−61747号公報にはゼラチン
とポリビニルアルコールを併用した例が記載されてい
る。これ以外の例として特開昭58−28737号公報
には水溶性ポリビニルアセタールをバインダーとする感
光層の例が記載されている。このようなバインダーを用
いると水溶媒の塗布液を用いて感光性層を形成すること
ができて環境面、コスト面のメリットは大きい。
【0005】また、高コントラストな写真特性を得るこ
とができるようにするために、欧州特許公開EP第76
2,196号公報、特開平9−90550号公報等に
は、感光性ハロゲン化銀粒子に第VII族またはVIII族の
金属イオンまたは金属錯体イオンやヒドラジン誘導体を
熱現像感光材料に含有させることが開示されている。
【0006】このように環境面、コスト面、写真特性の
点で熱現像感光材料には種々の改良が加えられてきた
が、熱現像の速度という点ではいまだ改良の余地が残さ
れている。一般に新聞分野などで写真製版用フィルムを
使用する場合は、生産性が追求されるため、フィルムを
迅速に処理することが望まれている。しかしながら、熱
現像感光材料は、従来の化学処理フィルムに比べて文字
線幅(実技感度)の露光量依存性が大きいという問題が
あり、ラインスピードを上げて迅速に熱現像することが
できなかった。このため、文字線幅の露光量依存性が小
さくて安定しており、写真製版用途に最適な高速熱現像
用の熱現像感光材料を提供することが望まれていた。一
方、熱現像感光材料は、製造直後に使用されることは稀
であり、通常は製造後に包装して流通する等ある程度の
期間経過後に使用されることが多い。しかしながら、従
来の熱現像感光材料は、長期保存した後に使用すると画
質が劣り、実用的でないものもあった。このため、熱現
像感光材料は、長期保存後に使用される場合であっても
性能が劣化しないことが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする第一の課題は、文字線幅太りや被りを抑制
しつつ迅速な現像処理を行うことが可能で、良好な感光
材料保存性を有する高速熱現像感光材料、特に写真製版
用、なかでもスキャナー、イメージセッター用高速熱現
像感光材料を提供することにある。さらに、本発明の解
決しようとする第二の課題は、現像時の文字線幅太りや
被りを抑制し、良質な画像を高速で形成する方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を組
み合わせて使用した熱現像感光材料を一定速度以上の速
いラインスピードで熱現像することによって所期の目的
を達成することができることを見出し、本発明を提供す
るに至った。すなわち本発明は、支持体上に非感光性銀
塩、感光性ハロゲン化銀、造核剤、バインダー、下記式
(A)で表される化合物、および下記式(1)で表され
る化合物の2種以上を含有する高速熱現像感光材料を提
供する。
【化4】 [式(A)において、R1、R2、R3は水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄
原子、もしくはリン原子でベンゼン環に結合する置換基
を表わす。X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原
子もしくはリン原子でベンゼン環に結合する置換基を表
わす。ただしX1、X2の少なくとも一方は−NR45
表される基である。R4、R5はそれぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、もしくは−C(=O)−R6、−C(=O)−C
(=O)−R6、−SO2−R6、−SO−R6、−P(=
O)(−R6)−R7で表される基である。R6、R7は水
素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
リール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基、アリールオキシ基から選ばれる基である。こ
れらの置換基はそれぞれ隣接する基同士が結合して環を
形成してもよい。]
【化5】 Q−(Y)n−CZ12X 式(1) [式(1)において、Qは置換基を有していてもよいア
ルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2
価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1および
2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求
引性基を表す。]
【0009】本発明の高速熱現像感光材料には、Qの置
換基が電子求引性基である式(1)の化合物を少なくと
も1種含有することが好ましく、特にQの置換基が式
(2)で表される電子吸引性基である式(1)の化合物
を少なくとも1種含有することが好ましい。
【化6】 [式(2)において、Lは連結基を表わし、W1および
2は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ
環基を表わす。nは0または1を表わす。]また、本発
明の高速熱現像感光材料は、感光性ハロゲン化銀を含有
する画像形成層に含まれるバインダーの50質量%以上
が、Tgが−30℃〜40℃のポリマーのラテックスで
あることが好ましい。
【0010】本発明は、上記の高速熱現像感光材料をラ
インスピード140cm/分以上で熱現像することを特
徴とする画像形成方法も提供する。本発明の画像形成方
法では、露光時間が10-7秒以下であることが好まし
く、レーザーヘッドを2機以上搭載したマルチビームで
露光することが好ましい。なお、本明細書において
「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値
および最大値として包含する範囲である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の高速熱現
像感光材料およびその画像形成方法について詳細に説明
する。本発明の高速熱現像感光材料は、支持体上に非感
光性銀塩、感光性ハロゲン化銀、造核剤、バインダー、
上記式(A)で表される化合物、および上記式(1)で
表される化合物の2種以上を含有するものである。な
お、本明細書において「高速熱現像感光材料」とは、1
40cm/分以上のラインスピードで熱現像処理を行う
ための感光材料をいう。従来の熱現像感光材料を用い
て、このような高速なラインスピードで熱現像処理を行
うと、文字線幅太りや被りが大きくて画質が悪かった。
しかし、上記の特徴を有する本発明の高速熱現像感光材
料によれば、文字線幅の変動が小さく、カブリ(Dmi
n)が小さくて最高濃度(Dmax)が高い良質な画質
を形成することができる。本発明の高速熱現像感光材料
は、特に140〜1000cm/分のラインスピードで
熱現像処理を行うことが好ましい。本発明の高速熱現像
感光材料に用いられる式(A)で表される化合物につい
て詳細に説明する。
【0012】
【化7】
【0013】R1、R2、R3は水素原子、ハロゲン原
子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、
リン原子でベンゼン環に結合する置換基を表わす。水素
原子、ハロゲン原子以外のものでは、炭素原子で結合し
ているものの例では、直鎖、分岐または環状のアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、ヘ
テロ環基、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモ
イル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル
基、オキサリル基、オキサモイル基、チオカルバモイル
基等がある。酸素原子で結合している置換基としてはヒ
ドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはア
リールオキシ)カルボニルオキシ基カルバモイルオキシ
基、スルホニルオキシ基などである。窒素原子で結合し
ている置換基としては、アミノ基、ニトロ基、ヒドラジ
ノ基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、(アルコキシもし
くはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルホンア
ミド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、
チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニ
オ基、オキサモイルアミノ基、ウレイド基、チオウレイ
ド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイ
ド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ
基、ホスホリルアミノ基、イミド基等である。硫黄原子
で結合している置換基としてはメルカプト基、ジスルフ
ィド基、スルホ基、スルフィノ基、スルホニルチオ基、
チオスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、ア
シルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基、
スルホ基、ヘテロ環チオ基等がある。リン原子で結合し
ている置換基としては、ホスホニル基、ホスフィニル基
などである。これら置換基は、これら置換基で更に置換
されていてもよい。
【0014】X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄
原子、もしくはリン原子でベンゼン環に結合する置換基
を表わす。X1、X2が水素原子、ハロゲン原子以外の置
換基を表すとき、その具体例はR1、R2、R3が置換基
を表すときと同じ範囲内より選ばれる。ただしX1、X 2
の少なくとも一方は−NR45で表される基である。R
4、R5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、アリール基、または−C(=
O)−R6、−C(=O)−C(=O)−R6、−SO2
−R6、−SO−R 6、もしくは−P(=O)(−R6
−R7で表される基である。R6、R7は水素原子、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘ
テロ環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基から選ばれる基である。これらの置換基
はそれぞれ隣接する基同士が結合して環を形成してもよ
い。
【0015】次に式(A)で表される化合物の好ましい
範囲について述べる。R1、R2、R3で好ましいものは
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐
または環状の、置換もしくは無置換のアルキル基(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ter
t−ブチル、n−オクチル、tert−アミル、1,3
−テトラメチルブチル、シクロヘキシル、トリフルオロ
メチル、ジフルオロメチル)、炭素数1〜20のアルケ
ニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−
ペンテニル)、炭素数1〜20のアルキニル基(例え
ば、プロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数6〜20
のアリール基(例えば、フェニル、p−メチルフェニ
ル、ナフチル)、炭素数1〜20のアシル基(例えば、
アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル)、炭素
数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキ
シカルボニル、エトキシカルボニル)、炭素数7〜20
のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカ
ルボニル)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例え
ば、カルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカ
ルバモイル)、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜
20のヘテロ環基(例えば、1−イミダゾリル、モリホ
リル、3−ピラゾリル)、ヒドロキシ基、炭素数1〜2
0のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブト
キシ)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、
フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ)、炭素数1〜2
0のヘテロ環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキ
シ)、炭素数2〜20のアシルオキシ基(例えば、アセ
トキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数0〜20のアミノ
基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、
ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ)、ニトロ基、炭素
数1〜20のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミ
ノ、ベンゾイルアミノ)、炭素数2〜20のアルコキシ
カルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミ
ノ)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミ
ノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ)、炭
素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスル
ホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、炭素数1〜2
0のスルファモイルアミノ基、炭素数0〜20のスルフ
ァモイル基(例えば、スルファモイル、メチルスルファ
モイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモ
イル)、炭素数0〜20のウレイド基(例えば、ウレイ
ド、メチルウレイド、フェニルウレイド)、炭素数2〜
20のイミド基(例えば、スクシンイミド、フタルイミ
ド、トリフルオロメタンスルホンイミド)、メルカプト
基、炭素数1〜20のジスルフィド基、スルホ基、スル
フィノ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、
メチルチオ、エチルチオ)、炭素数6〜20のアリール
チオ基(例えば、フェニルチオ)、炭素数1〜20のス
ルホニル基(例えば、メシル、トシル、フェニルスルホ
ニル)、炭素数1〜20のスルフィニル基(例えば、メ
タンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1
〜20のヘテロ環チオ基(例えば、2−イミダゾリルチ
オ)、炭素数1〜20のホスフィニル基(例えば、ジエ
トキシホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル)、炭
素数1〜20のホスホリルアミノ基(例えば、ジエチル
ホスホリルアミノ)等がある。
【0016】R1、R2、R3でより好ましいものは水素
原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状の、置換も
しくは無置換のアルキル基、アリール基、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヘテロ環
基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ
基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカ
ルボニルアミノ基、スルホンアミド基、イミド基、メル
カプト基、スルホ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、スルホニル基、スルファモイル基である。
【0017】R1、R2、R3でさらに好ましいものは水
素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状の、置換
もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒド
ロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオ
キシ基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホンアミド
基、メルカプト基、スルホ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、スルホニル基、スルファモイル基である。
【0018】−NR45で表される基以外のX1、X2
好ましいものはR1、R2、R3の好ましいものと同じ範
囲内より選ばれ、より好ましいものもまた同様の範囲よ
り選ばれる。−NR45で表される基において、−C
(=O)−R6、−C(=O)−C(=O)−R6、−S
2−R6、−SO−R6、−P(=O)(−R6)−R7
で表される基以外のR4、R5で好ましいものは水素原
子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状の、置換も
しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オク
チル、tert−アミル、1,3−テトラメチルブチ
ル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、ジフルオロ
メチル)、炭素数1〜20のアルケニル基(例えば、ビ
ニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)、炭素
数1〜20のアルキニル基(例えば、プロパルギル、3
−ペンチニル)、炭素数6〜20のアリール基(例え
ば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル)であ
り、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜10の直鎖、
分岐または環状の、置換もしくは無置換のアルキル基、
炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアル
キニル基、炭素数6〜12のアリール基である。
【0019】−C(=O)−R6、−C(=O)−C
(=O)−R6、−SO2−R6、−SO−R6、−P(=
O)(−R6)−R7で表される基において、R6、R7
好ましいものは水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐
または環状の、置換もしくは無置換のアルキル基(例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ter
t−ブチル、n−オクチル、tert−アミル、1,3
−テトラメチルブチル、シクロヘキシル、トリフルオロ
メチル、ジフルオロメチル)、炭素数1〜20のアルケ
ニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−
ペンテニル)、炭素数1〜20のアルキニル基(例え
ば、プロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数6〜20
のアリール基(例えば、フェニル、p−メチルフェニ
ル、ナフチル)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアル
コキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、
炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェニル
オキシ、2−ナフチルオキシ)、炭素数1〜20のヘテ
ロ環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ)、炭素数
1〜20アミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジ
メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ)、
炭素数1〜20のヘテロ環基(例えば、1−イミダゾリ
ル、モリホリル、3−ピラゾリル)である。より好まし
くは水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状
の、置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10
のアルケニル基、炭素数1〜10のアルキニル基、炭素
数6〜12のアリール基、ヒドロキシ基、炭素数1〜1
0のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ
基、炭素数1〜10のヘテロ環オキシ基、炭素数1〜1
0のアミノ基、炭素数1〜10のヘテロ環基である。更
に好ましくは水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐ま
たは環状の、置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数
6〜12のアリール基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10
のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、
炭素数1〜10のアミノ基、炭素数1〜10のヘテロ環
基である。
【0020】式(A)で表される化合物でより好ましく
はR1、R2、R3が水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分
岐または環状の、置換もしくは無置換のアルキル基、ア
リール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、カ
ルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アシルオキシ基、ニトロ基、アシルアミノ
基、スルホンアミド基、メルカプト基、スルホ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルファ
モイル基であり、X1、X2のどちらか一方が水素原子、
ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状の、置換もしくは
無置換のアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ
基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ニ
トロ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、メルカプ
ト基、スルホ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ス
ルホニル基、スルファモイル基であり、もう一方が−N
45を表し、かつR4、R5のうち少なくとも一方が−
C(=O)−R6、−C(=O)−C(=O)−R6、−
SO2−R6、−SO−R6、−P(=O)(−R6)−R
7で表される基の時である。
【0021】式(A)で表される化合物で特に好ましく
はR1、R2、R3が水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分
岐または環状の、置換もしくは無置換のアルキル基、ア
リール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、ヒ
ドロキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スル
ホニル基、スルファモイル基であり、X1、X2のどちら
か一方が水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環
状の、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、ヒドロキシ
基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル
基、スルファモイル基であり、もう一方が−NR45
表し、かつR 4、R5のうち一方が水素原子で他方が−C
(=O)−R6、−SO2−R6、−P(=O)(−R6
−R7で表される基の時である。
【0022】これらの置換基はさらに上記に記したよう
な置換基で置換されていてもよい。またこれらの置換基
が酸性度の高い水素原子を持つものであれば、そのプロ
トンが解離して塩を形成していてもよい。その対カチオ
ンとしては、金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホ
ニウムイオンが用いられる。このように活性水素を解離
させた状態は、化合物の現像時における揮散性が問題と
なるケースには有効な対処法となりうる。
【0023】式(A)で表される化合物の一つの分子に
該フェノール構造を一つだけ持つ場合には、置換基の総
炭素数は好ましくは1〜200個、より好ましくは1〜
150個、さらに好ましくは1〜100個である。ただ
し複数の該フェノール構造が高分子鎖に結合している場
合にはこの限りではなく、高分子全体の平均分子量とし
ては500000以下のものが用いられる。また炭素数
1〜100個までの連結基で結合されたビス体、トリス
体などの化合物も有効である。これらのように分子量を
大きくすることは、化合物の現像時における揮散性が問
題となるケースには有効な対処法となりうる。
【0024】本発明に用いられる式(A)で表される化
合物は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組
み込まれていてもよい。こうした吸着基としては、アル
キルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド
基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特
許第4,385,108号明細書、同4,459,34
7号明細書、特開昭59−195233号公報、同59
−200231号公報、同59−201045号公報、
同59−201046号公報、同59−201047号
公報、同59−201048号公報、同59−2010
49号公報、特開昭61−170733号公報、同61
−270744号公報、同62−948号公報、同63
−234244号公報、同63−234245号公報、
同63−234246号公報に記載された基が挙げられ
る。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサ
ー化されていてもよい。その様なプレカーサーとして
は、特開平2−285344号公報に記載された基が挙
げられる。
【0025】本発明に用いられる式(A)で表される化
合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤にお
いて常用されているバラスト基またはポリマーが組み込
まれているものでもよい。バラスト基は8以上の炭素数
を有する、写真性に対して比較的不活性な基であり、例
えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニ
ル基、アルキルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフ
ェノキシ基などの中から選ぶことができる。またポリマ
ーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記
載のものが挙げられる。
【0026】本発明に用いられる式(A)で表される化
合物は、その中にカチオン性基(具体的には、4級のア
ンモニオ基を含む基、または4級化された窒素原子を含
む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプ
ロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキ
ル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、あるいは塩基
により解離しうる解離性基(カルボキシ基、スルホ基、
アシルスルファモイル基、カルバモイルスルファモイル
基等)が含まれていてもよい。これらの基の具体例とし
ては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5
−333466号公報、特開平6−19032号公報、
特開平6−19031号公報、特開平5−45761号
公報、米国特許4994365号明細書、米国特許49
88604号明細書、特開平3−259240号公報、
特開平7−5610号公報、特開平7−244348号
公報、独国特許4006032号明細書等に記載の化合
物が挙げられる。
【0027】次に式(A)で表わされる化合物の好まし
い具体例を以下に示す。ただし本発明で用いることがで
きる化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】式(A)で表される化合物は公知の方法に
より容易に合成することができるが、例えば、特開昭4
9−80386号公報、特開平5−257227号公
報、特開平10−221806号公報に記載の方法を参
考に合成することができる。式(A)で表される化合物
の使用量は、使用する有機銀塩1モルに対して1×10
-6モル〜2×10-1モル、好ましくは1×10-5モル〜
1×10-1モル、より好ましくは5×10-4モル〜5×
10-2モルである。
【0036】式(A)で表わされる化合物は、水あるい
は適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることが
できる。また、既によく知られている乳化分散法によっ
て、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレ
ートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなど
の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製
して用いることができる。あるいは固体分散法として知
られている方法によって、粉末を水の中にボールミル、
コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴー
リン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によって
分散し用いることができる。
【0037】式(A)で表わされる化合物は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。式
(A)で表わされる化合物は後述する有機銀塩を還元す
るための還元剤と併用することが好ましい。併用する還
元剤としては、フェノール化合物でそのベンゼン環上に
一つだけ水酸基を持ち、水酸基のオルト位に少なくとも
一つの置換基を有する化合物(いわゆるヒンダードフェ
ノール化合物)が好ましく用いられる。具体例としては
米国特許5496695号明細書、特開平9−2742
74号公報、特開平9−304876号公報等に記載さ
れている化合物群が挙げられる。
【0038】次に本発明に用いられる式(1)で表され
る化合物について詳細に説明する。
【化8】 Q−(Y)n−CZ12X 式(1)
【0039】式(1)において、Qは置換基を有してい
てもよいアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表
し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、
1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子また
は電子求引性基を表す。式(1)において、Qは置換基
を有してもよいアルキル基、アリール基またはヘテロ環
基を表す。式(1)のQで表わされるアルキル基とは、
直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好まし
くは1〜6である。例えば、メチル、エチル、アリル、
n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブ
チル、t−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、
t−ペンチル、t−オクチル、1−メチルシクロヘキシ
ル等が挙げられる。好ましくは3級のアルキル基であ
る。
【0040】Qで表わされるアルキル基は置換基を有し
ていてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼ
さない置換基であればどのような基でも構わないが、例
えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原
子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N−置換の含窒
素ヘテロ環基を含む、例えばモルホリノ基)、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバ
モイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルオキシ基、スルホニルオキシ
基、アシルアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、
チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミ
ノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、(ア
ルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、ニト
ロ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、スル
ファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構
造を含む基、シリル基、カルボキシル基またはその塩、
スルホ基またはその塩、リン酸基、ヒドロキシ基、4級
アンモニウム基等が挙げられる。これら置換基は、これ
ら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0041】式(1)のQで表わされるアリール基は単
環または縮合環のアリール基であり、好ましくは炭素数
6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6
〜10であり、フェニル基またはナフチル基が好まし
い。Qで表わされるアリール基は置換基を有していても
よく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさない置
換基であればどのような基でも構わないが、例えば前述
のアルキル基の置換基と同様の基が挙げられる。
【0042】式(1)のQで表わされるヘテロ環基とし
ては、ヘテロ環が窒素、酸素および硫黄原子からなる群
より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む5または7員の
飽和または不飽和の単環または縮合環であるものが好ま
しい。ヘテロ環の例としては、好ましくはピリジン、キ
ノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリダ
ジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、
ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾ
ール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダ
ゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げられ、
さらに好ましくはピリジン、キノリン、ピリミジン、チ
アジアゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましく
は、ピリジン、キノリン、ピリミジンである。Qで表わ
されるヘテロ環基は置換基を有してもよく、例えば式1
のQで表わされるアルキル基の置換基と同様の基が挙げ
られる。
【0043】Qは、好ましくは、フェニル基、ナフチル
基、キノリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアジア
ゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、特に好ましく
は、フェニル基、ナフチル基、キノリル基、ピリジル
基、ピリミジル基である。Qの置換基として、拡散性を
低下させるために写真用素材で使用されるバラスト基や
銀塩への吸着基や水溶性を付与する基を有していてもよ
いし、互いに重合してポリマーを形成してもよいし、置
換基どうしが結合してビス型、トリス型、テトラキス型
を形成してもよい。
【0044】式(1)において、Yは2価の連結基を表
わすが好ましくは−SO2−、−SO−、−CO−であ
り、特に好ましくは−SO2−である。式(1)におい
て、nは0または1を表わすが、好ましくは1である。
1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子(例えば、
フッ素、塩素、臭素、沃素など)を表すが、Z1および
2は両方とも臭素原子であることが最も好ましい。
【0045】Xは水素原子または電子求引性基を表す。
本明細書において「電子求引性基」とは、ハメットの置
換基定数σpが正の値を取りうる置換基である。具体的
には、Xがとりうる電子吸引性基として、シアノ基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、アシル
基、ヘテロ環基等が挙げられる。Xは好ましくは水素原
子またはハロゲン原子であり、最も好ましくは臭素原子
である。
【0046】本発明では、2種以上の式(1)の化合物
を用いるが、少なくとも1種は、式(1)のQの置換基
が電子求引性基であることが好ましい。Zがとりうる電
子吸引性基として、具体的には、シアノ基、アルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子、で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子求引性基で置換されたアリール基
等である。ここでヘテロ環とは、飽和もしくは不飽和の
ヘテロ環基で、例えば、ピリジル基、キノリル基、キノ
キザリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、
イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダントイン
−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基等が
挙げられる。これらの電子求引性基は、更に置換基を有
していてもよく、その置換基としては、例えば式1のQ
で表わされるアルキル基の置換基と同様の基が挙げられ
る。
【0047】式(1)のQの置換基が、電子求引性基で
ある場合、式(2)の構造を有する化合物であることが
好ましい。式(1)のQに式(2)の構造の置換基を有
する場合、式(1)のQは、好ましくはアリーレン基で
あり、特に好ましくはフェニレン基である。Qがフェニ
レン基を表わすとき、−Y1−C(X1)(Z1)(Z
2)と式(2)は互いにメタ位に結合していることが好
ましい。
【0048】
【化9】
【0049】式(2)において、Lは連結基を表わし、
1およびW2は水素原子、アルキル基、アリール基また
はヘテロ環基を表わす。nは0または1を表わす。式
(2)のLは二価の連結基を表わし、例えばアルキレン
基(好ましくは炭素数1〜30であり、さらに好ましく
は炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数1〜1
0である。)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜3
0であり、さらに好ましくは炭素数6〜20であり、特
に好ましくは炭素数6〜10である。)、アルケニレン
基(好ましくは炭素数2〜30であり、さらに好ましく
は炭素数2〜20であり、特に好ましくは炭素数2〜1
0である。)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜
30であり、さらに好ましくは炭素数2〜20であり、
特に好ましくは炭素数2〜10である。)、2価の複素
環基(好ましくは炭素数1〜30であり、さらに好まし
くは炭素数1〜20であり、特に好ましくは炭素数1〜
10である。)、−O−基、−NR−基、−CO−基、
−S−基、−SO−基、−SO2−基、リン原子を含む
基や、これらを組み合わせることによって形成される基
等が挙げられる(ここでRで表わされる基は水素原子ま
たは置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有
してもよいアリール基である)。
【0050】式(2)のLで表わされる連結基は置換基
を有していても良く、例えば、Qで表わされるアリーレ
ン基の置換基と同様のものが挙げられる。式(2)のL
で表わされる連結基は、好ましくはアルキレン基、アリ
ーレン基、−O−基、−NRCO−基、−SO2NR−
基およびこれらを組み合わせることによって形成される
基である。式(2)のnは0または1であり、好ましく
は0である。
【0051】式(2)においてW1およびW2はそれぞれ
独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ
環基を表わす。式(2)のW1およびW2で表わされるア
ルキル基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基であ
り、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
2、特に好ましくは1〜6である。例えば、メチル、エ
チル、アリル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、se
c−ペンチル、イソペンチル、3−ペンチル、n−ヘキ
シル、n−オクチル、n−ドデシル、シクロヘキシル等
が挙げられる。
【0052】式(2)のW1およびW2で表わされるアル
キル基は置換基を有していても良く、例えば、Qで表わ
されるアリーレン基の置換基と同様のものが挙げられ
る。W 1およびW2で表わされるアルキル基の置換基は好
ましくはハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、
アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、スルホンアミド基、(アルキル
またはアリール)チオ基、(アルキルまたはアリール)
スルホニル基、スルホ基またはその塩、カルボキシル基
またはその塩、リン酸基またはその塩、水酸基であり、
さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、カルバモイル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、(アルキルまたはアリール)チ
オ基、スルホ基またはその塩、カルボキシル基またはそ
の塩、水酸基であり、特に好ましくはハロゲン原子、ア
ルケニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アルキル
チオ基、スルホ基の塩、カルボキシル基またはその塩、
水酸基である。
【0053】式(2)のW1およびW2で表わされるアリ
ール基は単環または縮合環のアリール基であり、好まし
くは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好
ましくは6〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチ
ル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。W1および
2で表わされるアリール基は置換基を有していても良
く、例えば、W1およびW2で表わされるアルキル基の置
換基と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様であ
る。式(2)のW1およびW2で表わされるヘテロ環は、
N、OまたはSの原子を少なくとも1つ含む5ないし7
員の飽和または不飽和のヘテロ環であり、これらは単環
であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成していて
もよい。例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニ
ル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベ
ンツイミダゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキ
ノリル、トリアゾリル等が挙げられる。これらは置換基
を有していても良く、例えば、W1およびW2で表わされ
るアルキル基の置換基と同様のものが挙げられ、好まし
い範囲も同様である。
【0054】式(2)のW1およびW2はそれぞれ同じで
も異なっていても良く、互いに結合して環状構造になっ
ていてもよい。式(2)のW1およびW2は好ましくは水
素原子またはアルキル基またはアリール基であり、特に
好ましくは水素原子またはアルキル基である。
【0055】式(1)で表わされる化合物の例を以下に
示すがこれに限定されるものではない。式(1)のポリ
ハロゲン化合物としては、例えば米国特許第3,87
4,946号明細書、米国特許第4,756,999号
明細書、米国特許第5,340,712号明細書、米国
特許第5,369,000号明細書、米国特許第5,4
64,737号明細書、特開昭50−137126号公
報、同50−89020号公報、同50−119624
号公報、同59−57234号公報、特開平7−278
1号公報、同7−5621号公報、同9−160164
号公報、同10−197988号公報、同9−2441
77号公報、同9−244178号公報、同9−160
167号公報、同9−319022号公報、同9−25
8367号公報、同9−265150号公報、同9−3
19022号公報、同10−197989号公報、同1
1−242304号公報、特願平10−181459号
明細書、同10−292864号明細書、同11−90
095号明細書、同11−89773号明細書、同11
−205330号明細書等に記載された化合物が挙げら
れる。
【0056】式(1)で表されるポリハロゲン化合物の
使用量は、熱現像画像記録材料1m 2当たりの塗布量と
して、1×10-6〜1×10-2mol/m2が好まし
く、より好ましくは1×10-5〜5×10-3mol/m
2であり、さらに好ましくは2×10-5〜1×10-3
ol/m2である。式(1)で表されるポリハロゲン化
合物は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形
成層あるいはこの層側のどの層に添加してもよいが、画
像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好
ましい。
【0057】式(1)で表わされるポリハロゲン化合物
は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなど
に溶解して用いることができる。また、公知の乳化分散
法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォス
フェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチル
フタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、粉末を水の中にボール
ミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マント
ンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波に
よって分散して用いることができる。
【0058】本発明の高速熱現像感光材料には、非感光
性銀塩を使用する。本発明で用いる非感光性銀塩として
有機銀塩を好ましく用いることができる。本発明に用い
ることができる有機銀塩は、光に対して比較的安定であ
るが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像な
ど)および還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に
加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀
塩は、還元可能な銀イオン源を含む任意の有機物質であ
ってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、
好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が
好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯体安定
度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。
銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量
%を構成することができる。好ましい有機銀塩として、
カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を挙げること
ができる。具体的には、脂肪族カルボン酸の銀塩および
芳香族カルボン酸の銀塩を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩
の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、
ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロ
ン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸
銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀およ
び樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができ
る。
【0059】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75モ
ル%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸
銀含有率85モル%以上の有機酸銀を用いることがさら
に好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有
機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に
用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀
としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることが
できる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、上記
の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が
挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させるこ
とにより調製される。これらの調製方法については、特
願平11−104187号明細書の段落番号[001
9]〜[0021]に記載の方法を用いることができ
る。
【0060】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特願平11
−203413号明細書に記載されている方法を用いる
ことができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、
硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるい
は反応液には水に可溶な分散剤を添加することができ
る。ここで用いる分散剤の種類および使用量について
は、特願平11−115457号明細書の段落番号[0
052]に具体例が記載されている。本発明に用いる有
機酸銀は第3アルコールの存在下で調製することが好ま
しい。第3アルコールとしては、好ましくは総炭素数1
5以下の化合物が好ましく、10以下の化合物が特に好
ましい。好ましい第3アルコールの例としては、ter
t−ブタノール等が挙げられるが、本発明で使用するこ
とができる第3アルコールはこれに限定されない。本発
明に用いる第3アルコールの添加時期は有機酸銀調製時
のいずれのタイミングでもよいが、有機酸アルカリ金属
塩の調製時に添加して、有機酸アルカリ金属塩を溶解し
て用いることが好ましい。また、本発明で用いる第3ア
ルコールは、有機酸銀調製時の溶媒としての水に対して
質量比で0.01〜10の範囲で使用することができる
が、0.03〜1の範囲で使用することが好ましい。
【0061】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特願平11−104
187号明細書の段落番号[0024]に記載のものを
用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分
散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単
分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重
平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均
直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80
%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは
30%以下である。測定方法としては、例えば液中に分
散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆ
らぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることによ
り得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求める
ことができる。この測定法での平均粒子サイズとしては
0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ま
しい。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.
0μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0062】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特願平11−115457号明細書に記載
の方法を用いることができる。本発明では、高S/N
で、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散
物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、
かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に
変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ま
しい。これらの分散方法については特願平11−104
187号明細書の段落番号[0027]〜[0038]
に記載の方法を用いることができる。本発明で用いる有
機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ分布は単分散であ
ることが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標
準偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係
数)が80%以下、より好ましくは50%以下、さらに
好ましくは30%以下である。
【0063】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であること
が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜
15質量%の範囲が好ましい。本発明で用いる有機銀塩
は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/
2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2であ
る。
【0064】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを有機銀塩へ添加することが好ま
しい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれる金属イ
オンの有機銀塩への添加については、ハロゲン化物でな
い、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましく、具
体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添加することが好ま
しい。ハロゲン化物での添加は処理後の感光材料の光
(室内光や太陽光など)による画像保存性、いわゆるプ
リントアウト性を悪化させるので好ましくない。このた
め、本発明ではハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の
形で添加することが好ましい。本発明に好ましく用いる
Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれる金属イオンの
添加時期としては、該有機銀塩の粒子形成後であって、
粒子形成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後な
ど塗布直前までであればいずれの時期でもよく、好まし
くは分散後、塗布液調製前後である。本発明におけるC
a、Mg、ZnおよびAgから選ばれる金属イオンの添
加量としては、非感光性有機銀1モルあたり10-3〜1
-1モルが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モル
が好ましい。
【0065】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、ハ
ロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、
臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特
開平11−119374号公報の段落番号[0217]
〜[0224]に記載されている方法で粒子形成するこ
とができるが、特にこの方法に限定されるものではな
い。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、
十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げ
ることができるが、本発明においては特に立方体状粒子
あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、
面指数など粒子形状の特徴については、特開平11−1
19374号公報の段落番号[0225]に記載されて
いるものと同じである。また、ハロゲン組成の分布はハ
ロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよ
く、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよ
く、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア
/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用い
ることができる。構造としては好ましくは2〜5重構
造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を
用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の
表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることが
できる。
【0066】本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分
布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1
〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで単分
散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率
(%)(変動係数)として定義されるものである。なお
ハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合
は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板
状など)は投影面積円相当直径で算出する。
【0067】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または
金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VII
I族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは
ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジ
ウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh
(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrC
6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種
類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を2種以
上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1
×10-9モル〜1×10 -3モルの範囲が好ましく、1×
10-8モル〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。具
体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449
号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることがで
きる。これら重金属の種類、添加方法に関しては、特開
平11−119374号公報の段落番号[0227]〜
[0240]に記載されている。
【0068】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができるが、本発明においては脱塩し
てもしなくてもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン化
銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感につい
ては、特開平11−119374号公報の段落番号[0
242]〜[0250]に記載されている方法を用いる
ことが好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤に
は、欧州特許公開第293,917号公報に示される方
法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0069】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通
常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、
脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよ
い。分散媒の濃度は0.05〜20質量%にすることが
できるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好まし
い。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処理ゼラチ
ンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、フタル化
ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
【0070】本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、一種だけを用いてもよいし、二種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよい。本発明で用いる感光性ハロゲン
化銀の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハ
ロゲン化銀0.01モル〜0.5モルが好ましく、0.
02モル〜0.3モルがより好ましく、0.03モル〜
0.25モルが特に好ましい。別々に調製した感光性ハ
ロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件につい
ては、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と有機
銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイド
ミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、
あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調
製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調
製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得られる
限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有
機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合
することは、写真特性の調節のために好ましい方法であ
る。
【0071】本発明では増感色素を用いることができ
る。本発明に用いることができる増感色素としては、ハ
ロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲ
ン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特
性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択する
ことができる。例えば、550nm〜750nmの波長
領域を分光増感する色素としては、特開平10−186
572号公報の一般式(II)で表される色素が挙げら
れ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II−15、
II−18、II−23、II−25の色素を好ましい色素と
して例示することができる。また、750〜1400n
mの波長領域を分光増感する色素としては、特開平11
−119374号公報の一般式(I)で表される色素が
挙げられ、具体的には(25)、(26)、(30)、
(32)、(36)、(37)、(41)、(49)、
(54)の色素を好ましい色素として例示することがで
きる。さらに、J−bandを形成する色素として、米
国特許第5,510,236号明細書、同第3,87
1,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2
−96131号公報、特開昭59−48753号公報に
開示されている色素を好ましい色素として例示すること
ができる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2
種以上組合せて用いてもよい。
【0072】これら増感色素の添加については、特開平
11−119374号公報の段落番号[0106]に記
載されている方法で添加することができるが、特に、こ
の方法に限定されるものではない。本発明における増感
色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の
量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モ
ル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは
10-4〜10-1モルである。
【0073】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号公
報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,
873,184号明細書に開示されている化合物、複素
芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジ
ンから選択される化合物などが挙げられる。特に好まし
い強色増感剤は、特開平5−341432号公報に開示
されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジ
スルフィド化合物、特開平4−182639号公報の一
般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平1
0−111543号公報の一般式(I)で表されるスチ
ルベン化合物、特開平11−109547号公報の一般
式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平
5−341432号公報のM−1〜M−24の化合物、
特開平4−182639号公報のd−1)〜d−14)
の化合物、特開平10−111543号公報のSS−0
1〜SS−07の化合物、特開平11−109547号
公報の31、32、37、38、41〜45、51〜5
3の化合物である。これらの強色増感剤の添加量は、乳
剤層中にハロゲン化銀1モル当たり10-4〜1モルの範
囲が好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり0.001〜
0.3モルの範囲がより好ましい。
【0074】次に本発明に用いる造核剤について説明す
る。本発明で用いる造核剤の種類は特に限定されない
が、好ましい造核剤として、特願平11−87297号
明細書に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体
(具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジン
誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平10
−161270号公報、特開平10−62898号公
報、特開平9−304870号公報、特開平9−304
872号公報、特開平9−304871号公報、特開平
10−31282号公報、米国特許第5,496,69
5号明細書、欧州特許公開第741,320号公報に記
載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げることができる。
また、特願平11−87297号明細書に記載の式
(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イ
ソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物、
さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)または式
(B)で表される環状化合物、具体的には同明細書の化
8〜化12に記載の化合物1〜72も用いることができ
る。さらに、これら造核剤を複数併用してもよい。
【0075】上記造核剤は、水または適当な有機溶媒、
例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパ
ノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用い
ることができる。また、既によく知られている乳化分散
法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフォス
フェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエチル
フタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、造核剤の粉末を水等の
適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超
音波によって分散して用いることもできる。造核剤は、
支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加しても
よいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加
することが好ましい。造核剤の添加量は銀1モルに対し
1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10
-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが
最も好ましい。
【0076】また上記の化合物の他に、米国特許第5,
545,515号明細書、同第5,635,339号明
細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO
97/34196号公報、米国特許第5,686,22
8号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−1
19372号公報、特願平9−309813号明細書、
特開平11−119373号公報、特開平11−109
546号公報、特開平11−95365号公報、特開平
11−95366号公報、特開平11−149136号
公報に記載の化合物を用いてもよい。
【0077】本発明では超硬調画像形成のために、前記
の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができ
る。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に
記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロ
キサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特
許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニト
リル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第
5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合
物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297
368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−
1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14な
どを用いることができる。
【0078】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀および
バインダーを有する熱現像感光材料において、蟻酸ある
いは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱
現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル
当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下である
ことが好ましい。本発明の高速熱現像感光材料には五酸
化二リンが水和してできる酸またはその塩を造核剤と併
用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピ
ロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸
(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)など
を挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オル
トリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げること
ができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウ
ム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸
ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがあ
る。本発明において好ましく用いることができる五酸化
二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所望
の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれ
に隣接するバインダー層に添加する。五酸化二リンが水
和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2
あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて
所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好まし
く、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0079】本発明の高速熱現像感光材料は、好ましく
は有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還
元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ま
しくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンお
よびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用である
が、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤
は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50
モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含
まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は支持体
に対して画像形成層側のいかなる層でもよい。画像形成
層以外の層に添加する場合は銀1モルに対して10〜5
0モル%と多めに使用することが好ましい。また、還元
剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化されたいわ
ゆるプレカーサーであってもよい。
【0080】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6074号公報、同47−1238号公
報、同47−33621号公報、同49−46427号
公報、同49−115540号公報、同50−1433
4号公報、同50−36110号公報、同50−147
711号公報、同51−32632号公報、同51−1
023721号公報、同51−32324号公報、同5
1−51933号公報、同52−84727号公報、同
55−108654号公報、同56−146133号公
報、同57−82828号公報、同57−82829号
公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,67
9,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開第692,732号公報などに開示されている還元
剤を用いることができる。例えば、フェニルアミドオキ
シム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェノキ
シフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例え
ば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒ
ドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキシメ
チル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコ
ルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリール
ヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキ
シベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび
/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノン
と、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペ
リジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチ
ルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロ
キサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およ
びβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;
アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例え
ば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シアノ
−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノ
フェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘導
体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、
6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−1,
1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1−ナ
フチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフトー
ル;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベン
ゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノンな
ど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾ
ロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソース
レダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダ
クトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソース
レダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジ
クロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールおよび
p−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホン
アミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,
3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert−ブ
チル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6
−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジ
ヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジン;ビス
フェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−te
rt−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル
−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−ト
リメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコ
ルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アスコルビ
ル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジ
ルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3
−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3−ジオ
ン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。
特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマノール
である。
【0081】本発明で還元剤を用いる場合、それは、水
溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分
散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分
散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボー
ルミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロ
ーラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散す
る際に分散助剤を用いてもよい。
【0082】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側
の層に銀1モルあたりの0.1〜50%モルの量含ませ
ることが好ましく、0.5〜20%モル含ませることが
さらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能
するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであって
もよい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては
広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、特開
昭46−6077号公報、同47−10282号公報、
同49−5019号公報、同49−5020号公報、同
49−91215号公報、同49−91215号公報、
同50−2524号公報、同50−32927号公報、
同50−67132号公報、同50−67641号公
報、同50−114217号公報、同51−3223号
公報、同51−27923号公報、同52−14788
号公報、同52−99813号公報、同53−1020
号公報、同53−76020号公報、同54−1565
24号公報、同54−156525号公報、同61−1
83642号公報、特開平4−56848号公報、特公
昭49−10727号公報、同54−20333号公
報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,
446,648号明細書、同第3,782,941号明
細書、同第4,123,282号明細書、同第4,51
0,236号明細書、英国特許第1,380,795号
明細書、ベルギー特許第841,910号明細書などに
開示される色調剤を用いることができる。色調剤の具体
例としては、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタル
イミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、なら
びにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5
−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび
2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフ
タルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタ
ルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミ
ントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,
2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジ
ン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4
−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,
4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−
(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例え
ば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドお
よびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−
2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピ
ラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退
色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カ
ルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムト
リフルオロアセテート)および2−(トリブロモメチル
スルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル
−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)
−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサ
ゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体も
しくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノ
ン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタ
ラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジン
ジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4−
(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、
5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラ
ジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメ
チルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジンな
どの誘導体)もしくは金属塩;フタラジンおよびその誘
導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチル
フタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水
フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズ
オキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤
としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハ
ライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例え
ばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化
ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム
(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸
塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水
素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−
メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンお
よび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−
ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリ
ミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒ
ドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリ
ミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタ
レン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−
ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラ
アザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニ
ル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン)などがある。
【0083】本発明では色調剤として、特願平10−2
13487号明細書に記載の一般式(F)で表されるフ
タラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同明
細書に記載のA−1〜A−10が好ましく用いられる。
色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる
方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化
手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミ
ル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)
で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を
用いてもよい。
【0084】本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理
前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さら
に好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限
はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘
導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニ
アなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減
させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発
しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できる
ことから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜
面pHの測定方法は、特願平11−87297号明細書
の段落番号[0123]に記載されている。
【0085】本発明の高速熱現像感光材料において、ハ
ロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、かぶり防止
剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶ
りの生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における
感度の低下に対して安定化することができる。単独また
は組合せて使用することができる適当なかぶり防止剤、
安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,
038号明細書および同第2,694,716号明細書
に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,43
7号明細書および同第2,444,605号明細書に記
載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明
細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号
明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,6
52号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第6
23,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニ
トロインダゾール、米国特許第2,839,405号明
細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,83
9号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許
第2,566,263号明細書および同第2,597,
915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、
米国特許第4,108,665号明細書および同第4,
442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0086】本発明の高速熱現像感光材料は、高感度化
やかぶり防止を目的として安息香酸類を含有してもよ
い。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導
体でもよいが、好ましい例としては、米国特許第4,7
84,939号明細書、同第4,152,160号明細
書、特開平9−329863号公報、同9−32986
4号公報、同9−281637号公報などに記載の化合
物が挙げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいかな
る層に添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側
の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加
することがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布液
調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に
添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいか
なる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ま
しい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子
分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色
素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液とし
て添加してもよい。安息香酸類の添加量としてはいかな
る量でもよいが、銀1モル当たり1×10-6モル〜2モ
ルが好ましく、1×10-3モル〜0.5モルがさらに好
ましい。
【0087】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にかぶり防止剤として水銀(II)塩を加える
ことが有利なことがある。この目的のために好ましい水
銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明
に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1モル
当たり好ましくは1×10-9モル〜1×10-3モル、さ
らに好ましくは1×10-8モル〜1×10-4モルの範囲
である。
【0088】本発明で特に好ましく用いられるかぶり防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−
119624号公報、同50−120328号公報、同
51−121332号公報、同54−58022号公
報、同56−70543号公報、同56−99335号
公報、同59−90842号公報、同61−12964
2号公報、同62−129845号公報、特開平6−2
08191号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同第5,369,000号明
細書、同第5,464,737号明細書に開示されてい
るような化合物が挙げられる。特願平11−87297
号明細書に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲ
ン化物がかぶり防止剤として好ましく用いられる。具体
的には、同明細書に記載の(P−1)〜(P−118)
が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molA
g、より好ましくは5×10-5〜1mol/molA
g、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/
molAgである。これらは1種のみを用いても2種以
上を併用してもよい。
【0089】また、特願平11−87297号明細書に
記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。
【0090】本発明に好ましく用いられるかぶり防止剤
として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例え
ば、特願平11−23995号明細書に記載の式(S)
で表される化合物およびその例示化合物(S−1)〜
(S−24)が挙げられる。本発明に用いるかぶり防止
剤は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブ
チルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセ
リルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどの
オイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒
を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いる
ことができる。あるいは固体分散法として知られている
方法によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミ
ル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイ
クロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用い
ることもできる。
【0091】本発明に用いるかぶり防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0092】本発明の高速熱現像感光材料には現像を抑
制あるいは促進させ現像を制御することや、現像前後の
保存性を向上させることなどを目的としてメルカプト化
合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させる
ことができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画
像形成層中に銀1モル当たり0.0001〜1.0モル
の範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1モル当た
り0.001〜0.3モルの量である。
【0093】本発明の高速熱現像感光材料は、支持体上
に、有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む
画像形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の
保護層が設けられていることが好ましい。また、本発明
の高速熱現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反
対側(バック面)に少なくとも1層のバック層を有する
ことが好ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層
のバインダーとしてポリマーラテックスを用いることが
好ましい。これらの層にポリマーラテックスを用いるこ
とによって、水を主成分とする溶媒(分散媒)を用いた
水系塗布が可能になり、環境面、コスト面で有利になる
とともに、熱現像時にシワの発生がない熱現像感光材料
が得られるようになる。また、所定の熱処理をした支持
体を使用することにより、熱現像の前後で寸法変化の少
ない熱現像感光材料が得られる。
【0094】本発明で用いるバインダーとして以下に述
べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明の高速熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有す
る画像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリ
マーラテックスを全バインダーの50質量%以上用いた
画像形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテ
ックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に
用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本
発明の高速熱現像感光材料を用いる場合には、保護層や
バック層にもポリマーラテックスを用いることが好まし
い。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不
溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒
中に分散されたものである。分散状態としてはポリマー
が分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたも
の、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に
部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散さ
れたものなどいずれでもよい。なお本発明で用いるポリ
マーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥
田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」などに記載されてい
る。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好
ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散
粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分
布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよ
い。
【0095】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。本発明で用いるバインダーに好ましく用いるポリ
マーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バ
ック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像
形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促す
ため、−30〜40℃であることが好ましい。保護層や
バック層に用いる場合には種々の機器と接触するために
25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。本発明で用
いるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−
30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好
ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助
剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリ
マーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物
(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの
化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」
に記載されている。
【0096】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0097】本発明の高速熱現像感光材料の画像形成層
のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具
体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレ
ート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメ
タクリレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラ
テックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリ
マーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチル
ヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コ
ポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニ
ルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メ
チルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマ
ーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート
/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クスなどが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタ
クリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=3
3.5/50/16.5(質量%)のコポリマーラテッ
クス、メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸
=47.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテ
ックス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5
(質量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。
また、このようなポリマーは市販もされていて、例えば
アクリル樹脂の例として、セビアンA−4635,46
583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、
Nipol LX811、814、821、820、8
57(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R
3340、R3360、R3370、4280(以上大
日本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂とし
ては、FINETEX ES650、611、675、
850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−si
ze、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポ
リウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、2
0、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)な
ど、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、
3307B、4700H、7132C(以上大日本イン
キ化学(株)製)、Nipol LX410、430,
435、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩
化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼ
オン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL5
02、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD
7020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
い。
【0098】画像形成層には全バインダーの50質量%
以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられ
るが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスが
用いられることがさらに好ましい。画像形成層には必要
に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチ
ン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性
ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの
添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、
さらには15質量%以下が好ましい。
【0099】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のよ
うなものがある。水/メタノール=90/10、水/メ
タノール=70/30、水/エタノール=90/10、
水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホル
ムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルム
アミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%を表
す。)
【0100】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改
良のための界面活性剤などを添加してもよい。さらに、
保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号
明細書の段落番号[0025]〜[0029]に記載の
有機概念図に基づく無機性値を有機性値で割ったI/O
値の異なるポリマーラテックスの組み合わせを好ましく
用いることができる。本発明においては必要に応じて、
特願平11−143058号明細書の段落番号[002
1]〜[0025]に記載の可塑剤(例、ベンジルアル
コール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−
1,3−モノイソブチレートなど)を添加して、造膜温
度をコントロールすることができる。また、特願平11
−6872号明細書の段落番号[0027]〜[002
8]に記載の如くポリマーバインダー中に親水性ポリマ
ーを、塗布液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよ
い。
【0101】それぞれの層には、特願平10−1996
26号明細書の段落番号[0023]〜[0041]に
記載の官能基を導入した第一のポリマーラテックスとこ
の第一のポリマーラテックスと反応しうる官能基を有す
る架橋剤および/または第二のポリマーラテックスを用
いることもできる。上記の官能基は、カルボキシル基、
ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−
メチロール基、オキサゾリニル基など、架橋剤として
は、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ブロック
イソシアネート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ
化合物、カルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレン
イミン化合物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物など
から選ばれる。架橋剤の具体例として、イソシアネート
化合物としてヘキサメチレンイソシアネート、デュラネ
ートWB40−80D、WX−1741(旭化成工業
(株)製)、バイヒジュール3100(住友バイエルウ
レタン(株)製)、タケネートWD725(武田薬品工
業(株)製)、アクアネート100、200(日本ポリ
ウレタン(株)製)、特開平9−160172号公報記
載の水分散型ポリイソシアネート;アミノ化合物として
スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製);
エポキシ化合物としてデナコールEX−614B(ナガ
セ化成工業(株)製);ハロゲン化合物として2,4ジ
クロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナト
リウムなどが挙げられる。
【0102】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は0.2〜1
0.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2
の範囲が好ましい。バック層用の全バインダー量は0.
01〜10.0g/m2、より好ましくは0.05〜
5.0g/m2の範囲が好ましい。これらの各層は、2
層以上設けられる場合がある。画像形成層が2層以上で
ある場合は、すべての層のバインダーとしてポリマーラ
テックスを用いることが好ましい。また、保護層は画像
形成層上に設けられる層であり2層以上存在する場合も
あるが、少なくとも1層、特に最外層の保護層にポリマ
ーラテックスが用いられることが好ましい。また、バッ
ク層は支持体バック面の下塗り層の上部に設けられる層
であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層のバック層にポリマーラテックスを用い
ることが好ましい。
【0103】本明細書における滑り剤とは、物体表面に
存在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の
摩擦係数を減少させる化合物を意味する。その種類は特
に制限されない。本発明に用いる滑り剤としては、特開
平11−84573号公報の段落番号[0061]〜
[0064]、特願平11−106881号明細書の段
落番号[0049]〜[0062]に記載の化合物を挙
げることができる。好ましい滑り剤の具体例としては、
セロゾール524(主成分カルナバワックス)、ポリロ
ンA,393,H−481(主成分ポリエチレンワック
ス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレンビスス
テアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270(主成
分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂(株)
製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜
30質量%である。
【0104】本発明において、特願平10−34656
1号明細書、特願平11−106881号明細書に記載
のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処
理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、
その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現
像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像
画像記録材料の画像形成層を有する側の最表面層とバッ
ク面の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であ
り、その上限に特に制限はないが30程度である。ま
た、μbは1.0以下、好ましくは0.05〜0.8で
ある。この値は、下記の式によって求められる。摩擦係
数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する
面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバ
ック面との動摩擦係数(μb)本発明において熱現像処
理温度での熱現像処理機部材と画像形成層を有する面お
よび/またはその反対面の最表面層の滑り性は、最表面
層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることにより
調整することができる。
【0105】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特願平10−221039号明細書の段落番号[002
0]〜[0037]、特願平11−106881号明細
書の段落番号[0063]〜[0080]に記載の塩化
ビニリデン単量体の繰り返し単位を70質量%以上含有
する塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り層を設けるこ
とが好ましい。
【0106】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、質量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0107】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。なお、下
塗り層としての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に
直接設層される下塗り層第1層として設けることが好ま
しく、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合に
よっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成と
するときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明
の範囲となるようにすればよい。このような層には塩化
ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含
有させてもよい。支持体は必要に応じて塩化ビニリデン
共重合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等
をバインダーとする下塗り層を塗布してもよい。これら
の下塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対し
て片面または両面に設けてもよい。下塗り層の厚み(1
層当たり)は一般に0.01〜5μm、より好ましくは
0.05〜1μmである。
【0108】本発明の高速熱現像感光材料には、種々の
支持体を用いることができる。典型的な支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロー
スエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチッ
クポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレ
ンで被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二
軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレ
ート(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点
から好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース
厚みで90〜180μmであることが好ましい。本発明
の高速熱現像感光材料に用いる支持体としては、特開平
10−48772号公報、特開平10−10676号公
報、特開平10−10677号公報、特開平11−65
025号公報、特開平11−138648号公報記載の
二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和さ
せ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすため
に、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリ
エステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく
用いられる。このような熱処理後における支持体の12
0℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が
−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜
0.04%であることが好ましい。
【0109】本発明の高速熱現像感光材料には、ゴミ付
着の減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程で
の搬送不良防止などの目的で、特開平11−84573
号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の
導電性金属酸化物および/またはフッ素系界面活性剤を
用いて帯電防止することができる。導電性金属酸化物と
しては、米国特許第5,575,957号明細書、特願
平10−041302号明細書の段落番号[0012]
〜[0020]に記載のアンチモンでドーピングされた
針状導電性酸化錫、特開平4−29134号公報に記載
のアンチモンでドーピングされた繊維状酸化錫が好まし
く用いられる。金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵
抗率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω
以下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好
な帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限
は特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0110】本発明の高速熱現像感光材料の画像形成層
を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも
一方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以
下であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。
本発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JI
S)P8119「紙および板紙のベック試験器による平
滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により
容易に求めることができる。熱現像感光材料の画像形成
層を有する面の最外層およびその反対面の最外層のベッ
ク平滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号
[0052]〜[0059]に記載の如く、前記両面の
層に含有させるマット剤の粒径および添加量を適宜変化
させることによってコントロールすることができる。
【0111】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルファン酸またはその共重合体、ポリ
アクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその
共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエス
テル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸
またはその共重合体など)などである。
【0112】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
これらでも特に好ましい増粘剤としては、ゼラチン、デ
キストラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリスチレンスルホン酸またはその共重合体、ポリアク
リル酸またはその共重合体、マレイン酸モノエステル共
重合体などである。これらの化合物は、「新・水溶性ポ
リマーの応用と市場」(株式会社シーエムシー発行、長
友新治編集、1988年11月4日発行)に詳細に記載
されている。
【0113】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30質量%、よ
り好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは
0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa
・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・s
である。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定し
た値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に
増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望まし
い。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0114】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。好ましいノニオン系界面活性
剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレ
ン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタン
をノニオン性親水性基とする界面活性剤を挙げることが
でき、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコー
ル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエ
チレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン
脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0115】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。カチオン系界面活性剤としてはアミ
ン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げる
ことができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニ
ウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキル
ベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アル
キルイミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0116】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。これらの
界面活性剤は、「界面活性剤の応用」(幸書房、刈米孝
夫著、昭和55年9月1日発行)に記載されている。本
発明においては、好ましい界面活性剤はその使用量にお
いて特に限定されず、目的とする界面活性特性が得られ
る量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤の塗布
量は、1m2当り0.01mg〜250mgが好まし
い。
【0117】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、‐C64‐はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OH WA−2 :C9H19‐C6H4‐(OCH2CH2)12OH WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステルナトリウム塩 WA−8 :C8H17‐C6H4‐(CH2CH2O)3(CH2)2SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド WA−11 :C11H23CONHCH2CH2N+(CH3)2‐CH2COO- WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16H WA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK WA−14 :C8F17SO3K WA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3Na WA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N+(CH3)3
‐CH3‐C6H4‐SO3 - WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N+(CH3)2‐CH
2COO-
【0118】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特願平10−29
2849号明細書の図1に示されるスライドビード塗布
方式が特に好ましい。ゼラチンを主バインダーとして用
いるハロゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティング
ダイの下流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷さ
れ、その結果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷
却固化される。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は
続く第二乾燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで
塗布液中の溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾー
ン以降の乾燥方式としては、U字型のダクトからローラ
ー支持された支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方
式や円筒状のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて
搬送乾燥する、つるまき方式(エアーフローティング方
式)などが挙げられる。
【0119】バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0120】本発明における好ましい乾燥方式は、特願
平10−292849号明細書に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度は0〜70°の間にあればよい。また、本発明にお
ける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に
対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬
送を意味するものではない。本発明における恒率乾燥と
は、液膜温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に
使用される乾燥過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末
期になると種々の要因(水分移動の材料内部拡散が律速
になる、蒸発表面の後退など)により乾燥速度が低下
し、与えられた熱が液膜温度上昇にも使用される乾燥過
程を意味する。恒率過程から減率過程に移行する限界含
水率は200〜300%である。恒率乾燥が終了する時
には、流動が停止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲ
ン化銀写真感光材料の様な乾燥方式も採用することがで
きるが、本発明においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点
まで水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好ましい。
【0121】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。恒率乾
燥時の液膜表面温度が低くなる条件で乾燥した場合、乾
燥が不十分になりやすい。このため特に保護層の造膜性
が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じやすくなる。ま
た、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像機での搬送中に
傷がつきやすくなるなどの重大な問題が生じやすくな
る。
【0122】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安
定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。下層を塗布乾
燥してから上層を塗布する逐次塗布においても同様であ
るが、特に、下層の乾燥前に上層を塗布して、両層を同
時に乾燥する同時重層塗布を行うための塗布液物性とし
ては、画像形成層の塗布液と保護層の塗布液とのpH差
が2.5以下であることが好ましく、このpH差は小さ
い程好ましい。塗布液のpH差が大きくなると塗布液界
面でミクロな凝集が生じやすくなり、長尺連続塗布時に
塗布筋などの重大な面状故障が発生しやすくなる。
【0123】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜
100mPa・sが好ましく、さらに好ましくは30〜
70mPa・sである。一方、保護層の塗布液粘度は2
5℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましく
は20〜50mPa・sである。これらの粘度はB型粘
度計によって測定される。乾燥後の巻取りは温度20〜
30℃、相対湿度45±20%の条件下で行うことが好
ましく、巻き姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層
側の面を外側にしてもよいし、内側にしてもよい。ま
た、加工形態がロール品の場合は巻き姿で発生したカー
ルを除去するために加工時に巻き姿とは反対側に巻いた
ロール形態にすることも好ましい。なお、感光材料の相
対湿度は20〜55%(25℃測定)の範囲で制御され
ることが好ましい。
【0124】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。
【0125】本発明において塗布液の脱泡は、塗布液を
塗布される前に減圧脱気し、さらに1.5kg/cm2
以上の加圧状態に保ち、かつ気液界面が生じないように
して連続的に送液しながら超音波振動を与える方式が好
ましい。具体的には、特公昭55−6405号公報(4
頁20行〜7頁11行)に記載されている方式が好まし
い。このような脱泡を行う装置として、特願平10−2
90003号明細書の実施例と図3に示される装置を好
ましく用いることができる。
【0126】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0127】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号[0204]〜[0208]、
特願平11−106881号明細書の段落番号[024
0]〜[0241]に記載の如くハレーション防止など
の目的で、染料を含有させることができる。画像形成層
には色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染
料や顔料を用いることができる。画像形成層に用いる染
料および顔料はいかなるものでもよいが、例えば特開平
11−119374号公報の段落番号[0297]に記
載されている化合物を用いることができる。これらの染
料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散
物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法で
もよい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によっ
て決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g〜
1gの範囲で用いることが好ましい。
【0128】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号[0300]に記載されている化合物を用いる
ことができる。また、ベルギー特許第733,706号
明細書に記載されるように染料による濃度を加熱による
消色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報
に記載されるように光照射による消色で濃度を低下させ
る方法等を用いることもできる。
【0129】本発明の高速熱現像感光材料が熱現像後に
おいて、PS版により刷版を作製する際にマスクとして
用いられる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機
においてPS版に対する露光条件を設定するための情報
や、マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を
設定するための情報を画像情報として担持している。従
って、前記のイラジエーション染料、ハレーション染
料、フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み
取るために制限される。これら情報はLEDあるいはレ
ーザーによって読み取られるため、センサーの波長域の
Dmin(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3
以下である必要がある。例えば、富士写真フイルム
(株)社製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のため
の検出器およびバーコードリーダーとして670nmの
波長の光源を使用している。また、清水製作社製、製版
機APMLシリーズのバーコードリーダーとして670
nmの光源を使用している。すなわち670nm付近の
Dmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報
が正確に検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作
業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情報
を読み取るためには670nm付近のDminが低い必
要があり、熱現像後の660〜680nmの吸光度が
0.3以下である必要がある。より好ましくは0.25
以下である。その下限に特に制限はないが、通常は0.
10程度である。
【0130】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。本発明における露光は光
源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバ
ーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいこと
をいう。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強
度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副
走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現す
ることができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が
0.2以上であることが好ましい。本発明に使用する露
光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走
査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いる
ことができる。また、光源のチャンネルは単チャンネル
でもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合
にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
【0131】本発明の高速熱現像感光材料は露光時のヘ
イズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干
渉縞の発生防止技術としては、特開平5−113548
号公報などに開示されているレーザー光を感光材料に対
して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31
754号公報などに開示されているマルチモードレーザ
ーを利用する方法が知られており、これらの技術を用い
ることが好ましい。本発明に用いる画像形成方法の加熱
現像工程はいかなる方法であってもよいが、通常イメー
ジワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像され
る。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現
像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源
に接触させるタイプとして特公平5−56499号公
報、特開平9−292695号公報、特開平9−297
385号公報および国際公開WO95/30934号に
記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−1
3294号公報、国際公開WO97/28489号公
報、同97/28488号公報および同97/2848
7号公報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様と
しては非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度と
しては80〜250℃であり、さらに好ましくは100
〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好
ましく、5〜90秒がさらに好ましい。
【0132】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上1
15℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用すること
が有効である。本発明の高速熱現像感光材料を熱現像処
理するとき、110℃以上の高温にさらされるため、該
材料中に含まれている成分の一部、あるいは熱現像によ
る分解成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は
現像ムラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食
させたり、温度の低い場所で析出し異物として画面の変
形を引起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪
い影響があることが知られている。これらの影響を除く
ための方法として、熱現像機にフィルターを設置し、ま
た熱現像機内の空気の流れを最適に調整することが知ら
れている。これらの方法は有効に組み合わせて利用する
ことができる。
【0133】国際公開WO95/30933号公報、同
97/21150号公報、特表平10−500496号
公報には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の
開口部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカ
ートリッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に
用いることが記載されている。また、国際公開WO96
/12213号公報、特表平10−507403号公報
には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィル
ターを組み合わせたフィルターを用いることが記載され
ている。本発明ではこれらを好ましく用いることができ
る。また、米国特許第4,518,845号明細書、特
公平3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を
除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置
と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されて
いる。また、国際公開WO98/27458号には、フ
ィルムから揮発するかぶりを増加させる成分をフィルム
表面から取り除くことが記載されている。これらについ
ても本発明では好ましく用いることができる。
【0134】本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理
に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は
熱現像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機
は熱現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱し
ながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ロー
ラーはシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ
製のヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10
を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラ
ー対12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー
対11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現
像される。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送す
る搬送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数
のローラー13が設置され、その反対側のバック面が接
触する側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロ
ンから成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置され
る。熱現像感光材料10は画像形成層を有する面に接触
する複数のローラー13の駆動により、バック面を平滑
面14の上に滑らせながら搬送される。ローラー13の
上部および平滑面14の下部には、熱現像感光材料10
の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置さ
れる。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙
げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアランス
は平滑面の部材により異なるが、熱現像感光材料10が
搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは
0〜1mmである。
【0135】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。なお、加熱部は、搬
入ローラー対11を有する予備加熱部Aと、加熱ヒータ
ー15を備えた熱現像加熱部Bとで構成されるが、熱現
像処理部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温度よりも
低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料
10中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間
に設定することが望ましく、熱現像感光材料10の支持
体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ム
ラが出ないように設定することが好ましい。予備加熱部
と熱現像処理部の温度分布としては±1℃以下が好まし
く、さらには±0.5℃以下が好ましい。また、熱現像
処理部Bの下流にはガイド板16が設置され、搬出ロー
ラー対12とガイド板16とを有する徐冷部Cが設置さ
れる。ガイド板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、
熱現像感光材料10に変形が起こらないようにするため
に冷却は徐々に行うのが好ましく、冷却速度としては、
0.5〜10℃/秒が好ましい。
【0136】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。
【0137】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。
【0138】<実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ
処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm
以下)11gおよび臭化カリウム30mg、4−メチル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温度
40℃にてpHを6.5に調整した後、硝酸銀18.6
gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リ
ットル(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6モル
/リットル及びK3IrCl6を2×10-5モル/リット
ルで含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロー
ルダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。つ
いで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化
カリウムを1モル/リットル及びK3IrCl6を2×1
-5モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液をpAg
7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で2
8分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集
沈降させて脱塩処理をし、平均分子量15,000の低
分子量ゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以
下)51.1g加え、pH5.9、pAg8.0に調製
した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投
影面積変動係数9%、(100)面比率90%の立方体
粒子であった。こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃
に昇温して銀1モル当たりベンゼンチオスルホン酸ナト
リウム76μモルを添加し、3分後にトリエチルチオ尿
素71μモルを添加した後、100分間熟成し、4−ヒ
ドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイ
ンデンを5×10-4モル、化合物Aを0.17g加えた
後、40℃に降温させた。その後、40℃に温度を保
ち、ハロゲン化銀1モルに対して4.7×10-2モルの
臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×10-4
モルの下記増感色素A(エタノール溶液として添加)、
6.4×10-3モルの化合物B(メタノール溶液として
添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷
してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0139】
【化10】
【0140】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸
(ヘンケル社製、製品名EdenorC22−85R)
87.6g、蒸留水423ml、5N−NaOH水溶液
49.2ml、tert−ブチルアルコール120ml
を混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4gの水溶
液206.2mlを用意し、10℃にて保温した。63
5mlの蒸留水と30mlのtert−ブチルアルコー
ルを入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先
のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量
を流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけて添加
した。この時、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は
硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘ
ン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液添加終
了後9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加
されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30
℃とし、液温度が上がらないようにコントロールした。
また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチ
ームトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液
温度が75℃になるようにスチーム量をコントロールし
た。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外
側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪
拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触
しないような高さに調節した。
【0141】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温し
た。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水
の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうし
て得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキと
して保管した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子
顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径0.
52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の
変動係数15%の鱗片状の結晶であった。つぎに、以下
の方法でベヘン酸銀の分散物を作製した。乾燥固形分1
00g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコ
ール(商品名:PVA−217,平均重合度:約170
0)7.4gおよび水を添加し、全体量を385gとし
てからホモミキサーにて予備分散した。次に予備分散済
みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM
−110S−EH、マイクロフルイデックス・インター
ナショナル・コーポレーション製、G10Zインタラク
ションチャンバー使用)の圧力を1750kg/cm2
に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物Aを得た。
冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバ
ーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所
望の分散温度に設定した。こうして得たベヘン酸銀分散
物Aに含まれるベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径0.
52μm、変動係数15%の粒子であった。粒子サイズ
の測定は、Malvern Instruments
Ltd.製MasterSizerXにて行った。また
電子顕微鏡撮影により評価すると、長辺と短辺の比が
1.5、粒子厚み0.14μm、平均アスペクト比(粒
子の投影面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であ
った。
【0142】《還元剤Aの固体微粒子分散物の調製》還
元剤A[1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン]1
0kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、
ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgに、
サーフィノール104E(日信化学(株)製)400g
と、メタノール640g、水16kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイ
ソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて還元剤の
濃度が25質量%になるように調製し、還元剤の固体微
粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる還元
剤粒子はメジアン径0.44μm、最大粒子径2.0μ
m以下、平均粒子径の変動係数19%であった。得られ
た分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルタ
ーにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0143】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639g
と、サーフィノール104E(日信化学(株)製)40
0gと、メタノール640gと水16kgを添加して、
良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフ
ラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメ
ックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて有
機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%になるよう
に調製し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子分散
物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロ
ゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径
2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。
【0144】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質
量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213gと、
水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。
このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径
0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分
散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2.
5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃度が
20質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合
物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に
含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.
38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変
動係数20%であった。得られた分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0145】《有機ポリハロゲン化合物Cの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物C[N−ブチル
−3−トリブトモメタンスルホニルベンズアミド]10
kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質
量%水溶液400gと、水13kgを添加して、良く混
合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポ
ンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズ
を充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス
(株)製)にて7時間分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩4.0gと水を加えての有機ポリハ
ロゲン化合物Cの濃度が25質量%になるように調製
し、有機ポリハロゲン化合物Cの固体微粒子分散物を得
た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径2.0
μm以下、平均粒子径の変動係数20%であった。得ら
れた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィル
ターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。上記の他に下記のポリハロゲン化合物D、化合物
E、化合物Fを有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製方法と同様(有機ポリハロゲン化合物Aと
等質量で入れ替えた)にして調製した。
【0146】
【化11】
【0147】《有機ポリハロゲン化合物G水溶液の調
製》室温で攪拌しながら水75.0ml、トリプロピル
ナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液8.6
g、オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物の5%水
溶液6.8ml、水酸化カリウムの1モル/リットル水
溶液9.7mlを順次添加し、添加終了後5分間攪拌混
合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハロゲン化合物
G[3−トリブロモメタンスルフォニルベンゾイルアミ
ノ酢酸]の粉末4.0gを添加し、溶液が透明になるま
で均一に溶解させた。得られた水溶液100mlを20
0メッシュのポリエステル製スクリーンにてろ過し、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0148】《化合物Zの乳化分散物の調製》化合物Z
を85質量%含有する三光(株)製R−054を10k
gとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換し
て80℃1時間溶解した。この液に水25.52kgと
クラレ(株)製MPポリマーのMP−203の20質量
%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44kg
を添加して、20〜40℃、3600rpmで60分間
乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール104
E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94k
gを添加して減圧蒸留しMIBKを除去したのち、化合
物Zの濃度が10質量%になるように調製した。こうし
て得た分散物に含まれる化合物Zの粒子はメジアン径
0.19μm、最大粒子径1.5μm以下、粒子径の変
動係数17%であった。得られた分散物は、孔径3.0
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴ
ミ等の異物を除去して収納した。
【0149】《6−イソプロピルフタラジン化合物の分
散液の調製》室温で水62.35gを攪拌しながら変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)2.0gが塊状にならない様に添加し10分間
攪拌混合した。その後加熱し、内温が65℃になるまで
昇温した後、90分間攪拌し均一に溶解させた。内温を
40℃以下に降温し、ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、PVA−217)の10%水溶液25.5
g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの2
0%水溶液3.0g、6−イソプロピルフタラジン(7
0%水溶液)7.15gを添加し、30分攪拌し透明分
散液100gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0150】《造核剤Yの固体微粒子分散物の調製》造
核剤Y4kgに対してクラレ(株)製ポバールPVA−
217を1kgと水36kgとを添加して良く混合して
スラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで
送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填
した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)
製)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノ
ンナトリウム塩4gと水を加えて造核剤濃度が10質量
%になるように調製し、造核剤の固体微粒子分散物を得
た。こうして得た分散物に含まれる造核剤の粒子はメジ
アン径0.34μm、最大粒子径3.0μm以下、粒子
径の変動係数19%であった。得られた分散物は、孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0151】《現像促進剤の固体微粒子分散物の調製》
前記例示化合物A−55を10kgと、変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の1
0質量%水溶液20kgと、水20kgを添加して、良
く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラ
ムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビ
ーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメッ
クス(株)製)にて12時間分散したのち水を加えて現
像促進剤A−55の濃度が22.5質量%になるように
調製し、A−55の固体微粒子分散物を得た。こうして
得た分散物に含まれるA−55粒子はメジアン径0.3
8μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動
係数18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0152】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1モルに対して、以下のバイ
ンダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、
水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱
気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のp
Hは7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50mPa
・sであった。 バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックス、 ガラス転移温度17℃) 還元剤A 固形分として 149g 有機ポリハロゲン化合物(表8に記載の種類と量) ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 6−イソプロピルフタラジン 17g 化合物Z 固形分として 9.7g 造核剤Y 15.3g 染料A(平均分子量1万5千の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.15になる塗布量(目安として0.19g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06モル 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm(塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0153】
【化12】
【0154】《下層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物
Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合
物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有させ
塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子経1
16nm)943gに水を加え、化合物E1.62g、
有機ポリハロゲン化合物(表8に記載の種類と量)、現
像促進剤A−55の固形分として11.54g(表8の
様に添加なし又はあり)、マット剤(ポリスチレン粒
子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)1.5
8gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,P
VA−235)29.4gを加え、さらに水を加えて塗
布液(メタノール溶媒を2質量%含有)を調製した。完
成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60分間行っ
た。塗布液のpHは5.4、粘度は25℃で45mPa
・sであった。
【0155】《上層保護層塗布液の調製》メチルメタク
リレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=
58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)の
ポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度4
6℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物
Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合
物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子
経72nm)649gに水を加え、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液6.30g、
化合物C0.23g、化合物E0.93g、化合物F
7.95g、化合物H1.8g、マット剤(ポリスチレ
ン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)
1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)
製,PVA−235)12.1gを加え、さらに水を加
えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含有)を調
製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60
分間行った。塗布液のpHは2.8、粘度は25℃で3
0mPa・sであった。
【0156】
【化13】
【0157】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0158】(2)下塗り層及びバック層の作成 (2−1)下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0159】(2−2)下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物‐Bc−A 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0160】(2−3)バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A(783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) FS−10D(SbドープSnO2の針状粒子の水分散物、 石原産業(株)製) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0161】(2−4)バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。
【0162】 ジュリマーET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM−3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0163】(2−5)バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、185℃で30秒乾燥した。
【0164】(2−6)バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、平均粒子径5μm、 平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0165】
【化14】
【0166】ラテックス−A: コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタ
イプのラテックスコア部 塩化ビニリデン/メチルアク
リレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/
アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチ
ルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=8
8/3/3/3/3(質量%) 質量平均分子量38000 ラテックス−B:メチルメタクリレート/スチレン/2
−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1
(質量%)の共重合体
【0167】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0168】《熱現像感光材料の作製》前記下塗り第一
層と下塗り第二層を塗布した側のPET支持体下塗り層
の上に、特願平10−292849号の明細書中の図1
で開示されているスライドビート塗布方式を用いて、前
記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる
ように塗布した。さらにその上に、前記下層保護層塗布
液をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/
2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布
した。その後でその上に前記上層保護層塗布液をポリマ
ーラテックスの固形分塗布量が3.11g/m2になる
ように塗布し、熱現像感光材料を作製した。塗布時の乾
燥は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70〜75℃、
露点8〜25℃、液膜表面温度35〜40℃の範囲で、
水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支持体が1.
5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温度2
5±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行われ、巻
き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わ
せ、画像形成層面側を外にした。なお、感光材料の包袋
内湿度は相対湿度20〜40%(25℃測定)で、得ら
れた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは5.0、
ベック平滑度は850秒であり、反対側の膜面pHは
5.9、ベック平滑度は560秒であった。
【0169】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラー回転数は36,000rpm、露光
時間は2.0x10-8秒で露光を実施した。この時のオ
ーバーラップ係数0.449にした。
【0170】(熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料
を図1に示した熱現像機を用いて、熱現像処理を行っ
た。熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、
平滑面はテフロン(登録商標)不織布にして、搬送のラ
インスピードは表8に示しているが、例えば、150c
m/分の場合は予備加熱部12.2秒(予備加熱部と熱
現像処理部の駆動系は独立しており、熱現像部との速度
差は−0.5%〜−1%に設定、各予熱部の金属ローラ
ーの温度設定、時間は第1ローラー温度67℃、2.0
秒、第2ローラー温度82℃、2.0秒、第3ローラー
温度98℃、2.0秒、第4ローラー温度温度107
℃、2.0秒、第5ローラー温度115℃、2.0秒、
第6ローラー温度120℃、2.0秒にした)、熱現像
処理部120℃(熱現像感光材料面温度)で17.2
秒、徐冷部13.6秒で熱現像処理を行うことになる。
ここでの処理時間はラインスピードに応じて変化する。
なお、幅方向の温度精度は±0.5℃であった。各ロー
ラー温度の設定は熱現像感光材料の幅(例えば幅61c
m)よりも両側それぞれ5cm長くして、その部分にも
温度をかけて、温度精度が出るようにした。なお、各ロ
ーラーの両端部分は温度低下が激しいので、熱現像感光
材料の幅よりも5cm長くした部分はローラー中央部よ
りも1〜3℃温度が高くなるように設定し、熱現像感光
材料(例えば幅61cmの中で)の画像濃度が均質な仕
上がりになるように留意した。
【0171】(写真性能の評価)得られた画像の評価を
マクベスTD904濃度計(可視濃度)により行った。
測定の結果は、Dmin(カブリ)、Dmax(最高濃
度)および感度(Dminより1.5高い濃度を与える
露光量の比の逆数の相対値で評価し、表8に記載の熱現
像感光材料2を100とした)で評価した。また、線幅
感度の露光量依存性については、標準露光の2倍の露光
量での線幅の変化で評価した。
【0172】(保存後性能の評価)上記で作成した感光
材料を25℃、相対湿度40%の条件下で3時間放置し
た後に感光材料の感光層側とバック側を重ねあわせて密
封し、35℃で7日間保存した後、上記の熱現像処理と
同様に現像処理した。その後、写真性能評価を上記と同
様に行った。各熱現像感光材料について上記評価を実施
した結果を表8に示す。
【0173】
【表8】
【0174】表8よりラインスピード127cm/分で
処理した試料No.1及び2では線幅変動が大きかっ
た。また、ラインスピード140cm/分で処理した場
合でもポリハロゲン化合物を1種しか使用しなかった試
料No.3では、被りが高く、線幅変動が大きく、保存
後は被りが更に高くなった。一方、本発明の試料No.
4〜12では、カブリ(Dmin)が低く十分な画像濃
度(Dmax)を維持したまま線幅変動が小さく保存後
の被りも小さかった。中でも、試料No.5及び7〜1
2では保存前及び保存後とも被りが低く、線幅変動が非
常に小さく抑えられていた。
【0175】<実施例2> 《熱現像感光材料の作製》実施例1の画像形成層塗布液
および下層保護層塗布液を実施例1と同様にして同時重
層塗布した。その後で、その上に下記の2種類の保護層
塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が、中間層
保護層が1.97g/m2、最上層保護層が1.07g
/m2になるように中間層保護層塗布液と最上層保護層
塗布液を同時重層塗布し、熱現像感光材料を作製した。
【0176】《中間層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子
経72nm)625gに水を加え、化合物C0.23
g、化合物E0.13g、化合物F12.1g、化合物
H2.75gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)11.5gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を0.5質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは2.6、粘度は2
5℃で50mPa・sであった。
【0177】《最上層保護層塗布液の調製》メチルメタ
クリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレー
ト/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)
のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度
46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子経
116nm)649gに水を加え、化合物C0.23
g、化合物E1.85g、化合物G1.0g、カルナヴ
ァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール524:シ
リコーン含有量として5ppm未満)30質量%溶液1
8.4g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μ
m、平均粒径の変動係数8%)3.45gおよびポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−235)2
6.5gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール
溶媒を3質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を
圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは
5.2、粘度は25℃で24mPa・sであった。得ら
れた各熱現像材料に対して実施例1と同様の評価を実施
した結果、実施例1の結果を再現し、現像促進剤とポリ
ハロゲン化合物2種以上を組み合わせた本発明の熱現像
感光材料をラインスピード140cm/分以上で処理し
たとき、カブリ(Dmin)が低く十分な画像濃度(D
max)を維持したまま、線幅変動が小さく保存後性能
も良好であった。
【0178】<実施例3>実施例1で使用したサンプル
の露光を円筒外面方式マルチチャンネル(50mW半導
体レーザーヘッド30機搭載)で行い、実施例1と同様
に熱現像したところ本発明のサンプルは、カブリ(Dm
in)が低く十分な画像濃度(Dmax)を維持したま
ま、線幅変動が小さく保存後性能も良好であった。
【0179】
【発明の効果】本発明によれば、被りが低く、最高濃度
が高く、露光条件の変動による線幅変動が小さく、ま
た、長期保存性に優れた写真製版用途に最適な写真特性
を有する高速熱現像感光材料が提供される。また、本発
明の高速熱現像感光材料は、環境面、コスト面で有利な
水系塗布により調製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高速熱現像感光材料の熱現像処理に
用いられる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像画像形成材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB28 AB29 BA00 BA14 BB00 BB02 BB26 BB27 BB31 BB39 CA00 CA22 CB00 CB03 EA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非感光性銀塩、感光性ハロゲ
    ン化銀、造核剤、バインダー、下記式(A)で表される
    化合物、および下記式(1)で表される化合物の2種以
    上を含有する高速熱現像感光材料。 【化1】 [式(A)において、R1、R2、R3は水素原子、ハロ
    ゲン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄
    原子、もしくはリン原子でベンゼン環に結合する置換基
    を表わす。X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
    ン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原
    子もしくはリン原子でベンゼン環に結合する置換基を表
    わす。ただしX1、X2の少なくとも一方は−NR45
    表される基である。R4、R5はそれぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリー
    ル基、もしくは−C(=O)−R6、−C(=O)−C
    (=O)−R6、−SO2−R6、−SO−R6、−P(=
    O)(−R6)−R7で表される基である。R6、R7は水
    素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
    リール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アル
    コキシ基、アリールオキシ基から選ばれる基である。こ
    れらの置換基はそれぞれ隣接する基同士が結合して環を
    形成してもよい。] 【化2】 Q−(Y)n−CZ12X 式(1) [式(1)において、Qは置換基を有していてもよいア
    ルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2
    価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1および
    2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求
    引性基を表す。]
  2. 【請求項2】 Qの置換基が電子求引性基である式
    (1)の化合物を少なくとも1種含有することを特徴と
    する請求項1の高速熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 Qの置換基が式(2)で表される電子吸
    引性基である式(1)の化合物を少なくとも1種含有す
    ることを特徴とする請求項2の高速熱現像感光材料。 【化3】 [式(2)において、Lは連結基を表わし、W1および
    2は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ
    環基を表わす。nは0または1を表わす。]
  4. 【請求項4】 前記感光性ハロゲン化銀を含有する画像
    形成層に含まれるバインダーの50質量%以上が、Tg
    が−30℃〜40℃のポリマーのラテックスであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかの高速熱現像感光
    材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの高速熱現像感
    光材料をラインスピード140cm/分以上で熱現像す
    ることを特徴とする画像形成方法。
  6. 【請求項6】 露光時間が10-7秒以下であることを特
    徴とする請求項5の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 レーザーヘッドを2機以上搭載したマル
    チビームで露光することを特徴とする請求項5または6
    の画像形成方法。
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