JP2003107622A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2003107622A
JP2003107622A JP2001298721A JP2001298721A JP2003107622A JP 2003107622 A JP2003107622 A JP 2003107622A JP 2001298721 A JP2001298721 A JP 2001298721A JP 2001298721 A JP2001298721 A JP 2001298721A JP 2003107622 A JP2003107622 A JP 2003107622A
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JP2001298721A
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Koji Kuruma
浩二 来馬
Toshihide Ezoe
利秀 江副
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温低湿度におけるDmaxが高く、保存性
の良好な熱現像感光材料を提供すること。 【解決手段】 支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化
銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、バイ
ンダーを含有し、かつ写真有用有機化合物の固体微粒子
分散物を添加した塗布液を用いて製造される熱現像感光
材料において、前記固体微粒子分散物が微粒子分散工程
後に加熱処理をすることで作製され、かつ加熱処理後の
固体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数が50%以下
であることを特徴とする熱現像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものであり、特に、現像処理時の環境による性能の
変動が小さく、保存性の良好な写真製版用の熱現像感光
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光性の画像形成層を有し、
画像露光することで画像形成を行う感光材料が、数多く
知られている。その中には、環境保全に寄与し画像形成
手段を簡易化できるシステムとして、熱現像により画像
を形成する技術がある。近年、写真製版分野においては
環境保全や省スペースの観点から処理廃液の減量が強く
望まれるようになっている。そこで、レーザー・スキャ
ナーまたはレーザー・イメージセッターにより効率的に
露光させることができ、かつ高解像度および鮮鋭さを有
する鮮明な黒色画像を形成することができる写真製版用
途の熱現像感光材料に関する技術開発が必要とされてい
る。このような熱現像感光材料によれば、溶液系処理化
学薬品を必要としない、より簡単で環境を損なわない熱
現像処理システムを顧客に対して供給することが可能に
なる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,4
57,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Kl
osterboer)による「熱によって処理される銀システム
(Thermally Processed Silver Systems)A」(イメー
ジング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imag
ing Processes and Materials)Neblette 第8版、J.
スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walwort
h)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章第279頁、
1989年)に記載されている。このような熱現像感光
材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀
塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、お
よび銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に
分散した状態で含有する。感光材料は常温で安定である
が、露光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したと
きに、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸
化還元反応は露光により形成された潜像の触媒作用によ
って促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応に
よって生成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をな
すことから画像の形成がなされる。
【0004】このような熱現像感光材料を始めとする感
光材料は、その製造工程において、トルエン、メチルエ
チルケトン(MEK)、メタノールなどの有機溶剤を溶
媒とする塗布液を塗布することにより画像形成層を形成
しているものが多い。有機溶剤を溶媒として用いること
は、製造工程で人体へ悪影響が及ぶだけでなく、溶剤の
回収その他の工程が必要になるためコスト上も不利であ
る。
【0005】そこで、水を溶媒とする塗布液を用いて画
像形成層を形成する方法が提案されている。例えば特開
昭49−52626号公報、特開昭53−116144
号公報などには、ゼラチンをバインダーとする画像形成
層が記載されている。また特開昭50−151138号
公報には、ポリビニルアルコールをバインダーとする画
像形成層が記載されている。さらに特開昭60−617
47号公報には、ゼラチンとポリビニルアルコールを併
用した画像形成層が記載されている。これ以外の例とし
て特開昭58−28737号公報には、水溶性ポリビニ
ルアセタールをバインダーとする画像形成層が記載され
ている。このようなバインダーを用いれば、水溶媒の塗
布液を用いて画像形成層を形成することができるため、
環境面およびコスト面のメリットは大きい。
【0006】欧州特許公開EP第762,196号公
報、特開平9−90550号公報等に熱現像感光材料に
用いる感光性ハロゲン化銀粒子に第VII属またはVIII属
の金属イオンまたは金属錯体イオンを含有させること、
および感光材料中にヒドラジン誘導体を含有せしめて高
コントラストな写真特性を得ることができることが開示
されている。しかし、前述の水溶媒の塗布液で用いるバ
インダーとヒドラジンのような硬調化剤を併用しても、
高コントラストな画像を得ることができる。
【0007】一般に新聞印刷や商業印刷分野で写真製版
用フィルムを使用する場合、熱現像処理時の環境による
性能の変動が少なく、保存性が良好な画像がいつでも得
られるようなシステムが望まれている。しかし、熱現像
感光材料は、環境が低温低湿度になるとDmax(最高
濃度)が低下するという問題があった。また、有機銀塩
と銀イオンの還元剤が膜中に存在するため、現像処理前
の経時保存によりカブリが上昇する場合があった。この
ため、低温低湿度におけるDmaxが高く、保存性の良
好な熱現像感光材料を提供することが望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする課題は、環境による性能の変動が少なく、
保存性が良好で常に安定な画像が得られる熱現像感光材
料を提供することにある。特に、写真製版用、スキャナ
ー、イメージセッター用として、低温低湿度におけるD
max(最高濃度)が高く、現像処理前の経時保存によ
るカブリ上昇の小さい熱現像感光材料を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、特定の条件を満た固体微粒子分散物を用い
れば上記課題を解決した熱現像感光材料が得られること
を見出し、本発明を提供するに至った。すなわち、本発
明は支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化銀、非感光
性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、バインダーを含
有し、かつ写真有用有機化合物の固体微粒子分散物を添
加した塗布液を用いて製造される熱現像感光材料におい
て、前記固体微粒子分散物が微粒子分散工程後に加熱処
理をすることで作製され、かつ加熱処理後の固体微粒子
分散物の粒子サイズの変動係数が50%以下であること
を特徴とする熱現像感光材料を提供する。
【0010】本発明の熱現像感光材料に用いる固体微粒
子分散物は、加熱処理後の粒子サイズの変動係数が20
〜50%であることが好ましい。また、加熱処理は、前
記微粒子分散工程時の温度よりも高い温度で2〜300
時間行われ、かつ加熱処理による下記変動係数変化Δα
が5%以上であることが好ましい。 Δα=α1−α2 [式中、Δαは変動係数変化、α1は加熱処理前の固体
微粒子分散物の粒子サイズの変動係数、α2は加熱処理
後の固体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数を表
す。] 本発明の熱現像感光材料は、硬調化剤を含有することが
好ましい。また、本発明に用いる写真有用有機化合物は
フタラジン化合物を含む錯体であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。なお、本明細書におい
て「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値
および最大値として含む範囲を示す。
【0012】本発明の熱現像感光材料に使用される写真
有用有機化合物の固体微粒子分散物は、微粒子分散工程
後に加熱処理することで作製され、かつ加熱処理後の固
体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数が50%以下で
あることを特徴とするものである。変動係数は体積加重
平均直径の標準偏差を平均粒子サイズで割った値を百分
率で表したものである。分散物の平均粒子サイズは、例
えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、そ
の散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求
めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直
径)から求めることができる。測定装置としては、レー
ザー回折・散乱粒度分布測定装置として市販されている
ものであればよく、島津製作所(株)製のSALD−2
000J等が挙げられる。より好ましい平均粒子サイズ
は0.1μm〜5.0μm、さらに好ましい平均粒子サ
イズは0.1μm〜2.0μmである。
【0013】加熱処理は、固体微粒子分散工程後2週間
以内に行うことが好ましく、さらに1週間以内に行うこ
とが好ましく、3日以内に行うことがさらにより好まし
く、分散後30時間以内に行うことが最も好ましい。な
お、分散後加熱処理までの時間が1時間を超える場合
は、分散物は冷蔵して保管しておくことが好ましく、1
5℃以下で保管しておくことが好ましく、さらに1℃〜
10℃で保管しておくことが好ましい。加熱処理の温
度、および処理時間は、熱処理をする工程、分散物粒子
の大きさや形状、分散物濃度や組成によって異なるが、
具体的には、固体微粒子分散時の温度より5℃以上高い
温度で2時間〜300時間加熱処理することが適当であ
り、固体微粒子分散時の温度より5℃〜100℃の高い
温度で2時間〜100時間加熱処理することが好まし
く、固体微粒子分散時の温度より5℃〜70℃高い温度
で2時間〜50時間加熱処理することがより好ましく、
固体微粒子分散時の温度より5℃〜30℃高い温度で5
時間〜50時間加熱処理することがさらにより好まし
い。本発明においては、下記変動係数変化Δαが5%以
上であるような加熱処理を行うことが好ましい。 Δα=α1−α2 [式中、Δαは変動係数変化、α1は加熱処理前の固体微
粒子分散物の粒子サイズの変動係数、α2は加熱処理後
の固体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数を表す。] 変動係数変化Δαのより好ましい範囲は5〜100%で
あり、さらに好ましくは10〜60%である。また、好
ましい変動係数α2の範囲は20〜50%、さらに好ま
しくは20〜35%である。
【0014】本明細書において「写真有用有機化合物」
とは、熱現像感光材料を構成する層に含まれる有機化合
物を意味するものであり、好ましくは熱現像の際または
その後にその有用性を発揮する有機化合物である。例え
ば、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、現像
促進剤、硬調化剤、色調剤、カブリ防止剤、等の化合物
が挙げられる。このうち、フタラジン化合物を含む錯体
を使用することがより好ましい。本発明の条件下で製造
した固体分散物は、経時の保存安定性が極めて良好であ
る。また、後述するように本発明の固体分散物を添加し
た塗布液を用いることで、低温低湿度におけるDmax
(最高濃度)が高く、現像処理前の経時保存によるカブ
リ上昇の小さい熱現像感光材料を得ることができる。
【0015】固体微粒子分散法としては、上記熱現像用
有機化合物の粉末または、含有する溶媒のうち水が50
%〜100%を占める水ウェットケーキを、水等の適当
な溶媒ならびに以下に示すような適当な保護コロイド、
界面活性剤等の分散剤とともに、粗スラリー液として混
合し、によって微粒子に分散することにより、固体分散
物を作製する方法が挙げられる。好ましい分散機として
は、1)メディアを使用する機械的分散方法によって分
散物を得ることができるメディア分散機、または、2)
超高圧ホモジナイザーを挙げることができる。メディア
分散機は、ボールミル、コロイドミル、振動ボールミ
ル、縦型ビーズミル、ローラーミル、ピンミル、コボー
ルミル、キャディーミル、横型ビーズミル、アトライタ
ーなどの方法が挙げられる。このうち内圧を50hPa
以上の加圧状態に保てる横型ビーズミルが好ましい。ミ
ル内部は磨耗により分散物に対して不純物を混入させる
恐れが有るために非金属材料が好ましく、耐久性の点で
セラミックス材質であることが望まれる。市販のミルか
ら選ぶことができるため特に機種についての制約はない
が、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼズ社
製)、マイティーミル(井上製作所製)、アジテータミ
ル(アシザワ社製)、ウルトラビスコミル(アイメック
ス社製)などを挙げることができる。また、分散メディ
アとしては、スチールボール、セラミックボール、ガラ
スビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアシリケートビー
ズ、ジルコニアビーズ、オタワサンドなどを挙げること
ができる。分散メディア(ビーズ)の平均直径は0.3
mm〜5mmが好ましく、0.3mm〜3mmがより好
ましく、0.3mm〜1mmがさらにより好ましく、
0.5mm〜1mmのものがもっとも好ましく用いられ
る。超高圧ホモジナイザーは、分散前の液が高圧ポンプ
により180MPa以上に増圧されたものを導入するこ
とが可能な耐圧性能を有する物が好ましい。市販の超高
圧ホモジナイザーから選ぶことができるため特に機種に
ついての制約はないが、マイクロフルイダイザー(みづ
ほ工業社製)、DeBEE2000(BEEINTER
NATIONAL社製)などを挙げることができる。
【0016】分散時に用いる水以外の有機溶媒として
は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性
有機溶媒を好ましい例として挙げることができる。
【0017】分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(保
護コロイド)の存在下で写真有用有機化合物を分散する
ことが好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリ
ル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マ
レイン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパ
ンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カ
ルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース
などの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン
酸などのアニオン性ポリマー、特開平7−350753
号公報に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノ
ニオン性、カチオン性界面活性剤やその他のポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、或い
はゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選
択して用いることができるが、ポリビニルアルコール
類、水溶性のセルロース誘導体を用いるのが特に好まし
い。
【0018】ポリビニルアルコール(PVA)としては
以下の化合物を挙げることができる。完全けん化物とし
ては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PV
A)含有率94.0質量%以上、けん化度98.5±
0.5mol%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以
下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20
℃)5.6±0.4mPa・s]、PVA−110[P
VA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5
mol%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分
5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±
0.8mPa・s]、PVA−117[PVA含有率9
4.0質量%、けん化度98.5±0.5mol%、酢
酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量
%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0mPa
・s]、PVA−117H[PVA含有率93.5質量
%、けん化度99.6±0.3mol%、酢酸ナトリウ
ム含有率1.85質量%、揮発分5.0質量%、粘度
(4質量%、20℃)29.0±3.0mPa・s]、
PVA−120[PVA含有率94.0質量%、けん化
度98.5±0.5mol%、酢酸ナトリウム含有率
1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、
20℃)39.5±4.5mPa・s]、PVA−12
4[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±
0.5mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、
揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)60.
0±6.0mPa・s]、PVA−124H[PVA含
有率93.5質量%、けん化度99.6±0.3mol
%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量%、揮発分5.
0質量%、粘度(4質量%、20℃)61.0±6.0
mPa・s]、PVA−CS[PVA含有率94.0質
量%、けん化度97.5±0.5mol%、酢酸ナトリ
ウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度
(4質量%、20℃)27.5±3.0mPa・s]、
PVA−CST[PVA含有率94.0質量%、けん化
度96.0±0.5mol%、酢酸ナトリウム含有率
1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、
20℃)27.0±3.0mPa・s]、PVA−HC
[PVA含有率90.0質量%、けん化度99.85m
ol%以上、酢酸ナトリウム含有率2.5質量%、揮発
分8.5質量%、粘度(4質量%、20℃)25.0±
3.5mPa・s](以上、いずれもクラレ(株)製の
商品名)などが挙げられる。
【0019】部分けん化物としては、PVA−203
[PVA含有率94.0質量%、けん化度88.0±
1.5mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、
揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)3.4
±0.2mPa・s]、PVA−204[PVA含有率
94.0質量%、けん化度88.0±1.5mol%、
酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量
%、粘度(4質量%、20℃)3.9±0.3mPa・
s]、PVA−205[PVA含有率94.0質量%、
けん化度88.0±1.5mol%、酢酸ナトリウム含
有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量
%、20℃)5.0±0.4mPa・s]、PVA−2
10[PVA含有率94.0質量%、けん化度88.0
±1.0mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量
%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)
9.0±1.0mPa・s]、PVA−217[PVA
含有率94.0質量%、けん化度88.0±1.0mo
l%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.
0質量%、粘度(4質量%、20℃)22.5±2.0
mPa・s]、PVA−220[PVA含有率94.0
質量%、けん化度88.0±1.0mol%、酢酸ナト
リウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度
(4質量%、20℃)30.0±3.0mPa・s]、
PVA−224[PVA含有率94.0質量%、けん化
度88.0±1.5mol%、酢酸ナトリウム含有率
1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、
20℃)44.0±4.0mPa・s]、PVA−22
8[PVA含有率94.0質量%、けん化度88.0±
1.5mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、
揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)65.
0±5.0mPa・s]、PVA−235[PVA含有
率94.0質量%、けん化度88.0±1.5mol
%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0
質量%、粘度(4質量%、20℃)95.0±15.0
mPa・s]、PVA−217EE[PVA含有率9
4.0質量%、けん化度88.0±1.0mol%、酢
酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量
%、粘度(4質量%、20℃)23.0±3.0mPa
・s]、PVA−217E[PVA含有率94.0質量
%、けん化度88.0±1.0mol%、酢酸ナトリウ
ム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4
質量%、20℃)23.0±3.0mPa・s]、PV
A−220E[PVA含有率94.0質量%、けん化度
88.0±1.0mol%、酢酸ナトリウム含有率1.
0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20
℃)31.0±4.0mPa・s]、PVA−224E
[PVA含有率94.0質量%、けん化度88.0±
1.0mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、
揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)45.
0±5.0mPa・s]、PVA−403[PVA含有
率94.0質量%、けん化度80.0±1.5mol
%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0
質量%、粘度(4質量%、20℃)3.1±0.3mP
a・s]、PVA−405[PVA含有率94.0質量
%、けん化度81.5±1.5mol%、酢酸ナトリウ
ム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4
質量%、20℃)4.8±0.4mPa・s]、PVA
−420[PVA含有率94.0質量%、けん化度7
9.5±1.5mol%、酢酸ナトリウム含有率1.0
質量%、揮発分5.0質量%]、PVA−613[PV
A含有率94.0質量%、けん化度93.5±1.0m
ol%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分
5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)16.5±
2.0mPa・s]、L−8[PVA含有率96.0質
量%、けん化度71.0±1.5mol%、酢酸ナトリ
ウム含有率1.0質量%(灰分)、揮発分3.0質量
%、粘度(4質量%、20℃)5.4±0.4mPa・
s](以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)などが
ある。なお、上記の測定値はJISK−6726−19
77に準じて求めたものである。
【0020】変性ポリビニルアルコールについては「ポ
バール」(長野浩一ら共著高分子刊行会発行)に記載の
ものが用いられる。カチオン、アニオン、−SH化合
物、アルキルチオ化合物、シラノールによる変性があ
る。このような変性ポリビニルアルコール(変性PV
A)としては、CポリマーとしてC−118、C−31
8、C−318−2A、C−506(以上、いずれもク
ラレ(株)製の商品名)、HLポリマーとしてHL−1
2E、HL−1203(以上、いずれもクラレ(株)製
の商品名)、HMポリマーとしてHM−03、HM−N
−03(以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)、K
ポリマーとしてKL−118、KL−318、KL−5
06、KM−118T、KM−618(以上、いずれも
クラレ(株)製の商品名)、MポリマーとしてM−11
5(クラレ(株)製の商品名)、MPポリマーとしてM
P−102、MP−202、MP−203(以上、いず
れもクラレ(株)製の商品名)、RポリマーとしてR−
1130、R−2105、R−2130(以上、いずれ
もクラレ(株)製の商品名)、VポリマーとしてV−2
250(クラレ(株)製の商品名)などがある。
【0021】分散剤は、分散前に写真有用有機化合物の
粉末またはウェットケーキ状の有機化合物と混合し、ス
ラリーとして分散機に送り込むのが一般的な方法である
が、発泡の影響が懸念される場合は、予め有機化合物と
混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施してス
ラリーとすることが好ましい。また、分散による微粒子
化においてpH依存性が大きい場合は、分散前後または
分散中に適当なpH調整剤によりpHコントロールする
ことが好ましい。一方、写真有用有機化合物が錯体の場
合は、錯体を形成しうる少なくとも2種類以上の有機化
合物を混合して分散し、微粒子化とともに錯体形成を行
う方法が写真性、塗布性、およびコストの点でより好ま
しい。分散剤および界面活性剤は分散される写真有用有
機化合物に対し、それぞれ2〜40質量%、好ましくは
5〜30質量%用いられる。
【0022】本発明により調製された固体分散物は、保
存時の微粒子の沈降が激しい場合、沈降を抑える目的で
攪拌しながら保存すること、あるいは親水性コロイドに
より粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー
状にした状態)で保存することが好ましい。また、保存
時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤(例えばベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を添加することが
好ましい。また、本発明により調製された固体分散物
は、製造後使用までの間の保存または輸送の際に、冷蔵
しても室温下に置いてもよいが、経時による微粒子サイ
ズの増大、または微粒子の沈降が激しい場合は、冷蔵下
に置くことが好ましい。なお、冷蔵とは1℃〜20℃を
いい、室温とは20℃〜40℃をいう。また、明室に置
いても暗室に置いてもよいが、好ましいのは製造後使用
までの間、暗室に置いておく場合である。
【0023】本発明では、写真有用有機化合物が、フタ
ラジン化合物を含む錯体であることが好ましい。この化
合物は、熱現像感光材料において色調剤として機能する
化合物である。特に好ましいのは、下記一般式(1)で
表されるフタラジン化合物である。
【0024】
【化1】 [式(1)においてRは置換基を表し、mは1〜6の整
数を表す。M≧2の場合、複数のRはそれぞれ同一であ
っても異なっていてもよい。]
【0025】Rで表わされる置換基としては、写真性へ
悪影響のないものであればどのような置換基を用いても
良い。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐または環
状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例え
ば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−
ブチル基、tert−オクチル基、tert−アミル
基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニ
ル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜
16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル
基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など
が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜
30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜1
2であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル
基、ナフチル基などが挙げられる。)、アルコキシ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
6、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ
基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、ア
リールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ま
しくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例え
ば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙
げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜1
2であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基
などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0
〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは12
であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基、ジブチルアミノ基などが挙げられる。)、アシルア
ミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2
〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、アセ
チルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられ
る。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12
であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼン
スルホニルアミノ基などが挙げられる。)、ウレイド基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
6、特に好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド
基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げ
られる。)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜2
0、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12
であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェニ
ルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、カ
ルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜1
2であり、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチル
カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙
げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭
素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましく
は2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル基、エ
トキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜1
6、特に好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル
基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙
げられる。)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましく
は1〜12であり、例えば、メシル基、トシル基などが
挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数
0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0
〜12であり、例えば、スルファモイル基、メチルスル
ファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルス
ルファモイル基などが挙げられる。)、シアノ基、ニト
ロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
6、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチ
オ基、ブチルチオ基などが挙げられる。)、ヘテロ環基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜1
6、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル
基、イミダゾリル基、ピロリジル基などが挙げられ
る。)等が挙げられる。
【0026】Rで表わされる置換基としては、好ましく
はハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ
基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキ
ルチオ基であり、さらに好ましくは直鎖、分岐または環
状のアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基であ
り、特に好ましくは、直鎖または分岐のアルキル基であ
る。
【0027】mが2以上の時には、Rで表わされる置換
基は互いに同じでも異なっていても良く、これらの置換
基は、さらに別の置換基で置換されていても良い。ま
た、互いに結合して環状構造を形成しても良い。
【0028】以下に式(1)で表される化合物の具体例
を挙げるが、本発明で用いることができる化合物はこれ
らの具体例に限定されるものではない。
【0029】
【化2】
【0030】式(1)で表されるフタラジン化合物を含
む錯体は、水素結合錯体であることが好ましい。水素結
合は、「結晶の分子科学入門(笹田義夫・大橋裕二・齊
藤喜彦/編、講談社サイエンティフィク(1989))
中において、「水素結合は、電気陰性度の大きい原子X
とYの間にプロトンが存在して作られる」と記載されて
いる。形式的には、X−H…Yのように表され、水素が
結合している原子Xがプロトン供与体、Yがプロトン受
容体と呼ばれる。式(1)で表されるフタラジン化合物
とともに錯体を形成する化合物の種類は特に制限されな
い。好ましいのは、感光材料中においてフタラジン化合
物と同じ層中に含有させる化合物である。例えば、還元
剤などのフェノール化合物を挙げることができる。フタ
ラジン化合物とフェノール化合物の混合mol比は、形
成される錯体が安定であれば特に制限されないが、1:
1、2:1、1:2錯体が比較的容易に得られる。色調
剤として機能するフタラジン化合物からなる錯体の固体
微粒子分散物を用いる場合は、画像形成層を有する側に
銀1molあたりフタラジン化合物として0.1〜50
mol%含まれるようにすることが好ましく、0.5〜
20mol%含まれるようにすることがより好ましい。
【0031】本発明の熱現像感光材料に用いる非感光性
有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光され
た光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元
剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合
に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能
な銀イオン源を含む任意の有機物質であってよい。有機
酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15
〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位
子が4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する
有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、
好ましくは画像形成層の約5〜70質量%を構成するこ
とができる。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基
を有する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体
的には、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン
酸の銀塩を挙げることができるが、これらに限定される
ものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例と
しては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸
銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリ
スチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸
銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、
これらの混合物などを挙げることができる。
【0032】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75m
ol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン
酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることが
さらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用す
る有機酸銀に対するベヘン酸銀のmol分率を示す。本
発明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有
機酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いる
ことができる。
【0033】本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、
上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩
等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させ
ることにより調製される。これらの調製方法について
は、特開2000−292882号公報の段落番号00
19〜0021に記載の方法を用いることができる。
【0034】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特開200
1−33907号公報に記載されている方法を用いるこ
とができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、硝
酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは
反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。
ここで用いる分散剤の種類および使用量については、特
開2000−305214号公報の段落番号0052に
具体例が記載されている。
【0035】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0036】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限されないが、特開2000−29
2882号公報の段落番号0024に記載のものを用い
ることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物
の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散
性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均
直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径
で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以
下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30
%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散し
た有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎ
の時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得
られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めること
ができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.
05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好まし
い。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0
μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜
2.0μmである。
【0037】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特開2000−305214号公報に記載
の方法を用いることができる。
【0038】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画
像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実
質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降
下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散
方法については特開2000−292882号公報の段
落番号0027〜0038に記載の方法を用いることが
できる。
【0039】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物
の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体
的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直
径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より
好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下で
ある。
【0040】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であること
が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜
15質量%の範囲が好ましい。
【0041】本発明で用いる有機銀塩は所望の量で使用
できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、
さらに好ましくは1〜3g/m2、もっとも好ましくは
1〜1.6g/m2ある。
【0042】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0043】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形
成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布
直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分
散後、塗布液調製前後である。
【0044】本発明におけるCa、Mg、ZnおよびA
gから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性
有機銀1molあたり10-3〜10-1molが好まし
く、特に5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0045】本発明の熱現像感光材料に用いる感光性ハ
ロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩
化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を
用いることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形
成については、特開平11−119374号公報の段落
番号0217〜0224に記載されている方法で粒子形
成することができるが、特にこの方法に限定されるもの
ではない。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八
面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等
を挙げることができるが、本発明においては特に立方体
状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペク
ト比、面指数など粒子形状の特徴については、特開平1
1−119374号公報の段落番号0225に記載され
ているものと同じである。また、ハロゲン組成の分布は
ハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であっても
よく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよ
く、或いは連続的に変化したものでもよい。コア/シェ
ル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いる場合は、好ま
しくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコ
ア/シェル粒子である。また塩化銀または塩臭化銀粒子
の表面に臭化銀を局在させる技術も用いることができ
る。ハロゲン組成の分布は粒子の内部と表面において均
一であることが好ましい。
【0046】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀のハロ
ゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制限なく用いること
ができるが、0.12μm以下が好ましく、さらに0.
01〜0.10μmが好ましい。本発明で用いるハロゲ
ン化銀粒子の粒径分布は、単分散度の値が30%以下で
あり、好ましくは1〜20%であり、さらに5〜15%
である。ここで単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径
で割った値の百分率(%)(変動係数)として定義され
るものである。なおハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜
上、立方体粒子の場合は稜長で表し、その他の粒子(八
面体、十四面体、平板状など)は投影面積円相当直径で
算出する。
【0047】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属
または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族ある
いは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属とし
て好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニ
ウム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、
(NH43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)C
5、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。これら
金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属
の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀
1molに対し1×10-9mol〜1×10-3molの
範囲が好ましく、1×10-8mol〜1×10 -4mol
の範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造として
は特開平7−225449号公報等に記載された構造の
金属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、
添加方法に関しては、特開平11−119374号公報
の段落番号0227〜0240に記載されている。
【0048】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法に
より脱塩することができる。本発明で用いる感光性ハロ
ゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感
については、特開平11−119374号公報の段落番
号0242〜0250に記載されている方法を用いるこ
とが好ましい。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、
欧州特許公開EP第293,917A1号公報に示され
る方法により、チオスルホン酸化合物を添加することが
好ましい。
【0049】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機
銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するため
に、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分
子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であ
り、好ましくは分子量1,000〜40,000であ
る。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱
塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分
散時に使用することが好ましい。さらには、粒子形成時
は通常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用
し、脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用する
ことがより好ましい。
【0050】分散媒の濃度は0.05〜20質量%にす
ることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域
が好ましい。ゼラチンの種類としては、アルカリ処理ゼ
ラチン、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンの如き修飾
ゼラチンが用いられるが、アルカリ処理ゼラチン、フタ
ル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンが好ましい。
【0051】本発明に用いる感光材料中のハロゲン化銀
乳剤は、1種だけを用いてもよいし、2種以上(例え
ば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異な
るもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるも
の)を併用してもよいが、本発明では1種のハロゲン化
銀乳剤を用いることが好ましい。
【0052】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀の使用
量としては有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化
銀0.01mol〜0.5molが好ましく、0.02
mol〜0.3molがより好ましく、0.03mol
〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光
性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件に
ついては、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と
有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロ
イドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法
や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミング
で調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩
を調製する方法等がある。また、混合する際に2種以上
の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を
混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法
である。本発明では、別々に調製した感光性ハロゲン化
銀と有機銀塩を低速(100〜200rpm)プロペラ
攪拌機で混合することが好ましい。
【0053】本発明に用いることができる増感色素とし
ては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域
でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば、550nm〜750n
mの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10
−186572号公報の一般式(II)で表される色素
が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−1
4、II−15、II−18、II−23、II−25
の色素を好ましい色素として例示することができる。ま
た、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色
素としては、特開平11−119374号公報の一般式
(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(2
5)、(26)、(30)、(32)、(36)、(3
7)、(41)、(49)、(54)の色素を好ましい
色素として例示することができる。さらに、J−ban
dを形成する色素として、米国特許第5,510,23
6号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例
5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭
59−48753号公報に開示されている色素を好まし
い色素として例示することができる。これらの増感色素
は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい
が、本発明では単独で用いることが好ましい。
【0054】これら増感色素の添加方法は、特開平11
−119374号公報の段落番号0106に記載されて
いる方法が挙げられるが、エタノール、メタノールに溶
解して添加することが好ましい。本発明における増感色
素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量
にすることができるが、感光層のハロゲン化銀1mol
当たり10-6〜1molが好ましく、さらに好ましくは
10-4〜10-1molである。
【0055】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることが好ましい。本発明に用いる強
色増感剤としては、欧州特許公開EP第587,338
A号公報、米国特許第3,877,943号明細書、同
第4,873,184号明細書に開示されている化合
物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素
芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、
トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。好
ましい強色増感剤は、特開平5−341432号公報に
開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香
族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号公報
の一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特
開平10−111543号公報の一般式(I)で表され
るスチルベン化合物、特開平11−109547号公報
の一般式(I)で表わされる化合物である。特に好まし
い強色増感剤は、特開平5−341432号公報のM−
1〜M−24の化合物、特開平4−182639号公報
のd−1)〜d−14)の化合物、特開平10−111
543号公報のSS−01〜SS−07の化合物、特開
平11−109547号公報の31、32、37、3
8、41〜45、51〜53の化合物である。これらの
強色増感剤の添加量は、乳剤層中にハロゲン化銀1mo
l当たり10 -4〜1molの範囲が好ましく、ハロゲン
化銀1mol当たり0.001〜0.3molの範囲が
より好ましい。
【0056】本発明の熱現像感光材料にはリンを含む化
合物として、五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩を併用して用いることが特に好ましい。五酸化二リ
ンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン
酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三
リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸
(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いら
れる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩とし
ては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を
挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸
ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムな
どがある。本発明において好ましく用いることができる
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量
で所望の効果を発現するという点から画像形成層あるい
はそれに隣接するバインダー層に添加する。リンを含む
化合物および五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度
やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.
1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg
/m2がより好ましい。
【0057】本発明の熱現像感光材料は、硬調化剤を含
有することが好ましい。本発明で用いる硬調化剤の種類
は特に限定されないが、よく知られている硬調化剤とし
て、特開2000−284399号公報に記載の式
(H)で表されるヒドラジン誘導体(具体的には同公報
の表1〜表4に記載のヒドラジン誘導体)、特開平10
−10672号公報、特開平10−161270号公
報、特開平10−62898号公報、特開平9−304
870号公報、特開平9−304872号公報、特開平
9−304871号公報、特開平10−31282号公
報、米国特許第5,496,695号明細書、欧州特許
公開EP第741,320A号公報に記載のすべてのヒ
ドラジン誘導体を挙げることができる。また、特開20
00−284399号公報に記載の式(1)〜(3)で
表される置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘
導体および特定のアセタール化合物や、さらには同公報
に記載の式(A)または式(B)で表される環状化合
物、具体的には同公報の化8〜化12に記載の化合物1
〜72を挙げることができる。また、特開2001−1
33924号公報に記載の一般式(H)、(G)、
(P)で表される化合物、具体的には同公報の(化3)
〜(化9)、(化11)〜(化53)が挙げることがで
きる。さらに、特開2001−27790号公報に記載
の一般式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−
4)、(H−5)、(H−1−1)で表されるヒドラジ
ン誘導体(具体的には同公報に記載の化合物H−1−1
〜H−1−28、化合物H−2−1〜H−2−9、化合
物H−3−1〜H−3−12、化合物H−4−1〜H−
4−21、化合物H−5−1〜H−5−5)、特開20
01−125224号公報に記載の一般式(1)で表さ
れる置換アルケン誘導体(具体的には同公報に記載の
(化10)〜(化55)も挙げることができる。これら
硬調化剤は複数を併用してもよいが、本発明は1種、ま
たは2種の硬調化剤を用いることが好ましい。
【0058】本発明の硬調化剤は、水あるいは適当な有
機溶媒に溶解して用いることができる。水溶液として添
加する場合は、当技術分野で周知の可溶化剤を用いるこ
とができ、具体的には特開2001−83657公報の
段落番号91〜101に記載の水溶性ポリマー、界面活
性剤が好ましく用いられる。有機溶媒に溶解して用いる
場合は、例えばアルコール類(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることが好ま
しい。また、酸性基が結合した化合物の場合は当量のア
ルカリで中和し、塩として用いることが好ましい。ま
た、水への溶解度が低い場合は、乳化分散法、固体分散
法で分散して用いることが好ましい。乳化分散を行う場
合は、当技術分野で周知の乳化分散法によって、ジブチ
ルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリ
ルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオ
イル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を
用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して、熱現像
画像記録材料中に用いることが好ましい。固体分散を行
う場合は、当技術分野で周知の固体分散法によって、粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライ
ンダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザ
ーあるいは超音波によって分散し、熱現像画像記録材料
中に用いることが好ましい。また、乳化分散、固体分散
を行うには当技術分野で周知の分散助剤を用いることが
好ましく、具体的には特開2001−83657公報の
段落番号91〜101に記載の水溶性ポリマー、界面活
性剤が好ましく用いられる。
【0059】本発明では、硬調化剤は支持体に対して画
像形成層側のいずれの層に添加してもよいが、該画像形
成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好まし
い。添加量はハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、
化学増感の程度、抑制剤の種類等により最適量が違い、
一様ではないが、銀1mol当たり10−6〜1mol
程度、特に10−5〜10−1molの範囲が好まし
い。
【0060】本発明の熱現像感光材料は、有機銀塩のた
めの還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオ
ンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質
である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコール
などの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフ
ェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有
する面の銀1molに対して5〜50mol%含まれる
ことが好ましく、10〜40mol%で含まれることが
さらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に対して画像
形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層に
添加する場合は銀1molに対して10〜50mol%
と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像
時のみ有効に機能するように誘導化されたいわゆるプレ
カーサーであってもよい。
【0061】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤を使用することができる。例えば、
特開昭46−6074号公報、同47−1238号公
報、同47−33621号公報、同49−46427号
公報、同49−115540号公報、同50−1433
4号公報、同50−36110号公報、同50−147
711号公報、同51−32632号公報、同51−1
023721号公報、同51−32324号公報、同5
1−51933号公報、同52−84727号公報、同
55−108654号公報、同56−146133号公
報、同57−82828号公報、同57−82829号
公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,67
9,426号明細書、同第3,751,252号明細
書、同第3,751,255号明細書、同第3,76
1,270号明細書、同第3,782,949号明細
書、同第3,839,048号明細書、同第3,92
8,686号明細書、同第5,464,738号明細
書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許
公開EP第692,732号公報などに開示されている
還元剤を用いることができる。例えば、フェニルアミド
オキシム、2−チエニルアミドオキシムおよびp−フェ
ノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;
例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアル
デヒドアジンなどのアジン;2,2’−ビス(ヒドロキ
シメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとア
スコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリ
ールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒド
ロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンお
よび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノ
ンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピ
ペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メ
チルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒド
ロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸お
よびβ−アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム
酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例
えば、フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼ
ンスルホンアミドフェノールなど);エチル−α−シア
ノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シア
ノフェニルアセテートなどのα−シアノフェニル酢酸誘
導体;2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチ
ル、6,6’−ジブロモ−2,2’−ジヒドロキシ−
1,1’−ビナフチルおよびビス(2−ヒドロキシ−1
−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−β−ナフ
トール;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシ
ベンゼン誘導体(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノンまたは2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノ
ンなど)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピ
ラゾロンなどの5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソ
ースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソース
レダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソ
ースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6
−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノールお
よびp−ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスル
ホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−
1,3−ジオンなど;2,2−ジメチル−7−tert
−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどのクロマン;
2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,
4−ジヒドロピリジンなどの1,4−ジヒドロピリジ
ン;ビスフェノール(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−
3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−tert−
ブチル−6−メチルフェノール)、1,1,−ビス(2
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,
5−トリメチルヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);
アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1−アス
コルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびに
ベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケト
ン;3−ピラゾリドンおよびある種のインダン−1,3
−ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などが
ある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール、クロマ
ノールである。
【0062】本発明で還元剤を用いる場合、それは、水
溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分
散物などいかなる方法で添加してもよいが、この中でも
固体微粒子分散物として添加することが好ましい。固体
微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、
振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェット
ミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒
子分散する際には当技術分野で周知の分散助剤を用いる
ことが好ましく、具体的には特開2001−83657
公報の段落番号91〜101に記載の水溶性ポリマー、
界面活性剤が好ましく用いられる。
【0063】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。
また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利に
なることがある。また、色調剤は現像時のみ有効に機能
するように誘導化されたいわゆるプレカーサーであると
さらに好ましい。有機銀塩を利用した熱現像感光材料に
おいては広範囲の色調剤を使用することができる。例え
ば、特開昭46−6077号公報、同47−10282
号公報、同49−5019号公報、同49−5020号
公報、同49−91215号公報、同49−91215
号公報、同50−2524号公報、同50−32927
号公報、同50−67132号公報、同50−6764
1号公報、同50−114217号公報、同51−32
23号公報、同51−27923号公報、同52−14
788号公報、同52−99813号公報、同53−1
020号公報、同53−76020号公報、同54−1
56524号公報、同54−156525号公報、同6
1−183642号公報、特開平4−56848号公
報、特公昭49−10727号公報、同54−2033
3号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同
第3,446,648号明細書、同第3,782,94
1号明細書、同第4,123,282号明細書、同第
4,510,236号明細書、英国特許第1,380,
795号明細書、ベルギー特許第841,910号明細
書などに開示されているものを適宜使用することができ
る。色調剤の具体例としては、フタルイミドおよびN−
ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン
−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2
−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キ
ナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環
状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−
1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コ
バルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メル
カプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカ
プトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル
−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプ
ト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプ
タン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミ
ド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタ
ルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナ
フタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブ
ロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびあ
る種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビ
ス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾー
ル)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソ
チウロニウムトリフルオロアセテート)および2−トリ
ブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾール));
ならびに3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾ
チアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チ
オ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フ
タラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナ
フチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,
7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−
1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノン
とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタ
ル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタ
ル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体
(たとえば、4−(1−ナフチル)フタラジン、6−ク
ロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン、6−
イソブチルフタラジン、6−tert−ブチルフタラジ
ン、5,7−ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒ
ドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩、;フタ
ラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フ
タル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およ
びテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾ
リンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン
誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン
化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能する
ロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)
酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘ
キサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過
酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニ
ウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−
2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジ
ン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズ
オキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−
2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン
(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒド
ロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、
およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−
ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,
3a,5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4
−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−
1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレ
ン)などが好ましく用いられる。特にフタラジン誘導
体、フタル酸誘導体が好ましく用いられる。本発明では
色調剤として、特開2000−35631号公報に記載
の一般式(F)で表されるフタラジン誘導体が最も好ま
しく用いられる。具体的には同公報に記載のA−1〜A
−10が好ましく用いられる。
【0064】色調剤は、水あるいは適当な有機溶媒に溶
解して用いることが好ましい。当技術分野で周知の可溶
化剤を用いて水溶液化して添加することが好ましく、具
体的には特開2001−83657公報の段落番号91
〜101に記載の水溶性ポリマー、界面活性剤が好まし
く用いられる。また、適当な有機溶媒に溶解して用いる
場合は、例えばアルコール類(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることが好ま
しい。また、酸性基が結合した化合物の場合は当量のア
ルカリで中和し、塩として用いることが好ましい。
【0065】水への溶解度が低い場合は、乳化分散法、
固体分散法で分散して用いることが好ましい。乳化分散
を行う場合は、当技術分野で周知の乳化分散法によっ
て、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレ
ートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなど
の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製
して、熱現像画像記録材料中に用いることが好ましい。
固体分散を行う場合は、当技術分野で周知の固体分散法
によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、
サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロ
フルイダイザーあるいは超音波によって分散し、熱現像
画像記録材料中に用いることが好ましい。また、乳化分
散、固体分散を行うには当技術分野で周知の分散助剤を
用いることが好ましく、具体的には特開2001−83
657公報の段落番号91〜101に記載の水溶性ポリ
マー、界面活性剤が好ましく用いられる。
【0066】本発明の熱現像感光材料において、ハロゲ
ン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、
安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの
生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度
の低下に対して安定化することが好ましい。単独または
組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安
定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,0
38号明細書および同第2,694,716号明細書に
記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437
号明細書および同第2,444,605号明細書に記載
のアザインデン、米国特許第2,728,663号明細
書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明
細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,65
2号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第62
3,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニト
ロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細
書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839
号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第
2,566,263号明細書および同第2,597,9
15号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米
国特許第4,108,665号明細書および同第4,4
42,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合
物、米国特許第4,128,557号明細書および同第
4,137,079号明細書、同第4,138,365
号明細書および同第4,459,350号明細書に記載
のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号
明細書に記載のリン化合物などがある。
【0067】本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカ
ブリ防止を目的として安息香酸類を含有することが好ま
しい。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘
導体でもよいが、好ましい例としては、米国特許第4,
784,939号明細書、同第4,152,160号明
細書、特開平9−329863号公報、同9−3298
64号公報、同9−281637号公報などに記載の化
合物が挙げられる。安息香酸類は熱現像感光材料のいか
なる層に添加してもよいが、支持体に対して画像形成層
側の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添
加することがさらに好ましい。安息香酸類の添加は塗布
液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層
に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のい
かなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好
ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒
子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増感
色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液と
して添加してもよい。安息香酸類の添加量としてはいか
なる量でもよいが、銀1mol当たり1×10-6mol
〜2molが好ましく、1×10-3mol〜0.5mo
lがさらに好ましい。
【0068】本発明を実施するために必須ではないが、
画像形成層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加え
ることが有利なことがある。この目的のために好ましい
水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本
発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1
mol当たり好ましくは1×10-9mol〜1×10 -3
mol、さらに好ましくは1×10-8mol〜1×10
-4molの範囲である。
【0069】本発明で特に好ましく用いられるカブリ防
止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、米国特許第
3,874,946号明細書、同第4,756,999
号明細書、同第5,340,712号明細書、同第5,
369,000号明細書、同第5,464,737号明
細書 、特開昭50−120328号公報、特開昭50
−137126号公報、同50−89020号公報、同
50−119624号公報、同59−57234号公
報、特開平7−2781号公報、同7−5621号公
報、同9−160164号公報、同9−160167号
公報、同10−197988号公報、同9−24417
7号公報、同9−244178号公報、同9−1601
67号公報、同9−319022号公報、同9−258
367号公報、同9−265150号公報、同9−31
9022号公報、同10−197989号公報、同11
−242304号公報、特開2000−2963号公
報、特開2000−112070号公報、特開2000
−284412号公報、特開2000−284399号
公報、特開2000−284410号公報、特開200
1−33911号公報、特開2001−5144号公報
等に記載された化合物が挙げられる。これらの中で、特
に好ましい有機ハロゲン化物は、特開平7−2781号
公報に記載の2−トリブロモメチルスルホニルキノリ
ン、特開2001−5144号公報に記載の2−トリブ
ロモメチルスルホニルピリジン、特開2000−112
070号公報に記載のP−1〜P−31の化合物、特開
2000−284410号公報に記載のP−1〜P−7
3の化合物、特開2001−33911号公報に記載の
P−1〜P−25、P’−1〜P’−27の化合物、特
開2000−284399号公報に記載のP−1〜P−
118の化合物、フェニルトリブロモメチルスルホン、
2−ナフチルトリブロモメチルスルホンである。有機ハ
ロゲン化物の添加量は、Ag1molに対するmol量
(mol/molAg)で示して、好ましくは1×10
−5〜2mol/molAg、より好ましくは5×10
−5〜1mol/molAg、さらに好ましくは1×1
0−4〜5×10−1mol/molAgである。これ
らは1種のみを用いてもよいが、2種以上を併用するこ
とがより好ましい。
【0070】また、特開2000−284399号公報
に記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がカブリ
防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同公報
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)
で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/
molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1
ol/molAg、さらに好ましくは1×10 -4〜5×
10-2mol/molAgである。これらは1種のみを
用いても2種以上を併用してもよい。
【0071】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例え
ば、特開2000−221634号公報に記載の式
(S)で表される化合物およびその例示化合物(S−
1)〜(S−24)が挙げられる。
【0072】本発明に用いるカブリ防止剤は、水あるい
は適当な有機溶媒に溶解して用いることができる。水溶
液として添加する場合は、当技術分野で周知の可溶化剤
を用いることができ、具体的には特開2001−836
57公報の段落番号91〜101に記載の水溶性ポリマ
ー、界面活性剤が好ましく用いられる。有機溶媒に溶解
して用いる場合は、例えばアルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることが
好ましい。また、酸性基が結合した化合物の場合は当量
のアルカリで中和し、塩として用いることが好ましい。
水への溶解度が低い場合は、乳化分散法、固体分散法で
分散して用いることが好ましい。乳化分散を行う場合
は、当技術分野で周知の乳化分散法によって、ジブチル
フタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリル
トリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイ
ル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用
いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して、熱現像画
像記録材料中に用いることが好ましい。固体分散を行う
場合は、当技術分野で周知の固体分散法によって、粉末
を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグライン
ダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザー
あるいは超音波によって分散し、熱現像画像記録材料中
に用いることが好ましい。また、乳化分散、固体分散を
行うには当技術分野で周知の分散助剤を用いることが好
ましく、具体的には特開2001−83657公報の段
落番号91〜101に記載の水溶性ポリマー、界面活性
剤が好ましく用いられる。
【0073】本発明に用いるカブリ防止剤は、支持体に
対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの
層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層ある
いはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像
形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であ
り、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画
像形成層であることが好ましい。
【0074】本発明の熱現像感光材料には現像を抑制あ
るいは促進させ現像を制御することや、現像前後の保存
性を向上させることなどを目的としてメルカプト化合
物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させるこ
とが好ましい。本発明にメルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾールなどが好ましく用いられる。これらのメルカプ
ト化合物の添加量としては画像形成層中に銀1mol当
たり0.9000〜1.0molの範囲が好ましく、さ
らに好ましくは、銀の1mol当たり9000〜0.3
molの量である。
【0075】本発明の熱現像感光材料では、アンモニア
などの揮発性の塩基は揮発しやすく、塗布する工程や熱
現像時だけでなく、保存中にも揮発するため、膜内に存
在することは好ましくなく、NH4 +含有量は支持体1m
2当たりの塗布量で、0.06mmol以下であること
が好ましい。より好ましくは、0.03mmol以下で
ある。ここでいう膜中のNH4 +量は、東ソー社製800
0タイプイオンクロマト測定装置(電気導電度法)に
て、分離カラムとして東ソー社製TSKgelIC−C
ation、ガードカラムとしてTSK guard
columnIC−Cを用いて測定した値である。溶離
液には、2mM硝酸水溶液を用い、1.2ml/min
の流量で行った。また、カラム恒温槽温度は40℃で行
った。感光材料からのNH4 +の抽出は、抽出液として、
酢酸:イオン交換水=1:148混合溶液を用い、上記
抽出液5mlに1x3.5cm2の大きさの感光材料を
2時間浸して行い、抽出後、0.45μmのフィルター
で濾過した溶液を測定した。膜面pHの調節はフタル酸
誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸や、不揮
発性の塩基を用いることが好ましい。本発明の熱現像感
光材料の熱現像処理前の膜面pHは6.0以下であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは5.5以下である。そ
の下限には特に制限はないが、3程度である。なお、膜
面pHの測定方法は、特開2000−284399号公
報の段落番号0123に記載されている。
【0076】本発明の熱現像感光材料は、支持体上に、
有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像
形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護
層が設けられていることが好ましい。また、本発明の熱
現像感光材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バ
ック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好
ましい。
【0077】本発明で用いるバインダーとしては、天然
ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他
フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビア
ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセ
ルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテー
トブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、
デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリ
ル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、
コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレ
ン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、
ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ
樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)
類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテー
ト)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類があ
る。
【0078】親水性でも疎水性でもよいが、本発明にお
いては、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性
透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバ
インダーとしては、ポリビニルブチラール、セルロース
アセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレ
タンなどがあげられる。その中でもポリビニルブチラー
ル、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レートは特に好ましく用いられる。
【0079】熱現像感光材料の表面を保護したり擦り傷
を防止するために、画像形成層の外側に保護層を有する
ことが好ましい。これらの保護層に用いられるバインダ
ーは画像形成層に用いられるバインダーと同じ種類でも
異なった種類でもよい。好ましくは擦り傷や相の変形等
を防止するために画像形成層を構成するバインダーポリ
マーよりも軟化点の高いポリマーが用いられ、セルロー
スアセテート、セルロースアセテートブチレート等がこ
の目的にかなっている。
【0080】本発明で用いるバインダーとして、水を主
成分とする溶媒(分散媒)を用いた塗布をおこなう場合
には、以下に述べるポリマーラテックスを用いることが
好ましい。本発明の熱現像感光材料の感光性ハロゲン化
銀を含有する画像形成層のうち少なくとも1層は以下に
述べるポリマーラテックスを全バインダーの50質量%
以上用いた画像形成層であることが好ましい。また、ポ
リマーラテックスは画像形成層だけではなく、保護層や
バック層に用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印
刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、保
護層やバック層にもポリマーラテックスを用いることが
好ましい。ただしここで言う「ポリマーラテックス」と
は水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の
分散媒中に分散されたものである。分散状態としてはポ
リマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合され
たもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子
中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分
散されたものなどいずれでもよい。なお本発明で用いる
ポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン
(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」などに記載されてい
る。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好
ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散
粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分
布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよ
い。
【0081】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は、通常の均一構造のポリマーラテックス以外の、いわ
ゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コ
アとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合が
ある。
【0082】本発明で用いるバインダーに好ましく用い
るポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護
層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異な
る。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡
散を促すため、−30〜40℃であることが好ましい。
保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触す
るために25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。
【0083】本発明で用いるポリマーラテックスの最低
造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましく
は0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコント
ロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤
は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度
を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前
述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行
会発行(1970))」に記載されている。
【0084】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などが挙げられる。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリ
マーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリ
マーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポ
リマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポ
リマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマ
ーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量
は数平均分子量で5,000〜1,000,000、好
ましくは10,000〜100,000程度が好まし
い。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が
不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好まし
くない。
【0085】本発明の熱現像感光材料の画像形成層のバ
インダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例
としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテッ
クス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5
/50/16.5(質量%)のコポリマーラテックス、
メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=4
7.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(質
量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。ま
た、このようなポリマーは市販もされていて、例えばア
クリル樹脂の例として、セビアンA−4635,465
83、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、N
ipol LX811、814、821、820、85
7(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3
340、R3360、R3370、4280(以上大日
本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂として
は、FINETEX ES650、611、675、8
50(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−siz
e、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ
ウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、
30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴ
ム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、330
7B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学
(株)製)、Nipol LX410、430,43
5、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL50
2、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7
020、D504、D5071(以上三井東圧(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS12
0、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙
げることができる。これらのポリマーは単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよ
いが、単独で用いることが好ましい。
【0086】画像形成層には全バインダーの50質量%
以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられ
るが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスが
用いられることがさらに好ましい。
【0087】画像形成層には必要に応じて全バインダー
の50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよ
い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全
バインダーの30質量%以下、さらには15質量%以下
が好ましい。
【0088】画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水
であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルム
アミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いる
ことが好ましい。具体的な溶媒組成の例としては以下の
ようなものがある。水/メタノール=90/10、水/
メタノール=70/30、水/エタノール=90/1
0、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチル
ホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホ
ルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチ
ルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%
を表す。)
【0089】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改
良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0090】さらに、保護層用のバインダーとして、特
開2000−267226号公報の段落番号0025〜
0029に記載の有機概念図に基づく無機性値を有機性
値で割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの組み
合わせを好ましく用いることができる。
【0091】本発明においては必要に応じて、特開20
00−267226号公報の段落番号0021〜002
5に記載の可塑剤(例、ベンジルアルコール、2,2,
4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブ
チレートなど)を添加して、造膜温度をコントロールす
ることができる。また、特開2000−267226号
公報の段落番号0027〜0028に記載の如くポリマ
ーバインダー中に親水性ポリマーを、塗布液中に水混和
性の有機溶媒を添加することができる。
【0092】それぞれの層には、特開2000−196
783号公報の段落番号0023〜0041に記載の官
能基を導入した第一のポリマーラテックスとこの第一の
ポリマーラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤
および/または第二のポリマーラテックスを用いること
もできる。上記の官能基は、カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロー
ル基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキ
シ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネ
ート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カ
ルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合
物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれ
る。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物とし
てヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB4
0−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分
散型ポリイソシアネート;アミノ化合物としてスミテッ
クスレジンM−3(住友化学工業(株)製);エポキシ
化合物としてデナコールEX−614B(ナガセ化成工
業(株)製);ハロゲン化合物として2,4ジクロロ−
6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムな
どが挙げられる。
【0093】画像形成層用の全バインダー量は0.2〜
30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範
囲が好ましい。保護層用の全バインダー量は、本発明に
好ましく用いられる膜厚3μm以上を達成する上で必要
な量として、1〜10.0g/m2、より好ましくは2
〜6.0g/m2の範囲が好ましい。本発明に好ましく
用いられる保護層膜厚としては、3μm以上であり、4
μm以上がさらに好ましい。保護層膜厚の上限としては
特に制限はないが、塗布乾燥のことを考慮し、10μm
以下、さらには8μm以下が好ましい。バック層用の全
バインダー量は0.01〜10.0g/m2、より好ま
しくは0.05〜5.0g/m2の範囲が好ましい。
【0094】これらの各層は、2層以上設けられる場合
がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての
層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いること
が好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる
層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いら
れることが好ましい。また、バック層は支持体バック面
の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在す
る場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層のバック
層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
【0095】本明細書における滑り剤とは、物体表面に
存在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の
摩擦係数を減少させる化合物を意味する。その種類は特
に制限されない。
【0096】本発明に用いる滑り剤としては、特開平1
1−84573号公報の段落番号0061〜0064、
特開2000−47083号公報の段落番号0049〜
0062に記載の化合物を挙げることができる。好まし
い滑り剤の具体例としては、セロゾール524(主成分
カルナバワックス)、ポリロンA,393,H−481
(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロンG−1
10(主成分エチレンビスステアリン酸アマイド)、ハ
イミクロンG−270(主成分ステアリン酸アマイド)
(以上、中京油脂(株)製)、 W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na などが挙げられる。滑り剤の使用量は添加層のバインダ
ー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜
30質量%である。
【0097】本発明において、特開2000−1719
35号公報、特開2000−47083号公報に記載の
ように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処理
部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、そ
の反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現像
処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像感
光材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面の
最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上、好ましくは
1.5〜30である。また、μbは1.0以下、好まし
くは0.05〜0.8である。この値は、下記の式によ
って求められる。摩擦係数の比=熱現像機のローラー部
材と画像形成層を有する面との動摩擦係数(μe)/熱
現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb)
本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と
画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表
面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添
加量を変えることにより調整することができる。
【0098】支持体の両面には、特開昭64−2054
4号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−
209443号公報、特開平1−285939号公報、
特開平1−296243号公報、特開平2−24649
号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−18
4844号公報、特開平3−109545号公報、特開
平3−137637号公報、特開平3−141346号
公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96
055号公報、米国特許第4,645,731号明細
書、特開平4−68344号公報、特許第2,557,
641号公報の2頁右欄20行目〜3頁右欄30行目、
特開2000−39684号公報の段落番号0020〜
0037、特開2000−47083号公報の段落番号
0063〜0080に記載の塩化ビニリデン単量体の繰
り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデン共
重合体を含む下塗り層を設けることが好ましい。
【0099】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り
返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、
重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設
する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマ
ー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量
体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニ
リデン共重合体の分子量は、重量平均分子量で45,0
00以下、さらには10,000〜45,000が好ま
しい。分子量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層
とポリエステル等の支持体層との接着性が悪化してしま
う傾向がある。
【0100】本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の
含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層
の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、
好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。
【0101】なお、下塗り層としての塩化ビニリデン共
重合体層は、支持体に直接設層される下塗り層第1層と
して設けることが好ましく、通常は片面ごとに1層ずつ
設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。
2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重
合体量が合計で本発明の範囲となるようにすればよい。
このような層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋
剤やマット剤などを含有させることが好ましい。
【0102】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布することが好ましい。こ
れらの下塗り層は多層構成とすることが好ましく、また
支持体に対して両面に設けることが好ましい。下塗り層
の厚み(1層当たり)は一般に0.01〜5μm、より
好ましくは0.05〜1μmである。
【0103】本発明の熱現像感光材料には、種々の支持
体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエス
テル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリ
スチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被
覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸
したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート
(PET)が強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から
好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚み
で90〜180μmであることが好ましい。
【0104】本発明の熱現像感光材料に用いる支持体と
しては、特開平10−48772号公報、特開平10−
10676号公報、特開平10−10677号公報、特
開平11−65025号公報、特開平11−13864
8号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内
部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪み
をなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理
を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トが好ましく用いられる。
【0105】このような熱処理後における支持体の12
0℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が
−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜
0.04%であることが好ましい。
【0106】本発明の熱現像感光材料には、ゴミ付着の
減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程での搬
送不良防止などの目的で、特開平11−84573号公
報の段落番号0040〜0051に記載の導電性金属酸
化物および/またはフッ素系界面活性剤を用いて帯電防
止することが好ましい。導電性金属酸化物としては、米
国特許第5,575,957号明細書、特開平11−2
23901号公報の段落番号0012〜0020に記載
のアンチモンでドーピングされた針状導電性酸化錫、特
開平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピ
ングされた繊維状酸化錫が好ましく用いられる。
【0107】金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗
率)は25℃、相対湿度20%の雰囲気下で1012Ω以
下、好ましくは1011Ω以下がよい。これにより良好な
帯電防止性が得られる。このときの表面抵抗率の下限は
特に制限されないが、通常107Ω程度である。
【0108】本発明の熱現像感光材料の画像形成層を有
する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一
方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以下
であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。本
発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)
P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度
試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易
に求めることができる。熱現像感光材料の画像形成層を
有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平
滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号00
52〜0059に記載の如く、前記両面の層に含有させ
るマット剤の粒径および添加量を適宜変化させることに
よってコントロールすることができる。
【0109】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与の
ための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成
ポリマーでもよく、その種類は特に限定されない。具体
的には、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、
デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムな
ど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タン
パク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵
粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半
合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カル
ボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類
(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースなど)も挙げられ、さらに合成ポ
リマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチ
レンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリビニルスルフィン酸またはその共重合体、ポリ
アクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその
共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエス
テル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸
またはその共重合体など)などである。
【0110】これらの中でも好ましく用いられる水溶性
ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキス
トラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレ
ンスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸また
はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ア
クリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合
体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
【0111】これらでも特に好ましい増粘剤としては、
ゼラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合
体、ポリアクリル酸またはその共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体などである。これらの化合物は、
「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株式会社シーエ
ムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発
行)に詳細に記載されている。
【0112】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量
は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定さ
れない。一般に液中の濃度は0.01〜30質量%、よ
り好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは
0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘
度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa
・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・s
である。なお、粘度はB型回転粘度計で25℃で測定し
た値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に
増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望まし
い。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0113】本発明で用いる界面活性剤について以下に
述べる。本発明で用いる界面活性剤はその使用目的によ
って、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コ
ントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活
性剤を適宜選択して使用することによってそれらの目的
は達成することができる。本発明で用いる界面活性剤
は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタ
イン)のいずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性
剤も好ましく用いられる。
【0114】好ましいノニオン系界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性
親水性基とする界面活性剤を挙げることができ、具体的
には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコ
ール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエ
タノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エス
テルを挙げることができる。
【0115】アニオン系界面活性剤としては、カルボン
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を挙げ
ることができ、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂
肪酸塩、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スル
ホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
スチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などを挙
げることができる。
【0116】カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、
4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることが
でき、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩
(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジ
ルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイ
ミダゾリウム塩など)を挙げることができる。
【0117】ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシ
ベタイン、スルホベタインなどを挙げることができ、N
−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベ
タイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアン
モニウムベタインなどを挙げることができる。
【0118】これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応
用」(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)
に記載されている。本発明においては、好ましい界面活
性剤はその使用量において特に限定されず、目的とする
界面活性特性が得られる量であればよい。なお、フッ素
含有界面活性剤の塗布量は、1m2当り0.01mg〜
250mgが好ましい。
【0119】以下に界面活性剤の具体例を記すが、これ
に限定されるものではない(ここで、−C64−はフェ
ニレン基を表わす)。 WA−1 :C1633(OCH2CH210OH WA−2 :C919−C64−(OCH2CH212
H WA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム WA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン
酸ナトリウム WA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸
ナトリウム WA−6 :ドデシル硫酸ナトリウム WA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキ
シル)エステル ナトリウム塩 WA−8 :C817−C64−(CH2CH2O)3(C
22SO3K WA−10 :セチルトリメチルアンモニウム クロラ
イド WA−11 :C1123CONHCH2CH2(+)(C
32−CH2COO(-) WA−12 :C817SO2N(C37)(CH2CH2
O)16H WA−13 :C817SO2N(C37)CH2COO
K WA−14 :C817SO3K WA−15 :C817SO2N(C37)(CH2CH2
O)4(CH24SO3Na WA−16 :C817SO2N(C37)(CH23
CH2CH2(+)(CH33−CH3・C64−SO3 (-) WA−17 :C817SO2N(C37)CH2CH2
2(+)(CH32−CH2COO(-)
【0120】本発明の好ましい態様においては、画像形
成層および保護層に加えて、必要に応じて中間層を設け
てもよい。生産性の向上などを目的として、これらの複
数の層は水系において同時重層塗布することが好まし
い。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビー
ド塗布、カーテン塗布などがあるが、特開2000−2
964号公報の図1に示されるスライドビード塗布方式
が特に好ましい。
【0121】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合は、コーティングダイの下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。
【0122】バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液を用いて層形成を行うときには、急冷では
塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾
燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。
この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料で用いられてい
る様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面
状に重大な欠陥を生じやすい。
【0123】本発明における好ましい乾燥方式は、特開
2000−002964号公報に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度は0〜70°の間にあればよい。また、本発明にお
ける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に
対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬
送を意味するものではない。
【0124】本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が
一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥
過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末期になると種々
の要因(水分移動の材料内部拡散が律速になる、蒸発表
面の後退など)により乾燥速度が低下し、与えられた熱
が液膜温度上昇にも使用される乾燥過程を意味する。恒
率過程から減率過程に移行する限界含水率は200〜3
00%である。恒率乾燥が終了する時には、流動が停止
するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀写真感光材
料の様な乾燥方式も採用することができるが、本発明に
おいては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾー
ンで乾燥させることが好ましい。
【0125】画像形成層および/または保護層を形成す
る時の乾燥条件は、恒率乾燥時の液膜表面温度がポリマ
ーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーの
ガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上にすること
が好ましい。通常は製造設備の制限より25℃〜40℃
にすることが多い。また、減率乾燥時の乾球温度は支持
体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が
好ましい。本明細書における液膜表面温度とは、支持体
に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球
温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。
【0126】恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件
で乾燥した場合、乾燥が不十分になりやすい。このため
特に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生
じやすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現
像機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題
が生じやすくなる。
【0127】一方、液膜表面温度が高くなる条件で乾燥
した場合は、主としてポリマーラテックスから構成され
る保護層は速やかに皮膜を形成するが、その一方で画像
形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面
に凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)に
Tgよりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安
定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。
【0128】下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐
次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に
上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を
行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と
保護層の塗布液とのpH差が2.5以下であることが好
ましく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH
差が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやす
くなり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障
が発生しやすくなる。
【0129】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜
100mPa・sが好ましく、さらに好ましくは30〜
70mPa・sである。一方、保護層の塗布液粘度は2
5℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましく
は20〜50mPa・sである。これらの粘度はB型粘
度計によって測定される。
【0130】乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対
湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻き
姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側
にしてもよいし、内側にしてもよい。また、加工形態が
ロール品の場合は巻き姿で発生したカールを除去するた
めに加工時に巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にす
ることも好ましい。なお、感光材料の相対湿度は20〜
55%(25℃測定)の範囲で制御されることが好まし
い。
【0131】ハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である従来の写真乳剤塗布液は、通常加圧送液す
るだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時に
大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほと
んどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機
銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層
塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になり
やすいため、気液界面が生じないようにして送液しなが
ら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。
【0132】本発明において塗布液の脱泡は、塗布液を
塗布される前に減圧脱気し、さらに1.5kg/cm2
以上の加圧状態に保ち、かつ気液界面が生じないように
して連続的に送液しながら超音波振動を与える方式が好
ましい。具体的には、特公昭55−6405号公報(4
頁20行〜7頁11行)に記載されている方式が好まし
い。このような脱泡を行う装置として、特開2000−
98534号公報の実施例と図3に示される装置を好ま
しく用いることができる。
【0133】加圧条件としては、1.5kg/cm2
上が好ましく、1.8kg/cm2以上がより好まし
い。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2
程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、
好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は
高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーショ
ンにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因とな
る。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、
好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減
圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タ
ンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮
力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧
条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、
好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条
件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常
−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、
好ましくは45分以上であり、その上限は特に制限され
ない。
【0134】本発明において、画像形成層、画像形成層
の保護層、下塗層およびバック層には特開平11−84
573号公報の段落番号0204〜0208、特開20
00−47083号公報の段落番号0240〜0241
に記載の如くハレーション防止などの目的で、染料を含
有させることが好ましい。
【0135】画像形成層には色調改良、イラジエーショ
ン防止の観点から各種染料や顔料を用いることが好まし
い。画像形成層に用いる染料および顔料はいかなるもの
でもよいが、例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0297に記載されている化合物を用いること
が好ましい。これらの染料の添加法としては、溶液、乳
化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状
態などが挙げられ、ゼラチン水溶液添加することが好ま
しい。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって
決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g〜1
gの範囲で用いることが好ましい。
【0136】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば特開平11−119374号公報の
段落番号0300に記載されている化合物を用いること
が好ましい。また、ベルギー特許第733,706号明
細書に記載されるように染料による濃度を加熱による消
色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に
記載されるように光照射による消色で濃度を低下させる
方法等を用いることも好ましい。
【0137】本発明の熱現像感光材料が熱現像後におい
て、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用い
られる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機にお
いてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、
マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定
するための情報を画像情報として担持している。従っ
て、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、
フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取る
ために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザ
ーによって読み取られるため、センサーの波長域のDm
in(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下
である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社
製、製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出
器およびバーコードリーダーとして670nmの波長の
光源を使用している。また、清水製作社製、製版機AP
MLシリーズのバーコードリーダーとして670nmの
光源を使用している。すなわち670nm付近のDmi
n(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確
に検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラ
ーが発生する。従って、670nmの光源で情報を読み
取るためには670nm付近のDminが低い必要があ
り、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以
下である必要がある。より好ましくは0.25以下であ
る。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度
である。
【0138】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはレーザダイオード
(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した
露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、
高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長
範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるも
のであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素
レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザ
ーなどを用いることができる。
【0139】本発明における露光は光源の光ビームをオ
ーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走
査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバー
ラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FW
HM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オ
ーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。
本発明ではこのオーバーラップ係数が0.2以上である
ことが好ましい。
【0140】本発明に使用する露光装置の光源の走査方
式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査
方式、平面走査方式などを用いることができる。また、
光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネル
でもよいが、高出力が得られ、書き込み時間が短くなる
という点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチ
ャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合にはレ
ーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャ
ンネルが好ましく用いられる。
【0141】本発明の熱現像感光材料は露光時のヘイズ
が低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞
の発生防止技術としては、特開平5−113548号公
報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して
斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/3175
4号公報などに開示されているマルチモードレーザーを
利用する方法が知られており、これらの技術を用いるこ
とが好ましい。
【0142】本発明に用いる画像形成方法の加熱現像工
程はいかなる方法であってもよいが、通常イメージワイ
ズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。用
いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光
材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触
させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開
平9−292695号公報、特開平9−297385号
公報および国際公開WO95/30934号公報に記載
の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−132
94号公報、国際公開WO97/28489号公報、同
97/28488号公報および同97/28487号公
報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては
非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては
80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜14
0℃である。現像時間としては1〜180秒が好まし
く、5〜90秒がさらに好ましい。ラインスピードは1
40cm/min以上、さらには150cm/min以
上が好ましい。
【0143】熱現像時における熱現像感光材料の寸法変
化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上1
15℃未満の温度で画像が出ないようにして、5秒以上
加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成
させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が好ましい。
【0144】本発明の熱現像感光材料を熱現像処理する
とき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中
に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解
成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ム
ラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させた
り、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引
起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影響
があることが知られている。これらの影響を除くための
方法として、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現
像機内の空気の流れを最適に調整することが好ましい。
これらの方法は有効に組み合わせて利用することができ
る。国際公開WO95/30933号公報、同97/2
1150号公報、特表平10−500496号公報に
は、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口部
と排出する第二の開口部とを有するフィルターカートリ
ッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に用いる
ことが記載されている。また、国際公開WO96/12
213号公報、特表平10−507403号公報には、
熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィルターを
組み合わせたフィルターを用いることが記載されてい
る。本発明ではこれらを好ましく用いることができる。
また、米国特許第4,518,845号明細書、特公平
3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を除去
する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置と伝
熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されてい
る。また、国際公開WO98/27458号公報には、
フィルムから揮発するカブリを増加させる成分をフィル
ム表面から取り除くことが記載されている。これらにつ
いても本発明では好ましく用いることができる。
【0145】本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用
いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現
像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱
現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しなが
ら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラー
はシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製の
ヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平
面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対
12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対1
1から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像さ
れる。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬
送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のロ
ーラー13が設置され、その反対側のバック面が接触す
る側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン
(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14
が設置される。熱現像感光材料10は画像形成層を有す
る面に接触する複数のローラー13の駆動により、バッ
ク面を平滑面14の上に滑らせながら搬送される。ロー
ラー13の上部および平滑面14の下部には、熱現像感
光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター1
5が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒー
ター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのク
リアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光
材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。
好ましくは0〜1mmである。
【0146】ローラー13の表面の材質および平滑面1
4の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の
搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材
質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドま
たはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱
手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度
を自由に設定することが好ましい。
【0147】なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有
する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像
加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予
備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜3
0℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発
させるのに十分な温度および時間に設定することが望ま
しく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度
(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設
定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理部の温
度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.
5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流には
ガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド
板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16
は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像感光材料10
に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行う
のが好ましく、冷却速度としては、0.5〜10℃/秒
が好ましい。
【0148】以上、図示例に従って説明したが、これに
限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のも
のなど、本発明に用いる熱現像機は種々の構成のもので
あってもよい。また、本発明において好ましく用いられ
る多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、
加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異な
る温度で加熱するようにすればよい。なお、本発明の熱
現像感光材料は、特開2000−206653号公報の
段落番号0014〜0026に記載される包装材料によ
って、あるいは特開2001−13632号公報の段落
番号0020〜0045に記載される包装方法によって
包装されることが好ましい。
【0149】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。 <実施例1> 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ
処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm
以下)11gおよび臭化カリウム30mg、4−メチル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温度
45℃にてpHを6.5に合わせた後、硝酸銀18.6
gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1mol/
L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6mol
/LおよびK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含む
水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブル
ジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝
酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウム
を1mol/LおよびK3IrCl6を2×10-5mol
/Lで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちなが
らコントロールダブルジェット法で28分30秒間かけ
て添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処
理をし、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン
(カルシウム含有量として20ppm以下)51.1g
加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた
粒子は平均粒子サイズ0.11μm、投影面積変動係数
9%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1
mol当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μ
molを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71μm
olを添加した後、100分間熟成し、4−ヒドロキシ
−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを
5×mol10-4mol、化合物Aを0.17g加えた
後、40℃に降温させた。その後、40℃に温度を保
ち、ハロゲン化銀1molに対して4.7×10-2mo
lの臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×1
-4molの下記増感色素A(エタノール溶液として添
加)、6.4×10-3molの化合物B(メタノール溶
液として添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30
℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。得
られたハロゲン化銀乳剤はAは、下記の塗布液の調製に
用いた。
【0150】
【化3】 《ベヘン酸銀分散物Aの調製》
【0151】ベヘン酸(ヘンケル社製、製品名Eden
orC22−85R)87.6kg、蒸留水423L、
5mol/LのNaOH水溶液49.2L、tert−
ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間
攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別
に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2Lを用意
し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lの
tert−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃
に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の
全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分
10秒と60分かけて添加した。この時、硝酸銀水溶液
添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加され
るようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開
始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン酸
ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が上がらな
いようにコントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム
溶液の添加系の配管は、スチームトレースにより保温
し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう
にスチーム量をコントロールした。また、硝酸銀水溶液
の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させるこ
とにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置
と硝酸銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心として対称的
な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調節
した。ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのまま
の温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温した。その
後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度
が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られ
た固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管
した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮
影により評価したところ、平均投影面積径0.52μ
m、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の変動係
数15%の鱗片状の結晶であった。
【0152】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−21
7,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加
し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備
分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(マイクロ
フルイデックス・インターナショナル・コーポレーショ
ン製、商品名:マイクロフルイダイザーM−110S−
EH、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧
力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベ
ヘン酸銀分散物Aを得た。冷却操作は蛇管式熱交換器を
インタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒
の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。
【0153】こうして得たベヘン酸銀分散物Aに含まれ
るベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径0.52μm、変
動係数15%の粒子であった。粒子サイズの測定は、M
alvern Instruments Ltd.製M
asterSizerXにて行った。また電子顕微鏡撮
影により評価すると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚
み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の投影面積の
円相当径と粒子厚みの比)が5.1であった。得られた
ベヘン酸銀分散物Aは、下記の塗布液の調製に用いた。
【0154】《還元剤の固体微粒子分散物の調製》還元
剤[1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン]10k
gと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバ
ールMP203)の20質量%水溶液10kgに、サー
フィノール104E(日信化学(株)製)400gと、
メタノール640g、水16kgを添加して、よく混合
してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポン
プで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを
充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリ
ノンナトリウム塩4gと水を加えて還元剤の濃度が25
質量%になるように調整し、還元剤の固体微粒子分散物
を得た。こうして得た分散物に含まれる還元剤粒子は平
均粒子サイズ0.43μm、最大粒子サイズ2.0μm
以下、変動係数35%であった。得られた分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。得られた還元剤
の固体微粒子分散物は、下記の塗布液の調製に用いた。
【0155】《有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物A[トリブロモ
メチル(4−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホ
ニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニ
ルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)
の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639
gと、サーフィノール104E(日信化学(株)製)4
00gと、メタノール640gと水16kgを添加し
て、よく混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコ
ニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて6時間分散したのち水を加
えて有機ポリハロゲン化合物Aの濃度が25質量%にな
るように調製し、有機ポリハロゲン化合物Aの固体微粒
子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポ
リハロゲン化合物粒子は平均粒子サイズ0.31μm、
最大粒子サイズ2.0μm以下、変動係数28%であっ
た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。得られた有機ポリハロゲン化合物Aの固体
微粒子分散物は、下記の塗布液の調製に用いた。
【0156】《有機ポリハロゲン化合物Bの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物B[トリブロモ
メチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20
質量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213g
と、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビー
ズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて6時
間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩
2.5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物Bの濃
度が23.5質量%になるように調整し、有機ポリハロ
ゲン化合物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た
分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子は平均粒
子サイズ0.35μm、最大粒子サイズ2.0μm以
下、変動係数21%であった。得られた分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。得られた有機ポ
リハロゲン化合物Bの固体微粒子分散物は、下記の塗布
液の調製に用いた。
【0157】《有機ポリハロゲン化合物C水溶液の調
製》室温で攪拌しながら、水75.0ml、トリプロピ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液8.
6ml、オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物の5
%水溶液6.8ml、水酸化カリウムの1mol/L水
溶液9.5mlを順次添加し、添加終了後5分間攪拌混
合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハロゲン化合物
C[3−トリブロモメタンスルホニルベンゾイルアミノ
酢酸]4.0gの粉末を添加し、溶液が透明になるまで
均一に溶解させて水溶液100mlを得た。得られた水
溶液は、200メッシュのポリエステル製スクリーンに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。得ら
れた有機ポリハロゲン化合物Cの水溶液は、下記の塗布
液の調製に用いた。
【0158】《有機ポリハロゲン化合物Dの固体微粒子
分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物Dを6kgと、
変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバール
MP203)の10質量%水溶液12kgと、トリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%
水溶液240g、および水0.18kgを添加して、よ
く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラ
ムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビ
ーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)
製、UVM−2)にて6時間分散したのち、ベンゾイソ
チアゾリノンナトリウム塩2gと水を加えて有機ポリハ
ロゲン化合物Dの濃度が30質量%になるように調整
し、有機ポリハロゲン化合物Dの固体微粒子分散物を得
た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化
合物粒子は平均粒子サイズ0.37μm、最大粒子サイ
ズ2.0μm以下、変動係数23%であった。得られた
分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルタ
ーにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
得られた有機ポリハロゲン化合物Dの固体微粒子分散物
は、下記の塗布液の調製に用いた。
【0159】《分散方法Aによる分散物(写真有用有機
化合物AとBの1:1錯体の固体微粒子分散物)の調
製》表1に記載の写真有用有機化合物AおよびBを表1
に記載のmol比で合計10kgになるように添加し、
さらに変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の10質量%水溶液16.00kg
と、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
の20質量%水溶液400gと、水13.6kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径1.0mmのジル
コニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて15時間分散した。分散工
程終了後直ちに表1に記載の条件で加熱処理した後、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2gと水を加えて写
真有用有機化合物AとBの濃度の合計が25質量%にな
るように調整し、固体微粒子分散物を得た。こうして得
た分散物に含まれる錯体Aの粒子はいずれも最大粒子サ
イズが3.0μm以下であり、加熱処理前後の平均粒子
サイズ、および変動係数は表1に記載されたとおりであ
った。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピ
レン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去
して収納した。得られた錯体の固体微粒子分散物は、下
記の塗布液の調製に用いた。
【0160】《分散方法Bによる分散物(写真有用有機
化合物AとBの1:1錯体の固体微粒子分散物)の調
製》表1に記載の写真有用有機化合物AおよびBを表1
に記載のmol比で合計10kgになるように添加し、
さらに変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバ
ールMP203)の10質量%水溶液16.00kg
と、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
の20質量%水溶液400gと、水13.6kgを添加
して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダ
イアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス
(株)製、UVM−2)にて10時間分散した。分散工
程終了後直ちに表1に記載の条件で加熱処理した後、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2gと水を加えて写
真有用有機化合物AとBの濃度の合計が25質量%にな
るように調整し、固体微粒子分散物を得た。こうして得
た分散物に含まれる錯体Aの粒子はいずれも最大粒子サ
イズが3.0μm以下であり、平均粒子サイズ、および
変動係数は表1に記載されたとおりであった。得られた
分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルタ
ーにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
得られた錯体の固体微粒子分散物は、下記の塗布液の調
製に用いた。
【0161】《分散方法Cによる透明分散液(写真有用
有機化合物A)、および固体微粒子分散物(写真有用有
機化合物B)の調製》表1に記載の写真有用有機化合物
Aについては、以下の方法にて透明分散液を調製した。 調製処方(完成分散物100g当りの割合)および調製
手順。 室温で水64.5gを攪拌しながら変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)2.0
gが塊状にならない様に添加し10分間攪拌混合した。
その後加熱し、内温が50℃になるまで昇温した後、内
温50〜60℃の範囲で90分間攪拌し均一に溶解させ
た。内温を40℃以下に降温しポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、PVA−217)の10質量%水溶
液25.5g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナト
リウムの20質量%水溶液3.0g、および表1に記載
の写真有用有機化合物A5.0gを添加し、30分攪拌
し透明分散液を得た。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。一方、表1に記載の写真
有用有機化合物Bを10kg、変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量
%水溶液14.87kgと、トリイソプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液372g
と、水7.28kgを添加して、よく混合してスラリー
とした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、
平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型
ビーズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて
12時間分散した。分散工程終了1時間後より表1に記
載の条件で加熱処理した後、ベンゾイソチアゾリノンナ
トリウム塩4gと水を加えて写真有用有機化合物Bの濃
度が25質量%になるように調整し、写真有用有機化合
物Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に
含まれる写真有用有機化合物Bの粒子はいずれも最大粒
子サイズが3.0μm以下であり、平均粒子サイズ、お
よび変動係数は表1に記載されたとおりであった。得ら
れた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィル
ターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し
た。得られた写真有用有機化合物Aの透明分散液、およ
び写真有用有機化合物Bの固体微粒子分散物は、下記の
塗布液の調製に用いた。
【0162】
【化4】
【0163】《化合物Zの乳化分散物の調製》化合物Z
を85質量%含有する三光(株)製R−054を10k
gとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換し
て80℃1時間溶解した。この液に水25.52kgと
クラレ(株)製MPポリマーのMP−203の20質量
%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44kg
を添加して、20〜40℃、3600rpmで60分間
乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール104
E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94k
gを添加して減圧蒸留しMIBKを除去したのち、化合
物Zの濃度が10質量%になるように調整した。こうし
て得た分散物に含まれる化合物Zの粒子は平均粒子サイ
ズ0.19μm、最大粒子サイズ1.5μm以下、変動
係数17%であった。得られた分散物は、孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0164】《硬調化剤の固体微粒子分散物の調製》硬
調化剤X−1を4kgに対して変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製ポバール、PVA−217)を1k
gと水36kgとを添加してよく混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビー
ズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて13
時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム
塩4gと水を加えて硬調化剤の濃度が10質量%になる
ように調整し、硬調化剤の固体微粒子分散物を得た。こ
うして得た分散物に含まれる硬調化剤の粒子は平均粒子
サイズ0.33μm、最大粒子サイズ3.0μm以下、
変動係数24%であった。得られた分散物は、孔径3.
0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。硬調化剤X−2につ
いても、上記と同様にして固体微粒子分散物を得た。得
られた硬調化剤の固体微粒子分散物は、下記の塗布液の
調製に用いた。
【0165】《現像促進剤の固体微粒子分散物の調製》
現像促進剤W1を10kgと、変性ポリビニルアルコー
ル(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量
%水溶液10kgと、水20kgを添加して、よく混合
してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポン
プで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを
充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UV
M−2)にて6時間分散したのち水を加えて現像促進剤
の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤の
固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれ
る現像促進剤粒子は平均粒子サイズ0.37μm、最大
粒子サイズ2.0μm以下、変動係数26%であった。
現像促進剤W2についても同様の方法で分散し、平均粒
子サイズ0.35μm、最大粒子サイズ2.0μm以
下、変動係数33%であった。得られた分散物は、孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。得られた現像促
進剤の固体微粒子分散物は、下記の塗布液の調製に用い
た。
【0166】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製し
たベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバ
インダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤を添加して、
水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱
気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のp
Hは7.7、粘度は25℃で50mPa・sであった。
【0167】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 397g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 ガラス転移温度17℃(計算値)、重合開始剤として、 Na228を使用、pH:NaOHを用いて6.5 に調整、平均粒子サイズ:118nm) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)− 3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 128.1g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 36.3g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.34g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.47g ベンゾトリアゾール 1.02g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 写真有用有機化合物A 8.85×10-2mol 写真有用有機化合物B 写真有用有機化合物Aに対して表1に記載のmol比に相当する添加量 化合物Z 固形分として 9.7g 硬調化剤X−1 12.7g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% pH調整剤として、NaOHを用いて、調整した。(な
お、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【化5】
【0168】
【化6】
【0169】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2
−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=5
8.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポ
リマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46
℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子サ
イズ116nm)943gに水を加え、化合物E1.6
2g、有機ポリハロゲン化合物C水溶液114.8g、
有機ポリハロゲン化合物Aを固形分として17.0g、
オルトリン酸二水素ナトリウム・二水和物を固形分とし
て0.69g、現像促進剤W1を固形分として11.5
5g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、
平均粒径の変動係数8%)1.58gおよびポリビニル
アルコール(クラレ(株)製,PVA−235)29.
3gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒
を0.8質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を
圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは
5.5、粘度は25℃で45mPa・sであった。
【0170】《下層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.
5質量%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造
膜助剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して1
5質量%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃と
した、平均粒子サイズ74nm)625gに水を加え、
化合物Cを0.23g、化合物Eを0.13g、化合物
Fを11.7g、化合物Hを2.7gおよびポリビニル
アルコール(クラレ(株)製,PVA−235)11.
5gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒
を0.1質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を
圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは
2.6、粘度は25℃で30mPa・sであった。
【0171】《上層オーバーコート層塗布液の調製》メ
チルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルア
クリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ア
クリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2
(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラ
ス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.
5質量%、化合物Aを100ppm含有させ、さらに造
膜助剤として化合物Dをラテックスの固形分に対して1
5質量%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃と
した、平均粒子サイズ116nm)649gに水を加
え、カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾー
ル524:シリコーン含有量として5ppm未満)30
質量%溶液18.4g、化合物Cを0.23g、化合物
Eを1.85g、化合物Gを1.0g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)3.45gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)26.5gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.1質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは5.3、粘度は2
5℃で25mPa・sであった。
【0172】
【化7】
【0173】《バック/下塗り層のついたポリエチレン
テレフタレート(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0174】(2)下塗り層およびバック層の作製 下塗り第一層 上記PET支持体に0.375kV・A・分/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、以下に示す組成の塗布液を
6.2ml/m2となる様に支持体上に塗布し、125
℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。
【0175】 ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物Bc−C 0.097g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0176】下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
下塗り第一層の上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。
【0177】 脱イオン処理ゼラチン (Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g) 10g 酢酸(20質量%水溶液) 10g 化合物−Bc−A 0.04g メチルセルロース(2質量%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0178】バック第一層 前記下塗り層塗布面とは反対側の面に0.375kV・
A・分/m2のコロナ放電処理を施し、その面に以下に
示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様に塗布
し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で
30秒乾燥した。
【0179】 30質量%水分散物(日本純薬(株)製、ジュリマーET410) 23g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A(783nmの光学濃度として1.3〜1.4になるように調整) 目安として0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(8質量%水溶液) 15g (住友化学工業(株)製、スミテックスレジンM−3) SbドープSnO2の針状粒子の水分散物 (石原産業(株)製、FS−10D) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0180】バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5ml/m2となる様に
バック第一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃
で30秒、170℃で30秒乾燥した。
【0181】 30質量%水分散物 (日本純薬(株)製、ジュリマーET410) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物(8質量%水溶液) 15g (住友化学工業(株)製、スミテックスレジンM−3) 30質量%水溶液(中京油脂(株)製、セロゾール524) 6.6g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0182】バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2ml/m2となる様
にバック第二層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、185℃で30秒乾燥した。
【0183】バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8ml/m2となる様
にバック第三層上に塗布し、125℃で30秒、150
℃で30秒、170℃で30秒乾燥した。
【0184】 ラテックス−B 286g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.6g 化合物−Bc−D 0.5g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシーs−トリアジン 2.5g ポリメチルメタクリレート(10質量%水分散物、 平均粒子サイズ5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0185】
【化8】
【0186】ラテックス−A:コア部90質量%、シェ
ル部10質量%のコアシェルタイプのラテックスコア
部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタ
クリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3
/3/0.9/0.1(質量%)シェル部:塩化ビニリ
デン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/ア
クリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3
(質量%) 質量平均分子量38,000 ラテックス−B:メチルメタクリレート/スチレン/2
−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチル
メタクリレート/アクリル酸=59/9/26/5/1
(質量%の共重合体)
【0187】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm、搬送速度20m/分で搬
送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0188】《熱現像感光材料の作製》PET支持体の
下塗り第2層の上に、特開2000−2964号公報の
図1に示されているスライドビート塗布装置を用いて、
前記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2にな
るように塗布した。さらにその上に、前記保護層塗布液
をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.29g/m
2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布し
た。その後、保護層の上に前記下層オーバーコート層塗
布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.97g
/m2および前記上層オーバーコート層塗布液をポリマ
ーラテックスの固形分塗布量が1.07g/m2になる
ように下層オーバーコート塗布液と共に同時重層塗布
し、熱現像感光材料を作製した。塗布時の乾燥は、恒率
過程、減率過程とも露点14〜25℃、液膜表面温度3
5〜40℃の範囲で、塗布液の流動がほぼなくなる乾燥
点近傍までは水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し
支持体が1.5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻
取りは温度23±5℃、相対湿度45±5%の条件下で
行い、巻き姿はその後の加工形態(画像形成面外巻)に
合わせ、画像形成面を外にした。なお、熱現像感光材料
の包袋相対湿度は20〜40%(25℃測定)で、得ら
れた熱現像感光材料の画像形成面の膜面pHは5.0、
反対側の膜面pHは5.9であった。この熱現像感光材
料を以下のごとく遮光性感光材料ロールを作製した。
【0189】(遮光リーダの製造)厚みが30μmのシ
ュリンクフィルム(TNS、グンゼ(株)製)の両面
に、遮光性フィルム(カーボンブラックを5質量%混入
した厚みが30μmの低密度ポリエチレンシート)を貼
り合わせて熱収縮性遮光フィルム製細片を製造した。得
られた熱収縮性遮光フィルム製細片の熱収縮率は、10
0℃において、長さ方向で13.3%、幅方向で11.
9%であり、長さ方向のエルメンドルフ引裂荷重は0.
43Nであった。この熱収縮性遮光フィルム製細片を、
厚みが100μmのPETシートの両側表面にカーボン
ブラックを5質量%混入した厚みが40μmの低密度ポ
リエチレンシートを貼り合わせてなる遮光シートの両側
部に、それぞれ幅方向に突き出すように両側端部に沿っ
て貼り合わせて遮光リーダを製造した。
【0190】(遮光性感光材料ロールの製造)上記の遮
光リーダを、感光材料ロールの先端に粘着テープで接合
し、円盤状遮光部材を感光材料ロールの両端部に取り付
けた。次いで、ロール状感光材料の遮光リーダを、感光
材料ロールの周囲に巻き付けながら、遮光リーダの熱収
縮性遮光フィルム製細片の表面に270℃の熱風を吹き
付けて、遮光リーダの熱収縮性遮光フィルム製細片を円
盤状遮光部材の外周縁部を超えて外側表面に熱収縮した
状態で接触させた。そして、遮光リーダの巻き終わりの
先端部と該遮光リーダの一周回前の外側表面とを接着テ
ープにより封止した後、円盤状遮光部材の外側表面に密
着している熱収縮性遮光フィルム製細片の表面に130
℃に加熱したヒータを押し当てて、円盤状遮光部材の外
側表面と熱収縮性遮光フィルム製細片とを融着させた。
このロールは幅610mm、巻き長さ59mであった。
【0191】《評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビ
ーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザ
ー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザー
を搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装
置を使用し、ミラー回転数60,000rpm、露光時
間1.2×10-8秒の露光を実施した。この時のオーバ
ーラップ係数は0.449にし、熱現像感光材料面上の
レーザーエネルギー密度としては75μJ/cm2とし
た。上記のレーザー露光装置を用いて、175線/イン
チで光量を変えながらテストステップを出力した。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を図1に示し
た熱現像機を用いて、熱現像処理を行った。熱現像は2
5℃、相対湿度50%の環境下で行った。熱現像処理部
のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面はテフロン
不織布にして、搬送のラインスピードは150cm/m
inに設定した。予備加熱部12.2秒(予備加熱部と
熱現像処理部の駆動系は独立しており、熱現像部との速
度差は−0.5%〜−1%に設定、各予熱部の金属ロー
ラーの温度設定、時間は第1ローラー温度67℃、2.
0秒、第2ローラー温度82℃、2.0秒、第3ローラ
ー温度98℃、2.0秒、第4ローラー温度温度107
℃、2.0秒、第5ローラー温度115℃、2.0秒、
第6ローラー温度120℃、2.0秒にした)、熱現像
処理部120℃(熱現像感光材料面温度)で17.2
秒、徐冷部13.6秒で熱現像処理を行った。なお、幅
方向の温度精度は±0.5℃であった。各ローラー温度
の設定は熱現像感光材料の幅(例えば幅61cm)より
も両側それぞれ5cm長くして、その部分にも温度をか
けて、温度精度が出るようにした。なお、各ローラーの
両端部分は温度低下が激しいので、熱現像感光材料の幅
よりも5cm長くした部分はローラー中央部よりも1〜
3℃温度が高くなるように設定し、熱現像感光材料(例
えば幅61cmの中で)の画像濃度が均質な仕上がりに
なるように留意した。また、低温低湿度下での性能を評
価するため、熱現像感光材料を遮光して20℃、相対湿
度20%の環境下で24時間放置した後、そのままの環
境で上記と同様に露光、熱現像処理を行った。さらに、
現像処理前の経時保存による性能変化を評価するため、
熱現像感光材料を遮光して50℃、相対湿度50%の環
境下で3日間放置した後、25℃、相対湿度50%の環
境に2時間放置してからそのままの環境で同様に露光、
熱現像処理を行った。
【0192】(評価方法)画像のDmin(カブリ)、
Dmax(最高濃度)については、マクベスTD904
濃度計(可視濃度)により行った。感度は濃度1.5を
与える露光量の逆数をもって表し、S1.5とした。試
料No.1の写真感度を相対的に100と表わし、値が
大きいほど高感度である。画像のコントラストを示す指
標(γ:階調)として、特性曲線の Dmin+濃度
0.3の点からDmin+濃度3.0の点を直線で結
び、この直線の傾きをγ値として表した。すなわち、γ
=(3.0−0.3)/(log(濃度3.0を与える
露光量)−log(濃度0.3を与える露光量))であ
り、γ値が大きいほど硬調な写真特性であることを示し
ている。実用的には、Dminは0.15以下、Dma
xは4.0以上、コントラストは15以上であることが
好ましい。
【0193】各熱現像感光材料について上記評価を実施
した結果を表1に示す。
【0194】
【表1】
【0195】表1の結果のように、本発明方法で作製さ
れた分散物を使用した熱現像感光材料は、Dminが低
く、Dmax(最高濃度)が高く、高コントラスト
(γ)で、低温低湿度の環境下においてもDmaxが低
下せず、現像処理前の経時保存においても、カブリ上昇
が小さいことがわかる。
【0196】<実施例2> 《画像形成層塗布液の調製》実施例1で作製したベヘン
酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダ
ー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱気を
圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のpHは
7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50mPa・s
であった。
【0197】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 397g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 重合開始剤として、Na228を使用) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)− 3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 128.1g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 11.9g 有機ポリハロゲン化合物D 固形分として 40.5g 現像促進剤W2 固形分として 5.5g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.3g ベンゾトリアゾール 1.2g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 10.8g 写真有用有機化合物A 7.54×10-2mol 写真有用有機化合物B 写真有用有機化合物Aに対して表1に記載のmol比に相当する添加量 化合物Z 固形分として 9.6g 化合物C 0.2g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) 硬調化剤X−2 9.7g ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量% pH調整剤としては、NaOHを用いた。(なお、塗布
膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0198】《下層保護層塗布液の調製》ブチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=42/58(質量%
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度30℃、固形分濃度として28.0%、化合物Aを
100ppm含有)900gに水を加え、化合物Eを
0.2g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製,P
VA−235)を35.0g加え、さらに水を加えて塗
布液(メタノール溶媒を0.5質量%含有)を調製し
た。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60分間
行った。塗布液のpHは5.2、粘度は25℃で35m
Pa・sであった。
【0199】《上層保護層塗布液の調製》ブチルアクリ
レート/メチルメタアクリレート=40/60(質量%
比、平均粒径110nm、質量平均分子量800,00
0)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移
温度35℃、固形分濃度として28.0%、化合物Aを
100ppm含有)900gに、カルナヴァワックス
(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含
有量として5ppm未満)30質量%溶液を10.0
g、化合物Cを0.3g、化合物Eを1.2g、化合物
Fを25.0g、化合物Hを6.0g、マット剤(ポリ
スチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8
%)5.0gおよびポリビニルアルコール(クラレ
(株)製,PVA−235)40.0gを加え、さらに
水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含
有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47at
mで60分間行った。塗布液のpHは2.4、粘度は2
5℃で35mPa・sであった。
【0200】《熱現像感光材料の作製》実施例1に記載
したように下塗り層を塗布したPET支持体の下塗り層
の上に、特開2000−2964号公報の図1に開示さ
れているスライドビ−ド塗布方式を用いて、前記の画像
形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になる様に、そ
の上に、前記の保護層下層塗布液をポリマ−ラテックス
の固形分塗布量が1.0g/m2になる様に、さらにそ
の上に前記の保護層上層塗布液をポリマ−ラテックスの
固形分塗布量が1.3g/m2になる様に、画像形成層
と保護層下層および上層の3層を同時に重層塗布した。
塗布時の乾燥条件は、第一乾燥ゾーン(低速風乾燥域)
が乾球温度70〜75℃、露点9〜23℃、支持体面上
での風速8〜10m/s、液膜表面温度35〜40℃の
範囲で乾燥し、第二乾燥ゾーン(高速風乾燥域)が、乾
球温度65〜70℃、露点20〜23℃、そして支持体
面上での風速が20〜25m/sで乾燥した。第一乾燥
ゾーンの滞在時間は、このゾーンでの恒率乾燥期の2/
3の時間で、第二乾燥ゾーンに移行させ、乾燥した。第
一乾燥ゾーンは、水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に
対し支持体が1.5°〜3°の角度)である。塗布速度
は、60m/minで行った。乾燥後の巻取りは温度2
5±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行った。巻
き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わ
せ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像感光材料
の包袋の相対湿度は20〜40%(25℃測定)で、得
られた熱現像感光材料の画像形成側の膜面pHは5.
0、ベック平滑度は5000秒であり、反対側の膜面p
Hは5.9、ベック平滑度は500秒であった。
【0201】塗布方法を変更し、実施例1と同様に試料
を作製し評価を実施したところ、実施例1と同様に本発
明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0202】<実施例3>実施例1、2で用いた支持体
のかわりに、下記に示すような支持体を用いた以外は、
実施例1、2と同様に試料を作製した。 《バック/下塗り層のついたポリエチレンテレフタレー
ト(PET)支持体の作製》 (1)PET支持体の作製 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエ
チレンテレフタレートを得た。これをペレット化した
後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T
型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が12
0μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、
ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このと
きの温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。こ
の後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部
をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8k
g/cm2で巻きとった。このようにして、幅1.4
m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPE
T支持体を得た。
【0203】(2)下塗り層およびバック層の作製 塗布液S−A〜Cの液を作製し、画像形成層塗布側に
は、支持体からS−C、S−Aの順に13.8ml/m
2、6.2ml/m2を塗布した。さらに、バック層側
に、支持体からS−A、S−Bの順に6.2ml/
2、13.8ml/m2を塗布した。乾燥は、125℃
で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒行っ
た。PET支持体の表面には、両面とも0.375kV
・A・分/m2のコロナ放電処理を施した。 塗布液S−A ラテックス−A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%) 0.03g 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 1.8g 化合物−Bc−C 0.06g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0204】 塗布液S−C 30%水分散物(高松油脂(株)製、ペスレジンA520) 46g アルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm) 4.44g 脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g 化合物−Bc−A 0.02g 染料−Bc−A (783nmの光学濃度として1.3の濃度になるように調整) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g 水溶性メラミン化合物M−3(8%水溶液) 15g (住友化学工業(株)製、スミテックスレジン) FS−10D (SbドープSnO2の20%水分散物 石原産業(株)製)81.5g ポリスチレン微粒子 (平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%) 0.03g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0205】 塗布液S−B 27%水分散物(三井化学(株)製、ケミパールS120) 73.1g 25%水分散物(高松油脂(株)製、ペスレジンA615G) 78.9g 化合物−Bc−B 2.7g 化合物−Bc−C 0.3g 化合物−Bc−D 0.25g 水溶性エポキシ化合物 (ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX521) 3.4g ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、 平均粒子サイズ5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g 蒸留水 合計量が1000gとなる量
【0206】(3)搬送熱処理 (3−1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃設定した全長200m熱処理ゾーン
に入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬
送した。 (3−2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通し
て後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力
は10kg/cm2であった。
【0207】実施例1と同様に熱現像して評価したとこ
ろ、本発明の構成の熱現像感光材料は、実施例1、2の
結果をほぼ再現し、本発明の効果が良好であることが確
認された。
【0208】<実施例4> 《画像形成層塗布液の調製》実施例1で作製したベヘン
酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダ
ー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱気を
圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のpHは
7.3〜7.7、粘度は25℃で52〜59mPa・s
であった。
【0209】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 395.6g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 ガラス転移温度:17℃(計算値)、重合開始剤 としてNa228を使用、pHはNaOHを用 いて6.5に調整、平均粒子サイズ:122nm) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル フェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 119.1g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 36.7g 有機ポリハロゲン化合物C 固形分として 2.39g 現像促進剤W2 固形分として 5.73g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.5g ベンゾトリアゾール 1.0g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 11.0g 写真有用有機化合物A 8.85×10-2mol 写真有用有機化合物B 写真有用有機化合物Aに対して表1に記載のmol比に相当する添加量 化合物Z 固形分として 9.8g 硬調化剤X−1 7.5g 硬調化剤X−2 5.8g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤 Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量%
【0210】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2
−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=5
8.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポ
リマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46
℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子サ
イズ116nm)943gに水を加え、化合物E1.6
6g、有機ポリハロゲン化合物C水溶液109.6g、
有機ポリハロゲン化合物Aを固形分として17.0g、
オルトリン酸二水素ナトリウム・二水和物を固形分とし
て0.73g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径
7μm、平均粒径の変動係数8%)1.59gおよびポ
リビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−23
5)29.7gを加えて、保護層塗布液(メタノール溶
媒を0.8質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気
を圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpH
は5.6、粘度は25℃で40mPa・sであった。
【0211】画像形成層塗布液および保護層塗布液を上
記の様に変更した以外は、実施例1と同様に本発明の化
合物を使用して試料を作製し評価を実施したところ、実
施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示し
た。
【0212】<実施例5> 《画像形成層塗布液の調製》実施例1で作製したベヘン
酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダ
ー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を
加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱気を
圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のpHは
7.3〜7.7、粘度は25℃で52〜59mPa・s
であった。
【0213】 バインダー;SBRラテックス 固形分として 401.1g (St/Bu/AA=68/29/3(質量%)、 ガラス転移温度:17℃(計算値)、重合開始剤 としてNa228を使用、pHはNaOHを用 いて6.5に調整、平均粒子サイズ:122nm) 1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル フェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 固形分として 119.1g 有機ポリハロゲン化合物B 固形分として 12.0g 有機ポリハロゲン化合物D 固形分として 41.1g 現像促進剤W2 固形分として 5.73g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.5g ベンゾトリアゾール 1.0g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA−235) 11.0g 写真有用有機化合物A 8.85×10-2mol 写真有用有機化合物B 写真有用有機化合物Aに対して表1に記載のmol比に相当する添加量 化合物Z 固形分として 9.8g 硬調化剤X−1 7.5g 硬調化剤X−2 5.8g 染料A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加) 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量 (目安として固形分0.40g) ハロゲン化銀乳剤 Ag量として0.06mol 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm (塗布量として2.5mg/m2) メタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量% エタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量%
【0214】《保護層塗布液の調製》メチルメタクリレ
ート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2
−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=5
8.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポ
リマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46
℃(計算値)、固形分濃度として21.5質量%、化合
物Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化
合物Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有さ
せ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子サ
イズ116nm)943gに水を加え、化合物E 1.
66g、オルトリン酸二水素ナトリウム・二水和物を固
形分として1.82g、マット剤(ポリスチレン粒子、
平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)1.59g
およびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA
−235)29.7gを加えて、保護層塗布液(メタノ
ール溶媒を0.8質量%含有)を調製した。 完成後、
減圧脱気を圧力0.47atmで60分間行った。塗布
液のpHは5.6、粘度は25℃で40mPa・sであ
った。
【0215】画像形成層塗布液および保護層塗布液を上
記の様に変更した以外は、実施例1と同様に本発明の化
合物を使用して試料を作製し評価を実施したところ、実
施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示し
た。
【0216】<実施例6>実施例1〜5で使用したサン
プルの露光を円筒外面方式マルチチャンネル(50mW
半導体レーザーヘッド30機搭載、熱現像感光材料面上
のレーザーエネルギー密度としては75μJ/cm2
で行い、実施例1と同様に熱現像した。その結果、本発
明の熱現像感光材料は、実施例1〜5の結果をほぼ再現
し、本発明の効果は明らかであった。
【0217】<実施例7>実施例1〜6で作製および露
光したサンプルについて、熱現像時の搬送のラインスピ
ードを180cm/minに変更し、それ以外は実施例
1と同様の条件で熱現像した。その結果、本発明の熱現
像感光材料は、実施例1〜6の結果をほぼ再現し、本発
明の効果は明らかであった。
【0218】<実施例8>実施例1〜5で使用したサン
プルを富士フイルム株式会社製のドライフィルムプロセ
ッサーFDS−6100Xを用いて熱現像処理を行い同
様の評価を行った。その結果、実施例1〜5と同様の結
果が得られ、本発明の効果は明らかであった。
【0219】
【発明の効果】本発明によれば、特に写真製版用、特に
スキャナー、イメージセッター用として、低カブリ、高
Dmax(最高濃度)で、現像処理後の保存性と面状の
良好な熱現像感光材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用い
られる熱現像機の一構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料 11 搬入ローラー対 12 搬出ローラー対 13 ローラー 14 平滑面 15 加熱ヒーター 16 ガイド板 A 予備加熱部 B 熱現像処理部 C 徐冷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB28 BB00 BB02 BB25 BB31 BC00 BC11 CB00 CB03 EA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方面上に、感光性ハロゲン化
    銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、バイ
    ンダーを含有し、かつ写真有用有機化合物の固体微粒子
    分散物を添加した塗布液を用いて製造される熱現像感光
    材料において、前記固体微粒子分散物が微粒子分散工程
    後に加熱処理をすることで作製され、かつ加熱処理後の
    固体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数が50%以下
    であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 【請求項2】 前記加熱処理後の粒子サイズの変動係数
    が20〜50%であることを特徴とする請求項1に記載
    の熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 硬調化剤を含有することを特徴とする請
    求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 前記加熱処理が、前記微粒子分散工程時
    の温度よりも高い温度で2〜300時間行われ、かつ加
    熱処理による下記変動係数変化Δαが5%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱
    現像感光材料。 Δα=α1−α2 [式中、Δαは変動係数変化、α1は加熱処理前の固体
    微粒子分散物の粒子サイズの変動係数、α2は加熱処理
    後の固体微粒子分散物の粒子サイズの変動係数を表
    す。]
  5. 【請求項5】 前記写真有用有機化合物が、フタラジン
    化合物を含む錯体であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
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